人を尊重して話を聞かせていただく「アクティブリスニング」エバンジェリスト『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』著者赤羽雄二氏公認|『アクションリーディング』読書会開催|仲間と一緒に成長できる「親子のクオリティタイム」「最速ロールプレイング」「A4メモ書き」などのグループ運営|株式会社miiboのmiibo Designer|一般社団法人 遠隔健康医療相談適正推進機構 正会員
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医療現場の働き方改革2025:医師・看護師の負担軽減と人材確保の最新動向
令和6年4月から医師の時間外・休日労働の上限規制と健康確保措置が適用され、医療現場の働き方改革が本格化しました。令和6年12月時点で460施設が特定労務管理対象機関として指定されています。医師の47%が勤務状況の改善が必要と回答し、看護職員の約8割が施設基準を満たす配置に困難を感じています。入院・外来医療等の調査・評価分科会の検討結果から、医療従事者の働き方改革とタスクシフト/シェアの現状と課題を明らかにします。医療現場では人材確保と処遇改善、ICT活用による業務効率化が喫緊の課題となっています。医師事務作業補助者の40%が必要数を確保できず、看護補助者も減少し続けています。夜勤手当は2010年代からほとんど変化せず、夜勤可能な職員の確保が困難になっています。ICT・AI・IoT活用が約7割の医療機関で進むものの、維持管理コストや使いこなせない職員の存在が課題となっています。医師の働き方改革の現状と課題医師の時間外労働規制が本格化する中、勤務環境の改善と人材確保が重要な課題となっています。地域医療体制確保加算を届け出ている医療機関では、届け出のない医療機関と比較して休日・時間外労働の平均値や最大値は長い傾向にあります。一方で、勤務環境の現状把握・分析を実施している割合やICTを活用した業務見直しの取組を実施している割合が高く、令和5年度と比較して令和6年度では休日・時間外労働の平均値や最大値が減少傾向にありました。医師事務作業補助体制加算の届出医療機関数は年々増加傾向にあります。届出医療機関の約40%で必要数の医師事務作業補助者が確保できていません。医師事務作業補助者の定着に向けた効果のある取組として、評価・報酬に関する取組では「給与・賞与の見直し」「面談による評価フィードバックの実施」「人事評価制度の整備」が多く挙げられました。医師事務作業補助体制加算を算定している医療機関の57%において、医師事務作業補助者の人事考課が実施されています。ICTを活用した医師事務業務の省力化の取組について、「作業効率の上昇」と「労働時間の短縮」が得られる効果の中で最も多く報告されました。労働時間の短縮の効果が得られるとの回答の割合が多い取組として「臨床データ集計等でのRPA活用」「退院サマリー等の作成補助を行う生成AI文書作成補助システム」「説明動画の活用」がありました。分科会では、医師の働き方改革を進める中で医師にかかる経費は増えており、地域医療確保体制加算はより評価されるべきとの意見や、ICT導入には多額の費用が必要であり支援を考慮すべきとの意見が出されています。看護職員の確保と業務負担軽減の取組看護職員就業者数は2023年(令和5年)に174.6万人となりました。看護職員の就業場所は病院・診療所が多いものの、訪問看護ステーション等において増加傾向となっています。新規の看護師資格取得者や看護師学校養成所(3年課程・大学を含む)の入学者数・卒業者数は減少に転じています。令和6年度には大学の定員充足率も100%を切っており、今後一層の少子化の進展を考えると、看護職員の確保と働き続けられる環境整備の取組が喫緊の課題となっています。看護補助者の数は減少し続けており、正規雇用の割合は低下しています。許可病床100床当たりの看護補助者数も全体的に減少傾向にあります。看護補助者の定着に向けて、研修の実施、ラダーの活用、看護補助業務の細分化等の取組が進められています。看護補助者の定着を促進するための取組として、「看護補助者業務のマニュアルの整備」は77.2%、「看護補助者の研修の充実」は72.7%で実施されています。入院料の施設基準を満たす看護職員の配置を行うにあたり、困難を感じることがあるか尋ねたところ、「大いに感じる」「感じる」は約8割でした。勤務シフトが組みにくくなったが3割を超え、看護職員の夜勤の回数(1人当たり)について「増えた」が2〜3割となっています。看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に関わる具体的な取組としては、「妊娠・子育て中、介護中の看護職員に対する配慮」は最も多く実施されていました。子育てや介護を担う職員への配慮が進んでいる一方で、夜勤が可能な職員の確保や負担軽減が課題となっています。病院勤務看護職員の夜勤手当(夜勤1回当たり)額は、2010年代に入ってほとんど変化がありません。看護職員の負担の軽減及び処遇の改善に関わる具体的な取組として「夜勤手当の見直し」は15.0%で実施、直近3年以内に実施した看護職員の夜勤者の確保策として、「夜勤者確保のための夜勤手当の増額(一律)」は12.4%、「夜勤回数に応じた夜勤手当以外の手当の支給」は8.7%で行われています。分科会では、夜勤手当は2010年代に入ってほとんど増加が見られず、割増賃金のみの支給にとどまる病院も4.4%存在する状況などがあるため、夜勤者の確保に向け夜勤手当の引き上げが必要ではないかとの意見が出されました。ICT・AI活用による生産性向上の推進ICT(情報通信技術)の活用は約7割で進められています。具体的な取組として「ビデオ通話(WEB形式)による会議の実施」「勤怠管理のICT化」「紹介状や診断書の入力支援ソフトの活用」が進められています。看護職員の記録に関する負担軽減の取組として、ICTを活用した取組としては、「電子カルテシステム等を活用したカルテ様式間の自動転記」「バイタルサイン等の測定機器からの自動入力」「文書作成補助システムの活用」が進められていました。令和6年度診療報酬改定では、看護職員の更なる業務負担軽減の観点から、「夜間看護体制加算」等の夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理等のうち、「ICT、AI、IoT等の活用による業務負担軽減」に取り組むことが望ましいことと位置づけられました。令和6年度補正予算では、人口減少や医療機関の経営状況の急変に対応する緊急的な支援パッケージ(生産性向上・職場環境整備等事業)として、生産性向上に資する取組として、ICT機器の導入による業務の効率化、職員間の情報伝達の効率化(チーム医療の推進)等の対応がなされました。ICT機器活用継続についての課題について、「ICTの維持・管理等のメンテナンスにコストがかかる」「ICTを使いこなせていない職員がいる又は多い」「ICTの導入にあたって教育や人材育成に時間がかかる」の順で多く挙げられました。分科会では、ICT、AI、IoTを導入して取り組みたい一方、機器活用には初期の導入費用、維持メンテナンス費用、投資額も必要となり、一部導入時の補助金はあるものの、維持メンテナンス費用までを入院基本料等で補ってもらう必要があるのではないかとの意見が出されています。生産性向上や業務負担軽減の点では、音声入力やバイタルデータの自動入力などが有効だと考えられるものの、具体的な活用が進むための方策について検討が必要との指摘もありました。タスクシフト/シェアの推進状況と今後の展望医師から看護師へのタスクシフト/シェアが進んでおり、特定行為研修修了者も病床規模に関わらず配置されています。医師から看護師へのタスクシフト/シェアとして行われている内容として、「注射、採血、静脈路の確保」、次いで「事前に取り決めたプロトコールに基づく薬剤の投与、採血・検査の実施」「カテーテルの留置、抜去等の各種行為」「特定行為の実施」の順で推進されていました。特定行為研修の領域別パッケージ研修において、令和7年9月時点で、指定研修機関は277機関、修了者数は2,765人であり、特定行為研修修了者の85.9%は病院に就業している実態があります。病棟業務におけるタスクシフト・シェアの取組の進行状況について、「とてもよく進んでいる」は1.6%、「進んでいる」は32.9%でした。タスクシフト・シェアを進めるための工夫・取組として、「看護管理者を中心に整理・見直しを行っている」が69.1%、「各職種の代表者が集まり整理・見直しを行っている」が63.4%が進められていました。分科会では、病院の看護の状況をよくわかっている看護管理者がキーパーソンとなり、各医療機関の実際の医療・看護業務の状況に応じて、看護の充実や質の向上のためにどうICT機器を活用するかをよく検討した上で導入されている好事例が示されました。令和6年度診療報酬改定では、感染対策等の専門的な知見を有する者が、介護保険施設等からの求めに応じてその専門性に基づく助言を行えるようにする観点から、感染対策向上加算、緩和ケア診療加算、外来緩和ケア診療管理料及び褥瘡ハイリスク患者ケア加算のチームの構成員の専従業務に当該助言が含まれることを明確化しました。地域の介護保険施設等に対して、医療ケア等に関する支援を行う病院が一定存在しており、病院規模に関わらず、特定行為研修修了者等の専門性の高い看護師が訪問による支援等を実施しています。今後、このような取組を推進していくために、効率的な実施に係る整備が進められることが期待されています。まとめ医療現場では人材確保と処遇改善、ICT活用による業務効率化が喫緊の課題となっています。医師の時間外労働規制と看護職員の配置基準を満たしながら、質の高い医療を提供するためには、医師事務作業補助者や看護補助者の確保と定着、夜勤手当の見直しによる夜勤者の確保、ICT・AI・IoT活用の推進が不可欠です。タスクシフト/シェアの取組も、看護管理者を中心とした現場主導の見直しや、特定行為研修修了者の活用により着実に進展しています。今後は、維持管理コストを含めた財政的支援の充実と、各医療機関の実情に応じた効果的な取組の推進が求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
入退院支援加算の最新動向2025:算定回数増加と身寄りのない患者への対応課題
令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会は、入退院支援の現状を分析し、今後の課題を明らかにしました。令和5年6月審査分において、入退院支援加算の算定回数は389,081件、入院時支援加算は82,205件に達しています。入院時支援加算の届出がある医療機関では、急性期一般入院基本料で平均0.6日、地域包括ケア病棟入院料で平均4.8日、在院日数が短縮されていました。退院調整に時間や人手を要する患者として、「身寄りがなく同居者が不明な者」が最も多く、現行の算定要件に含まれていないこの要因への対応が課題となっています。今回の分科会では、入退院支援の効果が数値で示されるとともに、3つの重要な課題が浮き彫りになりました。第一に、入院時支援加算が平均在院日数の短縮に有効であることが実証されました。第二に、身寄りのない患者への退院調整に多大な時間と労力がかかっている実態が明らかになりました。第三に、協力医療機関との実効性のある連携体制の構築には、まだ改善の余地があることが判明しました。入退院支援加算の算定状況と入院時支援の効果入退院支援加算と入院時支援加算の届出施設数は微増を続けています。入退院支援加算の届出施設数は令和6年8月時点で4,895施設、入院時支援加算は2,689施設でした。算定回数は年々増加しており、入退院支援の重要性が医療現場で認識されている状況が読み取れます。入院時支援加算の効果は明確に表れています。入院時支援加算は、入院を予定する患者に対し、入院前の外来で治療の説明、入院生活のオリエンテーション、服薬状況の確認、褥瘡・栄養スクリーニング等を実施する取り組みを評価する制度です。この加算の届出がある医療機関では、届出がない医療機関と比較して平均在院日数が短くなりました。予定入院の場合、退院困難な要因の有無を入院前に評価でき、入退院支援の準備を早期から進められることが、在院日数短縮につながっています。入退院支援加算を算定した患者の「退院困難な要因」を見ると、病棟種別にかかわらず「緊急入院であること」が最も多い状況でした。地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟では、「入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること」も多く見られます。退棟先については、急性期入院料では自宅から入棟し自宅へ退棟する割合が高い一方、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟では、転院や介護施設等への入所等、退棟先がより多様になっています。退院調整の課題と連携機関数の増加退院調整完了までに時間や人手を要する患者について尋ねたところ、「身寄りがなく同居者が不明な者」が最も多い結果となりました。この要因は現行の算定要件に明示されていませんが、実際の医療現場では大きな負担となっています。日本の世帯数の将来推計では独居の高齢者が増加しており、近親者のいない高齢者が急増すると見込まれています。退院先の確保のために工夫している取組としては、3つのアプローチが実施されていました。「退院を見据えた調整を入院直後から開始する」こと、「入院後速やかに患者及び家族などに説明を行う」こと、「退院に向けた要介護認定の区分変更の必要性を判断する」ことです。これらの取組には、ケアマネジャーとの密接な連携が重要となります。令和6年度診療報酬改定では、入退院支援における関係機関との連携強化が図られました。入退院支援加算1の施設基準で求める連携機関数について、急性期病棟を有する医療機関では病院・診療所との連携を、地域包括ケア病棟を有する医療機関では介護サービス事業所及び障害福祉サービス事業所等との連携を一定程度求める改定が行われました。連携機関の施設数は、前回調査と比較していずれの入院料も増加しており、介護保険サービス事業所との連携が最も多い状況でした。協力医療機関との連携強化と今後の方向性協力医療機関となっている施設数は、入院料や病棟の組合せによらず5件以下の医療機関が最多でした。急性期一般入院料2-6を算定するケアミックス型の医療機関や、地域包括医療病棟を有する医療機関で対象施設数が多い傾向が見られます。施設類型別では、特別養護老人ホームと介護老人保健施設の件数が多くなっていました。協力医療機関としての実効性のある連携に資する3要件全てを満たす医療機関の割合は、半数程度にとどまっています。特に急性期一般入院料1を算定する急性期病棟のみの医療機関では、その割合が低い状況でした。協力医療機関ごとに10床当たりの協力対象施設入居者数を見ると、1人以下の医療機関も一定数存在する一方、一部の医療機関では50人以上となっており、取組には差が見られます。在宅医療を提供している患者について、入院が必要になった場合の病床確保方法を見ると、診療所の59.8%が平時から連携体制を取っている他の医療機関を地域で確保していました。一方で、11.7%が基本的に救急搬送を依頼するため特定の医療機関とは連携していない状況でした。在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院、地域包括ケア病棟を有する病院のいずれかに該当する施設において、協力対象施設入所者入院加算を届け出ているのは約4割にとどまっています。届出していない理由として、ICTによる情報共有の体制整備や、カンファレンスの要件が困難と回答した施設が多く見られました。令和6年度診療報酬改定で新設された精神科入退院支援加算については、330施設のうち「届出あり」が26.4%、「届出の予定はない」が66.4%でした。届出をしていない理由は「看護師等の配置が困難であるため」が最も多く、77.4%を占めています。精神病床に入院する患者に対して、入院早期から包括的支援マネジメントに基づく入退院支援を行う体制の整備が、今後の課題となっています。ICT活用と面会制限の影響病院において地域医療情報連携ネットワーク等のICTを活用している施設は約3割でした。ICTを活用した情報共有の体制整備は、協力医療機関との連携を円滑に進める上で重要な要素となっています。地域連携診療計画加算の届出施設は微増していますが、算定回数はほぼ横ばいとなっています。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う一般病棟での面会制限は、入退院支援に大きな影響を及ぼしました。患者と家族の関係性の把握や、家族の思いを共有することが難しくなり、患者や家族の状況、家族の意向を踏まえた退院支援を進めることが困難な状況が生じていました。面会時のルールについては、「面会時間を日中に制限している」のほか、「面会者の年齢に制限を設けている」、「患者1人につき1日の面会人数を制限している」、「面会は予約制である」等を定めている現状があります。家族とのコミュニケーションが取れないことは、意思決定支援の観点からも大きな課題です。一部の医療機関では、ICTを活用したコミュニケーションをセッティングする等の工夫を行っています。5類感染症となった後も、各医療機関で対応にばらつきがあり、状況に応じた柔軟な対応方針が求められています。実効性のある連携体制の構築に向けて分科会では、介護施設等における対応力強化について重要な意見が出されました。高齢者施設で診ている心不全患者においては、水分貯留による体重増加や症状・兆候によって早期に外来を受診させる、訪問診療で利尿剤を調整する、病院の看護職員等が出向いてケア体制の支援を行う等によって、無駄な救急搬送・救急入院を減らすことが可能なケースがあります。救急搬送前の連携対応の評価を行うことで、施設からの高齢者の救急搬送を減らすことにつながる可能性が指摘されています。入院時支援加算については、入院支援部門が入院前に外来等で関わることにより、病棟看護師の業務軽減にも結びついています。病院全体の効率化に向けた動きが進んできている状況が確認されました。退院困難な患者のうち「身寄りがなく同居者が不明な者」は、現行の算定要件に示されていませんが、退院調整に時間あるいは人手を要している実態が明らかになりました。患者本人の状況だけではなく、周辺の要素と組み合わせて評価すべきとの考え方が示されています。平時からの連携として、現状は月に一度、協力医療機関と介護施設とでカンファレンス等によって入所者の情報を共有することが定められています。しかし、これだけでは介護施設の機能強化にまでつながるような連携は難しいとの指摘があります。協力医療機関の専門性の高い人材が介護施設を訪問して支援する等の取組が実際に行われており、より一層、介護施設と医療機関との連携体制を強化する上で、実効的な連携が進むように検討していくべきとの意見が出されました。協力医療機関は、必要時にすぐ相談・診療に応じ、緊急時に入院できる体制や病床を確保する機能が求められています。その負担を考慮した報酬評価が必要との意見も示されており、今後の診療報酬改定における検討課題となっています。まとめ入退院支援加算と入院時支援加算の算定回数は年々増加しており、入院時支援加算の届出がある医療機関では平均在院日数が短縮される効果が実証されました。退院調整に時間や人手を要する「身寄りがなく同居者が不明な者」への対応が新たな課題として浮き彫りになり、協力医療機関との実効性のある連携体制の構築が求められています。令和6年度診療報酬改定では連携機関数の要件が強化されましたが、ICT活用やカンファレンス要件等の課題も残されており、医療と介護の切れ目のない連携体制の構築に向けて、さらなる取組が必要となっています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
救急医療の需要増加に対応する診療報酬評価の課題と改善方向【2025年度】
令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、救急医療に関する検討結果がとりまとめられました。令和6年中の救急出動件数と搬送人員は過去最多を記録し、特に高齢者の搬送が増加しています。現場到着時間と病院収容時間はいずれも延伸しており、救急医療体制への負担が増大しています。現在の診療報酬制度では、救急患者連携搬送料の届出率が17%にとどまり、受入側医療機関への評価が不足しています。救急外来応需体制についても、24時間体制を構築する医療機関への適切な評価が課題となっています。分科会では、救急医療需要の増加に対応するため、搬送連携と外来応需体制の両面で診療報酬評価の見直しが必要との認識が示されました。救急搬送の現状では、救急患者連携搬送料の届出が低調であり、搬送元医療機関のみが評価される一方で受入側医療機関への評価がないことが指摘されました。救急外来応需体制では、院内トリアージ実施料と夜間休日救急搬送医学管理料の算定状況が報告され、ウォークイン救急患者を多数受け入れる医療機関の実態が明らかになりました。分科会からは、受入側医療機関への評価の必要性、地域包括ケア病棟での受入評価の充実、患者等搬送事業者の活用検討、24時間診療体制への適切な評価という4つの改善提案が示されています。救急搬送の現状と救急患者連携搬送料の課題令和6年中の救急自動車による救急出動件数と搬送人員は、集計開始以来の過去最多を記録しました。年齢区分別の搬送人員をみると、高齢者が増加している傾向が顕著です。搬送時間の延伸も深刻な課題となっています。令和5年中の救急自動車による現場到着所要時間は全国平均で約10.0分でした。病院収容所要時間は全国平均で約45.6分でした。新型コロナウイルス感染症の発生前の令和元年と比較すると、現場到着所要時間は約1.3分延伸し、病院収容所要時間は約6.1分延伸しています。救急患者連携搬送料の届出状況は低調でした。高度救命救急センター、救命救急センター及び第二次救急医療機関において、救急患者連携搬送料を届け出ている医療機関は17%にとどまりました。救急患者連携搬送料の届出医療機関数は、令和6年7月時点で224施設でしたが、令和7年5月には387施設へ大幅に増加しました。届出していない理由には複数の要因がありました。「救急用の自動車又は救急医療用ヘリコプターによる救急搬送件数が年間で2,000件未満であるため」という回答が多くありました。「搬送に同乗するスタッフが確保できないため」という人員配置の課題を挙げる医療機関もありました。「自院又は連携先医療機関が緊急自動車を保有していないため」という設備面の課題も指摘されました。「地域のメディカルコントロール協議会等と協議を行った上で、候補となる保険医療機関のリストを作成するという要件の達成が困難であるため」という体制整備の困難さも挙げられました。算定実態をみると、令和6年10月1か月に救急患者連携搬送料を算定した患者数は、ほとんどの医療機関において少数でした。搬送理由としては、「処置・手術等を必要としないが、急性疾患に対する治療を必要とする状態であった患者」が最も多くなっていました。転院搬送の実態も明らかになりました。第二次救急医療機関の一部には、入院した救急患者の25%以上が転院搬送で受け入れた患者である医療機関がありました。救急外来応需体制の評価状況救急外来医療に対する診療報酬評価として、院内トリアージ実施料と夜間休日救急搬送医学管理料があります。院内トリアージ実施料の算定医療機関数は、やや増加傾向を示しています。算定回数は、新型コロナウイルス感染症流行後に大幅に増加しましたが、令和6年には以前の水準まで減少しました。夜間休日救急搬送医学管理料の算定回数は、令和2年以降増加傾向が続いています。第二次救急医療機関における年間救急搬送患者受入人数に占める夜間休日救急搬送医学管理料の年間算定回数の割合を医療機関ごとに算出すると、令和2年度の平均値は24.6%、令和4年度の平均値は21.9%でした。ウォークイン救急患者の受入実態も注目されました。救急車等の救急受入患者数が少ない医療機関でも、相当数のウォークイン救急患者を受け入れている医療機関が多数存在することが明らかになりました。救急医療管理加算の算定状況も報告されました。救急医療管理加算の算定回数は、令和2年に減少したものの、以降は増加傾向を示しています。届出医療機関数は、令和2年以降横ばいからやや増加傾向となっています。入院した救急患者のうち、ウォークイン救急受診患者を含めて平均54.4%の患者に救急医療管理加算が算定されていました。分科会が示す改善の方向性分科会では、救急患者連携搬送における評価の課題について意見が示されました。救急患者連携搬送料は搬送元医療機関で算定するものである一方、受入側医療機関の評価がないことが指摘されました。救急患者連携搬送は受入側医療機関の協力を前提とした制度であることから、受入側にも一定の評価を設けることが必要との意見がありました。地域包括ケア病棟における受入評価についても提案がありました。地域包括ケア病棟において救急患者連携搬送料を算定した患者を受け入れた場合について、在宅患者支援病床初期支援加算の対象としたことには意義があるとされました。救急連携搬送における受入側医療機関への評価をさらに充実させることで、医療機関間の機能分担や連携の促進につながるのではないかとの意見がありました。搬送手段の多様化についても検討の余地が示されました。救急患者連携搬送にあたっては、病院救急車だけでなく、患者等搬送事業者を活用することについても、今後検討の余地があるのではないかとの意見がありました。救急外来応需体制に関しては、24時間診療体制への評価の必要性が提起されました。救急患者を多数受け入れる医療機関においては、医師・看護師等の人員配置に加え、24時間体制で検査・処方等が可能な診療体制の整備が不可欠であるとされました。こうした体制を構築し、地域の救急医療において重要な役割を果たしている医療機関については、適切な評価がなされるべきではないかとの意見がありました。まとめ救急医療需要の増加に対応するため、診療報酬評価の見直しが必要です。救急患者連携搬送では、搬送元だけでなく受入側医療機関への評価を設け、医療機関間の機能分担と連携を促進することが求められています。救急外来応需体制では、24時間診療体制を構築する医療機関への適切な評価が必要とされています。分科会が示した改善提案を踏まえ、救急医療提供体制の充実に向けた診療報酬制度の見直しが期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
重症度、医療・看護必要度の評価項目見直しと測定負担軽減への課題
令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、重症度、医療・看護必要度の評価体系に関する重要な検討結果が示されました。分科会では、特定集中治療室・ハイケアユニット用の評価項目の適正化と、一般病棟用のB項目測定における負担軽減という2つの重要テーマを扱いました。現行の評価体系には、活用されていない項目の存在、実態と乖離した基準設定、医療現場における記録負担という3つの課題が明らかになっています。本稿では、集中治療室における致死性不整脈管理の評価のあり方、動脈圧測定・中心静脈圧測定の位置づけの見直し、一般病棟におけるB項目の特性分析と測定の合理化という3つの論点を詳述します。これらの検討結果は、次期診療報酬改定における重症度、医療・看護必要度の見直しに直接的な影響を与える重要な知見です。分科会が提示した課題と改善の方向性を理解することは、医療機関における今後の体制整備を考える上で不可欠です。特定集中治療室・ハイケアユニット用評価項目の課題と見直しの方向性特定集中治療室用とハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度には、評価項目の配点と実際の活用状況に大きな乖離があります。現行制度では、シリンジポンプの管理は1点という配点になっており、該当基準が2点以上であるため、この項目は実質的に基準該当の判定に活用されていません。一方、動脈圧測定と中心静脈圧測定はいずれも2点の配点となっており、これら単独の実施のみで基準を満たすことになります。日本集中治療医学会のICU入退室指針では、人工臓器サポートや心血管作動薬などの薬剤持続投与を行わない動脈圧測定や中心静脈圧測定の患者については、中間ユニットでの管理を考慮するとされています。現行の評価体系は、この学会指針と整合性がとれていない状況です。特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者は全体の約92%に達しており、施設基準である7割または8割を大きく上回っています。該当患者割合が最も高い項目は動脈圧測定で約84%、最も低い項目は肺動脈圧測定で約6%でした。ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度では、基準①を満たす患者は概ね3割であり、要件の1割5分を上回っています。基準②を満たす患者は概ね9割であり、要件の6割5分または8割を大きく上回っています。分科会では、現行基準が実態と乖離しているため、該当患者や施設の割合を踏まえた基準の見直しが必要であるとの意見が示されました。集中治療室における致死性不整脈管理の評価強化特定集中治療室とハイケアユニットの入室患者の傷病名では、急性心筋梗塞後の患者が上位を占めています。急性冠症候群ガイドラインでは、急性心筋梗塞発症直後は致死性不整脈の管理等を目的として、CCU(cardiac care unit)での管理が推奨されています。致死性不整脈が確認された場合には直ちに電気的除細動を行うこと、必要に応じて抗不整脈薬の投与を考慮することが推奨されています。また、病態に応じて一時的ペーシングが必要となる場合があります。特定集中治療室管理料の算定患者のうち、蘇生術の施行(電気的除細動を含む)に該当する患者割合は約5%、抗不整脈剤の使用は約12%、一時的ペーシングは約1%でした。ハイケアユニット入院医療管理料の算定患者では、抗不整脈剤の使用に該当する患者割合は約4~6%、一時的ペーシングに該当する患者割合は約0.1~0.3%でした。現行の特定集中治療室用・ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度では、これらの処置を評価する項目がありません。分科会では、急性冠症候群の治療後や心停止蘇生後の患者は、人工呼吸器の管理等を要さない場合であっても、ICUやHCUにおいて厳格な不整脈のモニタリングを要する場合があるとの意見が出されました。致死性不整脈等のリスクに備えた管理は、ICUやHCUの重要な役割の一つであることを踏まえ、蘇生術の施行、電気的除細動、抗不整脈薬の投与、一時的ペーシング等の処置について、特定集中治療室用とハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度での位置づけを検討してはどうかとの提案がなされました。一般病棟用の重症度、医療・看護必要度における必要度Ⅱの普及と課題令和6年度診療報酬改定において、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の評価項目が見直され、急性期一般入院料1では割合①と割合②が設定されました。令和6年11月1日時点で、必要度Ⅱを届け出ている施設は、急性期一般入院料1で99.0%、急性期一般入院料2-3で78.3%、急性期一般入院料4-6で41.0%となり、令和4年11月1日時点より増加しています。必要度Ⅱの普及により、レセプト電算処理システム用コードを用いた評価が広がり、看護職員の記録負担の軽減が期待されています。重症度、医療・看護必要度Ⅰの該当患者割合は、急性期一般入院料2-3においてのみ令和4年より令和6年の割合が高くなりましたが、その他の入院料については令和6年の割合は低下しています。重症度、医療・看護必要度の記録について、病棟看護管理者が課題に感じていることを調査したところ、「特になし」と回答した割合は必要度Ⅰが26.1%、必要度Ⅱが28.9%であり、必要度Ⅱの方が課題を感じていない割合が高くなっています。看護職員による記録忘れが多いとの回答は必要度Ⅰが51.7%、必要度Ⅱが47.4%、看護必要度に関する職員研修に手間がかかるとの回答は必要度Ⅰが35.5%、必要度Ⅱが31.8%と、いずれも必要度Ⅰの方が課題を感じている割合が高くなっています。必要度の記録により時間外勤務が発生しているとの回答は、必要度Ⅰが19.7%、必要度Ⅱが21.0%でした。分科会では、看護師による重症度、医療・看護必要度の評価に係る負担が軽減されてきたと考えられる一方で、どこにどのような負担があるのかをもう少しデータとして調べていく必要があるのではないかとの意見が出されました。また、令和2年度診療報酬改定における記録簡素化について再度周知すべきとの意見もありました。B項目の特性分析と測定の合理化に向けた検討令和2年度診療報酬改定において、重症度、医療・看護必要度のB項目について、「患者の状態」と「介助の実施」に分けた評価とし、「評価の手引き」により求めている「根拠となる記録」を不要とする見直しが行われました。令和6年度診療報酬改定では、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の評価項目の見直しに伴い、急性期一般入院料1等では、B項目は基準から除外されましたが、当該評価票を用いて評価を行っていることが要件となっています。急性期一般入院料1は、急性期一般入院料2~6と比較して、基準1~3に該当する割合およびA得点2点以上の割合が高く、B得点3点以上の割合は低くなっています。地域包括医療病棟は、急性期一般入院料と比較して、B得点3点以上に該当する割合が高く、70%を超えています。入院初日にB得点が3点以上である割合は、特定機能病院や急性期一般入院料1で低く、急性期一般入院料2~6や地域一般入院料1、地域包括医療病棟で高くなっています。地域包括医療病棟では入院初日にB得点が3点以上である割合が68%であり、令和6年では最も高い割合を占めています。急性期一般入院料2~6、地域包括医療病棟における入院時と退院時のB得点は、要介護度との高い相関がみられました。特に要介護4~5においては、入院時から退院時にかけてB得点の変化がほとんどみられませんでした。患者全体の入院中のB項目の平均値は、入院後日数が経つにつれ、患者数の減少とともに緩やかに上昇しています。B項目の前日との差分の平均は、入院3日目頃からマイナス(改善)であり、7日目頃から変化がなくなっています。この時期には前日とB項目の変化がない患者が約7割程度となっています。分科会の分析では、B項目は、疾患によって悪化した身体機能によるケアの必要性と、発症前からの身体機能によるケアの必要性の双方を反映した指標であると考えられました。入院4日目、術後7日目以降はB項目の変化が少ない患者の割合が約7割に収束すること、A項目が±2点以上変化した場合にB項目も同じ方向に変化する患者の割合が増えること、要介護度が高いとB点数が高いこと、要介護度の高い患者では退院時まで変化しないケースが多いことが明らかになりました。内科系症例の重症度評価と救急搬送受入の評価案急性期一般入院料1において、外科系症例(手術に係るKコード算定症例)と比較して、内科系症例(それ以外の症例)では、A得点2点以上、3点以上となる該当割合はいずれも低く、B得点3点以上の割合は高くなっています。救急搬送により入院した内科系症例の重症度、医療・看護必要度の該当割合は、救急搬送ではない外科系症例の重症度、医療・看護必要度の該当割合と比較して、いずれの入院料においても低くなっています。救急搬送からの入院や緊急入院の約8割を内科系症例が占めています。日本内科学会提出資料によれば、現行のA・C項目に内科系の診療負荷が高い検査や処置を追加する案では、内科系症例と外科系症例の該当患者割合の差は、24.3%から22.8%に縮まりました。A・C項目を精緻化するのではなく、病棟や病院の負荷を直接的に医療・看護必要度の底上げに用いる方法として、救急医療や緊急入院を評価する案が検討されました。令和6年度改定でA項目の「救急に入院を要する状態」の評価日数が5日から2日に引き下げられており、単純に日数を戻すことによる入院延長の誘因となりうることが考慮されました。分科会では、救急搬送応需件数を各病棟に按分した病床あたり件数や、協力対象施設入所者入院加算の病床あたり算定回数に一定の係数を乗じること等により連続的に評価し、当該病棟の基準該当割合に加算する案について議論されました。この方法に基づくと、基準該当割合への加算分が大きい施設は、概ね内科系症例の割合が多い施設となります。この評価案は、個々の症例の評価指標を精緻化するのではなく、病院・病棟全体の負荷を必要度の基準該当割合に反映する方法として提案されています。まとめ令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会における重症度、医療・看護必要度の検討では、特定集中治療室・ハイケアユニット用と一般病棟用の双方について、評価体系の適正化に向けた重要な課題が明らかになりました。集中治療室では、致死性不整脈管理の評価項目追加と、動脈圧測定・中心静脈圧測定の位置づけ見直しが論点です。一般病棟では、B項目の特性を踏まえた測定の合理化と、内科系症例を適切に評価する新たな指標の構築が課題です。これらの検討結果は、次期診療報酬改定における重症度、医療・看護必要度の見直しに直接的に反映されることが予想されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
療養病棟入院基本料の現状分析:医療区分充足率と身体的拘束の実態から見る課題
令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会では、療養病棟入院基本料等の現状について検討結果がまとまりました。令和6年度末に介護療養病床が廃止されることに伴い、看護配置25対1の経過措置が令和6年5月末で終了したことを受け、慢性期医療提供体制の構築が求められています。新たな地域医療構想では、在宅医療需要への対応を見据え、療養病床だけでなく在宅医療や介護施設等とあわせた体制整備が重要とされました。分科会では療養病棟における医療区分の充足状況、栄養管理体制、在宅復帰の取組、障害者施設等入院基本料の4つの観点から現状を分析しました。医療区分2・3の施設基準を満たさない医療機関が入院料1で12.8%、入院料2で3.8%存在する一方、DPCデータでは入院料2の95.5%が医療区分2・3を6割以上受け入れていました。身体的拘束は認知症患者で25.7%、認知症のない患者でも13.6%実施され、病棟間でばらつきがありました。経腸栄養管理加算は届出910施設のうち約9割が算定実績なしで、栄養サポート体制の構築が課題です。在宅復帰機能強化加算は709施設が届出し、加算届出施設では在宅退院割合が高い傾向でしたが、加算ありでも死亡退院50%超の病棟が存在しました。医療区分の充足状況と身体的拘束の実態療養病棟における医療区分の充足状況は施設間で差がみられ、改善の余地があります。令和6年度診療報酬改定で中心静脈栄養の医療区分が病態と実施期間に応じて見直され、令和6年10月時点で入院料1の12.8%、入院料2の3.8%が施設基準(入院料1で医療区分2・3が8割、入院料2で5割)を満たしていませんでした。一方、DPCデータでは入院料2の95.5%が医療区分2・3を6割以上受け入れていることから、入院料2の施設基準を検討する余地があるとの意見が出されました。医療区分2・3の疾患・状態、処置等に該当する患者割合は入院料1・2ともに増加しており、特に「医師及び看護師の常時の管理」に該当する患者が増えていました。分科会では、療養病棟の看護職員配置が20対1であることから、医療区分の高い患者を受け入れられる医療体制の検討が必要との意見がありました。また、褥瘡と肺炎を併発するなど同じ処置区分に複数該当する場合の医療資源投入量についても評価すべきとの指摘がありました。身体的拘束の実施状況は認知症の有無で大きく異なり、課題が浮き彫りになりました。認知症のある患者では25.7%、認知症のない患者では13.6%に身体的拘束が実施されていました。病棟ごとの分析では、挿入デバイスのある認知症患者でも約3割の病棟が身体的拘束を全く実施していない一方、挿入デバイスのない認知症でない患者にも20%以上身体的拘束を実施している病棟が約2割存在しました。分科会では、デバイスや認知症以外の要素で患者像に違いがあるのか、病棟の見守り体制や夜間を含めた人員配置等まで踏まえて現状を評価し、検討を進めるべきとの意見が出されました。経腸栄養管理と摂食嚥下機能回復の課題療養病棟における栄養管理の現状は、中心静脈栄養への依存度が高く、経腸栄養への移行が進んでいません。医療行為・処置等の実施状況は令和4年度調査と同様の傾向で、中心静脈栄養が16.3%、胃ろう・腸ろうによる栄養管理が13.0%、経鼻経管栄養が26.7%でした。1か月に中心静脈栄養を実施した人数は11-20人の病棟が最多で半数弱を占め、中心静脈栄養を実施した患者のうち身体的拘束を行った患者の割合が高い病棟もみられました。摂食嚥下機能回復の取組に係る診療報酬上の評価として複数の加算が設けられていますが、算定実績は低調です。中心静脈栄養を実施している患者の摂食・嚥下機能回復に必要な体制は、入院料1で約3割、入院料2で約4割が整備していました。しかし、体制を整備できていない医療機関のうち9割が今後も整備予定なしと回答し、その理由として内視鏡下嚥下機能検査または嚥下造影の実施体制確保が困難という回答が約8割に達しました。分科会では、日常的な嚥下訓練では反復唾液嚥下テストや水飲みテストのような簡易な評価法でもタイムリーに実施可能であり、全ての施設で検査体制が必要かは検討の余地があるとの意見が出されました。経腸栄養管理加算の算定率は極めて低く、制度設計の見直しが求められています。令和6年8月から10月の3か月で経腸栄養管理加算を1回以上算定した施設は9.3%にとどまり、届出施設910のうち約9割が算定回数0回でした。届出が困難な理由として「栄養サポートチーム加算を届け出ていないため」が80%以上を占め、研修を受けた医師・看護師等の配置が難しいことが調査で示されました。分科会では、施設基準について検討を深めるべきとの意見がありました。また、認知症がないのに身体的拘束を受けながら中心静脈栄養を続けている患者の栄養管理のあり方は、さらなる議論が必要との指摘もありました。在宅復帰に向けた取組と評価療養病棟における在宅復帰の取組は一定の成果を上げていますが、機能の明確化が求められています。在宅への退院を評価する在宅復帰機能強化加算は令和6年8月時点で709施設が届け出ていました。加算では退院後1か月以内に患者が在宅生活を継続していることを、患者居宅への訪問または在宅医療を担当する医療機関等からの情報提供により確認することとされています。在宅復帰機能強化加算の届出施設では在宅退院の成果が高い傾向がみられました。療養病棟における在宅への退院割合や死亡退院割合は施設ごとにばらつきがありましたが、在宅復帰機能強化加算を届け出ている施設では在宅へ退院する患者の割合が高く、死亡退院の割合は低い傾向でした。ただし、在宅へ退院する患者の割合が比較的高くても加算を届け出ていない施設が存在しました。在宅復帰機能強化加算の要件については見直しの余地があるとの意見が出されました。加算ありでも死亡退院が50%を超える病棟があることが明らかになり、分科会では医療保険の療養病棟として望ましい姿とは言えず、加算の要件として死亡退院を含めた在宅復帰率を見ることもあり得るとの意見がありました。療養病棟は在宅医療とともに整備され、メリハリある体制となるべきであり、身体的拘束の実施状況も踏まえつつ、経腸栄養に切り替えるための工夫についても検討すべきとの指摘がありました。障害者施設等入院基本料と特殊疾患病棟入院料の状況障害者施設等入院基本料における患者要件の充足状況は看護配置により差がみられます。障害者施設等入院基本料の病棟における該当患者7割の基準は、7対1病棟では概ね満たされていましたが、10対1以下の病棟では7割に満たない施設が17.3%ありました。障害者施設等入院基本料・特殊疾患病棟入院料2においては重度の肢体不自由児(者)の該当割合が高く、対象疾患に該当する割合は全体で8割を超えていました。特殊疾患病棟入院料1においては難病患者等の割合が高い傾向でした。障害者施設等入院基本料の病棟では廃用症候群が主傷病である患者の割合が多いことが明らかになりました。この背景として、レセプトやDPCにおいては元々の患者要件に係る傷病名ではなく、入院契機となった病名が記録されるため、入棟要件のいずれに該当するのかを把握することが難しいという課題があります。まとめ療養病棟入院基本料等の現状分析から、医療区分の充足率向上、身体的拘束の最小化、経腸栄養管理体制の整備、在宅復帰機能の強化という4つの課題が明確になりました。慢性期医療提供体制は在宅医療需要の増加に対応するため、限りある資源を活用し、地域の実情に応じた体制構築が求められています。今後の診療報酬改定では、これらの課題に対する施設基準の見直しや評価方法の改善が検討されることが期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
回復期リハビリ病棟の評価見直しへ:実績指数除外基準の課題が明らかに
令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会では、回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系について検討を行いました。この検討では、実績指数の除外基準に該当する患者が全体の86%に達している現状が明らかになりました。回復期リハビリテーション病棟の届出病床数は約9.5万床、届出機関数は1,620施設であり、直近10年で届出病床数が約1.4倍に増加しています。分科会での議論では、実績指数の除外基準の見直し、重症患者割合と実績指数除外基準の重複問題、リハビリテーション単位数増加の効果の3点が主な論点となりました。実績指数の除外基準では「年齢が80歳以上」の該当割合が50%以上の施設が9割を超えている状況です。重症患者基準と実績指数除外基準の両方に該当する患者は、FIM運動項目では49.6%、FIM認知項目では85.9%でした。リハビリテーション単位数については、運動器リハビリテーション料と廃用症候群リハビリテーション料で7単位以上の提供ではFIM利得が比較的小さい結果が示されました。退院前訪問指導の実施率向上や高次脳機能障害患者への支援強化も課題として指摘されています。実績指数の除外基準が抱える構造的問題実績指数は回復期リハビリテーション病棟のアウトカム評価の指標です。この実績指数では、医療機関の判断で各月の入棟患者数の3割以下の範囲で除外できることとされています。除外が可能な要件には「年齢が80歳以上」「FIM運動項目20点以下」「FIM認知項目24点以下」などがあります。除外基準の該当状況を見ると、「年齢が80歳以上」の該当割合が50%以上の施設が9割を超えています。いずれかの除外項目が該当する患者の割合が70%を超える施設は全体の86%に達しています。この状況について、分科会ではほぼ全ての患者が除外基準に該当している施設もあり、現行の基準で病棟の機能を正しく評価できているのか疑問であるとの意見が出されました。「年齢が80歳以上」や「FIM認知項目24点以下」に該当する患者のFIM利得の分布は、患者全体と概ね同様でした。この結果から、これらの患者でもFIMが改善しないわけではないため、実績指数の計算対象から除外する必要性は乏しいのではないかとの意見がありました。一方で、FIM下位項目の得点が2点から3点に上がるのと5点から6点に上がるのでは自宅復帰への意味が異なる可能性があり、FIM利得には現れない効果を見落とさないよう評価を検討すべきとの指摘もありました。重症患者割合と実績指数除外基準の重複が示す課題回復期リハビリテーション病棟に入棟する患者の要件として、重症患者割合の要件が定められています。回復期リハビリテーション病棟1・2では重症患者割合が4割以上、3・4では3割以上とされています。令和6年5月から10月の実績では、回復期リハビリテーション病棟1・2における重症患者割合は約40から50%でした。重症患者基準に該当する患者のうち、リハビリテーション実績指数の除外基準にも該当する患者の割合が高いことが明らかになりました。重症患者基準に該当する患者のうち、「FIM運動項目20点以下」にも該当する患者は49.6%、「FIM認知項目24点以下」にも該当する患者は85.9%でした。入棟時に「FIM運動項目20点以下」の患者は、脳血管疾患等リハビリテーション料と廃用症候群リハビリテーション料ではFIM利得が比較的小さい結果でした。この重複について、分科会では重症患者と実績指数の除外基準両方に該当する患者が増えていることは理解できるものの、重複しないようにすると重症な患者も選別せずに入院を受け入れてほしいという当初の理念と食い違いが生じるため、慎重に検討すべきとの意見が出されました。リハビリテーション単位数増加の効果検証令和6年度改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料または特定機能病院リハビリテーション病棟入院料を算定する患者で、運動器リハビリテーション料を算定するものについて、1日6単位までの算定とする見直しを行いました。この見直しは、運動器疾患に対する1日6単位を超えた実施単位数の増加に伴うADLの明らかな改善が見られなかったことを踏まえたものです。運動器リハビリテーション料と廃用症候群リハビリテーション料において、7単位以上の提供ではFIM利得が比較的小さい結果でした。運動器リハビリテーション料については、改定前後で1日6単位を超えた算定は6割程度に減少しています。改定前に1日6単位を超えて実施した患者は、改定後に1日5から6単位実施した患者と比べ、FIM利得の上昇は少ない結果でした。回復期リハビリテーション病棟における疾患別リハビリテーションの実施割合は、脳血管疾患等が54.3%、運動器が38.2%、廃用症候群が7.3%でした。廃用症候群リハビリテーションが実施された患者における医療資源を最も投入した傷病名としては、廃用症候群が55.0%で最も多い結果でした。分科会では、令和6年度改定後も運動器リハビリテーション料について6単位を超えて実施している患者が相当数いるが、単位数が増えてもFIM利得がほとんど変わっていないため、6単位を超えるリハビリを実施できる対象について分析を深めてはどうかとの意見が出されました。質の高いリハビリテーション医療の推進に向けた取り組み発症後の機能回復を図る上では、ベッド上等で行われる徒手でのアプローチのみでは不十分であり、他のアプローチと組み合わせた介入が重要です。入棟時のFIM運動項目が20点以下かつ要介護4、5の患者は、FIM21点以上や要介護4、5以外と比較し、患者1日当たりの平均リハビリテーション実施単位数は変わらないものの、運動項目のFIM利得が低い結果でした。退院前訪問指導は回復期リハビリテーション病棟において包括されているものの、全入院患者の3から5%ほどに実施されており、その割合は他の病棟よりも高い状況です。各入院料を算定する施設において退院前訪問指導を実施している病院の割合は14から24%に留まっていました。退院前訪問指導はほとんどの施設で60分以上の実施時間を要しており、120分以上150分未満の割合が最も多い結果でした。具体的な実施内容として、家屋調査の他に外部との調整に係る項目も80%以上の病棟で行われていました。高次脳機能障害者への支援に係る11の関係機関へのヒアリング調査では、入院医療機関における高次脳機能障害の診断や説明が不十分な場合があることや、支援に係る情報提供の不足、高齢者が多い病棟における障害福祉関連機関とのネットワークの希薄さ、退院時に相談窓口の情報を伝えることの重要性等について指摘がありました。令和6年診療報酬改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料1及び2について地域支援事業に参加していることが望ましいこととしており、令和6年11月1日時点で地域支援事業に参加している回復期リハビリテーション病棟は約70%でした。生活機能の回復に資する診療報酬には排尿自立支援加算や摂食嚥下機能回復体制加算がありますが、回復期リハビリテーション病棟入院料の届出施設においては、これらの加算を届け出ている施設はそれぞれ24.2%、8.7%に留まっています。分科会では、退院前訪問指導は60分以上かけて行っている施設が9割を超えており、実施内容を踏まえた適切な評価方法について検討を進めるべきとの意見や、高次脳機能障害について特に就労支援に関してはかかりつけ医等との密な連携に対してより評価をすべきではないかとの意見が出されました。まとめ回復期リハビリテーション病棟入院料の評価体系には、実績指数の除外基準に該当する患者が全体の86%に達している課題、重症患者基準と実績指数除外基準が重複している課題、リハビリテーション単位数増加の効果が限定的である課題の3つの構造的問題があります。分科会では、これらの課題について除外基準の見直し、重症患者受け入れの理念との整合性の確保、リハビリテーション単位数上限の在り方の検討が必要との意見が出されました。退院前訪問指導の実施内容を踏まえた適切な評価方法の検討や高次脳機能障害患者への支援強化も今後の重要な論点となります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟の現状と課題―高齢者救急の受け皿となる包括的入院医療の検証結果
令和7年9月25日に開催された第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、包括的な機能を担う入院医療の検証結果がとりまとめられました。85歳以上の高齢者入院患者数が増加する中、新たな地域医療構想で位置づけられた「高齢者救急・地域急性期機能」と「在宅医療等連携機能」を担う地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟について、その実態と課題が明らかになりました。地域包括医療病棟は急性期病棟との併設が多く、高齢者救急の受け皿として機能しています。地域包括ケア病棟は在宅復帰支援の役割を果たしていますが、白内障や大腸ポリープなど短期滞在手術が上位疾患となっている点が課題として指摘されました。両病棟ともに救急受入や後方支援機能には施設間で大きなばらつきがあり、高額薬剤使用患者の受入困難という課題を抱えています。この検証では、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟の届出状況、入院患者の特徴、施設基準の充足状況、救急受入と後方支援の実態、高額薬剤使用の課題という4つの観点から分析が行われました。地域包括医療病棟では、緊急入院や手術の有無により医療資源投入量に差があり、85歳以上で在院日数が5~6日延長する傾向が確認されました。地域包括ケア病棟では、直接入院割合や救急受入件数に施設間で大きな差があり、救急搬送からの入院が15%を超える施設も存在します。両病棟ともに救急告示病院が多く、救急受入を実施していますが、後方支援機能を評価する加算の算定は二極化しています。高額薬剤使用患者の受入困難は、トルバプタンやパーキンソン病治療薬、骨粗鬆症治療薬、生物学的製剤、回復期リハビリテーション病棟では4分の1超の施設で抗がん剤が課題となっています。地域包括医療病棟入院料の届出状況と医療機関の特徴地域包括医療病棟を届け出た医療機関は、約3分の2が同一医療機関内に急性期一般入院料1~6のいずれかを有しており、地域包括ケア病棟を有する医療機関が半数以上でした。約3分の2が同一医療機関内にDPC対象病床を有しています。届出前から減少した入院料は、急性期一般入院料1が4割程度と最多であり、急性期一般入院料2~6、地域包括ケア病棟が続きました。急性期一般入院料2~6から移行したと思われる医療機関の半数程度では、地域包括医療病棟の届出後に急性期一般入院料を算定する病棟がなくなっています。地域包括医療病棟を有する医療機関が併設している病棟の組み合わせは様々です。二次医療圏の人口区分別にみると、大都市型の二次医療圏では急性期機能を有する病院が多く、過疎地域型になるにつれ、回復期等~慢性期病棟のみを有する病院の割合が多くなっていました。地域包括医療病棟入院料を届け出ている施設のうち、同一・隣接敷地内に約半数が訪問看護ステーションを有しており、居宅介護支援事業所を有する施設も多くみられます。地域包括医療病棟の届出を行った理由は、「高齢者の救急搬送の増加に伴いニーズに沿った対応が可能」「経営が安定すると考えた」「急性期一般病棟入院基本料等の重症度、医療・看護必要度の基準を満たすことが困難」が多く挙げられています。届出を行った結果、現時点で感じていることとしては、「他の入院料の病棟と組み合わせることで患者の状態に即した医療を提供できている」「経営が安定してきている」「実際の患者の状態により即した入院料等であると感じている」が上位でした。急性期病棟を有する医療機関のうち、地域包括医療病棟を届け出ていない医療機関において、今後の届出を検討したものの実際には届け出ていない医療機関は約15%であり、届出を検討中の医療機関は3.7%です。地域包括ケア病棟を届け出ている施設では、届出を検討した医療機関は30.5%あり、実際に検討中の医療機関は7.5%で、急性期の医療機関と比較して届出を検討している施設が多い状況です。急性期病棟を有する医療機関の約8割、地域包括ケア病棟・病室を届け出ている施設の約6割は届出を検討していないと回答しています。地域包括医療病棟に入院する患者像と施設基準の課題地域包括医療病棟に入院する患者は、急性期一般入院料2~6の病棟と比べ年齢や要介護度が高く、認知症や低栄養リスクを有する患者の割合が多い特徴があります。入院初日のB項目3点以上、重症度、医療・看護必要度等の要件は概ね全ての病棟で満たされていました。入院患者数の多い疾患は、誤嚥性肺炎、肺炎、尿路感染症、心不全、脱水、その他の感染症などの内科系疾患と、股関節骨折(手術あり)、胸腰椎の圧迫骨折(手術なし)などの整形外科疾患です。医療機関毎に手術に係るKコードの実施割合や、全体として患者数が上位である内科系疾患の入棟割合には大きなばらつきがあり、診療のパターンは一定ではありませんでした。急性期一般入院料2~6を算定する病棟と地域包括医療病棟の双方を有している場合に、各病棟に入院する疾患や要介護度、年齢層の分布には目立った特徴はみられていません。分科会では、多疾患を有する救急患者は、搬送時点で急性期病棟と地域包括医療病棟のいずれが適しているか判断が難しいとの意見や、患者像は大きな違いはなく、高齢者において頻度の高い疾患をそうした病棟でみることも考えられるのではないかとの意見がありました。地域包括医療病棟に入院する患者の入棟元は自宅が最も多く、退棟先も自宅が最も多い結果です。自宅・居住系施設等への退院は全体の約85%でした。年齢は、在院日数の延長と関連する独立した因子であるとの文献的報告があり、急性期一般入院料2~6、地域包括医療病棟のいずれにおいても、年齢階級が上がるほど在院日数が長くなる傾向です。85歳以上では、在院日数の中央値が85歳未満と比べて5~6日程度延長していました。各施設における85歳以上の患者の割合にはばらつきがあります。分科会では、高齢であるほど在院日数が長いのは当然の結果であると思われ、どのような患者を受け入れているかを、急性期を含む入院の評価に組み込んではどうかとの意見がありました。急性期病棟を有する医療機関は、地域包括医療病棟の届出にあたって満たすことが困難な施設基準として、「休日を含めすべての日にリハビリテーションを提供できる体制の整備」を回答した医療機関が半数を超えていました。続いて、「自院の一般病棟からの転棟が5%未満」「常勤のPT/OT/STの配置」「ADLが低下した患者が5%未満」が多くあげられています。一方、地域包括ケア病棟を有する医療機関における届出にあたって満たすことが困難な施設基準として、「重症度、医療・看護必要度の基準①を満たすこと」を回答した医療機関が半数程度でした。続いて、「在宅復帰率8割」「休日を含むリハビリの体制整備」「初日にB項目3点以上」「ADL低下が5%未満」を回答した施設が多く、急性期病棟を有する医療機関とは違った傾向がみられています。同一医療機関内に地域包括医療病棟と急性期一般入院料2~6の病棟の双方を有する施設に直接入院した患者について、いずれの病棟に入院したかに分類して、入退院時のADLの変化を比較したところ、病棟の種類による違いは大きくありませんでした。一方、ADLの変化のパターンは疾病ごとに異なり、誤嚥性肺炎や心不全では、整形外科系症例と比較し、入院期間中のADLの改善幅は少ない結果です。急性期一般入院料2~6の病棟と地域包括医療病棟では、地域包括医療病棟においてADLが改善する患者が多い傾向でした。しかし、ADLが低下した患者の割合はいずれも5%を超えており、一時的に施設基準を満たせない医療機関があることが想定されました。リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の効果と課題地域包括医療病棟において、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算を届け出て算定している施設とそれ以外の施設で、入院中のADL変化の分布に大きな差はみられませんでした。算定している医療機関におけるADLが低下した患者の割合は4.7%であり、算定していない医療機関における5.5%より少ないものの、基準である3%未満には達していません。連携加算の算定回数が1回以上の施設は地域包括医療病棟全体の約11%でした。70%にあたる19施設が加算を届け出ていない理由を回答し、「休日のリハビリテーション料の提供単位数が平日の提供単位数の8割以上を満たさないため」が最も多い結果です。次いで、「リハビリに習熟した常勤医師の確保が困難」「入棟後3日までに疾患別リハビリを算定された患者割合が8割に満たない」を回答した施設が多くありました。実際に、「休日のリハビリ提供単位数」については満たせていない施設が約6割あり、「ADLが低下した患者の割合が3%未満」を回答した施設も約3割ありました。退院時にADLが悪化した患者の割合は連携加算の算定あり施設で7.9%、なし施設で4.9%でしたが、ADLが大きく改善した患者の割合は算定あり施設で多い結果です。ADLが低下する患者は要介護度や年齢が高い傾向でした。連携加算の算定有無によらず、退院時にADLが低下した患者の割合が5%未満の施設は60%程度です。連携加算の算定施設では、リハビリ実施割合、3日以内にリハビリ開始した割合がともに高く、1人1日当たりの平均リハビリ実施単位数は算定施設で3.3単位、算定なし施設で2.3単位と算定施設で多くなっています。土日祝日の施設全体のリハビリ提供量は算定施設で86%、算定なし施設で68%でした。分科会では、ADLについて、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の算定有無とADLスコア平均や改善幅の検討だけでなく、実際に提供されたリハビリの量や介入の時期等を踏まえ、どのような取組が効果的なのかといった検討を進めるべきとの指摘がありました。地域包括医療病棟における医療資源投入量の特徴包括内の出来高点数に対する請求点数の比は、整形外科系の疾患等、出来高算定の手技を伴う疾患で高い傾向にありました。一方、誤嚥性肺炎、脳梗塞、尿路感染症等の内科系疾患においては包括内の出来高実績点数に比して請求点数が低い傾向です。内科系疾患は外科系疾患に比べ、救急搬送からの入院、緊急入院の割合が高く、高齢者では特に強くその傾向がみられました。包括内の出来高実績点数にはばらつきがあり、緊急入院が多い診断群分類や、手術を行うことが少ない診断群分類において包括内の出来高実績点数が高い傾向です。地域包括医療病棟において、緊急入院の割合や手術実施の割合に基づいて診断群分類を層別化すると、1日あたりの包括内の出来高実績点数の分布は、手術のない緊急入院、手術を行う緊急入院、手術予定のない予定入院、手術目的の予定入院の順に高い結果でした。患者ごとに予定/緊急入院、手術実施の有無により、1日当たりの包括内の出来高実績点数の患者ごと分布を比較すると、手術を行わない緊急入院群では手術目的の予定入院群と比較し、1日当たり包括内出来高実績点数の平均値は約440点高く、群による差が大きい状況です。医療資源投入量や年齢層が同じであってもADLや要介護度は様々であり、医療資源投入量では測定されない診療上の手間が示唆されました。分科会では、手術に係るKコードを算定している地域包括医療病棟が多く、整形外科の標ぼうがある医療機関では療法士数や他の要件との兼ね合いから地域包括医療病棟を届出やすいのではないかとの指摘がありました。高齢者の疾患を幅広くみるという観点から、内科系疾患と外科系疾患の包括範囲内の医療資源投入量について、バランスがとれるよう、その内訳や診療内容を更に検討すべきではないかとの意見がありました。緊急入院の受入時には様々な手間がかかるので、看護師等の療養の世話の手間について、投入している医療資源の一環として評価方法を検討してはどうかとの意見もあります。地域包括医療病棟の届出が伸びてこないのは施設基準の厳しさが影響している可能性があり、地域包括ケア病棟との患者像の類似も踏まえ、緩やかに統一していくような評価方法も検討できるのではないかとの意見がありました。下り搬送については、最初の搬送先が病床稼働率等の観点で、本来その病院で診療する必要のない患者を入院させるという事象もあるようなので、機能分化を進めても経営できるよう、評価を検討していってはどうかとの意見もあります。地域包括ケア病棟入院料の在院日数と包括範囲の特徴令和6年度改定で、入院41日目以降は入院料が低減する仕組みが導入されたものの、地域包括ケア病棟における入院日数の中央値は23日程度で、改定前後で変化はみられませんでした。地域包括ケア病棟及び病室を届け出ている病棟における在宅復帰率は、入院料・管理料1~2において90%以上の施設が基準を満たしており、改定前後を比較すると、改定後に高い傾向がみられています。入院料・管理料3~4においては在宅復帰率の施設基準を満たしていない施設がみられました。地域包括ケア病棟における自宅等からの直接の入院割合は、医療機関ごとにばらついています。急性期病棟を有する施設では、有さない施設に比べ、直接入院する患者の割合は少ない施設が多いものの、施設によっては直接入院を多く受け入れていました。直接入院のうち、緊急入院の患者が少ない傾向にあります。地域包括ケア病棟の入院患者数上位50位までの疾患について、1日あたりの包括内の出来高換算点数は地域包括医療病棟と比べて一定の範囲に集中していました。短期滞在手術等基本料3に該当する疾患では、請求点数が高い傾向です。地域包括ケア病棟における包括内の出来高実績点数は、地域包括医療病棟と比較しばらつきが少ない結果でした。入棟経路による包括内出来高実績点数の差は小さく、直接入院した群について、予定/緊急入院と手術の有無により群分けすると、地域包括医療病棟のように4群の差は明らかでないが、緊急入院は予定入院に比べて包括内の出来高実績点数が高い傾向です。分科会では、地域包括ケア病棟の患者数上位2疾患が白内障や大腸ポリープであることについては、病棟の役割をふまえてどのように評価するか検討が必要であるとともに、地域包括医療病棟にそうした患者が少ないことは初日のB得点3点以上の患者が5割という要件が影響している可能性があるとの意見がありました。地域包括ケア病棟では、管理栄養士の配置基準はなく、栄養管理に係る加算や管理料は包括されています。病棟における管理栄養士の配置数は全病棟種類の中でも少なく病棟で業務に従事している時間も短い傾向であり、低栄養リスクがスクリーニングで把握されている割合は低い状況です。分科会では、管理栄養士が介入することによって経口摂取に復せる割合は多いと思われ、管理栄養士の介入を評価する視点は重要ではないかとの指摘がありました。包括的入院医療を担う医療機関の救急受入機能地域包括医療病棟を有する医療機関の95%、地域包括ケア病棟入院料1を届け出ている医療機関の77.7%、地域包括ケア病棟入院料2を届け出ている医療機関の92.9%が救急告示病院です。地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟入院料1~2を届け出ている医療機関の75%以上は二次救急医療機関であり、地域包括医療病棟を有する医療機関で救急部門のない医療機関はありませんでした。地域包括医療病棟を有する医療機関の約90%、地域包括ケア病棟を有する医療機関の約70%が毎日救急受入をしています。地域包括ケア病棟を有する医療機関では、救急受入が日中のみの病院が1割弱みられました。救急受入件数の中央値は784件です。救急受入件数が2000件以上の医療機関は約22%あり、1~199件の医療機関数と同程度でした。救急受入件数が2000件以上の医療機関は、いずれも急性期病棟を有しています。救急搬送からの入院や、自宅または施設からの緊急入院は、地域包括医療病棟では多く、地域包括ケア病棟では少ない医療機関が多い状況です。救急搬送からの入院が15%を超える地域包括ケア病棟があり、これらは在宅復帰率80%以上、平均在院日数22日以下の施設が多いが、重症度、医療・看護必要度の得点は低い傾向でした。分科会では、緊急入院等を多く受け入れている地域包括ケア病棟は一定の評価を検討すべきではないかとの意見がありました。後方支援機能の実態と評価の課題後方支援に関する現状の評価として、在宅かかりつけ医の求めに応じて入院医療を提供した場合に算定する在宅患者緊急入院診療加算や、介護保険施設の入所者が入院を要する状態になった場合に、当該介護保険施設の職員の求めに応じて往診した際の介護保険施設等連携往診加算、必要に応じて入院医療を提供した場合に算定する協力対象施設入所者入院加算等があります。地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟の双方において、救急搬送受入件数が少なくても、これらの加算を多く算定している医療機関が存在しました。地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟における在宅患者緊急入院診療加算1~3、協力対象施設入所者入院加算1・2の病床あたり算定回数は、いずれの加算についても0件の施設が最も多く、算定回数は二極化しています。入院料ごとに比較すると、地域包括医療病棟が最も多く、地域包括ケア病棟では入院料1・3で2・4より多い結果です。介護保険施設等連携往診加算は届出医療機関数が少ないが、その8割は包括期の病棟を有する医療機関でした。在宅患者緊急入院診療加算や協力対象施設入所者入院加算の算定回数、緊急入院の件数等は互いに相関していませんでした。これらの加算の病床あたり算定回数は、包括期の病棟単独よりも病院全体でみたほうが多く、急性期の病棟でより算定されている施設が多いことが示唆されます。協力対象施設入所者入院加算の施設基準である在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院、地域包括ケア病棟を有する病院のいずれも満たさなくても、施設からの緊急入院を多く受け入れている地域包括医療病棟がありました。在宅患者緊急入院診療加算や協力対象施設入所者入院加算の算定件数が多い施設では、退院時共同指導も多く行われる傾向にあります。地域包括医療病棟入院料・地域包括ケア病棟入院料1・2を届け出ている施設のうち、入退院支援加算1を届け出ている施設における連携機関数は、25~50施設が最も多い結果です。地域包括医療病棟を届出施設の半数以上で、10以上の介護保険施設の協力医療機関を引き受けています。地域包括医療病棟を有する医療機関の約1割において、7以上の障害者支援施設と連携していました。協力対象施設への医療提供内容として、診療の求めがあった場合の診療、入所者の急変時等の相談体制の確保、入院を要する入所者の原則受入体制確保を9割以上の医療機関が提供しています。協力医療機関となることを断った件数が1件以上ある場合の理由として、「診療の求めがあった場合の診療が困難」「入院必要時の受入困難」「既に複数の介護施設と連携しており、これ以上の拡充が困難」をあげた施設が多い状況です。各病棟を届け出ている医療機関の半数以上が、地域貢献活動の取組として「地域ケア会議への参加」「地域医療構想調整会議への参加」を実施していました。地域包括医療病棟を有する医療機関では、特に地域医療構想調整会議へ参加している割合が多い結果です。分科会における後方支援機能の評価に関する議論分科会では、高齢者の入院医療においては、救急の受入とともに在宅との連携も重要であり、在宅医療を含めて地域医療全体を考えることは重要なテーマとの意見がありました。救急搬送から自宅に退院するまで1つの病院で加療できることが望ましく、病院単位でどのような役割をどのように評価するかといった観点で検討が必要ではないかとの意見もあります。新たな地域医療構想のとりまとめが行われましたが、まだ医療法は審議中、かつガイドラインの議論は始まっていないため、診療報酬のみで先に議論を始めないよう、慎重に進めるべきとの指摘がありました。地域包括ケア病棟の3つの機能について、病院単位で救急受入等を評価すると、結局ほとんど急性期の病棟に入院している場合があるので、形だけの救急告示ではなく、実際に果たしている後方支援機能等を評価する仕組みが必要ではないか、との意見があります。後方支援の加算について、病棟の役割という観点では何割程度を実際に包括期の病棟で受け入れているかを指標とする考え方もあるのではないかとの意見がありました。介護施設からの入院を多く受け入れている地域包括医療病棟があり、その役割に照らせば加算等の評価対象としてもよいことを検討しうるのではないかとの意見もあります。後方支援機能は地域の拠点を担う上で重要と考えられますが、指標として検討された加算の現行の施設基準では、200床や400床といった病床規模の制限が設けられています。地域の医療資源を有効に活用できるよう、柔軟に見直しを検討してもよいのではないかとの意見がありました。包括算定病棟における高額薬剤使用の課題地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟において、入院受入が困難となる理由として「高額薬剤を使用している」と回答した施設の割合は、いずれの入院料においても40%を超えています。特に困難である薬剤として、4割を超える施設がトルバプタン、パーキンソン病治療薬、血友病以外の出血傾向の抑制に係る医薬品が該当すると回答しました。自由記載では、骨粗鬆症治療薬や、生物学的製剤を含む分子標的治療薬が多く挙げられています。4分の1を超える回復期リハビリテーション病棟を有する病院で抗がん剤が回答されており、他の病棟と除外薬剤の範囲が異なる影響と考えられました。療養病棟では特定の薬剤ではなく「高額な薬剤」のように薬価に言及した施設が多い状況です。分科会では、転院前に急性期の病院で大量の高額薬剤の処方をしなければならなくなり、包括期だけの問題ではなく、急性期の病院の負担になっているケースも多いとの指摘がありました。高額薬剤を使用しているために、包括期の病棟の適応があるにも関わらず受入困難となる事例は実際にあり、適切な在宅復帰等の観点で不合理であると思われます。薬剤や有害事象の管理が難しいといった事由がないか、維持期の薬剤として使われうるか、薬価と入院料の関係等の視点を踏まえ、使用や受入の状況について検討を深めてはどうかとの意見がありました。抗悪性腫瘍剤や生物学的製剤を長期に使いながら維持期を過ごす患者が増えていることは事実であり、回復期リハビリテーション病棟と地域包括ケア病棟との間に除外薬剤の差があることや、除外薬剤そのものの考え方について改めて検討する必要があるのではないかとの意見がありました。まとめ令和7年度第13回入院・外来医療等の調査・評価分科会の検証結果から、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟が高齢者救急と在宅医療の受け皿として重要な役割を果たしていることが明らかになりました。地域包括医療病棟では、緊急入院や手術の有無により医療資源投入量に差があり、手術を行わない緊急入院群で1日当たり約440点高い状況です。85歳以上で在院日数が5~6日延長する傾向があり、医療資源投入量が同程度でもADLや要介護度は様々であることから、医療資源投入量では測定されない看護ケアの手間が示唆されています。地域包括ケア病棟では、救急受入や後方支援機能に施設間でばらつきがあり、実際に果たしている機能を評価する仕組みが求められます。白内障や大腸ポリープが上位疾患となっている点や、管理栄養士の介入評価の重要性も指摘されました。両病棟ともに救急告示病院が多く、75%以上が二次救急医療機関ですが、後方支援機能を評価する加算の算定は二極化しています。協力医療機関として10以上の介護保険施設と連携している施設もある一方、施設基準を満たさなくても緊急入院を多く受け入れている病棟の存在も確認されました。高額薬剤使用患者の受入困難は40%超の施設で課題となっており、トルバプタン、パーキンソン病治療薬、骨粗鬆症治療薬、生物学的製剤、回復期リハビリテーション病棟では4分の1超の施設で抗がん剤が問題となっています。新たな地域医療構想で位置づけられた「高齢者救急・地域急性期機能」と「在宅医療等連携機能」を担う包括的入院医療の適切な評価に向けて、まだ医療法は審議中、かつガイドラインの議論は始まっていないため、診療報酬のみで先に議論を始めないよう慎重に進めるべきとの意見がありました。病院単位での役割の評価、緊急入院を多く受け入れる病棟への評価、後方支援の実態を反映した指標、病床規模制限の柔軟な見直しなどが検討課題として挙げられており、引き続き診療データの分析と実態調査が進められます。 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【令和7年度】DPC制度の5つの重要見直しポイント|入院医療の評価方法が変わる
令和6年度診療報酬改定後、地域包括医療病棟等への病棟再編によりDPC対象病院数は減少しています。DPC対象病院の構造は変化しており、全許可病床に占めるDPC算定病床の割合が50%未満の病院が増加傾向にあります。このような状況の中、DPC制度の適正化と急性期入院医療の評価見直しが求められています。入院・外来医療等の調査・評価分科会は、DPC制度に関する5つの重要課題について検討結果をまとめました。複雑性係数については入院初期を重視した評価方法への見直しが提案されました。再入院・再転棟ルールと持参薬ルールについては、制度の趣旨を徹底するための厳格化が検討されました。点数設定方式については、平均在院日数から中央値への移行が提案されました。特別調査からは、DPC制度からの退出を検討する医療機関の実態や、制度参加のメリットが明らかになりました。機能評価係数Ⅱの評価方法見直し|入院初期を重視した複雑性係数へ複雑性係数の評価方法については、現行制度における課題が明らかになりました。診療対象とする診断群分類の種類が少ない病院で、誤嚥性肺炎等の平均在院日数が長く、1日当たり包括範囲出来高点数の小さい疾患に偏った症例構成の場合、急性期入院医療における評価として不適当な結果となっていました。この課題に対し、DPC/PDPS等作業グループは重要な指摘を行いました。DPC制度における「急性期」は「患者の病態が不安定な状態から、治療によりある程度安定した状態に至るまで」と定義されています。機能評価係数は「急性期」を反映する係数として設計されています。複雑性係数についても、これらの価値を反映する指標とすべきです。作業グループは、入院初期を特に重視する趣旨で、入院日数の25%tile値までの包括範囲出来高点数により評価すべきではないかと指摘しました。一入院当たりの包括範囲出来高点数が高い診断群分類の中には、平均的に入院初期の包括範囲出来高点数が高い診断群分類もあれば、1日当たりの包括範囲出来高点数が全診断群分類の平均値及び中央値よりも低い診断群分類もみられました。この実態を踏まえ、より適切な評価方法への見直しが求められています。地域医療係数については、大学病院本院群における医師派遣の評価が検討されました。「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」において、特定機能病院が満たすべき「基礎的基準」として「地域に一定の医師派遣を行っていること」を設定することが議論されています。作業グループは、地域医療係数における派遣医師数の定義を、特定機能病院の基礎的基準における医師派遣の定義と整合的に検討すべきではないかと意見を述べました。再入院・再転棟ルールの見直し|8日目の再転棟が突出する実態への対応DPC制度は、入院初期を重点評価するため、入院期間Ⅰの1日当たりの点数を相対的に高く設定しています。この設定に対し、患者を短期間で退院・再入院させ、単価の高い入院期間Ⅰを繰り返し算定する事例への対応が課題となっていました。現行制度では、一定の条件を満たす再入院及び再転棟については一連の入院とみなすこととし、累次の改定を行ってきました。DPC病棟からの転棟後、再転棟までの日数の分布を分析したところ、DPC制度において一連の入院と見なされなくなる8日目の再転棟の件数が突出して多いことが明らかになりました。作業グループは、この実態に対する見解を示しました。DPC制度を構成する医療機関の内訳が変化しており、DPC算定病床以外の病床を有する医療機関の割合が増加しています。この構造変化により、「再転棟」が起こりやすい状況になっているのではないかという指摘がありました。作業グループは、同一傷病による再転棟については、転棟後7日間を超える場合であっても原則として一連の入院として扱うこととすべきではないかとの意見を述べました。この提案は、制度の趣旨に沿った適正な運用を確保するための重要な見直しとなります。持参薬ルールの周知徹底|算定ルール違反への対応強化DPC制度では、患者の負担軽減やDPC制度下での公平な支払いの観点等を踏まえ、入院中の患者に対して使用する薬剤は入院する病院において入院中に処方することが原則です。「入院の契機となった傷病」に対する持参薬の使用は、特別な理由がある場合を除き認められていません。実態調査の結果、制度の趣旨が十分に徹底されていない状況が明らかになりました。医療機関ごとの全症例数に占める持参薬を使用した症例数の割合を分析したところ、持参薬使用割合が5%未満の医療機関が最も多かったものの、55%以上60%未満の医療機関も一定数みられました。入院の契機となった傷病に対する持参薬使用割合の分析では、算定ルール上認められていない入院の契機となった傷病に対する持参薬の使用割合が5%以上となる医療機関が一定数みられました。自院の外来で処方した医薬品を入院の契機となった傷病に対して使用した割合が5%以上となる医療機関も一定数存在していました。作業グループは、現行ルールの更なる周知徹底を図るべきではないかと指摘しました。具体的には、DPC算定を行う場合は入院の契機となった傷病に対して使用する医薬品は院内で処方されるのが原則であること、DPC算定を行う場合の入院料の中には一般的に入院の契機となった傷病に対して使用する医薬品の薬剤料が含まれていることについて、患者への説明を求めるべきではないかとの意見がありました。「入院の契機となった傷病」以外の傷病に対する持参薬の使用の可否については、令和10年度診療報酬改定に向けて引き続き議論する必要があります。検討に当たっては、まず持参薬を使用する理由や、使用される頻度が高い持参薬及び診断群分類等について調査を行う必要があるのではないかとの意見がありました。点数設定方式の変更|平均在院日数から中央値への移行を検討DPC制度は、入院初期を重点評価するため、在院日数に応じた3段階の定額報酬を設定しています。入院初期に要する医療資源投入量等に応じて、5種類の点数設定方式を設けています。点数設定方式D以外においては、第Ⅱ日は平均在院日数により規定されています。診断群分類毎の平均在院日数について分析したところ、ばらつきが小さく標準化が進んでいる診断群分類がみられました。一方で、ばらつきが大きく十分に標準化が進んでいない診断群分類もみられました。特定の在院日数のみ患者数が顕著に多い診断群分類が存在していました。多くの診断群分類において、平均在院日数は在院日数の中央値を上回っていました。作業グループは、多くの診断群分類で在院日数の分布は正の歪度を有していることから、在院日数の中心傾向の指標として平均在院日数は適切でないのではないかと指摘しました。特定の在院日数の患者数が顕著に多い診断群分類について、制度上、特定の日数までの在院を促すインセンティブが内在しているのではないかとの意見がありました。この指摘に対し、1日当たり入院数の最大値に対する日ごとの入院数の割合の変動係数が著しく低い医療機関が一定数存在していることを踏まえた意見もありました。病床稼働率を過度に重視した病院経営を行うと、病床の活用が硬直的になり、柔軟な対応をできなくなります。必ずしも高い病床稼働率を維持しなくてもよい設計とすべきではないかとの意見です。作業グループは、点数設定方式における入院期間Ⅱについて、在院日数の標準化が進んでいる診断群分類を中心として、原則として平均在院日数から在院日数の中央値に移行すべきではないかとの意見を述べました。一方で、入院期間Ⅱを在院日数の中央値に移行した場合、一部の診断群分類では入院期間Ⅱが著しく変化しうることから、激変緩和措置を設けるべきではないかとの意見もありました。特別調査が明らかにしたDPC制度の実態|退出検討と参加意向特別調査として、在院日数の短縮に向けた取り組みや課題等に関する調査、DPC制度の安定的な運用に関する調査、急性期医療の標準化の推進に関する調査を実施しました。DPC制度の安定的な運用に関する調査については、作業グループにおいてヒアリングを行いました。在院日数の短縮に向けた取り組みや課題等に関する調査では、全DPC対象病院の約9割においてクリニカルパスが採用されていることが分かりました。クリニカルパスの入院期間の設定に際して主として参照しているものについては、約6割の医療機関が「診断群分類点数表上の第Ⅱ日」と回答しました。この結果は、点数設定方式が医療機関の診療行動に影響を与えていることを示しています。DPC制度の安定的な運用に関する調査では、データ数が下位25%の439医療機関のうち、約2割の医療機関がDPC制度からの退出について「直ちに退出する予定である」または「直ちにではないが、今後退出を検討している」と回答しました。このうち約4割の医療機関が病床の転換を予定しており、転換先としては「地域包括医療病棟」及び「地域包括ケア病棟」が多い結果となりました。DPC制度に参加したメリットとしては、医療の標準化や平均在院日数の短縮といった点が挙げられました。この結果は、DPC制度が医療の質向上に一定の効果をもたらしていることを示唆しています。急性期医療の標準化の推進に関する調査では、DPC算定可能病床を有する出来高算定病院におけるDPC制度への参加意向を調査しました。調査対象となった404医療機関のうち、「現時点で参加は検討していない」と回答した医療機関は約86%でした。その理由としては、「DPC制度に参加する必要性を感じないため」が最も多く、次いで「診療報酬の算定上、DPC制度に参加しない利点が大きいため」が多い結果となりました。まとめ入院・外来医療等の調査・評価分科会は、DPC制度の5つの重要課題について検討結果をまとめました。複雑性係数は入院初期を重視した評価方法への見直しが提案されました。再入院・再転棟ルールと持参薬ルールについては、制度の趣旨を徹底するための厳格化が検討されました。点数設定方式は、平均在院日数から中央値への移行が提案されました。特別調査からは、DPC制度の実態と課題が明らかになりました。これらの検討結果は、令和8年度診療報酬改定に向けた議論の基礎となります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
高度急性期医療の転換点:特定集中治療室の医師配置要件緩和と新たな支援体制
令和6年度診療報酬改定により、特定集中治療室の医師配置要件に大きな変更が加えられました。この改定は、医師不足と働き方改革という二つの課題に直面する高度急性期医療の転換点となっています。入院・外来医療等の調査・評価分科会の分析結果から、集中治療室運営の現状と今後の方向性が明らかになりました。本稿では、特定集中治療室等を有する病院の実態調査結果を踏まえ、医師配置要件の緩和による影響を分析します。年間救急搬送件数と医療資源投入量の相関関係から、集中治療室の適正配置基準を検討します。さらに、新設された遠隔支援加算の活用状況と、特定機能病院における重症患者対応体制強化加算の課題について考察します。これらの分析を通じて、高度急性期医療の質を維持しながら、持続可能な運営体制を構築するための政策的示唆を提示します。特定集中治療室の運営実態と患者受入状況の詳細分析特定集中治療室管理料等の届出医療機関数は長期的に増加傾向にあり、高度急性期医療への需要の高まりを反映しています。調査結果によると、特定集中治療室管理料およびハイケアユニット入院医療管理料を算定する病院の多くは二次・三次救急医療施設であり、約6割が年間救急搬送件数4,000件以上の高度な救急医療を提供していました。しかし、一部には年間救急搬送件数が1,000件未満の病院や、救急部門を有していない病院も存在することが明らかになりました。実際の患者受入状況を見ると、特定集中治療室管理料およびハイケアユニット入院医療管理料を算定した患者のうち、救急搬送され入院した患者は約38%、全身麻酔を受けた患者は約58%でした。注目すべきは、いずれも受けていない患者が約14%存在したことです。この結果は、集中治療室が必ずしも救急や術後管理だけでなく、院内急変患者への対応も担っていることを示しています。入室経路の分析では、救命救急入院料と脳卒中ケアユニット入院医療管理料では救急外来からの入室が多い一方、特定集中治療室管理料とハイケアユニット入院医療管理料では救急外来に加えて手術室からの入室が多いという特徴が確認されました。いずれの区分においても、急変による入室が一定割合存在しており、院内の重症患者管理における集中治療室の重要性が明らかになりました。医療資源投入量の分析では、年間救急搬送件数が多い病院ほど入室患者の1日当たり医療資源投入量が高い傾向が確認されました。特に、年間救急搬送件数が1,000件以上2,000件未満の病院では、年間全身麻酔件数が多いほど医療資源投入量の高い患者数が多い傾向があった一方で、年間救急搬送件数が1,000件未満の病院では逆の傾向が見られました。この結果は、病院の規模と機能により、集中治療室の役割が異なることを示唆しています。脳卒中ケアユニットの運営実態と専門治療への対応状況脳卒中ケアユニット入院医療管理料を算定する病院の調査では、重要な課題が浮き彫りになりました。多くの病院が超急性期脳卒中加算または経皮的脳血栓回収術を一定回数実施していた一方で、これらの治療を全く実施していない病院も存在していました。分科会では、rt-PAの投与や血栓回収術の実績が一定程度ある病院が脳卒中ケアユニットを設置すべきという意見が出されました。脳卒中ケアユニットの受入体制を詳細に見ると、「頭蓋内圧持続測定を必要とする患者」を原則受け入れ可能な治療室は約5割にとどまりました。一方、「脳梗塞に対するrt-PA療法・血栓回収療法を受けた患者」を原則受け入れ可能な治療室は約8割となっており、施設間で対応能力に差があることが明らかになりました。この状況は、脳卒中ケアユニットの質の標準化と、適切な患者配分の必要性を示しています。医師配置要件の緩和がもたらした構造的変化令和6年度診療報酬改定において、専任医師の常時配置要件を緩和した「特定集中治療室管理料5、6」が新設されました。この新区分では、専任医師に宿日直を行う医師を含めることが可能となり、医師の働き方改革に対応した柔軟な運営が可能となりました。改定後の届出状況を見ると、特定集中治療室管理料5、6の届出医療機関・病床数が大幅に増加し、その多くが従来の特定集中治療室管理料1~4から変更したものでした。変更理由として最も多かったのは「専任医師が当該治療室において宿日直勤務を行っており、交代勤務体制が組めないため」であり、医師確保の困難さが浮き彫りとなりました。この変更により、近年増加傾向にあったハイケアユニット入院医療管理料の病床数は減少に転じており、診療報酬体系の変更が医療提供体制に直接的な影響を与えたことが確認されました。注目すべき点は、特定集中治療室管理料5、6とそれ以外の区分において、処置・モニタリングや患者状態に関する受入方針に大きな差が認められなかったことです。集中治療の経験を5年以上有する医師は、当該医師の配置が要件とされていない区分においても一定の配置が行われており、医療の質の維持に向けた各施設の努力が見られました。ただし、特定集中治療室管理料5、6では、夜間・休日に「その他の診療科の医師」を配置している割合が多く、専門性の観点からは課題が残ることも明らかになりました。分科会では、「治療室内に常時勤務」との要件の厳格性について議論がありました。治療室外に医師がいる場合でも適切な対応が可能な体制があれば、必ずしも室内常駐にこだわる必要はないのではないかとの意見も出されました。一方で、医師の働き方改革の趣旨を踏まえると、宿日直ではない交代勤務体制の維持は重要であり、バランスの取れた制度設計が求められています。遠隔支援加算の導入と地域医療支援の実態特定集中治療室遠隔支援加算は、医師少数区域や医療資源の少ない地域への支援を促進する目的で新設されました。この加算により、特定集中治療室管理料1、2を算定する施設から、遠隔モニタリングによる支援を受けることが評価されるようになりました。被支援側への支援を行う医療機関については、医師少数区域又は医療資源の少ない地域に所在する医療機関が含まれていることが要件となっています。しかし、現状では加算を算定している医療機関は全国で5施設にとどまっています。医師少数区域または医療資源の少ない地域に所在する特定集中治療室管理料5、6算定医療機関は全国に25箇所存在するにもかかわらず、実際に遠隔支援を受けている施設は医師少数区域等の1施設とそれ以外の4施設のみという状況です。この低い活用率は、技術的な課題や運用面での困難さが存在する可能性を示唆しています。分科会では、地域において必要な役割を果たしている集中治療室であることを前提として、集中治療を専門とする医師等の不足が見込まれる地域に対しては、遠隔支援を活用することが有効であるとの意見が出されました。また、医師少数区域以外にも専門医が不足している地域が存在することが指摘され、今後の要件緩和や支援体制の充実により、より広範な地域での活用が期待されます。重症患者対応体制強化加算における特定機能病院の制度的課題重症患者対応体制強化加算は、重症患者に対する24時間体制の医療提供や、専門性の高い看護師・臨床工学技士の手厚い配置、重症患者への対応力向上を目的とした院内・院外研修等を評価する制度です。しかし、特定機能病院は急性期充実体制加算を届け出ることができないため、結果として重症患者対応体制強化加算も算定できない状況にあります。調査によると、特定機能病院が重症患者対応体制強化加算を届け出できない理由の82.9%が「急性期充実体制加算を届け出ていない」ことでした。その他の理由はいずれも20%未満であり、制度設計上の問題が主要な障壁となっていることが明確になりました。特定機能病院は、その性質上、高度な医療を提供し重症患者への対応能力が高いにもかかわらず、制度的な制約により適切な評価を受けられない矛盾が生じています。分科会では、この問題について強い見直しの必要性が指摘されました。特定機能病院が算定対象外となる理由や意義について再検討すべきとの意見が出され、特定機能病院の役割と機能を考慮した独立した評価体系の構築が求められています。今後の診療報酬改定において、特定機能病院の実態に即した評価方法の検討が急務となっています。まとめ:持続可能な高度急性期医療体制の構築に向けて高度急性期入院医療は、医師不足と働き方改革という二つの課題への対応を迫られています。令和6年度診療報酬改定による医師配置要件の緩和は、これらの課題に対する現実的な対応策として機能し始めています。年間救急搬送件数と医療資源投入量の相関関係、脳卒中ケアユニットにおける専門治療実績の重要性、そして患者の入室経路の多様性から、集中治療室の適正配置基準を設定することが可能であることが示されました。遠隔支援加算の活用促進と特定機能病院における評価体系の見直しが、今後の重要な政策課題として浮上しています。これらの取り組みを通じて、医療の質を維持しながら持続可能な高度急性期医療体制を構築することが求められています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
急性期入院医療の転換点:令和8年度診療報酬改定に向けた3つの論点
入院・外来医療等の調査・評価分科会は、急性期入院医療の現状分析を通じて、令和8年度診療報酬改定に向けた重要な論点を明らかにしました。看護配置7対1の病床数が令和6年に大きく減少し、急性期医療の機能分化が加速している現状において、地域医療の持続可能性を確保するための制度設計が求められています。本報告では、一般的な急性期機能、拠点的な急性期機能、そして専門病院・離島等の特殊な医療提供体制という3つの視点から、急性期入院医療の課題と改革の方向性を整理します。調査結果は、急性期入院医療における3つの重要な転換点を示しています。第一に、急性期一般入院料1算定病院の約半数がケアミックス病院となり、医療機能の複合化が進んでいます。第二に、人口20万人未満の二次医療圏の約8割で急性期充実体制加算等の届出病院が存在せず、地域格差が顕在化しています。第三に、救急搬送受入件数と手術実施件数にばらつきが見られ、同じ入院料区分でも医療資源投入量に大きな差が生じています。一般的な急性期機能の実態と評価の必要性急性期一般入院料1を算定している病院の分析により、同規模の医療機関でも救急搬送受入件数や手術実施件数に大きなばらつきが存在することが判明しました。人口20万人未満の二次医療圏では、救急搬送件数は比較的少ないものの、地域の救急搬送の多くをカバーする最大救急搬送受入医療機関の地域シェア率が高い傾向にあります。この地域シェア率という指標は、単純な件数だけでは評価できない地域医療への貢献度を示す重要な指標となっています。夜間・深夜の救急搬送受入体制にも医療機関間で大きな差が見られました。急性期一般入院料1算定病院では夜間・深夜の受入割合が高い傾向にありますが、深夜の受入割合は10~30%の病院が多く、医療機関によってばらつきがあります。救急搬送受入件数が多い病院ほど医業費用が増加し、医業利益率が低下する傾向も明らかになり、救急医療提供に対する適切な評価の必要性が示されています。DPC制度への参加状況も重要な論点となっています。DPC制度により算定する病床は急性期一般入院基本料等の約85%を占める一方で、約1,800の医療機関は出来高算定を継続しています。分科会では、急性期入院医療の標準化と地域医療機能の適正評価の観点から、急性期一般病棟のDPC制度参画を推進すべきとの意見が出されています。拠点的な急性期機能の再定義と統合の方向性総合入院体制加算と急性期充実体制加算を算定している病院は、主に人口20万人以上の二次医療圏に集中しており、地域による偏在が顕著です。救急搬送件数4,000件以上の病院では多くがいずれかの加算を算定していますが、加算を算定していない病院でも地域の救急搬送の半数以上をカバーしている事例が確認されています。この事実は、現行の加算要件が必ずしも地域医療への貢献度を反映していない可能性を示唆しています。両加算の比較分析により、施設基準に共通部分が多く、実績要件の充足状況も類似していることが明らかになりました。総合入院体制加算1と急性期充実体制加算1では、救命救急センター等の体制整備や全身麻酔手術件数等で共通する基準がある一方、総合的な診療体制は総合入院体制加算1でのみ、手術実績等は急性期充実体制加算1でのみ求められています。14日間で算定できる点数総額は、総合入院体制加算1が急性期充実体制加算1より低く設定されており、評価の不整合が生じています。人口の少ない地域における拠点病院の課題も浮き彫りになりました。総合入院体制加算3を届け出ている病院の約15%は人口の少ない地域に属しており、地理的事情から症例や医療従事者を集約しても実績要件を満たすことが困難な状況にあります。分科会では、地域性に配慮した評価体系の構築や、両加算の統合による制度の簡素化と機能の明確化が提案されています。専門病院・離島等の特殊な医療提供体制への対応200床未満の専門病院では、救急搬送件数は少ないものの全身麻酔手術件数が多い傾向が確認されました。特に子ども病院では、同じ救急搬送件数を受けている一般病院と比較して全身麻酔手術件数が多い一方、地域シェア率が4分の1を超える医療機関は存在しませんでした。これらの専門病院は、地域の救急医療を面的にカバーするのではなく、特定の専門領域で高度な医療を提供する役割を担っています。有人離島からなる二次医療圏の病院では、救急搬送受入件数が少なく、年間3,000件を超える病院が存在しない実態が明らかになりました。離島医療においては、現場でできることに限界があり、患者搬送機能の向上やリモート診療の活用など、本土とは異なる医療提供体制の構築が必要です。分科会では、離島の最前線で頑張る医療機関と、離島からの患者流入を受け入れる本土の医療機関の双方を適切に評価する必要性が指摘されています。へき地医療拠点病院の約半数は20万人未満の二次医療圏に所在し、総合入院体制加算や急性期充実体制加算を届け出ていないものの、主要3事業を実施しており、加算算定病院と実施状況に大きな違いは見られませんでした。この事実は、現行の加算体系が地域医療の実態を十分に反映していない可能性を示しており、地域特性を考慮した新たな評価指標の必要性を示唆しています。急性期入院医療改革の展望と課題入院・外来医療等の調査・評価分科会の検討結果は、急性期入院医療が大きな転換期を迎えていることを明確に示しています。看護配置7対1病床の減少と急性期機能の分化が進む中で、地域医療の持続可能性を確保するためには、救急搬送受入の実態に応じた評価、地域シェア率を考慮した新たな指標の導入、そして総合入院体制加算と急性期充実体制加算の統合による制度の簡素化が必要です。令和8年度診療報酬改定では、これらの課題に対する具体的な制度設計が求められており、地域特性に配慮しつつ、医療機能の明確化と適正配置を促進する改革が期待されています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
医療現場の事務負担軽減へ―累次の診療報酬改定による業務簡素化の成果と今後の展望
医療現場では計画書作成やDPCデータ入力などの事務負担が深刻な問題となっており、令和7年度の調査では施設の44.2%が計画書作成の簡素化を、38.2%がDPCデータ作成の簡素化を求めています。これに対し、令和2年度から6年度にかけての累次の診療報酬改定により、ICT活用による会議の効率化、記録・届出事務の簡素化、レセプト業務の改善など、段階的に業務簡素化が進められてきました。さらに令和7年度に向けて、規制改革推進会議の答申に基づき、署名・押印要件の廃止など、より抜本的な改革が検討されています。これまでの改定により実現した主な成果として、会議のオンライン化、研修の統合実施、添付資料の削減という3つの大きな改善があります。特に病棟においては61.8%が計画書作成の簡素化を、45.1%が患者・家族の署名・記名押印の簡素化を必要としており、これらの声を受けて更なる改革が進行中です。今後は施設基準届出の完全電子化、署名・押印の原則廃止、DPCデータ入力項目の更なる精査により、医療従事者が本来の診療業務により多くの時間を割けるようになることが期待されています。令和2年度改定で実現した会議・研修の効率化令和2年度診療報酬改定により、安全管理責任者等で構成される会議について、責任者が必ずしも対面でなくてもよいと判断した場合、ICTを活用した対面によらない方法での開催が可能となりました。この変更により、多忙な医師や管理者の時間調整が容易になり、会議の開催頻度や参加率の向上が実現しています。医療機関では、Web会議システムの導入により、場所や時間の制約から解放され、より柔軟な会議運営が行われています。院内研修においても効率化が図られました。抗菌薬適正使用支援加算に係る院内研修を院内感染対策研修と併せて実施できることが明確化され、重複する内容の研修を統合することが可能となりました。急性期看護補助体制加算等の看護補助者に係る院内研修の要件も見直され、より実践的で効率的な研修体系が構築されています。院外研修の指導者要件についても柔軟性が増しています。一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の院内研修の指導者に係る要件が見直され、医療機関の実情に応じた研修体制の構築が可能となりました。これらの改革により、研修に係る時間的・人的負担が軽減され、医療従事者の働き方改革に貢献しています。令和4年度改定における記録・届出事務の簡素化令和4年度改定では、診療録への記載要件が大幅に見直されました。栄養サポートチーム加算注2等については、栄養治療実施計画の写しを診療録に添付すれば良いこととなり、従来求められていた詳細な記載を省略できるようになりました。在宅療養指導料等についても、医師が他の職種への指示内容を診療録に記載する必要がなくなり、チーム医療の効率化が図られています。施設基準の届出においては、研修修了証の写し等の添付資料が削減されました。訪問看護ステーションの基準に係る届出については、適合性に影響がない場合の届出が不要となり、事務処理が効率化されています。小児科外来診療料等の施設基準については、令和4年度改定により届出自体が省略可能となりました。レセプト摘要欄の記載方法も改善されました。薬剤等について選択式記載が導入され、従来の自由記載から簡素化が進みました。これにより記載ミスの削減と事務処理時間の短縮が実現し、医療事務職員の業務負担が軽減されています。令和6年度改定で更に進んだ効率化令和6年度改定では、施設基準の届出について更なる簡素化が実施されました。保守管理計画書や研修修了証の写し等の添付が不要となり、届出事務の負担が大幅に軽減されました。複数の届出様式の提出を求めていた施設基準についても、様式の統廃合が行われ、1つの施設基準につき複数の届出様式が必要だったものが統一されました。レセプト業務については、画像診断の撮影部位や算定日等について選択式記載が拡大されました。必要以上の記載項目と考えられるものについて見直しが行われ、レセプトに記載されている情報から確認できるものは記載不要となりました。検査等の診療行為については、あらかじめ検査値の記載を求めることで、審査支払機関からのレセプト返戻を減少させる仕組みも導入されています。施設基準の届出について、現在主に紙で届け出ることとされているものの電子的な届出を可能にする取組も開始されました。これにより、医療機関・薬局の届出業務の効率化が大きく前進することが期待されています。令和7年度に向けた署名・押印要件の見直し検討規制改革推進会議の令和6年5月の答申では、医療機関等又は医師等の負担軽減の観点から、診療報酬上の書面における署名・押印要件について「令和6年検討開始、令和7年度結論・措置」というスケジュールで見直しが求められています。入院診療計画書、リハビリテーション実施計画書、診療情報提供書など、多くの書類で現在求められている署名・押印について、不要とすることの可否が検討されています。電磁的方法による作成や情報提供を行う場合の電子署名についても、不要とすることの可否が検討対象となっています。「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」遵守を前提に、電磁的方法による作成や情報提供が可能であることの明確化も進められる予定です。患者の同意についても、電磁的記録によるものでも良いことが更に明確化され、ペーパーレス化の促進が期待されています。これらの検討により、令和7年度には署名・押印要件の大幅な見直しが実現する見込みです。医療機関においては、電子カルテシステムと連動した計画書作成システムの導入準備を進めることで、手書きによる転記作業が不要となり、書類作成に要する時間を大幅に削減できるようになるでしょう。リハビリテーション関連書類の課題と改善の方向性現状、リハビリテーション関連の計画書は複数の様式が存在し、重複する項目が多い状況です。リハビリテーション実施計画書(別紙様式21、21の6、23)、リハビリテーション総合実施計画書(別紙19、20)など、それぞれに署名欄が設けられており、説明者や患者・家族等の署名が必要となっています。これらの様式の統合・簡素化が今後の検討課題となっています。現行制度でも、やむを得ない理由がある場合には、説明内容及び継続について同意を得た旨を診療録に記載することで、署名を省略できる運用が認められています。しかし、この運用の更なる拡大と明確化が求められており、令和7年度に向けた検討の中で整理される予定です。医療機関からは、これらの計画書作成が大きな負担となっているとの声が上がっており、様式の統合と項目の整理により、作成負担の軽減が図られることが期待されています。DPCデータ入力負荷の現状と改善の必要性DPCデータの様式1において入力を求めているデータには、入力負荷が特に大きい項目が存在します。障害福祉サービス等事業所との面談回数、作業療法士による個別作業療法の実施回数など、入院全期間の評価が必要な項目は、医療機関にとって大きな負担となっています。検査値等の経時的データについても、継続的な入力が必要であり、負荷が高い状況です。外来・在宅・リハビリデータにおいても同様の課題があります。LDLコレステロール値やHbA1c値などの検査値データ、ブリストルスケールなどの評価項目について、入力頻度や項目数の多さが指摘されています。診療報酬改定のために必要な情報収集と、医療の質評価のための情報収集を区別し、真に必要な項目に絞り込むことが求められています。今後は、一般的な診療において収集される情報と、診療報酬改定のために特別に収集が必要な情報を明確に区別し、入力項目の精査と削減を進めることが検討されています。医療機関が戦略的にデータ管理を行える環境の整備も重要な課題となっています。まとめ令和2年度から6年度にかけての累次の診療報酬改定により、医療現場の事務負担軽減は着実に前進してきました。会議のICT活用、研修の統合、記録・届出事務の簡素化、レセプト業務の効率化など、既に多くの改善が実現しています。令和7年度に向けては、署名・押印要件の原則廃止、リハビリテーション関連書類の統合、DPCデータ入力項目の更なる精査など、より抜本的な改革が検討されています。医療機関においては、これまでの改定で実現した簡素化策を確実に活用しつつ、今後の改革に向けた準備を進めることが重要です。特に電子化への対応と業務プロセスの見直しを計画的に進めることで、医療従事者が本来の診療業務により専念できる環境を構築し、患者サービスの質向上につなげることができるでしょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
災害医療体制の現状と課題:能登半島地震・コロナ禍の教訓から見る今後の方向性
令和7年9月18日に開催された中央社会保険医療協議会の入院・外来医療等の調査・評価分科会において、災害医療に関する包括的な調査結果が報告されました。日本の災害医療体制は783の災害拠点病院と1,840のDMATチームを中心に構築されていますが、能登半島地震での実際の派遣経験から、職員の配置基準維持や現地情報収集などの運用面での課題が浮き彫りになりました。本報告では、災害拠点病院の整備状況とDMATの活動実態、能登半島地震における医療機関の対応状況、新型コロナウイルス感染症対応での施設基準の弾力的運用という3つの観点から、現在の災害医療体制の到達点と今後の改善方向を示します。特定機能病院の92.6%が能登半島地震への派遣を検討し、急性期一般入院料1算定病院の68.4%が検討したという結果は、高度急性期医療機関が災害医療の中核を担っている実態を明確に示しています。診療所における事業継続計画(BCP)策定率が約30%にとどまることや、派遣時の職員配置基準の課題など、医療提供体制全体として取り組むべき課題も明らかになりました。災害拠点病院とDMAT体制の整備状況日本の災害医療体制は、平成8年から整備が始まった災害拠点病院を中心に構築されています。災害拠点病院は、基幹災害拠点病院(都道府県に原則1箇所、全国63病院)と地域災害拠点病院(二次医療圏に原則1箇所、全国720病院)の2層構造で、令和7年4月1日までに計783病院が指定されています。この災害拠点病院を支えるDMAT(災害派遣医療チーム)は、平成17年3月から養成が開始され、現在18,909名、1,840チームが研修を修了しています。DMATは医師1名、看護師2名、業務調整員1名の4名を基本として構成され、都道府県の派遣要請に基づいて活動します。令和4年2月には、新型コロナウイルス感染症対応の経験を踏まえ、新興感染症等のまん延時における対応も活動内容に追加されました。各入院料区分別の災害派遣医療チーム設置状況を見ると、特定機能病院が90.7%と最も高く、次いで急性期一般入院料1算定病院が59.1%となっています。高度急性期医療を担う医療機関ほど災害医療体制への参画率が高い傾向が明確に表れています。DPC/PDPS対象病院では、災害拠点病院の指定、DMATの指定、EMISへの参加、BCPの策定が体制評価指数として診療報酬上も評価される仕組みとなっています。能登半島地震における医療機関の派遣実態と課題令和6年能登半島地震への対応では、医療機関の規模や機能による派遣検討・実施の差が顕著に現れました。派遣を検討した医療機関の割合は、特定機能病院92.6%、急性期一般入院料1算定病院68.4%、専門病院50.0%の順となり、実際に派遣した割合も同様の傾向を示しました。派遣検討時の主な困難要因として、「現地の状況把握と情報収集」「派遣にあたっての交通手段の確保」「派遣中の労務管理」「派遣中に自施設のスタッフ配置基準が満たせなくなること」が挙げられました。これらの課題は、災害発生時の初動体制や情報共有システム、労務管理体制の整備が急務であることを示しています。特に、職員配置基準の問題は、平時の医療提供体制維持と災害支援のバランスという構造的な課題を浮き彫りにしています。実際に派遣された職種は、看護師が最も多く(急性期一般1で94.4%、特定機能病院で100%)、次いで医師(急性期一般1で81.5%、特定機能病院で94.2%)、事務職員、薬剤師の順でした。災害医療においても、看護師と医師を中心とした多職種チームによる支援体制が機能していることが確認されました。新型コロナウイルス感染症対応と施設基準の弾力的運用新型コロナウイルス感染症への対応においても、医療機関間の支援体制が重要な役割を果たしました。他の医療機関や福祉施設への職員派遣を検討した医療機関は、特定機能病院46.3%、急性期一般入院料1算定病院43.2%と、能登半島地震への対応と比較すると低い割合でしたが、長期間にわたる支援が継続されました。派遣検討時の困難要因は、「派遣中に自施設のスタッフ配置基準が満たせなくなること」が最も多く、次いで「現地の状況把握と情報収集」「派遣中の労務管理」が挙げられました。能登半島地震と異なり、交通手段の問題は少なかった一方で、長期派遣による自施設の人員不足がより深刻な課題となりました。これらの課題に対応するため、厚生労働省は施設基準の弾力的運用を認める事務連絡を発出しています。新型コロナウイルス感染症患者の受け入れや職員派遣により、月平均夜勤時間数や看護要員数に1割以上の変動があった場合でも、最初の月から3か月以内に限り施設基準の届出区分変更を不要とする特例措置が設けられました。この措置は当初令和6年5月31日までとされていましたが、活用状況を踏まえて令和8年5月31日まで延長されています。まとめ日本の災害医療体制は、783の災害拠点病院と1,840のDMATチームを中心に着実に整備が進んでいます。能登半島地震と新型コロナウイルス感染症対応の経験から、高度急性期医療機関が災害医療の中核を担う体制が機能していることが確認されました。一方で、職員派遣時の配置基準維持、現地情報収集、労務管理などの運用面での課題や、診療所のBCP策定率が約30%にとどまるなど、医療提供体制全体としての備えには改善の余地があります。今後は、施設基準の弾力的運用の恒久化や、情報共有システムの強化、中小医療機関のBCP策定支援など、実践的な課題への対応が求められています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
少子化時代の小児・周産期医療体制の現状と課題:母体・胎児集中治療室の要件見直しと成人移行期医療の展望
令和7年度第12回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、少子化が進行する中での小児・周産期医療体制の現状と課題が議論されました。出生数が72万人台まで減少し、医療機関の運営が困難になる中、母体・胎児集中治療室(MFICU)の医師配置要件の見直しと小児成人移行期医療の充実が喫緊の課題となっています。本稿では、これらの課題に対する現状分析と今後の方向性について解説します。本分科会では、3つの重要な論点が示されました。第一に、出生数減少による小児・周産期医療体制への影響です。第二に、MFICUの医師配置要件と実際の運用状況の乖離です。第三に、小児慢性特定疾病患者の成人移行期医療の課題です。これらの課題は相互に関連しており、診療報酬改定を通じた総合的な対応が求められています。少子化が小児・周産期医療に与える影響出生数の急速な減少が、小児・周産期医療体制の維持を困難にしています。令和5年の出生数は727,288人で、前年より43,471人減少し、明治32年の人口動態調査開始以来最少となりました。この傾向は今後も継続すると予測され、14歳以下の人口はさらに減少していく見込みです。出生数減少は、分娩取扱医療機関の減少を招いています。産婦人科を標榜していても実際に分娩を取り扱わない施設の割合は、病院で25%、診療所で65%に達しています。特に診療所における分娩取扱の中止が顕著であり、地域における周産期医療体制の維持が課題となっています。一方で、妊婦の高齢化により、35歳以上の妊婦が30%を占め、合併症妊娠や社会的ハイリスク妊産婦が増加しており、高度な周産期医療の需要は減少していません。小児入院医療においても、病床稼働率の低下が問題となっています。小児入院医療管理料届出病床当たりの小児入院患者数の割合は約5~6割程度にとどまっています。令和6年度診療報酬改定では、小児入院医療管理料3において一般病棟との一体的運用を可能とする見直しが行われましたが、地域における小児医療体制の維持には継続的な対応が必要です。母体・胎児集中治療室(MFICU)の運営課題MFICUの届出治療室数は、令和4年7月から令和6年7月にかけて全国で11治療室減少しました。地域別では東北で4治療室、近畿で3治療室が減少しており、地域偏在が懸念されます。全国周産期医療(MFICU)連絡協議会のアンケート調査によると、届出変更の理由として「医師の配置要件を満たせない」が最も多く挙げられています。現行の施設基準では、専任の医師が常時MFICU内に勤務することが原則とされています。令和6年度改定で一定の条件下で宿日直を行う医師も認められましたが、依然として人員確保が困難な状況です。実態調査では、MFICU内に常駐していない医師でも、院内にいる医師は概ね10分以内に診察開始可能であることが確認されており、緊急時の対応体制は確保されています。母体搬送受入件数や多胎妊娠分娩件数が極めて少ない施設も存在しています。母体搬送受入件数が0件の施設が関東信越に、1~9件の施設が関東信越、東海北陸、近畿にそれぞれ存在しており、施設間の機能分化が不十分である可能性が示唆されます。一方で、産科異常出血は分娩前からの予測が困難であり、約20%の症例ではリスク因子が認められないことから、すべての分娩施設において緊急時対応体制の確保が必要です。小児成人移行期医療の現状と課題小児慢性特定疾病患者の成人移行期医療は、まだ十分に体制が整備されていません。小児科以外の医療機関で定期的に小児科に受診していた患者を紹介により受け入れた経験は極めて少なく、病院で平均0.6人、診療所で平均2.3人にとどまっています。受け入れ経験がない理由として、「対象となる患者の紹介がなかったため」が85%と最も多く、次いで「医師・スタッフの専門的な知識・経験が不足しているため」が17.7%となっています。診療報酬上の課題も存在します。小児慢性特定疾病は801疾病が指定されているのに対し、指定難病は348疾病にとどまっており、約半数の疾病が指定難病に該当しません。小児科医療機関で「小児科療養指導料」を算定していた患者が成人移行期となり小児科以外の医療機関に紹介された場合、「難病外来指導管理料」の算定対象でない限り、同様の管理料を算定できない状況です。成人移行期患者を受け入れた経験のある診療科は、内科が25.9%と最も多く、次いで消化器内科、精神科が各9.3%となっています。移行期医療の推進には、受け入れ側の医療機関における体制整備と、診療報酬上の評価の充実が必要です。まとめ少子化時代における小児・周産期医療体制の維持には、医療資源の効率的な配分と診療報酬による適切な評価が不可欠です。MFICUの医師配置要件については、地域の実情に応じた柔軟な運用を可能にしつつ、緊急時対応体制を確保する方向での見直しが求められます。小児成人移行期医療については、指定難病の対象拡大や新たな管理料の創設など、継続的な医療提供を支援する仕組みの構築が必要です。今後の診療報酬改定において、これらの課題に対する具体的な対応策が示されることが期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
透析医療の転換期:34万人の患者と変革する診療体制の課題
入院・外来医療等の調査・評価分科会は、令和7年9月18日、透析医療の現状分析と課題検討を行いました。約34万人の慢性透析患者数が2022年から減少傾向に転じ、患者の平均年齢が70.1歳に達する中、透析医療の提供体制は大きな転換期を迎えています。血液透析に偏重した日本の腎代替療法の構造改革が求められています。本報告書は、透析患者の高齢化と減少傾向、腎代替療法の選択肢提供の実態、災害対策と診療体制の課題という3つの重要な論点を提示しています。血液透析を実施する医療機関の19.5%しか腹膜透析を提供していない現状があります。全患者に腎代替療法の3つの選択肢を提示している施設は51.2%に留まります。災害時情報ネットワークへの登録率は76.1%となっています。これらの課題への対応が、今後の透析医療政策の重要な検討事項となります。透析患者の現状と腎代替療法の選択肢慢性透析患者数は343,508人(2023年末)で、2021年まで緩徐に増加していましたが、2022年から減少傾向に転じました。この減少傾向は、年間約3.9万人の新規導入があるものの、患者の高齢化による死亡数増加が背景にあります。患者の平均年齢は70.1歳、新規導入患者の平均年齢は71.6歳と、透析患者全体の高齢化が顕著です。高齢化の進展は、腎代替療法の選択にも影響を与えています。日本では血液透析患者の割合が諸外国と比較して著しく高く、腹膜透析は10,585人、腎移植は年間2,001例に留まっています。腹膜透析は生活の制約や食事・飲水制限が血液透析より少なく、自由度が高いという利点があります。しかし、医療機関側の体制不備や経験不足が普及の障壁となっています。腎代替療法に関する情報提供も不十分な状況です。全患者に血液透析、腹膜透析、腎移植の3つの選択肢を提示している医療機関は51.2%に過ぎません。35.6%の医療機関は情報提供の取組を行っていません。患者の自己決定権を保障し、最適な治療選択を支援する体制の構築が急務となっています。診療体制の課題と災害対策の現状血液透析の診療体制には、複数の課題が顕在化しています。シャント閉塞等のトラブルは透析患者の入院理由として最も多く、93.6%の医療機関が自院または事前連携先で対応しています。しかし、5.9%の医療機関は事前連携のない医療機関への紹介となっており、緊急時対応の体制整備が必要です。災害対策については、各医療機関の取組にばらつきが見られます。災害対策マニュアルの策定は80.5%の施設で実施されていますが、電源車や給水車の受入体制は22.9%に留まります。日本透析医会災害時情報ネットワークへの登録または自治体等との連携体制を確保している医療機関は76.1%です。大規模災害時の透析医療継続には、より包括的な対策強化が求められます。腹膜透析の提供体制も大きな課題です。血液透析実施医療機関の77.1%が腹膜透析を提供していません。その理由として、対象患者がいない(59.5%)、器具設備の不備(38.6%)、医師の経験不足(18.4%)が挙げられています。緊急時や入院時のバックアップ体制への不安も、腹膜透析導入の障壁となっています。診療報酬による政策誘導と今後の方向性診療報酬制度は、腎代替療法の適切な選択を促進する重要な政策ツールです。導入期加算は、腎代替療法に関する十分な説明と選択支援を評価し、200点から810点の3段階で設定されています。腎代替療法実績加算(100点)は、腹膜透析や腎移植の実績を評価する仕組みです。慢性維持透析の施設基準は、透析用監視装置の台数と患者数の割合により3つに区分されています。慢性維持透析1の届出医療機関数は増加傾向(令和6年:2,358施設)にある一方、慢性維持透析2・3は減少しています。この変化は、医療機関の規模や効率性を反映した診療報酬体系への適応を示しています。緩和ケアの取組も重要な検討事項です。医療用麻薬を用いた疼痛緩和を実施している医療機関は32.2%、終末期や透析医療中止に関する意思決定支援は35.1%に留まっています。超高齢社会における透析医療では、治療の継続と中止、緩和ケアへの移行を含めた包括的な医療提供体制の構築が不可欠となっています。まとめ透析医療は、患者数の減少と高齢化により大きな転換期を迎えており、血液透析偏重から腎代替療法の選択肢拡大への構造改革が必要です。診療体制の強化、災害対策の充実、腹膜透析の普及促進という3つの課題への対応が、今後の透析医療政策の重要な検討事項となります。診療報酬制度を通じた政策誘導と、医療機関の体制整備支援により、患者中心の透析医療への転換を推進することが求められています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
外科系診療科の医師偏在解消へ:機能分化による働き方改革と集約化の新展開
外科系診療科における医師偏在と過重労働が深刻化する中、令和7年度第12回入院・外来医療等の調査・評価分科会は、診療科偏在対策の具体的な方向性を示しました。令和6・7年度入院・外来医療等における実態調査によると、心臓血管外科、消化器外科、脳神経外科では常勤医師1人あたりの時間外・休日労働時間が全診療科平均を大きく上回る実態が明らかになり、医師確保の困難さも内科43.7%、麻酔科32.8%、整形外科30.7%、外科27.1%と高い水準にあります。これらの課題に対し、山口大学の成功事例に代表される医療機関の機能分化による集約化と、手術の休日・時間外・深夜加算の施設基準見直しという2つのアプローチが注目されています。本分科会の分析によれば、高度な手術の集約化により医療の質向上と医師の負担軽減を同時に実現できることが示されました。消化器外科領域では、年間50件未満の手術実施施設が大半を占める一方、大学病院本院の多くは200件以上を実施しており、すでに自然発生的な集約化が進んでいます。山口県の取り組みでは、医療機関を常勤消化器外科医師数に応じて3つのタイプに分類し、高度手術を基幹病院に集約する一方、術後の化学療法やフォローアップを地域の病院で実施する体制を構築しました。この機能分化により、基幹病院の医師の負担が軽減され、サテライト病院の経営改善も実現するという好循環が生まれています。外科系診療科の労働実態と医師確保の現状外科系診療科の時間外・休日労働時間は、全診療科平均を大きく上回る深刻な状況にあります。令和6・7年度入院・外来医療等における実態調査では、心臓血管外科、消化器外科、脳神経外科で特に常勤医師1人あたりの時間外・休日労働時間が長時間となっていることが明らかになりました。これらの診療科では、緊急手術や長時間手術が多く、オンコール体制による拘束時間も長いことが要因となっています。医師確保の困難さも診療科によって大きな差があります。令和7年度の調査によると、内科では43.7%の施設が医師確保に困難を感じており、麻酔科32.8%、整形外科30.7%、外科27.1%と続きます。外科では大学医局からの派遣を受けている施設が38.2%あり、そのうち15.0%で派遣人員が減少していることが報告されています。有料の求人サービスを利用する施設も外科で7.9%、麻酔科で14.0%となっていますが、特に外科系診療科では効果が限定的です。令和7年7月31日の中間とりまとめでは、若手医師の診療科選択にも偏りが生じていることが指摘されています。外科系診療科は専門性の習得に長期間を要し、身体的・精神的負担も大きいにもかかわらず、処遇が見合わないと感じる医師が増加しています。女性医師の増加に伴い、出産・育児との両立が困難な診療科は敬遠される傾向も強まっています。手術加算の施設基準見直しによる働き方改革手術の休日・時間外・深夜加算1の施設基準が令和6年度改定で強化されました。従来は交代勤務制、チーム制、手当支給のいずれかを満たせばよかったものが、交代勤務制またはチーム制の導入と手当支給の両方が必須となりました。この変更により、医師の休日確保と適切な処遇改善の両立が求められています。新たな施設基準では、予定手術の術者・第一助手が前日に当直等を行った日数を年間4日以内に制限しています。交代勤務制では夜勤翌日を休日とし、チーム制では緊急呼び出し当番の翌日を原則休日とすることが義務付けられました。しかし、多くの施設でこれらの要件を満たすことが困難な状況です。令和7年5月時点の調査では、手術の休日・時間外・深夜加算1を届け出ている192病院のうち、経過措置終了後に算定が困難となる要件として「緊急呼び出し当番翌日の休日対応」と「夜勤翌日の休日対応」を挙げる施設が最も多くなっています。オンコール体制の待機時間は労働時間に該当しない場合もありますが、施設基準では翌日の休日確保を求めており、医師確保が困難な施設では対応に苦慮しています。山口モデルが示す機能分化と集約化の成功事例山口大学医学部附属病院消化器外科が実践した機能分化モデルは、診療科偏在対策の有効な解決策を提示しています。このモデルでは、医療機関を常勤消化器外科医師数に応じて3つのタイプに分類し、それぞれの役割を明確化しました。Type1病院(常勤消化器外科医師1-2名)は基本的な手術のみ実施し、がん手術は大学病院に紹介する一方、術後の化学療法とフォローアップを担当します。Type2病院(常勤消化器外科医師3-5名)は胃がん・大腸がんの標準的な手術を実施しますが、食道・肝胆膵の高難度手術は大学病院に集約します。Type3病院(常勤消化器外科医師6名以上)は従来通り独立してがん治療を完結できる体制を維持します。この機能分化により、各病院が強みを活かした診療体制を構築できました。取り組みの結果、基幹病院では高度手術に専念できる環境が整い、医師の技術向上と負担軽減が実現しました。サテライト病院では、化学療法とフォローアップの症例数増加により経営が劇的に改善し、地域住民も近隣で継続的な治療を受けられるようになりました。この成功モデルは、他地域への展開可能性を示唆しています。高度手術の集約化がもたらす医療の質向上消化器外科領域の高度な手術(外保連試案の難易度D・Eかつ4時間以上)の実施状況分析から、自然発生的な集約化の実態が明らかになりました。令和4年度のNDBデータによると、全国2,017施設のうち年間50件未満の施設が過半数を占める一方、大学病院本院では200件以上実施する施設が大半となっています。この集約化により、手術成績の向上と若手医師の教育機会確保が両立されています。集約化のメリットは手術の安全性向上だけではありません。症例数の増加により医療チームの技術が向上し、合併症率の低下や在院日数の短縮につながっています。また、高額な医療機器の効率的な活用や、専門スタッフの配置も可能となり、医療経済的にも合理的です。中間とりまとめでは、過度な集約化による地域医療へのアクセス低下の懸念も指摘されました。分科会では、小規模な手術とのバランスを保ちながら、地域の実情に応じた集約化を進める必要性が強調されています。また、小規模施設から大規模施設への紹介・連携に対するインセンティブ強化も今後の検討課題となっています。まとめ外科系診療科の医師偏在と過重労働の解消には、医療機関の機能分化による集約化と、働き方改革を促進する診療報酬上の評価が不可欠です。山口モデルの成功は、地域全体で医療資源を最適配分することで、医療の質向上と医師の負担軽減を両立できることを実証しました。令和8年度診療報酬改定では、これらの取り組みを後押しする評価体系の構築が期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
医師の働き方改革を加速するICT活用|8割の病院が未導入の現状と改善策
令和7年度入院・外来医療等における実態調査により、全国の約80%の病院で医師事務作業のICT活用が進んでいない実態が明らかになりました。医師の働き方改革が喫緊の課題となる中、生成AIやRPAなどの先進技術の活用が労働時間短縮の鍵となっています。本稿では、入院・外来医療等の調査・評価分科会で示されたICT活用による業務効率化の具体的効果と導入推進に向けた方策を解説します。調査結果によると、生成AI文書作成補助システムを導入した医療機関では退院サマリー作成時間を最大66%削減する効果が確認されました。WEB問診・AI問診では1問診あたり40~50%の時間短縮を実現しています。説明動画の活用やRPAによる臨床データ集計においても、作業効率の大幅な向上と労働時間の短縮効果が報告されています。これらのICT技術は、医師事務作業補助者の業務負担軽減と医師の本来業務への集中を可能にする重要な手段となっています。ICT活用の現状と導入の遅れ令和7年度入院・外来医療等における実態調査によると、医師事務業務の省力化に向けたICT活用について、約80%以上の病院でいずれの取組も実施されていないことが判明しました。この現状は、医師の働き方改革を推進する上で大きな障壁となっています。調査によれば、ICTを活用している医療機関の取組内容は「説明動画の活用」、「WEB問診・AI問診」、「外来診療WEB予約システム」が上位を占めています。導入済みの医療機関では、すべてのICT活用において「作業効率の上昇」と「労働時間の短縮」という明確な効果が確認されています。特に効果が高い取組として、「臨床データ集計等でのRPA活用」、「退院サマリー等の作成補助を行う生成AI文書作成補助システム」、「説明動画の活用」が挙げられます。これらの技術は、医師事務作業補助者が実施している紹介状の返書作成、診療情報提供書の作成、退院サマリーの作成などの主要業務において、大幅な時間短縮を実現しています。医師事務作業補助者を必要数確保できない医療機関が40.1%存在する中、ICT活用は人材不足を補完する重要な解決策となります。入院・外来医療等の調査・評価分科会の中間とりまとめでも、給与や賞与の見直しだけでは限界があり、診療報酬の枠組みでの議論の必要性が指摘されています。生成AI等による具体的な削減効果生成AIによる文書作成補助システムの導入効果は、複数の医療機関で実証されています。1000床規模の国立大学病院では、退院サマリー作成時間を1時間から20分に短縮し、66%の削減率を達成しました。別の国立大学病院では、診療情報提供書と退院サマリー作成で平均47%の時間削減を実現し、年間1人当たり63時間の削減効果を生み出しています。750床規模の民間病院では、医師事務作業補助者による退院サマリーの下書き作成時間を30分から0分に完全に自動化しました。医師による作成時間も10分から5分に短縮し、全体として大幅な効率化を達成しています。200床規模の民間病院でも、診療情報提供書・紹介返書・退院サマリー・主治医意見書等の作成において、医師事務作業補助者による下書き時間を30分から15分に短縮し、50%の削減効果を実現しています。WEB問診・AI問診システムも顕著な効果を示しています。300床規模の民間病院では1問診あたり約10分から6分への短縮(削減率40%)、診療所では1問診あたり約12分から約6分への短縮(削減率50%)を達成しました。がん登録作業においても、生成AIの活用により患者スクリーニング作業時間で27.1%、がん登録作業時間で16%の削減効果が報告されています。これらのシステムは、診療録からの情報収集、部門システムからのデータ抽出、情報の統合と構造化、要約作成といった一連のプロセスを自動化します。従来は医師事務作業補助者が手作業で行っていた業務が、AIにより効率的に処理されるようになっています。今後の推進に向けた課題と方向性入院・外来医療等の調査・評価分科会では、医師事務作業補助者の定着に向けた取組やICTの活用による省力化等について、令和7年度入院・外来医療等における実態調査の結果を踏まえさらなる検討を進めることが示されています。医師の働き方改革は急性期機能の集約化や病院間の役割分担とも密接に関連しており、急性期の医療機関機能を検討する際に併せて考えていくべきとの意見も出されています。地域医療確保体制加算の評価向上も含め、診療報酬制度における適切な評価が重要な検討課題となっています。多くの当直医が大学病院からの派遣で満たされている現状を踏まえ、夜間の宿日直体制を維持していくことの重要性も指摘されています。ICT導入の障壁として、初期投資コストや運用体制の構築、スタッフの教育などが挙げられます。しかし、労働時間短縮による人件費削減効果や医療の質向上を考慮すれば、中長期的には十分な投資対効果が期待できます。特に医師事務作業補助者の確保が困難な地域や施設においては、ICT活用が不可欠な選択肢となっています。今後は、成功事例の共有と横展開、導入支援体制の整備、診療報酬上のインセンティブ設計などを通じて、全国的なICT活用の推進を図ることが重要です。医師の働き方改革の実現と医療の質向上の両立に向けて、デジタル技術の積極的な活用が求められています。まとめ令和7年度入院・外来医療等における実態調査により、医師事務作業のICT活用は約80%の病院で未導入という現状が明らかになりましたが、導入済み施設では明確な労働時間短縮効果が実証されています。生成AI文書作成補助システムによる最大66%の時間削減、WEB問診・AI問診による40~50%の効率化など、具体的な成果が報告されています。医師の働き方改革を実現し、持続可能な医療提供体制を構築するために、ICT活用の推進は避けて通れない課題となっています。各医療機関においては、自施設の業務特性に応じた最適なICT導入戦略を検討し、段階的な実装を進めることが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【2025年最新】急性期入院医療の機能評価と診療報酬改定への影響 - 総合入院体制加算と急性期充実体制加算の徹底解説
令和7年度第12回入院・外来医療等の調査・評価分科会において、急性期入院医療の機能評価について重要な議論が行われました。DPC制度における急性期機能の評価体系の見直しと、総合入院体制加算・急性期充実体制加算の実績要件の課題が明らかになっています。人口減少が進む地域での医療提供体制の確保と、医療機関の機能分化をどのように進めるべきかが、次期診療報酬改定の重要な論点となっています。本メールマガジンでは、急性期入院医療の現状と課題を包括的に解説します。急性期一般入院料1算定病院における救急搬送受入実績の格差は、年間1,000件未満から4,000件以上まで大きな幅があります。総合入院体制加算と急性期充実体制加算では、心臓血管外科手術の対象要件が異なり、実績を満たす病院の割合にも大きな差が生じています。なお、両加算は同時に算定することができず、医療機関はどちらか一方を選択する必要があります。人口20万人未満の二次医療圏では、地域の救急搬送を一手に担いながらも、実績要件を満たせない医療機関が存在します。これらの現状を踏まえ、地域の実情に応じた評価体系の構築が求められています。急性期医療機関の機能分化と評価指標の現状急性期入院医療の評価において、一般的な急性期機能と拠点的な急性期機能の区別が重要な視点となっています。DPC制度では機能評価係数IIによって、各病院が目指すべき医療と地域の実情に応じて求められる機能を評価してきました。救急搬送件数、全身麻酔手術件数、総合性の3つの観点から、医療機関の急性期機能を評価する枠組みが構築されています。急性期一般入院料1算定病院の救急搬送受入実績を見ると、医療機関によって大きな差があります。年間1,000件未満の病院から4,000件以上の病院まで幅広く分布しており、単に急性期一般入院料1を算定しているだけでは、医療機関の機能を十分に評価できない状況です。救急搬送受入件数が増えるにつれて、許可病床数、病床当たり医師数、全身麻酔手術件数、夜間・時間外救急患者数も増加する傾向が明確に表れています。医業収支の観点から見ると、救急搬送受入件数による差が顕著です。救急搬送受入件数1~1,199件の病院では医業利益率が-0.7%、1,200~1,999件では-2.0%、2,000~3,999件では-1.9%、4,000件以上では-2.3%となっており、救急搬送受入件数が多い病院ほど医業利益率が低い傾向にあります。これは、高度な急性期医療の提供には多大な医療資源の投入が必要であることを示しています。医療資源投入量の観点からも、1患者1日当たり包括範囲出来高点数は、救急搬送受入件数が多い病院ほど高くなる傾向にあり、医療の密度と救急対応能力には相関関係が認められます。DPC標準病院群においても、救急搬送受入件数の多い病院ほど、包括点数に対する包括範囲出来高点数の比率が高くなっています。診療情報・指標ワーキンググループでは、「DPC制度において、入院基本料と総合入院体制加算、急性期充実体制加算との関係を組み合わせて、新たな病院群の定義を検討することもあり得る」との意見が出されました。また、「全身麻酔手術で必ずしも医療資源投入量が高いとは言えないものや、脊椎麻酔である程度点数の高いものもある」という指摘もあり、評価指標の見直しが検討されています。総合入院体制加算の要件と実施状況の詳細分析総合入院体制加算は、24時間総合的な入院医療を提供できる体制を評価する加算として位置づけられています。加算1から3までの3区分があり、それぞれ異なる施設基準と実績要件が設定されています。7診療科(内科、外科、整形外科、脳神経外科、精神科、小児科、産科または産婦人科)の標榜と入院医療の提供が基本要件となっています。ただし、地域医療構想調整会議で合意を得た場合に限り、小児科、産科又は産婦人科の標榜及び当該診療科に係る入院医療の提供を行っていなくても良いという例外規定があります。総合入院体制加算1の要件は最も厳格です。救命救急センターまたは高度救命救急センターの設置、全身麻酔手術件数年間2,000件以上、人工心肺を用いた手術および人工心肺を使用しない冠動脈・大動脈バイパス移植術40件/年以上などが求められます。悪性腫瘍手術400件/年以上、腹腔鏡下手術100件/年以上、放射線治療4,000件/年以上、化学療法1,000件/年以上、分娩件数100件/年以上といった幅広い実績要件があります。総合入院体制加算2と3では、要件が段階的に緩和されています。加算2では全身麻酔手術件数1,200件以上、救急搬送件数2,000件以上、加算3では全身麻酔手術件数800件以上となっています。手術等の実績要件についても、加算2では少なくとも4つ以上、加算3では少なくとも2つ以上を満たすことが求められています。実績要件を満たす割合を見ると、総合入院体制加算1届出病院では3割の病院が全ての要件を満たしており、全ての病院が7項目以上の要件を満たしていました。総合入院体制加算3届出病院では、消化管内視鏡手術や心臓血管外科手術要件を満たしている割合が他の加算届出病院と比較して低く、実績要件を満たす数が少ない病院の割合が高い状況です。具体的には、消化管内視鏡手術600件を満たす病院は37%、心臓血管外科手術100件を満たす病院はわずか14%にとどまっています。重要な点として、総合入院体制加算を届け出ている病院は、急性期充実体制加算の届出を行うことができません。この排他的関係により、医療機関は自院の機能と地域のニーズを踏まえて、どちらの加算を選択するか慎重に判断する必要があります。急性期充実体制加算の特徴と精神科医療体制の課題急性期充実体制加算は、高度な急性期医療を提供する体制を評価する加算として創設されました。急性期一般入院料1の届出と重症度、医療・看護必要度IIの使用が前提条件となっています。救命救急センターまたは救急搬送件数2,000件/年以上、全身麻酔手術2,000件/年以上(うち緊急手術350件/年以上)が基本要件です。総合入院体制加算の届出を行っていないことも要件の一つとなっており、両加算の同時算定はできません。手術実績要件は総合入院体制加算よりも詳細に設定されています。悪性腫瘍手術400件/年以上、腹腔鏡下または胸腔鏡下手術400件/年以上、心臓カテーテル法手術200件/年以上、消化管内視鏡手術600件/年以上、心臓胸部大血管手術100件/年以上のうち5つ以上を満たす必要があります。化学療法については、外来腫瘍化学療法診療料1の届出と、外来実施割合6割以上という条件が付されています。精神科医療体制については、両加算ともに課題が明らかになっています。総合入院体制加算1届出病院では全ての病院で精神科の入院医療を提供していましたが、その他の加算届出病院では、精神科の入院医療提供割合が小児科(91-100%)や産婦人科(92-100%)と比較して、精神科は29-83%と低い傾向にあります。精神科領域患者の入院実態調査によると、摂食障害や依存症の治療のため予定入院で精神病床に入院させた経験のある医療機関は46.9%、自殺企図のために救急外来から直接精神病床に入棟させた経験のある医療機関は53.9%存在しました。また、内科的理由などで精神科領域患者を精神病床に入院させた経験のある医療機関も、予定入院で47.9%、救急外来からの直接入棟で26.3%存在しています。精神病床数の推移を見ると、総合入院体制加算と急性期充実体制加算の算定病院における精神病床届出数は、令和2年の3,946床(84施設)から令和7年の4,191床(96施設)へと増加傾向にあります。しかし、同一の病院で経年比較すると、特に急性期充実体制加算を届け出た病院で精神病床届出施設数がやや減少する傾向(48施設から45施設へ)が見られ、総合病院における精神科医療提供体制の維持が課題となっています。地域特性に応じた評価体系の課題と現状人口20万人未満の二次医療圏における医療提供体制には特有の課題があります。161の二次医療圏のうち、救急搬送受入件数2,000件を超える病院を持つ医療圏は91医療圏、年間1,500件を超える病院を持つ医療圏は113医療圏、年間1,200件を超える病院を持つ医療圏でも127医療圏にとどまっています。人口規模が小さい医療圏では、地域シェア率が高くなる傾向があり、患者の流出率が40%を超える医療圏も多く存在します。人口の少ない地域(131二次医療圏)では、総合入院体制加算3を届け出ている病院が約15%を占めています。これらの地域では、実績要件等の基準が厳しい総合入院体制加算1や急性期充実体制加算1を届け出ている病院が少なく、地理的な事情から症例や医療従事者を集約しても実績要件を満たすことが困難な状況です。へき地医療拠点病院の約半数は、20万人未満の二次医療圏に所在しています。20万人未満二次医療圏のへき地医療拠点病院では、巡回診療、医師派遣、代診医派遣といった主要3事業を一定程度実施しており、総合入院体制加算や急性期充実体制加算の届出の有無と実施状況に大きな違いは見られませんでした。しかし、これらの病院で総合入院体制加算や急性期充実体制加算を届け出ている割合は、20万人以上の二次医療圏と比較して低い状況です。診療情報・指標ワーキンググループでは、「人口が少ない地域での評価については、既存の類型の中での条件緩和あるいは別類型をつくるなどが必要ではないか」「実績要件を緩和する場合には、緊急・救急対応が必要か、医療従事者の集約化が必要か、という観点があるのではないか」「化学療法も、集約化が必要な化学療法と、アクセスのよいところに必要な化学療法があるのではないか」といった意見が出されています。オンライン診療(D to P with N、D to P with D)の活用など、新しい医療提供手法を組み合わせた支援体制の構築も検討されています。小規模な二次医療圏では、へき地診療所等への支援を実施する病院と、拠点的機能を有する病院が連携し、地域全体で医療を支える体制づくりが求められています。心臓血管外科手術要件の違いと医師配置の実態総合入院体制加算と急性期充実体制加算では、心臓血管外科手術の対象Kコードと実績件数に大きな違いがあります。総合入院体制加算では人工心肺を用いた手術と人工心肺を使用しない冠動脈・大動脈バイパス移植術が対象で、年間40件以上が要件です。急性期充実体制加算では、より広範な心臓胸部大血管手術が対象となり、年間100件以上が要件となっています。急性期充実体制加算の対象手術には、K552(冠動脈、大動脈バイパス移植術)、K553-2(左心形成術、心室中隔穿孔閉鎖術、左室自由壁破裂修復術)、K557-4(ダムス・ケー・スタンセル吻合を伴う大動脈狭窄症手術)など、総合入院体制加算では対象外の手術が含まれています。総合入院体制加算届出病院の実施件数分布を見ると、総合入院体制加算対象手術では40件未満の病院が多い一方、急性期充実体制加算対象手術では40件以上の病院が多い状況です。常勤心臓血管外科医の配置と手術実施件数には明確な相関があります。心臓血管外科医が1~2人の病院では、急性期充実体制加算対象手術の中央値が0件/年で、第3四分位点も40件/年となっています。心臓血管外科医が3~5人の病院では、第1四分位点でも55件/年、中央値102件/年の手術を実施しており、医師数による差が顕著です。6~9人配置では中央値288件/年、10人以上では中央値603件/年と、医師数の増加に伴い手術実施件数も大幅に増加しています。診療情報・指標ワーキンググループでは、「総合入院体制加算と急性期充実体制加算で、心臓血管外科手術の対象の手術が異なっていることや、腹腔鏡下手術は両方の加算の対象となっている一方、胸腔鏡下手術は総合入院体制加算の対象となっていないことについて、あえて分ける必要はないのではないか」「心臓血管手術だけではなく、異常分娩50件と正常分娩100件の違いについても、異常分娩を50件実施しているところは、通常、正常分娩も100件実施している」といった意見が出され、実績要件の整合性について議論が行われています。これらの違いは、医療資源の集約化と専門性の確保という観点から重要な示唆を与えています。限られた専門医をどのように配置し、地域の心臓血管外科手術のニーズにどう対応するかは、地域医療構想の実現において重要な検討課題となっています。まとめ急性期入院医療の機能評価において、総合入院体制加算と急性期充実体制加算は重要な役割を果たしていますが、実績要件の違いや地域特性への配慮において複数の課題が明らかになっています。両加算は同時算定ができない排他的関係にあり、心臓血管外科手術、腹腔鏡下手術と胸腔鏡下手術、正常分娩と異常分娩など、同様の機能に対して異なる要件が設定されており、評価体系の複雑化を招いています。人口の少ない地域では、総合的な機能が求められながらも実績要件を満たすことが困難な医療機関が存在し、年間1,200件を超える救急搬送を受け入れている127医療圏のうち、多くの地域で適切な評価がなされていない状況があります。精神科の入院医療体制についても、総合病院が持つべき機能として十分に提供されていない現状があり、精神科領域患者の約半数が急性期病院での入院経験があるにも関わらず、対応体制が不十分です。医業収支の観点からも、高度急性期医療を提供する病院ほど医業利益率が低い傾向(-0.7%~-2.3%)にあり、今後の診療報酬改定において、これらの課題にどのように対応するかが重要な論点となっています。 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令和8年度診療報酬改定の行方:入院医療評価の7つの重要論点と医療機関が準備すべき対応策
令和7年9月11日、中央社会保険医療協議会の入院・外来医療等の調査・評価分科会は、令和8年度診療報酬改定に向けた重要な議論を行いました。本分科会では、診療情報活用の高度化やDPC制度の見直し、地域包括ケア病棟の機能評価など、今後の入院医療の方向性を決定づける7つの重要テーマが検討されました。医療機関は、これらの議論内容を理解し、早期に対応準備を進める必要があります。今回の検討では、急性期医療の評価指標の再構築、高齢者医療への対応強化、重症度評価の適正化、医療従事者の働き方改革、多職種協働の推進など、医療提供体制の根幹に関わる内容が議論されました。特に注目すべきは、人口減少地域における医療機能の維持、内科系疾患の適切な評価、B項目測定の効率化など、現場の課題に即した具体的な改善策が示された点です。医療機関経営者は、これらの変化を的確に捉え、自院の機能と役割を再定義し、地域医療における位置づけを明確化する戦略的対応が求められます。急性期医療の新たな評価軸:地域シェア率と人口規模への配慮診療情報・指標等作業グループは、急性期医療の評価指標として、従来の救急搬送受入件数や全身麻酔手術件数に加え、地域シェア率という新たな視点を提示しました。地域シェア率とは、当該医療機関の年間救急搬送受入件数を所属二次医療圏内の全医療機関の合計で除した割合です。この指標により、20万人未満の二次医療圏において、救急搬送件数は少なくとも地域医療の中核を担う病院の存在が明らかになりました。総合入院体制加算と急性期充実体制加算の要件統一についても議論が進展しました。両加算の心臓血管外科手術の対象Kコードと実績件数が異なる現状に対し、統一化の必要性が指摘されています。特に、人口が少ない地域での要件緩和が検討され、地域の実情に応じた柔軟な基準設定が求められています。こども病院や離島医療機関など、特殊な医療機関についても、その機能に応じた個別評価の必要性が認識されました。DPC制度の精緻化:在院日数分布と点数設定方式の見直しDPC/PDPS等作業グループは、現行制度の課題として、点数設定方式と実際の在院日数分布の乖離を指摘しました。多くの診断群分類において、平均在院日数が中央値を上回る正の歪度を有する分布となっており、現行の平均在院日数を基準とした第Ⅱ日設定の妥当性に疑問が投げかけられています。在院日数の中心傾向の指標として、平均値よりも中央値の採用が適切である可能性が示唆されました。再転棟ルールについても、7日以内の再入院を一連の入院とみなす現行制度の運用実態が検証されました。持参薬使用による診療報酬上の二重負担問題も指摘され、適切なコスト評価の必要性が確認されています。地域医療係数における医師派遣機能の評価では、特定機能病院の基礎的基準との整合性を図る方向で検討が進められています。包括期医療の機能分化:地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟の役割明確化地域包括医療病棟は、70歳以上の高齢者が多く、要介護度の高い患者、認知症を有する患者の割合が急性期一般入院料4〜6と比較して高い実態が明らかになりました。入院患者の上位疾患は、その他の感染症(真菌を除く。)、肺炎等、誤嚥性肺炎、体液量減少症、股関節・大腿近位の骨折、腎臓又は尿路の感染症、胸椎・腰椎以下骨折損傷などで、内科系疾患が中心です。内科系疾患では包括内の出来高点数が相対的に高く、請求点数には反映されにくい構造的課題が存在しています。救急搬送受入件数以外の機能評価指標として、下り搬送等受入件数、直接入院、緊急入院、在宅患者緊急入院診療加算、協力対象施設入所者入院加算、介護保険施設等連携往診加算の算定回数などが検討されました。これらの指標は施設によってばらつきがあり、一定程度の幅で分布していることから、複数の指標を組み合わせた総合的な評価の必要性が示唆されています。予定・緊急入院別、手術の有無別による医療資源投入量の差異も確認され、患者群別の評価体系構築の可能性が示されました。重症度、医療・看護必要度の適正化:B項目測定の効率化とA・C項目の見直しB項目の測定については、入院初日にB得点が3点以上である割合が、特定機能病院や急性期一般入院料1で低く、急性期一般入院料2〜6や地域包括医療病棟で高いという二極化が確認されました。B項目は要介護度と相関し、入院や手術から4〜7日後には点数の変化が少なくなる傾向が明らかになりました。この結果を踏まえ、術後7日目以降や内科系症例での入院4日目以降における測定間隔の緩和が提案されています。内科系症例におけるA・C項目の課題も浮き彫りになりました。内科系症例では外科系疾患と比較してA・C項目が一定点数以上となる割合が低く、重症度、医療・看護必要度がつきにくい実態があります。特に感染症患者では、抗菌薬がA項目で評価されないため、救急搬送や緊急入院の割合が高いにもかかわらず適切な評価がされていません。内科学会からの提案を踏まえ、免疫抑制剤の増点や緊急入院の評価強化などが検討されています。働き方・タスクシフト/シェア:医療従事者の負担軽減に向けた方向性働き方改革とタスクシフト/シェアについては、本分科会の議題として取り上げられ、医療従事者の負担軽減に向けた検討が行われました。医師の時間外労働規制の本格施行を控え、各医療機関では業務の効率化と役割分担の最適化が急務となっています。特定行為研修を修了した看護師の活用、薬剤師の病棟業務の拡充、リハビリテーション専門職の活動範囲の拡大など、様々な職種へのタスクシフト/シェアの推進が、今後の医療提供体制の持続可能性を確保する上で重要な課題として認識されています。分科会では、タスクシフト/シェアを単なる業務移管ではなく、各職種の専門性を最大限に活かした協働体制の構築として捉える必要性が示唆されました。これにより、医師の負担軽減だけでなく、医療の質の向上と患者満足度の向上を同時に実現することが期待されています。各医療機関においては、自院の状況に応じた具体的な実施計画の策定と、段階的な導入が求められています。病棟における多職種でのケア:ADL評価指標の統一化に向けた議論病棟における多職種でのケアについては、患者の状態を的確に把握し、適切なケアを提供するための共通評価指標の必要性が議論されました。現在、ADL評価にはB項目、Barthel Index、日常生活機能評価、FIMなど複数の指標が混在しており、職種によって評価結果が異なることもあるため、多職種協働における共通認識の評価として、患者ケアや退院支援に役立つADL指標を整備すべきとの意見が出されました。B項目については、「重症度、医療・看護必要度を把握し、適正な職員の配置数の実現を目指し、看護の必要性及び看護の量(療養上の世話)を測る指標」として施設基準通知に明記されており、人員配置、入退院支援、転倒・転落判断等の病棟マネジメント指標としての活用事例が紹介されました。今後、統一的な評価指標の導入により、看護師、リハビリテーション職、介護職等が共通認識を持って患者ケアにあたることが可能となることが期待されています。大学病院における逆紹介割合の実態調査:地域医療連携の現状把握全国医学部長病院長会議による調査では、82大学病院本院を対象に令和7年6月診療実績における逆紹介割合の実態調査が実施されました。78病院から回答を得て(回収率95.1%)、大学病院における逆紹介の現状が把握されました。逆紹介率の向上は、大学病院が高度医療機関としての機能を適切に発揮し、地域医療機関との役割分担を推進する上で重要な指標となっています。今回の調査結果を踏まえ、各大学病院では地域医療機関との連携強化に向けた取り組みの必要性が確認されました。逆紹介を促進するための体制整備として、地域連携室の機能強化、連携医療機関との定期的な情報交換、逆紹介後のフォローアップ体制の構築などが今後さらに重要となることが示唆されています。地域医療支援病院としての機能評価においても、逆紹介率は重要な評価指標として位置づけられる見込みです。まとめ:令和8年度改定への戦略的対応と準備の必要性令和8年度診療報酬改定に向けた今回の議論は、入院医療提供体制の大きな転換点を示しています。急性期医療の地域シェア率導入、DPC制度の精緻化、包括期医療の機能明確化、重症度評価の適正化、働き方改革とタスクシフト/シェアの推進、病棟における多職種協働のためのADL評価指標の統一化、逆紹介による地域連携の強化という7つの重要論点は、いずれも医療機関経営に直結する内容です。医療機関は、これらの変化を的確に捉え、自院の強みを活かした機能選択と、地域における役割の明確化を進める必要があります。特に、人口減少地域における医療機能の維持、高齢者医療への対応強化、医療従事者の確保と育成、多職種協働による質の高い医療提供は、持続可能な医療提供体制構築の鍵となるでしょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
大学病院の逆紹介割合調査で判明した地域医療連携の課題と改革への道筋
令和7年9月11日に公表された全国医学部長病院長会議による調査は、大学病院における逆紹介の実態を明らかにした。全国82大学病院を対象に実施され、78病院から回答を得た本調査(回収率95.1%)は、令和7年6月の診療実績を分析している。調査結果は、診療報酬改定における外来機能分化の推進という政策目標に対し、大学病院が直面する構造的課題を浮き彫りにした。本調査により、診療科別逆紹介割合の平均値は48.3‰となり、23診療科中4科が平均値で減算基準30‰を下回ることが判明した。形成外科系(8.7‰)、麻酔科系(6.4‰)、リハビリテーション系(8.7‰)、精神科系(24.6‰)の4診療科は、いずれも専門性の高い継続的な医療管理を要する特性を持つ。再診患者の88%が月1~2日の受診にとどまる一方で、外来化学療法患者が2.2%、高額医薬品使用患者が4.2%、指定難病患者が6.7%を占めており、これらの患者群が大学病院での継続診療を必要としている実態が明らかになった。大学病院からの逆紹介が困難な理由として、希少疾患や複雑な合併症などの疾患要因、患者の不安感などの患者側要因、地域における専門医不在などの医療提供体制の問題が挙げられている。診療科別逆紹介割合の実態と基準未達成の背景診療科別の逆紹介割合は、診療科の特性により大きな格差が生じている。循環器系(97.2‰)や整形外科系(84.6‰)が高い逆紹介割合を示す一方、形成外科系、麻酔科系、リハビリテーション系、精神科系の4診療科は平均値で減算基準30‰を大きく下回った。さらに、中央値で見ると、これら4診療科に加えて血液内科系、放射線系、皮膚科、産婦人科系の4診療科も基準を下回っており、合計8診療科で逆紹介が困難な状況が明らかになった。形成外科系の逆紹介割合が8.7‰にとどまる背景には、術後の長期フォローアップが必要な症例が多いことがある。乳癌術後の乳房再建や、皮膚潰瘍・リンパ浮腫などの慢性疾患は、専門的な管理技術を要し、地域医療機関への紹介が困難である。麻酔科系(6.4‰)においては、帯状疱疹後神経痛や癌性疼痛など、高度な疼痛管理を必要とする患者が集中している。リハビリテーション系(8.7‰)は、運動器疾患や脳血管障害後のリハビリテーションなど、継続的かつ専門的な介入を要する。精神科系(24.6‰)では、うつ病や統合失調症などの重症例が多く、病状の不安定さから地域医療機関への紹介にリスクを伴うケースが少なくない。これら4診療科に共通するのは、高度な専門性と継続的な医療管理の必要性であり、地域医療機関での対応が困難な患者層を抱えているという構造的な問題である。再診患者の受診パターンと高額医療の集中再診患者の受診日数分析により、月1~2日の受診が全体の88%を占めることが明らかになった。月1日の受診が70%、月2日が18%となっており、多くの患者は月1回程度の定期受診で管理されている。一方で、月3日が6%、月4日が3%、月5日以上が3%となっており、頻回受診を要する患者は全体の一部にとどまるが、これらの患者群には特徴的な疾患構成が見られる。外来化学療法患者(1大学病院平均507人)と高額医薬品使用患者(同978人)を合わせると、再診実患者数の6.4%を占める。外来化学療法は、肺癌、乳癌、大腸癌などの悪性腫瘍患者が中心であり、レジメンに応じた定期的な通院を必要とする。高額医薬品使用患者には、生物学的製剤を使用する関節リウマチや炎症性腸疾患、分子標的薬を使用する血液疾患などが含まれる。指定難病患者(1大学病院平均1,519人)は再診実患者数の6.7%を占め、パーキンソン病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデスなどの疾患が上位を占める。これらの疾患は、専門的な診断・治療技術を要し、病状の変化に応じた細やかな薬剤調整が必要となる。生物学的製剤使用患者(同537人、2.4%)、小児慢性特定疾病患者(同219人、1.0%)、治験患者(同73人、0.3%)も、大学病院での継続的な管理が不可欠な患者群である。逆紹介を阻む3つの構造的要因大学病院からの逆紹介が進まない要因は、疾患・医療内容の要因、患者側の要因、その他の要因の3つに大別される。疾患・医療内容の要因として最も重要なのは、希少疾患や複雑な合併症例の存在である。血液疾患、神経難病(ALS、多系統萎縮症など)、移植後の患者、小児がん患者などは、高度な専門性を要し、地域医療機関での対応が困難である。外来化学療法中の患者や、高額薬剤・生物学的製剤使用患者も、薬剤の副作用管理や効果判定に専門的知識を要する。臨床試験・治験実施中の患者は、プロトコールの遵守と安全性確保の観点から、実施医療機関での継続診療が必須となる。患者側の要因では、大学病院への安心感・信頼感から「見捨てられるのでは」という不安を抱く患者が多い。症状が安定しても再発・悪化への不安から継続通院を希望し、逆紹介の受け入れを拒否するケースが見られる。複数診療科に通院している患者では、通院先が増えることへの負担感から拒否される場合もある。医療費の観点からも、大学病院でまとめて受診した方が患者負担が少ないという経済的インセンティブが働いている。その他の要因として、地域における専門医や診療科の不在という医療提供体制の問題が大きい。身寄りがない、後見人がいない、経済的困窮などの社会的要因も逆紹介を困難にしている。受診態度に問題がある患者(クレーマー等)については、地域医療機関が受け入れを躊躇するケースもある。政策的対応と今後の方向性本調査結果は、診療報酬による誘導だけでは解決困難な構造的課題の存在を示している。平均値で減算基準を下回る4診療科、さらに中央値で基準を下回る8診療科については、疾患特性や専門性を考慮した基準の見直しが必要である。高額医薬品使用患者や外来化学療法患者については、地域医療機関との連携体制構築に向けた診療報酬上のインセンティブ設計が求められる。患者の不安解消に向けては、逆紹介後も大学病院がバックアップする体制の明確化が重要である。地域医療機関の専門性向上に向けた教育・研修プログラムの充実、遠隔診療を活用した専門医によるサポート体制の構築など、医療提供体制の強化が不可欠である。社会的要因を抱える患者に対しては、医療ソーシャルワーカーの活用や地域包括ケアシステムとの連携強化が必要となる。大学病院の外来機能を真に高度急性期医療に特化させるためには、診療報酬による経済的誘導に加え、地域医療提供体制の整備、患者の意識改革、医療機関間の連携強化という多面的なアプローチが必要である。本調査結果を踏まえ、令和8年度診療報酬改定において、より実効性の高い制度設計が行われることが期待される。まとめ全国78大学病院を対象とした逆紹介割合調査により、平均値で4診療科、中央値で8診療科が減算基準を下回り、高額医療を要する患者が大学病院に集中している実態が明らかになった。逆紹介が進まない背景には、疾患の専門性、患者の不安、地域医療体制の不備という3つの構造的要因が存在する。今後の診療報酬改定においては、診療科特性を考慮した基準設定、地域連携体制の強化、患者の不安解消に向けた制度設計が求められる。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
病棟における多職種連携の新展開:リハビリ・栄養・口腔ケアの包括的アプローチがもたらす成果
令和6年度診療報酬改定で創設されたリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は、急性期医療における多職種連携の新たなモデルを示しています。令和7年度第11回入院・外来医療等の調査・評価分科会では、この加算の効果検証と病棟における多職種ケアの実態が明らかになりました。本稿では、加算導入から1年余りが経過した現在の成果と課題について、最新のデータに基づき解説します。調査結果から、連携体制加算を算定した患者群では、ADL(日常生活動作)が大きく改善した割合が高く、早期リハビリテーション介入率が約9割に達することが判明しました。休日のリハビリテーション提供量は平日の86.5%を維持し、継続的なケアが実現しています。さらに、管理栄養士や臨床検査技師の病棟配置により、栄養管理の充実と検査業務の効率化が進んでいます。一方で、退院時のADL低下率や歯科受診率の改善、専門職間の業務分担の最適化など、今後検討すべき課題も浮き彫りになりました。リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の導入効果リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算は、急性期病棟において多職種が連携し、患者のADL維持・向上を図る取り組みを評価するものです。加算の算定要件として、専従の理学療法士等2名以上、専任の管理栄養士1名以上の配置が必要となります。また、入棟後48時間以内の評価・計画作成、土日祝日のリハビリテーション提供量が平日の8割以上、ADL低下患者割合3%未満など、厳格な施設基準が設定されています。DPCデータの分析結果によると、加算算定ありの患者では、退院時にADLが10以上改善した割合が25.7%と、算定なしの14.1%を大きく上回りました。特筆すべきは、入院3日目までのリハビリテーション開始率が89.2%に達し、算定なしの68.5%と比較して早期介入が顕著に進んでいる点です。患者1人当たりの1日平均リハビリテーション単位数も、算定ありで3.1単位と、算定なしの2.3単位を上回る結果となりました。加算算定施設における休日のリハビリテーション提供体制も充実しており、土曜日94.1%、日曜日87.8%、祝日65.1%と高い水準を維持しています。これは、算定なし施設の休日全体34.1%と比較して、約2.5倍の提供量となっており、切れ目ないリハビリテーションの実施が患者のADL改善に寄与していることが示唆されます。地域包括医療病棟における多職種連携の実態令和6年度改定で新設された地域包括医療病棟入院料では、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算が設定されています。この病棟では、救急患者の受け入れとともに、早期からのリハビリテーション、栄養管理、口腔管理を包括的に提供することが求められています。地域包括医療病棟における連携加算算定患者のADL改善率は42.9%と高く、入院3日目までのリハビリテーション開始率は92.9%に達しています。急性期一般病棟と比較しても、リハビリテーション介入の早期化と高頻度化が実現されています。休日のリハビリテーション提供量も平日の86.0%を維持し、継続的なケアが担保されています。療法士の病棟業務への関与状況を見ると、生活機能の回復に向けた支援において、食事で46.0%、排泄で71.9%、離床の促しで76.6%の病棟で療法士が関与しています。これは地域包括ケア病棟と比較して高い割合となっており、専門職の積極的な関与が患者の生活機能回復に寄与していることが分かります。管理栄養士と臨床検査技師の病棟配置がもたらす変化管理栄養士の病棟配置は、栄養管理の質向上に大きく貢献しています。就業時間の5割以上を病棟で従事している管理栄養士は全体の38.1%にとどまりますが、病棟配置された管理栄養士は、GLIM基準による栄養評価、ミールラウンド、食事変更の調整など、専門性の高い業務を展開しています。リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算算定患者では、低栄養(GLIM基準)の入力割合が74.4%と、算定なしの58.8%を上回り、栄養状態の把握が進んでいます。また、入院栄養食事指導料の算定率も25.1%と、算定なしの16.7%より高く、栄養介入の充実が図られています。入院時に低栄養であった患者に対しても、積極的な栄養管理が実施されています。臨床検査技師の病棟配置は、約3割の病棟で検査の準備や実施への関与が見られます。早朝採血、心電図測定、POCT検査の実施、検査結果の確認と医師への報告など、病棟に常駐することで迅速な検査実施と結果報告が可能となり、医師・看護師の負担軽減に寄与しています。検体再採取率の減少やインシデントの減少など、医療安全面での効果も報告されています。看護業務のタスクシェアと専門職の役割分担病棟における看護業務のタイムスタディ調査では、「診察・治療」と「患者のケア」に費やす時間が全体の約半分を占めることが明らかになりました。これらの業務において、多職種によるタスクシェアが進展しています。診察・治療に係る業務では、栄養状態のスクリーニングは管理栄養士が87.0%の病棟で主として実施し、ADLのスクリーニングは理学療法士が23.1%の病棟で主として担当しています。薬剤の準備・セットは薬剤師が31.4%の病棟で主として実施しており、専門性に基づいた業務分担が進んでいます。一方、薬剤の投与やバイタルサイン測定、吸引などの直接的な医療行為は、依然として看護師が主として実施している状況です。患者のケアに係る業務では、食事の配膳、排泄介助、見守り・付き添い、体位交換などで看護補助者が10~20%程度主として実施しています。環境整備については看護補助者が47.3%の病棟で主として担当しており、看護師の負担軽減に寄与しています。生活機能の回復支援では、排泄で理学療法士が3.9%、食事で作業療法士が2.3%、離床で理学療法士が15.2%の病棟で主として実施しており、専門性を活かした介入が行われています。まとめ病棟における多職種連携は、診療報酬改定を契機に大きく前進しました。リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の創設により、早期介入と継続的なケアが実現し、患者のADL改善に寄与しています。管理栄養士や臨床検査技師の病棟配置も進み、専門性を活かした質の高いケアが提供されています。今後は、退院時ADL低下率のさらなる改善、口腔管理と歯科受診の連携強化、専門職間の業務分担の最適化などの課題に取り組み、より効果的な多職種連携モデルの構築が期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
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