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2025-12-03 05:24

【令和8年度】国民健康保険料の賦課限度額1万円引き上げを提案|110万円へ

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令和7年11月27日に開催された第205回社会保障審議会医療保険部会において、令和8年度の国民健康保険料(税)の賦課限度額の見直しが議論されました。高齢化に伴う医療費増加を背景に、中間所得層の負担に配慮しながら、高所得層により多くの負担を求める方向性が提案されています。この記事では、賦課限度額引き上げの仕組みと令和8年度の改定案を解説します。

令和8年度の賦課限度額については、医療分(基礎賦課分)で1万円引き上げ、合計110万円とする案が示されました。この引き上げにより、賦課限度額超過世帯割合の増加を抑制できます。また、中間所得層の保険料負担の伸びを軽減する効果が期待されます。

賦課限度額とは何か

賦課限度額とは、国民健康保険料(税)の年間上限額のことです。この制度は、保険料負担の公平性と被保険者の納付意欲のバランスを取るために設けられています。

国民健康保険制度では、保険料負担は負担能力に応じた公平なものである必要があります。しかし、受益との関連において、被保険者の納付意欲に与える影響や、制度の円滑な運営を確保する観点から、保険料負担に一定の上限を設けています。令和7年度の賦課限度額は合計109万円で、内訳は医療分92万円(基礎賦課額66万円+後期高齢者支援金賦課額26万円)と介護分17万円です。

賦課限度額の引き上げは、中間所得層の負担軽減に直結します。医療給付費等が増加する中で、保険料率の引き上げのみで必要な保険料収入を確保した場合、高所得層の負担は変わらず、中間所得層の負担が重くなります。一方、賦課限度額を引き上げれば、高所得層により多く負担していただくことで、中間所得層に配慮した保険料設定が可能となります。

賦課限度額引き上げの基本方針

賦課限度額の引き上げは、法律に基づき毎年度検討されています。被用者保険とのバランスを考慮しながら、段階的な引き上げが行われてきました。

この引き上げの根拠は、社会保障改革プログラム法(平成25年法律第112号)と社会保障制度改革国民会議報告書(平成25年8月)にあります。これらを踏まえ、毎年度、事務レベルワーキンググループや医療保険部会での議論を経て、国保保険料(税)の賦課限度額の引き上げが行われています。

引き上げの際には、3つの観点が考慮されます。第一に、被用者保険におけるルールとのバランスです。被用者保険では、最高等級の標準報酬月額に該当する被保険者の割合が0.5%から1.5%の間となるよう法定されています。このため、国保においても将来的に賦課限度額超過世帯割合が1.5%に近づくように段階的に引き上げる方針が取られています。第二に、医療の基礎賦課分、後期高齢者支援金分、介護納付金分の超過世帯割合が前年と比較して増加しているか、それぞれにばらつきが見られるかを基準として引き上げ幅が設定されます。第三に、過去の実績として、過去20年間で最大の引き上げ幅は4万円となっています。

令和8年度の改定案

令和8年度は、医療分の基礎賦課分を1万円引き上げ、合計110万円とする案が提示されました。介護納付金分は据え置きとなります。

具体的な改定内容は以下のとおりです。医療分(計)は92万円から93万円へ1万円引き上げられます。このうち、基礎賦課分は66万円から67万円へ1万円引き上げ、後期高齢者支援金等賦課分は26万円で据え置きです。介護納付金賦課分も17万円で据え置きとなり、合計は109万円から110万円へ1万円引き上げられます。

この改定の背景には、限度額超過世帯割合のバランス調整があります。令和8年度においては、限度額(合計額)の超過世帯割合が引き上げ前で1.45%となる一方、基礎賦課分の超過世帯割合が1.7%を超えています。令和7年度と比較した超過世帯割合の増加をできるだけ抑えるとともに、区分間のバランスを整える観点から、基礎賦課分の1万円引き上げが提案されました。

なお、子ども・子育て支援納付金分については、令和8年度から新設される予定です。この納付金分の限度額は、令和8年度予算編成過程で決定される納付金総額を踏まえた上で、被用者保険におけるルールとのバランスを考慮し、超過世帯割合が概ね0.5から1.5%の間となるように決定されます。

収入別の保険料への影響

令和8年度の改定は、中間所得層と高所得層で異なる影響をもたらします。中間所得層では保険料上昇を抑制し、高所得層では限度額到達により負担増となります。

年収400万円世帯の保険料への影響は次のとおりです。賦課限度額を引き上げた場合、合計保険料は33万8千円となり、前年度比で5.7%の増加です。一方、据え置きの場合は33万9千円で5.9%の増加となります。この差は、引き上げにより中間所得層の保険料の伸びが抑えられることを示しています。

限度額該当世帯(高所得世帯)への影響も確認します。引き上げ後の合計保険料は110万円となり、前年度比で0.9%の増加です。据え置きの場合は109万円で増減なしとなります。高所得世帯が追加で1万円を負担することで、中間所得層の負担軽減が実現します。

賦課限度額に達する収入水準についても把握しておく必要があります。令和8年度に医療分(93万円)に達する収入は、給与収入・年金収入ともに約1,170万円、所得換算で約980万円です。この水準を超える世帯が限度額の適用を受けることになります。

まとめ

令和8年度の国民健康保険料の賦課限度額については、医療分(基礎賦課分)で1万円引き上げ、合計110万円とする案が医療保険部会で議論されました。この改定案は、中間所得層の保険料負担の伸びを抑制しながら、高所得層に応分の負担を求めるものです。賦課限度額超過世帯割合のバランス調整も図られています。今後、子ども・子育て支援納付金分の限度額設定も含め、令和8年度予算編成過程で最終決定される予定です。



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サマリー

令和8年度から、国民健康保険料の上限が1万円引き上げられ、110万円となります。この引き上げは中間所得層への配慮を反映しており、医療費の増加に伴う負担の公平性を目指しています。

保険料の上限引き上げ
さて今回は、国民健康保険料の話です。手元にですね、社会保障審議会が出した資料があるんですが、令和8年度から保険料の上限額を少し引き上げる案が出ているんですね。
はい。
これが一体どういうことで、私たちの保険料にどう関わってくるのか、今日は若く見ていきたいと思います。
この話の根っこにはですね、やはりあの高齢化による医療費の増加っていうも避けられない現実があります。増え続ける負担を、じゃあどう分かち合うのかという議論の中で、今回の提案は特に中間所得層への配慮が色濃く出ているのが特徴ですね。
なるほど。ではまず疑問からお伺いしたいんですが、この資料に出てくる不可限度額という言葉、これ簡単に言うと何なんでしょう?
これはですね、国民健康保険料の年間上限額のことです。目的はシンプルに2つでして、1つは所得に応じて負担するっていう公平性。
でもあまりに高額になると今後払う意欲がなくなってしまうと、この絶妙のバランスを取るために上限が設けられているわけです。
なるほど。
ちなみに今の例は7年度だと、医療と介護を合わせて109万円が上限になっています。
109万円ですか。それだけでもかなりの負担感がありますよね。その上限が今回さらに変わるという話なわけですね。
その通りです。結論から言うとですね、年間上限額が1万円だけ引き上げられて110万円になります。
ほう、1万円。
ただ面白いのはその内訳で、全部が上がるわけじゃないんですよ。
と言いますと?
60万円から67万円になる。一方で後期高齢者支援金分とか、あと介護分の限度額は据え置かれるんです。
正直なところ1万円と聞くとそれだけって思ってしまいますけど、全体から見れば微々たる額にも思えますが、この1万円という数字に何か特別な意味とかロジックが隠されているんでしょうか。
まさにそこが今回の確信なんです。この1万円は実は中間所得層の破綻を和らげるためにあると考えていいかと思います。
中間層ですか。
もし仮に限度額を据え置いたまま医療費が増え続けると、全体の保険料率を上げざるを得ませんよね。
ああ、なるほど。ということは上限に達している高所得の人は、率が上がっても払う額は変わらない。結果的にその下の所得層の負担だけが重くなってしまう。そういうことですか。
ご明察です。まさにその通り。これは一種の富の再分配に近い考え方ですね。
中間所得層への影響
上限に達している方々に追加で1万円を負担していただくことで、財源が生まれる、その分全体の保険料率の上昇を本当にわずかですけど抑えることができるわけです。いわば調整弁のような役割ですね。
なるほど。そういう設計になっているんですね。いや、深いですね。
もう一つ、資料にはバランス調整という理由も書かれていまして、限度額を超えている世帯の割合を会社員なんかの保険制度、費用者保険ですけど、これに合わせてだいたい1.5%程度に近づけたいという方針があるんです。
今回の引上げでそのバランスを整えるという狙いもあるわけです。
では、この変更で具体的に誰の負担がどう変わるのか、資料にあるシミュレーションを見てみましょうか。
例えば年収400万円の世帯。まさに中間層ですが、限度額を引き上げた場合、保険料の伸び率は5.7%に収まると。
もし仮に限度額を据えおいたとすると、伸び率は5.9%になる計算なんです。この0.2%の差が今回の引上げによる負担抑制効果というわけですね。
0.2%は数字で見ると小さいですけど、でも毎年のこととなると家計への心理的な影響は大きいでしょうね。まさに今この層にいる人たちにとっては切実な問題ですよ。
一方でその高所得層はどうなるんですか。
限度額に達している世帯は、もうシンプルに負担が109万円から110万円へと、ちょうど1万円増えることになります。
ちなみに今回上がる医療分の上限これに達するのは給与とか年金の収入でおよそ1170万円を超える世帯が一つの目安になりますね。
よくわかりました。ただこれで保険料の話が全部決まったというわけではないんですよね。
はい、まだ続きがあるんです。令和8年度からはこれに加えて新たに子ども子育て支援納付金というものが始まり予定でして。
ああそうでした。
この新しい納付金の上限額がじゃあどう設定されるのか、これはまだこれからの議論なんです。
なので全体の負担を見る上ではこちらの動向も合わせて見ていく必要がありますね。
ということは今回の1万円の引上げは、さしさまった中間層の負担増を和らげるための応急処置的な側面もありつつ、より大きな制度変更の一部でもあると。
まさにその通りです。最後に一つあなたに考えてみてほしい問いがあるんです。
はい。
資料に出てきた負担の公平性と納付意欲のバランス、今後も医療費が増え続けるこの社会で私たちにとっての公平な負担って一体何なんでしょうか。
所得に応じて上限なく負担すべきなのか、それとも上限を設ける今の形が適切なのか、この根本的な問いはこれからもずっと私たちの社会につきまとっていくんでしょうね。
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