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2025-12-06 04:30

薬局ビジョン10年の現実|門前薬局はなぜ増え続けるのか

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2015年に策定された「患者のための薬局ビジョン」は、すべての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目指しました。しかし、ビジョン策定から10年が経過した現在、門前薬局や医療モール型薬局の設立が続いています。中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第631回)では、薬局のあり方について議論が行われました。

中医協の資料によると、処方箋集中率が高い薬局の割合はむしろ増加しています。85%以上の集中率を持つ薬局は2015年の32.5%から2024年には39.3%へと上昇しました。また、薬局・薬剤師の偏在により、地方での医薬品提供体制の脆弱化と、都市部での小規模薬局の乱立という二極化が進んでいます。

薬局ビジョンが掲げた目標と現状のギャップ

2015年10月に公表された「患者のための薬局ビジョン」は、「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」への転換を掲げました。このビジョンでは、2025年までにすべての薬局がかかりつけ薬局の機能を持つこと、2035年までに立地も地域へ移行することを目標としています。

かかりつけ薬剤師・薬局に求められる基本機能は3つあります。第一に、ICTを活用した服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導です。第二に、24時間対応・在宅対応の体制整備です。第三に、医療機関をはじめとする関係機関との連携です。これらの基本機能に加えて、健康サポート薬局として健康サポート機能を発揮すること、専門機関と連携した高度薬学管理機能を持つことも期待されています。

しかし、ビジョン策定後の10年間で、目標に向けた進展は限定的でした。2016年の診療報酬改定で「かかりつけ薬剤師指導料」が新設され、その後の改定でも対物業務から対人業務への転換が図られてきました。それにもかかわらず、多くの薬局は依然として立地に依存した経営を続けています。

処方箋集中率の推移が示す課題

処方箋集中率が高い薬局、いわゆる門前薬局の割合は増加傾向にあります。厚生局届出データによると、処方箋集中率95%以上の薬局は2015年の14.0%から2024年には17.3%へと増加しました。同様に、85%以上の薬局も32.5%から39.3%へと上昇しています。

この増加傾向は、診療報酬改定による政策誘導が十分に機能していないことを示しています。対物業務から対人業務への切り替えを進めてきたにもかかわらず、特定の医療機関からの処方箋を集中的に受け付ける薬局のビジネスモデルは変わっていません。さらに、薬局が医療モールを経営する事例も出てきており、立地依存型の経営がむしろ強化されている面があります。

薬局・薬剤師の偏在がもたらす問題

薬局・薬剤師の地域偏在は、地方と都市部の双方で異なる課題を生じさせています。地方・過疎地域では薬局・薬剤師の不足が深刻です。都市部では小規模薬局の乱立が問題となっています。

地方・過疎地域における課題は、医薬品提供体制の維持困難です。服薬指導や在宅サービスへのニーズに応えることが難しくなっています。薬剤師1人または薬局1つが欠けるだけでも地域全体に及ぼす影響が大きく、医療提供体制が脆弱化しています。

都市部における課題は、小規模乱立による非効率化です。十分な機能を有さない薬局の設置が増え、薬局1つあたりの処方箋枚数が減少しています。医薬品の配送効率も低下し、流通に負荷をかけています。過剰な流通在庫は、供給不安発生時に医薬品不足を助長する要因にもなります。患者が薬局を近さのみで選ぶ傾向が強まり、薬歴の一元化が成立しにくい状況も生まれています。

まとめ

薬局ビジョン策定から10年が経過しましたが、「立地から機能へ」の転換は進んでいません。処方箋集中率が高い薬局の割合はむしろ増加し、薬局・薬剤師の偏在による課題も顕在化しています。令和6年改定後の中医協における付帯意見では、地域の医薬品供給拠点としての役割を担い、かかりつけ機能を発揮して地域医療に貢献する薬局の整備を進めるため、調剤報酬のあり方について引き続き検討することが示されています。



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サマリー

日本の薬局ビジョンが掲げられてから10年が経ち、門前薬局の増加が続いています。それに伴い、政策の意図とは裏腹に地域医療における格差が深刻化しています。特に地方では薬剤師が不足しており、都市部では過剰競争が課題となっています。

薬局ビジョンの背景
さて、今日見ていく資料なんですけど、これが非常に興味深くてですね。2015年に国が患者のための薬局ビジョンというものを掲げましたよね。
ええ、ありましたね。大きな方針でした。
病院のすぐ隣にある、いわゆる門前薬局から、もっと地域に根差したかかりつけ薬局へ変わろうと。
そういう目標でしたね。
でも、ちょっと待ってください。この資料を見ると、この10年で逆に門前薬局の割合が増えてるってことですか?
そうなんですよ。まさにその感覚、データがはっきり裏付けてまして。
特定の医療機関からの処方箋に頼る、その門前薬局の割合が2015年の32.5%からですね、2024年には39.3%まで上がってるんです。
うわー、かなり明確に増えてますね。
ええ、政策の美想とは裏腹に、旧来のビジネスモデルがむしろ強化されている。このギャップが今回の話の確信になります。
なるほど。その数字の裏側で、じゃあ私たちの生活にはどんな影響が出ているんでしょうか?
資料が指摘しているのは、薬局と薬剤師の偏在、つまり偏りが引き起こす二極化の問題ですね。
二極化ですか?
はい。地方と都市部で全く違う問題が起きています。まず地方ですが、こちらは薬剤師不足が深刻です。
ああ、それはよく聞きますね。
そうなると、医薬品の提供体制そのものが危うくなる。例えば、在宅医療のような、これから本当に必要になるサービスを支えきれない、と。
一方で都市部はどうなんですか?私の家の周りなんて、本当にすぐ近くに何件も薬局がありますけど。
それなんです。都市部は逆に、小規模な薬局が乱立しすぎて過等競争になっている。
多いのは便利でいいことじゃないんですか?
一見そう思えるんですけどね。ただ問題は非効率性です。薬の在庫が各薬局に分散してしまうので、いざという時に特定の薬が足りなくなるリスクがあるんです。
なるほど。
それに、あなたが風邪でA薬局、歯医者の帰りにB薬局、みたいに使い分けると、ご自身の服薬情報がバラバラになって、一元管理されにくい。これは健康上のリスクにもなります。
うーん、それは確かに。単なる数の問題じゃないんですね。医療システム全体の歪み、みたいな。
おっしゃる通りです。
でも、国もこの状況をただ見ていたわけじゃないですよね。確か、診療報酬を改定して、ちゃんとかかりつけ薬剤師の仕事を評価する仕組みを入れたはずですが。
ええ、まさに。薬というものを渡すだけの大仏業務から、あなたの健康ということを支える大人業務へシフトさせようとした。
はい。
ですけど、結果として門前薬局が増えている。
地域医療の課題
そのかかりつけを評価する報酬というのは、十分なインセンティブにならなかったということなんでしょうか。
そういうことになります。結局のところ、病院の隣という立地に頼るビジネスモデルの方が、まだまだ経営的に安定している、と。
ああ。
政策の誘導がその机上を崩すほど強力ではなかったんですね。資料には、薬局ミルカラがクリニックを集めた医療モールを経営する、なんてケースまで出てきています。
え?薬局が医療モールを経営?それはもう、政策の意図とは全然違う次元の話ですね。
ええ。経営戦略としては、非常に合理的です。
合理的ですか?
はい。しかし、それは国の目指す機能では選ばれる薬局ではなくて、立地の優位性を極限まで追求する動きですよね。
ビジョンはあっても、それを実現する経済的な仕組みが追いついていない。それを象徴する事例だと思います。
つまり、まとめると、患者のための薬局ビジョンから10年経って、薬局を立地から機能で選ばれる存在へという転換は道半ばだと。
ええ。むしろ門前薬局は増え、地域により医療格差も深刻になっているのが現状です。
うーん、根深い問題ですね。
はい。そしてこの議論は、これからの報酬改定でさらに本活化するはずです。
そこで最後にですね、これを聞いているあなたに一つ考えてみてほしい問いがあるんです。
はい。
もし、近所の便利さ以外で薬局を選ぶとしたら、どんなサービスや機能があれば、私のかかりつけ薬局にしたいと思うでしょうか。
その答えが、もしかしたら未来の薬局の姿を決めるヒントになるのかもしれないです。
ご視聴ありがとうございました。
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