病院事務長が実務と経営の視点で語る、医療制度の最新動向。急性期〜回復期で幅広い部門を統括してきた経験をもとに、最新の令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈)や施設基準、医療DXの解説を音声で配信。経営層から現場の事務担当者まで、忙しい合間に「現場で使える知識」をアップデートできます。
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番組の魅力・推薦
病棟薬剤業務実施加算が300点へ|令和8年度改定で3区分に再編
令和8年度診療報酬改定は、病棟薬剤業務実施加算を3つの区分に再編します。この加算は平成24年の新設以降、専任薬剤師の配置や医薬品情報を扱う専用施設といった「体制」を評価してきました。しかし体制を届け出た施設が増える一方で、ポリファーマシー対策の中心となる薬剤総合評価調整加算を算定した施設は、調査対象7,985施設のうち1,333施設(16.7%)にとどまります。そこで今回の改定は、体制だけでなく薬学的介入の「実績」を評価する仕組みへと加算を組み替えます。本稿は、この見直しの内容と医療機関に求められる準備を整理します。見直しの要点は3つです。第1に、実績要件を満たす医療機関を評価する病棟薬剤業務実施加算1(週1回300点)が新設されます。第2に、現行の加算1と加算2は、点数を据え置いたまま新しい加算2と加算3へ横滑りします。第3に、新設される加算1の施設基準には、薬剤総合評価調整業務と退院時薬剤情報管理指導の実績要件が加わります。1. 3区分への再編で最大180点の上乗せ改定案は、現行の2区分を3区分に組み替え、上位区分として300点の評価を新設します。現行の加算1(120点)と加算2(100点)は点数も対象も変わらないまま、それぞれ新しい加算2と加算3に名称が移ります。その上に、実績要件を満たす医療機関だけが算定できる新しい加算1が乗る形です。新設される病棟薬剤業務実施加算1は、週1回300点を算定します。現行の加算1(120点)から見ると、180点の上乗せです。対象となるのは、入院基本料(特別入院基本料等を除く)や特定入院料のうち、加算1から加算3までのいずれかを算定できるものを現に算定している患者です。どの入院料がどの区分に対応するかは告示で定まるため、自院の病棟が加算1の対象となるかは告示の公表後に確認する必要があります。現行の加算1に相当する病棟薬剤業務実施加算2は、週1回120点で存続します。この区分は、実績要件を満たさない医療機関の受け皿です。つまり現行どおりの体制を維持する医療機関は、名称が加算2に変わるだけで、点数も算定頻度も変わりません。現行の加算2に相当する病棟薬剤業務実施加算3は、1日につき100点で存続します。この区分は、特定集中治療室やハイケアユニット等の治療室を対象とする評価です。施設基準は現行の加算2の内容がそのまま引き継がれます。算定上のルールは、区分ごとの頻度を除いて現行と同じです。加算1と加算2は週1回、加算3は1日につき所定点数に加算します。また療養病棟入院基本料、精神病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(精神病棟に限る)を算定する患者については、入院日から起算して8週間が限度となる取扱いも維持されます。2. 加算1の鍵は「薬剤総合評価調整」と「退院時薬剤情報管理指導」の実績新設される加算1の施設基準は、現行の体制要件に実績要件を1つ加えた構成です。現行の加算1が求めるイからホまでの5項目は、そのまま加算1と加算2に共通する要件として残ります。この5項目に、実績要件である「ヘ」が加算1にのみ上乗せされます。共通する体制要件は、現行と同じ5項目です。具体的には、病棟ごとの専任薬剤師の配置、薬剤関連業務に充てる十分な時間の確保、医薬品情報の収集と伝達を行う専用施設の設置、医薬品の安全性に係る重要情報を把握した際に速やかに措置を講じる体制の確保、そして薬剤管理指導料の施設基準の届出です。これらを満たす医療機関は、少なくとも加算2を算定できます。上乗せされる実績要件は、「薬剤総合評価調整業務及び退院時薬剤情報管理指導につき十分な実績を有していること」です。薬剤総合評価調整業務は、持参薬を含む服用薬剤を多職種で総合的に評価し、処方内容を見直すポリファーマシー対策を指します。一方の退院時薬剤情報管理指導は、入院中に使用した主な薬剤をお薬手帳に記載し、退院後の服薬について患者に指導する業務です。この2つを「かつ」で求める点が、加算1のハードルとなります。実績要件の水準は、個別改定項目の段階では明らかにされていません。「十分な実績」が算定回数で示されるのか、割合で示されるのかは、今後の告示と通知を待つ必要があります。なお施設基準が求めるのは「薬剤総合評価調整業務」と「退院時薬剤情報管理指導」であり、薬剤総合評価調整加算や退院時薬剤情報管理指導料の算定回数と一致するとは限りません。したがって医療機関は、算定回数を目安として自院の状況を把握しつつ、水準が公表された時点で速やかに判定できるよう備えることが現実的な対応となります。3. 薬剤業務向上加算の対象は実質的に現行どおり薬剤業務向上加算は、対象患者の範囲が実質的に維持されます。現行はこの加算の対象を「病棟薬剤業務実施加算1を算定している患者」に限っていました。改定案はこれを「病棟薬剤業務実施加算1又は病棟薬剤業務実施加算2を算定している患者」に改めます。この改正は、区分の組み替えに伴う技術的な手当てです。現行の加算1が新しい加算1と加算2に分かれるため、対象を旧来どおりに保つには両区分を並べる必要があります。よって週1回100点という評価は現行から変わりません。免許取得直後の薬剤師への研修体制や他医療機関への出向体制を求める施設基準については、本項目で見直しが示されていないため、告示・通知で最終的な内容を確認してください。4. 病院薬剤師の実績評価という改定の方向性今回の見直しは、Ⅳ-4-2に並ぶ他の項目と同じ方向を向いています。この節は「医師及び薬剤師の適切な連携による医薬品の効率的かつ安全で有効な使用の促進」を掲げ、薬剤総合評価調整加算の見直し、病棟薬剤業務実施加算の見直し、医師と薬剤師の同時訪問の推進の3項目で構成されます。いずれも、薬剤師の薬学的介入を診療報酬上で可視化する内容です。背景には、転院や退院で薬剤情報の連携が途切れる課題があります。急性期病院は入院期間が短く、ポリファーマシー対策に十分介入できないまま患者が転院するケースが少なくありません。また転院元から薬剤情報の提供がない場合には、いわゆる「処方の先祖返り」が生じる恐れも指摘されてきました。こうした課題に対し、Ⅳ-4-2①は薬剤総合評価調整加算の要件と評価を見直し、施設間の薬剤情報連携を促します。病棟薬剤業務実施加算の見直しは、この連携を担う病棟薬剤師の体制を後押しする位置づけです。薬剤総合評価調整と退院時薬剤情報管理指導という2つの実績を加算1の条件とすることで、体制の届出にとどまらない実践を求める設計となっています。言い換えれば、届出だけでは上位区分に到達できない仕組みです。5. 医療機関が今から着手すべき3つの準備医療機関は、告示の公表を待つ間に3つの準備を進められます。第1に自院の実績の把握、第2に算定できていない要因の分析、第3に多職種での運用体制の点検です。これらはいずれも、実績要件の水準が示されてから着手したのでは間に合わない作業です。第1の準備は、薬剤総合評価調整加算と退院時薬剤情報管理指導料の算定回数を月単位で把握することです。特に薬剤総合評価調整加算は、算定のある施設でも月9回以下が大半を占めています。自院がどの水準にあるかを数字で押さえることが、上位区分を目指すかどうかの判断材料となります。第2の準備は、算定できていない要因を分析することです。調査では、2種類以上の減薬を評価する薬剤調整加算について、算定しない理由として「入院期間中に2種類以上の減薬を実施することが難しい」が最も多く挙げられました。一方で、退院時に1種類以上減少した患者は34.1%に達します。なお薬剤調整加算は、多職種による総合的な評価を評価する薬剤総合評価調整加算とは別の区分です。したがって減薬の可否だけでなく、総合的な評価というプロセス自体を確実に実施し記録に残す運用が鍵となります。第3の準備は、多職種での運用体制を点検することです。薬剤総合評価調整業務は、医師、薬剤師、看護師等の連携の下で実施し、ポリファーマシー対策の手順書を院内に周知することが求められます。また退院時薬剤情報管理指導は、退院時の指導と記録を漏れなく行う運用が前提となります。この2つの業務を日常の病棟業務に組み込めるかどうかが、加算1の取得を左右します。まとめ令和8年度診療報酬改定は、病棟薬剤業務実施加算を3区分に再編し、実績を評価する新しい加算1(週1回300点)を新設します。現行の加算1と加算2は、点数を据え置いたまま加算2(週1回120点)と加算3(1日につき100点)へ移ります。新設される加算1は、現行の体制要件5項目に加えて、薬剤総合評価調整業務と退院時薬剤情報管理指導の十分な実績を求めます。実績の具体的な水準は今後の告示と通知で示されるため、医療機関は自院の算定回数の把握と多職種での運用体制の点検から着手することをおすすめします。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|長期処方・リフィル処方箋の掲示が特定疾患療養管理料の要件に
令和8年度診療報酬改定は、長期処方とリフィル処方箋の活用推進を「Ⅳ-4-1 重複投薬、ポリファーマシー、残薬、適正使用のための長期処方の在り方への対応」に位置づけました。この対応策の5番目にあたる「⑤ 長期処方・リフィル処方箋の活用に係る医学管理料等の見直し」は、特定疾患療養管理料をはじめとする日常的に算定頻度の高い項目に新しい要件を加えます。対象となる医療機関は、施行までに掲示物と院内運用を準備しなければなりません。本稿は、この項目で何がどう変わるのかを、実務対応の順に整理します。今回の見直しは、医学管理料への要件追加と処方箋様式の変更という2つの柱で構成されます。要件追加の第一は、28日以上の長期の投薬とリフィル処方箋の交付に対応できる旨を、院内の見やすい場所に掲示することです。要件追加の第二は、患者から求められた場合に、患者の状態を踏まえて適切に対応することです。要件が追加される対象は、特定疾患療養管理料など6つの医学管理料等です。処方箋様式の変更は、リフィル処方箋の患者認知度を高めることをねらいます。見直しの背景:リフィル処方箋を必要と考える患者はまだ少ない今回の見直しは、リフィル処方箋を必要と考える患者が長期処方に比べて大幅に少ない現状を出発点とします。令和6年度入院・外来医療等における実態調査では、外来患者の53%が「28日以上の長期処方に対応していること」を定期的な受診を続ける上で必要と回答しました。これに対して、「リフィル処方箋に対応していること」を選んだ患者は15%にとどまりました。医療機関に「患者に継続した受診を続けてもらう上で必要なこと」を尋ねた同じ調査でも、「28日以上の長期の処方をしてもらえること」が47%、「リフィル処方箋を発行してもらえること」が7%と、同じ方向の差が出ています。ここで注意したいのは、この差が制度の使いにくさよりも、リフィル処方箋という選択肢を知る機会の少なさを示している可能性です。今回の見直しが掲示と処方箋様式という「患者への伝え方」に集中しているのは、この認識に立つためと読み取れます。患者への伝え方をめぐる対応は、令和6年度改定から段階的に進んできました。令和6年度改定では、かかりつけ医機能を評価する地域包括診療料等に、リフィル処方や長期処方を活用できることを患者に周知する要件が加わりました。令和8年度改定は、この周知の要件を特定疾患療養管理料などの医学管理料へ広げます。要件が広がることで、周知を受ける患者は、かかりつけ医機能に関する項目を算定する患者から、後述する6つの医学管理料等を算定する患者へと拡大します。要件追加①:長期処方とリフィル処方箋に対応できる旨を院内に掲示する追加される要件の第一は、長期処方とリフィル処方箋に対応できる旨の院内掲示です。掲示する内容は、患者の状態に応じて28日以上の長期の投薬を行うこと「又は」リフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であるという事実です。条文が「又は」で結んでいるとおり、掲示は2つの対応を常に両方提供すると約束するものではありません。掲示する場所は、当該保険医療機関の見やすい場所と定められています。この掲示は、算定要件と施設基準の両方に位置づけられる点に注意してください。まず算定要件(通知)には、掲示と患者への対応をあわせた項目が新設されます。あわせて特定疾患療養管理料の注1に、「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において」という文言が加わります。新設される施設基準の本文は「特定疾患療養管理を行うにつき必要な体制が整備されていること」であり、その具体的な中身を通知が掲示として示す構成です。施設基準が新設される点は、実務上もっとも影響が大きい変更です。現行の特定疾患療養管理料には施設基準そのものがなく、掲示をしていなくても算定できました。改定後は、施設基準を満たす医療機関でなければ算定できません。ただし、この施設基準に届出が必要かどうかは、現時点では確定していません。改定案の注1は「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において」と記載しており、届出を伴う項目で用いられる「地方厚生局長等に届け出た保険医療機関」という表記ではないためです。この表記のとおりであれば届出は不要となり、基準を満たすこと自体が算定の条件になります。いずれにせよ判断材料は告示と通知にあるため、対象の医療機関は届出の要否と経過措置の有無を発出後にすみやかに確認してください。要件追加②:患者から求められた場合は、患者の状態を踏まえて適切に対応する追加される要件の第二は、患者から求められた場合の適切な対応です。算定要件(通知)は、掲示に続けて「患者から求められた場合に、患者の状態を踏まえて適切に対応を行うこと」と規定します。掲示だけで終わらせず、掲示を見た患者の申し出に応じる運用までを一体で求める構成です。この対応要件は、患者の求めに必ず応じることを意味しません。条文が「患者の状態を踏まえて」と限定しているとおり、長期処方やリフィル処方箋を交付するかどうかは医師の医学的判断に委ねられます。症状が安定していない患者や、投与期間に制限のある医薬品を用いる患者には、従来どおりの処方が適切です。もっとも、求めに応じなかった場合には、その判断の根拠を診療録に記録しておく運用が安全でしょう。対象:特定疾患療養管理料を含む6つの医学管理料等要件が追加される対象は、特定疾患療養管理料を含む6つの医学管理料等です。個別改定項目は、次の項目を対象として列挙しています。* 特定疾患療養管理料* 皮膚科特定疾患指導管理料* 婦人科特定疾患治療管理料* 耳鼻咽喉科特定疾患指導管理料* 二次性骨折予防継続管理料* 小児科外来診療料個別改定項目は、特定疾患療養管理料以外の5項目について「同様」と記しています。したがって注1の改正、施設基準の新設、算定要件への追加は、6項目すべてに及ぶと読むのが自然です。これら6項目は、計画的な医学管理を継続して行うことを評価する点で共通します。共通する一方で、算定する診療科は内科から皮膚科、婦人科、耳鼻咽喉科、小児科まで広がります。二次性骨折予防継続管理料は入院医療と外来医療にまたがり、小児科外来診療料は初診料や再診料を含む包括点数です。対象の広がりを踏まえると、診療所だけでなく病院でも、複数の部門で同時に対応を確認する必要があります。処方箋様式の見直し:リフィル処方箋の患者認知度を高める医学管理料の要件追加と並ぶもうひとつの柱が、処方箋様式の見直しです。個別改定項目は、見直しの目的を「リフィル処方箋の患者認知度を向上する観点」と明示しています。現行の処方箋様式にもリフィル処方箋の欄は設けられており(令和4年度改定で追加)、欄の有無ではなく気づきやすさが課題という位置づけです。ただし、変更後の様式そのものは個別改定項目に示されていません。具体的なレイアウトは、告示の発出を待って確認してください。処方箋様式の見直しは、同じⅣ-4-1に含まれる残薬対策の見直しとも連動します。「④ 残薬対策の推進に向けた処方箋様式の見直し」でも、薬局が残薬を確認した際の対応を医師が事前に指示できるよう、様式が変更されます。2つの見直しは同時期に施行されるため、レセプトコンピュータや電子カルテの改修は、両方をまとめてベンダーに確認するのが効率的です。医療機関の実務対応:掲示・運用・届出・システムの4点を確認する対象の医療機関は、掲示、運用、届出、システムの4点を確認してください。それぞれの確認事項は次のとおりです。掲示は、28日以上の長期の投薬とリフィル処方箋の交付に対応できる旨を記した掲示物を、院内の見やすい場所に用意します。令和6年度改定以降、院内掲示事項は原則としてウェブサイトへの掲載も求められています。自院のウェブサイトを持つ医療機関は、掲示物と同じ内容をウェブサイトにも掲載してください。運用は、患者から長期処方やリフィル処方箋を求められた場合の対応手順を、医師と受付・看護スタッフで共有します。掲示を見た患者からの問い合わせは、まず受付で受けることになるためです。届出は、新設される施設基準への対応です。前述のとおり届出の要否は改定案の記載だけでは判断できないため、告示・通知の発出後ただちに確認し、必要な場合は施行までに提出します。システムは、処方箋様式の変更へのベンダー対応です。改修の時期と費用を早めに確認し、施行日から新様式で発行できる状態にします。まとめ:掲示と対応の2要件が、6つの医学管理料等に加わるⅣ-4-1-⑤は、長期処方とリフィル処方箋の活用を医学管理料の要件から後押しする見直しです。特定疾患療養管理料など6つの医学管理料等に、長期処方とリフィル処方箋に対応できる旨の院内掲示と、患者から求められた場合の適切な対応という2つの要件が加わります。これら6項目には施設基準も新設されるため、届出の要否を告示・通知で確認する作業が欠かせません。あわせて処方箋様式も、リフィル処方箋の患者認知度を高める観点から見直されます。掲示物の準備、院内運用の整理、届出、システム改修の4点を、施行までに順に進めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度診療報酬改定】残薬対策で処方箋様式を見直し|減らして調剤する指示が可能に
令和8年度診療報酬改定は、残薬対策を推進するため、処方箋様式を見直します。現行の様式では、薬局が調剤時に残薬を確認した場合の対応として、「保険医療機関へ疑義照会した上で調剤」と「保険医療機関へ情報提供」の2つしか指示できません。そのため、残薬に応じて数量を減らして調剤する取扱いを、医療機関があらかじめ処方箋上で指示することができません。本稿では、個別改定項目Ⅳ-4-1④「残薬対策の推進に向けた処方箋様式の見直し」について、改定の内容と施行に向けた実務対応を解説します。今回の見直しは、減らして調剤する取扱いを保険医療機関が事前に指示できるようにしたうえで、薬局に事後の報告を求める仕組みです。第1に、処方箋様式の備考欄に「調剤する薬剤を減量した上で保険医療機関に情報提供する」という選択肢を追加します。第2に、留意事項通知の調剤報酬点数表に関する事項に、薬局が減量して調剤した場合は原則翌営業日までに保険医療機関へ情報提供することを規定します。第3に、同じく調剤報酬点数表に関する事項に、数量を減じて調剤した旨を手帳へ記載することを規定します。なお本稿では、以下「減量調剤」を、薬局が残薬に応じて調剤する数量を減らすことの意味で用います。1. 見直しの背景:現行様式では減量調剤を事前に指示できない見直しの背景には、現行の処方箋様式が持つ2つの制約があります。ひとつは指示できる対応の選択肢が限られている点であり、もうひとつは実際の利用が広がっていない点です。以下では、平成28年度改定で導入された仕組みと、その後の運用実態を順に確認します。現行の仕組みは、平成28年度診療報酬改定で導入されました。この改定では、処方医と薬剤師が連携して残薬確認と残薬に伴う調剤数量の調整を実施できるよう、処方箋様式に「保険薬局が調剤時に残薬を確認した場合の対応」を記載する欄を設けました。この欄で指示できる対応は、「保険医療機関へ疑義照会した上で調剤」と「保険医療機関へ情報提供」の2つです。チェックがある場合、薬局は患者の残薬の有無を確認し、残薬が確認されればこのいずれかの対応を行います。この2つの選択肢は、実際の運用では十分に活用されていません。令和2年度改定の結果検証に係る特別調査(令和3年度調査、薬局n=887)によると、令和3年6月の1か月間で、「疑義照会した上で調剤」のチェックがある処方箋の受付が0回だった薬局は41.7%でした。「情報提供」のチェックについても、0回だった薬局は47.9%です。いずれも無回答が2割超(22.3%、23.9%)含まれる全体に対する割合であり、無回答を除いた受付回数の中央値はどちらも0回でした。一方で、医療機関が備考欄に「残薬調整後報告可」と記載し、薬局との連携で残薬調整に取り組む事例も報告されています。こうした運用の背景には、薬局側の負担があります。令和4年度改定の結果検証に係る特別調査(令和5年度調査、n=1,008)では、残薬調整での問題点として「患者が全ての薬剤を持参しない」を挙げた回答が53.3%、「患者の残薬を確認することに時間がかかる」を挙げた回答が62.3%でした。残薬確認そのものに手間がかかるうえ、確認後に疑義照会を行えば、薬局と医療機関の双方にさらに時間が生じます。中央社会保険医療協議会は、これらの状況を踏まえ、医師が事前に、薬局で残薬を確認した際の取扱いについて円滑に指示を行えるよう処方箋様式を見直すことを論点としました。2. 改定内容①:備考欄に「減量した上で情報提供」の選択肢を追加する改定内容の第1は、処方箋様式の備考欄への選択肢の追加です。追加されるのは、薬局が調剤する薬剤を減量したうえで、保険医療機関へ情報提供する対応です。この追加により、指示できる対応は従来の2つから3つに増えます。追加される選択肢は、「調剤する薬剤を減量した上で保険医療機関に情報提供する」ことを保険医療機関が指示できるようにするものです。この指示がある処方箋では、薬局は患家の残薬を確認したうえで、残薬に応じた数量で調剤し、その後に医療機関へ情報提供することになります。減量の可否についての判断は、処方箋を発行する時点で備考欄に示されます。したがって、調剤のたびに個別の照会を行わなくても数量調整ができる運用が想定されます。ただし、個別改定項目には疑義照会の要否そのものは明記されていません。実際の取扱いは、今後発出される通知等でご確認ください。この選択肢の追加は、保険医療機関の指示を前提とする仕組みである点に注意が必要です。備考欄の指示は、処方箋ごとに記載するものであり、すべての処方箋で減量調剤が認められるわけではありません。この欄にチェックがない処方箋については、そもそも残薬確認時の対応についての指示がない状態となります。したがって医療機関は、どのような患者や薬剤についてこの指示を行うかを、院内で整理しておく必要があります。3. 改定内容②:留意事項通知に薬局の報告と手帳記載を規定する改定内容の第2は、留意事項通知への規定の追加です。規定されるのは、調剤報酬点数表に関する事項、すなわち薬局側の取扱いです。内容は、保険医療機関への情報提供と、手帳への記載の2つです。第1の内容は、保険医療機関への情報提供です。薬局において薬剤を減量して調剤した場合、原則として翌営業日までに、保険医療機関へ情報を提供します。提供する内容は、患者の残薬の状況、その理由、実際に患者へ交付した薬剤の数量、患者への説明内容などです。この情報提供により、医師は次回の処方までに実際の交付量と残薬の背景を把握できます。第2の内容は、手帳への記載です。薬局は、数量を減じて調剤した旨を手帳に記載します。手帳への記載は、患者本人や他の医療機関、他の薬局が調剤内容の変更を確認する手段になります。これらの2つの内容は、事前指示による減量調剤が薬局の判断のみで完結する仕組みではないことを示しています。4. 実務対応:医療機関と薬局はそれぞれ運用ルールを整える施行に向けた実務対応は、医療機関と薬局で内容が分かれます。医療機関は指示の出し方を整え、薬局は減量調剤後の報告体制を整えます。なお本章は、個別改定項目に記載された内容そのものではなく、改定内容から想定される準備事項を整理したものです。医療機関が整えるのは、指示の出し方とシステム対応です。まず、電子カルテやレセプトコンピュータが出力する処方箋を、新しい様式へ更新する必要があります。次に、どの患者にどの選択肢を指示するかの判断基準を、院内で共有します。さらに、薬局から届く情報を、誰がどのように診療録へ反映するかを決めておきます。減量の情報が次回処方に反映されなければ、残薬対策の効果は限定的になるためです。薬局が整えるのは、減量調剤の手順と報告体制です。まず、備考欄の指示を確認し、残薬の状況とその理由を聴取する手順を標準化します。次に、実際に交付した数量と患者への説明内容を記録し、翌営業日までに医療機関へ提供する様式を用意します。さらに、数量を減じた旨を手帳へ記載する運用を、日常業務に組み込みます。報告と記載が滞れば、医療機関との連携そのものが成立しません。なお、様式の切替時期と経過措置は、今後発出される告示および通知でご確認ください。個別改定項目には、施行時期や経過措置に関する記載はありません。本稿の内容は、個別改定項目「④ 残薬対策の推進に向けた処方箋様式の見直し」と、中央社会保険医療協議会の資料「個別事項(その19)残薬対策」に基づく解説です。最終的な運用は、厚生労働省が発出する正式な告示、通知、事務連絡でご確認ください。まとめ:事前指示と事後報告をセットで運用する令和8年度診療報酬改定は、残薬対策の推進に向けて処方箋様式を見直します。処方箋様式の備考欄には、「調剤する薬剤を減量した上で保険医療機関に情報提供する」という選択肢が追加されます。この指示を受けた薬局は、原則翌営業日までに、残薬の状況や実際の交付数量などを保険医療機関へ情報提供します。あわせて薬局は、数量を減じて調剤した旨を手帳へ記載します。医療機関と薬局は、事前指示と事後報告をセットで運用できるよう、施行までに院内・薬局内のルールとシステムを整えておきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】薬剤総合評価調整加算が160点へ|情報連携が算定要件に
病院薬剤師は、入院中のポリファーマシー対策を薬剤総合評価調整加算(A250)で評価されてきました。この加算は、転院先の病院への薬剤情報提供を評価の対象としておらず、転院後に元の処方へ戻る「処方の先祖返り」を防ぎきれていません。本稿では、この課題に対応した令和8年度診療報酬改定の見直し内容を、算定準備の観点から整理します。なお、診療報酬とは、医療サービスに対して医療機関に支払われる対価です。令和8年度改定は、薬剤総合評価調整加算を「施設間の薬剤情報連携までを含めた評価」へ組み替えます。第一に、評価は退院時1回100点から160点へ引き上げられます。第二に、算定要件には、転院時又は退院時における施設間での文書による薬剤情報連携が追加されます。第三に、退院時薬剤情報管理指導料(B014)の退院時薬剤情報連携加算60点は廃止されます。1. 評価の引き上げ:100点から160点へ評価の引き上げは、退院時1回100点から160点への60点増となります。加算区分そのものは新設ではなく、既存のA250の点数改定です。上乗せされた60点は、後述する廃止加算の点数と一致します。したがって、この増点は純粋な引き上げではなく、機能の統合に伴う再配分と読むのが妥当です。増点の対象となる算定要件は、従来のイとロの2区分を維持します。イは、入院前に6種類以上の内服薬が処方されていた患者を対象とする区分です。ロは、精神病棟に入院中の患者であって、入院直前又は退院1年前のいずれか遅い時点で抗精神病薬を4種類以上内服していた患者を対象とする区分です。いずれの区分も、処方内容を総合的に評価した上で処方内容を変更することを前提としています。なお、薬剤調整加算150点については、本項目の改定案に見直しの記載がありません。薬剤調整加算は、薬剤総合評価調整加算の要件を満たした上で2種類以上の減薬を達成した場合に上乗せされる評価です。薬剤調整加算が現行どおりであれば、両者を合わせた最大点数は改定後に310点となります。ただし、他項目での取扱いを含め、最終的な点数は告示で確認してください。2. 算定要件の追加:施設間の文書による薬剤情報連携算定要件には、転院時又は退院時における施設間での文書による薬剤情報連携が追加されます。改定案では、イとロの双方の末尾が「療養上必要な指導を行った場合」から「療養上必要な指導及び情報連携を行った場合」へ改められます。情報連携は、加算のオプションではなく必須要件です。この必須化により、算定のハードルは実質的に上がります。従来のイとロは、告示上、処方内容の総合的評価、処方内容の変更、患者への療養上必要な指導の3点を求めていました。改定後のイとロは、これに施設間の文書による薬剤情報連携を加えた4点を求めます。処方を見直しても文書を交付しなければ、増点後の160点はもちろん、従来算定できていた100点も算定できません。なお、通知では、持参薬の確認、多職種による評価、ポリファーマシー対策の手順書の作成なども現行から求められています。連携の範囲は、「施設間」という文言により転院先の病院や施設まで広がります。従来、病院薬剤師が転院先へ薬剤情報提供書を交付しても、診療報酬上の評価はありませんでした。中医協の資料でも、転院元からの薬剤情報提供がない場合に問い合わせの手間や処方の先祖返りが生じるリスクが指摘されています。改定後は、この転院時の連携が加算の要件として明確に位置づけられます。連携のタイミングも、「転院時又は退院時」として拡張されます。従来の評価は、退院時の保険薬局への情報提供に限られていました。改定後は、急性期病院から回復期・慢性期病院への転院という切れ目でも、連携が評価の対象となります。急性期の短い在院日数では減薬まで到達しにくいという課題に対し、施設をまたいだ長期的な介入を促す設計です。3. 退院時薬剤情報連携加算の廃止退院時薬剤情報連携加算60点は廃止されます。この加算は、退院時薬剤情報管理指導料(B014)の注2に置かれ、入院前の内服薬を変更又は中止した患者について、保険薬局へ文書で理由や変更後の状況を提供した場合に算定できました。改定案では、この注2が削除されます。廃止の影響は、算定パターンによって3つに分かれます。両方の加算を算定してきた医療機関は、合計160点が改定後の160点に置き換わり、点数は変わりません。薬剤総合評価調整加算だけを算定してきた医療機関は、情報連携を実施すれば100点から160点へ増える一方、実施できなければ100点を失います。退院時薬剤情報連携加算だけを算定してきた医療機関は、60点の算定先を失い、入院前6種類以上という患者要件を満たさない限り代替の評価を得られません。ただし、いずれの場合も、退院時薬剤情報管理指導料の本体90点は残ります。算定回数の実績は、3つ目のパターンの影響が小さくないことを示しています。退院時薬剤情報連携加算の算定回数は、令和6年8月審査分で12,327回でした。薬剤総合評価調整加算の算定回数は、令和5年6月審査分で7,793回でした。集計時点が異なるため単純比較はできないものの、いずれも1か月あたりの回数であり、連携加算のほうが多く算定されている点は押さえておくべきです。薬剤総合評価調整加算については、集計対象となった7,985施設のうち算定ありが1,333施設(16.7%)にとどまるという調査結果(令和6年11月審査分・NDB)もあります。保険薬局への情報提供を単独で実施してきた施設は、算定要件の組み替えによる減収を試算しておく必要があります。4. 医療機関に求められる実務対応医療機関に求められる対応は、文書の様式整備と算定フローの見直しに集約されます。改定後の加算は、退院時の患者指導と施設間の文書交付をセットで求めます。どちらか一方が欠ければ算定できないため、退院支援の手順に文書交付を組み込む必要があります。文書の様式整備では、診療情報提供書とは別建ての薬剤情報提供書を準備します。記載すべき内容は、処方変更の理由、変更又は中止した薬剤、変更後の患者の状況が中心となります。中医協の資料でも、薬剤情報提供書を独自に作成している病院の取組が紹介されています。算定フローの見直しでは、6種類以上の内服薬を持つ患者を入院時に抽出する仕組みを確認します。抽出後は、多職種による総合的評価、処方変更、患者指導、文書交付という順序で進めます。ポリファーマシー対策に関する手順書の整備は現行から求められており、この手順書に施設間連携の項目を追記しておくと運用が安定します。まとめ:情報連携を前提とした加算へ令和8年度改定は、薬剤総合評価調整加算を情報連携込みの評価へ組み替えます。点数は退院時1回100点から160点へ引き上げられます。算定要件には、転院時又は退院時における施設間での文書による薬剤情報連携が追加されます。退院時薬剤情報連携加算60点は廃止され、機能が薬剤総合評価調整加算へ統合されます。増点分を確実に受け取るには、薬剤情報提供書の様式と交付手順を改定施行までに整えておくことが要となります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
一部の検体検査で点数が下がる|令和8年度改定「実勢価格を踏まえた適正化」の要点
令和8年度診療報酬改定は、本体プラス2.41%(令和8年度)のプラス改定で決着しました。その一方で、改定の柱のひとつには「効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上」が据えられ、引下げ項目もあわせて並んでいます。引下げ項目を見落とすと、医療機関は改定後の収支見通しを誤ります。本稿は、この引下げ項目のひとつであるⅣ-3-1「① 実勢価格等を踏まえた検体検査等の評価の適正化」について、見直しの根拠、対象、内容、そして現場の対応を解説します。この項目は、実際の取引価格に合わせて一部の検体検査の実施料等を見直すものであり、資料に示された例はいずれも引下げです。見直しの根拠は、衛生検査所検査料金調査で得られた実勢価格等です。見直しの対象は、保険償還価格と実勢価格の乖離が大きい検査です。見直しの内容は、公表資料に例示された2検査で確認でき、アデノウイルス抗原定性(糞便を除く。)が179点から174点へ、SARS-CoV-2核酸検出が700点から650点へと引き下げられます。医療機関の対応は、算定マスタの更新と、検査委託費の再点検の2点になります。見直しの根拠:衛生検査所検査料金調査見直しの根拠は、衛生検査所検査料金調査で把握した実勢価格等です。衛生検査所検査料金調査とは、医療機関が衛生検査所(登録を受けた検査施設)に検体検査を委託する際の実際の取引価格を、国が調べる調査を指します。医薬品の価格を調べる薬価調査、医療材料の価格を調べる材料価格調査と近い役割を、検査分野で担う調査だと理解すると分かりやすくなります。なお、この調査の位置づけの説明は、改定資料そのものの記載ではなく、理解を助けるための補足です。この調査は、公定価格と実際の取引価格とのズレを可視化します。診療報酬の点数は公定価格であり、いったん設定されると自動では動きません。これに対し、検査の委託価格は、検査機器の性能向上や実施件数の増加により下がっていきます。結果として、点数が実勢価格を上回る状態、いわゆる乖離が生じます。この乖離の是正が、今回の改定の基本的な考え方です。厚生労働省は、「衛生検査所検査料金調査による実勢価格等を踏まえ、検体検査の実施料等について評価を見直す」と明示しました。中医協の「これまでの議論の整理」でも、同じ文言が市場実勢価格を踏まえた適正な評価の項目に置かれています。見直しの対象:乖離が大きい検査見直しの対象は、保険償還価格と実勢価格の乖離が大きい検査に絞られます。すべての検体検査が一律に引き下げられるわけではありません。調査で乖離が確認された検査だけが、個別に評価の見直しを受けます。乖離が大きくなりやすい検査の傾向は、一般論として次のように整理できます。ひとつは、実施件数が大きく増えた検査です。もうひとつは、検査キットや試薬の供給が安定し、単価が下がった検査です。ただし、個々の検査がどの理由で対象となったかは、改定資料には示されていません。見直しの内容:例示された2つの検査見直しの内容は、資料に例示された2つの検査で確認できます。ここで注意すべき点は、この2つが【評価を見直す検査の例】として掲げられたものにすぎないことです。対象となる検査は他にもあり、全容は告示および通知で確認する必要があります。第1の例は、アデノウイルス抗原定性(糞便を除く。)です。この検査は、現行の179点から174点へと5点引き下げられます。引下げ率は約2.8%にとどまります。第2の例は、SARS-CoV-2核酸検出です。この検査は、現行の700点から650点へと50点引き下げられます。引下げ率は約7.1%に達し、1件あたりの算定額は500円減ります。この2例から、影響の大きさを決める要素が読み取れます。影響の大きさは、引下げ幅と実施件数の掛け算で決まります。1件あたりの減少額が小さくても、実施件数の多い検査であれば、年間の影響は無視できない規模になります。医療機関の対応:マスタ更新と委託費の再点検医療機関の対応は、算定マスタの更新と検査委託費の再点検という2点に整理できます。どちらも、施行前に着手すべき実務です。第1の対応は、算定マスタの更新です。令和8年度改定の診療報酬本体は、令和8年6月施行とされています。レセプトコンピュータや電子カルテのマスタが更新されないまま6月を迎えると、返戻や査定の原因になります。ベンダーの更新スケジュールを、早めに確認してください。第2の対応は、検査委託費の再点検です。今回の引下げは、実勢価格すなわち委託価格の低下を根拠としています。したがって、自院の委託契約が実勢価格の水準に見合っているかを確認する必要があります。委託単価が下がっていないまま点数だけが下がれば、検査部門の採算は確実に悪化します。この2点に加えて、自院実施と外部委託の比較も検討に値します。検査の点数が下がる局面では、院内実施の固定費と外部委託の変動費のバランスが変わります。実施件数の多い検査ほど、この比較を行う意義は大きくなります。まとめ実勢価格等を踏まえた検体検査等の評価の適正化は、実際の取引価格に合わせて検体検査の実施料等を引き下げる見直しです。根拠は衛生検査所検査料金調査であり、対象は乖離が大きい検査に絞られます。例として示された検査は2つあり、アデノウイルス抗原定性(糞便を除く。)が179点から174点へ、SARS-CoV-2核酸検出が700点から650点へ引き下げられます。対象となる検査はこの2つに限られないため、自院で実施する検査の該当有無は告示および通知で確認してください。医療機関は、算定マスタの更新と検査委託費の再点検を、令和8年6月の施行前に進めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】長期収載品の選定療養、特別の料金が価格差の2分の1へ
長期収載品の選定療養は、令和6年10月に導入された仕組みである。この仕組みでは、患者の希望で長期収載品を使う場合に、後発医薬品との価格差の4分の1相当を「特別の料金」として患者が支払う。この4分の1という水準について、中央社会保険医療協議会(中医協)や社会保障審議会医療保険部会では、「後発医薬品の更なる使用促進に向けて引き上げるべき」との意見が繰り返し示された。令和8年度診療報酬改定は、この特別の料金の水準を引き上げる。本稿は、個別改定項目Ⅳ-1-⑥「長期収載品の選定療養の更なる活用」について、変わる点と変わらない点を整理する。今回の見直しは、患者負担の水準だけを変更する改定である。第一に、特別の料金は、長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1相当から2分の1相当に引き上げられる。第二に、選定療養の対象となる品目の範囲と、選定療養の対象外となる場面は、現行の枠組みが維持される見込みである。第三に、引上げの根拠は、創薬イノベーションの推進、後発医薬品の使用促進、保険給付の公平性の3点にある。第四に、医療機関と薬局には、患者への説明という実務対応が求められる。1. 特別の料金は価格差の「4分の1相当」から「2分の1相当」へ特別の料金の計算式は、価格差に乗じる割合だけが変わる。現行は、長期収載品の薬価から後発医薬品の薬価を差し引いた価格に、4分の1を乗じて患者負担額を算出する。改定後は、この同じ価格差に2分の1を乗じる。告示上の改正も、「保険外併用療養費に係る療養についての費用の額の算定方法」別表第二と、「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」第一の一の三の2か所で、「四分の一」を「二分の一」に置き換えるだけである。なお、ここでいう価格差は、令和6年度改定の制度設計上、後発医薬品の最高価格帯の薬価との差を指す。この置換えによって、患者の窓口負担はどの程度変わるのか。中医協が示したイメージ図では、長期収載品の薬価を1錠20円、後発医薬品の薬価を1錠10円とし、1日4錠を25日分投薬した場合を想定している。この場合の薬剤費は、長期収載品が2,000円、後発医薬品が1,000円となり、価格差は1,000円である。自己負担割合を3割とすると、現行では特別の料金250円と一部負担金525円の合計775円を患者が支払う。改定後は特別の料金500円と一部負担金450円の合計950円となる。この試算から読み取るべき点は、増える額と増える倍率が別物であることだ。特別の料金だけを見れば250円から500円へと2倍になる。一方で、患者が窓口で支払う総額は775円から950円へと175円、率にして約23%の増加にとどまる。特別の料金が増えた分だけ保険給付の対象額が減り、一部負担金が525円から450円に下がるためである。患者への説明では、「2倍になる」という言い方が誤解を生みやすい点に注意したい。負担増の規模感は、レセプトデータからも確認できる。令和6年11月のレセプト分析では、選定療養の対象となった件数は約368万件で、外来・調剤全体の4.9%であった。このうち特別の料金は、1,000円未満が90.0%、2,000円未満が98.3%を占めている。単純に2倍にすると、大半の患者では特別の料金が2,000円未満の範囲に収まる計算になる。なお、上記の金額はいずれもイメージであり、実際の請求額とは一致しない。実務では、薬剤料の点数計算や端数処理を経て金額が確定する。加えて、特別の料金は保険給付の対象外であるため、窓口で請求する際には別途消費税がかかる。この消費税の取扱いは現行と同じであり、今回の改定でも変更されない。2. 選定療養の対象品目と対象外となる場面は変わらない見込み対象範囲のルールは、令和6年度改定で定めた枠組みがそのまま続く見込みである。個別改定項目Ⅳ-1-⑥の告示改正は割合の数字だけを対象としており、対象品目や適用場面の規定には触れていない。中医協に示された「更なる活用に向けた見直し案」も、対象外の取扱いを維持することを前提としていた。したがって、現場の判断フローを組み替える必要はないと考えられる。対象品目の範囲は、後発医薬品の上市からの経過年数と置換率で決まる。具体的には、後発医薬品の上市後5年を経過した長期収載品が対象となる。上市後5年を経過していない長期収載品でも、置換率が50%に達していれば対象となる。ただし、置換率が極めて低く、市場に後発医薬品がほぼ存在しない品目は対象から外れる。対象外となる場面も、2つの類型が維持される。1つ目は、医療上の必要性があると認められる場合である。医師が医療上の必要性から銘柄名処方(後発品への変更不可)を行った場合が、これに当たる。2つ目は、薬局に後発医薬品の在庫がないなど、後発医薬品を提供することが困難な場合である。これら2つの場面では、引き続き長期収載品の薬価で保険給付が行われ、患者は特別の料金を支払わない。3. 引上げの根拠は創薬イノベーション、使用促進、給付の公平性の3点負担水準の引上げには、中医協の議論で整理された3つの根拠がある。厚生労働省は、これらの根拠を「更なる活用に向けた見直し案」の考え方として提示した。以下、3点を順に確認する。第一の根拠は、創薬イノベーションの推進である。先発品企業は、特許期間中の新薬の売上で研究開発投資を回収し、革新的な新薬の創出に再投資する。後発医薬品の上市後は、後発品企業に安定供給等の役割を譲り、先発品は原則として市場から撤退する。この医薬品のライフサイクルを目指すべき姿として、長期収載品への保険給付を絞り込む必要があるとされた。第二の根拠は、後発医薬品の使用促進である。調剤医療費(電算処理分)の後発医薬品割合(数量ベース)は、令和6年度末(令和7年3月)時点で90.6%に達した。厚生労働省は、選定療養の施行後に使用割合が上昇したことから、使用促進に一定の効果があったと評価している。中医協では、制度導入後の使用割合が横ばいで推移しているとして、更なる引上げによって使用促進を図るべきとの意見も示された。第三の根拠は、保険給付の公平性である。長期収載品と後発医薬品は、同一の有効成分を同一量含み、効能・効果と用法・用量も原則として同一である。それにもかかわらず、医療上の必要がないまま長期収載品を使う被保険者には、より多くの保険給付が行われている。この差を縮めることが、医療保険制度の持続可能性の確保と、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減にもつながる。もっとも、中医協では引上げに慎重な意見も出された。負担水準を価格差の全額(1分の1)まで引き上げるべきとの意見がある一方で、患者の経済的負担の変化や、後発医薬品の需要増による安定供給への影響を懸念する意見もあった。小児、慢性疾患を抱える患者、低所得者への配慮を求める発言もあった。厚生労働省の見直し案は「価格差の2分の1以上」とする方向を示すにとどめ、具体的な割合は予算編成過程を経て2分の1に決まった。4. 医療機関と薬局には患者への説明という実務対応が求められる現場が備えるべき対応は、負担増の説明と、対象外判断の記録の2つである。特別の料金が2倍になれば、患者が窓口で受ける印象も変わる。制度自体は変わらないという説明だけでは、患者の納得は得にくい。負担増の説明では、金額の見通しを具体的に伝えることが要点となる。長期収載品と後発医薬品の価格差が大きい品目ほど、特別の料金の増加額も大きくなる。長期処方の患者や、複数の長期収載品を服用する患者では、増加額がさらに積み上がる。ただし、患者調査では「特別の料金がいくらであろうと、先発医薬品を選択する」との回答が28.3%と最も多く、料金の引上げが必ずしも切替えに直結するとは限らない点にも留意が必要である。対象外判断の記録では、根拠を残すことが要点となる。医療上の必要性を理由に選定療養の対象外とする場合は、処方箋の「変更不可(医療上必要)」の記載など、判断の根拠を明確にしておく。後発医薬品の提供が困難で長期収載品を調剤する場合は、在庫状況を確認したうえで対応する。令和6年度の調査では、長期収載品を調剤した品目のうち43.9%が「後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、提供が困難であった」ことを理由としており、この判断は日常的に発生している。施行日については、本個別改定項目の資料に記載がない。選定療養に関する令和6年度の見直しは、改定本体より遅れて令和6年10月1日に施行された経緯がある。実際の適用開始時期は、今後発出される告示および通知で確認する必要がある。まとめ:変わるのは割合だけ、特別の料金は2倍になる令和8年度診療報酬改定は、長期収載品の選定療養における患者負担の水準だけを引き上げる。特別の料金は、長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1相当から2分の1相当に変わる。選定療養の対象品目の範囲と、医療上の必要性や在庫不足による対象外の取扱いは、現行の枠組みが維持される見込みである。引上げの根拠は、創薬イノベーションの推進、後発医薬品の使用促進、保険給付の公平性の3点にある。特別の料金は2倍になるものの、患者が窓口で支払う総額の増加はそれより緩やかで、中医協のイメージ図では775円から950円への増加であった。医療機関と薬局は、施行日を告示で確認したうえで、患者への説明の準備を進めたい。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
バイオ後続品調剤体制加算50点を新設|令和8年度改定で薬局に求められる3つの対応
バイオ後続品は、政府が使用促進の数値目標を掲げる重点分野です。政府は「2029年度末までに、バイオシミラーが80%以上を占める成分数を全体の成分数の60%以上とする」という目標を設定しました。しかし、薬局がバイオ医薬品を扱うには、保冷庫の確保や高額な在庫を抱えるリスクという負担が伴います。加えて、療担規則および薬担規則には、バイオ後続品に関する規定がこれまでありませんでした。本稿では、令和8年度診療報酬改定で新設・見直しされる薬局のバイオ後続品対応について、3つの改定内容と実務上の準備事項を解説します。令和8年度改定は、薬局のバイオ後続品対応を「体制」「説明」「ルール」の3方向から後押しします。第一に、バイオ後続品調剤体制加算50点を新設し、調剤体制を整えた薬局を評価します。第二に、特定薬剤管理指導加算3のロ(10点)の対象に、バイオ後続品に関する患者説明を追加します。第三に、療担規則および薬担規則にバイオ後続品を位置づけ、医療機関と薬局の努力義務を明確にします。1. バイオ後続品調剤体制加算50点の新設バイオ後続品調剤体制加算は、バイオ後続品の調剤体制を有する薬局を評価する新設加算です。この加算は、届出を行った保険薬局がバイオ後続品を調剤した場合に、50点を所定点数に加算します。薬局における保管や在庫管理の負担に着目した評価です。算定対象となるのは、インスリン製剤を除くバイオ後続品の調剤です。算定にあたっては、施設基準に適合する旨を地方厚生局長等に届け出る必要があります。ただし、調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局は、算定対象から除かれます。特別調剤基本料Aを算定する薬局では、加算点数は100分の10に相当する点数(5点)となります。施設基準は、告示と通知の二段構えで定められます。告示では、バイオ医薬品の適切な保管と患者への適切な説明が可能であり、バイオ後続品の調剤に必要な体制が整備されていることを求めます。通知では、これに加えて2つの事項を定めます。ひとつは、成分ごとの使用割合に関する要件です。具体的には、当該薬局で調剤したバイオ医薬品(バイオ後続品のあるものに限る)とそのバイオ後続品の規格単位数量を合算した数量に占めるバイオ後続品の規格単位数量の割合が80%以上となる成分の数を、当該薬局で調剤実績のあるバイオ医薬品の成分数の60%以上とすることが望ましいとされています。もうひとつは、バイオ後続品の調剤を積極的に行っている旨を薬局の内側および外側の見えやすい場所に掲示するという要件です。割合要件は「望ましい」規定として示されています。この水準は、政府目標である「2029年度末までにバイオシミラーが80%以上を占める成分数を全体の成分数の60%以上とする」という考え方と同じ設計です。要件の対象がバイオ後続品のあるバイオ医薬品に限られる点を踏まえ、成分ごとの使用割合を早期に把握しておくことが実務上の備えとなります(なお、今後の取扱いは告示・通知の発出内容によります)。2. 特定薬剤管理指導加算3ロへの対象追加特定薬剤管理指導加算3のロは、調剤前の医薬品選択に関する説明を評価する加算です。この加算は現行10点で、患者1人につき当該品目に関して最初に処方された1回に限り算定します(本項目では点数の見直しは示されていません)。従来の対象は、選定療養の対象となる先発医薬品を選択しようとする患者への説明と、供給不安により銘柄変更が必要となる患者への説明の2つでした。今回の改定では、この対象に3つ目の場面が加わります。追加されるのは、バイオ医薬品の一般名処方による処方箋の交付を受けた患者、またはバイオ後続品が処方された患者に対して、バイオ後続品の品質、有効性、安全性等について説明を行った場合です。対象追加の背景には、処方医からの期待があります。厚生労働省の調査では、バイオ後続品を院外処方する際に薬局・薬剤師に望むこととして、「患者に対して、バイオ後続品の品質や有効性、安全性について説明を行うこと」を挙げた医師が66.3%と最多でした。バイオ後続品は先行品と「同一」ではなく「同等・同質」であるため、患者の納得を得るには薬剤師による丁寧な説明が欠かせません。3. 療担規則・薬担規則へのバイオ後続品の位置づけ療担規則と薬担規則の改正は、バイオ後続品を後発医薬品と並ぶ位置づけに引き上げるものです。従来、両規則には後発医薬品の使用促進に関する規定はあっても、バイオ後続品に関する記載がありませんでした。今回の改正で、この空白が埋まります。保険医療機関及び保険医療養担当規則では、投薬と注射の両方にバイオ後続品が追加されます。投薬については、後発医薬品とバイオ後続品の使用を考慮するとともに、患者に選択の機会を提供する等、患者が選択しやすくするための対応に努める旨が規定されます。注射については、後発医薬品またはバイオ後続品の使用を考慮するよう努める旨が規定されます。これらの規定は、歯科診療の具体的方針にも同様に置かれます。保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則では、備蓄体制と説明義務の2点が改正されます。第七条の二は「後発医薬品の調剤」から「後発医薬品及びバイオ後続品の調剤」に見出しを改め、薬局にバイオ後続品の備蓄体制その他の調剤に必要な体制の確保を求めます。第八条第3項は、患者への説明と調剤の2つを規定します。対象となるのは、処方箋に記載された医薬品に係る後発医薬品またはバイオ後続品が厚生労働大臣の定める医薬品である場合であって、処方箋を発行した保険医等が後発医薬品への変更を認めているとき、または遺伝子組換え技術を応用して製造される医薬品の一般的名称を記載する処方箋を交付したときです。この場合、保険薬剤師は患者に対して後発医薬品またはバイオ後続品に関する説明を適切に行わなければならず、あわせてこれらを調剤するよう努めなければなりません。説明は義務、調剤は努力義務として書き分けられている点に注意が必要です。4. 薬局が準備すべき3つの対応改定を算定に結びつけるには、施行前からの準備が鍵となります。準備すべき事項は、実績の把握、体制の整備、説明の標準化の3つに整理できます。第一に、バイオ医薬品の調剤実績を成分単位で把握します。把握すべき指標は、調剤実績のあるバイオ医薬品の成分数と、そのうちバイオ後続品の使用割合が80%以上となる成分数です。この2つの数値から、通知が求める60%の水準に達しているかを確認します。第二に、保管体制と掲示物を整備します。整備すべき対象は、バイオ医薬品の適切な保管を可能とする保冷庫と、バイオ後続品の調剤を積極的に行っている旨の掲示です。掲示は薬局の内側と外側の双方に必要であるため、店舗ごとに設置場所を点検します。第三に、患者への説明内容を標準化します。標準化すべき内容は、バイオ後続品の品質、有効性、安全性等に関する説明です。説明の要点と使用する資材を薬局内で共有すれば、特定薬剤管理指導加算3のロの算定と、薬担規則が求める説明義務の履行を同時に満たせます。まとめ令和8年度診療報酬改定は、薬局のバイオ後続品対応を体制・説明・ルールの3方向から後押しします。体制面では、バイオ後続品調剤体制加算50点が新設され、届出と掲示、成分ごとの使用割合の把握が求められます。説明面では、特定薬剤管理指導加算3のロの対象にバイオ後続品の説明が追加され、処方医が最も期待する役割が評価されます。ルール面では、療担規則と薬担規則にバイオ後続品が位置づけられ、備蓄体制の確保が努力義務、患者への説明が義務として明確になります。施行に向けて、実績の把握、体制の整備、説明の標準化を早期に進めましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
後発医薬品調剤体制加算が廃止へ|新設「地域支援・医薬品供給対応体制加算」27点を解説
薬局における後発医薬品の使用は、すでに定着しつつあります。一方で、その後発医薬品を中心に不安定な供給が続いています。この供給不安は、医療機関と薬局に、卸への問い合わせや薬局間の融通といった追加的な業務を生んでいます。そこで令和8年度診療報酬改定は、Ⅳ-1-④として「医薬品の安定供給に資する体制に係る評価の新設及び後発医薬品調剤体制加算の廃止」を打ち出しました。本稿は、この項目を「廃止されるもの」と「新設されるもの」に分けて解説します。今回の見直しは、評価の軸を後発医薬品の「使用割合」から医薬品の「安定供給体制」へ切り替えるものです。第一に、後発医薬品調剤体制加算(21点・28点・30点)が廃止されます。第二に、地域支援体制加算に安定供給の評価が加わり、名称が「地域支援・医薬品供給対応体制加算」へ変更されます。第三に、新加算の施設基準は、後発医薬品の調剤割合85%以上に加えて、他薬局への分譲実績や重要供給確保医薬品の備蓄といった具体的な取組を求めます。改定の基本的な考え方:使用促進から供給体制の下支えへ改定の出発点は、後発医薬品をめぐる二つの事実です。ひとつは、使用促進が目的をほぼ達したという事実です。もうひとつは、供給不安が現場の業務量を押し上げているという事実です。この二つを踏まえ、厚生労働省は評価の対象を「割合の達成」から「体制の維持」へ移しました。後発医薬品の使用促進は、加算によるインセンティブの役割をほぼ終えました。中央社会保険医療協議会(中医協)でも、後発医薬品調剤体制加算はその役割を終えたとして廃止を求める意見が出ています。中医協資料によれば、薬局における後発医薬品の使用割合は、すでに9割を超えています。割合を引き上げるための誘導は、もはや必要性が乏しい状況にあります。一方、後発医薬品の供給不安は、薬局の業務を確実に増やしています。在庫が切れた医薬品を入手するため、薬局は複数の卸に問い合わせを行います。それでも入手できない場合、薬局は他の薬局から医薬品を融通してもらいます。こうした作業は、患者への薬剤交付そのものには表れません。しかし、地域の医薬品供給を支える不可欠な業務です。そこで今回の改定は、この見えにくい業務を診療報酬で下支えします。診療報酬とは、医療サービスに対して医療機関や薬局に支払われる対価です。改定は、後発医薬品の割合を達成した薬局ではなく、地域に医薬品を届け続ける体制を持つ薬局を評価します。評価の対象が変わる点こそ、Ⅳ-1-④の核心です。廃止されるもの:後発医薬品調剤体制加算後発医薬品調剤体制加算は、全面的に廃止されます。廃止の対象は、調剤基本料の「注7」に規定された加算1から加算3までのすべてです。改定案では、この注7が丸ごと削除されます。現行の後発医薬品調剤体制加算は、調剤割合に応じた3段階の評価でした。加算1は、調剤割合80%以上で21点を算定できました。加算2は、調剤割合85%以上で28点を算定できました。加算3は、調剤割合90%以上で30点を算定できました。いずれも、処方箋受付ごとに調剤基本料へ上乗せする加算です。この3段階の評価は、令和8年度改定で失われます。ただし、後発医薬品の調剤割合そのものが不要になるわけではありません。割合の要件は、次に述べる新加算の施設基準へ引き継がれます。ここで注意すべき点があります。新加算は、後発医薬品調剤体制加算の単純な置き換えではありません。新加算は地域支援体制加算の枠組みの中に置かれるため、地域支援体制加算に係る要件を満たす薬局しか算定できません。したがって、後発医薬品の調剤割合が85%以上であっても、この枠組みに乗れない薬局は加算を算定できません。この場合、廃止分がそのまま減収となります。新設されるもの:地域支援・医薬品供給対応体制加算1(27点)地域支援体制加算には、医薬品の安定供給に資する体制を持つ薬局への評価が新たに設けられます。あわせて、加算の名称が「地域支援・医薬品供給対応体制加算」へ変更されます。この名称変更は、地域支援体制加算が医薬品供給の拠点機能を担うことを明示するものです。新設される地域支援・医薬品供給対応体制加算1は、27点です。算定できるのは、施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局です。算定の単位は、調剤基本料への加算です。ただし、特別調剤基本料Aを算定する薬局では、100分の10に相当する点数となります。また、調剤基本料の注2に規定する薬局は、算定の対象から除かれます。告示上の施設基準は、二つの柱で構成されます。第一の柱は、地域における医薬品の安定供給を確保するために必要な体制を有することです。第二の柱は、後発医薬品の規格単位数量の割合が85%以上であることです。この割合は、後発医薬品のある先発医薬品と後発医薬品を合算した規格単位数量を分母として算出します。なお、本項目に示されているのは加算1のみです。施設基準も「地域支援・医薬品供給対応体制加算1の施設基準」として示されています。加算2以降の区分や実績要件は、本項目には記載がありません。これらはⅢ-8-③「地域支援体制加算の見直し」に置かれているとみられます。届出の可否を判断する際は、Ⅲ-8-③とあわせて確認してください。通知で示された施設基準:10項目の具体的な取組告示の「必要な体制」は、通知でさらに具体化されます。通知が示す項目は、(1)から(10)までの10項目です。以下では、この10項目を四つの観点に整理して解説します。観点は、薬局内の在庫管理、薬局間・医療機関との連携、卸売販売業者との取引、後発医薬品に係る要件の四つです。薬局内の在庫管理については、二つの取組が求められます((1)、(4))。第一に、医薬品の安定供給に向けた計画的な調達と在庫管理を行うことです。第二に、重要供給確保医薬品のうち内用薬と外用薬について、1か月分程度を備蓄するよう努めることです。この備蓄は「努めること」と書かれた努力義務です。ここでいう備蓄は、薬局が現に在庫を保有している状態を指します。卸売販売業者に在庫を確保させているだけでは、備蓄に該当しません。薬局間・医療機関との連携については、三つの取組が挙げられます((2)、(3)、(8))。ひとつめは、他の保険薬局へ医薬品を分譲した実績を持つことです。この実績から、同一グループの薬局への分譲は除かれます。ふたつめは、処方箋の医薬品が入手困難な場合に適切に対応することです。通知は、在庫を持つ薬局を探し、事前に連絡して在庫を確認したうえで別紙様式を用いて患者に案内する対応を例示しています。処方医へ処方内容の変更可否を照会する対応も、例示に含まれます。みっつめは、地域の保険医療機関や薬局、医療関係団体と連携し、取り扱う品目について情報共有や事前の合意に取り組むことです。この連携は「望ましい」と書かれた努力目標です。卸売販売業者との取引については、三つの姿勢が求められます((5)、(6)、(7))。まず、個々の医薬品の価値や流通コストを無視した値引き交渉を慎むことです。あわせて、原則としてすべての品目を単品単価交渉とします。次に、常に適正な在庫量を維持し、頻回配送、休日夜間配送、急配について過度な依頼を慎むことです。そして、厳格な温度管理を要する医薬品や在庫調整目的の医薬品について、返品を慎むことです。これら三点は、流通改善ガイドラインの内容を診療報酬の要件へ落とし込んだものといえます。後発医薬品に係る要件は、二つ残ります((9)、(10))。ひとつは、後発医薬品の調剤割合が85%以上であることです。この割合は、告示の施設基準ロと同じ内容です。もうひとつは、後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨を薬局の内側と外側の見えやすい場所に掲示することです。いずれも、廃止される後発医薬品調剤体制加算と同趣旨の要件です。薬局が準備すべき四つの実務対応新加算の届出には、書類上の確認だけでは足りない準備が必要です。準備の要点は、実績の記録、備蓄品目の洗い出し、取引方法の見直し、掲示の整備の四つです。いずれも、改定施行までに着手すべき項目です。第一に、他薬局への分譲実績を記録する仕組みを整えます。分譲の相手先が同一グループかどうかで、実績への算入可否が分かれるためです。日付、品目、相手薬局名を残す運用を、いまのうちに定着させましょう。第二に、重要供給確保医薬品の該当品目を洗い出します。内用薬と外用薬について、1か月分程度の在庫が自局にあるかを確認します。この備蓄は努力義務ですが、体制を説明できる状態にしておくことが望まれます。なお、卸に在庫を確保させている品目は、備蓄として認められません。自局の棚にある数量を基準に点検してください。第三に、卸売販売業者との取引方法を見直します。単品単価交渉になっていない品目があれば、交渉の単位を改めます。頻回配送や急配に依存した発注運用があれば、発注のタイミングを整理します。返品についても、温度管理品と在庫調整目的の品を除く運用へ切り替えます。第四に、店舗内外の掲示を確認します。後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨の掲示は、薬局の内側と外側の両方に必要です。既存の掲示物が見えやすい場所にあるかを、あらためて点検しましょう。まとめ令和8年度診療報酬改定のⅣ-1-④は、後発医薬品に関する評価の軸を切り替えます。後発医薬品調剤体制加算(21点・28点・30点)は廃止されます。代わりに、地域支援体制加算が「地域支援・医薬品供給対応体制加算」へ名称を変更し、加算1として27点が新設されます。その施設基準は、後発医薬品の調剤割合85%以上に加えて、分譲実績、重要供給確保医薬品の備蓄、流通改善に沿った取引を求めます。ただし、新加算は地域支援体制加算の枠組みに置かれるため、後発医薬品調剤体制加算の単純な置き換えではありません。薬局に必要な準備は、分譲実績の記録、備蓄品目の洗い出し、取引方法の見直し、掲示の点検です。使用割合を追う改定から、供給体制を守る改定へ。この転換を前提に、自局の体制を早めに点検してください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
後発医薬品使用体制加算が廃止へ|新設「地域支援・医薬品供給対応体制加算」の要点
後発医薬品の使用は、医療現場に定着しつつあります。一方で、主に後発医薬品において不安定な供給が発生し、医療機関と薬局には在庫の確保や処方の変更といった追加的な業務が生じています。本稿では、この状況を受けて令和8年度診療報酬改定で新設される「地域支援・医薬品供給対応体制加算」と「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」の内容を、届出の準備に使える形で整理します。今回の新設は、加算の目的を「後発医薬品の使用促進」から「医薬品の安定供給」へ広げる見直しです。第一に、従来の後発医薬品使用体制加算と外来後発医薬品使用体制加算は廃止されます。第二に、新設される2つの加算は、点数と後発医薬品の数量シェア基準を廃止される加算からそのまま引き継ぎます。第三に、新設される2つの加算の施設基準には、「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」(以下「流通改善ガイドライン」)を踏まえた取引・配送・返品の要件が加わります。1.新設の背景:使用促進から安定供給へ新設の背景には、後発医薬品をめぐる評価の役割が変わったという事情があります。使用促進のインセンティブとしての役割が薄れる一方、供給不安に対応する体制を支える役割が重くなりました。後発医薬品の使用は、着実に広がっています。薬局における後発医薬品の使用割合は9割を超えました。医療機関でも、後発医薬品使用体制加算の届出病院数は令和4年から令和6年にかけて合計で増加しています。ただし、中央社会保険医療協議会では、院内処方における後発医薬品への置換えが60%台にとどまり、薬局と比べて低いとの指摘も出ています。一方、後発医薬品の供給状況は悪化しています。令和6年度改定の結果検証に係る特別調査(令和7年度・病院調査、回答221件)では、1年前と比較した供給体制の変化について「悪化した」と答えた病院が54.8%にのぼりました。同じ調査で、後発医薬品に係る対応の業務量が「増えた」と答えた病院も57.5%を占めています。この業務量の増加は、医療機関に具体的な負担をもたらしています。供給不安で後発医薬品の在庫がなくなると、医療機関は複数の医薬品卸に問い合わせたり、治療計画を見直したりする作業を追加で行います。先発医薬品と後発医薬品の双方を在庫として抱えるコストも、この負担に加わります。こうした負担を支えるため、中央社会保険医療協議会は流通改善ガイドラインを踏まえた評価を検討しました。流通改善ガイドラインは、適正な在庫確保、配送、返品について流通関係者が取り組むべき事項を定めています。ただし、その認知度は低いと指摘されていました。今回の新設は、この指摘に応え、ガイドラインに沿った取組を施設基準に組み込む形で実現しました。2.改定の全体像:2つの加算を廃止し、2つの加算を新設する改定の全体像は、廃止と新設の対応関係で理解できます。入院と外来のそれぞれで、従来の加算が廃止され、名称を改めた新加算が設けられます。入院では、後発医薬品使用体制加算が廃止され、地域支援・医薬品供給対応体制加算が新設されます。外来では、外来後発医薬品使用体制加算が廃止され、地域支援・外来医薬品供給対応体制加算が新設されます。新旧の対応関係は、次のとおりです。【入院】後発医薬品使用体制加算 → 地域支援・医薬品供給対応体制加算* 加算1:87点(数量シェア90%以上)* 加算2:82点(数量シェア85%以上90%未満)* 加算3:77点(数量シェア75%以上85%未満)【外来】外来後発医薬品使用体制加算 → 地域支援・外来医薬品供給対応体制加算* 加算1:8点(数量シェア90%以上)* 加算2:7点(数量シェア85%以上90%未満)* 加算3:5点(数量シェア75%以上85%未満)この対応関係が示すとおり、点数は従来の加算から据え置かれます。区分ごとの後発医薬品の数量シェア基準も、従来の設定を維持します。つまり、今回の見直しの実質は、点数の増減ではなく施設基準の追加にあります。なお、保険薬局についても、別の改定項目として後発医薬品調剤体制加算の廃止と新たな評価の新設が示されています。本稿が扱うのは、保険医療機関を対象とする加算です。3.入院の加算:地域支援・医薬品供給対応体制加算入院の加算は、入院初日に限り算定します。届出を行った保険医療機関に入院している患者のうち、入院基本料(特別入院基本料等を含む)または特定入院料のうち当該加算を算定できるものを現に算定している患者が対象です。区分に応じて、87点、82点、77点を所定点数に加算します。施設基準の第一は、後発医薬品の採用を組織的に決定する体制です。病院では、薬剤部門が後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえて薬事委員会等が採用を決定します。有床診療所では、薬剤部門または薬剤師が同じ情報を収集・評価し、その結果を踏まえて採用を決定します。施設基準の第二は、後発医薬品の数量シェアです。後発医薬品のある先発医薬品と後発医薬品を合算した規格単位数量に占める、後発医薬品の規格単位数量の割合で判定します。加算1は90%以上、加算2は85%以上90%未満、加算3は75%以上85%未満が基準です。なお、告示には下限のみが「九割以上」「八割五分以上」「七割五分以上」と示されており、上限を含む区分は通知で示されます。施設基準の第三は、供給不足時に対応する体制です。医薬品の供給が不足した場合に、治療計画等の見直しを行うなど、処方等の変更に適切に対応できる体制を整備します。施設基準の第四は、患者への掲示です。後発医薬品の使用に積極的に取り組んでいる旨を、入院受付、外来受付、支払窓口の見やすい場所に掲示します。あわせて、供給不足時の対応体制、供給状況により投与する薬剤が変更となる可能性、変更する場合には患者に十分説明することも掲示します。これらの掲示事項は、原則としてウェブサイトにも掲載します。自ら管理するホームページ等を有しない場合は、掲載を要しません。施設基準の第五は、地域における医薬品の安定供給を確保するために必要な体制です。この体制の具体的な内容は、流通改善ガイドラインを踏まえた4項目として通知に示されます。詳細は第5章で説明します。4.外来の加算:地域支援・外来医薬品供給対応体制加算外来の加算は、1処方につき算定します。届出を行った保険医療機関において投薬を行った場合に、区分に応じて8点、7点、5点を所定点数に加算します。施設基準では「診療所であること」と「当該保険医療機関において調剤した」後発医薬品の割合が定められており、対象は診療所の院内処方に限られます。施設基準の第一は、後発医薬品の採用を決定する体制です。診療所において、薬剤部門または薬剤師が後発医薬品の品質、安全性、安定供給体制等の情報を収集・評価し、その結果を踏まえて採用を決定します。施設基準の第二は、後発医薬品の数量シェアです。判定の方法は入院の加算と同じです。加算1は90%以上、加算2は85%以上90%未満、加算3は75%以上85%未満が基準です。施設基準の第三は、供給不足時に対応する体制です。医薬品の供給が不足した場合に、医薬品の処方等の変更等に関して適切に対応できる体制を整備します。施設基準の第四は、患者への掲示です。後発医薬品の使用に積極的に取り組んでいる旨を、受付と支払窓口の見やすい場所に掲示します。あわせて、供給不足時の対応体制、投与薬剤が変更となる可能性、変更時の説明についても掲示します。これらの掲示事項は、原則としてウェブサイトにも掲載します。施設基準の第五は、地域における医薬品の安定供給を確保するために必要な体制です。この要件の内容は、入院の加算と共通します。5.新たに加わる要件:流通改善ガイドラインを踏まえた4項目流通改善ガイドラインを踏まえた要件は、今回の新設にあたって施設基準(通知)に位置付けられました。入院と外来のいずれの加算でも、内容は共通します。医療機関が医薬品卸売販売業者との関係で守るべき行動を、4項目で定めています。第一は、価格交渉に関する要件です。個々の医薬品の価値と流通コストを無視した値引き交渉を慎みます。あわせて、原則としてすべての品目について単品単価交渉とします。第二は、配送に関する要件です。医薬品の流通の効率化と安定供給の確保のため、卸売販売業者への過度な依頼を慎みます。対象となるのは、頻回配送、休日夜間配送、急配です。第三は、返品に関する要件です。厳格な温度管理を要する医薬品と、在庫調整を目的とした医薬品等については、卸売販売業者への返品を慎みます。第四は、地域連携に関する要件です。平時から地域の保険医療機関、保険薬局、医療関係団体と連携し、取り扱う医薬品の品目について情報共有や事前の合意等に取り組みます。ただし、この項目は「望ましい」とされており、必須の要件ではありません。6.届出に向けた実務対応届出に向けた実務対応は、3つの確認作業に整理できます。数量シェアの確認、掲示物の更新、購入・返品ルールの点検です。第一に、後発医薬品の数量シェアを確認します。基準値は従来と変わらないため、現に後発医薬品使用体制加算または外来後発医薬品使用体制加算を届け出ている医療機関は、同じ区分に該当する可能性が高いといえます。ただし、加算そのものは新設であり、改めて届出が必要になると見込まれます。届出手続や経過措置の取扱いは、今後の告示・通知で確認してください。第二に、掲示物を更新します。掲示すべき事項の内容は令和6年度改定から引き継がれますが、加算の名称が変わります。院内掲示とウェブサイトの記載を、あわせて点検してください。第三に、購入・返品ルールを点検します。値引き交渉の方法、卸売販売業者への配送依頼、返品の運用について、流通改善ガイドラインに沿った取扱いになっているかを確認します。この点検は、事務部門と薬剤部門の双方が関わる作業になります。まとめ令和8年度診療報酬改定では、後発医薬品使用体制加算と外来後発医薬品使用体制加算が廃止され、地域支援・医薬品供給対応体制加算と地域支援・外来医薬品供給対応体制加算が新設されます。新加算は、点数と後発医薬品の数量シェア基準を従来の加算から引き継ぎます。一方、施設基準には流通改善ガイドラインを踏まえた価格交渉、配送、返品、地域連携の要件が加わります。届出を予定する医療機関は、数量シェアの確認に加え、掲示物の更新と購入・返品ルールの点検を進めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
バイオ後続品使用体制加算の見直し|令和8年度改定の変更点4つを解説
バイオ後続品使用体制加算は、バイオ後続品の使用を促進する体制を整備した医療機関を評価する入院基本料等加算です。この加算には、算定日と実績要件の2点で運用上の課題がありました。中医協では、入院初日の時点ではバイオ医薬品を使用するかどうかが確定しないケースがあると指摘されています。令和8年度診療報酬改定は、この課題に対応するため、加算の要件を全面的に見直します。本稿では、個別改定項目「Ⅳ-1-② バイオ後続品使用体制加算の見直し」の内容を、現行との対比で解説します。今回の見直しは、算定日の変更、実績要件の再編、対象成分の追加、掲示要件の拡充という4点で構成されます。第1に、算定日が入院初日から退院日に変更されます。第2に、直近1年間の使用回数100回超という要件が廃止され、少なくとも1成分で規格単位数量50以上という要件に置き換わります。第3に、置換率を判定する対象成分の区分に8項目が加わり、うち7成分が新たに判定の対象となります。第4に、掲示要件にバイオ後続品の導入に関する説明の実施が加わります。あわせて、新たに追加された成分には令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。1. 算定日は入院初日から退院日に変更されるバイオ後続品使用体制加算の算定日は、入院初日から退院日に変更されます。この変更は、入院初日以降にバイオ医薬品を使用する場合の算定方法を明確にすることが目的です。あわせて、告示・通知上の用語が「先発バイオ医薬品」から「先行バイオ医薬品」に改められます。現行の算定日である入院初日には、バイオ医薬品を使用するかどうかが確定していない場合があります。中医協の議論では、入院初日の時点でバイオ医薬品の使用が明確になっていないケースが現場の実態として示されました。バイオ後続品を最初から使用するか、途中で切り替えるかは、患者の意向にも左右されます。その結果、入院2日目以降に先行バイオ医薬品やバイオ後続品を使用した患者について、算定の可否や算定日の扱いが判然としませんでした。改定後の算定日である退院日には、入院期間中の使用実績がすでに確定しています。退院日を算定日とすることで、入院初日以降に使用を開始した患者も、加算の対象として整理されます。加算は、退院の日に1回に限り所定点数に加算します。算定日の変更は、レセプト実務の運用にも影響します。月をまたぐ入院では、加算を計上する月が入院月から退院月に移ります。長期入院の患者では、算定の時期が従来より後ろにずれます。医事課と薬剤部は、この時点のずれを前提に算定漏れの確認手順を組み直す必要があります。2. 使用回数100回超の要件は規格単位数量50以上の要件に置き換わる実績要件は、使用回数の合計を問う形から、成分ごとの取扱量を問う形に再編されます。現行の「直近1年間の使用回数の合計が100回を超えること」という施設基準は廃止されます。かわりに、対象成分のうち少なくとも1つ以上の成分で、直近1年間に調剤した規格単位数量の合計が50以上であることが求められます。現行の施設基準は、使用回数の要件と置換率の要件の2階建てでした。使用回数の要件は、直近1年間の先発バイオ医薬品とバイオ後続品の使用回数の合計が100回を超えることを求めます。置換率の要件は、対象成分ごとにバイオ後続品の規格単位数量の割合が80%以上または50%以上であることを求めます。ただし、直近1年間の規格単位数量が50未満の成分は、置換率の判定から除外されていました。この2階建ての構造では、置換率の判定が働かない場合が理論上ありえました。すべての対象成分の規格単位数量が50未満であれば、置換率を判定する成分が1つも残りません。それでも使用回数が100回を超えていれば、加算の算定は可能でした。改定資料は要件見直しの理由を明示していませんが、今回の変更はこの点を整理するものと読めます。改定後の施設基準は、成分ごとの取扱量を必ず問う形に整理されます。告示では、使用回数を問う規定が削除されます。かわりに、実績要件は「バイオ後続品のある先行バイオ医薬品及びバイオ後続品の使用について、十分な実績を有すること」という包括的な規定に改められます。成分ごとの割合の基準も告示から削除され、通知に集約されます。通知では、規格単位数量が50未満の成分について基準未満でも差し支えないとしたうえで、少なくとも1つ以上の成分で規格単位数量の合計が50以上であることを求めます。この結果、置換率の判定は必ず1成分以上で行われます。3. 対象成分に7成分が加わり、ラニビズマブは80%区分に移る置換率を判定する対象成分には、80%以上の区分に4項目、50%以上の区分に4項目が加わります。この8項目のうち、ラニビズマブは50%以上の区分から80%以上の区分への移動です。したがって、新たに判定の対象となる成分は7成分です。追加の考え方は、バイオ後続品のある先行バイオ医薬品として新たに収載された医薬品等を、その使用状況に応じて対象に加えるというものです。80%以上の区分には、ラニビズマブ、インスリングラルギン、ダルベポエチン、フィルグラスチムの4項目が加わります。この区分は、成分全体の規格単位数量に占めるバイオ後続品の割合が80%以上であることを求めます。改定後の対象は、従来の4成分とあわせて8成分になります。50%以上の区分には、アフリベルセプト、ウステキヌマブ、ペグフィルグラスチム、トシリズマブの4項目が加わります。この区分は、成分全体の規格単位数量に占めるバイオ後続品の割合が50%以上であることを求めます。改定後の対象は、ラニビズマブが抜けたうえで4項目が加わるため、現行の9成分から12成分になります。改定後の対象成分は、次のとおり整理されます。■ 80%以上の区分(改定後:8成分)* 現行から継続:エポエチン/リツキシマブ/トラスツズマブ/テリパラチド* 今回加わる4項目:ラニビズマブ(50%区分からの移動)/インスリングラルギン/ダルベポエチン/フィルグラスチム■ 50%以上の区分(改定後:12成分)* 現行から継続:ソマトロピン/インフリキシマブ/エタネルセプト/アガルシダーゼベータ/ベバシズマブ/インスリンリスプロ/インスリンアスパルト/アダリムマブ* 今回加わる4項目:アフリベルセプト/ウステキヌマブ/ペグフィルグラスチム/トシリズマブ対象成分の拡大は、政府のバイオ後続品の数値目標を背景としています。以下の数値は、中医協および社会保障審議会医療保険部会の資料によるものです。政府は、2029年度末までに、バイオ後続品が80%以上を占める成分数を全体の成分数の60%以上とする目標を設定しました。2024年度時点で80%以上置き換わった成分数は、18成分中4成分の22.2%にとどまります。バイオ後続品への置換え率も、金額ベースで33.7%(令和6年薬価調査)です。対象成分の追加は、この目標と実績の差を縮める施策の一つと位置づけられます。4. 掲示要件が拡充され、追加成分には経過措置が設けられる施設基準の掲示要件は、説明の実施状況を含む内容に拡充されます。あわせて、今回追加された成分の割合基準には、令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。この2点は、届出済みの医療機関が改定時に確認すべき実務上の要点です。掲示要件は、現行の1項目から2項目に増えます。現行の掲示事項は、入院及び外来においてバイオ後続品の使用に積極的に取り組んでいる旨です。改定後は、これに加えて、バイオ後続品の導入に関する説明を積極的に行っている旨を掲示します。院内の掲示物は、改定に合わせて記載を差し替える必要があります。経過措置は、令和8年3月31日時点でバイオ後続品使用体制加算を届け出ている医療機関が対象です。対象の医療機関は、令和9年5月31日までの間に限り、今回加わった8項目について、割合の基準を満たしているものとみなされます。この8項目には、50%以上の区分から80%以上の区分に移るラニビズマブも含まれます。この猶予により、新たに対象となった成分の置換えが進んでいない場合でも、届出を継続できます。ただし、経過措置の適用には条件が付きます。経過措置により基準を満たす医療機関は、従来から対象であった成分のうち少なくとも1つ以上で、直近1年間の先行バイオ医薬品及びバイオ後続品の規格単位数量の合計が50以上である必要があります。従来の対象成分の取扱量が乏しい医療機関は、経過措置を利用できません。届出の継続を見込む医療機関は、まず従来成分の規格単位数量を確認してください。改定に向けた準備は、次の4点に整理できます。第1に、直近1年間の成分別の規格単位数量を集計します。第2に、新たに対象となった成分の置換状況を確認します。第3に、院内の掲示物の記載を見直します。第4に、退院日算定への変更に合わせてレセプト運用を見直します。まとめ:4つの変更点を押さえて改定に備える令和8年度診療報酬改定は、バイオ後続品使用体制加算の要件を4点で見直します。算定日は、入院初日から退院日に変更されます。実績要件は、使用回数100回超の基準が廃止され、少なくとも1成分で規格単位数量50以上という基準に置き換わります。対象成分は、80%以上の区分と50%以上の区分にそれぞれ4項目が加わり、うち7成分が新たに判定の対象となります。掲示要件は、バイオ後続品の導入に関する説明の実施を含む内容に拡充されます。届出済みの医療機関は、令和9年5月31日までの経過措置の適用条件をあわせて確認してください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|処方箋料の見直し 一般名処方加算は8点・6点へ
令和8年度診療報酬改定で、処方箋料の評価体系が見直されます。厚生労働省は個別改定項目「Ⅳ-1 後発医薬品・バイオ後続品の使用促進-①処方箋料の見直し」で、その具体的な内容を示しました。医療機関は、点数の変更だけでなく、算定対象の拡大と算定ルールの明確化にも対応しなければなりません。本稿は、この処方箋料の見直しを3つの変更点に整理して解説します。処方箋料の見直しは、一般名処方加算の点数引下げ、加算対象へのバイオ後続品の追加、緊急時の投薬に関する取扱いの明確化という3点です。第1に、一般名処方加算1は10点から8点に、加算2は8点から6点に引き下げられます。第2に、バイオ後続品のあるバイオ医薬品を一般名処方した場合も、加算の対象となります。第3に、同一診療日に院内投薬と院外処方箋を併用した場合の算定方法が、通知上で明文化されます。1. 一般名処方加算は各2点の引下げ一般名処方加算は、加算1と加算2のいずれも2点引き下げられます。この見直しは、後発医薬品の置き換えが進展したことを踏まえた対応です。医療機関にとっては、処方箋の交付回数に応じて収入に直結する変更となります。改定案の点数は、次のとおりです。* 一般名処方加算1:10点(現行)→ 8点(改定案)* 一般名処方加算2:8点(現行)→ 6点(改定案)点数の引下げは、令和6年度改定で引き上げた点数を一部引き下げるものです。令和6年度改定では、加算1を7点から10点に、加算2を5点から8点に引き上げました。改定後の8点と6点は、この引上げ前の水準である7点と5点を上回っています。一般名処方の実施も、処方箋料の算定回数に占める一般名処方加算の算定割合が令和4年の60.8%から令和6年には66.0%へと伸びました。中医協に提出された特別調査は、この伸びが点数以外の要因にも支えられていることを示しています。一般名処方が増えたと回答した医師91人に理由を尋ねたところ(複数回答)、「オーダリングシステムの変更など一般名処方に対応できる院内体制が整備されたから」が57.1%で最も多く、「一般名処方加算の点数が引き上げられたから」は41.8%で続きました。同じ調査では、令和6年度改定による処方箋料の見直しが処方に与えた影響について、97.3%の医師が「特に処方の判断に変化はない」と回答しています。引下げの背景には、加算の政策的な役割が一巡したという評価があります。一般名処方加算は、銘柄にこだわらない処方の判断、電子カルテシステムの導入・運用コスト、患者への説明といった手間を評価するために設けられた加算です。支払側委員は、後発医薬品の数量割合と金額割合がいずれも相当程度まで上昇したことを踏まえ、従来と同様の加算の仕組みを継続する妥当性は低いと主張していました。医療機関への影響は、処方箋の交付回数に比例して現れます。一般名処方加算は、処方箋の交付1回につき算定する加算だからです。1回あたりの減少は2点にとどまりますが、外来患者数が多い医療機関ほど累積の影響は大きくなります。2. バイオ後続品のあるバイオ医薬品が加算対象に追加一般名処方加算の対象に、バイオ後続品のあるバイオ医薬品が追加されます。この追加は、バイオ後続品の使用促進を目的とした見直しです。医療機関にとっては、加算1と加算2の判定に関わる実務上の変更となります。対象の追加により、加算の算定範囲は「後発医薬品のある医薬品」から「後発医薬品のある医薬品及びバイオ後続品のあるバイオ医薬品」に広がります。ただし、バイオ後続品の適応のない患者に対して使用する先行バイオ医薬品は、対象から除かれます。同じ先行バイオ医薬品でも、その患者の適応にバイオ後続品があるかどうかで加算の対象が変わる点に注意が必要です。対象範囲の拡大は、加算1と加算2の判定にも及びます。加算1は、交付した処方箋に含まれる後発医薬品のある医薬品とバイオ後続品のあるバイオ医薬品が2品目以上あり、その全てが一般名処方されている場合に算定します。加算2は、1品目でも一般名処方されたものが含まれている場合に算定します。品目数は一般的名称で計算し、投与経路が異なる場合は一般的名称が同一でも別品目として計算します。一般名処方の定義そのものも、あわせて改められます。現行の通知は、一般名処方を「先発医薬品か後発医薬品かといった個別の銘柄にこだわらずに処方を行っているもの」と説明しています。改定案は、この説明に「先行バイオ医薬品若しくはバイオ後続品」を加え、バイオ医薬品を含む定義に拡張しました。対象追加の背景には、バイオ後続品の置き換えが進んでいない現状があります。バイオ後続品への置き換え率は、令和6年薬価調査で金額ベース33.7%にとどまります。政府は2029年度までに、バイオ後続品が80%以上を占める成分数を全体の60%以上とする目標を掲げていますが、2024年度時点の実績は22.2%です。中医協では、患者がバイオ後続品を選択できる環境整備の方策として、一般名処方加算の対象化が議論されました。3. 院内投薬と院外処方箋を併用した場合の取扱いを明確化同一診療日に院内投薬と院外処方箋を併用した場合の取扱いが、通知上で明確化されます。この明確化は、緊急やむを得ない事態に限って認められる例外的な取扱いです。医療機関にとっては、算定方法とレセプト記載の運用を整備すべき項目となります。原則は、現行と変わりません。同一の患者に対して、同一診療日に、一部の薬剤を院内において投薬し、他の薬剤を院外処方箋により投薬することは、原則として認められません。また、注射器、注射針又はその両者のみを処方箋により投与することも認められません。改定案は、この原則にただし書きを追加しました。緊急やむを得ない事態が生じ、このような方法による投薬を行った場合は、「F000」調剤料及び「F100」処方料は算定せず、院内投薬に係る「F200」薬剤及び処方箋料を算定します。あわせて、診療報酬明細書の「摘要欄」に、その日付と理由を記載します。「緊急やむを得ない事態」の範囲も、改定案で具体的に示されました。第1は、常時院外処方箋による投薬を行っている患者に対して、患者の症状等から緊急に投薬の必要性を認めて臨時的に院内投薬を行った場合です。第2は、常時院内投薬を行っている患者に対して、当該保険医療機関で常用していない薬剤を緊急かつ臨時的に院外処方箋により投薬した場合です。いずれも「常時の投薬方法と異なる投薬を緊急かつ臨時的に行った場合」という点で共通しています。4. 医療機関が準備すべき3つの対応3つの変更点は、医療機関に3つの実務対応を求めます。準備の対象は、点数マスタ、処方オーダの運用、レセプト記載の運用です。いずれも改定の施行までに整えておく必要があります。第1に、点数マスタの更新が必要です。一般名処方加算1と加算2の点数を、改定後の8点と6点に反映します。第2に、バイオ医薬品の一般名処方への対応を確認します。中医協資料によれば、一般名処方の標準的な記載を定めた「一般名処方マスタ」には、これまでバイオ医薬品が掲載されていませんでした。処方オーダシステムがバイオ医薬品の一般名処方に対応できるか、事前の確認が欠かせません。第3に、緊急時の投薬に関するレセプト記載の手順を整えます。院内投薬と院外処方箋を併用した場合は、摘要欄に日付と理由を記載する必要があるためです。記載漏れを防ぐため、医事課と診療部門の連携ルールを決めておくと確実です。まとめ令和8年度改定の処方箋料の見直しは、3つの変更点に整理できます。第1に、一般名処方加算1は10点から8点へ、加算2は8点から6点へ、それぞれ2点引き下げられます。第2に、バイオ後続品のあるバイオ医薬品の一般名処方が、加算の対象に追加されます。第3に、緊急やむを得ず院内投薬と院外処方箋を併用した場合の算定方法とレセプト記載が、明確化されます。医療機関は、点数マスタの更新、処方オーダの確認、レセプト記載の運用整備という3点を進めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
在宅オンライン薬剤管理指導料が廃止|服薬管理指導料4への統合を3分で理解
令和8年度診療報酬改定は、「Ⅲ-8 地域の医薬品供給拠点としての薬局に求められる機能に応じた適切な評価、薬局・薬剤師業務の対人業務の充実化」の⑨として、調剤報酬体系の簡素化に向けた見直しを掲げます。この簡素化が必要とされた背景には、情報通信機器を用いた服薬指導の評価が、在宅患者オンライン薬剤管理指導料(59点)、在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料(59点)、服薬管理指導料4(45点又は59点)の3か所に分散している現状があります。本稿は、この3項目の統合によって在宅オンライン服薬指導の算定がどう変わるかを、改定案の条文に沿って整理します。今回の見直しは、在宅の2つのオンライン薬剤管理指導料を廃止し、服薬管理指導料4に一本化する内容です。廃止されるのは、在宅患者訪問薬剤管理指導料の注2に規定する在宅患者オンライン薬剤管理指導料と、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の注1に規定する在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料の2項目です。この2項目の受け皿として、服薬管理指導料4にロとハが新設され、同区分はイからニまでの4区分に再編されます。再編にあわせて、ロとハを算定する場合の加算の取扱いと、在宅患者訪問薬剤管理指導料等と通算する算定回数の上限も明確化されます。廃止される2つのオンライン薬剤管理指導料廃止の対象は、在宅患者向けに設けられた59点のオンライン評価2項目です。いずれも、訪問系の管理指導料の「注」の中に置かれた枝番の評価であり、条文を読み解く負担が大きい構造でした。以下、対象項目を順に確認します。第一に、在宅患者訪問薬剤管理指導料の注2に規定する在宅患者オンライン薬剤管理指導料が廃止されます。この項目は、在宅で療養する通院困難な患者に対し、訪問薬剤管理指導と別日に情報通信機器を用いた薬学的管理及び指導を行った場合に、月4回(末期の悪性腫瘍の患者、注射による麻薬の投与が必要な患者及び中心静脈栄養法の対象患者は週2回かつ月8回)を上限として59点を算定するものでした。あわせて、保険薬剤師1人につき週40回という上限も設けられていました。廃止に伴い、注2以降の加算は注番号が1つずつ繰り上がります。あわせて、麻薬管理指導加算22点、乳幼児加算12点、小児特定加算350点といった、オンライン時にのみ適用されていた低い点数設定も削除されます。第二に、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の注1ただし書に規定する在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料が廃止されます。この項目は、患者の状態の急変等に伴い、情報通信機器を用いて必要な薬学的管理及び指導を行った場合に59点を算定するものでした。この項目は独立した注ではなく注1のただし書に置かれていたため、廃止後も注2以降の加算の注番号は変わりません。あわせて、注10(新型インフルエンザ等感染症等の患者への緊急訪問)に置かれていたオンライン時の読み替え規定も削除されます。この削除により、注10で別に算定できないとされる項目は、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料が外れ、服薬管理指導料のみとなります。新設される服薬管理指導料4のロとハ廃止された2項目は、服薬管理指導料4の新区分として整理されます。現行のイとロの2区分は、改定後にイからニまでの4区分へ再編されます。再編後の区分と点数は、次のとおりです。* イ:原則3月以内に再度処方箋を提出した患者に対して行った場合 → 45点* ロ:在宅で療養を行っている患者であって通院が困難なものに対して行った場合(ハの場合を除く) → 59点* ハ:ロのうち、患者の状態の急変等に伴い行った場合 → 59点* ニ:イからハまで以外の場合 → 59点新設のロは、計画的な在宅オンライン服薬指導の受け皿です。ロは、訪問薬剤管理指導と同日に行う場合を除き、在宅患者訪問薬剤管理指導料と合わせて月4回(末期の悪性腫瘍の患者、注射による麻薬の投与が必要な患者又は中心静脈栄養法の対象患者は週2回かつ月8回)を上限に算定します。この上限は、廃止前の在宅患者オンライン薬剤管理指導料と同じ考え方です。新設のハは、急変時の在宅オンライン服薬指導の受け皿です。ハは、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料と合わせて月4回(末期の悪性腫瘍の患者、注射による麻薬の投与が必要な患者又は中心静脈栄養法の対象患者は週2回かつ月8回)を上限に算定します。算定回数は、ハと在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を通算して管理してください。区分ニは、現行のロを引き継ぐ受け皿です。イの対象患者であっても手帳を提示しない場合は、現行ではロにより算定していました。改定後は、同じ場合をニにより算定します。点数はいずれも59点であり、水準は変わりません。加算と算定回数の取扱い統合に伴い、ロとハを算定する場合の加算の取扱いが整理されます。ロとハは、訪問系の管理指導料から移設された区分です。そのため、外来を前提とする加算の一部が算定できない旨、条文上に明記されます。ロ又はハを算定する場合に加算できない項目は、4つです。特定薬剤管理指導加算1、特定薬剤管理指導加算2、特定薬剤管理指導加算3、吸入薬指導加算が、これに当たります。これらは、いずれも各注の末尾に「4のロ又はハを算定する場合においては加算しない」との規定が追加されます。一方で、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者への併算定は、明確に可能となります。現行の注11は、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者について、別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬を除き服薬管理指導料を算定しないと定めていました。改定後の注11は、この例外に「4のロ若しくはハを算定する場合」を加えます。なお、特別調剤基本料等を算定する薬局の取扱いは、現行から変わりません。調剤基本料の注2に規定する厚生労働大臣が定める保険薬局では、服薬管理指導料4を算定できません。この制限は、廃止される2項目にも同様に置かれていたものです。実務で確認すべき3つのポイント改定に向けた実務対応では、算定区分の判断と入力設定の見直しが中心となります。廃止と統合は点数水準を維持する見直しですが、レセプトコンピュータ上の項目は入れ替わります。以下、確認すべき事項を3つ挙げます。第一に、在宅患者のオンライン服薬指導について、算定項目の対応表を整備してください。計画的な指導はロ、急変時の指導はハに振り替わります。訪問と同日に行うオンライン指導はロの対象外であるため、実施日の管理も必要です。第二に、加算の算定可否を薬歴・レセコンの設定に反映してください。ロとハでは、特定薬剤管理指導加算1から3まで及び吸入薬指導加算を算定できません。ハイリスク薬や吸入薬を扱う在宅患者では、収入への影響を事前に試算しておくと安全です。第三に、告示・通知の公表後に、加算の細目を再確認してください。今回の個別改定項目では、服薬管理指導料の注8及び注9が「(略)」とされ、条文が示されていません。また、服薬管理指導料には麻薬管理指導加算が設定されていないため、廃止前のオンライン時に算定できた麻薬管理指導加算22点に相当する評価は、本資料からは確認できません。これらの取扱いは、告示及び疑義解釈で確定します。まとめ令和8年度改定の項目⑨は、調剤報酬の簡素化として、類似する算定項目を統合します。在宅患者オンライン薬剤管理指導料と在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料は、廃止されます。廃止された2項目は、服薬管理指導料4に新設されるロ及びハへ移り、同区分はイからニまでの4区分に再編されます。ロ及びハを算定する場合は、特定薬剤管理指導加算1から3まで及び吸入薬指導加算を算定できません。点数水準は59点で維持されるため、実務上の要点は、算定区分の振替と加算設定の見直しに集約されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
服用薬剤調整支援料2が1,000点へ|令和8年度改定の要件と評価を解説
令和8年度診療報酬改定は、服用薬剤調整支援料2の算定要件と評価を全面的に見直す。現行の服用薬剤調整支援料2は、複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方された患者について、重複投薬等の解消提案を90点または110点で評価してきた。しかし、薬剤数の削減や重複投薬の解消だけに着目した評価では、薬物治療の質を高める調整支援を評価できない。本稿は、この見直しの内容を、評価、算定要件、実務対応の3点から整理する。見直しの要点は、評価の大幅な引き上げ、算定要件の厳格化、適用日の後ろ倒しの3つである。評価は、90点・110点の2段階から1,000点の一本化に変わる。算定要件は、研修を修了したかかりつけ薬剤師による薬物療法の適正化支援に変わる。適用日は、令和9年6月1日に設定される。なお、本項目が見直しの対象とするのは服用薬剤調整支援料2のみであり、服用薬剤調整支援料1については何ら記載がない。1. 見直しの背景:薬剤数から薬物治療の質へ今回の見直しは、服用薬剤数の削減によらない調整支援の手法が策定された状況を踏まえたものである。厚生労働省は、基本的な考え方でこの点を明記した。つまり、「何種類減らしたか」から「どのように薬物治療を適正化したか」へ、評価の軸が移る。評価の軸が移る背景には、従来の減薬中心の評価が抱えた限界がある。中医協の資料によれば、服用薬剤調整支援料等の算定回数は経時的に増加してきた。それにもかかわらず、令和2年時点で75歳以上であった患者の服用薬剤数は、5年間で増加傾向を示した。減薬に着目した評価を積み重ねても、多剤服用そのものは減っていない。多剤服用が減らない状況に対して、質に着目した手法が示されている。高齢者医薬品適正使用検討会は、「服薬簡素化提言」に基づく服薬の集約化を紹介した。同検討会は、「日本版抗コリン薬リスクスケール」を用いたリスク低減の手法も紹介した。いずれも、薬剤数を減らさずに薬物治療の安全性を高める手法である。こうした手法の登場を受け、中医協の分科会は評価の見直しを求めた。入院・外来医療等の調査・評価分科会では、「薬剤数ではなく、ポリファーマシー対策が適正に実施されているか、質を評価すべき」との意見が出された。ポリファーマシーとは、単に服用する薬剤数が多い状態ではない。薬物有害事象のリスク増加や服薬アドヒアランス低下などの問題につながる状態を指す。今回の見直しは、この分科会の意見を制度に反映したものである。2. 評価の見直し:90点・110点から1,000点へ評価は、90点・110点の2段階から1,000点へ一本化される。引き上げ幅は、約9倍から11倍にのぼる。調剤報酬の項目としては異例の水準である。一本化にともない、点数を分けていた施設基準は削除される。現行の服用薬剤調整支援料2は、重複投薬等の解消に係る実績を持つ薬局を110点で評価し、それ以外の薬局を90点で評価してきた。改定後は、この実績要件(施設基準十一の二)がなくなる。薬局単位の実績ではなく、薬剤師個人の資質と業務の中身で評価する仕組みに変わる。一方で、算定できない薬局の範囲は現行から変わらない。「調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局」においては、改定後も算定できない。この除外規定は、現行の文言がそのまま維持される。ただし、令和8年度改定では敷地内薬局に関する見直しも別途議論されている。除外の対象となる薬局の具体的な範囲は、告示の確定を待って確認したい。3. 算定要件の見直し:かかりつけ薬剤師による適正化支援へ算定要件は、重複投薬等の解消提案から、かかりつけ薬剤師による薬物療法の適正化支援へ変わる。実施者、実施内容、算定回数の3つが同時に見直される。現行と改定案の対比は、次のとおりである(矢印の左が現行、右が改定案)。* 点数:イ110点・ロ90点 → 1,000点に一本化* 実施者:保険薬剤師 → かかりつけ薬剤師(研修修了者に限る)* 対象患者:複数医療機関から6種類以上の内服薬が処方されていたもの → 複数医療機関から6種類以上の内服薬が処方されている患者* 算定の起点:患者又はその家族等の求め → 変更なし* 把握の方法:一元的に把握 → 継続的及び一元的に把握* 提案の前提:重複投薬等が確認された場合 → 服用中の薬剤の調整を必要と認め、必要な評価等を実施した場合* 提案の内容:重複投薬等の解消に係る提案 → 服用中の薬剤の調整に係る提案* 算定回数:3月に1回 → 同一患者につき6月に1回、かつかかりつけ薬剤師1人につき月4回まで* 施設基準:重複投薬等の解消に係る実績 → 削除実施者は、総合的な管理及び評価に必要な研修を受けたかかりつけ薬剤師に限定される。厚生労働省は、この研修の水準を留意事項通知で規定する方針を示した。具体的には、相当程度の保険薬局勤務年数を持つ薬剤師を対象とする。加えて、極めて高度な水準の専門性を持ち、ポリファーマシー対策に関する十分な時間の研修を受講した薬剤師に限る。1,000点という評価は、この限定と一体で設けられている。実施内容は、留意事項通知で6項目が具体的に示される予定である。厚生労働省が示した実施事項は、次の6つである。* ア 薬物治療に関する患者又はその家族等からの主観的情報の聴取* イ 検査値等の薬物治療に必要な客観的情報の収集* ウ 服薬支援に必要な患者の生活状況及び意向に関する情報の聴取* エ 各服用薬剤がもたらす治療効果及び有害事象の評価* オ 解決すべき薬剤関連問題の特定及び整理* カ 服用薬剤調整後の観察計画及び対応案の立案6項目は、主観的情報と客観的情報の収集から始まり、評価、問題の特定、調整後の計画立案まで一連の流れを構成する。処方箋の内容を点検するだけでは、この要件を満たせない。検査値の入手と、調整後のフォローアップまでを含む包括的な業務が求められる。算定の起点は、現行と同じく患者又はその家族等の求めである。薬局の判断だけで実施しても、算定要件を満たさない。この点は、現行の規定がそのまま維持される。算定回数は、患者単位と薬剤師単位の二重の上限で管理される。同一の患者に対しては、6月に1回に限り算定できる。現行の3月に1回から、間隔が倍に延びる。また、かかりつけ薬剤師1人につき、月4回までしか算定できない。同一患者への算定間隔が6月であることを踏まえると、1人の薬剤師が1か月に算定できる患者は4人までとなる計算である。4. 実務対応:令和9年6月1日までの準備適用日は、令和9年6月1日である。多くの改定項目が令和8年6月1日に適用されるのに対し、本項目は約1年遅れて適用される。資料は理由を明示していない。ただし、研修の受講が要件となる以上、体制整備の期間を確保したものと考えられる。準備期間を踏まえ、薬局は3つの対応を計画したい。第1に、対象となる薬剤師の選定と研修受講の計画である。第2に、かかりつけ薬剤師として関与する患者の把握と、対象患者の抽出である。第3に、検査値の入手方法と、調整後の観察計画を記録する様式の整備である。いずれも、通知の発出を待ってから着手すると間に合わない。ただし、要件の詳細は留意事項通知の発出まで確定しない。研修の実施主体、時間数、勤務年数の目安は、いずれも現時点で示されていない。「かかりつけ薬剤師」がかかりつけ薬剤師指導料等の同意を前提とするのかも、資料からは読み取れない。今後の通知やQ&Aを確認したうえで、具体的な体制を固める必要がある。まとめ:薬剤師個人の専門性を評価する制度へ令和8年度改定は、服用薬剤調整支援料2を、薬剤数の削減を評価する仕組みから薬物治療の質を評価する仕組みへ転換する。評価は、90点・110点から1,000点へ一本化される。算定要件は、研修を修了したかかりつけ薬剤師による包括的な適正化支援へ厳格化される。適用日は令和9年6月1日であり、準備の時間は残されている。薬局単位の実績ではなく、薬剤師個人の専門性が問われる制度へ、評価の軸が移る。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|吸入薬指導加算の見直し インフルエンザ患者も対象に
吸入薬指導加算は、喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者に対する保険薬局の吸入指導を評価してきました。一方、インフルエンザウイルス感染症の患者に対する吸入指導は、同程度の時間と労力を要しながら、評価の対象外でした。本稿では、令和8年度診療報酬改定における吸入薬指導加算の見直しを、対象患者、算定間隔、実務対応の3点から解説します。今回の見直しは、対象患者を広げる一方で、算定間隔を長くする内容です。対象患者には、インフルエンザウイルス感染症の患者が加わります。算定間隔は、3月に1回から6月に1回へ延長されます。これに対して、求めに応じた指導、患者の同意、文書と練習用吸入器等の使用、保険医療機関への文書提供という算定要件は、現行のまま維持されます。1. 対象患者の見直し|疾患名の限定から吸入薬の投薬による整理へ対象患者の見直しは、条文から疾患名の限定を外す形で行われます。この整理により、インフルエンザウイルス感染症の患者が新たに算定対象へ加わります。現行の条文は、対象患者を「喘息又は慢性閉塞性肺疾患の患者であって、吸入薬の投薬が行われているもの」と規定しています。この規定では、疾患名が喘息とCOPDに限定されます。そのため、インフルエンザ治療薬の吸入指導は、どれだけ丁寧に実施しても算定できませんでした。改定案の条文は、対象患者を「吸入薬の投薬が行われている患者」と規定します。この規定は、疾患名ではなく、吸入薬が投薬されているという事実で対象を判断します。改定資料は、この整理の根拠として、患者が自ら吸入を行う吸入薬の適応症が喘息、慢性閉塞性肺疾患、インフルエンザウイルス感染症の3つのみである点を挙げています。2. 算定間隔と評価の見直し|3月に1回から6月に1回へ算定間隔の見直しは、同一患者に対する算定回数を実質的に絞る内容です。対象患者の拡大とあわせて読むと、今回の改定は「広く、ただし頻度は抑えて」評価する方向だと理解できます。改定案では、算定間隔が3月に1回から6月に1回へ延長されます。この延長により、同一患者への算定機会は実質的に半減します。慢性疾患の患者を継続して支援している薬局では、算定回数が減る可能性があります。点数は、現行と改定案のいずれも30点と記載されています。個別改定項目は変更箇所に下線を付す形式であり、改定案の条文で下線が付されているのは「6月」の部分だけです。したがって、資料上は点数が据え置かれると読み取れます。ただし「具体的な内容」には「算定可能な間隔及び評価を見直す」と記載されているため、最終的な点数は告示および関連通知で確認してください。3. 見直しの背景|インフルエンザ吸入指導の実態調査見直しの背景には、中央社会保険医療協議会(中医協)に示されたインフルエンザ吸入薬指導の実態があります。この実態が、慢性疾患と同様の労力を評価する根拠となりました。指導時間について、調査はインフルエンザ吸入薬指導が喘息やCOPDの吸入指導と同程度の時間を要すると示しています。指導内容についても、感染症対策として個室を整備する薬局や、確実な吸入を確かめるために薬剤師の面前で実際に吸入してもらう薬局があります。こうした対応には、薬剤師が患者の呼気等を通じてウイルスに曝露する懸念も伴います。これらの実態を受けて、中医協は「時間と労力が必要なインフルエンザ等の急性疾患に対する吸入指導は評価がされていない」と論点を整理しました。その結果、「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理」には、慢性疾患と同様の服薬指導や曝露対策を実施している現状を踏まえて要件と評価を見直す方針が盛り込まれました。4. 薬局に求められる実務対応|3つの準備薬局は、インフルエンザ患者への吸入指導を算定へつなげるために、3つの準備を進めてください。いずれも、現行の算定要件がそのまま維持される点を前提とした準備です。第一に、指導のきっかけと同意を記録する運用を整えます。加算は、患者本人や家族等、または保険医療機関からの求めに応じて、患者の同意を得た場合に算定できます。発熱外来からの処方箋を短時間で応需する場面でも、この確認と記録を省略できません。第二に、文書と練習用吸入器等を、インフルエンザ治療薬にあわせて準備します。加算の算定には、文書および練習用吸入器等を用いた薬学的管理と指導が必要です。吸入デバイスは製剤ごとに操作が異なるため、喘息やCOPD向けの資材とは別に、該当製剤の説明文書と練習用吸入器を用意しておく必要があります。第三に、保険医療機関への情報提供と算定間隔を管理する仕組みを用意します。加算は、指導内容を文書で医療機関へ提供して初めて算定できます。あわせて、6月に1回という間隔の管理と、服薬情報等提供料を併算定できない点の確認も必要です。まとめ|対象は広がり、頻度は絞られる令和8年度診療報酬改定は、吸入薬指導加算の対象患者を広げ、算定間隔を延ばします。対象患者は、疾患名による限定から吸入薬の投薬による整理へ変わり、インフルエンザウイルス感染症の患者が加わります。算定間隔は、3月に1回から6月に1回へ延長されます。算定要件の骨格は変わらないため、薬局は求めと同意の記録、指導資材の準備、医療機関への文書提供という基本を、急性疾患の患者にも同じ品質で実行する体制を整えてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】重複投薬・相互作用等防止加算が廃止|新設2加算で最大50点へ
令和8年度診療報酬改定では、調剤管理料の重複投薬・相互作用等防止加算と、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料が廃止されます。現行の評価は、残薬調整に係るものを20点、それ以外を40点とする一律の設定でした。この設定では、服用薬剤の継続的・一元的な把握に基づく薬剤調整が、点数に反映されません。本稿では、廃止に代えて新設される2つの加算について、対象患者・算定根拠・点数区分の順に整理します。今回の見直しは、疑義照会に対する評価を、介入の質に応じて階層化する再編です。第一に、廃止される2項目は、調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算に統合されます。第二に、調剤時残薬調整加算は、患者や家族からの残薬の聞き取りと、7日分以上相当の調剤日数の変更を要件として、30点または50点を算定します。第三に、薬学的有害事象等防止加算は、薬剤服用歴や電子処方箋の仕組みを用いた重複投薬の確認等を根拠として、残薬調整以外の処方変更を30点または50点で評価します。いずれの加算も、在宅患者への対応と、かかりつけ薬剤師による対応を50点で高く評価します。1. 廃止と新設の全体像:区分の軸が「場所」から「目的」へ移る新旧の対応関係は、「2項目の廃止」と「2加算の新設」という組み替えで整理できます。廃止されるのは、外来を対象とした重複投薬・相互作用等防止加算と、在宅を対象とした在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料です。新設されるのは、残薬調整を対象とする調剤時残薬調整加算と、残薬調整以外を対象とする薬学的有害事象等防止加算です。つまり、評価を区分する軸が、「外来か在宅か」から「残薬調整か、それ以外か」へ移ります。廃止される2項目は、患者のいる場所によって評価が分かれていました。重複投薬・相互作用等防止加算は、外来患者の処方箋を対象に、照会による処方変更を評価する加算でした。在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は、在宅患者を対象に、照会による処方変更と、処方箋交付前の処方提案を評価する管理料でした。この2項目は、いずれも残薬調整に係るもの以外を40点、残薬調整に係るものを20点としていました。新設される2加算は、介入の目的によって評価が分かれます。調剤時残薬調整加算は、残薬に基づく調剤日数の変更を評価します。薬学的有害事象等防止加算は、残薬調整以外の処方変更を評価します。この2加算はどちらも調剤管理料の加算であるため、在宅患者も外来患者も同じ枠組みで評価されます。2加算の点数は、イからニまでの4区分で共通します。イは、在宅患者へ処方箋が交付される前に処方提案を行い、それが反映された処方箋を受け付けた場合の50点です。ロは、在宅患者について変更が行われた場合(イを除く)の50点です。ハは、かかりつけ薬剤師による対応で変更が行われた場合(イ・ロを除く)の50点です。ニは、イからハまで以外の場合の30点です。◆残薬調整に係るもの → 調剤時残薬調整加算* 現行:20点 * 改定後:イ・ロ・ハ 50点/ニ 30点◆残薬調整に係るもの以外 → 薬学的有害事象等防止加算* 現行:40点* 改定後:イ・ロ・ハ 50点/ニ 30点※イ=在宅患者への交付前の処方提案、ロ=在宅患者への対応、ハ=かかりつけ薬剤師による対応、ニ=それ以外この4区分により、点数は引き上げと引き下げの両方向に動きます。残薬調整に係るものは、20点から30点以上へ引き上げられます。残薬調整に係るもの以外は、在宅患者とかかりつけ薬剤師の対応が40点から50点へ引き上げられます。一方で、残薬調整に係るもの以外のうち、在宅患者にもかかりつけ薬剤師にも該当しない場合は、40点から30点へ引き下げられます。現行40点を算定してきた外来の一般的な疑義照会は、この引き下げの対象になる点に注意が必要です。なお、イとロにいう「在宅患者」の範囲は、条文と施設基準の両方で定められます。条文が定めるのは、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定する患者です。施設基準が加えるのは、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定している患者、在宅患者緊急時等共同指導料を算定している患者、居宅療養管理指導費を算定している患者、介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者です。ただし、居宅療養管理指導費と介護予防居宅療養管理指導費は、薬局の薬剤師が行う場合に限られます。2. 調剤時残薬調整加算:聞き取りと7日分以上の日数変更を評価する調剤時残薬調整加算は、聞き取りを起点とする実効性の高い残薬対策を評価します。対象患者は、調剤管理料を算定する患者のうち、残薬が確認された患者です。算定の根拠は、患者又はその家族等から収集した情報等に基づく残薬の確認です。算定の要件は、処方医の指示又は照会の結果に基づく、7日分以上相当の調剤日数の変更です。対象患者は、残薬が確認された患者に限られます。ここでの残薬とは、飲み残した医薬品や飲み忘れた医薬品を指します。残薬を確認する起点は、患者又はその家族等からの情報収集です。したがって、患者との対話を通じて残薬を把握する日常業務が、そのまま算定の前提になります。算定要件には、「7日分以上相当」という新しい閾値が設けられます。この閾値は、残薬調整の実効性を担保する趣旨と読み取れます。ただし、6日分以下の変更でも算定できる例外が用意されます。例外に該当するのは、保険薬剤師が患者の服薬状況等により必要性があると判断した場合です。この場合は、その理由を調剤報酬明細書に記載することで算定できます。要件の追加は、記録と説明の負担が増えることを意味します。算定にあたっては、残薬の確認方法と変更した調剤日数を、記録として残す必要があります。6日分以下の調整では、必要性を判断した理由も明細書に記載しなければなりません。一方で、点数は20点から最大50点へ引き上げられます。負担の増加に見合う評価が用意された、と整理できます。3. 薬学的有害事象等防止加算:一元管理に基づく処方変更を評価する薬学的有害事象等防止加算は、服用薬剤の一元管理に基づく薬剤調整を評価します。対象患者は、調剤管理料を算定する患者のうち、処方医に確認すべき点がある処方箋が交付された患者です。この「確認すべき点」からは、残薬に係るものが除かれます。算定の根拠は、薬剤服用歴や、電子処方箋の仕組みを用いた重複投薬の確認等です。算定の要件は、照会の結果として処方に変更が行われたことです。名称の変更は、評価の対象が広がったことを示します。現行の名称は「重複投薬・相互作用等防止」でした。新しい名称は「薬学的有害事象等防止」です。この変更により、重複投薬と相互作用は、防止すべき薬学的有害事象の代表例として位置づけ直されると読み取れます。算定の根拠には、電子処方箋の仕組みを用いた確認が明記されます。ここでの仕組みとは、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に基づき、電磁的記録をもって作成された処方箋の仕組みです。この明記は、他の医療機関の処方まで含めた一元的な把握を求める趣旨と読み取れます。中医協の議論でも、機械的なチェックそのものではなく、その結果を薬学的に判断する行為を評価するという整理が示されていました。処方変更に至らない照会は、引き続き評価されません。算定の要件は、あくまで「処方に変更が行われた場合」です。この点は現行の加算と同じです。したがって、照会の内容と処方変更の結果を対応づけて記録する運用が、これまでどおり求められます。4. 実務対応:算定漏れを防ぐための3つの準備新加算の算定に向けて、薬局が準備すべき点は3つあります。第一は、手帳の活用実績の確保です。第二は、残薬の聞き取りと調剤日数変更の記録です。第三は、かかりつけ薬剤師と在宅対応の体制整備です。手帳の活用実績は、算定の可否そのものを左右します。新設される2加算は、いずれも「別に厚生労働大臣が定める保険薬局において行われた場合を除く」との除外規定を置きます。除外されるのは、施設基準に示された「適切な手帳の活用実績が相当程度あると認められない保険薬局」です。つまり、手帳の活用実績が乏しい薬局は算定できません。同様の除外規定は現行の重複投薬・相互作用等防止加算にも置かれています。一方、廃止される在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料には、この除外規定がありません。在宅を中心に対応してきた薬局ほど、手帳の活用実績を確認する必要があります。残薬の聞き取りと調剤日数変更の記録は、7日分以上要件を裏づける材料になります。記録すべき情報は、誰からどのように残薬を確認したかという経緯です。あわせて、変更した調剤日数と、処方医の指示又は照会の結果も残します。6日分以下の調整を行った場合は、必要性を判断した理由の記載が追加で必要です。かかりつけ薬剤師と在宅対応の体制は、1回あたり20点の差を生みます。ハの50点は、服薬管理指導料の注1に規定するかかりつけ薬剤師が対応した場合の評価です。かかりつけ薬剤師以外が対応した場合は、ニの30点にとどまります。在宅患者では、処方箋の交付前に処方提案を行うイの区分が、最も高い評価の入口になります。なお、地域支援体制加算の実績要件には、「重複投薬・相互作用等防止加算等の実績」が含まれています。加算の廃止と新設に伴う実績の取扱いは、今後示される告示・通知で確認が必要です。まとめ:評価軸は「何をしたか」から「誰がどう関わったか」へ令和8年度改定では、重複投薬・相互作用等防止加算と在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料が廃止されます。廃止される2項目は、調剤時残薬調整加算と薬学的有害事象等防止加算に統合されます。調剤時残薬調整加算は、残薬の聞き取りと7日分以上相当の調剤日数の変更を要件に、30点または50点を算定します。薬学的有害事象等防止加算は、薬剤服用歴や電子処方箋の仕組みを用いた確認等を根拠に、残薬調整以外の処方変更を30点または50点で評価します。2加算に共通する評価軸は、在宅患者への関与と、かかりつけ薬剤師としての関与です。まずは手帳の活用実績と残薬の記録運用から、算定に向けた準備を進めましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
調剤管理料が4区分から2区分へ|令和8年度改定で28日分が分岐点に
令和8年度診療報酬改定で、内服薬の調剤管理料が4つの日数区分から2つの日数区分へ再編されます。この再編は、日数区分ごとに点数の増減が大きく分かれるため、薬局ごとに収益への影響が異なります。本稿は、改定案の内容を整理し、日数区分別の影響と実務上の準備を示します。調剤管理料の見直しは、3つのポイントで理解できます。第一に、内服薬の調剤管理料が、長期処方(28日分以上)60点と、それ以外(27日分以下)10点の2区分に集約されます。第二に、長期処方の境界が、現行の29日分以上から28日分以上へ1日前倒しされます。第三に、調剤管理加算(イ・ロともに3点)が廃止されます。1. 内服薬の調剤管理料は「60点」と「10点」の2区分に集約される内服薬の調剤管理料は、現行の4区分から、長期処方と27日分以下の2区分に集約されます。あわせて、「1以外の場合」(屯服薬や外用薬など、1に該当しない調剤)の点数も、4点から10点へ引き上げられます。この見直しは、対人業務である薬学的管理の質を適切に評価する観点から行われます。改定案と現行の対比は、次のとおりです。* 内服薬 7日分以下:4点 → 10点(+6点)* 内服薬 8日分以上14日分以下:28点 → 10点(▲18点)* 内服薬 15日分以上27日分以下:50点 → 10点(▲40点)* 内服薬 28日分:50点 → 60点(+10点)* 内服薬 29日分以上:60点 → 60点(増減なし)* 1以外の場合(屯服薬、外用薬、注射薬、浸煎薬、湯薬、内服用滴剤 等):4点 → 10点(+6点)※内服薬(内服用滴剤、浸煎薬、湯薬及び屯服薬を除く)は1剤につき算定し、服用時点が同一の内服薬は投与日数にかかわらず1剤として扱います。4剤以上の部分は算定できません。点数の増減は、日数区分によって正反対の方向に動きます。 増点となるのは、7日分以下と「1以外の場合」の2つに限られます。減点となるのは、8日分以上27日分以下です。なかでも15日分以上27日分以下は40点の減少となり、影響が最も大きい区分となります。29日分以上は、現行と改定案のいずれも60点で変わりません。この再編は、調剤日数に応じた評価という考え方からの脱却を意味します。 調剤管理料は、令和4年度改定で調剤料を再編して新設された対人業務の評価項目です。ただし、新設時は激変緩和の観点から、調剤料で用いられていた調剤日数による点数区分をそのまま引き継いでいました。今回の見直しは、この引継ぎ部分に手を入れ、薬学的管理の実態に評価を近づけるものです。2. 長期処方の境界は29日分から28日分へ1日前倒しされる長期処方の境界は、現行の29日分以上から28日分以上へ1日前倒しされます。この1日の移動により、28日分の調剤は50点から60点へ10点増加します。28日分の処方を多く受け付けている薬局ほど、この境界移動の恩恵を受けます。注意すべきは、現行の「15日分以上28日分以下」区分が改定案で2つに割れる点です。 この区分のうち、28日分ちょうどの剤は60点の長期処方へ移り、15日分以上27日分以下の剤は10点へ下がります。同じ現行区分に属していた剤が、改定後は50点差の別区分へ振り分けられます。この区分割れは、薬局の収益試算を難しくします。 令和6年度社会医療診療行為別統計(令和6年8月審査分)によると、現行の「15日分以上28日分以下」区分の算定回数は約2,051万回、総額は約102.6億円でした。この算定回数のうち28日分ちょうどが占める割合によって、改定後の点数総額は大きく変動します。自局の処方日数分布を確認せずに影響額を語ることは危険です。3. 調剤管理加算は廃止される調剤管理加算は、今回の改定で廃止されます。この加算は、複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方された患者に対し、服薬状況等を一元的に把握して薬学的管理を行った場合の評価でした。点数は、初回持参時が3点、2回目以降の処方変更時が3点です。廃止の背景には、ポリファーマシー対策への逆行という指摘があります。 調剤管理加算は、6種類以上の内服薬が処方されている患者を算定の対象とします。服用薬剤数が多い患者ほど算定機会が生じるこの構造が、減薬を促す政策方向と矛盾するとの指摘が、令和4年度の新設当初から支払側委員より示されていました。なお、この指摘を受け、新設時点で算定対象は初回来局時と処方内容の変更時に限定されています。あわせて、調剤報酬の簡素化という方向性も廃止を後押ししています。 答申書附帯意見は、診療報酬体系の複雑化と医療DXにおける簡素化の要請を踏まえ、患者をはじめとする関係者にとって分かりやすい診療報酬体系となるよう検討することを求めています。調剤管理料の4区分から2区分への集約と、調剤管理加算の廃止は、いずれもこの簡素化の要請に沿った見直しです。4. 薬局は日数区分別の算定実績を早期に確認する薬局は、改定施行前に自局の日数区分別の算定実績を確認する必要があります。確認すべき項目は、処方日数の分布、調剤管理加算の算定回数、そしてレセプトコンピュータの設定変更です。準備の優先順位は、影響額の大きさに応じて判断します。第一に、処方日数の分布を28日分を境に把握します。 特に、現行の「15日分以上28日分以下」で算定している剤について、28日分ちょうどと27日分以下の内訳を集計してください。なお、調剤管理料は1剤につき算定するため、集計単位は処方箋枚数ではなく剤数となります。この内訳が、改定後の増減を決定づけます。第二に、調剤管理加算の算定回数を確認します。 令和6年度の算定回数は全国で増加傾向にありました。加算を継続的に算定してきた薬局ほど、廃止による影響を受けます。加算の施設基準は、過去1年間に服用薬剤調整支援料を1回以上算定した実績でした。この服用薬剤調整支援料自体も、今回の改定で要件及び評価の見直し対象となっています。第三に、レセプトコンピュータの区分設定を更新します。 4区分から2区分への集約は、算定ロジックの単純化をもたらします。ただし、長期処方の境界が28日分へ移動するため、境界値の設定変更を確実に反映させてください。境界を29日分のまま運用すると、28日分の剤がイ(60点)ではなくロ(10点)で算定され、1剤あたり50点の差が生じます。まとめ:28日分を境に評価が二分される令和8年度改定における調剤管理料の見直しは、3つのポイントに集約されます。第一に、内服薬の調剤管理料が、長期処方(28日分以上)60点と27日分以下10点の2区分へ再編されます。第二に、長期処方の境界が29日分から28日分へ1日前倒しされます。第三に、調剤管理加算が廃止されます。薬局に求められる対応は、自局の処方日数分布の把握です。28日分を境に評価が二分される以上、日数分布を知らないまま改定を迎えれば、収益変動の把握が後手に回ります。改定施行までに、日数区分別の算定実績を確認し、実務と収益の両面から準備を進めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
地域支援体制加算はこう変わる|5区分再編と一律27点上乗せを解説
令和8年度診療報酬改定は、地域支援体制加算の名称と要件を全面的に見直します。この加算は、これまで薬局の立地と規模に応じて要件が定められており、地域における医薬品供給の実態を十分に反映していませんでした。そこで本記事では、地域での医薬品供給を通じた医療提供体制の構築を促進するという改定の狙いにそって、答申で示された見直しの内容を整理します。見直しの柱は、名称変更、点数体系の再編、算定要件の追加の3点です。第一に、名称が「地域支援体制加算」から「地域支援・医薬品供給対応体制加算」へ改まり、区分が4つから5つに増えます。第二に、点数は新設の加算1(27点)を土台とし、現行の4区分に相当する区分がいずれも現行から27点引き上げられます。第三に、算定要件には後発医薬品の数量割合85%以上が加わるほか、調剤室の面積やセルフメディケーション関連機器の設置といった体制要件が施設基準通知で新たに規定される予定です。これら3点を踏まえ、記事の後半では薬局が届出に向けて確認すべき実務項目を示します。1. 名称変更と区分再編:加算1の新設が評価体系の土台になる名称変更と区分再編は、医薬品の供給機能を加算の入口に据える再構築です。改定後の名称は「地域支援・医薬品供給対応体制加算」となり、区分は加算1から加算5までの5つに再編されます。この再編の中心が、新設される加算1です。新設の加算1は、地域医療への貢献ではなく、医薬品の供給体制だけを評価します。加算1の施設基準は2つです。ひとつは、地域における医薬品の安定供給を確保するために必要な体制を有することです。もうひとつは、後発医薬品のある先発医薬品と後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の割合が85%以上であることです。なお、加算1の詳細は、答申資料のⅣ-1「医薬品の安定供給に資する体制に係る評価の新設及び後発医薬品調剤体制加算の廃止」に記載されています。つまり加算1は、廃止される後発医薬品調剤体制加算の受け皿にあたります。加算2から加算5までの4区分は、加算1の要件に地域医療への貢献を上乗せする構造です。加算2と加算3は、調剤基本料1を算定する薬局が対象です。加算4と加算5は、調剤基本料1または特別調剤基本料B以外を算定する薬局が対象です。この後者の要件は調剤基本料1の薬局も満たしますが、点数が高い加算2・加算3を算定することになります。それぞれの組のうち、下位の区分(加算2・加算4)は「十分な実績」を、上位の区分(加算3・加算5)は「相当の実績」を求めます。この構造を現行と対応させると、現行の4区分がそれぞれ1つずつ繰り下がったことがわかります。現行の加算1が改定後の加算2に、現行の加算2が加算3に、現行の加算3が加算4に、現行の加算4が加算5に対応します。区分番号だけを見て改定前後を比べると誤読するため、対応関係の確認が欠かせません。2. 点数体系:既存4区分はいずれも現行から27点上がる点数体系の見直しは、加算1の27点を全区分に積み上げる形で行われます。改定後の点数は、加算1が27点、加算2が59点、加算3が67点、加算4が37点、加算5が59点です。このうち加算2から加算5までの点数は、対応する現行区分の点数に加算1の27点を加えた額と一致します。具体的な対応は、次のとおりです。* 加算1:27点 ── 新設のため、対応する現行の区分はありません* 加算2:59点 ── 現行の地域支援体制加算1(32点)+27点* 加算3:67点 ── 現行の地域支援体制加算2(40点)+27点* 加算4:37点 ── 現行の地域支援体制加算3(10点)+27点* 加算5:59点 ── 現行の地域支援体制加算4(32点)+27点この一律27点の上乗せは、単純な引き上げではありません。後発医薬品調剤体制加算が廃止されるため、これまで両方の加算を算定していた薬局では、2つの加算が1つに統合された形になります。したがって薬局全体の収入への影響は、後発医薬品調剤体制加算のどの区分を算定していたかによって変わります。なお、特別調剤基本料Aを算定する薬局では、これらの点数の10分の1が加算されます。この取扱いは現行と変わりません。また、特別調剤基本料Bを算定する薬局は、従来どおりこの加算を算定できません。3. 算定要件:後発医薬品85%と体制要件の格上げがハードルになる算定要件の見直しは、既存の届出薬局にも再確認を求める内容です。要件面の変更点は2つあります。ひとつは全区分に共通する後発医薬品85%要件の追加、もうひとつは調剤基本料1以外の薬局に対する体制要件の引き上げです。後発医薬品85%要件は、加算1の施設基準として全区分に及びます。加算2から加算5までの施設基準は、いずれも「(1)に掲げる施設基準を満たすこと」を最初の要件に置いているためです。つまり後発医薬品の数量割合が85%に届かない薬局は、地域医療への貢献の実績があっても、加算を一切算定できません。この85%要件には、令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。令和8年3月31日時点で後発医薬品調剤体制加算1、2または3の届出を行っている薬局は、この期間に限り85%要件を満たすものとみなされます。したがって現時点で85%に届かない薬局も、後発医薬品調剤体制加算を届け出ていれば当面は算定できます。ただし、このみなしが及ぶのは85%要件だけです。加算1のもうひとつの要件である医薬品の安定供給体制は、経過措置の対象に含まれません。体制要件の引き上げは、調剤基本料1以外の薬局に影響します。現行の加算3は「地域医療への貢献に係る必要な体制」で足りていました。これに対し改定後の加算4は、加算2と同じ「地域医療への貢献に係る十分な体制」を求めます。この結果、体制要件の水準は調剤基本料1の薬局と同一になります。4. 施設基準通知で規定予定の内容:3つの体制要件と3つの実績要件施設基準通知では、体制と実績それぞれについて新たな規定が予定されています。答申の資料は「以下の内容等を規定する予定」として、体制を3項目、実績を3項目示しました。ここで示された6項目は、いずれも「地域医療への貢献に係る体制及び実績」に関する規定です。したがって適用されるのは加算2から加算5までであり、加算1だけを算定する薬局には及びません。いずれも確定した通知ではないため、今後の発出内容を確認する必要があります。体制については、次の3項目が示されています。第一に、令和8年6月以降に開設する薬局、または改築もしくは増築する薬局は、面積が16平方メートル以上の調剤室を有することです。第二に、セルフメディケーション関連機器を設置していることです。第三に、薬事未承認の研究用試薬・検査サービスを販売または提供していないことです。実績については、次の3項目が示されています。第一に、調剤時の薬剤一元管理による疑義照会や残薬調整に係る評価項目を一定程度算定していることです。第二に、かかりつけ薬剤師による服薬指導を一定程度実施していること、すなわち服薬管理指導料1のイを算定していることです。第三に、服用薬剤調整支援料2の見直しに伴い、実績要件の項目から服用薬剤調整支援料を削除することです。これら6項目のうち、調剤室の面積要件だけは対象が限定されます。適用されるのは令和8年6月以降に開設・改築・増築する薬局であり、既存の薬局はそのままでは対象になりません。一方、残る5項目は既存の薬局にも及ぶため、届出内容の点検が必要です。5. 届出に向けた実務対応:確認すべき5項目届出に向けた実務対応は、要件ごとに確認と準備を進めることが基本です。ここでは、これまで述べた要件を薬局の作業単位に置き換え、5つの確認項目として整理します。なお、2から5までは加算2から加算5までを目指す薬局が対象です。* 後発医薬品の数量割合を確認する。 直近の実績が85%以上かを確認し、下回る場合は経過措置の期限である令和9年5月31日までの達成計画を立てます。* 実績要件の項目を入れ替える。 服用薬剤調整支援料が実績項目から外れるため、疑義照会・残薬調整に係る算定回数と、服薬管理指導料1のイの算定回数を確保します。* セルフメディケーション関連機器の設置を検討する。 対象となる機器の範囲は通知で示されるため、発出後すみやかに導入の可否を判断します。* 研究用試薬・検査サービスの取扱いを点検する。 薬事未承認の研究用試薬や検査サービスを販売・提供している場合は、取扱いの中止を検討します。* 開設・改築・増築の計画を見直す。 令和8年6月以降に着手する場合は、16平方メートル以上の調剤室を確保できる設計かを確認します。まとめ:3つの変更点を押さえ、経過措置の期限から逆算する令和8年度診療報酬改定は、地域支援体制加算を「地域支援・医薬品供給対応体制加算」へ改め、医薬品の供給機能を評価の土台に据えます。押さえるべき変更点は3つです。名称変更にあわせて区分が4つから5つに再編されること、点数は新設の加算1(27点)を全区分に上乗せする形で見直されること、そして後発医薬品85%要件と新たな体制・実績要件が加わることです。とりわけ後発医薬品85%要件は全区分に及ぶため、経過措置の期限である令和9年5月31日から逆算した準備が求められます。今後発出される施設基準通知で、体制と実績の具体的な水準を必ず確認してください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
特別調剤基本料Aの見直し|令和8年度改定で対象薬局が変わる3つのポイント
令和6年度診療報酬改定は、いわゆる同一敷地内薬局を対象として特別調剤基本料A(令和6年度改定時点で5点)を新設しました。この特別調剤基本料Aでは、施設基準のただし書をめぐって2つの課題が指摘されてきました。第一の課題は、薬局と同一の建物内に診療所があれば対象外となるため、病院の敷地内薬局が適用を免れる例が生じたことです。第二の課題は、自治体が誘致したへき地の診療所敷地内薬局まで対象となり、経営が困難になる薬局が生じたことです。令和8年度改定は、この2つの課題に対応して特別調剤基本料Aの対象範囲を見直します。本稿では、その見直し内容を3つのポイントに整理して解説します。本項目は、健康保険事業の健全な運営を確保する観点から、特別調剤基本料Aの点数ではなく施設基準を見直します。第一のポイントは、公有地にある診療所の敷地内などに所在する薬局を対象から外し、調剤基本料1を算定できるようにする措置です。第二のポイントは、同一建物内に診療所がある薬局を対象外としてきたただし書の削除です。第三のポイントは、同一敷地内にオンライン診療受診施設を設置する薬局を新たに対象へ加える措置です。以下では、この3つのポイントを順に説明します。1.公有地の診療所と一体の薬局は調剤基本料1へ第一のポイントは、へき地で公有地の診療所と一体的に所在する薬局が、特別調剤基本料Aではなく調剤基本料1を算定できるようになる点です。この取扱いは、調剤基本料の注1ただし書に規定する施設基準(以下「ただし書の施設基準」)に、新しい類型を追加する形で実現されます。改定案では、ただし書の施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た薬局を、特別調剤基本料Aの対象から除く旨が明記されます。新しい類型に該当するには、立地、診療所の性格、周囲の薬局の有無という3つの要件をすべて満たす必要があります。立地の要件は、地方公共団体が所有する土地に所在する診療所、または地方公共団体が開設する診療所と、同一の土地または建物に所在することです。診療所の性格の要件は、その診療所がへき地の医療の提供のために必要な診療所として都道府県知事に認められたものであることです。周囲の薬局の有無の要件は、当該薬局から水平距離4キロメートル以内に他の保険薬局がないことです。立地の要件については、条文上の限定を正確に押さえる必要があります。対象となる保険医療機関は、いずれの場合も診療所に限られ、病院は含まれません。前段の「地方公共団体が所有する土地に所在する診療所」は、土地が公有地であることを求める要件であり、診療所の開設者は問われません。後段の「地方公共団体が開設する診療所」は、開設者が自治体であることを求める要件です。これら3つの要件は、自治体が地域の医薬品供給を維持するために薬局を誘致した状況を想定しています。公有地の診療所と一体という立地は、薬局側の営業戦略ではなく、自治体の医療提供体制の確保に由来します。周囲4キロメートル以内に他の薬局がない環境では、その薬局が地域で唯一の医薬品供給拠点となります。今回の見直しは、こうした薬局を敷地内薬局への適正化措置の対象から外す判断といえます。ただし書の施設基準は、今回の見直しによって2つの類型の選択制に再編されます。従来からある第一の類型は、医療資源の少ない地域(基本診療料の施設基準等別表第六の二に規定する地域)に所在すること、その区域内の保険医療機関が許可病床数二百床未満かつ十以下であること、処方箋受付回数が一月に二千五百回を超えないことの3要件で構成されます。今回追加される第二の類型は、前述したへき地の診療所に関する3要件で構成されます。改定案の条文上、第二の類型には処方箋受付回数の上限が設けられていません。2.同一建物内に診療所がある薬局も特別調剤基本料Aの対象へ第二のポイントは、同一建物内に診療所がある薬局を特別調剤基本料Aの対象外としてきたただし書が削除される点です。現行の施設基準は、薬局の所在する建物内に保険医療機関(診療所に限る)が所在している場合を対象から除いています。この除外規定が削除されるため、建物内に診療所があっても、不動産取引等その他の特別な関係と処方箋集中率五割超の要件を満たせば特別調剤基本料Aの対象となります。この除外規定は、もともとビル型の医療モールへの配慮として設けられたものでした。ビル型の医療モールでは、1つの建物に複数の診療所と薬局が入居し、薬局が特定の医療機関に依存しない形態が想定されます。ところが実際には、病院の敷地内薬局が建物内に診療所を置くことで特別調剤基本料Aの適用を免れる例が生じていました。中央社会保険医療協議会の資料によれば、保険医療機関と特別な関係にあり処方箋集中率が五割以上であるにもかかわらず特別調剤基本料Aを算定していない薬局は、算定している薬局の2倍以上に上ります。除外規定の削除には、既存の薬局に配慮した経過措置が設けられます。告示前日の時点で建物内に診療所が所在している薬局は、当面の間、特別調剤基本料Aの施設基準のイに該当しないものとして扱われます。ただし、原文は「告示日以降、新たに他の保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を有しない場合又は当該保険医療機関(診療所に限る。)が所在し続ける場合に限り」と規定しており、2つの条件の関係は「又は」で結ばれています。この読み方は通知や疑義解釈で明確になる見込みであり、現時点では原文どおりに把握しておくことが安全です。3.同一敷地内のオンライン診療受診施設は新たな該当要件へ第三のポイントは、同一敷地内にオンライン診療受診施設を設置する薬局が、新たに特別調剤基本料Aの対象へ加わる点です。オンライン診療受診施設とは、令和8年4月1日施行の改正医療法第二条の二第二項に規定される新しい施設類型です。この施設は、オンライン診療を行う医師が勤務する病院や診療所に対して、患者がオンライン診療を受ける場所として提供されます。この見直しにより、特別調剤基本料Aの施設基準は「いずれかの要件を満たす」形に再編されます。イの要件は、従来どおり、保険医療機関と不動産取引等その他の特別な関係を有し、当該保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が五割を超えることです。ロの要件は、当該薬局と同一の敷地内においてオンライン診療受診施設を設置していることです。ロの要件には処方箋集中率の基準が設けられていないため、集中率にかかわらず特別調剤基本料Aの対象となります。ロの要件には、へき地の薬局を想定した例外が置かれています。本資料が引用する掲示事項等告示第十二条の二の要件、すなわち医療計画におけるへき地に所在する保険薬局に設置されたオンライン診療受診施設は、この例外に当たります。へき地の薬局にオンライン診療受診施設を設置しても、それだけでは特別調剤基本料Aの対象とはなりません。この例外は、へき地における医療へのアクセス確保を優先する考え方に基づきます。ロの要件の追加は、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(薬担規則)の改正と一体で理解する必要があります。改正後の薬担規則は、保険薬局がオンライン診療受診施設と一体的な構造とすることと、一体的な経営を行うことを禁止します。この2つの禁止のうち、へき地の薬局に設置された施設について適用されないのは、一体的な構造に関する規定に限られます。薬局内で患者がオンライン診療を受ければ、その処方箋は当該薬局で調剤される蓋然性が高く、実質的に敷地内薬局と同じ構造が生じるためです。実務で確認すべき3つのポイント今回の見直しに備えるには、立地、建物、敷地という3つの観点から自局の状況を確認することが有効です。特別調剤基本料Aと調剤基本料1との差は、令和6年度改定時点の点数で40点(5点と45点)に達します。なお、令和8年度改定後の点数は本項目の資料に示されておらず、告示で確認する必要があります。立地の観点では、へき地で公有地の診療所と一体的に所在する薬局が、新設される類型に該当するかを確認します。該当する場合は、ただし書の施設基準に適合するものとして地方厚生局長等へ届け出る必要があります。届出をしなければ、3要件を満たしていても調剤基本料1は算定できません。建物の観点では、同一建物内に診療所があることを理由に特別調剤基本料Aの対象外となってきた薬局が、経過措置の対象となるかを確認します。経過措置は、告示前日時点で建物内に診療所が所在していることを前提としています。診療所の退去や新たな不動産取引の発生は、経過措置の適用に影響し得る事象です。敷地の観点では、同一敷地内にオンライン診療受診施設を設置する計画がある薬局が、その影響を確認します。設置すれば、処方箋集中率にかかわらず特別調剤基本料Aの対象となります。オンライン診療受診施設への場所の提供は、薬担規則上の制約も踏まえて判断すべき事項です。まとめ令和8年度改定は、特別調剤基本料Aの対象範囲を施設基準の面から3方向に見直します。第一に、公有地の診療所と同一の土地または建物に所在し、その診療所が都道府県知事にへき地の診療所と認められ、水平距離4キロメートル以内に他の薬局がない薬局は、届出により対象から外れて調剤基本料1を算定します。第二に、同一建物内に診療所がある薬局を対象外としてきたただし書は削除され、経過措置つきで対象に加わります。第三に、同一敷地内にオンライン診療受診施設を設置する薬局は、処方箋集中率にかかわらず対象となります。いずれの見直しも、健康保険事業の健全な運営の確保という一貫した観点に基づいています。自局の立地、建物、敷地の状況を早めに確認し、届出や経過措置への対応を進めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】調剤基本料の見直し|47点への引き上げと新設減算15点
「患者のための薬局ビジョン」の策定から10年が経過しました。この10年で処方箋集中率が85%を超える薬局の割合はむしろ増加し、医療モール内の薬局や調剤基本料2を算定する薬局の損益率は他の薬局より高い水準にあります。厚生労働省は、こうした立地に依存する構造からの脱却と薬剤師の職能発揮を、令和8年度診療報酬改定の課題と位置づけました。本稿では、個別改定項目「Ⅲ-8-① 調剤基本料の見直し」の内容を、実務で確認すべき順に整理します。今回の見直しは、立地に依存しない薬局の評価を引き上げ、立地に依存する薬局の評価を引き下げる構造になっています。第一に、面分業を担う薬局が算定する調剤基本料1は45点から47点に、調剤基本料3のハは35点から37点に引き上げられます。第二に、調剤基本料2と調剤基本料3のイは、処方箋集中率と処方箋受付回数の基準が引き下げられ、該当する薬局の範囲が広がります。第三に、門前薬局等立地依存減算が新設され、対象となる薬局は所定点数から15点を減算されます。第四に、処方箋集中率と処方箋受付回数の計算ルールが見直され、医療モールの複数医療機関は1つの医療機関とみなされます。1. 面分業を担う薬局は調剤基本料1が47点に上がる調剤基本料の点数の引き上げは、面分業を推進する観点から2つの区分で行われます。引き上げの対象は、調剤基本料1と調剤基本料3のハです。いずれも現行から2点の引き上げとなります。調剤基本料1は、45点から47点に引き上げられます。調剤基本料1は、調剤基本料2、調剤基本料3および特別調剤基本料のいずれの施設基準にも該当しない薬局が算定する区分です。特定の医療機関に依存せず、多くの医療機関の処方箋を応需する薬局が、今回の引き上げの中心的な対象になります。調剤基本料3のハも、35点から37点に引き上げられます。調剤基本料3のハは、改定後の基準では、同一グループの処方箋受付回数の合計が1月に40万回を超えるグループに属し、かつ処方箋集中率が85%以下である薬局が算定する区分です。大手グループに属する薬局であっても、特定の医療機関に依存しない店舗は評価を引き上げる、という考え方が読み取れます。■ 引き上げの内容* 調剤基本料1* 45点 → 47点(+2点)* 調剤基本料3のハ* 35点 → 37点(+2点)2. 立地に依存する薬局は調剤基本料2・3の対象が広がる調剤基本料2および調剤基本料3の施設基準は、特定の医療機関に依存する薬局をより広く捉える方向で見直されます。見直しの内容は4つです。調剤基本料2は、受付回数の基準が引き下げられ、都市部の薬局を対象とする基準が新設されます。調剤基本料3は、イの基準が統合される一方、ロとハからは店舗数の要件が削除されます。調剤基本料2は、処方箋集中率85%超・処方箋受付回数1月1,800回超で該当するようになります。現行は、受付回数2,000回超なら集中率85%超、受付回数1,800回超なら集中率95%超が基準でした。改定後はこの2つの基準が1つに統合されます。その結果、受付回数が1,800回超2,000回以下で集中率が85%超95%以下の薬局が、新たに調剤基本料2の対象になります。都市部に新規開設する薬局は、処方箋受付回数1月600回超・集中率85%超で調剤基本料2に該当します。この新しい基準は、別表第三の一に掲げる地域に所在し、かつ水平距離500メートル以内に他の保険薬局がある場合に限って適用されます。別表第三の一に掲げる地域とは、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京23区、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市および熊本市です。損益率が高い大都市の小規模門前薬局を適正化する狙いがあります。なお、施設基準の条文に「新規開設」という要件はありません。既存の薬局の多くは次に述べる経過措置によって当面の間対象から外れるため、実質的な対象が新規に開設する薬局になります。調剤基本料3のイは、同一グループの受付回数3万5千回超40万回以下・集中率85%超に統合されます。現行は、3万5千回超4万回以下なら集中率95%超、4万回超40万回以下なら集中率85%超という2階建ての基準でした。改定後は、3万5千回超4万回以下のグループに属する薬局も、集中率85%超で調剤基本料3のイに該当します。あわせて、医療機関との関係を示す要件が「不動産の賃貸借取引」から「不動産取引等その他の特別な関係」に拡大されます。調剤基本料3のロおよびハからは、同一グループの店舗数300以上という要件が削除されます。改定後の基準は、同一グループの受付回数の合計が1月40万回を超えることに一本化されます。300店舗以上のグループの損益率が令和6年度改定後に低い水準となった実態が、この削除の背景です。店舗数は多いが受付回数が40万回以下のグループに属する薬局は、これらの区分から外れることになります。小規模な薬局には、集中率の判定を緩和する経過措置が設けられます。令和8年5月31日時点で処方箋受付回数が1月当たり1,800枚以下として届け出ており、その後も継続的に1,800枚以下である薬局が対象です。対象となる薬局は、当面の間、処方箋集中率を85%以下とみなして取り扱われます。集中率が85%以下とみなされる結果、これらの薬局は集中率を基準とする調剤基本料2の区分には該当しません。3. 新規開設の薬局には門前薬局等立地依存減算15点が新設される門前薬局等立地依存減算は、所定点数から15点を減算する新しい仕組みです。減算の対象となるのは、2つの類型に該当する薬局です。いずれの類型でも、特別調剤基本料Aを算定する薬局は対象から除かれます。ただし、既存の薬局は経過措置によって当面の間対象外となるため、実質的な対象は新規に開設する薬局に限られます。第1の類型は、都市部の薬局が密集する地域に立地する薬局です。この類型は、次の3つの要件をすべて満たす場合に該当します。1つ目は、別表第三の一に掲げる地域に所在し、かつ水平距離500メートル以内に他の保険薬局があることです。2つ目は、処方箋集中率が85%を超えることです。3つ目は、①許可病床数200床以上の医療機関の敷地の境界線から水平距離100メートル以内の区域に所在し、当該区域内および当該医療機関の敷地内に他の保険薬局が2以上あること、②周囲50メートルの区域内に他の保険薬局が2以上あること、③周囲50メートルの区域内に所在する他の保険薬局が②に該当すること、のいずれかに当てはまることです。第2の類型は、医療機関と同一の敷地内または建物内に立地する薬局です。この類型は、処方箋集中率が85%を超え、かつ医療機関と同一の敷地内または建物内に所在する場合に該当します。いわゆる敷地内薬局と医療モール内の薬局が想定されています。既存の薬局には、減算を適用しない経過措置が設けられます。令和8年5月31日時点で現に保険薬局の指定を受けている薬局は、当面の間、この減算の施設基準に該当しないものとして取り扱われます。したがって、今回の減算は、令和8年6月1日以降の新規開設を抑制する仕組みとして機能します。4. 処方箋集中率と処方箋受付回数の計算ルールが変わる処方箋集中率と処方箋受付回数の計算方法も、あわせて見直されます。見直しの内容は3つです。医療モールの複数医療機関は1つの医療機関とみなされ、集中率の計算から除外する処方箋が追加され、在宅や施設の処方箋は受付回数に算入されます。医療モールの複数医療機関は、1つの医療機関とみなして集中率を計算します。同一の建物内または同一の敷地内に複数の医療機関が所在する場合、それらの処方箋の受付回数をすべて合算し、特定の医療機関に係る受付回数として扱います。この取扱いは、調剤基本料2の上位3医療機関の合計集中率70%超という基準にも適用されます。医療機関が3つ以上ある医療モールの薬局が基準を下回っていた実態が、この見直しの背景です。集中率の計算から除外する処方箋には、施設入居者の処方箋が追加されます。除外の対象は、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームおよび認知症高齢者グループホームに入居する患者の処方箋です。ただし、単一建物診療患者または単一建物居住者が1人の場合の処方箋は除外されません。集中率の基準をわずかに下回らせるために遠方の高齢者施設の処方箋を意図的に受け入れる事例が、この見直しにつながりました。なお、情報通信機器を用いた服薬指導の処方箋、同一グループの薬局の勤務者およびその家族の処方箋は、現行と同様に除外されます。処方箋受付回数から除外する処方箋は、時間外等処方箋のみになります。現行では、在宅患者訪問薬剤管理指導料等に係る処方箋と居宅療養管理指導費に係る処方箋も受付回数から除外されていました。改定後は、これらの規定が削除され、在宅や施設の患者の処方箋も受付回数に算入されます。その結果、在宅対応の多い薬局では受付回数が現行より増える点に注意が必要です。5. まとめ:評価の軸は「立地」から「機能」へ令和8年度改定の調剤基本料は、立地に依存しない薬局を評価する方向で見直されます。面分業を担う薬局の調剤基本料1は45点から47点に、調剤基本料3のハは35点から37点に引き上げられます。一方で、調剤基本料2と調剤基本料3のイは基準が緩和され、該当する薬局の範囲が広がります。新規に開設する薬局には、門前薬局等立地依存減算として15点の減算が新設されます。処方箋集中率と処方箋受付回数の計算ルールも見直され、医療モールの複数医療機関は1つの医療機関とみなされます。自局の集中率と受付回数を新しいルールで再計算し、令和8年6月からの算定区分を早めに確認しておきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定「歯科固有の技術」見直し3つの柱を総点検
令和8年度診療報酬改定では、個別改定項目「Ⅲ-7⑬ 歯科固有の技術の評価の見直し」により、歯科固有の技術の評価と運用が広く見直されます。この見直しは、管理料から補綴、処置、口腔外科手術まで対象が多岐にわたります。そのため、自院に関係する変更点だけを短時間で拾い上げる作業は、担当者にとって大きな負担となります。本稿は、この項目の内容を3つの柱に整理し、新旧の点数を対比しながら解説します。今回の見直しは、「学会等が提案した技術の評価」「歯科技工料調査を踏まえた歯冠修復及び欠損補綴等の評価」「臨床現場の実態を踏まえた個別の評価」という3つの柱で構成されます。第1の柱では、歯科口腔リハビリテーション料2や歯科遠隔連携診療など16の技術について、医療技術評価分科会等における検討結果を踏まえて評価や運用が見直されます。第2の柱では、光学印象が100点から150点に、総義歯が1顎につき2,420点から2,500点に引き上げられます。第3の柱では、顎関節脱臼非観血的整復術が410点から800点になるなど、口腔外科手術を中心に大幅な引き上げが行われます。1. 学会等の提案を踏まえ技術の評価と運用を見直す第1の柱は、歯科医療の推進に資する技術について、医療技術評価分科会等における検討結果を踏まえて評価や運用を見直すものです。対象となるのは、学会等から同分科会に提案された技術のうち、診療報酬改定において対応する優先度が高いとされた技術です。個別改定項目には、その「例」として16の技術が挙げられています。この16はあくまで例示であり、見直し対象がこれで尽きるとは限りません。また、各技術をどの方向にどれだけ見直すかという具体的な点数は、この項目には示されていません。挙げられた16の技術は、本稿の整理として、次の5つの領域に分けられます。* 管理・指導:歯科口腔リハビリテーション料2/歯科矯正管理料/歯科麻酔管理料/位相差顕微鏡による歯周病患者画像活用指導* デジタル・連携:模型調製における光学印象及びデジタル模型/歯科遠隔連携診療* 補綴:口蓋補綴及び顎補綴の咬合採得/チタン及びチタン合金によるブリッジ/歯科用暫間被覆冠成形品を用いた暫間的ダイレクトボンディングブリッジ/床補強のための接着芯/後継永久歯の無い乳臼歯へのCAD/CAM冠* 手術・処置・麻酔:上顎骨悪性腫瘍手術及び下顎骨悪性腫瘍手術における超音波切削機器加算/Ni-Tiロータリーファイル加算/静脈麻酔* 検査・適応拡大:口腔粘膜湿潤度検査/厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常に係る適応症の拡大これら16の技術のうち、静脈麻酔については点数表の項目そのものが新設されます。具体的には、医科点数表の見直しも踏まえ、歯科点数表において「歯科吸入麻酔又は歯科静脈麻酔」が新たに設けられます。麻酔を実施する医療機関は、算定する項目名が変わる点に注意が必要です。2. 歯科技工料調査を踏まえ歯冠修復及び欠損補綴等を引き上げる第2の柱は、歯冠修復及び欠損補綴等の評価について、歯科技工料調査の結果等を踏まえて評価や運用を見直すものです。個別改定項目に掲載された項目は、いずれも引き上げとなっています。対象は、補綴装置本体、デジタル関連技術、支台築造及び維持装置の3つの領域に分かれます。補綴装置本体では、総義歯、高強度硬質レジンブリッジ、非金属歯冠修復の評価が引き上げられます。* 総義歯(1顎につき):2,420点 → 2,500点* 高強度硬質レジンブリッジ(1装置につき):2,800点 → 3,000点* 非金属歯冠修復 レジンインレー 単純なもの:128点 → 148点* 非金属歯冠修復 レジンインレー 複雑なもの:180点 → 200点デジタル関連技術では、光学印象と、装着時の内面処理加算1の評価が引き上げられます。* 光学印象(1歯につき):100点 → 150点* 内面処理加算1 CAD/CAM冠:45点 → 55点* 内面処理加算1 CAD/CAMインレー:45点 → 55点* 内面処理加算1 高強度硬質レジンブリッジ:90点 → 110点光学印象は5割の引き上げとなり、今回の第2の柱のなかで最も引き上げ率が高い項目です。内面処理加算1は、いずれも歯質に対する接着性を向上させる目的で内面処理を行った場合に算定します。この算定要件そのものに変更はありません。支台築造及び維持装置では、支台築造、根面被覆、磁性アタッチメント、大連結子の評価が引き上げられます。* 支台築造 間接法 ファイバーポストを用いた場合(大臼歯):211点 → 221点* 支台築造 間接法 ファイバーポストを用いた場合(小臼歯及び前歯):180点 → 190点* 根面被覆 根面板によるもの:195点 → 225点* 磁性アタッチメント キーパー付き根面板を用いる場合:550点 → 580点* 鋳造バー(1個につき):458点 → 468点このうち鋳造バーについては、点数だけでなく項目の名称も変わります。現行の【バー】という区分名が、改定案では【大連結子】に改められます。名称変更はレセプト電算処理システムのマスタにも及ぶため、システムの更新時期を事前に確認しておくと安全です。3. 臨床現場の実態を踏まえ処置と口腔外科手術を見直す第3の柱は、その他の個別の評価について、臨床現場の実態等を踏まえて評価や運用を見直すものです。掲載された項目の中心は口腔外科手術であり、引き上げ幅の大きい項目が目立ちます。あわせて、象牙質レジンコーティングの算定要件と加圧根管充填処置の評価も見直されます。算定要件の見直しは、象牙質レジンコーティングが対象です。現行では、生活歯歯冠形成を行った場合に「歯冠形成から装着までの一連の行為」につき1回に限り算定します。改定案では、この範囲が「歯冠形成から印象採得までの一連の行為」に改められます。「1回に限り」と数える区切りが、装着時点から印象採得時点へと前倒しになる形です。実際の算定の取扱いは、告示及び通知の記載を確認したうえで院内ルールを整理してください。処置の見直しは、加圧根管充填処置が対象です。* 単根管:139点 → 150点* 2根管:168点 → 180点* 3根管以上:213点 → 230点加圧根管充填処置は、いずれの区分も1歯につき算定する点に変更はありません。口腔外科手術の見直しは、埋伏智歯の抜歯から広範囲顎骨支持型装置に関する手術まで、幅広い術式に及びます。* 抜歯手術「4」の加算(下顎完全埋伏智歯(骨性)又は下顎水平埋伏智歯の場合):130点 → 230点* 顎骨腫瘍摘出術(歯根嚢胞を除く) 長径3センチメートル未満:2,820点 → 4,020点* 腐骨除去手術 顎骨に及ぶもの 片側の3分の1未満の範囲のもの:1,300点 → 1,560点* 腐骨除去手術 顎骨に及ぶもの 片側の3分の1以上の範囲のもの:3,420点 → 4,100点* がま腫切開術:820点 → 1,230点* 唾石摘出術(一連につき) 表在性のもの:720点 → 1,080点* 顎関節脱臼非観血的整復術:410点 → 800点なかでも顎関節脱臼非観血的整復術は、410点から800点へと約2倍の引き上げとなります。がま腫切開術と唾石摘出術(表在性のもの)も、それぞれ1.5倍の水準です。腐骨除去手術については、点数本体だけでなく加算も引き上げられます。この加算は、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死又は放射線性顎骨壊死に対して手術を行った場合に算定します。ただし対象は「2 顎骨に及ぶもの」の「イ 片側の3分の1未満の範囲のもの」に限られ、「ロ 片側の3分の1以上の範囲のもの」は対象外です。この加算の評価が、1,000点から1,200点になります。顎骨内異物(挿入物を含む。)除去術と広範囲顎骨支持型装置に関する手術も、同様に引き上げられます。* 顎骨内異物除去術 簡単なもの 手術範囲が顎骨の2分の1顎程度未満:850点 → 1,500点* 顎骨内異物除去術 簡単なもの 手術範囲が全顎にわたる場合:1,680点 → 2,000点* 顎骨内異物除去術 困難なもの 手術範囲が顎骨の3分の2顎程度未満:2,900点 → 4,000点* 顎骨内異物除去術 困難なもの 手術範囲が全顎にわたる場合:4,180点 → 5,500点* 広範囲顎骨支持型装置埋入手術 1回法によるもの:14,500点 → 16,000点* 広範囲顎骨支持型装置埋入手術 2回法によるもの 1次手術:11,500点 → 13,000点* 広範囲顎骨支持型装置埋入手術 2回法によるもの 2次手術:4,500点 → 6,000点* 広範囲顎骨支持型装置掻爬術(1顎につき):1,800点 → 3,300点広範囲顎骨支持型装置掻爬術は、1,800点から3,300点へと約1.8倍の引き上げとなります。これらの手術を実施する医療機関では、算定実績のある術式を事前に洗い出しておくと、改定後の点数の切り替え漏れを防げます。4. 医療機関が改定までに確認すべき3点改定内容を実務に落とし込むうえで、確認しておきたい作業を3点挙げます。なお本節は、個別改定項目に書かれた内容ではなく、実務上の備えとしての提案です。第1に、自院で算定実績のある技術を洗い出し、今回の見直し対象と突き合わせます。第2に、象牙質レジンコーティングのように算定要件そのものが変わる項目を抽出し、算定タイミングを院内で共有します。第3に、【バー】から【大連結子】への名称変更や「歯科吸入麻酔又は歯科静脈麻酔」の新設に備え、電子カルテとレセプトコンピュータのマスタ更新時期をベンダーに確認します。なお、本稿で示した点数は個別改定項目の改定案に基づく内容です。最終的な取扱いは、告示及び通知の内容を必ずご確認ください。まとめ:3つの柱で歯科の技術評価が底上げされる令和8年度診療報酬改定における「歯科固有の技術の評価の見直し」は、3つの柱で構成されます。第1の柱では、学会等が提案した16の技術について、医療技術評価分科会等の検討結果を踏まえて評価や運用が見直されます。第2の柱では、歯科技工料調査の結果等を踏まえ、光学印象や総義歯をはじめとする歯冠修復及び欠損補綴等の評価が引き上げられます。第3の柱では、臨床現場の実態等を踏まえ、口腔外科手術を中心に大幅な引き上げが行われます。自院の算定実績と照らし合わせ、算定要件の変更とマスタ更新への対応を早めに進めましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
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