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【令和8年度改定】感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で大幅緩和

【令和8年度改定】感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で大幅緩和

Feb 24, 2026 05:15 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医療現場の人手不足と業務効率化への対応として、感染対策向上加算等における専従要件が見直されます。今回の見直しは、専門人材が介護保険施設等への支援と院内業務をより柔軟に両立できるようにすることを目的としています。見直しの内容は、3つの柱で構成されています。第一の柱は、介護保険施設等又は指定障害者支援施設等(以下「介護保険施設等」)への助言に携われる時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されることです。第二の柱は、感染制御チーム等の専従者が所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになることです。第三の柱は、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者への外来栄養食事指導等を行えるようになることです。介護保険施設等への助言時間が月10時間から月16時間に拡大第一の柱は、専従者が介護保険施設等に赴いて助言できる時間の上限拡大です。対象となる加算は、感染対策向上加算、緩和ケア診療加算、小児緩和ケア診療加算、外来緩和ケア管理料、褥瘡ハイリスク患者ケア加算の5つです。これらの加算の施設基準では、各チームの専従者が介護保険施設等からの求めに応じて助言を行う場合、専従業務とみなすことができます。この助言に携われる時間の上限が、現行の月10時間以下から月16時間以下に引き上げられます。この拡大の背景には、介護保険施設等における専門的支援のニーズの高まりがあります。今回の時間拡大により、施設間連携がさらに促進されることが期待されます。感染制御チーム等の専従者に月16時間までの他業務従事を容認第二の柱は、専従者の業務時間が所定労働時間に満たない場合に、他業務への従事を認める仕組みの新設です。この仕組みの対象は、感染対策向上加算における感染制御チームの専従者、抗菌薬適正使用支援チームの専従者、医療安全対策加算1に規定する専従の医療安全管理者の3者です。具体的な運用方法は以下のとおりです。これらの専従者について、加算に係る業務への従事時間が所定労働時間に満たない場合には、月16時間までに限り、当該業務の実施時間以外に他の業務に従事することが認められます。なお、感染制御チームの専従者については「病院内の」他の業務と場所が限定されている一方、抗菌薬適正使用支援チームの専従者と医療安全管理者については場所の限定がない点に留意してください。感染制御チームの専従者については、この月16時間の枠と介護保険施設等への助言時間が調整される点に注意が必要です。介護保険施設等に赴いて助言に係る業務を行った時間がある場合、月16時間からその時間を差し引いた残りの時間が、院内の他業務に従事できる上限となります。この見直しの背景には、中医協での議論があります。従来、医療安全対策加算や感染対策向上加算の専従者については、加算に係る業務のない時間に実施可能な業務が明示されていませんでした。病床規模によって業務量に差があるにもかかわらず、空き時間の活用方法が不明確だったのです。今回の改定で、月16時間という具体的な基準が設けられたことで、現場の運用が明確になります。入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者の外来支援に従事可能に第三の柱は、入院栄養管理体制加算における専従管理栄養士の業務範囲の拡大です。特定機能病院入院基本料の入院栄養管理体制加算では、病棟に専従の常勤管理栄養士を1名以上配置することが求められています。今回の改定では、この専従の管理栄養士が、病棟での栄養管理業務に影響のない範囲において、当該病棟から退院した患者の外来栄養食事指導等の継続的な支援を行って差し支えないこととされます。この見直しは、入院から外来への栄養管理の切れ目ない提供を可能にするものです。従来の基準では、専従の管理栄養士は当該病棟の退院患者に対する支援であっても、病棟外での業務を行うことができませんでした。今回の改定により、入院中に把握した患者の栄養状態や食事の課題を、退院後の外来指導に直接つなげることが可能になります。まとめ令和8年度診療報酬改定における感染対策向上加算等の専従要件の見直しは、3つの柱で構成されています。第一に、介護保険施設等への助言時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されます。第二に、感染制御チーム等の専従者が所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになります。第三に、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者の外来支援を行えるようになります。いずれも医療現場の人手不足に対応し、専門人材をより柔軟に活用するための改定です。届出医療機関においては、施設基準の変更内容を確認し、運用体制の見直しを進めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】看護職員が一時的に不足しても届出不要に?施設基準の柔軟化を解説

【令和8年度改定】看護職員が一時的に不足しても届出不要に?施設基準の柔軟化を解説

Feb 23, 2026 04:39 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、看護職員の一時的な不足に対応するため、施設基準の届出に関する新たな柔軟化ルールが設けられました。医療現場の約8割が看護職員の配置に困難を感じている状況を踏まえ、平時から採用活動を行っている医療機関が突発的な事情で看護職員を確保できない場合に、届出の猶予を認める仕組みです。この柔軟化ルールのポイントは3つあります。第一に、看護要員数について暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動があった場合、最長3か月間、届出区分の変更が不要になります。第二に、この猶予を受けるには、ハローワークやナースセンターなどの公的職業紹介を活用した採用活動を平時から行っていることが条件です。第三に、猶予の適用は年1回に限られ、地方厚生局への報告義務があります。改定の背景:深刻化する看護職員不足と従来の取扱い今回の改定は、医療現場における看護職員不足の深刻化を背景としています。令和7年度の実態調査によると、入院料の施設基準を満たす看護職員の配置について、「困難を感じる」と回答した医療機関は約8割に上りました。また、令和6年度の実態調査では、勤務シフトの組み方について、すべての勤務形態で「組みにくくなった」との回答が3割を超えています。従来、看護要員数の一時的な変動に対する届出猶予は、新型コロナウイルス感染症の特例措置として運用されていました。この特例では、コロナ患者の受入れによる入院患者の急増や、職員の感染による一時的な人手不足が生じた場合に、3か月を超えない期間に限り届出区分の変更を不要としていました。この特例の期限は令和8年5月31日までとされていましたが、今回の改定で、コロナに限らず突発的な事情全般に対応する恒久的な制度として新たに規定されました。柔軟化の具体的な内容:対象となる変動と猶予期間新たに設けられた柔軟化ルールは、看護要員に関する3つの指標を対象としています。対象となる指標は、1日当たり勤務する看護要員の数、看護要員の数と入院患者の比率、そして看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率です。これらの指標について、猶予が認められる条件は2つあります。ひとつは、突発的で想定が困難な事象によるやむを得ない事情が原因であることです。もうひとつは、暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であることです。この2つの条件を満たす場合、3か月を超えない期間に限り、届出区分の変更が不要となります。ただし、この猶予の適用は1年に1回に限られます。猶予を受けるための4つの要件届出猶予の適用を受けるには、以下の4つの要件すべてに該当する必要があります。要件1:公的職業紹介の活用。ハローワーク(公共職業安定所)または都道府県ナースセンター等の無料職業紹介事業を活用して、看護職員の確保に係る取組を行っていることが必要です。なお、やむを得ない事情が生じていない平時においても、看護職員の求人を行う際にこれらを活用することが望ましいとされています。要件2:適正認定事業者の利用。民間の有料職業紹介事業者を利用する場合は、医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者認定制度による適正認定事業者を含めることが求められます。要件3:自主的な採用活動の推進。公的職業紹介を活用している場合でも、医療機関自らが採用情報をウェブサイトで公表する等、看護職員確保に積極的に取り組んでいることが望ましいとされています。要件4:看護要員の労働時間管理。一時的に看護職員を確保できない場合には、一部の看護要員へ過度な業務負担とならないよう、適正な労働時間管理を行い、体制の整備を図るよう努めることが求められます。報告の手続き:届出が不要でも報告は必要届出区分の変更は猶予されますが、地方厚生局等への報告は必要です。報告は、やむを得ない事情が生じた日の属する月の翌月までに、速やかに行わなければなりません。報告にあたっては、所定の様式に、看護職員の確保に係る取組の内容と、一時的に看護職員を確保できないやむを得ない事情を記載します。この様式には、報告する時点で有効な求人票を添付することが必要です。まとめ令和8年度診療報酬改定では、看護職員の一時的な不足に対応する施設基準の柔軟化ルールが新設されました。暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であれば、最長3か月間、届出区分の変更が不要となります。ただし、この猶予を受けるには、ハローワークやナースセンターの活用を含む平時からの採用活動が前提条件です。届出は不要でも報告義務はありますので、手続きの準備を怠らないよう注意が必要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】医師の働き方改革と診療科偏在対策|外科医処遇改善と休日等加算1の要件緩和

【令和8年度改定】医師の働き方改革と診療科偏在対策|外科医処遇改善と休日等加算1の要件緩和

Feb 22, 2026 05:24 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、外科を中心とした診療科偏在の解消と医師の働き方改革の推進に向けて、診療報酬上の新たな評価の導入と既存の施設基準の見直しが行われます。外科医師の減少が全国的な課題となる中、処遇改善と勤務環境改善の両面から対策が講じられます。医師の働き方改革の推進と診療科偏在対策は、大きく2つの施策で構成されます。第1に、医師の働き方改革及び診療科偏在対策として、地域医療体制確保加算の2段階化、外科医療確保特別加算の新設、時間外・休日労働時間の上限基準の引下げの3つの柱が導入されます。第2に、処置及び手術の休日・時間外・深夜加算1について、チーム制の施設基準が緩和され、緊急呼出し当番の人数要件緩和、勤務間インターバルの選択肢追加、手当支給要件の整理が行われます。① 医師の働き方改革及び診療科偏在対策の推進令和8年度改定では、診療科偏在の解消と医師の働き方改革を図るため、3つの柱で対策が講じられます。第1の柱は、地域医療体制確保加算の2段階化です。 従来の加算(620点)を「加算1」とし、医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関に対して「加算2」(720点)が新設されます。加算2を算定するには、加算1の要件に加え、特定機能病院入院基本料(7対1・10対1に限る)または急性期総合体制加算の届出が必要です。さらに、消化器外科、心臓血管外科、小児外科、循環器内科のうち地域で医師確保が特に必要な「特定診療科」を3つ以内で選定し、当該診療科の医師に対する給与面での特別な配慮や、交代勤務制・チーム制の導入などの勤務環境改善に取り組むことが求められます。第2の柱は、外科医療確保特別加算の新設です。 地域の基幹的な医療機関が高度手術を実施する体制を整備し、外科医の勤務環境を改善した上で、長時間かつ高難度な手術を実施した場合に、手術の所定点数の15%を加算できます。施設基準として、対象手術の年間200例以上の実績、経験5年以上の常勤医師6名以上の配置、地域の他の医療機関との連携体制の構築が求められます。加えて、対象手術件数に応じた加算額の30%以上に相当する手当を当該診療科の医師に支給することが必要です。第3の柱は、特定地域医療提供医師等の時間外・休日労働時間の上限基準の引下げです。 令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下へと段階的に引き下げられます。この上限基準は、地域医療体制確保加算1の施設基準として位置づけられています。詳しくは、【令和8年度改定】外科医の処遇改善と診療科偏在対策の3つの柱を解説をご覧ください。② 処置及び手術の休日・時間外・深夜加算1の見直し処置及び手術に係る休日加算1、時間外加算1、深夜加算1について、チーム制の施設基準が3つの点で見直されます。令和7年度の実態調査で多くの医療機関が「算定継続が困難」と回答していた要件が緩和されます。第1に、緊急呼出し当番の人数要件が緩和されます。 現行では「医師数5名ごとに1名」の配置が必要でしたが、改定後は原則「2名以上」(医師数5名未満の場合は「1名以上」)に緩和されます。医師数に比例して当番人数が増える仕組みが見直され、配置の負担が軽減されます。第2に、勤務間インターバルが翌日休日の代替として選択可能になります。 現行では夜勤時間帯の緊急呼出し当番について翌日を休日とすることが求められていましたが、改定後は翌日休日に代えて、医療法に規定する休息時間と同様の勤務間インターバルを確保する方法を選択できるようになります。第3に、手当支給要件における緊急呼出し当番配置が整理されます。 緊急呼出し当番の配置対象が交代勤務制に限定されるとともに、対象時間帯が「休日等」から「休日又は時間外」に変更され、関連するただし書きも削除されます。なお、既届出の医療機関には令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。詳しくは、【令和8年度改定】処置・手術の休日等加算1のチーム制要件が緩和|3つの変更点を解説をご覧ください。まとめ令和8年度改定における医師の働き方改革と診療科偏在対策は、2つの施策で構成されます。医師の働き方改革及び診療科偏在対策では、地域医療体制確保加算の2段階化、外科医療確保特別加算の新設、時間外・休日労働時間の上限基準の引下げにより、外科医を中心とした処遇改善と勤務環境改善が推進されます。処置・手術の休日等加算1の見直しでは、チーム制の施設基準が緩和され、緊急呼出し当番の配置負担や翌日休日の運用負担が軽減されます。いずれの施策も、医師が働き続けられる環境の整備と、地域における医療提供体制の確保を目指すものです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】処置・手術の休日等加算1のチーム制要件が緩和|3つの変更点を解説

【令和8年度改定】処置・手術の休日等加算1のチーム制要件が緩和|3つの変更点を解説

Feb 22, 2026 05:06 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医師の働き方改革を推進する観点から、処置及び手術に係る休日加算1、時間外加算1、深夜加算1の施設基準が見直されます。令和7年度の実態調査で多くの医療機関が「算定継続が困難」と回答していたチーム制の要件が、今回の改定で緩和されます。今回の見直しは、大きく3つです。第1に、チーム制における緊急呼出し当番の人数要件が緩和されます。第2に、夜勤時間帯の緊急呼出し当番について、翌日休日に代えて「勤務間インターバルの確保」が選択肢として追加されます。第3に、手当支給要件(3)における緊急呼出し当番の配置対象が交代勤務制に限定されるとともに、対象時間帯やただし書きも整理されます。なお、既届出の医療機関には令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。変更点1:緊急呼出し当番の人数要件の緩和チーム制における緊急呼出し当番の配置人数が緩和されます。現行の要件では、「当該診療科に配置されている医師の数が5名又はその端数を増すごとに1名」の緊急呼出し当番を配置する必要がありました。たとえば、医師10名の診療科では2名の当番配置が必要でした。改定後は、「2名以上」の緊急呼出し当番を配置すればよいこととなります。ただし、当該診療科の医師数が5名未満の場合は「1名以上」で足ります。この変更により、医師数に比例して当番人数が増える仕組みが見直され、配置の負担が軽減されます。変更点2:勤務間インターバルの選択肢の追加夜勤時間帯の緊急呼出し当番に対する勤務体制として、勤務間インターバルの確保が新たに選択できるようになります。現行の要件では、夜勤時間帯に緊急呼出し当番を行った医師について、翌日を休日とすることが求められていました。当番中に診療を行わなかった場合は翌日を休日としなくてもよいとされていたものの、診療の有無は事前に予見できません。そのため、実態としては、緊急呼出し当番の翌日は常に休日として運用せざるを得ない状況でした。令和7年度の実態調査でも、「緊急呼出し当番翌日の休日対応」は算定継続が困難な要件の上位に挙げられていました。改定後は、翌日休日の要件(ウ)に加えて、勤務間インターバルの確保(エ)が新たな選択肢として設けられます。具体的には、夜勤時間帯に緊急呼出し当番を行う医師について、特定対象医師であるかどうかにかかわらず、医療法第123条第1項及び第2項に規定する休息時間と同様の休息時間を確保することが求められます。また、特定対象医師については、同条第3項に規定する休息時間の確保にも配慮することとされています。この変更により、医療機関は翌日休日(ウ)と勤務間インターバル(エ)のいずれかを選択できるようになります。変更点3:手当支給要件における緊急呼出し当番配置等の整理手当支給に関する要件(3)について、緊急呼出し当番の配置条件、対象時間帯、ただし書きの3点が整理されます。1点目は、緊急呼出し当番の配置対象の限定です。現行では、交代勤務制・チーム制のいずれを導入している場合でも、手当支給の要件として「休日等において、当該診療科に1名以上の緊急呼出し当番を担う医師を置いていること」が求められていました。改定後は、この配置要件が「(1)の交代勤務制を導入している場合」に限定されます。チーム制を導入している医療機関では、(2)の要件の中で緊急呼出し当番の配置がすでに求められているため、(3)での重複した配置要件が整理された形です。2点目は、対象時間帯の変更です。現行では緊急呼出し当番の配置が必要な時間帯は「休日等」、すなわち休日・時間外・深夜とされていました。改定後は「休日又は時間外」に変更され、深夜が対象から除かれます。交代勤務制を導入している医療機関では、深夜帯は交代勤務の中で対応する体制が前提となっているため、緊急呼出し当番の配置対象から外されたと考えられます。3点目は、ただし書きの削除です。現行では、緊急呼出し当番以外の医師が夜勤時間帯に手術を行った場合の取扱い(当直等を行っている者として数えない、特定の医師に手術が集中しないよう配慮する等)がただし書きとして詳細に規定されていました。改定後は、このただし書きが削除されます。チーム制における(3)の緊急呼出し当番配置要件が削除されたことに伴い、関連するただし書きも不要となったためと考えられます。経過措置既届出の医療機関には、経過措置が設けられます。令和8年3月31日時点で休日加算1、時間外加算1、深夜加算1の届出を行っている保険医療機関は、令和9年5月31日までの間、チーム制の新要件であるウ(翌日休日)又はエ(勤務間インターバル)を満たしているものとみなされます。まとめ令和8年度改定では、処置・手術の休日等加算1について、チーム制の施設基準が3つの点で見直されます。緊急呼出し当番の人数要件が緩和され、勤務間インターバルが翌日休日の代替として選択可能となり、手当支給要件の緊急呼出し当番配置が交代勤務制に限定されるとともに対象時間帯やただし書きも整理されます。既届出の医療機関には令和9年5月31日までの経過措置があるため、施設基準の見直しと届出の準備を計画的に進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】外科医の処遇改善と診療科偏在対策の3つの柱を解説

【令和8年度改定】外科医の処遇改善と診療科偏在対策の3つの柱を解説

Feb 21, 2026 04:14 岡大徳

外科医師の減少が全国的な課題となっています。特に消化器外科や心臓血管外科などでは若手医師数の減少傾向が続いており、地域の医療提供体制に深刻な影響を及ぼしています。令和8年度診療報酬改定では、こうした診療科偏在の解消と医師の働き方改革の推進を図るため、診療報酬上の新たな評価が導入されます。今回の改定では、3つの柱で対策が講じられます。第1の柱は、地域医療体制確保加算の2段階化です。従来の加算(620点)を「加算1」とし、医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関に対して「加算2」(720点)が新設されます。第2の柱は、外科医療確保特別加算の新設です。高度な手術を実施する医療機関において、手術の所定点数の15%を加算する仕組みが創設されます。第3の柱は、特定地域医療提供医師等の時間外・休日労働時間の上限基準の引き下げです。令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下へと段階的に引き下げられます。地域医療体制確保加算の2段階化地域医療体制確保加算は、従来の1区分から2区分に再編されます。従来の要件を満たす医療機関は「加算1」(620点)を算定し、さらに医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関は「加算2」(720点)を算定できます。加算1の要件は、現行の地域医療体制確保加算と基本的に同じです。救急搬送、周産期医療または小児救急医療に係る実績を有し、病院勤務医の負担軽減・処遇改善に資する体制を整備していることが求められます。加算2の要件は、加算1の要件に加えて、入院料の届出要件と医師確保が必要な診療科に対する特別な配慮が求められます。入院料の届出要件として、特定機能病院入院基本料(7対1入院基本料及び10対1入院料に限る)または急性期総合体制加算を届け出ていることが必要です。この要件により、加算2を算定できるのは特定機能病院や高度急性期を担う医療機関に限定されます。加えて、以下の3つの要件を満たす必要があります。第1に、対象となる診療科の特定です。全国的に若手の医師数が減少傾向にある消化器外科、心臓血管外科、小児外科、循環器内科のうち、地域でも医師確保が特に必要な診療科を3つ以内で「特定診療科」として選定します。なお、消化器外科、心臓血管外科または小児外科を他の外科系診療科と区別することが困難な場合は、外科系診療科全体を2診療科として特定できます。第2に、特定診療科の医師確保に関する取組です。地域の他の医療機関との手術・高度医療の機能分化や集約に関する協議を行うこと、臨床研修終了後の研修を地域で連携して行うこと、そして特定診療科の医師に対する給与面での特別な配慮(毎月決まって支給される手当に限る)を行うことが求められます。第3に、勤務環境改善の取組です。特定診療科において、交代勤務制またはチーム制を導入した上で、次のいずれかの取組を実施する必要があります。ひとつは、医師事務作業補助体制加算を届け出た上で、当該加算で配置する医師事務作業補助者を全ての特定診療科の病棟または外来等に配置することです。もうひとつは、各特定診療科の術前術後管理等に携わる看護職員について、集中治療や術後疼痛管理等の適切な研修を修了した者を配置することです。外科医療確保特別加算の新設外科医療確保特別加算は、地域の基幹的な医療機関が高度手術を実施する体制を整備し、外科医の勤務環境を改善した上で、長時間かつ高難度な手術を実施した場合に算定できる新たな加算です。算定額は、当該手術の所定点数の15%に相当する点数です。この加算の対象となる手術は、消化器外科・心臓血管外科領域を中心とした長時間かつ高難度な手術です。対象術式は通知においてKコードで具体的に指定されており、多数の術式が対象となっています。施設基準は、以下の8項目で構成されています。第1に、対象診療科の届出です。外科医療確保特別加算を算定する診療科を届け出ていることが必要です。第2に、入院料の届出です。特定機能病院入院基本料または急性期総合体制加算を届け出ていることが求められます。第3に、手術実績です。対象となる長時間かつ高難度な手術を合わせて年間200例以上実施していることが求められます。第4に、診療科体制です。算定する全ての診療科において、当該診療科の経験を5年以上有する常勤医師を6名以上配置し、チーム制または交代勤務制を導入していることが必要です。加えて、当該診療科に配置されている常勤医師については、特定対象医師であるかどうかにかかわらず、特定対象医師について医療法で規定されているものと同様の休息時間を確保することが求められます。なお、医療法第123条第3項に規定する休息時間については、確保するよう「配慮」することとされており、努力義務として位置づけられています。第5に、地域連携体制です。地域の他の医療機関と対象手術の実施体制や術後フォローアップ体制について事前に協議し、その内容を公表するとともに患者に説明する必要があります。第6に、研修体制です。臨床研修終了後の医師を対象として、対象手術に係る診療科における研修体制が整備されていることが必要です。第7に、地域医療体制確保加算2の届出です。加算2における処遇配慮の対象に、外科医療確保特別加算を算定する診療科が含まれている必要があります。第8に、手当の支給です。対象手術件数に応じて、加算額の30%以上に相当する額を総額とする手当を当該診療科の医師に支給し、その8割以上を常勤医師に支給することが求められます。この支給内容は、院内の全ての医師に周知する必要があります。なお、この手当は地域医療体制確保加算2における処遇配慮に活用して差し支えないとされています。時間外・休日労働時間の上限基準の引き下げ特定地域医療提供医師および連携型特定地域医療提供医師の時間外・休日労働時間の上限基準は、段階的に引き下げられます。令和6年度の1,785時間以下、令和7年度の1,710時間以下に続き、令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下となります。この上限基準は、地域医療体制確保加算1の施設基準として位置づけられています。基準を超える特定対象医師がいる場合でも、その理由と改善計画を院内の見やすい場所やホームページ等で公開すれば、直ちに施設基準を満たさなくなるわけではありません。ただし、この例外的な取扱いが認められるのは、あくまで改善に向けた計画を公開している場合に限られます。なお、今回の改定では、従来の施設基準通知で「対象医師」としていた名称が「特定対象医師」に変更されています。まとめ令和8年度診療報酬改定における医師の働き方改革・診療科偏在対策は、3つの柱で構成されています。地域医療体制確保加算の2段階化により、特定機能病院や高度急性期を担う医療機関のうち、医師確保が困難な診療科への特別な配慮を行う医療機関が新たに評価されます。外科医療確保特別加算の新設により、高度手術を担う外科医の処遇が改善されます。時間外・休日労働時間の上限基準の引き下げにより、医師の働き方改革がさらに推進されます。これらの対策を通じて、外科を中心とした診療科偏在の解消と、地域における医療提供体制の確保が図られます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】看護・多職種協働加算を新設|急性期病棟の多職種連携が点数化

【令和8年度改定】看護・多職種協働加算を新設|急性期病棟の多職種連携が点数化

Feb 21, 2026 05:22 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、急性期病棟における多職種協働の取り組みを新たに評価する「看護・多職種協働加算」が新設されます。この加算は、生産年齢人口の減少により医療従事者の確保が難しくなる中でも、重症度の高い高齢者等に専門的な治療やケアを提供し、ADLの維持・向上を図ることを目的としています。看護・多職種協働加算のポイントは3つです。第一に、対象は急性期一般入院料4と急性期病院B一般入院料のうち、急性期一般入院料1と同等の重症度を満たす病棟です。第二に、看護配置基準を超えて多職種を配置し、専門性を発揮しながら協働する体制が要件となります。第三に、点数は加算1が277点(1日につき)、加算2が255点(1日につき)です。加算の対象と点数看護・多職種協働加算は、急性期一般入院料4を算定する病棟と急性期病院B一般入院料を算定する病棟が対象です。いずれも急性期一般入院料1と同等の重症度、医療・看護必要度を満たす病棟に限定されます。対象病棟のうち、急性期一般入院料4を算定する患者には「看護・多職種協働加算1」として277点(1日につき)が算定できます。急性期病院B一般入院料を算定する患者には「看護・多職種協働加算2」として255点(1日につき)が算定できます。配置要件:看護職員を含む25対1配置この加算の配置要件では、看護配置基準を超えて職員を追加配置することが求められます。具体的には、患者に指導および診療の補助を行う看護職員と他の医療職種を合わせて、常時、入院患者25人に対して1人以上の配置が必要です。追加で配置する職種は、看護職員、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、管理栄養士、臨床検査技師のいずれかです。看護職員をさらに手厚く配置する方法でも、他の医療職種を組み合わせる方法でも要件を満たせます。いずれの場合も、各職種が専門性に基づいて業務を行う体制を整備しなければなりません。施設基準の主な要件施設基準では、配置要件に加えて、患者の重症度や病院の機能に関する複数の要件が定められています。ここでは、主な要件を整理します。重症度、医療・看護必要度については、2つの基準から選択できます。必要度Ⅰを用いる場合は、特に高い基準を満たす患者割合の指数が28%以上、かつ一定程度高い基準を満たす患者割合の指数が35%以上です。必要度Ⅱを用いる場合は、特に高い基準を満たす患者割合の指数が27%以上、かつ一定程度高い基準を満たす患者割合の指数が34%以上です。ただし、必要度Ⅱを用いるには、診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備されていなければなりません。在院日数と退院先の要件も設けられています。平均在院日数は16日以内であることが求められます。自宅等に退院する患者の割合は、退院患者全体の80%以上でなければなりません。医師の配置基準として、常勤医師の員数が入院患者数の10%以上であることが必要です。このほか、急性期医療を担う病院であること、各医療職種が専門性に基づいて業務を行う体制が整備されていること、医療従事者の負担軽減と処遇改善に資する体制が整備されていることも求められます。背景と狙い:人口減少時代の病棟運営モデル看護・多職種協働加算が新設された背景には、生産年齢人口の減少による医療従事者確保の制約があります。従来の「看護師のみで病棟配置を厚くする」というモデルでは、人材確保が困難になりつつあるのが現状です。この加算は、看護職員と他の医療職種が協働するという新しい病棟運営モデルを提示しています。たとえば、理学療法士や作業療法士が病棟に配置されることで、高齢の入院患者に対してADLの維持・向上を目的とした早期介入が可能になります。管理栄養士が配置されれば、栄養管理の観点から患者の回復を支援できます。臨床検査技師が配置されれば、検査データに基づくタイムリーな状態把握に貢献できます。このように、各職種の専門性を活かした介入によって、患者のアウトカム向上と看護職員の負担軽減の両立を目指しています。まとめ令和8年度改定で新設される看護・多職種協働加算は、急性期一般入院料4および急性期病院B一般入院料の病棟のうち、急性期一般入院料1相当の重症度を満たす病棟が対象です。加算を算定するには、看護職員を含む25対1配置と、重症度基準・在院日数・退院先割合などの施設基準を満たす必要があります。この加算は、人口減少時代において多職種の専門性を活かした協働により、患者のADL維持・向上と医療従事者の負担軽減を両立させる新たな病棟運営モデルを示しています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】ICT・AI・IoT活用で変わる4つの業務効率化|看護配置から事務簡素化まで

【令和8年度改定】ICT・AI・IoT活用で変わる4つの業務効率化|看護配置から事務簡素化まで

Feb 20, 2026 04:25 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医療従事者の人材確保と働き方改革を推進するため、ICT・AI・IoT等の利活用による業務効率化が大きく進みます。この改定は、看護現場の人手不足や医師の事務負担、煩雑な届出業務など、医療機関が長年抱えてきた課題に対応するものです。本記事では、個別改定項目「Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進」に含まれる4つの改定項目の全体像を解説します。今回の改定では、4つの分野で業務効率化が図られます。第1に、ICT機器の活用により看護配置基準が1割以内で柔軟化されます。第2に、生成AIの導入により医師事務作業補助者の配置人数が最大1.3人換算で算入可能となります。第3に、各種様式の統一や届出のオンライン化など事務の簡素化・効率化が進みます。第4に、様式9の勤務時間算入要件が追加され、小数点処理も統一されます。① ICT等の活用による看護業務効率化の推進ICT機器を組織的に活用した病棟では、看護職員の配置基準が1割以内で柔軟化されます。見守り・記録・情報共有の3領域すべてにICT機器を導入した病棟が対象であり、看護職員の配置数や看護師比率が基準の9割以上であれば、入院基本料等の所定点数を算定できます。3領域のICT機器とは、具体的には以下の3つです。「見守り」の領域では、病室のカメラやベッドのセンサー等を活用して遠隔で複数の患者の状態を把握できる機器が求められます。「記録」の領域では、音声入力による看護記録の作成や電子カルテからの自動サマリー生成など、記録作成を効率化する機器が求められます。「情報共有」の領域では、ハンズフリーで複数人と同時通話できる機器やリアルタイムに情報共有できる端末が求められます。ICT機器の導入に加えて、超過勤務が月平均10時間以下であることや、導入前後の業務量評価を年1回実施することなど、複数の施設基準を満たす必要があります。対象となる入院料は、急性期一般入院料1〜6をはじめ20種類に及びます。▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】ICT活用で看護配置基準を1割以内で柔軟化|3つの必須機器と施設基準を解説② 医師事務作業補助体制加算の見直し生成AIを含むICT機器を組織的に導入した医療機関では、医師事務作業補助者1人を最大1.3人として配置人数に算入できるようになります。あわせて、医師事務作業補助者の業務範囲も具体的に明確化されます。配置人数の割増算入は、活用するICT機器の種類と範囲に応じて2段階に分かれます。1.2人換算は、生成AIを活用した文書作成補助システムの導入を含む4つの要件をすべて満たした場合に認められます。1.3人換算は、生成AIシステムに加えて、医療文書用の音声入力システム(汎用音声入力機能を除く)・RPAによる定型作業の自動化・10種類以上の患者向け説明動画のうち1種類以上を広く活用している場合に認められます。ICT活用による柔軟化を届け出る場合は、直近3か月以上の実績要件を満たしたうえで、年1回の効果評価が義務づけられます。また、業務範囲の明確化として、文書作成補助の対象文書名や代行入力の対象項目が具体的に列挙されました。▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】生成AI活用で医師事務作業補助者1人が1.3人分に?配置基準の柔軟化を解説③ 医療機関等における事務等の簡素化・効率化医療DXへの対応と事務負担の軽減を目的として、5つの分野で簡素化が進みます。各種様式の共通項目の記載統一、入院診療計画書等の様式簡素化と署名・押印の廃止、施設基準届出の様式削減とオンライン化の推進、定例報告の対象限定と添付書類の省略、歯科診療報酬における事前承認対象の縮小です。各種様式の統一では、診療報酬改定DX対応方針の一環として作成された76様式のデータテーブルを活用し、共通項目の標準化が進められます。入院診療計画書については、入院前の外来での説明を入院後7日以内と同様に取り扱えるようになるほか、短期入院の場合に計画策定・文書交付を省略できるようになります。署名・押印も代替方法で担保できるものは廃止されます。施設基準届出のオンライン化は令和10年度の全届出オンライン化に向けて進められており、届出様式の削減と記載項目の最小化が図られます。定例報告も他に代替方法がないものや次期改定に必要なものに絞り込まれます。▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】医療機関の事務負担が変わる5つの簡素化ポイント④ 様式9の見直し入院基本料等の届出に使用する様式9について、勤務時間の算入要件が2つ追加され、小数点以下の処理方法も統一されます。いずれも、入院患者の看護に影響のない範囲で病棟勤務時間に算入できる内容を見直すものです。1つ目の追加は、院内の緊急対応に係る勤務時間の算入です。保険医療機関内で生じた不測の事象に対応するため、病棟の看護要員が自病棟の入院患者以外の患者に日常の診療の延長として短時間対応した場合、病棟勤務時間に算入できるようになります。2つ目の追加は、病棟外での付き添い看護に係る勤務時間の算入です。入院患者に付き添って病棟外で一時的に看護を行った場合も、勤務時間に算入できるようになります。小数点以下の処理方法については、従来は項目によって「切り上げ」「第2位以下切り捨て」「第3位以下切り捨て」と不統一でした。今回の改定では、可能な限り処理方法が統一されるとともに、注意事項の記載が整理されます。▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】様式9の見直し|勤務時間の算入要件が2つ追加、小数点処理も統一へまとめ令和8年度診療報酬改定における「業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進」では、4つの分野で改定が行われます。第1に、3領域のICT機器の導入により看護配置基準が1割以内で柔軟化されます。第2に、生成AIの活用により医師事務作業補助者の配置人数が最大1.3人換算となります。第3に、様式統一・署名廃止・オンライン届出など5つの分野で事務の簡素化が進みます。第4に、様式9の勤務時間算入要件の追加と小数点処理の統一が行われます。いずれもICT・AI・IoT等の活用を前提とした業務効率化であり、医療機関は自院の状況に応じて計画的な導入と施設基準の確認を進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】様式9の見直し|勤務時間の算入要件が2つ追加、小数点処理も統一へ

【令和8年度改定】様式9の見直し|勤務時間の算入要件が2つ追加、小数点処理も統一へ

Feb 20, 2026 05:21 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、入院基本料等の施設基準に係る届出書添付書類「様式9」が見直されます。様式9は、看護要員の必要数・配置数を算出するために使用する書類であり、その作成が煩雑であるとの指摘がありました。今回の改定では、医療現場の実態を踏まえ、業務の簡素化の観点から見直しが行われます。見直しの内容は大きく3つあります。いずれも、入院患者の看護に影響のない範囲で病棟勤務時間に算入できる内容を見直すものです。第一に、院内で生じた緊急対応のために当該病棟の入院患者以外の患者に短時間対応した場合を、病棟勤務時間に算入できるようになります。第二に、入院患者に付き添って病棟外で一時的に看護を行った場合も、勤務時間に算入できるようになります。第三に、小数点以下の処理方法を含む注意事項の記載が整理されます。様式9とは何か様式9は、入院基本料等の施設基準に係る届出書の添付書類です。医療機関が入院基本料や特定入院料を届け出る際に、看護要員の配置数や勤務実績を報告するために使用します。様式9で報告する事項は多岐にわたります。具体的には、1日平均入院患者数、月平均1日当たり看護職員配置数、看護職員中の看護師の比率、平均在院日数、月平均夜勤時間数などを記載します。この様式9は、適時調査においても事前提出書類とされており、施設基準との整合性を確認するために用いられます。様式9の作成が煩雑になっている背景には、勤務時間として算入・除外するものが通知や疑義解釈の様々な箇所に規定されている事情があります。たとえば、病棟内勤務中に短時間のオンライン研修を受講した場合は勤務時間から除外する必要があるなど、判断が複雑になる場面が生じています。さらに、看護要員等の算出における小数点以下の処理方法が項目によって異なっているため、計算ミスのリスクも指摘されていました。見直し①:院内の緊急対応を病棟勤務時間に算入可能へ1つ目の見直しは、院内で発生した緊急対応に係る勤務時間の算入です。入院患者の看護に影響のない範囲で、保険医療機関内で生じた緊急対応等の不測の事象に対応するため、病棟内の看護要員が当該病棟に入院中の患者以外の患者に対して、日常の診療の延長として必要な対応を短時間行った場合は、病棟内として勤務時間数に算入してよいこととされます。この見直しは新設規定です。従来は、病棟の看護要員が自病棟の患者以外に対応した場合、その時間を病棟勤務時間に算入してよいかが明確ではありませんでした。今回の改定では、「日常の診療の延長として」「短時間」という要件のもとで算入を認めることにより、医療現場の実態に即した取扱いが可能となります。見直し②:病棟外での付き添い看護を勤務時間に算入可能へ2つ目の見直しは、入院患者への病棟外での付き添い看護に係る勤務時間の算入です。入院患者の看護に影響のない範囲で、病棟内の看護要員が当該病棟に入院中の患者に付き添い、病棟外において一時的に看護を行った場合は、勤務時間数に算入してよいこととされます。この見直しも新設規定です。入院患者が検査や処置のために病棟外へ移動する際に看護要員が付き添うことは、日常的に発生する業務です。従来、この付き添い時間の取扱いは明確に示されていませんでしたが、今回の改定で算入可能であることが明文化されます。見直し③:小数点以下の処理方法を含む注意事項の整理3つ目の見直しは、小数点以下の処理方法を含む注意事項の記載の整理です。従来の様式9では、項目によって小数点以下の処理方法が異なっていました。たとえば、1日平均入院患者数は「小数点以下切り上げ」、月平均1日当たり看護職員配置数は「小数点以下第2位以下切り捨て」、主として事務的業務を行う看護補助者配置数は「小数点第3位以下切り捨て」といった具合です。この処理方法の不統一は、様式9の作成を煩雑にする要因のひとつでした。今回の改定では、小数点以下の処理を可能な限り統一するとともに、注意事項の記載が整理されます。まとめ令和8年度診療報酬改定による様式9の見直しは、入院患者の看護に影響のない範囲で勤務時間に算入できる内容を見直すとともに、注意事項の記載を整理するものです。第一に、院内の緊急対応で当該病棟の入院患者以外の患者に短時間対応した場合の勤務時間の算入が認められます。第二に、入院患者に付き添って病棟外で一時的に看護を行った場合の勤務時間の算入が認められます。第三に、小数点以下の処理方法を含む注意事項の記載が整理されます。これらの見直しにより、医療現場の実態に即した勤務時間の取扱いが可能となるとともに、様式9の作成に係る事務負担の軽減が期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】医療機関の事務負担が変わる5つの簡素化ポイント

【令和8年度改定】医療機関の事務負担が変わる5つの簡素化ポイント

Feb 19, 2026 05:30 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医療DXへの対応と業務の簡素化を図る観点から、診療に係る様式や届出・報告の仕組みが大きく見直されます。この見直しは、医療機関の現場で長年課題とされてきた事務負担の軽減を目的としています。本記事では、個別改定項目「Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進―③ 医療機関等における事務等の簡素化・効率化」の内容を解説します。今回の改定では、5つの分野で簡素化が進みます。第1に、各種様式の共通項目の記載が統一されます。第2に、入院診療計画書をはじめとする計画書の様式簡素化と署名・押印の廃止が行われます。第3に、施設基準の届出様式の削減とオンライン化が推進されます。第4に、地方厚生局等への定例報告が必要最小限に限定されます。第5に、歯科診療報酬における事前承認の対象が縮小されます。1. 各種様式の共通項目の記載統一医療DXへの対応を見据え、既存の様式も含めた各種様式の共通項目について、可能な範囲で記載の統一が図られます。現在、診療報酬算定に係る留意事項通知で示す各種様式には、生年月日や要介護度などの共通項目が含まれています。しかし、これらの共通項目は様式ごとに記載方法が異なっており、統一されていませんでした。今回の改定では、診療報酬改定DX対応方針の一環として作成された76様式のデータテーブルを活用し、共通項目の標準化が進められます。この標準化により、将来的な「標準様式のアプリ化とデータ連携」への対応が容易になります。2. 計画書の様式簡素化と署名・押印の廃止入院診療計画書のような業務負担の大きい計画書について、様式の簡素化や運用の見直しが行われます。あわせて、各種様式の署名または記名・押印のうち、代替方法で担保できるものは廃止されます。入院診療計画書については、2つの運用変更が行われます。ひとつは、入院前の外来で文書を提供し説明した場合でも、入院後7日以内に行ったものと同様の取扱いとなる点です。もうひとつは、入院期間が2日以内と見込まれる場合や、3日以上の入院予定が2日以内となった場合に、診療に支障がないと認められる患者に対しては、総合的な入院診療計画の策定と文書による説明・交付を省略できる点です。この場合は、診療録にその旨を記載します。署名・押印については、医師および患者等の署名が不要となります。署名がない場合は、説明日および説明者を診療録に記載する運用に変わります。署名がある場合は、従来どおり説明日・説明者の記載は不要です。また、入院診療計画書の様式から本人・家族の署名欄が削除されます。この見直しの背景には、令和7年度の入院・外来医療等における実態調査があります。同調査では、簡素化の必要性がある業務として「計画書作成」が施設・病棟のいずれでも最多でした。病棟では「患者や家族等による署名・記名押印」も45.1%と高い割合を示していました。規制改革推進に関する答申でも、医療機関等の負担軽減の観点から署名・押印を不要とすることの検討が求められていました。3. 施設基準届出の様式削減とオンライン化の推進施設基準等届出のオンライン化が引き続き進められます。あわせて、円滑なオンライン化のために、届出様式の削減や届出項目の最小化が行われます。施設基準等届出(令和6年度改定時:約1,100件)のオンライン化は、令和4年4月から段階的に実施されてきました。令和6年度までに116件、令和7年度には新たに210件が追加され、合計326件のオンライン化が予定されています。今後も令和10年度の全届出オンライン化に向けて改修が進められる計画です。今回の改定では、オンライン化を円滑に進めるため、届出様式そのものの削減と記載項目の最小化が図られます。これにより、紙での届出からオンライン届出への移行がスムーズになることが期待されます。4. 定例報告の限定と添付書類の省略施設基準等の適合性や診療報酬に関する実績を確認するために毎年求めている報告様式について、対象が限定されます。具体的には、他に代替方法がないものや次期報酬改定に必要なものに絞り込まれるとともに、添付書類の省略等の簡素化が図られます。現行制度では、施設基準の届出を行った保険医療機関は、毎年8月1日現在で適合性を自己点検し、その結果を地方厚生(支)局に報告する義務があります。この報告には、厚生労働省への提出様式(全32様式)や地方厚生局への提出様式(病院33様式、有床診療所15様式など)が含まれ、大量の書類作成が必要でした。しかし、適合性や実績の確認には、適時調査やDPCデータ、NDBデータなど他の把握方法も存在します。今回の改定では、こうした代替手段を活用し、報告の対象を真に必要なものに絞ることで、医療機関の事務負担が軽減されます。5. 歯科診療報酬における事前承認対象の縮小歯科診療報酬において保険適用の事前承認を求めている項目のうち、通知等で明確化されているものが事前承認の対象から除外されます。現行制度では、一定のブリッジや小児義歯を保険適用する場合、あらかじめ理由書や模型、エックス線フィルム等を地方厚生(支)局長に提出し、保険適用の判断を求める必要がありました。今回の改定では、この事前承認制度について2つの変更が行われます。ひとつは、クラウン・ブリッジ維持管理料に関する変更です。装着日から2年以内に外傷や腫瘍等によりやむを得ず抜歯しブリッジを製作する場合、従来は事前に理由書等を厚生局に提出する必要がありました。改定後は、診療報酬明細書の摘要欄に算定の理由を記載する運用に簡素化されます。また、やむを得ない抜歯の除外事由について、従来の「歯周病が原因である場合」に加え、「う蝕」および「根尖性歯周炎」が原因である場合も除外対象に追加されます。もうひとつは、小児義歯に関する変更です。先天性疾患以外の疾患で小児義歯を適用する場合の事前承認が不要となります。改定後は、診療録および診療報酬明細書に小児義歯が必要となった理由を記載する運用に変わります。あわせて、小児義歯の範囲から小児保隙装置(可撤式保隙装置に限る)が除外される旨が明確化されます。まとめ令和8年度診療報酬改定における事務等の簡素化・効率化は、5つの分野で進められます。各種様式の共通項目の記載統一、入院診療計画書等の様式簡素化と署名・押印の廃止、施設基準届出の様式削減とオンライン化の推進、定例報告の対象限定と添付書類の省略、歯科診療報酬における事前承認対象の縮小です。いずれも、医療DXへの対応と医療従事者の事務負担軽減という2つの目的を踏まえた見直しです。各医療機関においては、改定内容を確認し、運用の変更に備える必要があります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】生成AI活用で医師事務作業補助者1人が1.3人分に?配置基準の柔軟化を解説

【令和8年度改定】生成AI活用で医師事務作業補助者1人が1.3人分に?配置基準の柔軟化を解説

Feb 18, 2026 04:35 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医師の働き方改革とICT活用の推進を背景に、医師事務作業補助体制加算の施設基準が見直されます。生成AIやRPAなどのICT機器を組織的に導入した医療機関では、医師事務作業補助者の人員配置基準が柔軟化されます。あわせて、医師事務作業補助者が実施できる業務範囲も明確化されます。今回の見直しのポイントは3つです。第1に、生成AIを含むICT機器の活用により、医師事務作業補助者1人を最大1.3人として配置人数に算入できるようになります。第2に、文書作成補助や代行入力など、医師事務作業補助者の業務範囲が具体的に明示されます。第3に、ICT活用による配置基準の柔軟化を届け出る場合は、導入前後の効果を年1回評価する義務が課されます。ICT活用による配置人数の算入方法今回の改定の最大の変更点は、ICT機器を活用する医療機関において、医師事務作業補助者の配置人数を割り増しで算入できる仕組みが新設されることです。この仕組みでは、活用するICT機器の種類と範囲に応じて、1人あたり1.2人または1.3人として算入できます。1.2人換算が認められるには、以下のアからエまでの4つの要件をすべて満たす必要があります。アの要件は、生成AIを活用した文書作成補助システム(①)を含むICT機器を組織的に導入し、大半の医師と医師事務作業補助者が日常的に活用することで、業務の効率化が顕著に図られていることです。この生成AIシステムは、退院時要約・診断書・紹介状等の原案作成を自動的に行い、業務を大幅に効率化するものでなければなりません。イの要件は、電子カルテ等と連動するICT機器について、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等に準拠していることです。ウの要件は、生成AI等を用いる製品・サービスについて、「AI事業者ガイドライン」が遵守されていることです。エの要件は、すべての医師事務作業補助者にICT機器の操作方法と生成AIの適切な利用に関する研修を実施し、常時ICT機器を用いて業務を遂行できる体制を整備していることです。1.3人換算は、上記の生成AIシステムに加えて、さらに別のICT機器を広く活用している場合に認められます。追加で活用するICT機器には、医療文書用の音声入力システム(汎用音声入力機能を除く)、RPAによる定型入力作業の自動化、10種類以上の患者向け説明動画の3種類があります。これら3種類のうち、少なくとも1種類以上を広く活用していれば、1.3人換算が可能です。届出と運用に関する要件ICT活用による配置基準の柔軟化を届け出るには、前述のアからエの要件に加え、実績要件と効果評価の義務を満たす必要があります。実績要件として、新たに届け出る場合は、直近3か月以上にわたり、ICT活用なしの配置基準で当該配置区分またはそれを上回る配置区分を算定し続けていることが求められます。つまり、まず従来の基準で実績を積んだうえで、ICT活用による柔軟化を届け出る流れになります。効果評価の義務として、年1回程度の定量的または定性的な評価の実施が求められます。具体的には、ICT機器の導入前後における医師事務作業補助者の業務内容・業務量・業務時間、および医師の事務作業時間・負担感等を評価します。この評価結果は、衛生委員会等で確認し、必要に応じて対策を講じなければなりません。業務範囲の明確化今回の改定では、医師事務作業補助者が実施できる業務の範囲がより具体的に明示されました。この明確化は、現場での業務運用を円滑にすることを目的としています。文書作成補助の範囲は、従来の「診断書等の文書作成補助」から具体的な文書名が列挙されました。改定後は、診断書・診療情報提供書・返信・診療サマリー・診療計画書等の文書作成補助と明記されています。代行入力の範囲も、従来の「診療記録への代行入力」から詳細に記載されました。改定後は、診療記録・検査オーダー・食事オーダー・クリニカルパス・地域連携パスへの代行入力と具体的に示されています。そのほかの業務でも記載が充実しています。患者・家族への説明文書の準備・作成が新たに明記されたほか、診療録・画像検査結果等の整理、院内がん登録等の統計・調査・入力作業といった業務も具体的に示されました。常勤要件の変更配置基準の柔軟化とあわせて、医師事務作業補助者の常勤要件にも小幅な変更があります。従来は常勤職員の定義が「週32時間以上」でしたが、改定後は「週31時間以上」に緩和されました。この変更に関連して、常勤換算の計算方法も改定案で明記されています。常勤換算の際は、「当該保険医療機関における常勤職員の所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)」の勤務をもって常勤1名として換算します。週31時間への緩和は常勤職員の定義に関するものであり、常勤換算の基準時間とは区別して理解する必要があります。まとめ令和8年度改定では、医師事務作業補助体制加算に3つの重要な変更が加わります。第1に、生成AIを含むICT機器の組織的活用により、医師事務作業補助者1人を最大1.3人として配置人数に算入できるようになります。第2に、文書作成補助や代行入力の業務範囲が具体的に明確化されます。第3に、ICT活用による柔軟化を届け出る場合は、年1回の効果評価が義務づけられます。生成AIの導入が必須要件となっている点は、今後の医療機関のICT投資計画に大きく影響するため、早めの検討をおすすめします。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】ICT活用で看護配置基準を1割以内で柔軟化|3つの必須機器と施設基準を解説

【令和8年度改定】ICT活用で看護配置基準を1割以内で柔軟化|3つの必須機器と施設基準を解説

Feb 17, 2026 05:11 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、看護業務の効率化と負担軽減を推進するため、ICT機器等の活用による看護配置基準の柔軟化が新設されました。この制度は、見守り・記録・情報共有の3領域すべてにICT機器を組織的に導入した病棟を対象としています。本記事では、この新制度の仕組みと施設基準の要件を解説します。この制度の要点は3つあります。第一に、3領域すべてのICT機器を導入した病棟では、看護職員の配置数や看護師比率が基準の9割以上であれば、入院基本料等の所定点数を算定できます。第二に、対象となる入院料は急性期一般入院料1~6をはじめ20種類に及びます。第三に、超過勤務が月平均10時間以下であることや、導入前後の業務量評価を年1回実施することなど、複数の施設基準を満たす必要があります。制度の概要|ICT活用で看護配置基準を1割以内で柔軟化今回新設された制度は、ICT機器等の活用により看護業務を効率化した病棟に対して、看護職員の配置基準を1割以内で柔軟化するものです。この柔軟化の対象となるのは、1日に看護を行う看護職員・看護補助者の数、看護要員の数と入院患者の比率、そして看護師比率の3つの基準です。これらの基準が、本来の基準値の9割以上であれば、入院基本料等の所定点数をそのまま算定できます。従来は配置基準を満たさなければ減額や算定不可となっていましたが、ICT機器を組織的に活用して業務を効率化した病棟については、この柔軟化が認められます。ただし、柔軟化されるのは看護配置の数と比率に関する基準のみです。これら以外の入院基本料等の施設基準については、すべて満たしていることが必要です。この点は告示で明確に定められているため、看護配置以外の要件が免除されるわけではありません。この制度の背景には、看護現場の深刻な人手不足があります。実態調査によると、ICTを活用した業務の見直し・省力化に取り組む医療機関は約7割に上ります。しかし、見守り・記録・情報共有の3領域すべてにICT機器を導入している施設はまだ限られています。今回の改定は、3領域のICT機器を包括的に導入することで、看護業務の質を維持しながら配置基準の柔軟化を可能にする仕組みです。導入が必要な3領域のICT機器施設基準を満たすには、「見守り」「記録」「情報共有」の3領域すべてにICT機器を導入し、病棟の看護職員等が広く使用している必要があります。いずれか1つでも欠けている場合は、この制度を利用できません。見守りにおける業務効率化に資するICT機器1つ目の「見守り」の領域では、病室のカメラやベッドのセンサー等を活用し、看護職員が遠隔で複数の患者の状態を把握できる機器が求められます。この機器により、患者の行動・体動・日常生活の状況を総合的かつ効率的に確認できることが条件です。具体的な効果としては、訪室回数の減少による業務効率化のほか、転倒転落の予防、異常の早期発見、身体的拘束の最小化、医療安全その他患者の生命・身体の保護が期待されます。なお、この機器を病室に設置する際には、患者のプライバシーに配慮し、患者またはその家族等に説明のうえ同意を得る必要があります。患者の状態や家族の意向に応じて、一部の患者に機器を使用しないことや、一時的に使用を停止することは差し支えありません。記録の作成等の効率化に資するICT機器2つ目の「記録」の領域では、音声入力による看護記録の作成や、電子カルテ情報からの自動サマリー生成など、看護記録の作成等の効率化に大きく資する機器が求められます。この機器を使用することで、業務時間外の記録作成にかかる時間が減少する等の効果があることが条件です。ただし、データの入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものに限られます。複数の機器を連携させて一体的に運用する場合も認められます。情報共有の効率化に資するICT機器3つ目の「情報共有」の領域では、業務中に手に持たずに複数人と同時に通話できる機器や、病棟の看護職員と病院の医師が携帯しリアルタイムに情報を共有できる端末など、直接対面せずに多人数で効率的に情報を共有できる機器が求められます。この機器により、報告・連絡に要する時間や、報告・連絡に伴う移動・待機の時間が減少する等の効果があることが条件です。その他の施設基準|超過勤務・業務評価・調査参加など3領域のICT機器の導入に加えて、以下の施設基準も満たす必要があります。セキュリティ基準への準拠ICT機器が電子カルテ等の医療情報システムと連動する場合は、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」と、総務省・経済産業省の「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」に準拠する必要があります。超過勤務の管理ICT機器を導入した病棟の看護要員(常勤職員に限る)の超過勤務時間は、1人1月あたり平均10時間以下であることが求められます。この超過勤務時間は、原則としてタイムカードやパソコンのログイン・ログアウト時間によって把握します。さらに、非常勤職員を含めて、導入前と比較して超過勤務が増加する傾向にないことも条件です。導入前後の業務量評価ICT機器の導入前後における看護要員の業務内容・業務量・業務時間、事務作業時間および業務負担等について、年1回程度の定量的または定性的な評価を実施する必要があります。その評価結果は院内の職員に周知するとともに、衛生委員会等で確認し、必要に応じて対策を講じます。中医協の調査への参加中央社会保険医療協議会の要請に基づく、ICT機器の活用状況や看護業務の改善に係る随時調査に適切に参加することも求められます。答申書の附帯意見においても、ICT等の活用による配置基準の柔軟化については、業務負担、医療の質、医療安全への影響、生産性向上等の観点から、病棟の種別ごとに影響を幅広く調査・検証するとされています。届出毎年8月に、ICT機器の導入状況と超過勤務の状況について届出を行う必要があります。初回の届出は所定の様式により行います。対象となる入院料|20種類の入院料が対象この柔軟化の対象となる入院料は、以下の20種類です。急性期一般入院料1~6、急性期病院A一般入院料、急性期病院B一般入院料、7対1入院基本料、10対1入院基本料、地域包括医療病棟入院料1・2、小児入院医療管理料1~4、特殊疾患病棟入院料1・2、緩和ケア病棟入院料1・2が該当します。急性期から専門病棟まで幅広い入院料が対象となっている点が特徴です。まとめ令和8年度診療報酬改定では、ICT機器を活用した看護業務の効率化を推進するため、看護配置基準の柔軟化が新設されました。この制度を利用するには、見守り・記録・情報共有の3領域すべてにICT機器を導入し、超過勤務月平均10時間以下や年1回の業務量評価などの施設基準を満たす必要があります。なお、柔軟化されるのは看護配置の数と比率のみであり、それ以外の施設基準はすべて満たすことが求められます。対象は急性期一般入院料をはじめ20種類の入院料です。今後は中医協の調査・検証を通じて、この制度の影響が評価されることになります。ICT機器の導入を検討している医療機関は、3領域すべての機器を計画的に整備し、施設基準の要件を確認したうえで届出の準備を進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】医療従事者の処遇改善|賃上げ評価の拡充と夜勤負担軽減の2本柱

【令和8年度改定】医療従事者の処遇改善|賃上げ評価の拡充と夜勤負担軽減の2本柱

Feb 16, 2026 04:47 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医療従事者の処遇改善に向けた取り組みが大幅に強化されます。令和8年度および令和9年度にそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップ実現を目指し、賃上げの実効性を高める仕組みと、夜勤負担の組織的な軽減策が導入されます。医療従事者の処遇改善は、大きく2つの施策で構成されます。第1に、ベースアップ評価料が大幅に拡充され、対象職員の全職種への拡大、点数の引き上げ、継続賃上げの優遇と未実施への減算が導入されます。第2に、急性期総合体制加算や看護職員夜間配置加算等の施設基準において、夜勤を含む負担軽減・処遇改善計画の策定が要件として明確化されます。① 賃上げに向けた評価の見直し:ベースアップ評価料の大幅拡充令和8年度改定では、医療従事者の賃上げを更に推進するため、ベースアップ評価料が3つの柱で見直されます。対象職員の拡大として、令和6年度改定で「主として医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く)」に限定されていた対象が、「当該保険医療機関に勤務する職員」全体に拡大されます。40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師、薬局の勤務薬剤師、事務職員、ベースアップ評価料の対象外であったその他の職員が新たに対象に加わります。これにより、賃金改善計画書や賃金改善実績報告書の提出が求められるようになるため、賃上げの実効性がより確実に確保されます。点数の大幅引き上げとして、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)は初診時6点→17点、再診時等2点→4点に引き上げられます。継続的に賃上げを実施している医療機関には、さらに高い点数(初診時23点、再診時等6点など)が新設されます。令和9年6月以降は段階的にさらに引き上げられます。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)は区分1~8から区分1~24へ、入院ベースアップ評価料は区分1~165から区分1~500へ拡充されます。継続賃上げ未実施への減算として、継続的な賃上げを実施していない医療機関に対し、入院基本料等の減算規定が新設されます。減算を回避するには、令和8年3月31日時点で入院ベースアップ評価料の届出を行っていること、令和6年3月と比較して継続的に賃上げを行っていること、令和8年6月1日以降に新規開設した医療機関であること、のいずれかを満たす必要があります。このほか、調剤ベースアップ評価料(処方箋受付1回につき4点)や歯科技工所ベースアップ支援料(1装置につき15点)が新設され、薬局や歯科技工所にも賃上げの仕組みが広がります。夜勤手当をベースアップ等に含める取扱い変更や、繰り越し規定の削除にも注意が必要です。詳しくは「【令和8年度改定】ベースアップ評価料が大幅拡充|対象職員・点数・減算の3つの変更点」をご覧ください。② 夜勤を含む負担の軽減及び処遇改善に資する計画の明確化看護職員の夜勤負担を組織的に軽減する取り組みとして、施設基準における計画策定要件が明確化されます。改定の背景として、病棟看護管理者の実態調査で「夜勤シフトが組みにくくなった」と回答した病棟が34.3%、「夜勤回数が増えた」が28.1%にのぼります。入院料の施設基準を満たす看護職員の配置に困難を感じている医療機関は約8割に達しています。一方、「夜勤手当の見直し」を実施している医療機関はわずか15.0%にとどまっており、処遇面の対応も十分とは言えない状況です。改定の内容として、急性期総合体制加算や看護職員夜間配置加算等において、「負担の軽減及び処遇の改善に資する計画」に夜勤に関する事項を含めることが要件として明確化されます。従来の「現状の勤務状況等を把握し」という文言が、「医療従事者の夜勤を含む現状の勤務状況等を把握し」に変更されます。対象となる加算は、大きく2つのグループです。第一に急性期総合体制加算(総合入院体制加算と急性期充実体制加算を統合して新設)、第二に看護職員夜間配置に関連する加算(療養病棟入院基本料の夜間看護加算、看護職員夜間12対1・16対1配置加算、精神科救急急性期医療入院料・精神科救急合併症入院料の看護職員夜間配置加算)です。実務上の対応として、対象加算を届け出ている医療機関は、夜勤に関する現状把握(シフトの組みやすさ、1人あたり夜勤回数の推移など)、問題点の抽出、具体的な改善策(夜勤専従者の導入、多様な夜勤形態の整備、夜勤手当の見直しなど)を盛り込んだ計画への見直しが必要です。詳しくは「令和8年度診療報酬改定|看護職員の夜勤負担軽減へ「計画要件」が明確化」をご覧ください。まとめ令和8年度改定における医療従事者の処遇改善は、賃上げに向けた評価の見直しと、夜勤を含む負担軽減計画の明確化の2本柱で構成されています。ベースアップ評価料は対象職員の全職種拡大、点数の大幅引き上げ、継続賃上げの優遇と未実施への減算が導入され、賃上げの実効性が強化されます。夜勤負担の軽減については、急性期総合体制加算や看護職員夜間配置加算等の施設基準で、夜勤に関する事項を計画に含めることが要件化されます。各医療機関においては、ベースアップ評価料の届出準備と夜勤に関する計画の見直しを並行して進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

令和8年度診療報酬改定|看護職員の夜勤負担軽減へ「計画要件」が明確化

令和8年度診療報酬改定|看護職員の夜勤負担軽減へ「計画要件」が明確化

Feb 15, 2026 05:21 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、看護職員の夜勤負担を組織的に軽減する取り組みが強化されます。具体的には、急性期総合体制加算や看護職員夜間配置加算等の施設基準において、「負担の軽減及び処遇の改善に資する計画」に夜勤に関する事項を含めることが要件として明確化されます。今回の改定のポイントは3つです。第一に、従来の負担軽減計画において暗黙的に含まれていた夜勤の事項を、計画に明示的に盛り込むことが要件として明確化されます。第二に、対象となる加算は急性期総合体制加算と看護職員夜間配置加算をはじめとする複数の加算です。第三に、実務上は現行の計画を見直し、夜勤に係る現状把握と具体的な改善策を盛り込む必要があります。改定の背景|深刻化する看護職員の夜勤負担今回の改定は、看護職員の夜勤をめぐる負担が年々深刻化していることを背景としています。病棟看護管理者を対象とした実態調査によると、直近1年間で「夜勤シフトが組みにくくなった」と回答した病棟は34.3%にのぼります。「夜勤の回数が増えた」と回答した病棟も28.1%に達しています。入院料の施設基準を満たす看護職員の配置に困難を感じている医療機関は、約8割にのぼります。夜勤に対する処遇面の対応も十分とは言えません。病院勤務看護職員の夜勤手当(1回あたり)は、2010年代に入ってからおおむね横ばいで推移しています。看護職員の負担軽減に関する具体的な取り組みとして「夜勤手当の見直し」を実施している医療機関は、わずか15.0%にとどまっています。こうした状況を受け、中医協の議論では「夜勤に係る負担に配慮するよう促すこと」が論点として示されました。既存の負担軽減計画の中に、夜勤の負担軽減を組織的に位置づけることで、医療機関の取り組みを後押しする狙いがあります。改定の内容|計画に「夜勤を含む」ことが要件化今回の改定では、負担軽減・処遇改善に関する計画の策定要件に、夜勤に関する事項を含めることが明確化されます。従来の施設基準では、計画の策定にあたり「現状の勤務状況等を把握し、問題点を抽出した上で」具体的な取り組み内容を定めることとされていました。今回の改定では、この要件に「夜勤を含む」という文言が追加されます。改定後は「医療従事者の夜勤を含む現状の勤務状況等を把握し」た上で計画を作成し、その計画も「夜勤を含む負担の軽減及び処遇の改善に資する計画」とすることが求められます。対象となる加算|急性期総合体制加算と看護職員夜間配置加算等今回の要件明確化の対象となる加算は、大きく2つのグループに分かれます。第一のグループは、急性期総合体制加算です。この加算は、令和8年度改定で総合入院体制加算と急性期充実体制加算を統合して新設されるものです。急性期総合体制加算では、病院の医療従事者全体の負担軽減・処遇改善計画の中に、夜勤に関する事項を含めることが求められます。第二のグループは、看護職員夜間配置に関連する加算です。対象となるのは、療養病棟入院基本料の夜間看護加算、看護職員夜間12対1配置加算、看護職員夜間16対1配置加算、精神科救急急性期医療入院料の看護職員夜間配置加算、精神科救急・合併症入院料の看護職員夜間配置加算です。これらの加算では、看護職員の負担軽減・処遇改善計画に夜勤の事項を含めることが同様に求められます。実務上の対応ポイント|計画の見直しと体制整備医療機関が対応すべき事項は、既存の計画の見直しと体制の再確認です。計画の見直しにあたっては、まず夜勤を含む現状の勤務状況を改めて把握する必要があります。具体的には、夜勤シフトの組みやすさ、1人あたりの夜勤回数の推移、夜勤に伴う残業時間の実態といった項目を確認します。現状把握の次に、夜勤に関する問題点を抽出します。夜勤者の確保が困難な要因や、夜勤手当の水準が適切かどうかなど、自院の課題を明確にします。問題点の抽出を踏まえ、具体的な取り組み内容と目標達成年次を計画に盛り込みます。たとえば、夜勤専従者の導入、多様な夜勤形態(回数・時間・曜日)の整備、夜勤手当の見直しなどが具体策として考えられます。計画を改定した後は、職員への周知徹底と院内掲示等による公開も忘れずに行います。これらの手続きは、従来から施設基準で求められている事項と同様です。まとめ令和8年度診療報酬改定では、急性期総合体制加算や看護職員夜間配置加算等の施設基準において、負担軽減・処遇改善計画に「夜勤を含む」ことが要件として明確化されます。この改定は、夜勤シフトの困難化や夜勤手当の停滞といった現場の課題を踏まえたものです。対象となる加算を届け出ている医療機関は、夜勤に関する現状把握・問題点の抽出・具体的な改善策を盛り込んだ計画への見直しを進めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】ベースアップ評価料が大幅拡充|対象職員・点数・減算の3つの変更点

【令和8年度改定】ベースアップ評価料が大幅拡充|対象職員・点数・減算の3つの変更点

Feb 15, 2026 06:12 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医療従事者の賃上げを更に推進するため、ベースアップ評価料が大幅に見直されます。令和6年度改定では「主として医療に従事する職員(医師・歯科医師を除く)」に限定されていた対象職員が、今回の改定では医師や事務職員を含む「保険医療機関に勤務する職員」全体に拡大されます。この見直しは、令和8年度と令和9年度にそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップ実現を目指すものです。今回の改定の主な変更点は3つあります。第1に、対象職員が拡大され、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師や事務職員もベースアップ評価料の対象に含まれます。第2に、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の点数が大幅に引き上げられ、継続的に賃上げを実施している医療機関にはさらに高い点数が設定されます。第3に、継続的な賃上げを実施していない医療機関には入院基本料等の減算が新設されます。このほか、調剤ベースアップ評価料や歯科技工所ベースアップ支援料の新設など、賃上げの対象範囲が薬局や歯科技工所にも広がります。対象職員の拡大:医師・事務職員もベースアップ評価料の対象に今回の改定における最大の変更点は、ベースアップ評価料の対象職員が大幅に拡大されることです。令和6年度改定では、対象は「主として医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く)」に限定されていました。令和8年度改定では、この限定が外れ、「当該保険医療機関に勤務する職員」が対象となります。この対象拡大により、新たにベースアップ評価料の対象に加わる職種は、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師、薬局の勤務薬剤師、事務職員、そしてベースアップ評価料の対象外であったその他の職員です。これらの職種は、令和6年度改定では入院基本料や初・再診料の引き上げにより賃上げ原資が配分されていましたが、実際の賃上げ実績を確認する仕組みがありませんでした。令和8年度改定では、これらの職種についてもベースアップ評価料の仕組みに統合されます。統合により、賃金改善計画書や賃金改善実績報告書の提出が求められるようになるため、賃上げの実効性がより確実に確保されます。点数の引き上げと継続賃上げの優遇:2段階の評価体系外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の点数は、大幅に引き上げられます。初診時は現行の6点から17点へ、再診時等は2点から4点へ、訪問診療時(同一建物居住者等以外)は28点から79点へ引き上げられます。歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)についても同様に、初診時が10点から21点へ、再診時等が2点から4点へ引き上げられます。これらの点数に加えて、継続的に賃上げを実施している医療機関には、さらに高い点数が新設されます(注5)。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の場合、初診時23点、再診時等6点、訪問診療時(同一建物居住者等以外)107点が算定可能です。この継続賃上げの優遇は、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料、訪問看護ベースアップ評価料のいずれにも設けられています。さらに、令和9年6月以降は点数が段階的に引き上げられます。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)では所定点数の200/100(2倍)に、継続賃上げの医療機関ではそれぞれ40点(初診時)、10点(再診時等)、186点(訪問診療時)などの点数が適用されます。入院基本料等の減算:継続的な賃上げ未実施への対応継続的な賃上げを実施していない医療機関に対しては、入院基本料等の減算規定が新設されます。この減算は、令和6年度および令和7年度において賃上げを実施した医療機関と、そうでない医療機関を区別する仕組みです。減算の対象は、入院基本料、特定入院料、短期滞在手術等基本料(短期滞在手術等基本料1を除く)です。減算額は入院料の種類によって異なり、たとえば急性期病院A一般入院料・急性期一般入院料1では1日につき121点、療養病棟入院基本料では42点、特定機能病院入院基本料では141点が減算されます。減算を回避するための施設基準は、以下の3つのいずれかに該当することです。第1に、令和8年3月31日時点で入院ベースアップ評価料の届出を行っていること。第2に、令和6年3月と比較して継続的に賃上げを行っていること。第3に、令和8年6月1日以降に新規開設した医療機関であること。この3つのうちいずれかを満たせば、減算は適用されません。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)と入院ベースアップ評価料の拡充外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)は、区分数が大幅に拡大されます。現行の区分1~8(最大で初診・訪問診療時64点、再診時等8点)から、区分1~24(最大で初診・訪問診療時192点、再診時等24点)へと拡充されます。区分13~24は令和9年6月以降に算定開始となります。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)では、施設基準にも重要な変更があります。施設基準(1)は、現行の「入院基本料等を算定していない保険医療機関」から「算定していない又は算定回数が著しく少ない保険医療機関」に変更されます。この変更により、入院患者がごく少数の医療機関も評価料(Ⅱ)の届出が可能となります。また、施設基準(3)の算定要件は、現行の「対象職員の給与総額の一分二厘未満」から「対象職員の適切な賃金改善に必要な額の百分の五十未満」に変更されます。算定の可否に直結するため、届出の際には新基準での再計算が必要です。入院ベースアップ評価料も同様に拡大されます。現行の区分1~165(最大165点)から、区分1~500(最大500点)へと大幅に拡充されます。区分251~500は令和9年6月以降に算定される段階的な評価です。入院ベースアップ評価料の施設基準には、新たに「当該保険医療機関における常勤の対象職員の数が、二以上であること」という要件が追加されます。ただし、基本診療料の施設基準等別表第六の二に掲げる地域(離島やへき地等)に所在する保険医療機関は、この要件の適用が除外されます。小規模医療機関では、常勤対象職員が2名未満の場合に届出ができなくなるため、注意が必要です。これらの評価料についても、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)と同様に、継続的に賃上げを実施している医療機関にはさらに高い点数が設定されます。施設基準における対象職員の要件も、「主として医療に従事する職員(医師及び歯科医師を除く)」から「対象職員」(勤務する職員全体)に変更されます。新設:調剤ベースアップ評価料と歯科技工所ベースアップ支援料調剤報酬においては、調剤ベースアップ評価料が新設されます。処方箋の受付1回につき4点が算定可能です。対象は「当該保険薬局に勤務する職員」であり、薬剤師だけでなく事務職員等も含まれます。令和9年6月以降は所定点数の200/100(2倍)に引き上げられます。歯科診療報酬においては、歯科技工所ベースアップ支援料が新設されます。1装置につき15点が算定可能です。この評価料は、歯科技工所に補綴物等の製作等を委託した場合に算定できます。施設基準として、歯科技工所に勤務する歯科技工士の賃金改善を十分に支援していることが求められます。こちらも令和9年6月以降は所定点数の200/100に引き上げられます。訪問看護ベースアップ評価料の見直し訪問看護ベースアップ評価料も、対象職員の拡大と点数の引き上げが行われます。訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)は、現行の780円から1,050円に引き上げられます。対象は「主として医療に従事する職員」から「当該訪問看護ステーションに勤務する職員」に拡大されます。訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)では、算定対象となる利用者の範囲も拡大されます。現行は「区分番号02の1を算定している利用者」のみが対象でしたが、改定案では「区分番号02の1又は区分番号04を算定している利用者」に変更されます。この変更により、算定可能な利用者が増加するため、訪問看護ステーションにとっては収入増につながる見直しです。訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)は、区分数が現行の18区分から36区分に拡大されます。最大額は500円から1,080円へと引き上げられます。訪問看護についても、継続的に賃上げを実施しているステーションには優遇措置が設けられます。訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)は所定額に代えて1,830円、令和9年6月以降は2,880円が算定可能です。夜勤手当の取扱い変更夜勤職員の確保を促進するため、看護職員処遇改善評価料およびベースアップ評価料の収入を夜勤手当の増額に充てることが可能となります。具体的には、賃金改善の合計額の3分の2以上をベースアップ等により改善する要件について、恒常的に夜間を含む交替勤務制をとっている職場の職員に支払われる夜勤手当は「基本給等」に含めて差し支えないこととされます。この変更に伴い、現行で認められていた繰り越し規定は削除されます。現行では「令和6年度及び令和7年度に、翌年度以降のベア等の改善のために繰り越しを行った場合」に、繰り越し額を控除した残額の3分の2以上をベア等で改善すれば足りるとされていました。令和8年度以降は、この繰り越しによる対応はできなくなります。賃金改善の合計額の3分の2以上を、ベア等(夜勤手当を含む)で確実に改善する必要があるため、賃金改善計画の策定にあたっては留意が必要です。この夜勤手当の取扱い変更は、看護職員処遇改善評価料、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料のすべてに適用されます。夜勤手当の増額により、夜勤職員の確保が困難な医療機関にとっては有効な処遇改善策となります。まとめ令和8年度改定におけるベースアップ評価料の見直しは、対象職員の拡大、点数の大幅引き上げ、継続賃上げの優遇と未実施への減算という3つの柱で構成されています。対象職員は医師・事務職員を含む全職員に拡大され、令和8年度・令和9年度にそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップが目指されます。さらに、調剤ベースアップ評価料と歯科技工所ベースアップ支援料の新設により、薬局や歯科技工所にも賃上げの仕組みが広がります。各医療機関においては、施設基準の変更点(外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)の算定要件変更、入院ベースアップ評価料の常勤職員要件の追加、繰り越し規定の削除など)を確認し、届出や点数の算定に遺漏がないよう、早めの準備が求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】物件費高騰への3つの対応|初再診料・入院料の引上げから食事療養の見直しまで

【令和8年度改定】物件費高騰への3つの対応|初再診料・入院料の引上げから食事療養の見直しまで

Feb 15, 2026 05:33 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、持続的な物価高騰により増加した医療機関等の物件費負担に対応するため、基本診療料の見直しと入院時の食費・食事療養に関する制度改正が行われました。この対応は、個別改定項目「Ⅰ-1 医療機関等が直面する人件費や、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等といった物件費の高騰を踏まえた対応」に位置づけられています。物件費高騰への対応は、大きく3つの施策で構成されています。第1に、初再診料等・入院基本料等の引上げと「物価対応料」の新設により、物件費全般の高騰に対応しました。第2に、入院時の食費基準額を1食40円、光熱水費基準額を1日60円引き上げ、食材料費・光熱費の高騰に対応しました。第3に、嚥下調整食の特別食加算への追加や特別メニュー料金の見直しにより、入院時の食事療養の質の向上を図りました。以下、それぞれの概要を解説します。① 物件費の高騰を踏まえた対応——初再診料等・入院基本料等の引上げと物価対応料の新設物件費全般の高騰への対応として、緊急対応分(改定率+0.44%)による初再診料等・入院基本料等の引上げと、物価対応分(改定率+0.76%)による「物価対応料」の新設が行われました。対応は医科・歯科・調剤・訪問看護の全領域に及びます。この対応は3つの柱で構成されています。第1の柱は、令和6年度改定以降の経営環境の悪化に対する緊急対応です。医科では再診料が75点から76点に1点引き上げられ、歯科では歯科初診料が267点から272点に5点引き上げられました。入院基本料等も医療機能に応じて増点され、急性期一般入院料1は1,688点から1,874点へ186点の増点となっています。第2の柱は、令和8年度以降の物価上昇に段階的に対応する「物価対応料」の新設です。物価対応料は、外来・在宅では初診時2点・再診時等2点、入院では算定する入院料に応じて一般病棟で17~66点が設定されています。この物価対応料は、令和9年6月以降に全区分で点数が2倍になる段階的な仕組みが最大の特徴です。第3の柱は、高度機能医療を担う特定機能病院や急性期病院への特例的な評価です。急性期病院一般入院基本料が新設され、特定機能病院入院基本料はA・B・Cの3区分に再編されました。詳しくは「【令和8年度改定】物価対応料の新設と初再診料・入院料の引上げを徹底解説」をご覧ください。② 入院時の食費及び光熱水費の基準の見直し——食費1食40円・光熱水費1日60円の引上げ食材料費や光熱・水道費の上昇を踏まえ、入院時の食費及び光熱水費の基準額が引き上げられました。食費は令和6年6月(30円)、令和7年4月(20円)に続く3回連続の引上げであり、光熱水費は平成18年の制度創設以来初の基準額(総額)の増額です。食費の基準額は、入院時食事療養(Ⅰ)・(Ⅱ)及び入院時生活療養(Ⅰ)・(Ⅱ)の全区分で1食当たり40円引き上げられます。入院時食事療養(Ⅰ)の通常の食事療養は690円から730円に、流動食のみの提供は625円から665円にそれぞれ変更されます。光熱水費の基準額は、入院時生活療養(Ⅰ)・(Ⅱ)ともに1日当たり60円引き上げられ、398円から458円になります。引き上げ幅の60円は、令和6年度介護報酬改定における多床室の居住費基準費用額の引上げ幅と同額であり、介護保険との均衡を図る趣旨もあります。引上げの背景には、食材料費の高騰が続く中で、全面委託の約7割・一部委託の約5割の医療機関が委託事業者からの値上げの申し出に対応していたという実態があります。詳しくは「令和8年度改定|入院時の食費が1食40円・光熱水費が1日60円引き上げへ」をご覧ください。③ 入院時の食事療養に係る見直し——嚥下調整食の新評価と特別料金の柔軟化入院時の食事療養の質の向上を図るため、嚥下調整食を必要とする患者への対応と、入院患者の多様な食事ニーズへの対応を目的とした制度の見直しが行われました。この見直しは3つの変更で構成されています。第一に、嚥下調整食が特別食加算の対象として新たに追加されます。これまで特別食加算の対象は腎臓食や糖尿食などの治療食に限られ、嚥下調整食は対象外でした。嚥下調整食は普通食より食材費が高く、最もコストのかかる場合で1日あたり76円の差があるとの報告があります。見た目を改善し適切な栄養量を確保した嚥下調整食は、エネルギー摂取量の増加やADLの改善にも寄与することが示されています。第二に、特別メニューの追加料金について、1食あたり17円の標準額が削除され、医療機関が柔軟に金額を設定できるようになります。食材費・人件費の高騰が続く中、17円では追加コストを賄えない状況が解消されます。第三に、行事食やハラール食などの宗教に配慮した食事も、特別料金の対象として明確化されます。約8割の医療機関が行事食を追加料金なしで提供していた実態を踏まえ、コストを適正に収受できる道が開かれます。詳しくは「【令和8年度改定】入院時の食事療養が変わる|嚥下調整食の新評価と特別料金の2つの見直し」をご覧ください。まとめ令和8年度診療報酬改定の物件費高騰への対応は、3つの施策で構成されています。第1に、初再診料等・入院基本料等の引上げと物価対応料の新設により、物件費全般の高騰に対応しました。第2に、食費1食40円・光熱水費1日60円の基準額引上げにより、食材料費・光熱費の高騰に対応しました。第3に、嚥下調整食の特別食加算への追加と特別料金の見直しにより、食事療養の質の向上を図りました。各医療機関は、自施設に関連する改定内容を確認し、令和9年6月以降の物価対応料の倍増も見据えた対応が求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】入院時の食事療養が変わる|嚥下調整食の新評価と特別料金の2つの見直し

【令和8年度改定】入院時の食事療養が変わる|嚥下調整食の新評価と特別料金の2つの見直し

Feb 14, 2026 05:41 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、入院時の食事療養の質の向上を図るため、食事療養に関する制度が見直されます。今回の見直しは、嚥下調整食を必要とする患者への対応と、入院患者の多様な食事ニーズへの対応を目的としています。この記事では、個別改定項目「Ⅰ-1 ③入院時の食事療養に係る見直し」の内容を解説します。今回の改定では、主に3つの変更が行われます。第一に、嚥下調整食が特別食加算の対象として新たに追加されます。第二に、特別メニューの追加料金について、1食あたり17円の標準額が削除され、医療機関が柔軟に金額を設定できるようになります。第三に、行事食やハラール食などの宗教に配慮した食事も、特別料金の対象として明確化されます。嚥下調整食が特別食加算の新たな対象に追加今回の改定の最大のポイントは、嚥下調整食が特別食加算の対象に新たに追加されることです。これまで特別食加算の対象は、腎臓食や糖尿食などの「治療食」に限られていました。嚥下調整食は対象外であったため、摂食機能や嚥下機能が低下した患者に提供しても加算を算定できませんでした。嚥下調整食が加算の対象外であったことには、実態との乖離がありました。嚥下調整食を必要とする患者は各入院料において一定数存在しています。しかも、嚥下調整食は普通食よりも食材費が高く、最もコストのかかる嚥下調整食と普通食の1日あたりの食材費の差は76円に上るとの報告があります。こうしたコスト負担が、医療機関の持ち出しとなっていました。嚥下調整食の質の向上は、患者の栄養状態やADLの改善に直結します。見た目を改善し適切な栄養量を確保した嚥下調整食を提供した研究では、1日あたりエネルギー273.8kcal、たんぱく質12.4gの摂取量増加が認められました。さらに、この栄養強化群ではADLの改善も確認されています。今回新設された算定要件では、嚥下調整食は「治療食」とは別の区分として整理されています。具体的には、摂食機能または嚥下機能が低下した患者に対して、医師の発行する食事箋に基づき提供された、適切な栄養量および内容を有する嚥下調整食が対象となります。従来の治療食が「疾病治療の直接手段」と位置づけられているのに対し、嚥下調整食は「摂食・嚥下機能の低下への対応」として独立した位置づけを持つ点が特徴です。特別メニューの追加料金に関する2つの見直し入院患者の多様な食事ニーズに対応するため、特別料金の支払いを受けることができる食事についても2つの見直しが行われます。ひとつは追加料金の標準額の削除、もうひとつは対象となる食事の明確化です。標準額の削除と柔軟な料金設定1つ目の見直しは、特別メニューの追加料金における標準額の削除です。これまで、基本メニュー以外のメニューを患者が選択した場合の追加料金は、1食あたり17円を標準として設定されていました。この標準額が削除され、保険医療機関が柔軟に妥当な額を設定できるようになります。標準額が見直された背景には、現行の17円という金額が現状に合っていないとの指摘がありました。食材費や人件費の高騰が続くなか、17円では基本メニュー以外の選択肢を準備するための追加コストを賄えない状況が生じていたためです。今後は各医療機関が、実際のコストに見合った「社会的に妥当な額」を自ら設定できるようになります。行事食・宗教配慮食の対象明確化2つ目の見直しは、特別料金の対象となる食事の拡大です。患者の自由な選択と同意に基づき、行事食やハラール食などの宗教に配慮した食事を提供した場合も、特別の料金の支払いを受けることができることが明確化されます。この明確化の背景には、すでに多くの医療機関が追加料金なしでこれらの食事に対応している実態がありました。約8割の医療機関が行事食を追加料金なしで提供し、約2〜3割の医療機関がハラール食などの宗教配慮食を追加料金なしで対応していました。今回の見直しにより、こうした食事提供にかかるコストを、患者の同意のもとで適正に収受できる道が開かれます。まとめ令和8年度改定における入院時の食事療養の見直しは、3つの柱で構成されています。第一に、嚥下調整食が特別食加算の対象に追加され、摂食・嚥下機能が低下した患者への質の高い食事提供が評価されるようになります。第二に、特別メニューの追加料金について標準額が削除され、医療機関による柔軟な料金設定が可能になります。第三に、行事食やハラール食などの宗教配慮食が特別料金の対象として明確化されます。いずれも、入院時の食事療養の質の向上と、入院患者の多様なニーズへの対応を目指した改定です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

令和8年度改定|入院時の食費が1食40円・光熱水費が1日60円引き上げへ

令和8年度改定|入院時の食費が1食40円・光熱水費が1日60円引き上げへ

Feb 14, 2026 05:12 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、食材料費や光熱・水道費の上昇を踏まえ、入院時の食費及び光熱水費の基準額が引き上げられます。食費は令和6年6月(30円)、令和7年4月(20円)に続き、直近で3回連続の引き上げとなります。光熱水費は平成18年の制度創設以来、基準額(総額)としては初めての引き上げとなります。今回の改定では、食費と光熱水費の2つが見直されます。食費は入院時食事療養(Ⅰ)・(Ⅱ)及び入院時生活療養(Ⅰ)・(Ⅱ)のすべてで1食当たり40円引き上げられます。光熱水費は入院時生活療養(Ⅰ)・(Ⅱ)で1日当たり60円引き上げられます。この光熱水費の引き上げ額は、令和6年度介護報酬改定における多床室の居住費の引き上げ幅と同額です。食費の基準額:全区分で1食当たり40円の引き上げ食費の基準額は、入院時食事療養と入院時生活療養のいずれにおいても、1食当たり40円引き上げられます。対象は通常の食事療養と流動食のみの提供の両方です。入院時食事療養(Ⅰ)の基準額は、通常の食事療養が690円から730円に、流動食のみの提供が625円から665円にそれぞれ引き上げられます。入院時食事療養(Ⅰ)は、管理栄養士等による管理のもとで適切な栄養管理が行われている場合に算定される区分です。入院時食事療養(Ⅱ)の基準額は、通常の食事療養が556円から596円に、流動食のみの提供が510円から550円にそれぞれ引き上げられます。入院時食事療養(Ⅱ)は、(Ⅰ)の基準を満たさない場合に算定される区分です。入院時生活療養(Ⅰ)の食費も同様に引き上げられます。通常の食事提供が604円から644円に、流動食のみの提供が550円から590円にそれぞれ変更されます。入院時生活療養は、療養病床に入院する65歳以上の患者が対象です。入院時生活療養(Ⅱ)の食費は、470円から510円に引き上げられます。光熱水費の基準額:1日当たり60円の引き上げ光熱水費の基準額は、入院時生活療養(Ⅰ)・(Ⅱ)ともに、1日当たり60円引き上げられます。具体的には、398円から458円に変更されます。この光熱水費の基準額は、平成18年の入院時生活療養費制度の創設以来、総額としては据え置かれてきました。平成29年には自己負担額の引き上げが行われましたが、そのときも基準額(総額)は398円のまま維持されていました。今回の改定は、基準額そのものが引き上げられるという点で、制度創設以来初めてのことです。引き上げ幅の60円は、令和6年度介護報酬改定における多床室の居住費基準費用額の引き上げ幅と同額に設定されています。介護保険では、家計における光熱・水道支出を勘案し、すでに60円の引き上げが実施されていました。今回の医療保険側の対応は、介護保険との均衡を図る趣旨もあります。引き上げの背景:食材費・光熱費の高騰と医療現場の厳しい経営環境今回の引き上げの背景には、食材料費と光熱・水道費の継続的な高騰があります。食費については、令和6年6月に30円、令和7年4月に20円と2回にわたり引き上げが実施されましたが、その後も高騰が続いています。医療現場からは、米の価格高騰などにより1食当たり690円では限界を超えているとの声が出ていました。中医協総会でも、病院給食の委託事業者から値上げの交渉が相次いでおり、対応せざるを得ない状況にあるとの意見が示されました。実際に、全面委託の約7割、一部委託の約5割の医療機関が、委託事業者からの値上げの申し出に対応していたことが調査で明らかになっています。光熱水費についても、近年の光熱・水道費の高騰は著しく、基準額が平成18年の創設時から据え置かれていたことが病院経営に影響を及ぼしていました。介護保険の居住費(430円)と医療保険の光熱水費(370円)の間に60円の自己負担の差が存在していたことも、見直しの根拠のひとつとなっています。まとめ令和8年度診療報酬改定では、入院時の食費が全区分で1食当たり40円、光熱水費が1日当たり60円引き上げられます。食費の引き上げは、食材料費の高騰が続く中で医療の一環としての食事の質を確保する目的で実施されます。光熱水費の引き上げは、制度創設以来初の基準額の増額であり、光熱・水道費の高騰と介護保険との均衡を踏まえた対応です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】物価対応料の新設と初再診料・入院料の引上げを徹底解説

【令和8年度改定】物価対応料の新設と初再診料・入院料の引上げを徹底解説

Feb 14, 2026 05:31 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、持続的な物価高騰により増加した医療機関等の物件費負担に対応するため、基本診療料の引上げと新たな加算の新設が行われました。この対応は、医科・歯科・調剤・訪問看護の全領域に及びます。今回の物件費高騰への対応は、大きく3つの柱で構成されています。第1に、令和6年度改定以降の経営環境の悪化に対する緊急対応として、初再診料等と入院基本料等の点数が引き上げられました。第2に、令和8年度以降の物価上昇に段階的に対応するため、「物価対応料」という新たな加算が新設されました。第3に、高度機能医療を担う特定機能病院や急性期病院には、物価高の影響を受けやすいことを踏まえた特例的な評価が設けられました。以下、それぞれの内容を詳しく解説します。改定の背景——改定率+0.76%の物価対応分と+0.44%の緊急対応分今回の物件費高騰への対応を理解するには、まず改定率の構造を押さえる必要があります。令和8年度診療報酬改定の改定率+3.09%(令和8年度・9年度の2年度平均)には、賃上げ分(+1.70%)、食費・光熱水費分(+0.09%)など複数の対応が含まれますが、このうち物価対応に関する財源は2つに分かれています。1つ目の財源は、物価対応分+0.76%です。この+0.76%のうち+0.62%が令和8年度以降の物価上昇への対応に充てられ、残りの+0.14%が高度機能医療を担う病院への特例的な対応に使われます。この+0.62%の配分は、施設類型ごとの費用関係データに基づき、病院+0.49%、医科診療所+0.10%、歯科診療所+0.02%、保険薬局+0.01%と定められました。2つ目の財源は、令和6年度改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急対応分+0.44%です。この緊急対応分の配分は、令和7年度補正予算の効果を減じないよう施設類型ごとのメリハリが維持され、病院+0.40%、医科診療所+0.02%、歯科診療所+0.01%、保険薬局+0.01%となっています。これら2つの財源の使い分けが、改定内容の理解を難しくしているポイントです。外来では、緊急対応分は初再診料等の引上げで対応し、物価上昇分は新設の「物価対応料」で対応します。入院では、緊急対応分は入院基本料等の引上げに含め、物価上昇分は同じく「物価対応料」の入院区分で対応するという構造になっています。初再診料等の引上げ——経営環境の悪化への緊急対応経営環境の悪化への緊急対応として、医科・歯科ともに初再診料等の点数が引き上げられました。医科の初再診料については、再診料が75点から76点に1点引き上げられました。初診料は291点で据え置きです。初診料が包括されるその他の点数、訪問診療料、各種入院料等についても同様の引上げが行われています。なお、再診料の2科目の場合は38点から39点に、妥結率が低い場合の再診料は55点から56点に、それぞれ1点引き上げられています。歯科の初再診料については、歯科初診料が267点から272点に5点、歯科再診料が58点から59点に1点、それぞれ引き上げられました。地域歯科診療支援病院歯科初診料は291点から296点に5点、同再診料は75点から76点に1点引き上げられています。届出未実施の場合の点数も同様に引き上げられています。なお、歯科再診料の情報通信機器を用いた場合は51点で変更ありません。入院基本料等の引上げ——医療機能に応じた増点入院基本料等についても、経営環境の悪化への緊急対応と物価上昇を踏まえた増点が行われました。入院料の引上げ幅は、医療機能に応じて異なります。一般病棟入院基本料の急性期一般入院料では、入院料1が1,688点から1,874点へ186点の増点となりました。入院料2は1,644点から1,779点へ135点、入院料3は1,569点から1,704点へ135点、入院料4は1,462点から1,597点へ135点、入院料5は1,451点から1,575点へ124点、入院料6は1,404点から1,523点へ119点の増点です。急性期一般入院料1の増点幅が最も大きい点が特徴です。地域一般入院基本料では、入院料1が1,176点から1,290点へ114点、入院料2が1,170点から1,282点へ112点、入院料3が1,003点から1,097点へ94点の増点となりました。特別入院基本料は612点から704点へ92点の増点です。高度機能病院への特例的対応——急性期病院入院基本料の新設と特定機能病院の再編高度機能医療を担う病院への特例的な対応として、2つの大きな見直しが行われました。1つ目は、急性期病院一般入院基本料の新設です。これは、急性期病院として高度な機能を担う病院を対象とした新たな入院基本料です。急性期病院A一般入院料は1,930点、急性期病院B一般入院料は1,643点と設定されました。急性期病院精神病棟入院基本料も併せて新設され、A・Bそれぞれに10対1、13対1、15対1の区分が設けられています。2つ目は、特定機能病院入院基本料の再編です。従来の一本の区分から、特定機能病院A・B・Cの3区分に細分化されました。一般病棟7対1の場合、特定機能病院A入院基本料は2,146点、Bは2,136点、Cは2,016点です。従来の7対1入院基本料(1,822点)と比較すると、A区分では324点の大幅な増点となっています。この再編は、医師派遣等の地域医療への貢献度や、高度な教育・研究機能など、特定機能病院の担う役割に応じた評価を行うものです。結核病棟・精神病棟についても同様にA・B・Cの3区分で点数が設定されています。物価対応料の新設——令和8年度・9年度の物価上昇に段階的に対応令和8年度以降の物価上昇に段階的に対応するため、基本診療料・調剤基本料等の算定に併せて算定可能な加算として、「物価対応料」が新設されました。この物価対応料は、医科、歯科、調剤、訪問看護のそれぞれに区分が設けられています。医科の物価対応料は、外来・在宅と入院に分かれています。外来・在宅物価対応料は、初診時2点、再診時等2点、訪問診療時3点です。入院物価対応料は、算定する入院料の種類に応じて点数が異なります。急性期病院A一般入院料の場合は66点、急性期病院B一般入院料の場合は58点、急性期一般入院料1の場合は58点、急性期一般入院料2~4の場合は45点(入院料4で看護・多職種協働加算算定時は58点)、急性期一般入院料5は36点、入院料6は34点、地域一般入院料1・2は32点、地域一般入院料3は23点、特別入院基本料(一般病棟)は17点です。歯科外来物価対応料は、初診時3点、再診時1点です。調剤物価対応料は1点で、3月に1回に限り算定できます。訪問看護物価対応料は、訪問看護物価対応料1(訪問看護管理療養費算定時)が月の初日60円・2日目以降20円、訪問看護物価対応料2(包括型訪問看護療養費算定時)が20円です。この物価対応料の最大の特徴は、段階的に引き上げられる点です。令和9年6月以降は、所定点数の100分の200に相当する点数が算定されます。つまり、上記の全ての点数が2倍になります。たとえば外来・在宅物価対応料の初診時は2点から4点に、入院物価対応料の急性期病院A一般入院料は66点から132点になります。調剤報酬・訪問看護療養費の引上げ調剤報酬と訪問看護療養費についても、物件費の高騰を踏まえた引上げが行われました。調剤基本料については、調剤基本料1が45点から47点に2点、調剤基本料2が29点から30点に1点、調剤基本料3のイが24点から25点に1点、ロが19点から20点に1点、ハが35点から37点に2点、それぞれ引き上げられました。訪問看護管理療養費については、月の初日の訪問の場合、機能強化型1が13,230円から13,760円に530円、機能強化型2が10,030円から10,460円に430円、機能強化型3が8,700円から9,030円に330円引き上げられました。また、機能強化型4が9,030円で新設されました。それ以外の場合は7,670円から7,710円に40円の引上げです。月の2日目以降の訪問の場合についても、単一建物居住者の人数に応じた新たな区分が設けられ、きめ細かな評価が行われています。また、新設の包括型訪問看護療養費にも物価上昇を踏まえた点数が設定されています。まとめ令和8年度診療報酬改定の物件費高騰への対応は、3つの柱で構成されています。第1に、経営環境の悪化への緊急対応として初再診料等と入院基本料等が引き上げられました。第2に、令和8年度以降の物価上昇に段階的に対応するため、物価対応料が新設されました。第3に、高度機能医療を担う病院には特例的な評価が設けられました。特に注意すべきは、物価対応料が令和9年6月以降に全区分で点数が2倍になる点です。経済・物価動向が令和8年度改定時の見通しから大きく変動した場合には、令和9年度予算編成において加減算を含めた更なる調整が行われる可能性もあります。各医療機関は、自施設が算定する入院料の区分に応じた物価対応料の点数を確認し、令和9年6月以降の収入変化も見据えた対応が求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

85歳以上の6割が要介護――2040年「病院に通えない高齢者」急増の衝撃

85歳以上の6割が要介護――2040年「病院に通えない高齢者」急増の衝撃

Feb 13, 2026 05:01 岡大徳

全日本病院協会の神野正博会長による動画シリーズ「医療のトリセツ」第9回では、2040年に向けた医療の課題として「病院に通えない高齢者」を取り上げています。今後急増する85歳以上人口への対応が、医療・介護の最重要課題であることを、人口データに基づいて解説しています。動画が示す要点は3つです。第一に、2030年以降、85歳以上人口は毎年5%以上のペースで急増します。第二に、85歳以上の約6割は要介護状態にあり、自力で病院に通えないため、救急搬送と在宅医療の需要がこの年齢層に集中します。第三に、人口動態の変化は全国一律ではなく、大都市・地方都市・過疎地の3類型ごとに異なる最適解が求められます。注目すべきは「85歳以上人口」の急増2040年に向けた人口構造の変化で最も注目すべきは、85歳以上人口の急激な増加です。神野会長は、従来の棒グラフではなく「毎年の増加率」を折れ線グラフで示すことで、この変化の大きさを浮き彫りにしています。若年層の人口は毎年一貫して減少を続けます。一方、65歳以上人口の増加率はすでに緩やかであり、神野会長は「年金問題はこれから大きな話題にはなってこない」と指摘しています。65歳以上全体に対して、85歳以上人口の増加率は際立っています。特に2030年頃には毎年5%以上の増加が見込まれます。この増加率は、医療・介護の需要構造を根本から変える規模です。この85歳以上人口の急増が、今後の医療・介護の需要構造を根本から変えることになります。85歳以上の6割が「自力で病院に通えない」85歳以上人口の急増が深刻な問題となる最大の理由は、要介護認定率の高さにあります。75歳以上の約3割、85歳以上の約6割が要介護状態です。要介護状態とは、自力で病院に通うことができない状態を意味します。この「病院に通えない高齢者」の増加は、救急搬送の需要に直結します。自分で車を運転できない要介護高齢者が急変した場合、頼れるのは救急車です。神野会長が示すデータによれば、2040年に向けて増加する救急搬送の大部分は85歳以上が占めます。救急搬送と同様に、在宅医療の需要も85歳以上に集中します。在宅医療需要の増加分は、ほとんどが85歳以上の人口増によるものです。神野会長はこの点を踏まえ、「患者を待たせる広い外来」という従来型の病院のあり方を問い直す必要があると訴えています。大都市・地方都市・過疎地で異なる課題85歳以上人口の急増という課題は、全国一律ではありません。神野会長は、地域を大都市・地方都市・過疎地の3類型に分けて、それぞれ異なる人口動態を示しています。大都市型では、若年層は減少するものの、高齢者は相当数増加します。医療・介護の需要が大幅に拡大するため、提供体制の量的な確保が急務となります。地方都市(県庁所在地級)では、若年層の減少がより顕著になる一方、高齢者数はほぼ横ばいとなります。過疎地型では、若年層が大幅に減少し、高齢者も減少に転じます。医療提供体制の維持そのものが課題となる地域です。このように、地域の類型によって課題の性質が根本的に異なります。神野会長が強調するように、画一的な解決策ではなく、地域ごとの最適解を見つけることが求められています。まとめ:「病院に通えない高齢者」への対応が問われている2040年に向けた医療の最重要課題は、急増する85歳以上の「病院に通えない高齢者」への対応です。85歳以上の約6割が要介護状態にあり、救急搬送と在宅医療の需要はこの年齢層に集中します。さらに、大都市・地方都市・過疎地で人口動態が大きく異なるため、地域ごとの最適解を模索する必要があります。外来中心の病院のあり方を根本から見直す時期に来ていると言えるでしょう。動画では、こうした課題をデータに基づいて解説しています。2040年に向けた医療・介護のあり方を考えるきっかけとして、ぜひご覧ください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

QOLの「Life」は命か生活か?病院から「健院」への転換が求められる理由

QOLの「Life」は命か生活か?病院から「健院」への転換が求められる理由

Feb 12, 2026 05:05 岡大徳

QOL(Quality of Life)は、医療や介護の現場で広く使われる言葉です。しかし、この「Life」の解釈が、医療現場と介護現場で大きく異なっていることをご存じでしょうか。全日本病院協会の神野正博会長は、YouTube「医療のトリセツ」第8回で、この認識の違いが医療と介護の間に深い溝を生んでいると指摘しています。神野会長は、この溝を埋める鍵として「人生」という視点を提案しました。そのうえで、病気だけを扱う「病院」から、健康や生活支援にも関わる「健院」への転換が必要だと提唱しています。本稿では、神野会長の講演をもとに、QOLの「Life」が持つ3つの意味、医療と介護の溝を埋める「人生」の視点、そして超高齢社会における病院の未来像を紹介します。QOLの「Life」が持つ3つの意味──命・生活・人生QOLの「Life」には、立場によって異なる3つの解釈があります。医療現場では「命」、介護現場では「生活」、そして両者をつなぐ概念として「人生」があります。この3つの違いを理解することが、医療と介護の連携を考える出発点になります。医療現場で働く人々は、「Life」を「命」として捉えています。BLS(Basic Life Support)、ライフサイエンス、ライフセーバーといった用語はいずれも、命を救うことを意味します。救急期の病院に勤務する医師や看護師にとって、「Life」はまさに「命」そのものです。一方、介護現場の人々は「Life」を「生活」として解釈します。リビングルームが「生活する部屋」を指すように、日常の文脈で「Life」は生活を意味します。介護の定義も「生活を支援すること」であり、介護職にとっての「Life」は「生活」にほかなりません。神野会長は、この2つの解釈をつなぐ概念として「人生」を提案しています。人は生まれてから死ぬまでの大部分を生活の場で過ごし、病気や怪我で一時的に命に関わる局面を迎えても、急場が過ぎればまた生活に戻ります。QOLの本質は、この「人生の質」にあるのではないかと神野会長は考えを示しています。医療と介護の間にある「大きな谷」「Life」の解釈の違いは、医療と介護の間に大きな谷を生んでいます。神野会長は、この谷を認識し、埋めていくことが、これからの医療提供体制の構築に不可欠だと強調しています。医療の立場からは、「命を助ければよい」という考え方が生まれがちです。神野会長は、医療の現場にいる人々がそのように考える傾向があることを指摘しています。介護の立場からは、「命があるのは当然で、いかに生活を守り支援するかが重要だ」という発想になります。介護職は日々の生活の質に焦点を当てており、医療が担う「命を救う」という行為とは異なる次元で支援を行っています。この2つの立場の間に存在する谷が、医療と介護の連携を困難にしている要因のひとつです。神野会長は、「人生」という視点を共有することで、この谷を埋めることができると提案しています。命を救う医療も、生活を支える介護も、どちらも「人生の質」を高めるための営みであるという共通認識が、連携の土台になるのです。「病院」から「健院」へ──超高齢社会における病院の未来像神野会長は、「病院をぶっ壊せ」という刺激的な言葉で、病院の役割の転換を訴えています。「病院」という名称が示すとおり、現在の病院は病気や怪我、つまり「命」のみを扱う施設です。しかし、超高齢社会においては、それだけでは十分ではありません。これからの病院には、医療だけでなく、健康と生活支援にも関わることが求められます。神野会長はこの考え方を「健院」という言葉で表現しています。病気を治すだけでなく、健康の維持・増進や、退院後の生活支援まで視野に入れた医療機関のあり方です。もちろん、医療に特化して運営する病院は今後も存在します。しかし、多くの病院にとっては、健康と生活支援の視点を持つことが、これからの生き残りの条件になると神野会長は予測しています。地域での支え合いを見据え、「病」の場から「健」の場へと進化できる病院こそが、超高齢社会で求められる医療機関の姿なのです。まとめQOLの「Life」には、医療現場が重視する「命」、介護現場が重視する「生活」、そして両者をつなぐ「人生」という3つの解釈があります。この解釈の違いが医療と介護の間に大きな谷を生んでいますが、「人生の質」という共通認識がその谷を埋める鍵になります。超高齢社会を迎える日本において、病院は病気だけを扱う「病院」から、健康や生活支援にも関わる「健院」へと転換していくことが求められています。神野会長の提言は、医療機関の経営者や現場の医療従事者だけでなく、地域医療の未来を考えるすべての人にとって示唆に富む内容です。「医療のトリセツ」第8回の動画はYouTubeで公開されています。QOLと病院の未来について、より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

シゴタノ!キャストfm

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