人を尊重して話を聞かせていただく「アクティブリスニング」エバンジェリスト『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』著者赤羽雄二氏公認|『アクションリーディング』読書会開催|仲間と一緒に成長できる「親子のクオリティタイム」「最速ロールプレイング」「A4メモ書き」などのグループ運営|株式会社miiboのmiibo Designer|一般社団法人 遠隔健康医療相談適正推進機構 正会員
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【2026年運用開始へ】電子カルテ情報共有サービスと救急医療DXの最新動向
中央社会保険医療協議会 総会(第637回)において、医療DXの個別事項が議論されました。本稿では、電子カルテ・電子カルテ情報共有サービス、救急時医療情報閲覧機能、サイバーセキュリティの3分野について解説します。これらは医療DXの基盤となる重要な取り組みであり、令和8年度診療報酬改定に向けた議論の焦点となっています。電子カルテ情報共有サービスは2026年(令和8年)冬頃の全国運用開始を目指しており、救急時医療情報閲覧機能は既に令和6年12月からサービスを開始しています。サイバーセキュリティ対策については、令和6年度改定の見直しによりBCPやオフラインバックアップに取り組む医療機関が増加しました。以下、各分野の現状と今後の方針について詳しく説明します。電子カルテ・電子カルテ情報共有サービスの現状と普及計画電子カルテの普及は着実に進んでおり、2030年までに概ねすべての医療機関への導入を目指しています。現在、標準型電子カルテの開発とモデル事業を並行して進めており、2026年夏までに具体的な普及計画を策定する予定です。電子カルテシステムの普及率は、令和5年時点で一般病院が65.6%、一般診療所が55.0%に達しています。病床規模別にみると、400床以上の病院では93.7%と高い普及率を示す一方、200床未満の病院では59.0%にとどまっています。この普及率の格差を解消するため、国は標準型電子カルテの開発を進めています。標準型電子カルテ(導入版)は、医科無床診療所向けにクラウドネイティブで開発中です。この導入版は、医療DX対応を中心としたシンプルな画面設計を採用しており、2026年度中の完成を目指しています。導入版では、電子カルテ情報共有サービスを利用する医療機関からの診療情報提供書や検査データの閲覧、電子処方箋の発行が可能になります。標準仕様(基本要件)については、5つの項目で検討が進められています。第1に、電子カルテ情報共有サービスと電子処方箋サービスへの接続インターフェイスの対応があります。第2に、ガバメントクラウドへの対応が可能となるモダンな技術を採用したクラウド・ネイティブ型の電子カルテの要件があります。第3に、外注検査システムや生成AI等との標準APIの搭載が求められます。第4に、データ引き継ぎが可能な互換性の確保として、json、xml、csv等のフォーマットが規定されます。第5に、医薬品・検査等の標準マスタ・コードの規定や医療情報システムの安全管理ガイドラインへの準拠が含まれます。電子カルテ情報共有サービスは、全国の医療機関等において電子カルテ情報を共有・閲覧できるようにするサービスです。このサービスでは、3文書(診療情報提供書、退院時サマリー、健診結果報告書)と6情報(検査、感染症、処方、傷病名、薬剤アレルギー等、その他アレルギー等)を共有します。現在、全国10地域でモデル事業を実施中であり、臨床情報の登録から検証を開始しています。モデル事業では、医療機関や電子カルテによって複数の課題が発生しており、その原因特定と解決が必要な状況です。令和7年夏頃をピークに登録に関する課題は減少傾向にありますが、閲覧の検証も今後開始予定です。この検証を経て、致命的な課題がないことを確認した上で、2026年(令和8年)冬頃を目処に全国で利用可能な状態にすることを目指しています。救急時医療情報閲覧機能の概要と医療現場での活用救急時医療情報閲覧機能は、救急現場における迅速な治療判断を支援するサービスです。令和6年12月からサービスを開始しており、多くの三次救急病院等で導入が進んでいます。この機能により、病院においては患者の生命・身体の保護のために必要な場合、マイナ保険証により本人確認を行うことで、患者の同意取得が困難な場合でもレセプト情報に基づく医療情報等が閲覧可能となります。救急時医療情報閲覧機能は、主に救急患者を受け入れる一次救急から三次救急病院を念頭においた機能であり、病院であれば導入可能です。診療所や薬局への開放は想定されていません。閲覧できる情報は、通常のオンライン資格確認等システムで表示可能な診療・薬剤情報に加え、救急用サマリーが含まれます。救急用サマリーには、受診歴(3か月分)、電子処方箋情報(45日分)、薬剤情報(3か月分)、手術情報(5年分)、診療情報(3か月分)、透析情報(3か月分)、健診実施日が集約されています。通常表示の期間よりも短い期間に限定することで、救急現場で必要な情報を迅速に把握できるよう設計されています。救急科の医師からは、この機能の有効性について複数の声が寄せられています。第1の声として、意識不明の患者に対して薬剤情報を即座に確認でき、抗凝固薬の服用の有無がわかることで、脳出血のケースにおける拮抗薬投与の判断が迅速に行えるようになったという報告があります。第2の声として、初診の患者でも受診歴を頼りにかかりつけ医療機関を特定して問い合わせることで、過去の手術歴など詳細な情報を把握できるようになったという報告があります。第3の声として、救急用サマリーにより必要な情報が一元的に把握でき、治療リスクの評価や処置の判断が迅速に行えるようになったという報告があります。これらの医師の声からも明らかなように、救急時医療情報閲覧機能は、意識不明等により同意の取得が困難な患者においても、薬剤情報・受診歴・手術歴等を迅速かつ正確に把握でき、救急現場での治療判断の質とスピードの向上につながっています。サイバーセキュリティ対策の現状と診療録管理体制加算サイバーセキュリティ対策は、医療DXの推進において不可欠な基盤です。令和6年度診療報酬改定における見直しにより、BCPやオフラインバックアップに取り組む医療機関が増加しました。一方で、情報セキュリティの統括責任者について、情報処理技術にかかる資格の取得者が少ない状況が課題として挙げられています。診療録管理体制加算は、入院初日に算定される加算であり、3つの区分が設けられています。加算1は140点、加算2は100点、加算3は30点です。加算1の施設基準には、サイバーセキュリティ対策に関する複数の要件が含まれています。加算1の主な施設基準として、3つの要件があります。第1に、許可病床数が200床以上の保険医療機関については、安全管理ガイドラインに基づき、専任の医療情報システム安全管理責任者を配置することが求められます。当該責任者は、職員を対象として、少なくとも年1回程度、定期的に必要な情報セキュリティに関する研修を行う必要があります。第2に、非常時に備えた医療情報システムのバックアップを複数の方式で確保し、その一部はネットワークから切り離したオフラインで保管することが求められます。日次でバックアップを行う場合は、少なくとも3世代を確保する等の対策が必要です。第3に、非常時を想定した業務継続計画(BCP)を策定し、医療情報システム安全管理責任者の主導の下、少なくとも年1回程度、定期的に訓練・演習を実施することが求められます。病院におけるサイバーセキュリティ対策の調査結果によると、情報セキュリティの統括責任者(CISO)を設置している病院は全体の73%です。病床数別にみると、500床以上の病院では96%が設置している一方、20~99床の病院では65%にとどまっています。CISOを設置している病院のうち、医療情報に関連した資格を保持していた割合は15%程度にとどまっています。CISOがIPAの実施する情報処理技術者資格を保持している割合をみると、病床数の多い病院では情報セキュリティマネジメント試験や情報処理安全確保支援士の所持者が多い傾向がありました。しかし、全体としては資格保持者が少なく、セキュリティ人材の育成が課題となっています。まとめ:令和8年度改定に向けた論点電子カルテ・電子カルテ情報共有サービスは、2026年夏までに普及計画を策定し、2026年(令和8年)冬頃の全国運用開始を目指しています。救急時医療情報閲覧機能は既にサービスを開始しており、救急現場での治療判断の質とスピードの向上に貢献しています。サイバーセキュリティ対策は、診療報酬改定の見直しにより取り組む医療機関が増加しましたが、セキュリティ人材の育成が引き続き課題です。中央社会保険医療協議会では、医療DXにかかる各サービスの進捗状況や医療現場での患者メリットを踏まえ、これまでの評価により大きく普及した取り組みの実施を基本としつつ、更に普及を図るべき取り組みに着目した評価を行うことが論点として示されています。令和8年度診療報酬改定に向けて、各サービスの普及状況に応じた適切な評価のあり方について、今後の議論が注目されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【2025年最新】医療DX推進体制整備加算の見直しとマイナ保険証利用率47%突破の全容
中央社会保険医療協議会総会(第637回)において、医療DXに関する議論が行われました。本稿では、医療DXの診療報酬上の評価、マイナ保険証とオンライン資格確認等システム、電子処方箋の3つのテーマについて解説します。医療DXは着実に進展しています。マイナ保険証利用率は令和7年10月時点で47.26%に達し、電子処方箋の調剤結果登録割合は82.8%となりました。令和7年4月からは医療DX推進体制整備加算の要件が見直され、マイナ保険証利用率の実績要件が段階的に引き上げられています。医療DXの診療報酬上の評価について令和6年度診療報酬改定では、医療DXを推進するための複数の加算が新設・見直しされました。主な加算として、医療情報取得加算、医療DX推進体制整備加算、在宅医療DX情報活用加算、訪問看護医療DX情報活用加算があります。これらの加算は、マイナ保険証の利用促進と医療情報の活用を診療報酬で評価する仕組みです。医療情報取得加算は、オンライン資格確認により患者の診療情報を取得・活用する体制を評価します。令和6年12月以降、この加算は初診時1点、再診時1点(3月に1回)、調剤時1点(12月に1回)に統一されました。令和6年6月から11月までは、マイナ保険証利用の有無により点数が異なっていましたが、現行の健康保険証の発行終了を踏まえて見直されました。医療DX推進体制整備加算は、オンライン資格確認により取得した診療情報を診療に活用できる体制を評価します。この加算の施設基準には、電子処方箋の発行体制、電子カルテ情報共有サービスの活用体制、マイナ保険証利用率の実績要件が含まれます。令和7年4月からは、マイナ保険証利用率に応じて加算1から加算6までの6段階に細分化されました。令和7年4月からの医療DX推進体制整備加算の点数は、医科で加算1が12点、加算2が11点、加算3が10点、加算4が10点、加算5が9点、加算6が8点となっています。歯科と調剤についても同様に6段階の加算が設定されました。マイナ保険証利用率の実績要件は、加算1・4で45%、加算2・5で30%、加算3・6で15%です。令和7年10月以降は、マイナ保険証利用率の実績要件がさらに引き上げられます。加算1・4は60%、加算2・5は40%、加算3・6は25%となり、令和8年3月以降はそれぞれ70%、50%、30%に引き上げられます。電子カルテ情報共有サービスの経過措置は令和8年5月31日まで延長されました。在宅医療DX情報活用加算は、居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムを活用し、在宅医療において質の高い診療を提供した場合に算定できます。令和7年4月からは、電子処方箋の発行体制の有無により加算1(医科11点)と加算2(医科9点)の2段階となりました。訪問看護医療DX情報活用加算は50円で、訪問看護ステーションにおける診療情報の活用を評価します。マイナ保険証とオンライン資格確認等システムマイナ保険証の利用は着実に拡大しています。令和7年10月のレセプト件数ベース利用率は47.26%となり、令和6年1月の3.99%から大幅に上昇しました。オンライン資格確認等システムを通じて、特定健診等情報、薬剤情報、診療情報の閲覧が可能となり、質の高い医療の提供に貢献しています。オンライン資格確認の利用件数は、令和6年11月時点で月間約2億6,665万件に達しています。施設別の内訳は、医科診療所が約1億1,521万件、薬局が約1億713万件、病院が約2,156万件、歯科診療所が約2,275万件です。マイナンバーカードによる利用は約1億464万件で、利用率は39.24%となっています。診療情報の閲覧件数も増加傾向にあります。令和6年11月の診療情報閲覧件数は約6,094万件、特定健診等情報閲覧件数は約3,062万件、薬剤情報閲覧件数は約2,296万件でした。これらの情報は、医師や薬剤師が患者の状態を把握し、適切な診療を行うために活用されています。マイナ保険証の課題も明らかになっています。令和6年度診療報酬改定の結果検証調査によると、最も多く挙げられた課題は「ITに不慣れな患者への対応による負担が増加していること」で、病院70.8%、医科診療所65.4%、歯科診療所71.8%、薬局78.6%が該当すると回答しました。「システム障害時、診療に影響が出ること」も病院56.3%、医科診療所71.9%、歯科診療所68.8%、薬局48.6%と高い割合を示しています。「システムの導入や運用に費用負担がかかること」については、病院61.1%、医科診療所57.8%、歯科診療所58.4%、薬局44.4%が課題として挙げています。「マイナンバーカード及び電子証明書に有効期限があること」も病院53.5%、医科診療所52.1%、歯科診療所54.8%、薬局52.4%と、約半数の施設が課題と認識しています。電子処方箋電子処方箋は、医師・歯科医師が処方箋を電子処方箋管理サービスに送信し、薬剤師がそのサービスから処方箋を取り込んで調剤する仕組みです。この仕組みにより、薬局での処方内容の入力作業が不要になり、医療機関と薬局の間で速やかな情報共有が可能となります。重複投薬や併用禁忌のチェックも自動で行われます。電子処方箋の導入状況は施設種別により大きく異なります。令和7年10月時点で、薬局の導入率は86.5%と高い水準に達しています。一方、医科診療所は23.3%、病院は17.3%、歯科診療所は7.0%にとどまっています。調剤結果登録割合は月間82.8%となり、処方箋の約8割について調剤結果が電子処方箋管理サービスに登録されています。電子処方箋システムを導入した薬局では、いずれの処方箋種別を受け付けた場合でも調剤結果登録を行います。紙の処方箋、引換番号付き紙処方箋、電子処方箋のいずれを受け付けた場合でも、調剤結果を登録することで、即時性の高い薬剤情報の共有が実現します。この情報は、重複投薬等チェックの参照データとしても活用されます。電子処方箋は災害時にも有効です。令和6年能登半島地震では、被災地にいる患者にオンライン診療を実施し、電子処方箋を発行することで、患者が現地の電子処方箋対応薬局で調剤を受けられた事例がありました。道路の寸断により通院や処方箋の郵送が困難な状況でも、通信インフラが回復していれば電子処方箋を活用できます。電子処方箋による重複投薬防止の効果も期待されています。令和6年7月のNDBデータによると、複数医療機関を受診し、用法及び用量から通常想定される処方の量を大きく超えてゾルピデム製剤の処方を受けている患者が存在します。電子処方箋サービスの重複投薬等チェック機能により、このような不適切な処方を防ぐことができる可能性があります。まとめ医療DXは、マイナ保険証の利用拡大、電子処方箋の普及、電子カルテ情報共有サービスの整備を通じて着実に進展しています。令和7年10月時点でマイナ保険証利用率は47.26%に達し、電子処方箋の調剤結果登録割合は82.8%となりました。医療DX推進体制整備加算は、マイナ保険証利用率に応じた6段階の評価体系に見直されました。今後は利用率の実績要件が段階的に引き上げられ、医療機関・薬局における医療DXのさらなる推進が求められます。電子処方箋については、薬局での導入は進んでいますが、医療機関での導入促進が課題となっています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】短期滞在手術・回リハ・ICU・オンライン精神療法の4論点を解説
中央社会保険医療協議会(中医協)総会では、令和8年度診療報酬改定に向けた議論が進んでいます。第637回総会では、これまでの審議で委員から出された指摘事項への回答として、短期滞在手術の地域差、回復期リハビリテーション病棟の重症患者割合、ICU・HCUの重症度基準、オンライン精神療法の4項目について新たなデータが示されました。今回示されたデータの要点は次のとおりです。短期滞在手術については、二次医療圏の類型別に外来実施率の差が明らかになりました。回復期リハビリテーション病棟では、FIM20点以下の患者を重症患者から除外した場合のシミュレーション結果が提示されました。ICU・HCUでは、動脈圧測定の位置づけを変更した複数パターンのシミュレーションが行われました。オンライン精神療法では、初診での実施を可能とする新たな指針案と、その背景となる行政のアウトリーチ支援の実態が示されました。短期滞在手術の地域類型別外来実施率短期滞在手術については、11月7日の総会で「入院及び外来での手術状況を大都市型、地方都市型、過疎地域型等の類型に応じて精査すべき」との指摘がありました。この指摘を受けて、二次医療圏の類型別に外来実施率のデータが示されました。二次医療圏は3つの類型に分類されています。大都市型は人口100万人以上または人口密度2,000人/km²以上の医療圏です。地方都市型は人口20万人以上または人口密度200人/km²以上の医療圏です。人口少数地域型はこれら以外の医療圏を指します。水晶体再建術(眼内レンズ挿入・その他)の外来実施率は、地域類型による大きな差がみられませんでした。大都市型では外来が約63%、地方都市型では約64%、人口少数地域型では約61%でした。いずれの類型でも入院と外来がほぼ半々から6割程度が外来という状況です。内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(2cm未満)では、人口少数地域型で外来実施率が低い傾向がみられました。大都市型では外来が約83%、地方都市型では約76%と高い外来実施率を示しています。一方、人口少数地域型では外来が約63%にとどまり、入院での実施割合が他の類型より高くなっています。回復期リハビリテーション病棟の重症患者割合シミュレーション回復期リハビリテーション病棟入院料については、11月14日の総会で2つの指摘がありました。ひとつは「重症患者の範囲を見直す場合、入院料ごとに見直し後の重症患者割合のシミュレーションを示すべき」という指摘です。もうひとつは「日常生活機能評価表とFIMでは各項目の比重が異なるため、施設への影響を精査する必要がある」という指摘です。現行の重症患者の定義は、FIM55点以下または日常生活機能評価票10点以上の患者です。今回のシミュレーションでは、この定義からFIM20点未満の患者を除外した場合の影響が分析されました。FIM20点未満の患者を除外する理由は、医療機関が自らの裁量で適応を判断できる割合を増やすことにあります。回復期リハビリテーション病棟入院料1・2では、現行基準での重症患者割合40%以上の施設が92.1%でした。FIM20点以下を除外した場合、この割合は85.8%に低下します。分布をみると、重症患者割合40~50%の施設が最も多く、除外後も多くの施設が現行基準を維持できる見込みです。回復期リハビリテーション病棟入院料3・4でも同様の傾向がみられました。現行基準を満たす施設は92.1%でした。FIM20点以下を除外した場合、この割合は81.6%となります。入院料1・2と比較すると、基準を下回る施設がやや増加する傾向にあります。ICU・HCU用重症度、医療・看護必要度の見直しシミュレーションICU・HCU用の重症度、医療・看護必要度については、11月26日の総会で重要な指摘がありました。「動脈圧測定のみで現行の該当患者割合基準を満たしている」「動脈圧測定の位置づけを変更した場合の影響についてシミュレーションを行うべき」という指摘です。一方で「集中治療の現場では必要な患者のみを入室させており、患者の安全に影響を及ぼさないよう慎重に検討すべき」との意見も出されました。現行基準では、動脈圧測定の該当患者割合が平均約84%と非常に高く、この項目だけで基準を満たせる状況にあります。そのため、他の評価項目の意義が乏しいとの問題提起がなされています。シミュレーションでは3つのパターンが検討されました。パターン1は、現行の評価項目に蘇生術の施行、抗不整脈剤の使用(注射剤)、一時的ペーシングの3項目を追加する案です。この場合、特定集中治療室管理料1・2で8割基準を満たす治療室は99.5%、管理料3~6および救命救急入院料2・4で7割基準を満たす治療室は98.7%となり、現行とほぼ同等の該当率が維持されます。パターン2は、動脈圧測定とシリンジポンプの管理を2点から1点に変更し、新たに3項目を導入する案です。この場合、基準を8割とすると該当治療室は57.1%に大幅低下します。基準を5.5~6割に引き下げれば90%以上の治療室が該当する見込みです。パターン3は、動脈圧測定のみを1点に変更し、新たに3項目を導入する案です。パターン2と同様、基準を8割とすると該当治療室は約57%に低下します。基準を5.5~6割程度に調整すれば、90%以上の治療室が該当可能です。HCU用の必要度についても同様のシミュレーションが行われました。パターン1(新たに2項目を導入)では、現行基準でほぼすべての治療室が該当を維持できます。パターン2(中心静脈圧測定を基準①から除外し、新たに2項目を導入)では、基準①の該当治療室割合がやや低下しますが、基準②はほぼ維持されます。情報通信機器を用いた精神療法の指針改訂情報通信機器を用いた精神療法については、12月5日の総会で「オンライン初診精神療法を認めた理由や前回改定の検証結果など、実態の分かるデータを示してほしい」との指摘がありました。この指摘に対し、新たな指針案と議論の経緯が示されました。令和6年度改定では、情報通信機器を用いた通院精神療法は精神保健指定医による再診に限定されていました。今回、規制改革実施計画(令和6年6月閣議決定)を踏まえ、初診でのオンライン精神療法を可能とする方向で指針の改訂が検討されています。初診でのオンライン精神療法が検討される背景には、行政によるアウトリーチ支援の増加があります。精神保健福祉センター、保健所、市区町村が実施するひきこもり等への訪問指導件数は増加傾向にあります。これらの支援対象者は医療機関への受診が困難な場合も多く、行政の支援から医療につなげる仕組みが求められています。新たな指針案では、初診でのオンライン精神療法に厳格な条件が設けられています。対象は行政が対応を行っている未治療者、治療中断者、ひきこもりの者等に限定されます。実施にあたっては、医療機関と行政との連携体制が構築されていること、診察時に患者の側に保健師等がいること、十分な情報収集・情報共有が可能であること、患者自身の希望があることが要件となります。令和6年度改定の検証調査では、オンライン精神療法を行っていない診療所の理由も明らかになりました。約29%の診療所が「満たすことが困難な要件がある」と回答しています。そのうち約77%が「常時対応型施設である等、地域における精神科医療の提供体制への貢献」の要件を、約64%が「精神保健指定医の公務員としての業務への協力」の要件を困難な要件として挙げています。まとめ今回の中医協総会では、これまでの指摘事項に対する具体的なデータとシミュレーション結果が示されました。短期滞在手術では、人口少数地域型における内視鏡的大腸ポリープ切除術の外来実施率が他の類型より低いことが明らかになりました。回復期リハビリテーション病棟では、FIM20点以下を重症患者から除外した場合でも、多くの施設が現行基準を維持できる見通しです。ICU・HCUでは、動脈圧測定の点数を引き下げる場合、該当患者割合の基準も併せて見直す必要があることが示されました。オンライン精神療法では、行政との連携を前提とした初診での実施を可能とする指針案が提示されました。令和8年度診療報酬改定に向けて、これらのデータを踏まえた具体的な制度設計が進められていきます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【中医協解説】令和8年度改定に向けた4つの重要論点|訪問看護・特定疾患療養管理料・身体的拘束・廃用症候群
令和7年12月19日に開催された中央社会保険医療協議会 総会(第637回)では、これまでの審議で委員から出された指摘事項に対する回答として、追加データが提示されました。本メールマガジンでは、訪問看護、特定疾患療養管理料、身体的拘束、廃用症候群の4つの論点について解説します。今回の議論では、訪問看護における同一建物利用者への評価見直し、特定疾患療養管理料の算定実態、療養病棟等における身体的拘束の最小化、障害者施設等入院基本料における廃用症候群患者の評価について、NDBデータや実態調査に基づく詳細な分析結果が示されました。これらのデータを踏まえ、令和8年度診療報酬改定に向けた具体的な検討が進められています。訪問看護に係る指摘事項への回答中央社会保険医療協議会では、高齢者住まい等に居住する利用者への訪問看護について、同一建物・単一建物利用者の人数や訪問回数に応じた評価のあり方が論点となっています。この論点に関して、追加データが提示され、具体的な検討の方向性が示されました。10月1日の総会では、委員から3つの指摘がありました。第一に、評価の見直しについては、コストだけでなく個々の患者の医療の必要度や提供サービスの内容も加味したきめ細かい評価が必要という意見です。第二に、頻回訪問の利用者の9割は末期の悪性腫瘍や別表第7該当者であることを踏まえるべきという指摘です。第三に、高齢者住宅等への頻回訪問については、一連の訪問看護について包括的な評価の検討が必要という意見が出されました。これらの指摘を受け、今回の総会では追加データが示されました。訪問看護基本療養費Ⅱを算定する利用者は、別表第7該当の有無や疾病によらず、1月あたりの訪問日数、訪問回数、難病等複数回訪問加算の算定日数が多い傾向にあります。別表第7に該当する利用者の1月あたり医療費の平均は172,003円で、それ以外の利用者(79,536円)のほぼ2倍となっています。さらに、訪問看護ステーションごとに別表第7該当利用者の割合が8割以上のステーションでは、利用者1人あたりの1月あたり医療費が277,188円と、2割未満のステーション(87,010円)より高額です。訪問看護管理療養費の算定種別による違いも明らかになりました。月の2日目以降の訪問看護管理療養費をみると、訪問看護管理療養費1のみの利用者の医療費中央値は90,849円であるのに対し、訪問看護管理療養費2のみの利用者は192,162円と高い傾向です。ただし、訪問看護管理療養費1と2の利用者における別表第7該当者の割合には大きな差異はありませんでした。今回の論点として、高齢者住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーション等による同一建物・単一建物利用者への訪問看護について、頻回または画一的に加算等が算定される場合の評価水準や、複数回の訪問の時間を合算する考え方等を含め、具体的な評価のあり方が検討されています。特定疾患療養管理料に係る指摘事項への回答特定疾患療養管理料については、主傷病名の分析に加えて副傷病名や処方状況を含めた調査・分析が求められていました。今回の総会では、NDBデータに基づく詳細な分析結果が提示されました。10月17日の総会での指摘は2点でした。一つは、主傷病名の分析に加え、副傷病名や処方状況も含めたさらなる調査・分析が必要であり、適切な運用が行われていない場合には制度の是正を図るべきという意見です。もう一つは、特定疾患療養管理料についてはこれまでの議論の積み重ねを踏まえた制度であり、その意義を十分に理解すべきという意見でした。これらの指摘に対し、今回は主傷病名、全傷病名、処方状況に関するデータが示されました。主傷病名の上位は、気管支喘息(12.8%)、慢性胃炎(9.2%)、狭心症(6.0%)となっています。全傷病名(主傷病名と副傷病名を含む)でみると、高血圧症(49.7%)、慢性胃炎(27.5%)、アレルギー性鼻炎(26.2%)の順となっており、令和6年度改定で対象から除外された高血圧症や糖尿病(19.9%)が副傷病名として多く記載されている実態が明らかになりました。処方状況については、特定疾患療養管理料算定患者のうち、処方料・処方箋料のいずれも算定がない患者は3.8%でした。特定疾患処方管理加算の算定がある患者は65.8%となっています。また、主傷病名が「胃潰瘍」に関連する患者のうち、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服薬を調剤されている患者が約6.5%存在することも示されました。NSAIDsは胃潰瘍のリスク因子であることから、療養管理の実態について検討が求められています。身体的拘束の最小化に向けた取組に係る指摘事項への回答身体的拘束の最小化については、回復期リハビリテーション病棟と療養病棟における実施状況の詳細分析が求められていました。今回の総会では、拘束の種類やデバイスの有無、認知症の有無による違いを含めた詳細データが提示されました。10月29日の総会では、2つの指摘がありました。回復期リハビリテーション病棟については、身体的拘束の中にはクリップセンサーや離床センサーといった見守り目的のものが含まれており、物理的に四肢を固定する拘束とは異なることから、拘束の種類を考慮すべきという意見です。療養病棟については、身体的拘束の実施状況に施設間で差があることについて、患者の状態、認知症の程度、使用しているデバイス等の詳細な分析が先決という指摘でした。追加データとして、常時の手指・四肢・体幹抑制とそれ以外の身体的拘束(クリップセンサー等を含む)を区分した分析結果が示されました。回復期リハビリテーション病棟では、身体的拘束全体では20%以上の患者に実施している病棟が25.0%あるのに対し、常時の手指・四肢・体幹抑制に限ると12.7%にとどまります。このことから、クリップセンサー等による行動把握が多く行われていると考えられます。ただし、1割以上の病棟では常時の拘束を20%以上の患者に実施していました。療養病棟では、デバイスの有無と認知症の有無による違いが明確になりました。デバイスあり・認知症ありの患者では、身体的拘束の実施率について医療機関間の差が大きいことがわかりました。デバイスも認知症もない患者では、常時の拘束実施がゼロの病棟が95.6%と多い一方、デバイスがなくても認知症がある場合は一定数の病棟で常時の拘束が実施されており、そのほとんどは認知症高齢者の日常生活自立度Ⅳ・Mの患者でした。デバイスの種類別では、胃ろうの場合は身体的拘束実施率0%の病棟が54.8%と比較的多いのに対し、経鼻胃管やIVH(中心静脈栄養)の場合は拘束実施率の高い病棟が多いという結果でした。この背景には、胃ろうより経鼻経管栄養や中心静脈栄養を希望される傾向が増えていることがあります。今回の論点として、身体的拘束の最小化に向けた評価に際して留意すべき点について検討が進められています。障害者施設等入院基本料における廃用症候群に係る指摘事項への回答障害者施設等入院基本料における廃用症候群患者については、病態による違いを踏まえた詳細な分析が求められていました。今回の総会では、身体障害者障害程度等級による看護提供頻度の違いを示すデータが提示されました。10月29日の総会では、障害者施設等入院基本料の10対1から15対1において廃用症候群の患者割合が多く療養病棟と類似している点について指摘がありました。委員からは、障害者施設等入院基本料の対象患者は身体障害者障害程度等級の1級・2級相当であり、脊髄損傷など障害が固定した状態にあり廃用症候群からの回復が困難な場合も多いとの意見が出されました。一方で、器質的障害のない廃用症候群はしばしば改善することもあり、同じ廃用症候群でも病態により異なるため、より詳細な分析が必要との指摘でした。追加データとして、廃用症候群を主傷病とする患者に対する看護提供頻度の分析結果が示されました。障害者施設等入院基本料を算定する患者のうち、身体障害者障害程度等級表の1・2級以外の患者では、療養病棟と看護提供頻度の分布が類似していました。これに対し、1・2級の患者においては、より頻回な看護提供を必要とする患者の割合が高いという結果でした。このデータは、同じ廃用症候群であっても、重度の身体障害を有する患者と器質的障害のない患者では、看護の必要性が異なることを示しています。今後の評価のあり方については、こうした病態の違いを踏まえた検討が進められる見込みです。まとめ中央社会保険医療協議会 総会(第637回)では、訪問看護、特定疾患療養管理料、身体的拘束の最小化、障害者施設等入院基本料における廃用症候群の4つの論点について、追加データに基づく議論が行われました。訪問看護については、同一建物利用者への頻回訪問の評価水準や複数回訪問の時間合算等の具体的な検討が進められます。特定疾患療養管理料については、主傷病名・副傷病名・処方状況の分析により算定実態が明らかになりました。身体的拘束については、拘束の種類やデバイス・認知症の有無による詳細な分析結果を踏まえ、最小化に向けた評価の検討が行われます。廃用症候群については、障害の程度による看護提供頻度の違いを踏まえた評価の検討が進められています。これらの論点は、令和8年度診療報酬改定に向けて引き続き議論されます。各論点について、患者の医療の必要性と提供体制の効率性のバランスを踏まえた適切な評価体系の構築が求められています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
マイナ保険証利用率47%突破|次期カードリーダーと医療費助成の最新動向
令和7年12月18日に開催された第208回社会保障審議会医療保険部会において、マイナ保険証の利用促進等に関する資料が公表されました。従来の保険証からマイナ保険証への移行が進む中、利用率の算出方法の見直しや利便性向上に向けた施策が示されています。本稿では、この資料の内容を解説します。マイナ保険証の利用状況については、令和7年10月時点のレセプト件数ベース利用率が47.26%に到達しました。今後の利用促進に向けては、次期顔認証付きカードリーダーの導入支援に224億円の補正予算が措置され、こども医療費等の受給者証とマイナンバーカードの一体化も進められます。後期高齢者医療制度における資格確認書の職権交付についても、令和8年8月以降の見直しが検討されています。マイナ保険証の利用率と普及状況マイナ保険証の利用状況を示す指標として、令和7年12月から利用率の算出方法が変更されます。従来のオンライン資格確認件数ベースからレセプト件数ベースへと移行し、患者の利用実態をより正確に反映できるようになります。令和7年10月時点のマイナ保険証の普及状況は着実に進展しています。マイナンバーカードの保有者は9,948万人で全人口の79.9%に達し、そのうちマイナ保険証の登録者は8,730万人でカード保有者の87.8%を占めています。レセプト件数ベース利用率は47.26%となり、令和6年1月の3.99%から大幅に上昇しました。都道府県別の利用率には地域差が見られます。最も高いのは富山県の59.37%で、宮崎県57.48%、静岡県56.42%が続きます。一方、最も低いのは沖縄県の27.63%で、和歌山県36.69%、大阪府37.36%となっています。全国平均は47.26%で、前月から2.86ポイント上昇しました。年齢層別に見ると、65歳〜74歳の利用率が最も高く、令和7年11月時点で48.55%〜49.39%に達しています。0歳〜4歳の伸びも著しく、令和6年6月の3.13%から令和7年11月には40.97%へと急増しました。一方で、5歳〜19歳の若年層は30%前後にとどまり、利用率の伸び悩みが課題となっています。次期顔認証付きカードリーダーの仕様と導入支援現行の顔認証付きカードリーダーは令和8年3月末から順次保守期限を迎えるため、次期規格の開発が進められています。令和7年2月に仕様を公表してメーカーを公募した結果、キヤノンマーケティングジャパン、パナソニックコネクト、リコージャパンの3社が参入し、令和8年度から順次発売を開始する予定です。次期顔認証付きカードリーダーでは、現行機の運用上の課題を解決する改善が図られます。スマートフォン用電子証明書の読み取りに本体のみで対応し、外付けの汎用カードリーダーが不要になります。視覚障害者向けには認証状況やエラーの発生に関する音声案内機能が搭載され、操作手順の音声案内やテンキー搭載も推奨されています。さらに、画面レイアウトの統一や視認性・操作性の改善により、高齢者にとっても使いやすい設計となります。各メーカーの製品には独自の特徴があります。キヤノンマーケティングジャパンの製品は軽量でコンパクトなサイズと取り外し可能な構造が特徴で、テンキー一体化構造により外付けテンキーが不要です。パナソニックコネクトの製品は資格確認端末(Windows PC)を内蔵し、LAN接続による設置自由度の向上を実現しています。両社ともスピーカー内蔵による音声案内機能を備えています。導入支援として、令和7年度補正予算により224億円が措置されました。次期顔認証付きカードリーダーを導入する医療機関・薬局に対しては費用の1/2が補助され、資格確認端末の買い替えについても1/3の補助が実施されます。医療費助成のオンライン資格確認と利便性向上マイナンバーカードを活用した医療費助成の効率化が進められています。公費負担医療・地方単独医療費助成のオンライン資格確認に必要なシステムはデジタル庁において設計・開発・運用されており、令和5・6年度に183自治体(22都道府県、161市町村)が先行実施事業に参加しました。令和8年度中には全国規模での導入を目指しています。先行実施の参加自治体は着実に拡大しています。令和7年度には625自治体(41都道府県、584市区町村)が参加・参加予定となり、こども医療費助成は523市区町村、障害者医療費助成は485市区町村、ひとり親家庭医療費助成は506市区町村で実施予定です。令和9年度からは支払基金又は国保連においてシステムの管理・運用等の業務を実施する体制が整備されます。この取り組みにより、患者、医療機関・薬局、自治体のそれぞれにメリットが生まれます。患者にとっては紙の受給者証を持参する手間が軽減され、紛失リスクや持参忘れによる再来院も防止できます。医療機関・薬局では資格情報及び受給者証情報の手動入力の負荷が削減され、正確な資格情報に基づく請求により資格過誤請求が減少します。自治体においても医療費助成の資格確認に関する事務負担が軽減されます。後期高齢者医療制度における対応後期高齢者医療制度では、令和8年7月末まで全員一律に資格確認書を職権交付する運用を行っています。これは高齢者が新たな機器の取扱いに不慣れであることなどに配慮した措置ですが、令和8年8月以降は見直しが検討されています。後期高齢者のマイナ保険証利用状況には年齢層によって差があります。令和6年9月から令和7年8月までの利用実績を見ると、75歳〜79歳では43%が6回以上利用している一方、90歳以上では22%にとどまります。マイナ保険証を利用していない割合は、85歳〜89歳で45%、90歳以上で62%となっており、年齢が上がるほど利用率は低下する傾向にあります。令和8年8月以降の対応方針案では、年齢及び過去の利用実績に基づく区分が示されています。84歳以下の被保険者には引き続き資格確認書が職権交付されます。85歳以上の被保険者については、直近1年間に6回以上利用しかつ直近3か月における利用実績がある場合は、マイナ保険証を基本とし申請により資格確認書の交付も可能となります。85歳以上でこの条件を満たさない被保険者には引き続き資格確認書が職権交付されます。まとめ第208回社会保障審議会医療保険部会で示されたマイナ保険証の利用促進等に関する施策は、利用環境の整備と利便性向上の両面から推進されています。令和7年10月のレセプト件数ベース利用率は47.26%に達し、着実な普及が進んでいます。次期顔認証付きカードリーダーの導入支援には224億円の補正予算が措置され、スマートフォン対応や音声案内機能など利便性が大幅に向上します。こども医療費等の受給者証とマイナンバーカードの一体化も進み、令和8年度中の全国規模導入が目指されています。後期高齢者医療制度における資格確認書の職権交付も、年齢及び利用実績を踏まえたきめ細かな対応へと見直されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
長期収載品の選定療養が見直しへ|特別の料金が2倍になる可能性
中央社会保険医療協議会(中医協)は2025年12月17日の総会で、長期収載品の選定療養について見直し案を提示しました。この見直しにより、長期収載品を希望する患者が支払う「特別の料金」が現行の2倍以上に引き上げられる可能性があります。本稿では、中医協総会資料に基づき、見直し案の内容と背景を解説します。見直し案の要点は3つあります。第一に、患者の負担水準を長期収載品と後発医薬品の価格差の2分の1以上とする方向で検討が進んでいます。第二に、医療上の必要がある場合や後発医薬品の提供が困難な場合は、引き続き選定療養の対象外となります。第三に、この見直しは医療保険制度の持続可能性確保と保険給付の公平性を目的としています。長期収載品の選定療養制度とは長期収載品の選定療養制度は、後発医薬品の使用促進を目的として令和6年10月に開始されました。この制度では、後発医薬品が存在する長期収載品(先発医薬品)を患者が希望する場合、長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1を「特別の料金」として患者が負担します。特別の料金は保険適用外であり、患者の全額自己負担となります。ただし、医師が医療上の必要性を認めた場合や、後発医薬品の在庫がない場合などは、選定療養の対象外となり特別の料金は発生しません。制度開始後の状況後発医薬品の使用割合は、制度開始により大幅に上昇しました。令和6年10月の制度開始を境に、後発医薬品割合(数量ベース)は86.6%から90.1%へ約4ポイント上昇しました。その後、令和7年3月時点では90.6%に達しています。選定療養の対象となったレセプト件数は約368万件で、全体の4.9%でした。特別の料金の分布をみると、1,000円未満が90.0%、2,000円未満が98.3%を占めています。多くの患者の負担額は比較的少額にとどまっている状況です。対象医薬品の価格差についても分析が行われました。選定療養の対象となっている1,006品目について、1剤当たりの価格差4分の1の分布をみると、100円未満が908品目(90.3%)を占めています。200円未満では942品目(93.6%)となり、大半の医薬品で価格差は小さいことがわかります。患者が長期収載品を希望する理由患者調査では、長期収載品の処方を希望した理由が明らかになりました。郵送調査では「使い慣れた薬を使いたいから」が最も多く39.1%でした。一方、インターネット調査では「ジェネリック医薬品の使用に不安があるから」が最も多く30.0%でした。この調査結果は、長期収載品を希望する患者の動機が、習慣や心理的な不安に基づくケースが多いことを示しています。医療上の必要性以外の理由で長期収載品を選択する患者に対し、より強いインセンティブを設けることで後発医薬品への切り替えを促す余地があると考えられています。見直し案の内容見直し案では、患者の負担水準を価格差の2分の1以上とする方向で検討されています。現行制度では価格差の4分の1が特別の料金となっていますが、これを引き上げることで後発医薬品の使用をさらに促進する狙いがあります。具体的な負担額の変化を試算すると、以下のようになります。長期収載品の薬価を1錠20円、後発医薬品の薬価を1錠10円とし、1日4錠・25日分を投薬した場合(自己負担割合3割)で計算すると、現行の価格差4分の1では特別の料金は250円です。これが価格差2分の1になると500円、価格差4分の3では750円、価格差全額(1分の1)では1,000円となります。見直し案の検討にあたっては、医療上の必要がある場合の除外が前提となっています。長期収載品を使用する医療上の必要がある場合や、後発医薬品の在庫状況等を踏まえて後発医薬品を提供することが困難な場合については、引き続き選定療養の対象外とされます。見直しの背景と考え方見直しの背景には、複数の政策課題があります。第一に、医薬品のライフサイクルの観点があります。先発品企業は後発品上市後には市場から撤退し、後発品企業に安定供給等の役割を譲るという姿が目指すべき方向とされています。第二に、医療保険制度の持続可能性の確保があります。現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を図るため、長期収載品から後発医薬品への切り替えを促進する必要があります。第三に、保険給付の公平性の問題があります。長期収載品と後発医薬品は同一の有効成分を同一量含み、効能・効果、用法・用量が原則的に同一です。しかし、医療上の必要がなくとも長期収載品を使用する被保険者に対しては、より多くの保険給付がされています。後発医薬品を使用する被保険者との間での保険給付の公平性を考慮する必要があるとされています。中医協での主な意見前回の中医協総会(令和7年11月14日)では、委員から様々な意見が出されました。患者負担の引き上げに慎重な意見として、患者が長期収載品を希望する理由や治療上やむを得ない理由の有無など、実態把握を求める声がありました。また、小児や慢性疾患を抱えている方、低所得者等への配慮を求める意見もありました。一方、引き上げに積極的な意見も出されました。患者調査で特別の料金が2倍〜4倍になれば後発品に切り替えるとの回答が一定程度あったことから、価格差の全額負担が妥当との意見がありました。また、医療保険制度の持続可能性確保の観点から、長期収載品の保険給付の在り方を見直すべきとの意見もありました。安定供給への懸念も示されました。後発医薬品の需要増に伴う供給停止により、医療現場に負担がかかっているとの指摘があります。見直しの結果として後発医薬品の需要が高まり、安定供給に影響を及ぼさないかについても考慮が必要とされています。まとめ長期収載品の選定療養の見直し案は、特別の料金を価格差の2分の1以上に引き上げる方向で検討が進んでいます。この見直しは、後発医薬品の使用促進、医療保険制度の持続可能性確保、保険給付の公平性確保を目的としています。ただし、医療上の必要がある場合や後発医薬品の提供が困難な場合は引き続き対象外となり、安定供給への配慮も求められています。具体的な割合については、予算編成過程を経た上で取りまとめられる予定です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【2040年問題対策】医療機関の業務DX化に200億円―厚労省が示す2つの方向性
2040年に向けて生産年齢人口が減少し、医療従事者の確保がますます困難になることが見込まれています。この課題に対応するため、厚生労働省は第207回社会保障審議会医療保険部会(令和7年12月12日開催)において、「医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性について(案)」を提示しました。本稿では、この方向性案の概要を解説します。厚労省が示した方向性は、「医療機関の業務のDX化の推進」と「タスク・シフト/シェアの推進等、医療従事者の養成体制の確保、医療従事者確保に資する環境整備等」の2つの柱で構成されています。DX化の推進では、令和7年度補正予算案で200億円を計上し、業務効率化に取り組む医療機関への支援を拡大するとともに、医療法および健康保険法上の責務として業務効率化への取組を明確化します。タスク・シフト/シェアの推進等では、業務分担の見直しや医療関係職種の養成体制確保に向けた施策を展開します。背景:2040年に向けた医療従事者確保の課題医療機関の業務効率化が急務となっている背景には、深刻な人口構造の変化があります。2040年に向けて高齢者人口がピークを迎える一方、生産年齢人口(15歳~64歳)はさらに減少していきます。この人口減少のスピードは地域によって大きく異なるため、従来と同じ医療提供が難しくなる地域が早晩出てくると予測されています。政府はこの課題に対応するため、本年6月に「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025改訂版」を策定しました。同計画では、医療分野を含む12業種について生産性向上の必要性が高いとされ、「省力化投資促進プラン(医療分野)」が策定されました。今回の方向性案は、この省力化投資促進プランを具体化するものです。方向性1:医療機関の業務のDX化の推進DX化の推進は、国・自治体による支援等と、医療機関の責務の明確化の2つの観点から構成されています。なお、全ての医療機関が直ちにDX化に対応できるわけではないことを考慮し、拙速な進め方とならないよう、現場の理解を得ながら丁寧に進めることが明記されています。国・自治体による支援等補助金支援の拡充が、DX化推進の中核となる施策です。業務のDX化に取り組む医療機関を幅広く支援するため、令和7年度補正予算案において200億円を計上しました。この予算は、従来の試行的・先進的な取組への支援を超え、多くの医療機関がDX化に取り組めるよう支援の裾野を広げることを目的としています。業務のDX化による効果の発現には一定の期間を要するため、継続的な支援の在り方についても検討を進めます。エビデンスの蓄積と診療報酬の見直しも重要な施策として位置づけられています。DX化を推進するにあたり、統一的な基準により労働時間の変化、医療の質や安全の確保、経営状況に与える影響等に関するデータを医療機関から収集・分析します。このデータ収集においては、医療機関の負担が過度にならないよう簡便な方法を検討するとともに、医療情報の標準化に留意しながら進めます。こうしたエビデンスの蓄積を行いながら、医療の質や安全の確保と同時に持続可能な医療提供体制を維持していく観点から、業務の効率化を図る場合における診療報酬上求める基準の柔軟化を検討します。機器・サービスの透明性確保と技術開発の推進も図られます。医療機関が業務効率化に資する機器やサービスの価格や機能、効果を透明性をもって把握できる仕組みを構築します。また、業務効率化に資する新たな技術開発等を推進します。医療機関への伴走支援体制も強化されます。都道府県の医療勤務環境改善支援センターの体制拡充・機能強化を図り、従来の労務管理等の支援に加え、業務効率化の助言・指導等も行うことを明確化します。地域医療介護総合確保基金を活用した支援をさらに促進するとともに、国から都道府県への技術的助言も行います。公的認定制度の創設も注目すべき施策です。業務効率化・職場環境改善に積極的に取り組む病院を公的に認定し、対外的に発信できる仕組みを地域医療介護総合確保法に創設します。この認定を受けることで、医療従事者の職場定着にプラスとなり、労働市場における人材確保面で有利になることが期待されています。認定の仕組みは透明性があり分かりやすいものとし、医療従事者の視点を入れることも検討されます。医療機関の責務の明確化法的な責務の明確化も、DX化推進における重要な施策です。医療法上の責務として、業務効率化への取組が新たに位置づけられます。現行の医療法では、病院又は診療所の管理者は医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に取り組む措置を講ずるよう努めることとなっています。今後は、これらに加え、業務効率化にも取り組むよう努める旨を明確化します。健康保険法上の責務も併せて明確化されます。保険医療機関の責務として、業務効率化・勤務環境改善に取り組むよう努める旨を規定します。この法改正により、医療機関における業務効率化の取組が制度的に担保されることになります。方向性2:タスク・シフト/シェアの推進等と養成体制の確保DX化の推進と併せて、医療従事者の業務分担の見直しと養成体制の確保も進められます。タスク・シフト/シェアの取組については、医療機関がDX化に取り組む際に、併せて実施することが求められます。単にシステムを導入するだけでなく、業務プロセス自体の見直しを進めることで、DX化の効果を最大化することが期待されています。医療関係職種の養成体制の確保も重要な課題です。養成校の定員充足率は近年低下傾向にあり、地域差も大きい状況にあります。地域において医療関係職種を安定的に確保できるよう、各地域の人口減少の推移や今後の地域医療構想等を踏まえた各医療関係職種の需給状況を見通しつつ、遠隔授業の実施やサテライト化の活用など、地域の実情に応じた養成体制の確保に向けた検討を進めます。養成課程の柔軟化も検討されています。医療関係職種の各資格間で可能となっている既修単位の履修免除の活用や、修業年限の柔軟化など、若者・社会人にとって参入しやすい養成課程への見直しを進めます。キャリア・スキルの向上を目指す者や、育児・介護等の事情を抱えて働く者への支援、セカンドキャリアとして働く上でのマネジメントに関するリカレント教育の在り方についても具体的な検討を進めます。歯科分野における検討も進められています。歯科衛生士・歯科技工士の業務範囲や、歯科技工の場所の在り方については、現在進めているそれぞれの業務のあり方等に関する検討会において具体的に検討を進めることとしています。まとめ厚労省が示した「医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性について(案)」は、2040年に向けた医療従事者確保の課題に対応するため、「医療機関の業務のDX化の推進」と「タスク・シフト/シェアの推進等、医療従事者の養成体制の確保、医療従事者確保に資する環境整備等」の2つの柱で構成されています。DX化の推進では、200億円の補助金支援、診療報酬上の基準の柔軟化検討、公的認定制度の創設、医療法・健康保険法上の責務の明確化など、具体的な施策が盛り込まれました。今後の審議会での議論を経て、これらの施策が具体化されていくことが見込まれます。医療機関の経営者・管理者は、この方向性を踏まえ、自院の業務効率化・職場環境改善に向けた取組を計画的に進めていくことが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【2026年度】後期高齢者医療の保険料賦課限度額が85万円に引き上げへ
令和7年12月12日に開催された第207回社会保障審議会医療保険部会において、後期高齢者医療の保険料賦課限度額を引き上げる案が議論されました。令和8年度の賦課限度額を現行の80万円から85万円に引き上げる方針です。この引き上げは、物価・賃金の上昇傾向と医療給付費の増加を背景としています。令和8年度の賦課限度額引き上げ案の概要は、医療分の賦課限度額を5万円増額することです。年金収入のみの場合で1,021万円以上の高所得者が対象となります。保険料への影響は、年金収入400万円の場合で前年度比4.2%増、賦課限度額超過被保険者では6.3%増と推計されています。賦課限度額超過被保険者の割合は、引き上げ後も1.21%程度に抑制される見込みです。賦課限度額引き上げの背景と理由令和8年度における賦課限度額の引き上げは、複数の社会経済的要因を背景としています。近年の物価・賃金の上昇傾向により、後期高齢者の所得が増加しています。この所得増加に伴い、医療給付費も増加する見込みです。所得と給付費の双方が増加する環境下では、保険料負担の増加が避けられません。令和8年度には制度面での変更も影響します。出産育児支援金の激変緩和措置が終了します。この終了により、保険料負担への影響が生じます。加えて、令和8年度から子ども・子育て支援納付金が新設されます。保険料賦課限度額の設定には重要な考慮事項があります。給付と保険料負担のバランスを失すれば、被保険者の納付意識に悪影響を及ぼします。中間所得層の負担とのバランスも考慮する必要があります。賦課限度額超過被保険者の割合を適切な水準に保つことも求められます。令和8年度の具体的な変更内容令和8年度の賦課限度額は85万円に設定される案です。現行の80万円から5万円の引き上げとなります。この引き上げにより、賦課限度額に達する所得水準が変わります。賦課限度額80万円の場合、年金収入のみで971万円が基準でした。賦課限度額85万円では、年金収入のみで1,021万円が基準となります。年金と給与の両方がある場合も基準が変わります。賦課限度額80万円では、年金・給与収入が同程度で合計1,090万円でした。賦課限度額85万円では、年金・給与収入が同程度で合計1,150万円となります。賦課限度額超過被保険者の割合も変化します。令和7年度の実績では1.27%でした。令和8年度に80万円で据え置いた場合、1.33%に上昇する推計です。85万円に引き上げた場合は1.21%に抑制される見込みです。子ども・子育て支援納付金については別途対応します。令和8年度予算編成過程で決定される支援金総額を踏まえます。医療分の賦課限度額超過被保険者割合と同程度となるよう、賦課限度額を設定する方針です。保険料への影響賦課限度額の引き上げは、所得階層により異なる影響を及ぼします。年金収入400万円の場合、保険料は28.5万円から29.7万円に増加します。前年度比で4.2%の増加率です。一方、80万円で据え置いた場合は30万円となり、5.3%の増加率でした。賦課限度額超過被保険者の場合、保険料は80万円から85万円に増加します。前年度比で6.3%の増加率です。80万円で据え置いた場合は増加がありません。後期高齢者医療の保険料は均等割と所得割で構成されています。均等割が48%、所得割が52%の割合です。賦課限度額の引き上げは、主に所得割部分に影響します。制度施行時からの経緯を振り返ります。平成20年度の制度開始時、賦課限度額は50万円でした。その後、2年ごとの保険料率改定時に段階的に引き上げられてきました。令和5年度の制度改正により、令和6・7年度は80万円に設定されました。令和6年度は激変緩和措置として73万円でしたが、新規加入者は除外されました。まとめ令和8年度の後期高齢者医療の保険料賦課限度額は85万円に引き上げられる案です。物価・賃金上昇と医療給付費増加を背景としています。年金収入1,021万円以上の高所得者が主な対象となります。保険料への影響は所得階層により異なり、中間所得層への配慮も含まれています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
協会けんぽが健診制度を大幅拡充|20代からの予防・健康づくり強化へ
令和7年12月12日、第207回社会保障審議会医療保険部会において、協会けんぽにおける予防・健康づくりの取組等について議論が行われました。協会けんぽは約3,954万人が加入する日本最大の保険者であり、中小企業で働く方々の健康を支える重要な役割を担っています。今回の部会では、現役世代への取組強化を目的とした健診制度の見直しが提案されました。協会けんぽは、令和7年度から順次、予防・健康づくりの取組を大幅に強化します。主な施策は3つあります。第一に、35歳以上の被保険者を対象とした人間ドックへの定額補助(25,000円)を新設します。第二に、20歳・25歳・30歳の若年層を対象とした健診を新たに実施します。第三に、40歳以上の偶数年齢の女性を対象とした骨粗鬆症検診を追加します。これらの施策により、令和8年度には約280億円の費用増加が見込まれています。協会けんぽの概要と現状協会けんぽ(全国健康保険協会)は、主に中小企業で働く労働者とその家族が加入する医療保険です。平成20年10月に設立され、政府管掌健康保険を国から引き継いで運営しています。健康保険組合を自ら設立することが困難な中小・零細企業の従業員を対象としており、被用者保険のセーフティネットとしての役割を果たしています。協会けんぽの加入者数は、令和5年度末時点で約3,954万人に達しています。内訳は被保険者が約2,521万人、被扶養者が約1,433万人です。加入者の平均年齢は38.7歳であり、1人当たりの年間医療費は21.0万円となっています。加入事業所の規模は、中小企業が中心となっています。約267万事業所のうち、従業員9人以下の事業所が全体の約84%を占めています。具体的には、従業員2人以下が約56%、従業員3~4人が約14%、従業員5~9人が約14%という構成です。協会けんぽの財政状況は、近年安定的に推移しています。令和5年度の平均保険料率は10.0%であり、平成24年度(2012年度)以降維持されています。準備金残高は令和6年度時点で約5.9兆円に達しており、保険給付費等の約6.6ヵ月分に相当します。予防・健康づくりの取組の一層の強化協会けんぽは、医療費の適正化と加入者の健康保持増進を目的として、健診体系の見直しを進めています。これまでは35歳以上の被保険者を対象とした生活習慣病予防健診、40歳以上の被扶養者を対象とした特定健診を中心に保健事業を展開してきました。今回の見直しでは、20代からの健康意識の醸成と、加入者の特性に応じたきめ細かい予防・健康づくりを実現することを目指しています。見直しの背景には、若年層への早期介入の必要性があります。就労等により生活習慣が大きく変化する20代から健康意識を醸成し、加入者の自主的な健康増進と疾病予防の取組を推進することが求められています。また、医療DXのインフラを活用して健診結果を若年から経年的に保有し、ビッグデータを活用した保健事業の推進も視野に入れています。人間ドックに対する補助の実施令和8年度から、35歳以上の被保険者を対象に人間ドックへの定額補助(25,000円)を実施します。この施策は、年齢や性別による健康課題に対する健診の選択肢を拡大し、健康意識の醸成と健診実施率の向上を図ることを目的としています。人間ドック補助を実施する健診機関には、一定の要件が設けられています。全日本病院協会、日本総合健診医学会、日本人間ドック・予防医療学会/日本病院会等が実施する第三者認証を取得していることが条件となります。また、特定保健指導の実施体制を有することも求められています。若年層を対象とした健診の実施令和8年度から、20歳・25歳・30歳の被保険者を対象とした健診を新たに実施します。この健診は、就業等により生活習慣が大きく変化する若年層に対して、早期に生活習慣病対策を行うことを目的としています。検査項目は、生活習慣病予防健診の項目から胃・大腸がん検診を除いた内容となります。国の指針等を踏まえて設定されており、若年層の健康リスクに対応した検査が行われます。生活習慣病予防健診の項目等の見直し令和8年度から、生活習慣病予防健診の項目等を見直します。健康日本21(第三次)の内容を踏まえ、40歳以上の偶数年齢の女性を対象に骨粗鬆症検診を新たに実施します。検査項目や健診単価についても、見直しが行われます。協会発足以来、検査項目や健診単価の見直しは行われていませんでした。今回、国の指針やマニュアル、人件費の高騰や診療報酬改定等を踏まえ、健診の内容と費用について検証・見直しを実施します。被扶養者に対する健診の拡充令和9年度から、被扶養者に対する健診を拡充します。被保険者に対する見直し後の人間ドックや生活習慣病予防健診と同等の内容に拡充することで、被扶養者の健康管理体制を強化します。なお、現行の特定健診の枠組みは維持されます。重症化予防対策の充実令和7年度から、重症化予防対策を強化します。胸部X線検査において要精密検査・要治療と判断されながら医療機関への受診が確認できない者に対して、受診勧奨を実施します。この取組は、令和6年度に北海道・徳島・佐賀の3支部で先行的に実施されており、外部有識者の助言を得ながら進められています。メンタルヘルス対策も強化されます。事業所に対するメンタルヘルスに関するセミナーと出前講座の実施体制を整備し、働く人のこころの健康を支援します。施策実施に伴う費用見込み予防・健康づくりの取組強化に伴い、段階的に費用が増加します。令和7年度は約0.1億円程度、令和8年度は約280億円程度、令和9年度は約160億円程度の増加が見込まれています。毎年度の収支見通しの作成協会けんぽの財政運営に関して、毎年度の収支見通しの作成を明確化することが検討されています。現行制度では、2年ごとに今後5年間の被保険者数・総報酬額の見通し、給付費・保険料額等の収支見通しを作成し公表することとされています。実態として、協会けんぽは毎年収支見通しを作成しています。この収支見通しを踏まえて保険料水準の設定等を行っており、実務上は毎年度の収支見通し作成が定着しています。今回の検討では、この実行上の措置を制度として明確化することが提案されています。まとめ協会けんぽは、令和7年度から令和9年度にかけて、予防・健康づくりの取組を段階的に強化します。人間ドックへの25,000円補助、20歳・25歳・30歳を対象とした若年層健診、40歳以上の偶数年齢の女性への骨粗鬆症検診など、加入者の特性に応じたきめ細かい施策が導入されます。これらの取組により、約3,954万人の加入者の健康保持増進と医療費の適正化が期待されています。また、毎年度の収支見通し作成の明確化により、財政運営の透明性も向上する見込みです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
出産育児一時金が「現物給付」へ|第207回医療保険部会で議論された新制度の全容
令和7年12月12日、第207回社会保障審議会医療保険部会が開催され、医療保険制度における出産に対する支援の強化について議論が行われました。正常分娩の出産費用は年々上昇を続けており、現行の出産育児一時金(原則50万円、産科医療補償制度掛金1.2万円を含む)では妊婦の経済的負担をカバーしきれない状況が生じています。本稿では、この会議で議論された新制度の方向性と今後の課題について解説します。新制度の方向性については概ね一致しつつあります。現行の出産育児一時金に代えて現物給付化を行い、給付水準は全国一律とすることが基本方針です。手厚い人員体制を整備している施設やハイリスク妊婦を積極的に受け入れる施設には加算で評価します。アメニティ等のサービス費用は無償化の対象から除外し、費用の見える化を徹底することで妊婦が納得感を持ってサービスを選択できる環境を整備します。一方で、妊婦本人への現金給付の在り方や新制度への移行時期については、引き続き議論が必要とされています。出産費用の現状と課題正常分娩の出産費用は過去10年以上にわたり上昇を続けています。令和6年度の全国平均出産費用は約52万円に達しており、現行の出産育児一時金50万円を上回っています。平成24年度の約42万円から約10万円の増加となっており、妊婦の経済的負担は確実に増大しています。出産費用には大きな地域間格差が存在します。令和6年度のデータによると、最も高いのは東京都で648,309円、最も低いのは熊本県で404,411円でした。その差は約24万円に及びます。妊婦合計負担額で見ると、東京都は754,243円、熊本県は460,634円であり、約29万円の差があります。施設類型別にも費用の差が見られます。私的病院の平均出産費用は約53.7万円、公的病院は約48.4万円、診療所(助産所含む)は約52.6万円となっています。分娩時に診療報酬を算定している割合は全体の約8割に達しており、多くの出産で何らかの医療行為が行われている実態があります。新制度の基本的な方向性新制度では、保険診療以外の分娩対応を現物給付化し、全国一律の給付水準を設定します。分娩の経過は多様であることを踏まえ、特定のケースを「標準」とするのではなく、基本単価を設定して支給する方式が検討されています。軽微な医療行為などは引き続き保険診療として対応します。手厚い体制を整備している施設への加算評価が設けられます。安全な分娩のために人員体制や設備を充実させている施設、ハイリスク妊婦を積極的に受け入れる体制を整備している施設が対象となります。身体的リスクだけでなく、精神的・社会的リスクを持つ妊産婦への支援体制も評価の対象として検討されています。アメニティ等のサービス費用は無償化の対象から除外されます。お祝い膳、写真撮影、エステなどのサービスは、妊婦自身が選択できる形とし、費用の見える化を義務付けます。現状では多くの施設でこれらのサービス費用が入院料等に含まれており、妊婦が選択しにくい状況にあるため、この点の改善が図られます。今後の議論のポイント妊婦本人に対する現金給付については意見が分かれています。現行の出産育児一時金は出産に伴う一時的な経済的負担全体の軽減を目的としており、その性格を引き継ぐべきという意見がある一方、法改正により給付の性格が変更される以上、引き継ぐ必要はないとの意見もあります。出産費用が50万円を下回る場合に発生していた差額の取り扱いも論点となっています。新制度への移行時期についても議論が続いています。妊婦の自己負担が年々上昇する中、できる限り早い段階での施行を求める声がある一方、拙速な制度変更により周産期医療供給体制が崩壊することを懸念する意見もあります。妊婦が希望に応じて施設を選択できるようにした上で、可能な施設から段階的に新制度へ移行する方策が検討されています。地域の周産期医療提供体制への配慮も重要な課題です。過疎地域の小規模施設が赤字により撤退すれば、妊婦に長距離移動という身体的リスクを強いることになります。分娩件数が減少している地域であっても、施設の体制維持に係るコストが確実に賄えるような制度設計が求められています。まとめ第207回医療保険部会では、出産育児一時金の現物給付化を軸とした新制度の方向性について議論が行われました。全国一律の給付水準の設定、手厚い体制を整備した施設への加算評価、アメニティ費用の見える化という3つの柱については方向性が概ね一致しつつあります。今後は、妊婦本人への現金給付の在り方、新制度への移行時期、地域の周産期医療提供体制への配慮について、さらに議論を深めていくことが予定されています。出産を控えた妊婦にとって経済的負担の軽減は切実な課題であり、関係者の合意形成と速やかな制度構築が期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度診療報酬改定の基本方針を解説|4つの視点と重点課題
令和7年12月9日、社会保障審議会医療保険部会および医療部会において、令和8年度診療報酬改定の基本方針が決定されました。物価高騰や賃金上昇が続く中、医療機関の経営安定と人材確保が喫緊の課題となっています。本稿では、この基本方針の全体像と具体的方向性を解説します。今回の改定は、物価や賃金、人手不足等への対応を重点課題として位置づけています。基本方針では4つの基本的視点が示されました。第一に、医療従事者の処遇改善と人材確保への取組が重点課題となります。第二に、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携が推進されます。第三に、医療DXの活用による安心・安全で質の高い医療が推進されます。第四に、効率化・適正化を通じた医療保険制度の持続可能性向上が図られます。改定に当たっての基本認識基本方針では、令和8年度診療報酬改定に当たって4つの基本認識が示されました。これらの認識は、今回の改定全体を貫く基盤となっています。第一の認識は、日本経済が新たなステージに移行しつつある中での物価・賃金の上昇と人材確保の必要性です。日本経済は30年続いたコストカット型経済から脱却しつつあります。一方で医療分野は公定価格によるサービス提供が中心であるため、経済社会情勢の変化に機動的な対応が難しく、サービス提供や人材確保に大きな影響を受けています。第二の認識は、2040年頃を見据えた医療提供体制の構築です。2040年頃に向けては、生産年齢人口が減少する一方、85歳以上人口が増加していきます。こうした変化に対応するため、「治す医療」と「治し、支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、地域完結型の医療提供体制を構築する必要があります。第三の認識は、医療の高度化や医療DX、イノベーションの推進による安心・安全で質の高い医療の実現です。医療技術の進歩を国民に還元するとともに、ドラッグ・ラグやデバイス・ラグへの対応が求められています。第四の認識は、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保と経済・財政との調和です。国民皆保険を堅持し次世代に継承するため、現役世代の保険料負担の抑制努力を踏まえながら、効率的・効果的な医療政策を実現することが不可欠です。重点課題:物価や賃金、人手不足等への対応今回の改定では、物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応が重点課題に位置づけられました。医療機関等は厳しい経営環境に直面しており、的確な対応が急務となっています。医療機関等は現下の持続的な物価高騰により、事業収益の悪化が続いています。人件費、医療材料費、食材料費、光熱水費、委託費等の物件費が増加しているためです。また、全産業で賃上げ率が高水準となる中、医療分野では賃上げ水準から乖離し、人材確保が困難な状況にあります。この重点課題に対する具体的方向性は、2つの柱で構成されています。第一の柱は、医療機関等が直面する人件費や物件費の高騰を踏まえた対応です。第二の柱は、賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取組です。第二の柱である人材確保に向けた取組には、5つの具体的施策が含まれています。まず、医療従事者の処遇改善です。次に、ICT・AI・IoT等の利活用による業務効率化の推進です。さらに、タスク・シェアリング/タスク・シフティングとチーム医療の推進です。加えて、医師の働き方改革の推進と診療科偏在対策です。最後に、診療報酬上求める基準の柔軟化です。2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携第二の基本的視点として、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携と地域包括ケアシステムの推進が掲げられました。中長期的な人口構造や医療ニーズの変化を見据えた医療提供体制の構築が求められています。この視点における具体的方向性は、8つの分野に整理されています。第一に、患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価です。地域医療構想を踏まえた医療提供体制の整備や、人口の少ない地域の実情を踏まえた評価が含まれます。第二に、「治し、支える医療」の実現です。在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援機能を担う医療機関の評価、円滑な入退院の実現、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等の高齢者の生活を支えるケアの推進が進められます。第三に、かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価です。第四に、外来医療の機能分化と連携として、大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携が推進されます。第五に、質の高い在宅医療・訪問看護の確保です。第六に、人口・医療資源の少ない地域への支援です。第七に、医療従事者確保の制約が増す中で必要な医療機能を確保するための取組です。第八に、医師の地域偏在対策の推進です。安心・安全で質の高い医療の推進第三の基本的視点は、安心・安全で質の高い医療の推進です。患者の安心・安全を確保しつつ、医療技術の進展や疾病構造の変化等を踏まえた取組の評価が進められます。この視点における具体的方向性は、9つの分野にわたります。第一に、患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価として、身体的拘束の最小化や医療安全対策の推進が含まれます。第二に、アウトカムにも着目した評価の推進です。第三に、医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価です。電子処方箋システムの利活用やオンライン診療の推進が進められます。第四に、質の高いリハビリテーションの推進として、発症早期からの介入や土日祝日の実施体制充実が図られます。第五に、重点的な対応が求められる分野への適切な評価です。救急医療、小児・周産期医療、がん医療、精神医療、難病患者への医療が対象となります。第六から第九として、感染症対策・薬剤耐性対策の推進、歯科医療の推進、薬局機能の評価、イノベーションの適切な評価等が挙げられています。効率化・適正化を通じた制度の持続可能性向上第四の基本的視点は、効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上です。医療費増大が見込まれる中、国民皆保険を維持するための不断の取組が必要とされています。この視点における具体的方向性として、7つの取組が示されました。第一に、後発医薬品・バイオ後続品の使用促進です。第二に、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の在り方の見直しです。第三に、費用対効果評価制度の活用です。第四に、市場実勢価格を踏まえた適正な評価です。医薬品、医療機器、検査等について効率的かつ有効・安全な利用体制の確保が図られます。第五に、電子処方箋の活用や医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働による医薬品の適正使用等の推進です。重複投薬、ポリファーマシー、残薬への対応が含まれます。第六に、外来医療の機能分化と連携です。第七に、医療DXやICT連携を活用する体制の評価です。今後の課題と展望基本方針では、今後取り組むべき課題も示されました。持続可能な「全世代型社会保障」の実現に向けて、診療報酬制度のみならず総合的な政策が求められています。今後の課題として、5つの点が挙げられています。第一に、診療報酬制度のみならず、医療法や医療保険各法等の制度的枠組み、補助金等の予算措置を含めた総合的な政策の必要性です。第二に、持続的な物価高騰・賃金上昇局面における適時適切な報酬措置の検討です。第三に、患者にとって身近で分かりやすい医療提供体制の実現と、国民の医療保険制度に対する納得感の向上です。第四に、予防・健康づくりやセルフケアの推進、ヘルスリテラシーの向上です。住民、医療提供者、保険者、民間企業、行政等の全ての関係者が協力・連携して国民一人一人を支援することが求められています。第五に、医療DXの推進です。医療DXへの投資は業務負担の軽減や医療の質の向上につながるため、国民の健康増進と安心・安全で質の高い医療サービスの実現に向けた推進が必要です。まとめ令和8年度診療報酬改定の基本方針は、物価高騰・賃金上昇への対応を重点課題として位置づけました。医療従事者の処遇改善と人材確保への取組、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携、医療DXを活用した安心・安全で質の高い医療の推進、効率化・適正化による制度の持続可能性向上という4つの基本的視点から、具体的な方向性が示されています。今後、中央社会保険医療協議会において、この基本方針に基づいた具体的な診療報酬点数等の議論が進められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【2025年成立】医療法等改正法の3つの柱|地域医療構想・医師偏在・医療DX
令和7年12月8日、第122回社会保障審議会医療部会において、医療法等の一部を改正する法律の成立が報告されました。この改正法は、高齢化に伴う医療ニーズの変化と人口減少を見据え、地域での良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築することを目的としています。改正法は3つの柱で構成されています。第1の柱は、2040年頃を見据えた地域医療構想の見直しです。第2の柱は、医師偏在是正に向けた総合的な対策です。第3の柱は、医療DXの推進であり、令和12年までに電子カルテ普及率約100%の達成を目指します。施行期日は令和9年4月1日を基本とし、一部規定は段階的に施行されます。地域医療構想の見直し等地域医療構想は、病床機能に限定せず、医療提供体制全体を対象とする構想へと拡大されます。改正法では、入院・外来・在宅医療、さらに介護との連携を含む将来の医療提供体制全体の構想として位置づけられました。この見直しにより、2040年頃の医療ニーズに対応できる体制の構築が可能となります。地域医療構想調整会議の構成員として市町村が明確化されました。在宅医療や介護との連携等を議題とする場合には、市町村の参画が求められます。この変更により、地域の実情に即した議論が促進されます。医療機関機能報告制度が新設されます。報告の対象となる機能は、高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能等です。この制度により、各医療機関の役割が明確化され、地域全体での機能分化が進みます。オンライン診療が医療法に定義されました。具体的には、手続規定やオンライン診療を受ける場所を提供する施設に係る規定が整備されます。衆議院の附帯決議では、過剰な規制を設けないことが求められています。美容医療を行う医療機関における定期報告義務等も新設されます。この規定は公布後2年以内に政令で定める日から施行されます。病床数削減に関する支援事業も創設されました。都道府県は、地域の実情を踏まえ、医療機関の経営安定のために緊急に病床数を削減する事業を行うことができます。参議院の附帯決議では、医療費削減ありきではなく、各地域の医療の質の確保を前提とすることが求められています。医師偏在是正に向けた総合的な対策医師偏在の是正に向けて、経済的インセンティブと規制的措置の両面から対策が講じられます。具体的には、重点区域の設定、医師手当事業の創設、外来医師過多区域への対応強化、保険医療機関管理者の要件設定の4つの措置が盛り込まれました。「重点的に医師を確保すべき区域」を都道府県知事が医療計画において定めることができるようになりました。この区域では、保険者からの拠出による医師の手当支給に関する事業が実施されます。附帯決議では、手当増額に使途を限定し、保険者が実施状況を確認・検証できる体制の確保が求められています。外来医師過多区域の無床診療所への対応が強化されます。新規開設の事前届出制が導入されるほか、要請勧告の公表や保険医療機関の指定期間の短縮等の措置が設けられます。施行後3年を目途として、効果検証を行い、必要に応じて所要の措置を講ずることとされています。保険医療機関の管理者に新たな要件が設けられます。保険医として一定年数の従事経験を持つ者であること等が要件となり、管理者としての責務も課されます。この規定は令和8年4月1日から施行されます。医療DXの推進医療DXの推進は、電子カルテ情報の共有、医療情報の二次利用、推進体制の整備の3つの施策で構成されます。政府は、令和12年12月31日までに電子カルテの普及率が約100%となることを達成するよう、先端技術の活用を含めた情報の電子化を実現しなければならないとされました。電子カルテ情報共有サービスが整備されます。必要な電子診療録等情報の医療機関での共有が可能となるほか、感染症発生届の電子カルテ情報共有サービス経由の提出も可能となります。附帯決議では、普及率が最低でも5割程度に達するまでの基盤整備期間中は、国による必要な財政支援を行うことが求められています。医療情報の二次利用が推進されます。厚生労働大臣が保有する医療・介護関係のデータベースについて、仮名化情報の利用・提供が可能となります。この規定は公布後3年以内に政令で定める日から施行されます。社会保険診療報酬支払基金が医療DXの運営母体として改組されます。名称、法人の目的、組織体制等の見直しが行われます。また、厚生労働大臣は医療DXを推進するための「医療情報化推進方針」を策定します。附帯決議では、審査支払機能を十分に果たせる人員配置と運営体制の確保が求められています。施行期日と今後の展望施行期日は規定ごとに異なります。基本となる施行日は令和9年4月1日です。オンライン診療の定義、外来医師過多区域への対応、保険医療機関管理者の要件等は令和8年4月1日から施行されます。地域医療構想の見直しに関する一部規定は令和8年10月1日から施行されます。衆参両院の附帯決議には重要な指摘が含まれています。オンライン診療については過剰な規制を設けないこと、医師手当事業については保険料負担の抑制を図ること、電子カルテ情報共有サービスについては国による財政支援を行うこと等が求められています。介護・障害福祉従事者の処遇改善についても、早急な措置を講ずることが決議されました。まとめ医療法等の一部を改正する法律は、2040年頃を見据えた医療提供体制の構築を目指す包括的な制度改革です。地域医療構想の見直しにより病床から医療提供体制全体への視野拡大が図られ、医師偏在是正により地域間の医療格差の解消が進められ、医療DXの推進により電子カルテ普及率100%を目指す基盤整備が行われます。医療機関の経営者や医療従事者は、段階的な施行スケジュールを踏まえ、計画的な対応準備を進めることが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【総額1兆368億円】令和7年度補正予算案「医療・介護等支援パッケージ」の全容を解説
令和7年12月8日に開催された第122回社会保障審議会医療部会において、令和7年度補正予算案が報告されました。本予算案は、物価上昇や人手不足といった医療機関の経営課題に対応し、地域に必要な医療提供体制を確保することを目的としています。本稿では、医療分野に総額1兆368億円を投じる「医療・介護等支援パッケージ」の概要を解説します。主要な支援策は6つあります。賃上げ・物価上昇対策に5,341億円、病床数適正化に3,490億円、福祉医療機構による優遇融資に804億円、施設整備促進に462億円、生産性向上に200億円、産科・小児科支援に72億円がそれぞれ計上されています。賃上げ・物価上昇に対する支援(5,341億円)最大の予算枠である5,341億円は、医療機関・薬局における処遇改善と物価上昇対策に充てられます。この支援は、救急医療を担う医療機能の特性を踏まえつつ、物価を上回る賃上げの実現を目指すものです。病院に対する基礎的支援は、1床あたり賃金分7.2万円、物価分1.3万円の計8.5万円です。有床診療所は1床あたり賃金分8.4万円、物価分11.1万円が交付されます。医科無床診療所・歯科診療所には1施設あたり賃金分15.0万円、物価分17.0万円の計32.0万円が支給されます。保険薬局への支援は、1法人あたりの店舗数に応じて傾斜配分されます。5店舗以下は1施設あたり計23.0万円、6〜19店舗は18.0万円、20店舗以上は12.0万円となっています。訪問看護ステーションには1施設あたり22.8万円が交付されます。救急医療を担う病院には、受入件数に応じた加算があります。救急車受入件数1件以上1,000件未満で500万円、1,000件以上で1,500万円、2,000件以上で3,000万円、3,000件以上で9,000万円、5,000件以上で1.5億円、7,000件以上で2億円の加算です。三次救急病院については、受入件数5,000件未満の場合は一律1億円が加算されます。手術・分娩実績に基づく加算も設けられています。全身麻酔手術件数または分娩取扱数(分娩取扱数は3を乗じた数で算定)が800件以上の病院には1施設あたり2,000万円、2,000件以上の病院には8,000万円が加算されます。ただし、この加算は救急車受入件数3,000件未満の病院が対象であり、救急加算との併給はできません。病床数の適正化に対する支援(3,490億円)二番目に大きな予算枠である3,490億円は、病床数の適正化を進める医療機関への支援に充てられます。この支援は、「病床数適正化緊急支援基金」を新たに創設して実施されます。支援対象は、医療需要の変化を踏まえた病床数の適正化を進める医療機関です。交付額は、病院(一般・療養・精神)および有床診療所の病床削減に対して1床あたり約410万円です。休床の場合は1床あたり約205万円となります。削減目標として約11万床が設定されています。この内訳は、一般病床・療養病床の必要病床数を超える約5.6万床と、精神病床の基準病床数を超える約5.3万床です。令和6年度補正予算では約1.1万床分が措置済みであり、今回の予算で残りの削減を加速します。福祉医療機構による優遇融資等(804億円)804億円は、物価高騰の影響を受けた医療機関の資金繰り支援に充てられます。独立行政法人福祉医療機構による無利子・無担保等の優遇融資を実施するための体制整備費用です。この支援は、福祉医療機構に対する出資金および運営費交付金として措置されます。融資財源は別途財政融資資金から措置されます。地域の基幹的な民間病院に対しては、資本性劣後ローンを提供し、民間金融機関と連携しながら経営改善を図ることも可能です。施設整備の促進に対する支援(462億円)462億円は、物価高騰により施設整備が困難となっている医療機関への支援に充てられます。この支援により、地域医療構想の推進と救急・周産期医療体制の確保を図ります。支援対象は、医療提供体制施設整備交付金、医療施設等施設整備費、地域医療介護総合確保基金の交付対象となる新築・増改築等を行う医療機関です。交付額は「(市場価格-補助事業単価)×国負担分相当」として算出され、㎡数に応じた建築資材高騰分等が補助されます。生産性向上に対する支援(200億円)200億円は、業務効率化・職場環境改善に取り組む医療機関への支援に充てられます。医療分野の生産性向上を図り、人材確保・定着につなげることが目的です。支援対象は、「業務効率化推進委員会(仮称)」を設置し、ICT機器等の導入など業務効率化・職場環境改善に取り組む病院です。総事業費は1病院あたり1億円であり、このうち交付額の上限は8,000万円です。負担割合は国が3分の2、都道府県が3分の1となっています。生産性向上に資する取組の具体例として、スマートフォンによるカルテ閲覧・情報共有、インカム、インタラクティブ・ホワイト・ボード等の導入が挙げられています。これらにより、DX化による情報伝達の効率化を実現します。産科・小児科への支援(72億円)72億円は、出生数・患者数の減少等を踏まえた産科・小児科への支援に充てられます。地域でこどもを安心して生み育てることができる周産期医療・小児医療体制の確保が目的です。支援は4つの事業で構成されています。分娩取扱施設支援事業は、分娩数が減少している施設に対して1施設あたり580万円〜1,740万円を補助します。地域連携周産期支援事業(分娩取扱施設)は、集約化が困難な地域の施設に最大約1,125万円を補助します。地域連携周産期支援事業(産科施設)は、妊婦健診等を行い近隣施設と連携する施設の整備・設備費用を補助します。小児医療施設支援事業は、地域の小児医療拠点病院に対して小児科部門の病床1床あたり約21万円〜約105万円を補助します。まとめ令和7年度補正予算案における医療・介護等支援パッケージは、物価上昇と人材確保という医療機関が直面する二大課題に対応するものです。総額1兆368億円の予算は、賃上げ・物価対策、病床適正化、資金繰り支援、施設整備、生産性向上、産科・小児科支援の6分野に配分されます。予算成立後は速やかに実施される予定であり、各医療機関は自院の状況に応じた支援策の活用を検討することが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【200億円支援決定】医療機関のDX化推進|厚労省が示す業務効率化の新方針
2040年に向けて生産年齢人口が減少し、医療従事者の確保がますます困難になることが見込まれています。政府は令和7年6月に「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025改訂版」において、人手不足が深刻な12業種の生産性向上が必要として「省力化投資促進プラン(医療分野)」を策定しました。この流れを受け、第122回社会保障審議会医療部会(令和7年12月8日開催)では、医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する方向性が示されました。本稿では、この方向性の内容を解説します。厚生労働省が示した方向性は、大きく2つの柱で構成されています。第1の柱は、医療機関の業務のDX化推進です。この柱には、令和7年度補正予算案200億円の計上、効果測定のためのエビデンス蓄積、診療報酬基準の柔軟化検討、機器・サービスの透明性確保と技術開発推進、支援体制の強化、病院の公的認定制度創設、医療法・健保法における責務の明確化が含まれます。第2の柱は、タスク・シフト/シェアの推進と医療従事者の養成体制確保です。この柱には、DX化と連動したタスク・シフト/シェアの推進、養成校の遠隔授業やサテライト化の活用、養成課程の柔軟化が含まれます。医療機関の業務のDX化推進厚生労働省は、業務効率化に取り組む医療機関の裾野を広げるため、国・自治体による支援と医療機関の責務明確化の両面から対応を進めます。その際、全ての医療機関が直ちにDX化に対応できるわけではないことを考慮し、現場の理解を得ながら丁寧に進めるとしています。国・自治体による支援等国・自治体による支援は、財政支援、エビデンス蓄積、診療報酬基準の柔軟化検討、機器・サービスの透明性確保と技術開発推進、支援体制の強化、認定制度の創設の6つの施策で構成されます。財政支援については、令和7年度補正予算案において200億円が計上されました。この予算は、これまでの試行的・先進的な取組への支援だけでなく、業務のDX化に取り組む多くの医療機関を支援することを目的としています。さらに、業務のDX化による効果の発現には一定の期間を要することを踏まえ、継続的な支援の在り方も検討されます。エビデンス蓄積については、統一的な基準によるデータ収集・分析が行われます。収集対象は、労働時間の変化、医療の質や安全の確保、経営状況に与える影響等です。データ収集の際には、医療機関の負担が過度なものにならないよう留意し、できるだけ簡便な形で収集できる方法が検討されます。また、医療機関の情報システムと連携できるよう、医療情報の標準化にも留意しながら進められます。診療報酬基準の柔軟化検討については、エビデンスの蓄積を行いながら進められます。医療の質や安全の確保と同時に、持続可能な医療提供体制を維持していくことが重要という視点から、業務の効率化を図る場合における診療報酬上求める基準の柔軟化が検討されます。ただし、第121回医療部会では、業務効率化を診療報酬の人員配置基準の緩和へつなげるには時期尚早との意見も出されています。機器・サービスの透明性確保と技術開発推進については、2つの取組が進められます。1つ目は、医療機関が業務効率化に資する機器やサービスの価格や機能、効果を透明性をもって把握できる仕組みの構築です。2つ目は、業務効率化に資する新たな技術開発等の推進です。支援体制の強化については、都道府県の医療勤務環境改善支援センターの体制拡充・機能強化が図られます。同センターは従来、労務管理等の支援を行ってきましたが、今後は業務効率化の助言・指導等も行うことが明確化されます。地域医療介護総合確保基金を活用した同センターへの支援もさらに促進されるとともに、国から都道府県への技術的助言が行われます。認定制度の創設については、業務効率化・職場環境改善に計画的に取り組む病院を公的に認定する仕組みが、地域医療介護総合確保法に創設されます。この認定を受けることで、医療従事者の職場定着にプラスとなり、労働市場における医療従事者の確保面でより有利になることが期待されています。認定の仕組みは透明性がある分かりやすいものとし、医療従事者の視点を入れることも検討されます。医療機関の責務の明確化医療機関の責務は、医療法と健保法の両面で明確化されます。医療法上の責務については、病院又は診療所の管理者が業務効率化に取り組むよう努める旨が明確化されます。現在、管理者は医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に取り組む措置を講ずるよう努めることとなっていますが、今後はこれらに業務効率化が加わります。健保法上の責務については、保険医療機関の責務として業務効率化・勤務環境改善に取り組むよう努める旨が明確化されます。ただし、第121回医療部会では、医療機関の管理者に業務効率化の責務を付すことで医療機関に負担がかかるようなことは避けるべきとの意見も出されています。タスク・シフト/シェアの推進と養成体制確保厚生労働省は、タスク・シフト/シェアの推進、養成体制の確保、養成課程を含めた環境整備の3つの施策を進めます。タスク・シフト/シェアの推進タスク・シフト/シェアは、DX化と連動して推進されます。医療機関が業務のDX化に取り組む際には、併せてタスク・シフト/シェアの実施や業務プロセス自体の見直しを進めることが求められます。第121回医療部会では、タスク・シフト/シェアにより本来業務ではない部分で業務が停滞することのないよう、AIやロボット等によるDX化があることを明確にすべきとの意見も出されています。養成体制の確保養成体制の確保は、地域の実情に応じた対応が進められます。医療関係職種の養成校の定員充足率は近年低下傾向にあり、地域差も大きい状況です。今後は、各地域の人口減少の推移や今後の地域医療構想等を踏まえた各医療関係職種の需給状況を見通しつつ、遠隔授業の実施やサテライト化の活用などをはじめとした検討が進められます。養成課程を含めた環境整備養成課程を含めた環境整備は、3つの観点から進められます。第1の観点は、参入しやすい養成課程の整備です。医療関係職種の各資格間において現在でも可能となっている既修単位の履修免除の活用や、養成に係る修業年限の柔軟化などが検討されます。まずは課題等を把握し、各職種の状況に応じた支援の在り方が検討されます。第2の観点は、キャリア支援と環境整備です。意欲・能力やライフコースに合わせて、更なるキャリア・スキルの向上を目指す者や、育児・介護等の事情を抱えて働く者への支援が検討されます。セカンドキャリアとして働く上でのマネジメントに関するリカレント教育等の在り方についても、具体的に検討が進められます。第3の観点は、歯科関係職種の業務範囲等の検討です。歯科衛生士・歯科技工士の業務範囲や、歯科技工の場所の在り方については、現在進めているそれぞれの業務のあり方等に関する検討会において具体的に検討が進められます。まとめ第122回社会保障審議会医療部会で示された方向性は、医療機関の業務のDX化推進とタスク・シフト/シェアの推進・養成体制確保の2つの柱で構成されています。DX化推進では、200億円の補正予算、エビデンス蓄積、診療報酬基準の柔軟化検討、機器・サービスの透明性確保と技術開発推進、支援体制強化、認定制度創設、法改正による責務明確化が進められます。タスク・シフト/シェア推進・養成体制確保では、DX化と連動した推進、遠隔授業やサテライト化の活用、養成課程の柔軟化、キャリア支援が進められます。これらの施策は、「省力化投資促進プラン(医療分野)」を踏まえ、2040年に向けた医療従事者の安定的確保と質の高い効率的な医療提供体制の構築を目指すものです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度診療報酬改定の基本方針を解説|4つの視点と重点課題
令和7年12月8日、第122回社会保障審議会医療部会において、令和8年度診療報酬改定の基本方針(案)が示されました。今回の改定は、持続的な物価高騰と賃金上昇が続く経済環境のもと、医療機関の経営安定と医療従事者の処遇改善が喫緊の課題となっています。本稿では、この基本方針の全体像と4つの改定視点について解説します。今回の基本方針の要点は次の4点です。第一に、物価・賃金・人手不足への対応が「重点課題」に位置づけられました。第二に、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携と地域包括ケアシステムの推進が掲げられています。第三に、医療DXやイノベーションによる安心・安全で質の高い医療の実現が示されました。第四に、効率化・適正化を通じた医療保険制度の持続可能性向上が求められています。改定に当たっての基本認識今回の基本方針では、改定の前提となる4つの基本認識が示されています。これらの認識は、日本の医療制度が直面する構造的課題を反映しています。第一の認識は、物価・賃金上昇と人材確保の課題です。日本経済は30年続いたコストカット型経済から脱却し、新たなステージに移行しつつあります。しかし医療分野は公定価格によるサービス提供が大宗を占めるため、経済情勢の変化に機動的な対応が難しい状況にあります。この結果、医療機関では全産業の賃上げ水準から乖離が生じ、人材確保が困難になっています。第二の認識は、2040年頃を見据えた医療提供体制の構築です。2040年頃に向けては、生産年齢人口が減少する一方、85歳以上人口は増加していきます。この人口構造の変化に対応するため、限りある医療資源を最適化しながら、「治す医療」と「治し、支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化する必要があります。第三の認識は、安心・安全で質の高い医療の実現です。医療技術の進歩や高度化を国民に還元するとともに、ドラッグ/デバイス・ラグ/ロスへの対応が求められています。デジタル化された医療情報の利活用やAI・ICT等の活用による医療DXの推進も重要な課題です。第四の認識は、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保です。国民皆保険を堅持し次世代に継承するためには、経済・財政との調和を図りつつ、現役世代の保険料負担の抑制努力が必要です。重点課題:物価・賃金・人手不足への対応今回の改定では、「物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応」が重点課題に位置づけられました。この重点課題は、医療機関の経営安定と人材確保という2つの柱で構成されています。医療機関の経営状況は厳しさを増しています。持続的な物価高騰により、人件費や、医療材料費、食材料費、光熱水費、委託費等といった物件費が増加しています。この結果、事業収益の増加以上に事業費用が増加し、収益が悪化している状況にあります。人材確保も深刻な課題となっています。2年連続で5%を上回る賃上げ率となった春闘等により、全産業の賃上げ水準が高まる中、医療分野では収益悪化を背景に賃上げが進んでいません。この賃上げ水準の乖離が、医療従事者の確保を一層困難にしています。具体的方向性として、次の5つが示されています。第一に、物件費高騰を踏まえた対応です。第二に、医療従事者の処遇改善です。第三に、ICT・AI・IoT等の利活用による業務効率化です。第四に、タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進です。第五に、医師の働き方改革の推進と診療報酬上の基準の柔軟化です。2040年を見据えた医療機関の機能分化・連携第二の視点は、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携と地域における医療の確保です。この視点では、地域医療構想に基づく医療提供体制の構築が中心的なテーマとなっています。入院医療については、患者の状態と必要な医療機能に応じた評価が求められています。患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた医療提供体制の整備が必要です。人口の少ない地域の実情を踏まえた評価も重要な課題です。「治し、支える医療」の実現に向けた取組も示されています。在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援機能を担う医療機関の評価、円滑な入退院の実現、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等の高齢者の生活を支えるケアの推進が具体的方向性として挙げられています。外来・在宅医療に関しては、かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価が求められています。大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携による外来患者の逆紹介の推進も重要です。質の高い在宅医療・訪問看護の確保、人口・医療資源の少ない地域への支援、医師の地域偏在対策の推進も具体的方向性に含まれています。安心・安全で質の高い医療の推進第三の視点は、安心・安全で質の高い医療の推進です。この視点では、患者の安心・安全を確保しつつ、イノベーションを推進し、新たなニーズに対応できる医療の実現を目指しています。患者の安全確保に関しては、身体的拘束の最小化や医療安全対策の推進が示されています。アウトカムに着目した評価として、データを活用した診療実績による評価の推進も求められています。医療DXの推進も重要な方向性です。電子処方箋システムによる重複投薬等チェックの利活用の推進、外来・在宅医療等におけるオンライン診療の推進が具体的に挙げられています。質の高いリハビリテーションの推進も求められています。発症早期からのリハビリテーション介入の推進、土日祝日のリハビリテーション実施体制の充実が具体的方向性として示されています。重点的な対応が求められる分野として、救急医療、小児・周産期医療、がん医療・緩和ケア、精神医療、難病患者への医療が示されています。感染症対策や薬剤耐性対策の推進、歯科医療の充実、薬局・薬剤師業務の対人業務の充実化、イノベーションの評価や医薬品の安定供給確保も具体的方向性に含まれています。効率化・適正化による制度の持続可能性向上第四の視点は、効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上です。高齢化や技術進歩、高額な医薬品の開発等により医療費の増大が見込まれる中、医療資源の効率的・重点的な配分が求められています。医薬品に関する取組として、後発医薬品・バイオ後続品の使用促進、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の在り方の見直しが示されています。費用対効果評価制度の活用、市場実勢価格を踏まえた適正な評価も重要な方向性です。医薬品の適正使用に向けては、電子処方箋の活用や医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働が求められています。重複投薬、ポリファーマシー、残薬への対応、医学的妥当性や経済性の視点を踏まえた処方の推進が具体的に挙げられています。外来医療の機能分化と連携、医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制評価も再掲されています。今後の課題基本方針では、今後の課題として5つの事項が示されています。これらの課題は、診療報酬制度だけでは解決できない構造的な問題への対応を求めるものです。第一に、総合的な政策の必要性です。持続可能な「全世代型社会保障」の実現には、診療報酬制度のみならず、医療法、医療保険各法等の制度的枠組みや補助金等の予算措置を含めた総合的な対応が求められます。第二に、物価高騰・賃金上昇への適時適切な対応です。諸経費や設備投資の増加、処遇改善への支援を、保険料負担の抑制努力にも配慮しつつ、報酬措置においても適時適切に行える仕組みの検討が必要です。第三に、国民の納得感の向上です。診療報酬制度を分かりやすくする取組の継続、社会保障制度の意義に関する丁寧な説明、国民が議論の場へ参加する機会の確保が重要とされています。第四に、予防・健康づくりの推進です。住民、医療提供者、保険者、民間企業、行政等の全ての関係者が協力・連携して国民一人一人を支援することが求められています。第五に、医療DXへの投資です。医療DXは医療機関のコスト増加だけでなく、業務負担の軽減や医療の質の向上につながるものであり、国民の健康増進や地域医療連携の円滑化に寄与するとされています。まとめ令和8年度診療報酬改定の基本方針は、物価・賃金上昇への対応を重点課題に位置づけ、医療機関の経営安定と医療従事者の処遇改善を最優先としています。同時に、2040年頃を見据えた医療提供体制の構築、安心・安全で質の高い医療の推進、医療保険制度の持続可能性向上という3つの視点も示されています。今後、この基本方針に基づき、中央社会保険医療協議会において具体的な点数設定等の議論が進められる見込みです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】人口減少地域の医療確保と救急体制強化の方向性|中医協第631回総会
令和7年11月28日に中央社会保険医療協議会総会(第631回)が開催され、令和8年度診療報酬改定に向けた個別事項(その10)として「人口・医療資源の少ない地域」「救急医療」「業務の簡素化」の3テーマが議論されました。人口減少と医師の高齢化が進む地域での医療提供体制の維持が喫緊の課題となる中、オンライン診療の活用や医療機関間の連携強化が検討されています。今回の議論では、主に3つの方向性が示されました。第一に、医療資源の少ない地域の対象範囲を見直すとともに、小規模二次医療圏における外来診療確保のための新たな評価の検討です。第二に、救急外来における体制評価の充実と救急患者連携搬送料の運用改善です。第三に、施設基準届出のオンライン化推進と計画書等の署名省略による業務負担軽減です。人口・医療資源の少ない地域における医療提供体制人口・医療資源の少ない地域では、診療所数の減少と医師の高齢化が深刻化しています。中医協では、対象地域の見直しと小規模二次医療圏への支援強化を軸に検討が進められています。人口規模が小さい二次医療圏においては、2012年から2022年にかけて診療所数が減少傾向にあり、従事する医師の高齢化も進んでいます。全二次医療圏の人口平均値は約28.2万人、中央値は約22.3万人であり、人口密度が全国平均以下の二次医療圏は194医療圏に上ります。医療資源の少ない地域の要件については、令和5年医療施設静態調査等を用いた見直しシミュレーションが行われました。その結果、現在該当する37医療圏のうち32医療圏が引き続き該当し、7医療圏が新たに該当する一方、5医療圏が除外となります。これにより、令和8年度改定では対象が39医療圏となる見込みです。除外される医療圏の医療機関については、運営の安定性を担保する観点から、経過措置期間の延長が検討されています。小規模な二次医療圏における外来診療体制の確保に向けて、3層構造の支援イメージが示されました。第1層は過疎地域等に所在する「へき地診療所等」で、巡回診療や医師派遣、D to P with N・D to P with Dを含むオンライン診療を活用して基礎的な医療を提供します。第2層は「へき地診療所等への支援を実施する病院」で、地域の救急患者や入院患者を受け入れながら、オンライン診療を含む巡回診療や医師派遣を行います。第3層は「拠点的機能を有する病院」で、急性期の拠点機能を担いながら地域全体への医師派遣を調整します。オンライン診療の活用については、へき地医療拠点病院358施設のうち83施設が情報通信機器を用いた診療の届出を行っています。オンライン診療による巡回診療を実施した医療機関は7施設にとどまりますが、実施した巡回診療のほとんどをオンライン診療で行っている先進事例も存在します。D to P with Nは看護師の同席により検査・処置の実施や患者状況の把握が可能となる利点があり、今後の評価のあり方について議論が求められています。救急医療体制の充実と連携強化救急医療については、過去最多となった救急搬送件数への対応と、救急外来における体制評価の充実が主な検討課題となっています。令和6年中の救急自動車による救急出動件数と搬送人員は、昭和38年の集計開始以降で最多となりました。年齢区分別では高齢者の搬送が増加しており、現場到着所要時間および病院収容所要時間は新型コロナウイルス感染症発生以降大幅に延長し、令和5年においても以前の水準には戻っていません。救急患者連携搬送料については、令和6年度改定で新設されたものの、課題が指摘されています。算定患者が多い医療機関がある一方で、ほとんどの医療機関では実際に搬送・受入を行った患者数は少数にとどまっています。また、急性疾患に対する治療を終了し、必ずしも緊急自動車等による搬送が必要でない可能性のある患者が一定程度含まれていることも判明しました。総務省消防庁では、病院救急車や患者等搬送事業者の活用による転院搬送体制の整備が検討されています。救急外来応需体制に対する評価として、夜間休日救急搬送医学管理料と院内トリアージ実施料があります。夜間休日救急搬送医学管理料の算定回数は令和2年以降増加傾向にあり、令和6年には月間約15.6万回に達しています。高次の救急医療機関ほど、地域の救急医療に関する取組への参加割合や24時間検査体制を有する割合が高い傾向にあります。救急外来における体制については、専用の区画を有し、救急患者に対応できる医師・看護師・薬剤師等を配置し、24時間検体検査・画像検査・処方等を実施できる体制の評価が検討されています。現行では、救急外来従事者の配置や地域救急医療への取組参加について直接的な評価がないことから、体制の充実に向けた議論が進められています。業務の簡素化による負担軽減業務の簡素化については、診療に係る業務と届出に係る業務の2つの観点から検討が進められています。医療機関の事務負担軽減と医療従事者の働き方改革を推進する観点から、様式の見直しや電子化が主要な論点となっています。診療に係る業務で簡素化の必要性があるものについて調査を行ったところ、施設として最も多かったのは「計画書作成」(44.2%)で、次いで「DPCデータ(様式1)の作成」(38.2%)でした。病棟では「計画書作成」に次いで「患者や家族等による署名・記名押印」が多く挙げられました。入院診療計画書については、法令上は短期間で退院が見込まれる場合は作成不要とされていますが、診療報酬上は全患者に作成を求めています。規制改革推進に関する答申では、医療機関等の負担軽減の観点から、診療報酬上の書面について署名または記名・押印を不要とすることの可否検討が求められており、代替方法で担保できるものは廃止する方向で議論されています。届出に係る業務については、施設基準等届出のオンライン化が段階的に進められています。令和4年4月から開始され、令和7年度中に326件の届出についてオンライン化が実施予定であり、令和10年度の全届出オンライン化を目指して改修が進んでいます。様式9については、記載にあたって参考にすべき注意事項が多く、看護要員等の算出における小数点以下の処理方法が項目によって異なるなど、作成が煩雑であるとの指摘があります。注意事項の記載整理や小数点以下の処理の統一等の見直しが検討されています。毎年の報告様式についても、他に代替方法がないものや次期改定に必要なものに限定し、添付書類を省略するなどの簡素化が検討されています。妥結率等にかかる報告書では大部な添付書類が必要とされており、医療機関等の負担軽減が求められています。まとめ:令和8年度改定に向けた方向性令和8年度診療報酬改定に向けて、人口減少地域における医療提供体制の維持、救急医療体制の充実、医療機関の業務負担軽減の3つの方向性が示されました。人口・医療資源の少ない地域については、対象地域の見直しに加え、小規模二次医療圏における外来診療確保のための新たな評価体系の構築が検討されています。救急医療については、救急外来における体制評価の充実と救急患者連携搬送の運用改善が課題となっています。業務の簡素化については、施設基準届出のオンライン化推進と計画書等の署名省略による負担軽減が進められる見通しです。今後の中医協総会における議論の進展に注目が必要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】薬局の無菌製剤処理加算とポイント付与規制の2つの論点を解説
中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第631回)において、令和8年度診療報酬改定に向けた調剤に関する議論が行われました。今回の資料では、薬剤調製料の無菌製剤処理加算と、患者誘引につながるポイント付与・配送料無料の問題が取り上げられています。この資料では、2つの論点が示されました。第一の論点は、無菌製剤処理加算の対象年齢を6歳未満から15歳未満へ拡大するかどうかです。第二の論点は、ポイント付与や配送料無料の広告による患者誘引への対策をどう講じるかです。いずれも令和8年度改定に向けて、今後の議論が注目されます。無菌製剤処理加算の対象年齢拡大が論点に無菌製剤処理加算について、現行では6歳未満の乳幼児のみが加点対象ですが、6歳以上15歳未満の小児への拡大が検討されています。この背景には、小児に対する注射薬の調製において、年齢や体重に応じた投与量調整が必要となる実態があります。現行の無菌製剤処理加算は、乳幼児への無菌調製を評価する仕組みです。乳幼児では、乳幼児用の製剤がないことや体内動態が成人と異なることから、個々の患者に応じた無菌調製が必要となります。この調製を評価するため、通常は中心静脈栄養法用輸液で1日につき69点、抗悪性腫瘍剤で79点、麻薬で69点が加算されます。6歳未満の乳幼児の場合は、それぞれ137点、147点、137点と約2倍の点数が設定されています。しかし、医薬品の添付文書では「小児」は7歳以上15歳未満の児を指すとされています。15歳未満の患者に対する注射薬の調製においても、体重ごとに投与量調整が必要となることが多いのが実態です。たとえば、静脈経腸栄養ガイドラインによると、7〜12歳では60〜75kcal/kg/day、12〜15歳では40〜60kcal/kg/dayと、成人とは異なるエネルギー投与量が必要となります。こうした状況を踏まえ、中医協では「6歳以上の小児の薬剤調製の実情に鑑み、無菌製剤処理加算に加点する患者対象年齢の範囲について、どのように考えるか」という論点が示されました。ポイント付与と配送料無料による患者誘引が問題視患者誘引につながるポイント付与や配送料無料の問題について、中医協で対策が議論されています。調剤報酬は中医協での議論を経て公定されており、ポイントのような付加価値を付与することは医療保険制度上ふさわしくないとされています。ポイント付与については、平成29年の事務連絡で指導対象となる行為が明確化されています。指導対象となるのは、ポイントを用いて調剤一部負担金を減額すること、調剤一部負担金の1%を超えてポイントを付与すること、ポイント付与について建物外の看板やテレビCMなどで大々的に宣伝することの3つです。また、処方箋ネット受付を利用した「トンネルを通じた経済的利益の提供」も問題視されています。具体的には、処方箋受付サイトを通じて調剤を求めた患者にアンケート回答後の謝礼としてギフトカードを提供するケースです。アンケート謝礼という名目であっても、薬局が支払う手数料が原資となっている以上、患者への経済上の利益の提供にあたるおそれがあります。配送料無料の問題も同様の観点から指摘されています。令和7年度の薬局業務実態調査によると、1,133薬局のうち58薬局が患者希望により配送料無料で薬剤を配送しています。このうち22.4%がHP等で配送料無料であることを周知していました。HP等で宣伝した上で患者希望により薬剤を配送した場合、患者への経済上の利益の提供にあたるおそれがあります。薬担規則に基づく規制の枠組みこれらの患者誘引行為は、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(薬担規則)で禁止されています。薬担規則第二条の三の二では、健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならないと定められています。中医協委員からは、郵送料無料などの取扱いについて令和8年度改定の議論で取り上げるよう要望が出されました。患者が保険薬局を選択する際には、薬局が親切丁寧に調剤を担当し、薬剤師が調剤・薬学的管理・服薬指導の質を高めることが本旨であるべきとの考えが示されています。一方で、欠品等の薬局都合による配送については患者誘引に該当しないと考えられています。調査では、薬局都合で配送料無料としている薬局が720件あり、これはHP等での宣伝を伴っていないため問題とはされていません。まとめ令和8年度診療報酬改定に向けて、無菌製剤処理加算の対象年齢拡大と患者誘引対策の2つが論点として示されました。無菌製剤処理加算については、15歳未満の小児への投与量調整の実態を踏まえた対象年齢の見直しが検討されます。患者誘引対策については、ポイント付与や配送料無料の広告に対する規制強化の方向性が議論されています。薬局経営者は、今後の中医協での議論の動向に注視する必要があります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】調剤報酬の対人業務見直し3つの論点|調剤管理料・吸入指導・かかりつけ薬剤師
中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第631回)において、調剤報酬における対人業務の見直しが議論されました。令和8年度診療報酬改定に向け、薬局薬剤師の対人業務を適正に評価する観点から、調剤管理料関係、服薬管理指導関係、かかりつけ薬剤師関係の3分野で論点が提示されています。今回の議論では、調剤管理料の日数による点数区分の見直し、インフルエンザ等急性疾患に対する吸入薬指導の評価、かかりつけ薬剤師指導料のノルマ問題への対応が主要な検討事項となりました。本記事では、これら3つの論点について、現状の課題と今後の方向性を解説します。調剤管理料関係:日数区分と加算の見直し調剤管理料関係では、処方日数に応じた点数区分の妥当性、調剤管理加算のポリファーマシー対策との整合性、重複投薬・相互作用等防止加算の再評価という3つの論点が示されました。調剤管理料の日数区分については、令和4年度改定で調剤料が廃止された際、対人業務を評価する薬学管理料として新設されました。現行の点数は、7日分以下が4点、8日分以上14日分以下が28点、15日分以上28日分以下が50点、29日分以上が60点と設定されています。この日数区分は、旧調剤料の激変緩和措置として引き継がれたものですが、支払側からは「基本は一律点数が望ましい」との意見が出されています。調剤管理加算については、ポリファーマシー対策に逆行する可能性が指摘されています。この加算は、複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方された患者に対する薬学的分析を評価するものです。令和4年度改定時にも同様の懸念が示され、初めて薬局に来た患者や処方変更の患者に限定する措置が取られました。今後、さらなる見直しが検討される見込みです。重複投薬・相互作用等防止加算については、医療DXの進展に伴う再評価が求められています。オンライン資格確認の普及により、重複投薬や禁忌薬剤の使用が機械的にチェックできる環境が整いつつあります。その一方で、検出された問題について薬学的に判断し、医師に疑義照会を行う業務は依然として薬剤師の専門的判断を要します。単なる情報収集ではなく、疑義照会の要否判断や処方変更に至った専門的業務をどう評価するかが論点となっています。服薬管理指導関係:吸入指導とフォローアップの評価服薬管理指導関係では、吸入薬指導加算の対象拡大と、調剤後フォローアップ業務の評価が論点となりました。吸入管理指導加算の対象拡大については、インフルエンザ等の急性疾患への適用が検討されています。現行の吸入管理指導加算は、喘息やCOPDなどの慢性疾患に対する吸入薬指導を評価するものです。しかし、インフルエンザ吸入薬の指導にも同程度の時間を要することが調査で明らかになりました。さらに、感染症対策として個室を整備すること、患者の目の前で実際に吸入させて服用を確認すること、薬剤師自身の曝露リスクへの対応など、急性疾患特有の負担があります。これらの労力に対する評価が現状では存在しないため、見直しが求められています。調剤後フォローアップ業務については、副作用検出率の向上効果を踏まえた評価が検討されています。調査によると、患者フォローアップ未実施の場合の副作用検出率は3.36%であるのに対し、フォローアップ実施群では5.37〜6.95%と有意に上昇しています。患者側の評価も、フォローアップを受けた患者の97.8%が「よかった」と回答しています。その理由として「服薬後の症状や体調の経過に問題ないことを確認してもらい安心できた」が最も多く挙げられました。こうしたエビデンスを踏まえ、フォローアップ業務に対する調剤報酬上の評価のあり方が議論されています。かかりつけ薬剤師関係:患者選択の確保とノルマ問題かかりつけ薬剤師関係では、かかりつけ薬剤師指導料の算定に関するノルマ問題と、患者が主体的に選択できる仕組みへの転換が論点となりました。かかりつけ薬剤師指導料のノルマ問題については、深刻な実態が明らかになっています。調査によると、業務ノルマを課している薬局の約半数で、かかりつけ薬剤師指導料の算定回数や同意件数にノルマが設けられていました。患者からは「初めて会ったような薬剤師から同意を求められた」「薬局に行くたびに同意を求められるので苦痛」といった声が寄せられています。かかりつけ薬剤師は本来、患者の意思により選択されるべきものであり、現行の仕組みが患者本位の制度設計になっていない点が問題視されています。かかりつけ薬剤師機能の推進については、「患者のための薬局ビジョン」の目標達成状況も議論されました。2025年を目標年次として全ての薬局がかかりつけ薬局となることが掲げられていましたが、「かかりつけ機能が実際に発揮されているか、対物業務から対人業務へのシフトが進んだかについては、十分に達成されたとは感じられない」との厳しい評価が示されています。かかりつけ薬剤師指導料を算定していない理由についても調査が行われました。かかりつけ薬剤師業務を実施しているにもかかわらず算定していない薬剤師のうち、「従来よりかかりつけ薬剤師指導を実施しており、患者に上乗せの料金を請求できないため」との回答が一定数ありました。制度創設前から同様の業務を行っていた薬剤師にとって、追加料金を患者に請求することへの抵抗感があることがうかがえます。まとめ:対人業務の適正評価に向けて今回の中医協総会では、薬局薬剤師の対人業務を適正に評価するための論点が整理されました。調剤管理料の日数区分の見直し、急性疾患に対する吸入薬指導の評価、フォローアップ業務の評価充実、かかりつけ薬剤師制度の患者本位への転換という4つの方向性が示されています。令和8年度診療報酬改定に向け、これらの論点について引き続き議論が進められる見込みです。薬局経営者および薬剤師の皆様におかれては、今後の議論の動向を注視しつつ、対人業務の質的向上に取り組まれることをお勧めいたします。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】薬局の評価体系が大きく変わる|調剤基本料・地域支援体制加算の見直し4つのポイント
中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第631回)において、調剤報酬の見直しに関する議論が行われました。「患者のための薬局ビジョン」策定から10年が経過したものの、処方箋集中率85%以上の薬局割合はむしろ増加しており、門前薬局から地域薬局への移行が進んでいません。この現状を踏まえ、医薬品提供拠点としての薬局の評価体系の見直しが検討されています。今回の議論では、調剤報酬簡素化、調剤基本料関係、地域支援体制加算関係、在宅薬学総合体制加算関係の4つの領域で論点が示されました。調剤基本料については収益状況を踏まえた見直しが、地域支援体制加算・在宅薬学総合体制加算については都市部とそれ以外の地域における届出状況の差を踏まえた実績要件の見直しが、それぞれ検討されています。調剤報酬簡素化|複雑化した体系の整理調剤報酬体系の複雑化が課題として指摘されており、簡素化の検討が求められています。令和6年度改定の答申書附帯意見では、診療報酬体系が複雑化していること、医療DXの推進において簡素化が求められていることを踏まえ、患者をはじめとする関係者にとって分かりやすい診療報酬体系となるよう検討することとされました。現行の調剤報酬では、服薬管理指導料と在宅患者訪問薬剤管理指導料で類似の加算が設けられているなど、体系が複雑になっています。例えば、重複投薬・相互作用等防止加算は調剤管理料に、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は在宅薬剤管理に、それぞれ別の項目として設定されています。このような複雑な体系は、患者にとって分かりにくいだけでなく、薬局の事務負担増加にもつながっています。今後の改定では、類似の評価項目の整理・統合が議論される可能性があります。調剤基本料関係|門前薬局・医療モールの適正化と敷地内薬局の取り扱い調剤基本料については、収益状況を踏まえた評価の見直しと、処方箋集中率の算出方法の適正化が主な論点です。医療経済実態調査の結果によると、調剤基本料2を算定する薬局と医療モール内の薬局の損益率が他の分類より高いことが明らかになりました。特に、処方箋集中率85%以上かつ月当たり処方箋受付回数2,000回以下で調剤基本料1を算定している薬局は、備蓄品目数が少ないにもかかわらず、令和6年度改定後も損益率が微増しています。特別区の薬局では改定後に損益率・損益差額がいずれも増加しており、地域による収益格差が生じています。処方箋集中率の計算方法についても問題が指摘されています。門前薬局であるにもかかわらず、意図的に遠方の高齢者施設等の入居者の処方箋を受け入れることで処方箋集中率を下げ、より点数の高い調剤基本料を算定するケースが存在します。また、医療機関が3つ以上存在する医療モールでは、上位3医療機関の合計集中率70%という基準を下回りやすく、現行の算定要件では適切に評価できていません。一方、敷地内薬局(特別調剤基本料A)については、令和6年度改定後に損益率・損益差額がマイナスに転じました。ただし、へき地等における自治体開設診療所の敷地内薬局については、地域医療を維持するために必要な存在であるケースもあり、一律の適用が適切かどうか検討が必要とされています。地域支援体制加算関係|都市部とそれ以外の届出格差への対応地域支援体制加算については、都市部とそれ以外の地域における届出状況の差を踏まえた実績要件の見直しが論点です。特別区や政令指定都市以外の地域では、地域支援体制加算の届出割合が低い傾向にあります。特に医療資源の少ない地域では、患者数が少ないため、実績要件の基準が高い地域支援体制加算3・4の届出割合が特に低くなっています。現行の実績要件は処方箋1万枚当たりの年間回数で設定されているため、処方箋受付回数が少ない薬局では要件を満たすことが困難です。地域支援につながる施設基準として、薬局の面積要件やセルフメディケーション関連機器の設置も検討されています。備蓄品目数は平成22年度の500品目から現在は1,200品目に引き上げられており、備蓄のために必要なスペースは約2.4倍になりました。在宅患者への医薬品提供のための無菌調製設備(クリーンベンチ等)やバイオ後続品の保管に用いる保冷庫を設置する場合には、より大きな面積が求められます。在宅薬学総合体制加算関係|地域の実情に応じた実績要件の検討在宅薬学総合体制加算についても、都市部とそれ以外の地域における届出状況の差が課題です。特別区・政令指定都市と比較して、それ以外の地域にある薬局では在宅薬学総合体制加算の届出が少ない傾向があります。在宅薬学総合体制加算1では在宅薬剤管理の実績24回以上/年、加算2ではさらにかかりつけ薬剤師指導料等の算定回数24回以上/年が求められます。患者数が少ない地域では、これらの実績要件を満たすことが難しい状況です。常勤薬剤師数と在宅関連業務の実施状況にも関連があることが示されています。夜間・休日の処方箋応需や小児特定加算を算定する調剤の実施など、在宅に関連するレセプト対応は、常勤薬剤師数が多いほど取り組まれている傾向があります。しかし、現在の在宅薬学総合体制加算には常勤薬剤師数に係る要件がなく、地域の実情を踏まえた要件設定が検討されています。まとめ中医協では、医薬品提供拠点としての薬局の評価体系について、4つの領域で見直しの議論が進められています。調剤報酬簡素化では複雑な体系の整理が、調剤基本料関係では門前薬局・医療モールの適正化と敷地内薬局の取り扱いが、地域支援体制加算・在宅薬学総合体制加算関係では都市部とそれ以外の地域における届出格差への対応が、それぞれ主な論点です。薬局ビジョンが目指す「門前からかかりつけ、そして地域へ」という方向性を実現するため、立地に依存した経営から地域医療に貢献する薬局への転換を促す評価体系への見直しが検討されています。薬局経営者は、これらの議論の動向を注視しながら、地域支援体制や在宅業務の充実に向けた準備を進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
薬局ビジョン10年の現実|門前薬局はなぜ増え続けるのか
2015年に策定された「患者のための薬局ビジョン」は、すべての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目指しました。しかし、ビジョン策定から10年が経過した現在、門前薬局や医療モール型薬局の設立が続いています。中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第631回)では、薬局のあり方について議論が行われました。中医協の資料によると、処方箋集中率が高い薬局の割合はむしろ増加しています。85%以上の集中率を持つ薬局は2015年の32.5%から2024年には39.3%へと上昇しました。また、薬局・薬剤師の偏在により、地方での医薬品提供体制の脆弱化と、都市部での小規模薬局の乱立という二極化が進んでいます。薬局ビジョンが掲げた目標と現状のギャップ2015年10月に公表された「患者のための薬局ビジョン」は、「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」への転換を掲げました。このビジョンでは、2025年までにすべての薬局がかかりつけ薬局の機能を持つこと、2035年までに立地も地域へ移行することを目標としています。かかりつけ薬剤師・薬局に求められる基本機能は3つあります。第一に、ICTを活用した服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導です。第二に、24時間対応・在宅対応の体制整備です。第三に、医療機関をはじめとする関係機関との連携です。これらの基本機能に加えて、健康サポート薬局として健康サポート機能を発揮すること、専門機関と連携した高度薬学管理機能を持つことも期待されています。しかし、ビジョン策定後の10年間で、目標に向けた進展は限定的でした。2016年の診療報酬改定で「かかりつけ薬剤師指導料」が新設され、その後の改定でも対物業務から対人業務への転換が図られてきました。それにもかかわらず、多くの薬局は依然として立地に依存した経営を続けています。処方箋集中率の推移が示す課題処方箋集中率が高い薬局、いわゆる門前薬局の割合は増加傾向にあります。厚生局届出データによると、処方箋集中率95%以上の薬局は2015年の14.0%から2024年には17.3%へと増加しました。同様に、85%以上の薬局も32.5%から39.3%へと上昇しています。この増加傾向は、診療報酬改定による政策誘導が十分に機能していないことを示しています。対物業務から対人業務への切り替えを進めてきたにもかかわらず、特定の医療機関からの処方箋を集中的に受け付ける薬局のビジネスモデルは変わっていません。さらに、薬局が医療モールを経営する事例も出てきており、立地依存型の経営がむしろ強化されている面があります。薬局・薬剤師の偏在がもたらす問題薬局・薬剤師の地域偏在は、地方と都市部の双方で異なる課題を生じさせています。地方・過疎地域では薬局・薬剤師の不足が深刻です。都市部では小規模薬局の乱立が問題となっています。地方・過疎地域における課題は、医薬品提供体制の維持困難です。服薬指導や在宅サービスへのニーズに応えることが難しくなっています。薬剤師1人または薬局1つが欠けるだけでも地域全体に及ぼす影響が大きく、医療提供体制が脆弱化しています。都市部における課題は、小規模乱立による非効率化です。十分な機能を有さない薬局の設置が増え、薬局1つあたりの処方箋枚数が減少しています。医薬品の配送効率も低下し、流通に負荷をかけています。過剰な流通在庫は、供給不安発生時に医薬品不足を助長する要因にもなります。患者が薬局を近さのみで選ぶ傾向が強まり、薬歴の一元化が成立しにくい状況も生まれています。まとめ薬局ビジョン策定から10年が経過しましたが、「立地から機能へ」の転換は進んでいません。処方箋集中率が高い薬局の割合はむしろ増加し、薬局・薬剤師の偏在による課題も顕在化しています。令和6年改定後の中医協における付帯意見では、地域の医薬品供給拠点としての役割を担い、かかりつけ機能を発揮して地域医療に貢献する薬局の整備を進めるため、調剤報酬のあり方について引き続き検討することが示されています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
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この番組はエンジニアの「もっさん」が日々思ったことを1トピック1エピソードでコンパクトに話す番組です。 ※ 2024/6/27に「みるみる積もる!積読術」からタイトル変更しました ●【Twitter @mossan_hoshi】 ●【Youtube @mossanhoshi7158】 ●【オライリー本サブスクについて】 https://zenn.dev/mossan_hoshi/articles/20230128_oreilly_learning ●【積読本リスト】 https://1drv.ms/x/s!AqxcPJT01sLlgdsJJ2-wA9mRn1dimA?e=uvyGdD ●【Zenn @mossan_hoshi】 ●【Qiita @mossan_hoshi】
加門の業務効率爆上げチャンネル
業歴15年の現役エンジニアの加門が、ITノウハウや業務工数9割削減実績をもとにIT関連の情報を発信。 ・人材採用の広告費でキャッシュが圧迫され続けている ・頑張っても頑張っても売上が上がらない ・売上は上がっても利益がなぜか下がってしまう ・残業ばっかりで従業員の退職が続いていしまう ・部下の教育やマネジメントといった重要な仕事ができない ・社長が頑張って頑張って、全然楽にならない ・折角IT導入をしたのに、効果を全く感じられない など、こういった思いをしている方へ ・生産性向上の秘訣 ・IT化のポイント ・ITやDX関係の裏側や闇 ・AI関連情報 ・業務効率化事例 といった情報を発信中✴️ 自己紹介 ━━━━━━━━━━━━━━ 『業務工数90%削減。働く人をハッピーに‼️』 ◻︎加門 和幸 株式会社 皆人(みなと)代表取締役 キャリア15年の現役エンジニア JAL・無印良品・KDDIなど開発プロジェクトにも参画 業務工数9割削減のITツール開発 ━━━━━━━━━━━━━━ ■【個別AIコンサル】受付中 ・生成AIの使い方が分からない ・誰に何を聞いたらいいか分からない ・ビジネスでどう使えばいいの? といった方向けにAIコンサルを実施しております。 ご希望の方はレター✉️ または公式LINEよりお気軽にご連絡ください↓↓↓ https://line.me/R/ti/p/%40799mnvvv ━━━━━━━━━━━━━━ ■時間と労力のかかる業務を数クリック完了 あなた専用の使いやすいITツールでデジタル化しませんか? 100%使いこなせるデジタル化を実現します。 個別無料相談のお申し込みの際は、公式LINEにお友達登録ください!↓↓↓ https://line.me/R/ti/p/%40799mnvvv ◻️実績👇 ▶︎ 2人で5日かけていた業務を10分に短縮‼️ ⇩他クライアント実績⇩ https://minato-ltd.co.jp/achivement/ ポッドキャストの書き起こしサービス「LISTEN」はこちら https://listen.style/p/kamon_standfm?DP5rtePo