病院事務長が実務と経営の視点で語る、医療制度の最新動向。急性期〜回復期で幅広い部門を統括してきた経験をもとに、最新の令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈)や施設基準、医療DXの解説を音声で配信。経営層から現場の事務担当者まで、忙しい合間に「現場で使える知識」をアップデートできます。
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【令和8年度改定】無菌製剤処理加算の見直しを徹底解説|対象年齢は15歳未満へ
令和8年度の診療報酬改定では、保険薬局の無菌製剤処理加算が見直されました。従来の加算は6歳未満の乳幼児だけを対象にしていましたが、6歳以上の小児でも体重に応じた投与量の調整が必要になるという実情に合っていませんでした。本稿では、この無菌製剤処理加算の見直し内容を、変更点ごとに整理して解説します。今回の見直しは、対象年齢の拡大と点数の引き上げの2点です。対象年齢は、6歳未満の乳幼児から15歳未満の小児へと拡大されました。点数は、中心静脈栄養法用輸液の小児加算が137点から237点へと引き上げられました。一方、抗悪性腫瘍剤(147点)と麻薬(137点)の小児加算は据え置かれています。見直しの背景:15歳未満でも体重ごとの調製が必要見直しの背景には、6歳以上の小児でも年齢や体重に応じた無菌調製が必要になるという実情があります。医薬品の添付文書では、「小児」を15歳未満とすることが多く、15歳未満の患者への注射薬の調製では、体重ごとに投与量を調整する場面が多くなります。ところが従来の加算は6歳未満の乳幼児だけを対象としていたため、乳幼児でなくても調製に手間がかかるにもかかわらず、評価されない場合がありました。この評価されない場面は、中心静脈栄養法用輸液で特に顕著でした。中心静脈栄養で必要となるエネルギー量は、体重1kgあたりで年齢とともに変化します。たとえば1〜7歳では1日あたり75〜90kcal/kg、12〜15歳では40〜60kcal/kgと幅があり、患者ごとに個別の調製が求められます。こうした調製の負担は、6歳未満に限られるものではありません。負担の増加は、無菌製剤処理加算の算定実績にも表れています。無菌製剤処理加算の算定回数は年々増加傾向にあり、届け出る薬局も算定する薬局もともに増えています。こうした実情を踏まえ、6歳以上の小児の薬剤調製の実態に見合う形へと、加算の対象が見直されました。変更点1:対象年齢を6歳未満から15歳未満へ拡大1つ目の変更点は、小児加算の対象年齢の拡大です。無菌製剤処理加算のうち小児に対する上乗せ分は、これまで「6歳未満の乳幼児」だけを対象としていました。今回の見直しで、この対象が「15歳未満の小児」へと拡大されます。対象年齢の拡大により、6歳以上15歳未満の患者への調製も評価されるようになります。従来は6歳の誕生日を迎えると小児加算の対象から外れ、通常の点数しか算定できませんでした。見直し後は、14歳までの患者に無菌製剤処理を行った場合も、小児加算を算定できます。これにより、体重ごとの投与量調整という実際の負担が、点数に反映されることになります。変更点2:中心静脈栄養法用輸液の点数を137点から237点へ引き上げ2つ目の変更点は、中心静脈栄養法用輸液の小児加算の引き上げです。15歳未満の小児に中心静脈栄養法用輸液の無菌製剤処理を行った場合、加算点数が137点から237点へと引き上げられます。これは1日につき100点の増点です。引き上げの対象は、3種類の薬剤のうち中心静脈栄養法用輸液に限られます。無菌製剤処理加算は、中心静脈栄養法用輸液・抗悪性腫瘍剤・麻薬の3種類を対象としています。このうち小児加算が引き上げられたのは中心静脈栄養法用輸液だけで、抗悪性腫瘍剤(147点)と麻薬(137点)は据え置かれました。前述のとおり、中心静脈栄養では年齢や体重に応じたエネルギー量の調整が特に必要になるため、その負担が点数に反映されたものといえます。改定前後の小児加算の点数を、薬剤ごとに整理すると次のとおりです。中心静脈栄養法用輸液は、137点から237点へと引き上げられます。抗悪性腫瘍剤は、147点のまま据え置かれます。麻薬も、137点のまま据え置かれます。なお、基本点数(中心静脈栄養法用輸液69点、抗悪性腫瘍剤79点、麻薬69点)は、いずれも変わりません。まとめ:対象拡大と増点で小児調製の実情に対応令和8年度改定における無菌製剤処理加算の見直しは、小児の薬剤調製の実情に加算を合わせるものです。1つ目に、小児加算の対象年齢が6歳未満から15歳未満へと拡大されました。2つ目に、中心静脈栄養法用輸液の小児加算が137点から237点へと引き上げられました。抗悪性腫瘍剤と麻薬の小児加算は据え置かれています。これらの見直しにより、6歳以上15歳未満の患者に対する体重ごとの調製の負担が、診療報酬に反映されることになります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【2026年度診療報酬改定】産科管理加算の新設をわかりやすく解説
分娩件数の減少により、分娩を取り扱う産科病棟では混合病棟化と他科患者の増加が進んでいる。この状況では、母子の心身の安定・安全に配慮した管理体制の確保が課題となっている。この課題に対応するため、本メルマガでは令和8年度(2026年度)診療報酬改定で新設される「産科管理加算」の内容を解説する。産科管理加算は、分娩を伴う入院患者への産科管理を評価する新たな加算である。この加算の点数は、病院で1日につき250点、有床診療所で1日につき50点に設定されている。この加算の算定には、分娩開始日以降の入院患者へ必要な産科管理を行い、かつ地方厚生局長等への届出を行うことが求められる。この届出には、産科の標榜、十分な療養環境、専任助産師の配置など、4つの施設基準への適合が必要となる。産科管理加算が新設された背景産科管理加算は、産科病棟をめぐる環境変化を背景に新設された。この環境変化とは、分娩件数の減少に伴う産科病棟の混合病棟化と他科患者の増加を指す。この混合病棟化と他科患者の増加により、母子の心身の安定・安全へ配慮した対応が難しくなっている。こうした状況を踏まえ、産科における管理と継続ケアの体制が新たに評価されることとなった。この評価の対象は、母子の心身の安定・安全に配慮した産科の管理体制である。あわせて、妊娠・産後を含む継続ケアを行う体制も評価の対象に含まれる。産科管理加算の概要と点数産科管理加算は、分娩を伴う入院患者を対象に、施設区分へ応じた2段階の点数を1日につき算定する。この加算の対象患者は、分娩を伴う入院中の患者である。この患者へ必要な産科管理を行った場合に、所定点数へ加算する。この加算の点数は、施設区分に応じて次の2段階に分かれる。病院の場合は、1日につき250点を算定する。有床診療所の場合は、1日につき50点を算定する。産科管理加算の算定要件産科管理加算の算定には、届出と、分娩開始日以降の産科管理が要件となる。この届出は、後述の施設基準へ適合する保険医療機関が、地方厚生局長等へ行う。この産科管理は、分娩を伴う入院中の患者のうち、分娩が開始した日以降の患者へ提供する。なお、この体制は、母子保健事業等との連携を前提とする。この連携の相手先には、院内助産・助産師外来が含まれる。同様に、産後ケア事業等の母子保健事業等も連携の相手先となる。産科管理加算の施設基準産科管理加算の届出には、次の4つの施設基準を満たす必要がある。この施設基準は、標榜科、療養環境、助産師の配置に関する要件で構成される。第1に、産科又は産婦人科を標榜し、分娩を取り扱う保険医療機関であることが求められる。第2に、母子の心身の安定・安全の確保を図ることができる十分な療養環境が整備されていることが求められる。第3に、母子保健及び福祉に関する事業等との地域連携に係る業務について十分な経験を有する専任の助産師が配置されていることが求められる。第4に、病院が算定する産科管理加算の1については、産前産後の妊産婦及び新生児を管理する病棟であり、かつ当該病棟へ助産師が常時1人以上配置されていることが求められる。まとめ産科管理加算は、産科病棟の混合病棟化を背景に、分娩を伴う入院患者への産科管理を評価する新加算である。この加算の点数は、病院で250点、有床診療所で50点をいずれも1日につき算定する。この加算の算定には、分娩開始日以降の産科管理と、4つの施設基準への適合に基づく届出が必要となる。分娩を取り扱う保険医療機関では、自院の標榜科・療養環境・助産師配置が施設基準を満たすかを確認し、届出の準備を進めることが望まれる。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|小児の高額な検査・薬剤を包括から外す2つの見直しを解説
小児医療では、造血器腫瘍のゲノム検査やRSウイルスの予防薬など、高額な検査・薬剤を用いる場面がある。こうした高額な項目の多くは、入院料や小児科外来診療料に「包括」されてきた。包括されると、その費用が個別に評価されず、医療機関の持ち出しになりやすい。本メルマガでは、この課題に対応した令和8年度診療報酬改定の見直しを解説する。今回の見直しは、高額な検査・薬剤を包括の対象から除外し、別に算定できるようにする2点からなる。第一に、造血器腫瘍等を対象とするがんゲノムプロファイリング検査を、小児入院医療管理料や集中治療系の入院料の包括対象から除外する。第二に、抗RSウイルス薬「ニルセビマブ」の投与当日を、小児科外来診療料の算定対象から除外する。いずれも、高額な項目を出来高で算定できるようにし、必要な医療を提供しやすくする点で共通する。がんゲノムプロファイリング検査を入院料の包括から除外がんゲノムプロファイリング検査のうち造血器腫瘍等を対象とするものは、小児入院医療管理料や集中治療系の入院料の包括対象から除外され、別に算定できるようになった。この見直しの理由は、検査料が高額でありながら、入院中に実施する必要性が特に高いためである。がんゲノムプロファイリング検査とは、腫瘍の多数の遺伝子を一度に調べ、治療方針の決定に役立てる検査である。この検査は、白血病やリンパ腫といった造血器腫瘍を含む小児がんで用いられる。検査料は高額で、専門家会議による結果の検討に対する「評価提供料」も伴う。こうした高額な検査は、従来、これらの入院料に「包括」されていた。包括とは、複数の医療サービスをまとめて一つの点数で評価する仕組みである。包括された項目は、実施しても入院料と別に算定できない。そのため、高額な検査を行うほど医療機関の負担が大きくなっていた。今回の改定では、造血器腫瘍又は類縁疾患を対象とする場合に限り、この検査を包括対象から除外した。除外の対象となる入院料は、救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料、小児入院医療管理料の5つである。これらの病棟では、当該検査に係る検査料と評価提供料を、入院料と別に算定できるようになった。抗RSウイルス薬ニルセビマブを小児科外来診療料から除外抗RSウイルス薬「ニルセビマブ」の投与当日は、小児科外来診療料の算定対象から除外された。これは、従来から同様に扱われてきた「パリビズマブ」と足並みをそろえる見直しである。小児科外来診療料とは、小児科の外来診療を包括的に評価する点数である。この点数は、検査や処置、投薬などをまとめて1日単位で算定する。ただし、高額な薬剤を用いる日には、包括では費用をまかないきれない場合がある。高額な薬剤を用いる日を包括の対象外とする扱いは、従来から「パリビズマブ」で行われてきた。パリビズマブは、RSウイルス感染症を予防する抗体製剤である。RSウイルスは、早産児や基礎疾患のある乳幼児で重症化しやすい呼吸器感染症を起こす。こうした高額な予防薬を投与する当日は、小児科外来診療料の対象から除外し、薬剤を別に算定できるようにしてきた。このパリビズマブと同じRSウイルス予防薬として、令和6年5月に「ニルセビマブ」が薬価収載された。ニルセビマブは、抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤に分類される。今回の改定では、このニルセビマブの投与当日も、パリビズマブと同様に小児科外来診療料の算定対象から除外した。あわせて、施設基準で定める対象薬剤も、「抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤」へと整理された。2つの見直しに共通する考え方2つの見直しは、高額な項目を包括から切り出し、出来高で算定できるようにする点で共通する。出来高とは、個々の医療サービスごとに算定する仕組みである。この仕組みなら、高額な検査・薬剤の費用が、そのまま診療報酬に反映される。この考え方の背景には、包括評価と費用のバランスがある。包括評価は、日常的な医療をまとめて評価し、算定を簡素にする利点がある。一方で、高額な項目まで包括に含めると、その費用が評価されず、必要な医療の提供が妨げられかねない。そこで今回の改定は、必要性が高く高額な項目を包括から除外し、両者のバランスを整えた。まとめ令和8年度診療報酬改定は、小児医療の高額な検査・薬剤を包括から除外する2つの見直しを行った。第一に、造血器腫瘍等を対象とするがんゲノムプロファイリング検査を、小児入院医療管理料や集中治療系の入院料の包括対象から除外した。第二に、抗RSウイルス薬ニルセビマブの投与当日を、小児科外来診療料の算定対象から除外した。いずれも、高額な項目を出来高で算定できるようにし、必要な小児医療を提供しやすくする見直しである。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
難病外来指導管理料2を新設|小児の成人移行期医療を評価【令和8年度改定】
慢性疾患を抱えた小児は、成人になっても継続的な医学管理を必要とします。しかし従来の診療報酬は、小児科から成人の診療科へ移った患者の医学管理を、十分に評価してきませんでした。本メルマガは、この課題に対応した令和8年度改定の「難病外来指導管理料」の見直しを解説します。今回の改定は、難病外来指導管理料を2つの区分に再編し、成人移行期の患者を新たに評価しました。従来の難病外来指導管理料は「難病外来指導管理料1」となり、点数は270点で変わりません。新設の「難病外来指導管理料2」は、小児科以外の診療科が270点を算定できる区分です。難病外来指導管理料2は、小児科から紹介された患者について、紹介後5年以内に限り算定できます。改定の背景 ── 成人移行期医療の「管理料の壁」今回の見直しは、成人移行期医療をめぐる「管理料の壁」を解消するものです。この壁は、小児科療養指導料と難病外来指導管理料が対象とする疾患の範囲が違うことから生じていました。成人移行期医療とは、小児期に発症した慢性疾患の患者を、小児科から成人の診療科へ引き継ぐ医療をいいます。医療の進歩により、長期の経過をたどる小児患者は増えています。そのため、成人医療へ円滑に移行する体制の整備が求められてきました。小児期の患者は、小児科で「小児科療養指導料」により管理されてきました。小児科療養指導料は、慢性疾患で生活指導が特に必要な15歳未満の患者を対象とし、270点を月1回算定できます。対象疾患には、脳性麻痺や先天性心疾患、小児慢性特定疾病などが含まれます。一方、成人の診療科では、慢性疾患の患者を「難病外来指導管理料」により管理します。難病外来指導管理料は、指定難病などを対象とし、270点を月1回算定できます。しかし対象疾患は指定難病などに限られ、小児科療養指導料より範囲が狭くなっています。この対象疾患の差は、疾病の数にはっきり表れています。令和7年4月1日時点で、小児慢性特定疾病は801疾病、指定難病は348疾病が指定されています。そのため小児科療養指導料で管理されていた患者が成人の診療科へ移ると、難病外来指導管理料の対象でない限り、紹介先は同等の管理料を算定できませんでした。改定の内容 ── 難病外来指導管理料の2区分化改定では、難病外来指導管理料を2つの区分に分けました。この2区分化により、成人移行期の患者が新たに算定対象へ加わりました。1つ目の区分は、従来の内容を引き継ぐ「難病外来指導管理料1」です。難病外来指導管理料1は、指定難病などを主病とする患者を対象とし、270点を月1回算定できます。この区分の要件は、従来の難病外来指導管理料から変わっていません。2つ目の区分は、今回新設された「難病外来指導管理料2」です。難病外来指導管理料2は、小児科以外の保険医療機関が算定でき、点数は1と同じ270点です。この区分により、成人移行期の患者を受け入れた診療科も、継続的な生活指導を評価されるようになりました。難病外来指導管理料2の算定要件難病外来指導管理料2の算定には、4つの要件を満たす必要があります。この4要件は、算定できる医療機関、対象となる患者、紹介の経路、算定できる期間を定めています。* 第1に、算定できる医療機関は、小児科を標榜する保険医療機関以外です。* 第2に、対象となる患者は、慢性疾患で生活指導が特に必要なものを主病とする、入院中以外の患者です。* 第3に、その患者は、小児科を標榜する他の保険医療機関から紹介を受けた患者に限られます。* 第4に、算定できる期間は、紹介を受けて初診を行った日から5年以内です。なお、難病外来指導管理料2も、必要な生活指導を継続して行った場合に、月1回に限り算定します。この5年以内という期間の限定は、成人の診療科への移行が定着するまでの継続を支えるものと考えられます。まとめ令和8年度改定は、難病外来指導管理料を2つの区分に再編しました。従来の内容は「難病外来指導管理料1」に引き継がれ、270点のまま変わりません。新設の「難病外来指導管理料2」は、小児科以外の診療科が、紹介後5年以内の患者について270点を算定できます。この見直しにより、成人移行期の小児は、良質な医療を切れ目なく受けられるようになります。用語メモ* 診療報酬:医療サービスに対して医療機関に支払われる対価。* 難病外来指導管理料:指定難病などを主病とする外来患者に、計画的な医学管理と療養上の指導を行った場合の評価(270点/月1回)。* 小児科療養指導料:小児科で、慢性疾患で生活指導が特に必要な15歳未満の患者に、必要な生活指導を継続して行った場合の評価(270点/月1回)。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】新生児特定集中治療室管理料2の施設基準緩和を解説
新生児集中治療室(NICU)を有する病院では、低出生体重児の入院数が減少している。この傾向が続けば、施設基準を満たせず、NICUを維持できない医療機関が現れかねない。そこで本稿では、令和8年度診療報酬改定における「新生児特定集中治療室管理料の見直し」を解説する。今回の見直しは、新生児特定集中治療室管理料2の実績基準を緩和する内容である。緩和の対象は、総合周産期母子医療センターまたは地域周産期母子医療センターとして整備された医療機関に限られる。従来、これらの医療機関を含むすべての施設は、低出生体重児の新規入院患者数が年30件以上でなければならなかった。改定後は、対象施設に限り、この基準が年25件以上に緩和される。用語のポイント:新生児特定集中治療室管理料とは 新生児特定集中治療室管理料は、NICUで新生児を管理した場合に医療機関へ支払われる診療報酬です。施設基準により「管理料1」と「管理料2」に分かれており、今回の見直しは「管理料2」の施設基準が対象です。見直しの背景 — 低出生体重児の入院数の減少今回の見直しは、低出生体重児の入院数が減少している現状を踏まえている。NICUを有する病院では、出生体重2,500グラム未満の新生児(低出生体重児)の入院数が減少傾向にある。この減少が続けば、実績基準を満たせない医療機関が生じる。基準を満たせない医療機関は、新生児特定集中治療室管理料2を算定できなくなる。算定できなくなれば、地域の周産期医療体制を維持することが難しくなる。そこで、周産期医療体制を適切に維持する観点から、実績基準の見直しが行われた。見直しの対象施設 — 周産期母子医療センター緩和の対象は、都道府県が整備する周産期母子医療センターに限られる。対象となる施設は、総合周産期母子医療センターと地域周産期母子医療センターの2種類である。これらのセンターは、「疾病・事業及び在宅医療に係る医療提供体制について」(令和5年3月31日付け医政地発0331第14号)に基づき、都道府県が整備している。いずれも、地域の周産期医療の中核を担う施設である。この中核施設に対象を絞る形で、実績基準の緩和が図られる。見直しの具体的内容 — 30件から25件への緩和見直しにより、対象施設の実績基準が30件以上から25件以上に緩和される。従来の基準では、直近1年間の低出生体重児の新規入院患者数が30件以上でなければならなかった。この基準は、単一の基準として、すべての施設に一律で適用されていた。改定後は、この基準が2つの選択肢に分かれる。1つ目の選択肢は、従来どおり、新規入院患者数が30件以上であることである。2つ目の選択肢は新設であり、対象施設に限り、新規入院患者数が25件以上であればよい。対象施設は、この2つの選択肢のいずれかを満たせばよい。まとめ今回の改定は、新生児特定集中治療室管理料2の実績基準を緩和する内容である。緩和の背景には、低出生体重児の入院数の減少がある。緩和の対象は、総合周産期母子医療センターと地域周産期母子医療センターに限られる。これらの施設は、低出生体重児の新規入院患者数が25件以上であれば、施設基準を満たせるようになる。この見直しにより、地域の周産期医療体制の維持が図られる。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定:母体・胎児集中治療室管理料の見直し3つのポイント
周産期医療では、母体・胎児集中治療室(MFICU)が、リスクの高い妊産婦と胎児を集中的に管理する。このMFICUを評価する診療報酬が、母体・胎児集中治療室管理料である。しかし現行の管理料は、医師配置の要件が地域の実情に合わず、周産期医療の体制構築を十分に評価できていない。そこで本記事は、令和8年度診療報酬改定における母体・胎児集中治療室管理料の見直しを解説する。今回の見直しは、母体・胎児集中治療室管理料の要件を3つの点で変更する。第一に、医師配置に係る要件を緩和する。第二に、母体搬送の受入件数や帝王切開の実施件数などの実績を、新たな要件とする。第三に、算定対象となる「母体・胎児集中治療室管理を要する状態」に「産科異常出血」を追加する。1. 医師配置要件の緩和第一の見直しは、母体・胎児集中治療室の医師配置に係る要件を緩和する。この緩和の背景には、オンコールでの対応により速やかに診察を開始できる現状がある。現行の医師配置要件は、2つの選択肢のいずれかを満たすことを求めている。1つ目の選択肢は、専任の医師が常時、治療室内に勤務することである。2つ目の選択肢は、産婦人科または産科の医師が常時2名以上、院内に勤務することである。今回の緩和は、この2つ目の選択肢を対象とする。具体的には、届出病床数が6床以下の医療機関に限り、2名以上の配置を1名以上に緩める。ただし1名以上への緩和には、条件がある。その条件は、別の産婦人科・産科医が緊急呼出し当番により、30分以内に当該治療室での診療を開始できる体制の確保である。2. 実績要件の導入第二の見直しは、母体搬送の受入や帝王切開などの実績を、新たな算定要件とする。この実績要件は、地域周産期医療関連施設からの母体救急搬送の受入や、緊急帝王切開術への対応の重要性を踏まえたものである。実績要件では、次の4つのうち3つ以上を満たすことを求める。* ① 救急用の自動車または救急医療用ヘリコプターによる妊産婦の搬送受入件数が、年間10件以上であること* ② 多胎妊娠の分娩件数が、年間10件以上であること* ③ 帝王切開術による分娩件数が、年間50件以上であること* ④ 分娩時の妊娠週数が22週以上34週未満である分娩件数が、年間10件以上であること3. 算定対象への産科異常出血の追加第三の見直しは、算定対象となる状態に「産科異常出血」を追加する。産科異常出血は、分娩前のリスク因子にかかわらず生じうる。このため産科異常出血は、その状態に応じて、産後からの母体・胎児集中治療室での管理が必要となる。産科異常出血の追加とあわせて、算定対象の範囲も広がる。現行の算定対象は、リスクの高い妊娠と認められる妊産婦であった。改定後は、この妊産婦に加えて、分娩時または分娩後に重篤な合併症を来した者も、算定対象に含める。4. 経過措置実績要件の導入には、既存の届出施設に配慮した経過措置を設ける。令和8年3月31日の時点で総合周産期特定集中治療室管理料を届け出ている治療室は、令和9年5月31日までの間に限り、実績要件を満たしているものとみなす。まとめ令和8年度改定は、母体・胎児集中治療室管理料の要件を3つの点で見直す。第一に、6床以下の施設で医師配置要件を緩和する。第二に、母体搬送や帝王切開などの実績を要件とする。第三に、算定対象に産科異常出血を追加する。これらの見直しは、地域の周産期医療の体制構築を適切に評価することを目指す。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|救急患者連携搬送料の見直し3つのポイントを解説
救急医療の現場では、高次の救急医療機関に患者が集中し、その負担が増しています。そのため、救急患者を適切な医療機関へ転院搬送し、搬送先で確実に受け入れる体制の強化が課題となっています。本稿では、この課題に対応する令和8年度診療報酬改定の「救急患者連携搬送料の見直し」を解説します。今回の見直しは、3つの柱で構成されます。第一に、患者を転院搬送する側の評価を引き上げ、救急自動車以外による搬送も評価の対象とします。第二に、搬送先の医療機関が患者を受け入れて入院させる場合の評価を新設します。第三に、30分を超える長時間の搬送に対する加算を新設します。救急患者連携搬送料とは何か救急患者連携搬送料は、高次の救急医療機関が救急患者を他の医療機関へ転院搬送した場合に算定する診療報酬です。この搬送料は、救急外来での初期診療後、連携する他の医療機関で入院医療を提供することが適当と判断された患者を対象とします。対象となる患者を、搬送側の医療機関が自院の医師・看護師・救急救命士の同乗のもとで搬送したときに算定できます。この搬送料のねらいは、高次救急医療機関の受入余力の確保です。救急外来を受診した患者のうち、より専門的でない入院医療で対応できる患者を早期に他院へ搬送すれば、高次救急医療機関は重症患者の受入に注力できます。今回の改定は、このねらいをさらに進めるために、搬送側・受入側の双方と搬送の実態に応じた評価を整えるものです。見直し1:搬送する側の評価引き上げと対象拡大1つ目の見直しは、救急患者を転院搬送する側の評価です。この評価は「救急患者連携搬送料1」として再編され、医師等が同乗する場合の点数引き上げと、救急自動車以外による搬送の評価対象化という2つの変更が加えられました。医師等が同乗する場合の評価は、入院前に搬送する患者について引き上げられました。具体的には、入院中の患者以外の患者を搬送する場合の点数が、現行の1,800点から2,400点へと600点引き上げられます。この引き上げにより、入院前の早期の転院搬送がより手厚く評価されます。医師等が同乗する場合(1のイ)の点数は、現行から改定後へ次のように変わります。* 入院中の患者以外の場合:1,800点 → 2,400点(600点の引き上げ)* 入院初日の患者の場合:1,200点(変更なし)* 入院2日目の患者の場合:800点(変更なし)* 入院3日目の患者の場合:600点(変更なし)救急自動車以外による搬送も、新たに評価の対象となりました。この評価は「救急患者連携搬送料1のロ(その他の場合)」として新設され、医師等が同乗しない搬送を対象とします。この場合、搬送側の医療機関は患者の搬送手段について調整を行った上で搬送する必要があります。点数は、医師等が同乗する場合の半分以下の水準に設定されています。その他の場合(1のロ)の点数は、次のとおり新設されます。* 入院中の患者以外の場合:1,000点* 入院初日の患者の場合:500点* 入院2日目の患者の場合:350点* 入院3日目の患者の場合:200点見直し2:搬送先の受入評価の新設2つ目の見直しは、搬送先の医療機関が患者を受け入れる場合の評価の新設です。この評価は「救急患者連携搬送料2」として設けられ、搬送側だけでなく受入側にも評価を及ぼす点が特徴です。救急患者連携搬送料2は、受入時の対応に応じて2つの区分に分かれます。1つ目の区分(2のイ)は、搬送側で「連携搬送料1のロ」を算定した患者を、受入側が自院の医師等を同乗させて自院へ搬送し入院させた場合で、800点を算定します。2つ目の区分(2のロ)は、搬送側で「連携搬送料1のイ又はロ」を算定した患者を受入側が入院させた場合で、200点を算定します。いずれの区分も、入院初日に限り算定できます。2つの区分の点数は、次のとおりです。* 2のイ(受入側の医師等が同乗して自院へ搬送し入院させた場合):800点* 2のロ(搬送された患者を入院させた場合):200点見直し3:長時間搬送の加算新設3つ目の見直しは、長時間の搬送に対する加算の新設です。この加算は、搬送先までの搬送時間が長くなる場合でも円滑な転院搬送を進めるために設けられました。長時間加算は、搬送に要した時間が30分を超えた場合に700点を加算します。この加算の対象は、医師・看護師・救急救命士が同乗する搬送に限られます。具体的には、搬送側の「連携搬送料1のイ」または受入側の「連携搬送料2のイ」を算定する場合が対象です。施設基準のポイントこれらの評価には、それぞれ施設基準が定められています。施設基準は、搬送側の連携搬送料1と受入側の連携搬送料2で内容が異なります。搬送側(連携搬送料1)の施設基準は、救急搬送の実績と連携体制の確保を求めます。具体的には、救急搬送について相当の実績を有すること、連携先とあらかじめ転院体制を協議していること、搬送先から診療情報の提供を受けられる体制を整えていること、搬送後の病状急変に備えた緊急診療提供体制を確保していることが要件です。受入側(連携搬送料2)の施設基準は、対象となる医療機関の範囲を絞り込んでいます。具体的には、特定機能病院、救命救急センターを有する医療機関、急性期総合体制加算を届け出た医療機関のいずれにも該当しない医療機関であることが要件です。加えて、連携先とあらかじめ転院体制を協議していることが求められます。この基準により、高次救急を担うこれらの医療機関に該当しない医療機関が、患者の受入側として評価の対象となります。まとめ令和8年度診療報酬改定では、救急患者連携搬送料が3つの柱で見直されました。搬送する側については評価を引き上げ、救急自動車以外による搬送も評価の対象としました。搬送先については、患者を受け入れて入院させる場合の評価を新設しました。さらに、30分を超える長時間の搬送に対する加算を新設しました。これらの見直しは、高次救急医療機関と他の医療機関との連携を強化し、救急患者の適切な転院搬送と受入を推進することをねらいとしています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】救急外来医学管理料の新設をわかりやすく解説
救急医療機関には、夜間や休日を含めて24時間、救急患者を受け入れる応需体制(患者をいつでも受け入れられる体制)が求められている。しかし従来の評価は、この24時間体制を支える人員・設備・検査体制を十分に反映していなかった。そこで令和8年度診療報酬改定は、救急外来医療の評価を大きく再編した。本稿は、この再編の全体像を、新設された救急外来医学管理料を中心に解説する。今回の再編は、24時間の救急外来提供体制を評価する救急外来医学管理料の新設が柱である。救急外来医学管理料は、救急搬送患者向けと夜間休日受診患者向けの2つの区分で構成される。各区分は、施設基準の充足度に応じて1から3の3段階に分かれる。あわせて、検査体制や医療DXを評価する加算が新たに設けられた。一方で、現行の救急搬送看護体制加算は廃止され、院内トリアージ実施料は体制加算へ組み替えられた。救急外来医学管理料の新設 ― 2つの区分救急外来医学管理料は、従来の夜間休日救急搬送医学管理料を見直して新設された点数である。この管理料は、患者の来院経路に応じて2つの区分に分かれる。1つは、救急車や救急医療用ヘリコプター等で搬送された患者を対象とする救急搬送医学管理料である。もう1つは、夜間休日に自ら受診した患者を対象とする夜間休日救急医学管理料である。救急搬送医学管理料は、救急車等で緊急に搬送された患者への医学管理を評価する。この区分の点数は、施設基準に応じて800点(1)、600点(2)、200点(3)の3段階に設定される。従来の夜間休日救急搬送医学管理料が一律600点であったのに対し、体制の手厚さを点数へ反映する仕組みへ改められた。夜間休日救急医学管理料は、救急車によらず夜間休日に救急外来を受診した患者への医学管理を評価する。この区分も、施設基準に応じて600点(1)、400点(2)、50点(3)の3段階に設定される。従来は搬送患者のみが対象であったのに対し、自ら受診した患者も評価の対象へ加えられた。施設基準に応じた3段階の評価救急外来医学管理料の点数は、施設基準の充足度に応じて1から3の3段階に分かれる。この3段階は、24時間の応需体制、救急搬送の実績、検査・処置の体制の厚さで区別される。段階が上がるほど、求められる人員・設備・実績の水準は高くなる。最も手厚い1の基準は、24時間途切れない診療体制と豊富な実績を求める。人員面では、救急外来診療の経験5年以上の医師2名以上を含む専任医師と、専任看護師の常時勤務が要件となる。検査面では、血液検査・CT・MRIを常時実施できる体制が求められる。実績面では、救急搬送件数が年間1,500件以上(一部地域は1,200件以上)と定められている。中間の2の基準は、1よりも緩やかな体制で算定できる。人員・検査面では、応需する時間帯の専任医師・看護師の勤務と、血液検査・CTの実施体制があればよい。実績面では、救急搬送件数が年間800件以上(一部地域は640件以上)とされる。最も基本的な3の基準は、救急病院等としての認定のみを求める。救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院又は救急診療所であれば、この段階を算定できる。なお、施設基準のうち「地域の救急医療に関する取組」の要件には、経過措置が設けられている。届出を行う保険医療機関は、令和8年12月31日までの間、この要件を満たしたものとみなされる。新設された加算と加算の整理今回の再編では、救急外来の体制や取組を評価する加算が見直された。救急外来医学管理料に上乗せする主な新設加算は、救急外来緊急検査対応加算、救急時医療情報取得加算、時間外救急搬送加算の3つである(このほか、次章の院内トリアージ実施体制加算も新設された)。一方で、現行の夜間休日救急搬送医学管理料にあった救急搬送看護体制加算(400点/200点)は廃止された。なお、精神科疾患患者等受入加算(400点)は変更なく存続する。救急外来緊急検査対応加算は、救急外来で緊急の検査や処置を行った場合を評価する。出血・凝固検査、血液化学検査、CT・MRI撮影などを実施した際に、施設基準に応じて300点(1)又は200点(2)を加算する。24時間の検査体制を点数へ反映する加算である。救急時医療情報取得加算は、医療DXを活用した診療情報の取得を評価する。救急外来医学管理料を算定する意識障害の患者に対し、救急時医療情報閲覧機能と電子処方箋システムで診療情報を取得した場合に、月1回50点を加算する。患者が自ら病歴を伝えられない救急の場面で、過去の診療情報を活用する狙いがある。時間外救急搬送加算は、救急搬送医学管理料を算定する時間帯に応じた評価である。土日祝の夜間は300点、土日祝以外の夜間は250点、土日祝の夜間以外は200点を加算する。時間外の搬送受入れの負担を点数へ反映する加算である。院内トリアージ実施料の見直し院内トリアージ実施料は、今回の改定で廃止された。従来は300点の独立した点数であったが、これが院内トリアージ実施体制加算50点として再編された。この体制加算は、夜間休日救急医学管理料に上乗せして算定する。院内トリアージ実施体制加算は、時間外・休日・深夜のトリアージ体制を評価する。専任の医師、又は救急医療の経験3年以上の専任看護師の配置などの施設基準を満たす保険医療機関で、算定できる。なお、この見直しは、地域連携小児夜間・休日診療料及び地域連携夜間・休日診療料についても同様に適用される。まとめ今回の再編は、24時間の救急外来提供体制を評価する救急外来医学管理料の新設が柱である。この管理料は、救急搬送と夜間休日の2区分に分かれ、施設基準に応じて1から3の3段階で評価される。あわせて、検査体制や医療DXを評価する加算が新設された。一方で、救急搬送看護体制加算は廃止され、院内トリアージ実施料は体制加算へ組み替えられた。救急外来の体制の厚さを点数へ反映する方向性が、今回の改定に表れている。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度診療報酬改定|発症早期リハビリと休日リハビリの新評価を徹底解説
リハビリテーションは、発症から早く始めるほど効果が高い。しかし現行の早期リハビリテーション加算は、入院直後の集中的な介入を十分に促せていなかった。そこで本稿では、令和8年度診療報酬改定が早期と休日のリハビリテーションをどう評価し直すかを解説する。今回の改定は、早期リハビリテーション加算の見直しと、休日リハビリテーション加算の新設という2つの柱からなる。早期リハビリテーション加算では、起算日が「入院した日」に変わり、点数にメリハリがつき、算定期間が14日へ短縮される。休日リハビリテーション加算は、土日祝のリハビリテーションを新たに評価する加算として設けられる。これら2つの見直しは、心大血管疾患や脳血管疾患等を含む合計5つのリハビリテーション料に適用される。早期リハビリテーション加算の3つの見直し早期リハビリテーション加算は、起算日・点数・算定期間の3点で見直される。いずれの見直しも、入院直後のより早いリハビリテーション介入を促すことをねらいとする。第一に、加算の起算日が「入院した日」へと変わる。現行の起算日は料によって異なり、心大血管疾患等では「発症等から7日目又は治療開始日のいずれか早いもの」、脳血管疾患等では「発症、手術又は急性増悪」を用いていた。改定後はいずれの料も「入院した日」に統一されるため、起算日の考え方が明確になる。なお、他の保険医療機関から転院してきた患者については、転院前の保険医療機関に入院した日を起算日とする。さらに脳血管疾患等では、入院中の患者以外の患者について退院前の入院日を起算日とする取扱いも加わる。第二に、加算の点数に早期ほど高くなるメリハリがつく。現行は期間を通じて一律1単位につき25点であった。改定後は入院した日から起算して3日目以内を1単位につき60点へ増点し、4日目以降を1単位につき25点とする。この点数設定により、入院直後の3日間に集中的なリハビリテーションを行う動機づけが強まる。第三に、加算を算定できる期間が14日へ短縮される。現行の算定期間は起算日から30日であった。改定後は入院した日から起算して14日目までを算定の限度とする。算定期間の短縮もまた、早期への重点化という今回の見直しの方向性を表している。3点の見直しを現行と改定後で整理すると、次のとおりである。起算日は、料により異なる起点(心大血管疾患等は発症等から7日目又は治療開始日の早い方)から、「入院した日」へ変わる。点数は、一律1単位25点から、3日目以内60点・4日目以降25点へ変わる。算定期間は、30日から14日へ短縮される。休日リハビリテーション加算の新設休日リハビリテーション加算は、土日祝のリハビリテーションを評価する加算として新設される。休日であっても平日と同様にリハビリテーションを提供する体制を後押しすることがねらいである。新設される休日リハビリテーション加算は、休日にリハビリテーションを行った場合に、1単位につき25点を所定点数に加算する。算定の対象は入院中の患者が基本であり、脳血管疾患等と運動器では一定の脳卒中退院患者も対象に含まれる。評価されるのは、土曜・日曜・祝日のリハビリテーションである。算定できる期間は、起算ルールが早期リハビリテーション加算とは異なる点に注意したい。心大血管疾患等では、発症、手術若しくは急性増悪から7日目又は治療開始日のいずれか早いものから起算して30日目までが限度となる。脳血管疾患等では、発症、手術又は急性増悪から30日目までが限度となる。いずれも、早期リハビリテーション加算の「入院した日から14日」とは別の期間設定である。対象となる5つのリハビリテーション料今回の見直しは、合計5つのリハビリテーション料に適用される。これらは休日加算の起算ルールの違いから、大きく2つのグループに分けられる。第一のグループは、心大血管疾患リハビリテーション料を基準とする3つの料である。具体的には、心大血管疾患リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料が該当する。これらは休日加算の起算日に「発症等から7日目又は治療開始日の早い方」を用いる。第二のグループは、脳血管疾患等リハビリテーション料を基準とする2つの料である。具体的には、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料が該当する。これらは休日加算の起算日に「発症、手術又は急性増悪」を用いる。まとめ令和8年度診療報酬改定は、発症早期と休日のリハビリテーションを2つの柱で評価し直す。早期リハビリテーション加算は、起算日を「入院した日」に変え、点数を早期ほど高くし、算定期間を14日へ短縮する。休日リハビリテーション加算は、土日祝のリハビリテーションを1単位25点で新たに評価する。これらの見直しは、心大血管疾患や脳血管疾患等を含む5つのリハビリテーション料に適用される。入院直後と休日のリハビリテーション体制を見直す機会として、各医療機関での確認をおすすめしたい。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
リンパ浮腫複合的治療料が最大500点へ|令和8年度改定で時間区分を新設
令和8年度診療報酬改定で、リンパ浮腫複合的治療料の評価が見直されます。この治療料は、現行では重症例と重症例以外の2区分で評価されています。今回の改定は、より実態に即した評価を行う観点から実施されます。そこで本稿では、見直される点数の内容を、改定案と現行を比較しながら解説します。今回の見直しは、時間区分の新設と点数の引き上げが柱です。まず、重症例には時間区分が設けられ、点数は最大500点に引き上げられます。次に、重症例以外の点数も、100点から150点に引き上げられます。これらの見直しは、いずれもより実態に即した評価を目的としています。重症例に時間区分を新設|最大500点へ重症例の評価は、治療時間に応じた区分へと細分化されます。現行では、重症例は一律200点で評価されています。改定後は、この評価が時間区分による段階的な評価へと改められます。具体的には、60分以上が500点、40分以上60分未満が350点と区分されます。この結果、治療時間に応じて点数が分かれることになります。時間区分の新設により、重症例の点数は現行から引き上げられます。60分以上の区分は、現行の200点から500点へと、2.5倍に引き上げられます。40分以上60分未満の区分は、新たに350点として設けられます。いずれの区分も、現行の200点を上回る点数です。重症例以外も100点から150点へ引き上げ重症例以外の点数も、引き上げられます。現行では、重症例以外(区分2)は100点で評価されています。改定後は、この100点が150点に引き上げられます。引き上げ幅は50点であり、現行点数の1.5倍にあたります。重症例以外の見直しは、時間区分を伴わない点で重症例と異なります。重症例では、治療時間に応じて点数が分かれます。一方、重症例以外では、時間区分を設けず、一律150点で評価されます。見直しの基本的な考え方今回の見直しは、より実態に即した評価という基本的な考え方に基づきます。改定の具体的な内容は、リンパ浮腫複合的治療料の点数の見直しです。重症例には時間区分が新設されます。重症例以外は点数が引き上げられます。まとめ|重症度と治療時間に応じた評価へ令和8年度改定では、リンパ浮腫複合的治療料が見直されます。重症例には時間区分が新設され、点数は最大500点に引き上げられます。重症例以外も、100点から150点へと引き上げられます。いずれの見直しも、より実態に即した評価を目的としています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】リハビリテーション総合計画評価料の見直しを徹底解説
リハビリテーションの現場では、患者ごとに複数の計画書を作成しなければなりません。この複数の計画書が、医療従事者の事務負担を重くしています。本稿では、令和8年度診療報酬改定における「リハビリテーション総合計画評価料の見直し」の内容を解説します。今回の見直しは、書類の簡素化を軸に3つの変更を行います。第1に、複数の計画書の様式を統一し、評価料に初回と2回目以降の区分を新設します。第2に、介護保険によるサービスの利用が必要と思われる患者への目標設定等支援・管理料を廃止します。第3に、この管理料を算定していない患者への減算規定を廃止します。1. 計画書様式の統一と評価料の区分新設計画書様式の統一と評価料の区分新設は、書類の簡素化に関わる変更です。複数の計画書の様式を統一し、作成の手間を減らします。あわせて評価料には、これまでなかった初回と2回目以降の区分を新たに設けます。リハビリテーション総合計画評価料1は、現行の一律300点から、初回300点・2回目以降240点に変わります。初回の点数は据え置かれ、2回目以降の点数だけが240点に下がります。つまり、2回目以降を算定する場合は、これまでより点数が低くなります。リハビリテーション総合計画評価料2も、同じ形で見直されます。現行の一律240点から、初回240点・2回目以降196点に変わります。評価料1と同様に、初回の点数は据え置かれ、2回目以降の点数だけが196点に下がります。評価料1と評価料2に共通するのは、初回が現行どおりで、2回目以降のみ点数が引き下げられる点です。この区分新設の理由は、資料には明示されていません。資料が示す見直しの趣旨は、あくまで「書類の簡素化」です。2. 目標設定等支援・管理料の廃止目標設定等支援・管理料は廃止されます。この管理料は、介護保険によるサービスの利用が必要と思われる患者に対し、リハビリの目標設定を支援するものでした。廃止の対象は、脳血管疾患等・廃用症候群・運動器の3つのリハビリテーション料です。廃止される管理料は、現行で初回250点・2回目以降100点が設定されていました。この管理料は、要介護被保険者等の患者に対し、3月に1回に限り算定できるものでした。今回の改定では、この区分そのものが削除され、これらの点数は算定できなくなります。3. 減算規定の廃止目標設定等支援・管理料を算定していない患者への減算規定も廃止されます。この減算規定は、管理料を算定しない場合に所定点数を100分の90に減らすものでした。管理料そのものが廃止されるため、減算規定も同時になくなります。現行の減算規定は、要介護被保険者等の患者を対象としていました。具体的には、発症・手術・急性増悪・最初の診断から60日を経過した後も引き続きリハビリを行う場合に適用されました。このとき過去3月以内に管理料を算定していなければ、所定点数が100分の90に減算される仕組みでした。なお、この減算規定の廃止は、脳血管疾患等・廃用症候群・運動器の3つのリハビリテーション料に共通して適用されます。まとめ今回の見直しは、書類の簡素化を軸に3つの変更を行いました。第1に、複数の計画書の様式を統一し、評価料に初回と2回目以降の区分を新設しました。第2に、介護保険によるサービスの利用が必要と思われる患者への目標設定等支援・管理料を廃止しました。第3に、この管理料を算定していない患者への減算規定を廃止しました。なお、2回目以降の評価料引き下げや管理料の廃止は、算定できる点数が減る変更でもあるため、現場では算定方法の確認が必要になります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|疾患別リハビリ料「離床なし訓練」は90%算定へ
令和8年度診療報酬改定で、疾患別リハビリテーション料が訓練内容に応じた評価へ見直されます。従来の点数体系は、離床を伴う訓練と離床を伴わない訓練を同じ点数で評価していました。本記事は、この見直しで新設される区分とその算定要件を解説します。今回の見直しでは、離床を伴わない個別療法を所定点数の90%で算定する区分が新設されます。対象は、ベッド上でポジショニングや拘縮の予防などの他動的な訓練のみを行う入院患者です。ただし、集中治療管理料などを算定する患者、15歳未満の小児、医師が特に認めた患者は対象から除かれます。この見直しは、心大血管・脳血管疾患等・廃用症候群・運動器・呼吸器の5つの疾患別リハビリテーション料すべてに適用されます。見直しの基本的な考え方今回の見直しは、より質の高いリハビリテーションを推進する観点から行われます。疾患別リハビリテーション料は、これまで訓練内容の違いを点数に反映してきませんでした。そこで本改定では、訓練内容に応じた評価へと見直されます。新設される区分の内容(90%算定)新設される区分では、離床を伴わない個別療法を所定点数の90%で算定します。この区分の算定には、20分以上の個別療法であることが求められます。算定の上限は、患者1人につき1日2単位までです。なお、この1日2単位の上限は、通則第4号の規定にかかわらず適用されます。対象となる患者この90%算定の対象は、ベッド上で他動的な訓練のみを行う入院患者です。この患者とは、個別療法を実施する日に、ベッド上から移動せずに訓練を行う患者を指します。訓練の内容は、ポジショニングまたは拘縮の予防などを主たる目的とした他動的な訓練に限られます。対象から除外される患者ただし、一定の患者は、この90%算定の対象から除外されます。除外される患者は、次の3つに分類されます。第1は、集中治療管理料または早期リハビリテーション加算などを算定する患者です。具体的には、救命救急入院料や特定集中治療室管理料などの管理料を算定する患者が該当します。また、各疾患別リハビリテーション料の早期リハビリテーション加算、初期加算、急性期リハビリテーション加算のいずれかを算定する患者も該当します。第2は、疾患および状態により、ベッド上からの移動が困難な15歳未満の小児患者です。この患者は、年齢と移動の困難さの両方を満たす場合に除外されます。第3は、医師が3単位以上の個別療法を特に必要と認めた患者です。この患者は、疾患および状態により、ベッド上からの移動が困難であることが前提となります。あわせて、移動が困難な医学的理由、長時間のリハビリテーションが必要な理由、訓練内容を、診療録および診療報酬明細書の摘要欄に記載することが求められます。適用される疾患別リハの範囲この見直しは、5つの疾患別リハビリテーション料すべてに適用されます。具体的には、心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料が対象です。資料では心大血管疾患リハビリテーション料を例に示されますが、他の4区分についても同様に取り扱われます。まとめ令和8年度改定では、疾患別リハビリテーション料が訓練内容に応じた評価へ見直されます。新設される区分では、離床を伴わない他動的な訓練のみの個別療法を、所定点数の90%で算定します。一方、集中治療管理料などを算定する患者、移動が困難な15歳未満の小児、医師が特に認めた患者は、この区分の対象から除外されます。この見直しは、5つの疾患別リハビリテーション料すべてに適用されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|リハビリ算定単位の上限緩和、対象患者を見直し
疾患別リハビリテーション料には、1日に算定できる単位数の上限がある。この上限は、原則として患者1人につき1日6単位である。ただし、別表第九の三に定める患者に限り、1日9単位まで上限が緩和される。この緩和の対象には、これまで運動器リハビリテーション料(Ⅰ)を算定する入院患者も含まれていた。しかし、適切な算定を推進する観点から、対象範囲の見直しが求められていた。そこで令和8年度診療報酬改定は、上限緩和の対象患者を見直す。今回の見直しは、対象患者を2つの方向で変更する。第1に、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)を算定する入院患者を、緩和の対象から除外する。第2に、脳血管疾患等の患者について、緩和が認められる60日間の起算日を明確化する。一方、回復期リハビリテーション病棟入院料等を算定する患者は、これまでどおり緩和の対象である。以下、上限緩和の仕組みと2つの見直し点を順に説明する。上限緩和とは|1日9単位までのリハビリを認める仕組み上限緩和とは、1日に算定できるリハビリテーションの単位数を、通常より多く認める仕組みである。疾患別リハビリテーション料は、原則として患者1人につき1日6単位までしか算定できない。しかし別表第九の三に該当する患者は、この上限が緩和される。緩和された患者は、1日9単位まで算定できる。つまり別表第九の三は、手厚いリハビリを認める対象患者の一覧表である。この一覧表には、3つの区分の患者が並ぶ。第1の区分は、回復期リハビリテーション病棟入院料等を算定する患者である。第2の区分は、脳血管疾患等の患者のうち、一定期間内のものである。第3の区分は、早期歩行やADL自立を目的としてリハビリ料(Ⅰ)を算定する入院患者である。今回の改定は、このうち第2と第3の区分を見直す。見直し①|運動器リハビリの入院患者を緩和対象から除外第1の見直しは、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)を算定する入院患者を、緩和の対象から除外する。第3の区分は、早期歩行やADL自立を目的とする入院患者を緩和の対象としている。この区分には、現行では5種類のリハビリ料(Ⅰ)が並んでいた。改定後は、このうち運動器リハビリテーション料(Ⅰ)が削除される。削除の結果、第3の区分で緩和の対象となるリハビリ料は4種類になる。現行で対象だったのは、心大血管疾患、脳血管疾患等、廃用症候群、運動器、呼吸器の5つのリハビリ料(Ⅰ)である。改定後に対象として残るのは、運動器を除いた4つである。具体的には、心大血管疾患、脳血管疾患等、廃用症候群、呼吸器のリハビリ料(Ⅰ)が残る。運動器リハビリの入院患者は、この区分を通じた1日9単位までの算定ができなくなる。この除外は、運動器リハビリの算定を、より適切な範囲に絞る見直しである。見直し②|脳血管疾患等の患者の起算日を明確化第2の見直しは、脳血管疾患等の患者について、緩和が認められる期間の起算日を明確化する。第2の区分は、脳血管疾患等の患者のうち一定期間内のものを緩和の対象としている。この期間は、現行では「発症後六十日以内」と定められていた。しかし、何を起点に60日を数えるかが、必ずしも明確ではなかった。そこで改定後は、起算日を3つに具体化する。新たな規定は「発症日、手術日又は急性増悪の日から六十日以内」である。つまり起算日は、発症日に加え、手術日と急性増悪の日も含まれる。この明確化により、手術後や急性増悪後の患者でも、起算日を判断しやすくなる。変わらない点と実務への影響3区分のうち、第1の区分は今回の改定で変わらない。第1の区分は、回復期リハビリテーション病棟入院料又は特定機能病院リハビリテーション病棟入院料を算定する患者である。ただし、この区分では運動器リハビリテーション料を算定する患者が、もともと除かれている。この除外規定は、現行のまま維持される。実務では、運動器リハビリの入院患者を扱う医療機関が、影響を受けやすい。これらの医療機関は、第3の区分を通じた1日9単位の算定ができなくなる。一方、脳血管疾患等の患者を扱う医療機関は、起算日の判断基準を確認する必要がある。施行までに、自院の対象患者を区分ごとに整理しておくとよい。まとめ|2つの見直しで緩和対象を適正化令和8年度診療報酬改定は、リハビリ算定単位数の上限緩和について、対象患者を2点で見直す。第1に、運動器リハビリテーション料(Ⅰ)を算定する入院患者を、緩和の対象から除外する。第2に、脳血管疾患等の患者について、緩和が認められる期間の起算日を明確化する。これらの見直しは、適切な疾患別リハビリテーション料の算定を推進するものである。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|医療機関外リハビリの上限単位数見直しを徹底解説
生活機能の回復には、実際の生活場面に近い環境でのリハビリテーションが効果的です。しかし従来、医療機関外で行う疾患別リハビリテーションは、1日3単位までしか疾患別リハビリとみなすことができませんでした。この上限が、より集中的な取組を行ううえでの制約となる場合がありました。本稿では、令和8年度診療報酬改定における「医療機関外における疾患別リハビリテーション料の上限単位数の見直し」の内容を、初心者の方にも分かりやすく解説します。今回の改定では、医療機関外での疾患別リハビリテーションの上限を、一連の入院において合計3単位まで上乗せできるよう見直しました。従来からの「1日3単位まで」という枠は、引き続き維持されます。この枠を超える必要がある場合に、入院期間全体で合計3単位(厚生労働大臣が定める患者は6単位)を追加で算定できます。算定にあたっては、常時の付き添いや搬送体制の確保など、安全への配慮が引き続き求められます。改定の背景:質の高い生活機能の回復を後押し今回の見直しは、より質の高い生活機能の回復を後押しすることを狙いとしています。リハビリテーションは、患者が日常生活へ円滑に戻ることを目的とする取組です。この目的を達成するには、医療機関の中だけでなく、実際の生活場面に近い環境での訓練が効果を発揮します。たとえば、自宅周辺の道路を歩く、店舗で買い物をするといった訓練は、退院後の生活を見据えた実践的なリハビリにつながります。この医療機関外でのリハビリは、従来、1日3単位までという上限が設けられていました。1日3単位までであれば、医療機関の外で行った訓練も疾患別リハビリテーションとみなすことができました。しかし、患者の状態によっては、1日3単位を超えて医療機関外での訓練が必要となる場面もあります。この上限が、集中的な生活機能回復の妨げとなる場合がありました。こうした課題を踏まえ、今回の改定で上限単位数が見直されることになりました。改定の具体的内容:一連の入院で合計3単位を上乗せ改定では、1日3単位を超える分を、一連の入院において合計3単位まで上乗せできるようになりました。従来からの「1日3単位まで」という枠は、そのまま維持されます。この枠を超えて医療機関外でリハビリを実施する必要がある場合に、入院期間全体を通じて合計3単位を追加で算定できる仕組みです。さらに、厚生労働大臣が定める患者(特掲診療料の施設基準等別表第九の三に掲げる患者)については、上乗せの上限が合計6単位となります。現行と改定後の違いは、次のとおりです。1日あたりの上限は、現行・改定後ともに3単位までで変わりません。この1日3単位を超える必要がある場合、現行では超えた分を算定できませんでした。改定後は、超えた分を一連の入院において合計3単位まで上乗せして算定できます。さらに、厚生労働大臣が定める患者については、改定後は一連の入院において合計6単位まで上乗せできます。ここでいう「厚生労働大臣が定める患者」とは、別表第九の三に掲げられた患者を指します。これらの患者は、より手厚いリハビリテーションを必要とする状態にあると位置づけられています。そのため、医療機関外での上乗せ単位数も、合計6単位とより多く認められています。算定の要件と留意点:安全への配慮は引き続き必須上乗せ算定にあたっても、従来同様の安全への配慮が引き続き必要です。医療機関外でのリハビリを疾患別リハビリとみなすには、所定の要件((1)から(4)まで)をすべて満たさなければなりません。この要件は、今回の上乗せ算定においても変わりなく適用されます。安全への配慮として、まず常時の付き添いが求められます。医療機関外でリハビリを実施する際には、訓練場所との往復を含め、常時従事者が付き添う必要があります。この付き添いにあわせて、緊急時に速やかに医療機関へ連絡・搬送できる体制を確保しなければなりません。こうした体制づくりにより、患者の安全に十分配慮することが求められます。なお、往復に要した時間は、リハビリテーションの実施時間には含まれません。訓練の前後において、訓練場所との往復に要した時間は、実施時間の対象外となります。算定の対象となるのは、あくまで実際にリハビリを行った時間に限られます。この点は、単位数を数えるうえで注意が必要です。まとめ:医療機関外リハビリの上限が柔軟に今回の改定は、より質の高い生活機能の回復を後押しするための見直しです。従来の「1日3単位まで」という枠は維持しつつ、これを超える分を一連の入院で合計3単位(厚生労働大臣が定める患者は6単位)まで上乗せできるようになりました。上乗せ算定にあたっては、常時の付き添いや連絡・搬送体制の確保など、安全への配慮が引き続き必須となります。医療機関外でのリハビリをより柔軟に活用し、患者の生活機能の回復につなげていくことが期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】退院時リハビリテーション指導料の対象患者が限定に|算定要件のポイント解説
令和8年度診療報酬改定では、退院時リハビリテーション指導料の算定要件が見直されました。現行の要件では、対象患者が限定されていません。今回の改定は、退院後の在宅生活に向けた訓練を指導するという本来の目的を踏まえ、適切な患者への指導を推進する観点から行われました。本記事は、この算定要件の見直しについて、その背景から対象となる算定項目までを整理して解説します。今回の見直しの要点は、対象患者を入院中にリハビリ関連の点数を算定した患者に限定したことです。見直しの狙いは、退院時リハビリテーション指導料を本来の目的に沿って適切な患者へ提供することにあります。対象患者は、入院中に疾患別リハビリテーション料等を算定した患者に限られます。対象となる算定項目には、リハビリ・栄養・口腔連携の加算、早期離床・リハビリテーション加算、疾患別リハビリテーションが含まれます。見直しの狙いは制度の目的に沿った算定の徹底今回の見直しは、退院時リハビリテーション指導料を本来の目的に沿って算定するために行われました。退院時リハビリテーション指導料とは、退院後の在宅生活に向けた訓練の指導を評価する点数です。この指導の対象は、基本的動作能力、応用的動作能力、社会的適応能力の回復を図る訓練です。この指導は、入院中にリハビリテーションを受けた患者にこそ意味を持ちます。退院後の訓練の指導は、入院中のリハビリテーションの内容を踏まえてはじめて効果を発揮するためです。しかし現行の要件では、対象患者が限定されていません。今回の見直しは、本来の目的に沿った適切な患者への指導を推進するために行われました。改定の要点は対象患者を「リハビリを算定した患者」に限定したこと今回の改定では、対象患者を入院中にリハビリ関連の点数を算定した患者に限定しました。限定の対象となるのは、当該保険医療機関での入院中に、疾患別リハビリテーション料等を算定した患者です。この限定により、入院中にリハビリテーションを受けていない患者は、退院時リハビリテーション指導料の対象から外れます。一方で、指導の内容そのものは現行から変わりません。算定の対象となる指導は、これまでどおり在宅での動作能力や社会的適応能力の回復を図る訓練の指導です。同一日に退院時共同指導料2を別に算定できない取扱いも、現行のまま維持されます。今回変わったのは、指導の内容ではなく、対象となる患者の条件だけです。対象患者の条件となる算定項目は3つのグループに整理できる対象患者の条件となる算定項目は、大きく3つのグループに整理できます。いずれかの項目を入院中に算定した患者が、退院時リハビリテーション指導料の対象となります。以下では、3つのグループを順に確認します。第1のグループは、リハビリテーション・栄養・口腔連携の加算です。具体的には、A233のリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算と、A304注10のリハビリテーション・栄養・口腔連携加算が該当します。第2のグループは、早期離床・リハビリテーション加算です。具体的には、A301注4、A301-2注3、A301-3注3、A301-4注3の各加算が該当します。第3のグループは、疾患別リハビリテーションです。具体的には、第7部リハビリテーションの第1節の各区分のいずれかが該当します。まとめ令和8年度改定では、退院時リハビリテーション指導料の対象患者が見直されました。見直しの狙いは、制度の目的に沿った適切な患者への指導の推進です。対象患者は、入院中に疾患別リハビリテーション料等を算定した患者に限定されました。実務では、対象となる3つのグループの算定項目を確認し、退院時の算定漏れや過誤を防ぐことが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定 在宅療養指導料の見直し|情報通信機器による指導を新設
令和8年度診療報酬改定は、様々な場面におけるオンライン診療の推進を重点課題としている。しかし在宅療養指導料は、これまで情報通信機器を用いた指導を評価してこなかった。本稿は、在宅療養指導料に情報通信機器による指導を新設する見直しを解説する。今回の見直しは、在宅療養指導料に情報通信機器を用いた指導の評価を新設するものである。在宅療養指導料は、初回と2回目以降に区分される。2回目以降の情報通信機器による指導は、148点で新たに評価される。情報通信機器による指導の対象は、在宅自己注射指導管理料を算定する患者と、退院後1月以内の慢性心不全の患者に限られる。1. 見直しの背景と目的今回の見直しは、患者のセルフケア支援の充実と負担軽減を目的とする。在宅療養指導料は、医師の指示に基づき保健師・助産師・看護師が在宅療養上必要な指導を行った場合に算定する。この指導は、これまで対面のみを評価対象としてきた。一方、令和8年度改定は、外来や在宅医療など様々な場面でオンライン診療の推進を進めている。そこで在宅療養指導料についても、対面と情報通信機器を組み合わせた指導を適切に推進する見直しが行われる。組み合わせた指導は、患者のセルフケアを継続的に支援する。さらに、通院に伴う患者の負担も軽減する。2. 新設される点数体系在宅療養指導料は、初回と2回目以降の3区分に再編される。現行の在宅療養指導料は、170点の一本立てである。改定後は、初回(イ)と2回目以降(ロ)に区分される。初回(イ)は、対面で行った場合の170点である。2回目以降(ロ)は、対面と情報通信機器の2つに分かれる。2回目以降の対面(ロ(1))は、170点である。2回目以降の情報通信機器(ロ(2))は、148点である。この148点が、今回新設される評価である。3. 情報通信機器による指導の対象患者情報通信機器による指導は、2種類の患者に対象が限られる。在宅療養指導料そのものは、在宅療養指導管理料を受ける患者など、幅広い在宅療養患者を対象とする。これに対し、情報通信機器による指導(ロ(2))の対象は、次の2種類に限定される。1つは、在宅自己注射指導管理料(C101)を算定している患者である。もう1つは、退院後1月以内の慢性心不全の患者である。この2種類以外の患者は、2回目以降も対面での指導が必要となる。4. 算定上の留意点情報通信機器による指導には、算定回数の制限がある。在宅療養指導料は、患者1人につき月1回を原則として算定する。ただし初回(イ)を算定する月は、初回(イ)と2回目以降(ロ)を合算して月2回まで算定できる。情報通信機器による指導(ロ(2))も、この月1回の枠内で算定する。5. まとめ今回の見直しは、在宅療養指導料に情報通信機器による指導を新設するものである。在宅療養指導料は、初回(170点)と2回目以降(対面170点・情報通信機器148点)に再編される。情報通信機器による指導の対象は、在宅自己注射指導管理料の算定患者と、退院後1月以内の慢性心不全の患者に限られる。この見直しにより、対面とオンラインを組み合わせた在宅療養指導が推進される。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度診療報酬改定】情報通信機器を用いた医学管理等の新評価を解説
令和8年度診療報酬改定は、外来や在宅医療など様々な場面でオンライン診療の推進を進めています。しかし、在宅振戦等刺激装置治療指導管理料とプログラム医療機器等指導管理料には、これまで情報通信機器を用いた場合の評価がありませんでした。本稿は、この2つの管理料に新設された情報通信機器を用いた場合の評価を、背景と算定要件に分けて解説します。今回の改定では、2つの管理料に情報通信機器を用いた場合の評価が新たに設けられました。在宅振戦等刺激装置治療指導管理料は、情報通信機器を用いた場合に所定点数に代えて705点を算定できます。プログラム医療機器等指導管理料は、情報通信機器を用いた場合に所定点数に代えて78点を算定できます。いずれの管理料も、情報通信機器を用いた診療の体制を整え、施設基準を地方厚生局長等に届け出る必要があります。在宅振戦等刺激装置治療指導管理料の新設(705点)在宅振戦等刺激装置治療指導管理料には、情報通信機器を用いた場合の評価として705点が新設されました。在宅振戦等刺激装置治療指導管理料は、振戦などの不随意運動症に対して脳深部刺激療法(DBS)を受ける患者を対象とします。DBSは、患者の体内に刺激装置を植え込み、その刺激の設定を医師が定期的に調整する治療です。この調整は、これまで患者が医療機関へ来院し、対面で行う必要がありました。来院による調整を変えたのが、DBSの遠隔プログラミングです。遠隔プログラミングは、インターネット回線を介して刺激の設定を遠隔から変更する技術を指します。この技術に対応するプログラム医療機器は、令和4年11月に薬事承認されました。海外の臨床試験では、遠隔プログラミングの有用性と安全性が示されています。さらに、日本定位・機能神経外科学会が「脳深部刺激療法(DBS)における遠隔プログラミングの手引き」を作成し、対面診療と遠隔プログラミングを適切に組み合わせる方法を示しました。こうした有用性と手引きを踏まえ、情報通信機器を用いた場合の評価が新設されました。具体的には、施設基準を届け出た保険医療機関が、当該指導管理を情報通信機器を用いて行った場合に、所定点数に代えて705点を算定できます。プログラム医療機器等指導管理料の新設(78点)プログラム医療機器等指導管理料には、情報通信機器を用いた場合の評価として78点が新設されました。プログラム医療機器等指導管理料は、患者自らが使用する治療用アプリ等の指導管理を月1回評価する管理料です。対象となるアプリには、ニコチン依存症治療補助アプリや高血圧症治療補助アプリがあります。所定点数は90点です。今回の新設は、併算定する管理料との整合性を踏まえています。プログラム医療機器等指導管理料は、ニコチン依存症管理料や生活習慣病管理料(Ⅱ)と併せて算定できます。これらの併算定する管理料には、すでに情報通信機器を用いた場合の規定がありました。一方、プログラム医療機器等指導管理料には、この規定がありませんでした。この規定の不整合を踏まえ、情報通信機器を用いた場合の評価が新設されました。具体的には、施設基準を届け出た保険医療機関が、当該医学管理を情報通信機器を用いて行った場合に、所定点数に代えて78点を算定できます。算定に必要な施設基準と届出いずれの管理料も、情報通信機器を用いた場合の評価を算定するには、施設基準を満たして届け出る必要があります。両管理料に共通する施設基準は、情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されていることです。この体制を整えた上で、地方厚生局長等に届け出ます。プログラム医療機器等指導管理料は、この共通基準に加えて、もう一つの施設基準を満たす必要があります。それは、プログラム医療機器等の指導管理を行うにつき十分な体制が整備されていることです。つまり、従来からの指導管理の体制と、新たな情報通信機器の体制という2つの体制を備える必要があります。まとめ令和8年度改定は、オンライン診療の推進の一環として、2つの管理料に情報通信機器を用いた場合の評価を新設しました。在宅振戦等刺激装置治療指導管理料は所定点数に代えて705点、プログラム医療機器等指導管理料は所定点数に代えて78点を算定できます。いずれの管理料も、情報通信機器を用いた診療の体制を整え、施設基準を届け出ることが算定の前提となります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|外来栄養食事指導料の見直しを徹底解説
令和8年度診療報酬改定では、情報通信機器等を用いた外来栄養食事指導料が見直されます。外来栄養食事指導料とは、管理栄養士が患者へ食事指導を行ったときに医療機関へ支払われる診療報酬です。この診療報酬では、従来、情報通信機器や電話による指導の評価と算定要件に課題が残されていました。本稿は、その見直しの内容を初心者にもわかりやすく整理します。今回の見直しは、2つの柱で構成されます。第1の柱は、情報通信機器又は電話による指導の評価の見直しです。第2の柱は、情報通信機器による指導のみでも算定できる要件の明確化です。以下では、2つの柱を順に解説します。第1の柱:情報通信機器又は電話による指導の評価を見直し第1の柱は、情報通信機器又は電話による指導の評価の見直しです。見直しの中心は、2回目以降の追加的指導に対する新区分の新設です。この新設にあわせて、電話による指導の位置づけも変わります。新区分は、2回目以降に情報通信機器又は電話で追加的な指導を行った場合を評価します。点数は、外来栄養食事指導料1で50点、外来栄養食事指導料2で45点です。改定案の点数を区分ごとに整理すると、次のとおりです。【外来栄養食事指導料1】(保険医療機関の管理栄養士が指導する場合) ・初回:対面 260点/情報通信機器 235点 ・2回目以降:対面 200点/情報通信機器 180点 ・2回目以降の追加的指導(新設):50点【外来栄養食事指導料2】(診療所が当該保険医療機関以外の管理栄養士に依頼して指導する場合) ・初回:対面 250点/情報通信機器 225点 ・2回目以降:対面 190点/情報通信機器 170点 ・2回目以降の追加的指導(新設):45点新区分の追加的指導は、初回の指導を前提として実施します。まず、管理栄養士が対面又は情報通信機器で初回の指導を行います。そのうえで、2回目以降に情報通信機器又は電話で追加的な指導を行ったときに、新区分を算定できます。この追加的指導には指導時間の要件がなく、必要な指導が行われれば時間の長短は問いません。新区分の追加的指導には、算定回数と併算定に制限があります。算定回数は、月1回までです。併算定については、同一月に2回目以降の通常の指導(対面又は情報通信機器による指導)を算定した場合、追加的指導を算定できません。電話による指導の位置づけは、今回の見直しで変わります。従来は、電話による指導も「情報通信機器等を用いた場合」の区分として算定できました。改定後は、この区分が「情報通信機器を用いた場合」へ改められ、情報通信機器による指導に限定されます。電話による指導は、新設された追加的指導の区分でのみ評価されます。第2の柱:情報通信機器による指導のみで算定可能とする要件の明確化第2の柱は、情報通信機器による指導のみでも算定できる要件の明確化です。明確化の対象は、事前に作成する指導計画と、対面指導が必須となる場面の2点です。指導計画の作成要件は、いずれか一方の計画でも算定可能であると明確化されます。従来は、対面指導と情報通信機器による指導を組み合わせた計画の作成が求められていました。改定後は、組み合わせ型に加えて、対面のみ又は情報通信機器のみの計画でも要件を満たします。この明確化により、情報通信機器による指導のみで完結する外来栄養食事指導が算定可能となります。退院した患者については、初回から情報通信機器による指導を実施できます。この場合、当該指導までの間に指導計画を作成します。対面指導が必須となる場面は、同日に栄養食事指導を行う場合へ限定されます。従来は、外来受診した場合に必ず対面指導が求められていました。改定後は、外来受診と同日に外来栄養食事指導を実施する場合に限り、対面指導が必須となります。この限定により、外来受診日以外の情報通信機器による指導が行いやすくなります。まとめ:2つの柱でオンライン栄養指導を推進令和8年度改定の外来栄養食事指導料は、2つの柱で見直されます。第1の柱は、情報通信機器又は電話による指導の評価の見直しです。2回目以降の追加的指導に新区分(50点・45点)が新設され、電話による指導はこの新区分で評価されます。第2の柱は、情報通信機器による指導のみで算定できる要件の明確化です。指導計画はいずれか一方の作成でもよく、対面が必須となるのは同日に指導する場合に限られます。これらの見直しは、情報通信機器等を用いた外来栄養食事指導の推進を目的としています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
遠隔連携診療料の評価拡大とは|令和8年度改定で対象疾患・場面が大幅拡大
かかりつけ医と専門医をオンラインでつなぐ「D to P with D」が、専門医療へのアクセスを支える手段として期待されている。しかし、その評価である遠隔連携診療料は、これまで難病とてんかんの外来診療に対象が限られていた。本記事では、令和8年度診療報酬改定で行われた遠隔連携診療料の3つの拡大を、初めて学ぶ方にもわかるように解説する。令和8年度改定では、遠隔連携診療料が対象疾患と算定場面の両面で大幅に拡大された。第一に、外来診療で対象疾患に希少がんや医療的ケア児(者)などが追加された。第二に、訪問診療における算定が新たに設けられた。第三に、入院診療における算定が新たに設けられた。あわせて点数も3つの場面それぞれで900点に見直された。遠隔連携診療料とは|かかりつけ医と専門医をつなぐ「D to P with D」遠隔連携診療料は、患者のそばにいるかかりつけ医を、専門医とオンラインでつなぐ評価である。この仕組みは「D to P with D」と呼ばれる。ここでは、D to P with Dの意味と、改定前の算定の枠組みを順に説明する。D to P with Dとは、患者(Patient)が医師(Doctor)に付き添われながら、別の医師(Doctor)の診療を受ける形のオンライン診療である。この形では、患者の近くにいるかかりつけ医が、専門的な診療を行う他の医療機関の医師とビデオ通話でつながる。これにより、患者は遠方の専門医療機関まで足を運ばなくても、専門医の診療を受けられる。改定前の遠隔連携診療料は、対象も場面も限られていた。対象疾患は、指定難病とてんかんの2つに限られていた。算定場面は外来診療のみで、点数は診断を目的とする場合が750点、その他の場合が500点であった。いずれの場合も、算定は3月に1回までに限られていた。拡大1:外来診療の対象疾患が広がった1つ目の拡大は、外来診療における対象疾患の追加である。改定前は指定難病とてんかんのみが対象であったが、改定後は対象疾患が大きく広がった。あわせて、点数も従来の枠組みから900点へと見直された。外来診療の対象疾患には、希少がんと医療的ケア児(者)が新たに加わった。希少がんの患者は、診断を目的とする場合には疑いの段階の患者も含まれる。医療的ケア児(者)は、日常的に医療的なケアを必要とする子どもや成人を指す。これらに加え、小児慢性特定疾病の患者も対象に追加された。人口の少ない地域では、さらに3つの疾患が対象に加わった。具体的には、治療中の悪性腫瘍、治療中の膠原病、慢性維持透析の3つである。これらは、対象地域に所在する医療機関を受診した患者に限って算定できる。専門医が不足しがちな地域でも、オンラインで専門的な診療を受けられるようにする狙いがある。点数は、3つの算定場面に共通して900点に見直された。改定前は「診断目的750点・その他500点」と目的別に分かれていたが、改定後は「外来・訪問・入院」と場面別の区分に整理された。外来診療の場合は、このうち900点を3月に1回まで算定する。拡大2:訪問診療での算定が新設された2つ目の拡大は、訪問診療における算定の新設である。改定前は外来診療しか算定できなかったが、改定後は在宅で療養する患者にも対象が広がった。これにより、通院が困難な患者も自宅で専門医の診療を受けられるようになる。訪問診療の対象は、在宅で療養し通院が困難な患者のうち、次の3つに該当する者である。1つ目は、主治医の医療機関が掲げていない診療科で、その診療科の医師でなければ難しい診療を要する者である。2つ目は、医療的ケア児(者)である。3つ目は、外来緩和ケア管理料の対象患者である。訪問診療での算定は、主治医の求めを受けて行う点が特徴である。主治医が計画的な医学管理のもとで訪問して診療を行う際に、専門医とビデオ通話でつなぐ。この訪問診療の場合も、900点を3月に1回まで算定する。拡大3:入院診療での算定が新設された3つ目の拡大は、入院診療における算定の新設である。訪問診療と同じく、改定前にはなかった算定場面が新たに設けられた。これにより、入院中の患者も他の医療機関の専門医による診療(対診)をオンラインで受けられるようになる。入院診療の対象は、入院中の患者のうち、次の5つに該当する者である。1つ目は指定難病の患者、2つ目は希少がんの患者、3つ目は小児慢性特定疾病医療支援の対象患者である。4つ目は臓器移植の希望者として登録された患者、5つ目は当該医療機関が掲げていない診療科で、その診療科の医師でなければ難しい診療を要する者である。入院診療での算定は、入院中にビデオ通話で専門医と連携して行う。入院先の医療機関が事前に専門医へ診療情報を提供したうえで、入院中の患者の治療管理を目的として連携する。この入院診療の場合も、900点を3月に1回まで算定する。算定にあたって共通する要件3つの算定場面には、共通する要件がある。場面ごとに対象疾患や点数は異なるが、算定の進め方の基本は変わらない。ここでは、3つの場面に共通する主な要件を整理する。算定には、患者の同意と、専門医への事前の診療情報提供が必要である。まず、患者の同意を得る。次に、専門的な診療を行う他の医療機関の医師へ、事前に診療情報を提供する。そのうえで、ビデオ通話が可能な情報通信機器を用いて、その専門医と連携して診療を行う。連携先となる専門医療機関には、疾患ごとに満たすべき基準がある。たとえば、難病の患者では難病診療連携拠点病院などが、てんかんの患者ではてんかん診療拠点機関が連携先となる。希少がんでは特定機能病院や都道府県がん診療連携拠点病院が該当する。連携先の要件は対象疾患ごとに定められているため、算定前の確認が欠かせない。まとめ:遠隔連携診療料は3つの拡大で活用場面が広がった令和8年度改定では、遠隔連携診療料が対象疾患と算定場面の両面で大幅に拡大された。第一に、外来診療では対象疾患に希少がんや医療的ケア児(者)などが加わり、人口の少ない地域では悪性腫瘍・膠原病・透析も対象となった。第二に、訪問診療における算定が新設され、通院が困難な患者も自宅で専門医の診療を受けられるようになった。第三に、入院診療における算定が新設され、入院中の患者も専門医による対診を受けられるようになった。いずれの場面も900点を3月に1回まで算定でき、D to P with Dの活用がいっそう進むことが期待される。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|D to P with N オンライン診療の評価明確化を徹底解説
D to P with N とは、看護師が患者のそばに付き添い、医師が離れた場所からオンラインで診療する形態です。このD to P with N には、看護職員の訪問や検査・処置の算定方法に不明確な部分があり、令和7年6月の規制改革実行計画で改善が求められていました。令和8年度診療報酬改定は、このD to P with N の評価を明確化し、その適正な推進を後押しします。今回の明確化は、3つの観点から算定ルールを整理します。第一に、訪問看護・指導と一体的にオンライン診療を行う場合、在宅患者訪問看護・指導料を併算定できることを明確化します。第二に、訪問看護を伴わずに看護職員が訪問する場合の評価として、訪問看護遠隔診療補助料を新設します。第三に、D to P with N で行う検査・注射・処置の評価として、看護師等遠隔診療実施料を新設します。訪問看護と一体のオンライン診療は併算定できる訪問看護・指導と一体的にオンライン診療を行う場合は、在宅患者訪問看護・指導料を算定できます。この取扱いは、これまで明記されていませんでしたが、今回の改定で通知に明文化されました。この明確化は、在宅患者訪問看護・指導料(C005)と同一建物居住者訪問看護・指導料(C005-1-2)に適用されます。具体的には、訪問看護・指導の実施時に当該保険医療機関の保険医が情報通信機器を用いた診療を実施した場合、C005およびC005-1-2を算定できます。つまり、看護師の訪問看護と医師のオンライン診療を同じ時間帯に予定している形態が、算定の対象として整理されたわけです。この場合に注意すべき点は、訪問看護・指導の実施時間を十分に確保することです。オンライン診療を併せて行う場合でも、訪問看護・指導そのものの質を落としてはなりません。あくまで訪問看護・指導が主であり、オンライン診療はそこに重なる形で実施されます。訪問看護を伴わない訪問には訪問看護遠隔診療補助料を新設訪問看護を同時に実施しない場合の看護職員の訪問には、訪問看護遠隔診療補助料を新設します。この補助料は、看護職員が医療機関に所属するか訪問看護ステーションに所属するかに応じて、2種類で構成されます。医療機関に所属する看護職員が訪問する場合は、医科点数表のC005-1-3 訪問看護遠隔診療補助料を算定します。点数は1日につき265点で、算定できるのは月に1回までです。算定の対象は、在宅で療養する患者、または緊急に診療を要する通院困難な患者です。医師がオンライン診療の際に看護師等の同席が必要と判断し、患者の同意を得て看護師等が患家を訪問し、診療の補助を行った場合に算定します。このC005-1-3には、2つの訪問パターンが含まれます。1つは、オンライン診療を行う医療機関自身が、診療時に自院の看護師等を患家に訪問させるパターンです。もう1つは、連携する訪問看護ステーションの看護師等が訪問を併用するパターンです。ただし後者でも、訪問看護指示書を交付した医療保険の訪問看護対象患者については、その訪問費用は訪問看護療養費として直接支払われるため、C005-1-3の対象にはなりません。なお、医師または看護師の配置が義務付けられている施設に入所している患者は、C005-1-3の算定対象になりません。ただし給付調整告示等で別に規定する場合は、この限りではありません。C005-1-3には、併算定の制限があります。算定できないのは、在宅患者訪問看護・指導料(C005)、同一建物居住者訪問看護・指導料(C005-1-2)、訪問看護指示料(C007)、精神科訪問看護・指導料(I012)、および訪問看護療養費です。一方で、在宅患者訪問点滴注射管理指導料(C005-2)は併せて算定できます。C005-1-3を算定するうえで共通して必要なのは、オンライン指針を遵守する点と、訪問の必要性を記録する点です。診療を行う保険医が看護師等による患家への訪問の必要性を認めた場合に限り算定し、その必要性を診療録と診療報酬明細書の摘要欄に記載します。また初診からオンライン診療を行う場合は、これに加えて診療前相談を実施します。一方で、緊急に診療を要する患者に対して行う場合は、追加の条件が課されます。この場合は、患者や家族等から当該医療機関に緊急の診療を直接求められ、医師が看護師等の同席が必要と判断し、可及的速やかに看護師等を患家に訪問させて診療の補助を行ったときに算定できます。逆に、定期的ないし計画的にオンライン診療を行った場合は、緊急ケースとしては算定できません。これは「緊急に診療を要する患者」に固有の取扱いであり、「在宅で療養を行っている患者」を対象とする場合とは区別されます。同一の患家、または形態上ホーム全体を同一の患家とみなせる有料老人ホーム等で、看護師等が2人以上の患者の診療の補助を行った場合は、取扱いが異なります。2人目以降の患者については訪問看護遠隔診療補助料を算定せず、初診料・再診料・外来診療料および特掲診療料のみを算定します。ただし2人目以降で診療に要した時間が1時間を超えた場合は、その旨を摘要欄に記載したうえで訪問看護遠隔診療補助料を算定できます。訪問看護ステーションに所属する看護職員が訪問する場合は、訪問看護療養費の07 訪問看護遠隔診療補助料を算定します。所定額は1日につき2,650円で、算定できるのは月に1回までです。算定の対象は、主治医から交付された訪問看護指示書の有効期間内にある利用者です。定期的に行う指定訪問看護以外の場面で、緊急に診療を要すると判断した主治医の指示を受けて訪問し、オンライン診療の補助を行った場合に算定します。この07にも、併算定の制限があります。同一日には、訪問看護基本療養費、精神科訪問看護基本療養費、訪問看護管理療養費、訪問看護情報提供療養費、訪問看護ターミナルケア療養費、訪問看護ベースアップ評価料を算定できません。また算定できるのは1人の利用者につき1つの訪問看護ステーションのみであり、同一利用者について医療機関がC005-1-3を算定した場合は算定できません。2つの補助料の対応関係は、次のとおりです。* C005-1-3 訪問看護遠隔診療補助料:保険医療機関が算定し、265点(1日につき・月1回)* 07 訪問看護遠隔診療補助料:訪問看護ステーションが算定し、2,650円(1日につき・月1回)検査・注射・処置には看護師等遠隔診療実施料を新設D to P with N で行う検査・注射・処置には、看護師等遠隔診療実施料を新設します。これらは、通常の所定点数に代えて算定する点が特徴です。検査を実施した場合は、看護師等遠隔診療検査実施料を算定します。看護師等といる患者にオンライン診療を行い、第3節または第4節の検査を実施したときに、各区分の所定点数に代えて算定します。点数は、1種類の場合が100点、2種類以上の場合が150点で、いずれも1日につき算定します。注射を実施した場合は、看護師等遠隔診療注射実施料を算定します。看護師等といる患者にオンライン診療を行い、第1節の注射を実施したときに、各区分の所定点数に代えて1日につき100点を算定します。ただし処置実施料のロを算定する場合は算定できず、また在宅患者訪問点滴注射管理指導料(C005-2)は別に算定できません。処置を実施した場合は、看護師等遠隔診療処置実施料を算定します。看護師等といる患者にオンライン診療を行い、第1節の処置を実施したときに、各区分の所定点数に代えて算定します。点数は、1種類の場合が100点、2種類以上の場合が150点で、いずれも1日につき算定します。3つの実施料を整理すると、次のとおりです。* 看護師等遠隔診療検査実施料:第3節・第4節の検査が対象で、1種類100点・2種類以上150点* 看護師等遠隔診療注射実施料:第1節の注射が対象で、100点* 看護師等遠隔診療処置実施料:第1節の処置が対象で、1種類100点・2種類以上150点まとめ:D to P with N の3つの明確化を押さえる令和8年度診療報酬改定は、D to P with N のオンライン診療の評価を、3つの観点から明確化します。第一に、訪問看護・指導と一体的に行うオンライン診療では、在宅患者訪問看護・指導料を併算定できることを明文化しました。第二に、訪問看護を伴わない看護職員の訪問には、訪問看護遠隔診療補助料を新設し、医療機関側を265点、訪問看護ステーション側を2,650円としました。第三に、D to P with N で行う検査・注射・処置には、看護師等遠隔診療実施料を新設しました。これらの整理により、看護師の所属や訪問形態の違いに応じた算定が、より明確になります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
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