病院事務長が実務と経営の視点で語る、医療制度の最新動向。急性期〜回復期で幅広い部門を統括してきた経験をもとに、最新の令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈)や施設基準、医療DXの解説を音声で配信。経営層から現場の事務担当者まで、忙しい合間に「現場で使える知識」をアップデートできます。
https://www.daitoku0110.news?utm_medium=podcast" rel="nofollow noopener noreferrer">www.daitoku0110.news
番組の魅力・推薦
DPC高額薬剤判定|新薬など7品目が出来高算定へ【中医協第652回】
2026年(令和8年)7月8日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第652回)で、「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」(総-5)が議題になりました。DPC病院では、高額な新薬を使った症例の算定方法を誤ると、診療報酬を正しく請求できません。本号では、今回示された判定結果と、その前提となる判定の仕組みを整理します。今回の資料では、高額な新薬などを使う症例について、出来高算定の対象とする案と、既存の診断群分類に反映する案が示されました。第一に、高額薬剤判定は、標準的な使用における1入院あたりの薬剤費が、診断群分類ごとの84%tile値を超えるかどうかで決まります。第二に、効能追加3品目と新薬4品目の計7品目が、次期診療報酬改定まで出来高算定の対象として提案されました。第三に、ジャスケイドとグロベニン-I10%の2件は、既存の診断群分類の分岐に反映することが提案されました。高額薬剤判定の仕組み高額薬剤判定は、新薬の導入をDPCの包括評価が妨げないようにする仕組みです。DPC/PDPS(診断群分類に基づく1日あたり包括払い制度)の点数表には、新たに薬価収載された医薬品等の費用が反映されていません。このため、一定の基準に該当する高額な医薬品等を使った症例は、次期診療報酬改定までの間、包括評価の対象外として出来高で算定します。判定の対象は、新たに保険適用される3種類の医薬品です。 3種類とは、新薬、効能効果・用法用量の一部変更(一変)、事前評価済公知申請(公知)を指します。判定作業は、新薬の薬価収載に合わせて年4回おこなわれます。緊急に薬価収載された新薬には、必要に応じて追加の判定がおこなわれます。判定は、診断群分類ごとに薬剤費を比較して決まります。 まず、効能・効果から、その薬剤を使う可能性のある診断群分類(14桁コード)を抽出します。次に、入院初日から退院まで添付文書どおりに投与したと仮定した回数(仮想投与回数)から、1入院あたりの薬剤費を計算します。最後に、この薬剤費が、その診断群分類の1入院あたり薬剤費の84%tile値を超えれば、高額薬剤に指定されます。前年度に使用実績のない医薬品等では、比較の相手は、その薬剤を使っていない症例の薬剤費です。84%tile値とは、薬剤費を低い順に並べたとき下から84%に位置する値です。 つまり、新薬の標準的な使用だけで、既存症例の上位16%の薬剤費の水準を超えるかどうかが基準です。高額薬剤に指定された薬剤を使い、かつ指定された診断群分類に該当する症例は、包括評価の対象外となります。出来高算定とは、実施した診療行為や使った薬剤ごとに点数を積み上げる算定方法です。高額薬剤判定には、出来高算定とは別に「定義告示への追加」もあります。 これは、類似薬効比較方式で薬価が算定された新薬が対象です。比較薬が診断群分類の定義テーブルで分岐として定義されている場合、新薬もその分岐に追加されます。出来高算定の対象として提案された7品目今回、出来高算定の対象として提案されたのは、効能追加3品目と新薬4品目の計7品目です。効能追加は令和8年5月18日に効能効果・用法用量が追加されたもの、新薬は令和8年7月15日に薬価収載予定のものです。いずれも、該当する診断群分類で1入院あたりの標準的費用が84%tile値を超えました。提案では、対象症例を次期診療報酬改定までの間、出来高で算定します。効能追加(一変)の3品目* ゼップバウンド皮下注(チルゼパチド)* 効能効果:中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(BMI 27kg/m²以上に限る)* 1回あたりの標準的費用:3,067円* 対象の診断群分類:030250 睡眠時無呼吸* ファセンラ皮下注30mg(ベンラリズマブ)* 効能効果:好酸球増多症候群* 1回あたりの標準的費用:335,309円* 対象の診断群分類:130070 白血球疾患(その他)* アレセンサカプセル150mg(アレクチニブ塩酸塩)* 効能効果:ALK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌* 1回あたりの標準的費用:13,811円* 対象の診断群分類:010010 脳腫瘍ほか、計39分類新薬の4品目* ジャスケイド錠(ネランドミラスト)* 効能効果:特発性肺線維症、進行性肺線維症* 1回あたりの標準的費用:8,363円* 対象の診断群分類:040110 間質性肺炎* ハイツエキシン錠10mg(リソバリシブ)* 効能効果:がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞癌* 1回あたりの標準的費用:29,253.6円* 対象の診断群分類:120010 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍* アロステムシート(ニバドストロセル)* 効能効果:栄養障害型、接合部型及び単純型(重症汎発型に限る)表皮水疱症* 1回あたりの標準的費用:182,096円* 対象の診断群分類:080110 水疱症* エドスチラドリン膀胱内注入液(ナドファラゲン フィラデノベク)* 効能効果:BCG膀胱内注入療法後に残存・再発した上皮内癌を有する高リスク筋層非浸潤性膀胱癌* 1回あたりの標準的費用:9,308,147.6円* 対象の診断群分類:110070 膀胱腫瘍効能追加の3品目効能追加の3品目は、既存薬に新しい効能が加わったことで、新たな診断群分類で高額と判定された薬剤です。ゼップバウンド皮下注は、睡眠時無呼吸の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、BMIが27kg/m²以上の中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。1入院あたりの標準的費用は3,067円(1回分)です。この額は、対象2分類の84%tile値(43円・247円)を大きく上回ります。ファセンラ皮下注は、白血球疾患(その他)の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、成人と12歳以上の小児の好酸球増多症候群です。1入院あたりの標準的費用は、335,309円(1回分)~670,618円(2回分)です。この額は、対象4分類の84%tile値(47,853円~624,954円)をそれぞれ上回ります。アレセンサカプセルは、39の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、ALK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌です。このため、脳腫瘍、肺、消化器、乳房、婦人科、泌尿器などの悪性腫瘍を中心に、39分類(6桁)が対象に含まれます。1入院あたりの標準的費用は、分類ごとの仮想投与回数(8回~210回)に応じて110,488円~2,900,310円です。新薬の4品目新薬の4品目は、令和8年7月15日に薬価収載予定の医薬品等です。ジャスケイド錠は、間質性肺炎の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、特発性肺線維症と進行性肺線維症です。1入院あたりの標準的費用は301,068円~618,862円です。この額は、対象6分類の84%tile値(205,659円~599,358円)をそれぞれ上回ります。ハイツエキシン錠は、卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞癌です。1入院あたりの標準的費用は146,268円~1,374,919円です。この額は、対象6分類の84%tile値(42,320円~462,816円)をそれぞれ上回ります。アロステムシートは、水疱症の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、難治性・再発性のびらんや潰瘍を有する表皮水疱症です。1入院あたりの標準的費用は910,480円(週1回・5回分)です。この額は、対象分類の84%tile値(79,541円)を大きく上回ります。エドスチラドリン膀胱内注入液は、膀胱腫瘍の診断群分類で出来高算定の対象となります。 対象は、BCG膀胱内注入療法の再導入の適応とならない高リスク筋層非浸潤性膀胱癌です。1回あたりの標準的費用は約931万円(9,308,147.6円)で、今回の7品目で最も高額です。この額は、対象5分類の84%tile値(17,860円~100,119円)の90倍以上に相当します。既存の診断群分類に反映される2件出来高算定とは別に、2件は既存の診断群分類の分岐に反映することが提案されました。2件とも、類似薬や既収載品に特化した分岐がすでに設定されていることが理由です。ジャスケイド錠は、間質性肺炎の「ニンテダニブエタンスルホン酸塩」による分岐に反映されます。 ジャスケイド錠の薬価は、類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定されました。その類似薬であるニンテダニブエタンスルホン酸塩は、040110 間質性肺炎で分岐として定義されています。このため、ジャスケイド錠はこの分岐にも追加されます。なお、ジャスケイド錠は前章の出来高算定の対象にも含まれています。グロベニン-I10%の2製品は、重症薬疹の既収載品による分岐に反映されます。 2製品とは、グロベニン-I10%静注(pH4処理酸性人免疫グロブリン、令和7年12月5日収載)と、献血グロベニン-I10%静注(ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン、令和8年6月12日収載)です。2製品は、既収載品の献血グロベニン-I静注用の剤形追加品として承認され、薬価上も同一銘柄として扱われています。このため、080105 重症薬疹の「乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン」による分岐に反映されます。対象の効能は、ステロイド剤の効果が不十分なスティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症です。まとめ:対象症例のコーディングと算定方法を確認しましょう第652回中医協総会では、高額な新薬などを使う症例について、出来高算定の対象とする案と、既存の分岐に反映する案が示されました。高額薬剤判定は、標準的な使用における1入院あたりの薬剤費が、診断群分類ごとの84%tile値を超えるかで決まります。ゼップバウンドやアレセンサなど7品目は、次期診療報酬改定まで出来高算定の対象として提案されました。ジャスケイドとグロベニン-I10%の2件は、既存の分岐への反映が提案されました。DPC病院の医事部門では、該当薬剤の使用症例が、対象の診断群分類に該当するかを確認しましょう。特にアレセンサは対象分類が39に及ぶため、悪性腫瘍の症例を幅広く確認する必要があります。適用日や対象コードの詳細は、正式な告示・通知で確認してください。参考資料:中医協 総-5「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」(令和8年7月8日)、中医協 総-5参考「現行のいわゆる『高額薬剤判定』の運用方法について」 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
最適使用推進ガイドライン2品目を解説|中医協第652回の要点
令和8年7月8日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第652回)で、再生医療等製品2品目の最適使用推進ガイドライン(以下、GL)と保険適用上の留意事項が報告されました。この2品目は、GLに従って使用することが保険適用上の前提とされ、施設・医師・患者の要件を確認する必要があります。本稿では、2品目のGLの要件と、診療報酬明細書(レセプト)の摘要欄に書くべき事項を整理します。結論として、2品目とも「GLに従って使うこと」が保険適用の前提であり、投与開始時には要件への該当性を摘要欄に記載する必要があります。1つ目の品目である表皮水疱症治療用のアロステムシートは、日本皮膚科学会専門医が責任者となり、既存治療で効果不十分な難治性・再発性の潰瘍に使います。2つ目の品目である膀胱癌治療用のエドスチラドリン膀胱内注入液は、がん診療連携拠点病院などの施設で、BCG膀胱内注入療法後に残存・再発した上皮内癌の患者に使います。留意事項通知は令和8年7月14日に発出され、7月15日から適用されています。最適使用推進ガイドラインの仕組み最適使用推進ガイドラインは、革新的な新薬や再生医療等製品を「恩恵を強く受ける患者」に「副作用へ迅速に対応できる施設」で使うためのルールです。この仕組みは、平成29年9月13日に中医協で了承されました。GLの作成は、承認審査と並行して進みます。対象となるのは、作用機序や安全性プロファイルが既存品と大きく異なる品目や、より広い患者に使われる可能性が高い品目です。GL案は、関係学会と医薬品医療機器総合機構(PMDA)が検討し、薬事の担当部会と中医協総会で了承を得ます。GLの要件は、保険適用上の留意事項通知に引き継がれます。留意事項通知は、レセプトの摘要欄にどの要件への該当性を書くかを定めています。つまり、GLは「使い方の指針」であると同時に、「診療報酬を請求するための条件」でもあります。アロステムシート(表皮水疱症)のGLアロステムシートは、難治性・再発性のびらんや潰瘍がある表皮水疱症の患者に貼付し、皮膚の再上皮化を促す製品です。使用には、皮膚科専門医の配置と、対象となる潰瘍の適切な選択が求められます。製品の特徴アロステムシート(一般名:ニバドストロセル、製造販売業者:イシンファーマ)は、健康な成人の皮下脂肪から得た間葉系幹細胞をシート状に培養した製品です。このシートは、潰瘍に貼ると成長因子などを分泌し、炎症を抑えて皮膚の再生を促すと考えられています。栄養障害型とラミニン332変異による接合部型では、Ⅶ型コラーゲンやラミニン332を補う効果も期待されています。用法は週1回で、潰瘍の面積に応じて枚数を決め、潰瘍を辺縁まで含めてシート同士が重ならないように覆って貼付します。臨床成績有効性は、国内の2つの臨床試験で評価されました。第Ⅲ相試験(EB-02試験、6例)では、最終貼付1~5週後の潰瘍面積が治療前より平均54.2%縮小し、統計的な有意差が認められました。第Ⅰ/Ⅱ相試験(EB-01試験)では、評価対象4例のうち2例が事前に定めた有効性の基準を満たしました。安全性では、2試験の計12例で死亡や貼付中止に至った事象はなく、製品との因果関係を否定できない有害事象は1例(C反応性蛋白増加、軽度)のみでした。施設と医師の要件施設には、貼付前の調製に必要な機材と、製造販売後調査を実施できる体制が求められます。治療の責任者は、次の3つをすべて満たす医師です。* 日本皮膚科学会専門医の資格を有すること* 表皮水疱症の診療に必要な学識・技術を習得していること* 製造販売業者による適正使用の講習を受講していることこのほか、院内に情報管理の担当者を置くことと、重篤な副作用が出た場合に自施設または連携施設で当日中に検査結果を得て直ちに対応できる体制が必要です。対象患者が小児の場合は、小児治療のチーム医療体制が望まれます。対象となる患者対象は、厚生労働省の指定難病診断基準で診断された栄養障害型、接合部型、単純型(重症汎発型に限る)の表皮水疱症患者です。対象となる病変は、既存治療で効果不十分で、継続的に潰瘍がみられる難治性・再発性の病変に限られます。なお、接合部型と単純型は臨床試験での使用経験がないため、臨床上の必要性を十分に検討します。一方、次の患者・部位は貼付の対象外です。* 本品の成分に過敏症の既往がある患者* 皮膚悪性腫瘍が確定、または疑われる部位* 皮膚移植、ジェイス、バイジュベックゲルで治療中の部位* 感染が疑われる部位* 潰瘍が閉鎖している部位使用上の留意点貼付期間は、原則として12週までです。12週までとする理由は、臨床試験で12週を超える使用経験がないためです。12週を超えて継続できるのは、治療上の有益性が認められる場合に限られます。貼付中は月1回程度、潰瘍面積の縮小割合などで効果を判定し、漫然と続けないようにします。潰瘍が閉鎖したら、その病変への貼付を終えます。また、1回あたり16枚を超える貼付も試験での経験がないため、有益性と危険性を慎重に評価します。取扱いでは、保管温度と貼付後の管理に注意が必要です。製品は-80℃で保管し、解凍後60分以内を目安に貼付を終えます。貼付前には、ワセリンなどの撥水性外用薬を洗い流します。貼付後少なくとも48時間は、シートを剥がさず、入浴や貼付部位へのシャワーを避けます。エドスチラドリン膀胱内注入液(膀胱癌)のGLエドスチラドリン膀胱内注入液は、BCG膀胱内注入療法後に残存・再発した上皮内癌を有する高リスク筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)の治療薬です。使用には、がん診療の拠点となる施設要件と、遺伝子組換え生物を扱うためのカルタヘナ法への対応が求められます。製品の特徴エドスチラドリン膀胱内注入液(一般名:ナドファラゲン フィラデノベク、製造販売業者:フェリング・ファーマ)は、インターフェロンα2bの遺伝子を組み込んだ、増殖しないアデノウイルスを主成分とする製品です。この製品を膀胱内に注入すると、膀胱の粘膜細胞(尿路上皮)がインターフェロンα2bを作り出し、抗腫瘍免疫の増強などにより腫瘍細胞を死滅させることが期待されています。用法は、成人に1回75mLを3カ月間隔で膀胱内に投与します。臨床成績有効性は、海外と国内の第Ⅲ相試験で評価されました。主要評価項目は、上皮内癌(CIS)を併発する患者での、初回投与後3カ月までの完全奏効率です。海外試験(米国、103例)の完全奏効率は53.4%(95%信頼区間43.3~63.3%)で、信頼区間の下限が事前に定めた閾値27%を上回りました。国内試験(20例)の完全奏効率は75.0%(95%信頼区間50.9~91.3%)で、信頼区間の下限が事前に定めた閾値2%を上回りました。国内の閾値が低く設定されたのは、国内にこの患者に有効な薬剤がなく、膀胱全摘除術に至る患者を少しでも減らすことに臨床的意義があるためです。海外試験では、完全奏効した患者のうち36.4%が、初回投与後24カ月時点でも完全奏効を維持していました。安全性では、両試験とも死亡に至った有害事象はありませんでした。主な副作用は、発熱、注入部位からの分泌物(滴下投与部位分泌)、尿意切迫、排尿困難、疲労・倦怠感などです。国内試験(2025年10月23日データカットオフ)で報告された重篤な有害事象3例は、いずれも製品との因果関係が否定されました。施設と医師の要件施設は、BCGによるNMIBC治療が実施可能で、かつ次のいずれかに該当する必要があります。* 厚生労働大臣が指定するがん診療連携拠点病院等* 特定機能病院* 都道府県知事が指定するがん診療連携病院* 外来腫瘍化学療法診療料1、2または3の施設基準を届け出ている施設* 抗悪性腫瘍剤処方管理加算の施設基準を届け出ている施設あわせて施設には、添付文書に従った保管体制(貯蔵方法は-60℃以下)、カルタヘナ法の第一種使用規程に沿った取扱い体制、製造販売後調査の実施体制が求められます。治療の責任者は、研修歴の要件と、講習・法令理解の要件をともに満たす医師です。研修歴の要件は、次のいずれかです。* 初期研修修了後に5年以上のがん治療の臨床研修を行い、うち2年以上はがん薬物療法を主とした臨床腫瘍学の研修であること* 初期研修修了後に4年以上の泌尿器科学の臨床研修を行い、うち2年以上は膀胱癌のがん薬物療法を含むがん治療の研修であること講習・法令理解の要件は、製造販売業者の講習を受講していることと、カルタヘナ法を理解し第一種使用規程に従って取り扱えることです。このほか、情報管理の担当者の配置と、重篤な副作用に対して自施設または連携施設で入院管理や検査を速やかに行える体制が必要です。対象となる患者対象は、BCG膀胱内注入療法後に上皮内癌が残存・再発した高リスクNMIBCで、BCGの再導入が適さない患者です。一方、次の患者は対象外です。* 筋層浸潤性膀胱癌の患者* 低リスク・中リスクのNMIBC患者* BCGの治療歴がない患者* BCGの再導入が適応となる患者* BCG治療後に腫瘍の残存・再発が確認されていない患者* 上皮内癌を併発していない高グレードTa/T1病変の患者* 上部尿路がんを併発している患者* 本品の成分に過敏症の既往がある患者(禁忌)対象患者の選択では、膀胱全摘除術の機会を逃さないことが重要です。全摘除術が遅れると、筋層浸潤癌や遠隔転移へ進む可能性があるためです。使用上の留意点投与中は、定期的な検査で高グレード病変の再発がないかを確認します。この確認は、臨床試験で3カ月ごとの各投与前2週間以内に尿細胞診と膀胱鏡検査(必要に応じて生検)を行っていた手順を参考にしたものです。投与後3カ月の時点で高グレード病変の再発がみられた場合は、再投与が適切と判断される場合に限り再投与します。臨床試験では5年を超える継続投与の経験がないため、長期投与の必要性は慎重に判断します。また、BCG以外の治療薬を使った後の患者では有効性・安全性が確認されていないため、本品への切り替えが適切な場合に限り投与します。取扱いでは、カルタヘナ法の第一種使用規程を守る必要があります。調製は他の区画と区別した作業室で、投与は区別した治療室で行います。投与後は、排出物を介した第三者への伝播を防ぐよう患者を指導します。患者が他の医療機関を受診する場合に備え、本品を投与された患者であることを伝えるよう指導することも求められます。保険適用上の留意事項(レセプト摘要欄)保険適用上の留意事項では、2品目とも「GLに従って使用する」ことが基本的な考え方として明記されました。この考え方に沿って、投与開始時にはGLの要件への該当性を、レセプトの摘要欄に記載します。アロステムシートでは、投与開始時に次の2項目を記載します。* 治療の責任者の要件(GL「4.①-2」、表13)への該当性* 投与対象となる患者の要件(既存治療で効果不十分な難治性・再発性の病変であること)への該当性エドスチラドリン膀胱内注入液では、投与開始時に次の3項目を記載します。* 医療施設の要件(GL「4.①-1(1)」)への該当性* 治療の責任者の要件(GL「4.①-2」)への該当性* BCG膀胱内注入療法を受けた直近の年月日エドスチラドリン膀胱内注入液では、継続投与時にも摘要欄への記載が求められます。中医協資料では、この記載事項の根拠としてGL「6.④」(定期検査による高グレード病変の再発確認など)が示されています。具体的な記載項目は、発出された留意事項通知の本文で確認してください。検査結果の記録を医事部門と共有する仕組みを整えておくと安心です。留意事項通知は令和8年7月14日に発出され、7月15日から適用されています。まとめ:2品目ともGLの要件確認と摘要欄記載が請求の前提中医協第652回総会では、再生医療等製品2品目の最適使用推進ガイドラインと保険適用上の留意事項が報告されました。アロステムシートは、皮膚科専門医が責任者となり、既存治療で効果不十分な表皮水疱症の潰瘍に使います。エドスチラドリン膀胱内注入液は、がん診療の拠点となる施設で、BCG療法後に上皮内癌が残存・再発した患者に使います。両品目とも、投与開始時にはGLの要件への該当性をレセプトの摘要欄に記載し、エドスチラドリンでは継続投与時の記載も求められます。採用を検討する医療機関は、施設・医師の要件を満たしているかを確認したうえで、医師と医事部門が記載事項を共有しておきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
再生医療等製品2品目が保険適用へ|中医協総会(第652回)の要点
令和8年7月8日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第652回)で、再生医療等製品2品目の保険適用が議題となりました。2品目は、表皮水疱症に使う細胞シートと、膀胱癌に使う遺伝子治療薬です。いずれも新しいタイプの製品であり、薬価の決まり方が通常の医薬品とは異なるため、資料だけでは要点をつかみにくくなっています。本号では、総会資料「総-3」をもとに、2品目の特徴と薬価算定のポイントを整理します。2品目は、原価計算方式で算定した薬価で、令和8年7月15日に保険収載される予定です。1品目めの「アロステムシート」は、表皮水疱症の治りにくい潰瘍に貼る細胞シートで、薬価は1枚182,096.00円です。2品目めの「エドスチラドリン膀胱内注入液」は、BCG療法後に残存・再発した膀胱癌に使う遺伝子治療薬で、薬価は1瓶2,327,036.90円です。2品目に共通して、補正加算は認められたものの加算係数が0のため価格には上乗せされず、革新的新薬薬価維持制度の対象となりました。1. アロステムシート:表皮水疱症の潰瘍に貼る細胞シートアロステムシートは、表皮水疱症の難治性・再発性の潰瘍に週1回貼る細胞シートです。薬価は1枚182,096.00円で、ピーク時(収載後9年度)の予測は投与患者数25人、販売金額7.9億円です。以下、対象と使い方、有効性、薬価の内訳の順に説明します。アロステムシートの対象は、難治性または再発性のびらん・潰瘍がある表皮水疱症の患者です。 表皮水疱症は、わずかな刺激で皮膚に水疱やただれができる遺伝性の病気です。対象となる病型は、栄養障害型、接合部型、単純型(重症汎発型に限る)の3つです。本品は、健康な成人の皮下脂肪組織に由来する幹細胞(同種)を、シート状に培養した製品です(ヒト体性幹細胞加工製品)。使い方は、潰瘍の面積に合わせて枚数を決め、週1回、潰瘍を辺縁まで覆うように貼ります。シートから分泌される成長因子などが、炎症を抑え、傷の治りを促すと期待されています。アロステムシートの有効性は、日本人6例の国内第Ⅲ相試験で確認されました。 この試験は、4歳の小児を含む6例を対象に、最大12週間シートを貼付した非盲検・非対照の試験です。主要評価項目である潰瘍面積の平均変化率(治療前との比較)は−54.242%で、統計学的に有意な縮小を示しました(p=0.0098)。ただし、実際に参加した6例はすべて栄養障害型であり、他の病型の患者は含まれていません。アロステムシートの薬価は、原価に利益と経費を積み上げる原価計算方式で算定しました。 内訳は、製品総原価130,076.80円、営業利益24,042.60円、流通経費11,422.40円、消費税16,554.20円です。類似の効能をもつ既存品(バイジュベックゲル)はありますが、製品のタイプ(モダリティ)と主な作用が異なるため、最類似薬には該当しないと判断されました。外国での価格はなく、日本が最初の承認国です。なお、承認日は令和8年4月3日で、企業の都合により今回の収載希望となりました。2. エドスチラドリン膀胱内注入液:BCG療法後の膀胱癌に使う遺伝子治療薬エドスチラドリン膀胱内注入液は、膀胱上皮内癌を対象疾患とする初めての遺伝子治療薬です。薬価は20mL1瓶2,327,036.90円で、ピーク時(収載後10年度)の予測は投与患者数488人、販売金額203億円です。以下、対象と使い方、有効性、薬価の内訳の順に説明します。エドスチラドリンの対象は、BCG療法後に残存・再発した上皮内癌を有する高リスク筋層非浸潤性膀胱癌の患者です。 BCG療法とは、結核ワクチンのBCGを膀胱に注入する、膀胱癌の標準的な治療です。本品の対象は、BCG療法の再導入の適応とならない患者に限られます。本品は、インターフェロンα2bの遺伝子を組み込んだ、増殖しないアデノウイルスです(遺伝子治療用製品)。使い方は、成人に1回75mLを、3カ月間隔で膀胱内へ注入します。膀胱の細胞に感染した本品がインターフェロンα2bを作らせ、抗腫瘍免疫の働きで癌細胞を死滅させると期待されています。エドスチラドリンの有効性は、海外と国内の2つの第Ⅲ相試験で確認されました。 2試験の主要評価項目は、上皮内癌を伴う患者における、初回投与後3カ月までの完全奏効率です。海外試験では103例中55例が完全奏効となり、完全奏効率は53.4%(95%信頼区間43.3~63.3%)でした。国内試験では20例中15例が完全奏効となり、完全奏効率は75.0%(95%信頼区間50.9~91.3%)でした。どちらの試験も、95%信頼区間の下限が事前に定めた閾値(海外27%、国内2%)を上回りました。エドスチラドリンの薬価も、アロステムシートと同じく原価計算方式で算定しました。 内訳は、製品総原価1,729,556.90円、営業利益319,681.20円、流通経費66,250.00円、消費税211,548.80円です。膀胱上皮内癌を対象とする初めての遺伝子治療薬であるため、類似薬はないと判断されました。米国では2022年12月に承認されており、米国価格(ASP)は1瓶2,426,656.10円です。この米国価格と比較した結果、外国平均価格調整は「なし」とされました。3. 2品目に共通する薬価算定のポイント2品目には、補正加算、薬価維持の制度、費用対効果評価の3点で共通点と相違点があります。共通点は、加算係数0で加算が価格に反映されなかったことと、革新的新薬薬価維持制度の対象となったことです。相違点は、有用性加算と費用対効果評価がエドスチラドリンだけに適用されたことです。補正加算は2品目とも認められましたが、加算係数が0のため薬価は上がりませんでした。 補正加算とは、新規性や希少性を評価して薬価を上乗せする仕組みです。2品目とも、希少疾病用再生医療等製品に指定されているため、市場性加算(Ⅰ)(10%)に該当しました。エドスチラドリンは、新規の作用機序をもつことと、この疾患領域で新規作用機序の新薬収載が約30年間なかったことを評価され、有用性加算(Ⅱ)(10%)にも該当しました。しかし、原価計算方式では、加算率に原価の開示度に応じた加算係数を掛けます。今回は2品目とも加算係数が0のため、加算前と加算後の薬価は同じ金額です。革新的新薬薬価維持制度は、2品目とも対象となりました。 この制度は、革新性のある新薬について、薬価改定時の価格の引下げを抑える仕組みです。2品目とも、希少疾病用再生医療等製品に指定されていることが主な理由です。費用対効果評価は、エドスチラドリンだけが対象(H1区分)となりました。 費用対効果評価とは、薬の効果に見合った価格かを収載後に検証し、薬価を調整する仕組みです。H1区分は、ピーク時の市場規模予測が100億円以上の品目に適用されます。エドスチラドリンは203億円と予測されているため、この区分に該当しました。一方、アロステムシートは評価の対象外です。まとめ:2品目は7月15日収載予定、加算は価格に反映されず中医協総会(第652回)で、再生医療等製品2品目の保険適用が議題となり、令和8年7月15日に収載される予定です。アロステムシートは、表皮水疱症の潰瘍に貼る細胞シートで、薬価は1枚182,096.00円です。エドスチラドリン膀胱内注入液は、BCG療法後に残存・再発した膀胱癌の遺伝子治療薬で、薬価は1瓶2,327,036.90円です。2品目とも原価計算方式で算定され、補正加算は加算係数0のため価格に反映されませんでした。今後は、エドスチラドリンの費用対効果評価の結果にも注目が集まります。(出典:中央社会保険医療協議会 総会(第652回)資料「総-3 再生医療等製品の保険適用について」令和8年7月8日) Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【中医協第652回】7月新薬2成分の薬価と算定根拠を解説
令和8年7月8日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第652回)に、新医薬品を7月15日に薬価基準へ収載する案が示されました。新薬の薬価は、算定方式や補正加算の組み合わせで決まるため、資料の数字だけでは決まり方が見えにくいものです。本号では、資料「総-2」をもとに、2成分の薬価がどのような根拠で算定されたのかを解説します。今回の収載対象は、内用薬2成分3品目です。1つ目のジャスケイド(特発性肺線維症・進行性肺線維症)は、類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定され、計40%の補正加算により18mg1錠8,363.00円となりました。2つ目のハイツエキシン(卵巣明細胞癌)は、原価計算方式で3つの補正加算に該当したものの、加算係数が0のため加算は反映されず、10mg1錠7,313.40円となりました。2成分はいずれも希少疾病用医薬品として革新的新薬薬価維持制度の対象となり、費用対効果評価の対象はジャスケイドのみです。今回収載される新薬2成分の全体像今回の新薬2成分は、効能も算定方式も対照的です。主な項目を同じ順序で並べます。ジャスケイド錠(9mg・18mg)* 成分名:ネランドミラスト* 会社名:日本ベーリンガーインゲルハイム* 効能・効果:特発性肺線維症、進行性肺線維症* 算定方式:類似薬効比較方式(Ⅰ)* 補正加算:有用性加算(Ⅰ)35%、市場性加算(Ⅰ)5%* 算定薬価:9mg1錠 4,190.10円/18mg1錠 8,363.00円* ピーク時予測:10年度 1.8万人・578億円ハイツエキシン錠(10mg)* 成分名:リソバリシブメシル酸塩水和物* 会社名:海和製薬* 効能・効果:がん化学療法後に増悪したPIK3CA遺伝子変異を有する卵巣明細胞癌* 算定方式:原価計算方式* 補正加算:有用性加算(Ⅱ)5%、市場性加算(Ⅰ)10%、迅速導入加算10%(加算係数0)* 算定薬価:10mg1錠 7,313.40円* ピーク時予測:9年度 586人・14億円この違いを生んだのは、主に「比べる薬があるかどうか」です。比較できる既存薬があれば類似薬効比較方式、なければ原価計算方式が使われます。以下、2成分を同じ順序(概要→算定の基準→補正加算→市場規模)で見ていきます。ジャスケイド:類似薬効比較方式で計40%を加算ジャスケイドは、既存の抗線維化薬オフェブを比較薬とし、その1日薬価に計40%を上乗せして算定されました。概要:作用機序が新しい肺線維症治療薬ジャスケイドは、ホスホジエステラーゼ4B(PDE4B)阻害作用を持つ肺線維症の治療薬です。用法は、通常1回18mgを1日2回経口投与です。患者の忍容性に応じて、1回9mg1日2回に減量できます。算定の基準:オフェブと1日薬価をそろえる類似薬効比較方式(Ⅰ)は、効能や薬理作用が最も近い既存薬(最類似薬)と1日あたりの薬価をそろえる方式です。今回の最類似薬は、同じ会社のオフェブカプセル(ニンテダニブ)でした。オフェブ100mgの1日薬価は11,947.20円です。この1日薬価を1日2錠で割ると、加算前の18mg1錠は5,973.60円となります。補正加算:有用性と希少性を評価補正加算は、有用性加算(Ⅰ)35%と市場性加算(Ⅰ)5%の計40%です。有用性加算(Ⅰ)は、既存の抗線維化薬や肺高血圧症の適応を持つPDE阻害薬とは標的分子が異なる新規作用機序であること、既存薬との併用群も含めて有効性が認められたことが評価されました。市場性加算(Ⅰ)は、希少疾病用医薬品の指定により要件を満たしました。ただし、優先審査の対象ではなかったため、加算率は通常の範囲(10~20%)を下回る例外的な下限の5%とされました。この結果、18mg1錠は5,973.60円から8,363.00円に引き上げられ、1日薬価は16,726.00円となりました。9mg1錠の4,190.10円は、オフェブの100mgと150mgの価格差から求めた規格間比(0.99703)を使って算出されています。なお、外国平均価格調整は行われていません。市場規模:ピーク時578億円市場規模の予測は、ピーク時(10年度)に投与患者数1.8万人、販売金額578億円です。最初に承認された国は米国(2025年10月)で、国内の製造販売承認日は令和8年5月18日です。ハイツエキシン:原価計算方式で加算が価格に反映されずハイツエキシンは、比較できる既存薬がないため原価を積み上げて算定されました。3つの加算に該当しながら、加算係数0により薬価は加算前と同額です。概要:既収載品にない作用機序の卵巣明細胞癌治療薬ハイツエキシンは、PI3Kα阻害作用を持つ卵巣明細胞癌の治療薬です。用法は、通常1回40mg(10mg錠4錠)を1日1回空腹時に経口投与です。患者の状態により適宜減量します。算定の基準:原価を積み上げる原価計算方式は、製造原価に営業利益、流通経費、消費税を積み上げて薬価を決める方式です。今回は、「卵巣明細胞癌」の効能や「PI3Kα阻害作用」を持つ既収載品がないため、この方式が採用されました。積み上げの内訳は、次のとおりです。* 製品総原価:5,224.20円* 営業利益:965.60円(流通経費を除く価格の15.6%)* 流通経費:458.80円(消費税を除く価格の6.9%)* 消費税:664.90円なお、上記4項目を単純に合計すると7,313.50円となり、算定薬価の7,313.40円と0.10円ずれます。これは各項目が端数処理後の値で表示されているためで、資料上の算定薬価は7,313.40円です。補正加算:3つ該当したが加算係数は0補正加算は、有用性加算(Ⅱ)5%、市場性加算(Ⅰ)10%、迅速導入加算10%の3つに該当しました。有用性加算(Ⅱ)は、新規作用機序であり、化学療法歴のあるPIK3CA遺伝子変異陽性患者で有効性が示されたことが評価されました。市場性加算(Ⅰ)は、希少疾病用医薬品の指定により要件を満たしました。迅速導入加算は、国際共同試験で開発され、優先審査の対象で、日本での申請・承認が欧米より早いことから要件を満たしました。加算率は、国際共同試験の日本人症例数が比較的多いことを踏まえ、上限の10%とされました。しかし、原価計算方式の加算係数が0とされたため、加算は薬価に反映されていません。加算係数とは、原価計算方式で補正加算をどの程度反映させるかを決める係数で、一般に企業が示す原価の開示度に応じて設定されます。資料には、今回の係数が0となった個別の理由は記載されていません。この結果、10mg1錠は加算前と同じ7,313.40円となりました。なお、通常用量の1日4錠で計算すると、1日あたり29,253.60円です(資料記載の値ではなく、本号での試算です)。市場規模:ピーク時14億円市場規模の予測は、ピーク時(9年度)に投与患者数586人、販売金額14億円です。最初に承認された国は日本で、外国価格はありません。製造販売承認日は令和8年3月23日ですが、企業の都合により今回の収載希望となりました。2成分に共通する制度上の扱い2成分は、いずれも収載後の薬価を維持する仕組みの対象となりました。一方、費用対効果評価の扱いは分かれています。革新的新薬薬価維持制度:2成分とも該当革新的新薬薬価維持制度は、革新性の高い新薬について、一定の条件のもとで薬価改定時の引き下げを猶予する仕組みです。2成分は、いずれも希少疾病用医薬品の指定を主な理由として該当しました。費用対効果評価:ジャスケイドのみ該当費用対効果評価は、価格に見合う効果があるかを収載後に検証し、薬価を調整する仕組みです。ジャスケイドは、ピーク時の市場規模が大きい品目の区分である「H1」に該当しました。ハイツエキシンは該当しません。まとめ:算定方式の違いが加算の効き方を分けた第652回中医協総会では、内用薬2成分3品目を7月15日に薬価収載する案が示されました。ジャスケイドは、オフェブを比較薬とする類似薬効比較方式(Ⅰ)で計40%が加算され、18mg1錠8,363.00円となりました。ハイツエキシンは、原価計算方式で3つの加算に該当したものの、加算係数0により10mg1錠7,313.40円にとどまりました。2成分とも革新的新薬薬価維持制度の対象であり、ジャスケイドは今後、費用対効果評価(H1)を受けます。出典:中央社会保険医療協議会 総会(第652回)資料「総-2 医薬品の新規薬価収載等について」(令和8年7月8日) Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
先進医療に4技術が追加|中医協第651回の報告をわかりやすく解説
令和8年6月24日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第651回)で、先進医療会議から4技術の科学的評価結果が報告されました。先進医療の費用は、保険給付される部分と保険給付されない部分が混在するため、医療機関にとっても患者にとっても把握しにくい構造です。本号では、報告された4技術について、対象患者・実施医療機関・費用の3点を整理します。今回報告された4技術は、すべて先進医療として「適」と評価され、すでに告示が適用されています。先進医療Aには、自然流産・死産の原因を調べる「流死産絨毛・胎児組織NGS染色体検査」が加わりました。先進医療Bには、転移性脳腫瘍・ユーイング肉腫・心臓疾患を対象とする治療3技術が加わりました。先進医療Bの3技術は、研究費や企業が先進医療に係る費用の全部または大部分を負担するため、患者が支払う先進医療分は0円から5万3千円に抑えられています。ただし、保険給付される部分の一部負担金は、これとは別に発生します。先進医療A:流産・死産の原因を調べるNGS染色体検査先進医療Aに加わったのは、流産・死産した組織の染色体を次世代シーケンサー(NGS)で解析する検査です。この検査は第152回先進医療会議(令和8年3月5日)で評価され、令和8年5月1日から告示が適用されています。先進医療Aは、主に未承認・適応外の医薬品等を使わない技術を対象とする区分です。具体的には、未承認・適応外の医薬品、医療機器、再生医療等製品を使わない技術が該当します。また、未承認・適応外の体外診断薬・検査薬・検査目的の医療機器を使う技術のうち、人体への影響が極めて小さいものも該当します。流死産絨毛・胎児組織NGS染色体検査は、自然流産や死産を経験した患者を対象とします。検査では、流産・死産した絨毛や胎児の組織から染色体の異常を調べます。解析には「OVUS POC解析システム」を用います。申請医療機関は藤田医科大学病院です。この検査の先進医療に係る費用は4万8千円です。追加で倍数性検査(染色体のセット数の異常を調べる検査)が必要な場合は1万5千円が加わり、合計6万3千円になります。一方、保険給付される費用と一部負担金は、流産・死産の状況によって次のように異なります。ア.流産(自然排出)の場合* 保険給付される費用:2万円* 一部負担金:9千円イ.流産手術を実施した場合* 保険給付される費用:4万7千円* 一部負担金:2万円ウ.死産の場合* 保険給付される費用:13万7千円* 一部負担金:5万9千円先進医療B:がんと心臓疾患を対象とする3つの治療技術先進医療Bに加わった3技術は、転移性脳腫瘍、ユーイング肉腫、心臓疾患の外科治療を対象とします。3技術は第153回・第154回先進医療会議(令和8年4月9日、5月7日)で評価されました。先進医療Bは、未承認・適応外の医薬品等を使う技術や、重点的な観察・評価が必要な技術を対象とする区分です。整理番号183:初発・再発転移性脳腫瘍に対する光線力学的療法光線力学的療法は、腫瘍に集まる薬剤を投与した後にレーザー光を当て、腫瘍細胞を破壊する治療です。対象は、開頭腫瘍摘出術を要する転移性脳腫瘍のうち、初発のもの、または放射線治療後に再発したものです。使用する医薬品・医療機器は、「注射用レザフィリン100mg」と「PD レーザ BT」(Meiji Seika ファルマ株式会社)です。申請医療機関は国立がん研究センター中央病院で、告示適用日は令和8年5月1日です。整理番号184:レゴラフェニブ併用多剤化学療法及びビノレルビン・シクロホスファミド維持療法この治療は、多剤併用の化学療法にレゴラフェニブ(スチバーガ錠)を加え、その後ビノレルビンとシクロホスファミドで維持療法を行うものです。対象は、初発のユーイング肉腫と、ユーイング肉腫に類似した円形細胞肉腫です。使用する医薬品は、スチバーガ錠、ロゼウス静注液、エンドキサン(錠・注射用)、オンコビン注射用、アドリアシン注射、注射用イホマイドです。申請医療機関は国立がん研究センター中央病院で、告示適用日は令和8年5月1日です。整理番号185:心臓移植レシピエント由来凍結保存同種組織を用いた外科治療この治療は、心臓移植を受けた患者(レシピエント)から得た組織を凍結保存し、他の患者の心臓手術に用いるものです。対象は、感染性心内膜炎や人工弁感染などの感染性心臓疾患、肺動脈閉鎖や狭窄を有する先天性心疾患(ファロー四徴症など)、自己肺動脈弁を用いた大動脈基部置換術(ロス手術)などです。また、大動脈基部置換術後や右室流出路再建術後の弁機能不全・仮性動脈瘤に対する再手術も対象です。使用する医薬品・医療機器はありません。申請医療機関は国立循環器病研究センターで、告示適用日は令和8年6月1日です。費用負担:研究費が先進医療分の患者負担を軽減先進医療の費用は、「先進医療に係る費用」「保険給付される費用」「一部負担金」の3つで構成されます。このうち患者が支払うのは、先進医療に係る費用と一部負担金の2つです。先進医療に係る費用は、保険給付されない費用です。この費用について、医療機関は患者に自己負担を求めることができます。ただし、研究費や企業が負担する場合、患者負担は減ります。保険給付される費用は、通常の診療と共通する部分(診察・検査・入院など)のうち保険者が負担する額です。この部分は「保険外併用療養費」として保険から給付されます。一部負担金は、この共通部分のうち患者が負担する額です。一部負担金には高額療養費制度が適用されるため、自己負担限度額を超えた分は払い戻しなどの対象となります。一方、先進医療に係る費用は高額療養費制度の対象外です。4技術の費用を並べると、先進医療Bの研究費負担の大きさがわかります。ただし、先進医療分の患者負担が0円でも、一部負担金は別に発生します。整理番号358(先進医療A):流死産NGS染色体検査* 先進医療に係る費用:4万8千円(追加の倍数性検査が必要な場合は合計6万3千円)* 保険給付される費用:2万円〜13万7千円(流産・死産の状況による)* 一部負担金:9千円〜5万9千円(流産・死産の状況による)整理番号183(先進医療B):転移性脳腫瘍の光線力学的療法* 先進医療に係る費用:51万8千円(全額研究費負担のため患者負担は0円)* 保険給付される費用:215万9千円* 一部負担金:93万1千円整理番号184(先進医療B):ユーイング肉腫の化学療法* 先進医療に係る費用:377万5千円(全額研究費・企業負担のため患者負担は0円)* 保険給付される費用:988万円* 一部負担金:420万円整理番号185(先進医療B):凍結保存同種組織による外科治療* 先進医療に係る費用:81万6千円(研究費で76万3千円を負担するため患者負担は5万3千円)* 保険給付される費用:454万9千円* 一部負担金:196万5千円上記の金額は、申請医療機関が記載した「典型的な1症例」の費用を四捨五入したものです。そのため、実際の費用は患者の状態や治療内容によって変わります。まとめ:先進医療4技術の対象と費用を押さえる中医協総会(第651回)では、先進医療4技術がすべて「適」と評価されたことが報告されました。先進医療Aには、流産・死産の原因を調べるNGS染色体検査が加わりました。先進医療Bには、転移性脳腫瘍、ユーイング肉腫、心臓疾患を対象とする治療3技術が加わりました。先進医療Bの3技術は研究費や企業の負担により、患者が支払う先進医療分が0円から5万3千円に抑えられています。ただし、保険給付される部分の一部負担金は別に発生します。参考資料:中央社会保険医療協議会 総会(第651回)資料 総-7「先進医療会議からの報告について」(令和8年6月24日) Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度診療報酬改定の検証調査7項目とスケジュールを解説
令和8年6月24日の中医協総会(第651回)で、診療報酬改定結果検証部会(以下、検証部会)が、令和8年度改定の結果を検証する特別調査の実施計画を報告しました。この特別調査の結果は、次回以降の診療報酬改定の議論の材料になるため、医療機関や薬局は調査の内容と時期を早めに把握しておく必要があります。本号では、報告された調査項目、検証のポイント、スケジュールを整理して解説します。特別調査は、改定時の答申書附帯意見をもとに7つの調査項目を設定し、令和8年度と令和9年度の2か年で実施します。令和8年度は、在宅医療、精神医療、長期処方・リフィル処方の3調査を実施します。令和9年度は、医療DX、歯科、保険薬局の立地、後発医薬品などに関する5調査を実施します。調査票の配付・回収は、令和8年度調査が12月~翌年1月、令和9年度調査が7~9月の予定です。検証の精度を高めるため、有効回答率の向上、質問項目の改善、NDBなど既存データの活用にも取り組みます。特別調査の全体像:附帯意見をもとに7項目を2か年で実施特別調査は、附帯意見のうち検証部会が担当する課題を7つの調査に整理し、外部委託で実施します。特別調査の目的は、改定の結果を検証するための資料を得ることです。その出発点となる附帯意見とは、中医協が改定の答申とあわせて示した、今後の検討課題のことです。令和8年度改定の附帯意見は全26項目あります。このうち検証部会が主な検討の場とされたのは、在宅医療・訪問看護、精神医療、医療DX、歯科、調剤、長期処方・リフィル処方、後発医薬品、医薬品の保険給付に関する10項目です。なお、附帯意見17のうちオンライン診療の部分は、検証部会ではなく入院・外来医療等の調査・評価分科会が担当します。この10項目の調査は、検証部会が直接おこなうのではなく、外部の受託業者に委託します。委託にあたっては、検証部会委員や関係学会などで構成する「調査検討委員会」を設置します。調査検討委員会は、抽出方法や客体数などの調査設計、調査票、集計・分析方法を検討します。10項目の附帯意見は、関連するものをまとめて、次の7つの調査に整理されました。(1) 在宅医療、在宅歯科医療、在宅訪問薬剤管理及び訪問看護の実施状況調査* 対応する附帯意見:14・15* 実施年度:令和8年度・令和9年度(2) 精神医療等の実施状況調査* 対応する附帯意見:16* 実施年度:令和8年度(3) 長期処方やリフィル処方の実施状況調査(その1)* 対応する附帯意見:22・24* 実施年度:令和8年度(4) 医療DXの実施状況調査* 対応する附帯意見:17* 実施年度:令和9年度(5) 歯科診療報酬の評価等に関する実施状況調査* 対応する附帯意見:19* 実施年度:令和9年度(6) 保険薬局の立地状況に対する調剤報酬改定の影響及び地域医療に貢献する保険薬局の取組に関する実施状況調査* 対応する附帯意見:20・21* 実施年度:令和9年度(7) 長期処方やリフィル処方箋、後発医薬品使用促進策の影響及び実施状況調査(その2)* 対応する附帯意見:22・23・24* 実施年度:令和9年度7つの調査のうち、在宅医療等の調査と長期処方・リフィル処方の調査は、2か年にわたって実施します。このため、年度ごとの調査数は、令和8年度が3調査、令和9年度が5調査となります。令和8年度に実施する3調査:在宅医療・精神医療・長期処方令和8年度は、在宅医療等、精神医療、長期処方・リフィル処方の3調査を実施します。以下では各調査を「改定内容」「検証のポイント」「調査対象」の順に説明します。在宅医療、在宅歯科医療、在宅訪問薬剤管理及び訪問看護の実施状況調査(その1)在宅医療等の調査は、在宅の4分野の改定が、提供体制と関係機関の連携にどう影響したかを検証します。改定内容として、令和8年度改定では在宅の4分野で次の見直しがおこなわれました。* 在宅医療:在宅医療充実体制加算の新設、連携型の機能強化型在宅療養支援診療所における自院による時間外往診体制の確保状況に応じた評価の細分化、在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の見直し、訪問診療薬剤師同時指導料の新設など* 在宅歯科医療:歯科訪問診療料、訪問歯科衛生指導料の評価の見直しなど* 在宅訪問薬剤管理:在宅訪問をおこなう保険薬局の体制評価の見直し、評価の充実など* 訪問看護:地域と連携して精神科訪問看護を提供する訪問看護ステーションの評価、同一建物居住者等への訪問看護の見直しなど検証のポイントは、訪問診療の実施状況、24時間往診体制の確保状況、薬剤師との同時訪問による残薬対策、介護保険施設等との連携状況などです。歯科訪問診療、訪問薬剤管理指導、訪問看護についても、実施状況と関係機関との連携状況を検証します。調査対象は、保険医療機関、保険薬局、訪問看護ステーション、患者・利用者、介護サービス事業所などの連携機関です。この調査は、令和9年度にも「その2」として継続します。精神医療等の実施状況調査精神医療の調査は、地域移行・地域生活支援を含む質の高い精神医療に、改定がどう影響したかを検証します。改定内容として、令和8年度改定では次の見直しがおこなわれました。* 新設:精神病棟看護・多職種協働加算、精神科慢性身体合併症管理加算、精神科地域密着多機能体制加算、公認心理師による認知行動療法の評価* 要件の見直し:精神科救急医療体制加算、精神科救急急性期医療入院料、精神科急性期医師配置加算など* 評価の見直し・拡大:通院・在宅精神療法、早期診療体制充実加算、児童思春期支援指導加算、心理支援加算の対象疾患検証のポイントは、入院・外来・在宅それぞれの取組状況と、情報通信機器を用いた精神療法の実施状況です。主な調査事項には、精神病棟の多職種配置の状況、通院・在宅精神療法における指定医・非指定医の診療状況、公認心理師による心理支援の実施状況が含まれます。調査対象は、保険医療機関と患者です。長期処方やリフィル処方の実施状況調査(その1)長期処方・リフィル処方の調査は、長期処方とリフィル処方箋の活用が、改定でどう変わったかを検証します。改定内容として、令和8年度改定では、計画的な医学管理を評価する医学管理料の要件と、処方箋様式が見直されました。検証のポイントは、長期処方とリフィル処方箋の活用に対する改定の影響です。主な調査事項は、長期処方とリフィル処方箋の実施状況、認知度・意識、保険薬局の対応状況です。調査対象は、保険医療機関、保険薬局、患者です。この調査は、令和9年度に後発医薬品の調査と合わせて「その2」として継続します。令和9年度に実施する5調査:医療DX・歯科・薬局・後発医薬品令和9年度は、継続2調査と新規3調査を合わせた5調査を実施します。継続2調査は、在宅医療等の調査(その2)と、長期処方・リフィル処方に後発医薬品を加えた調査(その2)です。新規3調査は、医療DX、歯科、保険薬局の立地に関する調査です。以下では、在宅医療等(その2)を除く4調査を、令和8年度と同じ順序で説明します。医療DXの実施状況調査医療DXの調査は、医療DXを推進する体制の確保と、それによる質の高い医療の提供状況を検証します。改定内容として、令和8年度改定では、診療録管理体制加算、医療情報取得加算、医療DX推進体制整備加算が見直されました。あわせて、電子的診療情報連携体制整備加算、電子的歯科診療情報連携体制整備加算、電子的調剤情報連携体制整備加算などが新設されました。検証のポイントは、新設加算の算定状況と、施設基準に関係する電子処方箋、電子カルテ、電子カルテ情報共有サービス、地域医療情報連携ネットワークの導入状況です。救急時医療情報閲覧機能の導入状況とサイバーセキュリティ対策の実施状況も調査します。調査対象は、保険医療機関、歯科保険医療機関、保険薬局、訪問看護ステーション、患者・利用者です。歯科診療報酬の評価等に関する実施状況調査歯科の調査は、歯科疾患の継続的な管理、歯科治療のデジタル化、歯科衛生士・歯科技工士の業務の3点について、改定の影響を検証します。改定内容として、令和8年度改定では次の見直しがおこなわれました。* 継続的な管理:歯科疾患・口腔機能の管理や治療の評価の見直し、歯科標榜のない病院からの依頼による歯科訪問診療の評価や糖尿病患者の医科歯科連携の評価の新設など* デジタル化:CAD/CAM冠等の適応拡大、3Dプリンタを活用した有床義歯の評価の新設* 人材確保:歯科衛生士・歯科技工士の業務の評価の見直し検証のポイントは、重症化予防や口腔機能の管理の算定状況、医科歯科連携の算定状況、歯科用貴金属以外の治療の算定状況、歯科衛生士・歯科技工士の評価の算定状況です。主な調査事項には、医科連携訪問加算、重症化予防連携強化加算、口腔機能実地指導料、歯科技工士連携加算の算定状況が含まれます。調査対象は、歯科医療機関(病院・診療所)と患者です。保険薬局の立地状況に対する調剤報酬改定の影響及び地域医療に貢献する保険薬局の取組に関する実施状況調査保険薬局の調査は、立地に依存した薬局への評価の見直しと、かかりつけ機能の評価の転換が、薬局の立地と取組にどう影響したかを検証します。改定内容として、令和8年度改定では、いわゆる門前薬局など立地に依存した保険薬局の評価が見直されました。また、かかりつけ薬剤師の評価が、包括的な評価から実績を重視する評価に転換されました。検証のポイントは、敷地内・特定医療機関周辺・医療モール内といった立地形態や処方箋集中率への影響、都市と地方における薬局・薬剤師の偏在の状況です。地域医療への貢献として、医療機関や多職種との連携、夜間・休日の医薬品提供体制、かかりつけ薬剤師による対人業務の取組状況も検証します。調査対象は、保険医療機関、保険薬局、患者です。長期処方やリフィル処方箋、後発医薬品使用促進策の影響及び実施状況調査(その2)後発医薬品を加えたこの調査は、令和8年度の長期処方・リフィル処方の調査を引き継ぎ、後発医薬品の使用促進策の影響もあわせて検証します。改定内容として、令和8年度改定では、一般名処方加算の評価の見直しや、医薬品の安定供給に資する体制の評価などがおこなわれました。検証のポイントは、一般名処方の実施状況、後発医薬品・バイオ後続品の調剤・使用・備蓄の状況、安定供給に資する取組の状況です。医薬品の供給状況の変化も加味して分析します。医師、歯科医師、薬剤師、患者の後発医薬品・バイオ後続品に対する意識も調査します。さらに、OTC類似薬の使用状況もあわせて調査します。調査対象は、保険医療機関、保険薬局、患者です。調査スケジュール:令和8年度は12月、令和9年度は7月から調査票を配付調査票の配付・回収は、令和8年度調査が令和8年12月~令和9年1月、令和9年度調査が令和9年7~9月の予定です。両年度とも、業者調達、調査設計、調査実施、結果検討の4工程で進みます。令和8年度調査* 受託業者の調達・決定:令和8年7~8月* 調査設計・調査票の検討:令和8年9~11月* 調査の実施(配付・回収・集計・分析):令和8年12月~令和9年1月* 調査結果の検討:令和9年2~3月令和9年度調査* 受託業者の調達・決定:令和9年3~4月* 調査設計・調査票の検討:令和9年5~6月* 調査の実施(配付・回収・集計・分析):令和9年7~9月* 調査結果の検討:令和9年10~11月調査設計の工程では、調査検討委員会が検討した調査票を、検証部会と総会で決定します。調査結果の検討の工程では、調査検討委員会の検討後、結果がまとまり次第、検証部会と総会に報告されます。予定どおり進めば、本号発行時点(令和8年10月)で、令和8年度調査は調査設計の段階にあります。検証の精度を高める3つの対応検証部会は、より適切な検証のため、有効回答率の向上、適切な質問項目の設定、NDBなど既存データの活用の3つに取り組みます。有効回答率の向上では、回答者の負担を軽くする工夫を重ねます。具体的には、電子調査票やWEB調査の活用、調査目的に沿った必要最低限の質問、分かりやすい質問項目の設定を進めます。あわせて、関係団体から会員への協力のアナウンスや、未回答施設への督促もおこないます。適切な質問項目の設定では、前回の調査で答えにくかった質問を見直します。具体的には、無回答や「その他」の回答が多かった質問項目について、関係者の意見を聞いて分かりやすく改善します。NDBなど既存データの活用では、アンケート調査だけでは把握しにくい全体像を補います。NDBとは、全国のレセプト情報などを集めた国のデータベースです。具体的には、診療報酬項目の算定施設数・算定件数や改定の影響をNDBで分析します。さらに、検証調査の回答データとNDBデータのクロス集計もおこないます。まとめ:調査の時期と内容を把握し、回答に備えましょう令和8年度改定の特別調査は、附帯意見をもとに7項目を設定し、2か年で実施します。令和8年度は在宅医療、精神医療、長期処方・リフィル処方の3調査を、令和9年度は医療DX、歯科、保険薬局の立地、後発医薬品などの5調査を実施します。調査票の配付・回収は、令和8年度調査が12月~翌年1月、令和9年度調査が7~9月の予定です。検証の精度を高めるため、回答しやすい調査票づくりとNDBの活用も進められます。特別調査の結果は、次回以降の診療報酬改定の議論の根拠になります。調査票が届いた医療機関や薬局は、現場の実態を改定に反映させる機会として、回答に協力することをおすすめします。参考資料:中央社会保険医療協議会 総会(第651回)令和8年6月24日 総-6「診療報酬改定結果検証部会からの報告について」 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
最適使用推進ガイドライン5品目を解説|胃癌・OSAS・MASHの新要件
令和8年6月24日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第651回)で、5品目の最適使用推進ガイドラインの作成・改訂が報告されました。最適使用推進ガイドラインとは、革新的な医薬品等を「恩恵を強く受ける患者」に「副作用へ対応できる施設」で使うための要件を、厚生労働省が定めたものです。このガイドラインは保険適用上の留意事項通知と連動しており、要件を満たさない投与は保険請求で認められない可能性があります。本メルマガでは、報告された5品目について、対象患者・施設要件・診療報酬明細書(レセプト)の記載事項を領域別に解説します。今回の報告の要点は、代謝・がん・血液の3領域で、新たな適応に投与できる患者と施設が明確に限定されたことです。代謝領域では、ゼップバウンドが閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)に、ウゴービが代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)に使えるようになり、専門医・常勤管理栄養士の体制と定期的な効果判定が要件となりました。がん領域では、テビムブラとイミフィンジが胃癌に使えるようになり、がん診療連携拠点病院等での使用と、PD-L1発現や臨床病期による患者の見極めが求められます。血液領域では、CAR-T細胞療法のブレヤンジの対象に辺縁帯リンパ腫が加わり、ガイドラインのみが改訂されました。【代謝】ゼップバウンド皮下注(チルゼパチド)* 今回の対象効能:中等症以上の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(BMI 27kg/m²以上)* ガイドライン:作成* 留意事項通知:要件追加* 発出日・適用日:令和8年5月18日【代謝】ウゴービ皮下注(セマグルチド)* 今回の対象効能:肝硬変を伴わないMASH(中等度又は高度の線維化)* ガイドライン:作成* 留意事項通知:要件追加* 発出日・適用日:令和8年6月19日【がん】テビムブラ点滴静注(チスレリズマブ)* 今回の対象効能:治癒切除不能な進行・再発の胃癌* ガイドライン:作成* 留意事項通知:要件追加* 発出日・適用日:令和8年6月19日【がん】イミフィンジ点滴静注(デュルバルマブ)* 今回の対象効能:胃癌における術前・術後補助療法* ガイドライン:作成* 留意事項通知:要件追加* 発出日・適用日:令和8年6月19日【血液】ブレヤンジ静注(リソカブタゲン マラルユーセル)* 今回の対象効能:再発又は難治性の辺縁帯リンパ腫(追加)* ガイドライン:改訂* 留意事項通知:変更なし* 発出日・適用日:令和8年4月3日※発出日・適用日は、いずれも製造販売承認事項一部変更承認日と同日付です。1. 代謝領域:ゼップバウンドとウゴービは専門医・栄養指導・定期評価が要件代謝領域の2品目は、どちらも肥満症に続く新たな適応でガイドラインが作成されました。2品目には、「施設・医師要件」「投与前の患者要件」「投与中の継続・中止要件」という共通の3つの要件があります。どちらの品目も、美容・痩身・ダイエット目的での使用は認められていません。ゼップバウンド(チルゼパチド):中等症以上のOSAS有効性:ゼップバウンドは、国際共同第III相試験で、睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)をプラセボより大きく減らしました。PAP療法(睡眠中にマスクで気道に圧をかける治療)を実施できない又は望まない患者の試験では、52週時のAHI変化量が本剤群-28.1、プラセボ群-4.2でした(群間差-22.5)。PAP療法を実施中の患者の試験でも、AHI変化量は本剤群-29.4、プラセボ群-7.9でした(群間差-24.4)。施設・医師要件:ゼップバウンドを使う施設は、循環器内科・呼吸器内科・耳鼻咽喉科・内科のいずれかを標榜する保険医療機関でなければなりません。この施設には、OSAS関連(日本循環器学会・日本呼吸器学会・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)又は肥満症関連(日本内分泌学会・日本糖尿病学会)の専門医を持つ常勤医師が1人以上必要です。さらに、OSAS関連と肥満症関連の両分野の専門医の関与が必要であり、自施設にいない分野は他施設との連携体制で補います。加えて、上記学会の教育研修施設であることと、常勤管理栄養士による栄養指導の体制が求められます。患者要件:投与対象は、PSG検査でAHIが15以上(簡易検査ではREIが30以上)の中等症以上のOSAS患者です。この患者のうち、食事療法・運動療法を自施設で3ヵ月以上実施し、管理栄養士の栄養指導を最低1回受けても、十分な体重減少が得られない患者に限られます。ただし、肥満低換気症候群や心不全で早期の治療開始が必要な患者は、この3ヵ月要件を満たさなくても投与を考慮できます。BMIは、臨床試験の組入れ状況から原則30kg/m²以上とし、27以上30未満の患者には慎重に判断します。継続・中止要件:投与期間は、臨床試験の期間に合わせて最大52週間です。投与中は、2ヵ月に1回以上の管理栄養士による栄養指導が必要です。3〜4ヵ月投与しても減量傾向がない場合と、投与開始から6〜7ヵ月を目安に行うPSGでOSASの改善傾向がない場合は、投与を中止します。レセプト記載:レセプト摘要欄には、投与開始時に「医療施設要件」「治療責任者要件」「患者要件」のいずれに該当するかを記載します。継続投与時には、継続投与の判断について記載します。ウゴービ(セマグルチド):肝硬変を伴わないMASH有効性:ウゴービは、国際共同第III相試験の中間解析(最初に無作為割り付けされた800例)で、肝臓の組織所見をプラセボより改善しました。72週時に「肝線維化の悪化を伴わないNASH(現MASH)の消失」を達成した割合は、本剤群62.9%、プラセボ群34.3%でした。「NASHの悪化を伴わない肝線維化の改善」を達成した割合は、本剤群36.8%、プラセボ群22.4%でした。施設・医師要件:ウゴービを使う施設は、消化器内科・肝臓内科・内科のいずれかを標榜する保険医療機関でなければなりません。この施設には、肝臓関連(肝臓専門医・消化器病専門医)又は心代謝系関連(日本内分泌学会・日本糖尿病学会・日本循環器学会)の専門医を持つ常勤医師が必要です。さらに、肝臓関連と心代謝系関連の両分野の専門医の関与が必要であり、自施設にいない分野は他施設との連携体制で補います。加えて、上記学会の教育研修施設であることと、常勤管理栄養士による栄養指導の体制が求められます。患者要件:投与対象は、肝線維化ステージがF2又はF3であることを肝生検で確認した患者です。生検が適切でない場合は、エラストグラフィ(VCTE等)や血液検査(FIB-4等)などの非侵襲的検査に基づき、肝臓専門医又は消化器病専門医が総合的に判断します。BMIは19.0kg/m²未満では投与できず、原則23.0kg/m²以上とします。19.0以上23.0未満の患者には、効果が小さい傾向があるため慎重に判断します。継続・中止要件:投与中は、2ヵ月に1回以上の栄養指導が必要です(管理栄養士又は肝臓関連専門医の主治医が実施)。3〜4ヵ月投与しても改善傾向がない場合は、投与中止を検討します。投与開始12ヵ月後を目安に生検又は非侵襲的検査で肝臓を評価し、改善がない場合やF4への進行がある場合は原則として中止します。レセプト記載:レセプト摘要欄には、投与開始時に「医療施設要件」「治療責任者要件」「患者要件」のいずれに該当するかを記載します。継続投与時には、継続投与の判断について記載します。2. がん領域:テビムブラとイミフィンジは拠点病院等での使用と患者の見極めが要件がん領域の2品目は、どちらも免疫チェックポイント阻害薬として、胃癌の新たな適応でガイドラインが作成されました。2品目の施設・医師要件とレセプト記載事項は共通です。一方、投与対象の絞り込み方は、テビムブラがPD-L1発現、イミフィンジが臨床病期で異なります。共通の施設・医師要件:施設は、がん診療連携拠点病院等、特定機能病院、都道府県指定のがん診療連携病院、外来腫瘍化学療法診療料1〜3の届出施設、抗悪性腫瘍剤処方管理加算の届出施設のいずれかでなければなりません。治療の責任者には、がん薬物療法を含む所定年数の臨床研修・修練を積んだ医師(臨床腫瘍学、消化器外科学又は消化器病学)を配置します。また、間質性肺疾患などの重篤な副作用に24時間体制で対応できる体制が必要です。共通のレセプト記載:レセプト摘要欄には、「医療施設要件」と「治療責任者要件」のいずれに該当するかを記載します。他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、その旨も記載します。テビムブラ(チスレリズマブ):治癒切除不能な進行・再発の胃癌有効性:テビムブラは、国際共同第III相試験で、化学療法との併用により全生存期間(OS)を延長しました。PD-L1発現(TAP)が5%以上の集団では、中間解析のOS中央値が本剤併用群17.2ヵ月、プラセボ併用群12.6ヵ月でした(ハザード比0.74)。全体集団(ITT集団)では、最終解析のOS中央値が本剤併用群15.0ヵ月、プラセボ併用群12.9ヵ月でした(ハザード比0.80)。患者要件:投与対象は、HER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌患者です。併用する化学療法は、オキサリプラチン+カペシタビン、又はシスプラチン+5-FUに限られます。PD-L1発現別の探索的解析では、OSのハザード比がTAP 10%以上で0.57だった一方、TAP 5%未満と5%以上10%未満ではいずれも0.91にとどまりました。このため、投与前にTAPを確認することが望ましく、TAPが10未満の患者には本剤以外の治療選択肢も考慮します。イミフィンジ(デュルバルマブ):胃癌における術前・術後補助療法有効性:イミフィンジは、国際共同第III相試験(MATTERHORN試験)で、FLOT療法との併用により無イベント生存期間(EFS)を延長しました。EFSのハザード比は0.71で、対照群の中央値32.8ヵ月に対し、本剤併用群は中央値に達していません。重要な副次評価項目のOSでも、ハザード比は0.78でした。患者要件:投与対象は、臨床病期II〜IVAの周術期の胃癌患者です(食道胃接合部腺癌も対象となり得ます)。併用はFLOT療法(フルオロウラシル、レボホリナート、オキサリプラチン、ドセタキセル)に限られ、投与回数は術前2回まで、術後12回までです。臨床病期別の探索的解析では、IIA期とIIB期で対照群と比べたEFSとOSの延長傾向が認められませんでした。このため、IIA期とIIB期の患者には、本剤以外の治療も十分に検討します。3. 血液領域:ブレヤンジは辺縁帯リンパ腫が追加され、留意事項は変更なしブレヤンジは、CD19を標的とするCAR-T細胞療法(患者自身のT細胞を遺伝子改変して投与する再生医療等製品)です。今回、対象に再発又は難治性の辺縁帯リンパ腫(MZL)が加わり、ガイドラインが改訂されました。留意事項通知に変更はないため、レセプト記載の対応は従来どおりです。有効性:ブレヤンジは、国際共同第II相試験のMZLコホートで高い奏効を示しました。全奏効割合は95.5%で、事前に設定した閾値50%を上回りました。サブタイプ別でも、節外性・脾・節性のいずれのMZLでも全奏効割合は94%以上でした。患者要件:MZLの投与対象は、全身療法歴が2レジメン以上の患者です。造血幹細胞移植と脾MZLへの脾臓摘出はレジメンに数えますが、節外性MZLへの抗菌薬治療は数えません。また、抗CD20抗体を含む多剤併用療法歴がない患者と、同種造血幹細胞移植から90日以内の患者は対象外です。全効能共通で、CD19を標的としたCAR-T細胞療法の治療歴がない患者に限られます。施設要件:施設要件は従来から変わりません。日本造血・免疫細胞療法学会の移植施設認定カテゴリー1(又は準ずる診療科)、特定集中治療室管理料の届出、アフェレーシスの監視体制、患者登録システムへの登録などが引き続き求められます。まとめ:新たな適応ごとに施設・患者・レセプトの3点を確認第651回中医協総会では、5品目の最適使用推進ガイドラインの作成・改訂が報告されました。代謝領域のゼップバウンド(OSAS)とウゴービ(MASH)では、両分野の専門医の関与、常勤管理栄養士による2ヵ月に1回以上の栄養指導、定期的な効果判定と中止判断が要件です。がん領域のテビムブラとイミフィンジ(胃癌)では、拠点病院等での使用に加え、PD-L1発現(TAP 10未満)や臨床病期(IIA・IIB期)に応じた患者の見極めが求められます。血液領域のブレヤンジでは辺縁帯リンパ腫が追加されましたが、留意事項通知に変更はありません。各医療機関は、自施設が施設要件を満たすかを確認し、レセプト摘要欄に該当する要件を漏れなく記載してください。※本メルマガは、中医協総会(第651回、令和8年6月24日)資料「総-5」及び「総-5参考1〜6」に基づいて作成しています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
テロメライシンを医薬品の例で対応する案|中医協が示した保険適用の考え方
令和8年6月24日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第651回)で、再生医療等製品「テロメライシン注」の医療保険上の取扱いが議題になりました。再生医療等製品には保険上の独自の体系がまだないため、製品ごとに「医薬品の例」と「医療機器の例」のどちらで対応するかを判断する必要があります。本号では、テロメライシンの特徴と、事務局が示した取扱い案およびその根拠となるルールを解説します。テロメライシンについては、医薬品の例により対応し、薬価基準への収載を審議する案が示されました。第一に、テロメライシンは食道癌の腫瘍内に投与し、腫瘍内で増殖して腫瘍細胞を溶解させることが期待される遺伝子組換えウイルス製剤です。第二に、医薬品の例とする理由は、医薬品と同様の使用方法と薬理的作用による治療効果が期待されるからです。第三に、この案は平成26年に了承されたルールに沿っており、今後は薬価算定組織が償還価格を検討したうえで、中医協総会が薬価基準への収載を審議します。テロメライシンは食道癌を対象とする遺伝子組換えウイルス製剤テロメライシンは、放射線療法と併用して食道癌の腫瘍内に直接投与する製品です。以下では、製品の仕組み、対象患者と使い方、承認条件、有効性データの順に説明します。テロメライシンの仕組みは、hTERT遺伝子プロモーターの制御下で増殖するように改変したアデノウイルスにあります。一般的名称はスラタデノツレブで、収載希望者はオンコリスバイオファーマ株式会社です。本品は、ヒトアデノウイルス5型の増殖に関わる遺伝子(E1A遺伝子、E1B遺伝子)を、hTERT(ヒトテロメラーゼ逆転写活性酵素)遺伝子プロモーターの制御下で同時に発現するように改変しています。腫瘍内に投与された本品がhTERTを高発現する腫瘍細胞に感染すると、腫瘍内で増殖し、腫瘍細胞を溶解させることで抗腫瘍効果を示すことが期待されています。テロメライシンの対象患者は、根治切除と化学放射線療法のどちらも適応とならない食道癌の患者です。用法は、放射線療法との併用で、通常、成人に1回あたり1mL(1×10¹²vp)を概ね2週間間隔で計3回投与します。投与は上部消化管内視鏡を使い、腫瘍内におこないます。腫瘍の大きさや数によっては、1回あたり2mL(2×10¹²vp)まで増量できます。承認区分は、新再生医療等製品(希少疾病用再生医療等製品)です。テロメライシンの承認には、3つの条件が付いています。1つ目は、製造販売後、一定数の症例データが集まるまで、全症例を対象に使用成績調査を実施することです。2つ目は、食道癌治療と上部消化管内視鏡診療に十分な知識と経験を持つ医師が、食道癌の治療に係る体制の整った医療機関で使用するよう、必要な措置を講ずることです。3つ目は、遺伝子組換え生物等の使用を規制する法律(いわゆるカルタヘナ法)に基づき承認された第一種使用規程を守って使用するよう、必要な措置を講ずることです。テロメライシンの有効性は、国内第Ⅱ相試験(OBP101JP試験)で検討されました。この試験は、根治切除と化学放射線療法が適応とならない局所進行食道癌(臨床病期ⅡおよびⅢ)の患者を対象とした、非盲検非対照試験です(目標症例数37例、有効性の解析対象36例)。放射線療法は本品の初回投与3日後に開始し、1日あたり2.0グレイを週5日、約6週間続けました。主要評価項目は局所完全奏効率(L-CR:局所の治療効果が完全奏効と判定された患者の割合)です。L-CRは、投与開始後24週までで41.7%(15/36例、90%信頼区間27.7~56.7%)でした。投与開始後18か月までのL-CRは、50.0%(18/36例、90%信頼区間35.3~64.7%)でした。医薬品と同様の使用方法と薬理的作用が期待されるため「医薬品の例」で対応する案テロメライシンを医薬品の例で対応する理由は、医薬品と同様の使用方法と薬理的作用による治療効果が期待される製品だからです。資料では、この2点を踏まえて医薬品の例により対応する案が示されています。テロメライシンの使用方法は、決められた用量を一定の間隔で腫瘍内に投与するものです。資料は、この使用方法を医薬品と同様のものと位置づけています。テロメライシンの薬理的作用は、投与した本品が腫瘍内で増殖し、腫瘍細胞を溶解させて抗腫瘍効果を示すことが期待されるものです。資料は、この作用による治療効果も医薬品と同様のものと位置づけています。判断の枠組みは平成26年のルールにさかのぼるテロメライシンの取扱い案は、平成26年11月5日の中医協総会で了承されたルールに沿っています。参考資料では、令和8年1月14日に了承された、条件及び期限付き承認を受けた製品に関するルールも併せて示されています。平成26年のルールでは、再生医療等製品の保険適用を3つの段階で進めます。第1段階では、薬事承認の結果を踏まえ、製品ごとに医薬品の例か医療機器の例かを判断します。第2段階では、薬価算定組織または保険医療材料専門組織が、償還価格(保険で支払われる製品の価格)を検討します。第3段階では、その検討結果を踏まえ、中医協総会が薬価基準または材料価格基準に収載するかを審議します。なお、再生医療等製品の保険上の取扱いに関し独自の体系を作るかどうかは、知見が蓄積した後に引き続き中医協総会で検討するとされています。令和8年1月のルールでは、条件及び期限付き承認を受けた製品も、通常の承認を受けた製品と同様に扱います。つまり、医薬品の例と医療機器の例のどちらで算定するかは、薬事承認の結果を踏まえて判断します。さらに、条件及び期限付き承認を受けた製品の事例が集まるなど状況が変わった場合は中医協総会に報告し、必要に応じて取扱いの見直しを審議するとしています。なお、テロメライシンの承認区分は資料上「新再生医療等製品(希少疾病用再生医療等製品)」と記載されています。テロメライシンの取扱い案は、この枠組みの第1段階として「医薬品の例」で対応するものです。案のとおり進めば、第2段階として薬価算定組織が償還価格を検討します。その後、第3段階として中医協総会が薬価基準への収載を審議します。まとめ:テロメライシンは医薬品の例で薬価基準への収載を審議する案テロメライシンについては、医薬品の例により対応し、薬価基準への収載を審議する案が示されました。テロメライシンは、食道癌の腫瘍内で増殖して腫瘍細胞を溶解させることが期待される遺伝子組換えウイルス製剤です。医薬品の例とする理由は、医薬品と同様の使用方法と薬理的作用による治療効果が期待されるからです。この案は平成26年のルールに沿っており、今後は薬価算定組織での検討を経て、中医協総会で薬価基準への収載が審議されます。【参考資料】* 中医協 総-4「再生医療等製品の取扱いについて(テロメライシン)」(令和8年6月24日)* 中医協 総-4参考「再生医療等製品の医療保険上の取扱いについて」(令和8年6月24日) Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
中医協第651回|吸収性食道ステントと新検査2件の保険適用を解説
令和8年6月24日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第651回)で、医療機器1品目と臨床検査2品目の保険適用案が示されました。3品目はいずれも新しい区分や新しい算定ルールを伴うため、価格だけでなく算定要件の確認が欠かせません。本号では、3品目の保険償還価格・保険点数と、請求時に押さえるべき留意事項を整理します。3品目の要点は「新しい治療・検査の選択肢が、使用場面を限定して保険に組み込まれる」ことです。1つめの吸収性食道用ステントは、償還価格261,000円で令和8年9月1日に収載予定です。2つめのAPOE遺伝型検査は、2,274点で令和8年7月1日に収載予定です。3つめのp16/Ki-67二重免疫染色は、1,067点で令和8年7月1日に収載予定です。* ELLA-BDステントPX* 区分:C1(新機能)* 価格:261,000円* 収載予定日:令和8年9月1日* PrismGuide APOE 遺伝型判定キット* 区分:E3(新項目)* 点数:2,274点* 収載予定日:令和8年7月1日* ベンタナ CINtec PLUS Cytology Dual Stain* 区分:E3(新項目)* 点数:1,067点* 収載予定日:令和8年7月1日※C1(新機能)は新たな機能区分の設定が必要な医療材料、E3(新項目)は新しい測定項目の検査を指します。吸収性食道用ステント「ELLA-BDステントPX」:261,000円で新たな材料区分を設定ELLA-BDステントPX(株式会社パイオラックスメディカルデバイス)は、難治性良性食道狭窄に使う吸収性の食道用ステントです。このステントには、価格、臨床成績、算定ルールの3点で押さえるべき情報があります。価格は、原価計算方式により261,000円とされました。 この価格は、補正加算なしで算定されています。企業は有用性加算15%を含む383,000円を希望していました。外国平均価格(274,522円)との比は、企業希望の1.4に対し、決定案では0.95です。ピーク時(10年度)の予測販売金額も、企業予測の2.28億円から1.55億円に下がりました。なお、関連技術料は「K522-2 食道ステント留置術」6,300点です。臨床成績は、企業提出資料で2つの試験結果が示されました。 18例の検証的試験では、留置3か月後の狭窄改善割合が61.1%、嚥下障害スコアの改善割合が66.7%でした。無処置生存期間(再処置なしで過ごせた期間)の中央値は97.4日でした。資料では、従来の治療であるバルーン拡張術の無処置生存期間を20日としています。30例の治験では、狭窄改善割合が36.7%、嚥下障害スコアの改善割合が46.7%、無処置生存期間の中央値が100.0日でした。安全性では、再狭窄と粘膜過形成が多く見られました。 30例中、再狭窄は23例、粘膜過形成は21例で発生しました。重篤な有害事象は7例で、脳膿瘍と食道左房瘻が含まれます。この結果を受け、適正使用指針では、ステント留置部位に放射線療法や放射線化学療法を施行している患者が禁忌とされました。この適正使用指針は、日本消化器内視鏡学会と日本食道学会が公表予定で、対象患者、実施施設基準、実施医基準などが示されます。算定ルールは、新設される「245 吸収性食道用ステント」の留意事項で定められます。 留意事項は次の3点です。* 使用条件:関連学会の指針に従い、難治性良性食道狭窄の患者に使った場合に限り算定できます。医学的必要性を診療報酬明細書の摘要欄に記載します。* 手術あたりの上限:1回の手術につき1個まで算定できます。* 患者あたりの上限:患者1人につき原則2個まで算定できます。3個以上算定する場合は、医学的必要性を摘要欄に記載します。APOE遺伝型検査「PrismGuide APOE 遺伝型判定キット」:2,274点でARIAリスク判定を補助PrismGuide APOE 遺伝型判定キット(シスメックス株式会社)は、抗アミロイドβ抗体薬を使う前に、副作用リスクを把握するための検査です。この検査についても、価格、臨床性能、算定ルールの順に見ていきます。点数は、既存の「D006-17 NUDT15遺伝子多型」を準用し、2,274点とされました。 準用とは、新しい検査に既存の検査項目の点数を当てはめる方法です。企業は、NUDT15遺伝子多型の令和8年度改定前の点数(2,100点)2回分にあたる4,200点を希望していました。ピーク時(2年度)の予測販売金額は、企業予測の9.8億円から5.3億円になりました。推定適用患者数はピーク時(6年度)で28,800人です。臨床性能は、APOEε4保因状況別に見た対照法との判定一致率が100%でした。 この結果は、抗アミロイドβ抗体薬の国際共同第Ⅲ相試験の検体を使った臨床性能試験によるものです。この検査は、全血から抽出したゲノムDNAでAPOE遺伝型をリアルタイムPCR法により判定します。判定の目的は、ARIA(アミロイド関連画像異常)の発現リスクを把握することです。ARIAは抗アミロイドβ抗体薬の投与後にMRIで見られる異常所見で、まれに致命的となります。ARIAの発現割合は、APOEε4を持たない人、1つ持つ人(ヘテロ接合型)、2つ持つ人(ホモ接合型)の順に高くなりました。算定ルールは、最適使用推進ガイドラインの対象に限られます。 対象は、アルツハイマー病による軽度認知障害・軽度の認知症の進行抑制薬について、厚生労働省のガイドラインが定める患者と投与施設です。算定は、投与の可否や治療方針を判断する目的で測定した場合に、患者1人につき1回に限られます。子宮頸部病変の検査「ベンタナ CINtec PLUS Cytology Dual Stain」:1,067点でコルポスコピーの要否判断を支援ベンタナ CINtec PLUS Cytology Dual Stain(ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社)は、子宮頸部上皮内病変の診断を補助する検査です。この検査も、価格、臨床性能、算定ルールの順に整理します。点数は、2つの既存項目を合算した1,067点とされました。 合算の内訳は、「N002 免疫染色 8 p16タンパク」720点と「D023 微生物核酸同定・定量検査 10 HPV核酸検出」347点です。企業はp16タンパク2回分にあたる1,440点を希望していました。ピーク時(9年度)の予測販売金額は、企業予測の10.61億円から5.4億円になりました。臨床性能は、HPV DNA検査より特異度と陽性的中率が有意に高い結果でした。 この検査は、子宮頸部の細胞でp16タンパクとKi-67タンパクを同時に染め分けます。両方が陽性の細胞は、細胞周期に異常をきたした細胞と判定されます。IMPACT Studyの細胞診LSIL群(25~65歳、741例)の結果は次のとおりです。* ≧CIN2の検出(本品/HPV DNA検査)* 感度:93.0%/90.6%* 特異度:35.1%/24.6%* 陽性的中率:23.0%/20.1%* ≧CIN3の検出(本品/HPV DNA検査)* 感度:97.0%/97.0%* 特異度:31.5%/22.9%* 陽性的中率:6.2%/5.5%感度は両検査で同程度でした。一方、特異度(p<0.0001)と陽性的中率(≧CIN2:p=0.0002、≧CIN3:p=0.0311)は、本品が有意に高い結果でした。算定ルールは、対象患者と施設要件の両方で限定されます。 対象は、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)が疑われ、事前の細胞診でベセスダ分類上LSIL(軽度扁平上皮内病変)と判定された患者です。算定は、コルポスコピーや生検の要否を判断する目的で実施した場合に限られます。施設要件は次の2点です。* 医師要件:産婦人科の経験を5年以上有する医師が配置されていること* 標榜要件:産婦人科を標榜し、常勤の医師が配置されていることまとめ:3品目とも「使う場面」を絞った保険適用中医協第651回総会で示された3品目は、いずれも対象患者や目的を限定したうえで保険に組み込まれます。吸収性食道用ステントは261,000円で、学会指針に沿った使用と個数上限が条件です。APOE遺伝型検査は2,274点で、抗アミロイドβ抗体薬の投与判断のため患者1人1回に限られます。p16/Ki-67二重免疫染色は1,067点で、LSIL判定後の精密検査の要否判断と施設要件が条件です。3品目とも企業希望価格を下回っており、請求時は摘要欄の記載や算定回数の上限に注意しましょう。出典:中央社会保険医療協議会 総会(第651回、令和8年6月24日)資料「総-3 医療機器及び臨床検査の保険適用について」 ※本号の価格・点数・留意事項は、同資料で示された案に基づきます。臨床成績は企業提出資料を基にした内容です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
費用対効果評価で2品目が「効果同等」判定 中医協651回総会を解説
令和8年6月24日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第651回)で、費用対効果評価専門組織から医薬品2品目の評価案が報告されました。費用対効果評価の結果は、その品目の薬価の価格調整に反映されます。本号では、報告された2品目の評価案について、結果と判断の根拠を整理してお伝えします。2品目はいずれも、比較対照の薬剤に対して「追加的有用性(上乗せの効果)は示されていない」と評価されました。新型コロナ治療薬「パキロビッドパック」は、比較対照のモルヌピラビルに対して「費用増加」と判定されました。週1回投与のインスリン製剤「アウィクリ注 フレックスタッチ」は、患者集団に応じて「費用増加」または「費用同等」と判定されました。両品目とも企業が不服意見を出しましたが、最終的には公的分析(国側の分析)の結果が妥当とされました。用語メモ* 費用対効果評価:新しい医薬品の効果と費用を既存の治療と比べ、価格が見合っているかを評価する仕組みです。結果に応じて、薬価のうち加算部分などが調整されます。* 追加的有用性:比較対照の治療と比べて、効果がどれだけ上乗せされるかを指します。* 費用最小化分析:効果が同等と判断された場合に、費用だけを比べる分析です。* ICER(円/QALY):健康な1年(QALY)を追加で得るのに必要な費用です。効果が同等の場合は算出せず、「費用増加」「費用同等」などの区分で示します。今回報告された2品目の概要今回の報告対象は、いずれも市場規模が100億円以上の「H1区分」に指定された2品目です。両品目とも、収載時に有用性系加算率5%を得ています。① パキロビッドパック* 一般名:ニルマトレルビル/リトナビル* 製造販売業者:ファイザー* 効能・効果:SARS-CoV-2による感染症* 収載時価格:12,538.60円(300 1シート)、19,805.50円(600 1シート)* 有用性系加算率:5%* 市場規模(ピーク時予測):281億円* 費用対効果評価区分:H1* 総会での指定日:2023年3月8日② アウィクリ注 フレックスタッチ* 一般名:インスリン イコデク* 製造販売業者:ノボ ノルディスク ファーマ* 効能・効果:インスリン療法が適応となる糖尿病* 収載時価格:2,081円(300単位1キット)* 有用性系加算率:5%* 市場規模(ピーク時予測):131億円* 費用対効果評価区分:H1* 総会での指定日:2024年11月13日パキロビッドパック:モルヌピラビルに対して「費用増加」パキロビッドパックは、比較対照のモルヌピラビルに対して追加的有用性が示されず、「費用増加」と判定されました。「費用増加」とは、効果は同等で、費用が増加することを意味します。対象集団は、重症化リスク因子を持つ新型コロナ患者(小児を除く)で、患者割合は100%です。追加的有用性を否定した根拠:オミクロン株・ワクチン接種下のデータ公的分析は、オミクロン株流行・ワクチン接種下では追加的有用性が示されていないと判断しました。企業が根拠としたEPIC-HR試験とMOVe-OUT試験は、デルタ株流行以前にワクチン未接種者を対象に行われています。この対象者は、分析で想定する現在の患者像と合致していません。そこで公的分析は、公的分析期間中に公表されたEPIC-SR試験を用いて評価しました。この試験のうち、デルタ株流行下で重症化リスク因子を持つワクチン接種者の集団では、主要評価項目である症状回復までの時間に、プラセボとの有意差がありませんでした。入院・死亡については、点推定値で改善傾向がみられたものの、有意差はありませんでした。さらにPANORAMIC試験(ワクチン接種・オミクロン株流行下)でも、標準治療群に対する28日以内の入院または死亡の調整オッズ比は1.18(95%信用区間0.55–2.62)で、有意差は認められませんでした。この判断を受けて、公的分析は費用最小化分析を実施しました。専門組織は、分析中断後の再開であり意思決定が求められる状況から、費用最小化分析を基軸とすることが妥当としました。企業の主張と不服意見:モルヌピラビルとの比較で評価すべき企業は、比較対照はモルヌピラビルであり、モルヌピラビルに対する追加的有用性を評価すべきと主張しました。企業は、モルヌピラビルに対して有意性を示した観察研究のネットワークメタ解析・メタ解析が存在することも根拠に挙げました。専門組織がこの主張を退けたのち、企業は不服意見として、標準治療との比較試験ではなく、モルヌピラビルとの間接比較で評価すべきと改めて主張しました。専門組織は、この不服意見を踏まえても公的分析の結果が妥当と結論づけました。主な理由は次のとおりです。* 報告時期が遅れることを踏まえると、追加分析は不要である* 現在の患者は大部分がワクチン接種者・既感染者であり、オミクロン株では肺炎の発症も減っている* PANORAMIC試験では、入院・死亡に対する効果が示されていない* 令和8年4月23日にNEJM誌で公表された同試験の論文では、ウイルス減少や症状改善の速さに傾向はあるものの、臨床現場での使い方は変わらない一方で専門組織は、ワクチン未接種者や免疫抑制患者などには有用な薬剤であることも認めています。評価結果によって、臨床での位置づけは変わらないという見解も示されました。アウィクリ注:1型などは「費用増加」、2型の多くは「費用同等」アウィクリ注は、4つの患者集団すべてで比較対照と効果が同等とされ、集団ごとに「費用増加」または「費用同等」と判定されました。「費用同等」とは、効果も費用も同等であることを意味します。患者割合の大きい2型糖尿病の(b)(c)が「費用同等」、残る(a)(d)が「費用増加」です。* (a) 1型糖尿病:比較対照はグラルギンU300+追加インスリン、区分は「費用増加」、患者割合は5.0%* (b) 2型・インスリン治療歴なし:比較対照はグラルギンU300、区分は「費用同等」、患者割合は71.4%* (c) 2型・基礎インスリン治療歴あり:比較対照はグラルギンU300、区分は「費用同等」、患者割合は16.9%* (d) 2型・基礎-追加インスリン治療歴あり:比較対照はグラルギンU300+追加インスリン、区分は「費用増加」、患者割合は6.7%追加的有用性を否定した根拠:HbA1cの差と低血糖の増加公的分析は、(a)(b)(c)について、HbA1cの差が臨床的に意味のある大きさではないと判断しました。グラルギンU300との直接比較試験がないため、企業はインスリン デグルデクとの比較試験(ONWARDS 2・3・6)を用いて評価しました。そのうえで企業は、(b)(c)では統計的な優越性が示されたと主張しました。しかし、これらは非劣性試験であり、群間差の点推定値は非劣性マージン0.3%を下回っています。臨床専門家への意見聴取でも、この差を臨床的に意味のある差とはみなせないとされました。低血糖の発現も、公的分析の判断を後押ししました。臨床的に重要または重大な低血糖(レベル2・3)は、(a)(b)(c)のいずれでもインスリン イコデクで多い傾向がみられました。* (a) 1型:発現率比1.89(26週時点)、1.80(57週時点)で、統計的に有意に多い* (b) 2型・治療歴なし:発現率比3.12(26週時点まで)、1.82(31週時点まで)で、多い傾向* (c) 2型・基礎インスリン歴あり:発現率比1.93で、有意差はないが多い傾向これらを踏まえて、公的分析は(a)(b)(c)で費用最小化分析を実施しました。あわせて、併用するSGLT2阻害薬の薬価を2025年8月1日の改定後の価格に更新しました。併用薬の使用割合も、両群で同じ割合に設定し直しました。企業の不服意見:利便性・HbA1c 7%未満達成率・QOLの反映を主張企業は、週1回投与の利便性やHbA1c 7%未満達成率、QOLの改善を評価に反映すべきと主張しました。企業は、高齢者や訪問診療の患者で、家族や介護者の負担が軽くなる点も強調しました。専門組織は、利便性の価値に一定の理解を示しつつも、企業の主張を退けました。主な理由は次のとおりです。* 企業が根拠としたDTSQは治療満足度の尺度であり、費用対効果評価に使えるQOL尺度ではない* 利便性による継続率の向上が、費用対効果の良さに直結するとは限らない* 高齢者ではHbA1c 8%未満を目標とすることも多く、7%未満達成率では有用性を示しにくいただし専門組織は、費用最小化分析の前提について公的分析に追加分析を求めました。対象は、訪問看護を受ける患者の割合と、血糖自己測定の回数の設定です。企業は全患者が訪問看護を受ける前提を置いていましたが、専門組織はこれを臨床の実感と乖離していると指摘しました。追加分析の結果、訪問看護を受ける患者割合と「訪問看護が月1~2回減少する」という推定は、実態に沿ったものとして妥当とされました。まとめ:2品目とも追加的有用性は示されず、公的分析が採用された今回の報告では、2品目とも比較対照に対する追加的有用性が示されず、公的分析の結果が採用されました。パキロビッドパックは、現在の流行状況・ワクチン接種状況では追加的有用性が示されないとして、「費用増加」と判定されました。アウィクリ注は、HbA1cの差が小さく低血糖も多い傾向から、集団ごとに「費用増加」または「費用同等」と判定されました。両品目とも、追加的有用性に関する企業の主張は認められませんでした。ただしアウィクリ注では、不服意見を受けて、訪問看護などの前提について追加分析が行われました。今回の評価案は、今後の価格調整の根拠となります。評価の詳細は、国立保健医療科学院から公表される報告書で確認できます。参考資料:中央社会保険医療協議会 総会(第651回)資料「総-2 費用対効果評価専門組織からの報告について」(令和8年6月24日) Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和10年度改定へ始動|入院・外来分科会の8つの調査項目
令和8年6月24日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第651回)で、入院・外来医療等の調査・評価分科会(以下、分科会)が今後の進め方と調査計画を報告しました。この調査計画は、令和8年度診療報酬改定の影響を検証し、令和10年度改定の議論の土台となるデータを集めるためのものです。本号では、分科会の報告内容を、調査項目・調査内容・スケジュールの順に整理してお伝えします。分科会は、令和8年度と令和9年度の2か年で、8つの項目について調査を実施します。8項目のうち6項目は入院医療と外来医療に関するもので、令和8・9年度の両年度で調査します。残る2項目のうち、「賃上げに係る評価等」と「医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態」は、令和9年度だけ調査します。令和8年度調査は令和8年10月から12月に実施し、令和9年3月以降に結果の速報を中医協総会に報告する予定です。今回の報告資料(すべて分科会では令和8年5月14日に提示)* 総-1-1 今後の検討事項とスケジュール(案)* 総-1-1参考 各作業グループの作業内容* 総-1-2 令和8・9年度入院・外来医療等の調査について* 総-1-2参考1 令和8年度診療報酬改定項目の概要* 総-1-2参考2 分科会の検討結果(とりまとめ)令和7年9月25日(抜粋)1. 分科会の役割と令和10年度改定に向けた進め方分科会は、中医協の答申書に付けられた「附帯意見」の技術的な課題を、専門的に調査・検討する組織です。附帯意見とは、診療報酬改定の答申の際に、中医協が「今後引き続き検討すべき事項」として示す宿題のリストを指します。附帯意見のうち、分科会が担当するのは12項目です。令和8年度改定の答申書附帯意見のうち、第3〜13項と第17項の計12項目について、分科会で調査・検証・検討を行うことが、令和8年4月8日の中医協総会で了承されました。担当する12項目は、賃上げ、病棟業務の効率化・タスクシフト/シェア、入院医療、人口少数地域の医療・医師偏在対策、外来医療、医療DX・オンライン診療の6分野にわたります。なお、医療DXに関することは、診療報酬改定結果検証部会で検討します。分科会の下には、専門的な調査・分析を担う2つの作業グループがあります。* 診療情報・指標等作業グループ:DPCデータ等を活用した医療内容の評価指標・測定手法の分析、データの利活用の在り方* DPC/PDPS等作業グループ:医療機関別係数のフォローアップ、対象病院の要件、DPC退院患者調査の報告内容、病院情報の公表DPC/PDPSとは、診断群分類に基づいて1日当たりの診療報酬を定額で支払う、急性期入院医療の包括払い制度です。これら作業グループの作業内容は、平成30年7月18日の中医協総会で承認されたものです。分科会は、令和8年5月14日に、令和10年度改定に向けた今後の進め方と令和8・9年度の調査項目(案)を議論しました。以降は、各作業グループでの検討と、令和8年度の調査内容(案)の検討を順次進めます。DPC/PDPSについては、DPCデータを用いた検討を基本とし、必要に応じて特別調査を実施する方針です。分科会の報告は、基本問題小委員会を経由せず、中医協総会に直接報告されます。この取扱いは、令和7年4月9日の中医協総会で決められたものです。2. 令和8・9年度に調査する8つの項目調査の基本的な考え方は、8項目を令和8年度と令和9年度の2か年で調べることです。効果を検証するまでに一定の期間が必要な項目は、経過措置の設定状況も踏まえ、令和9年度に調査するなどの工夫をします。8項目と実施年度は、次のとおりです。令和8年度・令和9年度の両年度で調査する6項目* (1)急性期入院医療(救急医療・DPC/PDPSを含む)に関する見直しの影響* (2)高度急性期入院医療(特定集中治療室管理料等)の見直しの影響* (3)包括期入院医療(地域包括医療病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料等)の見直しの影響* (4)慢性期入院医療(療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料等)の見直しの影響* (5)入院医療に関する共通事項(医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る評価等)の見直しの影響* (6)外来医療に係る評価等(オンライン診療を含む)令和9年度だけ調査する2項目* (7)賃上げに係る評価等* (8)医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態賃上げに係る調査・検証は、主に別の方法で行います。賃上げの状況は、別途提出される「賃金改善実績報告書」で把握することとされています(詳細は後述の(7)を参照)。3. 各調査項目の調査内容各調査項目は、附帯意見と令和8年度改定の主な改定内容に対応しています。ここでは、項目ごとに「何を検証するか」「誰に聞くか」「何を聞くか」を整理します。(1)急性期入院医療(救急医療・DPC/PDPSを含む)急性期入院医療の調査は、新設された急性期病院一般入院基本料や急性期総合体制加算の影響を検証します。* 関係する主な改定内容:急性期病院一般入院基本料の新設、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の評価項目・判定基準等の見直し、急性期総合体制加算の新設、救急外来医学管理料等の新設と救急患者連携搬送料の見直し、DPC/PDPSにおける基礎係数・機能評価係数Ⅱ・入院期間Ⅱ等の見直し* 調査対象:一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料、専門病院入院基本料等の届出医療機関* 調査内容:地域における急性期の病院機能(一次・二次・三次救急、高齢者救急、下り搬送・転院搬送の活用状況など)、救急外来の患者の経路・状態・転帰と職員体制、入棟患者の状況(重症度、医療・看護必要度の該当患者割合等)と病棟機能の変更の意向下り搬送とは、高次の救急医療機関に搬送された患者を、状態に応じて地域の他の医療機関へ転院搬送することです。(2)高度急性期入院医療(特定集中治療室管理料等)高度急性期入院医療の調査は、ICU等の評価体系と施設基準の見直しの影響を検証します。* 関係する主な改定内容:救命救急入院料と特定集中治療室管理料の評価体系の見直し、特定集中治療室管理料の施設基準の見直し、ハイケアユニット入院医療管理料の施設基準等の見直し* 調査対象:特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料等を算定している患者が入院している医療機関* 調査内容:病院機能(救急車の搬送件数、全身麻酔による手術件数等)、重症度、医療・看護必要度とSOFAスコアの項目別の該当患者割合、患者の状態と医療提供内容、医師等の配置・勤務状況、情報通信機器を用いた診療状況SOFAスコアとは、呼吸・循環・肝臓・腎臓などの臓器障害の程度を点数化した、集中治療で使われる重症度の指標です。(3)包括期入院医療(地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟等)包括期入院医療の調査は、高齢者救急の受入れやリハビリテーションの評価の見直しの影響を検証します。包括期入院医療とは、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟などが担う、主に高齢者の緊急入院や急性期治療後の患者を受け入れ、在宅復帰までを支える入院医療です。* 関係する主な改定内容:地域包括医療病棟入院料と回復期リハビリテーション病棟入院料の施設基準等の見直し、包括期充実体制加算の新設、回復期リハビリテーション強化体制加算の新設と実績指数の評価方法の見直し* 調査対象:地域包括医療病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料等の届出医療機関 等* 調査内容:地域での役割と連携体制(高齢者救急、介護保険施設の協力医療機関、緊急入院患者の入院経路など)、退院後の生活機能自立に向けたリハビリテーションの実績・体制、病棟の患者像(疾患、要介護度、重症度、医療・看護必要度、ADL等)と病棟機能の変更の意向高齢者救急については、介護保険施設からの搬送を含めて、(1)の急性期入院医療の調査と組み合わせて調べます。(4)慢性期入院医療(療養病棟・障害者施設等)慢性期入院医療の調査は、療養病棟の医療区分や障害者施設等入院基本料の見直しの影響を検証します。* 関係する主な改定内容:療養病棟入院基本料の医療区分の見直しと入院料2の医療区分2・3の患者割合の見直し、障害者施設等入院基本料における廃用症候群の患者の評価の見直し、身体的拘束最小化推進体制加算の新設、入院期間が長い病棟において入棟期間が90日以上となる場合のDPCデータ様式1の提出* 調査対象:療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、特殊疾患病棟入院料、特殊疾患入院医療管理料の届出医療機関 等* 調査内容:療養病棟の医療区分2・3の患者割合と患者像、障害者施設等の病棟の患者の状態と医療提供内容、救急搬送・下り搬送の受入れ状況や平均在院日数・退院先、身体的拘束最小化に向けた取組療養病棟入院基本料の入院料2では、医療区分2・3の患者割合の要件が5割から6割に引き上げられました。(5)入院医療に関する共通事項(負担軽減・働き方改革等)入院医療の共通事項の調査は、看護業務の効率化や医師の働き方改革に関する見直しの影響を検証します。* 関係する主な改定内容:看護・多職種協働加算の新設、ICT等の活用による看護業務効率化・負担軽減、医師事務作業補助体制加算の配置基準の柔軟化、地域医療体制確保加算2と外科医療確保特別加算の新設 等* 調査対象:急性期総合体制加算、医師事務作業補助体制加算、看護職員夜間配置加算、地域医療体制確保加算、外科医療確保特別加算など、勤務医・看護職員の負担軽減に資する取組を要件とする項目の届出医療機関 等* 調査内容:負担軽減の取組を要件とする加算の届出状況、病棟・各部門の職種ごとの体制と勤務状況、身体的拘束の実施状況・入退院支援・面会制限・入院時の食事療養など(6)外来医療(オンライン診療を含む)外来医療の調査は、外来機能分化、生活習慣病の管理、かかりつけ医機能、オンライン診療に関する見直しの影響を検証します。* 関係する主な改定内容:大病院の外来診療料等の紹介・逆紹介割合に基づく減算規定の見直し、連携強化診療情報提供料の見直し、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の眼科(歯科)医療機関連携強化加算・充実管理加算の新設、特定疾患療養管理料の対象疾患の見直し、地域包括診療加算等の見直し、オンライン診療(遠隔連携診療料、D to P with Nなど)の見直し* 調査対象:地域包括診療料・加算、生活習慣病管理料、情報通信機器を用いた診療等の届出等を行っている医療機関* 調査内容:外来機能分化に向けた取組状況、生活習慣病などの管理でのガイドライン遵守と地域連携の状況、オンライン診療の取組状況と今後の活用意向・課題D to P with Nとは、患者が看護師等と一緒にいる場面で、医師がオンラインで診療する形態です。(7)賃上げに係る評価等(令和9年度)賃上げの調査は、ベースアップ評価料の引上げなどにより、幅広い職種で賃上げが実施されているかを検証します。* 関係する主な改定内容:ベースアップ評価料の水準の引上げ、対象職員の拡大と夜勤手当に充てることを可能とする見直し、入院基本料等の見直し、調剤ベースアップ評価料と歯科技工所ベースアップ支援料の新設* 把握の方法:* 保険医療機関:ベースアップ評価料の賃金改善実績報告書等(令和9年度に他の調査の一部としても必要な情報を把握)* 保険薬局:ベースアップ評価料の賃金改善実績報告書、必要に応じて別途調査* 歯科技工所:歯科技工所ベースアップ支援料の実績報告書、別途調査* 訪問看護ステーション:ベースアップ評価料の賃金改善実績報告書等、「改定の結果検証に係る特別調査」等附帯意見では、賃上げの実態を迅速かつ詳細に把握し、必要な場合には令和9年度における更なる対応を検討するよう求めています。(8)医療資源の少ない地域における保険医療機関の実態(令和9年度)医療資源の少ない地域の調査は、人口の少ない地域での医療提供体制を支える評価の影響を検証します。* 関係する主な改定内容:医療提供機能連携確保加算の新設、地域医療体制確保加算2・外科医療確保特別加算の新設、人口20万人未満の地域の拠点病院における急性期総合体制加算・急性期病院B一般入院料の要件緩和 等* 調査対象:医療提供機能連携確保加算を算定する病院、医療資源の少ない地域に所在する保険医療機関* 調査内容:外来・在宅診療体制の確保に係る診療の状況、外科医の確保に向けた取組状況、医療資源の少ない地域に配慮した診療報酬項目の算定状況 等4. 調査スケジュール令和8年度調査は令和8年10月から12月に実施し、令和9年度調査は令和9年5月から7月に実施する予定です。どちらの調査も、分科会が調査票を作り、中医協総会に報告してから調査を実施します。令和8年度調査* 調査項目・内容の決定:令和8年6月〜7月* 調査票の作成・決定:令和8年7月〜10月* 調査の実施:令和8年10月〜12月* 集計・分析:令和9年1月〜2月* 調査結果の報告(速報):令和9年3月〜令和9年度調査* 調査票の作成・決定:令和9年4月〜5月* 調査の実施:令和9年5月〜7月* 集計・分析:令和9年7月* 調査結果の報告(速報):令和9年8月〜スケジュールは、必要に応じて分科会と中医協で見直します。分科会の検討内容は中医協総会に報告され、中医協の意見を踏まえて必要に応じて修正されます。5. 中長期的に検討すべき3つの課題今回の報告では、令和8年度改定に向けた議論で積み残された課題も、参考資料として改めて示されました。令和7年9月25日の分科会とりまとめは、データ解析の技術的な限界や委員間の見解の相違があった課題を「中長期的に検討すべき課題」と位置付けました。これらの課題は、今後の実態調査や厚生労働科学研究等で検討を進めることが望ましいとされています。参考資料で抜粋された課題は、次の3つです。持参薬ルールは、入院中の持参薬の使い方を統一するための課題です。DPCデータでは、持参薬の使用割合に医療機関間で大きなばらつきがあります。ルールを明確にするには、医療安全、病棟での確認業務の負担、患者が薬を持参する負担などの観点から、具体的な場面ごとに妥当性を丁寧に検討する必要があります。DPC/PDPS以外で薬剤費が包括される病棟での取扱いも、検討を進めることが望ましいとされました。重症度、医療・看護必要度は、入院患者の状態を測る指標の在り方を見直す課題です。この指標は平成20年度改定で「入院患者へ提供されるべき看護の必要量」を予測する指標として導入され(当時の名称は「重症度、看護必要度」)、平成26年度改定で現在の名称に変わり、「急性期患者の医学的な特性」を測る目的が重視されるようになりました。導入から約20年が経ち、指標が現在の病棟の看護の必要量を適切に推測できているかを検証する必要があります。最新のタイムスタディ調査では、病棟看護業務の約25%を「診療・治療」、約25%を「患者のケア」が占めていました。包括期入院医療における患者別の評価は、患者ごとの医療・看護ケアの必要量を支払いに反映させる課題です。地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟には、DPC/PDPSのように患者別に支払額を変える仕組みがなく、基本的にすべての患者が一律の支払額です。必要量に応じた支払いにならないと、患者の選別を招き、病棟の機能低下につながる懸念があります。地域包括医療病棟では、緊急入院や手術の有無などによって医療資源投入量に一定の違いがあることがわかりました。一方で、医療資源投入量が同程度でも高齢者のADLや要介護度は様々であり、引き続き最新の診療データによる分析などで検討する必要があるとされています。6. 調査票の回収率向上の取組分科会は、調査の精度を高めるため、回収率の向上に引き続き取り組みます。直近の令和7年度調査の回収率は、入院が58.8%(4,658施設中2,737施設)、外来が43.9%(2,300施設中1,009施設)でした。* 令和5年度:入院 4,700施設中2,374施設(50.5%)/外来 2,000施設中704施設(35.2%)* 令和6年度:入院 5,865施設中2,896施設(49.4%)/外来 2,440施設中914施設(37.5%)* 令和7年度:入院 4,658施設中2,737施設(58.8%)/外来 2,300施設中1,009施設(43.9%)回収率向上の取組は、関係団体への協力依頼、リーフレットの配布、調査項目の必要最低限化、DPCデータ等の活用による調査票の合理化、オンライン回答、調査項目一覧の作成などです。令和8・9年度調査でも、これらの取組を継続します。まとめ:令和10年度改定に向けたデータ集めが始まった第651回中医協総会で、分科会は令和10年度改定に向けた調査計画を報告しました。調査は令和8・9年度の2か年で、8つの項目について行います。入院医療と外来医療の6項目は両年度で、賃上げと医療資源の少ない地域の2項目は令和9年度に調べます。令和8年度調査は令和8年10月から12月に実施し、令和9年3月以降に速報が報告される予定です。持参薬ルール、重症度、医療・看護必要度、包括期の患者別評価といった中長期課題の検討も続きます。調査票が届いた医療機関にとって、回答は次の改定の評価の在り方に自院の実態を反映させる機会です。今後、分科会で調査票の内容や調査結果が示された際には、本メルマガで引き続き解説します。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
エドスチラドリンを「医薬品の例」で扱う案|中医協第650回の要点
令和8年5月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第650回)で、再生医療等製品「エドスチラドリン膀胱内注入液」の医療保険上の取扱いが議題になりました。再生医療等製品は、医薬品とも医療機器とも異なる製品区分のため、保険適用のたびに「どちらの例で扱うか」を判断する必要があります。本号では、エドスチラドリンの製品概要、示された取扱い案、その判断の根拠となるルールを解説します。結論として、エドスチラドリンは「医薬品の例により対応する」ことが提案されました。エドスチラドリンは、BCG膀胱内注入療法後に残存・再発した上皮内癌を有する、高リスクの膀胱癌に用いる遺伝子治療用製品です。取扱い案では、薬価算定組織が償還価格を検討し、中医協総会が薬価基準への収載を審議します。この判断は、平成26年11月に中医協が了承した「製品ごとに医薬品か医療機器かを判断する」ルールに基づいています。エドスチラドリンはBCG治療後に残存・再発した膀胱癌への遺伝子治療用製品エドスチラドリンは、ウイルスベクターを使って膀胱内でインターフェロンを作らせる製品です。本節では、製品の基本情報、作用の仕組み、臨床試験の成績、承認条件を順に紹介します。基本情報として、エドスチラドリンは希少疾病用の新再生医療等製品に区分されます。一般的名称は「ナドファラゲン フィラデノベク」、収載希望者はフェリング・ファーマ株式会社です。対象は、BCG膀胱内注入療法後に残存・再発した上皮内癌を有する、高リスクの筋層非浸潤性膀胱癌です。ただし、BCG膀胱内注入療法を再び行う適応とならない患者に限られます。用法は、通常、成人に1回あたり75mL(3×10^11 vp/mL)を3カ月間隔で膀胱内に投与する方法です。用語メモ* 筋層非浸潤性膀胱癌:癌が膀胱の筋肉の層まで達していない膀胱癌です。* BCG膀胱内注入療法:結核ワクチン(BCG)を膀胱内に入れ、免疫の力で癌を抑える標準的な治療です。作用の仕組みとして、エドスチラドリンは膀胱の細胞に感染して抗腫瘍タンパク質を作らせます。エドスチラドリンの主成分は、ヒトインターフェロンアルファ-2b(IFNα2b)の遺伝子を搭載した、増殖しない遺伝子組換えヒトアデノウイルスです。このウイルスは、膀胱内に投与されると尿路上皮細胞と膀胱癌細胞に感染します。感染した細胞では、搭載された遺伝子発現構成体が核内に留まり、IFNα2bタンパク質を作らせます。感染細胞から分泌されたIFNα2bは、抗腫瘍免疫応答を強めるなどして、腫瘍細胞を死滅させると期待されています。臨床試験の成績として、海外と国内の2つの第Ⅲ相試験で、完全奏効率が事前に定めた閾値を上回りました。2つの試験は、いずれも比較対照群を置かない非盲検非対照試験です。完全奏効率とは、尿細胞診と膀胱鏡検査(必要に応じて生検)で評価し、高グレード病変の再発が認められないなどの基準を満たした患者の割合です。この基準では、低グレード病変が見つかった場合でも、高グレード病変の再発がなければ完全奏効とみなされます。海外試験(rAd-IFN-CS-003試験)では、上皮内癌を併発したコホートにおける初回投与後3カ月までの完全奏効率が53.4%(55/103例)でした。この結果の95%信頼区間(43.3~63.3%)の下限は、事前に定めた閾値27%を上回りました。国内試験(000381試験)では、同じ指標の完全奏効率が75.0%(15/20例)でした。この結果の95%信頼区間(50.9~91.3%)の下限も、事前に定めた閾値2%を上回りました。承認条件として、エドスチラドリンには3つの条件が付いています。1つ目は、製造販売後、一定数のデータが集まるまで全症例を対象に使用成績調査を行うことです。2つ目は、膀胱癌に十分な知識と経験を持つ医師が、本品の臨床試験成績や有害事象の知識を習得した上で、治療体制の整った医療機関で使用することです。3つ目は、遺伝子組換え生物の使用を規制する法律(いわゆるカルタヘナ法)に基づく「第一種使用規程」を守って使用することです。取扱い案は「医薬品の例により対応」し、薬価基準への収載を審議するエドスチラドリンの取扱い案は、医薬品と同じ流れで価格を検討し、保険適用を審議するものです。本節では、医薬品の例とする理由と、今後の手続きを説明します。医薬品の例とする理由は、エドスチラドリンが医薬品と同様の使用方法と作用で治療効果を期待される製品だからです。エドスチラドリンは、膀胱内に注入し、体内の細胞に作用して効果を発揮します。この点を踏まえ、取扱い案は「医薬品の例により対応する」としています。今後の手続きは、薬価算定組織による価格の検討と、中医協総会による収載の審議の2段階です。第1段階では、薬価算定組織が償還価格(保険から医療機関に支払われる価格)を検討します。第2段階では、中医協総会が、その検討結果を踏まえて薬価基準への収載を審議します。薬価基準に収載されると、エドスチラドリンは保険診療で使えるようになります。なお、今回の資料は「医療保険上の取扱い(案)」として示されたものであり、薬価基準への収載は今後の審議事項です。用語メモ* 薬価基準:保険で使える医薬品と、その価格を定めた一覧です。* 薬価算定組織:新しい医薬品の価格を専門的に検討する組織です。判断の根拠は平成26年に了承された「製品ごとに判断する」ルールエドスチラドリンを医薬品の例で扱う案は、中医協が過去に了承したルールに沿ったものです。本節では、平成26年のルールと、令和8年1月に了承された条件及び期限付き承認製品の取扱いを紹介します。平成26年11月のルールは、再生医療等製品を医薬品か医療機器のどちらの例で扱うかを、製品ごとに判断する「当面の間の対応」です。このルールでは、保険適用を希望された個別製品の特性を踏まえ、薬事承認の結果を踏まえて判断します。医薬品の例なら薬価算定組織が、医療機器の例なら保険医療材料専門組織が償還価格を検討します。その結果を踏まえて、中医協総会が薬価基準または材料価格基準への収載を審議します。また、知見が蓄積した後には、再生医療等製品独自の体系を作るかどうかなどを引き続き検討するとされています。エドスチラドリンの取扱い案は、このルールの「医薬品の例」の流れに当てはめたものです。令和8年1月の取扱いは、条件及び期限付き承認を受けた再生医療等製品も、通常の承認を受けた製品と同様に判断することを確認したものです。条件及び期限付き承認とは、有効性が推定された段階で、条件と期限を付けて承認する仕組みです。令和8年1月14日の中医協総会では、この承認を受けた製品を医薬品・医療機器のどちらの例で算定するかについて、通常の承認と同様に薬事承認の結果を踏まえて判断すると了承されました。さらに、事例が集まるなど状況が変化した場合は、中医協総会に報告し、必要であれば取扱いの見直しを審議するとされています。なお、エドスチラドリンの承認区分は「新再生医療等製品(希少疾病用再生医療等製品)」であり、資料に条件及び期限付き承認との記載はありません。まとめ:エドスチラドリンは医薬品と同じ流れで薬価基準への収載が審議される第650回中医協総会では、再生医療等製品エドスチラドリンを「医薬品の例により対応する」案が示されました。エドスチラドリンは、BCG膀胱内注入療法後に残存・再発した上皮内癌を有する、高リスクの膀胱癌に用いる遺伝子治療用製品です。今後は、薬価算定組織が償還価格を検討し、中医協総会が薬価基準への収載を審議します。この判断は、平成26年に了承された「製品ごとに医薬品か医療機器かを判断する」ルールに基づいています。今後の薬価算定と収載の審議の結果に注目しましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
在宅自己注射にバイオ後続品2剤の追加案|中医協第650回を解説
令和8年5月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第650回)で、バイオ後続品2剤を在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加する案が示されました。この追加の可否は、患者が自宅で注射を続けられるかどうかと、医療機関が診療報酬を算定できるかどうかを左右します。本号では、追加案の根拠と、医療機関が押さえるべき実務上の留意点を解説します。追加案の内容は、オマリズマブBS皮下注「CT」とゴリムマブBS皮下注50mgシリンジ「F」の2剤を、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に加えるというものです。第一に、先行品が対象となっているバイオ後続品は、運用基準により品目ごとに中医協で審議される仕組みになっています。第二に、オマリズマブBS「CT」は、効能効果や用法・用量等が先行品ゾレアと同等と評価されました。第三に、ゴリムマブBS「F」は、効能効果が関節リウマチのみですが、効能効果や用法・用量等が先行品シンポニーと同等と評価されました。1. バイオ後続品は品目ごとに中医協で審議されるバイオ後続品の在宅自己注射の対象追加は、先行品が対象であっても自動的には認められません。中医協の運用基準が、先行品が対象となっているバイオ後続品について「当分の間、個別品目毎に中医協において審議する」と定めているためです。この運用基準は、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤を決めるためのルールです。運用基準は平成28年8月24日に中医協総会で承認され、令和5年8月23日に改正案が承認されました。在宅自己注射指導管理料(C101)とは、患者が自宅で自分に注射できるよう医師が指導・管理した場合に算定する診療報酬です。運用基準は、対象薬剤に対して、頻回投与または発作時の緊急投与が必要な注射剤であることを前提に、主に3つの要件を求めています。1つ目は、関連学会のガイドライン等で在宅自己注射の診療上の必要性が確認されていることです。2つ目は、維持期の投与間隔が概ね4週間以内であることです。3つ目は、学会から追加の要望書が提出されていることです。先行品が対象となっているバイオ後続品は、先行品との比較等を踏まえて審議されます。バイオ後続品(バイオシミラー)とは、すでに承認されたバイオ医薬品(先行バイオ医薬品)と同等・同質の品質、有効性、安全性をもつとして承認された医薬品です。今回の2剤は、いずれも先行品がすでに在宅自己注射の対象となっています。そのため、今回の資料では「先行品との比較」「バイオ後続品の治験成績」「先行品の市販後の安全性」の3点が示されました。2. オマリズマブBS「CT」は先行品ゾレアと同等と評価されたオマリズマブBS「CT」は、効能効果、用法・用量、主な副作用のすべてが先行品ゾレアと同じです。資料は、この同等性に加え、先行品の使用状況等にも特段の問題はないと考えられることから、対象薬剤への追加を提案しています。オマリズマブBS「CT」は、令和8年3月に薬事承認されたヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤です。製品は、75mgと150mgのシリンジ製剤とペン製剤の計4品目です。効能効果は、先行品と同じく、難治の気管支喘息、重症または最重症の季節性アレルギー性鼻炎、特発性の慢性蕁麻疹の3つです。先行品ゾレアは、平成21年に薬事承認され、令和3年に在宅自己注射の対象に追加されています。オマリズマブ製剤は、季節性アレルギー性鼻炎への使用が、保険医が投与できる注射薬の範囲から除かれています。厚生労働大臣が定める注射薬の告示では、「オマリズマブ製剤(季節性アレルギー性鼻炎の治療のために使用する場合を除く。)」と規定されています。したがって、効能効果が3つあっても、現行の告示上、在宅自己注射として投与できるのは季節性アレルギー性鼻炎以外の用途に限られます。オマリズマブBS「CT」の治験では、先行品との臨床的同等性が確認されました。治験は、ヒスタミンH1受容体拮抗薬の治療下でも症状のある特発性の慢性蕁麻疹患者を対象とした海外第Ⅲ相試験です。主要評価項目は、300mg投与時の投与12週後におけるISS7(7日間のかゆみの重症度スコア)のベースラインからの変化量です。この評価で、95%信頼区間は事前に規定した同等性許容域(-2.0~2.0)の範囲内でした。24週まで本剤300mgを継続投与した群の副作用発現割合は8.4%(17/203例)でした。先行品300mgから本剤300mgへ切り替えた群の副作用発現割合は12.5%(12/96例)でした。主な副作用は両群とも注射部位反応で、それぞれ4例(2.0%)、6例(6.3%)でした。先行品ゾレアの市販後調査では、添付文書の記載変更を要するような問題は見つかっていません。安全性解析対象46例の特定使用成績調査では、副作用発現割合は2.2%(1/46例)でした。この割合は承認時の臨床試験の1.2%(2/161例)を上回りましたが、副作用は添付文書で注意喚起済みの非重篤な注射部位疼痛1例のみでした。特定使用成績調査Ⅰでは、副作用発現割合は10.2%(13/127例)でした。この割合は、日本人のアレルギー性喘息患児を対象とした承認時の臨床試験の26.3%(10/38例)より高くありませんでした。投与量換算表の変更後の用法・用量を対象とした特定使用成績調査Ⅱでは、副作用発現割合は6.6%(26/392例)でした。この割合は、変更前の用法・用量で投与した気管支喘息患者の調査結果(8.1%、292/3,620例)より高くありませんでした。オマリズマブBS「CT」の追加は、2つの学会から要望されています。日本アレルギー学会は2026年(令和8年)3月16日に、日本小児アレルギー学会は同年3月26日に要望書を提出しました。両学会は、就労・就学中の世代の患者にとって通院の時間的制約や身体的・経済的負担が大きい点を、要望の理由に挙げています。3. ゴリムマブBS「F」は先行品シンポニーと同等と評価されたゴリムマブBS「F」は、関節リウマチに対する効能効果、用法・用量、主な副作用が先行品シンポニーと同じです。資料は、この同等性に加え、先行品の使用状況等にも特段の問題はないと考えられることから、対象薬剤への追加を提案しています。ゴリムマブBS「F」は、令和7年9月に薬事承認されたヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤です。製品は、50mgシリンジ製剤の1品目です。効能効果は、既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)のみです。先行品シンポニーがもつ潰瘍性大腸炎の効能効果は、ゴリムマブBS「F」にはありません。先行品シンポニーは、平成23年に薬事承認され、平成30年に在宅自己注射の対象に追加されています。ゴリムマブBS「F」の治験では、先行品との有効性の同等性が検証されました。治験は、メトトレキサートを併用する中等度から重度の関節リウマチ患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験です。主要評価項目である第16週までの疾患活動性スコア(DAS28-CRP)の変化量は、先行品との最小二乗平均値の差の95%信頼区間が、事前に規定した同等性許容域(-0.6~0.6)の範囲内でした。投与開始から本剤を投与した群の副作用発現割合は12.4%(31/251例)でした。主な副作用は、AST増加5例(2.0%)とALT増加4例(1.6%)でした。16週以降に先行品から本剤へ切り替えた群の副作用発現割合は10.7%(12/112例)でした。主な副作用は、AST増加2例(1.8%)とALT増加2例(1.8%)でした。先行品シンポニーの市販後調査では、長期投与における新たな安全性上の問題は認められていません。使用成績調査では、副作用発現割合は15.0%(772/5,137例)でした。この割合は、承認時の国内臨床試験の77.3%(449/581例)を上回りませんでした。長期使用に関する特定使用成績調査Ⅰでは、副作用発現割合は31.9%(107/335例)で使用成績調査より高めでしたが、承認時の77.3%は上回りませんでした。悪性腫瘍と重篤な感染症を対象とした特定使用成績調査Ⅱ(観察期間5年間)では、これらの副作用発現割合の明らかな増加は認められませんでした。ただし、承認時の臨床試験とは患者背景や観察期間が異なるため、直接の比較は困難とされています。ゴリムマブBS「F」の追加は、日本リウマチ学会から要望されています。日本リウマチ学会は、令和7年8月22日に要望書を提出しました。学会は、関節リウマチの治療が長期に及び、患者の多くが労働者世代である点を、要望の理由に挙げています。4. 対象に追加されても指導管理の留意事項は変わらない2剤が対象薬剤に追加された場合も、在宅自己注射の実施には既存の対象薬剤と同じ留意事項が適用されます。医療機関は、バイオ後続品を導入する際も、厚生労働省の通知(保医発第0427002号、平成17年4月27日)に示された4つの留意事項を守る必要があります。1つ目の留意事項は、指導管理を行う医師の要件です。指導管理は、対象疾患の診療を日常的に行い、十分な経験をもつ医師が行います。2つ目の留意事項は、導入前の教育期間です。在宅自己注射の導入前には、入院、または週2回もしくは3回以上の外来・往診・訪問診療により、十分な教育期間を設けます。3つ目の留意事項は、かかりつけ医との連携です。かかりつけ医と異なる医師が指導管理を行う場合は、緊急時の対応などについて、かかりつけ医と十分に連携します。4つ目の留意事項は、廃棄物の処理です。在宅自己注射の実施に伴う廃棄物の適切な処理方法も、あわせて患者に指導します。まとめ:バイオ後続品2剤は先行品と同等と評価され、在宅自己注射の対象追加が提案された第650回中医協総会では、オマリズマブBS「CT」とゴリムマブBS「F」を在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に追加する案が示されました。先行品が対象となっているバイオ後続品は、運用基準により品目ごとに中医協で審議されます。オマリズマブBS「CT」は、効能効果や用法・用量等が先行品ゾレアと同等と評価されました。ゴリムマブBS「F」は、効能効果が関節リウマチのみですが、先行品シンポニーと同等と評価されました。今回示されたのは対応「案」であるため、最終的な取扱いと適用時期は、今後の告示・通知で確認してください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
在宅自己注射の対象に2剤追加案 ハイキュービアとトレムフィアを解説
令和8年5月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第650回)で、在宅自己注射の対象薬剤を追加する案が示されました。この追加案が了承されると、対象薬剤の処方箋の交付や在宅自己注射指導管理料の算定が可能になるため、医療機関は対象薬剤と算定できる加算を把握しておく必要があります。本号では、追加案の根拠となる仕組みと、追加が提案された2剤の内容を整理します。追加案の結論は、ハイキュービアとグセルクマブ(トレムフィア)の2剤を、保険医が投与できる注射薬と在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に加えるというものです。追加の提案は、中医協が定めた「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤に係る運用基準」と学会からの要望書等を踏まえたものです。ハイキュービアは皮下注射の免疫グロブリン製剤で、必要な加算として注入器用注射針加算と注入ポンプ加算が示されています。グセルクマブは潰瘍性大腸炎とクローン病の治療薬で、必要な在宅療養指導管理材料加算は「なし」とされています。追加案の前提となる2つのリストと運用基準今回の追加案は、注射薬に関する2つのリストに薬剤を加える提案です。2つのリストとは、「保険医が投与することができる注射薬」と「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤」です。この2つのリストへの追加は、中医協が承認した運用基準に沿って判断されます。「保険医が投与することができる注射薬」は、処方箋を交付することができる注射薬のリストでもあります。保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)第20条第2号トは、注射薬の投与を厚生労働大臣が定めるものに限っています。この厚生労働大臣が定める注射薬は、「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」の第十の一に列挙されています。保険診療で患者に注射薬を投与できるのは、このリストに載っている薬剤に限られます。「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤」は、患者が自宅で自己注射を行う際に指導管理料を算定できる注射薬のリストです。このリストは、特掲診療料の施設基準等の別表第九に掲げられています。在宅療養指導管理材料加算も、別表ごとに対象薬剤が決まっています。たとえば、注入器加算の対象は別表第九の一の三、注入ポンプ加算の対象は別表第九の一の五に定められています。運用基準は、対象薬剤に追加できる薬剤の要件を定めたルールです。運用基準は平成28年8月24日に中医協で承認され、令和5年8月23日に改正案が承認されました。対象となる薬剤は、補充療法等の頻回投与または発作時の緊急投与が必要で、剤形が注射によるものでなければならない薬剤です。そのうえで、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。* 関連学会等のガイドライン等で、在宅自己注射の診療上の必要性が確認されていること* 医薬品医療機器法上の用法・用量として、維持期の投与間隔がおおむね4週間以内であること* 上記を踏まえ、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤への追加の要望があること学会の要望書には、5つの事項の記載が求められます。5つの事項とは、自己注射の安全性の確認、対象患者の要件、使用上の具体的な留意点、頻回投与や長期治療が必要になる理由、在宅療養指導管理材料加算を要望する場合の加算の名称と理由です。さらに、発作時の緊急投与にも補充療法にも使わない薬剤は、要望書を提出した学会以外の学会の意見を確認する等、診療上の必要性を十分に確認することが求められます。運用基準は、対象薬剤に追加する時期も定めています。14日未満の間隔で注射する薬剤は、要件を満たせば原則として薬価収載の時期にあわせて追加を検討します。14日以上の間隔で注射する薬剤は、14日を超える投薬が可能な場合で要件を満たすときに、原則として薬価収載の時期にあわせて追加を検討します。14日を超える投薬が条件となるのは、新医薬品の投薬期間が、原則として薬価収載月の翌月初日から1年間は14日に制限されるためです。在宅自己注射を導入する医療機関は、厚生労働省の通知(保医発第0427002号)が示す4つの留意事項を守る必要があります。1つ目は、対象疾患の診療を日常的に行っており、十分な経験をもつ医師が指導管理を行うことです。2つ目は、導入前に入院、または週2回もしくは3回以上の外来・往診・訪問診療で十分な教育期間をとることです。3つ目は、かかりつけ医と異なる医師が指導管理する場合に、緊急時の対応などでかかりつけ医と連携することです。4つ目は、廃棄物の適切な処理方法もあわせて指導することです。追加薬剤1:ハイキュービア(皮下注射の免疫グロブリン製剤)1剤目のハイキュービアは、免疫グロブリンを皮下に投与する薬剤です。追加案では、必要な加算として注入器用注射針加算と注入ポンプ加算が示されています。追加の背景には、4学会による3通の要望書があります。ハイキュービアの成分は、pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)とボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)です。販売名は「ハイキュービア10%皮下注セット」で、5g/50mL、10g/100mL、20g/200mLの3規格があります。ハイキュービアは令和6年12月に薬事承認され、2025年(令和7年)6月にCIDP・MMNの効能が追加されました。効能・効果は、次の2つです。* 無又は低ガンマグロブリン血症* 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)及び多巣性運動ニューロパチー(MMN)の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)ハイキュービアの投与は、2つの成分を順に皮下注射する点が特徴です。まず、ボルヒアルロニダーゼ アルファを皮下投与します。次に、約10分以内に同じ部位へ人免疫グロブリンGを皮下投与します。ボルヒアルロニダーゼ アルファは、結合組織のヒアルロン酸を脱重合(分解)して、皮下組織の浸透性を高めます。この作用によって、人免疫グロブリンGの拡散・吸収が促進されます。ハイキュービアの投与間隔は、3週間に1回または4週間に1回です。投与は、規定用量の1/3または1/4から開始し、投与量にあわせて投与間隔を延ばしながら漸増します。無又は低ガンマグロブリン血症では、人免疫グロブリンGとして通常150〜600mg/kg体重を3週間に1回、または200〜800mg/kg体重を4週間に1回投与します。CIDP・MMNでは、成人に人免疫グロブリンGとして1.0g/kg体重を3週間に1回投与するのが基本です。CIDP・MMNでは、1回量と忍容性に応じて、48〜72時間の間隔で分割投与することもできます。ハイキュービアの追加は、4つの学会が3通の要望書で要望しました。3通の要望書とは、日本小児感染症学会、日本神経学会・日本末梢神経学会(連名)、日本免疫不全・自己炎症学会の要望書です。要望書が挙げる理由は、通院負担と感染リスクの軽減です。原発性免疫不全症候群(PID)やCIDP・MMNの患者は、生涯にわたり疾患と付き合う必要があり、長期にわたって免疫グロブリン療法を続けます。月1回以上の通院は、感染リスクのある患者や四肢の筋力低下がある患者にとって、治療継続の妨げになります。安全性については、要望書によると、国内外の臨床試験で3週間に1回または4週間に1回の自己注射が実施され、明らかな安全性上の懸念は認められませんでした。ハイキュービアで必要な加算は、注入器用注射針加算と注入ポンプ加算です。注入ポンプ加算が必要な理由は、投与速度を調節できるシリンジポンプを使うためです。この扱いは、同じpH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)を含むハイゼントラやキュービトルと同様です。なお、日本小児感染症学会と日本免疫不全・自己炎症学会は、注入ポンプ加算の算定回数を現行の「2月に2回」から「3月に3回」へ広げるよう要望しています。今回の追加案の資料には、この算定回数の変更は記載されていません。ハイキュービアの主な副作用は、アナフィラキシーショックと無菌性髄膜炎症候群などです。自宅で投与する患者には、これらの副作用への対処法を事前に指導しておく必要があります。追加薬剤2:グセルクマブ(潰瘍性大腸炎・クローン病)2剤目のグセルクマブは、潰瘍性大腸炎とクローン病に使う皮下注射の製剤です。追加案では、必要な在宅療養指導管理材料加算は「なし」とされています。追加の背景には、消化器領域の4学会からの要望書があります。グセルクマブの販売名は、「トレムフィア皮下注200mgシリンジ」と「トレムフィア皮下注200mgペン」です。グセルクマブは、炎症に関わるIL-23の働きを抑える薬剤です。潰瘍性大腸炎に対しては令和7年5月に薬価収載され、クローン病に対しては令和7年6月に承認されました。効能・効果は、次の2つです。* 中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)* 中等症から重症の活動期クローン病の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)グセルクマブの皮下投与は、開始時と維持期で用量と間隔が変わります。開始時には、1回400mgを初回、4週後、8週後に皮下投与します。維持期には、グセルクマブ製剤(点滴静注または皮下注)の投与開始16週後から、1回100mgを8週間隔で皮下投与します。患者の状態によっては、投与開始12週後以降に1回200mgを4週間隔で皮下投与することもできます。グセルクマブの追加は、4つの学会が要望しました。4つの学会とは、日本炎症性腸疾患学会、日本消化器病学会、日本大腸肛門病学会、日本消化管学会です。要望書が挙げる理由は、患者の就労・就学と治療の両立です。潰瘍性大腸炎とクローン病はいずれも国の指定難病で、若年層での発症が多く、寛解と再燃を繰り返します。関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎の治療に使う他の皮下注射型生物学的製剤は、すでに自己注射が可能となっています。自己注射が認められれば、来院頻度を調整でき、生活に合わせた治療の継続が可能になると要望書は述べています。安全性については、要望書によると、国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験で自己投与を可能としたところ、安全性に大きな問題はないことが確認されました。グセルクマブの自己注射について、4学会は2つの条件を示しています。1つ目は、適切な投与方法等の十分な教育訓練を行い、患者が安全かつ確実に投与できることを医師が事前に確認することです。2つ目は、使用済み注射器を再使用しないことや安全な廃棄方法(専用容器への廃棄等)を指導し、副作用が疑われる場合や自己注射の継続が困難な場合には自己注射を中止して主治医に連絡するよう指導することです。対象患者として、4学会は、疾患活動性が良好かつ安定してコントロールされ、4週間隔の通院が困難な患者などを想定しています。グセルクマブの主な副作用は、重篤な感染症とアナフィラキシーなどです。自宅で投与する患者には、感染症の徴候やアナフィラキシーへの対処法を事前に指導しておく必要があります。まとめ:2剤の追加案で通院負担の軽減へ令和8年5月13日の中医協総会では、在宅自己注射の対象に2剤を追加する案が示されました。追加の提案は、中医協の運用基準と学会からの要望書等を踏まえたものです。ハイキュービアは皮下注射の免疫グロブリン製剤で、必要な加算として注入器用注射針加算と注入ポンプ加算が示されています。グセルクマブは潰瘍性大腸炎とクローン病の治療薬で、必要な在宅療養指導管理材料加算は「なし」とされています。2剤が対象薬剤に加われば、長期の治療を続ける患者は、自宅での自己注射を選べるようになります。医療機関は、総会での審議結果と、適用開始日などの正式な告示・通知を確認したうえで、導入前の教育体制と算定方法を準備しておきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
DPC高額薬剤判定|第650回中医協で13成分を出来高算定へ
令和8年5月13日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第650回)は「DPCにおける高額な新規の医薬品等への対応について」を議題としました。新規に薬価収載された医薬品等はDPC/PDPSの診療報酬点数表に反映されていないため、高額な薬剤を包括評価のまま使うと、医療機関の持ち出しが生じるおそれがあります。本稿では、今回示された判定の仕組み、対象となる医薬品等、診断群分類への反映案を解説します。今回の議題では、13成分を出来高算定の対象とし、1成分を診断群分類の分岐に反映する案が示されました。判定の基準は、1入院あたりの標準的な薬剤費が、包括範囲薬剤費の84パーセンタイル値を超えるかどうかです。出来高算定の対象案は、効能・効果などの一部変更(一変)8成分と新薬5成分の計13成分です。新薬のインレビックカプセルは、類似薬モメロチニブ塩酸塩と同じ診断群分類の分岐に反映する案が示されました。※本稿の「13成分」「8成分」「5成分」は、資料の一覧を成分名単位で数えた件数です。資料自体に件数の記載はありません。また、規格ごと(例:アイリーアの注射液とキット)に数えると件数は多くなります。高額薬剤判定は、点数表に未反映の新薬を出来高で評価する仕組み高額薬剤判定とは、新たに保険適用された高額な医薬品等を使った患者を、DPCの包括評価から外す仕組みです。判定は、対象医薬品と診断群分類の抽出、1入院あたり薬剤費の算出、84パーセンタイル値との比較という3段階で進みます。高額薬剤判定が必要なのは、新薬の費用がDPCの包括点数に含まれていないためです。 DPC/PDPSは、診断群分類ごとに1日あたりの点数を定める包括払いの制度です。この包括点数は、過去の診療実績データをもとに設定されます。そのため、実績データのない新薬の費用は、包括点数に含まれていません。高額な新薬の費用を医療機関が負担し続けると、新しい医療技術の導入が妨げられます。そこで、一定の基準に該当する医薬品等を使った患者は、次期診療報酬改定までの間、包括評価の対象外とし、出来高算定とされています。判定の第1段階では、対象となる医薬品と、それを使う可能性のある診断群分類を抽出します。 対象となる医薬品は、新薬、効能・効果や用法・用量の一部変更(一変)を受けた医薬品、事前評価済公知申請の医薬品の3種類です。これらの医薬品ごとに、効能・効果から使用の可能性がある診断群分類(14桁コード)を抽出します。判定の第2段階では、「仮想投与回数」から1入院あたりの標準的費用を算出します。 仮想投与回数とは、入院初日から退院まで、添付文書の用法・用量どおりに投与した場合の投与回数です。資料では、仮想投与回数と1回投与あたりの標準的な費用をもとに、平均在院日数を加味した1入院あたりの標準的費用を示しています。併用する医薬品がある場合は、その費用も標準的費用に含まれます。判定の第3段階では、1入院あたりの標準的費用を84パーセンタイル値と比較します。 84パーセンタイル値とは、当該診断群分類の1入院あたり包括範囲薬剤費を低い順に並べたとき、下から84%の位置にある値です。前年度に使用実績のない医薬品の場合は、当該医薬品を使っていない症例の薬剤費から84パーセンタイル値を求めます。標準的費用がこの値を超えると、その医薬品は高額薬剤に指定されます。比較は診断群分類ごとにおこなうため、同じ医薬品でも、出来高算定となる診断群分類とならない診断群分類が生じます。高額薬剤判定の作業は、新薬の薬価収載にあわせて年4回実施されます。 緊急に薬価収載された新薬については、必要に応じて追加の判定がおこなわれます。判定の結果は、包括評価の対象外とする薬剤と診断群分類を定める「高額薬剤告示」に追加されます。出来高算定の対象案は、一変8成分と新薬5成分の計13成分今回の判定で基準に該当し、出来高算定の対象とする案が示されたのは、一変8成分と新薬5成分の計13成分です。判定の範囲は、令和8年3月23日に効能・効果と用法・用量が追加された医薬品、令和8年3月5日に公知申請が受理された医薬品、令和8年5月20日に薬価収載予定の医薬品等です。案では、これらを使った患者のうち、医薬品ごとに指定された診断群分類に該当する患者が、次期診療報酬改定まで出来高算定となります。一変8成分のうち5成分は、がん領域の医薬品です。 エンハーツ点滴静注用100mgは、HER2陽性の進行・再発の固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)が対象です。ニュベクオ錠300mgは、アンドロゲン受容体陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌が対象です。ターゼナカプセルは、遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌が対象です。ルンスミオ皮下注は、再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫と、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫が対象です。ポライビー点滴静注用は、大細胞型B細胞リンパ腫と、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫が対象です。一変8成分の残り3成分は、がん以外の領域の医薬品です。 アイリーア8mgは、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫が対象です。デュピクセント皮下注は、中等症から重症の水疱性類天疱瘡が対象です。フィブリノゲンHT静注用1g「JB」は、心臓血管外科手術における出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症に対するフィブリノゲンの補充が対象です。新薬5成分のうち2成分は、1回あたり5,000万円を超える、細胞を脳内に移植する製品です。 アクーゴ脳内移植用注は、ヒト(同種)骨髄由来間葉系幹細胞を移植し、外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善に使う製品です。アムシェプリは、非自己iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を移植し、パーキンソン病患者の運動症状の改善に使う製品です。残る3成分は、ソホノスカプセル(進行性骨化性線維異形成症)、ドジョルビ内用液(長鎖脂肪酸代謝異常症)、インレビックカプセル(骨髄線維症)です。13成分の概要は、以下のとおりです。【一変】* エンハーツ点滴静注用100mg* 効能・効果:HER2陽性の進行・再発の固形癌(標準的な治療が困難な場合に限る)* 1回投与あたりの標準的な費用:胃癌770,608円/胃癌以外577,956円* 対象の診断群分類:脳腫瘍、頭頸部悪性腫瘍、消化器の悪性腫瘍など(令和6年度37分類、令和8年度36分類)* ニュベクオ錠300mg* 効能・効果:アンドロゲン受容体陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌* 1回投与あたりの標準的な費用:4,107.8円(別途併用薬)* 対象の診断群分類:03001x 頭頸部悪性腫瘍* ターゼナカプセル0.1mg/0.25mg* 効能・効果:遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌* 1回投与あたりの標準的な費用:19,152.0円(別途併用薬)* 対象の診断群分類:110080 前立腺の悪性腫瘍* ルンスミオ皮下注5mg/45mg* 効能・効果:再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫* 1回投与あたりの標準的な費用:初回266,843円/2回目以降2,327,787円(別途併用薬)* 対象の診断群分類:130030 非ホジキンリンパ腫* ポライビー点滴静注用30mg/140mg* 効能・効果:大細胞型B細胞リンパ腫、再発又は難治性の濾胞性リンパ腫* 1回投与あたりの標準的な費用:762,003円(別途併用薬)* 対象の診断群分類:130030 非ホジキンリンパ腫* アイリーア8mg硝子体内注射液/注射用キット* 効能・効果:網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫* 1回投与あたりの標準的な費用:146,272円* 対象の診断群分類:020210 網膜血管閉塞症* デュピクセント皮下注300mgシリンジ/ペン* 効能・効果:中等症から重症の水疱性類天疱瘡* 1回投与あたりの標準的な費用:初回106,986円/2回目以降53,493円* 対象の診断群分類:080110 水疱症* フィブリノゲンHT静注用1g「JB」* 効能・効果:心臓血管外科手術における出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症に対するフィブリノゲンの補充* 1回投与あたりの標準的な費用:282,231円* 対象の診断群分類:全診断群分類【新薬】* ソホノスカプセル(5規格)* 効能・効果:進行性骨化性線維異形成症* 1回投与あたりの標準的な費用:190,381.3円* 対象の診断群分類:070090 筋炎(感染性を含む。)* ドジョルビ内用液100%* 効能・効果:長鎖脂肪酸代謝異常症* 1回投与あたりの標準的な費用:734,770.0円* 対象の診断群分類:100335 代謝障害(その他)* インレビックカプセル100mg* 効能・効果:骨髄線維症* 1回投与あたりの標準的な費用:44,549.6円* 対象の診断群分類:130050 骨髄増殖性腫瘍* アクーゴ脳内移植用注* 効能・効果:外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善* 1回投与あたりの標準的な費用:72,716,528円* 対象の診断群分類:010310 脳の障害(その他)、160100 頭蓋・頭蓋内損傷* アムシェプリ* 効能・効果:既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者の運動症状の改善* 1回投与あたりの標準的な費用:55,306,737円(別途併用薬)* 対象の診断群分類:010160 パーキンソン病判定結果の数値を見ると、標準的費用と84パーセンタイル値の差は医薬品によって大きく異なります。 アイリーア8mgの場合、令和8年度の020210xx99x1xxでは、標準的費用146,272円に対し、84パーセンタイル値は131,900円です。エンハーツの場合、令和8年度の060020xx97x6xx(胃の悪性腫瘍)では、標準的費用1,541,216円(2回分)に対し、84パーセンタイル値は1,048,659円です。アクーゴの場合、令和8年度の160100xx97x00xでは、標準的費用72,716,528円に対し、84パーセンタイル値は14,139円にとどまります。フィブリノゲンHT静注用は、全診断群分類を対象とした例外的な判定です。 この効能・効果では、対象となる診断群分類を特定できません。そのため、全包括診断群分類の包括範囲薬剤費を用いて判定がおこなわれました。判定結果は、令和6年度と令和8年度の両方の診断群分類番号で示されています。 対象となる14桁コードや告示番号は、年度によって異なる場合があります。例えばエンハーツでは、令和6年度の一覧に含まれる040040(肺の悪性腫瘍)が、令和8年度の一覧には含まれていません。医療機関は、薬剤名だけでなく、適用年度の14桁コードまで確認する必要があります。インレビックは類似薬モメロチニブの分岐に反映する案今回の議題では、出来高算定の判定とは別に、新薬1成分を診断群分類の分岐に反映する案も示されました。対象は、130050 骨髄増殖性腫瘍に使うインレビックカプセル100mgです。分岐への反映は、診断群分類の定義を定める「定義告示」に新薬を追加する手続きです。 定義告示は、傷病名、手術、処置等により診断群分類を定めています。類似薬効比較方式で薬価算定された新薬は、比較薬が定義テーブルの分岐に定義されていれば、同じ分岐に追加されます。類似薬効比較方式とは、効能・効果などが類似する既存薬の価格を基準に、新薬の薬価を決める方式です。インレビックは、類似薬モメロチニブ塩酸塩と同じ分岐に反映する案が示されました。 インレビックの薬価は、類似薬効比較方式(Ⅰ)により算定されました。その類似薬がモメロチニブ塩酸塩です。モメロチニブ塩酸塩は、130050 骨髄増殖性腫瘍の定義テーブルで分岐として定義されています。そのため案では、インレビックも、令和6年度と令和8年度の両方で、この分岐に反映されます。インレビックは、出来高算定の対象一覧にも掲載されています。 例えば令和6年度の130050xx99x4xxでは、標準的費用801,893円(18回分)が、84パーセンタイル値317,509円を上回りました。医療機関は、分岐への反映と出来高算定の両方の内容を確認しておく必要があります。まとめ:13成分の出来高算定案と1成分の分岐反映案を確認しよう第650回中医協総会では、DPCにおける高額な新規の医薬品等について、13成分を出来高算定の対象とし、1成分を診断群分類の分岐に反映する案が示されました。判定の基準は、仮想投与回数をもとに求めた1入院あたりの標準的費用が、84パーセンタイル値を超えるかどうかです。出来高算定の対象案は、エンハーツなどの一変8成分と、アクーゴ・アムシェプリなどの新薬5成分です。インレビックカプセルは、類似薬モメロチニブ塩酸塩と同じ130050 骨髄増殖性腫瘍の分岐に反映する案が示されました。対象患者の算定にあたっては、薬剤名だけでなく、適用年度の14桁コードまで確認してください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
ブリィビアクト薬価4.3%引き下げ|費用対効果評価の結果を解説
2026年(令和8年)5月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第650回)で、抗てんかん薬「ブリィビアクト錠」の費用対効果評価結果に基づく価格調整が示されました。費用対効果評価による薬価の見直しは、計算式や専門用語が多く、公表資料だけでは内容をつかみにくい制度です。本号では、ブリィビアクトの価格調整について、結果、仕組み、根拠の3点を順に解説します。ブリィビアクトの薬価は、2026年8月1日から約4.3%引き下げられます。価格調整の結果として、25mg錠は373.30円から357.30円に、50mg錠は609.30円から583.20円に下がります。価格調整の仕組みとして、ICERが1,000万円/QALY以上の区分とされたため、有用性加算部分に最も低い価格調整係数0.1が適用されました。価格調整の根拠は、公的分析が主に4つの論点で企業の分析を再分析し、専門組織がその結果を妥当と判断したことです。価格調整の結果:2規格とも約4.3%の引き下げブリィビアクトの価格調整では、25mg錠と50mg錠の2規格がそろって約4.3%引き下げられます。新しい薬価の適用は2026年8月1日からです。新しい薬価は、次のとおりです。* 25mg 1錠:373.30円 → 357.30円(16.00円、約4.3%の引き下げ)* 50mg 1錠:609.30円 → 583.20円(26.10円、約4.3%の引き下げ)※引き下げ額と引き下げ率は、資料の数値から筆者が計算したものです。新薬価の適用日は、今回の総会から約2か月半後の2026年8月1日に設定されました。この猶予期間は、医療機関の在庫への影響などを踏まえて設けられたものです。医療機関や薬局は、8月1日の切り替えに向けて、在庫量や薬価マスタの更新時期を確認しておくとよいでしょう。ブリィビアクトは、2024年8月7日の中医協総会で費用対効果評価の対象に指定された品目です。ブリィビアクトの効能・効果は、てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)です。ブリィビアクトの評価区分は「H1」で、ピーク時の市場規模予測が100億円以上(178億円)の品目に当たります。ブリィビアクトの費用対効果評価結果は、2026年4月8日の中医協総会ですでに承認されています。今回の総会では、この承認済みの評価結果を薬価に反映する具体的な価格が示されました。なお、2026年5月13日時点の評価終了品目一覧には、ブリィビアクトを含めて55品目が掲載されています。価格調整の仕組み:有用性加算部分の9割を削る算式ブリィビアクトの価格調整は、ICERの区分に応じた価格調整係数を、薬価のうち有用性加算部分だけに掛ける仕組みで行われました。ICERが1,000万円/QALY以上の区分に入ったため、係数は最低の0.1となりました。ICERとは、新しい薬が既存の治療と比べて、健康上の効果を1単位増やすために追加でいくらかかるかを示す指標です。ICERの「健康上の効果」には、QALY(質調整生存年)という単位が使われます。QALYは、生存期間に生活の質(QOL値:完全な健康を1、死亡を0とする数値)を掛け合わせた値です。ICERが高いほど、薬の価格に比べて得られる効果が小さい、つまり費用対効果が悪いことを意味します。有用性系加算等の価格調整係数(β)は、資料の図ではICERの区分ごとに4段階で示されています。ICERが200万〜500万円/QALYの区分では係数1.0で、有用性加算部分は引き下げられません。ICERが500万〜750万円の区分では係数0.7、750万〜1,000万円の区分では係数0.4、1,000万円以上の区分では係数0.1となります。ブリィビアクトのICERは1,000万円/QALY以上の区分とされたため、係数0.1が適用されました。なお、評価終了品目一覧には、評価の結果、価格が引き上げられた品目(例:レケンビ)や変更なしとなった品目も含まれています。価格調整後の薬価は、次の算式で求められます。価格調整後の薬価 = 価格調整前の薬価 - 有用性加算部分 ×(1 - β)この算式で調整の対象となるのは、薬価全体ではなく有用性加算部分だけです。ブリィビアクトは、薬価収載時に類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定され、有用性系加算(加算率5%)が適用されていました。係数0.1を当てはめると、有用性加算部分の90%が薬価から差し引かれます。25mg錠の場合、有用性加算部分は約17.78円と逆算でき、その90%に当たる16.00円が引き下げ額となります(逆算は筆者による試算です)。価格調整に用いられた対象集団は、「併用療法による治療を受ける患者」のみで、その患者割合は100%とされました。費用対効果評価の分析枠組みでは、「単剤療法による治療を受ける患者」も分析対象集団に含まれていました。しかし、単剤療法の集団は、公的分析で「分析不能」という結果になりました。企業は、単剤療法の試験を計画中であることを理由に、この集団の評価を中断するよう求めています。この中断の要望の扱いについて、今回の資料には結論が記載されていません。評価の根拠:公的分析による4つの論点の再分析ブリィビアクトのICERが1,000万円/QALY以上の区分とされた根拠は、公的分析が主に4つの論点で企業の分析を再分析し、専門組織がその結果を妥当と判断したことです。4つの論点は、追加的有用性、維持治療の継続率、後治療、QOL値です。費用対効果評価の流れを確認しておきます。費用対効果評価では、まず製造販売業者(企業)が分析を行います。次に、公的な立場の分析(公的分析)が企業分析を検証し、必要に応じて再分析します。最後に、費用対効果評価専門組織が両者の結果を検討し、評価案をまとめます。ブリィビアクトの併用療法の集団では、比較対照技術(比べる相手)は「レベチラセタム+薬物療法」とされました。レベチラセタムは、ブリィビアクトと同じ薬理作用を持つ既存の抗てんかん薬です。1つ目の論点である追加的有用性について、公的分析は「発作抑制について、レベチラセタムに対する追加的有用性は示されていない」と判断しました。ネットワークメタアナリシスでは、完全発作消失率のオッズ比が1.208(95%信頼区間0.457〜3.194)でした。一方、50%レスポンダー達成率のオッズ比は0.787(同0.554〜1.118)でした。2つの指標が相反する結果となり、信頼区間の幅も広かったため、公的分析は発作抑制に関するアウトカムにオッズ比1.000を適用して分析しました。2つ目の論点である維持治療の継続率について、公的分析は企業の推計方法を修正しました。企業は、ブリィビアクトにはランダム化比較試験(RCT)のデータを、レベチラセタムにはレセプトデータベースを用いた観察研究のデータを用いていました。公的分析は、研究デザインが大きく異なるデータを単純に比べることには課題があると指摘しました。そこで公的分析は、レベチラセタムの維持治療中断率に「有害事象による治療中断」のオッズ比0.678を掛けて、ブリィビアクトの継続率を推計し直しました。3つ目の論点である後治療について、公的分析は企業が設定した「費用0・QOL値0」を修正しました。後治療とは、ブリィビアクトやレベチラセタムを中止した後の、他剤による多剤併用療法、迷走神経刺激療法、外科手術などによる治療を指します。企業は、後治療の費用とQOL値をともに0と設定していました。しかし、費用とQOL値が0になる状態は「死亡」と同じ扱いを意味します。公的分析は、後治療の患者は生存していることから、近い健康状態である「非レスポンダー」の費用とQOL値を当てはめて再分析しました。4つ目の論点であるQOL値について、公的分析は企業が用いた韓国のビニエット法のデータを、臨床試験で患者本人から得たデータに置き換えました。ビニエット法とは、文章で描写した健康状態を一般の人に想像させ、QOL値を評価する手法です。企業が用いたデータ(Kang 2014)は、発作時に「意識消失、転倒、記憶障害」が必ず起こり、月10回以上発作が生じる重い状態を想定していました。公的分析は、ブリィビアクトの臨床試験(N01252、N01253、N01254試験)で患者本人から得たQOL値を用いて再分析しました。企業は専門組織の判断に不服意見を出しましたが、専門組織は公的分析の結果が妥当であると結論づけました。企業の主な主張は、有用性加算の根拠である「治療方法の改善(利便性)」がICERに反映されない点や、後治療を考慮しなかった前例(ビンゼレックス)がある点などです。専門組織は、ビンゼレックスの措置は評価対象と比較対照の後治療への移行確率が同等だったために行われたものであり、今回の判断の根拠にはならないとしました。また専門組織は、患者本人から得たQOL値が存在する場合はそれを使うべきだとしています。さらに専門組織は、今後新たなエビデンスが見いだされた場合は「H3品目として対応すべき」としています。なお資料では、総合的評価において企業分析と公的分析の双方に一定の科学的妥当性が認められていることも付記されています。まとめ:ブリィビアクトは8月1日から約4.3%の引き下げブリィビアクトの薬価は、費用対効果評価の結果に基づき、2026年8月1日から約4.3%引き下げられます。価格調整の結果、25mg錠は357.30円に、50mg錠は583.20円になります。価格調整の仕組みでは、ICER1,000万円/QALY以上の区分に当たる係数0.1が、有用性加算部分に適用されました。価格調整の根拠は、公的分析が追加的有用性、維持治療の継続率、後治療、QOL値の4点で再分析し、専門組織がその結果を妥当と判断したことです。医療機関や薬局は、8月1日の切り替えに向けて在庫と薬価マスタの準備を進めておきましょう。参考資料:* 中医協 総-7「ブリィビアクトの費用対効果評価結果に基づく価格調整について」(令和8年5月13日)* 中医協 総-7参考1「医薬品等の費用対効果評価案について」(令和8年4月8日 中医協 総-2)* 中医協 総-7参考2「費用対効果評価対象品目一覧」(令和8年5月13日時点)* 費用対効果評価の詳細は、国立保健医療科学院から公表される報告書を参照してください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
再生医療等製品2品目に最適使用推進GL|中医協第650回の要点
2026年(令和8年)5月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第650回)で、再生医療等製品2品目の最適使用推進ガイドライン(以下、GL)が報告されました。GLの要件は保険適用上の留意事項にも反映されるため、医療機関は要件を正確に把握する必要があります。本稿では、対象2品目の概要、使用の要件、診療報酬明細書(レセプト)への記載事項を順に整理します。両品目は、GLの要件を満たす施設・医師・患者に限って、保険診療で使用できます。対象は、外傷性脳損傷後の運動麻痺に用いる「アクーゴ脳内移植用注」と、パーキンソン病の運動症状に用いる「アムシェプリ」です。使用には、医療施設、治療の責任者、投与対象となる患者の3要件をすべて満たす必要があります。この3要件への該当性は、2026年5月20日からレセプトの摘要欄への記載が求められています。対象は脳に細胞を移植する再生医療等製品2品目今回の対象は、定位脳手術で脳に細胞を移植する再生医療等製品2品目です。定位脳手術とは、頭蓋骨に開けた小さな孔から、画像で決めた脳内の目標点へ器具を正確に進める手術です。両品目とも臨床試験成績が限られているため、「条件及び期限付承認」を受けています。この承認は、期限内に有効性と安全性を改めて検証することを条件とした承認です。最適使用推進GLは、革新的な医薬品等を、真に必要な患者に、適切な施設で使うための指針です。この仕組みは、2017年(平成29年)9月13日に中医協で取扱いが了承されました。GLは承認審査と並行して作成され、保険適用までに保険適用上の留意事項とともに通知されます。今回のGLは、医薬品医療機器総合機構(PMDA)と関係学会の協力で作成されました。アクーゴ脳内移植用注(一般的名称:バンデフィテムセル、製造販売業者:サンバイオ)は、外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺を改善する製品です。本品は、健康成人の骨髄から採った間葉系幹細胞に、遺伝子を導入した細胞製品です。移植した細胞が分泌するサイトカインにより、神経の修復が期待されます。第Ⅱ相試験(TBI-01試験)では、移植群46例と偽手術群15例を比較しました。移植群は3つの用量群(2.5×10⁶個、5.0×10⁶個、10.0×10⁶個)を合わせた集団で、承認用量にあたる5.0×10⁶個群は15例です。主要評価項目である24週時点の運動機能スコア(FMMS)の改善幅は、移植群8.3点、偽手術群2.3点でした。両群の差は6.0点で、統計学的に有意でした(p=0.0401)。アムシェプリ(一般名:ラグネプロセル、製造販売業者:住友ファーマ)は、既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の運動症状を改善する製品です。本品は、他人のiPS細胞から作製したドパミン神経前駆細胞を含む細胞製品です。移植した細胞は、ドパミンを作る神経細胞に分化して働くことが期待されます。第Ⅱ相試験(IACT16049-01試験)は、対照群を置かない非盲検の試験として、国内1施設で行われました。この試験では7例に移植し、両側同時に移植した6例で有効性を評価しました。6例には、承認用量より少ない片側2.4×10⁶個を移植した2例が含まれます。副次評価項目である移植後24カ月の運動症状スコア(オフ時のMDS-UPDRS Part III、低いほど症状が軽い)は、平均50.8点から41.3点に下がりました。6例中4例は、5点以上改善する「著効」と判定されました。残る2例は、スコアがそれぞれ3点、5点悪化しました。なお、本品では拒絶反応を抑えるため、移植日から免疫抑制剤タクロリムスを服用します。2品目の比較* アクーゴ脳内移植用注* 一般名:バンデフィテムセル* 細胞の由来:他人の骨髄由来間葉系幹細胞* 効能・効果:外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺の改善* 移植部位:損傷した組織の周辺部* 併用する治療:移植後のリハビリテーション* アムシェプリ* 一般名:ラグネプロセル* 細胞の由来:他人のiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞* 効能・効果:既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の運動症状の改善* 移植部位:両側の被殻* 併用する治療:移植日からのタクロリムス投与(1年を目安)使用には施設・責任医師・患者の3要件をすべて満たす両品目を使用するには、医療施設、治療の責任者、投与対象となる患者の3要件をすべて満たす必要があります。この3要件は、レセプトの摘要欄に記載を求められる項目とも一致します。以下では、3要件を同じ順で両品目について説明します。医療施設の要件では、まず施設の種類が、特定機能病院、大学附属病院、関係学会の基幹施設・連携施設・認定施設のいずれかに限られます。大学附属病院は、脳神経外科の診療科を持つ場合に限ります。アクーゴで対象となる学会施設は、日本脳神経外科学会の基幹施設又は連携施設、日本脳神経外傷学会の認定研修施設、日本定位・機能神経外科学会の認定施設です。アムシェプリで対象となる学会施設は、日本脳神経外科学会の基幹施設又は連携施設、日本定位・機能神経外科学会の認定施設です。さらに両品目とも、定位脳手術の設備、再生医療等製品の情報管理担当者、重篤な副作用に24時間対応できる体制(連携施設での対応を含む)が必要です。アクーゴでは、細胞調製の設備・手順書と、脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)~(Ⅲ)の届出も求められます。アクーゴではさらに、自施設で3件以上の細胞調製実績があり、講習を修了した細胞調製担当者の配置も必要です。アムシェプリでは、日本脳神経外科学会認定専門医と日本神経学会認定神経内科専門医を、それぞれ1名以上配置する必要があります。アムシェプリでは、タクロリムスの用量を血中濃度に基づいて調節できる医師の配置も求められます。なお、移植後のリハビリテーション(アクーゴ)や経過観察(アムシェプリ)は、移植施設と連携する等の要件を満たせば、別の施設でも行えます。治療の責任者の経験要件(GLの表4)は、両品目で共通です。ただし責任者には、アクーゴでは外傷性脳損傷、アムシェプリではパーキンソン病の診断・治療に十分な経験と知識も求められます。責任者となる医師は、初期研修の2年間を除き、4年以上の脳神経外科の臨床研修を修めている必要があります。この4年のうち3年以上は、脳神経外科治療の臨床経験でなければなりません。また、日本定位・機能神経外科学会の機能的定位脳手術技術認定に相当する経験(5例以上)も必要です。加えて、製造販売業者が実施する本品の講習を修了していることが求められます。投与対象となる患者の要件は、各疾患の病期と重症度で定められています。アクーゴの対象は、受傷後6か月以上が経過して運動機能障害が固定した、GOS-Eスコア3~6の患者です。GOS-Eとは、外傷後の生活状態を1(死亡)から8(良好な回復)の8段階で評価する指標で、3~6は中等度又は重度の障害にあたります。アクーゴでは、運動麻痺の原因となる局所病変をMRI等で確認できることも条件です。アムシェプリの対象は、次の6項目をすべて満たすパーキンソン病患者です。* パーキンソン病と診断され、罹病期間が5年以上の者* 既存の薬物療法では運動症状のコントロールが十分に得られていない者* MDS-UPDRS Part 3及び/又は症状日誌から、オンとオフの状態を有する者* オフ時のHoehn & Yahr重症度分類が2度以上の者* オン時のHoehn & Yahr重症度分類が3度以下の者* 抗パーキンソン病薬を休薬した状態で、レボドパへの反応性が30%以上である者対象外や慎重投与となる患者も、両品目で定められています。両品目とも、本品の成分に過敏症の既往歴がある患者は禁忌です。アクーゴでは、定位脳手術やリハビリテーションの実施が困難な患者も対象になりません。アムシェプリでは、本品の投与歴がある患者も禁忌です。また、アムシェプリは臨床試験で70歳超の患者への移植経験がないため、有益性と危険性をより慎重に評価する必要があります。3要件の比較* アクーゴ脳内移植用注* 医療施設:特定機能病院、大学附属病院(脳神経外科あり)、日本脳神経外科学会の基幹・連携施設、日本脳神経外傷学会の認定研修施設、日本定位・機能神経外科学会の認定施設のいずれか* 治療の責任者:脳神経外科の臨床研修4年以上(うち治療経験3年以上)、定位脳手術5例以上、講習修了* 投与対象患者:受傷後6か月以上、運動機能障害が固定、GOS-E 3~6* アムシェプリ* 医療施設:特定機能病院、大学附属病院(脳神経外科あり)、日本脳神経外科学会の基幹・連携施設、日本定位・機能神経外科学会の認定施設のいずれか* 治療の責任者:脳神経外科の臨床研修4年以上(うち治療経験3年以上)、定位脳手術5例以上、講習修了* 投与対象患者:罹病5年以上、オン・オフあり、H&Y分類(オフ時2度以上・オン時3度以下)、レボドパ反応性30%以上 等レセプト摘要欄に3要件の該当性を記載する保険請求では、レセプトの摘要欄に3要件への該当性を記載します。この留意事項通知は2026年5月19日に発出され、5月20日から適用されています。留意事項の基本的な考え方は、両品目をGLに従って使用することです。留意事項通知には、この考え方が明記されます。そのため、医療機関は移植の前に、3要件を満たしているかを確認する必要があります。摘要欄の記載項目は、①医療施設の要件への該当性、②治療の責任者の要件への該当性、③投与対象となる患者要件への該当性の3つです。①では、特定機能病院、大学附属病院、学会の認定施設等のうち、どの区分に該当するかが問われます。②では、責任者となる医師が、研修年数、定位脳手術の経験、講習修了の要件を満たすことが問われます。③では、アクーゴならGOS-Eスコアや受傷後の期間、アムシェプリなら先の6項目への該当が問われます。具体的な記載方法は、5月19日発出の通知本文で確認してください。摘要欄の記載に備え、医療機関は3要件の根拠となる記録を院内で整えておくことが重要です。施設の認定状況、責任医師の経歴と講習修了の記録、患者の評価スコアは、レセプト作成時にすぐ参照できるようにしておきましょう。まとめ:3要件の確認とレセプト記載が保険請求の前提第650回中医協総会では、再生医療等製品2品目の最適使用推進GLが報告されました。対象は、外傷性脳損傷後の運動麻痺に用いるアクーゴ脳内移植用注と、パーキンソン病の運動症状に用いるアムシェプリです。両品目の使用には、医療施設、治療の責任者、投与対象となる患者の3要件をすべて満たす必要があります。この3要件への該当性は、2026年5月20日からレセプトの摘要欄に記載することが求められています。※本稿は、2026年5月13日の中医協総会資料(総-6-1、総-6-2、総-6-3、総-6参考)に基づいています。その後の通知改正等は、厚生労働省の最新情報でご確認ください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【中医協】iPS細胞製品など再生医療等製品3品目が保険適用へ
令和8年5月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第650回)で、再生医療等製品3品目の保険適用が議題となりました。3品目のうち2品目は「条件及び期限付き承認」を受けた製品であり、令和8年1月に中医協が了解した算定ルールに沿って価格が算定されています。本稿では、3品目の薬価と技術料、そしてこのルールが価格にどう反映されたかを解説します。3品目は令和8年5月20日に薬価基準へ収載される予定で、いずれも神経の病気を対象とする高額な製品です。第一に、アクーゴとアムシェプリの薬価は、条件及び期限付き承認のルールにより、営業利益率を平均的な営業利益率の半分(7.8%)とし、有用性系加算の該当性を判断せずに算定されました。第二に、両品目の投与には、細胞調製の技術料として「K924 自己生体組織接着剤作成術」4,340点を準用し、移植手術の技術料として「K154 機能的定位脳手術」を算定する案が示されました。第三に、ゾルゲンスマ髄注は、既に収載されている点滴静注と同じ1患者当たり1億6,707万7,222円で算定され、費用対効果評価の対象となります。今回保険適用される3品目の概要今回保険適用される3品目は、細胞加工製品2品目と遺伝子治療用製品1品目です。3品目の基本情報は次のとおりです。アクーゴ脳内移植用注* 会社名:サンバイオ* 対象疾患:外傷性脳損傷に伴う慢性期の運動麻痺* 算定薬価:72,716,528円(1回分)* 算定方式:原価計算方式アムシェプリ* 会社名:住友ファーマ* 対象疾患:レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病の運動症状* 算定薬価:55,306,737円(18瓶1組)* 算定方式:原価計算方式ゾルゲンスマ髄注* 会社名:ノバルティス ファーマ* 対象疾患:脊髄性筋萎縮症(抗AAV9抗体陰性、2歳以上)* 算定薬価:167,077,222円(1患者当たり)* 算定方式:別銘柄として算定しないアクーゴは、健康成人の骨髄由来の間葉系幹細胞に遺伝子を導入した細胞を、脳の損傷部位の周辺に移植する製品です。この細胞から分泌されるサイトカインが、神経細胞の修復を促すと期待されています。臨床試験では、運動機能の指標(FMMSスコア)の24週目における変化量が、本品群8.3点、偽手術群2.3点となり、統計学的に有意な差(p=0.0401)が示されました。製造販売承認は令和6年7月31日ですが、生産体制の整備と算定方法の検討がなされていたため、収載まで約1年10か月を要しました。アムシェプリは、iPS細胞から作ったドパミン神経前駆細胞を、脳の両側の被殻(運動の調節に関わる部位)に移植する製品です。移植した細胞がドパミン神経細胞に分化・成熟し、運動症状を改善すると期待されています。国内臨床試験では、有効性を評価した6例のうち3例で、オフ時の運動症状スコア(MDS-UPDRS PartⅢ)に、文献で報告された移植1年後の最大のプラセボ効果(-10.1点)を上回る改善が移植2年後に認められました。ただし、この試験は非盲検の非対照試験であり、資料では、定位脳手術を受けたこと自体によるプラセボ効果の可能性は否定できないとされています。製造販売承認は令和8年3月6日で、世界に先駆けて日本で承認された製品です。ゾルゲンスマ髄注は、SMN遺伝子を運ぶウイルスベクターを髄腔内に1回だけ投与する製品です。成分は既存の「ゾルゲンスマ点滴静注」と同じで、投与経路が静脈内から髄腔内に変わりました。製造販売承認は令和8年4月3日です。アクーゴとアムシェプリ:条件及び期限付き承認のルールによる薬価算定アクーゴとアムシェプリは、類似する既存品がないため、原価計算方式で算定されました。原価計算方式とは、製造原価に営業利益や流通経費などを積み上げて価格を決める方法です。両品目は条件及び期限付き承認を受けているため、営業利益率と補正加算の扱いに、このルールが反映されています。条件及び期限付き承認とは、有効性が「確認」ではなく「推定」された段階で、期限と条件を付けて承認する仕組みです。この仕組みで承認された再生医療等製品について、中医協は令和8年1月14日に診療報酬上の扱いを了解しました。このルールでは、算定時の扱いを次の3点としています。* 原価計算方式の営業利益率は、平均的な営業利益率に0.5を乗じた値とする* 有用性系加算は、算定時には該当性を判断しない* 有用性系加算以外の補正加算は、有効性が推定にとどまることを踏まえて該当性を判断する両品目の原価計算の内訳は、営業利益率7.8%(流通経費を除く価格に対する割合)で積み上げられています。アクーゴ(1回分)* 製品総原価:50,363,585円* 営業利益(7.8%):4,260,694円* 流通経費(0.84%):464,000円* 消費税:5,508,828円* 加算前の価格:60,597,106円* 加算後の価格(算定薬価):72,716,528円アムシェプリ(18瓶1組)* 製品総原価:42,820,163円* 営業利益(7.8%):3,622,530円* 流通経費(0.54%):250,394円* 消費税:4,669,309円* 加算前の価格:51,362,396円* 加算後の価格(算定薬価):55,306,737円※加算前から加算後への増加率は、アクーゴが20%、アムシェプリが約7.7%です。アムシェプリの増加率が加算率の合計(20%)と一致しない理由は、資料には記載されていません。両品目の補正加算は、市場性加算(Ⅰ)と先駆加算がそれぞれ10%で、いずれも加算幅(10~20%)の下限にとどまりました。市場性加算(Ⅰ)は、両品目とも希少疾病用再生医療等製品の指定を受けているため適用されました。先駆加算は、アクーゴが先駆け審査指定制度の対象品目であるため、アムシェプリが世界に先駆けて日本で承認されたため、それぞれ適用されました。加算率が10%とされた理由は、アクーゴでは国際共同第Ⅱ相試験の結果が薬事審査で限定的な評価とされたため、アムシェプリでは有効性を示すデータが限られているためです。なお、画期性加算と有用性加算(Ⅰ)(Ⅱ)は、両品目とも「該当しない」とされています。両品目の収載後の扱いも、このルールで定められています。市場拡大再算定は、通常の承認を受けた製品と同じく適用されます。革新的新薬薬価維持制度(薬価改定時の引き下げを抑える制度)は、要件を満たせば適用され、両品目とも該当とされました。費用対効果評価は、分析に必要なデータが不十分と想定されるため、改めて承認を受けた際に該当性を判断します。改めて承認を受けた際には、営業利益率の係数と補正加算の適用・控除を薬価算定組織で検討し、中医協総会の了承を経ることになっています。アクーゴとアムシェプリ:細胞調製と定位脳手術の技術料アクーゴとアムシェプリの投与には、細胞調製と定位脳手術という2つの手技が必要なため、2つの技術料を組み合わせる案が示されました。定位脳手術とは、頭蓋骨に小さな穴を開け、画像で位置を特定しながら脳の深部に器具を到達させる手術です。細胞調製の技術料には、両品目とも「K924 自己生体組織接着剤作成術」4,340点を準用する案です。準用とは、診療報酬点数表に該当する項目がない手技に、似た手技の点数を当てはめて算定することです。K924が選ばれた理由は、投与前に製剤を融解や遠心分離などで調製する手技が似ているためです。アクーゴの調製は、細胞の融解、洗浄、細胞カウント、エンドトキシン試験用サンプルの分注、細胞懸濁液の調製と細胞カウント、投与デバイスへの充填という手順で進みます。この調製は、製造販売業者が企画する講習を修了した医療スタッフがおこないます。アムシェプリの調製は、遠心分離、上清除去、投与デバイスへの細胞充填、細胞数の計算という手順で進みます。移植手術の技術料には、両品目とも「K154 機能的定位脳手術 2 その他の場合」を算定する案ですが、移植部位によって点数が異なります。アクーゴは、1箇所の損傷部位に移植するため「イ 片側の場合」52,300点です。アムシェプリは、両側の被殻に移植するため「ロ 両側の場合」94,500点です。この2つの技術料を合計すると、アクーゴが56,640点、アムシェプリが98,840点となります。なお、アムシェプリでは、免疫反応を抑えるため、移植日の朝からタクロリムスを服用し、1年を目安に、その後12週間かけて減量・中止します(必要に応じて延長)。ゾルゲンスマ髄注:既存の点滴静注と同じ薬価で算定ゾルゲンスマ髄注は、既存のゾルゲンスマ点滴静注と同じ成分のため、別銘柄として算定せず、同じ1患者当たり1億6,707万7,222円で算定されました。「別銘柄として算定しない」とは、新しい製品として価格を一から計算せず、既存品の価格をそのまま用いる方法です。ゾルゲンスマ髄注の薬価は、補正加算も外国平均価格調整もなく、点滴静注の薬価と同額です。薬価が「1患者当たり」とされた理由は、1人の患者に1回投与すれば治療が完結するためです。参考として示された米国価格は、AWP(平均卸売価格)が約4億6,559万円、WAC(卸売業者の購入価格)が約3億8,799万円です。ピーク時の市場規模は、2年度目に26人、43億円と予測されています。ゾルゲンスマ髄注の対象は、2歳以上で抗AAV9抗体が陰性の脊髄性筋萎縮症(SMA)の患者です。過去にこの成分の投与を受けた患者には、投与経路を問わず使用できません。海外第Ⅲ相試験(126例、支えなしで座れるが補助なしで歩けない患者が対象)では、運動機能の指標(HFMSEスコア)の約1年後の変化量が、本品群2.38点、シャム群0.56点となり、本品群の優越性が示されました。ゾルゲンスマ髄注は、制度上、革新的新薬薬価維持制度と費用対効果評価の両方の対象となります。費用対効果評価の区分はH5で、既に評価対象となった品目に類似する品目に当てはまる区分です。このため、収載後は費用対効果評価の結果に応じて価格が調整される可能性があります。まとめ:条件及び期限付き承認品の算定根拠を押さえる第650回中医協総会では、再生医療等製品3品目の保険適用が示され、令和8年5月20日に収載される予定です。アクーゴとアムシェプリは、条件及び期限付き承認のルールにより、営業利益率7.8%、有用性系加算は判断せず、市場性加算(Ⅰ)と先駆加算は各10%で算定されました。両品目の投与には、細胞調製のK924準用4,340点と、定位脳手術のK154(片側52,300点、両側94,500点)を組み合わせる案が示されました。ゾルゲンスマ髄注は、点滴静注と同じ1億6,707万7,222円で算定され、費用対効果評価(H5)の対象となります。条件及び期限付き承認の2品目は、改めて承認を受けた際に営業利益率と補正加算が再検討されるため、今後の審査の動向にも注目が必要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【中医協第650回】新薬4成分の薬価とマンジャロ25%引き下げを解説
2026年(令和8年)5月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第650回)で、「医薬品の新規薬価収載等について」が議題になりました。この議題では、新薬の薬価だけでなく、処方日数の例外、既存薬の薬価引き下げ、算定ルールの基礎資料も同時に示されています。本号では、医療機関や薬局の実務に関わるポイントを、算定表の読み方とあわせて整理します。今回の議題の要点は、「新薬4成分の収載」「1成分の処方日数制限の撤廃」「既収載2成分の薬価引き下げ」の3つです。新薬4成分11品目は5月20日に薬価収載される予定で、4成分すべてが革新的新薬薬価維持制度の対象とされました。新薬のうちドジョルビ内用液は、収載後1年間の「14日ルール」の例外として、処方日数の制限を設けない案が示されました。既収載品のアムヴトラ皮下注とマンジャロ皮下注は、販売額の急拡大を理由に、8月1日から薬価を引き下げることとされました。あわせて、類似薬選定の薬剤分類(改訂第16版)、革新的新薬薬価維持制度の平均的な維持率、新薬算定の係数も示されました。1. 新薬4成分11品目の薬価:希少疾病用3成分と造影剤1成分5月20日に収載予定の新薬は、内用薬3成分7品目と注射薬1成分4品目です。4成分のうち3成分は希少疾病用医薬品で、残る1成分はMRI用の造影剤です。算定方式は、原価計算方式が2成分、類似薬効比較方式(Ⅰ)が2成分に分かれました。ソホノスカプセル(パロバロテン)* 対象疾患:進行性骨化性線維異形成症* 算定方式:原価計算方式* 主な加算:有用性加算(Ⅱ)10%、市場性加算(Ⅰ)10%、加算係数0* 算定薬価:1mg 46,062.10円/1.5mg 57,114.90円/2.5mg 95,190.70円/5mg 190,381.30円/10mg 355,689.50円* ピーク時予測:投与患者12人、販売額6.3億円ドジョルビ内用液100%(トリヘプタノイン)* 対象疾患:長鎖脂肪酸代謝異常症* 算定方式:原価計算方式* 主な加算:有用性加算(Ⅱ)5%、市場性加算(Ⅰ)15%、加算係数0* 算定薬価:500mL1瓶 734,770.00円* ピーク時予測:投与患者276人、販売額36億円インレビックカプセル100mg(フェドラチニブ塩酸塩水和物)* 対象疾患:骨髄線維症* 算定方式:類似薬効比較方式(Ⅰ)* 主な加算:市場性加算(Ⅰ)5%* 算定薬価:100mg1カプセル 11,137.40円(1日薬価44,549.60円)* ピーク時予測:投与患者197人、販売額32億円アムベルビスト静注(ガドクアトラン水和物)* 対象疾患・用途:MRI造影(脳・脊髄、躯幹部・四肢)* 算定方式:類似薬効比較方式(Ⅰ)* 主な加算:有用性加算(Ⅱ)5%、小児加算15%* 算定薬価:2mL 2,261円/5mL 4,930円/7.5mL 7,098円/10mL 9,193円* ピーク時予測:投与患者69.3万人、販売額46億円算定方式の違いを押さえると、上記の数字が読みやすくなります。原価計算方式は、比較できる既存薬(類似薬)がない場合に、製品総原価に営業利益・流通経費・消費税を積み上げて薬価を決める方式です。類似薬効比較方式(Ⅰ)は、効能や薬理作用が最も近い既存薬(最類似薬)の1日薬価にそろえて薬価を決める方式です。ソホノスカプセル:国内初の進行性骨化性線維異形成症治療薬ソホノスカプセルは、筋肉や腱などが徐々に骨に置き換わる希少疾患「進行性骨化性線維異形成症」の治療薬です。同様の効能・効果、薬理作用、化学構造を持つ既存薬がないため、薬価は原価計算方式で算定されました。算定では、有用性加算(Ⅱ)10%と市場性加算(Ⅰ)10%が認められています。ただし加算係数が0のため、加算前と加算後の薬価は同じ金額です。加算係数とは、原価計算方式で加算率に掛ける係数で、一般に製品総原価の開示度に応じて設定されます。係数が0の場合、加算は実際の薬価に反映されません。なお、資料には係数が0となった具体的な理由は記載されていません。ピーク時の予測は、投与患者12人、販売額6.3億円です。ドジョルビ内用液:長鎖脂肪酸代謝異常症で初めて承認された薬ドジョルビ内用液は、脂肪からエネルギーを作る過程に障害がある遺伝性疾患「長鎖脂肪酸代謝異常症」の治療薬です。この疾患に適応を持つ既存薬がないため、薬価は原価計算方式で算定されました。算定では、有用性加算(Ⅱ)5%と市場性加算(Ⅰ)15%が認められています。市場性加算(Ⅰ)が15%とされた理由は、患者数の少ない疾患であることと、ドラッグ・ロス(海外で承認された薬が国内で開発されない状態)に該当するとされていた品目の開発であることです。なお、この加算率は、臨床試験に日本人患者が組み入れられていない点も踏まえたうえで判断されています。ただしソホノスと同じく加算係数が0のため、薬価は加算前と同じ734,770.00円です。ピーク時の予測は、投与患者276人、販売額36億円です。インレビックカプセル:既存のJAK阻害薬オムジャラと1日薬価をそろえた骨髄線維症治療薬インレビックカプセルは、血液がんの一種である骨髄線維症に使うJAK阻害薬です。同じ骨髄線維症に使うオムジャラ錠(1日薬価42,428.00円)が最類似薬に選ばれ、薬価は類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定されました。1日4カプセルを服用するため、加算前の1カプセルの薬価は10,607.00円です。この金額に市場性加算(Ⅰ)5%が上乗せされ、算定薬価は11,137.40円(1日薬価44,549.60円)になりました。市場性加算(Ⅰ)の加算率は通常10〜20%ですが、本剤は優先審査の対象ではなかったことから、5%が妥当と判断されました。なお、本剤の承認は2025年6月ですが、品目の承継と供給体制の構築に時間を要したため、今回の収載希望となりました。アムベルビスト静注:世界で初めて日本で承認されたMRI造影剤アムベルビスト静注は、MRI検査で脳・脊髄や体幹・四肢を造影するガドリニウム(Gd)造影剤です。同じ効能を持つガドビスト静注が最類似薬に選ばれ、薬価は類似薬効比較方式(Ⅰ)で算定されました。算定では、有用性加算(Ⅱ)5%と小児加算15%が認められています。有用性加算(Ⅱ)は、国内外のガイドラインで腎機能障害の患者や小児を含む患者に推奨される「低Gd用量」の造影剤である点を評価したものです。小児加算は、小児の用法・用量が明示されていることから認められました。加算率が15%とされた理由は、臨床試験での日本人の組入れ数、日本が世界に先駆けて承認したこと、成人と小児の同時開発がなされたことなどです。ピーク時の予測は、投与患者69.3万人、販売額46億円で、今回の新薬で最大の市場規模です。4成分共通:全成分が革新的新薬薬価維持制度の対象今回の新薬4成分は、すべて革新的新薬薬価維持制度の対象とされました。革新的新薬薬価維持制度とは、要件を満たす新薬について、薬価改定時に一定期間、薬価を維持する仕組みです。ソホノス、ドジョルビ、インレビックの3成分は、希少疾病用医薬品の指定を理由に対象となりました。アムベルビストは、有用性加算などの加算が適用されたことを理由に対象となりました。2. ドジョルビ内用液の14日ルール例外:処方日数の制限を設けない案ドジョルビ内用液には、新薬に課される「14日ルール」の例外を適用し、処方日数の制限を設けない案が示されました。14日ルールとは、新薬は薬価収載の翌月から1年間、原則として1回14日分までしか処方できないという決まりです。このルールには、2010年(平成22年)の中医協了承に基づく2種類の例外があり、例外とする新薬は個別に中医協の確認を得ます。ドジョルビに関係する例外の条件は、「疾患や製剤の特性から14日を超える投薬に合理性があること」と「投与初期から14日を超える投薬の安全性が確認されていること」の2つです。ドジョルビは、疾患の特性、製剤の特性、安全性の3点から、この条件を満たすとされました。この例外では通常、処方日数を「製剤の用法・用量から得られる最少日数に応じた日数」とします。これに対しドジョルビでは、処方日数の制限そのものを設けない案が示されました。疾患の特性:通院そのものが症状悪化のリスクになる長鎖脂肪酸代謝異常症では、通院自体がストレスになり、症状を引き起こす可能性があります。この疾患は、空腹時や運動時に横紋筋融解症、低血糖、心筋症などを起こす遺伝性疾患で、新生児マススクリーニングの対象です。遺伝性疾患であるため、本剤は食事療法と併せて14日を超えて使い続けることが前提になります。国内の想定患者数は500〜1,000人程度で、承認された治療薬は本剤のみです。製剤の特性:500mL瓶1本で子どもの14日分を超えるドジョルビの製剤は500mL瓶1規格のみで、瓶のまま交付することが添付文書で定められています。瓶のまま交付する理由は、ポリスチレンやポリ塩化ビニルなど、本剤と相性の悪い容器があるためです。一方、処方の約50%を占めると見込まれる乳児〜小児の14日分は、500mLに届きません。たとえば14日分の処方量は、1歳未満で172.3〜219.3mL、1〜2歳で298mL、3〜5歳で407mL、6〜7歳で486mLです。この試算は、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)未使用で身体活動レベルがふつうの男児が、1日の摂取カロリーの25%を本剤で摂る場合の値です。つまりこれらの子どもでは、1瓶を交付した時点で14日分を超える量を渡すことになります。安全性:14日を超える投薬の臨床試験データがある14日を超える投薬の安全性は、海外の臨床試験で確認されています。海外第Ⅱ相試験では14日を超える投薬が行われ、安全性は許容可能とされました。また、日本人も参加する国際共同第Ⅲ相試験でも、被験者への交付は瓶単位で行われています。3. 既収載品の薬価引き下げ:アムヴトラ約15%、マンジャロ25%既に収載されている2成分7品目について、販売額の急拡大を理由に薬価を引き下げることとされました。効能変更等が承認された品目などで一定規模以上の市場拡大があった場合、薬価は薬価改定の際に限らず、年4回見直されます。今回は、NDBデータ(レセプト情報のデータベース)の12月診療分に基づいて検討され、新薬収載の機会を活用して薬価を見直すこととされました。引き下げ後の薬価は、医療機関や薬局の在庫への影響を考慮し、2026年8月1日から適用されます。アムヴトラ皮下注25mgシリンジ(ブトリシランナトリウム)* 見直しの仕組み:市場拡大再算定* 薬価:8,006,196円 → 6,834,558円(約14.6%引き下げ)マンジャロ皮下注アテオス(チルゼパチド)* 見直しの仕組み:持続可能性特例価格調整* 薬価(全規格25%引き下げ):* 2.5mg:1,924円 → 1,443円* 5mg:3,848円 → 2,886円* 7.5mg:5,772円 → 4,329円* 10mg:7,696円 → 5,772円* 12.5mg:9,620円 → 7,215円* 15mg:11,544円 → 8,658円アムヴトラ皮下注:効能追加後の販売拡大で市場拡大再算定アムヴトラ皮下注は、効能追加をきっかけに販売額が大きく伸びたため、市場拡大再算定の対象になりました。アムヴトラは、2025年6月にトランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型・変異型)の効能が追加された薬です。アムヴトラは、効能追加の承認から10年を経過しておらず、年間販売額が350億円を超え、かつ基準年間販売額の2倍以上という要件に該当しました。その結果、薬価は8,006,196円から6,834,558円に、約14.6%引き下げられます。マンジャロ皮下注:大型品向けの持続可能性特例価格調整を適用マンジャロ皮下注は、販売額が1,000億円規模に達したため、持続可能性特例価格調整の対象になりました。持続可能性特例価格調整とは、年間販売額が極めて大きい品目の薬価を、市場拡大再算定とは別枠で引き下げる仕組みです。マンジャロは、薬価収載(2023年3月)から10年を経過していません。そのうえで「令和8年度薬価制度改革の骨子」を踏まえて検討した結果、年間販売額が1,000億円超1,500億円以下で、基準年間販売額の1.5倍以上という要件に該当しました。その結果、全6規格の薬価が一律25%引き下げられ、たとえば2.5mgは1,924円から1,443円になります。適用上の注意:2026年度改定後の薬価より高ければ適用しない今回の再算定薬価には、適用されない場合があるという注意書きが付いています。今回の検討はNDBデータの12月診療分に基づくため、2026年度薬価改定後の薬価と比べて逆転が起こる可能性があります。そこで、今回の再算定薬価が2026年度改定後の薬価より高い場合は、今回の再算定薬価を適用しないこととされました。4. 薬価算定の基礎資料:薬剤分類・維持率・算定係数今回の議題では、新薬の薬価算定を支える3つの基礎資料も示されました。3つの資料とは、類似薬選定のための薬剤分類、革新的新薬薬価維持制度の平均的な維持率、原価計算方式で使う係数です。いずれも、今後の新薬の薬価を読み解くうえでの物差しになります。類似薬選定のための薬剤分類:改訂第16版で59成分を追加類似薬選定のための薬剤分類は、改訂第16版として59成分が追加されました。この分類は、類似薬効比較方式で「どの既存薬を比較薬にするか」を判断するための基礎資料です。今回の追加分は、2025年5月から2026年4月までに収載された成分で、分類別では腫瘍用薬が最も多くを占めます。革新的新薬薬価維持制度の平均的な維持率:2026年度は0.6%革新的新薬薬価維持制度の平均的な維持率は、2026年度(令和8年度)は0.6%と示されました。この維持率は、類似薬効比較方式(Ⅱ)などで、比較薬の薬価から維持制度の累積額相当分を差し引く際の係数として使われます。維持率は2010年度の4.0%から低下傾向にあり、2025年度は0%でした。新薬算定の係数:営業利益率15.6%、流通経費率6.9%原価計算方式で使う係数は、2022〜2024年の3年平均の値が示されました。具体的には、営業利益率が15.6%、流通経費率が6.9%、一般管理販売費率が53.1%、労務費単価が1時間あたり3,821円です。今回のソホノスとドジョルビの算定表でも、営業利益15.6%と流通経費6.9%がそのまま使われています。まとめ:新薬4成分の収載、1成分の処方日数例外、2成分の薬価引き下げ第650回中医協総会の「医薬品の新規薬価収載等について」は、新薬の収載と既存薬の見直しを同時に扱う議題でした。新薬4成分11品目は5月20日に収載予定で、4成分すべてが革新的新薬薬価維持制度の対象とされました。ドジョルビ内用液は、疾患・製剤・安全性の3つの特性から、14日ルールの例外として処方日数の制限を設けない案が示されました。アムヴトラ皮下注は約14.6%、マンジャロ皮下注は25%、それぞれ8月1日から薬価が引き下げられます。あわせて示された薬剤分類(第16版)、維持率0.6%、算定係数は、今後の新薬の薬価を読み解く際の物差しとして押さえておきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
中医協第650回|6月収載の医療機器7製品の価格と算定ルール
令和8年5月13日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第650回)で、令和8年6月1日に保険適用が予定される医療機器などが審議されました。これらの医療機器を使う医療機関は、償還価格だけでなく、対象患者・施設の条件や診療報酬明細書への記載事項も押さえる必要があります。本号では、資料「総-3-1」と「総-3-2」をもとに、新たに保険適用される医療機器の価格と算定ルールを整理します。今回の議題は、医療機器の価格決定、材料価格以外の枠組みでの評価、価格算定に使う係数の更新の3つで構成されます。第一に、医療機器7製品に償還価格が設定され、いずれも企業の希望価格を下回りました。第二に、医療機器・検査の3件は、技術料・検査点数・評価療養という材料価格以外の枠組みで評価されました。第三に、原価計算方式で使う3つの係数が、令和8年度分としてすべて引き上げられました。償還価格が決まった医療機器7製品償還価格が決まった医療機器7製品は、「処置・手術で使う機器」「治療用アプリ」「歯科材料」の3つに分かれます。7製品の償還価格は、いずれも企業希望価格を下回りました。また、多くの製品で、対象患者の限定や診療報酬明細書の摘要欄への記載が算定の条件になっています。なお、7製品とも市場規模予測が50億円未満のため、費用対効果評価の対象外です。* シルクエラスチン創傷用シート(三洋化成工業):区分C1/償還価格 1,460円/cm²/原価計算方式/企業希望 1,760円/cm²* コクレアインプラント Nexa(日本コクレア):区分C1/償還価格 1,690,000円/類似機能区分比較方式・改良加算5%/企業希望 1,730,000円* ゴア TIPS セット(日本ゴア):区分C1/償還価格 102,000円/原価計算方式/企業希望 107,000円* ゴア VIATORR TIPS ステントグラフト コントロールエクスパンション(日本ゴア):区分C2/償還価格 792,000円/原価計算方式・有用性加算10%(加算係数0.2)/企業希望 1,140,000円* サスメド 不眠障害用アプリ Medcle(サスメド):区分C2/償還価格 24,100円/原価計算方式・有用性加算5%/企業希望 49,458円* ENDEAVORRIDE(塩野義製薬):区分C2/償還価格 14,500円/原価計算方式・有用性加算5%/企業希望 29,914円* KZR-CAD ファイバーブロック シンボー(YAMAKIN):区分C2/償還価格 11,700円/類似機能区分比較方式・改良加算10%/企業希望 18,200円一覧中の用語を先に確認します。区分C1(新機能)は、既存の技術料で使える新しい機能の材料です。区分C2(新機能・新技術)は、材料に加えて技術料の評価も新たに必要となる医療機器です。原価計算方式は、製造原価に経費と利益を積み上げて価格を決める方法です。類似機能区分比較方式は、似た既存製品の価格を基準に、改良点などを加算して価格を決める方法です。処置・手術で使う医療機器(4製品)処置・手術で使う4製品は、創傷治療、人工内耳、門脈圧亢進症の治療(TIPS関連2製品)に使われます。シルクエラスチン創傷用シートは、全層創傷・部分層創傷の治療材料として、1cm²当たり1,460円で収載されます。 この製品は、遺伝子組換えタンパク質であるシルクエラスチンを使った創傷被覆材です。シルクエラスチンは、創傷面の滲出液を吸収して溶け、体温でゲル化して創傷面に密着します。価格は原価計算方式で算定され、企業希望の1,760円/cm²を下回りました。算定対象は、次の3つの条件(ア~ウ)のいずれかに該当する創傷に限られます。アは、人工真皮で奏効しない、または治癒遷延等が懸念される急性創傷のうち、明らかな感染兆候のないものです。イは、滲出液が少なく、骨・腱の露出が創傷面の10%以内の慢性創傷です。ウは、滲出液が少なく、局所陰圧閉鎖療法または人工真皮が奏効しなかった慢性創傷です。「滲出液が少ない」とは、二次ドレッシング材の交換頻度が2日に1回程度の状態を指します。また、関連学会の適正使用指針に従って使用することも算定の条件です。算定量の上限は、一連の治療計画につき原則98cm²です。算定時には、使用する医学的理由と既存療法の結果を摘要欄に記載します。98cm²を超える場合は、その医学的必要性も摘要欄に記載します。臨床試験では、慢性創傷20例の90%が、貼付14日後に閉創可能な状態になりました。コクレアインプラント Nexaは、高度難聴患者の人工内耳として、1,690,000円で収載されます。 この製品は、従来品(CI600シリーズ)を改良し、1回の充電での稼働時間を延ばした次世代品です。価格は、既存の人工内耳用インプラント(1,650,000円)を基準に、耐久性の向上を評価した改良加算5%を上乗せして算定されました。企業は操作性の向上も含めた加算10%を希望しましたが、認められたのは5%でした。この製品に合わせて、人工内耳用インプラントの機能区分は「標準型」と「長時間稼働型」の2区分に分かれます。企業資料では、16時間持続可能な患者の割合が、成人で86%(従来品65%)と示されています。ゴアのTIPS関連2製品は、門脈圧亢進症の治療材料として、ステントグラフトが792,000円、アクセスセットが102,000円で収載されます。 TIPS(経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術)は、カテーテルを使って肝静脈と門脈の間にシャント(迂回路)を作る手技です。ステントグラフトには、治療方法の改善を評価した有用性加算10%が付きました。ただし、原価計算の開示度が50%未満のため、加算係数0.2が掛けられています。この結果、実際の上乗せ幅は2%にとどまります。手技料は、K561 ステントグラフト内挿術の「腹部大動脈(その他のもの)」49,440点を準用します(準用とは、既存の点数を借りて算定することです)。算定対象は、難治性胸腹水または消化管静脈瘤を伴う門脈圧亢進症の患者に限られます。算定には、関連学会の適正使用指針の遵守も必要です。算定時には、材料を用いる医学的必要性を摘要欄に記載します。材料は、原則として1回の手術でそれぞれ1個まで算定できます。複数個を算定する場合は、その医学的必要性を摘要欄に記載します。治療用アプリ(2製品)治療用アプリ2製品は、不眠障害と小児ADHDを対象とし、どちらも研修を修了した医師による指導管理が算定の条件です。2製品とも、指導管理料はB005-14 プログラム医療機器等指導管理料(90点)を準用します。初回の指導管理を行った月には、導入期加算(50点)も準用して加算します。この準用算定に、プログラム医療機器等指導管理料の届出は不要です。一方、研修の修了証の写しは、院内の見やすい場所に掲示し、原則としてウェブサイトにも掲載する必要があります。サスメド 不眠障害用アプリ Medcleは、成人の不眠障害の治療支援アプリとして、24,100円で収載されます。 このアプリは、7日間の睡眠衛生指導と睡眠表の後に、不眠障害の認知行動療法(CBT-I)を治療原理とする8週間のプログラムを提供します。価格は、原価計算方式に有用性加算5%を上乗せして算定されました。この価格は、企業希望価格49,458円(加算15%)の半額以下です。対象は、薬物療法に適しない、または薬物療法に同意しない軽症から中等症の外来患者です。睡眠障害治療薬を服用している患者や、交代勤務・夜勤に従事している患者などは対象外です。算定は、7日間の睡眠表を含む睡眠衛生指導を行った後に、1回に限り認められます。算定時には、薬物療法に適しない・同意しない理由を摘要欄に記載します。また、関連学会等のガイドラインと適正使用指針に従って使用することも算定の条件です。医師が修了すべき研修は、6時間以上で修了証が交付されるものと定められています。ENDEAVORRIDE(エンデバーライド)は、小児ADHDの治療補助アプリとして、14,500円で収載されます。 このアプリは、2つの課題を同時にこなし、難易度が自動で調整されるビデオゲーム型です。価格は、原価計算方式に有用性加算5%を上乗せして算定されました。この価格は、企業希望価格29,914円の半額以下です。算定できる医療機関は、研修を修了した医師が1名以上いて、過去6か月間に20歳未満の発達障害患者の初診が5名以上ある施設です。対象は、環境調整や心理社会的治療を行っても症状改善が見られない小児ADHD患者です。対象患者には、小児特定疾患カウンセリング料(医師による場合)または通院・在宅精神療法の所定の区分を算定していることも求められます。アプリの算定は患者1人につき2回までで、2回目は初回から10週間以上あけます。また、関連学会のガイドラインと適正使用指針に従って使用することも算定の条件です。なお、この製品は医療技術評価分科会での審議を経ています。歯科材料(1製品)KZR-CAD ファイバーブロック シンボーは、CAD/CAMで作るブリッジの材料として、11,700円で収載されます。 この材料は、グラスファイバーを芯にしたレジンブロックです。歯科用CAD/CAM装置でこのブロックを削り出し、3歯ブリッジを作ります。価格は、既存の歯冠用高強度硬質レジンと歯冠用グラスファイバーを基準に、改良加算10%を上乗せして算定されました。企業希望価格は18,200円でした。技術料は、M017-2 高強度硬質レジンブリッジ(3,000点)を準用します。企業が希望したCAD/CAM冠3歯分(3,600点)などの準用は採用されませんでした。対象は、第二小臼歯または第一大臼歯の1歯欠損を補う3歯ブリッジです。従来の高強度硬質レジンブリッジは原則として失活歯のみが対象でしたが、本品は生活歯の支台歯にも使えます。実施施設には、補綴治療の経験が3年以上ある歯科医師1名以上の配置が求められます。院内にCAD/CAM装置がある施設では、歯科技工士の配置も必要です。院内にCAD/CAM装置がない施設では、装置を持つ歯科技工所との連携が必要です。技術料・検査・評価療養で評価された3件医療機器7製品とは別に、3件が材料価格以外の枠組みで評価されました。Artemis プログラマは技術料で、コバスBKVは検査点数で、リフトンDは評価療養で扱われます。Artemis プログラマ(アボットメディカルジャパン)は、材料価格を設定せず、新しい技術料で評価されます。 この製品は、脳深部刺激(DBS)療法の刺激装置の設定を、インターネット回線を介して遠隔で変更できるプログラム医療機器です。資料では、在宅振戦等刺激装置治療指導管理料(810点)について、情報通信機器を用いた場合は所定点数に代えて705点を算定する規定が示されています。この705点を算定できるのは、施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関です。また、この遠隔での指導管理では、植込手術後の初回指導を対面で行う必要があります。症状の変動や機器トラブルが起きた場合は、速やかに対面診療へ切り替えます。算定時には、初診日と植込手術後の初回指導日を、診療録と摘要欄に記載します。臨床試験では、症状改善までの平均日数が、オンライン診療群で対面診療群より15.1日短くなりました。なお、この製品も医療技術評価分科会での審議を経ています。コバスBKV(ロシュ・ダイアグノスティックス)は、BKウイルス核酸定量の新しい検査として、450点で保険適用されます。 BKウイルスは、移植後の免疫抑制状態で活性化し、腎移植ではBKV腎症を、造血細胞移植では出血性膀胱炎を起こすことがあります。点数は、D023 微生物核酸同定・定量検査の「サイトメガロウイルス核酸定量」を準用します。対象は、臓器移植または造血細胞移植を受けた患者のうち、BKV腎症や出血性膀胱炎が疑われる患者などです。算定時には、4つの対象区分(ア~エ)のどれに該当するかを摘要欄に記載します。リフトンD(DTアクシス)は、保険適用ではなく評価療養として、4年間の実施が認められます。 評価療養とは、将来の保険適用を評価するために、保険診療との併用が認められる制度です。このアプリは、薬物療法を行っても中等度以上の抑うつ症状が残るうつ病患者に、認知行動療法の理論に基づくプログラムを提供します。第1段階承認の治験では、主要評価項目で統計的な有意差は得られませんでした。評価療養の期間中は、実診療のデータを集め、既存治療への上乗せ効果(抑うつ症状の変化)を評価します。評価療養の実施状況やデータ集積状況については、少なくとも2年に1回の報告が求められます。原価計算方式の係数が令和8年度分に更新原価計算方式で価格を算定する際の3つの係数が、令和8年度分としてすべて引き上げられました。3つの係数とは、一般管理販売費率、営業利益率、流通経費率です。* 一般管理販売費率(一般管理費/製造業者出荷価格):25.7% → 25.9%* 営業利益率(営業利益/製造業者出荷価格):8.0% → 8.5%* 流通経費率(流通経費/税抜き価格):10.8% → 10.9%※いずれも「令和7年度 → 令和8年度」の値です。3つの係数は、原価に上乗せする経費と利益の割合を表します。係数の出典は、厚生労働省の「医療機器産業実態調査報告書」(令和6年度)です。上げ幅が最も大きいのは営業利益率で、0.5ポイントの引き上げです。係数の引き上げは、今後原価計算方式で算定される材料の価格を、同じ原価でもわずかに高くする方向に働きます。まとめ:6月1日までに算定条件と摘要欄記載を確認第650回中医協総会では、令和8年6月1日に保険適用が予定される医療機器などの扱いが示されました。医療機器7製品の償還価格は、いずれも企業希望価格を下回りました。医療機器・検査の3件は、技術料、検査点数、評価療養という材料価格以外の枠組みで評価されました。原価計算方式の3つの係数は、令和8年度分としてすべて引き上げられました。該当する機器を使う医療機関は、対象患者・施設の条件と摘要欄への記載事項を、6月1日までに確認しておきましょう。出典:中央社会保険医療協議会 総会(第650回)資料「総-3-1 医療機器の保険適用について」「総-3-2 特定保険医療材料の基準材料価格の算定における原価計算方式の係数の更新」(令和8年5月13日) Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
こちらもおすすめ
日本酒侍ぐりこ先生のココだけの話
日本酒を世界酒に! 日本酒×Web3のパイオニアが業界に革新を与えます!! CHIMNEY TOWN DAO運営 Japan Sake Community代表 中学校教員が世界で活躍するプロデューサーに 川原卓巳プロデュースの学校0期生として活動 日本酒を世界酒にしていくまでの過程がみれます。 ビジネスでのマインドセット。思考法など音声を通じて伝えます。 https://listen.style/p/guricoproduce?2wfSmibn
くろますおのNEXT NOW / 「”次”のトレンドを”今”学べる」ラジオ
【テクノロジー】部門人気ランクTop3🏅 アメリカから毎朝4時に「10分」だけ。 次のトレンドをキャッチして、「イケてる人」になりましょう! ▼番組のテーマ: 「海外AI・NFT・テックトレンド」をリアルタイムで発信 ▼番組の特徴: ・アメリカ現地での体験を通じた生の声を重視 ・日本と海外のトレンド比較 【よく聴かれてます】※2023.6更新 ▼【ネクストChatGPT】米・中・欧の戦い、そして日本はどうなるのか? https://voicy.jp/channel/3611/514502 ▼【SEOブログはオワコン】Googleの検索が変わる!! https://voicy.jp/channel/3611/526620 ▼【Nikeに学ぶ】企業がNFTをはじめる時の3つのポイント https://voicy.jp/channel/3611/512735 ▼過去600回の音声配信はこちらから https://spoti.fi/3ZFwu4q ▼スタエフ http://bit.ly/3Gd2B ▼Twitter(1.7万フォロワー) https://twitter.com/kuromasuo ▼最先端テックが学べる無料メルマガ NEXT NOW(2,700登録者) https://t.co/IRrdcNPWTU ※この番組は、仮想通貨・株式等の取得や投資助言を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。自己責任でお願いします。 https://listen.style/p/kuromasuo?Setd6apz
加門の業務効率爆上げチャンネル
業歴15年の現役エンジニアの加門が、 年間3000万円のコストを8万円代にした実績などをベースに みなさんに分かりやすく ITニュースやIT関連情報、IT・DXノウハウを発信。 ━━━━━━━━━━━━━━ ・人材採用の広告費でキャッシュが圧迫され続けている ・頑張っても頑張っても売上が上がらない ・売上は上がっても利益がなぜか下がってしまう ・残業ばっかりで従業員の退職が続いていしまう ・部下の教育やマネジメントといった重要な仕事ができない ・社長が頑張って頑張って、全然楽にならない ・折角IT導入をしたのに、効果を全く感じられない など、こういった思いをしている方へ ■時間と労力のかかる業務を数クリック完了 100%使いこなせるITツールで、生産性を爆上げします 個別相談受付中‼️ レター✉️またはLINEからご連絡ください https://line.me/R/ti/p/%40799mnvvv ◻️実績👇 ▶︎ 2人で5日かけていた業務を10分に短縮‼️ ⇩他クライアント実績⇩ https://minato-ltd.co.jp/achivement/ ━━━━━━━━━━━━━━ ・AIを使ってみたいけど、どう使っていいか分からない ・ビジネスでAIを活用する方法を知りたい ・AIの最新情報や活用方法を知りたい といった方に向けた実践講座を毎月無料で開催しています✴️ 開催日は公式LINEで配信しています。 https://line.me/R/ti/p/%40799mnvvv ━━━━━━━━━━━━━━ 【AIバンドのプロデュース・プロジェクト】 古代エジプトをテーマにしたAIバンド・Ankhsmith(アンクスミス)をプロデュース中。 ━━━━━━━━━━━━━━ 【自己紹介】 『業務工数90%削減。働く人をハッピーに‼️』 ◻︎加門 和幸 株式会社 皆人(みなと)代表取締役 キャリア15年の現役エンジニア JAL・無印良品・KDDIなど開発プロジェクトにも参画 業務工数9割削減のITツール開発 ━━━━━━━━━━━━━━ ■【コラボライブ】受付中 レター✉️よりお気軽にご連絡ください ポッドキャストの書き起こしサービス「LISTEN」はこちら https://listen.style/p/kamon_standfm?DP5rtePo
AkiのAI「と」ゼロから学ぶラジオ
元手取り16万経理→AI活用で月30〜50万 デザインツール「MiriCanvas」公式アンバサダー 最新情報ばかり発信するSNSから 一歩離れて、遅く・考えて配信をしていきます 自己紹介 ━━━━━━━━━━━━ 🟧プロフィール ▶︎AI活用した動画編集・SNS運用・メルマガ構築・Lark導入 ▶︎31歳・元手取り16万の経理 ▶渋谷クロスFMラジオ出演 ▶︎MiriCanvas公式アンバサダー ▶︎「誰ひとり孤立させない」をコンセプトにしたコミュニティを共同でつくっています 🟧趣味 読書・漫画・アニメ・映画 音楽・ファッション・美術館・食べ歩き 新しいツールを触ること 本は年間で大体100冊くらい 映画も100本ほど観ています 🟧実績 ━━━━━━━━━━━━ ▶︎アフィリエイト知識ゼロで初月7万→3ヶ月目50万突破 ▶︎アフィリエイト4ヶ月合計で100万突破 ▶︎AI活用したメルマガ100通構築で30万マネタイズ×2案件 ▶︎登録者5万人超えのYouTubeチャンネル運営 ▶︎ショート動画では月10万ほど ▶︎TikTokで企業様の広告動画を納品 配信内容が少しでもお聴きくださる方の お役に立てましたなら幸いです! ポッドキャストの書き起こしサービス 「LISTEN」はこちらから 文章で読みたい方はこちらから https://listen.style/p/akiradio?51zaFzjY
リブラの 精神科のバックヤード
ここは場末の精神科医リブラが診察室のバックヤードで無駄話をしている部屋です。 X(Twitter) https://x.com/okawari いつもはスカンクさんと「ちょうちん町のえんとつラジオザウルス(精神のPライン)」で楽しくおしゃべりしてます🥳 📻ちょうちん町のえんとつラジオザウルス(🐊精神のPライン🐘) https://stand.fm/channels/6161e521afa93b18fcd77817 スカンクさんのスタエフ https://stand.fm/channels/664b1a48316143a771f4d710 ポッドキャストの書き起こしサービス「LISTEN」はこちら https://listen.style/p/lybra?VVy4Un3E
思ったら即アウトプットするプログラマー
この番組はエンジニアの「もっさん」が日々思ったことを1トピック1エピソードでコンパクトに話す番組です。 ※ 2024/6/27に「みるみる積もる!積読術」からタイトル変更しました ●【Twitter @mossan_hoshi】 ●【Youtube @mossanhoshi7158】 ●【オライリー本サブスクについて】 https://zenn.dev/mossan_hoshi/articles/20230128_oreilly_learning ●【積読本リスト】 https://1drv.ms/x/s!AqxcPJT01sLlgdsJJ2-wA9mRn1dimA?e=uvyGdD ●【Zenn @mossan_hoshi】 ●【Qiita @mossan_hoshi】