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2025-12-14 05:31

【2025年成立】医療法等改正法の3つの柱|地域医療構想・医師偏在・医療DX

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令和7年12月8日、第122回社会保障審議会医療部会において、医療法等の一部を改正する法律の成立が報告されました。この改正法は、高齢化に伴う医療ニーズの変化と人口減少を見据え、地域での良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築することを目的としています。

改正法は3つの柱で構成されています。第1の柱は、2040年頃を見据えた地域医療構想の見直しです。第2の柱は、医師偏在是正に向けた総合的な対策です。第3の柱は、医療DXの推進であり、令和12年までに電子カルテ普及率約100%の達成を目指します。施行期日は令和9年4月1日を基本とし、一部規定は段階的に施行されます。

地域医療構想の見直し等

地域医療構想は、病床機能に限定せず、医療提供体制全体を対象とする構想へと拡大されます。改正法では、入院・外来・在宅医療、さらに介護との連携を含む将来の医療提供体制全体の構想として位置づけられました。この見直しにより、2040年頃の医療ニーズに対応できる体制の構築が可能となります。

地域医療構想調整会議の構成員として市町村が明確化されました。在宅医療や介護との連携等を議題とする場合には、市町村の参画が求められます。この変更により、地域の実情に即した議論が促進されます。

医療機関機能報告制度が新設されます。報告の対象となる機能は、高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能等です。この制度により、各医療機関の役割が明確化され、地域全体での機能分化が進みます。

オンライン診療が医療法に定義されました。具体的には、手続規定やオンライン診療を受ける場所を提供する施設に係る規定が整備されます。衆議院の附帯決議では、過剰な規制を設けないことが求められています。

美容医療を行う医療機関における定期報告義務等も新設されます。この規定は公布後2年以内に政令で定める日から施行されます。

病床数削減に関する支援事業も創設されました。都道府県は、地域の実情を踏まえ、医療機関の経営安定のために緊急に病床数を削減する事業を行うことができます。参議院の附帯決議では、医療費削減ありきではなく、各地域の医療の質の確保を前提とすることが求められています。

医師偏在是正に向けた総合的な対策

医師偏在の是正に向けて、経済的インセンティブと規制的措置の両面から対策が講じられます。具体的には、重点区域の設定、医師手当事業の創設、外来医師過多区域への対応強化、保険医療機関管理者の要件設定の4つの措置が盛り込まれました。

「重点的に医師を確保すべき区域」を都道府県知事が医療計画において定めることができるようになりました。この区域では、保険者からの拠出による医師の手当支給に関する事業が実施されます。附帯決議では、手当増額に使途を限定し、保険者が実施状況を確認・検証できる体制の確保が求められています。

外来医師過多区域の無床診療所への対応が強化されます。新規開設の事前届出制が導入されるほか、要請勧告の公表や保険医療機関の指定期間の短縮等の措置が設けられます。施行後3年を目途として、効果検証を行い、必要に応じて所要の措置を講ずることとされています。

保険医療機関の管理者に新たな要件が設けられます。保険医として一定年数の従事経験を持つ者であること等が要件となり、管理者としての責務も課されます。この規定は令和8年4月1日から施行されます。

医療DXの推進

医療DXの推進は、電子カルテ情報の共有、医療情報の二次利用、推進体制の整備の3つの施策で構成されます。政府は、令和12年12月31日までに電子カルテの普及率が約100%となることを達成するよう、先端技術の活用を含めた情報の電子化を実現しなければならないとされました。

電子カルテ情報共有サービスが整備されます。必要な電子診療録等情報の医療機関での共有が可能となるほか、感染症発生届の電子カルテ情報共有サービス経由の提出も可能となります。附帯決議では、普及率が最低でも5割程度に達するまでの基盤整備期間中は、国による必要な財政支援を行うことが求められています。

医療情報の二次利用が推進されます。厚生労働大臣が保有する医療・介護関係のデータベースについて、仮名化情報の利用・提供が可能となります。この規定は公布後3年以内に政令で定める日から施行されます。

社会保険診療報酬支払基金が医療DXの運営母体として改組されます。名称、法人の目的、組織体制等の見直しが行われます。また、厚生労働大臣は医療DXを推進するための「医療情報化推進方針」を策定します。附帯決議では、審査支払機能を十分に果たせる人員配置と運営体制の確保が求められています。

施行期日と今後の展望

施行期日は規定ごとに異なります。基本となる施行日は令和9年4月1日です。オンライン診療の定義、外来医師過多区域への対応、保険医療機関管理者の要件等は令和8年4月1日から施行されます。地域医療構想の見直しに関する一部規定は令和8年10月1日から施行されます。

衆参両院の附帯決議には重要な指摘が含まれています。オンライン診療については過剰な規制を設けないこと、医師手当事業については保険料負担の抑制を図ること、電子カルテ情報共有サービスについては国による財政支援を行うこと等が求められています。介護・障害福祉従事者の処遇改善についても、早急な措置を講ずることが決議されました。

まとめ

医療法等の一部を改正する法律は、2040年頃を見据えた医療提供体制の構築を目指す包括的な制度改革です。地域医療構想の見直しにより病床から医療提供体制全体への視野拡大が図られ、医師偏在是正により地域間の医療格差の解消が進められ、医療DXの推進により電子カルテ普及率100%を目指す基盤整備が行われます。医療機関の経営者や医療従事者は、段階的な施行スケジュールを踏まえ、計画的な対応準備を進めることが求められます。



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サマリー

日本の医療改革は、2025年に施行される医療法等改正法を中心に進められています。地域医療構想の見直しや医師の偏在解消、医療DXの推進を通じて具体化しています。これにより、医療体制の根本的な再構築と患者情報のデジタル化が進むと見込まれています。

医療法等改正法の柱
こんにちは、ようこそ。今日はですね、皆さんと一緒に資料を深掘りしていきたいんですが、テーマは2040年に向けた日本の医療改革です。
その中心になるのが、えっと、医療法等改正法ですね。これ、資料を読んでて、なんか特に驚いたのが、2030年末までに電子カルテの普及率をほぼ100%にする
なんて目標が掲げられてるんですよ。これ、かなり大胆な目標ですよね。
本当にそうですね。これは、単なる法律のマイナーチェンジという話ではなくて、高齢化等人口減少っていう大きな波に対応するために、医療のインフラ自体を根本から作り直そうと、未来への大きな投資と言えるかもしれませんね。
なるほど。インフラの再構築ですか。では、その中身を早速見ていきましょうか。大きな柱の一つ目が、地域医療構想の見直し。
これまでは、どうしても病院のベッド数、病床が中心だった考え方でしたけど、これからは、入院だけじゃなくて外来とか在宅医療、介護まで含めた、その地域全体で人を支えるという方向に変わっていくわけですね。
その通りです。もう病院だけですべてを完結させるっていうモデルには、やっぱり限界が見えてきましたからね。そこで面白い仕組みが、医療機関機能報告制度なんです。
これ、単に病院の機能が見える化されるだけじゃないんですよ。将来的に、例えばあなたが、高齢の親の救急対応に強い病院はどこかなってスマホで検索したら、公的なデータに基づいて最適な病院がパッとリストアップされる。そんな未来につながる第一歩なんですよね。
へー、それは具体的でわかりやすいですね。でも、その地域全体で支えるって言っても、肝心のお医者さんがいなければ気のしない。そうなると、やっぱり長年の課題、医師が都会に集中する問題に手をつける必要がありますよね。これが第二の柱ですか?
まさにそこが次の大きなテーマ。医師偏在の税制ですね。
治療を見ると、医師が不足している地域で働けば手当てが出るっていう飴と、逆に医師が多すぎる地域での新規開業を届出制にするっていう無知。これを使い分けるとありますけど、正直なところ、これまでも似たような対策ってありましたよね。今回の法律で何が決定的に違うんでしょうか?
いい質問ですね。これまでは何か対策が単発的だったんですけど、今回は経済的なインセンティブと規制を組み合わせた、より総合的なパッケージになっているのが特徴なんです。それに加えてですね、保健医療機関の管理者、つまり院長クラスになるには、一定年数の臨床経験が必須になるんです。
医師偏在と医療DX
これはもう、医療の質と安全性を国がしっかり担保しようっていう強い意思の表れとも言えますね。
なるほど。そして、最もインパクトがありそうなのが、第3の柱、医療DXの推進。冒頭でも触れましたけど、デンシカルテの100%普及、これが実現したら私たちの医療体験ってどう変わるんでしょう?
このデンシカルテ情報共有サービスは、医療界のスイカとかパスモみたいなものだと考えてみてください。
スイカですか?
今までは病院ごとに違う切符、つまりカルテを持ってたわけですけど、これからは一つの共通カードで、どの改札、つまりどの病院もスムーズに通れるようになる、そんなイメージです。
救急搬送の時なんかは、本当に命を救う時間につながる可能性もあります。
それは便利ですけど、少し怖さも感じますね。自分の病歴っていうすごくプライベートな情報が瞬時に共有されるわけですよね。予期せぬ形で情報が漏れたりするリスクはどうなんでしょうか?
その懸念は当然だと思います。セキュリティ対策が最大の鍵になりますね。一方でこのDXにはもう一つ大きな目的があって、集まった医療データを個人が特定できない形に加工して、新しい薬とか治療法の研究開発に活用する二次利用です。
つまりあなたのデータが未来の医学も進歩に貢献するっていう側面もあるわけです。ただですね、国会は二次利用っていう形で、町の小さな診療所が自腹で高価な電子カルテを入れるのは無理だ。国がしっかり財政支援をって釘を刺してるんです。
なるほど。なので実現の鍵は結局政府の予算芝居というわけですね。そういうことですか。まとめると地域全体で支える医療体制を作って、そこに医師を適正に配置して、そしてすべての情報をデジタルでつなぐと。この三一体の改革で日本の医療が大きく変わろうとしてるんですね。
ただ法律の成立は悪夢でスタートラインです。2040年を見据えたかなり長期的なビジョンですから。これから各地域でこの設計図をどうやって現実に落とし込んでいくか、混同の勝負はここからですね。
では最後にあなたに一つ問いかけです。今回の改革であなたの医療情報はより広く共有されて利便性は格段に上がるでしょう。一方でその最も個人的な情報がデジタル化されることについてあなた自身のプライバシーとどう向き合いますか。この機会に少し考えてみるのも良いかもしれませんね。
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