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2025-12-02 05:32

【速報】医療費適正化計画に腰痛症への鎮痛薬処方が追加|プレガバリンの適正使用とは

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2025年11月27日に開催された第205回社会保障審議会医療保険部会において、第4期医療費適正化計画における医療資源の効果的・効率的な活用が議論されました。本稿では、新たに「効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療」に追加される腰痛症へのプレガバリン処方と、今後の対応方針について解説します。

今回の議論では、神経障害性疼痛を除く腰痛症に対するプレガバリン処方が、抗菌薬処方に続いて適正化の対象に追加される方針が示されました。この追加により、都道府県ごとの医療費見込みの推計式にプレガバリンの薬剤費が組み込まれます。また、厚生労働省は研究班と連携して「効果が乏しい医療」の探索を継続し、医療技術評価分科会で学会等からの提案募集を行う方針です。

第4期医療費適正化計画における医療資源活用の枠組み

第4期医療費適正化計画(2024〜2029年度)では、医療資源の効果的・効率的な活用が重要な柱として位置づけられています。この枠組みでは、2種類の医療が適正化の対象となっています。

1つ目は「効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療」です。この代表例として、急性気道感染症・急性下痢症に対する抗菌薬処方があります。

2つ目は「医療資源の投入量に地域差がある医療」です。白内障手術や化学療法の外来での実施状況、リフィル処方箋がこれに該当します。白内障手術については、OECDにより多くの国で90%以上が外来で実施されている一方、日本での外来実施割合は全国平均54%にとどまり、都道府県ごとに実施状況が様々であることが指摘されています(第165回医療保険部会資料より)。

腰痛症に対するプレガバリン処方の追加

今回新たに追加されるのは、腰痛症(神経障害性疼痛を除く)に対するプレガバリン(商品名:リリカ錠)の処方です。プレガバリンは本来、神経障害性疼痛や線維筋痛症に伴う疼痛を適応とする薬剤であり、薬理作用はカルシウムチャネルα2δ遮断薬です。神経障害性疼痛では有効なケースもありますが、非神経障害性腰痛では効果が限定的であることが先行研究で指摘されています。

この追加は、国内の診療ガイドラインとも整合しています。腰痛診療ガイドライン2019では、急性腰痛および慢性腰痛に対するCaチャネルα2δリガンドについて質の高い論文は存在しなかったとされています。また、有害事象に対するメタアナリシスでは、Caチャネルα2δリガンドはプラセボと比較して有意に頻度が高いことが示されています。

プレガバリンの添付文書においても、効能・効果は神経障害性疼痛と線維筋痛症に伴う疼痛に限定されています。重要な基本的注意として、めまいや傾眠、意識消失等があらわれる可能性があり、自動車事故に至った例もあることから、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意することが記載されています。

適正化計画基本方針への具体的な追記内容

今回の見直しにより、医療費適正化計画の基本方針には以下の内容が追記されます。急性気道感染症・急性下痢症に対する抗菌薬処方に加えて、神経障害性疼痛を除く腰痛症患者に対するプレガバリン処方が「効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療」として明記されます。

医療費見込みの推計式にも変更が加わります。従来の抗菌薬処方や白内障手術・化学療法の外来実施に関する推計式に、腰痛に対するプレガバリン処方の薬剤費が追加されます。具体的な推計式は、都道府県ごとに「当該県の令和元年度の腰痛に対するプレガバリン処方の薬剤費÷当該県の令和元年度の入院外医療費(÷2)×当該県の令和11年度の入院外医療費(推計)」となっています。

基本方針では留意点も示されています。個別の診療行為としては医師の判断に基づき必要な場合があることに留意しつつ、地域ごとに関係者が実情を把握し、医療資源の効果的・効率的な活用に向けた検討を進めることが重要とされています。

今後の対応方針と診療報酬への影響

厚生労働省は、研究班等と連携して「効果が乏しい医療」の探索を継続する方針を示しています。厚労科研「レセプト情報・特定健診等情報を用いた医療保健事業・施策等のエビデンス構築等に資する研究」等において、先行研究の調査やNDBを活用した実態分析が進められています。

先行研究の収集に加えて、医療技術評価分科会での取り組みも予定されています。令和8年度診療報酬改定の次の改定に向けた対応として、医療技術の評価の一環で学会等から提案を広く募集することになりました。国内の関連学会に取り扱いを照会し、診療報酬上の留意事項通知や疑義解釈との整合を確認した上で、整合性等があることを確認できたものは医療費適正化計画へ記載され、関係学会調整後に中央社会保険医療協議会で診療報酬上の取扱について個別に議論される見込みです。

医療保険部会(2025年9月18日、9月26日、10月2日開催分)では、低価値・無価値医療への対応についてさまざまな意見が出されています。費用対効果や経済性を考慮した医薬品の使用促進や、治療や薬剤の臨床上の有効性を適切に評価する制度設計の重要性が指摘されています。

まとめ

第4期医療費適正化計画において、神経障害性疼痛を除く腰痛症に対するプレガバリン処方が「効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療」に追加される方針が示されました。この追加は、国内の腰痛診療ガイドライン2019やプレガバリン添付文書との整合性を確認した上で行われるものです。厚生労働省は来年度以降も研究班と連携して適正化対象の探索を継続し、医療技術評価分科会での学会からの提案募集も進める方針です。医療現場においては、エビデンスに基づく処方の重要性が改めて求められることになります。



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サマリー

プレガバリンの処方に関する新たな医療費適正化計画が提案され、慢性的な腰痛に対するその使用が見直されています。医師の裁量に基づく治療選択が、国家レベルのデータに基づいた評価へと変わりつつあり、医療の価値と患者への配慮の重要性が問われています。

医療費適正化計画の影響
誰にとっても、他人ごとじゃない腰痛、その治療がですね、ここへ来て大きく変わるかもしれません。
はい。 というのも、2025年の11月27日の国の会議で、あなたもご存知かもしれない
リニカという有名な薬が言ったじゃないですか。 あれに特定のケースではマッターがかかったんです。
そうなんですよね。多くの人が使ってきた薬が、なぜ今になって、なざしされたのか。
そして、これが私たちの治療にどう関わってくるのか。 いただいた資料から、その確信に迫っていきましょう。
この話の背景にはですね、第4期医療費適正化計画という大きな動きがあるんです。
第4期医療費適正化計画。
これは、いわば国全体の医療費の家計簿みたいなものなんですよ。
家計簿ですか。なるほど、わかりやすいですね。
無駄遣いがないかとか、もっと効果的なお金の使い道はないかっていう視点で、定期的に中身をチェックしてるんですね。
はいはい。 その中で今回、この資質本当に見合ってると疑問符がついたのが、ある種の腰痛に対する
リリカの処方だったというわけです。 その家計簿の見直しで今回リストアップされたのがリリカと。
でもリリカってすごくよく効く薬ですよね。 そうですね。多くの医師が処方して多くの患者さんが飲んできたわけでしょ。
それなのに今さら実は効果が薄かったなんて言われると、じゃあ今までの治療は痛いって思っちゃいますけど。
まさにそこが重要なポイントです。 今回問題視されたのは、神経障害性頭痛を除く腰痛症への処方。
あーつまり。 つまりビリビリと痺れるような神経の痛みが原因ではない、ごく一般的な腰痛への使用ということですね。
なるほど。 プレガバリン、商品名リリカは元々そうした神経の痛みの薬なんです。
実は2019年の腰痛診療ガイドラインの時点ですでに、一般的な腰痛への有効性を示す質の高い証拠はないと指摘はされていました。
ずいぶん前からわかっていたことなんですね。 それに加えて副作用のリスクもやっぱり無視できない。
副作用ですか?
はい。添付文書にも、めまいとか軽眠、ひどいと意識消失まで記載されていて、実際に自動車事故につながった例も報告されてるんですよ。
それはちょっと怖いですね。 ですよね。効果がはっきりしない一方でリスクがあると、このバランスが問題視されたわけです。
腰痛診療の現場では、長年とりあえずこれを出しておこうという形で処方されてきた側面も正直あったかもしれません。
ああ、そういう監修みたいな?
ええ。今回の件は、そうした監修にデータという形で一石を投じるものなんです。
データに基づく医療の未来
なるほど。効果とリスクの天秤が釣り合っていないと。ではこの適正化の対象になると、もう病院で処方してもらえなくなるんですか?
それがですね、単純な禁止ではないのが今回の仕組みの面白いところなんです。
そうなんですか?
医師の判断に基づき必要な場合があるっていう予知は残されています。
え、じゃあ何が変わるんです?家計簿に載ると言っても具体的にどういうことなのかちょっとピンとこないですね。
具体的にはですね、各都道府県の医療費の目標値を計算する際に、あなたの地域ではこの薬がこれだけ使われていますよというデータが組み込まれるんです。
はあ。
つまり、突出して処方が多い地域は国からちょっと使いすぎていませんかとデータでやんわり指摘されることになる。
直接的なペナルティはないけどどう無言のプレッシャーがかかるみたいな。
おっしゃる通りです。そういう仕組みですね。
データで見える化して実質的な改善を促すと、聞こえはいいですけど現場の医師からすると国に監視されてるとか、自由に処方しにくくなるみたいな反発も出てきそうじゃないですか。
まさにそうした声は必ず出てくるでしょう。
ただこれは始まりに過ぎないんです。
始まりに過ぎない?
ええ。厚生労働省は今後も学会などから提案を求めて、効果が乏しい医療のリストアップを続ける方針です。
ほう。
つまりこれは単に一つの薬の話ではない。
これまで医師個人の経験とかハンザーに大きく委ねられていた治療の選択が、これからは国家レベルのビッグデータと費用対効果でジャッジする。
そんな時代の幕開けと言えるわけです。
ということは、あなたの治療法もいつの間にか見える化されて評価されている可能性があると、これは大きな転換点になりそうですね。
ええ。今回の件は、私たちがエビデンスに基づいた医療という考え方と、これからどう向き合っていくべきかを象徴しています。
科学的な根拠に照らして、これまで当たり前だった医療を常に見直していく姿勢が、国にも医療現代にも、そして私たち患者側にも求められていると言えますね。
医療の価値を誰がどのように判断していくのか。
今回のプレガバリンの事例は、国全体の費用対効果というマクロな視点と、目の前にいる患者さん一人一人にとっての最善の治療というミクロな視点、この2つのバランスをどう取るかという非常に大きな問いを私たちに投げかけています。
あなたならこの問題どう考えますか。
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