病院事務長が実務と経営の視点で語る、医療制度の最新動向。急性期〜回復期で幅広い部門を統括してきた経験をもとに、最新の令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈)や施設基準、医療DXの解説を音声で配信。経営層から現場の事務担当者まで、忙しい合間に「現場で使える知識」をアップデートできます。
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番組の魅力・推薦
令和8年度改定|難治性皮膚疾患の訪問看護が週4日以上に拡大
表皮水疱症などの難治性皮膚疾患を持つ利用者は、潰瘍や水疱が繰り返し発生するため頻回な訪問看護ケアを必要とします。しかし、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受ける利用者は、別表第八の対象外であったため、訪問看護は原則週3日までに制限されていました。令和8年度診療報酬改定では、手厚いケアの必要がある重症な難治性皮膚疾患を持つ利用者への訪問看護を充実させる観点から、この制約を見直します。本改定では、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている利用者が、訪問看護基本療養費等を週4日以上算定できる対象に追加されます。具体的には、別表第八の項目二に「在宅難治性皮膚疾患処置指導管理」が追記されます。これにより、表皮水疱症患者および水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症患者に対して、訪問看護基本療養費、退院後訪問指導料、在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料等を週4日以上算定できるようになります。改定の背景|難治性皮膚疾患患者の在宅ケアの実情難治性皮膚疾患を持つ利用者は、皮膚状態に応じた繰り返しの専門的ケアを在宅で必要としています。在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料(1,000点)の対象となる表皮水疱症や水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症は、難治性の皮膚病変に対する特殊な処置が必要な疾患です。これらの患者には、水疱、びらん、潰瘍等の皮膚の状態に応じた薬剤の選択や被覆材の選択等について、月1回を限度として療養上の指導が行われます。表皮水疱症は、先天的素因により日常生活で外力の加わる部位に水疱が反復して生ずる一群の疾患です。本疾患は指定難病36に指定されており、単純型、接合部型、栄養障害型の3大病型に分類されます。患者は出生時から外力が加わりやすい部位の皮膚に水疱やびらんの形成を繰り返し、症状は生涯にわたって持続します。合併症は病型により異なり、栄養障害型では偽合指症、関節拘縮、食道狭窄、貧血、低栄養、心不全、腎不全、有棘細胞癌等を伴います。訪問看護では、皮膚状態の観察と並行して、状態に応じた多様な処置を実施しています。具体的なケアは「ドレッシング材を剥がす」「保清」「水疱穿刺」「軟膏・ドレッシング材による保護」の4工程で構成されます。各工程では、感染兆候の確認、滲出液の性状観察、新生水疱の穿刺、被覆材の選択とカットなど、専門的な判断と手技が求められます。潰瘍や水疱が繰り返し発生するため、こうしたケアを頻回に実施する必要があります。現行制度では、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理は別表第八に規定されておらず、週4日以上の訪問看護が認められていませんでした。別表第八は、特掲診療料の施設基準等に定められた「週4日以上の訪問看護が可能となる利用者」の一覧です。現行の項目二には、在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理など10種類の在宅指導管理が列挙されていますが、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理は含まれていません。この制約により、手厚いケアを必要とする重症患者であっても、訪問看護は原則週3日以内に限られていました。改定の具体的内容|別表第八への追加本改定では、別表第八の項目二に「在宅難治性皮膚疾患処置指導管理」が追加されます。改定後の項目二は、現行の10種類の在宅指導管理に在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を加えた11種類を対象とします。この見直しにより、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている利用者は、別表第八に該当する利用者として位置づけられます。別表第八への追加により、対象利用者は週4日以上の訪問看護を算定できるようになります。算定対象となる報酬は、訪問看護ステーションの訪問看護基本療養費、医療機関の在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料、退院後訪問指導料等です。訪問看護基本療養費および在宅患者訪問看護・指導料は「週3日目まで」と「週4日目以降」で点数が区分されており、改定後は週4日目以降の点数(訪問看護基本療養費6,550円、在宅患者訪問看護・指導料680点等)を算定できます。本改定の対象は、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料の算定要件を満たす利用者です。算定要件は、表皮水疱症患者または水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症患者であって、難治性の皮膚病変に対する特殊な処置が必要なものとされています。在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料は月1回に限り算定する管理料ですが、当該管理を受けていれば訪問看護の頻度制限が緩和される構造となります。改定の意義|重症患者への手厚いケアの実現本改定は、重症な難治性皮膚疾患患者に対する在宅ケアの質を高める意義を持ちます。在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受けている利用者は、訪問看護師による手厚いケアのニーズが高い患者群です。週4日以上の訪問が可能となることで、皮膚状態の変化に応じた適時の処置や、感染リスクの早期発見が実現します。訪問看護ステーションおよび医療機関にとっては、算定機会の拡大という実務的な影響があります。これまで週3日以内に制限されていた訪問について、利用者の状態に応じて週4日以上の訪問を計画できるようになります。実務上は、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料の算定状況を主治医と連携して確認し、訪問看護計画に反映させることが重要です。利用者と家族にとっては、在宅療養の安心感が高まる改定です。表皮水疱症のような難病を抱える患者では、家族の介護負担が大きく、専門職による頻回な訪問支援が在宅療養の継続を支えます。本改定により、医療依存度の高い難治性皮膚疾患患者が、地域で安心して療養を続けられる体制が整備されます。まとめ|頻回訪問看護の対象拡大が在宅療養を支える令和8年度診療報酬改定では、在宅難治性皮膚疾患処置指導管理を受ける利用者が別表第八の対象に追加されます。これにより、表皮水疱症などの重症患者に対して、訪問看護基本療養費等を週4日以上算定することが可能となります。手厚いケアを必要とする難治性皮膚疾患患者の在宅療養を支える、重要な制度見直しです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定:特別地域訪問看護加算が「合計時間」でも算定可能に
過疎地域等における訪問看護では、看護師の移動と訪問にかかる総時間が極めて長くなる実態がある。現行の特別地域訪問看護加算は、訪問看護ステーションから利用者宅までの片道移動時間のみを評価軸としており、こうした長時間訪問を十分に評価できていない。本稿は、令和8年度診療報酬改定における特別地域訪問看護加算の要件見直しの内容を、現行制度との対比で解説する。今回の改定では、移動と訪問看護提供の合計時間が長い訪問も加算対象に追加される。現行の算定要件は、片道移動時間1時間以上が共通条件であった。改定後は、特別地域内のステーションから特別地域内の利用者を訪問する場合に限り、移動時間30分以上かつ移動と訪問の合計2時間30分以上でも算定できる新区分が設けられる。この見直しは、訪問看護基本療養費のほか、在宅患者訪問看護・指導料など関連4項目にも同様に適用される。改定の背景|長時間訪問が評価されない現行制度の課題特別地域訪問看護加算の対象地域では、片道1時間未満の移動でも訪問全体に長時間を要する事例がある。日本訪問看護財団の調査では、片道50分の移動と2時間のケアを合わせて、利用者1人に約4時間を要する事業所の実例が報告されている。通過ルート上に他の利用者宅がないため午前中の訪問が1件のみとなる事業所もあり、非効率なサービス提供が常態化している。なお本稿で扱う「特別地域」とは、厚生労働大臣が定める6カテゴリの地域を指す。具体的には、過疎地域、離島振興対策実施地域、奄美群島、振興山村、小笠原諸島、および沖縄の離島である。改定案の表題等で用いられる「過疎地域等」も、この6カテゴリ全体を意味する。現行の特別地域訪問看護加算は、こうした長時間訪問を評価できない構造である。算定要件は片道移動時間1時間以上のみであり、移動と訪問の合計時間は評価軸に含まれない。その結果、特別地域に所在する訪問看護ステーションは全体の1.5%にとどまり、算定者数こそ微増傾向(令和3年426人→令和7年600人)にあるものの、利用者全体に占める算定割合は横ばいで推移している。今回の改定は、この実態と評価のギャップを埋めることを目的とする。基本的な考え方として、住み慣れた地域での療養継続を支えるため、遠方への移動負担を考慮した要件見直しが行われる。改定後の要件|区分イと新設区分ロの2本立て改定後の特別地域訪問看護加算は、区分イと区分ロの2区分で構成される。いずれも、所定額の100分の50を加算する点は現行と同じである。区分イは、現行の算定要件を整理・統合した区分である。移動時間1時間以上を共通条件とし、(1)特別地域内のステーションが訪問する場合と、(2)特別地域外のステーションが特別地域内の利用者を訪問する場合のいずれかに該当することを求める。現行制度のイ・ロ両要件が、改定後の区分イに集約された形である。区分ロは、特別地域内のステーションから特別地域内の利用者への訪問を対象に新設される区分である。算定には、(1)移動時間30分以上と、(2)往復移動および訪問看護実施に要した時間の合計2時間30分以上の両方を満たすことが求められる。この区分により、移動時間が1時間に達しない場合でも、訪問全体の時間負担が大きい訪問を加算対象として取り込むことが可能になる。適用範囲|訪問看護基本療養費を含む関連5項目に横断的に適用今回の要件見直しは、訪問看護基本療養費だけでなく、関連する4項目にも同様に適用される。具体的な対象は、在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料、精神科訪問看護・指導料、および精神科訪問看護基本療養費である。これら4項目は、訪問看護基本療養費と並んで特別地域の訪問看護を支える評価項目である。横断的に同一の要件改定を行うことにより、評価項目間の整合性が保たれ、提供主体や対象患者によって算定可否が異なる事態を防ぐ設計となっている。まとめ|合計時間の導入で過疎地域等の訪問看護提供体制を下支え今回の改定は、特別地域訪問看護加算に「合計時間」という新しい評価軸を導入する。現行の移動時間1時間以上の要件に加え、特別地域内訪問では移動時間30分以上かつ合計2時間30分以上の訪問も加算対象となる。この見直しと関連4項目への横断適用により、過疎地域等における訪問看護提供体制の維持と拡充が期待される。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
在宅薬剤管理が変わる3つのポイント|令和8年度改定で訪問指導料を見直し
在宅で療養する患者は、高齢化の進展により今後さらに増加が見込まれています。この状況下で、訪問薬剤管理指導には、円滑な実施と実効性のさらなる改善が求められています。そこで令和8年度の診療報酬改定では、在宅患者訪問薬剤管理指導料の要件見直しと、新たな点数の新設が行われます。今回の改定の柱は、3つあります。第1に、在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定間隔「6日以上」の要件を廃止し、週1回までの算定を可能とします。第2に、休日・夜間を含む開局時間外の対応体制について、在宅協力薬局を含む連絡先を患者に知らせることを要件化します。第3に、複数名薬剤管理指導訪問料300点を新設し、運動興奮等がみられる患者への複数名訪問を評価します。算定間隔「6日以上」の要件廃止在宅患者訪問薬剤管理指導料では、これまで月2回以上算定する場合に「算定する日の間隔は6日以上」とする要件がありました。今回の改定では、この間隔要件が廃止され、週1回を限度として算定できる仕組みに変わります。現行制度では、間隔要件が在宅薬剤管理の柔軟性を制約していました。たとえば、患者の状態が悪化して短期間に複数回の訪問が必要となっても、6日以上の間隔を空けないと算定できませんでした。この硬直的な運用は、患者の状態に応じた機動的な訪問薬剤管理を妨げる要因となっていました。改定後は、算定回数が週1回を限度となり、間隔要件は問われなくなります。たとえば、ある週の金曜日に訪問し、翌週の月曜日に訪問するという4日間隔の訪問計画が可能となります。現行の6日以上の間隔要件では、このような訪問は認められませんでした。なお、末期の悪性腫瘍の患者、注射による麻薬の投与が必要な患者、中心静脈栄養法の対象患者については、従来どおり在宅患者オンライン薬剤管理指導料と合わせて週2回かつ月8回まで算定できます。また、合算規定の文言は現行の「又は」から改定後の「及び」に変更され、合算対象であることが明確化されています。夜間連絡先の通知要件化休日・夜間を含む開局時間外の調剤・訪問薬剤管理指導への対応体制について、患者への情報提供が要件化されます。具体的には、保険薬剤師の連絡先電話番号と緊急時の注意事項を、原則として初回訪問時に文書で交付することが求められます。この要件では、在宅協力薬局を活用する場合の取扱いも明確化されています。在宅協力薬局との連携により時間外対応の体制を整備している保険薬局では、在宅協力薬局の所在地、名称、連絡先電話番号等も交付文書に含める必要があります。患者は、自薬局が対応できない時間帯でも、どこに連絡すればよいかが事前に把握できます。患者からの問い合わせに応じられなかった場合の対応も、明確に定められています。やむを得ない事由で電話等による問い合わせに応じることができなかった場合は、速やかに折り返しの連絡を行うことが求められます。この運用により、患者は時間外であっても薬剤師と確実に連絡を取れる安心感を得られます。複数名薬剤管理指導訪問料300点の新設複数名薬剤管理指導訪問料300点が、令和8年度改定で新設されます。この点数は、行動面で運動興奮等がみられる患者に対し、薬剤師が他の者と同時に複数名で訪問する場合を評価するものです。対象患者は、通院が困難な患者のうち、医師が複数名訪問の必要性があると認めるものに限られます。算定要件のベースとなるのは、在宅患者訪問薬剤管理指導料の1(単一建物診療患者が1人の場合)を算定している患者です。これに加えて、施設基準で定める「厚生労働大臣が定める患者」も対象となります。施設基準で定める対象患者は、3類型に整理されます。第1に、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定している患者(在宅患者訪問薬剤管理指導料の1を算定している患者に限る)です。第2に、居宅療養管理指導費を算定している患者(薬局の薬剤師が行う場合で、単一建物居住者が1人の場合に限る)です。第3に、介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者(同条件)です。算定要件では、同行者の範囲と算定除外も明確に規定されています。同行者は、当該保険薬局または在宅協力薬局に勤務する職員であり、薬剤師以外の者も含まれます。ただし、在宅患者緊急時等共同指導料、在宅移行初期管理料、訪問薬剤管理医師同時指導料に係る必要な指導等を同日に行った場合は、複数名薬剤管理指導訪問料は算定できません。まとめ:在宅薬剤管理の柔軟性と安全性が向上令和8年度改定では、在宅薬剤管理に関する3つの見直しが行われます。算定間隔「6日以上」の要件廃止により、患者の状態に応じた柔軟な訪問計画が可能となります。夜間連絡先の通知要件化により、患者は時間外でも確実に薬剤師と連絡を取れます。複数名薬剤管理指導訪問料300点の新設により、運動興奮等がある患者への安全な訪問薬剤管理が新たに評価されます。これらの改定は、増加する在宅療養患者に対する訪問薬剤管理指導の実効性を、総合的に高める内容となっています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
在宅薬学総合体制加算2026年改定|3つの見直しポイントを徹底解説
今後、在宅で療養する患者の増加が見込まれています。こうした状況を踏まえ、薬局における在宅医療提供体制の整備が急務となっています。本稿では、令和8年度診療報酬改定で行われた在宅薬学総合体制加算の見直し内容を解説します。今回の改定で在宅薬学総合体制加算は3つの観点から見直されました。1つ目は、加算1の評価が15点から30点に倍増した点です。2つ目は、加算2の施設基準が大幅に刷新された点です。3つ目は、加算2の評価が単一建物診療患者の人数で2区分に分かれた点です。見直しの背景|薬局の在宅医療体制整備の必要性今回の見直しは、薬局の在宅医療提供体制の実態と課題を踏まえた改定です。前回改定で在宅薬学総合体制加算が新設された結果、届出薬局は増加しました。しかし、届出薬局の多くで麻薬備蓄や調剤実績が乏しい実態が明らかになりました。薬局の在宅医療への参画は、患者増加に対応するために不可欠です。中医協では、在宅患者の増加に備えた薬局薬剤師の他職種連携と地域単位での体制整備が議論されました。あわせて、評価基準を整理してメリハリをつける必要性が指摘されました。実績が乏しい届出薬局の課題は、無菌調剤設備の使用状況からも確認できます。簡易型クリーンベンチを設置している薬局の84.6%で、設備の使用実績がありませんでした。この実態が、施設基準を「設備保有」から「業務実績」に切り替える見直しの根拠となっています。在宅薬学総合体制加算1の評価倍増と要件強化在宅薬学総合体制加算1は、評価と算定回数要件の両面で見直されました。評価は15点から30点に倍増しました。算定回数要件は直近1年間で24回以上から48回以上に強化されました。評価の引き上げは、薬局の在宅医療への取り組みを手厚く評価する趣旨です。現行の15点から改定後の30点へと、評価が倍増しました。この変更は、在宅療養患者の増加に対応する薬局の体制整備を後押しします。算定回数要件の強化は、より積極的な在宅業務を求める内容です。直近1年間の在宅患者訪問薬剤管理指導料等の合計回数が、現行の24回以上から48回以上に倍増しました。算定対象には、在宅協力薬局として連携した回数や同等の業務を行った回数も含まれます。ただし、同一グループ薬局に対して業務を実施した場合は除かれます。なお、情報通信機器を用いた場合の算定回数も対象外です。在宅薬学総合体制加算2の施設基準刷新在宅薬学総合体制加算2の施設基準は、4つの観点で刷新されました。1つ目は、無菌製剤処理設備に関する基準の廃止です。2つ目は、訪問実績と高度な薬学的管理の実績基準の新設です。3つ目は、常勤換算で3名以上の薬剤師配置基準への強化です。4つ目は、かかりつけ薬剤師に係る実績要件の廃止です。無菌製剤処理設備の保有を必須とする基準は、廃止されました。現行では、無菌室やクリーンベンチ等の設備保有が要件でした。改定後は、設備保有ではなく、業務実績で評価する方式に変わりました。この見直しは、設備を保有しながら使用実績がない薬局が多い実態を踏まえたものです。実績基準として、訪問実績と高度な薬学的管理の実績が新設されました。訪問実績は、単一建物居住者1人の場合に該当する訪問件数で評価されます。具体的には、在宅患者訪問薬剤管理指導料の1、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、ならびに単一建物居住者1人の場合の居宅療養管理指導費および介護予防居宅療養管理指導費の合計回数が対象です。この合計が、直近1年間で240回以上かつ全体(同種の算定回数の総合計)の2割超、または480回以上かつ全体の1割超のいずれかを満たす必要があります。なお、緊急訪問薬剤管理指導料および緊急時等共同指導料については、単一建物の人数を問わず全件が対象となります。高度な薬学的管理の実績は、3つの選択肢から1つを満たす必要があります。具体的には、麻薬管理指導加算等が10回以上、無菌製剤処理加算が1回以上、または乳幼児加算と小児特定加算の合計が6回以上のいずれかです。これら3つは選択制であり、いずれか1つを満たせば要件をクリアできます。薬剤師の配置基準は、常勤換算で3名以上に強化されました。現行は人数のみを定めた「2名以上」の基準でした。改定後は常勤換算3名以上が必要となり、原則として開局時間中は2名以上の常駐が求められます。あわせて、調剤応需および在宅患者の急変等への対応体制が要件となります。かかりつけ薬剤師に係る実績要件は、廃止されました。現行では、かかりつけ薬剤師指導料およびかかりつけ薬剤師包括管理料の算定回数の合計が直近1年間で24回以上必要でした。改定後は、この実績要件が削除され、施設基準の重点が在宅業務の実績に集約されました。在宅薬学総合体制加算2の評価区分化在宅薬学総合体制加算2の評価は、単一建物診療患者の人数に応じて2区分に分かれました。単一建物診療患者または単一建物居住者が1人の場合は100点になりました。それ以外の場合は50点になりました。単一建物診療患者1人の場合の評価は、100点に大幅に引き上げられました。現行では区分なく一律50点でした。改定後は単独訪問の場合に2倍の評価となります。この見直しは、個別訪問が必要な患者への質の高い在宅薬学管理を評価する趣旨です。単一建物診療患者が複数の場合の評価は、現行と同じく50点に据え置かれました。複数患者への効率的な訪問業務には、従来の評価が維持されます。区分化により、訪問形態に応じた評価のメリハリが付きました。まとめ|在宅薬学総合体制加算の3つの見直しポイント今回の改定で在宅薬学総合体制加算は、加算1の評価倍増、加算2の施設基準刷新、加算2の評価区分化の3つの観点で見直されました。加算1は、評価が15点から30点に倍増し、算定回数要件が48回以上に強化されました。加算2は、無菌製剤処理設備の基準とかかりつけ薬剤師の実績要件が廃止され、訪問実績、高度な薬学的管理の実績、および常勤換算3名以上の薬剤師配置の新基準が追加されました。さらに、加算2の評価は、単一建物診療患者1人の場合は100点、それ以外は50点に区分されました。これらの見直しは、在宅で療養する患者の増加に対応する薬局の在宅医療提供体制の整備を促す改定です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定で在宅歯科医療が大きく変わる!6つの見直しポイント徹底解説
在宅歯科医療の需要は、高齢化の進展に伴い全ての年齢階級で増加しています。一方で、歯科訪問診療を提供する歯科診療所は2割未満、病院は1割未満にとどまり、特に居宅で療養する高齢者では推定需要数と実施件数の乖離が大きい状況です。本記事では、こうした需給ギャップを埋め、質の高い在宅歯科医療の提供を推進することを目的とした令和8年度診療報酬改定の主要な見直しを解説します。令和8年度改定では、在宅歯科医療の提供体制を強化するため、6項目の見直しが行われます。第1に、歯科訪問診療1の評価を見直し、新たな加算体系を導入します。第2に、同一建物に居住する多数の患者を対象とした歯科訪問診療4・5の施設基準を新設します。第3に、在宅療養支援歯科病院・診療所の施設基準を見直し、依頼受け入れ実績や研修体制を要件に追加します。第4に、訪問歯科衛生指導料および在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料の評価を適正化します。1.歯科訪問診療1の評価見直しと運用明確化歯科訪問診療1は、在宅で療養する患者に対する診療内容を充実させる観点から、加算体系が大きく見直されます。これまでの「在宅歯科医療推進加算」は廃止され、新たに在宅療養支援歯科診療所や在宅療養支援歯科病院の施設基準に応じた加算体系へと再編されます。これにより、在宅歯科医療を担う医療機関の体制に応じた評価が可能となります。新設される加算は3種類で、施設基準の届出に応じて算定します。具体的には、在宅療養支援歯科診療所1の届出医療機関は「在宅療養支援歯科診療所加算1」として100点、在宅療養支援歯科診療所2の届出医療機関は「在宅療養支援歯科診療所加算2」として50点、在宅療養支援歯科病院の届出医療機関は「在宅療養支援歯科病院加算」として100点を所定点数に加算できます。これらの加算は、在宅歯科医療推進加算(100点)が一括して廃止された後の枠組みであり、施設機能に応じた段階的な評価へと移行する仕組みです。加えて、急遽の診療が必要となった場合の運用も明確化されます。1人の同一建物居住者に歯科訪問診療を実施した際、患者等の求めに応じて他の同一建物居住者への緊急の歯科訪問診療が必要となり、結果として2人の同一建物居住者への診療となった場合、いずれの患者にも歯科訪問診療1を算定可能となります。ただし、緊急に歯科訪問診療を実施した理由を診療録に記載する必要があるため、現場での記録対応が求められます。2.歯科訪問診療4・5の施設基準新設歯科訪問診療4・5は、同一建物に多数居住する患者への適切な訪問診療を確保する観点から、新たに施設基準が設けられます。歯科訪問診療4は同一建物に10〜19人、歯科訪問診療5は20人以上が居住する場合に算定する区分です。同一日に訪問する患者数が増加するほど、診療時間が20分未満となる割合が高くなる実態を踏まえ、適切な診療時間の確保を促す仕組みです。新設される施設基準は、訪問診療の実績または地域連携を要件とします。具体的には、歯科訪問診療料1または歯科訪問診療料2を行っていること、もしくは当該地域において保険医療機関や介護・福祉施設等と連携していることが求められます。加えて、歯科訪問診療が適切に実施できる体制を有することも要件となります。これらの施設基準を満たさない医療機関には、点数の減算が適用されます。具体的には、施設基準に適合する医療機関以外で歯科訪問診療4・5を算定する場合、所定点数および加算点数の100分の50の点数で算定する取扱いとなります。ただし、令和9年5月31日までの経過措置が設けられ、医療機関が体制整備を進める時間が確保されています。3.在宅療養支援歯科病院の施設基準見直し在宅療養支援歯科病院は、病院歯科の診療実態を踏まえて施設基準が見直されます。現行の施設基準では、過去1年間に歯科訪問診療1〜3を合計18回以上算定していることが要件でしたが、令和8年度改定後は、複数の選択肢から該当するものを選べる柔軟な基準へと変更されます。届出が22施設にとどまっている現状を踏まえ、届出促進を狙った見直しです。新たな施設基準では、4つの選択肢から1つに該当することが求められます。第1に、過去1年間の歯科訪問診療1〜3の算定件数および他医療機関からの依頼による歯科訪問診療の受入実績が合計18回以上であること。第2に、直近1か月の歯科訪問診療2〜5の算定回数が5回以上で、そのうち20分以上の歯科訪問診療を算定した割合が6割以上であること。第3に、直近1か月の在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料等の合計算定件数が10回以上であること。第4に、研修歯科医を受け入れ、歯科訪問診療に係る教育を実施している臨床研修施設であることです。連携実績に関する選択肢も拡充されます。「キ 以下のいずれかに該当すること」の選択肢として、過去1年間の在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料(1〜3)、退院時共同指導料1、医科連携訪問加算、在宅歯科医療連携加算1・2、小児在宅歯科医療連携加算1・2、在宅歯科医療情報連携加算、退院前在宅療養指導管理料、在宅患者連携指導料、在宅患者緊急時等カンファレンス料のいずれかの算定件数が1回以上であることが新たに加わります。これにより、地域医療連携を実践する病院が評価される仕組みが強化されます。4.在宅療養支援歯科診療所の施設基準見直しと臨床研修体制の評価在宅療養支援歯科診療所も、今後の在宅歯科医療体制の確保に資するよう、施設基準が見直されます。最も大きな変更点は、歯科医師臨床研修施設における研修・教育体制が新たに評価される点です。在宅歯科医療を担う若手歯科医師の育成が、施設基準の選択肢として明確に位置づけられます。在宅療養支援歯科診療所1では、歯科訪問診療の実績要件が4つの選択肢に拡大されます。具体的には、直近1か月の歯科訪問診療1〜3の合計が10回以上、または直近1か月の歯科訪問診療2〜5のいずれかを算定した回数が5回以上でそのうち20分以上の歯科訪問診療を算定した回数の割合が6割以上、または直近1か月の在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料等が合計5回以上、または研修歯科医を受け入れ歯科訪問診療に係る教育を実施している臨床研修施設であること、のいずれかに該当することが要件です。複数の経路から実績を満たせる柔軟な仕組みとなります。在宅療養支援歯科診療所2でも同様に、研修歯科医の受け入れと歯科訪問診療に係る教育の実施が選択肢として追加されます。具体的には、過去1年間に歯科訪問診療1〜3を合計4回以上算定していること、または研修歯科医を受け入れ歯科訪問診療に係る教育を実施している臨床研修施設であることが要件となります。これにより、歯科訪問診療の実績がまだ少ない診療所でも、研修体制を整えることで届出が可能となります。5.訪問歯科衛生指導料の見直し訪問歯科衛生指導料は、指導を実施した人数に応じて評価が見直されます。単一建物診療患者が1人の場合は362点から380点へ引き上げられる一方、2人以上9人以下の場合は326点から330点へ微増、10人以上の場合は295点から260点へ引き下げられます。同一建物の患者数が多いほど指導時間が20分ぎりぎりとなる傾向を踏まえ、効率的な大規模訪問への評価を適正化する見直しです。特別の関係にある施設等への評価も新たに適正化されます。当該保険医療機関と特別の関係にある他の保険医療機関等で療養を行う患者に対して訪問歯科衛生指導を実施した場合、人数区分に関わらず一律140点で算定する取扱いとなります。これは歯科訪問診療料の特別の関係に係る運用と整合性を持たせる見直しであり、関連法人内での過剰な算定を抑制する効果が期待されます。6.在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料の見直し在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料は、効率的な歯科医療を提供する観点から要件が見直されます。最大のポイントは、指導の実施者として、歯科医師に加えて「歯科医師の指示を受けた歯科衛生士」が新たに位置づけられる点です。歯科衛生士単独で算定できるものではなく、あくまで歯科医師の指示に基づく実施が前提となりますが、これにより多職種でのチーム医療を推進する仕組みが整います。加えて、自宅で療養する患者を対象とした「在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料4」が100点で新設されます。算定対象は、自宅で療養を行っている患者であって、歯科疾患在宅療養管理料、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料、または小児在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料を算定しているものです。歯科医師または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が食事観察等を行い、その結果を踏まえて患者または看護に当たる者に口腔機能評価に基づく指導を行った場合に、月1回に限り算定できます。ただし、口腔機能実地指導料との併算定には制限があります。区分番号B001-2-2に掲げる口腔機能実地指導料を算定している月は、本指導料1〜4のいずれも算定できません。算定対象の患者を整理する際には、この併算定不可の関係に注意が必要です。まとめ:令和8年度改定の在宅歯科医療を捉える6つの視点令和8年度診療報酬改定では、質の高い在宅歯科医療の提供を推進するため、6項目の見直しが実施されます。歯科訪問診療1は施設機能に応じた加算体系へ再編され、急遽診療の運用も明確化されます。歯科訪問診療4・5には新たに施設基準が設けられ、同一建物の多数患者への適切な訪問診療が促されます。在宅療養支援歯科病院・診療所の施設基準は柔軟化され、依頼受け入れ実績や臨床研修体制が評価対象に加わります。訪問歯科衛生指導料は人数別に評価が再配分され、特別の関係への適正化が図られます。在宅歯科栄養サポートチーム等連携指導料は歯科衛生士による指導や自宅療養患者を対象とする区分4の新設で適用範囲が拡大します。在宅歯科医療を担う医療機関は、自院の届出区分と算定実績を点検し、令和8年度改定への円滑な移行に向けた準備を進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度診療報酬改定|へき地診療所の在総管・施設総管見直し
へき地では在宅医療を担う常勤医師の確保が困難な状況が続いてきました。この常勤医師要件が、へき地診療所における在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の算定を妨げる要因となっていました。令和8年度診療報酬改定では、この課題を解消し、へき地における在宅医療提供体制を確保するため、両管理料の施設基準を見直します。今回の見直しでは、派遣元の保険医療機関が時間外対応体制を担う場合、非常勤医師でもへき地診療所で両管理料を算定可能とします。対象となるのは、「へき地保健医療対策事業について」に規定するへき地診療所に限定されます。連携先となる派遣元は、へき地医療拠点病院又は医療提供機能連携確保加算を算定する別の保険医療機関でなければなりません。さらに、派遣元医療機関は、緊急時の連絡体制及び24時間診療体制を確保する役割を担います。改定の背景:へき地の在宅医療を阻む常勤医師要件へき地診療所では、常勤医師の確保が在宅医療提供の最大の障壁となってきました。現行の在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の施設基準では、在宅医療を担当する常勤医師の勤務が必須要件です。この要件は、継続的な訪問診療等を実施できる体制を確保する目的で設けられています。しかし、医師確保が難しいへき地では、常勤医師の配置が困難なケースが多く存在してきました。医師確保の困難さは、へき地住民が在宅医療を受ける機会の減少につながっています。常勤医師を配置できないへき地診療所では、両管理料を算定できず、結果として在宅医療の提供自体を断念せざるを得ない状況も生じています。この状況は、2040年頃を見据えた地域医療の確保という観点で大きな課題となっています。改定の内容:連携医療機関との兼務による要件緩和今回の改定では、連携医療機関との兼務を前提に、常勤医師要件を緩和します。具体的には、在宅患者の時間外対応体制を派遣元の保険医療機関が担う場合、へき地診療所における両管理料の算定を可能とします。派遣元の医療機関が時間外対応を担保することで、へき地診療所の医師は常勤でなくとも、継続的な在宅医療提供体制を確保できると整理されました。この緩和措置により、へき地診療所と連携医療機関の両方で勤務する医師による在宅医療が制度的に位置付けられます。派遣元による時間外対応体制の確保は、在宅患者の安心・安全に直結します。在宅医療では24時間の緊急対応が患者の生命に関わる場面も少なくありません。常勤性ではなく実質的な対応体制で要件を判断する今回の見直しは、地域実情に即した制度運用への転換と言えます。算定要件:対象施設と連携体制の具体的条件要件緩和の適用には、対象施設の限定と連携体制の明確化という2つの条件があります。対象施設は、「へき地保健医療対策事業について」(平成13年5月16日医政発第529号)に規定するへき地診療所に限定されます。一般の診療所や、本制度上のへき地診療所に該当しない医療機関は、緩和措置の対象外です。連携先となる派遣元医療機関は、へき地医療拠点病院又は医療提供機能連携確保加算を算定する別の保険医療機関に限定されます。派遣元はへき地診療所自身ではなく、外部の連携医療機関でなければならない点に注意が必要です。これらの医療機関が派遣元となることで、安定した在宅医療提供体制が制度的に裏付けられます。派遣元医療機関は、緊急時の連絡体制及び24時間診療体制をへき地診療所と連携して確保する責務を負います。派遣元と派遣先の役割分担を明確にすることで、患者にとって切れ目のない医療提供が実現します。連携体制は形式的なものではなく、実際に機能する体制でなければなりません。実務への影響:医療機関が押さえるべきポイントへき地診療所と連携医療機関の双方は、要件適合性の確認と連携体制の文書化が必要です。へき地診療所側は、自施設が対象となるかの確認から始める必要があります。施設基準該当性の判断は、平成13年通知に基づくへき地診療所の指定有無で確定します。対象に該当する場合は、連携先となる派遣元医療機関の選定と協議に進みます。派遣元医療機関側は、両施設で勤務する医師の勤務体制の整備が求められます。同一医師がへき地診療所と派遣元の両方で勤務する形態が想定されており、勤務シフトや責任所在の明確化が必要です。緊急時の連絡体制及び24時間診療体制の運用ルールも、両施設間で文書化しておくことが望まれます。連携体制の構築後は、実際の運用が要件を満たしているかの継続的な検証が重要です。形式的な連携にとどまり、実態として時間外対応が機能していない場合、施設基準を満たさない可能性があります。定期的な体制確認と、患者対応の実績記録が、適正な算定の前提となります。まとめ:へき地の在宅医療提供体制を支える制度的基盤令和8年度改定は、へき地診療所における常勤医師要件を緩和し、在宅医療提供体制を確保します。連携医療機関との兼務により、非常勤医師でも在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料の算定が可能となります。対象はへき地診療所に限定され、派遣元はへき地医療拠点病院又は医療提供機能連携確保加算を算定する別の保険医療機関でなければなりません。派遣元医療機関は、緊急時の連絡体制及び24時間診療体制を担います。今回の見直しは、地域実情に即した在宅医療提供の実現に向けた重要な一歩となります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定で新設「残薬確認」要件:地域包括診療料・在総管の対応ポイント
患家における残薬の整理や適切な服薬管理の推進は、令和8年度診療報酬改定における重要な見直しテーマとなります。この見直しは、関連する診療報酬項目の算定要件と指定訪問看護の運営基準にまたがる横断的な対応として整理されます。本メルマガでは、改定によって新たに求められる対応内容を3つのポイントに分けて解説します。今回の改定は、外来・在宅・訪問看護の3領域にまたがる見直しとなります。具体的には、第1に地域包括診療加算および地域包括診療料の算定要件として、残薬確認と適切な服薬管理が追加されます。第2に在宅時医学総合管理料および施設入居時等医学総合管理料についても、同様の要件が新設されます。第3に指定訪問看護の運営基準において、服薬状況(残薬を含む)の把握と薬局への情報提供が明確化されます。地域包括診療加算・地域包括診療料の要件見直し地域包括診療加算および地域包括診療料では、診療の際に患家における残薬を確認した上で適切な服薬管理を行うことが新たに算定要件となります。あわせて、処方薬を把握し管理する手段として電子処方箋システムの活用が含まれることも明確化されます。残薬確認の具体的な実施方法は、患者またはその家族からの聴取を基本とします。聴取によって得られた残薬の状況に応じて、担当医は適切な服薬管理を行うとともに、必要に応じて処方内容の調整を実施します。処方内容の調整が他の保険医療機関に関わる場合は、当該医療機関へ処方の変更を依頼する対応も求められます。なお、これらの情報把握は、担当医の指示を受けた看護職員等が行うことも引き続き可能です。電子処方箋システムは、患者の処方薬を全て把握・管理する手段として位置付けられます。現行の要件では「他の保険医療機関と連携及びオンライン資格確認を活用して、患者が受診している医療機関を全て把握する」と規定されていますが、改定後は「他の保険医療機関と連携並びにオンライン資格確認及び電子処方箋システム等を活用して」と変更されます。この明確化により、電子処方箋システムを通じた処方情報の把握・管理が、要件を満たす手段として明示的に位置付けられます。在宅時医学総合管理料・施設入居時等医学総合管理料の要件新設在宅時医学総合管理料および施設入居時等医学総合管理料についても、残薬確認と適切な服薬管理を行うことが算定要件として新たに規定されます。現行では関連する規定が存在しないため、今回の改定で新設される要件となります。新設される算定要件の内容は、地域包括診療加算等と同様の構成となっています。具体的には、患家における残薬の状況を患者またはその家族から聴取した上で、その状況に応じて適切な服薬管理および処方内容の調整を行うことが求められます。情報の把握については、担当医の指示を受けた看護職員等が代行することも可能です。要件の新設にあたっては、看護職員等への業務分担が認められている点が運用上のポイントとなります。在宅医療を提供する医療機関では、聴取結果の記録方法や処方調整の判断フローを事前に整備しておくことが望まれます。また、地域包括診療加算等と同様の要件構成であるため、両方の項目を算定する医療機関では、業務手順の標準化を進めることで効率的な対応が可能となります。指定訪問看護における残薬対策の明確化指定訪問看護の運営基準では、サービス提供時の利用状況等の把握項目に「服薬状況(残薬の状況を含む)」が明確に位置付けられます。さらに、把握した服薬状況については、主治医への情報提供に加えて、薬局への情報提供を行うことが望ましいと規定されます。服薬状況の把握は、適切な訪問看護を提供するための基礎情報として整理されます。基準省令第9条に基づき、訪問看護事業者は利用者の心身の状況や病歴等とあわせて、服薬状況(残薬の状況を含む)の把握に努めることが求められます。把握した内容は訪問看護記録書に記入し、基準省令第30条の規定に基づき保存することが必要です。主治医および薬局への情報提供は、多職種連携を通じた残薬対策の実効性を高める仕組みとなります。主治医に対しては、利用者の心身の状況や服薬状況(残薬の状況を含む)に係る必要な情報を提供することが求められます。薬局に対しては、必要に応じて利用者の同意を得た上で、調剤を行う保険薬局に服薬状況の情報を提供することが望ましいとされます。まとめ:3領域の連携で残薬対策を実効化令和8年度改定における残薬対策の見直しは、外来・在宅・訪問看護の3領域にまたがる横断的な対応として整理されます。地域包括診療加算および地域包括診療料では、残薬確認が新たに算定要件となるとともに、電子処方箋システム活用の取扱いが明確化されます。在宅時医学総合管理料および施設入居時等医学総合管理料では、残薬確認と適切な服薬管理が算定要件として新設されます。指定訪問看護では、服薬状況(残薬を含む)の把握と主治医・薬局への情報提供が明確化されます。これらの見直しを通じて、患家における残薬の整理と適切な服薬管理が一層推進されることが期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
「医師と薬剤師の同時訪問」新設|令和8年度改定の在宅医療強化策を解説
高齢化の進展に伴い、在宅医療の需要が拡大している。在宅患者ではポリファーマシー(多剤併用)や残薬が深刻な課題となっており、医師と薬剤師の緊密な連携が不可欠である。この課題に対応するため、令和8年度診療報酬改定では、医師と薬剤師が同時に患者宅を訪問する行為に対し、新たな評価を創設する。令和8年度改定では、同時訪問を推進する新点数が医科と調剤の双方に設けられる。医科では「訪問診療薬剤師同時指導料」が300点で新設され、調剤では「訪問薬剤管理医師同時指導料」が150点で新設される。両点数はいずれも6月に1回の算定とされ、対象患者と算定要件が明確に定められている。本メルマガでは、改定の背景、両点数の概要、実務上の留意点を順に解説する。改定の背景:在宅医療におけるポリファーマシー・残薬問題への対応令和8年度改定における同時訪問の評価新設は、在宅医療のポリファーマシー対策と残薬対策を推進することを目的としている。在宅患者は複数の疾患を抱えることが多く、処方薬が重複しやすい。残薬の発生は、服薬アドヒアランスの低下や医療資源の浪費につながる。これらの課題は、医師の診察時に薬剤師が同席することで、処方意図の共有と服薬状況の確認が一度に行えるようになり、解消が期待できる。医師と薬剤師の同時訪問は、これまで診療報酬上の評価がなかった。在宅医療では、訪問診療と訪問薬剤管理指導が別々のタイミングで行われることが一般的である。同時訪問を診療報酬で評価することにより、多職種連携の実効性が高まる。訪問診療薬剤師同時指導料(医科)の概要医科側で新設される訪問診療薬剤師同時指導料は、訪問診療を行う医師が薬剤師と同時に患者宅を訪問した場合に300点を算定できる新点数である。算定頻度は6月に1回に限られる。対象患者は、当該保険医療機関で在宅時医学総合管理料を算定している在宅療養患者で、かつ通院が困難なものである。さらに、別の保険医療機関または保険薬局で在宅患者訪問薬剤管理指導料、もしくは居宅療養管理指導費(薬剤師が行う場合)を算定している必要がある。施設入居時等医学総合管理料の対象患者は除外される。算定要件として、患者または家族等の同意取得が前提となる。医師は、訪問薬剤管理指導等を実施している他の保険医療機関、保険薬局、または居宅療養管理指導を実施している病院・診療所・保険薬局の薬剤師と同時に訪問しなければならない。同時訪問にあたっては、療養上必要な指導を行うことが求められる。なお、当該保険医療機関を退院した患者に対し、退院日から1月以内に行った指導の費用は、入院基本料に含まれるものとして扱われる。訪問薬剤管理医師同時指導料(調剤)の概要調剤側で新設される訪問薬剤管理医師同時指導料は、訪問薬剤管理指導等を行う薬剤師が医師と同時に患者宅を訪問した場合に150点を算定できる新点数である。算定頻度は6月に1回に限られる。対象患者は、在宅での療養を行っている患者であって、通院が困難なものである。具体的には、在宅患者訪問薬剤管理指導料を算定している患者(単一建物診療患者が1人の場合)、その他厚生労働大臣が定める患者が該当する。厚生労働大臣が定める患者には、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料を算定している患者(単一建物診療患者が1人の場合)、薬局の薬剤師が行う居宅療養管理指導費を算定している患者(単一建物居住者が1人の場合)、薬局の薬剤師が行う介護予防居宅療養管理指導費を算定している患者(単一建物居住者が1人の場合)が含まれる。算定要件として、患者または家族等の同意取得が前提となる。薬剤師は、訪問診療を実施している保険医療機関の保険医と同時に訪問し、薬学的管理および指導を行わなければならない。ただし、在宅患者緊急時等共同指導料(区分番号15の3)または在宅移行初期管理料(区分番号15の8)に係る必要な指導等を同日に行った場合は算定できない。実務上の留意点:算定要件と併算定制限の確認両点数を確実に算定するためには、対象患者の要件、同意取得、併算定制限の3点に注意する必要がある。対象患者の要件は、医科と調剤の双方で「通院が困難な患者」であることが共通の前提となる。そのうえで、医科では在宅時医学総合管理料の算定が、調剤では在宅患者訪問薬剤管理指導料等の算定が必要となる。施設入居時等医学総合管理料の対象患者は医科側の対象から除外される。同意取得は、両点数に共通する算定要件である。患者または家族等から同意を得たうえで同時訪問を実施する。同意取得の事実と内容は、記録として残しておく必要がある。併算定制限は、調剤側で特に注意が必要である。在宅患者緊急時等共同指導料および在宅移行初期管理料に係る指導等を同日に行った場合、訪問薬剤管理医師同時指導料は算定できない。算定の重複を避けるため、同日に実施する指導内容を事前に整理しておくことが望ましい。まとめ:在宅医療の多職種連携を推進する新評価令和8年度改定では、医師と薬剤師の同時訪問に対する新評価が創設される。医科では訪問診療薬剤師同時指導料が300点で、調剤では訪問薬剤管理医師同時指導料が150点で、それぞれ6月に1回算定できる。両点数は、在宅医療におけるポリファーマシー対策と残薬対策の推進を目的としている。算定にあたっては、通院困難な患者であることの確認、同意取得、併算定制限の3点が不可欠である。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】在宅療養指導管理材料加算が「3月に3回」に統一
令和8年度診療報酬改定では、在宅療養指導管理材料加算の算定要件が見直されます。在宅療養指導管理材料加算は、加算項目ごとに算定回数のルールが「月1回」「2月に2回」「3月に3回」と3種類に分かれており、現場では算定実務が複雑化していました。そこで本改定では、患者ごとの適切な医療提供を推進する観点から、すべての在宅療養指導管理材料加算の算定回数を「3月に3回」に統一することになりました。改定のポイントは、現行の算定回数別に3グループへ分けて整理できます。第1グループは現行で「月1回」だった加算であり、改定後は3月に3回まで算定機会が拡大します。第2グループは現行で「2月に2回」だった加算であり、こちらも算定機会が拡大します。第3グループは現行ですでに「3月に3回」だった加算であり、算定回数に変更はなく条文上の重複規定が削除されるのみです。これら3グループの整理により、改定の影響を正確に把握できます。改定の背景と目的改定の背景には、在宅療養指導管理材料加算の算定回数ルールが複雑化していた現状があります。在宅療養指導管理材料加算は、在宅で療養する患者に対して必要な医療材料を提供した医療機関が算定する加算です。この加算には数多くの項目があり、項目ごとに算定回数のルールが「月1回」「2月に2回」「3月に3回」の3種類に分かれていました。そのため、医療機関の事務担当者は項目ごとにルールを確認する必要があり、算定実務の負担が課題となっていました。改定の目的は、患者ごとの適切な医療提供を推進することです。算定要件をシンプルに統一すれば、医療機関は事務作業に費やす時間を削減できます。削減された時間を患者対応に振り向けることで、患者ごとの状態に応じたきめ細かな医療提供が可能になります。本改定は、こうした効果を狙って算定要件の整理に踏み切ったものです。算定要件の統一内容算定要件の統一内容は、通則の改定と個別項目の改定の2点です。通則の改定では、すべての在宅療養指導管理材料加算に共通する算定回数ルールが新たに設定されます。個別項目の改定では、各加算項目の条文から重複する回数規定が削除されます。これにより、算定回数のルールが通則に一本化されることになります。通則の改定では、算定回数が「月1回」から「3月に3回」に変更されます。現行の通則では「特に規定する場合を除き、月1回に限り算定する」と定められていました。改定後の通則では「特に規定する場合を除き、3月に3回に限り算定する」となります。この変更により、これまで通則の月1回ルールが適用されていた加算項目は、3月に3回まで算定できるようになります。個別項目の改定では、各加算項目から重複する回数規定が削除されます。血糖自己測定器加算では、現行で各項目に記載されていた「3月に3回に限り」という文言が削除されます。間歇注入シリンジポンプ加算では、現行の「2月に2回に限り」が削除され、通則のルール(3月に3回)が適用されます。いずれの項目も、通則への一本化により条文がシンプルになります。現行ルール別にみた3つの加算グループ現行ルール別にみると、対象となる加算は3つのグループに分類できます。第1グループは現行で「月1回」だった加算で、算定機会が拡大します。第2グループは現行で「2月に2回」だった加算で、こちらも算定機会が拡大します。第3グループは現行ですでに「3月に3回」だった加算で、算定回数に変更はありません。グループ別に整理することで、自院で算定している加算がどの影響を受けるかを正確に判断できます。第1グループは、現行で通則の「月1回」ルールが適用されていた加算です。これらの加算は、現行条文に個別の算定回数規定が記載されていない項目が該当します。改定後は通則の「3月に3回」ルールが適用されるため、3カ月の間に最大3回まで算定可能になります。算定機会が3倍に拡大するため、3グループの中で最も影響が大きいグループです。第2グループは、現行で「2月に2回」だった加算です。代表例は間歇注入シリンジポンプ加算であり、改定資料にはこのほか持続血糖測定器加算、経腸投薬用ポンプ加算、持続皮下注入シリンジポンプ加算、注入ポンプ加算も「同様」として明記されています。改定後はこれらの加算も「3月に3回」のルールが適用されます。2カ月で2回から3カ月で3回への変更となるため、算定頻度の上限がわずかに引き上がります。第3グループは、現行ですでに「3月に3回」だった加算です。代表例は血糖自己測定器加算と血中ケトン体自己測定器加算(40点)です。改定資料にはこのほか酸素ボンベ加算、酸素濃縮装置加算、液化酸素装置加算、呼吸同調式デマンドバルブ加算、特殊カテーテル加算、在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算、在宅酸素療法材料加算、在宅持続陽圧呼吸療法材料加算、在宅ハイフローセラピー材料加算、在宅経肛門的自己洗腸用材料加算、在宅ハイフローセラピー装置加算が「同様」として明記されています。これらの加算は算定回数に変更はなく、条文から重複する「3月に3回」の規定が削除されるのみです。実務への影響と対応のポイント実務への影響と対応のポイントは、グループごとに異なります。第1グループと第2グループでは算定機会の拡大に対応する必要があります。第3グループでは算定回数の変更はなく、事務処理の簡素化のみが影響します。共通する対応として、すべてのグループでマニュアルやシステムの更新が必要となります。算定機会が拡大する第1グループと第2グループでは、患者ごとの管理計画の見直しが重要です。たとえば間歇注入シリンジポンプ加算では、これまでの「2月に2回」から「3月に3回」へと算定タイミングが変わります。在宅療養を支える材料の供給計画と算定タイミングを連動させることで、患者の療養を切れ目なく支援できます。算定回数が変わらない第3グループでは、条文の整理に伴う事務処理の簡素化が主な影響です。これまで個別条文に「3月に3回」と記載されていたため、項目ごとに条文を確認する手間がかかっていました。改定後は通則の規定に従えばよいため、算定マニュアルの記述も簡潔になります。すべてのグループに共通する対応として、算定マニュアルとレセプトコンピュータの更新が必要です。算定マニュアルでは、項目ごとに異なっていた算定回数ルールを通則の「3月に3回」に統一して記載します。レセプトコンピュータや電子カルテの算定ロジックも、改定内容に合わせて更新する必要があります。改定施行までに院内の運用体制を整備しておくことが、改定後のスムーズな算定実務につながります。まとめ令和8年度診療報酬改定では、在宅療養指導管理材料加算の算定回数が「3月に3回」に統一されます。これまで「月1回」「2月に2回」「3月に3回」と3種類に分かれていた算定回数ルールが、通則への一本化によりシンプルになります。改定の影響は現行ルール別に3グループへ分類でき、第1グループ(現行月1回)と第2グループ(現行2月に2回)では算定機会が拡大し、第3グループ(現行3月に3回)では算定回数に変更はなく条文の整理のみが行われます。医療機関は、自院で算定している加算がどのグループに該当するかを確認したうえで、算定マニュアルやシステムの更新を進めていく必要があります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
24時間体制の要件明確化と重症患者割合の新設|在宅医療の令和8年度改定要点
在宅医療のニーズが高まるなか、訪問診療を行う医療機関には、重症患者への対応力と24時間体制の確保が強く求められています。一方、第三者(株式会社等)を活用した運営形態も広がり、医療提供体制の透明性確保が課題となっています。本稿では、令和8年度診療報酬改定における「在宅時医学総合管理料等及び在宅療養支援診療所等の見直し」について、改定内容と医療機関に求められる対応を解説します。令和8年度改定では、適切な訪問診療の提供と安心・安全な医療提供体制の確保を目的に、2つの見直しが行われます。第一の見直しは、在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料における重症患者割合要件の新設です。第二の見直しは、在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院における第三者活用時の24時間体制要件の明確化です。これらの見直しに対応するため、医療機関には患者構成の把握と運用体制の整備が求められます。在宅時医学総合管理料等における重症患者割合要件の新設在宅時医学総合管理料及び施設入居時等医学総合管理料に、重症患者割合の要件が新設されます。具体的には、月2回以上の訪問診療を行う患者のうち、別表第8の2又は別表第8の3に該当する患者の割合が一定以上であることが求められます。基準を満たさない場合、医療機関は各区分の(4)又はニ(より低い点数の区分)を算定することになります。新たな要件の対象は、月2回以上訪問診療を行う場合の高い点数区分です。具体的には、1のイの(2)・(3)、1のロの(2)・(3)、2のロ・ハ、3のロ・ハが対象に含まれます。これらは難病等を除いた区分であり、患者の重症度に応じた評価を担保することが見直しの狙いとなっています。別表第8の2と別表第8の3は、いずれも重症患者の対象を定めた一覧です。別表第8の2は厚生労働大臣が定める疾病等(末期の悪性腫瘍や神経難病等)を示しています。別表第8の3は重症度や医療依存度の高い状態にある患者群を定めています。これらに該当する患者を一定割合以上受け持つ医療機関が、重症患者を担う医療機関として高い評価を受ける仕組みです。新設される施設基準は「または条件」で構成されており、2つの選択肢のいずれかを満たせばクリアできます。第一の選択肢は、月2回以上訪問診療を行う患者数が一定数未満であることです。第二の選択肢は、月2回以上訪問診療を行う患者数に占める別表第8の2又は別表第8の3に掲げる患者の割合が一定以上であることです。どちらも満たさない場合に限り、より低い点数区分(各区分の(4)又はニ)を算定することになります。在宅療養支援診療所等における第三者活用時の体制要件の明確化在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院について、第三者(株式会社等)を活用した24時間体制確保の要件が明確化されます。具体的には、24時間連絡を受ける担当者の範囲明確化、コールセンター利用時の体制要件、事前面談未実施の往診医の取扱いという3点が新たに整理されます。これらの明確化により、外部資源を活用しつつ安心・安全な医療提供体制を確保する道筋が示されます。第一の明確化は、24時間連絡を受ける担当者の範囲です。告示(基本診療料の施設基準等)上、従来の「保険医又は看護職員」が「保険医又は看護職員等」と改められます。「等」の追加により、看護職員以外の医療従事者を含めた柔軟な体制構築が可能となります。第二の明確化は、コールセンター等を活用する場合の体制要件です。患家に提供する連絡先をコールセンター等が担う場合、その旨を事前に患者又は家族へ説明することが求められます。あわせて、当該医療機関がコールセンター等からの連絡を24時間受ける体制を確保しなければなりません。連絡経路を外部化しつつも、最終的な医療判断と対応は医療機関が責任を持つ構造が明確化されます。第三の明確化は、事前に氏名を提供していない往診医に関する要件です。やむを得ない事由により事前に氏名を提供していない往診医が往診を行う場合、当該往診医は往診日以前に当該医療機関の在宅医療担当の常勤医師と面談し、診療方針等を共有していなければなりません。面談を経ていない医師による往診は、往診体制の確保には該当しないと明記されます。これにより、外部医師を活用する場合でも医療の質と継続性が担保される仕組みになります。医療機関に求められる対応今回の見直しを受け、在宅医療を担う医療機関には2つの対応が求められます。第一の対応は、訪問診療を行う患者の重症度構成の把握と継続的な確認です。第二の対応は、24時間体制を支える第三者活用の運用見直しです。これら2つの対応を進めることで、改定後の点数算定と施設基準の維持を両立できます。第一の対応として、月2回以上訪問診療を行う患者の重症度構成を把握する必要があります。別表第8の2と別表第8の3に該当する患者を整理し、その割合を継続的にモニタリングする体制を整えなければなりません。なお、患者数や割合の具体的な基準値は今後の告示等で示される見込みであるため、最新情報の確認が欠かせません。第二の対応として、24時間体制における第三者活用の運用を見直す必要があります。コールセンターを利用する医療機関は、患家への事前説明手続きと医療機関側の24時間受信体制を整備しなければなりません。外部医師による往診を委託する医療機関は、常勤医師との事前面談記録を整備しておく必要があります。これらの整備を通じて、改定後の施設基準を確実に満たす体制を構築できます。まとめ令和8年度改定では、適切な訪問診療の提供と安心・安全な医療提供体制の確保を目的に、在宅医療に関する2つの見直しが行われます。在宅時医学総合管理料等では、月2回以上訪問診療の高い点数区分に重症患者割合要件が新設され、基準未充足時には各区分の(4)又はニを算定することになります。在宅療養支援診療所等では、第三者活用時の24時間体制要件が明確化され、担当者範囲、コールセンター活用、事前面談未実施医師の取扱いが整理されます。各医療機関は、患者の重症度構成の把握と第三者活用の運用見直しを通じて、改定後の対応を進めていきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】在宅療養支援診療所・病院にBCP策定が必須化|要件と経過措置を解説
令和8年度診療報酬改定では、在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院(以下、在支診・在支病)の施設基準が見直されます。背景には、近年頻発する自然災害や感染症拡大の中で、在宅療養患者への診療体制を継続的に確保する必要性が高まっている事実があります。しかし、現状では在支診の業務継続計画(BCP)策定率は11%、在支病でも32%にとどまり、災害時の対応力に大きな課題を抱えています。本稿では、新たに追加されるBCP策定要件の具体的内容と、現に届出を行っている保険医療機関に適用される経過措置について解説します。今回の改定では、在支診・在支病の施設基準に「業務継続計画の策定及び定期的な見直し」が追加されます。この要件は、機能強化型(単独型・連携型)と機能強化型ではない在支診・在支病のすべてに適用されます。既届出施設には令和9年5月31日までの経過措置が設けられる一方、新規届出施設は改定施行日から要件への対応が必要となります。在宅医療を担う医療機関は、施設基準の継続維持に向けて、BCPの策定または見直しに早期に着手する必要があります。改定の背景|災害時の在宅医療提供体制への危機感今回の要件追加の背景には、災害時の在宅医療継続に関する明確な制度的危機感があります。在宅療養患者の中には、人工呼吸器や在宅酸素療法など医療機器に依存する方や、24時間の医学的管理が必要な重症患者が含まれます。これらの患者にとって、災害時に診療や訪問が途絶えることは生命に直結する重大なリスクとなります。在支診・在支病は、地域における在宅療養の主たる責任を負う医療機関として位置づけられています。在支診の施設基準には、緊急時の連絡体制や24時間の往診体制の確保が既に定められています。しかし、これらは平時の体制を前提としており、災害時の業務継続を保証するものではありません。第8次医療計画でも、在宅医療における災害時対応の強化が重点課題とされています。具体的には、平時から関係機関との連携体制を構築し、災害時における業務継続計画(BCP)の策定を推進することが明記されました。今回の診療報酬改定は、この医療計画上の方針を施設基準として制度的に裏付けるものです。それにもかかわらず、現状のBCP策定率は十分とは言えません。令和2年度の厚生労働科学特別研究によれば、在支病で32%、在支診ではわずか11%しかBCPを策定していませんでした。この策定率の低さこそが、今回の要件化に踏み切った直接的な根拠となっています。改定内容の詳細|施設基準への具体的な追加事項改定後の施設基準には、業務継続計画に関する新たな項目が明記されます。具体的には、在宅療養支援診療所の施設基準として「レ 業務継続計画の策定及び定期的な見直しを行うこと」が追加されます。この要件は、単に計画書を作成するだけでなく、定期的な見直しを継続的に行うことまでを求めている点が重要です。要件の対象範囲は、在支診・在支病のすべての類型に及びます。具体的には、機能強化型(単独型)の在支診・在支病、機能強化型(連携型)の在支診・在支病、機能強化型ではない在支診・在支病のいずれもが対象となります。つまり、規模や機能区分にかかわらず、在宅医療を担う届出医療機関には一律にBCPの整備が求められます。業務継続計画の具体的な内容としては、一般診療所を対象とした災害対策の取組事例が参考になります。令和7年度入院・外来医療等における実態調査(n=757)では、災害物資・備品の備蓄、職員の参集と安否確認方法の策定、定期的な避難訓練の実施、非常電源等のインフラ整備、災害対策本部の設置要綱などが代表的な取組として挙げられています。在支診・在支病では、これらに加えて訪問診療体制の確保や在宅医療機器の保守管理体制についても計画に盛り込むことが望まれます。定期的な見直しの頻度や方法については、現時点で明確な数値基準は示されていません。しかし、地域の災害リスクや医療機関の体制変化を踏まえ、少なくとも年1回程度の見直しを行うことが実務上の標準になると考えられます。厚生労働省が公開している在宅医療BCP策定の手引きや事業を活用しながら、自院の実情に合った計画整備を進めることが推奨されます。経過措置と実務対応のポイント|既届出施設は令和9年5月までに対応既に届出を行っている保険医療機関には、対応のための経過措置が設けられます。令和8年3月31日において現に在支診または在支病の届出を行っている保険医療機関は、令和9年5月31日までの間に限り、新要件を満たしているものとみなされます。この間にBCPを策定し、要件を満たす体制を整えることが求められます。この経過措置は、機能強化型(連携型)在支診・在支病、機能強化型ではない在支診・在支病にも同様に適用されます。すべての類型で、既届出施設は令和9年5月31日が事実上の対応期限となります。一方で、改定施行後に新規に届出を行う医療機関には、当初からBCPの策定が要件となる点に注意が必要です。実務対応のポイントは、計画策定の早期着手と継続的な運用体制の構築です。まず、自院の現状における災害対応の取組を棚卸しし、不足している領域を特定します。次に、地域の災害想定や患者特性を踏まえて、訪問診療継続のための具体的な行動計画を策定します。さらに、職員への周知と訓練を通じて計画の実効性を高め、定期的な見直しのサイクルを確立します。参考資料の活用も有効な手段です。厚生労働省は在宅医療に関するBCP策定の手引きを公開しており、地域の医師会や在宅医療連携拠点が研修や支援を行うケースもあります。これらのリソースを活用することで、効率的かつ実効性の高い計画整備が可能になります。まとめ|在宅医療の継続性確保に向けた制度的転換点令和8年度診療報酬改定は、在支診・在支病に対してBCP策定を施設基準として義務化する重要な転換点となります。背景には、現状のBCP策定率の低さと、災害時の在宅医療提供体制を確保すべきとする医療計画上の方針があります。新要件は、機能強化型を含むすべての在支診・在支病に適用され、計画の策定だけでなく定期的な見直しまでが求められます。既届出施設には令和9年5月31日までの経過措置が設けられますが、対応期限まで決して長い時間ではありません。在宅医療を担う保険医療機関は、施設基準の継続維持と地域への責任を果たすため、BCPの策定または既存計画の見直しに早期に着手することが求められます。災害時にも在宅療養患者への診療を途絶えさせない体制づくりこそが、今回の改定が真に意図する目的だといえます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】連携型機能強化型在支診が2区分へ|要件を徹底解説
連携型機能強化型在宅療養支援診療所(以下「連携型機能強化型在支診」)は、複数の医療機関の連携によって地域の24時間医療提供体制を支えてきました。しかし、現行の施設基準では、自院で実際に24時間体制を確保している施設と、連携先に依存して体制を確保している施設が同一の評価となっています。本メルマガでは、令和8年度診療報酬改定における連携型機能強化型在支診の見直し内容と、その実務上のポイントを解説します。連携型機能強化型在支診の見直しは、自院で24時間医療提供体制を確保する施設をより高く評価する内容です。具体的には、施設基準を区分イと区分ロの2つに分けます。区分イは、自院の医師による月4回以上の連続24時間往診体制を新たな要件とします。区分ロは、連携体制による24時間往診体制を要件とし、自院単独の24時間往診体制までは求めません。改定の背景|自院で24時間体制を確保する施設の評価強化改定の趣旨は、地域の24時間医療提供体制を自ら支える医療機関を更に評価することです。連携型機能強化型在支診は、複数の医療機関で連携体制を構築し、24時間往診体制を確保しています。この連携体制において、自院で実際に医療提供体制を確保している時間は施設ごとに大きく異なります。そこで今回の改定では、自ら実際に医療提供体制を確保している時間に応じて評価を見直すこととなりました。改定の全体像|施設基準を区分イと区分ロに分割改定の全体像は、現行の施設基準を区分イと区分ロの2区分に分割するものです。区分イは、平時から訪問診療等を行う自院の医師により時間外往診体制を確保している施設を対象とします。区分ロは、それ以外の施設、すなわち連携先との協力で24時間往診体制を確保している施設を対象とします。両区分とも、患家の求めに応じた24時間往診体制の確保と、往診担当医の氏名・担当日等の文書提供は共通要件です。区分イの要件|自院医師による月4回以上の24時間往診体制区分イの新要件は、自院の医師による連続する24時間の往診体制等を月に4回以上確保することです。ここでいう「自院の医師」とは、平時から訪問診療等を行う医師を指します。この医師には、往診担当日の前日またはそれ以前に診療録を閲覧でき、必要に応じて診療方針を訪問診療医と共有し、当該保険医療機関からの往診経験を10回以上有する往診担当医師も含まれます。なお、別表第6の2に掲げる地域(医療資源の少ない地域)の診療所では、看護師等といる患者に対する情報通信機器を用いた24時間診療体制で代替できます。区分ロの要件|連携体制による24時間往診体制を確保区分ロの要件は、在宅支援連携体制による24時間往診体制を確保することです。具体的には、在宅支援連携体制を構成する他の保険医療機関と協力し、患家の求めに応じて24時間往診が可能な体制を確保します。あわせて、往診担当医の氏名および担当日等を文書により患家に提供します。区分イとの違いは、自院単独での月4回以上の連続24時間往診体制が要件とならない点です。なお、医療資源の少ない地域における情報通信機器による代替規定は、区分ロにも適用されます。実務への影響|自院の体制確認と区分選択の検討実務上の対応として、まず自院の24時間往診体制の実態を確認することが重要です。具体的には、平時から訪問診療を行う自院の医師が、月4回以上の連続24時間往診体制を確保できるかを点検します。次に、確保可能であれば区分イの取得を、困難であれば区分ロでの届出を検討します。なお、往診担当医師に「往診経験10回以上の医師」を含める場合は、診療録閲覧体制と訪問診療医との情報共有体制の整備も必要です。まとめ|自院体制の評価強化に向けた制度設計令和8年度改定における連携型機能強化型在支診の見直しは、自院で24時間医療提供体制を確保する施設をより高く評価する制度設計です。施設基準は区分イと区分ロの2区分に分割されます。区分イは、自院医師による月4回以上の連続24時間往診体制を要件とする新区分です。区分ロは、連携体制による24時間往診体制を要件とする区分です。各医療機関は、自院の体制を点検したうえで、適切な区分の選択と届出準備を進めることが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
退院後訪問栄養食事指導料を新設|令和8年度改定で530点・退院後1か月4回まで算定可能
高齢化に伴い、栄養管理の必要性が高い状態で退院する患者が増加しています。中医協での議論では、既存の在宅患者訪問栄養食事指導料が「通院困難」を要件とするため退院直後の患者には算定しにくく、また介護保険の居宅療養管理指導はケアプラン作成等に時間を要し、退院直後の栄養管理ギャップを埋めきれない実態が指摘されてきました。本記事では、こうした課題を背景に新設される「退院後訪問栄養食事指導料」の内容と実務上のポイントを、答申書記載事項に基づき整理します。退院後訪問栄養食事指導料は、入院医療機関の管理栄養士が退院直後に患家を訪問して栄養指導を行った場合の評価として、530点(1回につき)で新設されます。対象は特別食を必要とする患者、がん患者、摂食機能・嚥下機能が低下した患者、低栄養状態にある患者の4区分です。算定期間は退院日から起算して1か月以内(退院日を除く)に限られ、4回が算定上限です。なお、外来栄養食事指導料および在宅患者訪問栄養食事指導料とは併算定できません。新設の背景:退院直後の栄養管理ギャップ新設の背景には、退院直後に栄養管理が途切れる構造的な課題があります。退院直後の在宅療養支援は、医療ニーズの高い患者が安心・安全に在宅へ移行するために重要です。しかし、栄養管理の領域では、入院中の管理栄養士による指導と退院後の支援とがシームレスにつながりにくい状況が続いてきました。既存制度には、退院直後の栄養管理を担いきれない構造的限界がありました。在宅患者訪問栄養食事指導料(C009)は「通院困難」を算定要件とするため、退院直後で病状が比較的安定し通院可能な患者には算定できません。介護保険の居宅療養管理指導は、ケアマネジャーとの調整、栄養ケア計画書の作成、サービス担当者会議への出席等を経るため、指導開始まで相当の時間を要します。その結果、退院直後の最も支援が必要な時期に、医療保険でも介護保険でも栄養指導を提供しにくい空白期間が生じていました。この空白期間の解消は、地方分権改革の提案としても明確に求められていました。令和7年地方分権改革では、高松市・三豊市から「在宅医療(訪問栄養指導)における医療保険適用要件の見直し」が提案されました。提案の趣旨は、退院直後など、医師の判断により適切な時期に必要な訪問栄養食事指導が受けられるよう、医療保険適用要件を見直してほしいというものです。今回の退院後訪問栄養食事指導料の新設は、この提案に応える形で、退院直後の栄養管理ギャップを医療保険側から埋める制度設計となっています。新設点数の概要:算定要件と対象患者退院後訪問栄養食事指導料は、入院していた保険医療機関の管理栄養士が患家等を訪問して栄養指導を行った場合に、530点(1回につき)を算定する新点数です。算定主体は退院した医療機関に所属する管理栄養士に限定され、医師の指示に基づき、具体的な献立等によって栄養管理に係る指導を行うことが要件となります。指導の相手は患者本人だけでなく、家族等退院後に在宅療養支援に当たる者も含まれます。算定期間と回数は、退院直後の集中支援を想定した設計です。算定対象期間は、退院日から起算して1か月以内(退院日を除く)に限定されます。算定回数の上限は4回で、退院後の在宅療養が安定するまでの集中的な栄養指導を支える設計となっています。対象患者は、栄養管理の必要性が高い4区分に整理されています。第1に、医師の発行する食事箋に基づく特別食(別表第三)を必要とする患者です。第2に、がん患者です。第3に、摂食機能または嚥下機能が低下した患者です。第4に、低栄養状態にある患者です。別表第三の特別食には、腎臓食、肝臓食、糖尿食、胃潰瘍食、貧血食、膵臓食、脂質異常症食、痛風食、てんかん食、フェニールケトン尿症食、楓糖尿症食、ホモシスチン尿症食、尿素サイクル異常症食、メチルマロン酸血症食、プロピオン酸血症食、極長鎖アシル―CoA脱水素酵素欠損症食、糖原病食、ガラクトース血症食、治療乳、無菌食、小児食物アレルギー食、特別な場合の検査食(単なる流動食および軟食を除く)が含まれます。他の栄養食事指導料との関係:併算定の可否退院後訪問栄養食事指導料は、既存の栄養食事指導料との併算定が制限されています。具体的には、外来栄養食事指導料(B001の9)および在宅患者訪問栄養食事指導料(C009)は別に算定できません。同一期間に複数の栄養食事指導料を算定することによる重複評価を避けるための整理です。既存の在宅患者訪問栄養食事指導料との違いは、対象患者の要件にあります。在宅患者訪問栄養食事指導料は「通院困難」な在宅療養患者を対象とするため、退院直後で通院可能な患者には算定できません。一方、退院後訪問栄養食事指導料には通院困難要件がなく、退院した患者であって所定の対象患者に該当すれば算定可能です。両点数は「退院直後の通院可能患者」と「在宅療養中の通院困難患者」で対象を住み分ける構造になっています。平成28年度に新設された退院後訪問指導料との対比も理解の助けになります。退院後訪問指導料は看護師等による退院直後の訪問指導を評価する点数(580点・退院後1か月以内・5回まで/中医協資料による)で、医療ニーズの高い患者の在宅移行を支える役割を担います。今回の退院後訪問栄養食事指導料は、この看護師等による訪問指導の枠組みを栄養管理の領域に拡張したものと位置づけられます。両点数を組み合わせることで、退院直後の患者を多職種で支える体制が制度上整います。実務への影響:医療機関にとっての意義と留意点退院後訪問栄養食事指導料の新設は、入院医療機関に新たな在宅支援の役割を与えます。入院中に栄養指導を行ってきた管理栄養士が、退院後も継続して在宅で指導することで、患者の生活環境に即した実践的な栄養管理が可能になります。患者・家族にとっても、入院中から関係を築いた管理栄養士による指導は心理的な負担が少なく、円滑な在宅療養移行につながります。実務運用上は、4回という算定上限の使い方が鍵となります。退院日を除く1か月以内という限られた期間に、4回までの訪問でどのような栄養管理目標を達成するかを、入院中から計画しておく必要があります。具体的には、退院前カンファレンスの段階で訪問計画を共有し、初回訪問で家庭の食環境や調理担当者の状況を把握し、以後の訪問で具体的な献立提案や調理指導につなげる運用が想定されます。算定上の留意点として、医師の指示と具体的な献立指導の要件を押さえる必要があります。算定には保険医療機関の医師の指示が必要です。指導内容は「具体的な献立等によって栄養管理に係る指導を行う」ことが要件であり、抽象的な栄養指導ではなく実際の食事に落とし込んだ指導であることが求められます。さらに、外来栄養食事指導料および在宅患者訪問栄養食事指導料との併算定不可の規定にも注意し、退院後1か月以内の栄養指導は退院後訪問栄養食事指導料に一本化する運用が求められます。まとめ:退院直後の栄養管理ギャップを埋める新点数退院後訪問栄養食事指導料は、退院直後の栄養管理ギャップを医療保険側から埋める新点数として、令和8年度改定で新設されます。点数は530点(1回につき)で、退院日から1か月以内(退院日を除く)に4回を限度として算定できます。対象は特別食を必要とする患者、がん患者、摂食機能・嚥下機能が低下した患者、低栄養状態にある患者の4区分です。外来栄養食事指導料および在宅患者訪問栄養食事指導料とは併算定できない点に注意が必要です。入院医療機関の管理栄養士が、入院中の関わりを退院後の在宅まで継続することで、安心・安全な在宅療養移行を後押しする制度設計となっています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【2026年度改定】往診時医療情報連携加算の見直し:被支援側の対象拡大を完全解説
在宅医療の需要は、高齢化の進展に伴って年々高まっています。地域で24時間の在宅医療提供体制を面として支えるためには、医療機関同士の連携を後押しする評価が欠かせません。しかし、現行の往診時医療情報連携加算では、在宅療養支援診療所(以下、在支診)・在宅療養支援病院(以下、在支病)を主治医とする患者への往診が算定対象から外れていました。本稿では、令和8年度診療報酬改定における往診時医療情報連携加算の見直し内容を整理し、医療機関への影響を解説します。今回の改定では、往診時医療情報連携加算の被支援側の対象が拡大されます。従来は在支診・在支病以外の医療機関のみが被支援側として認められていました。改定後は、機能強化型以外の在支診・在支病も被支援側として算定対象に加わります。算定点数は200点で変更ありません。改定の背景にある地域医療の課題往診時医療情報連携加算の見直しは、地域における24時間の在宅医療提供体制を面として支える狙いがあります。この体制を実現するには、より幅広い在宅医療機関の連携を評価する必要があります。改定の背景には、現行制度では評価されにくい連携形態の存在があります。24時間の在宅医療提供体制は、医療機関単独で支えることが困難になっています。在宅医療を担う医療機関には、夜間・休日を含めた継続的な対応が求められます。この負担を一施設だけで背負うことは、特に小規模な医療機関にとって大きな課題です。医療機関同士の連携は、24時間体制を地域で支えるための現実的な解決策です。複数の医療機関が役割を分担することで、個々の負担を軽減できます。この連携を診療報酬で評価する仕組みのひとつが、往診時医療情報連携加算です。現行の往診時医療情報連携加算は、在支診・在支病以外の医療機関を主治医とする患者への往診を対象としていました。この枠組みでは、主治医が在支診・在支病である患者への往診が算定対象から外れます。地域で在宅医療を担う在支診・在支病同士が連携しても、評価されない状況が生じていました。改定で変わる算定要件の具体的内容改定の核心は、被支援側の対象範囲を拡大する点にあります。従来は在支診・在支病が被支援側になることはできませんでした。改定後は、機能強化型以外の在支診・在支病であれば被支援側として認められます。改定前の算定要件は、被支援側を「在支診・在支病以外の保険医療機関」に限定していました。この要件のもとでは、主治医が在支診・在支病である患者への往診は加算の対象外となります。在支診・在支病を主治医とする患者にも往診のニーズはあるため、この点は実務上の課題でした。改定後の算定要件では、被支援側を「機能強化型の在支診・在支病以外の保険医療機関」と整理しています。具体的には、機能強化型の在支診・在支病のみが被支援側から除外されます。機能強化型以外の在支診・在支病は、被支援側として算定対象に含まれます。算定点数は、改定前後ともに200点で据え置かれます。点数自体は変わらない一方で、算定機会は拡大します。これは、対象となる連携の幅が広がることを意味します。算定にあたって押さえるべき施設基準施設基準では、被支援側から除外される「機能強化型」の範囲が新たに明示されます。機能強化型の定義は、関連する施設基準の規定を引用する形で示されます。算定にあたっては、連携先の医療機関がどの類型に該当するかの確認が必須です。機能強化型の在支診は、施設基準告示の第三の六(1)及び(2)に該当する施設と定義されます。この規定に該当する在支診は、被支援側として算定の対象になりません。支援側の医療機関は、連携先の在支診が機能強化型に該当するかを事前に把握する必要があります。機能強化型の在支病は、施設基準告示の第四の一(1)及び(2)に該当する施設と定義されます。在支診と同様に、機能強化型に該当する在支病は被支援側から除外されます。支援側は、連携先の在支病についても機能強化型に該当するかの確認が求められます。支援側の要件は、改定前後で変更ありません。支援側は引き続き、在支診または在支病であることが条件です。算定の構造は、支援側が在支診・在支病、被支援側が機能強化型以外の医療機関という枠組みになります。医療機関にもたらされる実務上の影響今回の見直しは、地域で在宅医療を担う医療機関に新たな算定機会をもたらします。在支診・在支病同士で連携している医療機関にとって、影響は大きくなります。患者にとっても、24時間対応の体制が強化される効果が期待されます。在支診・在支病同士の連携は、機能強化型以外の範囲で診療報酬上の評価対象に加わります。これまで主治医が在支診・在支病である患者への往診では、往診時医療情報連携加算を算定できませんでした。改定後は、主治医が機能強化型以外の在支診・在支病であれば算定可能になります。算定の実務では、連携先の医療機関の類型確認が新たな確認事項として加わります。機能強化型に該当する在支診・在支病は、引き続き被支援側から除外されるためです。算定可否の判断には、施設基準告示の該当規定に基づく類型の特定が欠かせません。患者への効果は、地域全体での24時間対応体制の強化に表れます。連携を評価する枠組みが広がることで、医療機関は連携体制の構築に積極的に取り組みやすくなります。結果として、夜間・休日を含めた継続的な在宅医療の提供が地域で確保されやすくなります。まとめ:往診時医療情報連携加算の見直しのポイント令和8年度診療報酬改定では、往診時医療情報連携加算の被支援側の対象が拡大されました。従来の在支診・在支病以外の医療機関に加え、機能強化型以外の在支診・在支病も被支援側として認められます。算定点数は200点で変更がない一方、算定機会は確実に広がります。この見直しは、地域における24時間の在宅医療提供体制を面として支える連携を、診療報酬の側面から後押しするものです。医療機関は、連携先が機能強化型に該当するかを確認した上で、新しい算定要件への対応を進めることが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
在宅医療充実体制加算へ名称変更|令和8年度改定で点数も大幅引き上げ
機能強化型在宅療養支援診療所・病院では、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算で求められる実績要件(緊急往診15件以上、看取り20件以上)を大きく上回る医療機関が多数存在しています。そのため、在宅医療において積極的役割を担う医療機関を、緩和ケアの枠を超えてより広く評価する必要性が高まっていました。本記事では、令和8年度診療報酬改定における「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」の見直し内容を解説します。本改定では、加算の名称変更、施設基準の見直し、評価点数の引き上げの3点が実施されます。第1に、加算の名称が「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」から「在宅医療充実体制加算」へ変更されます。第2に、施設基準が「在宅緩和ケアを行うにつき十分な体制」から「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療を行うにつき十分な体制」へ見直されます。第3に、評価点数がターミナルケア加算で1,000点から2,000点へ、医学総合管理料で約2倍に引き上げられます。改定の背景:在宅医療の積極的役割への評価強化本改定の背景には、機能強化型在支診・在支病における実績の伸長と、求められる役割の多様化があります。これまでの在宅緩和ケア充実診療所・病院加算は、緩和ケア提供体制を中心に評価する仕組みでした。しかし、現場の機能強化型在支診・在支病では、緩和ケアにとどまらず、地域の重症在宅患者への対応や医育機能まで担うケースが増えています。機能強化型在支診・在支病の実績は、加算要件を大きく上回る水準に達しています。在宅緩和ケア充実診療所・病院加算の要件は、過去1年間の緊急往診15件以上かつ看取り20件以上です。一方、中医協の調査では、この要件件数を大きく上回る緊急往診や看取りを実施している医療機関が多数確認されています。さらに機能強化型在支診・在支病の約35%が、訪問診療患者の20%以上を重症患者として受け入れています。求められる役割も、緩和ケアの枠を超えて広がっています。地域の在宅医療提供の中核として、十分な医師配置、在宅看取りの実績、重症患者への訪問診療、他の在宅医療機関への支援機能、医育機能などが求められるようになっています。このため、緩和ケアに特化した評価から、在宅医療全般の積極的役割を評価する仕組みへの転換が必要となりました。改定のポイント1:名称と施設基準の見直し加算の名称と施設基準は、在宅医療の積極的役割を反映した内容に見直されます。名称は「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」から「在宅医療充実体制加算」へ変更されます。施設基準は「在宅緩和ケアを行うにつき十分な体制」から「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療を行うにつき十分な体制」へ変更されます。名称変更は、評価対象の拡大を明確化する狙いがあります。これまでの名称は「緩和ケア」を前面に打ち出していました。新しい名称「在宅医療充実体制加算」は、緩和ケアに限定せず在宅医療全般の充実体制を評価することを示しています。この変更により、加算が緩和ケア専門の医療機関だけでなく、地域の在宅医療を幅広く支える医療機関への評価であることが明確になります。施設基準の見直しは、評価対象の重点を明示する狙いがあります。現行基準は「在宅緩和ケア」の体制と実績のみを要件としていました。新基準は「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療」を要件として明示します。この変更により、緩和ケア提供体制に加え、重症患者への対応力を備えた医療機関が評価対象として明確化されます。改定のポイント2:評価点数の大幅引き上げ評価点数は、対象となるすべての診療料・加算で引き上げられます。在宅ターミナルケア加算は1,000点から2,000点へ引き上げられます。緊急・夜間・休日・深夜往診の加算は100点から200点へ引き上げられます。在宅時医学総合管理料の加算は約2倍に引き上げられます。施設入居時等医学総合管理料の加算は約2倍に引き上げられます。在宅がん医療総合診療料の加算は150点から300点へ引き上げられます。往診料関連の点数は、ターミナルケアを中心に大きく増加します。在宅ターミナルケア加算は1,000点から2,000点へと2倍になります。緊急・夜間・休日・深夜往診加算は100点から200点へと2倍になります。看取り対応への評価が大幅に強化される内容です。在宅時医学総合管理料の点数は、患者規模ごとに約2倍へ引き上げられます。単一建物診療患者が1人の場合は400点から800点へ、2〜9人の場合は200点から400点へ、10〜19人の場合は100点から200点へ、20〜49人の場合は85点から170点へ、それ以外の場合は75点から150点へ変更されます。すべての区分で点数が倍増する形です。施設入居時等医学総合管理料の点数も、患者規模ごとに約2倍へ引き上げられます。単一建物診療患者が1人の場合は300点から600点へ、2〜9人の場合は150点から300点へ、10〜19人の場合は75点から150点へ、20〜49人の場合は63点から128点へ、それ以外の場合は56点から113点へ変更されます。在宅時医学総合管理料と同様に、すべての区分で点数が倍増する形です。在宅がん医療総合診療料の加算は、150点から300点へ引き上げられます。在宅療養実績加算1の110点、在宅療養実績加算2の75点と比較しても、新しい在宅医療充実体制加算の300点は突出した水準です。在宅がん患者の総合診療を担う医療機関への評価が、明確に強化されます。改定のポイント3:医療機関への影響と対応本改定により、機能強化型在支診・在支病における収益構造とインセンティブ設計が大きく変わります。点数が倍増することで、加算届出医療機関の収益は大幅に増加します。同時に、施設基準が「地域の重症な在宅患者への質の高い診療」へ重点を移すことで、医療機関に求められる機能の方向性が明確になります。加算届出医療機関は、点数引き上げによる収益増を見込めます。届出医療機関数は平成28年の394施設から令和6年の1,476施設まで増加し続けています。この増加傾向に加えて点数が倍増するため、対象医療機関の収益インパクトは大きくなります。経営計画上、本改定の影響を早期に試算しておくことが重要です。施設基準の変更は、医療機関の体制整備に方向性を示します。新基準では「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療」を行う体制が求められます。なお、現行の在宅緩和ケア充実診療所・病院加算で求められている詳細要件(緩和ケア研修会修了医師の配置、オピオイド系鎮痛薬投与実績等の留意事項通知レベルの基準)が、新加算でどのように取り扱われるかは、本資料では明示されていません。詳細な施設基準の通知内容は、確定次第、改めて確認が必要です。まとめ:在宅医療充実体制加算が在宅医療提供体制の中核を支える令和8年度診療報酬改定では、「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」が「在宅医療充実体制加算」へ名称変更され、施設基準と評価点数が見直されます。施設基準は「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療を行うにつき十分な体制」へ変更され、緩和ケアから在宅医療全般の積極的役割への評価へと重点が移ります。評価点数はターミナルケア加算で2倍、医学総合管理料で約2倍へと大幅に引き上げられ、機能強化型在支診・在支病の役割発揮が強く後押しされます。本改定を機に、医療機関では届出要件の確認と収益試算、地域の在宅医療提供体制における自院の役割の再整理を進めていくことが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|質の高い在宅医療・訪問看護を確保する3つの見直しを総整理
令和8年度診療報酬改定では、個別改定項目「Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保」において、訪問看護を取り巻くルールが3つの観点から大きく見直される。背景には、訪問看護の利用者拡大に伴う実施内容のばらつき、画一的な訪問や短時間訪問の濫用、退院支援時の高齢者住まい等への誘導をめぐる問題がある。本稿では、訪問看護ステーションと保険医療機関の実務担当者向けに、3つの見直しの全体像と各論のサマリーを整理する。3つの見直しは、訪問看護の「実施・運営・誘導」の3軸を一体的に再構築する内容である。第一に、適正な訪問看護の推進として、記録書の記載内容を明確化し、標準時間を下回る訪問の濫用を規制する。第二に、指定訪問看護の運営基準の見直しとして、適正手続き・健全運営・誘引禁止・誘導禁止の4規定を新設し、安全管理体制と記録整備を義務化する。第三に、療養担当規則の見直しとして、保険医療機関から訪問看護や高齢者住まい等への誘導と利益収受を禁止する規定を新設する。改定の全体像と3つの見直しの関係性「Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保」は、訪問看護の実施・運営・誘導の3層を同時に整える改定パッケージである。3つの見直しは、それぞれ訪問看護ステーションの「現場運用」「組織運営」「医療機関との関係性」に対応する。各層の規律を整合的に強化することで、在宅医療全体の透明性と質を確保する狙いがある。3つの見直しの位置づけは、3層構造で整理できる。第1層は訪問看護の現場運用に関する見直しであり、記録書の記載と短時間訪問の規制が中心となる。第2層は訪問看護ステーションの組織運営に関する見直しであり、運営基準への新規定追加と安全管理体制の確保が中心となる。第3層は保険医療機関と訪問看護等との関係性に関する見直しであり、誘導禁止規定の対象拡張が中心となる。3つの見直しの共通の目的は、健康保険事業の健全な運営の確保である。中医協の議論では、画一的な訪問や短時間訪問の濫用、高齢者住まい等への誘導といった懸念が示されてきた。あわせて、介護保険の訪問看護の収支差率が令和4年度で5.9%である一方、高齢者住まいに併設する訪問看護ステーションを運営する事業者の中には、訪問看護以外の事業を含む全社ベースの営業利益率が20%を超える例も確認されている。改定は、これらの懸念に3層から同時に対応する。① 適正な訪問看護の推進|記録書記載と実施基準の明確化第1の見直しは、訪問看護の現場運用を規律する内容で、記録書の記載要件と実施基準を明確化する。具体的には、標準時間(30分から1時間30分程度)を下回る短時間訪問の規制、看護目標及び訪問看護計画に沿った実施の徹底、利用者の状態を踏まえない一律決定の禁止、目標達成評価と実際の訪問時刻の記録という4点を通知レベルで明文化する。短時間訪問の規制は、新設される運用ルールである。同一日に同一の利用者へ複数回、又は複数の利用者に対して標準時間を下回る訪問が頻繁に行われている場合は、指定訪問看護を実施したと認めない。ただし、標準時間の訪問計画を作成した上で、利用者側のやむを得ない事情により標準時間を下回った場合は規制対象から除外される。記録要件の明確化は、改定のもう一つの柱である。訪問看護記録書には、目標達成の程度及びその効果に関する評価を記録しなければならない。訪問時刻についても、計画上の予定時刻ではなく、実際の指定訪問看護の開始時刻と終了時刻を記載することが明記される。詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。👉 令和8年度改定|訪問看護の適正化と記録書記載の明確化を解説② 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の見直し|4つの新規定と安全管理第2の見直しは、訪問看護ステーションの組織運営を規律する内容で、運営基準(平成12年厚生省令第80号)に4つの新規定を追加し、2つの既存規定を改正する。新規定では、適正手続きの確保、健康保険事業の健全な運営確保、経済上の利益による誘引禁止、特定の主治医・事業者等への誘導禁止を、第五条の二から第五条の五として義務付ける。安全管理体制の確保と記録整備の義務化は、既存規定の重要な改正点である。第二十八条第3項として、指定訪問看護に係る安全管理のための体制の確保を新たに義務付ける。第三十条では、訪問看護記録書、訪問看護指示書、訪問看護計画書、訪問看護報告書、市町村等への情報提供書、市町村等との連絡調整に関する記録の6種類を完結の日から2年間保存することを明示する。これらの改正は、療養担当規則と同様の規律を訪問看護ステーションに導入する性格を持つ。訪問看護ステーションは、保険医療機関と同等の運営規律のもとで、適正手続きとコンプライアンスを確保することが求められる。詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。👉 令和8年度改定で訪問看護の運営基準が刷新|4つの新規制と安全管理体制の義務化③ 保険医療機関及び保険医療養担当規則の見直し|誘導禁止規定の対象拡張第3の見直しは、保険医療機関と訪問看護・高齢者住まい等との関係性を規律する内容で、療養担当規則に誘導禁止規定を新設する。背景には、現行の誘導禁止規定(第二条の五)が保険薬局のみを対象としており、保険医療機関から訪問看護ステーションや高齢者住まい等への誘導には規制が及んでいなかった空白がある。新設規定は、保険医療機関が患者に対し特定の事業者等を利用すべき旨の指示等を行うことの対償として、当該事業者等から金品その他の財産上の利益を収受することを禁止する。対象となる事業者等は、指定訪問看護及び指定介護予防訪問看護、指定特定施設入居者生活介護及び指定介護予防特定施設入居者生活介護、地域密着型サービス3類型(認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)、指定居宅介護支援及び指定介護予防支援、介護保険施設の5区分である。さらに、これらの事業者と特別の関係にある事業者も対象に含まれ、迂回的な利益収受も封じられる。実務上は、退院支援や在宅移行支援の場面で、紹介行為と金銭関係を明確に切り離した運用が求められる。とくに、高齢者住まいに併設する訪問看護ステーションを系列法人で運営する場合は、患者の囲い込みと利益収受の関係が問われやすい。組織内の運用ルールと診療録への記録方法を再点検する必要がある。詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。👉 令和8年度改定で新設!療養担当規則の誘導禁止規定を徹底解説訪問看護ステーション・保険医療機関に求められる対応3つの見直しに対応するためには、訪問看護ステーションと保険医療機関がそれぞれの立場から体制整備を進める必要がある。訪問看護ステーションは、現場運用と組織運営の両面で改定対応が求められる。保険医療機関は、退院支援・在宅移行支援の場面で誘導と利益収受の関係性を整理することが求められる。訪問看護ステーションの対応は、5つの実務事項に集約される。具体的には、標準時間に基づく訪問計画の作成、看護目標及び訪問看護計画に沿った実施、利用者の状態に応じた個別対応、目標達成の評価と訪問看護記録書への記録、実際の訪問時刻の記載である。さらに、運営基準の新規定に対応するため、適正手続き・誘引禁止・誘導禁止の運用ルール整備と、安全管理体制の構築、6種類の記録整備も並行して進める必要がある。保険医療機関の対応は、誘導行為と利益収受の関係性を切り離す運用ルール作りが中心となる。退院支援や在宅移行支援の場面では、複数の選択肢を客観的な情報とともに提示し、患者の意向を尊重した紹介を行うことが基本となる。系列法人や提携先の事業者を案内する際には、紹介手数料・委託料等の名目で授受される金銭が患者紹介の対償と評価されないかを点検し、紹介経緯と判断根拠を診療録等に記録する運用を徹底する必要がある。まとめ|在宅医療の透明性と質を確保する一体改革令和8年度改定の「Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保」は、訪問看護の実施・運営・誘導の3軸を同時に整える一体改革である。訪問看護ステーションは、記録書の記載要件と運営基準の新規定への対応を計画的に進め、保険医療機関は、誘導と利益収受の関係性を整理する必要がある。これらの対応は、診療報酬の算定要件であると同時に、在宅医療全体の透明性と質を高める実務改善の機会でもある。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定で新設!療養担当規則の誘導禁止規定を徹底解説
令和8年度診療報酬改定では、保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下、療養担当規則)に新たな禁止規定が設けられます。背景には、保険医療機関から特定の訪問看護ステーションや高齢者住まい等への誘導が、社会保障費の不適切な費消を招く事例が顕在化したことがあります。現行の療養担当規則では、誘導禁止の対象が保険薬局に限定されていたため、在宅医療・訪問看護領域における新たな規律が必要となっていました。本メルマガでは、療養担当規則第二条の五の二の新設の趣旨と内容を、現場で押さえるべきポイントに絞って解説します。療養担当規則の見直しは、「健康保険事業の健全な運営の確保」を目的として、誘導禁止の対象を在宅・介護関連サービスへ拡張するものです。第一に、新設規定は、保険医療機関が特定事業者等の利用を指示する対償として金品等を収受することを禁じます。第二に、規制対象には、訪問看護、特定施設、認知症グループホーム、居宅介護支援、介護保険施設等が幅広く含まれます。第三に、上記事業者と特別の関係にある事業者も対象に含まれ、抜け道となる迂回的な利益収受も封じられます。改定の背景:在宅領域における誘導の規制空白療養担当規則の現行規定には、在宅医療・訪問看護領域における誘導禁止の空白が存在していました。第二条の五は、保険医療機関から特定の保険薬局への誘導とその対償としての利益収受を禁じる規定であり、誘導禁止の対象を保険薬局のみに限定しています。このため、保険医療機関から訪問看護ステーションや高齢者住まい等への誘導には、現行ルールが及んでいませんでした。この規制空白は、在宅医療現場における高収益構造と結びつき、看過できない問題として顕在化しました。介護保険の訪問看護の収支差率は令和4年度で5.9%ですが、高齢者住まい等に併設する訪問看護ステーションを運営する事業者の例では、営業利益率が20%を超える事業者も確認されています(ただし当該数値は訪問看護事業以外を含む全社ベースの利益率である点に留意)。また、有料老人ホームの紹介手数料についても、要介護度や医療必要度に応じて高額に設定される事例があり、社会保障費の使途として疑念を持たれる実態が報じられました。こうした問題を踏まえ、中医協は療養担当規則における誘導禁止規定の対象拡張を論点として整理しました。論点の中心は、保険医療機関から在宅・介護関連サービスへの誘導に対し、療養担当規則と同様の規律を設けるべきか否かにありました。議論の結果、健康保険事業の健全な運営の確保の観点から、新設規定の整備が必要との結論に至っています。新設規定の内容:第二条の五の二による誘導禁止新設される第二条の五の二は、保険医療機関による特定事業者等への誘導を、対償としての利益収受の側面から禁止する規定です。具体的には、保険医療機関が患者に対し特定の事業者等を利用すべき旨の指示等を行うこと、その指示等の対償として当該事業者等から金品その他の財産上の利益を収受すること、この2つが結びついた行為を禁止します。これは、現行第二条の五が定める保険薬局向けの規律と同じ構造を、在宅・介護関連サービスに拡張するものです。禁止規定の対象となる事業者等は、在宅医療・介護領域の主要サービスを広く網羅しています。対象は、指定訪問看護及び指定介護予防訪問看護、指定特定施設入居者生活介護及び指定介護予防特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護等の地域密着型サービス3類型、指定居宅介護支援及び指定介護予防支援、介護保険施設の5区分です。これらは、保険医療機関の患者が在宅・施設での療養生活へ移行する際に利用するサービスを、ほぼ網羅した範囲となります。これらの事業者と「特別の関係にある事業者」も、誘導禁止の対象に含められています。具体的には、上記5区分の事業者と併せて利用される事業者であって、当該事業者と特別の関係にある事業者が対象となります。この規定により、関連事業者を経由した迂回的な利益収受も禁止対象となる構造です。なお、本規定は高齢者の医療の確保に関する法律に基づく療養の給付等の取扱い基準についても、同様の改正が行われます。現場への影響:退院支援・在宅移行時の実務留意点新設規定の施行により、保険医療機関は退院支援や在宅移行支援の場面で、特定事業者の紹介に伴う金銭関係の整理が必須となります。退院支援では、入退院支援部門が訪問看護ステーションや介護保険施設を患者に案内する場面が日常的に発生します。この案内自体は禁止されませんが、案内の対償として事業者から金品等の財産上の利益を収受する関係があれば、新設規定に抵触します。実務上の留意点は、紹介と利益収受の関係性を切り離して運用することにあります。系列法人や提携先の事業者を案内する際には、紹介手数料・委託料・業務委託費などの名目で授受される金銭が、患者紹介の対償と評価されないかを確認する必要があります。とくに、高齢者住まいに併設する訪問看護ステーションを系列で運営する場合は、患者の囲い込みと利益収受の関係が問われやすく、組織内での運用ルールの再点検が求められます。患者の選択権を確保する仕組み作りも、現場の重要な対応事項となります。療養担当規則の趣旨は、保険医療機関の患者が、自由な意思で在宅・介護サービスを選択できる環境を守ることにあります。このため、複数の選択肢を客観的な情報とともに提示すること、患者の意向を尊重した紹介を行うこと、紹介経緯と判断根拠を診療録等に記録することが、実務上の標準対応として重要性を増します。まとめ:療養担当規則の規律拡張で在宅医療の透明性を確保令和8年度改定で新設される療養担当規則第二条の五の二は、保険医療機関から在宅・介護関連サービスへの誘導と利益収受を禁止する規定です。この見直しは、保険薬局に限定されていた現行の誘導禁止規定を、訪問看護、特定施設、認知症グループホーム、居宅介護支援、介護保険施設へと拡張するもので、特別の関係にある事業者も対象に含めることで迂回的な利益収受を封じます。保険医療機関の現場では、退院支援や在宅移行支援における紹介行為と金銭関係の整理、患者の選択権を確保する運用ルールの再点検が求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定で訪問看護の運営基準が刷新|4つの新規制と安全管理体制の義務化
令和8年度診療報酬改定では、適切な訪問看護提供体制の構築と指定訪問看護事業者の適正な手続きの確保を推進するため、運営基準の見直しが行われます。今回の見直しでは、指定訪問看護に係る安全管理に関する内容や適正な請求等について、運営基準に新たな規定を設けます。本改正は、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第80号)の改正として実施されます。今回の見直しは、運営基準への4つの新規定追加と2つの既存規定の改正で構成されます。新規定では、適正な手続きの確保、健康保険事業の健全な運営確保、経済上の利益による誘引禁止、特定の主治医・事業者等への誘導禁止を、第五条の二から第五条の五として義務付けます。既存規定では、第二十八条を改正し、安全管理体制の確保を新たに義務化します。さらに、第三十条を改正し、訪問看護記録書など6種類の記録整備を明示的に義務付けます。適正な手続きと健全な運営の確保第五条の二と第五条の三では、指定訪問看護事業者に対して、適正な手続きの実施と健康保険事業の健全な運営確保を義務付けます。これらの規定は、指定申請や訪問看護療養費の請求に関する基本的なルールを明確化するものです。第五条の二では、申請・届出等の手続きと費用請求手続きの適正化を求めます。具体的には、厚生労働大臣または地方厚生局長等への申請・届出に係る手続きを適正に行わなければなりません。さらに、訪問看護療養費に関する費用の請求も適正に行うことが求められます。この規定により、行政手続きと診療報酬請求の双方で適正性が担保されます。第五条の三では、健康保険事業の健全な運営を損なわないよう努めることを求めます。この努力義務は、指定訪問看護の提供全般に及びます。健全な運営の確保は、後述する誘引禁止規定の基礎となる原則でもあります。経済上の利益による誘引と特定事業者等への誘導の禁止第五条の四と第五条の五では、訪問看護事業者による不適切な誘引行為と誘導行為を明確に禁止します。これらの規定は、利用者の自由な選択と公正な事業運営を守るために設けられました。第五条の四では、経済上の利益の提供による誘引を2つの観点から禁止します。1つ目は、利用者本人への誘引であり、収益業務に係る物品の対価の値引きなどが該当します。2つ目は、紹介者への対価提供による誘引であり、他の事業者やその従業員への金品提供などが該当します。いずれも、健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益が対象です。第五条の五では、特定の主治医や特定の事業者等への誘導の対償として金品その他の財産上の利益を収受することを禁止します。対象となる事業者等は、指定居宅サービス事業者(特定施設入居者生活介護に限る)から指定介護予防支援事業者まで第一号から第七号として列挙された7類型です。さらに第八号では、これらの事業者等と併せて利用する事業者であって、当該事業者等と特別の関係にある事業者も対象に含まれます。これらの事業者等から、誘導の対償として財産上の利益を収受してはなりません。安全管理体制の確保と記録整備の義務化第二十八条と第三十条の改正では、安全管理体制の確保と記録整備の義務化を行います。これらの改正は、訪問看護の質と透明性を高めるための重要な見直しです。第二十八条では、事故発生時の対応に加えて、新たに第3項として安全管理体制の確保を義務付けます。具体的には、指定訪問看護事業者は、指定訪問看護に係る安全管理のための体制を確保しなければなりません。この義務化により、事故発生後の対応だけでなく、事故を未然に防ぐ体制づくりが求められます。第三十条では、整備すべき記録の種類を明示的に列挙します。具体的には、訪問看護記録書、訪問看護指示書、訪問看護計画書、訪問看護報告書、市町村等に対する情報提供書、市町村等との連絡調整に関する記録の6種類です。これらの記録は、完結の日から2年間保存しなければなりません。さらに、記録は正確かつ最新の内容を保つよう整備することも求められます。まとめ:訪問看護事業者に求められる体制整備令和8年度診療報酬改定における指定訪問看護の運営基準見直しは、適切な訪問看護提供体制の構築と適正な事業運営の確保を目的としています。具体的には、適正手続き・健全運営・誘引禁止・誘導禁止の4つの新規定により事業者のコンプライアンスを強化し、安全管理体制の確保と6種類の記録整備義務化により提供体制の透明性を高めます。指定訪問看護事業者は、これらの改正内容を正確に理解し、施行に向けた体制整備を計画的に進めることが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|訪問看護の適正化と記録書記載の明確化を解説
訪問看護は、在宅医療の中核を担うサービスとして利用者数が増加している。一方で、利用者の状態に応じない画一的な訪問や、短時間訪問の濫用、記録書の記載内容のばらつきが課題となってきた。本稿では、令和8年度診療報酬改定における「適正な訪問看護の推進」の改定内容を、訪問看護ステーションの実務担当者向けに解説する。本改定は、訪問看護の実施基準の明確化と記録書記載要件の厳格化を進める。第一に、標準時間(30分から1時間30分程度)を下回る訪問が頻繁に行われている場合は、指定訪問看護を実施したと認めない旨を明文化する。第二に、看護目標及び訪問看護計画に沿った実施を明記し、漫然かつ画一的な訪問を禁じる。第三に、利用者の状態を踏まえない一律の日数、回数、実施時間及び人数の決定を認めないことを明確化する。第四に、目標達成の評価と訪問看護記録書への記録、及び実際の訪問開始時刻と終了時刻の記載を求める。改定の背景と基本的な考え方本改定は、利用者の状態を適切に把握し、適正な訪問看護を提供するため、記録書の記載内容を明確化することを目的としている。背景には、訪問看護の利用拡大に伴う実施内容のばらつきと、画一的な訪問や短時間訪問の濫用への懸念がある。改定の方向性は、既存の人員・運営基準に立ち返り、その遵守を通知レベルで明文化する点にある。訪問看護の利用拡大は、改定の出発点である。在宅医療の推進により、訪問看護ステーションの利用者は年々増加してきた。この拡大の中で、利用者の心身の状況に十分配慮しない訪問や、評価を伴わない訪問が一部で見られるようになった。こうした状況が、本改定の必要性を後押ししている。画一的な訪問と短時間訪問の濫用は、本改定が踏み込む論点である。一律の日数や回数による訪問は、利用者ごとの状態に即した看護とは言えない。また、標準時間を下回る訪問の頻繁な実施は、診療報酬の趣旨に反する運用である。本改定は、通知において具体的な禁止事項を示すことで、こうした懸念に対応する。標準時間を下回る訪問の規制本改定により、標準時間を下回る訪問の頻繁な実施に対する規制が通知に明文化される。訪問看護基本療養費(Ⅰ)及び(Ⅱ)の標準時間は、1回の訪問につき30分から1時間30分程度である。標準時間を下回る訪問が頻繁に行われている場合は、指定訪問看護を実施したとは認められない。本規制は、短時間訪問の濫用を防ぐ趣旨である。標準時間の位置づけは、改定の前提である。訪問看護基本療養費(Ⅰ)及び(Ⅱ)では、1回の訪問につき30分から1時間30分程度が標準時間とされている。この標準時間自体は、現行通知から変更されていない。改定で追加されるのは、標準時間を下回る訪問への取扱いに関する留意事項である。頻繁な短時間訪問の規制は、新設される運用ルールである。具体的には、同一日に同一の利用者に複数回、又は複数の利用者に対し、標準時間を下回る訪問が頻繁に行われている場合が対象となる。これらのケースでは、指定訪問看護を実施したとは認められない。ただし、標準時間の訪問計画を作成し、訪問時の利用者側のやむを得ない事情により標準時間を下回った場合は、規制の対象から除外される。訪問看護実施における基本原則の明確化本改定により、訪問看護の実施に関する2つの基本原則が通知に明記される。1つ目は、看護目標及び訪問看護計画に沿った実施の徹底である。2つ目は、利用者の状態を踏まえない一律の決定の禁止である。両原則ともに、既存の運営基準を実務レベルで具体化したものである。看護目標及び訪問看護計画に沿った実施は、第1の原則である。実施にあたっては、利用者の心身の状況等に応じて妥当適切に行うことが求められる。妥当適切な実施とは、漫然かつ画一的なものにならない訪問を意味する。この原則の根拠は、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第80号)第14条第1項にある。利用者の状態を踏まえない一律の決定の禁止は、第2の原則である。一律の決定とは、利用者の心身の状況等を考慮せずに、訪問看護の日数、回数、実施時間及び人数(指定訪問看護の日数等)を定めることを指す。さらに、定期的な指定訪問看護を実施していない者が指定訪問看護の日数等を定めることも認められない。この禁止事項により、計画と実施の連動性が担保される。記録・評価に関する具体的要件本改定により、訪問看護の記録と評価に関する2つの要件が新設・明確化される。1つ目は、目標達成の評価と訪問看護記録書への記録である。2つ目は、実際の訪問開始時刻と終了時刻の記載である。両要件ともに、提供されたサービスの妥当性を客観的に検証する仕組みを目指す。目標達成の評価と記録は、新設される要件である。指定訪問看護の提供にあたっては、目標達成の程度及びその効果等について評価を行わなければならない。評価に関する内容は、訪問看護記録書に記録することが求められる。評価結果に応じて、訪問看護計画書の見直しと改善も努力義務として位置づけられる。実際の訪問開始時刻と終了時刻の記載は、明確化される要件である。従来の通知では「開始時刻及び終了時刻」とのみ記載されていた。改定後は「実際の指定訪問看護の開始時刻及び終了時刻」と明記される。この明確化により、計画上の予定時刻ではなく、実績時刻の記録が必須であることが示される。訪問看護ステーションが取り組むべき実務対応本改定への実務対応は、訪問計画・実施運用・記録の3点を整えることに集約される。第一に、標準時間に基づく訪問計画を作成し、計画に沿った実施を徹底する。第二に、利用者ごとの状態に応じて訪問条件を決定する運用ルールを徹底する。第三に、訪問看護記録書において評価内容と実際の訪問時刻を記載する。訪問計画の整備は、第1の対応事項である。計画には、標準時間(30分から1時間30分程度)に基づく訪問時間を設定する必要がある。計画には、利用者の心身の状況に基づく看護目標も具体的に記載する。これにより、短時間訪問の濫用を防ぎ、後続の評価と計画見直しが実効性を持つ。実施運用の整備は、第2の対応事項である。訪問の日数、回数、実施時間及び人数は、利用者の状態を踏まえて個別に決定しなければならない。定期的な指定訪問看護を実施していない者が訪問条件を定めることは認められない。この運用ルールを組織全体で共有することが、改定対応の鍵となる。訪問看護記録書の整備は、第3の対応事項である。記録書には、毎回の訪問内容に加え、目標達成の程度や効果に関する評価を記載する。訪問時刻については、計画上の時刻ではなく、実際の開始時刻と終了時刻を記録する。これらの記載は、算定要件を満たすための必須事項である。まとめ令和8年度改定は、適正な訪問看護の推進に向け、実施基準の明確化と記録要件の厳格化を進める。訪問看護ステーションは、標準時間に基づく訪問計画の作成、看護目標及び訪問看護計画に沿った実施、利用者の状態に応じた個別対応、目標達成の評価と記録、実際の訪問時刻の記載という5点を確実に整える必要がある。これらの対応は、診療報酬の算定要件であると同時に、訪問看護の質を高める実務改善の機会でもある。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】大病院の逆紹介推進を3本柱で解説|減算見直し・新加算・情報提供料
令和8年度診療報酬改定では、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携の一環として、大病院の外来機能分化が改めて大きな論点となった。特定機能病院等の再診患者には、地域のかかりつけ医師が診療可能な傷病の患者が一定含まれている実態がある一方で、減算規定の対象患者は極めて限られており、逆紹介の取組も医療機関によってばらつきがある。本記事は、令和8年度改定における「Ⅱ-4-1 大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携による大病院の外来患者の逆紹介の推進」の3つの改定項目を、1ページで俯瞰できるよう整理することを目的とする。Ⅱ-4-1は、「①初診料及び外来診療料における紹介・逆紹介割合に基づく減算規定の見直し」「②特定機能病院等からの紹介を受けて行う初診に対する評価の新設」「③連携強化診療情報提供料の見直し」の3項目で構成される。第1項目では、逆紹介割合の基準が引き上げられ、減算対象患者に頻回再診患者が追加される。第2項目では、特定機能病院等から紹介を受けた診療所または許可病床数200床未満の病院の初診を新たに評価する加算が新設される。第3項目では、算定対象医療機関の拡大、共同治療管理の合意に基づく算定要件の追加、算定回数の3月に1回への統一という3点の見直しが行われる。これら3項目は、大病院側への規律付けと地域側への評価付与、医療機関間の情報共有の評価拡充を組み合わせ、紹介・逆紹介の双方向の流れを報酬面から後押しするものである。① 初診料及び外来診療料における紹介・逆紹介割合に基づく減算規定の見直し第1項目の見直しは、紹介状なし受診患者等に係る初診料・外来診療料の減算規定について、逆紹介割合の基準引き上げと減算対象患者の拡大を行うものである。対象となる大病院の責任を重くし、地域医療機関への患者紹介(逆紹介)を一層推進する狙いがある。逆紹介割合の基準は、対象医療機関の種別ごとに引き上げられる。特定機能病院・地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関では30‰未満から50‰未満へ、許可病床400床以上の病院では20‰未満から40‰未満へと、いずれも厳格化される。いずれの医療機関種別でも、紹介割合の基準自体(50%未満・40%未満)は変更されない。減算対象患者には、「当該病院において過去1年間に12回以上外来診療料を算定した患者」が新たに加えられる。従来は、他院への文書による紹介の申出にもかかわらず受診を続けた患者のみが対象であった。今回の見直しでは、頻回に再診を受ける患者も機能分担の観点から減算対象に含められる。ただし、遠隔連携診療料または連携強化診療情報提供料を算定している患者、緊急その他やむを得ない事情がある患者、他院への紹介が困難と医師が認めた患者は、減算対象から除外される。経過措置として、1年間の猶予期間が設けられる。令和8年3月31日時点で現行の逆紹介割合基準を満たしていた病院は、令和9年3月31日までの間、新基準を満たすものとみなされる。詳細はこちらの記事をご覧ください。👉 【令和8年度改定】初診料・外来診療料の減算規定を見直し|逆紹介割合基準の引き上げと対象患者の拡大② 特定機能病院等からの紹介を受けて行う初診に対する評価の新設第2項目の見直しは、「特定機能病院等紹介患者受入加算」を新設し、大病院からの紹介を受け入れる地域側の医療機関を報酬面で直接評価するものである。従来は大病院側に減算規定を設けて逆紹介を促す仕組みが中心であったが、今回は受入側にもインセンティブを付与することで、双方向から外来機能分化を後押しする。新設される加算は、初診料の所定点数に60点を加算する評価である。算定対象施設は、診療所または許可病床数200床未満の病院に限られる。許可病床数が200床以上の病院は、たとえ特定機能病院等から紹介を受けても本加算を算定できない。紹介元として認められるのは、4種類の大病院である。具体的には、特定機能病院、地域医療支援病院、紹介受診重点医療機関、許可病床400床以上の病院の4種類が該当する。特定機能病院以外の3種類については、いずれも一般病床200床未満の施設が紹介元から除外される点に留意が必要である。算定の場面は、上記の紹介元から紹介を受けて初診を行ったときに限られる。大病院の外来機能分化と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携を推進する改定項目の一つとして位置付けられる。詳細はこちらの記事をご覧ください。👉 大病院からの逆紹介を後押し!新設「特定機能病院等紹介患者受入加算」のポイント③ 連携強化診療情報提供料の見直し第3項目の見直しは、連携強化診療情報提供料について、算定対象医療機関の拡大、共同治療管理の合意に基づく算定要件の追加、算定回数の3月に1回への統一という3点の改定を行うものである。従来は算定対象となる医療機関の組み合わせが限定的であり、現場の連携実態を十分に反映できていなかった。今回の見直しでは、「2人主治医制」に代表される双方向の情報共有を報酬面から支援する仕組みへと再整備される。算定対象医療機関は、特定機能病院等から、許可病床数200床未満の病院および診療所等まで拡大される。紹介の方向性についても、現行の「紹介された患者」のみから、「紹介され、又は他の保険医療機関へ紹介した患者」へと拡大される。これにより、紹介元と紹介先のいずれの医療機関でも診療情報提供料を算定でき、大病院から地域のかかりつけ医機能を担う医療機関への逆紹介の場面でも算定が可能となる。算定要件には、共同治療管理の合意に基づく情報提供が追加される。従来の「他の保険医療機関からの求めに応じた情報提供」に加えて、病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が共同で継続的に治療管理を行うことに合意し、当該合意に基づく紹介であることを確認したうえで情報提供を行った場合にも、算定が認められる。個別の求めがなくても、事前の合意に基づく継続的な情報提供を評価できる枠組みへと拡張される。算定回数は、患者1人につき3月に1回に統一される。現行制度では、注1から注4(基本ルール、外来機能報告対象病院等、その他の施設基準を満たす医療機関、指定難病・てんかん患者)が月1回、注5(妊娠中の患者)が3月に1回と区分されていたが、改定後はすべての算定区分で3月に1回となる。継続的な治療管理の実態に即した、合理的な算定機会の設定といえる。詳細はこちらの記事をご覧ください。👉 連携強化診療情報提供料の見直し|令和8年度改定の3つのポイントまとめ令和8年度診療報酬改定のⅡ-4-1は、大病院の外来機能分化を「減算規定」「新設加算」「情報提供料」という3つの報酬ツールから推進する構造をとる。減算規定の見直しでは、逆紹介割合の基準引き上げと頻回再診患者の対象化により、大病院側の逆紹介責任が強化される。特定機能病院等紹介患者受入加算の新設では、紹介を受ける診療所・許可病床数200床未満の病院が初診60点で直接評価される。連携強化診療情報提供料の見直しでは、算定対象の双方向化と共同治療管理の合意に基づく算定要件の追加により、病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が共同で継続的に治療管理を行う取組が支援される。対象となる医療機関は、経過措置期間や届出要件の確認を行いつつ、自院の立ち位置に応じた連携戦略を計画的に組み立てることが求められる。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
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