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2025-12-07 05:38

【令和8年度改定】薬局の評価体系が大きく変わる|調剤基本料・地域支援体制加算の見直し4つのポイント

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中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第631回)において、調剤報酬の見直しに関する議論が行われました。「患者のための薬局ビジョン」策定から10年が経過したものの、処方箋集中率85%以上の薬局割合はむしろ増加しており、門前薬局から地域薬局への移行が進んでいません。この現状を踏まえ、医薬品提供拠点としての薬局の評価体系の見直しが検討されています。

今回の議論では、調剤報酬簡素化、調剤基本料関係、地域支援体制加算関係、在宅薬学総合体制加算関係の4つの領域で論点が示されました。調剤基本料については収益状況を踏まえた見直しが、地域支援体制加算・在宅薬学総合体制加算については都市部とそれ以外の地域における届出状況の差を踏まえた実績要件の見直しが、それぞれ検討されています。

調剤報酬簡素化|複雑化した体系の整理

調剤報酬体系の複雑化が課題として指摘されており、簡素化の検討が求められています。

令和6年度改定の答申書附帯意見では、診療報酬体系が複雑化していること、医療DXの推進において簡素化が求められていることを踏まえ、患者をはじめとする関係者にとって分かりやすい診療報酬体系となるよう検討することとされました。現行の調剤報酬では、服薬管理指導料と在宅患者訪問薬剤管理指導料で類似の加算が設けられているなど、体系が複雑になっています。例えば、重複投薬・相互作用等防止加算は調剤管理料に、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は在宅薬剤管理に、それぞれ別の項目として設定されています。

このような複雑な体系は、患者にとって分かりにくいだけでなく、薬局の事務負担増加にもつながっています。今後の改定では、類似の評価項目の整理・統合が議論される可能性があります。

調剤基本料関係|門前薬局・医療モールの適正化と敷地内薬局の取り扱い

調剤基本料については、収益状況を踏まえた評価の見直しと、処方箋集中率の算出方法の適正化が主な論点です。

医療経済実態調査の結果によると、調剤基本料2を算定する薬局と医療モール内の薬局の損益率が他の分類より高いことが明らかになりました。特に、処方箋集中率85%以上かつ月当たり処方箋受付回数2,000回以下で調剤基本料1を算定している薬局は、備蓄品目数が少ないにもかかわらず、令和6年度改定後も損益率が微増しています。特別区の薬局では改定後に損益率・損益差額がいずれも増加しており、地域による収益格差が生じています。

処方箋集中率の計算方法についても問題が指摘されています。門前薬局であるにもかかわらず、意図的に遠方の高齢者施設等の入居者の処方箋を受け入れることで処方箋集中率を下げ、より点数の高い調剤基本料を算定するケースが存在します。また、医療機関が3つ以上存在する医療モールでは、上位3医療機関の合計集中率70%という基準を下回りやすく、現行の算定要件では適切に評価できていません。

一方、敷地内薬局(特別調剤基本料A)については、令和6年度改定後に損益率・損益差額がマイナスに転じました。ただし、へき地等における自治体開設診療所の敷地内薬局については、地域医療を維持するために必要な存在であるケースもあり、一律の適用が適切かどうか検討が必要とされています。

地域支援体制加算関係|都市部とそれ以外の届出格差への対応

地域支援体制加算については、都市部とそれ以外の地域における届出状況の差を踏まえた実績要件の見直しが論点です。

特別区や政令指定都市以外の地域では、地域支援体制加算の届出割合が低い傾向にあります。特に医療資源の少ない地域では、患者数が少ないため、実績要件の基準が高い地域支援体制加算3・4の届出割合が特に低くなっています。現行の実績要件は処方箋1万枚当たりの年間回数で設定されているため、処方箋受付回数が少ない薬局では要件を満たすことが困難です。

地域支援につながる施設基準として、薬局の面積要件やセルフメディケーション関連機器の設置も検討されています。備蓄品目数は平成22年度の500品目から現在は1,200品目に引き上げられており、備蓄のために必要なスペースは約2.4倍になりました。在宅患者への医薬品提供のための無菌調製設備(クリーンベンチ等)やバイオ後続品の保管に用いる保冷庫を設置する場合には、より大きな面積が求められます。

在宅薬学総合体制加算関係|地域の実情に応じた実績要件の検討

在宅薬学総合体制加算についても、都市部とそれ以外の地域における届出状況の差が課題です。

特別区・政令指定都市と比較して、それ以外の地域にある薬局では在宅薬学総合体制加算の届出が少ない傾向があります。在宅薬学総合体制加算1では在宅薬剤管理の実績24回以上/年、加算2ではさらにかかりつけ薬剤師指導料等の算定回数24回以上/年が求められます。患者数が少ない地域では、これらの実績要件を満たすことが難しい状況です。

常勤薬剤師数と在宅関連業務の実施状況にも関連があることが示されています。夜間・休日の処方箋応需や小児特定加算を算定する調剤の実施など、在宅に関連するレセプト対応は、常勤薬剤師数が多いほど取り組まれている傾向があります。しかし、現在の在宅薬学総合体制加算には常勤薬剤師数に係る要件がなく、地域の実情を踏まえた要件設定が検討されています。

まとめ

中医協では、医薬品提供拠点としての薬局の評価体系について、4つの領域で見直しの議論が進められています。調剤報酬簡素化では複雑な体系の整理が、調剤基本料関係では門前薬局・医療モールの適正化と敷地内薬局の取り扱いが、地域支援体制加算・在宅薬学総合体制加算関係では都市部とそれ以外の地域における届出格差への対応が、それぞれ主な論点です。

薬局ビジョンが目指す「門前からかかりつけ、そして地域へ」という方向性を実現するため、立地に依存した経営から地域医療に貢献する薬局への転換を促す評価体系への見直しが検討されています。薬局経営者は、これらの議論の動向を注視しながら、地域支援体制や在宅業務の充実に向けた準備を進めることが重要です。



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サマリー

2026年に予定されている薬局の評価体系の見直しは、地域貢献の評価とその報酬の仕組みを根本的に変えることを目指しています。特に地域支援体制加算の条件に関する課題が浮き彫りになり、地方の薬局が苦しんでいる状況が指摘されています。

薬局の評価体系の見直し
はい、こんにちは。今回はですね、2026年に予定されている薬局のまあ大きなルール変更についてと、いただいた資料をもとにちょっと深盛りしていきましょうか。
国が10年前にまあ目指した理想がありますよね。いつでも相談できる地域のかかりつけ薬局っていう。でも現実は今も病院の目の前にある、いわゆる門前薬局がすごく元気で、このギャップがどうして埋まらないのか。
その答えがどうやら全部お金、つまり報酬のルールにあるということみたいなんです。今日はそのルールブックの矛盾を一つずつ解き明かしていければなと。
えーそうなんです。そのギャップはあのかなり深刻でして、まあ資料によるとですね、ビジョンができて10年経つのに特定の病院の処方箋に頼る薬局の割合っていうのが減るどころがむしろ増えてるっていうデータがあるんです。
えーと、増えてるんですか。
そうなんですよ。つまり国がこうなってほしいって思ってる方向と、現場で実際に起きていることの間にすごく大きなズレがあるってことなんですよね。で、今回の話っていうのはその根本原因であるお金の仕組みにいよいよ本格的に手を入れるぞっていう、そういうことなんです。
なるほど。その仕組みの中心にあるのが懲罪基本料ですね。これはいわば薬局が処方箋を1枚受け付けるごとにもらえる、まあ基本料金みたいなものっていう理解であってますか。
はい、その通りです。その薬局がどんなリッチでどれだけ多くの医療機関から処方箋を受け付けているかとか、そういうので金額が変わる、本当に薬局経営の根幹になる報酬ですね。
それで、資料を読んでて正直これありなのって思ったのが、一部の門前薬局が使ってるっていう裏技の話なんですけど、より高い報酬をもらうためにわざと遠くの高齢者施設の処方箋を大量に集めてくるっていう、で、うちは特定の病院だけに頼ってませんよって見せかけるケースがあると。これってかなり巧妙なやり方ですよね。
はい、まさに精度の穴をついた典型例と言えますね。本来、この処方箋集中率が低いっていうのは、特定の病院に依存しないで地域のいろいろなクリニックから処方箋を受けていると。つまり地域医療に広く貢献している証として評価されるはずだったんです。
ええ、でもその計算方法が結果的にこういう抜け道を生んでしまったわけです。あと、医療モール内の薬局も、形式上は複数のクリニックから受けてるんで、簡単に基準をクリアできて収益性が高くなる。これも精度が意図した評価と実態がまあ駆け離れちゃってる例ですね。
ああ、その抜け穴の話、すごく面白いですね。つまり、ルールをハックすれば稼げてしまうみたいな。でも資料を読み進めると、逆に真面目に地域貢献しようとしている地方の薬局が、そのルールに苦しめられてるっていう、また別の問題が見えてきますよね。
地域貢献の課題
まさに、そこがまた大きな問題でして、特に地域支援体制加算という、まあ在宅医療への訪問とか、そういう地域貢献を評価する仕組みがあるんですが、これが大きな課題を抱えてるんです。
その加算の条件が処方箋1万枚あたりの実績回数で決まるってこれ本当ですか?
そうなんです。
えっと、ちょっと待ってください。ということは、そもそも患者さんが少なくて、処方箋が集まりにくい地方の薬局ほど、地域貢献が評価されにくい仕組みになってる?
それってどう考えても逆じゃないですか?なんか根本的な設計ミスな気がしますけど。
おっしゃる通りで、構造的な矛盾なんですね。で、この矛盾のせいで、地方だと薬剤師さんが在宅医療に力を入れたくても、採算が合わないからって断念するケースが出てきちゃうんです。
結果、本当にサポートが必要な例えば過疎地のお年寄りなんかに医療サービスが届きにくくなる。制度が意図とは全く逆の結果を招いてしまっているんです。
なるほど。今のルールは、意図せずして都市部の薬局に有利に働いて、地方の薬局にはむしろ不利になってしまっている可能性があると。
しかも、そもそも報酬の項目が多すぎて複雑すぎるっていう指摘もありますよね。これじゃ患者さんからは何にお金を払ってるのか分かりにくいし、薬局側の事務作業もなんか大変そうです。
その通りです。だからこそ今回の見直しでは、評価項目の整理とか統合による簡素化を大きな柱の一つになってるんですね。
全体の方向性としては、単にどこにあるかっていう立地への評価から、地域のために何をしているかっていうその機能への評価へと評価の軸を大きく変えようとしているということです。
さて、ここまで見てきたように、今回の見直しは単なる薬局の経営問題じゃなくて、私たち自身が受ける医療サービスの質、これそのものに関わる大きな転換点になりそうですね。
目指すのは、薬局が薬薬をもらうだけの墓所じゃなくて、あなたの健康を地域で支える拠点になること。そのための、言ってみればルールブックの大きな書き換えが今まさに議論されているわけですね。
最後にあなたにも一つちょっと考えてみていただきたい問いがあるんです。今回の議論って報酬っていう経済的なインセンティブを変えることにすごく焦点が当てられていますよね。
でも本当に薬局が地域に不可欠な存在になるために、制度の変更だけで果たして十分なんでしょうか。
それとも薬剤師さん自身の意識改革とか、あるいは私たち患者側が薬局に何を期待するのか、その役割についての考え方自体も同時に変わっていく必要があるんでしょうかね。
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