人を尊重して話を聞かせていただく「アクティブリスニング」エバンジェリスト『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』著者赤羽雄二氏公認|『アクションリーディング』読書会開催|仲間と一緒に成長できる「親子のクオリティタイム」「最速ロールプレイング」「A4メモ書き」などのグループ運営|株式会社miiboのmiibo Designer|一般社団法人 遠隔健康医療相談適正推進機構 正会員
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【令和8年度改定】人口減少地域の医療確保と救急体制強化の方向性|中医協第631回総会
令和7年11月28日に中央社会保険医療協議会総会(第631回)が開催され、令和8年度診療報酬改定に向けた個別事項(その10)として「人口・医療資源の少ない地域」「救急医療」「業務の簡素化」の3テーマが議論されました。人口減少と医師の高齢化が進む地域での医療提供体制の維持が喫緊の課題となる中、オンライン診療の活用や医療機関間の連携強化が検討されています。今回の議論では、主に3つの方向性が示されました。第一に、医療資源の少ない地域の対象範囲を見直すとともに、小規模二次医療圏における外来診療確保のための新たな評価の検討です。第二に、救急外来における体制評価の充実と救急患者連携搬送料の運用改善です。第三に、施設基準届出のオンライン化推進と計画書等の署名省略による業務負担軽減です。人口・医療資源の少ない地域における医療提供体制人口・医療資源の少ない地域では、診療所数の減少と医師の高齢化が深刻化しています。中医協では、対象地域の見直しと小規模二次医療圏への支援強化を軸に検討が進められています。人口規模が小さい二次医療圏においては、2012年から2022年にかけて診療所数が減少傾向にあり、従事する医師の高齢化も進んでいます。全二次医療圏の人口平均値は約28.2万人、中央値は約22.3万人であり、人口密度が全国平均以下の二次医療圏は194医療圏に上ります。医療資源の少ない地域の要件については、令和5年医療施設静態調査等を用いた見直しシミュレーションが行われました。その結果、現在該当する37医療圏のうち32医療圏が引き続き該当し、7医療圏が新たに該当する一方、5医療圏が除外となります。これにより、令和8年度改定では対象が39医療圏となる見込みです。除外される医療圏の医療機関については、運営の安定性を担保する観点から、経過措置期間の延長が検討されています。小規模な二次医療圏における外来診療体制の確保に向けて、3層構造の支援イメージが示されました。第1層は過疎地域等に所在する「へき地診療所等」で、巡回診療や医師派遣、D to P with N・D to P with Dを含むオンライン診療を活用して基礎的な医療を提供します。第2層は「へき地診療所等への支援を実施する病院」で、地域の救急患者や入院患者を受け入れながら、オンライン診療を含む巡回診療や医師派遣を行います。第3層は「拠点的機能を有する病院」で、急性期の拠点機能を担いながら地域全体への医師派遣を調整します。オンライン診療の活用については、へき地医療拠点病院358施設のうち83施設が情報通信機器を用いた診療の届出を行っています。オンライン診療による巡回診療を実施した医療機関は7施設にとどまりますが、実施した巡回診療のほとんどをオンライン診療で行っている先進事例も存在します。D to P with Nは看護師の同席により検査・処置の実施や患者状況の把握が可能となる利点があり、今後の評価のあり方について議論が求められています。救急医療体制の充実と連携強化救急医療については、過去最多となった救急搬送件数への対応と、救急外来における体制評価の充実が主な検討課題となっています。令和6年中の救急自動車による救急出動件数と搬送人員は、昭和38年の集計開始以降で最多となりました。年齢区分別では高齢者の搬送が増加しており、現場到着所要時間および病院収容所要時間は新型コロナウイルス感染症発生以降大幅に延長し、令和5年においても以前の水準には戻っていません。救急患者連携搬送料については、令和6年度改定で新設されたものの、課題が指摘されています。算定患者が多い医療機関がある一方で、ほとんどの医療機関では実際に搬送・受入を行った患者数は少数にとどまっています。また、急性疾患に対する治療を終了し、必ずしも緊急自動車等による搬送が必要でない可能性のある患者が一定程度含まれていることも判明しました。総務省消防庁では、病院救急車や患者等搬送事業者の活用による転院搬送体制の整備が検討されています。救急外来応需体制に対する評価として、夜間休日救急搬送医学管理料と院内トリアージ実施料があります。夜間休日救急搬送医学管理料の算定回数は令和2年以降増加傾向にあり、令和6年には月間約15.6万回に達しています。高次の救急医療機関ほど、地域の救急医療に関する取組への参加割合や24時間検査体制を有する割合が高い傾向にあります。救急外来における体制については、専用の区画を有し、救急患者に対応できる医師・看護師・薬剤師等を配置し、24時間検体検査・画像検査・処方等を実施できる体制の評価が検討されています。現行では、救急外来従事者の配置や地域救急医療への取組参加について直接的な評価がないことから、体制の充実に向けた議論が進められています。業務の簡素化による負担軽減業務の簡素化については、診療に係る業務と届出に係る業務の2つの観点から検討が進められています。医療機関の事務負担軽減と医療従事者の働き方改革を推進する観点から、様式の見直しや電子化が主要な論点となっています。診療に係る業務で簡素化の必要性があるものについて調査を行ったところ、施設として最も多かったのは「計画書作成」(44.2%)で、次いで「DPCデータ(様式1)の作成」(38.2%)でした。病棟では「計画書作成」に次いで「患者や家族等による署名・記名押印」が多く挙げられました。入院診療計画書については、法令上は短期間で退院が見込まれる場合は作成不要とされていますが、診療報酬上は全患者に作成を求めています。規制改革推進に関する答申では、医療機関等の負担軽減の観点から、診療報酬上の書面について署名または記名・押印を不要とすることの可否検討が求められており、代替方法で担保できるものは廃止する方向で議論されています。届出に係る業務については、施設基準等届出のオンライン化が段階的に進められています。令和4年4月から開始され、令和7年度中に326件の届出についてオンライン化が実施予定であり、令和10年度の全届出オンライン化を目指して改修が進んでいます。様式9については、記載にあたって参考にすべき注意事項が多く、看護要員等の算出における小数点以下の処理方法が項目によって異なるなど、作成が煩雑であるとの指摘があります。注意事項の記載整理や小数点以下の処理の統一等の見直しが検討されています。毎年の報告様式についても、他に代替方法がないものや次期改定に必要なものに限定し、添付書類を省略するなどの簡素化が検討されています。妥結率等にかかる報告書では大部な添付書類が必要とされており、医療機関等の負担軽減が求められています。まとめ:令和8年度改定に向けた方向性令和8年度診療報酬改定に向けて、人口減少地域における医療提供体制の維持、救急医療体制の充実、医療機関の業務負担軽減の3つの方向性が示されました。人口・医療資源の少ない地域については、対象地域の見直しに加え、小規模二次医療圏における外来診療確保のための新たな評価体系の構築が検討されています。救急医療については、救急外来における体制評価の充実と救急患者連携搬送の運用改善が課題となっています。業務の簡素化については、施設基準届出のオンライン化推進と計画書等の署名省略による負担軽減が進められる見通しです。今後の中医協総会における議論の進展に注目が必要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】薬局の無菌製剤処理加算とポイント付与規制の2つの論点を解説
中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第631回)において、令和8年度診療報酬改定に向けた調剤に関する議論が行われました。今回の資料では、薬剤調製料の無菌製剤処理加算と、患者誘引につながるポイント付与・配送料無料の問題が取り上げられています。この資料では、2つの論点が示されました。第一の論点は、無菌製剤処理加算の対象年齢を6歳未満から15歳未満へ拡大するかどうかです。第二の論点は、ポイント付与や配送料無料の広告による患者誘引への対策をどう講じるかです。いずれも令和8年度改定に向けて、今後の議論が注目されます。無菌製剤処理加算の対象年齢拡大が論点に無菌製剤処理加算について、現行では6歳未満の乳幼児のみが加点対象ですが、6歳以上15歳未満の小児への拡大が検討されています。この背景には、小児に対する注射薬の調製において、年齢や体重に応じた投与量調整が必要となる実態があります。現行の無菌製剤処理加算は、乳幼児への無菌調製を評価する仕組みです。乳幼児では、乳幼児用の製剤がないことや体内動態が成人と異なることから、個々の患者に応じた無菌調製が必要となります。この調製を評価するため、通常は中心静脈栄養法用輸液で1日につき69点、抗悪性腫瘍剤で79点、麻薬で69点が加算されます。6歳未満の乳幼児の場合は、それぞれ137点、147点、137点と約2倍の点数が設定されています。しかし、医薬品の添付文書では「小児」は7歳以上15歳未満の児を指すとされています。15歳未満の患者に対する注射薬の調製においても、体重ごとに投与量調整が必要となることが多いのが実態です。たとえば、静脈経腸栄養ガイドラインによると、7〜12歳では60〜75kcal/kg/day、12〜15歳では40〜60kcal/kg/dayと、成人とは異なるエネルギー投与量が必要となります。こうした状況を踏まえ、中医協では「6歳以上の小児の薬剤調製の実情に鑑み、無菌製剤処理加算に加点する患者対象年齢の範囲について、どのように考えるか」という論点が示されました。ポイント付与と配送料無料による患者誘引が問題視患者誘引につながるポイント付与や配送料無料の問題について、中医協で対策が議論されています。調剤報酬は中医協での議論を経て公定されており、ポイントのような付加価値を付与することは医療保険制度上ふさわしくないとされています。ポイント付与については、平成29年の事務連絡で指導対象となる行為が明確化されています。指導対象となるのは、ポイントを用いて調剤一部負担金を減額すること、調剤一部負担金の1%を超えてポイントを付与すること、ポイント付与について建物外の看板やテレビCMなどで大々的に宣伝することの3つです。また、処方箋ネット受付を利用した「トンネルを通じた経済的利益の提供」も問題視されています。具体的には、処方箋受付サイトを通じて調剤を求めた患者にアンケート回答後の謝礼としてギフトカードを提供するケースです。アンケート謝礼という名目であっても、薬局が支払う手数料が原資となっている以上、患者への経済上の利益の提供にあたるおそれがあります。配送料無料の問題も同様の観点から指摘されています。令和7年度の薬局業務実態調査によると、1,133薬局のうち58薬局が患者希望により配送料無料で薬剤を配送しています。このうち22.4%がHP等で配送料無料であることを周知していました。HP等で宣伝した上で患者希望により薬剤を配送した場合、患者への経済上の利益の提供にあたるおそれがあります。薬担規則に基づく規制の枠組みこれらの患者誘引行為は、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(薬担規則)で禁止されています。薬担規則第二条の三の二では、健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならないと定められています。中医協委員からは、郵送料無料などの取扱いについて令和8年度改定の議論で取り上げるよう要望が出されました。患者が保険薬局を選択する際には、薬局が親切丁寧に調剤を担当し、薬剤師が調剤・薬学的管理・服薬指導の質を高めることが本旨であるべきとの考えが示されています。一方で、欠品等の薬局都合による配送については患者誘引に該当しないと考えられています。調査では、薬局都合で配送料無料としている薬局が720件あり、これはHP等での宣伝を伴っていないため問題とはされていません。まとめ令和8年度診療報酬改定に向けて、無菌製剤処理加算の対象年齢拡大と患者誘引対策の2つが論点として示されました。無菌製剤処理加算については、15歳未満の小児への投与量調整の実態を踏まえた対象年齢の見直しが検討されます。患者誘引対策については、ポイント付与や配送料無料の広告に対する規制強化の方向性が議論されています。薬局経営者は、今後の中医協での議論の動向に注視する必要があります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】調剤報酬の対人業務見直し3つの論点|調剤管理料・吸入指導・かかりつけ薬剤師
中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第631回)において、調剤報酬における対人業務の見直しが議論されました。令和8年度診療報酬改定に向け、薬局薬剤師の対人業務を適正に評価する観点から、調剤管理料関係、服薬管理指導関係、かかりつけ薬剤師関係の3分野で論点が提示されています。今回の議論では、調剤管理料の日数による点数区分の見直し、インフルエンザ等急性疾患に対する吸入薬指導の評価、かかりつけ薬剤師指導料のノルマ問題への対応が主要な検討事項となりました。本記事では、これら3つの論点について、現状の課題と今後の方向性を解説します。調剤管理料関係:日数区分と加算の見直し調剤管理料関係では、処方日数に応じた点数区分の妥当性、調剤管理加算のポリファーマシー対策との整合性、重複投薬・相互作用等防止加算の再評価という3つの論点が示されました。調剤管理料の日数区分については、令和4年度改定で調剤料が廃止された際、対人業務を評価する薬学管理料として新設されました。現行の点数は、7日分以下が4点、8日分以上14日分以下が28点、15日分以上28日分以下が50点、29日分以上が60点と設定されています。この日数区分は、旧調剤料の激変緩和措置として引き継がれたものですが、支払側からは「基本は一律点数が望ましい」との意見が出されています。調剤管理加算については、ポリファーマシー対策に逆行する可能性が指摘されています。この加算は、複数の医療機関から6種類以上の内服薬が処方された患者に対する薬学的分析を評価するものです。令和4年度改定時にも同様の懸念が示され、初めて薬局に来た患者や処方変更の患者に限定する措置が取られました。今後、さらなる見直しが検討される見込みです。重複投薬・相互作用等防止加算については、医療DXの進展に伴う再評価が求められています。オンライン資格確認の普及により、重複投薬や禁忌薬剤の使用が機械的にチェックできる環境が整いつつあります。その一方で、検出された問題について薬学的に判断し、医師に疑義照会を行う業務は依然として薬剤師の専門的判断を要します。単なる情報収集ではなく、疑義照会の要否判断や処方変更に至った専門的業務をどう評価するかが論点となっています。服薬管理指導関係:吸入指導とフォローアップの評価服薬管理指導関係では、吸入薬指導加算の対象拡大と、調剤後フォローアップ業務の評価が論点となりました。吸入管理指導加算の対象拡大については、インフルエンザ等の急性疾患への適用が検討されています。現行の吸入管理指導加算は、喘息やCOPDなどの慢性疾患に対する吸入薬指導を評価するものです。しかし、インフルエンザ吸入薬の指導にも同程度の時間を要することが調査で明らかになりました。さらに、感染症対策として個室を整備すること、患者の目の前で実際に吸入させて服用を確認すること、薬剤師自身の曝露リスクへの対応など、急性疾患特有の負担があります。これらの労力に対する評価が現状では存在しないため、見直しが求められています。調剤後フォローアップ業務については、副作用検出率の向上効果を踏まえた評価が検討されています。調査によると、患者フォローアップ未実施の場合の副作用検出率は3.36%であるのに対し、フォローアップ実施群では5.37〜6.95%と有意に上昇しています。患者側の評価も、フォローアップを受けた患者の97.8%が「よかった」と回答しています。その理由として「服薬後の症状や体調の経過に問題ないことを確認してもらい安心できた」が最も多く挙げられました。こうしたエビデンスを踏まえ、フォローアップ業務に対する調剤報酬上の評価のあり方が議論されています。かかりつけ薬剤師関係:患者選択の確保とノルマ問題かかりつけ薬剤師関係では、かかりつけ薬剤師指導料の算定に関するノルマ問題と、患者が主体的に選択できる仕組みへの転換が論点となりました。かかりつけ薬剤師指導料のノルマ問題については、深刻な実態が明らかになっています。調査によると、業務ノルマを課している薬局の約半数で、かかりつけ薬剤師指導料の算定回数や同意件数にノルマが設けられていました。患者からは「初めて会ったような薬剤師から同意を求められた」「薬局に行くたびに同意を求められるので苦痛」といった声が寄せられています。かかりつけ薬剤師は本来、患者の意思により選択されるべきものであり、現行の仕組みが患者本位の制度設計になっていない点が問題視されています。かかりつけ薬剤師機能の推進については、「患者のための薬局ビジョン」の目標達成状況も議論されました。2025年を目標年次として全ての薬局がかかりつけ薬局となることが掲げられていましたが、「かかりつけ機能が実際に発揮されているか、対物業務から対人業務へのシフトが進んだかについては、十分に達成されたとは感じられない」との厳しい評価が示されています。かかりつけ薬剤師指導料を算定していない理由についても調査が行われました。かかりつけ薬剤師業務を実施しているにもかかわらず算定していない薬剤師のうち、「従来よりかかりつけ薬剤師指導を実施しており、患者に上乗せの料金を請求できないため」との回答が一定数ありました。制度創設前から同様の業務を行っていた薬剤師にとって、追加料金を患者に請求することへの抵抗感があることがうかがえます。まとめ:対人業務の適正評価に向けて今回の中医協総会では、薬局薬剤師の対人業務を適正に評価するための論点が整理されました。調剤管理料の日数区分の見直し、急性疾患に対する吸入薬指導の評価、フォローアップ業務の評価充実、かかりつけ薬剤師制度の患者本位への転換という4つの方向性が示されています。令和8年度診療報酬改定に向け、これらの論点について引き続き議論が進められる見込みです。薬局経営者および薬剤師の皆様におかれては、今後の議論の動向を注視しつつ、対人業務の質的向上に取り組まれることをお勧めいたします。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】薬局の評価体系が大きく変わる|調剤基本料・地域支援体制加算の見直し4つのポイント
中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第631回)において、調剤報酬の見直しに関する議論が行われました。「患者のための薬局ビジョン」策定から10年が経過したものの、処方箋集中率85%以上の薬局割合はむしろ増加しており、門前薬局から地域薬局への移行が進んでいません。この現状を踏まえ、医薬品提供拠点としての薬局の評価体系の見直しが検討されています。今回の議論では、調剤報酬簡素化、調剤基本料関係、地域支援体制加算関係、在宅薬学総合体制加算関係の4つの領域で論点が示されました。調剤基本料については収益状況を踏まえた見直しが、地域支援体制加算・在宅薬学総合体制加算については都市部とそれ以外の地域における届出状況の差を踏まえた実績要件の見直しが、それぞれ検討されています。調剤報酬簡素化|複雑化した体系の整理調剤報酬体系の複雑化が課題として指摘されており、簡素化の検討が求められています。令和6年度改定の答申書附帯意見では、診療報酬体系が複雑化していること、医療DXの推進において簡素化が求められていることを踏まえ、患者をはじめとする関係者にとって分かりやすい診療報酬体系となるよう検討することとされました。現行の調剤報酬では、服薬管理指導料と在宅患者訪問薬剤管理指導料で類似の加算が設けられているなど、体系が複雑になっています。例えば、重複投薬・相互作用等防止加算は調剤管理料に、在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料は在宅薬剤管理に、それぞれ別の項目として設定されています。このような複雑な体系は、患者にとって分かりにくいだけでなく、薬局の事務負担増加にもつながっています。今後の改定では、類似の評価項目の整理・統合が議論される可能性があります。調剤基本料関係|門前薬局・医療モールの適正化と敷地内薬局の取り扱い調剤基本料については、収益状況を踏まえた評価の見直しと、処方箋集中率の算出方法の適正化が主な論点です。医療経済実態調査の結果によると、調剤基本料2を算定する薬局と医療モール内の薬局の損益率が他の分類より高いことが明らかになりました。特に、処方箋集中率85%以上かつ月当たり処方箋受付回数2,000回以下で調剤基本料1を算定している薬局は、備蓄品目数が少ないにもかかわらず、令和6年度改定後も損益率が微増しています。特別区の薬局では改定後に損益率・損益差額がいずれも増加しており、地域による収益格差が生じています。処方箋集中率の計算方法についても問題が指摘されています。門前薬局であるにもかかわらず、意図的に遠方の高齢者施設等の入居者の処方箋を受け入れることで処方箋集中率を下げ、より点数の高い調剤基本料を算定するケースが存在します。また、医療機関が3つ以上存在する医療モールでは、上位3医療機関の合計集中率70%という基準を下回りやすく、現行の算定要件では適切に評価できていません。一方、敷地内薬局(特別調剤基本料A)については、令和6年度改定後に損益率・損益差額がマイナスに転じました。ただし、へき地等における自治体開設診療所の敷地内薬局については、地域医療を維持するために必要な存在であるケースもあり、一律の適用が適切かどうか検討が必要とされています。地域支援体制加算関係|都市部とそれ以外の届出格差への対応地域支援体制加算については、都市部とそれ以外の地域における届出状況の差を踏まえた実績要件の見直しが論点です。特別区や政令指定都市以外の地域では、地域支援体制加算の届出割合が低い傾向にあります。特に医療資源の少ない地域では、患者数が少ないため、実績要件の基準が高い地域支援体制加算3・4の届出割合が特に低くなっています。現行の実績要件は処方箋1万枚当たりの年間回数で設定されているため、処方箋受付回数が少ない薬局では要件を満たすことが困難です。地域支援につながる施設基準として、薬局の面積要件やセルフメディケーション関連機器の設置も検討されています。備蓄品目数は平成22年度の500品目から現在は1,200品目に引き上げられており、備蓄のために必要なスペースは約2.4倍になりました。在宅患者への医薬品提供のための無菌調製設備(クリーンベンチ等)やバイオ後続品の保管に用いる保冷庫を設置する場合には、より大きな面積が求められます。在宅薬学総合体制加算関係|地域の実情に応じた実績要件の検討在宅薬学総合体制加算についても、都市部とそれ以外の地域における届出状況の差が課題です。特別区・政令指定都市と比較して、それ以外の地域にある薬局では在宅薬学総合体制加算の届出が少ない傾向があります。在宅薬学総合体制加算1では在宅薬剤管理の実績24回以上/年、加算2ではさらにかかりつけ薬剤師指導料等の算定回数24回以上/年が求められます。患者数が少ない地域では、これらの実績要件を満たすことが難しい状況です。常勤薬剤師数と在宅関連業務の実施状況にも関連があることが示されています。夜間・休日の処方箋応需や小児特定加算を算定する調剤の実施など、在宅に関連するレセプト対応は、常勤薬剤師数が多いほど取り組まれている傾向があります。しかし、現在の在宅薬学総合体制加算には常勤薬剤師数に係る要件がなく、地域の実情を踏まえた要件設定が検討されています。まとめ中医協では、医薬品提供拠点としての薬局の評価体系について、4つの領域で見直しの議論が進められています。調剤報酬簡素化では複雑な体系の整理が、調剤基本料関係では門前薬局・医療モールの適正化と敷地内薬局の取り扱いが、地域支援体制加算・在宅薬学総合体制加算関係では都市部とそれ以外の地域における届出格差への対応が、それぞれ主な論点です。薬局ビジョンが目指す「門前からかかりつけ、そして地域へ」という方向性を実現するため、立地に依存した経営から地域医療に貢献する薬局への転換を促す評価体系への見直しが検討されています。薬局経営者は、これらの議論の動向を注視しながら、地域支援体制や在宅業務の充実に向けた準備を進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
薬局ビジョン10年の現実|門前薬局はなぜ増え続けるのか
2015年に策定された「患者のための薬局ビジョン」は、すべての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つことを目指しました。しかし、ビジョン策定から10年が経過した現在、門前薬局や医療モール型薬局の設立が続いています。中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第631回)では、薬局のあり方について議論が行われました。中医協の資料によると、処方箋集中率が高い薬局の割合はむしろ増加しています。85%以上の集中率を持つ薬局は2015年の32.5%から2024年には39.3%へと上昇しました。また、薬局・薬剤師の偏在により、地方での医薬品提供体制の脆弱化と、都市部での小規模薬局の乱立という二極化が進んでいます。薬局ビジョンが掲げた目標と現状のギャップ2015年10月に公表された「患者のための薬局ビジョン」は、「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」への転換を掲げました。このビジョンでは、2025年までにすべての薬局がかかりつけ薬局の機能を持つこと、2035年までに立地も地域へ移行することを目標としています。かかりつけ薬剤師・薬局に求められる基本機能は3つあります。第一に、ICTを活用した服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導です。第二に、24時間対応・在宅対応の体制整備です。第三に、医療機関をはじめとする関係機関との連携です。これらの基本機能に加えて、健康サポート薬局として健康サポート機能を発揮すること、専門機関と連携した高度薬学管理機能を持つことも期待されています。しかし、ビジョン策定後の10年間で、目標に向けた進展は限定的でした。2016年の診療報酬改定で「かかりつけ薬剤師指導料」が新設され、その後の改定でも対物業務から対人業務への転換が図られてきました。それにもかかわらず、多くの薬局は依然として立地に依存した経営を続けています。処方箋集中率の推移が示す課題処方箋集中率が高い薬局、いわゆる門前薬局の割合は増加傾向にあります。厚生局届出データによると、処方箋集中率95%以上の薬局は2015年の14.0%から2024年には17.3%へと増加しました。同様に、85%以上の薬局も32.5%から39.3%へと上昇しています。この増加傾向は、診療報酬改定による政策誘導が十分に機能していないことを示しています。対物業務から対人業務への切り替えを進めてきたにもかかわらず、特定の医療機関からの処方箋を集中的に受け付ける薬局のビジネスモデルは変わっていません。さらに、薬局が医療モールを経営する事例も出てきており、立地依存型の経営がむしろ強化されている面があります。薬局・薬剤師の偏在がもたらす問題薬局・薬剤師の地域偏在は、地方と都市部の双方で異なる課題を生じさせています。地方・過疎地域では薬局・薬剤師の不足が深刻です。都市部では小規模薬局の乱立が問題となっています。地方・過疎地域における課題は、医薬品提供体制の維持困難です。服薬指導や在宅サービスへのニーズに応えることが難しくなっています。薬剤師1人または薬局1つが欠けるだけでも地域全体に及ぼす影響が大きく、医療提供体制が脆弱化しています。都市部における課題は、小規模乱立による非効率化です。十分な機能を有さない薬局の設置が増え、薬局1つあたりの処方箋枚数が減少しています。医薬品の配送効率も低下し、流通に負荷をかけています。過剰な流通在庫は、供給不安発生時に医薬品不足を助長する要因にもなります。患者が薬局を近さのみで選ぶ傾向が強まり、薬歴の一元化が成立しにくい状況も生まれています。まとめ薬局ビジョン策定から10年が経過しましたが、「立地から機能へ」の転換は進んでいません。処方箋集中率が高い薬局の割合はむしろ増加し、薬局・薬剤師の偏在による課題も顕在化しています。令和6年改定後の中医協における付帯意見では、地域の医薬品供給拠点としての役割を担い、かかりつけ機能を発揮して地域医療に貢献する薬局の整備を進めるため、調剤報酬のあり方について引き続き検討することが示されています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【中医協報告】令和7年度消費税補てん状況|診療所・歯科で補てん不足が継続
令和7年11月28日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第631回)において、「医療機関等における消費税負担に関する分科会」から消費税補てん状況の報告がありました。この報告は、令和8年度診療報酬改定に向けた重要な基礎資料となります。本記事では、報告内容のポイントを医療機関種別ごとに解説します。今回の調査結果では、病院全体の補てん率が104.9%と100%を超過した一方、一般診療所は93.5%、歯科診療所は90.1%と補てん不足が継続しています。開設者別でみると、一般診療所の医療法人・その他が87.4%と最も低い補てん率となっています。物価上昇による課税経費の増加が医療機関経営に影響を与えていることが明らかになりました。補てん状況把握の目的と方法今回の調査は、令和元年10月に実施された消費税率10%引き上げに伴う診療報酬による補てん(5%→10%部分)の状況を把握するために実施されました。調査の目的は、消費税負担と診療報酬による補てんのバランスを確認し、令和8年度改定における対応を検討することです。調査対象は、第25回医療経済実態調査に回答した医療機関等です。収入面では、NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)から抽出した消費税上乗せ項目の算定回数に上乗せ点数を乗じて算出しています。支出面では、医療経済実態調査の課税経費データを使用しています。補てん率の算出方法は、収入のうち診療報酬本体へ上乗せされた消費税分(A)を、支出のうち課税経費の消費税相当額(B)で除した値(A/B)です。補てん率が100%を超えていれば補てん過剰、100%未満であれば補てん不足となります。医療機関種別ごとの補てん状況令和6年度の全体結果をみると、医科全体の補てん率は101.5%でした。この数値は医療機関種別によって大きく異なります。病院全体の補てん率は104.9%であり、消費税負担を上回る補てんがなされています。病院種別では、精神科病院が109.7%と最も高く、一般病院が105.5%、特定機能病院が101.2%と続きます。一方、こども病院は90.3%と100%を大きく下回っており、病院種別中で最も補てん不足の状態にあります。一般診療所の補てん率は93.5%であり、前年度の96.8%から低下しました。開設者別にみると、個人開設は115.9%と補てん過剰ですが、医療法人・その他は87.4%と大幅な補てん不足となっています。この87.4%という数値は、今回調査した全区分の中で最も低い補てん率です。歯科診療所の補てん率は90.1%で、医療機関種別全体でみると最も低い水準です。前年度の96.6%から大きく低下しており、物価上昇の影響を強く受けていることがうかがえます。開設者別では、個人が93.6%、医療法人・その他が85.3%となっています。保険薬局の補てん率は103.7%であり、100%を超過しています。ただし、前年度の107.5%からは低下傾向にあります。DPC病院と非DPC病院の違い病院の補てん状況は、DPC対象病院か否かによっても異なります。DPC病院(一般病院)の補てん率は99.2%であり、ほぼ100%に近い水準です。特定機能病院(DPC)は101.2%と若干の補てん過剰ですが、こども病院(DPC)は90.3%と補てん不足が顕著です。こども病院は高度な専門医療を提供するため、課税経費が高くなる傾向にあることが要因と考えられます。非DPC病院では、一般病院が111.9%、精神科病院が109.7%と、いずれも補てん過剰の状態にあります。非DPC病院は規模が小さい傾向にあり、初・再診料や入院基本料の算定比率が高いことが、補てん過剰の要因となっています。令和5年度と比較すると、DPC病院(一般病院)は100.3%から99.2%へ、こども病院は98.2%から90.3%へと、いずれも補てん率が低下しています。これは物価上昇により課税経費が増加したことを反映しています。令和8年度改定に向けた論点今回の報告では、令和8年度診療報酬改定に向けたいくつかの論点が示されています。第一に、消費税率は令和元年10月以降変わっていない一方、診療報酬改定を重ねてきていることです。令和元年以降、令和2年度に+0.55%、令和4年度に+0.43%、令和6年度に+0.88%のプラス改定が行われており、消費税上乗せ項目の一部も改定されています。第二に、物価上昇により課税経費が増加していることです。特に医療材料費、食材料費、光熱水費等の高騰が医療機関経営に大きな影響を与えています。補てん率の低下は、この物価上昇を反映したものと考えられます。第三に、医療機関種別や開設者別によって補てん状況に大きな差があることです。一般診療所の医療法人・その他は87.4%、歯科診療所の医療法人・その他は85.3%、こども病院は90.3%と、補てん不足の医療機関への対応が課題となっています。まとめ令和7年度の消費税補てん状況把握結果は、病院全体では補てん過剰である一方、一般診療所・歯科診療所・こども病院では補てん不足が継続していることを示しました。特に法人開設の医療機関で補てん不足が顕著であり、一般診療所の医療法人・その他(87.4%)、歯科診療所の医療法人・その他(85.3%)は深刻な状況にあります。物価上昇により課税経費が増加する中、令和8年度診療報酬改定においては、補てん状況の医療機関種別間・開設者別のバラつきをどのように評価し対応するかが重要な論点となります。今後の中医協での議論の動向に注目が必要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
医療機関のDX化推進へ新たな支援枠組みを検討|厚労省が方向性案を提示
令和7年11月27日に開催された第205回社会保障審議会医療保険部会において、厚生労働省医政局から「業務効率化・職場環境改善の更なる推進に関する方向性について(案)」が示されました。2040年に向けて医療従事者の確保がますます困難となる中、医療界全体での業務効率化を実効あるものとするため、国は制度的対応を含む新たな施策の方向性を検討しています。なお、本資料は同年11月25日の第121回社会保障審議会医療部会でも提示されたものです。今回示された方向性案は、大きく2つの柱で構成されています。第1の柱は「医療機関の業務のDX化の推進」です。この柱では、国・自治体による支援等として6項目、医療機関の責務の明確化として1項目が検討事項として挙げられています。第2の柱は「タスク・シフト/シェアの推進等、医療従事者の養成体制の確保、医療従事者確保に資する環境整備等」です。以下、各項目の内容を解説します。医療機関の業務DX化推進に向けた国・自治体による支援等(6項目)厚生労働省は、業務DX化に取り組む医療機関の裾野を広げるため、6つの支援策の方向性を提案しています。いずれも「〜してはどうか」という検討段階の提案です。第1に、多くの医療機関を支援する新たな枠組みの創設が提案されています。従来の試行的・先進的な取組への支援だけでなく、業務のDX化に取り組む多くの医療機関を対象とした支援体制を構築することが検討されています。DX化の効果発現には一定期間を要するため、継続的な支援の在り方も論点となっています。第2に、統一的な基準によるデータ収集の実施が提案されています。DX化を推進するにあたり、効果等のエビデンスを蓄積することが重要とされています。具体的には、労働時間の変化、医療の質や安全の確保、経営状況に与える影響等に関する必要なデータを収集することが検討されています。第3に、診療報酬上求める基準の柔軟化が提案されています。上記のエビデンスの蓄積を行いながら、業務の効率化を図る場合における基準の見直しを検討するとされています。第4に、適正価格での機器・サービス導入を支援する仕組みの構築が提案されています。医療機関が製品やサービスの価格・機能・効果を客観的に把握できる環境を整備することが検討されています。第5に、都道府県の医療勤務環境改善支援センターの体制拡充・機能強化が提案されています。業務効率化や職場環境改善に取り組む医療機関への伴走支援を強化することが検討されています。第6に、計画的に取り組む病院の公的認定制度の創設が提案されています。業務効率化・職場環境改善に積極的に取り組むことが、医療従事者の職場定着にプラスとなり、労働市場における医療従事者の確保の面でより有利になるよう、対外的にも発信できる仕組みを整えることが検討されています。医療機関の責務の明確化国・自治体による支援等に加え、医療機関の責務についても見直しが検討されています。現行制度では、病院又は診療所の管理者は、医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に取り組む措置を講ずるよう努めることとなっています。今後は、これらに加え「業務効率化」にも取り組むよう努めることとしてはどうか、と提案されています。タスク・シフト/シェアの推進と医療従事者養成体制の確保第2の柱として、タスク・シフト/シェアの推進と医療従事者の養成体制確保に関する方向性が示されています。タスク・シフト/シェアについては、医療機関における取組がさらに定着するよう、国等の支援を受けて業務のDX化に取り組む際には、併せてタスク・シフト/シェアの実施や業務プロセス自体の見直しを進めることとしてはどうか、と提案されています。医療従事者の養成体制については、地域において医療関係職種を安定的に確保できるよう検討を進めることが提案されています。具体的には、各地域の人口減少の推移や今後の地域医療構想等を踏まえた各医療関係職種の需給状況を見通しつつ、遠隔授業の実施やサテライト化の活用などをはじめ、地域における安定的な養成体制を確保するため国・都道府県等が取り組むべき事項について検討を進めることとされています。医療関係職種の魅力向上に向けた3つの対応医療水準を維持しつつ、より少ない人員でも必要な医療が提供できる体制、また医療関係職種が意欲・能力やライフコースに合わせた働き方・キャリアの選択が可能となる体制を構築するため、3つの対応が提案されています。これらは、若者・社会人にとって医療関係職種がより魅力あるものとなることを目指しています。第1に、養成課程への参入しやすさの向上が挙げられています。医療関係職種の各資格間において現在でも可能となっている既修単位の履修免除の活用や、養成に係る修業年限の柔軟化など、若者・社会人にとっても参入しやすい養成課程となるよう、まずは課題等を把握し、各職種の状況に応じた支援の在り方を検討することとされています。第2に、キャリア・スキル向上等への支援が挙げられています。意欲・能力やライフコースに合わせて、更なるキャリア・スキルの向上を目指す者や、育児・介護等の事情を抱えて働く者への支援、そうした者が地域や職場でより能力を発揮できる環境整備やセカンドキャリアとして働く上でのマネジメントに関するリカレント教育等の在り方について、具体的に検討を進めることとされています。第3に、歯科衛生士・歯科技工士の業務範囲等の見直しが挙げられています。歯科衛生士・歯科技工士の業務範囲や、歯科技工の場所の在り方については、現在進めているそれぞれの業務のあり方等に関する検討会において具体的に検討を進めることとされています。まとめ今回示された方向性案は、「医療機関の業務のDX化の推進」と「タスク・シフト/シェアの推進等、医療従事者の養成体制の確保、医療従事者確保に資する環境整備等」という2つの柱で構成されています。DX化については、新たな支援枠組みの創設、エビデンス蓄積のためのデータ収集、診療報酬基準の柔軟化、適正価格での導入支援、伴走支援の強化、公的認定制度の創設という6項目の支援策が検討されています。また、医療機関の責務として業務効率化を追加することも提案されています。これらはいずれも検討段階の提案であり、今後の審議会等での議論を経て具体化される見込みです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度】国民健康保険料の賦課限度額1万円引き上げを提案|110万円へ
令和7年11月27日に開催された第205回社会保障審議会医療保険部会において、令和8年度の国民健康保険料(税)の賦課限度額の見直しが議論されました。高齢化に伴う医療費増加を背景に、中間所得層の負担に配慮しながら、高所得層により多くの負担を求める方向性が提案されています。この記事では、賦課限度額引き上げの仕組みと令和8年度の改定案を解説します。令和8年度の賦課限度額については、医療分(基礎賦課分)で1万円引き上げ、合計110万円とする案が示されました。この引き上げにより、賦課限度額超過世帯割合の増加を抑制できます。また、中間所得層の保険料負担の伸びを軽減する効果が期待されます。賦課限度額とは何か賦課限度額とは、国民健康保険料(税)の年間上限額のことです。この制度は、保険料負担の公平性と被保険者の納付意欲のバランスを取るために設けられています。国民健康保険制度では、保険料負担は負担能力に応じた公平なものである必要があります。しかし、受益との関連において、被保険者の納付意欲に与える影響や、制度の円滑な運営を確保する観点から、保険料負担に一定の上限を設けています。令和7年度の賦課限度額は合計109万円で、内訳は医療分92万円(基礎賦課額66万円+後期高齢者支援金賦課額26万円)と介護分17万円です。賦課限度額の引き上げは、中間所得層の負担軽減に直結します。医療給付費等が増加する中で、保険料率の引き上げのみで必要な保険料収入を確保した場合、高所得層の負担は変わらず、中間所得層の負担が重くなります。一方、賦課限度額を引き上げれば、高所得層により多く負担していただくことで、中間所得層に配慮した保険料設定が可能となります。賦課限度額引き上げの基本方針賦課限度額の引き上げは、法律に基づき毎年度検討されています。被用者保険とのバランスを考慮しながら、段階的な引き上げが行われてきました。この引き上げの根拠は、社会保障改革プログラム法(平成25年法律第112号)と社会保障制度改革国民会議報告書(平成25年8月)にあります。これらを踏まえ、毎年度、事務レベルワーキンググループや医療保険部会での議論を経て、国保保険料(税)の賦課限度額の引き上げが行われています。引き上げの際には、3つの観点が考慮されます。第一に、被用者保険におけるルールとのバランスです。被用者保険では、最高等級の標準報酬月額に該当する被保険者の割合が0.5%から1.5%の間となるよう法定されています。このため、国保においても将来的に賦課限度額超過世帯割合が1.5%に近づくように段階的に引き上げる方針が取られています。第二に、医療の基礎賦課分、後期高齢者支援金分、介護納付金分の超過世帯割合が前年と比較して増加しているか、それぞれにばらつきが見られるかを基準として引き上げ幅が設定されます。第三に、過去の実績として、過去20年間で最大の引き上げ幅は4万円となっています。令和8年度の改定案令和8年度は、医療分の基礎賦課分を1万円引き上げ、合計110万円とする案が提示されました。介護納付金分は据え置きとなります。具体的な改定内容は以下のとおりです。医療分(計)は92万円から93万円へ1万円引き上げられます。このうち、基礎賦課分は66万円から67万円へ1万円引き上げ、後期高齢者支援金等賦課分は26万円で据え置きです。介護納付金賦課分も17万円で据え置きとなり、合計は109万円から110万円へ1万円引き上げられます。この改定の背景には、限度額超過世帯割合のバランス調整があります。令和8年度においては、限度額(合計額)の超過世帯割合が引き上げ前で1.45%となる一方、基礎賦課分の超過世帯割合が1.7%を超えています。令和7年度と比較した超過世帯割合の増加をできるだけ抑えるとともに、区分間のバランスを整える観点から、基礎賦課分の1万円引き上げが提案されました。なお、子ども・子育て支援納付金分については、令和8年度から新設される予定です。この納付金分の限度額は、令和8年度予算編成過程で決定される納付金総額を踏まえた上で、被用者保険におけるルールとのバランスを考慮し、超過世帯割合が概ね0.5から1.5%の間となるように決定されます。収入別の保険料への影響令和8年度の改定は、中間所得層と高所得層で異なる影響をもたらします。中間所得層では保険料上昇を抑制し、高所得層では限度額到達により負担増となります。年収400万円世帯の保険料への影響は次のとおりです。賦課限度額を引き上げた場合、合計保険料は33万8千円となり、前年度比で5.7%の増加です。一方、据え置きの場合は33万9千円で5.9%の増加となります。この差は、引き上げにより中間所得層の保険料の伸びが抑えられることを示しています。限度額該当世帯(高所得世帯)への影響も確認します。引き上げ後の合計保険料は110万円となり、前年度比で0.9%の増加です。据え置きの場合は109万円で増減なしとなります。高所得世帯が追加で1万円を負担することで、中間所得層の負担軽減が実現します。賦課限度額に達する収入水準についても把握しておく必要があります。令和8年度に医療分(93万円)に達する収入は、給与収入・年金収入ともに約1,170万円、所得換算で約980万円です。この水準を超える世帯が限度額の適用を受けることになります。まとめ令和8年度の国民健康保険料の賦課限度額については、医療分(基礎賦課分)で1万円引き上げ、合計110万円とする案が医療保険部会で議論されました。この改定案は、中間所得層の保険料負担の伸びを抑制しながら、高所得層に応分の負担を求めるものです。賦課限度額超過世帯割合のバランス調整も図られています。今後、子ども・子育て支援納付金分の限度額設定も含め、令和8年度予算編成過程で最終決定される予定です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【速報】医療費適正化計画に腰痛症への鎮痛薬処方が追加|プレガバリンの適正使用とは
2025年11月27日に開催された第205回社会保障審議会医療保険部会において、第4期医療費適正化計画における医療資源の効果的・効率的な活用が議論されました。本稿では、新たに「効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療」に追加される腰痛症へのプレガバリン処方と、今後の対応方針について解説します。今回の議論では、神経障害性疼痛を除く腰痛症に対するプレガバリン処方が、抗菌薬処方に続いて適正化の対象に追加される方針が示されました。この追加により、都道府県ごとの医療費見込みの推計式にプレガバリンの薬剤費が組み込まれます。また、厚生労働省は研究班と連携して「効果が乏しい医療」の探索を継続し、医療技術評価分科会で学会等からの提案募集を行う方針です。第4期医療費適正化計画における医療資源活用の枠組み第4期医療費適正化計画(2024〜2029年度)では、医療資源の効果的・効率的な活用が重要な柱として位置づけられています。この枠組みでは、2種類の医療が適正化の対象となっています。1つ目は「効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療」です。この代表例として、急性気道感染症・急性下痢症に対する抗菌薬処方があります。2つ目は「医療資源の投入量に地域差がある医療」です。白内障手術や化学療法の外来での実施状況、リフィル処方箋がこれに該当します。白内障手術については、OECDにより多くの国で90%以上が外来で実施されている一方、日本での外来実施割合は全国平均54%にとどまり、都道府県ごとに実施状況が様々であることが指摘されています(第165回医療保険部会資料より)。腰痛症に対するプレガバリン処方の追加今回新たに追加されるのは、腰痛症(神経障害性疼痛を除く)に対するプレガバリン(商品名:リリカ錠)の処方です。プレガバリンは本来、神経障害性疼痛や線維筋痛症に伴う疼痛を適応とする薬剤であり、薬理作用はカルシウムチャネルα2δ遮断薬です。神経障害性疼痛では有効なケースもありますが、非神経障害性腰痛では効果が限定的であることが先行研究で指摘されています。この追加は、国内の診療ガイドラインとも整合しています。腰痛診療ガイドライン2019では、急性腰痛および慢性腰痛に対するCaチャネルα2δリガンドについて質の高い論文は存在しなかったとされています。また、有害事象に対するメタアナリシスでは、Caチャネルα2δリガンドはプラセボと比較して有意に頻度が高いことが示されています。プレガバリンの添付文書においても、効能・効果は神経障害性疼痛と線維筋痛症に伴う疼痛に限定されています。重要な基本的注意として、めまいや傾眠、意識消失等があらわれる可能性があり、自動車事故に至った例もあることから、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意することが記載されています。適正化計画基本方針への具体的な追記内容今回の見直しにより、医療費適正化計画の基本方針には以下の内容が追記されます。急性気道感染症・急性下痢症に対する抗菌薬処方に加えて、神経障害性疼痛を除く腰痛症患者に対するプレガバリン処方が「効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療」として明記されます。医療費見込みの推計式にも変更が加わります。従来の抗菌薬処方や白内障手術・化学療法の外来実施に関する推計式に、腰痛に対するプレガバリン処方の薬剤費が追加されます。具体的な推計式は、都道府県ごとに「当該県の令和元年度の腰痛に対するプレガバリン処方の薬剤費÷当該県の令和元年度の入院外医療費(÷2)×当該県の令和11年度の入院外医療費(推計)」となっています。基本方針では留意点も示されています。個別の診療行為としては医師の判断に基づき必要な場合があることに留意しつつ、地域ごとに関係者が実情を把握し、医療資源の効果的・効率的な活用に向けた検討を進めることが重要とされています。今後の対応方針と診療報酬への影響厚生労働省は、研究班等と連携して「効果が乏しい医療」の探索を継続する方針を示しています。厚労科研「レセプト情報・特定健診等情報を用いた医療保健事業・施策等のエビデンス構築等に資する研究」等において、先行研究の調査やNDBを活用した実態分析が進められています。先行研究の収集に加えて、医療技術評価分科会での取り組みも予定されています。令和8年度診療報酬改定の次の改定に向けた対応として、医療技術の評価の一環で学会等から提案を広く募集することになりました。国内の関連学会に取り扱いを照会し、診療報酬上の留意事項通知や疑義解釈との整合を確認した上で、整合性等があることを確認できたものは医療費適正化計画へ記載され、関係学会調整後に中央社会保険医療協議会で診療報酬上の取扱について個別に議論される見込みです。医療保険部会(2025年9月18日、9月26日、10月2日開催分)では、低価値・無価値医療への対応についてさまざまな意見が出されています。費用対効果や経済性を考慮した医薬品の使用促進や、治療や薬剤の臨床上の有効性を適切に評価する制度設計の重要性が指摘されています。まとめ第4期医療費適正化計画において、神経障害性疼痛を除く腰痛症に対するプレガバリン処方が「効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療」に追加される方針が示されました。この追加は、国内の腰痛診療ガイドライン2019やプレガバリン添付文書との整合性を確認した上で行われるものです。厚生労働省は来年度以降も研究班と連携して適正化対象の探索を継続し、医療技術評価分科会での学会からの提案募集も進める方針です。医療現場においては、エビデンスに基づく処方の重要性が改めて求められることになります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【2026年度実施】OTC類似薬の自己負担見直しと国保改革の3つの柱を解説
令和7年11月27日、第205回社会保障審議会医療保険部会が開催されました。本部会では、骨太方針2025および三党合意を踏まえ、医療保険制度の持続可能性確保に向けた具体的な制度設計が議論されています。本稿では、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しと国民健康保険制度の取組強化という2つの重要テーマについて解説します。今回の議論では、OTC類似薬について保険給付を維持しつつ別途負担を求める方向での検討が進められています。国民健康保険制度については、子どもの均等割保険料軽減を高校生年代まで拡充することや、保険料水準統一の加速化、保険者努力支援制度へのマイナス指標導入が提案されています。これらの改革は令和8年度からの実施を目指しており、医療機関経営や患者負担に大きな影響を与える可能性があります。OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しOTC類似薬の保険給付見直しは、現役世代の保険料負担軽減と医療保険制度の持続可能性確保を目的としています。骨太方針2025では、2025年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現可能なものについて2026年度から実行するとされました。本節では、費用負担の在り方、配慮が必要な者の範囲、対象となるOTC類似薬の範囲という3つの論点について整理します。費用負担の在り方については、薬剤そのものを保険給付の対象外とはしない前提で検討が進められています。医療保険部会での議論では、OTC医薬品への変更や保険適用除外とした場合、患者の自己負担がかなり増えるケースがあるとの指摘がありました。このため、保険の枠内に置きつつ、選定療養のような形で別途負担を求める仕組みが検討されています。患者団体からも、OTC類似薬については保険適用とした上で患者負担を変更する方法が弊害が少ないとの意見が出されました。配慮が必要な者の範囲については、新たな負担を求めない対象として複数の類型が論点として提示されています。子どもについては、成人年齢が18歳以上であることやこども医療費助成制度の普及を踏まえ、18歳以下の者を配慮対象とすることが検討されています。また、医療費に着目して公的な支援を受けている方、長期にOTC類似薬の利用を必要とする方、入院患者についても配慮が必要とされています。患者団体ヒアリングでは、がん患者や難病患者、アレルギー疾患患者など、OTC類似薬を日常的・長期的に使用する方への経済的負担増大への懸念が示されました。OTC類似薬の範囲については、医療用医薬品とOTC医薬品の同等性をどう判断するかが課題となっています。成分が一致していても、用法・用量、効能・効果、対象年齢、投与経路、剤形など様々な違いがあり、単純に保険適用から外すことは難しいとの意見があります。一方で、OTC医薬品を購入する方との公平性や医療保険制度の持続可能性の観点から、OTCで代替可能なものはできるだけ広い範囲を対象として検討を進めるべきとの意見も出されました。国民健康保険制度の取組強化国民健康保険制度は、被保険者の高齢化や所得水準の低さ、小規模保険者の多さなど構造的な課題を抱えています。人口減少・少子高齢化に伴い地方公共団体の人材不足も深刻化しており、保険者事務の持続可能性確保が急務となっています。本節では、医療費適正化のインセンティブ強化、子育て世帯の保険料負担軽減、持続的な国保運営のための取組強化、国保組合に係る見直しについて解説します。医療費適正化のインセンティブ強化については、保険者努力支援制度(都道府県取組評価分)の見直しが決定されました。現行の普通調整交付金は、理由にかかわらず医療費に応じて配分額が増減される仕組みとなっており、医療費適正化のインセンティブが働かないとの指摘がありました。地方団体からは、普通調整交付金が担う所得調整機能は重要であり、政策誘導に使われるべきではないとの意見が出されています。このため、保険者努力支援制度の医療費適正化のアウトカム評価指標において、令和8年度分からマイナス指標を導入し、医療費適正化のインセンティブがより働くようメリハリを強化することとされました。子育て世帯の保険料負担軽減については、均等割保険料の軽減対象を高校生年代まで拡充することが提案されました。現行制度では令和4年4月から、未就学児に係る均等割保険料について5割を公費(国1/2、都道府県1/4、市町村1/4)により軽減する措置が講じられています。全国知事会、全国市長会、全国町村会からは、対象年齢の18歳までの引上げや軽減割合の拡充を求める要望が出されており、今回の拡充はこれらの要望に応えるものです。持続的な国保運営のための取組強化は、保険料水準の統一と事務負担軽減の2つの柱で構成されています。保険料水準統一については、令和8年度の国保運営方針中間見直しに向けて、納付金ベースの統一や完全統一に係る目標年度の設定・前倒しの検討を含め、議論を加速化することとされました。納付金ベースの統一は令和12年度保険料算定までの達成が目標とされ、完全統一は令和15年度までの移行を目指しつつ、遅くとも令和17年度までの移行が目標とされています。財政安定化基金についても、保険料水準統一や制度改正により納付金が著しく上昇する場合等に取崩しを認め、従来の3年間よりも長い期間での積戻しを可能とする見直しが提案されています。市町村の事務負担軽減については、都道府県国保連合会の役割強化が検討されています。また、国民健康保険の資格喪失日を1日前倒しし、資格喪失の原因たる事実が発生した日を資格喪失日とする運用見直しも提案されました。これは令和7年度地方分権提案で報告された支障事例を踏まえたもので、保険者間の資格重複による軽減判定への影響を解消することが目的です。国保組合に係る見直しでは、負担能力に応じた負担を進める観点から定率補助の見直しが提案されています。現行の補助率下限13%を原則としつつ、以下の3要件すべてに該当する国保組合には、例外的に12%(平均所得270万円以上)または10%(平均所得280万円以上)の補助率を適用することとされました。3要件とは、①保険料負担率(被保険者一人当たり保険料÷国保組合の平均所得)が低いこと、②積立金が多いこと(かつ被保険者数3,000人以上)、③医療費適正化等の取組の実施状況が低調であることです。併せて、健康保険適用除外に係る手続の簡素化や、補助率判定に用いる所得上限額を1,200万円から2,200万円に見直すことも行われます。まとめ第205回医療保険部会では、医療保険制度の持続可能性確保に向けた重要な改革の方向性が示されました。OTC類似薬については、保険給付を維持しつつ別途負担を求める制度設計が進められ、子どもや慢性疾患患者、低所得者への配慮が図られます。国民健康保険制度については、保険者努力支援制度へのマイナス指標導入による医療費適正化インセンティブの強化、子育て世帯支援の拡充、保険料水準統一の加速化により、制度の安定性向上が目指されています。これらの改革は令和8年度からの実施に向けて、今後さらに具体的な制度設計が進められる見込みです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
医療費2.4〜8.3兆円削減の可能性:健康を守りながら実現する5つの改革案
日本では社会保障費の負担増が社会問題化しており、医療費の適正化をどのように達成するかが重要な論点となっています。高額療養費の自己負担上限引き上げが議論されていますが、重症患者に負担を強いる前に、軽症患者の不要不急な医療利用を抑制する方策を検討すべきではないでしょうか。このような問題意識のもと、日本医療政策学会は2025年11月23日、「医療費適正化の実現に必要なエビデンスに関するレポート」を発表しました。本レポートでは、国民の健康に悪影響を与えることなく、2.4〜8.3兆円(総医療費の5〜17%)の医療費削減が可能であると提言しています。具体的には、70歳以上の自己負担割合3割への引き上げで1.3〜6.7兆円、OTC類似薬の保険除外で3,300億〜6,500億円、無価値・低価値医療の削減で7,800〜9,000億円の削減効果が見込まれます。これらに加え、外来への包括支払制度導入とエビデンスのある予防医療の保険収載という5つの改革が提案されています。70歳以上の自己負担割合引き上げ:1.3〜6.7兆円の削減効果本レポートで最も大きな削減効果が見込まれるのは、70歳以上の自己負担割合を一律3割に引き上げる施策です。医療サービスの価格が上がれば需要が減るという経済学の原則は、医療分野でも確認されています。東京大学の重岡仁氏の研究によると、医療サービスの窓口での自己負担額が10%増加すると、需要は約2%減少します。この需要の変化を「価格弾力性」と呼び、日本のデータでは外来医療で-0.34〜-0.15、入院医療で-0.166〜-0.057、高齢者では-0.26〜-0.048と報告されています。自己負担割合を引き上げても、健康への悪影響はないか、あっても小さいことが複数の研究で示されています。この背景には、自己負担割合の増加で影響を受けるのが主に軽症患者であるという点があります。手術や抗がん剤などの重症医療は高額療養費制度でカバーされるため受診控えは起こりにくく、風邪での外来受診など軽医療サービスが抑制されると考えられます。厚生労働省のデータを用いた試算では、価格弾力性を-0.2と仮定した場合に約6.7兆円、-0.04と仮定した場合でも約1.3兆円の医療費削減効果が期待できます。ただし、この試算が有効なのは高額療養費制度が適切に機能している前提であり、同制度が弱体化すれば重症患者の受診控えによる健康被害が生じる可能性があります。OTC類似薬の保険除外:3,300億〜6,500億円の削減効果2番目の改革案は、OTC類似薬の全てまたは一部を保険収載から外すことです。OTC類似薬とは、風邪薬・湿布・胃腸薬・ビタミン剤など、薬局で処方箋なしに購入できるOTC医薬品と効果やリスクが似ているにもかかわらず、健康保険でカバーされている医薬品を指します。これらに支出されている医療費は3,200億円〜1兆円規模と報告されており、五十嵐らの推計では、狭い定義で3,278億円、広い定義で6,513億円に達します。OTC類似薬が保険から外されても、患者はドラッグストアで比較的安価に購入できます。OTC医薬品は一般的に軽症患者が使う薬であるため、受診控えが起きても健康被害はないか小さいと考えられます。さらに、OTC類似薬にはそもそも効果がないものも含まれています。例えば風邪はウイルス感染であり、総合感冒薬には回復を早める効果がありません。また、湿布は年間54億枚も処方されていますが、12週間以上の長期使用に関しては有効性のエビデンスが不十分です。無価値・低価値医療の削減:7,800〜9,000億円の削減効果3番目の改革案は、効果がないことが証明されている医療サービスの保険収載を見直すことです。日本では新しい薬や医療機器が承認されると多くの場合自動的に保険適用となり、その後の研究で効果がないと判明しても保険から除外されることは稀です。この硬直的な制度が、効果の低い医療の積み重ねと医療費増加を招いています。研究チームの調査では、52種類の無価値医療に年間2,100億〜3,300億円の医療費が使われていると推計されました。具体的には、湿布(特にサリチル酸使用や長期使用)に456億円、深刻な兆候のない腰痛への早期画像検査に316〜369億円、安定冠動脈疾患への経皮的カテーテル治療に103〜640億円などが挙げられています。これに加え、後発品が存在する先発品の使用も低価値とみなされます。ジェネリック医薬品への完全置換で約4,400億円、バイオシミラーへの完全置換で約1,300億円の削減が可能です。これらを合計すると、7,800〜9,000億円程度の削減が患者の健康を悪化させることなく実現可能であり、総医療費の約1.6〜1.9%に相当します。外来への包括支払制度導入4番目の改革案は、外来医療に包括支払制度を導入することです。日本の外来は出来高払いを採用しており、医療サービスの提供量を多くするほど医療機関の利益が増える仕組みになっています。この制度では過剰医療のインセンティブが働き、外来受診回数や入院日数が欧米の2〜3倍となっています。日本で「医師不足」が叫ばれる背景には、医師数自体の不足ではなく、業務量が多すぎる「相対的医師不足」があります。包括支払制度では、かかりつけ患者の総数に対して月額定額が支払われるサブスクリプションモデルとなります。例えば、安定した糖尿病患者の推奨されるHbA1c測定頻度は6ヵ月に1回ですが、日本ではより頻回に行われています。包括支払いになれば、受診頻度もHbA1c測定頻度も欧米と同水準の3〜6ヵ月に1回に変わると考えられます。医療機関の売り上げが減少しても、人件費・光熱費・検査機材コストが下がるため、収益を維持しながら医療費を削減できる可能性があります。ただし、包括支払制度には過小医療のリスクがあります。この問題を解決するため、ペイ・フォー・パフォーマンス(P4P)の併用が必要です。P4Pは医療の質や患者アウトカムを測定し、質の高い医療が行われていない場合に経済的ペナルティーを与える制度であり、「量」ではなく「価値」に対して報酬を支払う仕組みを実現します。エビデンスに基づく予防医療の保険収載5番目の改革案は、エビデンスのある予防医療を保険収載することです。日本では歴史的背景から、健康保険がカバーするのは治療的な医療サービスのみで、ワクチンや検診などの予防医療は保険でカバーされていません。これは世界的に見て特殊な制度であり、医療提供者に予防を推進するインセンティブがありません。エビデンスのある予防を保険収載し、予防も治療も分け隔てなくカバーすることで、この問題を解消できます。予防医療の約2割は健康増進効果だけでなく医療費削減効果があると報告されています。現在、「日本予防医療専門委員会(JPPSTF)」が日本人にとってエビデンスのある予防医療サービスのリスト作成を進めており、このリストに含まれるサービスが保険収載されれば、健康増進と医療費削減の両立が期待できます。まとめ本レポートは、高額療養費制度を維持しながら医療費を適正化する5つの改革案を提示しています。70歳以上の自己負担割合引き上げ、OTC類似薬の保険除外、無価値・低価値医療の削減、外来への包括支払制度導入、エビデンスに基づく予防医療の保険収載という5つの施策を組み合わせることで、国民の健康に悪影響を与えることなく、2.4〜8.3兆円の医療費削減が可能です。皆保険制度の根幹である高額療養費制度を守りつつ、軽症患者の不要不急な医療利用を抑制することが、持続可能な医療制度を実現する鍵となります。出典:津川友介・加藤弘陸・五十嵐中・宮脇敦士・玉田雄大・後藤励「医療費適正化の実現に必要なエビデンスに関するレポート」JHPRA Working Paper, 2025-1, 一般社団法人日本医療政策学会, 2025年11月23日 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【2040年に向けて】介護人材確保の新戦略|福祉人材確保専門委員会が示す4つの柱
2040年には65歳以上の高齢者数がピークを迎え、介護と医療の複合ニーズを抱える85歳以上人口が増加します。一方で生産年齢人口は減少し、介護の担い手確保は喫緊の課題となっています。このような状況を踏まえ、社会保障審議会福祉部会の福祉人材確保専門委員会は、令和7年11月11日に「議論の整理」をとりまとめ、第31回福祉部会に報告しました。この報告書は、地域差を踏まえたプラットフォーム機能の充実、多様な人材の確保・育成、中核的介護人材の確保・育成、外国人介護人材の確保・定着という4つの柱で構成されています。介護関係職種の有効求人倍率は令和7年9月時点で4.02倍と、全職業の有効求人倍率(1.10倍)と比較しても非常に高い水準にあり、都道府県によっては8倍台となる地域もあります。本稿では、この報告書の主要なポイントを解説します。地域差を踏まえたプラットフォーム機能の充実都道府県が設置主体となり、介護人材確保に関するプラットフォームを制度として構築する方針が示されました。このプラットフォームは、地域の関係者が情報を収集・共有・分析し、協働して課題解決に取り組むための仕組みです。プラットフォームの構造は重層的な設計となっています。第1層は都道府県単位で関係者が人材確保の課題を認識・共有する場として機能します。第2層は市町村単位や複数市町村の圏域単位など、より狭い地域で設置され、「人材確保・定着」「職場環境の改善、生産性向上・経営支援」「介護のイメージ改善・理解促進」などの個別課題に応じたプロジェクトチームとして活動します。このプラットフォームには、市町村、ハローワーク、福祉人材センター、介護労働安定センター、介護事業者、介護福祉士養成施設、職能団体などの関係者が参画します。福祉人材センターがコーディネーター的な中核的役割を担い、関係者の取組を連携させることが想定されています。これにより、情報の収集・共有・分析から課題の発見、取組の実施、効果検証、改善までのPDCAサイクルを回すことが可能となります。多様な人材の確保・育成・定着のための取組若者・高齢者・未経験者などの多様な人材を確保・育成するため、情報発信・広報戦略の強化と、テクノロジー活用による業務改善の2つのアプローチが提案されています。情報発信については、テクノロジー導入や社会的課題への対応など、介護現場における最新の取組を積極的に発信することが重要です。テクノロジーの導入により、介護職員の負担軽減と利用者と関わる時間の確保が両立できている事例があります。また、職場体験やインターンシップを通じて、地域の関係者に福祉現場を理解してもらう取組も重要とされています。人材の定着支援については、テクノロジーの活用による介護の質の向上と業務負担軽減に加え、いわゆる「介護助手」の活用が提案されています。業務の整理・切り出しにより介護の直接業務とその他業務を明確化し、周辺業務を介護助手が担うことで、タスクシフト/シェアを進め、業務改善・生産性向上を図ります。この取組は人手不足解決だけでなく、介護の専門性の明確化にもつながるものと位置づけられています。中核的介護人材の確保・育成と資格制度の見直し中核的介護人材の確保・育成については、山脈型キャリアモデルの深化、介護福祉士の届出制度拡充、複数資格取得の促進という3つの方策が示されています。山脈型キャリアモデルとは、サービスや経営のマネジメントを行う役割に加え、認知症ケア・看取りケア等の特定のスキルを極めることや、地域全体の介護力向上を進めることなど、介護人材が目指す複数のキャリアパスを示すものです。中核的介護人材が担うべき具体的役割・機能や必要な資質・能力の整理と、これを身につけるための研修体系の整備が必要とされています。介護福祉士の届出制度については、現行の潜在介護福祉士への復職支援に加え、現任の介護福祉士にも届出の努力義務を課すことが提案されています。これにより、地域における介護人材の実態把握や必要なキャリア支援を行う仕組みへと発展させることが目指されています。介護福祉士養成施設卒業者の国家試験義務付けの経過措置については、令和8年度卒業者までとされている現行の経過措置の取扱いが議論されました。資格の質の担保・専門性の向上等の観点から終了すべきとの意見と、養成施設の入学者確保・介護人材確保等の観点から延長すべきとの意見の両方が示されています。今後、介護福祉士養成施設の役割も勘案しながら、必要な対応が講じられる見込みです。外国人介護人材の確保・定着策と准介護福祉士の在り方外国人介護人材の確保・定着については、プラットフォーム機能を活用した地域ごとの支援策が提案されています。特に小規模法人における外国人介護人材の受入れが課題となっており、海外現地での働きかけなどの確保策や、日本語教育、文化の違いへの対応、生活環境整備などの定着策を地域ごとに検討することが必要です。令和7年4月からは、一定の要件のもとで技能実習生と特定技能外国人が訪問系サービスに従事することが可能となりました。緊急時の対応やトラブルの未然防止に向けたリスク管理、利用者・家族からの同意取得、ハラスメント対策としてのマニュアル整備等が重要とされています。准介護福祉士については、国家試験に合格していない者に付与される資格であり、フィリピンとのEPA(経済連携協定)締結時の経緯から創設されたものです。本専門委員会では、資格に対する社会的評価・資質の担保や、介護福祉士の専門職としての地位の向上・確立の観点から廃止すべきとの意見が示されました。フィリピン国政府との関係等も考慮しながら、適切な対応が検討される予定です。まとめ福祉人材確保専門委員会の議論の整理は、2040年に向けた介護人材確保の方向性を示す重要な報告書です。都道府県主導のプラットフォーム構築による地域連携の強化、多様な人材の確保とテクノロジー活用による業務改善、中核的介護人材の育成と資格制度の見直し、外国人介護人材の支援体制整備という4つの柱が提示されました。今後、この報告書の内容は社会保障審議会福祉部会でさらに議論を深めるとともに、介護保険部会その他関係審議会等においても議論が進められます。処遇改善なしに人材確保はなしえないとの意見が多くの委員から示されており、福祉・介護分野の処遇改善や専門性の評価も重要な課題として引き続き検討されることになります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【2025年最新】介護保険部会が示す3つの重点施策|身寄りのない高齢者支援・介護予防・過疎地域対策
令和7年11月17日に開催された第31回社会保障審議会福祉部会において、介護保険部会における議論の状況が報告されました。この報告は、第126回(令和7年10月9日)、第127回、第128回(令和7年11月10日)の介護保険部会での議論をまとめたものです。2050年頃には全世帯の5世帯に1世帯が高齢者単身世帯になると想定される中、身寄りのない高齢者等への対応が喫緊の課題となっています。介護保険部会では主に2つの論点が議論されています。第一に、身寄りのない高齢者等への支援に向けた地域ケア会議の活用推進と相談体制の充実です。第二に、介護予防の推進として通いの場の機能強化と多機能拠点の整備が検討されています。なお、過疎地域等における包括的な支援体制については、福祉部会での議論が介護保険部会に報告され、委員からの意見が出されています。身寄りのない高齢者等への支援体制の整備身寄りのない高齢者等への支援は、介護保険部会における最重要課題のひとつです。高齢者単身世帯の増加に伴い、生活支援、財産管理、身元保証、死後事務といった課題への対応が急務となっています。現状では、これらの課題に対してケアマネジャーが法定外業務(シャドウワーク)として対応せざるを得ないケースが増加しており、ケアマネジャーの専門性発揮を阻害する要因となっています。この課題への対応として、地域ケア会議の活用推進が検討されています。ただし、現状では地域ケア個別会議と地域ケア推進会議を連携できていない、または地域ケア個別会議での議論がそもそも十分ではないと回答した市町村が合わせて半数程度あります。地域包括支援センターが主導して地域ケア会議を開催し、身寄りのない高齢者等の生活課題を地域全体で協議する体制の構築が目指されています。先進的な取組事例として、3つの自治体が紹介されています。兵庫県朝来市では、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所が中核となって地域ケア会議の中にワーキングを設置し、主任ケアマネジャー、司法書士、医師、薬剤師、医療ソーシャルワーカー等の多分野の関係者による議論を経て「身寄りのない人を支える資源マップ」を作成しています。島根県出雲市では、市が住民主体の互助団体の連絡会と地域ケア会議を連動させる体系を整備し、生活支援コーディネーターを中心とした個別課題解決の場づくりを推進しています。愛知県岡崎市では、金融機関をコアメンバーとする「岡崎市SDGs公民連携プラットフォーム」を活用し、「終活応援事業」を創設しています。相談体制の充実に向けては、地域包括支援センターの総合相談支援事業において身寄りのない高齢者等への相談対応を明確化することが検討されています。介護保険部会の委員からは、地域包括支援センターの業務量過多や人材不足への対応として、国による財政支援と人材確保の強化を求める意見が出されました。介護予防の推進と多機能拠点の整備介護予防の推進は、高齢者の健康寿命延伸と地域の支え合い強化の両面から重要な施策です。「通いの場」は、住民主体の介護予防の取組を推進する場として、高齢者の社会参加を促すとともに、地域共生社会の実現に貢献してきました。2040年を見据えると、高齢化や人口減少のスピードは地域によって大きな差が生じることが想定されており、より効果的な介護予防の仕組みが必要とされています。この課題に対応するため、「介護予防・地域ささえあいサポート拠点」の整備に向けたモデル事業が実施されています。令和6年度補正予算(令和7年度繰越実施)で措置されたこのモデル事業では、介護予防を主軸としながら、障害、子育て、生活困窮分野の支援機能も併せ持つ多機能拠点の整備が検証されています。この拠点は、住民主体の通いの場の機能に加え、地域ささえあいネットワークとの連携により、地域の多様なニーズに対応することが期待されています。介護保険部会では、こうした多機能拠点の整備・運営を総合事業に位置づけることが検討されています。委員からは、老人保健施設を介護予防の活動拠点として活用する提案や、専門職の関与を確保するための具体的方策を求める意見が出されました。財源については、介護保険で対応する部分は介護予防に限定すべきとの意見や、地域支援事業の上限額廃止と必要な予算確保を求める意見が出されています。過疎地域等における包括的な支援体制過疎地域等における包括的な支援体制の整備については、福祉部会で詳細な検討が行われており、その議論の状況が介護保険部会にも報告されています。これらの地域では、担い手不足により地域の支え合い機能が脆弱化する一方、福祉ニーズの多様化・複雑化が進んでいます。現行の重層的支援体制整備事業は、各分野の配置基準を満たした上で追加的に事業を実施する必要があり、小規模自治体では実施率が低い状況にあります。令和7年6月13日閣議決定の「地方創生の基本構想」では、中山間・人口減少地域において介護・障害・こども・生活困窮分野の相談支援・地域づくり事業を一本化し、機能強化を図る制度改正の実施が盛り込まれました。福祉部会における議論では、相談支援と地域づくりを分野別の縦割りではなく機能別に構造化し、包括的な実施を可能とする仕組みの検討が進められています。介護保険部会の委員からは、この方向性について合理的であるとの評価がある一方、相談支援に当たる専門職が多領域にわたる相談支援に対応できるよう人材育成が大きな課題との指摘がありました。また、各市町村の実情を踏まえた体制構築の必要性も指摘されています。まとめ介護保険部会では、2040年を見据えた介護保険制度の見直しに向けた議論が進められています。身寄りのない高齢者等への支援については、地域ケア会議の活用推進と相談体制の充実により、地域全体で課題に対応する体制の構築が目指されています。介護予防の推進については、通いの場の機能強化と多機能拠点の整備がモデル事業として検証されています。過疎地域等における包括的な支援体制については、福祉部会での議論を踏まえ、相談支援・地域づくり事業の機能別構造化による対応が検討されています。今後も介護保険部会および福祉部会における議論の動向に注目が必要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【2025年福祉制度改革】第31回福祉部会が示す5つの論点と検討の方向性
令和7年11月17日、第31回社会保障審議会福祉部会が開催されました。本部会では、地域共生社会の在り方検討会議や2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会の議論を踏まえ、福祉制度改革の具体的な方向性が示されました。本稿では、これまでのご意見を踏まえた論点に関する議論の状況について解説します。福祉部会で示された論点は5つの柱で構成されています。第1に、地域共生社会の更なる展開として、包括的な支援体制整備の推進と過疎地域向けの新たな仕組みの創設が検討されています。第2に、身寄りのない高齢者等への対応として、日常生活自立支援事業を拡充・発展させた新たな第二種社会福祉事業の創設が提案されています。第3に、社会福祉連携推進法人制度の見直しとして、一定の要件下での社会福祉事業の実施が可能となる方向性が示されました。第4に、災害福祉支援体制の強化として、DWAT(災害派遣福祉チーム)の法制化が検討されています。第5に、共同募金事業について、寄附募集禁止規定の撤廃と準備金使途の拡大が提案されています。地域共生社会の更なる展開について地域共生社会の実現に向けた取組として、包括的な支援体制整備の推進と過疎地域等における新たな仕組みの創設が検討されています。2040年に向けて人口減少と単身世帯の増加が進む中、地域で支え合う社会の実現がより一層重要となっています。包括的な支援体制整備については、重層的支援体制整備事業の質の向上が課題となっています。現状では、事業実施に向けた検討プロセスや事業評価が十分に行われていない状況が見られます。検討の方向性として、事業実施にあたって地域資源の把握や関係者との対話等の検討プロセスを経ることを要件とすべきとされています。重層的支援体制整備事業実施計画についても、必須記載事項として目標・評価等に関する事項を追加し、計画の定期的な見直しを行うことが求められています。市町村における体制整備の推進も重要な論点です。重層的支援体制整備事業を実施していない市町村においても支援会議の活用を可能とする等により、体制整備を促進すべきとされています。地域住民等と支援関係機関の連携・協働を図るため、市町村が協力団体を委嘱できる仕組みの創設等も検討されています。過疎地域等における新たな仕組みについては、介護・障害・こども・生活困窮分野の相談支援・地域づくり事業を一本化する方向性が示されています。過疎地域等では担い手不足が深刻化しており、現行の重層的支援体制整備事業の実施が困難な状況にあります。新たな仕組みでは、分野横断的な配置基準を設け、一次相談対応と専門的相談対応を構造化することで、小規模自治体でも実施可能な体制を構築することが目指されています。身寄りのない高齢者等への対応・成年後見制度の見直しへの対応について身寄りのない高齢者等が地域で安心して自立した生活を続けられるよう、新たな第二種社会福祉事業の創設が検討されています。頼れる身寄りがいないことにより、入院・入所の手続等支援や死後事務支援などが必要とされる高齢者等への対応が課題となっています。新たな事業の概要として、日常生活自立支援事業を拡充・発展させた事業が提案されています。判断能力が不十分な人や頼れる身寄りがいない高齢者等に対して、日常生活支援、円滑な入院・入所の手続支援、死後事務支援などを提供することが想定されています。この事業は、資力が十分でなくても利用できるよう、利用者のうち一定割合以上が無料又は低額の料金で利用できる事業とする方向性が示されています。自治体の役割についても明確化が検討されています。身寄りのない高齢者等への支援は社会福祉法第106条の3に基づく「地域生活課題」に含まれることを明確化し、大臣指針や市町村地域福祉計画の計画策定ガイドラインにおいて、支援に係る事項を明記する方向性が示されています。事業者に対するチェック体制として、運営適正化委員会による助言・勧告の実施や、適正な事業運営の確保策を盛り込んだガイドライン等の策定も検討されています。社会福祉法人制度・社会福祉連携推進法人制度の在り方について社会福祉連携推進法人制度の活用を一層促進するため、制度の見直しが検討されています。人口減少が進む過疎地域等では、法人単独では事業を実施することが困難な状況にあり、複数の法人間での連携・協働による経営基盤の強化が求められています。社会福祉連携推進法人による社会福祉事業の実施について、一定の要件を満たす場合には可能とする方向性が示されています。現行制度では社会福祉連携推進法人は社会福祉事業を行うことができませんが、地域住民に必要不可欠な事業を維持し、利用者を保護する観点から、第二種社会福祉事業及び社会福祉事業以外の社会福祉を目的とする福祉サービスの実施を可能とすることが検討されています。その際、当該地域において福祉ニーズを充足できていないこと、他のサービス事業主体の参入が期待できないこと、連携推進業務を行う体制が確保されていることが要件として示されています。既存施設の土地・建物の有効活用についても検討が進められています。社会福祉連携推進法人が社員法人間の土地・建物の貸付に関する支援業務を行うことや、社会福祉法人の解散時における残余財産の帰属先の拡大が議論されています。解散した社会福祉法人の土地・建物について、社会福祉事業を現に行っていない地方公共団体であっても、地域に不可欠な事業の維持のために有効活用する場合には帰属を受けることができるようにする方向性が示されています。災害に備えた福祉的支援体制について令和6年能登半島地震の教訓を踏まえ、平時からの災害福祉支援体制の整備とDWATの法制化が検討されています。災害救助法の改正により災害時の福祉支援は法定化されましたが、平時からの体制整備については未だ法制化されていない状況にあります。平時からの連携体制の構築について、包括的な支援体制の整備において「防災」との連携を加えることが提案されています。地域福祉計画の記載事項に災害福祉に関する事項を追加し、市町村地域福祉計画においては防災関連施策や災害ボランティア活動との連携・協力内容、福祉サービス提供体制の維持方策等を記載することが求められる方向性が示されています。都道府県地域福祉支援計画においては、DWATの整備状況や災害時における役割・実施内容について記載することが検討されています。DWATの法制化については、災害時における福祉従事者の確保を可能とするため、登録制度の整備と研修・訓練の実施に関する規定を設けることが提案されています。国が登録名簿の管理や研修を実施するとともに、都道府県においても研修・訓練の機会提供等を行うよう努めることとする方向性が示されています。DWATチーム員の派遣元使用者に対する配慮義務や、チーム員への秘密保持義務についても規定を設けることが検討されています。共同募金事業の在り方について共同募金事業が地域福祉を支える役割を果たし続けられるよう、寄附募集禁止規定の撤廃と準備金使途の拡大が検討されています。共同募金事業は戦後間もなく開始されて以降、地域福祉の推進に大きな役割を果たしてきましたが、時代の変化に対応した見直しが求められています。寄附募集禁止規定については、共同募金の配分を受けた者に対する制限を撤廃する方向性が示されています。現行では配分を受けた者への寄附募集が制限されていますが、共同募金の配分の有無によって公平性を考慮する必要性が薄れつつあることに加え、この制限が民間支援に逆行し時代にそぐわなくなってきているとの認識が示されています。撤廃にあたっては、共同募金事業が引き続き包括指定寄附金の対象となることを前提に検討を行うべきとされています。準備金の使途についても拡大が検討されています。現行では災害時に限定されている準備金の積立について、公的制度だけでは対応困難な社会課題への取組や地域のモデル的な取組など、一定規模の継続事業に対しても取崩ができるようにすることが提案されています。その際、使途の透明性の確保や準備金不足とならないよう一定の取崩上限の目安を設定することが求められています。まとめ第31回福祉部会では、2040年に向けた福祉制度改革の具体的な方向性が示されました。地域共生社会の更なる展開として、包括的な支援体制整備の推進と過疎地域向けの新たな仕組みの創設が検討されています。身寄りのない高齢者等への対応として、新たな第二種社会福祉事業の創設が提案され、社会福祉連携推進法人制度については社会福祉事業の実施を可能とする見直しが進められています。災害福祉支援体制の強化としてDWATの法制化が検討され、共同募金事業については規制緩和による活性化が目指されています。これらの論点について、今後さらに具体的な検討が進められる見込みです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【速報】令和8年度診療報酬改定の基本方針|4つの視点と重点課題を徹底解説
令和7年11月20日、第204回社会保障審議会医療保険部会において、令和8年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)が示されました。本稿では、この骨子案の内容を解説します。今回の骨子案は、4つの基本認識と4つの基本的視点で構成されています。基本認識では、物価・賃金上昇への対応、2040年を見据えた医療提供体制の構築、医療DXの推進、制度の持続可能性確保が掲げられました。基本的視点では、物価・賃金・人手不足への対応を「重点課題」に位置付け、医療機関の機能分化・連携、安心・安全で質の高い医療の推進、効率化・適正化の4つの方向性が示されています。改定に当たっての4つの基本認識骨子案では、令和8年度改定の前提となる4つの基本認識が示されています。第一に物価・賃金上昇への対応、第二に2040年を見据えた医療提供体制の構築、第三に医療DXとイノベーションの推進、第四に制度の安定性・持続可能性の確保です。第一の基本認識は、日本経済が新たなステージに移行しつつある中での物価・賃金上昇、人口構造の変化や人口減少の中での人材確保、現役世代の負担抑制努力の必要性です。医療分野は公定価格によるサービス提供が太宗を占めるため、経済社会情勢の変化に機動的な対応を行うことが難しい状況にあります。このため、医療機関等の経営の安定や現場で働く幅広い職種の賃上げに確実につながる的確な対応が必要とされています。第二の基本認識は、2040年頃を見据えた医療提供体制の構築です。85歳以上人口が増加し、高齢者人口には地域差が生じることが見込まれます。こうした変化に対応するため、「治す医療」と「治し、支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確化し、地域完結型の医療提供体制を構築する必要があります。第三の基本認識は、医療の高度化や医療DX、イノベーションの推進による安心・安全で質の高い医療の実現です。デジタル化された医療情報の利活用促進や、AI・ICT等の活用による医療DXの推進が、効果的・効率的かつ安心・安全で質の高い医療の実現に重要とされています。第四の基本認識は、社会保障制度の安定性・持続可能性の確保と経済・財政との調和です。国民皆保険を堅持し次世代に継承するため、経済・財政との調和を図りつつ、効率的・効果的な医療政策を実現することが不可欠とされています。【重点課題】物価・賃金・人手不足への対応4つの基本的視点のうち、「物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応」が重点課題に位置付けられました。医療機関等の経営悪化と人材確保の困難さを踏まえ、物価高騰への対応と医療従事者の処遇改善が急務とされています。医療機関等が直面する課題として、人件費、医療材料費、食材料費、光熱水費及び委託費等の物件費の高騰が挙げられています。2年連続で5%を上回る賃上げ率となった春闘等により全産業において賃上げ率が高水準となる中、医療分野では事業収益の悪化を背景に全産業の賃上げ水準から乖離し、人材確保も難しい状況にあります。この視点における具体的方向性は、物件費高騰への対応と医療従事者の人材確保に向けた取組の2つです。物件費高騰については、医療機関等が直面する人件費や物件費の高騰を踏まえた対応が求められています。人材確保については、医療従事者の処遇改善、ICT・AI・IoT等の利活用による業務効率化、タスク・シェアリング/タスク・シフティングの推進、医師の働き方改革の推進・診療科偏在対策、診療報酬上求める基準の柔軟化が具体的方向性として示されました。2040年を見据えた医療機関の機能分化・連携と地域包括ケアシステムの推進第二の視点は、中長期的な人口構造や地域の医療ニーズの変化を見据えた医療提供体制の構築です。入院医療を始めとして、外来医療・在宅医療、介護との連携を図ることが重要とされています。この視点では8つの具体的方向性が示されています。第一に、患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価です。患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた医療提供体制の整備と、人口の少ない地域の実情を踏まえた評価が含まれます。第二に、「治し、支える医療」の実現です。在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援機能を担う医療機関の評価、円滑な入退院の実現、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等の高齢者の生活を支えるケアの推進が具体的内容として挙げられています。第三から第八は、かかりつけ医機能・かかりつけ歯科医機能・かかりつけ薬剤師機能の評価、外来医療の機能分化と連携、質の高い在宅医療・訪問看護の確保、人口・医療資源の少ない地域への支援、医療従事者確保の制約が増す中で必要な医療機能を確保するための取組、医師の地域偏在対策の推進です。安心・安全で質の高い医療の推進第三の視点は、患者の安心・安全を確保しつつ、イノベーションを推進し、新たなニーズにも対応できる医療の実現です。第三者による評価やアウトカム評価等の客観的な評価を進めることが求められています。この視点における具体的方向性は9つあります。第一に、患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価として、身体的拘束の最小化の推進と医療安全対策の推進が挙げられています。第二に、アウトカムにも着目した評価の推進として、データを活用した診療実績による評価の推進が示されました。第三に、医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価、第四に質の高いリハビリテーションの推進が挙げられています。第五に、重点的な対応が求められる分野として、救急医療、小児・周産期医療、がん医療及び緩和ケア、精神医療、難病患者への医療への適切な評価が示されました。第六から第九は、感染症対策や薬剤耐性対策の推進、口腔疾患の重症化予防等の歯科医療の推進、地域の医薬品供給拠点としての薬局機能の評価、イノベーションの適切な評価や医薬品の安定供給の確保等です。効率化・適正化を通じた医療保険制度の安定性・持続可能性の向上第四の視点は、医療費増大が見込まれる中、国民皆保険を維持するための制度の安定性・持続可能性を高める取組です。医療資源を効率的・重点的に配分する観点が重要とされています。この視点における具体的方向性は7つあります。第一に後発医薬品・バイオ後続品の使用促進、第二にOTC類似薬を含む薬剤自己負担の在り方の見直し、第三に費用対効果評価制度の活用、第四に市場実勢価格を踏まえた適正な評価です。第五に、電子処方箋の活用や医師・病院薬剤師と薬局薬剤師の協働の取組による医薬品の適正使用等の推進です。重複投薬、ポリファーマシー、残薬への対応、医師及び薬剤師の適切な連携による医薬品の効率的かつ安全で有効な使用の促進が具体的内容として挙げられています。第六に外来医療の機能分化と連携(再掲)、第七に医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価(再掲)が示されました。今後の課題と基本方針策定スケジュール骨子案では、診療報酬制度だけでなく総合的な政策対応の必要性や、物価高騰・賃金上昇局面における適時適切な報酬措置の検討、診療報酬制度の分かりやすさの向上が今後の課題として示されています。今後のスケジュールとしては、11月下旬に医療部会でも骨子案が議論され、12月上旬に基本方針(案)が両部会で審議される予定です。基本方針の発表は12月上旬が見込まれています。まとめ令和8年度診療報酬改定の基本方針骨子案では、物価・賃金・人手不足への対応を重点課題とし、4つの基本認識と4つの基本的視点が示されました。医療機関経営者は、物価高騰対応と処遇改善、2040年を見据えた機能分化・連携、医療DXの推進、効率化・適正化という改定の方向性を踏まえ、経営戦略を検討する必要があります。今後の基本方針の確定と中央社会保険医療協議会における具体的な議論の動向に注目が必要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
入院時の食費・光熱水費見直しへ|物価高騰で18年ぶりの大改定検討中
令和7年11月20日、第204回社会保障審議会医療保険部会が開催されました。この部会では、食材費や光熱水費の継続的な高騰を受けて、入院時の食費と光熱水費の標準負担額の見直しについて議論されました。入院時の食費については、令和6年6月と令和7年4月に計50円の引上げを実施したにもかかわらず、令和7年4月以降も物価高騰が続いています。入院時の光熱水費については、平成18年の制度創設時から基準額(総額)が据え置かれており、昨今の光熱水費の大幅な高騰により病院経営に影響を及ぼしています。この見直しは、患者の負担と病院経営の両立という観点から進められています。入院時の食費では、令和7年4月以降も食材費等の高騰が続いており、更なる標準負担額の見直しが検討されています。入院時の光熱水費では、令和6年度介護報酬改定で多床室の居住費が60円引き上げられたことにより、介護保険の居住費と医療保険の光熱水費の間で負担額に差が生じています。中央社会保険医療協議会でも、基準額(総額)の観点から並行して議論が進められており、患者負担への影響を慎重に検討する必要があります。入院時の食費をめぐる現状と課題入院時の食費は、令和6年6月に1食当たり30円、令和7年4月に1食当たり20円の計50円が引き上げられました。この見直しは、食材費等の高騰に対応するために実施されたものです。しかし、令和7年4月以降も食材費等の高騰は続いており、医療機関の経営を圧迫している状況が明らかになっています。この見直しに伴い、医療機関は給食提供体制の変更を余儀なくされました。全面委託を行っている医療機関では、約5割が「給食委託費を増額した」と回答しています。一部委託や完全直営の医療機関では、約5割が「給食の内容を変えて経費の削減を行った(食材料を安価なものに変更等)」と回答しています。さらに、令和6年6月以降、全面委託の約7割、一部委託の約5割の医療機関では、委託事業者から値上げの申し出がありました。これらの医療機関は、委託事業者との契約変更に対応しています。完全直営の医療機関では3.6%(22施設)が、給食運営を委託から完全直営に切り替える対応を取っています。これらの状況を踏まえ、社会保障審議会医療保険部会では、更なる入院時の食費の標準負担額の見直しについて検討が進められています。中央社会保険医療協議会においても、食費の基準額(総額)の観点から並行して議論されています。入院時の光熱水費をめぐる現状と課題入院時の光熱水費は、平成18年に入院時生活療養費制度が創設されて以来、基準額(総額)が据え置かれています。この基準額は398円(1日当たり)で設定されており、18年以上変更されていません。一方で、昨今の光熱・水道費は特に足下で大きく高騰しており、病院経営に少なからず影響を及ぼしている状況です。入院時の光熱水費は、療養病床に入院する65歳以上の者について入院時生活療養費の光熱水費として評価されています。一般所得者の場合、1日当たりの総額398円のうち、自己負担額は370円、保険給付額は28円です。一般病床、精神病床、療養病床に入院する65歳未満の者については、入院料の中で評価されています。平成29年10月と平成30年4月には、介護保険の居住費に係る基準費用額を勘案して、自己負担額の段階的な引上げが行われました。この見直しでは、基準額(総額)を維持した上で、医療区分Ⅰの者の自己負担額を320円から370円に引き上げました。医療区分ⅡⅢの者の自己負担額も、0円から200円、その後370円へと段階的に引き上げられました。しかし、これらの見直し後も光熱水費の高騰は続いており、基準額(総額)の据え置きが病院経営を圧迫する要因となっています。中央社会保険医療協議会においても、基準額(総額)の観点から議論が進められています。介護保険との負担格差と均衡の必要性介護保険では、令和6年度介護報酬改定において、多床室の居住費の基準費用額・負担限度額が60円引き上げられました。この見直しは、令和4年の家計調査によれば高齢者世帯の光熱・水道費が令和元年家計調査に比べて上昇していることを踏まえたものです。在宅で生活する者との負担の均衡を図る観点や、令和5年度介護経営実態調査の費用の状況等を総合的に勘案して実施されました。この見直しにより、介護保険の居住費と医療保険の光熱水費の間で負担額に差が生じています。介護保険では、全ての居室類型で1日当たり60円分が増額されました。従来から補足給付の仕組みにおける負担限度額を0円としている利用者負担第1段階の多床室利用者については、負担限度額を据え置き、利用者負担が増えないように配慮されています。健康保険法第85条の2では、入院時生活療養費の額を定める際、介護保険法第51条の3第2項第2号に規定する居住費の基準費用額に相当する費用の額を勘案することが規定されています。介護保険法第51条の3第3項では、厚生労働大臣は居住費の基準費用額を定めた後に、施設における居住等に要する費用の状況その他の事情が著しく変動したときは、速やかにそれらの額を改定しなければならないとされています。こうした法的な枠組みを踏まえ、社会保障審議会医療保険部会では、近年の光熱・水道費の高騰を踏まえた対応を行う観点から、入院時の光熱水費の標準負担額の見直しについて議論が進められています。家計における光熱・水道支出を勘案して行われた令和6年度介護報酬改定による多床室の居住費の基準費用額の引上げを踏まえた対応が検討されています。今後の議論の方向性と患者負担への影響入院時の食費と光熱水費の見直しは、社会保障審議会医療保険部会と中央社会保険医療協議会の両方で並行して議論が進められています。社会保障審議会医療保険部会では、標準負担額(患者の自己負担額)の見直しが論点となっています。中央社会保険医療協議会では、基準額(総額)の観点から技術的な検討が行われています。入院時の食費については、令和6年6月と令和7年4月の2回の見直し後も、引き続き食材費等の高騰が続いている状況を踏まえた更なる見直しが検討されています。医療機関では、委託事業者からの値上げ申し出への対応や、給食内容の変更による経費削減など、様々な対応が取られています。患者の栄養管理の質を維持しながら、持続可能な給食提供体制を構築することが課題となっています。入院時の光熱水費については、近年の光熱・水道費の高騰を踏まえた対応が検討されています。家計における光熱・水道支出を勘案して行われた令和6年度介護報酬改定により、介護保険では居住費が60円引き上げられました。この引上げを踏まえ、医療保険における光熱水費についても見直しが論点となっています。病院経営の持続可能性を確保しながら、患者の負担増を最小限に抑える方策が求められています。これらの見直しが実施される場合、入院患者の自己負担額が増加する可能性があります。特に、長期入院を要する患者や、住民税非課税世帯などの低所得者層への影響に配慮した制度設計が重要です。高額療養費制度や、指定難病患者への医療費助成、こども医療費助成などの各種医療費助成制度との整合性も考慮する必要があります。まとめ令和7年11月20日の第204回社会保障審議会医療保険部会では、入院時の食費と光熱水費の標準負担額の見直しについて議論されました。入院時の食費は、令和6年6月と令和7年4月に計50円の引上げを実施したにもかかわらず、物価高騰が続いており、更なる見直しが検討されています。入院時の光熱水費は、平成18年の制度創設時から基準額が据え置かれており、令和6年度に介護保険の居住費が60円引き上げられたことを踏まえた対応が論点となっています。今後、中央社会保険医療協議会での技術的な検討も踏まえながら、患者負担と病院経営の両立を目指した制度改革が進められていきます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
標準的な出産費用の自己負担無償化へ:医療保険部会が示す給付体系見直しの方向性
令和7年11月20日に開催された第204回社会保障審議会医療保険部会において、医療保険制度における出産に対する支援強化の議論が本格化しました。この部会では、令和8年度を目途とした標準的な出産費用の自己負担無償化に向け、給付体系の骨格を令和7年冬頃までにとりまとめる方針が示されました。議論の焦点は、現在の出産育児一時金という現金給付から、妊婦の自己負担が発生しない給付方式への転換、そして地域差・施設差がある出産費用への対応という2つの論点です。本稿では、部会で提示された給付体系見直しの方向性、産科医療機関の経営実態を踏まえた制度設計の課題、令和7年冬のとりまとめに向けた今後のスケジュールの3点を解説します。この制度改革は、妊婦の経済的負担軽減と周産期医療提供体制の維持という2つの政策目的を同時に実現する必要があり、特に経営困難に直面する一次施設への配慮が重要な検討事項となっています。制度設計では、出産費用の見える化を進め、妊婦が十分な情報に基づいて意思決定できる環境整備も求められています。出産支援強化の背景と制度見直しの必要性令和7年5月に公表された「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」の議論の整理において、令和8年度を目途に標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計を進めることが示されました。この方針を受けて、社会保障審議会医療保険部会で給付体系の見直しについての検討が開始されています。制度見直しの背景には、現行の出産育児一時金制度に対する当事者からの指摘があります。部会の議論では、出産育児一時金の引き上げが行われるたびに、医療機関側も出産費用を値上げする傾向があり、結果として妊婦の負担軽減につながっていないという意見が示されました。この構造的な課題を解決するため、給付方式の抜本的な見直しが必要とされています。見直しの目的は、妊婦が経済的負担を心配せずに安心して出産できる環境を整備することです。具体的には、標準的なケースで妊婦の自己負担が発生しない仕組みへの転換を目指しています。この転換により、出産費用の高額化に伴う不安を解消し、子供を産みたいと考える人々への支援を強化します。給付体系見直しの2つの主要論点部会では、給付体系見直しに関する2つの主要論点が提示されました。第一の論点は、給付方式の在り方についてです。現在の出産育児一時金は現金給付の仕組みですが、これを標準的なケースで妊婦の自己負担が発生しないような給付方式に転換することが検討されています。給付方式の転換では、現物給付化が一つの選択肢として議論されています。部会での意見では、現金給付から現物給付への移行により、出産費用の直接的な支援が可能になるという指摘がありました。現物給付化により、医療機関への支払いを医療保険制度が直接行う仕組みとなり、妊婦の経済的負担が軽減されます。第二の論点は、給付の内容についてです。出産費用には地域差や施設差が存在する現状があり、これらの差異に配慮した給付内容の設計が求められています。また、産科医療機関の経営状況も踏まえた検討が必要とされています。給付内容の検討では、標準的な出産費用の範囲をどう定めるか、その後の検証をどのように行うかという点も議論の対象となっています。標準的な出産費用の範囲設定における課題標準的な出産費用の範囲設定は、給付体系見直しにおける最も重要な検討課題の一つです。部会での議論では、負担とのバランスを考慮しながら、今後報告される出産費用に関するさらなるデータを踏まえて検討を進める必要性が指摘されました。範囲設定では、妊婦が十分な情報に基づいて出産に関する自己決定を行える環境整備が前提となります。部会では、出産にかかる費用とサービスの関係が不明確であるという妊産婦からの声が紹介されました。この課題に対応するため、出産費用の見える化をより一層進めることが求められています。見える化により、妊婦は提供されるサービスの内容とその費用を明確に理解でき、納得感のある選択が可能になります。標準的な出産費用には、地域差と施設間格差への対応という2つの論点があります。地域による医療資源の違いや、施設ごとの設備・人員体制の差異が出産費用に影響を与えています。また、無痛分娩などの妊婦のニーズが高いサービスを標準の範囲に含めるかどうかも議論の対象です。無痛分娩については、リスクやデメリットもあるため、まず安全に提供できる体制整備が必要であり、慎重な検討が求められるという意見が示されました。産科医療機関の経営実態と周産期医療体制の維持給付体系の見直しにおいて、産科医療機関の経営実態への配慮は極めて重要な検討事項です。日本医師会総合政策研究機構の調査によれば、2022年度の産科医療機関の経常利益では赤字施設が全体の41.9%を占め、2023年度には42.4%へと拡大しています。この経営悪化の背景には、少子化の進行と物価高騰があります。地域の周産期医療を支えているのは一次施設です。一次施設は、正常分娩を取り扱う診療所や病院を指します。部会での議論では、一次施設が機能しなくなれば、お産難民が今以上に増加するという懸念が示されました。そのため、制度設計では一次施設を守るという観点が最優先されるべきとの意見が複数の委員から出されています。現在、分娩を取り扱う一次施設の減少により、三次施設にローリスクの妊産婦が集中する状況が生じています。三次施設とは、ハイリスク妊娠や重症新生児に対応する総合周産期母子医療センターです。この集中により、三次施設では人員確保や病床確保が困難になっています。制度設計では、地域の一次施設を守り、拙速な集約化を招かないよう、特に丁寧な検討を進める必要があります。妊産婦の多様なニーズへの対応と選択の保障新たな給付体系では、妊産婦の多様なニーズに対応し、選択を制限しない仕組みが求められています。部会での議論では、出産に関しては医療的な安全確保とともに、助産師による助産ケアを通じて妊産婦の不安を軽減することが重要であるという指摘がありました。妊産婦の選択を保障するためには、出産費用とサービス内容の関係を明確にする必要があります。検討会のヒアリングでは、何のために費用を払っているのか、なぜ病院ごとに費用が違うのかが当事者には分からないという声が上がっていました。この情報の非対称性を解消するため、出産費用の見える化を前提とした制度設計が求められています。妊産婦の多様なニーズには、助産所における出産や無痛分娩など、様々な出産スタイルへの希望が含まれます。部会では、助産所における出産を含め、全ての出産の場が新たな枠組みの中に適切に位置づけられることへの期待が示されました。また、WHO(世界保健機関)が推奨するエビデンスに基づいた産痛緩和ケアを標準の範囲に含める方向での検討も提案されています。ただし、こうしたサービスの標準化にあたっては、安全性の確保と体制整備が前提条件となります。税と保険料の役割分担と財源確保の課題給付体系の見直しでは、税と保険料の性格の違いを踏まえた財源確保の議論も重要です。部会では、限りある保険医療財政を踏まえ、それぞれの目的に応じた施策を検討していくべきという意見が示されました。財源確保の議論では、周産期医療提供体制の確保という課題をどう位置づけるかが論点となっています。一部の委員からは、周産期医療提供体制の確保は国としての体制整備の問題であり、出産に対する給付体系の見直しとは切り離して別途解決を図るべきという意見が出されました。この意見は、産科医療機関の経営支援と妊婦の負担軽減を別の政策として整理すべきという考え方を示しています。保険料を負担する被保険者の納得感も重要な検討事項です。標準的な出産費用の範囲を設定する際には、保険診療の考え方や保険料負担者の理解が得られる内容とする必要があります。部会では、こうした観点も念頭に置いて議論を深めていくべきという指摘がありました。また、出産費用の自己負担無償化が子育て支援策なのか、出産費用の負担抑制策なのかについても整理が必要という意見が示されています。今後のスケジュールと制度施行に向けた検討プロセス医療保険部会における今後の議論の進め方は、段階的なアプローチが採用されています。令和7年冬頃までの議論では、給付体系の骨格の在り方について整理することを目指しています。この骨格には、給付方式と給付内容の基本的な枠組みが含まれます。給付体系の骨格が固まった後、産科臨床現場で行われる個々の対応についての具体的な当てはめなど、個別具体的な内容については制度施行に向けてさらに議論を深める予定です。このように、まず大枠を決定し、その後に詳細を詰めていくという二段階のプロセスが採用されています。検討プロセスでは、出産費用に関するさらなるデータの報告も予定されています。これらのデータは、標準的な出産費用の範囲設定や地域差・施設差への対応策を検討する際の基礎資料となります。データに基づいた議論により、実態を踏まえた制度設計が可能になります。最終的に令和8年度を目途として、産科医療機関等の経営実態等にも十分配慮しながら、標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計が完成する見込みです。まとめ第204回社会保障審議会医療保険部会では、医療保険制度における出産支援強化の方向性が示されました。制度見直しの焦点は、給付方式の転換と給付内容の設定という2つの論点です。令和7年冬頃までに給付体系の骨格をとりまとめ、令和8年度を目途に標準的な出産費用の自己負担無償化を実現する方針です。制度設計では、妊婦の経済的負担軽減と産科医療機関の経営実態への配慮、特に一次施設の維持という課題の両立が求められています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
OTC類似薬の保険給付除外に9つの患者団体が反対表明【第204回医療保険部会】
2025年11月20日に開催された第204回社会保障審議会医療保険部会において、OTC類似薬の保険給付の在り方について患者団体からのヒアリングが実施されました。厚生労働省がOTC類似薬を保険給付の対象から外すことを検討している背景には、医療費の適正化があります。この提案に対し、患者の立場から具体的な懸念と問題点を提示する必要性が生じました。3つの患者団体グループ(合計9団体)がOTC類似薬の保険給付除外に反対する意見を表明しました。全国がん患者団体連合会は、がんや難病患者がOTC類似薬を長期継続使用している実態と、保険適用除外による数十倍の負担増を指摘しました。7つのアレルギー関連団体(一般社団法人アレルギー及び呼吸器疾患患者の声を届ける会、認定NPO法人日本アレルギー友の会など)は連名で、難治・重症アレルギー患者への影響と国民皆保険制度の理念との矛盾を提起しました。ささえあい医療人権センターCOMLは、OTC類似薬の範囲設定の困難さと医療用医薬品とOTC医薬品の違いを明らかにしました。全国がん患者団体連合会が指摘する4つの影響と代替案の提示全国がん患者団体連合会は、OTC類似薬を保険給付の対象から外すことによる4つの重大な影響を指摘しました。同団体は、がんや難病患者がアセトアミノフェン、ロキソニンテープ、酸化マグネシウムなどのOTC類似薬を日常的に、あるいは長期にわたり継続して使用している実態を示しました。第一の影響は、患者負担の大幅な増加です。保険給付から外れると、メーカー希望小売価格と比較した場合には数十倍の負担増となります。市場価格の最安値と比較した場合でも、過重な負担増となる可能性があります。第二の影響は、各種医療費助成制度の対象外になることです。保険給付から外れると、高額療養費、指定難病患者への医療費助成、こども医療費助成、小児慢性特定疾病児童等への医療費助成など、各種の医療費助成の対象とならなくなります。第三の影響は、医療機関への受診機会の喪失です。負担増により、医療機関への受診機会の喪失、あるいは遅延が生じ、健康被害が生じる可能性があります。第四の影響は、処方シフトの問題です。患者負担割合はより安価であるが、薬価がより高い薬剤が処方されるようになる可能性があります。代替案として、同団体は具体的な提案を行いました。どうしても見直しが必要な場合には、公的な保険給付の対象から外すのではなく、患者の自己負担割合を変更する対応を検討すべきであると提案しました。この方法であれば、公的な薬価が維持され、患者の負担増は一定程度抑えられ、高額療養費や各種の医療費助成の対象であることも維持され、医療機関への受診機会も確保される可能性があります。ただし、患者の自己負担割合の変更でも、患者の負担増となることは避けられず、処方シフトなどの問題が生じる可能性も依然として残ります。7つのアレルギー関連団体が連名で懸念を表明7つのアレルギー関連団体は連名で、OTC類似薬の保険適用除外が国民皆保険制度の理念に反する可能性を指摘しました。提出団体は、一般社団法人アレルギー及び呼吸器疾患患者の声を届ける会、認定NPO法人日本アレルギー友の会、NPO法人環境汚染等から呼吸器病患者を守る会、NPO法人アレルギーを考える母の会、NPOアレルギー児を支える全国ネット「アラジーポット」、NPO法人ピアサポートF.A.cafe、NPO法人アレルギーの正しい理解をサポートするみんなの会です。これらの団体は、国民皆保険制度は社会全体で医療費を分担する仕組みであり、経済的な理由で医療を受けられない人を減らすという理念のもとに成り立っていることを強調しました。難治・重症アレルギー患者への深刻な影響が予想されます。喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患は、標準治療のもとで多くの患者が症状をコントロールできるようになっています。しかし、一部の難治・重症患者は高額な生物学的製剤などを長期にわたって使う必要があり、医療費の増加は治療継続を困難にし、生活や就業に深刻な影響を及ぼします。子どものアレルギー治療における家計負担の増加も重大な問題です。OTC類似薬の保険適用除外は、特に子どものアレルギー治療において家計に大きな負担を強いることになります。この負担増は、子どもの健全な成長や家庭生活に悪影響を及ぼす可能性があります。具体的な懸念として、ステロイド外用薬の問題があります。アトピー性皮膚炎治療の標準治療であるステロイド外用薬は、効果の強度により5段階に分類されています。現在は医師が症状の重症度を判定し、適切な薬を処方していますが、薬局で購入する場合、強度を認識せずに使用して副作用が出たり、症状に対して弱すぎるために効果が出ず、炎症が持続して重症化してしまう可能性があります。これらの団体は3つの要望を提出しました。高額療養費制度の自己負担限度額引き上げは、家計への影響を考慮し、治療継続が可能となるよう見直すことです。OTC類似薬の保険適用除外は、アレルギー疾患の標準治療に使われる薬剤・保湿剤には適用しないことです。制度改正にあたっては、患者の声を適切に反映することです。ささえあい医療人権センターCOMLが提起する制度設計上の課題ささえあい医療人権センターCOMLは、OTC類似薬の範囲を病名や病状で線引きすることの困難さを指摘しました。同団体は、医療用医薬品とOTC医薬品では効能・効果のみならず、成分や用量が異なるなかで「OTC類似薬」と一括りに判断できないこと、しかも患者にはその違いや判断ができないことを明らかにしました。医師の診療上の判断への影響も懸念されます。他の疾患との関連で使用している医薬品の場合、一部が保険外になることで医師の診療上の判断が適切にできない場合も生じかねません。医師の管理下を離れることで、患者が自己判断で量や服用頻度などを変える可能性もあります。配慮すべき対象の範囲の問題もあります。「こどもや慢性疾患、低所得者に配慮」すれば対象は激減し、特に慢性疾患患者が多いことから本来の目的を果たせない改革になる可能性があります。「近隣に薬局がない」「インターネットで購入できない高齢者」など、購入の利便性の地域差・個人差もあります。同団体は、混在している議論を整理する提案をしました。医療用医薬品の代わりにOTCを患者に購入してもらう案では、患者が使用するのはOTCであり、医師の管理下を離れ、成分や用量が異なる、利便性の差があるなど問題が多いと指摘しました。OTCにもあるような医療用医薬品の保険負担を検討する案では、患者が使用するのは医療用医薬品であり、医師の管理下で安全は保たれますが、OTC類似薬を10割負担にすると患者負担が重くなりすぎるため、追加負担を求めるとしても患者負担が重くなりすぎないように配慮が必要であると提案しました。医師の判断で医薬品を処方せず患者がOTC薬を購入することになると、費用が高くなるので購入しない患者が出て「治療」が成立しなくなり、症状悪化でさらに高い医療費が必要な治療が必要になる可能性があります。ほかに医薬品を使用している場合の飲み合わせや相互作用の判断ができない問題もあり、現在のドラッグストアの薬剤師や登録販売者の実態では対応不可能ではないかという懸念も示しました。まとめ3つの患者団体グループ(合計9団体)は、OTC類似薬の保険給付除外について、患者への重大な影響と制度設計上の課題を指摘しました。全国がん患者団体連合会は数十倍の負担増と医療費助成対象外になる問題を、7つのアレルギー関連団体は連名で国民皆保険制度の理念との矛盾と子どもへの影響を、ささえあい医療人権センターCOMLは範囲設定の困難さと医師の管理下を離れる問題を提起しました。今後の医療保険部会での議論において、これらの患者の声がどのように反映されるかが注目されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
マイナ保険証の利用率が37%超に|12月の経過措置終了に向けた対応を解説
令和7年11月13日に開催された第203回社会保障審議会医療保険部会において、マイナ保険証の利用促進等に関する報告が行われました。本報告では、マイナ保険証の利用状況、12月1日の経過措置終了に向けた対応、国民と医療機関への周知活動の3点が示されました。マイナ保険証の利用率は令和7年10月時点で37.14%に達し、レセプト件数ベースでは44.40%を記録しました。12月1日には全保険者で発行済みの健康保険証が利用できる経過措置が終了するため、国民への登録促進と医療機関への運用体制整備が急務となっています。厚生労働省は多様な媒体を通じた周知活動を展開し、円滑な移行を目指しています。マイナ保険証の利用状況と直近の実績マイナ保険証の利用状況は着実な増加傾向を示しています。令和7年10月のオンライン資格確認の利用件数は総計2億7,460万件に達し、このうちマイナ保険証による利用は1億199万件でした。利用率は37.14%となり、前月から1.52ポイント上昇しました。オンライン資格確認の利用件数を施設類型別に見ると、医科診療所が最も多く1億1,572万件を記録しました。薬局は1億1,151万件、病院は2,334万件、歯科診療所は2,401万件と続いています。マイナ保険証の利用率は施設類型により差があり、病院では57.00%と高い水準に達する一方、医科診療所は36.17%、薬局は31.22%となっています。レセプト件数ベースの利用率は、実際に医療機関を受診した人数に基づく指標として重要です。令和7年9月時点でのレセプト件数ベース利用率は44.40%に達し、前月から1.23ポイント上昇しました。レセプトの枚数は受診月から2か月遅れの数字となるため、10月分の実績は12月に判明する予定です。この利用率は令和6年1月の3.99%から継続的に上昇しており、マイナ保険証が着実に浸透していることが確認できます。診療情報等の閲覧状況も活用が進んでいます。令和7年10月には、特定健診等情報が3,070万件、薬剤情報が2,292万件、診療情報が5,936万件閲覧されました。医療機関や薬局が患者の過去の診療情報を活用することで、より質の高い医療提供が可能になっています。12月の経過措置終了に向けた対応令和7年12月1日をもって、全保険者で発行済みの健康保険証が利用できる経過措置が終了します。経過措置終了後は、マイナ保険証が医療機関での資格確認の基本となるため、国民と医療機関の双方に準備が求められています。経過措置終了後の資格確認方法には3つの選択肢があります。第一に、資格確認書による確認です。資格確認書は保険者から発行される書面で、マイナ保険証を持参できない場合に利用できます。第二に、マイナ保険証と「資格情報のお知らせ」の組み合わせによる確認です。第三に、マイナ保険証とマイナポータルの資格情報画面の組み合わせによる確認です。医療機関はこれらの方法で適切に資格確認を行う必要があります。被用者保険の加入者約7,700万人については、12月1日に健康保険証の有効期限が切れます。厚生労働省は、被用者保険の保険者が活用できるリーフレットを作成し、マイナ保険証のメリットや健康保険証の有効期限、利用登録状況の確認方法、電子証明書の有効期限等について周知しています。保険者を通じた周知活動により、加入者への情報伝達を強化しています。医療機関と薬局には、マイナ保険証を基本とした運用への移行準備が求められています。受付窓口における患者の動線や職員体制の確認、顔認証付きカードリーダーの不具合対応、マイナ保険証で資格確認ができない場合の請求方法など、具体的な運用面での準備が必要です。厚生労働省は、医療機関と薬局向けに詳細なガイドラインを提供し、円滑な移行を支援しています。周知広報の取り組みと今後の展開厚生労働省は、マイナ保険証への円滑な移行を目的として、多様な媒体を通じた周知活動を展開しています。周知活動は、継続的に実施しているもの、現在実施中のもの、今後実施予定のものの3段階に分類されています。継続的に実施している周知活動には、医療機関と薬局向けの取り組みと国民向けの取り組みがあります。医療機関と薬局向けには、支払基金から各施設への周知メールの配信、毎月のオンライン請求時のポップアップ画面表示、受診方法や電子証明書の有効期限に関するリーフレットの作成と周知を行っています。国民向けには、自治体への周知広報物の配布、厚生労働省ホームページでのリーフレットとポスターの掲載、SNSによる周知を継続しています。現在実施中の周知活動では、より幅広い層への情報伝達を目指しています。厚生労働省作成の12月の切替えに関するリーフレットを保険者を介して周知依頼し、各種縦型動画をYouTubeでショート動画として配信しています。LINE広告での周知も実施しており、多くの国民にリーチする体制を整えています。健康保険組合連合会による広報として、「私たちをもっと守る、マイナ保険証」のテレビCMやデジタル広告も展開されています。今後実施予定の周知活動として、11月中旬には医療機関と薬局向けに今後の資格確認方法などに関するオンラインセミナーを実施します。11月下旬には、国民向けに12月以降の資格確認方法等に関する記者勉強会を開催します。12月初旬にはYahoo!バナー広告を展開し、12月中旬には医療機関と薬局向けに資格確認方法に関するポスターなどを郵送します。段階的な周知活動により、移行期における混乱を最小限に抑える方針です。まとめマイナ保険証の利用率は37.14%に達し、レセプト件数ベースでは44.40%を記録しました。12月1日には全保険者で発行済みの健康保険証が利用できる経過措置が終了するため、国民への登録促進と医療機関への運用体制整備が急務となっています。厚生労働省は継続的な周知活動、現在実施中の施策、今後実施予定の取り組みを通じて、マイナ保険証への円滑な移行を支援しています。医療機関と国民の双方が適切な準備を行うことで、デジタル化された効率的な医療提供体制の実現が期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
医療機関の業務効率化・職場環境改善:2040年に向けた4つの論点
令和7年11月13日に開催された第203回社会保障審議会医療保険部会において、医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する論点が議論されました。2040年に向けて高齢者人口がピークを迎える一方、15歳~64歳人口が減少する中、医療従事者の確保はますます困難となることが見込まれます。厚生労働省は2019年に「医療・福祉サービス改革プラン」をとりまとめており、2040年時点で単位時間当たりのサービス提供を5%(医師は7%)以上改善することとしています。この状況を踏まえ、医療界全体での実効ある取組を進めるための制度的枠組みが検討されています。本稿では、業務のDX化推進、タスク・シフト/シェアの推進、医療従事者の養成体制確保、環境整備という4つの論点について、現状認識、具体的な取組、今後の方向性を説明します。DX化については、省力化投資促進プランに基づく先進的医療機関の事例と支援策の必要性を示します。タスク・シフト/シェアについては、看護師の特定行為研修制度とオンライン診療の活用を取り上げます。養成体制については、遠隔授業やサテライト化の活用を紹介します。環境整備については、医師の時間外労働削減目標と看護職員の超過勤務時間削減目標に基づく賃上げの実施と多様な働き方の推進を述べます。業務のDX化推進:省力化投資促進プランに基づく取組業務のDX化については、2025年6月に策定された「省力化投資促進プラン(医療分野)」に基づき、医療界全体での取組が求められています。現状では、物価や賃金の上昇等の影響で投資を行う余力がない医療機関がある一方、先進的な医療機関が成果を上げています。先進的医療機関では、ICT機器の導入や生成AIサービスの活用によって、文書や記録作成等の業務を効率化し、超過勤務時間の減少や職場満足度の向上といった結果につなげています。省力化投資促進プランでは、看護業務の効率化に資する機器等の導入支援、医師の労働時間短縮に資する機器等の導入支援、医療DXの推進のための情報基盤の整備を多面的な促進策として掲げています。目標として、省力化機器を導入している医療機関数の増加、AMED事業による医療機器等の研究開発支援における採択課題数の増加、電子カルテ情報共有サービスの普及が設定されています。サポート体制の整備として、省力化投資を通じた看護業務効率化のためのサポート体制、看護師養成におけるDX促進のための支援、省力化投資を通じた勤務環境改善のためのサポート体制が用意されています。先進的医療機関の取組をさらに加速化させるとともに、業務効率化に取り組む医療機関の裾野を広げるために、支援や制度的枠組みの整備が必要です。医療部会では、業務効率化を実現した場合の人員配置基準の緩和を検討すべきとの指摘がありました。人員配置基準が医療従事者確保の足かせになっているならば、見直しや緩和を検討すべきとの意見が示されています。医療機関が適正な価格でICT機器等を導入できるような環境整備も重要であり、医療機関の経営を圧迫することなく、現場で使いこなしていけるように、国や自治体による支援体制のさらなる構築が求められています。タスク・シフト/シェアと人材確保:時間外労働削減の数値目標タスク・シフト/シェアについては、医師の働き方改革に関する具体的な数値目標が設定されています。2024年4月から医師の時間外労働に関する上限規制が施行されており、地域医療確保暫定特例水準適用医師の時間外労働の目標時間数は、現状の上限1,860時間から2029年度までに上限1,410時間へと削減することが目標とされています。看護職員の月平均超過勤務時間については、現状5.1時間から2029年度までに2027年度比で月平均超過勤務時間の減少を目指すこととされています。看護師の特定行為研修制度については、本年9月に「看護師の特定行為研修制度見直しに係るワーキンググループ」が設置され、見直しに向けた議論が開始されました。特定行為研修を修了した看護師の活躍促進に向けて、どのような取組が必要かが検討されています。医師の働き方改革の推進に伴い、タスク・シフト/シェアの取組を進めてきていますが、これまでの取組の定着化が必要です。医療職一人一人が専門性を十分に発揮できるよう、タスク・シフト/シェアやチーム医療に加えて、多職種連携も促進する必要があります。医療の質や安全の確保を前提に、医療従事者の業務効率化という観点から、オンライン診療などを適切に普及・推進することも重要です。いわゆる「D to P with N」等によるオンライン診療を推進するためにどのような対応が考えられるかが議論されています。医療従事者でなければできない患者への直接的なケアやコミュニケーションに時間を割くためにも、AIやICTの活用、DXを積極的に進めるべきとの意見が示されています。限られた人材で安全かつ効率的な医療を提供するためには、タスク・シフト/シェア、ICTの活用、多職種連携等が不可欠です。医療従事者の養成体制確保:地域の実情に応じた環境整備地域における医療従事者の養成体制の確保については、養成校の定員充足率の低下傾向と18歳以下人口の減少が課題です。多くの医療関係職種の養成校の定員充足率は低下傾向にあり、今後、地域によっては18歳以下人口の減少が急激に進むところもあります。医療関係職を目指す若者が地域において必要な教育を受けられる体制を安定的に確保することが必要です。養成体制の安定的確保のために、多様な学び手のニーズを踏まえた学習環境の整備が求められています。養成校における遠隔授業の活用、地域や養成校の実情に応じたサテライト化の活用など、柔軟な対応が必要です。実際に、沖縄県名護市の北部看護学校では、学校設置者変更により2026年4月に公立大学法人名桜大学附属北部看護学校として公立化される予定であり、学費の負担軽減、教育環境の充実、地域への貢献などが期待されています。医療従事者の需給の状況を見通しつつ、都道府県等が養成体制の確保のために講ずることが考えられる施策のメニューを整理していくことも重要です。地域の実情に応じた多様な施策を用意することで、医療従事者の安定的な供給を図ることができます。看護師養成におけるDX促進のための支援など、時代に即した取組も進められており、省力化投資促進プランのサポート体制の一環として位置づけられています。環境整備と支援体制:賃上げと多様な働き方の推進医療従事者の確保に資する環境整備については、賃上げの継続実施と多様な働き方の推進が重要です。15~64歳人口の減少が急激に進む地域では、医療機関等における医療従事者の確保が難しくなるほか、医療から他産業への人材流出が進んでいるとの指摘があります。2017年から2019年当時と比べ、医療従事者の不足状況は悪化しているとともに、新型コロナウイルス感染症等による医療需要の動向の変化や、物価や賃金の上昇など、医療機関をとりまく状況はさらに変わってきています。現在の医療従事者が医療の現場に定着し、今後も就業者が安定的に医療分野に参入する環境の整備が必要です。他産業と遜色ない賃上げを継続的に実施できるようにするとともに、医療水準を維持しつつ、より少ない人員でも必要な医療が提供できる環境整備を進める必要があります。省力化に伴う生産性の向上を、賃金の増加に的確に結びつけていくことも重要です。働き方改革については、時間外労働の上限規制だけでなく、多様な働き方の選択肢を導入して、担い手を増やす取組を進めていくべきとの意見が示されています。医療勤務環境改善支援センターによる支援体制の活用も重要です。医療勤務環境改善支援センターは、医療従事者の勤務環境改善を促進するための拠点として、各都道府県が設置しています。医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーが配置され、医療機関からの相談に応じて、勤務環境改善や医師の働き方改革の取組を支援しています。医療機関に対するアンケート調査の実施、多職種による意見交換会の実施、タスク・シフト/シェアやICTの導入等に関する助言など、多様な支援が提供されています。医師に関する適切な労務管理に関する助言、副業・兼業、研鑽、宿日直許可取得後の適切な労務管理等の支援も行われています。まとめ第203回社会保障審議会医療保険部会では、医療機関の業務効率化・職場環境改善の推進に関する4つの論点が議論されました。業務のDX化については、2025年6月に策定された省力化投資促進プランに基づき、先進的医療機関の取組を医療界全体に広げるための支援や制度的枠組みが必要です。タスク・シフト/シェアについては、2024年4月から施行された医師の時間外労働上限規制に基づき、地域医療確保暫定特例水準適用医師の時間外労働を現状1,860時間から2029年度までに1,410時間へ削減すること、看護職員の月平均超過勤務時間を現状5.1時間から2029年度までに削減することが目標とされています。医療従事者の養成体制については、遠隔授業やサテライト化の活用など、多様な学び手のニーズを踏まえた環境整備が求められています。環境整備については、賃上げの継続実施と多様な働き方の推進、医療勤務環境改善支援センターの活用が重要とされています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
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こんにちは✋ ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」を2005年に開設し、自作タスク管理ツール「タスクシュート」を1998年から使い続けている大橋 悦夫(おおはしえつお)です。 2000年から「ひとり事業家」として活動しており、現在は個人事務所と一般社団法人タスクシュート協会の2社を経営しています。 このstand.fmでは「シゴタノ!キャストfm」と題して仕事を楽しくする(楽しく実践する、楽しいものに変える)ことをモットーに日々の活動や考えていることをキャストしていきます🎙️ 🔊RSS:https://stand.fm/rss/5f43c313907968e29d026e7e 🐿️「LISTEN」上でこのポッドキャストの書き起こしが読めます。 https://listen.style/p/shigotanocastfm?fDKKYHls
加門の業務効率爆上げチャンネル
業歴15年の現役エンジニアの加門が、ITノウハウや業務工数9割削減実績をもとにIT関連の情報を発信。 ・人材採用の広告費でキャッシュが圧迫され続けている ・頑張っても頑張っても売上が上がらない ・売上は上がっても利益がなぜか下がってしまう ・残業ばっかりで従業員の退職が続いていしまう ・部下の教育やマネジメントといった重要な仕事ができない ・社長が頑張って頑張って、全然楽にならない ・折角IT導入をしたのに、効果を全く感じられない など、こういった思いをしている方へ ・生産性向上の秘訣 ・IT化のポイント ・ITやDX関係の裏側や闇 ・AI関連情報 ・業務効率化事例 といった情報を発信中✴️ 自己紹介 ━━━━━━━━━━━━━━ 『業務工数90%削減。働く人をハッピーに‼️』 ◻︎加門 和幸 株式会社 皆人(みなと)代表取締役 キャリア15年の現役エンジニア JAL・無印良品・KDDIなど開発プロジェクトにも参画 業務工数9割削減のITツール開発 ━━━━━━━━━━━━━━ ■【個別AIコンサル】受付中 ・生成AIの使い方が分からない ・誰に何を聞いたらいいか分からない ・ビジネスでどう使えばいいの? といった方向けにAIコンサルを実施しております。 ご希望の方はレター✉️ または公式LINEよりお気軽にご連絡ください↓↓↓ https://line.me/R/ti/p/%40799mnvvv ━━━━━━━━━━━━━━ ■時間と労力のかかる業務を数クリック完了 あなた専用の使いやすいITツールでデジタル化しませんか? 100%使いこなせるデジタル化を実現します。 個別無料相談のお申し込みの際は、公式LINEにお友達登録ください!↓↓↓ https://line.me/R/ti/p/%40799mnvvv ◻️実績👇 ▶︎ 2人で5日かけていた業務を10分に短縮‼️ ⇩他クライアント実績⇩ https://minato-ltd.co.jp/achivement/ ポッドキャストの書き起こしサービス「LISTEN」はこちら https://listen.style/p/kamon_standfm?DP5rtePo
思ったら即アウトプットするプログラマー
この番組はエンジニアの「もっさん」が日々思ったことを1トピック1エピソードでコンパクトに話す番組です。 ※ 2024/6/27に「みるみる積もる!積読術」からタイトル変更しました ●【Twitter @mossan_hoshi】 ●【Youtube @mossanhoshi7158】 ●【オライリー本サブスクについて】 https://zenn.dev/mossan_hoshi/articles/20230128_oreilly_learning ●【積読本リスト】 https://1drv.ms/x/s!AqxcPJT01sLlgdsJJ2-wA9mRn1dimA?e=uvyGdD ●【Zenn @mossan_hoshi】 ●【Qiita @mossan_hoshi】
エンジニアトーク「ROLE MODEL」
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