病院事務長が実務と経営の視点で語る、医療制度の最新動向。急性期〜回復期で幅広い部門を統括してきた経験をもとに、最新の令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈)や施設基準、医療DXの解説を音声で配信。経営層から現場の事務担当者まで、忙しい合間に「現場で使える知識」をアップデートできます。
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番組の魅力・推薦
【令和8年度改定】臓器移植実施体制確保加算とは|所定点数400%の新加算を解説
令和8年度診療報酬改定の個別改定項目に、「Ⅲ-5-5 難病患者等に対する適切な医療の評価-② 臓器移植手術に係る評価の新設」が盛り込まれました。臓器移植を担う施設は、いつ来るか分からない臓器提供の連絡に備え、365日対応可能なチームを維持しています。しかし、この待機体制そのものは、これまで手術料の中で正面から評価されてきませんでした。本稿では、新設される「臓器移植実施体制確保加算」について、新設の背景、加算の中身、実務上の押さえどころの3点を整理します。臓器移植実施体制確保加算は、臓器採取術及び臓器移植術の所定点数に400%を上乗せする、極めて大型の加算です。新設の背景には、移植実施施設が負う待機体制と緊急対応の負担があります。加算の対象は、肺・心・肝・膵・小腸・腎に係る採取術及び移植術です。算定には、臓器提供施設や臓器あっせん機関等と連携して当該手術を行うことが求められます。1. 新設の背景:移植実施施設が抱える「見えない負担」臓器移植実施体制確保加算が新設される背景には、移植実施施設の体制整備が持つ特殊性があります。中央社会保険医療協議会(中医協)は、この特殊性を「臓器移植施設の体制整備について」という論点として提示しました。以下では、その特殊性を、待機体制、人員投入、手術の緊急性という3つの側面から確認します。第1の側面は、年間の実施件数に比して過大な待機体制です。臓器移植の実施体制を有する大学病院等において、移植を担当する診療科の手術件数は多くとも年間30件程度にとどまります。それでも各診療科は、臓器あっせん機関からの連絡に備え、チームとして365日対応可能な体制を整えています。この体制維持コストは、実際に手術を行った回数だけでは回収できません。第2の側面は、1事例あたりの人員投入の大きさです。脳死症例発生の可能性に係る連絡を受けてから移植手術が終了するまで、10名程度の医師が約3日間業務に当たります。中医協資料では、1回の提供事例において1つの診療科から必要となる人員として、院内調整スタッフ(医師)2人、ドナー手術チーム(外科医)4人、レシピエント手術チーム(外科医)4人程度と提供臓器の処置を担当する外科医2〜3人が挙げられています。さらに、臓器搬送は原則として公共交通機関で行われるため、医師自身が臓器を運びます。摘出手術は深夜・未明に及ぶことが多く、事例の約6割で計13〜24時間の移動が発生します。第3の側面は、手術の緊急性がもたらす院内調整の困難です。移植手術は全例が緊急手術となります。しかも一般の緊急手術と異なり、移植手術チーム以外にも麻酔科医や手術室スタッフの確保が必要です。診療科の余剰人員だけでは対応できないため、定時手術との並列実施が難しく、定時手術が延期される例も発生しています。加えて、移植手術の開始時刻はドナー手術の時刻に左右されるため、移植実施施設の都合だけでは決められません。2. 加算の内容:対象患者・対象手術・算定要件・点数臓器移植実施体制確保加算は、対象患者、対象手術、算定要件、点数の4点で整理できます。対象患者は、臓器採取術又は臓器移植術を算定する患者です。対象手術は、K区分番号で個別に指定された採取術及び移植術です。算定要件は、臓器提供施設及び臓器あっせん機関等との連携です。点数は、当該手術の所定点数の100分の400に相当する点数です。対象手術は、K区分番号で個別に列挙されています。臓器別に整理すると、次のとおりです。* 肺:K514-3、K514-4* 心・心肺:K605からK605-4まで* 肝:K697-6、K697-7* 膵・膵腎:K709-2からK709-6まで* 小腸:K716-5、K716-6* 腎:K779-2、K780※臓器の区分は区分番号の系列に基づく整理です。各枝番の正式名称、及び生体由来か死体由来かの別は、診療報酬点数表でご確認ください。対象手術には、採取術と移植術の双方が含まれます。この点が、加算の設計思想をよく表しています。移植実施施設は、レシピエントへの移植術だけでなく、ドナー手術チームを提供施設へ派遣して採取術も担うためです。採取術と移植術を一体で評価することで、1つの提供事例に投入される人的資源の全体をカバーする形になっています。算定要件は、他機関との連携です。ここで注意したいのは、個別改定項目の中で連携先の書き方が2通りある点です。「第2 具体的な内容」は「臓器提供施設、臓器あっせん機関若しくは他の保険医療機関と連携して」と記載しています。一方、[算定要件]は「臓器提供施設及び臓器あっせん機関等と連携して」と記載しています。前者はいずれかとの連携で足りるとも読め、後者は双方との連携を求めるとも読めます。どちらの解釈が正しいかは、告示及び留意事項通知で確認する必要があります。移植医療は、提供施設、あっせん機関、移植実施施設の3者が役割を分担して初めて成立します。連携を要件に据えた点には、この分担構造を診療報酬上も明確に位置づける狙いがうかがえます。点数は、所定点数の100分の400です。つまり、加算額は当該手術の所定点数の4倍にあたり、加算を含めた合計は所定点数の5倍となります。仮に所定点数が10万点の手術であれば、加算だけで40万点が上乗せされる計算です。加算の水準としては大きく、移植実施体制の確保を重点的に後押しする趣旨がうかがえます。3. 実務上の押さえどころ:関連項目との関係と今後の確認事項臓器移植実施体制確保加算を正しく理解するには、関連する既存の評価との違いを押さえることが有効です。既存の評価には、脳死臓器提供管理料とDPCの体制評価指数があります。いずれも臓器「提供」側に着目した評価です。これに対して今回の加算は、臓器「移植」を実施する側の体制に着目します。脳死臓器提供管理料は、ドナーに対する脳死判定やコーディネート等の費用を包括的に評価する項目です。同管理料の請求はレシピエントに対して行われ、提供側の医療機関との分配は相互の合議に委ねられています。なお同管理料についても、今回の改定では「① 脳死臓器提供管理料の見直し」として、認定ドナーコーディネーターの配置や省令改正を踏まえた評価の見直しが予定されています。DPCの体制評価指数では、令和6年度改定において、法的脳死判定後の臓器提供の実績が評価されています。ただしこの評価も、臓器を提供した施設の実績を見るものです。移植を実施する側の待機体制を手術料に上乗せして評価する仕組みは、今回が新たな一歩となります。今後の確認事項は、例年どおりであれば3月に発出される告示及び留意事項通知です。個別改定項目の段階では、施設基準の有無、連携先の範囲、算定に当たって求められる記録の範囲までは示されていません。特に、前章で触れた連携先の書き方の違いは、算定可否に直結します。対象となる医療機関は、告示及び通知の内容を確認したうえで、連携の実態を診療録等にどう記録するかを事前に整理しておくことが望まれます。まとめ令和8年度診療報酬改定では、臓器移植実施体制確保加算が新設されます。新設の背景には、年間最大30件の手術のために365日体制を維持し、1事例に10名程度の医師を約3日間投入するという、移植実施施設の負担があります。加算の対象は、肺・心・肝・膵・小腸・腎に係る採取術及び移植術です。算定には、臓器提供施設や臓器あっせん機関等との連携が求められます。点数は所定点数の100分の400であり、加算の水準としては大きなものです。ただし連携先の範囲や記録の要否など、実務に直結する部分は告示及び留意事項通知を待つ必要があります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】脳死臓器提供管理料の見直し|3つの加算を新設
脳死下の臓器提供を取り巻く制度は、令和5年以降に大きく変わりました。しかし、脳死臓器提供管理料は包括的かつ一律の評価のままで、制度改正によって新たに必要となった業務や医療資源が反映されていませんでした。そこで令和8年度診療報酬改定では、個別改定項目Ⅲ-5-5「難病患者等に対する適切な医療の評価」の①として、脳死臓器提供管理料の評価が見直されます。本記事は、この見直しの背景と具体的な内容を、実務で使える形に整理してお伝えします。見直しの中身は、脳死臓器提供管理料への加算3種の新設です。第一の加算は、臓器提供に関する専門の知識を有する者が説明等を行った場合を評価する「脳死臓器提供体制向上加算」(5,000点)です。第二の加算は、法的脳死判定に当たって実施する脳血流の画像診断を評価するもので、3区分の点数を合算して加算します。第三の加算は、法的脳死判定日以後も継続して用いる補助循環装置等を評価するもので、8区分の点数を合算して加算します。見直しの背景:3つの制度改正が評価の前提を変えた見直しの背景には、臓器提供の実務を変えた3つの制度改正があります。1つ目はガイドラインの改正であり、院内の人材が担える業務の範囲を広げました。2つ目は令和5年の省令改正であり、脳血流消失の確認による臓器提供を可能にしました。3つ目は令和7年の省令改正であり、補助循環装置を使用したままの脳死判定を可能にしました。1つ目のガイドライン改正は、認定ドナーコーディネーターの役割を大きく前進させました。認定ドナーコーディネーターとは、臓器提供と移植に関する十分な知識を有し、家族の意思決定支援や説明・承諾取得、法的脳死判定の補助などを担う専門人材です。令和7年10月8日の「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)改正により、認定ドナーコーディネーターは臓器提供に関する説明・同意取得等を実施できるようになりました。この人材を院内に配置すれば、あっせん機関のコーディネーターの到着を待つ時間が不要になり、提供プロセスを約1〜2日短縮できると見込まれています。2つ目の省令改正は、脳死判定の補助検査に脳血流消失の確認を加えました。令和5年12月の改正により、眼球損傷や鼓膜損傷等で瞳孔所見や脳幹反射所見を確認できない症例でも、脳血流の消失を確認することで臓器提供が可能となりました。脳血流の消失は、CTアンギオグラフィや血管造影法等の画像診断で確認します。この検査の実施によって、2024年1月から2025年9月末までに6例の臓器提供が実現しました。3つ目の省令改正は、補助循環装置の使用下でも脳死判定を可能にしました。令和7年10月の改正により、脳死判定の前提条件である血圧の最低基準に平均動脈圧による測定が加わりました。従来は収縮期血圧のみでの評価が難しかった補助循環装置の使用者からも、これにより安全な臓器提供ができるようになりました。以上3つの改正で生じた業務と費用を評価に反映する目的で、今回の見直しが行われます。見直し①:認定ドナーコーディネーターによる説明・同意取得を評価第一の見直しは、臓器提供に係る説明等に対する「脳死臓器提供体制向上加算」(5,000点)の新設です。この加算は、臓器提供に関する専門の知識を有する者が臓器提供に係る説明等を行った場合に、所定点数へ加算します。個別改定項目の「具体的な内容」では、認定ドナーコーディネーターにより臓器提供に係る同意取得が行われた場合に加算を設けると記載されています。一方、算定要件の文言は「臓器提供に関する専門の知識を有する者」となっており、対象者の具体的な範囲は今後の通知等で確認する必要があります。想定される効果は、臓器提供を希望する意思の尊重です。認定ドナーコーディネーターが院内で説明と同意取得を担えば、家族の意思決定を専門的に支援できます。提供プロセスの短縮は、終末期における患者や家族の負担軽減にもつながります。参考として、中医協の資料には、急変により臓器提供を断念した事例が18例あったことが示されています(同資料の参考値として、令和6年度の脳死下臓器提供数は139例)。見直し②:法的脳死判定時の脳血流の画像診断を評価第二の見直しは、法的脳死判定に当たって実施する画像診断への加算の新設です。この加算は、次に掲げる画像診断を実施した場合に、各区分の点数を合算して所定点数へ加算します。ここでいう法的脳死判定とは、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する判定を指します。【画像診断の区分と点数】* イ 動脈造影カテーテル法 …… 1,920点* ロ シングルホトンエミッションコンピューター断層撮影(SPECT) …… 800点* ハ コンピューター断層撮影(造影剤を使用した場合) …… 720点見直し③:法的脳死判定後も継続する補助循環装置等を評価第三の見直しは、法的脳死判定日以後も継続して実施する手術への加算の新設です。この加算は、臓器提供者に法的脳死判定日以後も継続して次に掲げる手術を実施した場合に、各区分の点数を合算して所定点数へ加算します。対象は、補助循環装置等を用いた8つの区分です。【手術の区分と点数】* イ 大動脈内バルーンパンピング法(IABP法) …… 2,420点* ロ 人工心肺 …… 1,720点* ハ 体外式膜型人工肺 …… 1,720点* ニ 経皮的心肺補助法 …… 1,790点* ホ 経皮的循環補助法(ポンプカテーテルを用いたもの) …… 2,110点* ヘ 補助人工心臓 …… 2,860点* ト 小児補助人工心臓 …… 4,960点* チ 植込型補助人工心臓 …… 2,860点なお、見直し②と見直し③の加算には、個別改定項目の段階で加算名称が示されていません。名称や詳細な算定上の取扱いは、告示・通知等で確認してください。実務上の留意点:算定と請求の枠組みは従来どおり実務では、算定と請求の基本的な枠組みを現行の取扱いから確認しておく必要があります。以下は現行の留意事項通知に基づく整理であり、改定後の具体的な取扱いは通知等で改めて確認してください。押さえるべき点は3つあります。第一に算定する医療機関、第二に請求の相手方、第三に医療機関の間の費用分配です。第一に、脳死臓器提供管理料(K914)は、移植を行った保険医療機関が算定します。所定点数は現行で40,000点であり、今回の個別改定項目には所定点数そのものの変更は示されていません。算定できるのは、臓器の移植に関する法律第6条第2項に規定する脳死した者の身体から臓器の移植が行われた場合です。今回新設される3つの加算も、この所定点数に対する加算として算定します。第二に、費用の請求はレシピエント側に対して行います。ドナーに実施した脳死判定やコーディネート等の費用は、脳死臓器提供管理料として包括的に評価されているためです。臓器提供者の脳死後に臓器提供者の身体へ行われる処置の費用も、引き続き所定点数に含まれます。第三に、臓器提供施設と移植実施施設の間の分配は、相互の合議に委ねられます。診療報酬の請求は移植を行った保険医療機関が行うため、実際に管理を担った提供施設への配分は当事者間の取り決めによります。新設される加算の取扱いも同じ枠組みに沿うと考えられるため、合議の内容を見直す余地がないかを確認してください。まとめ:3つの加算で提供体制と医療資源を評価令和8年度診療報酬改定では、脳死臓器提供管理料に3つの加算が新設されます。1つ目は、臓器提供に係る説明等を評価する脳死臓器提供体制向上加算(5,000点)です。2つ目は、法的脳死判定に当たって実施する脳血流の画像診断を評価する加算です。3つ目は、法的脳死判定日以後も継続する補助循環装置等を評価する加算です。いずれもガイドライン改正と省令改正で変化した実務を評価へ反映するものであり、臓器提供を希望する意思の尊重と提供機会の確保を後押しします。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
オンライン精神療法に初診566点|令和8年度改定で要件はこう変わる
「情報通信機器を用いた精神療法の適切な実施に関する指針」が新たに策定されました。この指針は、一定の条件を満たす場合に初診のオンライン精神療法を可能としています。しかし現行の診療報酬は、初診のオンライン精神療法を評価の対象としていません。そこで令和8年度診療報酬改定は、個別改定項目「Ⅲ-5-4-⑱ 情報通信機器を用いた精神療法の見直し」で、指針に沿った初診を新たに評価します。本記事は、この⑱の改定内容を、点数・施設基準・維持される要件・実務対応の4点で整理します。今回の見直しの柱は、初診に対する評価の新設と、施設基準への時間外対応要件の追加です。第一に、通院精神療法「1のロの(1)」について、情報通信機器を用いた場合の566点が新設されます。第二に、施設基準に「休日及び保険医療機関の表示する診療時間以外の時間の対応等が可能な体制」が追加されます。第三に、3種類以上の抗うつ薬等を処方した場合の算定不可などの取扱いは、これまでどおり維持されます。1. 初診のオンライン精神療法に566点を新設改定案は、情報通信機器を用いた精神療法の対象に初診を加え、566点を新設します。現行の注12は、対象を「1のハの(1)の①又は(2)の①」に限っています。改定案の注12は、対象を「1のロの(1)若しくはハの(1)の①又は(2)の①」に広げます。この結果、算定できる点数は、それぞれ566点、357点、274点の3区分となります。566点の対象となる「1のロの(1)」は、初診に係る評価区分です。現行の対象である「ハ」は、点数表上「イ及びロ以外の場合」に当たる区分です。したがって今回の追加は、初診に対応する区分そのものを新たに対象へ加える見直しといえます。対象範囲を読む際は、次の3点に注意してください。第一に、注12が対象とするのはいずれも「1 通院精神療法」の枝番であり、「2 在宅精神療法」は対象に含まれません。第二に、現行のオンライン評価は「ハの(1)の①」のように枝番の①に対応しており、精神保健指定医による場合を評価する構造です。第三に、通院精神療法の区分そのものが同じ改定の「⑪ 通院・在宅精神療法の見直し」でも見直されるため、「ロの(1)」が具体的にどの類型を指すかは、改定後の点数表で確認する必要があります。⑱だけを読んで枝番を推測せず、⑪とセットで確認してください。566点は、対面で行った場合の所定点数に代えて算定します。この「代えて算定する」という構造は、現行の357点や274点と同じです。つまりオンラインで実施した場合には、対面の点数ではなく、置き換え後の点数のみを算定します。届出を行った保険医療機関でなければ算定できない点も、現行と変わりません。初診の対象患者は、指針が示す条件を満たす患者に限られます。指針は、オンライン初診精神療法の実施を、オンライン再診精神療法に十分な経験がある医師が診察することを前提としています。その上で対象を、行政が対応を行っている未治療者、治療中断者、ひきこもりの者等としています。さらに実施の条件として、医療機関と行政との連携体制の構築、診察時に患者の側に保健師等がいる状況、患者自身の希望を挙げています。どの患者にもオンライン初診を行えるわけではない、という点が最大の注意点です。ただし、ここで紹介した指針の内容は、中医協資料に添付された案(令和7年12月1日時点の未定稿)に基づきます。診療報酬上の対象患者や算定要件は、改定に伴う留意事項通知で確定します。実際の運用に当たっては、確定した指針と通知の双方を必ず確認してください。2. 施設基準に休日・時間外の対応体制を追加改定案は、施設基準を2項目に整理し、休日及び診療時間外の対応体制を追加します。現行の施設基準は、「情報通信機器を用いた精神療法を行うにつき十分な体制が整備されていること」の1項目だけです。改定案は、この1項目を(1)として維持します。その上で(2)として、「休日及び保険医療機関の表示する診療時間以外の時間の対応等が可能な体制が整備されていること」を新設します。追加される(2)は、指針が求める急変時の対応体制を診療報酬上の要件としたものです。指針は、患者が希望した場合や緊急時に、実施した医師自らが速やかに対面診療を行える体制を求めています。あわせて指針は、時間外や休日にも医療を提供できる体制での実施を望ましいとしています。ただし指針は、自院での時間外・休日対応が難しい場合の代替も認めています。地域の精神科病院と平時から十分な連携体制を確保し、その精神科病院が時間外・休日の対応を担う場合には、体制が確保されているものとみなされます。この施設基準の追加は、届出の実務に直接影響します。現行のオンライン精神療法は、届出医療機関数も算定回数も限定的な状況にあります。届出医療機関は、令和7年11月時点で病院と診療所を合わせて約150施設にとどまります。今回の見直しは、初診という新しい評価を用意する一方で、体制面の要件を1段階引き上げる内容といえます。3. 処方制限と加算の取扱いは変更なし改定案は、算定を制限する既存のルールを、そのまま維持します。第一に、1回の処方において3種類以上の抗うつ薬又は3種類以上の抗精神病薬を投与した場合は、算定できません。第二に、注3から注5まで及び注7から注11までに規定する加算は、別に算定できません。第三に、算定には地方厚生局長等への届出が必要です。これらの制限は、いずれも現行の注12から文言が変わっていません。多剤処方に係る制限は、指針が「向精神薬等の不適切な多剤・大量・長期処方は厳に慎む」と求めていることと対応します。初診が評価対象に加わっても、この2つの制限は初診にも同じように及びます。4. 医療機関が今から準備すべき3点医療機関は、届出・連携・体制の3点を確認しておくと、改定後に円滑に対応できます。第一に、施設基準の追加に伴う届出内容を確認します。第二に、行政との連携ルートを整理します。第三に、休日及び時間外の対応体制を確保します。第一の届出では、追加される施設基準(2)を満たせるかどうかを点検します。既に届出を行っている医療機関も、体制要件が2項目に増える点を踏まえた確認が必要です。これから届出を行う医療機関は、(1)の体制整備とあわせて(2)の対応体制を用意します。具体的な届出様式や経過措置は、告示・通知の発出後に確認してください。第二の連携では、保健所や自治体のアウトリーチ支援との接点をつくります。オンライン初診の対象は、行政が対応している未治療者、治療中断者、ひきこもりの者等です。この対象に届くためには、行政側から医療機関へつなぐ経路が欠かせません。診察時に保健師等が患者の側にいる状況をどう作るかを、事前に取り決めておくことが実務上の鍵になります。第三の体制では、自院対応と連携対応のどちらを選ぶかを決めます。自院で休日・時間外に対応できる医療機関は、その体制を明文化します。自院での対応が難しい医療機関は、地域の精神科病院との連携体制を平時から確保します。いずれの場合も、急変時に対面診療へ速やかに切り替える手順を、あらかじめ院内で共有しておきましょう。まとめ:条件付きの初診評価と体制要件の追加がセットで進む令和8年度診療報酬改定の⑱は、指針の策定を踏まえ、オンライン精神療法の要件を見直します。見直しの第一の柱は、初診に係る566点の新設です。第二の柱は、施設基準への休日・時間外対応体制の追加です。一方で、3種類以上の抗うつ薬等に係る処方制限や、加算の算定不可の取扱いは維持されます。初診の評価は限られた条件の下で認められるものであり、体制面の責任も重くなる改定である、と押さえておきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
「早期診療体制充実加算」が3区分に再編|令和8年度診療報酬改定の要点
令和8年度診療報酬改定は、精神科の外来診療を評価する早期診療体制充実加算を見直します。この加算は、現行では病院と診療所という施設類型ごとに点数を定めています。一方で、その施設基準が求める時間外診療や精神科救急医療の体制は、診療所の届出を伸び悩ませてきました。本稿は、早期診療体制充実加算の見直しについて、背景、改定内容、医療機関が取るべき対応の順に整理します。今回の見直しは、施設類型による2区分を、体制に応じた3区分へ再編します。3区分は早期診療体制充実加算1、2及び3であり、精神科を最初に受診した日から3年以内の点数を、それぞれ50点、20点、15点とします。施設基準は、精神疾患の早期発見等に必要な診療を行う体制の確保に加えて、休日及び診療時間外の対応が可能な体制の整備を求めます。休日及び診療時間外の対応は、自院だけでなく、連携体制を有する病院による対応も認めます。ただし、新設される加算3には現行の下限15点を下回る10点が置かれます。1. 見直しの背景:届出の伸び悩みと時間外要件の壁今回の見直しは、届出が伸び悩む実態と、その打開策としての連携を背景とします。早期診療体制充実加算は、精神疾患の早期発見と早期からの重点的な診療を評価する加算です。この加算の届出は、令和7年8月時点で病院185施設、診療所76施設にとどまります。届出が進まない理由は、時間外診療と精神科救急医療の体制に関する要件に集中しています。こうした要件のうち時間外の対応については、地域の精神科救急医療を担う病院との連携によって確保できるとの実態が示されました。早期診療体制充実加算は、精神疾患の早期発見と、質の高い継続的な診療体制を評価する加算です。この加算は、通院・在宅精神療法に上乗せする形で算定します。施設基準は、精神科救急医療の提供や時間外診療体制の確保、常勤の精神保健指定医の配置、30分以上又は60分以上の通院・在宅精神療法に係る診療実績などを求めています。この加算の届出は、病院で横ばい、診療所で低い水準にとどまっています。病院の届出は、令和6年8月も令和7年8月も185施設で変わりません。診療所の届出は、令和6年8月の32施設から令和7年8月の76施設へ増えました。ただし、病院の185施設と比べれば、なお少ない水準です。届出が進まない理由は、体制に関する2つの要件に集中しています。令和6年度改定の結果検証に係る特別調査によれば、届出を行わない診療所の59.9%が「時間外診療の提供に関する要件を満たすことが困難であるため」を挙げました。次いで多かったのは「精神科救急医療の提供に関する要件を満たすことが困難であるため」の53.6%です。なお、診療実績に関する要件は2つの選択肢に分かれており(31.4%と46.9%)、いずれか一方でも挙げた診療所は54.1%にのぼります。この時間外の要件は、病院との連携によって実質的に満たせるとの実態が中医協に示されました。自院の診療時間が平日日中のみである診療所も、救急患者の受け入れ等を行う病院と平時から情報共有を行っていれば、時間外にかかりつけ患者へ対応できる体制を構築しています。中医協は、この実態を踏まえ、地域の精神科救急医療提供体制を担う病院との連携体制を構築したうえで、入院患者の地域移行・地域定着等に積極的に取り組む診療所を評価対象に加えることを論点としました。連携体制の構築だけで評価対象になるとは示されていない点に注意が必要です。2. 改定内容①:評価を3区分に再編する改定案は、早期診療体制充実加算の評価を3区分に再編します。現行の区分は、病院と診療所という施設類型で点数を分けています。改定後の区分は、加算1、加算2及び加算3という3段階で点数を分けます。加算3は今回新設する区分であり、精神科を最初に受診した日から3年以内で15点、それ以外で10点とします。現行と改定案の点数は、次のとおりです。現行は、病院と診療所という施設類型で点数が分かれます。改定案は、加算1、加算2及び加算3という3段階で点数が分かれます。■ 現行(施設類型による2区分)* 病院の場合 … 3年以内:20点/3年超:15点* 診療所の場合 … 3年以内:50点/3年超:15点■ 改定案(体制に応じた3区分)* 早期診療体制充実加算1 … 3年以内:50点/3年超:15点* 早期診療体制充実加算2 … 3年以内:20点/3年超:15点* 早期診療体制充実加算3(新設) … 3年以内:15点/3年超:10点※「3年以内」は、当該保険医療機関の精神科を最初に受診した日から3年以内の期間を指します。この3区分は、いずれも「精神科を最初に受診した日から3年以内かどうか」で点数を分ける枠組みを維持します。早期の重点的な診療を手厚く評価するという加算の考え方は、今回の見直しでも変わりません。点数の水準だけを見れば、現行の診療所の50点が加算1に、現行の病院の20点が加算2に一致します。ただし、この一致は点数の数値が同じであることを意味するにすぎません。施設類型による区分が廃止される以上、病院が加算1を、診療所が加算2や加算3を届け出ることも制度上は起こり得ます。一方で、加算3(2)の10点は、現行にない低い点数です。現行の点数は病院・診療所とも下限が15点でした。今回の見直しは、評価の上限を変えずに、下限を10点まで広げる構造になっています。各区分に該当するための具体的な要件は、今後の告示及び通知で示されます。個別改定項目の資料も「評価を3つに分け、それぞれ要件を新たに設定する」と述べるにとどまり、加算1から3のどの区分にどの体制が対応するかを明示していません。また、資料が掲げる施設基準は告示レベルの記載であり、精神科救急医療の提供や診療実績といった詳細な要件は通知で定まります。届出を検討する医療機関は、告示及び通知の公表を待って区分を判断する必要があります。3. 改定内容②:施設基準に休日・時間外の対応体制を加える改定案は、施設基準に休日及び診療時間外の対応体制を追加します。現行の施設基準は、精神疾患の早期発見及び症状の評価等に必要な診療を行う体制の確保だけを定めています。改定後の施設基準は、この体制の確保を(1)として残したうえで、体制の水準に「十分」と「必要」の2段階を設けます。改定後の施設基準は、さらに(2)として、休日及び診療時間外の対応が可能な体制の整備を求めます。現行の施設基準は、1項目だけで構成されています。その内容は「精神疾患の早期発見及び症状の評価等の必要な診療を行うにつき十分な体制が確保されていること」です。改定後の(1)は、この体制を「十分又は必要な体制が確保されていること」と改めます。現行の「十分な体制」に「必要な体制」という水準が加わる形です。この書き分けは、加算1から3の区分ごとに求める体制の水準を変えるための表現と考えられます。改定後の(2)は、今回新設する要件です。その内容は「休日及び保険医療機関の表示する診療時間以外の時間の対応等が可能な体制が整備されていること」です。この要件は、休日や診療時間外にも患者へ対応できる体制の確保を、加算の前提として明確に位置づけます。この(2)は、体制を確保する主体を「当該保険医療機関又は連携体制を有する病院において」と定めています。つまり、自院が単独で時間外に対応できなくても、連携体制を有する病院が対応できれば要件を満たします。この連携による体制確保は、時間外診療の要件を最大の障壁としてきた診療所にとって、届出への道を開くものです。4. 医療機関が取るべき対応医療機関は、自院の体制を確認し、届出の区分を見極める準備を進める必要があります。現に届出を行う病院は、休日及び時間外の対応体制が新たな要件を満たすかを確認します。現に届出を行う診療所は、50点の区分を維持できるかを確認します。届出を行っていない診療所は、地域の病院との連携体制の構築を検討します。いずれの医療機関も、告示及び通知で区分ごとの要件を確認します。現に届出を行う病院は、休日及び時間外の対応体制を点検してください。施設類型による区分が廃止されるため、病院であることを理由に区分が決まることはなくなります。体制の充実度によっては、現行の20点を上回る加算1に届く場合も、加算3にとどまる場合もあり得ます。現に届出を行う診療所は、50点の区分を維持できるかを点検してください。現行の50点と同じ水準は、改定後の加算1です。診療実績や体制の要件がどの区分に割り当てられるかによって、算定できる区分は変わります。届出を行っていない診療所は、地域の病院との連携体制の構築を検討してください。改定後の施設基準(2)は、連携体制を有する病院による時間外対応を認めます。地域の精神科救急医療を担う病院と平時から情報共有を行う体制を整えることが、届出への第一歩になります。いずれの医療機関も、告示及び通知で区分ごとの要件を必ず確認してください。本稿で紹介した内容は、中医協の個別改定項目に示された改定案に基づくものです。区分ごとの具体的な施設基準や算定上の留意事項は、今後公表される告示及び通知で確定します。まとめ令和8年度診療報酬改定は、早期診療体制充実加算を施設類型による2区分から体制に応じた3区分へ再編します。3区分の点数は、精神科を最初に受診した日から3年以内で、加算1が50点、加算2が20点、加算3が15点です。施設基準には、休日及び診療時間外の対応が可能な体制の整備が新たに加わります。この対応は連携体制を有する病院によるものでも認められ、時間外診療の要件を障壁としてきた診療所にも届出の道が開かれます。他方で、加算3(2)の10点は現行の下限15点を下回る新しい水準であり、体制によっては現行より低い評価となる点に注意が必要です。区分ごとの具体的な要件は、今後の告示及び通知で確認してください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
児童思春期支援指導加算が2区分へ|令和8年度改定で月平均4人から届出可能に
令和6年度診療報酬改定は、20歳未満の精神疾患患者を多職種で支える体制を評価するため、通院・在宅精神療法に児童思春期支援指導加算を新設しました。しかし、この加算の届出は全国で伸び悩んでいます。届出医療機関が3施設以下の県は16県にのぼり、未届の理由としては医師や多職種の配置の困難とともに患者数の少なさが挙げられました。そこで令和8年度診療報酬改定は、児童思春期の精神疾患患者の受入体制をさらに確保する観点から、同加算の要件と評価を見直します。本稿は、この見直しの内容を、改定前後の対比と届出実務の視点から整理します。見直しの柱は、実績要件の水準に応じて加算を2区分に細分化した点にあります。第一に、改定案は従来の1区分を児童思春期支援指導加算1と児童思春期支援指導加算2に分けます。第二に、加算1は従来と同じ「過去6か月間の初診20歳未満患者が月平均8人以上」を実績要件とし、点数を全区分で引き上げます。第三に、加算2は「過去3か月間の初診20歳未満患者が月平均4人以上」を実績要件とし、加算1より低い点数を設定します。第四に、医師と多職種の配置要件および研修要件は、加算1と加算2で共通です。以下、この4点を順に解説します。1. 見直しの背景:届出が伸び悩む実態見直しの背景には、新設から間もない児童思春期支援指導加算が、地域によってはほとんど広がっていない実態があります。厚生労働省保険局医療課の調べ(令和7年8月1日時点)によると、届出医療機関が3施設以下にとどまる県は16県に達しました。つまり、加算の恩恵が届いていない地域が全国に相当数残っています。この状況について、医療機関は複数の理由を挙げています。令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査「精神医療等の実施状況調査」は、未届の理由を複数回答で尋ねました。回答割合の高い順に並べると、次のとおりです。▼未届の理由(病院n=300/診療所n=204)* 適切な研修を修了した精神科の専任の常勤医師の配置が困難* 病院54.7%/診療所50.0%* 保健師等のうち2名かつ2職種以上の配置が困難* 病院46.7%/診療所37.3%* 患者が少なく、過去6か月間に初診を実施した20歳未満の患者数が月平均8人未満* 病院42.0%/診療所36.8%* 児童思春期の患者の診療に習熟した医師がいない* 病院39.3%/診療所32.4%* 一定の患者数はいるが、月ごとの偏りで満たせない時期がある* 病院14.3%/診療所16.2%これらの理由のうち、今回の見直しが対応するのは患者数の実績要件だけです。医師や多職種の配置に関する要件は、改定案でも緩和されません。中央社会保険医療協議会でも、支払側(1号側)委員が「患者数が少ない地域があることを踏まえ、患者数の実績要件に応じて評価を細分化するべき」と意見を述べています。改定案の2区分化は、この議論の帰結にあたります。2. 加算1と加算2の区分:実績要件だけが分かれ目改定案は、児童思春期支援指導加算を加算1と加算2の2区分に分け、両者を実績要件だけで区別します。したがって、体制に関する要件は2区分で完全に共通です。この構造を理解すると、自院がどちらの区分に該当するかを短時間で判定できます。共通となる体制要件は、医師配置、多職種配置、研修の3項目です。第一に、児童思春期の患者に対する精神医療に係る適切な研修を修了した精神科の専任常勤医師を、1名以上配置します。週3日以上かつ週22時間以上勤務する専任の非常勤医師2名以上の組み合わせによる常勤換算も、従来どおり認められます。第二に、当該支援に専任の保健師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士または公認心理師を、2名以上かつ2職種以上配置します。このうち1名以上は、適切な研修を修了した者でなければなりません。第三に、適切な研修は、国または医療関係団体等が主催する15時間以上の研修であり、診察・治療・家族面接・発達障害の支援・多職種の業務および連携を講義と演習で扱い、複数職種によるグループワークやディスカッション等を含む必要があります。加算2の施設基準は、この3項目をそのまま準用します。一方、分かれ目となる実績要件は、患者数の水準と評価期間の両方で異なります。加算1は、過去6か月間に初診を実施した20歳未満の患者数が月平均8人以上であることを求めます。この水準は現行と同一です。加算2は、過去3か月間に初診を実施した20歳未満の患者数が月平均4人以上であることを求めます。加算2は、患者数の水準を半分に下げたうえで、評価期間を6か月から3か月に短縮します。この短縮により、加算2の該当判定は直近3か月の実績で行われます。なお、告示上の施設基準も文言が改まります。現行の「必要な体制及び実績を有していること」は、改定案で「必要な体制及び十分又は必要な実績を有していること」となります。ただし、どちらの表現がどちらの区分に対応するかは、改定案の記載からは特定できません。この点は今後の告示・通知で確認する必要があります。3. 点数体系:加算1は引き上げ、加算2は新設点数体系では、加算1が全区分で引き上げとなり、加算2は加算1より低い水準で新設されます。両区分とも、60分以上の通院・在宅精神療法を行った場合を最上位に置き、それ以外の場合を経過期間で2段階に分ける構成です。ただし、経過期間の区切りは加算1が2年、加算2が1年であり、両者で異なります。加算1の点数は、現行の児童思春期支援指導加算を各区分で上回ります。▼児童思春期支援指導加算1(カッコ内は現行点数)* 60分以上の通院* 在宅精神療法(最初に受診した日から3月以内)* 1,100点(現行1,000点)* 上記以外で、最初に受診した日から2年以内* 490点(現行450点)* 上記以外* 290点(現行250点)加算2の点数は、加算1の水準を下回ります。▼児童思春期支援指導加算2(新設)* 60分以上の通院* 在宅精神療法(最初に受診した日から3月以内)* 500点* 上記以外で、最初に受診した日から1年以内* 400点* 上記以外* 100点上記の「最初に受診した日」は、当該保険医療機関の精神科を最初に受診した日を指します。施設基準の「初診を実施した20歳未満の患者の数」とは別の概念であるため、両者を混同しないよう注意してください。算定上の取扱いも、区分の新設に合わせて整理されます。60分以上の通院・在宅精神療法に係る点数は、加算1・加算2のいずれも1回に限り算定します。また、通院・在宅精神療法の注3または注4に規定する加算を算定した場合は、児童思春期支援指導加算を算定できません。この併算定の制限は、現行から変わりません。4. 届出実務:未届施設は加算2、届出済施設は加算1届出実務では、現在の届出状況に応じて対応が2通りに分かれます。未届の医療機関は、加算2による新規届出を検討します。届出済の医療機関は、加算1への切替えを前提に実績を確認します。いずれの場合も、判断の起点は自院の初診患者数です。未届の医療機関がまず確認すべきは、直近3か月間の初診20歳未満患者数です。この3か月で月平均4人以上を満たせば、体制要件をクリアしている限り加算2を届け出られます。特に、医師と多職種を配置しながら月平均8人の壁で届出を見送ってきた施設にとって、加算2は現実的な選択肢となります。一方、体制要件を満たしていない施設は、研修修了者の確保から着手する必要があります。研修は15時間以上と定められているため、計画的な受講調整が欠かせません。届出済の医療機関が確認すべきは、加算1の実績要件を維持できるかどうかです。加算1の実績要件は現行と同一水準であるため、通常は継続して算定できます。ただし、初診患者数が月平均8人を割り込んだ場合には、加算2への移行を検討することになります。この場合、点数は患者ごとに次のように下がります。▼加算1から加算2へ移行した場合の点数の変化* 60分以上の通院* 在宅精神療法* 1,100点から500点へ* 最初に受診した日から1年以内の患者* 490点から400点へ* 最初に受診した日から1年を超え2年以内の患者* 490点から100点へ加算1と加算2では経過期間の区切りが異なるため、患者層ごとに影響額を試算しておくと安全です。特に、通院期間が1年を超え2年以内の患者では、点数の下げ幅が最も大きくなります。なお、本稿の内容は個別改定項目(いわゆる短冊)の段階の情報です。算定要件の細目や届出様式は、今後発出される告示・通知で確定します。実際の届出にあたっては、必ず正式な通知を確認してください。まとめ:実績要件の細分化で受入体制の裾野を広げる令和8年度診療報酬改定は、児童思春期支援指導加算を加算1と加算2の2区分に細分化します。この見直しは、届出医療機関が3施設以下の県が16県にのぼる状況と、未届の理由に患者数の少なさが挙げられた調査結果に基づきます。加算1は、過去6か月間の初診20歳未満患者が月平均8人以上という現行水準を維持したうえで、点数を全区分で引き上げます。加算2は、過去3か月間の初診20歳未満患者が月平均4人以上という緩和された実績要件を新設し、加算1より低い点数を設定します。体制要件は2区分で共通であるため、医療機関は自院の初診患者数を確認するだけで該当区分を判定できます。児童思春期の精神疾患患者の受入体制を全国に広げる一歩として、自院の実績を早めに点検しておきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度診療報酬改定|臨床心理技術者の経過措置が令和10年5月末で終了
令和8年度診療報酬改定は、臨床心理技術者に係る経過措置を見直します。この経過措置は、臨床心理技術者等を診療報酬上の公認心理師とみなす取扱いであり、平成31年4月1日から「当分の間」続いてきました。終了時期が示されないまま運用されてきたため、医療機関は心理職の人員体制をいつまでに整えるべきか判断できませんでした。本記事は、この経過措置の終了期日と、医療機関に求められる対応を整理します。今回の見直しは、臨床心理技術者等を公認心理師とみなす経過措置を、令和10年5月31日をもって終了させます。この終了の背景には、公認心理師の養成が進み、登録者数が令和6年度末時点で73,743人に達した状況があります。終了の影響は、入院料等の算定要件から特掲診療料の施設基準まで、心理職を評価する規定の全体に及びます。医療機関に求められる対応は、改定が施行される令和8年6月から令和10年5月31日までの2年間で、該当する職員の資格取得と人員体制の点検を進めることです。1.見直しの背景:公認心理師の養成が進み、経過措置の役割が終わる経過措置の見直しは、公認心理師の養成状況を踏まえたものです。中央社会保険医療協議会(中医協)は、「公認心理師の養成状況を踏まえ、診療報酬上の臨床心理技術者に係る経過措置を終了すること」を論点として示しました。この論点は、資格制度の定着によって、みなし規定を置く必要性が薄れたという判断に基づきます。公認心理師は、平成27年に成立した公認心理師法により創設された国家資格です。同法は平成29年9月15日に全面施行され、第1回の国家試験は平成30年に実施されました。試験はその後も毎年1回以上実施され、合格者が登録簿に登録されることで公認心理師となります。公認心理師の登録者数は、この制度創設以降、一貫して増加してきました。登録者数は、平成30年度末の24,056人から、令和6年度末には73,743人まで伸びています。主たる勤務先の内訳を令和5年度公認心理師活動状況等調査でみると、保健医療分野が24.1%を占め、教育分野(27.1%)、福祉分野(24.7%)に次ぐ規模となっています。この人材の広がりを受けて、平成30年度改定で設けられた経過措置が役割を終えます。平成30年度改定は、診療報酬上評価する心理職を「公認心理師」に統一しました。統一にあたっては、資格取得までの移行期間を確保するため、従来の臨床心理技術者を公認心理師とみなす経過措置が併せて設けられました。この移行期間が、今回の改定で終期を迎えます。2.改定の内容:「当分の間」から「令和10年5月31日まで」へ改定の内容は、みなし規定の期限を明記することです。現行の規定は、経過措置の期間を「平成31年4月1日から当分の間」と定めています。改定案の規定は、この期間を「令和10年5月31日までの間」と改めます。みなし対象者の範囲そのものは、改定の前後で変わりません。みなし対象となる者は、現行どおり次のいずれかに該当する者です。第一に、平成31年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者です。第二に、公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者です。これらに該当する者は、令和10年5月31日までは公認心理師とみなされ、同年6月1日以降はみなされません。期限が明記される規定は、算定要件と施設基準の双方にわたります。算定要件では、第1章第2部「入院料等」の通則17が改められます。施設基準では、第1「基本診療料の施設基準等」の10が改められます。いずれも、期間の記載だけが「当分の間」から「令和10年5月31日までの間」に置き換わります。同様の取扱いは、これら以外の規定にも及びます。算定要件では、D285に掲げる認知機能検査その他の心理検査と、第8部第3節の経過措置が同様の扱いとなります。施設基準では、特掲診療料の施設基準等が同様の扱いとなります。つまり、心理職について公認心理師を求めるすべての規定で、みなし規定が同じ日に終わります。3.実務への影響:令和10年6月1日から資格の有無が問われる実務への影響は、令和10年6月1日を境に生じます。同日以降、公認心理師の登録を受けていない職員は、診療報酬上の公認心理師として扱えません。この扱いは、届出や算定の可否に直結します。第一の影響は、施設基準の充足に現れます。公認心理師の配置を要件とする入院料や加算では、みなし職員を人員に算入できなくなります。要件を満たせなくなった場合、届出の変更や取り下げが必要となります。第二の影響は、個別の点数の算定に現れます。D285の認知機能検査その他の心理検査のように、公認心理師が実施した場合を評価する項目では、みなし職員による実施が算定の対象外となります。心理職の実施を前提とする評価では、実施者の資格確認が欠かせません。第三の影響は、令和8年度改定で見直される他の評価の活用に現れます。同改定は、神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害に対する公認心理師による心理支援を推進する観点から、心理支援加算の要件及び評価を見直します。同改定はまた、急性期等の入院料における精神保健福祉士、作業療法士又は公認心理師の病棟配置について、新たな評価を行います。これらの評価を活用するには、公認心理師の確保が前提となります。4.医療機関の対応:残り2年間で資格取得と体制点検を進める医療機関に求められる対応は、猶予期間内に完了させる必要があります。猶予期間は、診療報酬本体の改定が施行される令和8年6月から、経過措置が終了する令和10年5月31日までの2年間です。なお、令和8年度診療報酬改定は令和8年6月施行とされており、薬価の改定(令和8年4月施行)とは施行時期が異なります。第一に取り組むべき対応は、該当職員の把握です。心理職として配置している職員のうち、公認心理師の登録を受けていない者を洗い出します。洗い出しの結果は、施設基準ごとに整理しておくと、後の判断が容易になります。第二に取り組むべき対応は、資格取得の計画づくりです。公認心理師試験は毎年1回以上実施されており、直近の第8回試験は令和7年3月2日に実施されました。ただし、公認心理師となるのは試験に合格した時点ではなく、公認心理師登録簿への登録を受けた時点です。経過措置の終了までに登録を完了させる必要があるため、受験資格を有する職員には、できるだけ早い回での受験を促してください。なお、各回の試験日程は公表されるまで確定しないため、一般財団法人公認心理師試験研修センターの案内で必ず確認してください。第三に取り組むべき対応は、人員体制の見直しです。資格取得が間に合わない可能性がある場合は、公認心理師の採用や、届出内容の変更をあらかじめ検討します。令和10年6月1日の直前に判断すると、届出の間に合わない事態を招きます。まとめ:期日が決まった今こそ、心理職の体制を点検する令和8年度診療報酬改定は、臨床心理技術者等を公認心理師とみなす経過措置を、令和10年5月31日をもって終了させます。この終了は、登録者数が73,743人に達した公認心理師の養成状況を踏まえたものです。終了の影響は、入院料等の算定要件から特掲診療料の施設基準まで、心理職を評価する規定の全体に及びます。医療機関は、改定が施行される令和8年6月から令和10年5月31日までの2年間で、該当職員の把握、資格取得の計画づくり、人員体制の見直しを進めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】認知療法・認知行動療法の見直し3つのポイント
令和8年度診療報酬改定は、質の高い精神医療を推進する観点から、認知療法・認知行動療法の要件と評価を見直しました。見直しの背景には、医師及び看護師が共同して行う場合の算定実績が伸び悩んだ事実があります。この類型は毎回の看護師面接後に医師の面接を求めており、届出医療機関数は令和6年8月1日時点で7施設、算定件数は令和6年8月審査分で12件にとどまりました(中央社会保険医療協議会「個別事項について(その13)精神医療②」による。算定件数は1か月分の数値です)。本稿は、今回の見直しを3つのポイントに整理し、医療機関が届出と算定の準備を進める際の判断材料を示します。今回の見直しは、多職種による実施を後押しする方向で、算定要件・施設基準・対象手法の3点を変更しました。第1のポイントは、医師及び看護師が共同して行う場合について、毎回医師が患者と5分以上面接する要件を廃止した点です。第2のポイントは、公認心理師による心理支援を伴う場合を330点で新設した点です。第3のポイントは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する認知処理療法を新たに評価の対象に加えた点です。1.医師及び看護師が共同して行う場合の要件緩和医師及び看護師が共同して行う場合(350点)の見直しは、毎回の医師面接の廃止、面接録音の廃止、看護師の経験要件の緩和という3点で構成されます。いずれも、看護師が中心となって一連の治療を担いやすくするための緩和です。点数そのものは350点で据え置かれました。対象患者も変更されず、入院中の患者以外のうつ病等の気分障害の患者に限られます。毎回の医師面接を求める要件は廃止されました。現行の留意事項通知は、看護師による30分を超える面接の後に、当該療法に習熟した医師が5分以上の面接を行うことを算定の条件としています。改定後は、この5分以上の面接を求める記載が削除され、看護師により30分を超える面接が行われた場合に算定できます。ただし、初回時と治療終了時を予定する回の面接は、引き続き専任の医師が実施し、専任の看護師が同席する必要があります。面接内容の録音を求める要件も廃止されました。現行の要件は、看護師が面接を実施する場合に、患者の同意を得た上で内容を録音し、専任の医師がその内容を指示又は指導の参考とすることを求めています。改定後は、この録音に関する規定が削除されます。日々の運用における記録作業の負担は、この削除によって軽くなります。看護師の経験要件は、水準を下げる方向で緩和されました。現行の施設基準は、認知療法・認知行動療法1の届出医療機関の外来に2年以上勤務し、面接に120回以上同席した経験を求めています。改定後の同席回数は60回以上に緩和されます。自ら実施した実績の要件も、10症例120回以上から5症例60回以上に緩和され、あわせて面接を録画・録音して医師又は研修講師の確認と指導を受ける要件が削除されます。一方で、対象となる看護師は「専任の看護師」から「専任の常勤看護師」に改められる点に注意が必要です。2.公認心理師による心理支援を伴う場合の新設公認心理師による心理支援を伴う場合は、「3」として330点で新設されました。医療機関が押さえるべき内容は、算定要件、施設基準、「2」との共通ルールの3点です。新設の根拠には、認知行動療法的アプローチを用いた専門的な心理支援が、基本的な心理支援よりも短期間で患者の状態を改善したとする中央社会保険医療協議会の提出データがあります。算定要件は、医師の関与と実施者の勤務経験を軸に定められました。算定の前提として、認知療法・認知行動療法に習熟した医師が一連の治療に関する計画を作成し、患者に説明を行います。その上で医師が必要と判断した場合に、公認心理師が計画に基づく30分を超える面接を実施したときに算定できます。実施する公認心理師は、認知療法・認知行動療法を実施している保険医療機関において週1日以上常態として勤務し、かつ所定労働時間が週22時間以上の勤務を2年以上行った経験のある専任の者に限られます。複数の実施医療機関で勤務する場合は、それらの勤務を合算して判断します。算定回数の上限は、他の類型と同じく一連の治療につき16回です。施設基準は、認知療法・認知行動療法1の基準に加えて、公認心理師の配置と経験を求めます。配置要件は、当該保険医療機関内に専任の常勤公認心理師を1名以上勤務させることです。経験要件は2つあり、1つは認知療法・認知行動療法1の届出医療機関の外来に2年以上勤務し、面接に60回以上同席した経験です。もう1つは、うつ病等の気分障害、強迫性障害、社交不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害又は神経性過食症の患者に対して、認知行動療法的アプローチに基づく心理支援に係る面接を過去に5症例60回以上実施した経験です。さらに研修の修了も要件となり、その研修は、国・関係学会・医療関係団体等が主催して修了証が交付されること、認知行動療法の基本的技能に係る内容を含む2日以上のものであること、厚生労働省の「認知行動療法研修事業」でスーパーバイザーを経験した者が講師に含まれることの3つを満たす必要があります。運用ルールは、「2」と「3」で共通に整理されました。初回時と治療終了時を予定する回の面接は、専任の医師が実施し、専任の看護師又は公認心理師が同席します。初回から治療を終了するまでの間の面接は、初回時に同席した看護師又は公認心理師が実施します。点数の扱いも共通で、「1」「2」「3」は一連の治療において同一の点数を算定します。この取扱いは、現行の「1」及び「2」に関する規定に「3」を加えたものです。例外として、医師と看護師又は公認心理師が同席して30分以上の面接を行った日に限り、「1」の480点を算定できます。3.PTSDに対する認知処理療法の追加心的外傷後ストレス障害に対する認知療法・認知行動療法では、認知処理療法を用いた場合が新たに評価されます。この見直しは、算定の際に準拠すべきマニュアルの選択肢を広げるものです。点数や算定回数の変更はありません。準拠すべきマニュアルには、認知処理療法実施マニュアルが追加されました。現行の留意事項通知は、厚生労働科学研究班作成の「PTSD(心的外傷後ストレス障害)の認知行動療法マニュアル〔持続エクスポージャー療法/PE療法〕」に従って行った場合に限り算定できると定めています。改定後は、これに加えて、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター研究班作成の「認知処理療法実施マニュアル」に従った場合も算定できます。PTSD患者への治療選択肢は、この追加によって診療報酬上も広がります。まとめ:多職種で担う体制づくりが算定の前提になる令和8年度改定は、認知療法・認知行動療法を多職種で提供しやすくする方向で3点を見直しました。第1に、医師及び看護師が共同して行う場合は、毎回の医師面接と面接録音の要件が廃止され、看護師の経験要件も緩和されます。第2に、公認心理師による心理支援を伴う場合が330点で新設され、専任の常勤公認心理師の配置と経験・研修の要件が定められます。第3に、PTSDに対する認知処理療法が新たに評価の対象となります。届出を検討する医療機関は、看護師と公認心理師の勤務形態、同席と実施の経験回数、研修修了証の有無を早めに確認してください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
心理支援加算の見直し|令和8年度改定で対象疾患拡大・280点へ
令和8年度診療報酬改定で、通院・在宅精神療法の「心理支援加算」が見直されます。現行の心理支援加算は、外傷体験を有し心的外傷に起因する症状を有する患者だけを対象とするため、心理支援を必要とする多くの患者を評価できていません。実際、算定上の課題として「対象となる患者の基準に該当しないが、支援を必要としている患者がいる」と答えた病院は63.7%にのぼります。本稿は、この心理支援加算の見直しを4つの変更点に整理し、届出までに医療機関が準備すべき事項を示します。今回の見直しは、対象患者の間口を広げると同時に、実施体制の質を担保する改定です。第一に、対象疾患を神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害に拡大します。第二に、実施者に係る要件を新設し、公認心理師に一定の勤務実績を求めます。第三に、施設基準を新設し、専任の常勤精神保健指定医の配置と地方厚生局長等への届出を求めます。第四に、評価を250点から280点に引き上げます。これら4つの変更を受けて、医療機関には対象患者の洗い出し、公認心理師の勤務実績の確認、届出の準備という3つの対応が求められます。1. 対象疾患を神経症性障害等に拡大する対象疾患の拡大は、今回の見直しの中心です。現行の心理支援加算は、対象患者を「外傷体験を有し、心的外傷に起因する症状を有する者」に限定しています。この限定により、対象患者はPTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断基準に準じた範囲にとどまっていました。改定案は、この限定を外し、対象を神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害の患者に拡大します。中医協資料は、この3疾患群をICD-10のF40からF48に対応するものとして示しており、現行の対象患者もこの範囲に含まれます。拡大の根拠は、算定実態の調査結果と支援効果の研究結果の2つです。算定実態については、算定を行っていない理由として「外来にて心理支援は実施しているが、算定対象となる患者はいないため」という回答が47.2%で最多でした。支援効果については、精神科外来に通院中の神経症性障害等(ICD-10のF40-F48)の患者に対し、通院精神療法に加えて公認心理師による心理支援を導入した研究があります。この研究では、心理支援を導入した群で患者の状態のさらなる改善が認められ、より効果的な通院精神療法の実施に寄与しました。対象疾患の拡大に伴い、外傷体験に関する詳細な要件は削除されます。現行の留意事項通知は、医師に対して外傷体験の有無と内容の確認、外傷体験および心的外傷に起因する症状の詳細の診療録記載を求めています。改定案は、これらの記載要件を削除します。ただし、医師が心理支援を必要とされる理由等を診療録に記載する要件は残ります。2. 実施者に係る要件を新設する実施者に係る要件の新設は、対象拡大と対をなす質の担保策です。現行の心理支援加算は、実施者を「精神科を担当する医師の指示を受けた公認心理師」とだけ定め、経験や勤務形態を問いません。改定案は、この実施者に、精神科医療における勤務実績を新たに求めます。新設される実施者要件は、精神科を標榜する保険医療機関における勤務経験です。改定案の文言は「精神科を標榜する保険医療機関(他の精神科を標榜する保険医療機関においても勤務する場合は、それらの勤務を合算する。)において、週1日以上常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週22時間以上の勤務を1年以上行った経験のある公認心理師」です。週1日以上の常態勤務と週22時間以上の所定労働時間という2つの条件を同時に満たす勤務を、1年以上行った経験が求められます。複数の精神科標榜医療機関に勤務する場合は、それらの勤務を合算して判断できます。なお、この勤務経験を「どの医療機関で積んだものまで認めるか」は、現時点の資料からは読み取れません。自院での勤務に限るのか、他の精神科標榜医療機関での勤務も含むのかによって、対象となる公認心理師の範囲は変わります。詳細な解釈は、今後発出される通知および疑義解釈で確認してください。実施方法そのものに変更はありません。公認心理師が対面による心理支援を30分以上実施した場合に算定できる点は、現行どおりです。精神科を担当する医師が通院・在宅精神療法を実施した月の別日に当該支援を実施した場合も、引き続き算定できます。3. 施設基準を新設し届出を必要とする施設基準の新設は、算定手続きそのものを変える変更点です。現行の「一の一の六」は、通院・在宅精神療法の注9に規定する「別に厚生労働大臣が定める患者」、すなわち心的外傷に起因する症状を有する患者を定めた規定でした。改定案は、この規定を施設基準に置き換えます。新設される施設基準は、精神保健指定医の配置1点です。具体的には、当該保険医療機関内に専任の常勤の精神保健指定医が1名以上配置されていることを求めます。この施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関でなければ、心理支援加算を算定できません。届出が必要になる点は、実務上もっとも注意すべき変更です。現行の心理支援加算は、患者要件と実施要件を満たせば届出なしで算定できます。改定後は、届出を済ませるまで算定できません。届出の様式、提出時期および経過措置の有無は、今後発出される告示および通知で確認してください。4. 評価を250点から280点に引き上げる評価の引き上げは、要件の厳格化に見合う手当てです。現行の心理支援加算は250点です。改定案は、これを280点に引き上げます。引き上げ幅は30点で、率にすると12%の増となります。算定回数の上限と期間に変更はありません。心理支援加算は、初回算定日の属する月から起算して2年を限度として、月2回に限り算定できます。この上限は改定後も維持されます。5. 届出までに医療機関が準備すべき3つの対応医療機関に求められる対応は、対象患者の洗い出し、公認心理師の勤務実績の確認、届出の準備の3つです。いずれも、改定内容の4つの変更点に対応します。第一の対応は、対象患者の洗い出しです。現在は算定していないものの心理支援を実施している患者について、神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害に該当するかを確認します。該当する患者が多いほど、今回の対象拡大の効果は大きくなります。第二の対応は、公認心理師の勤務実績の確認です。心理支援を担当する公認心理師について、週1日以上の常態勤務と週22時間以上の所定労働時間を満たす勤務を1年以上行った経験があるかを確認します。複数の精神科標榜医療機関に勤務する公認心理師については、勤務時間の合算の記録をあらかじめ整理しておきます。第三の対応は、届出の準備です。専任の常勤精神保健指定医が1名以上配置されているかを確認し、配置がなければ体制の見直しを検討します。配置が確認できたら、告示および通知の発出を待って速やかに届け出ます。まとめ令和8年度診療報酬改定は、心理支援加算を4点にわたって見直します。対象疾患は神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害に拡大されます。実施者には、精神科標榜医療機関において週1日以上常態として勤務し、かつ所定労働時間が週22時間以上である勤務を、1年以上行った経験が求められます。施設基準には、専任の常勤精神保健指定医1名以上の配置が新設され、届出が必要になります。評価は250点から280点に引き上げられます。心理支援を実施している医療機関は、対象患者の洗い出し、公認心理師の勤務実績の確認、届出の準備という3つの対応を早期に進めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
精神保健福祉士の病棟専従要件を見直し|令和8年度改定で病棟外業務を明確化
精神科医療では、入院前から退院後まで同一の精神保健福祉士が関わる継続的な支援が、地域移行の推進に有効とされています。しかし、これまでの施設基準は「当該病棟に専従の常勤精神保健福祉士が1名以上配置されていること」と定めるのみでした。中医協では、従事できる業務の範囲や業務を行う場所が示されていない点が、課題として整理されています。本記事では、令和8年度診療報酬改定で示された「精神保健福祉士の病棟の専従要件の見直し」の内容と、届出医療機関に求められる実務対応を解説します。今回の見直しは、病棟に専従配置された精神保健福祉士が病棟外で行える業務を、2つの類型で明確化するものです。第1の類型として、当該病棟の患者の支援を目的とする場合、保険医療機関外への付き添いなど、病棟外での業務が認められます。第2の類型として、本来業務に影響のない範囲であれば、入棟予定の患者や退棟・退院した患者への支援を、病棟以外の場所で行えます。対象は精神保健福祉士配置加算(精神病棟入院基本料)を含む5つの入院料・加算に及びます。なお本項目では、配置人数の変更も点数の見直しも示されていません。1. 見直しの背景:同一の精神保健福祉士による伴走支援を推進する見直しの背景には、精神保健福祉士に期待される役割と、病棟専従という配置形態とのズレがあります。中医協の議論では、期待される役割の広がりと、要件の不明確さの2点が課題として示されました。期待される役割は、入院中の支援にとどまりません。中医協に提出された資料では、精神保健福祉士は入院前の受け入れ調整から、入院中の支援計画の作成、退院後の同行訪問や生活環境調整まで、あらゆる場面でのシームレスな患者支援を担うと整理されています。本人や家族と継続的に関わることで信頼関係を築く点にこそ、この職種の専門性があるという位置づけです。一方、要件の不明確さは、中医協で課題として明示されました。精神病棟入院基本料の注7に規定する精神保健福祉士配置加算では、「専従の常勤精神保健福祉士が1名以上」とだけ定められています。この点について、中医協の資料(個別事項について(その11)・(その13))は、従事できる業務の範囲や業務を行う場所を今後の議論課題として挙げていました。同資料では、他の入院料についても、病棟に専従であっても病棟の患者に係る院外での指導等を行うのではないかという課題が示されています。こうした課題を受けて、今回の見直しは「同一の精神保健福祉士による継続的な伴走支援を推進する観点」を基本的な考え方に掲げています。伴走支援とは、支援者が入院前から退院後まで途切れずに患者と並走し、生活の再建を支える関わり方を指します。この考え方に沿って、専従要件の解釈が具体的に書き下ろされました。2. 見直しの内容:病棟外業務を2つの類型で明確化見直しの内容は、専従の精神保健福祉士が病棟外で業務を行える場面を、2つの類型として施設基準に明記する点にあります。第1の類型は当該病棟の患者への支援であり、第2の類型は入棟前後・退院後の患者への支援です。両者は認められる条件が異なるため、区別して押さえる必要があります。第1の類型は、当該病棟の患者の支援を目的とする、病棟外での業務です。改定案では、専従の常勤精神保健福祉士を「病棟を担当する者として当該病棟の患者に関する業務に主として従事するもの」と定義したうえで、当該病棟の患者の支援を目的とする場合には、当該保険医療機関外に付き添うなど、当該病棟外で業務を行うことは差し支えないとされました。資料が示す具体例は「当該保険医療機関外に付き添う等」のみであり、入院中の患者に同行する施設見学などが想定されます。ただし個々の業務が該当するかどうかは、今後の通知や疑義解釈で確認してください。第2の類型は、入棟予定の患者や退棟・退院した患者への、病棟以外の場所での業務です。こちらは「その業務に影響のない範囲において」という条件が付されたうえで、当該病棟に入棟予定の患者、または当該病棟から退棟もしくは退院した患者への支援に係るものであれば、当該病棟以外の場所で業務を行うことは差し支えないとされました。ここでの記載は「当該病棟以外の場所」であり、第1の類型のような医療機関外への言及はありません。入院前の面談などが想定されますが、認められる場所の範囲は通知や疑義解釈で確認する必要があります。2つの類型に共通するのは、対象患者が当該病棟に関係する患者に限られる点です。専従要件そのものが撤廃されたわけではなく、病棟の患者に関する業務に主として従事するという原則は維持されています。他病棟の患者を担当する業務や、病棟と無関係な院内業務まで認められた見直しではない点に注意してください。3. 対象範囲:5つの入院料・加算に同様の取扱いを適用対象範囲は、精神病棟入院基本料の精神保健福祉士配置加算を筆頭とする、5つの入院料・加算です。いずれも精神保健福祉士の専従配置を求めている点が共通しており、今回の見直しは同様の取扱いとして適用されます。具体的な対象は、次のとおりです。* 精神保健福祉士配置加算(精神病棟入院基本料)* 精神保健福祉士配置加算(精神療養病棟入院料の「注5」に掲げるもの)* 児童・思春期精神科入院医療管理料* 認知症治療病棟入院料* 地域移行機能強化病棟入院料ただし、専従配置の求め方は区分ごとに異なります。認知症治療病棟入院料1の現行の施設基準は、「当該保険医療機関内に専従する精神保健福祉士又は専従する公認心理師がいずれか1人以上」であり、病棟専従ではありません。各区分に見直しがどう反映されるかは、告示・通知で自院の該当箇所を確認してください。これら5区分の届出医療機関は、いずれも今回の見直しの対象となります。特に地域移行機能強化病棟入院料は、長期入院患者の地域移行を目的とする入院料であり、退院後の生活環境の調整が業務の中心を占めます。同様に、児童・思春期精神科入院医療管理料でも、入院前の相談や退院後の学校・家庭との調整が支援の要になります。専従の精神保健福祉士が病棟外で動けるようになる意義は、これらの病棟で特に大きいといえます。4. 実務対応:業務範囲の整理と記録の整備を進める実務対応として、届出医療機関には3つの準備が求められます。ここからは制度上の要求ではなく、筆者が実務上の備えとして推奨する内容です。順に、業務範囲の整理、記録の整備、病棟体制の担保を挙げます。第1に、認められる業務の範囲を院内で整理してください。今回の見直しは、病棟外業務を無制限に認めるものではありません。どの患者を対象とする、どのような外出であれば専従要件を満たすのか、上記2つの類型に沿った院内基準を文書化しておくと、指導監査の場面で説明しやすくなります。第2に、病棟外業務の記録を整備してください。専従の精神保健福祉士が病棟を離れる場合、その業務が当該病棟の患者の支援に該当することを、後から示せる必要があります。日時、対象患者、目的、行き先を残す様式をあらかじめ用意しておくと、記録の負担を抑えられます。第3に、精神保健福祉士の不在時に病棟の支援体制を担保してください。第2の類型には「その業務に影響のない範囲において」という条件が付いています。この条件を満たすには、本来の病棟業務が滞らない体制が前提になります。他職種とのタスクシェアや、複数名での分担を検討しておきましょう。まとめ:継続的な支援を可能にする、運用の明確化今回の「精神保健福祉士の病棟の専従要件の見直し」は、同一の精神保健福祉士による継続的な伴走支援を推進するための、運用の明確化です。第1に、当該病棟の患者の支援を目的とする場合、保険医療機関外への付き添いなど、病棟外での業務が認められます。第2に、本来業務に影響のない範囲であれば、入棟予定の患者や退棟・退院した患者への支援を、病棟以外の場所で行えます。第3に、対象は精神保健福祉士配置加算をはじめとする5つの入院料・加算に及びます。届出医療機関は、認められる業務範囲を院内で整理したうえで、記録の様式と病棟の支援体制を早めに整えておきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|通院・在宅精神療法 指定医の初診30分以上に550点を新設
通院・在宅精神療法は、診察時間と実施者が精神保健指定医であるかどうかによって、評価が分かれてきました。しかし、初診日の評価は「60分以上」の区分しかなく、30分以上60分未満の初診は初診日以外の診療と同じ区分(イ及びロ以外の場合)で算定していました。令和8年度診療報酬改定は、質の高い精神医療の提供を推進する観点から、この通院・在宅精神療法の要件と評価を見直します。本稿では、その見直し内容を3つの変更点に整理してお伝えします。見直しの内容は、初診の評価を手厚くする一方で、精神保健指定医以外の医師による精神療法に体制の裏づけを求めるものです。第一に、精神保健指定医による初診30分以上60分未満の区分を新設し、550点を評価します。第二に、精神保健指定医による初診60分以上の評価を、通院・在宅ともに650点へ引き上げます。第三に、精神保健指定医以外の医師が行う場合について、新設の施設基準を届け出ていない医療機関では所定点数の100分の60に減算します。1. 初診30分以上60分未満に550点を新設新設された区分は、精神保健指定医が初診日に30分以上60分未満の精神療法を行った場合を評価します。点数は通院精神療法・在宅精神療法ともに550点です。現行では同じ診療を「イ及びロ以外の場合」(通院は30分以上、在宅は30分以上60分未満)として410点で算定していたため、実質140点の引上げとなります。なお、この新設区分は精神保健指定医が行う場合に限られます。精神保健指定医以外の医師が初診日に30分以上60分未満の精神療法を行った場合は、引き続き「イ及びロ以外の場合」で算定します。この新設の背景には、初診で把握すべき情報の多さがあります。精神科の診察では、例えばうつ病において把握すべき情報が多岐にわたり、これらは初診時に把握することが望ましいと考えられています。実際にNDBデータでも、30分以上の通院・在宅精神療法のうち一定程度が初診患者に対するものでした。中央社会保険医療協議会では、精神科外来において初診をより積極的に診療する体制を確保する必要があるとして、初診の評価のあり方が論点に挙げられていました。一方で、初診日の算定には従来からの時間要件があります。現行の留意事項では、初診料を算定する初診の日に通院・在宅精神療法を行った場合、診療に要した時間が30分を超えたときに限り算定できるとされています。新設区分「30分以上60分未満」とこの時間要件との関係は、今後発出される通知で確認が必要です。2. 初診60分以上の評価を650点へ引上げ引上げの対象は、精神保健指定医が初診日に60分以上の精神療法を行った場合です。通院精神療法は600点から650点へ、在宅精神療法は640点から650点へ改定されます。この改定により、精神保健指定医が行う初診60分以上の点数は、通院・在宅ともに650点でそろいます。この引上げは、精神保健指定医が地域で果たす役割をさらに評価する趣旨によるものです。他方、精神保健指定医以外の場合の点数は、改定案で「(略)」とされており、変更が示されていません。結果として、初診60分以上における精神保健指定医と指定医以外の点数差は、現行よりも拡大します。■ 初診日の評価(精神保健指定医が行う場合)【通院精神療法】* 60分以上* 600点 → 650点* 30分以上60分未満* (410点)→ 550点(新設)【在宅精神療法】* 60分以上* 640点 → 650点* 30分以上60分未満* (410点)→ 550点(新設)※( )内は、現行「イ及びロ以外の場合」で算定していた場合の点数です。3. 精神保健指定医以外の場合に施設基準を新設新設される算定要件(注13)は、精神保健指定医以外の医師が行う通院・在宅精神療法を対象とします。厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た医療機関以外で行われる場合、所定点数の100分の60に相当する点数を算定します。対象は、通院・在宅ともに措置入院退院後の患者に係る区分(イ)を除く各区分の「精神保健指定医以外の場合」です。減算の影響は、点数に置き換えると明確になります。ただし、改定案では精神保健指定医以外の場合の点数が「(略)」とされており、点数そのものは示されていません。以下は現行点数が据え置かれる前提での試算です。通院精神療法の初診60分以上(指定医以外)は550点から330点、30分以上は390点から234点、30分未満は290点から174点となります。在宅精神療法の初診60分以上(指定医以外)は、600点から360点となります。届出に必要な施設基準(一の一の九)は、次の2つの要件のいずれかを満たすことです。* 精神科救急医療を行う体制が整備されている保険医療機関で実施されていること* 当該療法が精神医療に十分な経験を有する医師により行われていることこの施設基準を届け出ていない場合には、減算に加えて2つの制限がかかります。まず、当該患者に対して1回の処方で3種類以上の抗うつ薬または3種類以上の抗精神病薬を投与した場合には、算定できません。次に、注9に規定する心理支援加算を別に算定できません。4. 医療機関に求められる実務対応実務対応は、届出の判断と初診体制の設計という2つの作業に分かれます。いずれも、自院の医師構成と診療体制を起点に検討します。届出の判断では、精神保健指定医以外の医師が精神療法を担当しているかどうかを最初に確認します。担当している場合には、精神科救急医療の体制または医師の経験という2要件のいずれを満たせるかを整理します。いずれも満たせない場合には、精神保健指定医以外の医師が行う精神療法が100分の60の算定となる前提で、収支への影響を見積もります。初診体制の設計では、初診に30分以上を確保できる予約枠の運用が要点になります。あわせて、診療に要した時間を診療録に確実に記録する運用も欠かせません。30分以上60分未満と60分以上では点数が100点異なるため、時間の記録が算定の根拠となります。まとめ:初診を手厚く、質は施設基準で担保令和8年度診療報酬改定における通院・在宅精神療法の見直しは、初診の評価を手厚くする方向と、質を施設基準で担保する方向の2つで構成されます。初診については、精神保健指定医による30分以上60分未満に550点を新設し、60分以上を通院・在宅ともに650点へ引き上げます。精神保健指定医以外の医師が行う場合については、施設基準を届け出ない医療機関で所定点数の100分の60に減算します。自院の医師構成と初診の運用を、この2つの方向に照らして早めに点検しておきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|精神科急性期医師配置加算の見直し2つのポイント
令和8年度診療報酬改定では、精神科急性期医師配置加算(A249)の施設基準が見直されます。現行の施設基準は、治療抵抗性統合失調症の治療実績を加算の算定病棟だけで数えるため、医療機関全体で整えた治療体制を評価できていません。また現行の施設基準は、加算2イの算定対象入院料を限定するため、拠点的な急性期機能を担う病院の精神病棟を評価できていません。本稿は、この2つの課題に対応する見直しの内容と、届出に向けた実務上の確認点を解説します。今回の見直しは、算定できる医療機関を広げる2つの要件緩和で構成されます。第一に、加算1及び加算3のクロザピン新規導入件数について、実績の集計範囲が算定病棟から医療機関全体へ広がります。第二に、加算2イの算定対象入院料に、精神病棟入院基本料及び特定機能病院入院基本料の精神病棟の15対1入院基本料が追加されます。いずれの見直しも、これまで要件を満たせなかった医療機関に届出の道を開くため、実績の集計方法と病棟ごとの届出区分を早めに確認する必要があります。現行の精神科急性期医師配置加算と2つの課題精神科急性期医師配置加算は、精神科の急性期医療に医師を手厚く配置する体制を評価する加算です。この加算は、加算1、加算2(イ及びロ)、加算3で構成されます。加算1(600点)と加算3(400点)は、急性期の精神疾患患者と治療抵抗性統合失調症患者への密度の高い入院医療を評価し、精神科救急急性期医療入院料と精神科急性期治療病棟入院料1を算定する病棟が対象です。加算2イ(500点)は、精神疾患と身体疾患を併せ持つ患者の入院医療体制を評価し、精神病棟入院基本料(10対1・13対1)と特定機能病院入院基本料(7対1・10対1・13対1)を算定する精神病棟が対象です。今回の見直しが対象とするのは、このうち加算1、加算3及び加算2イです。加算1及び加算3の第一の課題は、クロザピンの新規導入実績を病棟単位で求める点にあります。クロザピンは、治療抵抗性統合失調症に有効な一方で無顆粒球症などの重篤な副作用を伴うため、CPMS(クロザピン患者モニタリングサービス)への登録をはじめとする医療機関単位の体制整備が欠かせません。現行の施設基準は、この体制を病棟単位の実績(加算1は年6件以上、加算3は年3件以上)で確認しています。しかし中央社会保険医療協議会(中医協)に示された調査では、クロザピンの新規導入が精神病棟入院基本料や特定機能病院入院基本料の病棟など、加算の対象外の多様な病棟でも実施されていました。加算2イの第二の課題は、算定対象入院料の限定が実態と合わない点にあります。精神疾患と身体疾患を併せ持つ患者の受け入れには、精神病床を有する総合病院や特定機能病院の役割が期待されています。ところが中医協に示されたDPCデータ(令和7年1月時点)では、精神病床を有する特定機能病院又は拠点的な急性期機能を担う医療機関のうち、加算2イを算定している医療機関が101施設、算定していない医療機関が70施設でした。算定していない70施設の内訳は、算定可能な病棟を有する医療機関が36施設、算定可能な病棟を有しない医療機関が34施設です。算定可能な病棟を有しない34施設のうち27施設は、精神病棟入院基本料の15対1入院基本料を算定していました。つまり急性期医療の拠点でありながら、入院基本料の区分を理由に評価の対象外となる医療機関が存在していました。見直し1:クロザピン新規導入実績を医療機関全体で評価見直しの1つ目は、加算1及び加算3のクロザピン新規導入件数を、医療機関全体の実績で評価する変更です。施設基準の文言は、「治療抵抗性統合失調症患者に対する入院医療に係る実績」から「当該保険医療機関において治療抵抗性統合失調症患者に対する治療に係る実績」へ改められます。加算1は「相当程度」、加算3は「一定程度」という実績水準の表現が維持されます。一方で実績を数える範囲は、当該加算を算定する病棟から医療機関全体へ広がります。なお告示上は「入院医療に係る実績」が「治療に係る実績」へ改められるため、実績として数えられる範囲の細部は施設基準の通知で確認が必要です。この変更は、加算の算定病棟以外でクロザピンを導入している医療機関に有利に働きます。従来は、精神科救急急性期医療入院料等を算定する病棟でクロザピンを導入しなければ、件数として数えられませんでした。今後は、精神病棟入院基本料の病棟や特定機能病院入院基本料の病棟で導入した件数も、医療機関全体の実績として合算できます。その結果、病棟の運用実態にかかわらず、医療機関としてのクロザピン提供体制がそのまま評価されます。ただし具体的な件数の基準は、告示ではなく通知で示される点に注意が必要です。現行の年6件(加算1)及び年3件(加算3)という水準が据え置かれるかどうかは、令和8年度改定の施設基準通知で確認することになります。したがって届出を検討する医療機関は、直近1年間のクロザピン新規導入件数を病棟別に整理し、通知の公表後すぐに医療機関全体の件数へ組み替えられるよう準備しておくと安全です。見直し2:加算2イの算定対象に15対1入院基本料を追加見直しの2つ目は、加算2イの算定対象入院料に15対1入院基本料を追加する変更です。追加される入院料は、精神病棟入院基本料の15対1入院基本料と、特定機能病院入院基本料の精神病棟の15対1入院基本料の2つです。この見直しにより、拠点的な急性期機能を担いながら15対1入院基本料を算定してきた精神病棟が、新たに加算2イの算定対象に加わります。精神病棟入院基本料では、算定要件の注記が「10対1入院基本料又は13対1入院基本料」から「10対1入院基本料、13対1入院基本料又は15対1入院基本料」へ改められます。あわせて施設基準でも、対象となる精神病棟入院基本料の区分に十五対一入院基本料が加えられます。この2か所の改正により、15対1の精神病棟が算定対象として明確に位置づけられます。特定機能病院入院基本料では、算定要件の注記から入院基本料の区分の限定そのものが削除されます。現行の「精神病棟の7対1入院基本料、10対1入院基本料又は13対1入院基本料を算定するものに限る」という記載は、「精神病棟に限る」という記載へ改められます。施設基準でも同様に区分の限定が外れるため、特定機能病院の精神病棟は入院基本料の区分を問わず加算2イの対象となります。この改正の趣旨は、個別改定項目に明記されたとおり15対1入院基本料の追加にあります。実務対応:届出前に確認したい3つのポイント見直しを届出に結びつけるには、3つのポイントを順に確認します。確認すべき対象は、クロザピンの実績、病棟の入院基本料区分、そして加算2イの他の施設基準です。第一のポイントは、クロザピンの新規導入件数を医療機関全体で集計し直すことです。集計にあたっては、病棟ごとの導入件数と導入日を一覧化し、加算1又は加算3のいずれの水準に届くかを確認します。この作業により、これまで要件を満たせず届出を見送っていた医療機関でも、算定の可能性が見えてきます。第二のポイントは、精神病棟が算定している入院基本料の区分を確認することです。確認の結果、精神病棟入院基本料の15対1又は特定機能病院入院基本料の精神病棟を算定していれば、加算2イの届出候補になります。この判定は、届出の要否を検討する最初の入口となります。第三のポイントは、加算2イの他の施設基準を満たせるかを点検することです。加算2イは、当該病棟の常勤医師配置16対1以上、内科・外科等の標榜、入院を要する(第二次)救急医療体制等の設置、精神科リエゾンチーム加算の届出、直近3か月間の新規入院患者の5%以上が精神科身体合併症管理加算の対象、精神科医による搬送患者の12時間以内の診察が毎月5人以上といった要件を求めます。今回の見直しで緩和されるのは算定対象入院料だけであるため、これらの要件は従来どおり満たす必要があります。まとめ精神科急性期医師配置加算の見直しは、算定できる医療機関を広げる2つの要件緩和です。加算1及び加算3では、クロザピンの新規導入実績を医療機関全体で評価します。加算2イでは、算定対象入院料に精神病棟入院基本料及び特定機能病院入院基本料の精神病棟の15対1入院基本料を追加します。いずれの緩和も、精神疾患と身体疾患を併せ持つ患者や治療抵抗性統合失調症患者への医療提供体制を全国に広げることを狙いとしています。届出を検討する医療機関は、クロザピンの実績集計と入院基本料区分の確認から着手し、今後公表される施設基準通知で具体的な水準を確かめてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】精神病棟入院基本料18対1・20対1が1年で二分される
精神科医療では、長期入院患者の地域移行が長年の課題である。この課題に関し、人員配置が少なく平均在院日数の要件が設定されていない入院料を届け出る病棟では、1年以上の長期入院患者の割合が高い傾向にある。そこで本稿は、令和8年度診療報酬改定における精神病棟入院基本料の見直し内容を整理し、対象病棟が取るべき対応を解説する。令和8年度改定は、18対1及び20対1の精神病棟入院基本料を、入院期間1年を境に2区分へ分けた。この見直しの背景には、両入院料が平成16年度改定以来の経過措置であり、そこに長期入院患者が滞留している実態がある。改定案は、1年未満の点数を現行より引き上げ、1年以上の点数を現行より引き下げる。対象病棟は、1年以上の患者が半数を超えると病棟全体で減収に転じるため、入院1年を迎える前の退院支援が急務となる。1. 見直しの背景:経過措置病棟への長期入院患者の滞留見直しの背景は、経過措置としての位置づけ、長期入院患者の滞留、中医協での意見対立という3点に整理できる。以下、順に説明する。18対1及び20対1入院基本料は、平成16年度改定以降、経過措置として存続してきた。この経過措置は「当分の間、算定できるものとする」という扱いであり、20年以上にわたって継続している。届出状況は近年横ばいであり、令和6年8月1日時点で18対1が21医療機関3,538床、20対1が10医療機関1,446床である。この経過措置病棟には、1年以上の長期入院患者が滞留している。厚生労働省は「人員配置が少なく、平均在院日数の要件設定がない入院料を届け出る病棟においては、1年以上の長期入院患者の割合が高い傾向にある」と整理している。滞留の要因として、これらの入院料に平均在院日数の要件が設定されていない点が指摘されている。長期入院患者の滞留に対し、中医協では支払側と診療側が異なる主張を展開した。支払側は、20対1及び18対1以下について経過措置を終了するか平均在院日数の要件を設定し、15対1以上に集約すべきと主張した。診療側は、重度の精神症状を呈する患者が入院期間にかかわらず増加している実態を挙げ、精神病床の評価を正当に行うべきと主張した。2. 改定内容:1年未満は引き上げ、1年以上は引き下げ改定内容は、18対1と20対1のいずれについても、現行1本の点数を入院期間別の2区分に分け、1年未満を引き上げ、1年以上を引き下げるものである。18対1入院基本料は、753点の1本の点数を2区分に分けた。* イ 1年未満の場合 816点(現行753点から63点の引き上げ)* ロ 1年以上の場合 703点(現行753点から50点の引き下げ)* 区分間の差 113点20対1入院基本料も、697点の1本の点数を2区分に分けた。* イ 1年未満の場合 754点(現行697点から57点の引き上げ)* ロ 1年以上の場合 649点(現行697点から48点の引き下げ)* 区分間の差 105点両入院料に共通するのは、1年を境としたメリハリ付けである。厚生労働省は基本的な考え方として、「長期入院患者に対する地域移行に係る取組を更に推進する必要があること等を踏まえ、人員配置基準の低い精神病棟入院基本料について、長期入院患者に対する評価を見直す」と説明している。つまり今回の見直しは、一律の引き下げではなく、早期退院を促す方向への評価の組み替えである。なお個別改定項目⑨に示されたのは、この点数の2区分化のみである。支払側が求めた経過措置の終了や平均在院日数の要件設定は、⑨には含まれていない。3. 対象病棟への影響と対応対象病棟が受ける影響は、1年以上の患者割合によって決まる。したがって対応の要は、入院1年を迎える前の退院支援にある。損益の分かれ目は、1年以上の患者が半数を超えるかどうかである。18対1では、1年以上の患者割合が約56%を超えると、引き下げ分が引き上げ分を上回り病棟全体で減収に転じる。20対1では、この分岐点が約54%となる。いずれも公表された点数から単純計算した目安であり、長期入院患者が多い病棟ほど不利になる構造を示している。減収額は、1年以上の患者1人あたりで見ると小さくない。18対1で1年以上の患者を1人受け入れ続けた場合、1日あたり50点、すなわち500円の減収となる。この減収は、1床を1年間埋め続ければ約18万円に達する。減収を避けるには、入院1年を迎える前の退院支援が要となる。中医協の資料は、多職種による包括的ケアを実践した病棟で平均在院日数が減少し、地域平均生活日数が増加した事例を紹介している。また精神科入退院支援加算を算定する医療機関は、在宅復帰率が高く平均在院日数が短い傾向にある。退院支援と並ぶ選択肢が、入院料そのものの転換である。ただし転換先の要件は軽くない。精神科地域包括ケア病棟入院料は、精神科入退院支援加算の届出、精神保健指定医の公務員としての業務実績、精神科救急医療への参画など、届出病棟に限らず院内全体で満たすべき施設基準が設定されている。その結果、令和7年10月時点の届出は31施設にとどまる。転換を検討する場合は、これらの要件を満たせるかどうかの確認が前提となる。まとめ:1年の壁を意識した病棟運営へ令和8年度改定は、18対1及び20対1の精神病棟入院基本料を、入院期間1年で2区分に分けた。この見直しの背景には、経過措置として存続してきた両入院料に長期入院患者が滞留している実態がある。改定案は、1年未満を引き上げ、1年以上を引き下げる。対象病棟は、1年の壁を意識した退院支援体制の構築が求められる。なお本稿は答申時点の個別改定項目に基づく。特に「1年」の起算方法、すなわち通算の可否や再入院の取扱いは、個別改定項目には示されていない。算定要件、施設基準及び経過措置の詳細とあわせて、今後発出される告示及び通知で確認してほしい。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】精神科救急急性期医療入院料の対象患者拡大を解説
精神疾患と身体疾患を併せ持つ患者は、急性期の全身管理と専門的な精神科医療の双方を必要とします。こうした患者は、身体面の急性期に対応できるICU等を備えた病院の精神病床でいったん受け入れられ、その後、専門的な精神科医療を担う病院へ転院する流れが想定されます。しかし現行制度では、この転院患者が精神科救急急性期医療入院料等の算定対象に含まれていませんでした。そこで本メルマガでは、令和8年度診療報酬改定における精神科救急急性期医療入院料等の対象患者の見直しを解説します。今回の改定は、精神科救急急性期医療入院料及び精神科救急・合併症入院料の対象患者に、新たな転院患者を追加するものです。追加される患者は、ICU等の高度急性期病床を有する病院の精神病床に入院していた患者です。この患者が当該保険医療機関へ転院した場合に、対象患者となります。一方、精神科急性期治療病棟入院料は、今回の追加対象に含まれません。改定の背景:身体と精神を併せ持つ患者の医療提供体制の推進今回の改定は、精神疾患と身体疾患を併せ持つ患者の医療提供体制を推進する観点から行われました。このような患者は、精神症状への対応だけでなく、身体面の急性期治療も同時に必要とします。そのため、身体治療の急性期は高度急性期病床を持つ病院が担い、その後の精神科医療は専門病院が担う、という役割分担が望まれます。しかし現行制度では、この役割分担を診療報酬が十分に評価できていませんでした。高度急性期病床を持つ病院の精神病床から専門病院へ転院した患者が、精神科救急急性期医療入院料等の対象患者に含まれていなかったためです。この結果、身体・精神の連携を担う病院間の転院が、診療報酬の面で評価されにくい状況でした。今回の見直しは、この転院患者を対象患者に加えることで、両者の連携を後押しするものです。追加される対象患者:高度急性期病床を持つ病院からの転院患者追加される対象患者は、高度急性期病床を持つ他の病院の精神病床から当該保険医療機関へ転院した患者です。この患者が対象となるには、転院元の病院と、そこでの入院料に関する2つの条件を満たす必要があります。以下では、この2つの条件を順に説明します。第一の条件は、転院元の病院が高度急性期病床を持つことです。具体的には、次のいずれかを算定する病棟又は病室を有する病院が該当します。* 救命救急入院料 ・特定集中治療室管理料(ICU)* ハイケアユニット入院医療管理料(HCU)* 脳卒中ケアユニット入院医療管理料(SCU)* 小児特定集中治療室管理料(PICU)* 総合周産期特定集中治療室管理料(母体・胎児集中治療室管理料を算定するものに限る)第二の条件は、その病院の精神病床で所定の入院料を算定していたことです。具体的には、転院元の病院において、次のいずれかを算定した後に当該病棟へ転院した患者が対象となります。対象となる入院料は、精神病棟入院基本料(10対1、13対1及び15対1入院基本料に限る)、特定機能病院入院基本料(精神病棟に限る)、精神科救急急性期医療入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神科救急・合併症入院料、児童・思春期精神科入院医療管理料の6区分です。以上の2つの条件を満たす転院患者が、今回新たに対象患者へ加わります。つまり、身体の急性期治療が可能な病院の精神病床でいったん受け入れられ、その後に専門病院へ移った患者を評価する仕組みです。対象となる2つの入院料と、対象外の入院料今回の見直しは、2つの入院料に同じ形で適用されます。適用されるのは、精神科救急急性期医療入院料と精神科救急・合併症入院料です。両者ともに、上記の転院患者を対象患者へ追加する規定が新設されました。精神科救急急性期医療入院料では、対象患者の第3区分として新設されました。従来の第3区分(治療抵抗性統合失調症治療薬による治療のための転棟患者)は、繰り下がって第4区分となります。精神科救急・合併症入院料でも、同じ考え方で対象患者の第4区分として新設されました。従来の第4区分(治療抵抗性統合失調症治療薬による治療のための転棟患者)は、繰り下がって第5区分となります。一方、精神科急性期治療病棟入院料は、今回の追加対象に含まれません。別表第十のタイトルには3つの入院料が並びますが、転院患者が追加されるのは上記2つのみです。実務では、この点を取り違えないよう注意が必要です。実務上のポイント:転院元の体制と入院料の確認実務では、転院元の医療機関の体制と入院料を確認することが重要です。対象患者となるかどうかは、転院してきた患者そのものではなく、転院元での状況によって決まるためです。まず、転院元が高度急性期病床を持つ病院かを確認します。救命救急入院料やICU等を算定する病棟・病室を持つ病院であるかが判断の起点です。次に、その病院で患者が算定していた入院料を確認します。精神病棟入院基本料等の対象6区分のいずれかに該当すれば、当該病棟への転院後に対象患者となります。こうした確認を行うことで、身体と精神を併せ持つ患者の転院が、適切に評価されるようになります。転院元の情報を診療録や診療情報提供書で把握し、算定要件との照合を確実に行いましょう。まとめ令和8年度診療報酬改定では、精神科救急急性期医療入院料及び精神科救急・合併症入院料の対象患者が拡大されました。新たに追加されるのは、ICU等の高度急性期病床を有する病院の精神病床から当該保険医療機関へ転院した患者です。この見直しは、精神疾患と身体疾患を併せ持つ患者の医療提供体制を推進するものです。なお、精神科急性期治療病棟入院料は今回の追加対象に含まれない点に留意してください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
精神科救急急性期医療入院料の要件見直し|「入院形態」から「必要性」評価へ
精神科救急急性期医療入院料等は、年間の新規入院患者のうち6割以上が非同意入院であることを、施設基準として求めてきました。この入院形態に基づく要件は、基準を満たすために非自発的入院を促しかねないと指摘されてきました。令和8年度診療報酬改定は、この割合要件を、緊急的な入院医療の必要性を測る「精神科救急等病棟必要性チェックリスト」の得点へと見直します。この見直しにより、施設基準は「非同意入院の割合」から「チェックリストの得点」を問う要件へと変わります。改定後の要件は、年間新規患者の6割以上がチェックリストで3点以上であることとされました。この見直しの狙いは、入院形態を問わず、緊急的な入院医療の必要性そのものを評価することにあります。あわせて、令和8年5月31日までの非同意入院患者を3点以上とみなす経過措置が設けられ、精神科救急・合併症入院料も同様に見直されます。見直しの背景:入院形態そのものを問う現行要件の課題現行の割合要件は、非同意入院という入院形態そのものを基準としている点に課題がありました。この課題を、要件の内容、算定病棟の実態、指摘されてきた懸念の順に説明します。現行の施設基準は、算定病棟に対し、年間新規患者の6割以上が非同意入院であることを求めています。ここでいう非同意入院とは、措置入院、緊急措置入院、医療保護入院、応急入院、鑑定入院、医療観察法入院の6つを指します。つまり現行要件は、患者の入院医療の必要性ではなく、本人の同意によらない入院の割合を、病棟の質の指標として用いてきました。この非同意入院の割合は、算定病棟の多くで6割を大きく上回っています。保険局医療課の調べでは、精神科救急急性期医療入院料の算定病棟における非同意入院割合は、6割台よりも高い水準に分布の山が寄っていました。要件の下限である6割を、実態が大きく超えている状況です。この入院形態を問う要件には、非自発的入院を促しかねないという懸念が寄せられてきました。精神病床の入院患者では、医療保護入院が約半数を占めています。そのため、過度な強制入院につながらないよう配慮すべきという声が強まっていました。支払側委員も、患者の特性に応じた治療・ケアの観点から、入院の必要性を判断する指標やチェックリストを患者割合要件として活用すべきと意見していました。見直しの具体的内容:チェックリスト得点への置き換え改定は、割合要件の判定基準を「非同意入院か否か」から「チェックリストで3点以上か否か」へ置き換えます。この置き換えを、要件の変更点と、その根拠となった研究データの順に説明します。要件の変更点は、6割という水準を保ったまま、その分子の数え方を入れ替えたことです。現行要件は「年間新規患者の6割以上が6つの非同意入院のいずれかであること」でした。改定後の要件は「年間新規患者の6割以上が精神科救急等病棟必要性チェックリストで3点以上であること」となります。判定の対象が、入院形態から、緊急的な入院医療の必要性を測る得点へと移ります。このチェックリストは、高規格病棟を必要とする患者をおおむね捉えられることが、研究で裏づけられています。全国161の該当医療機関のうち81医療機関から得られた2164名のデータを用いた分析では、チェックリスト3点以上の割合は73.1%であり、非自発入院の割合74.9%とほぼ一致しました。また、臨床判断による必要性評価を基準とした場合、3点以上という基準は感度83.64%、特異度51.87%、AUC0.75を示しました。この結果は、入院形態を問わず、必要性の高い患者をおおむね捉えられることを示しています。経過措置と対象範囲:円滑な移行への配慮この見直しには、経過措置と対象拡大という2つの配慮が設けられています。この2つを、移行期の負担軽減と、同時に見直される入院料の順に説明します。経過措置は、移行期の患者を非同意入院の実績で読み替える仕組みです。令和8年5月31日までに新規入院した患者については、6つの非同意入院のいずれかに該当すれば、チェックリストで3点以上とみなします。この読み替えにより、チェックリストの運用が定着するまでの間、算定病棟の負担が軽減されます。対象範囲は、精神科救急急性期医療入院料にとどまりません。同じ考え方に基づき、精神科救急・合併症入院料についても、割合要件が同様に見直されます。緊急的な入院医療を担う病棟の評価を、入院形態から必要性へと統一する方向です。まとめ令和8年度診療報酬改定は、精神科救急急性期医療入院料等の割合要件を、非同意入院の割合からチェックリストの得点へと見直します。改定後の要件は、年間新規患者の6割以上がチェックリストで3点以上であることです。この見直しは、非自発的入院を促しかねない現行要件を改め、入院形態を問わず入院医療の必要性そのものを評価することを狙いとしています。あわせて、令和8年5月31日までの経過措置が設けられ、精神科救急・合併症入院料も同様に見直されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
精神科救急医療体制加算の見直し|令和8年度改定を実績評価の視点で解説
精神科救急医療体制加算は、充実した精神科救急医療体制の構築を評価する加算です。この加算は、従来、精神科救急医療体制整備事業の類型に応じて評価されてきました。しかし、この類型に応じた評価では、個々の病棟が実際に担う救急受入の実績が点数へ十分に反映されませんでした。そこで本記事では、令和8年度改定における精神科救急医療体制加算の見直しの内容を解説します。今回の見直しは、救急受入実績に基づく評価への転換を柱とします。まず、評価体系が事業類型に応じたものから救急受入実績に基づくものへ改められます。次に、加算の区分が3区分から2区分へ再編されます。さらに、120床を超えて届出を行う場合の特例的な規定が廃止されます。評価体系の見直し:類型から実績へ評価体系は、事業類型に応じた評価から救急受入実績に基づく評価へ見直されます。この転換により、加算の区分も再編されます。現行の精神科救急医療体制加算は、3つの区分で構成されていました。区分は、精神科救急医療体制整備事業の類型に応じて分けられていました。点数は、加算1が600点、加算2が590点、加算3が500点です。見直し後の加算は、2つの区分へ再編されます。点数は、加算1が600点、加算2が500点です。中間区分であった590点の加算2は廃止されます。なお、改定後も「加算2」という名称は残りますが、その点数は現行の加算3を引き継ぐ500点です。この再編により、評価の基準は事業類型から救急受入の実績へと移ります。施設基準の見直し:実績の水準で区分施設基準は、救急受入実績の水準によって加算1と加算2を区分するよう改められます。区分の差は、求められる実績の量に表れます。加算1の施設基準は、精神科救急医療に係る十分な実績を求めます。現行では、相当程度の実績で加算1を算定できました。見直し後は、十分な実績が加算1の要件となります。この引き上げにより、加算1はより高い救急受入実績を担う病棟へ重点化されます。加算2の施設基準は、精神科救急医療に係る相当程度の実績を求めます。加算2は、病床数や体制の要件を加算1と共有します。一方で、実績の要件は、加算1の「十分な実績」より緩やかな「相当程度の実績」にとどまります。この違いにより、実績の水準に応じた2段階の評価が実現します。120床超特例の廃止120床を超えて届出を行う場合の特例的な規定は、廃止されます。この特例は、病床数の上限を例外的に緩めるものでした。現行の特例は、120床を超える病棟にも加算の算定を認めていました。特例の対象は、2つの条件をともに満たす病棟です。第一に、令和4年3月31日時点で旧医科点数表の精神科救急入院料を算定していることです。第二に、都道府県等から、地域の医療提供体制や医療計画上の必要性等に係る文書が提出されていると確認できることです。対象となる病棟は、この特例により、当時の病床数を上限として加算を算定できました。ただし、特例で算定する場合、点数は所定点数の100分の60(60%)に減額されていました。見直し後は、この特例が廃止されます。加算を算定する病棟の病床数は、原則どおり120床までとなります。60%に減額して算定する規定も、あわせて削除されます。この廃止により、病床数の要件は全ての病棟で一律となります。まとめ:実績評価への一本化がポイント今回の見直しは、精神科救急医療体制加算を救急受入実績に基づく評価へ転換するものです。評価体系は、事業類型に応じたものから救急受入実績に基づくものへ改められ、区分は3区分から2区分へ再編されます。施設基準は、加算1に十分な実績を、加算2に相当程度の実績を求め、実績の水準で2段階に区分されます。加えて、120床を超えて届出を行う場合の特例的な規定が廃止されます。実績評価への一本化が、今回の見直しの核心です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|精神病床の透析患者受け入れを後押しする包括範囲の見直し
維持透析を必要とする精神疾患患者は、精神病床での受け入れを必要とする場面があります。しかし従来の精神科入院料は透析に係る費用を包括的に評価しており、精神病床は透析費用を別途算定できませんでした。この包括評価は、精神病床が透析患者を受け入れにくい要因となっていました。令和8年度診療報酬改定は、この課題を解消し透析患者の受け入れを推進するため、精神科入院料の包括範囲を見直します。今回の見直しは、6つの精神科入院料の包括範囲から透析に係る評価を除外するものです。対象は、精神科救急急性期医療入院料をはじめとする6種類の入院料です。除外されるのは、人工腎臓、腹膜灌流、およびこれらに係る特定保険医療材料の評価です。この除外により、精神病床は透析費用を出来高で算定できるようになります。見直しの背景:透析患者を受け入れにくい包括評価今回の見直しは、維持透析を必要とする精神疾患患者の受け入れを推進する狙いがあります。維持透析の患者が精神疾患を併発すると、透析と精神科医療の両方を受けられる病床が必要になります。この受け皿を担うのが精神病床です。今回の見直しの対象となる入院料は、いずれも包括払いを基本とします。包括払いとは、個々の診療行為ごとに費用を積み上げるのではなく、あらかじめ定められた1日あたりの入院料にまとめて評価する方式です。この方式では、入院料に含まれる診療行為を実施しても、その費用を別途請求できません。従来の包括払いは、透析に係る費用も入院料に含めていました。そのため、これらの入院料を算定する精神病床は、透析患者を受け入れても、透析にかかる費用を回収できませんでした。この算定上の制約が、精神病床による透析患者の受け入れをためらわせる要因となっていたのです。対象となる入院料:精神病床で算定する6種類見直しの対象は、精神病床で算定する6つの特定入院料です。いずれも包括払いを基本とする入院料であり、今回の見直しで包括範囲がそろって変わります。対象となる6つの入院料は、次のとおりです。* 精神科救急急性期医療入院料* 精神科急性期治療病棟入院料* 児童・思春期精神科入院医療管理料* 精神療養病棟入院料* 認知症治療病棟入院料* 地域移行機能強化病棟入院料これら6つの入院料は、急性期から療養、地域移行まで、精神医療のさまざまな段階をカバーします。そのため今回の見直しは、幅広い精神病床で透析患者を受け入れやすくする効果を持ちます。除外される項目:透析に係る3つの評価6つの入院料の包括範囲からは、透析に係る3つの評価が除外されます。いずれも人工腎臓または腹膜灌流に直接関わる項目です。除外される3つの評価は、次のとおりです。* 人工腎臓(区分番号J038)* 腹膜灌流(区分番号J042)* 特定保険医療材料(区分番号J400のうち、人工腎臓または腹膜灌流に係るもの)これら3つの評価は、改定前は入院料に含まれ、別途算定できませんでした。改定後は包括範囲から外れ、入院料とは別に算定できるようになります。なお、透析以外の診療行為の取り扱いは、改定前と変わりません。現場への影響:透析費用を出来高で算定可能に除外により、精神病床は透析費用を出来高で算定できるようになります。出来高とは、実施した診療行為ごとに費用を積み上げて算定する方式です。透析を実施した分だけ費用を請求できるため、受け入れに伴う負担が軽くなります。透析費用を算定できることは、精神病床が透析患者を受け入れる動機になります。維持透析を必要とする精神疾患患者にとって、これは受け入れ先の広がりを意味します。透析と精神科医療の両方を必要とする患者が、適切な病床にたどり着きやすくなるのです。まとめ:包括範囲の見直しで透析患者の受け入れを推進令和8年度診療報酬改定は、維持透析を必要とする精神疾患患者の受け入れを推進するため、精神科入院料の包括範囲を見直します。対象は、精神科救急急性期医療入院料など6つの入院料です。これら6つの入院料の包括範囲から、人工腎臓、腹膜灌流、およびこれらに係る特定保険医療材料の評価を除外します。除外により、精神病床は透析費用を出来高で算定できるようになり、透析患者を受け入れやすくなります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
精神科慢性身体合併症管理加算とは?令和8年度改定で新設された700点の全貌
精神科慢性身体合併症管理加算は、令和8年度診療報酬改定で新たに設けられた加算です。精神病床に入院する患者は、高齢化が進んでいます。高齢化に伴い、糖尿病などの身体合併症を慢性的に抱える患者が増えています。こうした患者には、精神科以外の医師による継続的な診療体制が欠かせません。しかし、この継続的な身体管理には、これまで独立した評価がありませんでした。本メルマガは、この課題に対応するため新設された加算の内容を、対象患者から施設基準まで解説します。精神科慢性身体合併症管理加算は、精神科以外の医師が身体合併症を管理した場合を評価する、月1回700点の加算です。対象となる患者は、糖尿病の患者や特定疾患療養管理料の対象疾患を有する患者に限られます。算定するには施設基準の届出が必要で、算定した日には既存の精神科身体合併症管理加算を併算定できません。施設基準では、精神科を標榜する病院であることと、病棟への内科医の配置が求められます。新設の背景|高齢化する精神病床と身体合併症への対応精神科慢性身体合併症管理加算は、精神病床の高齢化という背景から新設されました。この加算は、慢性的な身体管理を要する患者への診療体制を確保し、適切な対応を推進する狙いを持ちます。精神病床に入院する患者は、高齢化が進んでいます。高齢化した患者は、糖尿病をはじめとする身体合併症を慢性的に抱えるケースが増えています。こうした身体合併症は、精神疾患とは異なる専門的な管理を必要とします。そのため、精神科以外の医師による継続的な診療が求められます。継続的な身体管理は、これまで十分に評価されてきませんでした。従来の評価は、急性期の身体合併症への対応が中心でした。一方で、慢性的に管理が必要な身体合併症への継続的な対応には、独立した評価がありませんでした。この空白を埋めるため、本改定は継続的な管理を行った場合を新たに評価します。加算の概要と対象患者|700点で評価する診療と対象疾患精神科慢性身体合併症管理加算は、精神科以外の医師による診察を月1回700点で評価します。対象となる患者は、糖尿病や特定疾患療養管理料の対象疾患を有する患者に限られます。この加算は、精神科以外の医師が診察を行った場合に算定します。精神病床に入院し、慢性的に身体合併症への対応を要する患者が対象です。その患者に対して、内科医などの精神科以外の医師が身体合併症の診察を行うと、月1回700点を所定点数に加算できます。対象となる患者は、次の疾患を有する患者に限定されています。* 糖尿病の患者* 特定疾患療養管理料の対象疾患(胃炎及び十二指腸炎を除く。)の患者特定疾患療養管理料の対象疾患には、胃炎及び十二指腸炎が含まれません。この2つの疾患は、本加算の対象から除外されています。対象疾患を確認する際は、この除外規定に注意が必要です。算定要件|届出・回数・併算定できないケース精神科慢性身体合併症管理加算の算定には、施設基準の届出が前提となります。算定は月1回に限られ、他の加算や医師の診察内容によっては算定できないケースがあります。算定する保険医療機関は、施設基準の届出を済ませている必要があります。届出先は、地方厚生局長等です。届出た医療機関が、厚生労働大臣の定める疾患を有する精神障害者に必要な治療を行った場合に、この加算を算定できます。算定の対象となる患者には、入院料の条件があります。対象は、精神科慢性身体合併症管理加算を算定できる入院基本料または特定入院料を、現に算定している患者に限られます。この条件を満たす患者について、1月に1回だけ所定点数に加算します。この加算を算定した日には、精神科身体合併症管理加算(A230-3)を併算定できません。両者は同じ日に重ねて算定することができません。したがって、既存の精神科身体合併症管理加算との使い分けが必要になります。精神療法を行った医師が、そのまま身体合併症の診察もした場合は、この加算を算定できません。入院精神療法(I001)や通院・在宅精神療法(I002)を行った医師本人が診察したケースが該当します。この場合、身体合併症の診察であっても加算を算定できません。一方で、精神療法を行った医師とは別の医師が身体合併症を診察した場合は、算定の対象となります。施設基準|精神科標榜と内科医の配置精神科慢性身体合併症管理加算の施設基準は、精神科の標榜と内科医の配置を柱とします。この基準は、精神疾患と身体合併症の両面に対応できる体制を求めるものです。施設基準として、次の3つの要件が定められています。* 精神科を標榜する保険医療機関である病院であること* 当該病棟に内科の医師が配置されていること* 精神障害者であって身体合併症を有する患者の治療を行うにつき十分な体制を有していることこれらの要件は、身体合併症への継続的な対応を担保する狙いを持ちます。精神科の標榜は、精神疾患への対応を前提として求められます。内科医の配置は、身体合併症への専門的な診療を確保するために必要です。十分な体制の確保は、精神と身体の両面を継続的に管理するために欠かせません。まとめ|身体と精神の両面を支える新たな評価精神科慢性身体合併症管理加算は、精神病床の高齢化に対応するため新設された、月1回700点の加算です。対象となる患者は、糖尿病や特定疾患療養管理料の対象疾患を有する患者に限られます。算定するには施設基準の届出が必要で、算定した日には精神科身体合併症管理加算を併算定できません。施設基準では、精神科を標榜する病院であることと、病棟への内科医の配置が求められます。この加算は、精神疾患を抱える患者の身体合併症を継続的に管理する体制を、診療報酬の面から支えるものです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
精神科リエゾンチーム加算が300点から最大1,000点へ|令和8年度改定の全容
令和8年度診療報酬改定は、精神科リエゾンチーム加算の要件と評価を見直します。精神科リエゾンチーム加算は、一般病棟に入院する患者の精神症状を早期に把握し、精神科専門医療につなぐチーム診療を評価する加算です。この加算は、現行では対象患者の状態を問わず週1回300点の一律評価にとどまっており、多様な精神疾患に対応するチームの専門性を反映できていませんでした。本記事は、令和8年度改定で加算がどう変わるのかを、背景・改定内容・実務対応の順に整理します。改定の要点は、認知症・せん妄以外の患者への診療を手厚く評価する点にあります。第1に、加算が「1 認知症又はせん妄の場合 300点」と「2 それ以外の場合 700点」の2区分に分かれます。第2に、区分2の患者に週2回以上診療した場合の「複数回診療加算」300点が新設されます。この2点により、区分2の患者では週あたり最大1,000点の算定が可能となります。なお、算定頻度は改定前後を通じて週1回が上限です。1. 見直しの背景:専門性が評価に反映されていなかった見直しの背景には、精神科リエゾンチームの専門性と現行評価とのギャップがあります。中央社会保険医療協議会(中医協)は、「様々な精神疾患に対応できる精神科リエゾンチームの専門性を評価する観点から、精神科リエゾンチーム加算の要件及び評価を見直す」との方向性を示しました。この方向性は、令和6年度入院・外来医療等における実態調査の結果に基づいています。実態調査は、精神科リエゾンチームが多様な精神疾患に介入している実態を明らかにしました。介入した患者像は、せん妄を有する患者が97.7%、抑うつを有する患者が90.1%、その他の精神疾患を有する患者が88.5%、認知症患者が83.2%、自殺企図で入院した患者が77.9%でした。つまり、チームの介入対象は認知症やせん妄にとどまらず、抑うつ、自殺企図、その他の精神疾患まで広がっています。対象の広がりに対し、認知症とせん妄への対応は他の加算でも担われています。実態調査によれば、認知症ケア加算やせん妄ハイリスクケア加算を届け出る医療機関の多くも、認知症やせん妄には対応できると回答しました。これに対し、統合失調症や気分障害などの多様な精神疾患に対応できると回答した医療機関は、精神科リエゾンチーム加算の届出施設に偏っていました。この差が、認知症・せん妄以外の患者への評価を引き上げる根拠となります。2. 改定内容①:加算が300点と700点の2区分に分かれる改定の第1の柱は、加算の2区分化です。現行の「精神科リエゾンチーム加算(週1回)300点」は、令和8年度改定後、次の2区分に再編されます。* 区分1:認知症又はせん妄の場合 …… 300点* 区分2:それ以外の場合 …… 700点区分1は、認知症またはせん妄の患者を対象とし、現行と同じ300点を維持します。区分2は、それ以外の患者を対象とし、700点へと大幅に引き上げられます。ここでいう「それ以外」とは、抑うつを有する患者、精神疾患を有する患者、自殺企図により入院した患者のうち、認知症とせん妄に該当しない患者です。区分1と区分2の具体的な線引きは、今後の通知等で示される見込みです。改定案の算定要件は、区分の判定基準までは定めていません。認知症と抑うつを併存する患者などの取扱いは、告示・通知の内容を確認してください。算定対象となる患者の範囲そのものは、改定後も変わりません。届出を行った保険医療機関において、精神科の医師、看護師、精神保健福祉士等が共同して精神症状の評価等の必要な診療を行った場合に算定します。対象患者は、抑うつ若しくはせん妄を有する患者、精神疾患を有する患者、自殺企図により入院した患者です。認知症ケア加算1を別に算定できない点も、現行から変更ありません。算定頻度も、実質的には変わりません。現行は点数名に「(週1回)」と付されており、改定案では算定要件の注1に「週1回に限り」と規定されます。つまり、週1回が上限である点は改定前後で同じであり、規定場所が整理されただけです。3. 改定内容②:複数回診療加算300点が新設される改定の第2の柱は、複数回診療加算の新設です。区分2(認知症・せん妄以外)の患者に対し、週2回以上精神科リエゾンチームによる診療を行った場合、複数回診療加算として週1回に限り300点を加算できます。この加算により、区分2の患者では週あたり最大1,000点(700点+300点)の算定が可能となります。複数回診療加算には、2つの制限があります。第1に、対象は区分2の患者に限られ、区分1(認知症・せん妄)の患者は対象外です。第2に、週2回以上診療しても、加算できるのは週1回・300点までです。4. 実務対応:区分の判定と記録の整備がカギになる実務では、区分の判定と記録の整備が算定の前提となります。区分1と区分2で点数が400点も開くため、患者ごとの区分判定が算定額を左右します。区分判定では、認知症とせん妄の有無を診療録上で明確にする必要があります。抑うつと認知症を併存する患者、術後せん妄から精神症状が遷延した患者など、区分の境界に位置する症例は少なくありません。こうした症例では、チームがどの病態を主たる対象として介入したのかを、精神症状の評価結果とともに記録しておきましょう。診療回数の管理も、複数回診療加算の算定に欠かせません。複数回診療加算は、週2回以上の診療を要件とします。したがって、各回の診療日、参加職種、評価内容をチーム記録に残す運用が求められます。なお、現行の留意事項は、1週間当たりの算定患者数を1チームにつき概ね30人以内としています。この取扱いが改定後どうなるかは個別改定項目に示されていないため、通知等での確認が必要です。まとめ:認知症・せん妄以外への介入が評価の中心へ令和8年度改定は、精神科リエゾンチーム加算を専門性に応じた評価へと組み替えます。加算は「認知症又はせん妄の場合 300点」と「それ以外の場合 700点」の2区分となり、後者には週2回以上の診療を評価する複数回診療加算300点が新設されます。最大1,000点となるのは区分2の患者に限られ、算定が週1回を上限とする点は改定前後で変わりません。届出医療機関は、区分判定の根拠と診療回数を記録に残す運用を、施行前に整えておきましょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】精神科地域密着多機能体制加算を新設|最大800点の算定要件を解説
精神病床に入院する患者数は、減少を続けています。この減少が続くと、小規模な精神科病院や病床削減に取り組む精神科病院は運営が難しくなり、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」(以下「にも包括」)を支える医療機関が地域から失われます。そこで令和8年度診療報酬改定は、小規模医療機関または病床削減に取り組む医療機関を支える新たな評価を設けました。本記事は、この新たな評価である「精神科地域密着多機能体制加算」の内容を、算定要件、施設基準、関連する見直しの順に解説します。精神科地域密着多機能体制加算は、質の高い入院医療と地域定着支援を一体的に提供する病院を、病床規模と実績に応じて3区分で評価する加算です。第1に、点数は1日につき加算1が800点、加算2が250点、加算3が50点であり、精神病棟入院基本料(10対1、13対1、15対1)または精神科急性期治療病棟入院料を算定する患者が対象となります。第2に、施設基準は全区分共通の「通則」と、区分ごとの個別基準の二層で構成され、個別基準は精神病床の規模と病床削減の進み具合で区分が分かれます。第3に、令和6年度改定で新設された精神科地域包括ケア病棟入院料は、経過措置を設けたうえで廃止されます。1. 加算の点数と算定要件精神科地域密着多機能体制加算は、3つの区分に分かれた1日単位の加算です。区分ごとの点数は、加算1が800点、加算2が250点、加算3が50点です。この3区分は、後述する精神病床の規模と病床削減の進み具合によって分かれます。対象患者は、精神病棟入院料(10対1入院基本料、13対1入院基本料または15対1入院基本料を算定するものに限る)または精神科急性期治療病棟入院料を算定する入院患者です。したがって、18対1や20対1、特別入院基本料を算定する患者は、対象から外れます。算定要件は、精神科を標榜し、施設基準の届出を行った保険医療機関であることです。この保険医療機関に入院する患者について、届け出た区分に従い、所定点数に加算します。加算の対象となる入院料を現に算定していることが、算定の前提となります。2. 施設基準の構造と区分ごとの要件施設基準は、全区分に共通する「通則」と、区分ごとの個別基準の二層で構成されます。この二層構造を理解すれば、自院がどの区分を狙えるかを短時間で判断できます。通則は、病院全体の規模と体制を問う6項目です。第1に、にも包括の構築に貢献するにつき十分な体制を整備していることが求められます。第2に、許可病床数が350床以下であることが求められます。第3に、許可病床数に占める精神病床の割合が6割5分以上であることが求められます。第4に、常勤の精神保健指定医を2名以上配置していることが求められます。第5に、地域の精神科救急医療体制の確保に協力する体制と実績を有していることが求められます。第6に、退院支援に関する部門を設置していることが求められます。通則を満たしたうえで、加算1は「精神病床100床以下」の最も小規模な病院を評価します。この区分は、精神病床の平均在院日数が150日以内であること、精神療養病棟入院料または認知症治療病棟入院料を算定する病床の割合が3割以下であること、地域生活に向けた重点的な支援の体制と実績を有すること、入院患者の退院が着実に進んでいることを求めます。多職種配置については、常勤の精神保健福祉士2名以上、常勤の作業療法士1名以上、常勤の公認心理師1名以上を、それぞれ求めます。加算1と同じ多職種配置を求めつつ、加算2は「精神病床101~150床」または「病床削減を進める151~250床」の病院を評価します。この区分は、精神病床の平均在院日数が150日以内であること、精神療養病棟入院料または認知症治療病棟入院料を算定する病床の割合が3割以下であること、地域生活に向けた重点的な支援の体制と実績を有すること、入院患者の退院が着実に進んでいることを求めます。つまり、平均在院日数と多職種配置を含め、加算1と共通の要件が並びます。加算1と異なるのは、対象となる精神病床の規模と、病床削減の指標です。151床以上250床以下の病院は、届出前月末の精神病床の許可病床数を3年前の年度の1日当たり入院料算定患者数で割った値が0.95以下であること、届出から1年が経過するごとに同様の値が0.95以下であることを求められます。加算2よりも要件を緩め、加算3は「精神病床250床以下」で病床削減に着手した病院を評価します。この区分は、平均在院日数を250日以内とし、地域生活に向けた重点的な支援についても「適切な」体制と実績で足ります(加算1・2は「十分な」体制と実績)。病床割合の要件も、加算1・2が精神療養病棟入院料と認知症治療病棟入院料の合計で3割以下を求めるのに対し、加算3は精神療養病棟入院料を算定する病床のみが3割以下であれば足ります。多職種配置も、常勤の精神保健福祉士、作業療法士、公認心理師の合計2名以上で足ります。一方で加算3は、病床削減について3つの条件を重ねて求めます。第1に、届出前月末の精神病床の許可病床数を3年前の年度の1日当たり入院料算定患者数で割った値が0.97以下であることを求めます。第2に、届出時の精神病床の許可病床数を上回らないことを求めます。第3に、届出から1年が経過するごとに、当該月末の精神病床の許可病床数を3年前の精神病床の許可病床数で割った値が0.95以下であることを求めます。この第3の指標は、加算2が入院料算定患者数を分母とするのに対し、許可病床数を分母とする点で異なります。3. 精神科地域包括ケア病棟入院料の廃止と経過措置新たな加算の新設とあわせて、精神科地域包括ケア病棟入院料(1日につき1,535点)は廃止されます。この入院料は令和6年度改定で新設されたものです。中医協の資料「個別事項について(その2)精神医療①」は、届出病棟に限らず院内全体で満たす必要のある施設基準が設定されていること、令和7年10月時点の届出医療機関数が31施設にとどまることを、課題として挙げていました。廃止に伴い、経過措置が2つ設けられます。算定要件については、令和8年3月31日時点で届出を行っていた病棟が令和8年6月1日までに精神科急性期治療病棟入院料2の届出を行った場合、精神科地域包括ケア病棟入院料の算定期間と通算して180日を限度に、同入院料2のハを算定できます。施設基準については、同じく令和8年3月31日時点の届出病棟に限り、令和8年9月30日までの間、基本診療料の施設基準等の第九の十五の(1)ならびに(3)のイおよびニからヘまでを満たせばよいこととされます。まとめ:小規模・病床削減の病院を3区分で支える精神科地域密着多機能体制加算は、にも包括を支える病院を将来にわたって確保するための新たな評価です。点数は1日につき800点、250点、50点の3区分であり、精神病棟入院料(10対1、13対1、15対1)または精神科急性期治療病棟入院料の算定患者が対象となります。施設基準は、350床以下・精神病床6割5分以上などの通則と、病床規模および病床削減の進み具合に応じた個別基準の二層で構成されます。あわせて、精神科地域包括ケア病棟入院料は、経過措置を設けたうえで廃止されます。自院の精神病床数と平均在院日数、多職種の配置状況を確認し、狙える区分を早期に見極めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】精神病棟看護・多職種協働加算を新設|13対1で357点
厚生労働省は、令和8年度診療報酬改定で「精神病棟看護・多職種協働加算」を新設します。精神病棟入院基本料等の急性期の入院料は、これまで看護職員の配置だけを評価し、精神保健福祉士、作業療法士、公認心理師(以下、3職種)の病棟配置を評価していませんでした。この記事では、新設される精神病棟看護・多職種協働加算の趣旨、対象入院料と点数、施設基準を解説します。精神病棟看護・多職種協働加算は、看護職員と3職種を併せて配置した精神病棟を1日につき最大357点で評価します。第1に、新設の趣旨は、多職種の配置による質の高い精神医療の提供の推進です。第2に、対象は、精神病棟入院基本料と特定機能病院入院基本料(精神病棟)の13対1・15対1、および精神科急性期治療病棟入院料2の3つです。第3に、施設基準は、看護職員と3職種を合算した人員配置、3職種1名以上の配置、平均在院日数の3つを要件とします。なお、点数は対象入院料ごとに異なります。1. 新設の趣旨:多職種配置による質の高い精神医療の推進精神病棟看護・多職種協働加算は、多職種の配置による質の高い精神医療の提供を推進する観点から新設されます。改定資料の「第1 基本的な考え方」は、急性期等の入院料における3職種の病棟配置について新たな評価を行うと明記しています。つまり、この加算は、看護職員以外の職種を病棟に置く体制そのものを評価する点数です。多職種の配置は、入院医療から地域生活への移行を進めるうえで、繰り返しその必要性を指摘されてきました。良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針(平成26年厚生労働省告示第65号)は、医師、看護職員、精神保健福祉士、作業療法士等の多職種チームによる質の高い医療の提供を求めています。精神疾患の回復期には、精神保健福祉士による環境調整、作業療法士によるリハビリテーション、公認心理師による心理的ケアの必要性が高まるからです。多職種の配置は、実際の調査でも効果を示しています。中央社会保険医療協議会(中医協)に提出された調査によると、精神病棟入院基本料を届け出る病棟のうち、3職種を各1名以上配置した病棟の平均在院日数は353.9日でした。3職種の配置がない病棟を含む全体の平均在院日数429.2日と比べると、約75日短い水準です。在宅復帰率も、全体の63.8%に対し、3職種を各1名以上配置した病棟では70.2%と高い傾向を示しました。2. 対象入院料と加算点数:13対1で357点、15対1で196点精神病棟看護・多職種協働加算の対象は、3つの入院料です。第1に、精神病棟入院基本料の13対1入院基本料と15対1入院基本料が対象になります。第2に、特定機能病院入院基本料のうち精神病棟の13対1入院基本料と15対1入院基本料が対象になります。第3に、精神科急性期治療病棟入院料2が対象になります。いずれも、地方厚生局長等への届出を行った病棟の入院患者について、1日につき所定点数に加算します。精神病棟入院基本料では、13対1で357点、15対1で196点を算定します。点数は、急性期病院A、急性期病院B、精神病棟入院料の3区分に分かれますが、いずれも13対1が357点、15対1が196点で共通です。特定機能病院入院基本料では、13対1で355〜357点、15対1で90〜92点を算定します。点数は、特定機能病院A・B・Cの3区分に分かれます。13対1は、Aが356点、Bが357点、Cが355点です。15対1は、Aが91点、Bが92点、Cが90点です。精神病棟入院基本料の15対1(196点)と比べると、特定機能病院の15対1は半分以下の水準にとどまります。精神科急性期治療病棟入院料2では、入院期間に応じた3段階の点数を算定します。30日以内の期間は123点です。31日以上60日以内の期間は107点です。61日以上90日以内の期間は58点です。入院が長引くほど点数が下がる逓減制であり、早期退院を促す設計といえます。3. 施設基準:合算配置・3職種1名以上・平均在院日数精神病棟看護・多職種協働加算の施設基準は、3つの要件で構成されます。第1の要件は、看護職員と3職種を合算した人員配置です。第2の要件は、3職種のうちいずれかを1名以上配置することです。第3の要件は、平均在院日数の上限です。3つの要件の水準は、13対1と15対1で異なります。13対1入院基本料の場合、合算した人員配置は10対1以上が必要です。具体的には、1日に看護を行う看護職員、作業療法士、精神保健福祉士および公認心理師の数が、常時、入院患者数10またはその端数を増すごとに1以上でなければなりません。この規定にかかわらず、作業療法士、精神保健福祉士または公認心理師の数は1以上とします。平均在院日数は60日以内が上限です。15対1入院基本料の場合、合算した人員配置は13対1以上が必要です。具体的には、看護職員と3職種の数が、常時、入院患者数13またはその端数を増すごとに1以上でなければなりません。この規定にかかわらず、3職種のうちいずれかの数は1以上とします。平均在院日数は100日以内が上限です。特定機能病院入院基本料の場合、精神病棟入院基本料と同じ施設基準を適用します。13対1は精神病棟入院基本料の13対1の基準を、15対1は同じく15対1の基準を、それぞれ満たす必要があります。精神科急性期治療病棟入院料2の場合、15対1の基準のうち人員配置の2要件のみを適用します。適用されるのは、合算13対1以上の配置と、3職種のうちいずれかを1名以上配置する要件です。平均在院日数の要件は適用しません。4. まとめ:看護職員以外の病棟配置が点数になる精神病棟看護・多職種協働加算は、看護職員と3職種を併せて配置した精神病棟を1日につき最大357点で評価します。新設の趣旨は、多職種の配置による質の高い精神医療の提供の推進です。対象は、精神病棟入院基本料と特定機能病院入院基本料(精神病棟)の13対1・15対1、および精神科急性期治療病棟入院料2です。施設基準は、看護職員と3職種を合算した人員配置、3職種1名以上の配置、平均在院日数の3つを要件とします。すでに3職種を病棟配置している医療機関は、届出の可否を早期に確認することをお勧めします。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
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【テクノロジー】部門人気ランクTop3🏅 アメリカから毎朝4時に「10分」だけ。 次のトレンドをキャッチして、「イケてる人」になりましょう! ▼番組のテーマ: 「海外AI・NFT・テックトレンド」をリアルタイムで発信 ▼番組の特徴: ・アメリカ現地での体験を通じた生の声を重視 ・日本と海外のトレンド比較 【よく聴かれてます】※2023.6更新 ▼【ネクストChatGPT】米・中・欧の戦い、そして日本はどうなるのか? https://voicy.jp/channel/3611/514502 ▼【SEOブログはオワコン】Googleの検索が変わる!! https://voicy.jp/channel/3611/526620 ▼【Nikeに学ぶ】企業がNFTをはじめる時の3つのポイント https://voicy.jp/channel/3611/512735 ▼過去600回の音声配信はこちらから https://spoti.fi/3ZFwu4q ▼スタエフ http://bit.ly/3Gd2B ▼Twitter(1.7万フォロワー) https://twitter.com/kuromasuo ▼最先端テックが学べる無料メルマガ NEXT NOW(2,700登録者) https://t.co/IRrdcNPWTU ※この番組は、仮想通貨・株式等の取得や投資助言を目的としたものではありません。投資にはリスクが伴います。自己責任でお願いします。 https://listen.style/p/kuromasuo?Setd6apz