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2025-12-10 05:51

【令和8年度改定】人口減少地域の医療確保と救急体制強化の方向性|中医協第631回総会

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令和7年11月28日に中央社会保険医療協議会総会(第631回)が開催され、令和8年度診療報酬改定に向けた個別事項(その10)として「人口・医療資源の少ない地域」「救急医療」「業務の簡素化」の3テーマが議論されました。人口減少と医師の高齢化が進む地域での医療提供体制の維持が喫緊の課題となる中、オンライン診療の活用や医療機関間の連携強化が検討されています。

今回の議論では、主に3つの方向性が示されました。第一に、医療資源の少ない地域の対象範囲を見直すとともに、小規模二次医療圏における外来診療確保のための新たな評価の検討です。第二に、救急外来における体制評価の充実と救急患者連携搬送料の運用改善です。第三に、施設基準届出のオンライン化推進と計画書等の署名省略による業務負担軽減です。

人口・医療資源の少ない地域における医療提供体制

人口・医療資源の少ない地域では、診療所数の減少と医師の高齢化が深刻化しています。中医協では、対象地域の見直しと小規模二次医療圏への支援強化を軸に検討が進められています。

人口規模が小さい二次医療圏においては、2012年から2022年にかけて診療所数が減少傾向にあり、従事する医師の高齢化も進んでいます。全二次医療圏の人口平均値は約28.2万人、中央値は約22.3万人であり、人口密度が全国平均以下の二次医療圏は194医療圏に上ります。

医療資源の少ない地域の要件については、令和5年医療施設静態調査等を用いた見直しシミュレーションが行われました。その結果、現在該当する37医療圏のうち32医療圏が引き続き該当し、7医療圏が新たに該当する一方、5医療圏が除外となります。これにより、令和8年度改定では対象が39医療圏となる見込みです。除外される医療圏の医療機関については、運営の安定性を担保する観点から、経過措置期間の延長が検討されています。

小規模な二次医療圏における外来診療体制の確保に向けて、3層構造の支援イメージが示されました。第1層は過疎地域等に所在する「へき地診療所等」で、巡回診療や医師派遣、D to P with N・D to P with Dを含むオンライン診療を活用して基礎的な医療を提供します。第2層は「へき地診療所等への支援を実施する病院」で、地域の救急患者や入院患者を受け入れながら、オンライン診療を含む巡回診療や医師派遣を行います。第3層は「拠点的機能を有する病院」で、急性期の拠点機能を担いながら地域全体への医師派遣を調整します。

オンライン診療の活用については、へき地医療拠点病院358施設のうち83施設が情報通信機器を用いた診療の届出を行っています。オンライン診療による巡回診療を実施した医療機関は7施設にとどまりますが、実施した巡回診療のほとんどをオンライン診療で行っている先進事例も存在します。D to P with Nは看護師の同席により検査・処置の実施や患者状況の把握が可能となる利点があり、今後の評価のあり方について議論が求められています。

救急医療体制の充実と連携強化

救急医療については、過去最多となった救急搬送件数への対応と、救急外来における体制評価の充実が主な検討課題となっています。

令和6年中の救急自動車による救急出動件数と搬送人員は、昭和38年の集計開始以降で最多となりました。年齢区分別では高齢者の搬送が増加しており、現場到着所要時間および病院収容所要時間は新型コロナウイルス感染症発生以降大幅に延長し、令和5年においても以前の水準には戻っていません。

救急患者連携搬送料については、令和6年度改定で新設されたものの、課題が指摘されています。算定患者が多い医療機関がある一方で、ほとんどの医療機関では実際に搬送・受入を行った患者数は少数にとどまっています。また、急性疾患に対する治療を終了し、必ずしも緊急自動車等による搬送が必要でない可能性のある患者が一定程度含まれていることも判明しました。総務省消防庁では、病院救急車や患者等搬送事業者の活用による転院搬送体制の整備が検討されています。

救急外来応需体制に対する評価として、夜間休日救急搬送医学管理料と院内トリアージ実施料があります。夜間休日救急搬送医学管理料の算定回数は令和2年以降増加傾向にあり、令和6年には月間約15.6万回に達しています。高次の救急医療機関ほど、地域の救急医療に関する取組への参加割合や24時間検査体制を有する割合が高い傾向にあります。

救急外来における体制については、専用の区画を有し、救急患者に対応できる医師・看護師・薬剤師等を配置し、24時間検体検査・画像検査・処方等を実施できる体制の評価が検討されています。現行では、救急外来従事者の配置や地域救急医療への取組参加について直接的な評価がないことから、体制の充実に向けた議論が進められています。

業務の簡素化による負担軽減

業務の簡素化については、診療に係る業務と届出に係る業務の2つの観点から検討が進められています。医療機関の事務負担軽減と医療従事者の働き方改革を推進する観点から、様式の見直しや電子化が主要な論点となっています。

診療に係る業務で簡素化の必要性があるものについて調査を行ったところ、施設として最も多かったのは「計画書作成」(44.2%)で、次いで「DPCデータ(様式1)の作成」(38.2%)でした。病棟では「計画書作成」に次いで「患者や家族等による署名・記名押印」が多く挙げられました。

入院診療計画書については、法令上は短期間で退院が見込まれる場合は作成不要とされていますが、診療報酬上は全患者に作成を求めています。規制改革推進に関する答申では、医療機関等の負担軽減の観点から、診療報酬上の書面について署名または記名・押印を不要とすることの可否検討が求められており、代替方法で担保できるものは廃止する方向で議論されています。

届出に係る業務については、施設基準等届出のオンライン化が段階的に進められています。令和4年4月から開始され、令和7年度中に326件の届出についてオンライン化が実施予定であり、令和10年度の全届出オンライン化を目指して改修が進んでいます。

様式9については、記載にあたって参考にすべき注意事項が多く、看護要員等の算出における小数点以下の処理方法が項目によって異なるなど、作成が煩雑であるとの指摘があります。注意事項の記載整理や小数点以下の処理の統一等の見直しが検討されています。

毎年の報告様式についても、他に代替方法がないものや次期改定に必要なものに限定し、添付書類を省略するなどの簡素化が検討されています。妥結率等にかかる報告書では大部な添付書類が必要とされており、医療機関等の負担軽減が求められています。

まとめ:令和8年度改定に向けた方向性

令和8年度診療報酬改定に向けて、人口減少地域における医療提供体制の維持、救急医療体制の充実、医療機関の業務負担軽減の3つの方向性が示されました。

人口・医療資源の少ない地域については、対象地域の見直しに加え、小規模二次医療圏における外来診療確保のための新たな評価体系の構築が検討されています。救急医療については、救急外来における体制評価の充実と救急患者連携搬送の運用改善が課題となっています。業務の簡素化については、施設基準届出のオンライン化推進と計画書等の署名省略による負担軽減が進められる見通しです。

今後の中医協総会における議論の進展に注目が必要です。



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サマリー

日本の医療は、人口減少と高齢化を背景に、地方の医療や救急体制、働き方の改革が求められています。また、テクノロジーやシステムの導入によって、医療の質を維持しながら効率化を図る方向性が示されています。

地方医療の課題と革新
さて、今回は、人口減少と高齢化という、まあ避けては通れない未来の話です。
えーそうですね。
特に地方の医療をこれからどうなるんだろうって不穏に感じている方も多いんじゃないでしょうか。
はい。
そこで今日はですね、日本の医療がどう変わろうとしているのか、その最前線を一緒に見ていきたいと思います。
手元にあるのが、えっと、2026年度の新療報酬改定に向けた国の資料でして。
はい。中共の資料ですね。
そうです。人手不足っていう大きなカビに、テクノロジーとシステムの力でどう挑むのか。
今回は、地方、救急、働き方の3つの視点からその革新に迫っていきましょう。
はい。
まずは、地方の医療です。
資料によると、やはり人口の少ない地域では、診療所の数が減っていて、お医者さんの高齢化も進んでいると。
これはかなり深刻ですよね。
その通りです。そこで国が注目しているのが、二次医療権という単位なんです。
二次医療権ですか。
はい。簡単に言うと、日常的な医療を完結させるための地域ブロックのようなものですね。
このうち、人口が特に少ない37の医療権を重点的に支援してきたんですが、
2026年度からは、その対象を39に広げる案が出ています。
支援の網を少し広げようというわけです。
なるほど。それで、この資料を読んでいて、私が特にこれはうまいなと思ったのが、
支援の仕組みを3層構造で描いている点なんです。
まさにそこがポイントでして。
第1層が、地域の最前線にいる壁地診療所。
第2層が、入院とか救急を担う支援病院。
そして第3層に司令塔役の拠点病院を置くと。
そうです。この3つが連携して、地域全体を1個の大きな病院のように機能させるイメージですね。
ネットマークで支えるということですね。
特にこの中で、オンライン診療の活用が鍵になりそうですが、面白い言葉を見つけました。
D2P with N。
少し専門的でしたね。
ドクターとペーシェントウィズナースの略で、看護師さんが患者さんのそばにいて、
遠隔にいる医師の指示で検査とか処置を行うモデルです。
なるほど。
これって単なるオンライン診療の進化系じゃないんですよ。
医師がどこにいるかが問題じゃなくなるっていう、
医療の地理的な制約を根本から覆す可能性を秘めているんです。
地方で医療をネットワークで支えるという話、よくわかりました。
でも、いざという時の救急体制そのものが由来でいたら、もんともこもないですよね。
救急体制の評価と現場の負担軽減
おっしゃる通りです。
実は救急の現場も今、過去にないほど逼迫しているというデータがあります。
そうなんです。
2024年は救急車の出動件数、搬送人数ともに過去最多を記録しました。
やはりそうですか。
ええ。特に高齢者の搬送が増えて、病院にたどり着くまでの時間も長くなっています。
そこで、これまでは漠然としていた救急外来への評価を、
もっと具体的にしようという動きが出てきています。
というと具体的には?
これまでは頑張っている病院を評価していたのが、これからは何が変わるんでしょう?
いい質問ですね。
今後は24時間、いつでも専門の医師や看護師、薬剤師がいるかとか、
CTなどの検査がすぐにできるかといった、具体的な体制そのものを評価する方向に舵を切ろうとしています。
なるほど。
つまり、気合や根性ではなくて、持続可能なシステムをきちんと作っている医療機関を評価していくということです。
体制を評価するですか?
でもその体制を支える医療従事者の方々が疲弊していたら、結局は絵に描いた餅ですよね?
ええ。
実は今回の資料で一番考えさせられたのが、この現場の負担についての部分なんです。
特に問題になっているのが、膨大な書類作業ですね。
アンケート結果を見ると、病院が最も簡素化してほしい業務のトップが計画書の作成。
そうなんです。病棟では患者さんや家族の署名をもらうことも大きな負担になっているという声もあります。
毎日治療やケアで忙しいのに、その上書類に追われるのは本当に大変そうです。
これに対して何か具体的な手は打たれようとしているんですか?
はい。ようやく思い越しが上がったという印象です。
まず診療法書に関わる書類の署名応印は原則不要にする方向で検討されています。
おお、それは大きいですね。
さらに施設基準の届出などもオンライン化を進めて、
2028年度にはすべてオンラインで完結させる目標を掲げています。
地味に聞こえるかもしれませんが、現場の負担を減らす大きな一歩と言えるでしょうね。
今日の話を振り返ると大きな流れが見えてきましたね。
地方医療は病院同士が連携するネットワークで支える。
救急医療は個人の頑張りだけでなく24時間動ける体制を評価する。
そして現場の負担はデジタル化で減らしていく。
人手不足という現実を直視してシステムで乗り越えようという強い意志を感じます。
まさにその通りです。
そこで最後にあなたにも一つ考えてみてほしい問いがあります。
何でしょうか?
今回の改革案は人手不足をテクノロジーとシステムで補う方向性が鮮明です。
では、医療がますます効率化されていく中で、
特にテクノロジーに不慣れな高齢者の方などに対して、
どうすれば医療の人の温かみを失わずにいられるでしょうか?
ああ、それは深い問いですね。
ええ。これはこれからの医療を考える上で、私たち全員の課題かもしれません。
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