病院事務長が実務と経営の視点で語る、医療制度の最新動向。急性期〜回復期で幅広い部門を統括してきた経験をもとに、最新の令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈)や施設基準、医療DXの解説を音声で配信。経営層から現場の事務担当者まで、忙しい合間に「現場で使える知識」をアップデートできます。
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【令和8年度改定】在宅療養支援診療所・病院にBCP策定が必須化|要件と経過措置を解説
令和8年度診療報酬改定では、在宅療養支援診療所及び在宅療養支援病院(以下、在支診・在支病)の施設基準が見直されます。背景には、近年頻発する自然災害や感染症拡大の中で、在宅療養患者への診療体制を継続的に確保する必要性が高まっている事実があります。しかし、現状では在支診の業務継続計画(BCP)策定率は11%、在支病でも32%にとどまり、災害時の対応力に大きな課題を抱えています。本稿では、新たに追加されるBCP策定要件の具体的内容と、現に届出を行っている保険医療機関に適用される経過措置について解説します。今回の改定では、在支診・在支病の施設基準に「業務継続計画の策定及び定期的な見直し」が追加されます。この要件は、機能強化型(単独型・連携型)と機能強化型ではない在支診・在支病のすべてに適用されます。既届出施設には令和9年5月31日までの経過措置が設けられる一方、新規届出施設は改定施行日から要件への対応が必要となります。在宅医療を担う医療機関は、施設基準の継続維持に向けて、BCPの策定または見直しに早期に着手する必要があります。改定の背景|災害時の在宅医療提供体制への危機感今回の要件追加の背景には、災害時の在宅医療継続に関する明確な制度的危機感があります。在宅療養患者の中には、人工呼吸器や在宅酸素療法など医療機器に依存する方や、24時間の医学的管理が必要な重症患者が含まれます。これらの患者にとって、災害時に診療や訪問が途絶えることは生命に直結する重大なリスクとなります。在支診・在支病は、地域における在宅療養の主たる責任を負う医療機関として位置づけられています。在支診の施設基準には、緊急時の連絡体制や24時間の往診体制の確保が既に定められています。しかし、これらは平時の体制を前提としており、災害時の業務継続を保証するものではありません。第8次医療計画でも、在宅医療における災害時対応の強化が重点課題とされています。具体的には、平時から関係機関との連携体制を構築し、災害時における業務継続計画(BCP)の策定を推進することが明記されました。今回の診療報酬改定は、この医療計画上の方針を施設基準として制度的に裏付けるものです。それにもかかわらず、現状のBCP策定率は十分とは言えません。令和2年度の厚生労働科学特別研究によれば、在支病で32%、在支診ではわずか11%しかBCPを策定していませんでした。この策定率の低さこそが、今回の要件化に踏み切った直接的な根拠となっています。改定内容の詳細|施設基準への具体的な追加事項改定後の施設基準には、業務継続計画に関する新たな項目が明記されます。具体的には、在宅療養支援診療所の施設基準として「レ 業務継続計画の策定及び定期的な見直しを行うこと」が追加されます。この要件は、単に計画書を作成するだけでなく、定期的な見直しを継続的に行うことまでを求めている点が重要です。要件の対象範囲は、在支診・在支病のすべての類型に及びます。具体的には、機能強化型(単独型)の在支診・在支病、機能強化型(連携型)の在支診・在支病、機能強化型ではない在支診・在支病のいずれもが対象となります。つまり、規模や機能区分にかかわらず、在宅医療を担う届出医療機関には一律にBCPの整備が求められます。業務継続計画の具体的な内容としては、一般診療所を対象とした災害対策の取組事例が参考になります。令和7年度入院・外来医療等における実態調査(n=757)では、災害物資・備品の備蓄、職員の参集と安否確認方法の策定、定期的な避難訓練の実施、非常電源等のインフラ整備、災害対策本部の設置要綱などが代表的な取組として挙げられています。在支診・在支病では、これらに加えて訪問診療体制の確保や在宅医療機器の保守管理体制についても計画に盛り込むことが望まれます。定期的な見直しの頻度や方法については、現時点で明確な数値基準は示されていません。しかし、地域の災害リスクや医療機関の体制変化を踏まえ、少なくとも年1回程度の見直しを行うことが実務上の標準になると考えられます。厚生労働省が公開している在宅医療BCP策定の手引きや事業を活用しながら、自院の実情に合った計画整備を進めることが推奨されます。経過措置と実務対応のポイント|既届出施設は令和9年5月までに対応既に届出を行っている保険医療機関には、対応のための経過措置が設けられます。令和8年3月31日において現に在支診または在支病の届出を行っている保険医療機関は、令和9年5月31日までの間に限り、新要件を満たしているものとみなされます。この間にBCPを策定し、要件を満たす体制を整えることが求められます。この経過措置は、機能強化型(連携型)在支診・在支病、機能強化型ではない在支診・在支病にも同様に適用されます。すべての類型で、既届出施設は令和9年5月31日が事実上の対応期限となります。一方で、改定施行後に新規に届出を行う医療機関には、当初からBCPの策定が要件となる点に注意が必要です。実務対応のポイントは、計画策定の早期着手と継続的な運用体制の構築です。まず、自院の現状における災害対応の取組を棚卸しし、不足している領域を特定します。次に、地域の災害想定や患者特性を踏まえて、訪問診療継続のための具体的な行動計画を策定します。さらに、職員への周知と訓練を通じて計画の実効性を高め、定期的な見直しのサイクルを確立します。参考資料の活用も有効な手段です。厚生労働省は在宅医療に関するBCP策定の手引きを公開しており、地域の医師会や在宅医療連携拠点が研修や支援を行うケースもあります。これらのリソースを活用することで、効率的かつ実効性の高い計画整備が可能になります。まとめ|在宅医療の継続性確保に向けた制度的転換点令和8年度診療報酬改定は、在支診・在支病に対してBCP策定を施設基準として義務化する重要な転換点となります。背景には、現状のBCP策定率の低さと、災害時の在宅医療提供体制を確保すべきとする医療計画上の方針があります。新要件は、機能強化型を含むすべての在支診・在支病に適用され、計画の策定だけでなく定期的な見直しまでが求められます。既届出施設には令和9年5月31日までの経過措置が設けられますが、対応期限まで決して長い時間ではありません。在宅医療を担う保険医療機関は、施設基準の継続維持と地域への責任を果たすため、BCPの策定または既存計画の見直しに早期に着手することが求められます。災害時にも在宅療養患者への診療を途絶えさせない体制づくりこそが、今回の改定が真に意図する目的だといえます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】連携型機能強化型在支診が2区分へ|要件を徹底解説
連携型機能強化型在宅療養支援診療所(以下「連携型機能強化型在支診」)は、複数の医療機関の連携によって地域の24時間医療提供体制を支えてきました。しかし、現行の施設基準では、自院で実際に24時間体制を確保している施設と、連携先に依存して体制を確保している施設が同一の評価となっています。本メルマガでは、令和8年度診療報酬改定における連携型機能強化型在支診の見直し内容と、その実務上のポイントを解説します。連携型機能強化型在支診の見直しは、自院で24時間医療提供体制を確保する施設をより高く評価する内容です。具体的には、施設基準を区分イと区分ロの2つに分けます。区分イは、自院の医師による月4回以上の連続24時間往診体制を新たな要件とします。区分ロは、連携体制による24時間往診体制を要件とし、自院単独の24時間往診体制までは求めません。改定の背景|自院で24時間体制を確保する施設の評価強化改定の趣旨は、地域の24時間医療提供体制を自ら支える医療機関を更に評価することです。連携型機能強化型在支診は、複数の医療機関で連携体制を構築し、24時間往診体制を確保しています。この連携体制において、自院で実際に医療提供体制を確保している時間は施設ごとに大きく異なります。そこで今回の改定では、自ら実際に医療提供体制を確保している時間に応じて評価を見直すこととなりました。改定の全体像|施設基準を区分イと区分ロに分割改定の全体像は、現行の施設基準を区分イと区分ロの2区分に分割するものです。区分イは、平時から訪問診療等を行う自院の医師により時間外往診体制を確保している施設を対象とします。区分ロは、それ以外の施設、すなわち連携先との協力で24時間往診体制を確保している施設を対象とします。両区分とも、患家の求めに応じた24時間往診体制の確保と、往診担当医の氏名・担当日等の文書提供は共通要件です。区分イの要件|自院医師による月4回以上の24時間往診体制区分イの新要件は、自院の医師による連続する24時間の往診体制等を月に4回以上確保することです。ここでいう「自院の医師」とは、平時から訪問診療等を行う医師を指します。この医師には、往診担当日の前日またはそれ以前に診療録を閲覧でき、必要に応じて診療方針を訪問診療医と共有し、当該保険医療機関からの往診経験を10回以上有する往診担当医師も含まれます。なお、別表第6の2に掲げる地域(医療資源の少ない地域)の診療所では、看護師等といる患者に対する情報通信機器を用いた24時間診療体制で代替できます。区分ロの要件|連携体制による24時間往診体制を確保区分ロの要件は、在宅支援連携体制による24時間往診体制を確保することです。具体的には、在宅支援連携体制を構成する他の保険医療機関と協力し、患家の求めに応じて24時間往診が可能な体制を確保します。あわせて、往診担当医の氏名および担当日等を文書により患家に提供します。区分イとの違いは、自院単独での月4回以上の連続24時間往診体制が要件とならない点です。なお、医療資源の少ない地域における情報通信機器による代替規定は、区分ロにも適用されます。実務への影響|自院の体制確認と区分選択の検討実務上の対応として、まず自院の24時間往診体制の実態を確認することが重要です。具体的には、平時から訪問診療を行う自院の医師が、月4回以上の連続24時間往診体制を確保できるかを点検します。次に、確保可能であれば区分イの取得を、困難であれば区分ロでの届出を検討します。なお、往診担当医師に「往診経験10回以上の医師」を含める場合は、診療録閲覧体制と訪問診療医との情報共有体制の整備も必要です。まとめ|自院体制の評価強化に向けた制度設計令和8年度改定における連携型機能強化型在支診の見直しは、自院で24時間医療提供体制を確保する施設をより高く評価する制度設計です。施設基準は区分イと区分ロの2区分に分割されます。区分イは、自院医師による月4回以上の連続24時間往診体制を要件とする新区分です。区分ロは、連携体制による24時間往診体制を要件とする区分です。各医療機関は、自院の体制を点検したうえで、適切な区分の選択と届出準備を進めることが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
退院後訪問栄養食事指導料を新設|令和8年度改定で530点・退院後1か月4回まで算定可能
高齢化に伴い、栄養管理の必要性が高い状態で退院する患者が増加しています。中医協での議論では、既存の在宅患者訪問栄養食事指導料が「通院困難」を要件とするため退院直後の患者には算定しにくく、また介護保険の居宅療養管理指導はケアプラン作成等に時間を要し、退院直後の栄養管理ギャップを埋めきれない実態が指摘されてきました。本記事では、こうした課題を背景に新設される「退院後訪問栄養食事指導料」の内容と実務上のポイントを、答申書記載事項に基づき整理します。退院後訪問栄養食事指導料は、入院医療機関の管理栄養士が退院直後に患家を訪問して栄養指導を行った場合の評価として、530点(1回につき)で新設されます。対象は特別食を必要とする患者、がん患者、摂食機能・嚥下機能が低下した患者、低栄養状態にある患者の4区分です。算定期間は退院日から起算して1か月以内(退院日を除く)に限られ、4回が算定上限です。なお、外来栄養食事指導料および在宅患者訪問栄養食事指導料とは併算定できません。新設の背景:退院直後の栄養管理ギャップ新設の背景には、退院直後に栄養管理が途切れる構造的な課題があります。退院直後の在宅療養支援は、医療ニーズの高い患者が安心・安全に在宅へ移行するために重要です。しかし、栄養管理の領域では、入院中の管理栄養士による指導と退院後の支援とがシームレスにつながりにくい状況が続いてきました。既存制度には、退院直後の栄養管理を担いきれない構造的限界がありました。在宅患者訪問栄養食事指導料(C009)は「通院困難」を算定要件とするため、退院直後で病状が比較的安定し通院可能な患者には算定できません。介護保険の居宅療養管理指導は、ケアマネジャーとの調整、栄養ケア計画書の作成、サービス担当者会議への出席等を経るため、指導開始まで相当の時間を要します。その結果、退院直後の最も支援が必要な時期に、医療保険でも介護保険でも栄養指導を提供しにくい空白期間が生じていました。この空白期間の解消は、地方分権改革の提案としても明確に求められていました。令和7年地方分権改革では、高松市・三豊市から「在宅医療(訪問栄養指導)における医療保険適用要件の見直し」が提案されました。提案の趣旨は、退院直後など、医師の判断により適切な時期に必要な訪問栄養食事指導が受けられるよう、医療保険適用要件を見直してほしいというものです。今回の退院後訪問栄養食事指導料の新設は、この提案に応える形で、退院直後の栄養管理ギャップを医療保険側から埋める制度設計となっています。新設点数の概要:算定要件と対象患者退院後訪問栄養食事指導料は、入院していた保険医療機関の管理栄養士が患家等を訪問して栄養指導を行った場合に、530点(1回につき)を算定する新点数です。算定主体は退院した医療機関に所属する管理栄養士に限定され、医師の指示に基づき、具体的な献立等によって栄養管理に係る指導を行うことが要件となります。指導の相手は患者本人だけでなく、家族等退院後に在宅療養支援に当たる者も含まれます。算定期間と回数は、退院直後の集中支援を想定した設計です。算定対象期間は、退院日から起算して1か月以内(退院日を除く)に限定されます。算定回数の上限は4回で、退院後の在宅療養が安定するまでの集中的な栄養指導を支える設計となっています。対象患者は、栄養管理の必要性が高い4区分に整理されています。第1に、医師の発行する食事箋に基づく特別食(別表第三)を必要とする患者です。第2に、がん患者です。第3に、摂食機能または嚥下機能が低下した患者です。第4に、低栄養状態にある患者です。別表第三の特別食には、腎臓食、肝臓食、糖尿食、胃潰瘍食、貧血食、膵臓食、脂質異常症食、痛風食、てんかん食、フェニールケトン尿症食、楓糖尿症食、ホモシスチン尿症食、尿素サイクル異常症食、メチルマロン酸血症食、プロピオン酸血症食、極長鎖アシル―CoA脱水素酵素欠損症食、糖原病食、ガラクトース血症食、治療乳、無菌食、小児食物アレルギー食、特別な場合の検査食(単なる流動食および軟食を除く)が含まれます。他の栄養食事指導料との関係:併算定の可否退院後訪問栄養食事指導料は、既存の栄養食事指導料との併算定が制限されています。具体的には、外来栄養食事指導料(B001の9)および在宅患者訪問栄養食事指導料(C009)は別に算定できません。同一期間に複数の栄養食事指導料を算定することによる重複評価を避けるための整理です。既存の在宅患者訪問栄養食事指導料との違いは、対象患者の要件にあります。在宅患者訪問栄養食事指導料は「通院困難」な在宅療養患者を対象とするため、退院直後で通院可能な患者には算定できません。一方、退院後訪問栄養食事指導料には通院困難要件がなく、退院した患者であって所定の対象患者に該当すれば算定可能です。両点数は「退院直後の通院可能患者」と「在宅療養中の通院困難患者」で対象を住み分ける構造になっています。平成28年度に新設された退院後訪問指導料との対比も理解の助けになります。退院後訪問指導料は看護師等による退院直後の訪問指導を評価する点数(580点・退院後1か月以内・5回まで/中医協資料による)で、医療ニーズの高い患者の在宅移行を支える役割を担います。今回の退院後訪問栄養食事指導料は、この看護師等による訪問指導の枠組みを栄養管理の領域に拡張したものと位置づけられます。両点数を組み合わせることで、退院直後の患者を多職種で支える体制が制度上整います。実務への影響:医療機関にとっての意義と留意点退院後訪問栄養食事指導料の新設は、入院医療機関に新たな在宅支援の役割を与えます。入院中に栄養指導を行ってきた管理栄養士が、退院後も継続して在宅で指導することで、患者の生活環境に即した実践的な栄養管理が可能になります。患者・家族にとっても、入院中から関係を築いた管理栄養士による指導は心理的な負担が少なく、円滑な在宅療養移行につながります。実務運用上は、4回という算定上限の使い方が鍵となります。退院日を除く1か月以内という限られた期間に、4回までの訪問でどのような栄養管理目標を達成するかを、入院中から計画しておく必要があります。具体的には、退院前カンファレンスの段階で訪問計画を共有し、初回訪問で家庭の食環境や調理担当者の状況を把握し、以後の訪問で具体的な献立提案や調理指導につなげる運用が想定されます。算定上の留意点として、医師の指示と具体的な献立指導の要件を押さえる必要があります。算定には保険医療機関の医師の指示が必要です。指導内容は「具体的な献立等によって栄養管理に係る指導を行う」ことが要件であり、抽象的な栄養指導ではなく実際の食事に落とし込んだ指導であることが求められます。さらに、外来栄養食事指導料および在宅患者訪問栄養食事指導料との併算定不可の規定にも注意し、退院後1か月以内の栄養指導は退院後訪問栄養食事指導料に一本化する運用が求められます。まとめ:退院直後の栄養管理ギャップを埋める新点数退院後訪問栄養食事指導料は、退院直後の栄養管理ギャップを医療保険側から埋める新点数として、令和8年度改定で新設されます。点数は530点(1回につき)で、退院日から1か月以内(退院日を除く)に4回を限度として算定できます。対象は特別食を必要とする患者、がん患者、摂食機能・嚥下機能が低下した患者、低栄養状態にある患者の4区分です。外来栄養食事指導料および在宅患者訪問栄養食事指導料とは併算定できない点に注意が必要です。入院医療機関の管理栄養士が、入院中の関わりを退院後の在宅まで継続することで、安心・安全な在宅療養移行を後押しする制度設計となっています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【2026年度改定】往診時医療情報連携加算の見直し:被支援側の対象拡大を完全解説
在宅医療の需要は、高齢化の進展に伴って年々高まっています。地域で24時間の在宅医療提供体制を面として支えるためには、医療機関同士の連携を後押しする評価が欠かせません。しかし、現行の往診時医療情報連携加算では、在宅療養支援診療所(以下、在支診)・在宅療養支援病院(以下、在支病)を主治医とする患者への往診が算定対象から外れていました。本稿では、令和8年度診療報酬改定における往診時医療情報連携加算の見直し内容を整理し、医療機関への影響を解説します。今回の改定では、往診時医療情報連携加算の被支援側の対象が拡大されます。従来は在支診・在支病以外の医療機関のみが被支援側として認められていました。改定後は、機能強化型以外の在支診・在支病も被支援側として算定対象に加わります。算定点数は200点で変更ありません。改定の背景にある地域医療の課題往診時医療情報連携加算の見直しは、地域における24時間の在宅医療提供体制を面として支える狙いがあります。この体制を実現するには、より幅広い在宅医療機関の連携を評価する必要があります。改定の背景には、現行制度では評価されにくい連携形態の存在があります。24時間の在宅医療提供体制は、医療機関単独で支えることが困難になっています。在宅医療を担う医療機関には、夜間・休日を含めた継続的な対応が求められます。この負担を一施設だけで背負うことは、特に小規模な医療機関にとって大きな課題です。医療機関同士の連携は、24時間体制を地域で支えるための現実的な解決策です。複数の医療機関が役割を分担することで、個々の負担を軽減できます。この連携を診療報酬で評価する仕組みのひとつが、往診時医療情報連携加算です。現行の往診時医療情報連携加算は、在支診・在支病以外の医療機関を主治医とする患者への往診を対象としていました。この枠組みでは、主治医が在支診・在支病である患者への往診が算定対象から外れます。地域で在宅医療を担う在支診・在支病同士が連携しても、評価されない状況が生じていました。改定で変わる算定要件の具体的内容改定の核心は、被支援側の対象範囲を拡大する点にあります。従来は在支診・在支病が被支援側になることはできませんでした。改定後は、機能強化型以外の在支診・在支病であれば被支援側として認められます。改定前の算定要件は、被支援側を「在支診・在支病以外の保険医療機関」に限定していました。この要件のもとでは、主治医が在支診・在支病である患者への往診は加算の対象外となります。在支診・在支病を主治医とする患者にも往診のニーズはあるため、この点は実務上の課題でした。改定後の算定要件では、被支援側を「機能強化型の在支診・在支病以外の保険医療機関」と整理しています。具体的には、機能強化型の在支診・在支病のみが被支援側から除外されます。機能強化型以外の在支診・在支病は、被支援側として算定対象に含まれます。算定点数は、改定前後ともに200点で据え置かれます。点数自体は変わらない一方で、算定機会は拡大します。これは、対象となる連携の幅が広がることを意味します。算定にあたって押さえるべき施設基準施設基準では、被支援側から除外される「機能強化型」の範囲が新たに明示されます。機能強化型の定義は、関連する施設基準の規定を引用する形で示されます。算定にあたっては、連携先の医療機関がどの類型に該当するかの確認が必須です。機能強化型の在支診は、施設基準告示の第三の六(1)及び(2)に該当する施設と定義されます。この規定に該当する在支診は、被支援側として算定の対象になりません。支援側の医療機関は、連携先の在支診が機能強化型に該当するかを事前に把握する必要があります。機能強化型の在支病は、施設基準告示の第四の一(1)及び(2)に該当する施設と定義されます。在支診と同様に、機能強化型に該当する在支病は被支援側から除外されます。支援側は、連携先の在支病についても機能強化型に該当するかの確認が求められます。支援側の要件は、改定前後で変更ありません。支援側は引き続き、在支診または在支病であることが条件です。算定の構造は、支援側が在支診・在支病、被支援側が機能強化型以外の医療機関という枠組みになります。医療機関にもたらされる実務上の影響今回の見直しは、地域で在宅医療を担う医療機関に新たな算定機会をもたらします。在支診・在支病同士で連携している医療機関にとって、影響は大きくなります。患者にとっても、24時間対応の体制が強化される効果が期待されます。在支診・在支病同士の連携は、機能強化型以外の範囲で診療報酬上の評価対象に加わります。これまで主治医が在支診・在支病である患者への往診では、往診時医療情報連携加算を算定できませんでした。改定後は、主治医が機能強化型以外の在支診・在支病であれば算定可能になります。算定の実務では、連携先の医療機関の類型確認が新たな確認事項として加わります。機能強化型に該当する在支診・在支病は、引き続き被支援側から除外されるためです。算定可否の判断には、施設基準告示の該当規定に基づく類型の特定が欠かせません。患者への効果は、地域全体での24時間対応体制の強化に表れます。連携を評価する枠組みが広がることで、医療機関は連携体制の構築に積極的に取り組みやすくなります。結果として、夜間・休日を含めた継続的な在宅医療の提供が地域で確保されやすくなります。まとめ:往診時医療情報連携加算の見直しのポイント令和8年度診療報酬改定では、往診時医療情報連携加算の被支援側の対象が拡大されました。従来の在支診・在支病以外の医療機関に加え、機能強化型以外の在支診・在支病も被支援側として認められます。算定点数は200点で変更がない一方、算定機会は確実に広がります。この見直しは、地域における24時間の在宅医療提供体制を面として支える連携を、診療報酬の側面から後押しするものです。医療機関は、連携先が機能強化型に該当するかを確認した上で、新しい算定要件への対応を進めることが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
在宅医療充実体制加算へ名称変更|令和8年度改定で点数も大幅引き上げ
機能強化型在宅療養支援診療所・病院では、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算で求められる実績要件(緊急往診15件以上、看取り20件以上)を大きく上回る医療機関が多数存在しています。そのため、在宅医療において積極的役割を担う医療機関を、緩和ケアの枠を超えてより広く評価する必要性が高まっていました。本記事では、令和8年度診療報酬改定における「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」の見直し内容を解説します。本改定では、加算の名称変更、施設基準の見直し、評価点数の引き上げの3点が実施されます。第1に、加算の名称が「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」から「在宅医療充実体制加算」へ変更されます。第2に、施設基準が「在宅緩和ケアを行うにつき十分な体制」から「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療を行うにつき十分な体制」へ見直されます。第3に、評価点数がターミナルケア加算で1,000点から2,000点へ、医学総合管理料で約2倍に引き上げられます。改定の背景:在宅医療の積極的役割への評価強化本改定の背景には、機能強化型在支診・在支病における実績の伸長と、求められる役割の多様化があります。これまでの在宅緩和ケア充実診療所・病院加算は、緩和ケア提供体制を中心に評価する仕組みでした。しかし、現場の機能強化型在支診・在支病では、緩和ケアにとどまらず、地域の重症在宅患者への対応や医育機能まで担うケースが増えています。機能強化型在支診・在支病の実績は、加算要件を大きく上回る水準に達しています。在宅緩和ケア充実診療所・病院加算の要件は、過去1年間の緊急往診15件以上かつ看取り20件以上です。一方、中医協の調査では、この要件件数を大きく上回る緊急往診や看取りを実施している医療機関が多数確認されています。さらに機能強化型在支診・在支病の約35%が、訪問診療患者の20%以上を重症患者として受け入れています。求められる役割も、緩和ケアの枠を超えて広がっています。地域の在宅医療提供の中核として、十分な医師配置、在宅看取りの実績、重症患者への訪問診療、他の在宅医療機関への支援機能、医育機能などが求められるようになっています。このため、緩和ケアに特化した評価から、在宅医療全般の積極的役割を評価する仕組みへの転換が必要となりました。改定のポイント1:名称と施設基準の見直し加算の名称と施設基準は、在宅医療の積極的役割を反映した内容に見直されます。名称は「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」から「在宅医療充実体制加算」へ変更されます。施設基準は「在宅緩和ケアを行うにつき十分な体制」から「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療を行うにつき十分な体制」へ変更されます。名称変更は、評価対象の拡大を明確化する狙いがあります。これまでの名称は「緩和ケア」を前面に打ち出していました。新しい名称「在宅医療充実体制加算」は、緩和ケアに限定せず在宅医療全般の充実体制を評価することを示しています。この変更により、加算が緩和ケア専門の医療機関だけでなく、地域の在宅医療を幅広く支える医療機関への評価であることが明確になります。施設基準の見直しは、評価対象の重点を明示する狙いがあります。現行基準は「在宅緩和ケア」の体制と実績のみを要件としていました。新基準は「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療」を要件として明示します。この変更により、緩和ケア提供体制に加え、重症患者への対応力を備えた医療機関が評価対象として明確化されます。改定のポイント2:評価点数の大幅引き上げ評価点数は、対象となるすべての診療料・加算で引き上げられます。在宅ターミナルケア加算は1,000点から2,000点へ引き上げられます。緊急・夜間・休日・深夜往診の加算は100点から200点へ引き上げられます。在宅時医学総合管理料の加算は約2倍に引き上げられます。施設入居時等医学総合管理料の加算は約2倍に引き上げられます。在宅がん医療総合診療料の加算は150点から300点へ引き上げられます。往診料関連の点数は、ターミナルケアを中心に大きく増加します。在宅ターミナルケア加算は1,000点から2,000点へと2倍になります。緊急・夜間・休日・深夜往診加算は100点から200点へと2倍になります。看取り対応への評価が大幅に強化される内容です。在宅時医学総合管理料の点数は、患者規模ごとに約2倍へ引き上げられます。単一建物診療患者が1人の場合は400点から800点へ、2〜9人の場合は200点から400点へ、10〜19人の場合は100点から200点へ、20〜49人の場合は85点から170点へ、それ以外の場合は75点から150点へ変更されます。すべての区分で点数が倍増する形です。施設入居時等医学総合管理料の点数も、患者規模ごとに約2倍へ引き上げられます。単一建物診療患者が1人の場合は300点から600点へ、2〜9人の場合は150点から300点へ、10〜19人の場合は75点から150点へ、20〜49人の場合は63点から128点へ、それ以外の場合は56点から113点へ変更されます。在宅時医学総合管理料と同様に、すべての区分で点数が倍増する形です。在宅がん医療総合診療料の加算は、150点から300点へ引き上げられます。在宅療養実績加算1の110点、在宅療養実績加算2の75点と比較しても、新しい在宅医療充実体制加算の300点は突出した水準です。在宅がん患者の総合診療を担う医療機関への評価が、明確に強化されます。改定のポイント3:医療機関への影響と対応本改定により、機能強化型在支診・在支病における収益構造とインセンティブ設計が大きく変わります。点数が倍増することで、加算届出医療機関の収益は大幅に増加します。同時に、施設基準が「地域の重症な在宅患者への質の高い診療」へ重点を移すことで、医療機関に求められる機能の方向性が明確になります。加算届出医療機関は、点数引き上げによる収益増を見込めます。届出医療機関数は平成28年の394施設から令和6年の1,476施設まで増加し続けています。この増加傾向に加えて点数が倍増するため、対象医療機関の収益インパクトは大きくなります。経営計画上、本改定の影響を早期に試算しておくことが重要です。施設基準の変更は、医療機関の体制整備に方向性を示します。新基準では「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療」を行う体制が求められます。なお、現行の在宅緩和ケア充実診療所・病院加算で求められている詳細要件(緩和ケア研修会修了医師の配置、オピオイド系鎮痛薬投与実績等の留意事項通知レベルの基準)が、新加算でどのように取り扱われるかは、本資料では明示されていません。詳細な施設基準の通知内容は、確定次第、改めて確認が必要です。まとめ:在宅医療充実体制加算が在宅医療提供体制の中核を支える令和8年度診療報酬改定では、「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」が「在宅医療充実体制加算」へ名称変更され、施設基準と評価点数が見直されます。施設基準は「地域の重症な在宅患者に対し質の高い診療を行うにつき十分な体制」へ変更され、緩和ケアから在宅医療全般の積極的役割への評価へと重点が移ります。評価点数はターミナルケア加算で2倍、医学総合管理料で約2倍へと大幅に引き上げられ、機能強化型在支診・在支病の役割発揮が強く後押しされます。本改定を機に、医療機関では届出要件の確認と収益試算、地域の在宅医療提供体制における自院の役割の再整理を進めていくことが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|質の高い在宅医療・訪問看護を確保する3つの見直しを総整理
令和8年度診療報酬改定では、個別改定項目「Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保」において、訪問看護を取り巻くルールが3つの観点から大きく見直される。背景には、訪問看護の利用者拡大に伴う実施内容のばらつき、画一的な訪問や短時間訪問の濫用、退院支援時の高齢者住まい等への誘導をめぐる問題がある。本稿では、訪問看護ステーションと保険医療機関の実務担当者向けに、3つの見直しの全体像と各論のサマリーを整理する。3つの見直しは、訪問看護の「実施・運営・誘導」の3軸を一体的に再構築する内容である。第一に、適正な訪問看護の推進として、記録書の記載内容を明確化し、標準時間を下回る訪問の濫用を規制する。第二に、指定訪問看護の運営基準の見直しとして、適正手続き・健全運営・誘引禁止・誘導禁止の4規定を新設し、安全管理体制と記録整備を義務化する。第三に、療養担当規則の見直しとして、保険医療機関から訪問看護や高齢者住まい等への誘導と利益収受を禁止する規定を新設する。改定の全体像と3つの見直しの関係性「Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保」は、訪問看護の実施・運営・誘導の3層を同時に整える改定パッケージである。3つの見直しは、それぞれ訪問看護ステーションの「現場運用」「組織運営」「医療機関との関係性」に対応する。各層の規律を整合的に強化することで、在宅医療全体の透明性と質を確保する狙いがある。3つの見直しの位置づけは、3層構造で整理できる。第1層は訪問看護の現場運用に関する見直しであり、記録書の記載と短時間訪問の規制が中心となる。第2層は訪問看護ステーションの組織運営に関する見直しであり、運営基準への新規定追加と安全管理体制の確保が中心となる。第3層は保険医療機関と訪問看護等との関係性に関する見直しであり、誘導禁止規定の対象拡張が中心となる。3つの見直しの共通の目的は、健康保険事業の健全な運営の確保である。中医協の議論では、画一的な訪問や短時間訪問の濫用、高齢者住まい等への誘導といった懸念が示されてきた。あわせて、介護保険の訪問看護の収支差率が令和4年度で5.9%である一方、高齢者住まいに併設する訪問看護ステーションを運営する事業者の中には、訪問看護以外の事業を含む全社ベースの営業利益率が20%を超える例も確認されている。改定は、これらの懸念に3層から同時に対応する。① 適正な訪問看護の推進|記録書記載と実施基準の明確化第1の見直しは、訪問看護の現場運用を規律する内容で、記録書の記載要件と実施基準を明確化する。具体的には、標準時間(30分から1時間30分程度)を下回る短時間訪問の規制、看護目標及び訪問看護計画に沿った実施の徹底、利用者の状態を踏まえない一律決定の禁止、目標達成評価と実際の訪問時刻の記録という4点を通知レベルで明文化する。短時間訪問の規制は、新設される運用ルールである。同一日に同一の利用者へ複数回、又は複数の利用者に対して標準時間を下回る訪問が頻繁に行われている場合は、指定訪問看護を実施したと認めない。ただし、標準時間の訪問計画を作成した上で、利用者側のやむを得ない事情により標準時間を下回った場合は規制対象から除外される。記録要件の明確化は、改定のもう一つの柱である。訪問看護記録書には、目標達成の程度及びその効果に関する評価を記録しなければならない。訪問時刻についても、計画上の予定時刻ではなく、実際の指定訪問看護の開始時刻と終了時刻を記載することが明記される。詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。👉 令和8年度改定|訪問看護の適正化と記録書記載の明確化を解説② 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準の見直し|4つの新規定と安全管理第2の見直しは、訪問看護ステーションの組織運営を規律する内容で、運営基準(平成12年厚生省令第80号)に4つの新規定を追加し、2つの既存規定を改正する。新規定では、適正手続きの確保、健康保険事業の健全な運営確保、経済上の利益による誘引禁止、特定の主治医・事業者等への誘導禁止を、第五条の二から第五条の五として義務付ける。安全管理体制の確保と記録整備の義務化は、既存規定の重要な改正点である。第二十八条第3項として、指定訪問看護に係る安全管理のための体制の確保を新たに義務付ける。第三十条では、訪問看護記録書、訪問看護指示書、訪問看護計画書、訪問看護報告書、市町村等への情報提供書、市町村等との連絡調整に関する記録の6種類を完結の日から2年間保存することを明示する。これらの改正は、療養担当規則と同様の規律を訪問看護ステーションに導入する性格を持つ。訪問看護ステーションは、保険医療機関と同等の運営規律のもとで、適正手続きとコンプライアンスを確保することが求められる。詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。👉 令和8年度改定で訪問看護の運営基準が刷新|4つの新規制と安全管理体制の義務化③ 保険医療機関及び保険医療養担当規則の見直し|誘導禁止規定の対象拡張第3の見直しは、保険医療機関と訪問看護・高齢者住まい等との関係性を規律する内容で、療養担当規則に誘導禁止規定を新設する。背景には、現行の誘導禁止規定(第二条の五)が保険薬局のみを対象としており、保険医療機関から訪問看護ステーションや高齢者住まい等への誘導には規制が及んでいなかった空白がある。新設規定は、保険医療機関が患者に対し特定の事業者等を利用すべき旨の指示等を行うことの対償として、当該事業者等から金品その他の財産上の利益を収受することを禁止する。対象となる事業者等は、指定訪問看護及び指定介護予防訪問看護、指定特定施設入居者生活介護及び指定介護予防特定施設入居者生活介護、地域密着型サービス3類型(認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)、指定居宅介護支援及び指定介護予防支援、介護保険施設の5区分である。さらに、これらの事業者と特別の関係にある事業者も対象に含まれ、迂回的な利益収受も封じられる。実務上は、退院支援や在宅移行支援の場面で、紹介行為と金銭関係を明確に切り離した運用が求められる。とくに、高齢者住まいに併設する訪問看護ステーションを系列法人で運営する場合は、患者の囲い込みと利益収受の関係が問われやすい。組織内の運用ルールと診療録への記録方法を再点検する必要がある。詳しい解説は、以下の記事をご覧ください。👉 令和8年度改定で新設!療養担当規則の誘導禁止規定を徹底解説訪問看護ステーション・保険医療機関に求められる対応3つの見直しに対応するためには、訪問看護ステーションと保険医療機関がそれぞれの立場から体制整備を進める必要がある。訪問看護ステーションは、現場運用と組織運営の両面で改定対応が求められる。保険医療機関は、退院支援・在宅移行支援の場面で誘導と利益収受の関係性を整理することが求められる。訪問看護ステーションの対応は、5つの実務事項に集約される。具体的には、標準時間に基づく訪問計画の作成、看護目標及び訪問看護計画に沿った実施、利用者の状態に応じた個別対応、目標達成の評価と訪問看護記録書への記録、実際の訪問時刻の記載である。さらに、運営基準の新規定に対応するため、適正手続き・誘引禁止・誘導禁止の運用ルール整備と、安全管理体制の構築、6種類の記録整備も並行して進める必要がある。保険医療機関の対応は、誘導行為と利益収受の関係性を切り離す運用ルール作りが中心となる。退院支援や在宅移行支援の場面では、複数の選択肢を客観的な情報とともに提示し、患者の意向を尊重した紹介を行うことが基本となる。系列法人や提携先の事業者を案内する際には、紹介手数料・委託料等の名目で授受される金銭が患者紹介の対償と評価されないかを点検し、紹介経緯と判断根拠を診療録等に記録する運用を徹底する必要がある。まとめ|在宅医療の透明性と質を確保する一体改革令和8年度改定の「Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保」は、訪問看護の実施・運営・誘導の3軸を同時に整える一体改革である。訪問看護ステーションは、記録書の記載要件と運営基準の新規定への対応を計画的に進め、保険医療機関は、誘導と利益収受の関係性を整理する必要がある。これらの対応は、診療報酬の算定要件であると同時に、在宅医療全体の透明性と質を高める実務改善の機会でもある。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定で新設!療養担当規則の誘導禁止規定を徹底解説
令和8年度診療報酬改定では、保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下、療養担当規則)に新たな禁止規定が設けられます。背景には、保険医療機関から特定の訪問看護ステーションや高齢者住まい等への誘導が、社会保障費の不適切な費消を招く事例が顕在化したことがあります。現行の療養担当規則では、誘導禁止の対象が保険薬局に限定されていたため、在宅医療・訪問看護領域における新たな規律が必要となっていました。本メルマガでは、療養担当規則第二条の五の二の新設の趣旨と内容を、現場で押さえるべきポイントに絞って解説します。療養担当規則の見直しは、「健康保険事業の健全な運営の確保」を目的として、誘導禁止の対象を在宅・介護関連サービスへ拡張するものです。第一に、新設規定は、保険医療機関が特定事業者等の利用を指示する対償として金品等を収受することを禁じます。第二に、規制対象には、訪問看護、特定施設、認知症グループホーム、居宅介護支援、介護保険施設等が幅広く含まれます。第三に、上記事業者と特別の関係にある事業者も対象に含まれ、抜け道となる迂回的な利益収受も封じられます。改定の背景:在宅領域における誘導の規制空白療養担当規則の現行規定には、在宅医療・訪問看護領域における誘導禁止の空白が存在していました。第二条の五は、保険医療機関から特定の保険薬局への誘導とその対償としての利益収受を禁じる規定であり、誘導禁止の対象を保険薬局のみに限定しています。このため、保険医療機関から訪問看護ステーションや高齢者住まい等への誘導には、現行ルールが及んでいませんでした。この規制空白は、在宅医療現場における高収益構造と結びつき、看過できない問題として顕在化しました。介護保険の訪問看護の収支差率は令和4年度で5.9%ですが、高齢者住まい等に併設する訪問看護ステーションを運営する事業者の例では、営業利益率が20%を超える事業者も確認されています(ただし当該数値は訪問看護事業以外を含む全社ベースの利益率である点に留意)。また、有料老人ホームの紹介手数料についても、要介護度や医療必要度に応じて高額に設定される事例があり、社会保障費の使途として疑念を持たれる実態が報じられました。こうした問題を踏まえ、中医協は療養担当規則における誘導禁止規定の対象拡張を論点として整理しました。論点の中心は、保険医療機関から在宅・介護関連サービスへの誘導に対し、療養担当規則と同様の規律を設けるべきか否かにありました。議論の結果、健康保険事業の健全な運営の確保の観点から、新設規定の整備が必要との結論に至っています。新設規定の内容:第二条の五の二による誘導禁止新設される第二条の五の二は、保険医療機関による特定事業者等への誘導を、対償としての利益収受の側面から禁止する規定です。具体的には、保険医療機関が患者に対し特定の事業者等を利用すべき旨の指示等を行うこと、その指示等の対償として当該事業者等から金品その他の財産上の利益を収受すること、この2つが結びついた行為を禁止します。これは、現行第二条の五が定める保険薬局向けの規律と同じ構造を、在宅・介護関連サービスに拡張するものです。禁止規定の対象となる事業者等は、在宅医療・介護領域の主要サービスを広く網羅しています。対象は、指定訪問看護及び指定介護予防訪問看護、指定特定施設入居者生活介護及び指定介護予防特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護・地域密着型特定施設入居者生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護等の地域密着型サービス3類型、指定居宅介護支援及び指定介護予防支援、介護保険施設の5区分です。これらは、保険医療機関の患者が在宅・施設での療養生活へ移行する際に利用するサービスを、ほぼ網羅した範囲となります。これらの事業者と「特別の関係にある事業者」も、誘導禁止の対象に含められています。具体的には、上記5区分の事業者と併せて利用される事業者であって、当該事業者と特別の関係にある事業者が対象となります。この規定により、関連事業者を経由した迂回的な利益収受も禁止対象となる構造です。なお、本規定は高齢者の医療の確保に関する法律に基づく療養の給付等の取扱い基準についても、同様の改正が行われます。現場への影響:退院支援・在宅移行時の実務留意点新設規定の施行により、保険医療機関は退院支援や在宅移行支援の場面で、特定事業者の紹介に伴う金銭関係の整理が必須となります。退院支援では、入退院支援部門が訪問看護ステーションや介護保険施設を患者に案内する場面が日常的に発生します。この案内自体は禁止されませんが、案内の対償として事業者から金品等の財産上の利益を収受する関係があれば、新設規定に抵触します。実務上の留意点は、紹介と利益収受の関係性を切り離して運用することにあります。系列法人や提携先の事業者を案内する際には、紹介手数料・委託料・業務委託費などの名目で授受される金銭が、患者紹介の対償と評価されないかを確認する必要があります。とくに、高齢者住まいに併設する訪問看護ステーションを系列で運営する場合は、患者の囲い込みと利益収受の関係が問われやすく、組織内での運用ルールの再点検が求められます。患者の選択権を確保する仕組み作りも、現場の重要な対応事項となります。療養担当規則の趣旨は、保険医療機関の患者が、自由な意思で在宅・介護サービスを選択できる環境を守ることにあります。このため、複数の選択肢を客観的な情報とともに提示すること、患者の意向を尊重した紹介を行うこと、紹介経緯と判断根拠を診療録等に記録することが、実務上の標準対応として重要性を増します。まとめ:療養担当規則の規律拡張で在宅医療の透明性を確保令和8年度改定で新設される療養担当規則第二条の五の二は、保険医療機関から在宅・介護関連サービスへの誘導と利益収受を禁止する規定です。この見直しは、保険薬局に限定されていた現行の誘導禁止規定を、訪問看護、特定施設、認知症グループホーム、居宅介護支援、介護保険施設へと拡張するもので、特別の関係にある事業者も対象に含めることで迂回的な利益収受を封じます。保険医療機関の現場では、退院支援や在宅移行支援における紹介行為と金銭関係の整理、患者の選択権を確保する運用ルールの再点検が求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定で訪問看護の運営基準が刷新|4つの新規制と安全管理体制の義務化
令和8年度診療報酬改定では、適切な訪問看護提供体制の構築と指定訪問看護事業者の適正な手続きの確保を推進するため、運営基準の見直しが行われます。今回の見直しでは、指定訪問看護に係る安全管理に関する内容や適正な請求等について、運営基準に新たな規定を設けます。本改正は、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第80号)の改正として実施されます。今回の見直しは、運営基準への4つの新規定追加と2つの既存規定の改正で構成されます。新規定では、適正な手続きの確保、健康保険事業の健全な運営確保、経済上の利益による誘引禁止、特定の主治医・事業者等への誘導禁止を、第五条の二から第五条の五として義務付けます。既存規定では、第二十八条を改正し、安全管理体制の確保を新たに義務化します。さらに、第三十条を改正し、訪問看護記録書など6種類の記録整備を明示的に義務付けます。適正な手続きと健全な運営の確保第五条の二と第五条の三では、指定訪問看護事業者に対して、適正な手続きの実施と健康保険事業の健全な運営確保を義務付けます。これらの規定は、指定申請や訪問看護療養費の請求に関する基本的なルールを明確化するものです。第五条の二では、申請・届出等の手続きと費用請求手続きの適正化を求めます。具体的には、厚生労働大臣または地方厚生局長等への申請・届出に係る手続きを適正に行わなければなりません。さらに、訪問看護療養費に関する費用の請求も適正に行うことが求められます。この規定により、行政手続きと診療報酬請求の双方で適正性が担保されます。第五条の三では、健康保険事業の健全な運営を損なわないよう努めることを求めます。この努力義務は、指定訪問看護の提供全般に及びます。健全な運営の確保は、後述する誘引禁止規定の基礎となる原則でもあります。経済上の利益による誘引と特定事業者等への誘導の禁止第五条の四と第五条の五では、訪問看護事業者による不適切な誘引行為と誘導行為を明確に禁止します。これらの規定は、利用者の自由な選択と公正な事業運営を守るために設けられました。第五条の四では、経済上の利益の提供による誘引を2つの観点から禁止します。1つ目は、利用者本人への誘引であり、収益業務に係る物品の対価の値引きなどが該当します。2つ目は、紹介者への対価提供による誘引であり、他の事業者やその従業員への金品提供などが該当します。いずれも、健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益が対象です。第五条の五では、特定の主治医や特定の事業者等への誘導の対償として金品その他の財産上の利益を収受することを禁止します。対象となる事業者等は、指定居宅サービス事業者(特定施設入居者生活介護に限る)から指定介護予防支援事業者まで第一号から第七号として列挙された7類型です。さらに第八号では、これらの事業者等と併せて利用する事業者であって、当該事業者等と特別の関係にある事業者も対象に含まれます。これらの事業者等から、誘導の対償として財産上の利益を収受してはなりません。安全管理体制の確保と記録整備の義務化第二十八条と第三十条の改正では、安全管理体制の確保と記録整備の義務化を行います。これらの改正は、訪問看護の質と透明性を高めるための重要な見直しです。第二十八条では、事故発生時の対応に加えて、新たに第3項として安全管理体制の確保を義務付けます。具体的には、指定訪問看護事業者は、指定訪問看護に係る安全管理のための体制を確保しなければなりません。この義務化により、事故発生後の対応だけでなく、事故を未然に防ぐ体制づくりが求められます。第三十条では、整備すべき記録の種類を明示的に列挙します。具体的には、訪問看護記録書、訪問看護指示書、訪問看護計画書、訪問看護報告書、市町村等に対する情報提供書、市町村等との連絡調整に関する記録の6種類です。これらの記録は、完結の日から2年間保存しなければなりません。さらに、記録は正確かつ最新の内容を保つよう整備することも求められます。まとめ:訪問看護事業者に求められる体制整備令和8年度診療報酬改定における指定訪問看護の運営基準見直しは、適切な訪問看護提供体制の構築と適正な事業運営の確保を目的としています。具体的には、適正手続き・健全運営・誘引禁止・誘導禁止の4つの新規定により事業者のコンプライアンスを強化し、安全管理体制の確保と6種類の記録整備義務化により提供体制の透明性を高めます。指定訪問看護事業者は、これらの改正内容を正確に理解し、施行に向けた体制整備を計画的に進めることが求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
令和8年度改定|訪問看護の適正化と記録書記載の明確化を解説
訪問看護は、在宅医療の中核を担うサービスとして利用者数が増加している。一方で、利用者の状態に応じない画一的な訪問や、短時間訪問の濫用、記録書の記載内容のばらつきが課題となってきた。本稿では、令和8年度診療報酬改定における「適正な訪問看護の推進」の改定内容を、訪問看護ステーションの実務担当者向けに解説する。本改定は、訪問看護の実施基準の明確化と記録書記載要件の厳格化を進める。第一に、標準時間(30分から1時間30分程度)を下回る訪問が頻繁に行われている場合は、指定訪問看護を実施したと認めない旨を明文化する。第二に、看護目標及び訪問看護計画に沿った実施を明記し、漫然かつ画一的な訪問を禁じる。第三に、利用者の状態を踏まえない一律の日数、回数、実施時間及び人数の決定を認めないことを明確化する。第四に、目標達成の評価と訪問看護記録書への記録、及び実際の訪問開始時刻と終了時刻の記載を求める。改定の背景と基本的な考え方本改定は、利用者の状態を適切に把握し、適正な訪問看護を提供するため、記録書の記載内容を明確化することを目的としている。背景には、訪問看護の利用拡大に伴う実施内容のばらつきと、画一的な訪問や短時間訪問の濫用への懸念がある。改定の方向性は、既存の人員・運営基準に立ち返り、その遵守を通知レベルで明文化する点にある。訪問看護の利用拡大は、改定の出発点である。在宅医療の推進により、訪問看護ステーションの利用者は年々増加してきた。この拡大の中で、利用者の心身の状況に十分配慮しない訪問や、評価を伴わない訪問が一部で見られるようになった。こうした状況が、本改定の必要性を後押ししている。画一的な訪問と短時間訪問の濫用は、本改定が踏み込む論点である。一律の日数や回数による訪問は、利用者ごとの状態に即した看護とは言えない。また、標準時間を下回る訪問の頻繁な実施は、診療報酬の趣旨に反する運用である。本改定は、通知において具体的な禁止事項を示すことで、こうした懸念に対応する。標準時間を下回る訪問の規制本改定により、標準時間を下回る訪問の頻繁な実施に対する規制が通知に明文化される。訪問看護基本療養費(Ⅰ)及び(Ⅱ)の標準時間は、1回の訪問につき30分から1時間30分程度である。標準時間を下回る訪問が頻繁に行われている場合は、指定訪問看護を実施したとは認められない。本規制は、短時間訪問の濫用を防ぐ趣旨である。標準時間の位置づけは、改定の前提である。訪問看護基本療養費(Ⅰ)及び(Ⅱ)では、1回の訪問につき30分から1時間30分程度が標準時間とされている。この標準時間自体は、現行通知から変更されていない。改定で追加されるのは、標準時間を下回る訪問への取扱いに関する留意事項である。頻繁な短時間訪問の規制は、新設される運用ルールである。具体的には、同一日に同一の利用者に複数回、又は複数の利用者に対し、標準時間を下回る訪問が頻繁に行われている場合が対象となる。これらのケースでは、指定訪問看護を実施したとは認められない。ただし、標準時間の訪問計画を作成し、訪問時の利用者側のやむを得ない事情により標準時間を下回った場合は、規制の対象から除外される。訪問看護実施における基本原則の明確化本改定により、訪問看護の実施に関する2つの基本原則が通知に明記される。1つ目は、看護目標及び訪問看護計画に沿った実施の徹底である。2つ目は、利用者の状態を踏まえない一律の決定の禁止である。両原則ともに、既存の運営基準を実務レベルで具体化したものである。看護目標及び訪問看護計画に沿った実施は、第1の原則である。実施にあたっては、利用者の心身の状況等に応じて妥当適切に行うことが求められる。妥当適切な実施とは、漫然かつ画一的なものにならない訪問を意味する。この原則の根拠は、指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準(平成12年厚生省令第80号)第14条第1項にある。利用者の状態を踏まえない一律の決定の禁止は、第2の原則である。一律の決定とは、利用者の心身の状況等を考慮せずに、訪問看護の日数、回数、実施時間及び人数(指定訪問看護の日数等)を定めることを指す。さらに、定期的な指定訪問看護を実施していない者が指定訪問看護の日数等を定めることも認められない。この禁止事項により、計画と実施の連動性が担保される。記録・評価に関する具体的要件本改定により、訪問看護の記録と評価に関する2つの要件が新設・明確化される。1つ目は、目標達成の評価と訪問看護記録書への記録である。2つ目は、実際の訪問開始時刻と終了時刻の記載である。両要件ともに、提供されたサービスの妥当性を客観的に検証する仕組みを目指す。目標達成の評価と記録は、新設される要件である。指定訪問看護の提供にあたっては、目標達成の程度及びその効果等について評価を行わなければならない。評価に関する内容は、訪問看護記録書に記録することが求められる。評価結果に応じて、訪問看護計画書の見直しと改善も努力義務として位置づけられる。実際の訪問開始時刻と終了時刻の記載は、明確化される要件である。従来の通知では「開始時刻及び終了時刻」とのみ記載されていた。改定後は「実際の指定訪問看護の開始時刻及び終了時刻」と明記される。この明確化により、計画上の予定時刻ではなく、実績時刻の記録が必須であることが示される。訪問看護ステーションが取り組むべき実務対応本改定への実務対応は、訪問計画・実施運用・記録の3点を整えることに集約される。第一に、標準時間に基づく訪問計画を作成し、計画に沿った実施を徹底する。第二に、利用者ごとの状態に応じて訪問条件を決定する運用ルールを徹底する。第三に、訪問看護記録書において評価内容と実際の訪問時刻を記載する。訪問計画の整備は、第1の対応事項である。計画には、標準時間(30分から1時間30分程度)に基づく訪問時間を設定する必要がある。計画には、利用者の心身の状況に基づく看護目標も具体的に記載する。これにより、短時間訪問の濫用を防ぎ、後続の評価と計画見直しが実効性を持つ。実施運用の整備は、第2の対応事項である。訪問の日数、回数、実施時間及び人数は、利用者の状態を踏まえて個別に決定しなければならない。定期的な指定訪問看護を実施していない者が訪問条件を定めることは認められない。この運用ルールを組織全体で共有することが、改定対応の鍵となる。訪問看護記録書の整備は、第3の対応事項である。記録書には、毎回の訪問内容に加え、目標達成の程度や効果に関する評価を記載する。訪問時刻については、計画上の時刻ではなく、実際の開始時刻と終了時刻を記録する。これらの記載は、算定要件を満たすための必須事項である。まとめ令和8年度改定は、適正な訪問看護の推進に向け、実施基準の明確化と記録要件の厳格化を進める。訪問看護ステーションは、標準時間に基づく訪問計画の作成、看護目標及び訪問看護計画に沿った実施、利用者の状態に応じた個別対応、目標達成の評価と記録、実際の訪問時刻の記載という5点を確実に整える必要がある。これらの対応は、診療報酬の算定要件であると同時に、訪問看護の質を高める実務改善の機会でもある。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】大病院の逆紹介推進を3本柱で解説|減算見直し・新加算・情報提供料
令和8年度診療報酬改定では、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携の一環として、大病院の外来機能分化が改めて大きな論点となった。特定機能病院等の再診患者には、地域のかかりつけ医師が診療可能な傷病の患者が一定含まれている実態がある一方で、減算規定の対象患者は極めて限られており、逆紹介の取組も医療機関によってばらつきがある。本記事は、令和8年度改定における「Ⅱ-4-1 大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携による大病院の外来患者の逆紹介の推進」の3つの改定項目を、1ページで俯瞰できるよう整理することを目的とする。Ⅱ-4-1は、「①初診料及び外来診療料における紹介・逆紹介割合に基づく減算規定の見直し」「②特定機能病院等からの紹介を受けて行う初診に対する評価の新設」「③連携強化診療情報提供料の見直し」の3項目で構成される。第1項目では、逆紹介割合の基準が引き上げられ、減算対象患者に頻回再診患者が追加される。第2項目では、特定機能病院等から紹介を受けた診療所または許可病床数200床未満の病院の初診を新たに評価する加算が新設される。第3項目では、算定対象医療機関の拡大、共同治療管理の合意に基づく算定要件の追加、算定回数の3月に1回への統一という3点の見直しが行われる。これら3項目は、大病院側への規律付けと地域側への評価付与、医療機関間の情報共有の評価拡充を組み合わせ、紹介・逆紹介の双方向の流れを報酬面から後押しするものである。① 初診料及び外来診療料における紹介・逆紹介割合に基づく減算規定の見直し第1項目の見直しは、紹介状なし受診患者等に係る初診料・外来診療料の減算規定について、逆紹介割合の基準引き上げと減算対象患者の拡大を行うものである。対象となる大病院の責任を重くし、地域医療機関への患者紹介(逆紹介)を一層推進する狙いがある。逆紹介割合の基準は、対象医療機関の種別ごとに引き上げられる。特定機能病院・地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関では30‰未満から50‰未満へ、許可病床400床以上の病院では20‰未満から40‰未満へと、いずれも厳格化される。いずれの医療機関種別でも、紹介割合の基準自体(50%未満・40%未満)は変更されない。減算対象患者には、「当該病院において過去1年間に12回以上外来診療料を算定した患者」が新たに加えられる。従来は、他院への文書による紹介の申出にもかかわらず受診を続けた患者のみが対象であった。今回の見直しでは、頻回に再診を受ける患者も機能分担の観点から減算対象に含められる。ただし、遠隔連携診療料または連携強化診療情報提供料を算定している患者、緊急その他やむを得ない事情がある患者、他院への紹介が困難と医師が認めた患者は、減算対象から除外される。経過措置として、1年間の猶予期間が設けられる。令和8年3月31日時点で現行の逆紹介割合基準を満たしていた病院は、令和9年3月31日までの間、新基準を満たすものとみなされる。詳細はこちらの記事をご覧ください。👉 【令和8年度改定】初診料・外来診療料の減算規定を見直し|逆紹介割合基準の引き上げと対象患者の拡大② 特定機能病院等からの紹介を受けて行う初診に対する評価の新設第2項目の見直しは、「特定機能病院等紹介患者受入加算」を新設し、大病院からの紹介を受け入れる地域側の医療機関を報酬面で直接評価するものである。従来は大病院側に減算規定を設けて逆紹介を促す仕組みが中心であったが、今回は受入側にもインセンティブを付与することで、双方向から外来機能分化を後押しする。新設される加算は、初診料の所定点数に60点を加算する評価である。算定対象施設は、診療所または許可病床数200床未満の病院に限られる。許可病床数が200床以上の病院は、たとえ特定機能病院等から紹介を受けても本加算を算定できない。紹介元として認められるのは、4種類の大病院である。具体的には、特定機能病院、地域医療支援病院、紹介受診重点医療機関、許可病床400床以上の病院の4種類が該当する。特定機能病院以外の3種類については、いずれも一般病床200床未満の施設が紹介元から除外される点に留意が必要である。算定の場面は、上記の紹介元から紹介を受けて初診を行ったときに限られる。大病院の外来機能分化と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携を推進する改定項目の一つとして位置付けられる。詳細はこちらの記事をご覧ください。👉 大病院からの逆紹介を後押し!新設「特定機能病院等紹介患者受入加算」のポイント③ 連携強化診療情報提供料の見直し第3項目の見直しは、連携強化診療情報提供料について、算定対象医療機関の拡大、共同治療管理の合意に基づく算定要件の追加、算定回数の3月に1回への統一という3点の改定を行うものである。従来は算定対象となる医療機関の組み合わせが限定的であり、現場の連携実態を十分に反映できていなかった。今回の見直しでは、「2人主治医制」に代表される双方向の情報共有を報酬面から支援する仕組みへと再整備される。算定対象医療機関は、特定機能病院等から、許可病床数200床未満の病院および診療所等まで拡大される。紹介の方向性についても、現行の「紹介された患者」のみから、「紹介され、又は他の保険医療機関へ紹介した患者」へと拡大される。これにより、紹介元と紹介先のいずれの医療機関でも診療情報提供料を算定でき、大病院から地域のかかりつけ医機能を担う医療機関への逆紹介の場面でも算定が可能となる。算定要件には、共同治療管理の合意に基づく情報提供が追加される。従来の「他の保険医療機関からの求めに応じた情報提供」に加えて、病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が共同で継続的に治療管理を行うことに合意し、当該合意に基づく紹介であることを確認したうえで情報提供を行った場合にも、算定が認められる。個別の求めがなくても、事前の合意に基づく継続的な情報提供を評価できる枠組みへと拡張される。算定回数は、患者1人につき3月に1回に統一される。現行制度では、注1から注4(基本ルール、外来機能報告対象病院等、その他の施設基準を満たす医療機関、指定難病・てんかん患者)が月1回、注5(妊娠中の患者)が3月に1回と区分されていたが、改定後はすべての算定区分で3月に1回となる。継続的な治療管理の実態に即した、合理的な算定機会の設定といえる。詳細はこちらの記事をご覧ください。👉 連携強化診療情報提供料の見直し|令和8年度改定の3つのポイントまとめ令和8年度診療報酬改定のⅡ-4-1は、大病院の外来機能分化を「減算規定」「新設加算」「情報提供料」という3つの報酬ツールから推進する構造をとる。減算規定の見直しでは、逆紹介割合の基準引き上げと頻回再診患者の対象化により、大病院側の逆紹介責任が強化される。特定機能病院等紹介患者受入加算の新設では、紹介を受ける診療所・許可病床数200床未満の病院が初診60点で直接評価される。連携強化診療情報提供料の見直しでは、算定対象の双方向化と共同治療管理の合意に基づく算定要件の追加により、病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が共同で継続的に治療管理を行う取組が支援される。対象となる医療機関は、経過措置期間や届出要件の確認を行いつつ、自院の立ち位置に応じた連携戦略を計画的に組み立てることが求められる。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
連携強化診療情報提供料の見直し|令和8年度改定の3つのポイント
令和8年度診療報酬改定では、大病院の外来機能分化と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携強化が、引き続き重要な政策課題となっています。現行の連携強化診療情報提供料は、算定対象となる医療機関の組み合わせが限定的であるうえ、算定機会も患者1人につき月1回までと、現場の連携実態を十分に反映できていませんでした。本メルマガでは、令和8年度診療報酬改定における連携強化診療情報提供料の見直し内容を、中医協の資料に基づいて整理します。連携強化診療情報提供料は、「算定対象医療機関の拡大」「共同治療管理の合意に基づく算定要件の追加」「算定回数の3月に1回への統一」という3点で見直されます。第1の見直しでは、算定対象が特定機能病院等から許可病床数200床未満の病院および診療所等まで拡大され、紹介元と紹介先のいずれの医療機関でも算定可能となります。第2の見直しでは、他の医療機関からの求めに応じた情報提供だけでなく、病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が共同で継続的に治療管理を行う旨の合意に基づく紹介でも算定可能となります。第3の見直しでは、算定回数が患者1人につき3月に1回に統一され、算定機会の整理が行われます。算定対象医療機関の拡大第1の見直しは、算定対象医療機関の拡大であり、紹介元・紹介先のいずれの医療機関でも診療情報提供料を算定できるようにする内容です。改定の背景には、大病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が双方向で情報を共有しながら治療管理を行う実態を、報酬上で適切に評価する必要性があります。算定対象医療機関は、特定機能病院等に加えて、許可病床数200床未満の病院および診療所等まで拡大されます。具体的な施設基準では、「診療所または許可病床数200床未満の病院」と、「特定機能病院、地域医療支援病院、外来機能報告対象病院等または許可病床数400床以上の病院」という2つの類型が設けられます。これら2類型に該当する医療機関の間で患者の紹介が行われた場合に、双方の医療機関で算定可能となる仕組みです。なお、地域医療支援病院および400床以上の病院については「一般病床の数が200床未満であるものを除く」、外来機能報告対象病院等については都道府県が公表した基幹的な病院に限るといった留保条件が付されています。紹介の方向性についても、現行の「紹介された患者」のみから、「紹介され、又は他の保険医療機関へ紹介した患者」へと拡大されます。この見直しにより、大病院から地域のかかりつけ医機能を担う医療機関への逆紹介の場面でも、算定が可能となります。逆紹介の推進は外来機能分化の中核的な政策テーマであり、今回の算定要件の見直しは、その推進を報酬面から後押しする位置づけといえます。共同治療管理の合意に基づく算定要件の追加第2の見直しは、共同治療管理に係る合意を、算定要件として追加する内容です。算定対象医療機関の拡大とあわせて、医療機関間の連携の質を高めるための要件整備が行われます。算定要件としては、現行の「他の保険医療機関からの求めに応じた情報提供」に加えて、「共同治療管理の合意に基づく情報提供」が新設されます。具体的には、病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が、患者の治療管理を共同で継続的に行うことについて合意し、当該合意に基づく紹介であることを確認したうえで情報提供を行った場合に、算定が認められます。この要件追加により、紹介元医療機関からの個別の求めがなくても、事前の合意に基づく継続的な情報提供を評価できる枠組みとなります。合意に基づく算定の対象には、一般の患者に加えて、指定難病の患者、てんかんの患者、妊娠中の患者も含まれます。指定難病の患者およびてんかんの患者については、難病診療連携拠点病院、難病診療分野別拠点病院、てんかん支援拠点病院の指定を受けている保険医療機関が、施設基準上の算定主体となります。妊娠中の患者については、当該保険医療機関内に妊娠中の患者の診療を行うにつき十分な体制が整備されていることが、施設基準として求められます。算定回数の3月に1回への見直し第3の見直しは、算定回数を患者1人につき3月に1回に整理する内容です。算定対象および算定要件の拡大とあわせて、算定機会の頻度を見直すことで、点数体系全体のバランスが図られます。算定回数は、患者1人につき3月に1回に統一されます。現行制度では、注1から注4まで(基本ルール、外来機能報告対象病院等、その他の施設基準を満たす医療機関、指定難病・てんかん患者)が月1回、注5(妊娠中の患者)が3月に1回とされていましたが、改定後はすべての算定区分で3月に1回となります。継続的な治療管理の実態に即した、合理的な算定機会の設定といえます。なお、現行の注5には、産科または産婦人科を標榜する保険医療機関が関わる妊娠中の患者について、頻回の情報提供の必要を認めた場合の月1回算定の例外規定が設けられていました。改定案の注4および注5の本文には、この例外規定に相当する記述が見られません。例外規定の取扱いについては、最終的な告示および関連通知での確認が必要です。まとめ令和8年度診療報酬改定における連携強化診療情報提供料の見直しは、「算定対象医療機関の拡大」「共同治療管理の合意に基づく算定要件の追加」「算定回数の3月に1回への統一」という3つの柱で構成されます。算定対象の拡大により、紹介元と紹介先の双方の医療機関で算定が可能となり、逆紹介の推進が報酬面から支援されます。算定要件への合意要件の追加により、共同治療管理の枠組みに基づく継続的な情報提供が評価されます。算定回数の見直しにより、継続的な治療管理の実態に即した算定機会の設定が実現します。これら3つの見直しは、病院の専門医師と地域のかかりつけ医師が連携しながら共同で継続的に治療管理を行う取組を推進するという、今回改定の基本的な考え方を具体化するものです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
大病院からの逆紹介を後押し!新設「特定機能病院等紹介患者受入加算」のポイント
令和8年度診療報酬改定では、「特定機能病院等紹介患者受入加算」が新設されます。本加算は、特定機能病院等から紹介を受けた患者に対して、診療所又は許可病床数200床未満の病院が初診を行った場合に評価する仕組みです。本記事では、新設加算の基本的な考え方と具体的な算定要件を、厚生労働省の改定資料に沿って解説します。新設される「特定機能病院等紹介患者受入加算」は、初診料の所定点数に60点を加算する評価です。算定対象施設は、診療所又は許可病床数200床未満の病院に限られます。紹介元として認められるのは、特定機能病院、一定規模以上の地域医療支援病院、一定規模以上の紹介受診重点医療機関、許可病床400床以上の病院の4種類です(特定機能病院以外の3種類は、いずれも一般病床200床未満の病院を除きます)。算定の場面は、これらの紹介元から紹介を受けて初診を行った場合に限られます。基本的な考え方:診療所・小規模病院での初診を新たに評価新加算の基本的な考え方は、特定機能病院等からの紹介を受けた患者に対する初診を、診療所又は許可病床数200床未満の病院が行った場合について、新たな評価を行うというものです。これは、令和8年度改定における「Ⅱ-4-1 大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携による大病院の外来患者の逆紹介の推進」の一環として位置付けられています。本加算が新設される改定の柱は、大病院の外来患者を地域のかかりつけ医機能を担う医療機関へ円滑に移行させる連携の推進です。これまで大病院側には、紹介状なし受診患者に対する初診料・外来診療料の減算規定が設けられてきました。今回の改定では、これに加え、大病院からの紹介患者を受け入れる側を直接評価する加算が新設されます。算定要件:算定する側と紹介元の双方に厳格な範囲算定要件は、算定する側の保険医療機関と紹介元の医療機関の双方で範囲が定められます。算定する側は、診療所又は許可病床数200床未満の病院に限定されます。紹介元は、4種類の大病院に限定されます。算定する保険医療機関は、診療所又は許可病床数200床未満の病院に限られます。許可病床数が200床以上の病院は、たとえ特定機能病院等から紹介を受けても本加算を算定することはできません。紹介元として認められるのは、4種類の医療機関です。具体的には、①特定機能病院、②地域医療支援病院(一般病床の数が200床未満の病院を除く)、③紹介受診重点医療機関(一般病床の数が200床未満であるものを除く)、④許可病床の数が400床以上の病院(一般病床の数が200床未満の病院を除く)が該当します。特定機能病院以外の3種類については、いずれも一般病床200床未満の施設は紹介元として認められない点に注意が必要です。算定の場面は、上記の紹介元から紹介を受けて初診を行ったときに限られます。算定方法は、初診料の所定点数に60点を加算する形をとります。改定全体における位置付け本加算は、令和8年度改定で行われる外来医療の機能分化と連携に関する一連の見直しの一部を構成します。同じⅡ-4-1の項目では、大病院側に対する見直しも併せて実施されます。具体的には、紹介患者・逆紹介患者の割合が低い特定機能病院等を紹介状なしで受診した患者等に係る初診料及び外来診療料について、逆紹介割合の基準を引き上げることや、減算対象患者に頻繁に再診を受けている患者を含むよう見直すことが、これまでの議論の整理に示されています。まとめ:新設加算の要点新設される「特定機能病院等紹介患者受入加算」は、特定機能病院等から紹介を受けた患者に対する初診を、診療所又は許可病床数200床未満の病院が行った場合に、初診料の所定点数に60点を加算する評価です。算定対象施設は、診療所又は許可病床数200床未満の病院に限られます。紹介元として認められるのは、特定機能病院、地域医療支援病院、紹介受診重点医療機関、許可病床400床以上の病院の4種類で、特定機能病院以外の3種類はいずれも一般病床200床未満の施設が除外されます。本加算は、大病院と地域のかかりつけ医機能を担う医療機関との連携による大病院の外来患者の逆紹介の推進を目的とした改定項目の一つです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】初診料・外来診療料の減算規定を見直し|逆紹介割合基準の引き上げと対象患者の拡大
令和8年度診療報酬改定では、大病院の外来機能分化と地域医療機関との連携をさらに推進する。その一環として、紹介患者・逆紹介患者の割合が低い特定機能病院等における初診料及び外来診療料の減算規定が見直される。本記事では、この減算規定の改定内容と実務対応のポイントを整理する。今回の見直しは、大きく2点の変更で構成される。第一に、逆紹介割合の基準が対象医療機関の種別ごとに引き上げられる。第二に、減算対象となる患者に「過去1年間に12回以上外来診療料を算定した患者」が追加される。さらに、現行基準を満たしている病院には、令和9年3月31日までの経過措置が設けられる。逆紹介割合の基準引き上げ逆紹介割合の基準は、対象医療機関の種別ごとに約1.7〜2倍に厳格化される。特定機能病院等では30‰未満から50‰未満へ、許可病床400床以上の病院では20‰未満から40‰未満へと引き上げられる。この改定は、大病院から地域医療機関への患者紹介(逆紹介)を一層推進することを目的とする。特定機能病院・地域医療支援病院・紹介受診重点医療機関では、逆紹介割合の基準が30‰未満から50‰未満に引き上げられる。この基準は、初診料の「注2」に該当する減算規定の対象医療機関を定めるものである。なお、紹介割合の基準(50%未満)は変更されない。許可病床400床以上の病院では、逆紹介割合の基準が20‰未満から40‰未満に引き上げられる。この基準は、初診料の「注3」に該当する減算規定の対象医療機関を定めるものである。こちらも、紹介割合の基準(40%未満)は変更されない。減算対象患者への「頻回再診患者」の追加減算対象患者には、「当該病院において過去1年間に12回以上外来診療料を算定した患者」が新たに加えられる。従来は、他院への文書による紹介の申出にもかかわらず受診を続けた患者のみが対象であった。今回の見直しにより、頻回に再診を受ける患者も、医療機関の機能分担の観点から減算対象に含められる。この追加には、患者の状況に応じた除外規定も設定される。以下の3つのいずれかに該当する患者は、減算対象から除外される。第一に、過去1年間に紹介を行った医療機関との連携により、遠隔連携診療料または連携強化診療情報提供料を算定している患者である。第二に、緊急その他やむを得ない事情がある患者である。第三に、専門性の高い医学管理を要するなどの理由で他院への紹介が困難であり、自院での継続通院が必要と医師が認めた患者である。報告義務と経過措置報告義務の基準も、逆紹介割合の基準引き上げに連動して変更される。特定機能病院等では、紹介割合50%未満または逆紹介割合50‰未満(現行30‰未満)の場合に、地方厚生(支)局長への報告義務が生じる。400床以上の病院では、紹介割合40%未満または逆紹介割合40‰未満(現行30‰未満)の場合に、同様の報告義務が生じる。経過措置として、1年間の猶予期間が設けられる。令和8年3月31日時点で現行の逆紹介割合基準を満たしていた病院は、令和9年3月31日までの間、新基準を満たすものとみなされる。この措置により、対象病院は新基準への段階的な対応期間を確保できる。まとめ令和8年度診療報酬改定では、大病院の外来機能分化を進めるため、初診料・外来診療料の減算規定が見直される。逆紹介割合の基準は対象医療機関の種別ごとに引き上げられ、減算対象患者には頻回再診患者が新たに加えられる。対象となる病院は、経過措置期間を活用しながら、新基準への対応と地域医療機関との連携強化を計画的に進めることが求められる。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】かかりつけ歯科医・薬剤師機能の評価見直し総まとめ|⑥⑦⑧を一挙整理
令和8年度診療報酬改定では、2040年頃を見据えた地域医療の確保に向けて、かかりつけ機能の評価体系が抜本的に見直されます。これまでのかかりつけ歯科医機能とかかりつけ薬剤師機能は、複雑な算定要件や業務実態との乖離が課題として指摘されてきました。本稿では、個別改定項目「Ⅱ-3 かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価」のうち、歯科・薬局に関わる⑥⑦⑧の3項目を体系的に整理します。今回の見直しは3つの柱で構成されます。第1に、歯科疾患管理料・小児口腔機能管理料・口腔機能管理料が一本化または2区分化され、対象患者が拡大されます。第2に、歯周病安定期治療(SPT)と歯周病重症化予防治療(P重防)が「歯周病継続支援治療」へ統合され、医科歯科連携を評価する加算が再編されます。第3に、かかりつけ薬剤師指導料と包括管理料が廃止され、服薬管理指導料への統合と新加算の創設、施設基準の再構成が行われます。⑥ 歯科疾患管理料、小児口腔機能管理料及び口腔機能管理料の要件並びに評価の見直し⑥では、かかりつけ歯科医による口腔機能管理を推進するため、3つの管理料が見直されます。口腔機能発達不全症や口腔機能低下症と診断されながらも、算定要件を満たさず管理料を算定できない患者が多数存在することが背景にあります。歯科疾患管理料は、初診月の80/100減額規定が廃止され、90点に一本化されます。現行では初診月80点・再診月100点の2段階評価でしたが、改定後は初診月・再診月を問わず一律90点で算定できます。小児口腔機能管理料は、現行の1区分(60点)から2区分に細分化されます。口腔機能の評価項目において3項目以上該当する患者は管理料1(90点)、2項目該当の患者は管理料2(50点)で算定します。NDBデータで約13万件が歯科疾患管理料のみの算定にとどまっていた口腔機能発達不全症の患者に対して、より幅広い管理が提供可能となります。口腔機能管理料も、現行の1区分(60点)から2区分に細分化されます。口腔細菌定量検査や咀嚼能力検査等を実施した患者は管理料1(90点)、検査未実施の患者は管理料2(50点)で算定します。約7.7万件が歯科疾患管理料のみの算定にとどまっていた口腔機能低下症の患者にも、管理料の算定範囲が広がります。詳細はこちらの記事で解説しています: 👉 【令和8年度改定】歯科疾患管理料・口腔機能管理料の3つの変更点を解説⑦ 継続的・効果的な歯周病治療の推進⑦では、歯周病の継続管理を評価する2つの点数が統合・再編されます。従来のSPTとP重防は、対象とする歯周組織の状態こそ異なるものの、提供される治療内容が類似していたため、評価体系のシンプル化が長年の論点でした。歯周病継続支援治療は、SPTとP重防を整理・統合した新設項目です。歯数に応じた3段階の点数構造が採用され、1歯以上10歯未満が170点、10歯以上20歯未満が200点、20歯以上が350点で算定します。算定対象は「一連の歯周病治療終了後、継続支援が必要な患者」に拡張され、歯周組織の状態による区分は撤廃されます。重症化予防連携強化加算は、歯周病ハイリスク患者加算を再編した新名称の加算です。点数は80点から100点に引き上げられ、医科医療機関への診療情報提供が新たな要件として追加されます。糖尿病患者に対する非外科的歯周治療がHbA1c値を平均0.30%改善するというメタアナリシスの結果を踏まえ、双方向の医科歯科連携を促す仕組みです。詳細はこちらの記事で解説しています: 👉 【令和8年度改定】歯周病SPTとP重防が統合|新設「歯周病継続支援治療」の全要点⑧ かかりつけ薬剤師の推進⑧では、かかりつけ薬剤師の評価体系が3つの観点から組み替えられます。業務ノルマ化の指摘や、患者によるかかりつけ薬剤師の選択という本来の趣旨が浸透していないという課題への対応です。かかりつけ薬剤師指導料(76点)及びかかりつけ薬剤師包括管理料(291点)は廃止されます。廃止される指導料の機能は、服薬管理指導料の中にかかりつけ薬剤師区分(イ)として統合されます。現行で認められている服薬管理指導料の特例(59点算定)も、今回の改定で削除されます。かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(3月に1回50点)及びかかりつけ薬剤師訪問加算(6月に1回230点)は、新設項目です。フォローアップ加算は前回調剤後からの継続的な服薬状況確認に対する評価、訪問加算は患者または家族の求めに応じた患家訪問と情報提供に対する評価として、それぞれ位置づけられます。施設基準は、薬剤師個人の要件と薬局全体の要件に再構成されます。薬剤師個人の勤務時間要件は週32時間以上から週31時間以上に、在籍期間要件は1年以上から6か月以上に緩和されます。一方、薬局全体としては常勤保険薬剤師の平均在籍期間1年以上または管理薬剤師の継続在籍3年以上という要件が新設され、勤務継続性が担保されます。詳細はこちらの記事で解説しています: 👉 【令和8年度改定】かかりつけ薬剤師の評価体系を抜本見直し|指導料廃止・新加算創設・施設基準再編まとめ令和8年度改定のⅡ-3⑥⑦⑧では、かかりつけ歯科医機能とかかりつけ薬剤師機能の評価体系が抜本的に見直されます。⑥では歯科疾患管理料が90点に一本化され、小児口腔機能管理料と口腔機能管理料が2区分化されます。⑦ではSPTとP重防が歯周病継続支援治療に統合され、重症化予防連携強化加算が医科歯科連携要件とともに再編されます。⑧ではかかりつけ薬剤師指導料と包括管理料が廃止され、服薬管理指導料への統合と新加算の創設、施設基準の再構成が行われます。歯科診療所と保険薬局においては、新たな算定要件と施設基準を踏まえた診療体制・業務フローの整備が求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】かかりつけ医機能の5大見直しを総まとめ|機能強化加算から時間外対応まで
令和8年度診療報酬改定では、かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価(個別改定項目Ⅱ-3)が大きく見直されます。この見直しは、かかりつけ医機能の体制整備を推進するとともに、対象患者の適正化と評価範囲の明確化を図るものです。本記事では、Ⅱ-3に位置づけられる5つの改定項目について、それぞれの要点を整理します。今回のメルマガでは、5つの項目を順に解説します。第1に、機能強化加算ではBCP策定など3つの新要件が追加されます。第2に、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)では包括範囲の縮小など5つの見直しが行われます。第3に、特定疾患療養管理料では胃潰瘍・十二指腸潰瘍にNSAIDs除外条件が新設されます。第4に、地域包括診療加算等では対象患者の拡大や認知症加算の統合など6項目が見直されます。第5に、時間外対応加算は「時間外対応体制加算」へと名称変更され、全区分で点数が引き上げられます。各項目の詳細は、本文中のリンクから個別記事をご参照ください。① 機能強化加算の見直し|3つの新要件を追加機能強化加算では、かかりつけ医機能の体制整備を推進するため、施設基準に3つの新要件が追加されます。点数(80点)に変更はありません。1つ目の新要件は、業務継続計画(BCP)の策定です。災害等の発生時においても医療の提供を継続するための計画を策定し、計画に従った措置の実施と定期的な見直しが求められます。既届出医療機関には、令和9年5月31日までの経過措置が設けられています。2つ目の新要件は、健康保険法第68条の2第1項に基づく期限付き指定を受けた診療所の対象除外です。外来医師多数区域において都道府県知事の要請等に応じなかった診療所は、機能強化加算を算定できなくなります。3つ目の新要件は、外来データ提出加算の届出が「望ましい」要件として位置づけられたことです。現時点では努力義務であり、届出がなくても機能強化加算の算定は可能ですが、外来データ提出体制の早期整備が望まれます。▼ ポイント: BCP策定は既届出医療機関にとって最優先の実務課題です。経過措置期限である令和9年5月31日までに策定を完了する必要があります。📖 詳細記事はこちら:【令和8年度改定】機能強化加算に3つの新要件|BCP策定・期限付き指定・データ提出② 生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)の見直し|5つの改定ポイント生活習慣病管理料(Ⅰ)及び(Ⅱ)では、生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点から、5つのポイントで見直しが行われます。第1のポイントは、生活習慣病管理料(Ⅱ)の包括範囲の大幅な縮小です。がん患者指導管理料、認知症専門診断管理料、救急外来医学管理料など、生活習慣病とは異なる領域の医学管理が別途算定可能になります。第2のポイントは、在宅自己注射指導管理料との併算定制限の一部緩和です。糖尿病以外の疾患(骨粗鬆症など)に対する在宅自己注射であれば、生活習慣病管理料との併算定が可能になります。第3のポイントは、眼科医療機関連携強化加算(60点)と歯科医療機関連携強化加算(60点)の新設です。糖尿病の重症化予防を目的とした他科連携が、年1回算定可能な加算として明確に評価されます。第4のポイントは、生活習慣病管理料(Ⅰ)への血液検査等の実施要件の追加です。原則として6月に1回以上の検査実施が要件化され、疾病管理の質が担保されます。第5のポイントは、療養計画書における患者署名の不要化です。患者の同意自体は引き続き必要ですが、署名という形式的な手続きが省略され、事務負担が軽減されます。▼ ポイント: 包括範囲の縮小により、生活習慣病を主病とする患者の併存疾患管理や時間外対応を別途算定できるようになる点が、実務上最も大きな変化です。📖 詳細記事はこちら:令和8年度改定|生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)5つの見直しポイントを解説③ 特定疾患療養管理料の見直し|NSAIDs除外ルールを新設特定疾患療養管理料では、胃潰瘍および十二指腸潰瘍について、NSAIDs投与中の患者を除外する条件が新たに設けられます。この見直しの背景には、NDBデータで明らかになった矛盾した処方実態があります。主傷病名が「胃潰瘍」に関連する算定患者(約18.5万人)のうち約6.5%が、消化性潰瘍患者への投与が禁忌とされる非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服薬を調剤されていました。この実態は、計画的な療養管理という管理料の趣旨にそぐわないと判断されました。改定後の対象疾患リスト(別表第一)では、「胃潰瘍及び十二指腸潰瘍(消化性潰瘍のある患者への投与が禁忌である非ステロイド性抗炎症薬の投与を受けている場合を除く。)」と記載されます。NSAIDs投与中の患者については、胃潰瘍または十二指腸潰瘍を主病とした算定が認められなくなります。医療機関では、該当患者のNSAIDs処方状況の確認、他の対象疾患を主病とした算定可否の再点検、レセプト算定ロジックや電子カルテマスタの更新が求められます。▼ ポイント: 胃潰瘍・十二指腸潰瘍を主病として算定中の患者については、他科処方を含むNSAIDs投与の有無を必ず確認してください。📖 詳細記事はこちら:令和8年度改定|特定疾患療養管理料の対象疾患にNSAIDs除外ルールが追加④ 地域包括診療加算等の見直し|6つの改定ポイント地域包括診療加算・地域包括診療料では、対象疾患を有する要介護高齢者等への継続的かつ全人的な医療の推進と、適切な服薬管理の実施を推進する観点から、6つのポイントで大幅な見直しが行われます。第1のポイントは、対象患者の拡大です。従来の「6疾病のうち2つ以上」に加え、「慢性疾患1つ+要介護被保険者等」も新たに対象に追加されます。第2のポイントは、認知症地域包括診療加算・料の地域包括診療加算・料への統合です。患者類型に応じた2段階の点数(「認知症を有する患者等」と「その他の慢性疾患等を有する患者」)に再編されます。第3のポイントは、連携薬局の24時間対応要件の緩和です。院内で解熱鎮痛剤等の緊急処方が可能な体制があれば、連携薬局の24時間対応体制は不要となります。第4のポイントは、認知症患者の診断後支援に係る案内の明記です。地域包括支援センター等と連携した支援取組の案内が「望ましい」要件として位置づけられます。第5のポイントは、薬剤適正使用連携加算の対象拡大です。従来の入院・入所患者に加え、外来で他院に通院している患者も対象に追加されます。第6のポイントは、外来データ提出加算(10点)の新設と、医療資源の少ない地域における医師配置要件の緩和(常勤換算2名以上→1.4人以上)です。▼ ポイント: 対象患者の拡大により、高血圧症のみを有する要介護認定患者でも算定可能になります。算定対象の患者数が増える医療機関も多いと見込まれます。📖 詳細記事はこちら:【令和8年度改定】地域包括診療加算等の6つの見直しポイント|対象患者拡大と認知症加算統合を解説⑤ 時間外対応体制加算の充実|名称変更と点数引き上げ時間外対応加算では、診療所における休日・夜間等の対応体制の整備を推進する観点から、名称変更と全区分での点数引き上げが行われます。名称は「時間外対応加算」から「時間外対応体制加算」に変更されます。この変更は加算1~4の全区分に適用され、対応できる体制の整備そのものを評価する趣旨が明確化されます。点数は加算1~4の全区分で引き上げられます。加算1は5点から7点(+2点)、加算2は4点から5点(+1点)、加算3は3点から4点(+1点)、加算4は1点から2点(+1点)に、それぞれ増点されます。最も手厚い体制を評価する加算1の引き上げ幅が最大となっています。算定要件は従来と基本的に同じ構造で、診療所における再診時に届出区分に応じた点数を加算する仕組みです。この見直しにより、休日・夜間に病院を受診する軽症患者の減少と、病院勤務医の負担軽減につながることが期待されます。▼ ポイント: 届出を行っている診療所は、名称変更に伴う院内掲示や患者向け案内の更新を確認しておくとよいでしょう。📖 詳細記事はこちら:【令和8年度改定】時間外対応体制加算とは?名称変更と点数引き上げの全容を解説まとめ|5項目に共通する「体制整備」と「対象適正化」の方向性令和8年度改定のかかりつけ医機能評価(Ⅱ-3)は、5項目の見直しを通じて2つの方向性を打ち出しています。1つ目の方向性は「体制整備の強化」です。機能強化加算へのBCP策定要件追加、地域包括診療加算等への外来データ提出加算新設、時間外対応体制加算の点数引き上げが、この方向性を象徴しています。2つ目の方向性は「対象患者・疾患の適正化」です。機能強化加算からの期限付き指定診療所の除外、特定疾患療養管理料におけるNSAIDs除外条件の新設、地域包括診療加算等の対象患者拡大が、この方向性に沿った見直しです。各医療機関では、自院の届出状況と算定対象患者を改定内容と照らし合わせ、施行日に向けた対応を早めに進めることをお勧めします。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】かかりつけ薬剤師の評価体系を抜本見直し|指導料廃止・新加算創設・施設基準再編
かかりつけ薬剤師制度は、特定の薬剤師が患者の服薬管理を一元的・継続的に担う仕組みである。この制度は、業務ノルマ化の指摘や本来の趣旨(患者によるかかりつけ薬剤師の選択)の浸透不足という課題を抱えてきた。本稿では、令和8年度診療報酬改定で行われるかかりつけ薬剤師の評価体系の抜本的見直しを解説する。今回の改定では、かかりつけ薬剤師の評価体系を3つの観点から組み替える。第1に、かかりつけ薬剤師指導料(76点)及びかかりつけ薬剤師包括管理料(291点)を廃止する。第2に、服薬管理指導料の中にかかりつけ薬剤師区分を新設し、継続的フォローと患家訪問に対する2つの加算を創設する。第3に、かかりつけ薬剤師の施設基準について、薬剤師個人の要件を緩和する一方、薬局全体としての安定性を担保する要件を新設する。1. かかりつけ薬剤師指導料及び包括管理料の廃止令和8年度改定では、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の2つの点数を廃止する。両点数は、特定の保険薬剤師が継続的・一元的に患者の服薬管理を行った場合の評価として設けられてきた。今回の廃止により、かかりつけ薬剤師の評価は服薬管理指導料の体系に一本化される。かかりつけ薬剤師指導料は、現行で76点を算定する評価である。この点数は、患者またはその家族の同意を得て、特定の保険薬剤師(かかりつけ薬剤師)が必要な指導等を行った場合に、処方箋受付1回につき算定する仕組みであった。かかりつけ薬剤師包括管理料は、現行で291点を算定する評価である。この点数は、地域包括診療加算等を算定する保険医療機関と連携した、包括的な薬学管理に対する評価として設定されていた。なお、現行で認められている服薬管理指導料の特例(やむを得ない事情により他の保険薬剤師が連携対応した場合の59点算定)も、今回の改定で削除される。2. 服薬管理指導料への統合と新加算の創設廃止される指導料の機能は、服薬管理指導料の中に統合される。具体的には、服薬管理指導料の各区分にかかりつけ薬剤師区分(イ)を新設し、加えてかかりつけ薬剤師による継続的フォローと患家訪問に対する2つの加算を創設する。これにより、かかりつけ薬剤師の業務実態に即した評価が可能となる。服薬管理指導料は、改定後にかかりつけ薬剤師か否かで区分される。再来患者(原則3月以内に再度処方箋を持参した患者)に対する区分1では、かかりつけ薬剤師が行った場合(イ)が45点、それ以外(ロ)も45点となる。新規患者等に対する区分2では、かかりつけ薬剤師が行った場合(イ)が59点、それ以外(ロ)も59点となる。点数自体は同額だが、かかりつけ薬剤師区分(イ)での算定は、後述する2つの加算を算定する前提となる。かかりつけ薬剤師フォローアップ加算は、3月に1回50点を加算する新設項目である。この加算は、服薬管理指導料1のイまたは2のイ(かかりつけ薬剤師が行った場合)を算定している患者のうち、外来服薬支援料1、服用薬剤調整支援料1・2、調剤管理料の調剤時残薬調整加算または薬学的有害事象等防止加算を算定した患者が対象となる。算定要件は、前回の調剤後から再度処方箋を持参するまでの間に、かかりつけ薬剤師が電話等で服薬状況や残薬状況を継続的に確認し、必要な指導を実施することである。なお、調剤後薬剤管理指導料や在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費のハ等を算定する患者は、本加算の対象外となる。かかりつけ薬剤師訪問加算は、6月に1回230点を加算する新設項目である。この加算の対象も、服薬管理指導料1のイまたは2のイを算定している患者に限られる。算定要件は、患者またはその家族の求めに応じて、かかりつけ薬剤師が患家を訪問し、残薬の整理や服用薬の管理方法の指導等を行い、その結果を保険医療機関に情報提供することである。なお、外来服薬支援料1や施設連携加算、在宅患者訪問薬剤管理指導料、服薬情報等提供料、居宅療養管理指導費のハ等を算定する患者は、本加算の対象外となる。3. 施設基準の見直しかかりつけ薬剤師に係る施設基準は、薬剤師個人の要件と薬局全体の要件に再構成される。具体的には、薬剤師個人の勤務時間及び在籍期間の要件を緩和する一方で、薬局としての勤務継続性を担保する要件を新たに設ける。この再構成により、短時間勤務や育児・介護休業との両立を図る薬剤師もかかりつけ業務に参画しやすくする狙いがある。薬剤師個人の勤務時間要件は、週32時間以上から週31時間以上に緩和される。育児・介護休業法による所定労働時間短縮の場合は、週24時間以上かつ週4日以上の勤務で要件を満たす取り扱いが継続される。薬剤師個人の在籍期間要件は、1年以上から6か月以上に短縮される。加えて、産前産後休業・育児休業・介護休業からの復職者については、休業前の在籍期間を合算できる規定が新設される。薬局全体の要件は、今回新設される。具体的には、薬局の常勤保険薬剤師の平均在籍期間が1年以上であること、または薬局の管理薬剤師が継続して3年以上在籍していることのいずれかを満たす必要がある。患者との会話が他者に聞こえないパーテーション等による独立カウンターの設置(プライバシー配慮)も、引き続き求められる。保険薬剤師として3年以上の保険薬局勤務経験、研修認定制度による研修認定の取得、医療に係る地域活動の取組への参画といった要件は、現行から維持される。まとめ令和8年度改定では、かかりつけ薬剤師の評価体系を本来の趣旨に立ち返る形で再構築する。再構築の柱は、指導料・包括管理料の廃止、服薬管理指導料への統合と新加算の創設、施設基準の個人要件緩和と薬局要件新設の3つである。保険薬局においては、新しい点数体系への算定準備とともに、薬局全体の在籍要件を見据えた人員体制の見直しが急務となる。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】歯周病SPTとP重防が統合|新設「歯周病継続支援治療」の全要点
歯周病は成人の約半数が罹患し、糖尿病をはじめとする全身疾患との関連も明らかになっている国民的な疾患です。これまで継続管理の評価は「歯周病安定期治療(SPT)」と「歯周病重症化予防治療(P重防)」の2系統で運用されてきましたが、両者は対象とする歯周組織の状態こそ異なるものの、提供される治療内容が類似しているという課題がありました。本メルマガでは、令和8年度診療報酬改定で実施される歯周病継続管理の評価体系の抜本的な見直しについて、歯科診療所が押さえるべき変更点を体系的に解説します。令和8年度改定の見直しは、大きく2つの柱で構成されます。第1の柱は、SPTとP重防を「歯周病継続支援治療」へ整理・統合し、点数体系をシンプルに再編することです。第2の柱は、糖尿病患者に対する医科歯科連携を強化するため、従来の「歯周病ハイリスク患者加算」を「重症化予防連携強化加算」へと名称変更し、主治医への情報提供を要件として追加することです。これらの見直しによって、ライフコースを通じた継続的・効果的な歯周病治療と、医科との情報連携が同時に推進されることになります。SPTとP重防を統合した「歯周病継続支援治療」の創設令和8年度改定では、これまでのSPTとP重防が「歯周病継続支援治療」という新たな名称のもとに整理・統合されます。両治療は対象患者の歯周組織の状態に違いがあったものの、プラークコントロール、スケーリング、SRP、咬合調整、機械的歯面清掃といった治療内容が共通していました。算定回数も年々増加し、令和6年の月次審査データでは両治療を合わせて月あたり300万回を超える規模に達するなか、評価体系のシンプル化が長年の論点となっていたのです。新設される歯周病継続支援治療は、歯数に応じた3段階の点数構造を維持しつつ、点数水準を再設定します。具体的には、1歯以上10歯未満が170点、10歯以上20歯未満が200点、20歯以上が350点となります。算定対象は「一連の歯周病治療終了後、継続支援が必要な患者」に拡張され、SPTとP重防それぞれで設定されていた歯周組織の状態に応じた区分は撤廃されます。算定頻度の基本ルールは3月に1回(前回実施月の翌月初日から2月経過後)が維持されます。ただし、口腔管理体制強化加算の届出を行っている診療所では月1回の算定が可能となり、歯周外科手術後など治療間隔の短縮が必要な場合の取り扱いも従前どおり継続されます。これにより、患者の状態に応じた柔軟な継続管理が引き続き実施できる仕組みとなっています。ハイリスク患者加算から「重症化予防連携強化加算」への再編歯周病ハイリスク患者加算は、令和8年度改定で「重症化予防連携強化加算」へ名称が変更され、要件と点数が大きく見直されます。従来の加算は、主治医からの文書をもって歯周病が重症化するおそれのある患者にSPTを実施した場合の評価でしたが、その後に医科医療機関へ歯科治療や口腔内状況をフィードバックする要件は設定されていませんでした。実態調査でも、糖尿病患者に関する医科からの情報提供依頼は約9%にとどまっており、連携の不足が指摘されていたのです。新たな重症化予防連携強化加算は、80点から100点へと評価が引き上げられるとともに、医科医療機関への診療情報提供が新たな要件として追加されます。具体的には、歯科診療のみを行う保険医療機関を除く他の保険医療機関からの情報に基づき歯周病継続支援治療を実施し、かつ、診療情報を当該医療機関に提供した場合に算定できる仕組みです。算定には医科側からの情報提供が前提となるため、医科起点で受け取った情報に対して歯科から治療結果や口腔内状況をフィードバックする、双方向の連携プロセスが要件化されます。エビデンスの蓄積も、この見直しを後押ししています。糖尿病患者に対する非外科的歯周治療の介入は、HbA1c値の有意な改善(平均0.30%減少)をもたらすことがメタアナリシスで確認されており、歯周治療が血糖コントロールに資する全身管理の一環として位置づけられているためです。重症化予防連携強化加算は、こうしたエビデンスを診療現場での連携実装へとつなげる仕組みといえます。口腔管理体制強化加算と外科移行時の取り扱い口腔管理体制強化加算120点は、令和8年度改定後も引き続き算定可能です。小児口腔機能管理料注3に規定する施設基準に適合するものとして地方厚生局長等に届け出た診療所が、歯周病継続支援治療を開始した場合に所定点数へ加算する仕組みは維持されます。かかりつけ歯科医機能の中核をなす評価として、継続管理の質を担保する役割を担い続けることになります。歯周外科手術へ移行した場合の取り扱いも、現行ルールが踏襲されます。歯周病継続支援治療の開始後に病状の変化により歯周外科手術を実施した場合は、歯周精密検査によって再び病状が安定し継続的な治療が必要と判断されるまでの間、歯周病継続支援治療は算定できません。また、歯周病継続支援治療を開始した日以降に歯周外科手術を実施した場合は、所定点数の100分の50で算定するルールも継続されます。これらの取り扱いにより、急性憎悪期の外科介入と安定期の継続管理が明確に切り分けられた評価体系となっています。なお、現行の「歯周病重症化予防治療」は削除され、SPTとP重防の併算定不可規定(現行注7)も整理されます。これに伴い、令和8年度改定以降は歯周病の継続管理に係る包括評価は「歯周病継続支援治療」に一本化されることになります。まとめ令和8年度改定における歯周病継続管理の見直しは、評価体系のシンプル化と医科歯科連携の実質化という2つの柱で構成されます。SPTとP重防は「歯周病継続支援治療」へ整理・統合され、歯数に応じた3段階の点数構造のもとで継続管理が一本化されます。歯周病ハイリスク患者加算は「重症化予防連携強化加算」へと再編され、主治医への診療情報提供が新たな要件として追加されることで、糖尿病をはじめとする全身疾患を有する患者への医科歯科連携が推進されます。歯科診療所においては、新たな算定要件を踏まえた診療体制の整備と、医科医療機関との連携プロトコルの再構築が求められます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】歯科疾患管理料・口腔機能管理料の3つの変更点を解説
令和8年度診療報酬改定では、かかりつけ歯科医による口腔機能管理を推進するため、歯科疾患管理料、小児口腔機能管理料、口腔機能管理料の3つの管理料が見直されます。今回の見直しは、口腔機能発達不全症や口腔機能低下症と診断されているにもかかわらず、算定要件を満たさないために適切な管理を受けられない患者が多数存在するという課題に対応するものです。この記事では、個別改定項目「Ⅱ-3 かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価」⑥に基づき、3つの管理料の変更内容を解説します。今回の改定のポイントは3つあります。第1に、歯科疾患管理料は初診月の減額規定が廃止され、90点に一本化されます。第2に、小児口腔機能管理料は2区分(90点・50点)に細分化され、評価項目2項目該当の患者にも対象が拡大されます。第3に、口腔機能管理料も同様に2区分(90点・50点)に細分化され、検査実施の有無で区分が分かれます。歯科疾患管理料:初診月の減額廃止と90点への一本化歯科疾患管理料は、初診月の80/100減額規定が廃止され、初診月・再診月を問わず一律90点に変更されます。現行の歯科疾患管理料は100点ですが、初診月に算定する場合は所定点数の80/100(80点)に減額されます。この初診月減額の仕組みは令和2年度改定で導入されたものです。一方、在宅患者を対象とする歯科疾患在宅療養管理料には、このような受診月による評価の差がありません。今回の改定では、この初診月減額規定が廃止されます。改定後の歯科疾患管理料は90点となり、初診月であっても再診月であっても同じ点数で算定できるようになります。点数の増減を整理すると、現行では初診月80点・再診月100点であったため、改定後の一律90点に対して初診月は10点の増加、再診月は10点の減少となります。小児口腔機能管理料:2区分化と対象患者の拡大小児口腔機能管理料は、現行の1区分(60点)から2区分(管理料1:90点、管理料2:50点)に細分化され、対象患者の範囲が拡大されます。現行の小児口腔機能管理料は、「口腔機能の発達不全を有する18歳未満の児童」が対象であり、60点で算定されています。しかし、口腔機能発達不全症と診断されているにもかかわらず、算定要件を満たさないために管理料を算定できない患者が多数存在しています。NDBデータによれば、令和5年5月時点で口腔機能発達不全症の病名で歯科疾患管理料のみを算定している件数は約13万件にのぼる一方、小児口腔機能管理料の算定件数は約7,000件にとどまっています。改定後は、この課題に対応するため、対象患者の表現が「口腔機能発達不全症の18歳未満の患者」に改められるとともに、評価項目の該当数に応じて2区分に分かれます。小児口腔機能管理料1(90点)は、口腔機能の評価項目において3項目以上に該当する者が対象です。小児口腔機能管理料2(50点)は、評価項目において2項目に該当する者が対象です。この2区分化により、従来は管理料を算定できなかった2項目該当の患者にも、口腔機能に特化した管理が提供できるようになります。情報通信機器を用いた場合の点数も見直されます。オンライン診療の点数は、管理料1が78点、管理料2が44点にそれぞれ設定されます。口腔機能管理料:検査実施に基づく2区分化口腔機能管理料も、小児口腔機能管理料と同様に、現行の1区分(60点)から2区分(管理料1:90点、管理料2:50点)に細分化されます。現行の口腔機能管理料は、「口腔機能の低下を来しているもの」に対して一律60点で算定されています。しかし、口腔機能低下症と診断されていても管理料を算定できていない患者が存在しており、令和5年5月時点で口腔機能低下症の病名で歯科疾患管理料のみを算定している件数は約7.7万件に対し、口腔機能管理料の算定件数は約7,400件にとどまっています。改定後は、対象患者の表現が「口腔機能低下症の患者」に改められ、病名に基づく管理がより明確になります。改定後の区分は、検査の実施状況によって分かれます。口腔機能管理料1(90点)は、口腔細菌定量検査(2に限る)、咀嚼能力検査(1に限る)、咬合圧検査(1に限る)、口腔粘膜湿潤度検査、舌圧検査のいずれかを実施した口腔機能低下症の患者が対象です。口腔機能管理料2(50点)は、口腔機能管理料1の対象患者を除く口腔機能低下症の患者が対象です。この区分により、検査に基づく質の高い管理にはより高い評価がなされる一方、検査未実施の患者にも管理料が算定できるよう対象が広がります。情報通信機器を用いた場合の点数は、管理料1が78点、管理料2が44点です。この点数設定は、小児口腔機能管理料と同一の構造となっています。まとめ令和8年度改定では、歯科疾患管理料、小児口腔機能管理料、口腔機能管理料の3つの管理料が見直されます。歯科疾患管理料は初診月の減額規定が廃止され、90点に一本化されます。小児口腔機能管理料と口腔機能管理料は、いずれも管理料1(90点)と管理料2(50点)の2区分に細分化され、対象患者が拡大されます。これらの見直しにより、口腔機能発達不全症や口腔機能低下症の患者がより幅広く口腔機能管理を受けられる体制が整備されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】時間外対応体制加算とは?名称変更と点数引き上げの全容を解説
令和8年度診療報酬改定では、かかりつけ医機能の評価の一環として、診療所における休日・夜間等の対応体制に関する加算が見直されます。この見直しは、「Ⅱ-3 かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価」の項目に位置づけられています。今回の改定では、主に3つの変更が行われます。第一に、名称が「時間外対応加算」から「時間外対応体制加算」に変更されます。第二に、加算1~4の全区分で点数が引き上げられます。第三に、これらの変更により、診療所が休日・夜間の対応体制を整備する取組がさらに推進されることが期待されています。改定の背景:なぜ時間外対応体制加算が充実されるのか今回の見直しの背景には、休日・夜間における軽症患者の病院受診と、それに伴う病院勤務医の負担という2つの課題があります。時間外対応加算は、平成24年度改定で新設された加算です。この加算は、地域の身近な診療所が患者からの休日・夜間等の問い合わせや受診に対応する体制を評価するものです。診療所が時間外対応を行うことで、休日・夜間に病院を受診する軽症患者が減少し、病院勤務医の負担軽減につながることを目的としています。こうした目的をさらに推進するために、令和8年度改定では評価の引き上げが行われます。名称に「体制」の文字が加わったことで、対応できる体制の整備そのものを評価する趣旨がより明確になったと考えられます。改定の具体的な内容:名称変更と4区分すべてで点数引き上げ改定の具体的な内容は、名称の変更と点数の引き上げの2点です。名称は「時間外対応加算」から「時間外対応体制加算」に変更されます。この変更は加算1~4の全区分に適用されます。点数は全区分で引き上げられます。加算1は5点から7点(+2点)に、加算2は4点から5点(+1点)に、加算3は3点から4点(+1点)に、加算4は1点から2点(+1点)に、それぞれ増点されます。最も引き上げ幅が大きいのは加算1であり、従来の5点から7点へと2点の増加となります。算定要件の確認:対象は診療所の再診時算定要件は、従来の時間外対応加算と基本的に同じ構造です。この加算の対象医療機関は、診療所に限定されています。厚生労働大臣が定める施設基準に適合し、地方厚生局長等に届け出た診療所が対象となります。算定のタイミングは、再診を行った場合です。届出区分に応じた点数を所定点数に加算します。したがって、初診時には算定できません。新旧点数の比較:全区分で1~2点の増点改定前後の点数を以下に整理します。| 区分 | 改定前(現行) | 改定後(新) | 増減 ||:---|:---|:---|:---|| 加算1 | 5点 | 7点 | +2点 || 加算2 | 4点 | 5点 | +1点 || 加算3 | 3点 | 4点 | +1点 || 加算4 | 1点 | 2点 | +1点 |加算1の引き上げ幅は2点と最大です。この加算1は最も手厚い体制を整備している場合に算定される区分であり、体制整備への取組をより強く評価する意図がうかがえます。加算4は1点から2点へと倍増しており、比率でみると最も大きな引き上げとなっています。かかりつけ医機能における時間外対応の位置づけ時間外対応体制加算は、かかりつけ医機能の評価体系のなかで「体制整備に対する評価」に位置づけられます。医療法に基づくかかりつけ医機能報告では、「通常の診療時間外の診療」が2号機能のひとつとして定められています。この機能に対応する診療報酬上の評価が、時間外対応体制加算です。同加算のほか、地域包括診療料・加算や小児かかりつけ診療料においても、時間外対応に関する要件が設けられています。令和5年時点の届出医療機関数をみると、加算1を届け出ている診療所は11,354か所、加算2は15,943か所、加算3は364か所です。加算2の届出が最も多く、多くの診療所がこの区分の体制を整備していることがわかります。まとめ令和8年度診療報酬改定では、時間外対応加算の名称が「時間外対応体制加算」に変更され、加算1~4の全区分で点数が引き上げられます。この見直しにより、診療所における休日・夜間の対応体制の整備がさらに推進され、軽症患者の病院受診の減少と病院勤務医の負担軽減につながることが期待されます。届出を行っている診療所は、名称変更に伴う対応の確認をしておくとよいでしょう。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】地域包括診療加算等の6つの見直しポイント|対象患者拡大と認知症加算統合を解説
令和8年度診療報酬改定では、地域包括診療加算・地域包括診療料について大幅な見直しが行われます。今回の改定は、対象疾患を有する要介護高齢者等への継続的かつ全人的な医療の推進と、適切な服薬管理の実施を推進する観点から実施されるものです。この記事では、個別改定項目「Ⅱ-3 かかりつけ医機能、かかりつけ歯科医機能、かかりつけ薬剤師機能の評価 ④地域包括診療加算等の見直し」について、実務に直結する改定内容を解説します。今回の見直しは、大きく6つのポイントに整理できます。第1に、対象患者が「6疾病のうち2つ以上」から「慢性疾患1つ+要介護」にも拡大されます。第2に、認知症地域包括診療加算・料が地域包括診療加算・料に統合されます。第3に、連携薬局の24時間対応要件が一定条件のもとで緩和されます。第4に、認知症患者の診断後支援に係る取組の案内が望ましい旨、明記されます。第5に、薬剤適正使用連携加算の対象が外来通院患者にも拡大されます。第6に、外来データ提出加算(10点)が新設されるとともに、医療資源の少ない地域における医師配置要件が緩和されます。1. 対象患者の拡大――慢性疾患1つ+要介護でも算定可能に地域包括診療加算等の対象患者が拡大され、従来の「6疾病のうち2つ以上」に加え、新たな患者類型が追加されます。従来、地域包括診療加算等の対象患者は、脂質異常症・高血圧症・糖尿病・慢性心不全・慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていないものに限る)・認知症の6疾病のうち、2つ以上(疑いを除く)を有する患者に限られていました。今回の改定では、この要件に加えて、脂質異常症・高血圧症・糖尿病・慢性心不全・慢性腎臓病のいずれか1つの疾患を有し、かつ、介護給付または予防給付を受けている要介護被保険者等である患者も、新たに対象となります。この拡大により、たとえば高血圧症のみを有する要介護認定患者であっても、地域包括診療加算等を算定できるようになります。慢性疾患を抱える要介護高齢者に対して、かかりつけ医による継続的かつ全人的な医療提供を促進する狙いがあります。なお、対象患者の拡大に伴い、算定要件上の記載も整理されています。改定後の算定要件では、「認知症を有する患者等」と「その他の慢性疾患等を有する患者」の2類型に分けて規定されます。「認知症を有する患者等」とは、以下の3要件をすべて満たす患者です。第1に、認知症を有するか、または要介護被保険者等であること。第2に、認知症以外の1以上の疾病(疑いを除く)を有すること。第3に、同月に1処方につき5種類を超える内服薬の投薬、および1処方につき抗うつ薬・抗精神病薬・抗不安薬・睡眠薬を合わせて3種類を超える投薬のいずれも受けていないこと。つまり、認知症のみで他に疾病がない患者や、多剤投薬に該当する患者は対象外となります。「その他の慢性疾患等を有する患者」とは、6疾病のうち2つ以上(疑いを除く)を有する患者、または脂質異常症・高血圧症・糖尿病・慢性心不全・慢性腎臓病のいずれかを有し、かつ要介護被保険者等である患者です。2. 認知症地域包括診療加算・料の統合と点数体系の再編認知症地域包括診療加算および認知症地域包括診療料が廃止され、地域包括診療加算および地域包括診療料に統合されます。従来、認知症患者に対しては、地域包括診療加算等とは別に「認知症地域包括診療加算」(加算1:38点、加算2:31点)および「認知症地域包括診療料」(料1:1,681点、料2:1,613点)が設けられていました。今回の改定では、簡素化の観点から、これらを地域包括診療加算・料に統合した評価体系に見直されます。統合後の地域包括診療加算は、患者の類型に応じた2段階の点数が設定されます。具体的には、地域包括診療加算1では「認知症を有する患者等」が38点、「その他の慢性疾患等を有する患者」が28点となります。地域包括診療加算2では「認知症を有する患者等」が31点、「その他の慢性疾患等を有する患者」が21点となります。地域包括診療料についても同様の構成です。地域包括診療料1では「認知症を有する患者等」が1,682点、「その他の慢性疾患等を有する患者」が1,661点です。地域包括診療料2では「認知症を有する患者等」が1,614点、「その他の慢性疾患等を有する患者」が1,601点です。この統合により、届出の簡素化が図られるとともに、認知症患者に対する手厚い評価は引き続き維持されます。なお、従来の認知症地域包括診療加算における多剤投薬の制限(1処方5種類超の内服薬や、向精神薬3種類超の投薬を受けていないこと)は、「認知症を有する患者等」の要件として引き継がれます。3. 連携薬局の24時間対応要件の緩和連携薬局の24時間対応要件について、一定の条件を満たす場合に緩和されます。従来、地域包括診療加算等を算定する診療所が院外処方を行う場合、連携薬局は24時間対応できる体制を整えていることが必須でした。今回の改定では、当該保険医療機関において緊急時に処方が必要となる解熱鎮痛剤等の薬剤について、院内処方が可能な体制が整備されている場合に限り、連携薬局が24時間対応の体制を整備していなくてもよいものとされます。この緩和は、地域包括診療料を算定する病院における院外処方の場合も同様です。病院では「24時間開局している薬局」との連携が求められていましたが、院内で解熱鎮痛剤等の緊急処方が可能な体制があれば、この要件が免除されます。連携薬局の24時間対応要件は、地域包括診療加算等の届出における実務上のハードルのひとつでした。今回の緩和により、院内処方体制を持つ医療機関にとっては、届出のしやすさが向上すると考えられます。4. 認知症患者の診断後支援に係る案内の明記地域包括診療加算等において、担当医が認知症患者の診断後支援に係る取組について案内を行うことが望ましい旨が明記されます。具体的には、診療を担当する医師が、地域包括支援センター・認知症地域支援推進員・若年性認知症支援コーディネーターと連携し、ピアサポート活動・本人ミーティング・一体的支援事業等の認知症患者の診断後支援に係る取組について、必要に応じて患者またはその家族に案内を行うことが望ましいとされます。この規定は「望ましい」という努力義務的な位置づけですが、かかりつけ医が認知症患者の地域生活を支える役割をより明確にする趣旨があります。今後の改定で要件化される可能性もあるため、早めの対応が望まれます。5. 薬剤適正使用連携加算の対象拡大薬剤適正使用連携加算の対象が、入院・入所患者に加えて、外来で他院に通院している患者にも拡大されます。従来の薬剤適正使用連携加算(30点)は、地域包括診療加算等を算定する患者が他の医療機関に入院または介護老人保健施設に入所した際、処方内容等の情報提供を行い、退院・退所後に薬剤の種類数が減少した場合に限って算定できました。今回の改定では、他の保険医療機関の外来において継続的に診療を受けている患者についても対象に追加されます。外来患者が対象となる場合の算定要件は以下のとおりです。患者の同意を得て他の医療機関に処方内容・薬歴等を情報提供し、当該情報提供から3月以内に他の医療機関から処方内容の情報提供を受け、内服薬の種類数が減少していることが確認できれば、3月に1回算定できます。薬剤適正使用連携加算は平成30年度に新設されましたが、これまでの算定実績は極めて少ない状況でした。今回の対象拡大は、外来通院中の患者に対するポリファーマシー対策を促進する意図があります。なお、入院・入所患者に対する算定頻度も「退院日または退所日の属する月から起算して2月目までに1回」から「3月に1回」に変更されています。6. 外来データ提出加算の新設と医療資源少ない地域の要件緩和地域包括診療加算・料について、外来データ提出加算(10点)が新設されるとともに、医療資源の少ない地域における医師配置要件が緩和されます。外来データ提出加算は、保険医療機関が診療報酬の請求状況および診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合に、月1回10点を算定できるものです。施設基準として、外来患者に係る診療内容に関するデータを継続的かつ適切に提出するために必要な体制が整備されていることが求められます。この加算は、エビデンスに基づくかかりつけ医機能の評価を設計するうえでの基盤整備を目的としています。医療資源の少ない地域における要件緩和については、医師配置に関する基準が見直されます。従来、地域包括診療加算1の施設基準において、「常勤換算2名以上の医師配置」が求められていましたが、「基本診療料の施設基準等」別表第六の二に掲げる地域(医療資源の少ない地域)に所在する診療所については、この基準が「常勤換算1.4人以上」に引き下げられます。この緩和は地域包括診療料についても同様です。まとめ令和8年度改定における地域包括診療加算等の見直しは、対象患者の拡大、認知症加算の統合、連携薬局要件の緩和、認知症診断後支援の明記、薬剤適正使用連携加算の拡大、外来データ提出加算の新設と医師配置要件の緩和の6点に整理されます。特に実務上のインパクトが大きいのは、対象患者の拡大と認知症加算の統合です。慢性疾患1つ+要介護で算定可能になることで、算定対象の患者数が増える医療機関も多いと見込まれます。認知症加算の統合による届出の簡素化も、事務負担の軽減につながります。連携薬局の24時間対応要件の緩和や、医療資源の少ない地域における医師配置要件の緩和は、地域包括診療加算等の届出を新たに検討する医療機関にとっての追い風となるでしょう。届出状況や算定要件の確認を行い、改定への対応を早めに進めることをお勧めします。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
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