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2025-12-05 04:13

【中医協報告】令和7年度消費税補てん状況|診療所・歯科で補てん不足が継続

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令和7年11月28日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第631回)において、「医療機関等における消費税負担に関する分科会」から消費税補てん状況の報告がありました。この報告は、令和8年度診療報酬改定に向けた重要な基礎資料となります。本記事では、報告内容のポイントを医療機関種別ごとに解説します。

今回の調査結果では、病院全体の補てん率が104.9%と100%を超過した一方、一般診療所は93.5%、歯科診療所は90.1%と補てん不足が継続しています。開設者別でみると、一般診療所の医療法人・その他が87.4%と最も低い補てん率となっています。物価上昇による課税経費の増加が医療機関経営に影響を与えていることが明らかになりました。

補てん状況把握の目的と方法

今回の調査は、令和元年10月に実施された消費税率10%引き上げに伴う診療報酬による補てん(5%→10%部分)の状況を把握するために実施されました。調査の目的は、消費税負担と診療報酬による補てんのバランスを確認し、令和8年度改定における対応を検討することです。

調査対象は、第25回医療経済実態調査に回答した医療機関等です。収入面では、NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)から抽出した消費税上乗せ項目の算定回数に上乗せ点数を乗じて算出しています。支出面では、医療経済実態調査の課税経費データを使用しています。

補てん率の算出方法は、収入のうち診療報酬本体へ上乗せされた消費税分(A)を、支出のうち課税経費の消費税相当額(B)で除した値(A/B)です。補てん率が100%を超えていれば補てん過剰、100%未満であれば補てん不足となります。

医療機関種別ごとの補てん状況

令和6年度の全体結果をみると、医科全体の補てん率は101.5%でした。この数値は医療機関種別によって大きく異なります。

病院全体の補てん率は104.9%であり、消費税負担を上回る補てんがなされています。病院種別では、精神科病院が109.7%と最も高く、一般病院が105.5%、特定機能病院が101.2%と続きます。一方、こども病院は90.3%と100%を大きく下回っており、病院種別中で最も補てん不足の状態にあります。

一般診療所の補てん率は93.5%であり、前年度の96.8%から低下しました。開設者別にみると、個人開設は115.9%と補てん過剰ですが、医療法人・その他は87.4%と大幅な補てん不足となっています。この87.4%という数値は、今回調査した全区分の中で最も低い補てん率です。

歯科診療所の補てん率は90.1%で、医療機関種別全体でみると最も低い水準です。前年度の96.6%から大きく低下しており、物価上昇の影響を強く受けていることがうかがえます。開設者別では、個人が93.6%、医療法人・その他が85.3%となっています。

保険薬局の補てん率は103.7%であり、100%を超過しています。ただし、前年度の107.5%からは低下傾向にあります。

DPC病院と非DPC病院の違い

病院の補てん状況は、DPC対象病院か否かによっても異なります。

DPC病院(一般病院)の補てん率は99.2%であり、ほぼ100%に近い水準です。特定機能病院(DPC)は101.2%と若干の補てん過剰ですが、こども病院(DPC)は90.3%と補てん不足が顕著です。こども病院は高度な専門医療を提供するため、課税経費が高くなる傾向にあることが要因と考えられます。

非DPC病院では、一般病院が111.9%、精神科病院が109.7%と、いずれも補てん過剰の状態にあります。非DPC病院は規模が小さい傾向にあり、初・再診料や入院基本料の算定比率が高いことが、補てん過剰の要因となっています。

令和5年度と比較すると、DPC病院(一般病院)は100.3%から99.2%へ、こども病院は98.2%から90.3%へと、いずれも補てん率が低下しています。これは物価上昇により課税経費が増加したことを反映しています。

令和8年度改定に向けた論点

今回の報告では、令和8年度診療報酬改定に向けたいくつかの論点が示されています。

第一に、消費税率は令和元年10月以降変わっていない一方、診療報酬改定を重ねてきていることです。令和元年以降、令和2年度に+0.55%、令和4年度に+0.43%、令和6年度に+0.88%のプラス改定が行われており、消費税上乗せ項目の一部も改定されています。

第二に、物価上昇により課税経費が増加していることです。特に医療材料費、食材料費、光熱水費等の高騰が医療機関経営に大きな影響を与えています。補てん率の低下は、この物価上昇を反映したものと考えられます。

第三に、医療機関種別や開設者別によって補てん状況に大きな差があることです。一般診療所の医療法人・その他は87.4%、歯科診療所の医療法人・その他は85.3%、こども病院は90.3%と、補てん不足の医療機関への対応が課題となっています。

まとめ

令和7年度の消費税補てん状況把握結果は、病院全体では補てん過剰である一方、一般診療所・歯科診療所・こども病院では補てん不足が継続していることを示しました。特に法人開設の医療機関で補てん不足が顕著であり、一般診療所の医療法人・その他(87.4%)、歯科診療所の医療法人・その他(85.3%)は深刻な状況にあります。物価上昇により課税経費が増加する中、令和8年度診療報酬改定においては、補てん状況の医療機関種別間・開設者別のバラつきをどのように評価し対応するかが重要な論点となります。今後の中医協での議論の動向に注目が必要です。



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サマリー

中医協のレポートによれば、消費税補填率には大きな差があり、特に個人経営のクリニックは高い補填率を得ている一方で、法人経営のクリニックや子ども病院は厳しい状況にあります。このままでは、将来的に医療の質やサービスに大きな影響を与える恐れがあります。

補填率の不均衡
こんにちは。あの街を歩いていると、同じようなクリニックが並んでいるのに、なぜかあそこのクリニックはいつも安泰そうだ、とか。
ええ、ありますね。
あちらは経営が大変らしい、なんて話、聞いたりしませんか?
聞きますね。その謎を解く鍵が、実は最近、中央社会保険医療協議罪、いわゆる中医協が出した一つのレポートに隠されていました。
はい。
今日はですね、この資料を深掘りして、医療現場の裏側で何が起きているのか、一緒に見ていきたいと思います。
ええ、よろしくお願いします。このレポートの確信は、もう補填率っていう、この一つの数字に尽きるんですね。
補填率。
はい。
これは、医療機関が物とかサービスを買うときに支払った消費税が、国からの診療報酬でどれだけカバーされているかっていう。
ああ、なるほど。
その割合です。なので、100%を超えれば、実質プラス。
で、下回れば赤字っていう、そういうことですね。
そういうことです。
なるほど。で、その補填率を見てみると、まず驚くのが、病院全体では104.9%と黒字なんですよね。
ええ、プラスなんです。
なのに、僕たちが普段お世話になる町のクリニック、つまり一般診療所は93.5%。
はい。
歯医者さんに至っては90.1%。これ、ずっと赤字ってことですよね。
そういうことになります。しかも、ここからが本当に面白いところでして、その赤字のはずの一般診療所をさらに細かく見ていくと、個人経営のクリニックは、なんと115.9%なんです。
え、ちょっと待ってください。115.9%って。
ええ、大幅なプラスです。
これ、税金を補填してもらった上に、お釣りが来てるみたいな状態じゃないですか。
まさに。一方で、医療法人が経営するクリニックは87.4%。
うわ、低いですね。
これが、今回の調査対象の中で最低の数字なんです。
普通、法人の方がスケールメリットがあって有利な気がしますけど、これは一体どうしてなんですか?
まさにそこが、この問題の根深さを示しているんですね。
はあ。
理由はまあ複雑なんですが、一つには、高額な医療機器なんかを多く抱える法人の方が、消費税の負担構造的に不利になりやすいっていう側面があります。
なるほど。
そしてもう一つ、非常に厳しい状況なのが、子ども病院です。
子ども病院。
はい。補填率が90.3%と、病院の中では例外的に大きな赤字を抱えています。
医療の未来への影響
未来を担うはずの子ども病院がですか?
ええ。
専門的な機材とか薬も多いでしょうし、最近の物価高騰が追い打ちをかけているという感じでしょうか?
その通りです。
高熱費なんかも相当上がっていますからね。
ですよね。
医療材料費や高熱水費の高騰が、もともと体力のなかった医療機関を直撃しているという構図です。
なるほど。
じゃあ整理してみると、このレポートが暴いているのって、日本の医療制度における見えざる確差そのものなんですね?
そうですね。
同じクリニックでも、個人経営か法人経営かで天国と地獄だと、そして最も守られるべき子ども病院が苦しんでいるっていう、なんとも皮肉な構造が見えてきます。
ええ。ですからこのデータは、来年度の診療報酬、つまり医療サービスの肯定価格を決める上で、とてつもなく重要な意味を持つわけです。
ああ、来年の改定の。
はい。このばらつきをどう是正するのか。全体を一律に引き上げるだけでは、儲かっているところはさらに儲かって、苦しいところは救われないかもしれない。
確かに。
まさにここがこれから揉めるポイントになりそうですね。
今回の分析で、消費税という一つの切り口から、日本の医療現場が抱える、なんかこう複雑な格差構造が浮かび上がってきましたね。
ええ。
自分が行くクリニックが、実は見えないところで経営の綱渡りをしているかもしれないと。
はい。このレポートはあくまで数字の分析ですが、ここからあなたに考えてみてほしい問いが一つあります。
何でしょう。
それは身近なクリニックや専門病院が、経済的な理由でなくなったり、質を落とさざるを得なくなったりすることは、私たち自身が将来受ける医療に、一体どんな影響を及ぼす可能性があるのか、ということです。
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