病院事務長が実務と経営の視点で語る、医療制度の最新動向。急性期〜回復期で幅広い部門を統括してきた経験をもとに、最新の令和8年度診療報酬改定(算定要件・疑義解釈)や施設基準、医療DXの解説を音声で配信。経営層から現場の事務担当者まで、忙しい合間に「現場で使える知識」をアップデートできます。
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【令和8年度改定】特定集中治療室管理料が6区分→3区分へ|7つの変更点を解説
令和8年度診療報酬改定では、特定集中治療室管理料について大幅な見直しが行われます。この見直しは、特定集中治療室(ICU)を有する病院が担う医療機能の実績に応じた評価を行う観点から実施されるものです。現行の6区分体制では、広範囲熱傷の有無による区分分けが複雑な構造を生んでいました。今回の改定では、この構造を簡素化するとともに、病院の実績を反映した新たな要件が追加されます。今回の見直しは、大きく7つの項目で構成されています。第1に、救急搬送件数・全身麻酔手術件数の実績要件が新設されます。第2に、宿日直医師を含む治療室の範囲・施設基準が見直されます。第3に、広範囲熱傷の区分が統合され、6区分から3区分に簡素化されます。第4に、重症度、医療・看護必要度の評価項目が追加されます。第5に、SOFAスコアの患者割合要件が1割から2割に引き上げられます。第6に、特定機能病院でも重症患者対応体制強化加算が算定可能になります。第7に、遠隔集中治療の支援加算における地域要件が緩和されます。以下、それぞれの変更点を詳しく解説します。救急搬送件数・全身麻酔手術件数の実績要件の新設特定集中治療室管理料1の施設基準に、救急搬送件数および全身麻酔手術件数に関する実績要件が新たに追加されます。この要件は、ICUを有する病院が重症の救急搬送患者や全身麻酔手術後患者に密度の高い医学的管理を行うという本来の役割を反映したものです。具体的な要件は、以下のいずれかを満たすことです。1つ目は、救急搬送件数が年間1,000件以上であることです。2つ目は、全身麻酔による手術件数が年間1,000件以上であることです。3つ目は、小児関連の届出病床数が許可病床数の5割以上を占める病院であって、全身麻酔による手術件数が年間500件以上であることです。これらの件数要件には、地域への配慮もなされています。「基本診療料の施設基準等」別表に掲げる地域(医療資源の少ない地域)に所在する病院では、1つ目と2つ目の要件は年間800件以上に、3つ目の要件は年間400件以上に緩和されます。なお、この実績要件には経過措置が設けられています。令和8年3月31日時点で特定集中治療室管理料の届出を行っている治療室は、令和8年12月31日までの間、この要件を満たすものとみなされます。宿日直医師を含む治療室の範囲・施設基準の見直し医師配置に関する施設基準が見直されます。この見直しの背景には、令和6年度改定以降、宿日直医師を含む区分(旧管理料5・6)に届出を変更する医療機関が大幅に増加した実態があります。変更理由の約9割が「専任医師が宿日直勤務を行っており、交代勤務体制が組めないため」でした。改定後の管理料2では、宿日直を行う医師を含む専任の医師が、原則として治療室内(離れる場合は院内の速やかに診療を開始できる場所)に常時勤務していることが要件となります。現行の管理料3では「治療室内」への常時配置が厳格に求められていましたが、改定後の管理料2では「速やかに診療を開始できる場所」も含まれるため、医師の配置場所はやや緩和されています。一方、宿日直医師の参加を認めた点が、現行の管理料3との大きな違いです。また、管理料1では、専任の医師に関する規定が「当該治療室勤務の医師」から「当該治療室専任の医師」に変更されます。この変更により、管理料1の専任医師は宿日直を行わないことがより明確になります。改定後の管理料2の専任医師についても、治療室に勤務している時間帯は治療室以外での勤務を併せて行わないことが求められます。改定後の管理料3についても注意が必要です。改定後の管理料3は、管理料2の施設基準(医師配置を含む)を満たすことが要件とされています。現行の管理料5では「宿日直医師を含む専任の医師が常時、保険医療機関内に勤務」すれば足りましたが、改定後の管理料3では「原則として治療室内」への勤務が求められます。現行の管理料5から改定後の管理料3に移行する医療機関にとっては、医師の配置場所に関する要件が厳しくなる可能性があるため、早めの体制確認が重要です。6区分から3区分への簡素化と点数の変更現行の6区分から3区分への統合が行われます。この統合は、広範囲熱傷特定集中治療管理料の有無によって分かれていた区分を整理するものです。現行制度では、管理料1と管理料2(広範囲熱傷対応)、管理料3と管理料4(広範囲熱傷対応)、管理料5と管理料6(広範囲熱傷対応)の3ペア・6区分が存在していました。改定後は、広範囲熱傷の区分が独立した加算(広範囲熱傷管理加算:200点)として切り出され、管理料本体は3区分に整理されます。改定後の点数は以下のとおりです。管理料1は、7日以内が14,980点(現行14,406点)、8日以上が13,371点(現行12,828点)です。管理料2は、7日以内が10,390点、8日以上が8,773点です。管理料3は、7日以内が9,390点、8日以上が7,770点です。管理料1では、7日以内で574点、8日以上で543点の増点となります。広範囲熱傷管理加算は、広範囲熱傷特定集中治療管理が必要な患者に対し、入院日から起算して8日以降60日までの期間に限り、200点が所定点数に加算されます。この加算を算定するには、広範囲熱傷特定集中治療を行うにふさわしい治療室(1床当たり15平方メートル以上)と、広範囲熱傷特定集中治療を担当する常勤医師の配置が必要です。なお、管理料本体の算定上限日数にも変更があります。現行制度では、広範囲熱傷の区分(管理料2・4・6)に入室した患者であれば60日まで管理料を算定できました。改定後は、「広範囲熱傷管理加算を算定する患者に限り」60日まで算定可能とされています。広範囲熱傷管理加算の届出がない治療室では、広範囲熱傷患者であっても管理料の算定上限は原則14日となる点に注意が必要です。重症度、医療・看護必要度の評価項目の追加特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度に3つの項目が追加されます。この追加は、急性冠症候群の治療後や心停止蘇生後の患者に必要な処置を適切に評価する観点から行われるものです。追加される3項目は、「蘇生術の施行」「抗不整脈剤の使用」「一時的ペーシング」です。これらの項目は、ICUに入室する重症患者の状態をより正確に把握するために導入されます。特に、心停止蘇生後の患者や急性冠症候群の治療後の患者は、これらの処置を必要とする頻度が高いにもかかわらず、現行の評価項目では十分に反映されていませんでした。SOFAスコアの患者割合要件の引き上げ入室時のSOFAスコアが一定以上である患者割合の要件が、現行の1割以上から2割以上に引き上げられます。この引き上げは、ICUに入室する重症患者の臓器機能障害の程度に応じた適切な評価を行う観点から実施されるものです。SOFAスコア(Sequential Organ Failure Assessment)は、ICU患者の臓器機能障害の重症度を評価する指標です。令和6年度改定時の施設基準では、管理料1・2で入室日のSOFAスコア5以上の患者が1割以上、管理料3・4でSOFAスコア3以上の患者が1割以上であることが要件とされていました。今回の改定では、この患者割合が2割以上に引き上げられます。なお、SOFAスコアの閾値(5以上・3以上)が改定後も同一かどうかは、今後公表される告示・通知で確認する必要があります。この引き上げにより、ICUが真に重症な患者を受け入れる体制を整えているかがより厳格に問われることになります。この要件にも経過措置が設けられています。令和8年3月31日時点で特定集中治療室管理料の届出を行っている治療室は、令和8年12月31日までの間、この基準を満たすものとみなされます。特定機能病院における重症患者対応体制強化加算の算定拡大重症患者対応体制強化加算の施設基準が見直され、特定機能病院でも算定可能になります。この見直しは、集中治療領域における重症患者対応の強化と人材育成を推進する観点から行われるものです。現行制度では、重症患者対応体制強化加算の施設基準に「急性期充実体制加算」の届出が含まれていました。特定機能病院は急性期充実体制加算を届出できないため、この加算を算定できない状況にありました。実態調査でも、特定機能病院が重症患者対応体制強化加算を届出できない理由として、「急性期充実体制加算を届け出ていない」が82.9%を占めていました。改定後は、施設基準の要件が「感染対策向上加算1に係る届出を行っている保険医療機関であり、かつ、特定機能病院であること、または急性期総合体制加算に係る届出を行っていること」に変更されます。この変更により、特定機能病院は感染対策向上加算1の届出があれば、重症患者対応体制強化加算を算定できるようになります。遠隔集中治療における地域要件の緩和特定集中治療室遠隔支援加算の施設基準が見直され、地域によらず適切に遠隔集中治療を推進できるようになります。この見直しは、ICUを有する病院が担うべき医療機能に応じた遠隔支援を地域を問わず広げる観点から行われるものです。現行制度では、支援側医療機関の要件に「被支援側に医師少数区域または医療資源の少ない地域に所在する医療機関が含まれていること」という地域要件がありました。改定後は、この地域要件が削除されます。これにより、医師少数区域以外に所在する医療機関であっても、遠隔支援を受けられるようになります。被支援側医療機関の要件も変更されます。現行では管理料5または管理料6の届出が必要でしたが、改定後は管理料2または管理料3の届出が要件となります。支援側医療機関の要件は、現行の管理料1または管理料2から、改定後は管理料1の届出に変更されます。まとめ令和8年度の特定集中治療室管理料の見直しは、7つの変更項目で構成されています。最も大きな変更は、6区分から3区分への簡素化と、救急搬送件数・全身麻酔手術件数の実績要件の新設です。SOFAスコアの患者割合要件は1割から2割に引き上げられ、重症患者の適切な受入体制がより強く求められます。特定機能病院での重症患者対応体制強化加算の算定拡大や、遠隔支援の地域要件緩和も、ICUの機能強化を後押しする改定です。実績要件とSOFAスコア要件には令和8年12月31日までの経過措置が設けられているため、該当する医療機関は早めの対応準備を進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】特定機能病院入院基本料がA・B・Cの3区分に再編|点数と施設基準を解説
令和8年度診療報酬改定では、特定機能病院入院基本料の評価区分が見直されます。現行では特定機能病院88病院すべてに同一の入院基本料が適用されていますが、改定後は「特定機能病院A」「特定機能病院B」「特定機能病院C」(いずれも仮称)の3区分に再編されます。この見直しは、特定機能病院の承認基準の変更に連動したものです。今回の見直しのポイントは3つあります。第一に、特定機能病院が果たす役割や機能の違いに応じて、入院基本料が3区分に分かれます。第二に、3区分すべてで現行より点数が引き上げられますが、区分間で最大130点の差が設けられます。第三に、各区分の施設基準は、医療法施行規則の改正による新たな承認要件と連動します。なお、A・B・Cの名称は仮称であり、正式名称は令和7年度を目途に公布される関係省令で確定する予定です。見直しの背景:特定機能病院の承認要件が3類型に今回の入院基本料の見直しは、特定機能病院の承認要件の変更がきっかけです。現行制度では、特定機能病院88病院はすべて同じ承認要件で運用されています。しかし、実際には大学病院本院(79病院)、ナショナルセンター等(4病院)、その他の病院(5病院)の3類型が存在し、果たす役割や機能は病院ごとに異なっています。この役割の違いを評価するため、承認要件に新たな「基礎的基準」が設けられました。基礎的基準は、大学病院本院を念頭に、現在の承認要件に加えて「地域医療への人的協力」や「政策医療向上の取組」などの要件を求めるものです。ナショナルセンター等は、全国の医師等に対する高度な教育・研修を行っていることから、大学病院本院に準ずる役割を果たしていると評価されます。こうした承認要件の3類型化に対して、入院基本料の方は従来どおり一律の点数設定のままでした。果たす役割が異なるにもかかわらず同じ入院基本料を算定できる状態は、機能に応じた適切な評価とは言えません。そこで、令和8年度改定では入院基本料の区分も3つに分けることになりました。改定内容:入院基本料がA・B・Cの3区分に(いずれも仮称)改定後の特定機能病院入院基本料は、「特定機能病院A入院基本料」「特定機能病院B入院基本料」「特定機能病院C入院基本料」(いずれも仮称)の3区分になります。中医協の審議資料をもとに、各区分の想定される対象病院と一般病棟7対1入院基本料の点数を整理すると、以下のとおりです。特定機能病院A入院基本料(仮称) は、基礎的基準を満たす大学病院本院が主な対象になると見込まれています。一般病棟7対1の点数は2,146点(現行1,822点、+324点)、10対1は1,771点(現行1,458点、+313点)に設定されます。特定機能病院B入院基本料(仮称) は、基礎的基準に準ずるナショナルセンター等が主な対象になると見込まれています。一般病棟7対1の点数は2,136点(現行1,822点、+314点)、10対1は1,760点(現行1,458点、+302点)です。A区分との差は7対1で10点です。特定機能病院C入院基本料(仮称) は、A・Bに該当しないその他の特定機能病院が対象になると見込まれています。一般病棟7対1の点数は2,016点(現行1,822点、+194点)、10対1は1,642点(現行1,458点、+184点)です。A区分との差は7対1で130点になります。結核病棟と精神病棟についても同様に3区分化され、すべての区分で現行より点数が引き上げられます。結核病棟の7対1は、A区分2,125点、B区分2,115点、C区分1,995点です。精神病棟の7対1は、A区分1,851点、B区分1,841点、C区分1,721点です。施設基準:承認要件との連動各区分の施設基準は、医療法施行規則に基づく承認要件と連動します。個別改定項目の施設基準では、特定機能病院A入院基本料(仮称)の算定要件として「医療法施行規則第●条に規定する特定機能病院A(仮称)であること」と記載されています。具体的な省令の条文番号は、関係省令の公布後に確定します。特定機能病院B入院基本料(仮称)についても同様に、「医療法施行規則第●条に規定する特定機能病院B(仮称)であること」が通則として定められています。看護配置や平均在院日数などの個別の施設基準は、A区分の基準と同じ内容を満たすことが求められます。特定機能病院C入院基本料(仮称)は、「A及びBに定める特定機能病院以外の特定機能病院であること」が通則です。C区分もA区分と同一の個別施設基準を満たす必要があります。つまり、3区分の違いは個別の施設基準ではなく、承認要件の類型に基づくものです。まとめ令和8年度診療報酬改定では、特定機能病院入院基本料が一律の評価からA・B・C(いずれも仮称)の3区分に再編されます。大学病院本院を中心とするA区分が最も高い点数を、その他の病院であるC区分が最も低い点数を算定する仕組みが見込まれています。この見直しは、特定機能病院の承認基準の3類型化に連動し、病院が果たす役割や機能の違いを入院基本料に反映させるものです。各区分の正式名称や具体的な省令の条文番号は、令和7年度を目途に公布される関係省令で確定する予定のため、今後の通知等をあわせて確認する必要があります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】急性期総合体制加算を新設|5区分の点数・施設基準を解説
令和8年度診療報酬改定では、地域の拠点的な医療機関を評価する仕組みが大きく変わります。これまで別々に運用されていた「総合入院体制加算」と「急性期充実体制加算」が統合され、新たに「急性期総合体制加算」が創設されます。この見直しの背景には、両加算の評価体系が複雑になっていたこと、そして人口の少ない地域で拠点病院が加算を算定しづらかったことがあります。今回の改定のポイントは3つです。第一に、旧2加算が「総合性」と「集積性」の両面で一体的に評価される5区分の体系に再編されます。第二に、入院日数に応じた3段階の逓減制が導入され、入院期間の短い段階ほど高い点数が設定されます。第三に、人口20万人未満の地域で救急搬送を最も多く受け入れている病院に対し、一部の施設基準が緩和されます。本稿では、これら3つのポイントについて順に解説します。改定の背景:なぜ2つの加算が統合されたのか急性期総合体制加算が新設された背景には、旧制度の3つの課題があります。総合入院体制加算と急性期充実体制加算は施設基準の多くが共通していたにもかかわらず、評価の仕組みが異なっていたため、拠点病院の評価が複雑になっていました。加えて、総合性の高い病院が点数面で不利になるケースも生じていました。さらに、人口の少ない地域では実績要件を満たせず、地域の拠点病院が加算を算定できないという問題もありました。1つ目の課題は、2加算の施設基準の重複です。総合入院体制加算1と急性期充実体制加算1は、救命救急センター等の救急体制整備や全身麻酔手術件数2,000件以上といった基準で共通していました。一方、総合的な診療体制(7診療科の標榜・入院体制など)は総合入院体制加算のみ、高度な手術実績(消化管内視鏡手術600件以上など)は急性期充実体制加算のみで求められていました。このように基準が重複しながらも評価軸が異なるため、両方の要件を満たす病院であっても、いずれか一方しか届け出ることができませんでした。2つ目の課題は、点数の逆転現象です。14日間で算定できる点数の総額を比較すると、総合入院体制加算1は3,640点であったのに対し、急性期充実体制加算1は4,240点でした。総合入院体制加算1は7診療科の入院体制や精神科の24時間対応など、より幅広い総合性が求められていたにもかかわらず、手術実績を重視する急性期充実体制加算よりも低い評価となっていました。3つ目の課題は、人口の少ない地域での算定困難です。人口規模の小さな二次医療圏では、地域の救急搬送の大部分をカバーしている病院であっても、症例数や医療従事者を集約してなお、実績要件を満たすことが難しい状況にありました。実際に、総合入院体制加算3の届出病院の約15%は人口の少ない地域に属しており、こうした地域では上位区分の加算を届け出ている病院はほとんどありませんでした。新設される5区分の点数体系急性期総合体制加算は、旧2加算の合計5区分(総合入院体制加算1~3、急性期充実体制加算1~2)を再編し、新たに5区分の体系となります。各区分には入院日数に応じた3段階の逓減制が導入され、7日以内の期間が最も高い点数に設定されています。なお、新制度は旧2加算の「総合性」と「集積性」を一体的に再編した新しい評価体系であり、旧制度の各区分とは求められる基準が異なります。加算1は、最も高い総合性と集積性を持つ病院を対象とする区分です。点数は7日以内530点、8~11日290点、12~14日210点で、14日間の合計は5,500点です。7診療科の入院体制や精神科の24時間対応体制といった総合性に加え、手術実績でも十分な水準が求められます。旧制度では総合性の高い病院(旧総合入院体制加算1:14日間合計3,640点)が手術実績重視の加算(旧急性期充実体制加算1:14日間合計4,240点)よりも低い評価となっていましたが、新制度ではこの逆転が解消されています。加算2は、加算1に次ぐ水準の総合性と集積性を持つ病院を対象とする区分です。点数は7日以内470点、8~11日230点、12~14日150点で、14日間の合計は4,660点です。加算1の基準のうち総合性に関する一部の要件が緩和されていますが、手術実績については一定程度高い水準が求められます。加算3は、地域で総合的かつ専門的な急性期医療を提供し、高度かつ専門的な医療の実績が高い水準にある病院を対象とする区分です。点数は7日以内440点、8~11日200点、12~14日120点で、14日間の合計は4,240点です。加算1のような7診療科の入院体制は必須ではありませんが、地域における総合的な急性期医療の提供体制と、高い手術実績が施設基準として求められます。加算4は、加算3と同等の体制を備えつつ実績水準がやや下回る病院を対象とする区分です。点数は7日以内360点、8~11日150点、12~14日90点で、14日間の合計は3,390点です。加算5は、新たに創設された区分であり、人口の少ない地域の拠点病院への配慮を目的としています。点数は7日以内300点、8~11日120点、12~14日60点で、14日間の合計は2,760点です。加算5の詳細は次のセクションで説明します。人口の少ない地域への配慮:加算5の特例加算5は、人口20万人未満の地域で救急搬送を最も多く受け入れている病院を対象とした新設区分です。この区分の最大の特徴は、上位区分で求められる一部の施設基準が緩和されている点にあります。具体的には、加算5を届け出る病院には、地域包括ケア病棟入院料や療養病棟入院基本料に関する届出制限が一部免除されます。人口20万人未満の地域で救急搬送を最も多く受け入れている保険医療機関については、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料、療養病棟入院基本料に係る届出制限が適用されません。この緩和は、地方の拠点病院が急性期病棟と回復期・慢性期病棟を併せ持つ実態に配慮したものです。この特例の背景には、人口の少ない地域の医療事情があります。人口規模の小さな二次医療圏では、救急搬送件数自体は大規模な医療圏と比較して多くないものの、地域の救急搬送の大部分を1つの病院がカバーしているケースが少なくありません。こうした病院では、へき地医療や救急搬送の受入れで地域を支えていても、従来の実績要件を満たすことが困難でした。加算5は、これらの病院が拠点的な機能を適切に評価されるための新たな受け皿となります。主な施設基準の変更点急性期総合体制加算の施設基準には、旧制度から引き継がれた要件に加え、いくつかの新たな要件が追加されています。ここでは、加算1を中心に主な変更点を整理します。第一に、「総合的かつ専門的な急性期医療及び高度かつ専門的な医療」の体制と実績が明確に求められるようになりました。旧制度では「急性期医療を行うにつき十分な体制」という表現でしたが、新制度では総合性と専門性の両面が施設基準に明記されています。第二に、入院患者の病状急変に対応する体制の確保が新たに加わりました。具体的には、「入院患者の病状の急変の兆候を捉えて対応する体制を確保していること」が施設基準に追加されています。これは院内迅速対応チーム(RRT)等の運用を想定した要件です。第三に、感染対策向上加算1の届出が要件として明記されました。旧制度の総合入院体制加算では明示されていなかった感染対策の要件が、新制度では加算1の施設基準に組み込まれています。第四に、重症度、医療・看護必要度の基準が「指数」による評価に変更されました。旧制度では「基準を満たす患者を○割以上入院させる」という割合での評価でしたが、新制度では「特に高い基準を満たす患者の割合に係る指数」と「一定程度高い基準を満たす患者の割合に係る指数」の2つの指数で評価されます。加算1では、必要度Ⅰの場合に特に高い基準の指数3割3分以上かつ一定程度高い基準の指数4割以上、必要度Ⅱの場合に特に高い基準の指数3割2分以上かつ一定程度高い基準の指数3割9分以上が求められます。第五に、一般病棟の病床数割合に関する基準が追加されました。一般病棟入院基本料等の病床数の合計が、許可病床数の総数から精神病棟入院基本料等の病床数を除いた9割以上であることが求められます。この基準により、急性期病棟を中心とした病院構成が施設基準上も明確に位置づけられました。経過措置今回の改定では、既存の届出医療機関に対して3つの経過措置が設けられています。いずれも令和8年3月31日時点で総合入院体制加算を届け出ている医療機関が対象です。1つ目の経過措置は、地域包括医療病棟に関する基準の免除です。総合入院体制加算の届出を行っている保険医療機関については、当分の間、急性期総合体制加算1~5の施設基準のうち、地域包括医療病棟に係る届出制限の基準を満たしているものとみなされます。2つ目の経過措置は、一般病棟の病床数割合に関する基準の免除です。総合入院体制加算1または2の届出を行っている保険医療機関については、当分の間、加算2および加算4の施設基準のうち、一般病棟の病床数が許可病床数の9割以上であることの基準を満たしているものとみなされます。3つ目の経過措置は、地域包括医療病棟入院料における急性期総合体制加算の届出制限の免除です。総合入院体制加算に係る届出を行っている保険医療機関については、当分の間、地域包括医療病棟入院料の施設基準のうち、急性期総合体制加算の届出を行っていないことの基準を満たしているものとみなされます。まとめ令和8年度改定では、総合入院体制加算と急性期充実体制加算が統合され、急性期総合体制加算として5区分の体系に再編されます。新制度では、診療科の総合性と手術実績の集積性が一体的に評価され、入院日数に応じた3段階の逓減制が導入されます。加えて、人口20万人未満の地域で救急搬送を最も多く受け入れている病院には施設基準の一部緩和が設けられ、地方の拠点病院が適切に評価される仕組みが整備されました。既存の届出医療機関に対しては3つの経過措置が用意されているため、自院の届出状況と照らし合わせて、新制度への移行計画を早期に検討することが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】重症度、医療・看護必要度の3つの見直しポイント|救急搬送加算・A/C項目追加・B項目測定
令和8年度診療報酬改定では、急性期入院医療における重症度、医療・看護必要度の評価方法が大きく見直されます。今回の見直しは、救急搬送症例や手術なし症例における評価の適正化を進める観点から行われるものです。この記事では、個別改定項目「Ⅱ-1-1 ② 重症度、医療・看護必要度の見直し」の内容を解説します。見直しのポイントは3つあります。第1に、A項目「抗悪性腫瘍剤の使用」やC項目「救命等に係る内科的治療」「別に定める検査」「別に定める手術」の対象治療等が追加されます。第2に、病床あたり救急搬送受入件数に応じた「救急患者応需係数」が基準該当割合に加算される仕組みが新設されます。第3に、B項目の測定日が柔軟化され、毎日測定しない場合の運用ルールが明確になります。これらの見直しに伴い、従来の「基準該当割合」は「割合指数」に変更され、各入院料の基準値も改められます。経過措置は令和8年9月30日までです。A項目・C項目の対象治療等の追加第1の見直しは、A項目・C項目の対象治療等の追加です。内科系症例の適正評価を進めるため、4つの分野で対象が拡充されます。A項目「専門的な治療・処置」のうち「抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)」では、カルフィルゾミブ、シクロホスファミド水和物、フィルグラスチム(遺伝子組換え)などの注射薬剤が対象に追加されます。これらの薬剤は、内保連(内科系学会社会保険連合)が提案した候補のうち、入院での使用割合が高く、モラルハザードが起きにくいものとして選定されました。C項目では、3つの区分で対象治療等が追加されます。「救命等に係る内科的治療」には、中心静脈注射用カテーテル挿入、脳脊髄腔注射(腰椎)、吸着式血液浄化法、持続緩徐式血液濾過などの処置が加わります。「別に定める検査」には、経食道心エコー法、経気管肺生検法、EBUS-TBNAなどが加わります。「別に定める手術」には、内シャント設置術、経皮的胆管ドレナージ術、内視鏡的胃・十二指腸ステント留置術などが加わります。これらのA項目・C項目の追加は、次に述べる救急患者応需係数と組み合わせることで、手術なし症例の多い病棟における必要度該当割合を大きく改善する効果があります。この効果については、救急患者応需係数のセクションであわせて解説します。救急患者応需係数の新設第2の見直しは、救急患者応需係数の新設です。基準該当割合に救急搬送受入件数に応じた加算を行う仕組みが導入されます。この仕組みにより、従来の「基準該当割合」は「基準患者割合に係る指数(割合指数)」に変更されます。割合指数は「従来の該当患者割合+救急患者応需係数」で算出されるため、救急搬送受入件数の多い病棟ほど割合指数が高くなります。救急患者応需係数の算出方法は、3つのステップで構成されます。まず、「救急搬送受入件数」とは、救急用の自動車または救急医療用ヘリコプターにより搬送された患者を受け入れた件数をいいます。次に、「病床当たり年間救急搬送受入件数」を算出します。この計算では、医療機関全体の直近1年間の救急搬送受入件数(全救急搬送受入件数)に、救急搬送により当該医療機関に入院した患者のうち対象病棟に入院した患者の割合を乗じ、届出病床数で除します。つまり、全救急搬送受入件数をそのまま使うのではなく、対象病棟への入院割合で按分する点に注意が必要です。最後に、この病床当たり年間救急搬送受入件数に0.005を乗じた数が救急患者応需係数となり、上限は1割(10%)です。具体的な計算例を示します。ある医療機関の全救急搬送受入件数が年間2,000件で、そのうち急性期一般入院料の届出病棟(100床)に入院した患者の割合が50%であった場合、病床当たり年間救急搬送受入件数は「2,000件×50%÷100床=10件/床/年」となります。この10件に係数0.005を乗じると5%が得られ、この5%が基準該当割合に加算されます。たとえば、元の該当患者割合が22%であった場合、割合指数は27%(=22%+5%)となります。A/C項目の追加と救急患者応需係数を組み合わせた場合の効果は、シミュレーション(DPCデータ2025年1~3月)で示されています。急性期一般入院料1の基準①該当割合は、平均28.3%から35.4%へ約7.1ポイント上昇します。とくに注目すべきは、救急搬送数が多く手術なし症例の多い病棟です。これらの病棟では約9.2ポイントの上昇となり、全体平均と同程度の水準に改善されます。従来の評価方法では、手術なし症例の多い病棟は手術あり症例の多い病棟と比べて該当患者割合が低くなる傾向がありましたが、今回の見直しにより、この格差が大きく是正されることになります。B項目の測定日の柔軟化第3の見直しは、B項目の測定日の柔軟化です。従来の毎日測定に加え、毎日測定しない場合のルールが新たに設けられます。毎日測定しない場合の測定日は、入院初日から入院4日目までの各日、入院5日目以降は直近の測定日から少なくとも7日ごとに1回以上、そして退院日の3つの時点です。ただし、患者の状態に明らかな変化が生じた場合には、7日を待たずに測定を実施することが望ましいとされています。測定日以外の日におけるB項目の評価は、直近の測定日における評価をもって代替できます。この取扱いにより、毎日のB項目測定に要する看護師の事務負担が軽減されます。基準値の変更A/C項目の追加と救急患者応需係数の導入に伴い、各入院料の基準値は変更されます。基準値の数字は引き上げられていますが、新たに導入される救急患者応需係数が割合指数に加算されるため、実質的な影響は病院ごとの救急搬送受入件数によって異なります。ここでは、主な入院料の新基準値を「割合指数」として整理します。急性期一般入院料1(必要度Ⅱ)は、基準①が27%、基準②が34%です(現行は基準①20%、基準②27%)。急性期一般入院料2(必要度Ⅱ)は27%です(現行21%)。急性期一般入院料3(必要度Ⅱ)は23%です(現行18%)。急性期一般入院料4(必要度Ⅱ)は19%です(現行15%)。急性期一般入院料5(必要度Ⅱ)は14%です(現行11%)。なお、必要度Ⅰを用いる場合は、必要度Ⅱよりも1ポイント高い基準が設定されます。たとえば、急性期一般入院料1(必要度Ⅰ)の基準①は28%、基準②は35%です。7対1入院基本料(特定機能病院・一般病棟)については、必要度Ⅱで基準①が割合指数20%から27%に、基準②が27%から34%に変更されます。7対1入院基本料(専門病院)も同様に、必要度Ⅱで基準①が20%から21%に、基準②が27%から28%に変更されます。急性期総合体制加算についても基準値が設定されています。急性期総合体制加算1(必要度Ⅱ)は基準①32%・基準②39%、加算2は基準①31%・基準②38%、加算3は基準①29%・基準②36%、加算4は基準①28%・基準②35%、加算5は基準①27%・基準②34%です。経過措置今回の見直しに伴い、経過措置が設けられます。令和8年3月31日時点で対象となる入院料を届け出ている病棟は、令和8年9月30日までの間、新基準を満たしているものとみなされます。経過措置の対象は、急性期一般入院料1~5、結核病棟7対1入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟7対1)、専門病院入院基本料(7対1)、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟入院料など、17区分にわたります。この経過措置の期間は6か月間であるため、各医療機関は令和8年4月の施行後、令和8年9月末までに新基準への対応を完了する必要があります。まとめ令和8年度改定における重症度、医療・看護必要度の見直しは、A/C項目の対象治療等の追加、救急患者応需係数の新設、B項目測定の柔軟化の3点が柱です。従来の「基準該当割合」は「割合指数」に変更され、救急搬送受入件数の多い病棟では割合指数が押し上げられます。各入院料の基準値は数字上は引き上げられますが、救急患者応需係数の加算により、とくに救急搬送数が多く手術なし症例の多い内科系病棟では、実質的な該当割合が大きく改善されます。経過措置は令和8年9月30日までです。各医療機関は、自院の救急搬送受入件数と対象病棟への入院割合を確認し、新たな割合指数がどの水準になるかを早期にシミュレーションすることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】急性期病院一般入院基本料が新設|A・Bの2区分と施設基準を解説
令和8年度診療報酬改定では、病院が地域で果たしている急性期機能に着目した新たな入院基本料が新設されます。従来の急性期一般入院基本料は、病棟単位の看護配置や重症度、医療・看護必要度で評価してきました。しかし、同じ入院料を算定する病院であっても、救急搬送の受入件数や手術件数には大きな差があり、病院としての機能の違いが十分に反映されていませんでした。この課題を解消するため、今回の改定では病院の急性期機能を施設基準に組み込んだ「急性期病院一般入院基本料」と「急性期病院精神病棟入院基本料」が新たに設けられます。新設される急性期病院一般入院基本料は、急性期病院Aと急性期病院Bの2区分で構成されます。急性期病院A一般入院料は1,930点(1日につき)で、救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上の実績が求められます。急性期病院B一般入院料は1,643点(1日につき)で、救急搬送年間1,500件以上などの複数の要件から選択できます。このほか、精神病棟向けの入院基本料も同時に新設され、人口の少ない地域や離島に対する特例措置も設けられています。急性期病院一般入院基本料の基本的な考え方急性期病院一般入院基本料は、地域ごとの急性期医療を確保する観点から、病院の機能に着目して新設されます。この入院基本料の背景には、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携の推進があります。従来の急性期一般入院基本料では、病棟単位の看護配置比率や重症度、医療・看護必要度が主な評価指標でした。この仕組みでは、7対1看護配置の急性期一般入院料1を算定する病院同士でも、救急搬送受入件数が数百件の病院と数千件の病院が同じ評価を受けていました。全身麻酔手術件数についても同様に、500件未満の病院から5,000件を超える病院まで幅広く存在していました。今回の改定では、こうした病院機能の違いを診療報酬に反映させるため、救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの実績を施設基準に組み込みます。この仕組みにより、地域の急性期医療を支える病院の体制整備を促し、必要な機能の確保につなげることが狙いです。急性期病院Aの施設基準と点数急性期病院A一般入院料は1日につき1,930点で、高い急性期機能を持つ病院を評価します。施設基準は、体制に関する要件と実績に関する要件の2つに大別されます。体制に関する要件として、まず救急医療の提供体制が求められます。具体的には、第二次救急医療体制、救命救急センター、高度救命救急センター、総合周産期母子医療センターのいずれかを設置しているか、これらと同様に24時間の救急患者を受け入れている必要があります。また、画像診断及び検査を24時間実施できる体制の確保も必要です。実績に関する要件として、救急搬送件数が年間2,000件以上、かつ全身麻酔手術件数が年間1,200件以上であることが求められます。この2つの条件はいずれも満たす必要があります。そのほかの主な施設基準として、看護配置7対1(入院患者7人に対し看護職員1人以上)、平均在院日数16日以内、自宅等への退院割合8割以上、常勤医師数が入院患者数の10%以上が必要です。さらに、地域包括医療病棟および地域包括ケア病棟の届出を行っていないことも条件となります。重症度、医療・看護必要度については、必要度Ⅱを用いた評価が原則です。特に高い基準を満たす患者割合の指数が27%以上、一定程度高い基準を満たす患者割合の指数が34%以上であることが求められます。許可病床数200床未満で正当な理由がある場合に限り、必要度Ⅰの使用が認められ、その場合は28%以上・35%以上の基準が適用されます。急性期病院Bの施設基準と点数急性期病院B一般入院料は1日につき1,643点で、地域の急性期医療を担う病院を評価します。急性期病院Aとの主な違いは、体制と実績の基準が緩和されている点です。体制に関する要件として、医療計画に記載された第二次救急医療機関であるか、救急病院等を定める省令に基づく救急病院であることが求められます。急性期病院Aと異なり、地域包括ケア病棟の届出は制限されていません。ただし、地域包括医療病棟の届出を行っていないことは必要です。実績に関する要件は、以下の4つの選択肢から1つを満たせばよい点が大きな特徴です。第1の選択肢は、救急搬送件数が年間1,500件以上です。第2の選択肢は、救急搬送件数が年間500件以上かつ全身麻酔手術件数が年間500件以上です。第3の選択肢は、人口20万人未満の二次医療圏に所在し、当該医療圏で救急搬送件数が最大かつ年間1,000件以上です。第4の選択肢は、離島のみで構成される二次医療圏に所在し、当該医療圏で救急搬送件数が最大であることです。第3・第4の選択肢は、人口の少ない地域や離島における急性期医療の確保を意図した特例措置です。対象となる地域は告示の別紙4(人口20万人未満の二次医療圏)と別紙5(離島のみの二次医療圏)に詳細が定められています。そのほかの施設基準として、看護配置10対1(入院患者10人に対し看護職員1人以上)、平均在院日数21日以内が求められます。急性期病院Aと同様に、重症度、医療・看護必要度Ⅱでの評価が原則です。急性期病院精神病棟入院基本料の概要急性期病院精神病棟入院基本料も、一般病棟と同様にA・Bの2区分で新設されます。精神病棟においても、病院の急性期機能を反映した評価が導入されます。急性期病院A精神病棟入院料は、看護配置に応じた3段階の点数設定です。10対1は1,519点、13対1は1,162点、15対1は966点となります。急性期病院B精神病棟入院料も同様に3段階で、10対1は1,502点、13対1は1,145点、15対1は949点です。精神病棟特有の基準として、10対1入院基本料では平均在院日数40日以内・GAF尺度30以下の新規入院患者が5割以上、13対1入院基本料では平均在院日数80日以内・GAF尺度30以下又は身体合併症を有する新規入院患者が4割以上であることが求められます。15対1入院基本料では、看護職員の4割以上が看護師であることが必要です。急性期医療に係る体制・実績の基準は、一般病棟と共通の枠組みです。急性期病院Aは救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上、急性期病院Bは一般病棟と同じ4つの選択肢から1つを満たす必要があります。救急搬送件数の算定ルール救急搬送件数の算定には、いくつかの重要なルールがあります。特に、介護保険施設からの搬送と夜間帯の受入に関する規定を正しく理解する必要があります。介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)に入所中の患者の救急搬送は、原則として搬送件数に算入できません。ただし、例外として3つの場合に算入が認められます。第1に、協力医療機関に連絡した結果、受入が困難であり救急要請した場合です。第2に、「傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準」に基づく救急搬送の受入れの場合です。第3に、急性期病院A又はBで受入後3日以内に当該協力医療機関に転院した場合です。夜間帯の受入に関する要件もあります。救急搬送件数のうち、22時から翌朝8時までの夜間時間帯に受け入れた件数が1割以上であることが必要です。なお、介護保険施設等からの救急搬送について、入院加療が必要な場合には、協力医療機関を確認し、当該協力医療機関に情報提供を行うことが望ましいとされています。経過措置経過措置は3つ設けられています。新たな施設基準への円滑な移行を図るため、既存の届出状況に応じた猶予期間が定められています。第1の経過措置として、令和8年3月31日時点で地域包括医療病棟の届出を行っている医療機関は、当分の間、急性期病院Aの体制要件のうち地域包括医療病棟に係る非届出基準、および急性期病院Bの地域包括医療病棟に係る非届出基準を満たしているものとみなされます。第2の経過措置として、令和8年3月31日時点で地域包括ケア病棟入院料の届出を行っている医療機関は、当分の間、急性期病院Aにおける地域包括ケア病棟の非届出要件を満たしているものとみなされます。第3の経過措置として、令和9年3月31日までの間は、介護保険施設からの搬送を含め、全ての救急搬送件数を実績に算入できます。令和9年4月1日以降は、原則どおり介護保険施設からの搬送が除外されるため、この1年間で搬送件数の精査と体制整備を進める必要があります。まとめ急性期病院一般入院基本料は、病院の急性期機能を救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの実績で評価する新たな入院基本料です。急性期病院Aは1,930点で救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上の高い実績が求められ、急性期病院Bは1,643点で複数の選択肢から実績要件を満たせばよい仕組みです。人口の少ない地域や離島に対しては、当該医療圏で救急搬送件数が最大であることをもって要件を満たす特例が設けられています。精神病棟についても同様の枠組みで新設され、経過措置により既存の届出との整合が図られています。各医療機関は、自院の救急搬送件数や手術件数を改めて確認し、どの区分に該当するかを早期に検討することが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】医療従事者の人材確保・働き方改革|5つの施策を総まとめ
令和8年度診療報酬改定では、医療現場の深刻な人手不足と働き方改革への対応として、賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取り組みが大幅に強化されます。全産業で賃上げ率が高水準となる中、医療分野では事業収益の悪化を背景に賃上げ水準が乖離しており、人材確保が困難な状況にあります。本記事では、個別改定項目「Ⅰ-2 賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取組」に含まれる5つの施策の全体像を解説します。今回の改定では、5つの施策で人材確保と働き方改革が推進されます。第1に、ベースアップ評価料の大幅拡充と夜勤負担軽減の計画要件明確化により、医療従事者の処遇が改善されます。第2に、ICT・AI・IoT等の利活用により、看護配置から事務簡素化まで4分野の業務効率化が図られます。第3に、急性期病棟における多職種協働を評価する「看護・多職種協働加算」が新設されます。第4に、外科医の処遇改善や休日等加算1の要件緩和など、医師の働き方改革と診療科偏在対策が講じられます。第5に、看護配置の猶予や専従要件の緩和など、施設基準における人員配置の要件が幅広く柔軟化されます。Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善令和8年度改定における医療従事者の処遇改善は、賃上げに向けた評価の見直しと、夜勤を含む負担軽減計画の明確化の2本柱で構成されています。令和8年度および令和9年度にそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップ実現を目指し、賃上げの実効性を高める仕組みが導入されます。賃上げに向けた評価の見直しでは、ベースアップ評価料が3つの柱で拡充されます。対象職員が「当該保険医療機関に勤務する職員」全体に拡大され、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師等も新たに対象に加わります。点数は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の初診時が6点から17点に引き上げられるなど、大幅に増額されます。継続的な賃上げを実施していない医療機関に対しては、入院基本料等の減算規定も新設されます。夜勤負担の軽減については、急性期総合体制加算や看護職員夜間配置加算等の施設基準において、夜勤に関する事項を「負担の軽減及び処遇の改善に資する計画」に含めることが要件として明確化されます。詳しくは「【令和8年度改定】医療従事者の処遇改善|賃上げ評価の拡充と夜勤負担軽減の2本柱」をご覧ください。Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進ICT・AI・IoT等の利活用による業務効率化は、4つの分野で改定が行われます。看護現場の人手不足や医師の事務負担、煩雑な届出業務など、医療機関が長年抱えてきた課題に対応するものです。第1に、ICT機器の活用により看護配置基準が1割以内で柔軟化されます。見守り・記録・情報共有の3領域すべてにICT機器を導入した病棟が対象であり、看護職員の配置数が基準の9割以上であれば入院基本料等の所定点数を算定できます。第2に、生成AIの導入により医師事務作業補助者の配置人数が最大1.3人換算で算入可能となります。第3に、各種様式の統一や届出のオンライン化など5つの分野で事務の簡素化が進みます。第4に、様式9の勤務時間算入要件が2つ追加され、小数点処理も統一されます。詳しくは「【令和8年度改定】ICT・AI・IoT活用で変わる4つの業務効率化|看護配置から事務簡素化まで」をご覧ください。Ⅰ-2-3 タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進急性期病棟における多職種協働の取り組みを評価する「看護・多職種協働加算」が新設されます。生産年齢人口の減少により医療従事者の確保が難しくなる中、看護職員と他の医療職種が協働する新たな病棟運営モデルを提示するものです。対象は、急性期一般入院料4と急性期病院B一般入院料のうち、急性期一般入院料1と同等の重症度を満たす病棟です。点数は加算1が277点(1日につき)、加算2が255点(1日につき)です。配置要件として、看護職員と他の医療職種(PT・OT・ST・管理栄養士・臨床検査技師)を合わせて25対1以上の配置が求められます。看護職員をさらに手厚く配置する方法でも、他の医療職種を組み合わせる方法でも要件を満たせます。施設基準では、重症度・医療・看護必要度の基準、平均在院日数16日以内、自宅等退院割合80%以上などの要件が定められています。詳しくは「【令和8年度改定】看護・多職種協働加算を新設|急性期病棟の多職種連携が点数化」をご覧ください。Ⅰ-2-4 医師の働き方改革の推進/診療科偏在対策医師の働き方改革と診療科偏在対策は、外科医を中心とした処遇改善・勤務環境改善と、チーム制の施設基準緩和の2つの施策で構成されます。外科医師の減少が全国的な課題となる中、診療報酬上の新たな評価の導入と既存の施設基準の見直しが行われます。処遇改善・勤務環境改善の施策は3つの柱で構成されます。地域医療体制確保加算が2段階化(加算1:620点、加算2:720点)され、医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関が高く評価されます。外科医療確保特別加算が新設され、高度手術を実施する基幹的な医療機関が手術の所定点数の15%を加算できます。特定地域医療提供医師等の時間外・休日労働時間の上限基準が、令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下へと段階的に引き下げられます。チーム制の施設基準緩和では、処置・手術の休日等加算1について、緊急呼出し当番の人数要件の緩和、勤務間インターバルの選択肢追加、手当支給要件の整理が行われます。詳しくは「【令和8年度改定】医師の働き方改革と診療科偏在対策|外科医処遇改善と休日等加算1の要件緩和」をご覧ください。Ⅰ-2-5 診療報酬上求める基準の柔軟化施設基準における人員配置の要件が、5つの項目で幅広く柔軟化されます。質の高い医療提供体制の維持と人材確保の両立を図ることを目的とした改定です。第一に、看護職員の一時的な不足時に、最長3か月間、届出区分の変更が不要となる猶予ルールが新設されます。第二に、感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で見直されます。具体的には、専従者が介護保険施設等へ赴いて助言できる時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されること、感染制御チーム等の専従者と医療安全管理者が所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになること、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者への外来栄養食事指導等を行えるようになることの3点です。第三に、常勤職員の所定労働時間要件が週32時間から週31時間に引き下げられます。第四に、摂食嚥下機能回復体制加算の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されるなど、嚥下機能に関する要件が見直されます。第五に、療法士の専従要件が5つの観点から大幅に緩和され、業務範囲と兼任ルールが見直されます。詳しくは「【令和8年度改定】診療報酬上求める基準の柔軟化|5つの見直し項目を総まとめ」をご覧ください。まとめ令和8年度改定における「賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取組」は、5つの施策で構成されています。医療従事者の処遇改善では、ベースアップ評価料の拡充と夜勤負担軽減計画の明確化により、賃上げの実効性が強化されます。ICT・AI・IoT等の利活用では、看護配置基準の柔軟化から事務の簡素化まで4分野の業務効率化が推進されます。タスク・シェアリング/タスク・シフティングでは、看護・多職種協働加算の新設により急性期病棟の多職種連携が評価されます。医師の働き方改革では、外科医を中心とした処遇改善とチーム制の要件緩和が導入されます。基準の柔軟化では、看護配置の猶予から療法士の専従要件緩和まで5項目の見直しが行われます。これら5つの施策はいずれも、医療の質を担保しつつ、限られた人材をより柔軟に活用できる仕組みを整備するものです。各医療機関においては、自院に該当する項目を確認し、届出準備と運用体制の見直しを計画的に進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】診療報酬上求める基準の柔軟化|5つの見直し項目を総まとめ
令和8年度診療報酬改定では、医療現場の深刻な人手不足に対応するため、施設基準における人員配置の要件が幅広く柔軟化されます。この柔軟化は、質の高い医療提供体制の維持と人材確保の取組の両立を図ることを目的としています。今回の柔軟化は、5つの項目で構成されています。第一に、看護職員の一時的な不足時に届出猶予を認める仕組みが新設されます。第二に、感染対策向上加算等の専従者が他業務に従事できるようになります。第三に、常勤職員の所定労働時間要件が週32時間から週31時間に引き下げられます。第四に、摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が見直されます。第五に、療法士の専従要件が大幅に緩和され、業務範囲と兼任ルールが見直されます。① やむを得ない事情における施設基準等に関する取扱いの見直し看護職員の一時的な不足に対応するため、施設基準の届出に関する猶予ルールが新設されます。平時から公的職業紹介を活用した採用活動を行っている医療機関が、突発的な事情で看護職員を確保できない場合に、暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であれば、最長3か月間、届出区分の変更が不要となります。この猶予は年1回に限られ、地方厚生局への報告義務があります。コロナ特例として運用されていた仕組みが、突発的な事情全般に対応する恒久的な制度として新たに規定されました。→ 詳しくは「【令和8年度改定】看護職員が一時的に不足しても届出不要に?施設基準の柔軟化を解説」をご覧ください。② 感染対策向上加算等における専従要件の見直し感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で見直されます。第一の柱は、専従者が介護保険施設等へ赴いて助言できる時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されることです。第二の柱は、感染制御チーム・抗菌薬適正使用支援チームの専従者と医療安全管理者が、所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになることです。第三の柱は、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が、退院患者への外来栄養食事指導等を行えるようになることです。いずれも、専門人材が支援業務と院内業務をより柔軟に両立できるようにするための改定です。→ 詳しくは「【令和8年度改定】感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で大幅緩和」をご覧ください。③ 常勤職員の常勤要件に係る勤務時間数の見直し常勤職員の所定労働時間要件が、週32時間以上から週31時間以上に引き下げられます。この見直しは、一般職の国家公務員の1日当たり勤務時間(7時間45分)との整合性を図るものです。対象となる施設基準は、急性期一般入院料1等の常勤医師、有床診療所の医師配置加算、医師事務作業補助体制加算の3項目です。常勤換算の計算に用いる分母(所定労働時間の下限)は週32時間のまま据え置かれるため、常勤の「定義の緩和」と「換算方法」を区別して運用する必要があります。→ 詳しくは「【令和8年度改定】常勤要件が週32時間から31時間に緩和|3つの対象項目と実務上の注意点」をご覧ください。④ 質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組の推進摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が3つのポイントで見直されます。第1に、摂食嚥下機能回復体制加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されます。第2に、加算3の実績要件に、経腸栄養から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。第3に、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大され、入院前から中心静脈栄養で管理されていた患者や、経口摂取不可となり経腸栄養を選択した患者も算定対象となります。いずれも、中心静脈栄養の実施を前提とした要件が現場の取組を評価しにくくしていた課題に対応するものです。→ 詳しくは「【令和8年度改定】摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の3つの見直しポイント」をご覧ください。⑤ 疾患別リハビリテーション料や特定入院料において配置された療法士による専門性を生かした指導等の更なる推進療法士の専従要件が5つの観点から大幅に緩和されます。第一に、専従の従事者がリハビリテーション以外の業務に従事した時間を実施単位数に算入できるようになります。第二に、疾患別リハビリテーション料の専従療法士の業務範囲が明確化され、兼任ルールが大幅に見直されます。第三に、地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟の専従療法士に業務内容が追加されます。第四に、病棟外・屋外での指導等が明確に認められます。第五に、入院医療管理料における専従療法士の兼任が可能になります。特に、兼任ルールの緩和と回復期リハビリテーション病棟における「全ての患者」への対象拡大は、人員配置や病棟運営に直結する変更です。→ 詳しくは「【令和8年度改定】療法士の専従要件が大幅緩和|5つの変更点を解説」をご覧ください。まとめ令和8年度診療報酬改定における「診療報酬上求める基準の柔軟化」は、5つの項目で構成されています。看護職員の一時的不足時の届出猶予の新設、感染対策向上加算等の専従者の業務範囲の拡大、常勤要件の週31時間への引下げ、摂食嚥下機能回復体制加算等の要件緩和、そして療法士の専従要件の大幅な緩和です。これらの見直しに共通するのは、医療の質を担保しつつ、限られた人材をより柔軟に活用できる仕組みを整備するという方向性です。各医療機関においては、自院に該当する項目を確認し、施設基準の届出や運用体制の見直しを早めに進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】療法士の専従要件が大幅緩和|5つの変更点を解説
令和8年度診療報酬改定では、リハビリテーション提供体制の柔軟化が進められます。疾患別リハビリテーション料や特定入院料において、専従の理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が従事できる業務の範囲が広がります。この改定は、療法士の専門性を病棟内に限らず発揮させることを目的としています。今回の改定では、主に5つの変更が行われます。第一に、疾患別リハビリテーションを担当する専従の従事者について、リハビリテーション以外の業務時間を実施単位数に算入できるようになります。第二に、疾患別リハビリテーション料の専従療法士が従事できる業務の範囲が明確化されるとともに、兼任ルールが大幅に見直されます。第三に、地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟の専従療法士にも業務内容が追加されます。第四に、病棟外・屋外での指導等が明確に認められます。第五に、入院医療管理料における専従療法士の兼任が可能になります。変更点1:専従の従事者について、リハビリ以外の業務時間を実施単位数に算入可能に疾患別リハビリテーションを担当する専従の従事者が、リハビリテーション以外の特定の業務に従事した時間を、実施単位数としてカウントできるようになります。この変更の対象は、すべての療法士ではなく、疾患別リハビリテーション料の施設基準で求められる「専従の従事者」に限られます。従来、専従の従事者1人あたりの実施単位数は1日18単位が標準とされていました。この18単位は、疾患別リハビリテーションと集団コミュニケーション療法の合計で計算していました。改定後は、この計算方法が変わります。専従の従事者が、施設基準通知(別添1の第38、第40等)で規定された業務のうち、疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法以外の特掲診療料に係る業務に従事した時間を合算します。この合算した時間が20分以上の場合、20分を1単位とみなして実施単位数に加えることができます。たとえば、専従の従事者が対象となる業務に60分従事した場合、3単位分を実施単位数に加算できます。この変更により、専従の従事者がリハビリテーション以外の専門業務に時間を割いても、1日18単位の基準を満たしやすくなります。変更点2:専従療法士の業務範囲の明確化と兼任ルールの大幅見直し疾患別リハビリテーション料の専従療法士について、従事できる業務の範囲が明確化されるとともに、兼任ルールが大幅に見直されます。この変更は、業務範囲の拡大と兼任制限の緩和という2つの側面を持っています。まず、業務範囲の明確化について説明します。従来は、リハビリテーション実施時間以外に専従の療法士が従事できる業務が必ずしも明確ではありませんでした。改定後は、従事できる業務が具体的に列挙されます。専従の療法士は、医科点数表の「第1部 医学管理」「第2部 在宅医療」「第7部 リハビリテーション」「第8部 精神科専門療法」の業務に従事できます。さらに、その他のリハビリテーション及び患者・家族等の指導に関する業務(専任として配置が求められるものを含む)、介護施設等への助言業務にも従事可能です。ただし、入院料等において配置が求められている従事者(専任の者を除く)として従事することはできません。次に、兼任ルールの見直しについて説明します。現行では、たとえば脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の専従PTは、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、地域包括医療病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料及び地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟の常勤PTとの兼任ができませんでした。改定後は、この制限が撤廃されます。具体的には、第7部リハビリテーション第1節(心大血管疾患リハビリテーション料を除く)において配置が求められている常勤PT(専従の者を含む)について、兼任が可能になります。OTやSTについても同様の取扱いです。この変更により、限られた療法士の人員をより柔軟に配置できるようになります。これらの変更は、心大血管疾患リハビリテーション料をはじめ、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料など、すべての疾患別リハビリテーション料に適用されます。変更点3:病棟専従療法士の業務内容の追加と対象患者の拡大地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟に配置された専従療法士について、従事できる業務が追加されます。あわせて、地域包括医療病棟と回復期リハビリテーション病棟では、専従療法士の業務の対象や位置づけに関する重要な変更も行われます。地域包括医療病棟では、2つの変更があります。1つ目は、専従療法士の業務が「ADLの維持、向上等を目的とした指導」から「ADLの維持、向上等を目的とした評価・指導」に変更されることです。「評価」が追加されたことで、指導だけでなく、患者の機能や状態を評価する業務が明確に位置づけられます。2つ目は、当該評価・指導において必要な場合に、「入院基本料等加算」「医学管理等」「生体検査料」「リハビリテーション料」のうち、療法士が行うこととして認められている業務に従事できるようになることです。なお、疾患別リハビリテーション料の上限は、引き続き1日6単位相当とされています。回復期リハビリテーション病棟でも、2つの変更があります。1つ目は、算定要件(5)の対象が変わることです。現行の「必要に応じて病棟等における早期歩行、ADLの自立等を目的とした理学療法又は作業療法」が、改定後は「当該病棟の全ての患者に対して、早期歩行、ADLの自立等を目的とした理学療法又は作業療法」に変更されます。「必要に応じて」から「全ての患者に対して」への変更は、病棟運営の方針に影響する重要な変更です。2つ目は、新設される(6)において、専従の療法士等が「入院基本料等加算」「医学管理等」「生体検査料」の業務に従事できることが明記されることです。地域包括ケア病棟では、新たに算定要件(4)が新設されます。専従療法士がADLの維持及び向上等を目的とした評価・指導を行うこと、その際に「入院基本料等加算」「医学管理等」「生体検査料」「リハビリテーション料」のうち療法士が行える業務に従事できることが規定されます。変更点4:病棟外・屋外での業務が明確に認められる病棟専従の療法士が、配置された病棟以外の場所でも業務を行えることが明確化されます。従来の規定では、病棟専従の療法士が屋外やリハビリテーション室などの病棟外で指導等を行ってよいかどうかが不明確でした。改定後は、地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟のいずれにおいても、「当該病棟の患者に対する評価・指導等は、必要に応じて、病棟外又は屋外等、配置された病棟以外の場所において実施することも可能である」と明記されます。退院に向けた屋外歩行訓練や自宅環境を想定した動作指導など、実践的なリハビリテーションの提供がしやすくなります。変更点5:入院医療管理料における専従療法士の兼任が可能に回復期リハビリテーション入院医療管理料または地域包括ケア入院医療管理料を算定する病室がある病棟では、専従療法士の兼任が可能になります。入院医療管理料は、病棟単位ではなく病室単位で算定するものです。そのため、同一病棟内に入院医療管理料を算定する病室と、別の入院料を算定する病室が混在するケースがあります。改定後は、この混在する病棟において、入院医療管理料に規定する専従療法士が、同じ病棟で届け出られている入院料の専従者を兼務できます。具体的には、回復期リハビリテーション入院医療管理料の専従PTは、同じ病棟の入院料に規定する専従者やリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の専従者を兼務できます。地域包括ケア入院医療管理料についても同様の取扱いです。この変更により、限られた療法士を効率的に配置できるようになります。まとめ令和8年度の改定では、療法士の専従要件が5つの観点から柔軟化されます。専従の従事者によるリハビリテーション以外の業務時間の実施単位数への算入、疾患別リハビリテーション料の専従療法士の業務範囲の明確化と兼任ルールの大幅緩和、病棟専従療法士への業務内容の追加と対象患者の拡大、病棟外での業務の明確化、そして入院医療管理料における兼任の容認です。特に、兼任ルールの緩和と回復期リハビリテーション病棟における「全ての患者」への対象拡大は、人員配置や病棟運営に直結する変更です。各医療機関では、自院の療法士の配置体制や届出状況を確認し、改定後の運用を早めに検討することが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の3つの見直しポイント
令和8年度診療報酬改定では、質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組を推進するため、摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が見直されます。この見直しは、「中心静脈栄養の実施が前提となっている要件では、経腸栄養や経口摂取への移行に取り組む医療機関の努力が評価されにくい」という現場の課題を踏まえたものです。今回の見直しは、大きく3つのポイントに整理できます。第1に、摂食嚥下機能回復体制加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されます。第2に、加算3の実績要件に、経腸栄養から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。第3に、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大され、入院前から中心静脈栄養で管理されていた患者や、経口摂取不可となり経腸栄養を選択した患者も算定対象となります。見直しの背景:届出・算定が伸び悩む現状摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算は、いずれも届出・算定の伸び悩みが課題となっていました。回復期リハビリテーション病棟入院料1の届出病棟のうち、摂食嚥下機能回復体制加算1または2を届け出ている施設は約13%にとどまっています。現場からは「専従の言語聴覚士の確保が難しい」という声が上がっていました。療養病棟で算定される加算3についても、届出94施設のうち約6割が算定回数ゼロでした。この背景には、実績要件が「中心静脈栄養を実施していた患者」に限定されていたことがあります。中心静脈栄養を行わない方針の施設では、そもそも実績を積むことができませんでした。経腸栄養管理加算は、令和6年度改定で新設されましたが、届出910施設のうち約9割弱が算定回数ゼロという状況でした。「入棟前の1か月間に経腸栄養が実施されていた患者は算定できない」という除外規定や、「長期間、中心静脈栄養を実施している患者」という要件が、対象患者の範囲を狭めていました。見直し①:言語聴覚士の配置要件を「専従」から「専任」に緩和第1の見直しは、摂食嚥下機能回復体制加算1・2における言語聴覚士の配置要件の緩和です。従来、摂食嚥下支援チームの構成員である言語聴覚士は「専従の常勤」が求められていました。今回の改定では、この要件が「専任の常勤」に変更されます。専従と専任の違いは、他の業務との兼務の可否にあります。専従は当該業務に専ら従事することを意味し、原則として他の業務を兼務できません。一方、専任は当該業務に主として従事しつつ、他の業務を兼務することが認められます。この変更により、言語聴覚士が摂食嚥下支援チームの業務を行いながら、疾患別リハビリテーション等の他業務にも従事できるようになります。この緩和は、限られた言語聴覚士の人材を効率的に活用することを目的としています。回復期リハビリテーション病棟では、言語聴覚士が摂食嚥下支援と疾患別リハビリテーションの両方に関与するニーズが高く、専従要件がボトルネックとなっていました。この見直しにより、加算の届出施設数の増加が期待されます。見直し②:加算3の実績要件に経腸栄養からの回復患者を追加第2の見直しは、療養病棟で算定される摂食嚥下機能回復体制加算3の実績要件の拡大です。従来の実績要件は、「中心静脈栄養を実施していた患者のうち、嚥下機能が回復し中心静脈栄養を終了した者が前年に2名以上」に限定されていました。今回の改定では、この実績に加え、経腸栄養(鼻腔栄養や胃瘻)から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。具体的には、実績要件が次のアとイの合計で2名以上に変更されます。アは、従来どおり中心静脈栄養を終了した患者です。イは、鼻腔栄養を実施していた患者または胃瘻を造設していた患者のうち、嚥下機能評価と嚥下リハビリテーション等を経て、経口摂取のみの栄養方法に回復した患者です。この見直しの背景には、中心静脈栄養を実施しない施設では実績要件を満たせないという課題がありました。経腸栄養から経口摂取への移行も、質の高い摂食嚥下機能回復の成果です。この成果を実績に含めることで、より多くの療養病棟が加算3を届出・算定できるようになります。見直し③:経腸栄養管理加算の対象患者を拡大第3の見直しは、経腸栄養管理加算の対象患者の要件変更です。この変更には、対象患者の拡大と除外規定の撤廃という2つの内容が含まれます。対象患者の要件は、次のように見直されます。アの要件は、従来の「長期間、中心静脈栄養を実施している患者」から「入院前から又は入院後2週間以上、中心静脈栄養による栄養管理を実施しており、経腸栄養への移行を目的とするもの」に変更されます。この変更により、入院前から経腸栄養を行っておらず中心静脈栄養で管理されていた患者も算定対象に含まれます。イの要件は、従来の「経口摂取が不可能となった又は経口摂取のみでは必要な栄養補給ができなくなった患者」から「経口摂取が不可能となった又は経口摂取のみでは必要な栄養補給ができなくなり、入棟後に経腸栄養を開始したもの」に変更されます。このイの要件変更により、経口摂取が不可となった場合に、適切なプロセスを経て中心静脈栄養ではなく経腸栄養を選択した場合についても算定可能であることが明確化されます。もうひとつの重要な変更は、従来あった「入棟前の1か月間に経腸栄養が実施されていた患者については算定できない」という除外規定が撤廃される点です。従来はこの除外規定があったため、入棟前にすでに経腸栄養を実施していた患者は算定対象外でした。この撤廃により、対象患者の範囲がさらに広がります。まとめ令和8年度診療報酬改定における摂食嚥下機能回復に係る見直しは、3つのポイントに集約されます。加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されること、加算3の実績要件に経腸栄養からの経口摂取回復患者が追加されること、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大されることです。いずれも、中心静脈栄養の実施を前提とした要件が現場の取組を評価しにくくしていたという課題に対応するものです。該当する医療機関は、施設基準の変更内容を確認し、届出の準備を進めることをお勧めします。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】常勤要件が週32時間から31時間に緩和|3つの対象項目と実務上の注意点
令和8年度診療報酬改定では、常勤職員の常勤要件に係る所定労働時間数が見直されます。これまで「週32時間以上」とされていた常勤の所定労働時間要件が「週31時間以上」に引き下げられます。この見直しは、一般職の国家公務員の1日当たり勤務時間(7時間45分)を踏まえたものです。今回の見直しでは、主に3つのポイントがあります。第一に、対象となる施設基準は、急性期一般入院料1等の常勤医師、有床診療所の医師配置加算、医師事務作業補助体制加算の3項目です。第二に、常勤換算の計算に用いる分母(所定労働時間の下限)は、従来どおり週32時間のまま据え置かれます。第三に、育児・介護休業法に基づく短時間勤務者の常勤要件(週30時間以上)は変更ありません。見直しの背景|公務員の勤務時間と診療報酬の常勤要件にズレがあった今回の見直しの背景には、国家公務員の勤務時間と診療報酬上の常勤要件との間に生じていた不整合があります。診療報酬の施設基準では、常勤職員の要件として、従来から「週4日以上の常態勤務」かつ「所定労働時間が週32時間以上」であることが求められてきました。この週32時間という基準は、1日8時間×週4日=32時間を根拠としています。一方、一般職の国家公務員の勤務時間は、平成20年の人事院勧告を受けて、平成21年4月1日から1日当たり8時間から7時間45分へと改定されています。この改定により、週4日勤務の公務員の所定労働時間は、7時間45分×4日=31時間となりました。この結果、公務員として週4日・31時間勤務する常勤医師が、診療報酬上の常勤要件(週32時間以上)を満たせないという問題が生じていました。とりわけ過疎地等では、退職した常勤医師を再任用職員として確保せざるを得ない状況にあり、週31時間勤務の医師が常勤として算定できないことが、地域医療の確保に支障をきたしていました。こうした状況を踏まえ、令和7年の地方分権改革に関する提案でも、常勤要件の緩和が求められていました。改定の内容|所定労働時間の要件を週32時間から週31時間に引き下げ今回の改定では、常勤職員の常勤要件に係る所定労働時間数の基準が、週32時間から週31時間に引き下げられます。対象となる施設基準は、以下の3項目です。1つ目は、急性期一般入院料1等に係る常勤医師の要件です。 急性期一般入院料1及び7対1入院基本料(特定機能病院入院基本料及び障害者施設等入院基本料を除く)に係る常勤医師の定義が、「所定労働時間が週31時間以上」に変更されます。あわせて、非常勤医師の常勤換算に関する規定が追加され、常勤職員の所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)をもって常勤1名として換算する旨が明記されます。2つ目は、有床診療所の医師配置加算に係る常勤医師の要件です。 医師配置加算の施設基準における常勤医師の定義も、同様に「所定労働時間が週31時間以上」に変更されます。この項目でも、常勤換算に関する規定が新たに追加され、所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)をもって常勤1名として換算するルールが明確化されます。3つ目は、医師事務作業補助体制加算に係る常勤職員の要件です。 医師事務作業補助者の勤務時間に関する常勤職員の定義も、「所定労働時間が週31時間以上」に変更されます。この項目では、従来から常勤換算自体は認められていましたが、今回の改定で常勤換算の計算方法が新たに明記され、所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)をもって常勤1名として換算することとされます。実務上の注意点|常勤換算の分母は週32時間のまま変わらない今回の見直しでは、常勤換算の計算方法に関して注意すべき点があります。常勤換算数を算出する際の分母となる所定労働時間の下限は、従来どおり週32時間のまま据え置かれます。つまり、常勤の「定義」は週31時間以上に緩和される一方、非常勤職員を常勤換算する際の計算式では、所定労働時間が32時間未満の場合は32時間を用いて計算します。この点を混同しないよう注意が必要です。育児・介護休業法に基づく短時間勤務者の取扱いについても確認が必要です。正職員として勤務する者が、育児・介護休業法第23条第1項、同条第3項又は同法第24条の規定による措置を受けて所定労働時間が短縮された場合は、所定労働時間が週30時間以上であれば常勤として扱われます。この週30時間の基準は、今回の改定でも変更されていません。まとめ令和8年度診療報酬改定では、常勤職員の常勤要件に係る所定労働時間数が週32時間から週31時間に引き下げられます。対象は、急性期一般入院料1等の常勤医師、有床診療所の医師配置加算、医師事務作業補助体制加算の3項目です。常勤換算の分母は週32時間のまま据え置かれるため、常勤の「定義の緩和」と「換算方法」を区別して運用する必要があります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で大幅緩和
令和8年度診療報酬改定では、医療現場の人手不足と業務効率化への対応として、感染対策向上加算等における専従要件が見直されます。今回の見直しは、専門人材が介護保険施設等への支援と院内業務をより柔軟に両立できるようにすることを目的としています。見直しの内容は、3つの柱で構成されています。第一の柱は、介護保険施設等又は指定障害者支援施設等(以下「介護保険施設等」)への助言に携われる時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されることです。第二の柱は、感染制御チーム等の専従者が所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになることです。第三の柱は、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者への外来栄養食事指導等を行えるようになることです。介護保険施設等への助言時間が月10時間から月16時間に拡大第一の柱は、専従者が介護保険施設等に赴いて助言できる時間の上限拡大です。対象となる加算は、感染対策向上加算、緩和ケア診療加算、小児緩和ケア診療加算、外来緩和ケア管理料、褥瘡ハイリスク患者ケア加算の5つです。これらの加算の施設基準では、各チームの専従者が介護保険施設等からの求めに応じて助言を行う場合、専従業務とみなすことができます。この助言に携われる時間の上限が、現行の月10時間以下から月16時間以下に引き上げられます。この拡大の背景には、介護保険施設等における専門的支援のニーズの高まりがあります。今回の時間拡大により、施設間連携がさらに促進されることが期待されます。感染制御チーム等の専従者に月16時間までの他業務従事を容認第二の柱は、専従者の業務時間が所定労働時間に満たない場合に、他業務への従事を認める仕組みの新設です。この仕組みの対象は、感染対策向上加算における感染制御チームの専従者、抗菌薬適正使用支援チームの専従者、医療安全対策加算1に規定する専従の医療安全管理者の3者です。具体的な運用方法は以下のとおりです。これらの専従者について、加算に係る業務への従事時間が所定労働時間に満たない場合には、月16時間までに限り、当該業務の実施時間以外に他の業務に従事することが認められます。なお、感染制御チームの専従者については「病院内の」他の業務と場所が限定されている一方、抗菌薬適正使用支援チームの専従者と医療安全管理者については場所の限定がない点に留意してください。感染制御チームの専従者については、この月16時間の枠と介護保険施設等への助言時間が調整される点に注意が必要です。介護保険施設等に赴いて助言に係る業務を行った時間がある場合、月16時間からその時間を差し引いた残りの時間が、院内の他業務に従事できる上限となります。この見直しの背景には、中医協での議論があります。従来、医療安全対策加算や感染対策向上加算の専従者については、加算に係る業務のない時間に実施可能な業務が明示されていませんでした。病床規模によって業務量に差があるにもかかわらず、空き時間の活用方法が不明確だったのです。今回の改定で、月16時間という具体的な基準が設けられたことで、現場の運用が明確になります。入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者の外来支援に従事可能に第三の柱は、入院栄養管理体制加算における専従管理栄養士の業務範囲の拡大です。特定機能病院入院基本料の入院栄養管理体制加算では、病棟に専従の常勤管理栄養士を1名以上配置することが求められています。今回の改定では、この専従の管理栄養士が、病棟での栄養管理業務に影響のない範囲において、当該病棟から退院した患者の外来栄養食事指導等の継続的な支援を行って差し支えないこととされます。この見直しは、入院から外来への栄養管理の切れ目ない提供を可能にするものです。従来の基準では、専従の管理栄養士は当該病棟の退院患者に対する支援であっても、病棟外での業務を行うことができませんでした。今回の改定により、入院中に把握した患者の栄養状態や食事の課題を、退院後の外来指導に直接つなげることが可能になります。まとめ令和8年度診療報酬改定における感染対策向上加算等の専従要件の見直しは、3つの柱で構成されています。第一に、介護保険施設等への助言時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されます。第二に、感染制御チーム等の専従者が所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになります。第三に、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者の外来支援を行えるようになります。いずれも医療現場の人手不足に対応し、専門人材をより柔軟に活用するための改定です。届出医療機関においては、施設基準の変更内容を確認し、運用体制の見直しを進めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】看護職員が一時的に不足しても届出不要に?施設基準の柔軟化を解説
令和8年度診療報酬改定では、看護職員の一時的な不足に対応するため、施設基準の届出に関する新たな柔軟化ルールが設けられました。医療現場の約8割が看護職員の配置に困難を感じている状況を踏まえ、平時から採用活動を行っている医療機関が突発的な事情で看護職員を確保できない場合に、届出の猶予を認める仕組みです。この柔軟化ルールのポイントは3つあります。第一に、看護要員数について暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動があった場合、最長3か月間、届出区分の変更が不要になります。第二に、この猶予を受けるには、ハローワークやナースセンターなどの公的職業紹介を活用した採用活動を平時から行っていることが条件です。第三に、猶予の適用は年1回に限られ、地方厚生局への報告義務があります。改定の背景:深刻化する看護職員不足と従来の取扱い今回の改定は、医療現場における看護職員不足の深刻化を背景としています。令和7年度の実態調査によると、入院料の施設基準を満たす看護職員の配置について、「困難を感じる」と回答した医療機関は約8割に上りました。また、令和6年度の実態調査では、勤務シフトの組み方について、すべての勤務形態で「組みにくくなった」との回答が3割を超えています。従来、看護要員数の一時的な変動に対する届出猶予は、新型コロナウイルス感染症の特例措置として運用されていました。この特例では、コロナ患者の受入れによる入院患者の急増や、職員の感染による一時的な人手不足が生じた場合に、3か月を超えない期間に限り届出区分の変更を不要としていました。この特例の期限は令和8年5月31日までとされていましたが、今回の改定で、コロナに限らず突発的な事情全般に対応する恒久的な制度として新たに規定されました。柔軟化の具体的な内容:対象となる変動と猶予期間新たに設けられた柔軟化ルールは、看護要員に関する3つの指標を対象としています。対象となる指標は、1日当たり勤務する看護要員の数、看護要員の数と入院患者の比率、そして看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率です。これらの指標について、猶予が認められる条件は2つあります。ひとつは、突発的で想定が困難な事象によるやむを得ない事情が原因であることです。もうひとつは、暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であることです。この2つの条件を満たす場合、3か月を超えない期間に限り、届出区分の変更が不要となります。ただし、この猶予の適用は1年に1回に限られます。猶予を受けるための4つの要件届出猶予の適用を受けるには、以下の4つの要件すべてに該当する必要があります。要件1:公的職業紹介の活用。ハローワーク(公共職業安定所)または都道府県ナースセンター等の無料職業紹介事業を活用して、看護職員の確保に係る取組を行っていることが必要です。なお、やむを得ない事情が生じていない平時においても、看護職員の求人を行う際にこれらを活用することが望ましいとされています。要件2:適正認定事業者の利用。民間の有料職業紹介事業者を利用する場合は、医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者認定制度による適正認定事業者を含めることが求められます。要件3:自主的な採用活動の推進。公的職業紹介を活用している場合でも、医療機関自らが採用情報をウェブサイトで公表する等、看護職員確保に積極的に取り組んでいることが望ましいとされています。要件4:看護要員の労働時間管理。一時的に看護職員を確保できない場合には、一部の看護要員へ過度な業務負担とならないよう、適正な労働時間管理を行い、体制の整備を図るよう努めることが求められます。報告の手続き:届出が不要でも報告は必要届出区分の変更は猶予されますが、地方厚生局等への報告は必要です。報告は、やむを得ない事情が生じた日の属する月の翌月までに、速やかに行わなければなりません。報告にあたっては、所定の様式に、看護職員の確保に係る取組の内容と、一時的に看護職員を確保できないやむを得ない事情を記載します。この様式には、報告する時点で有効な求人票を添付することが必要です。まとめ令和8年度診療報酬改定では、看護職員の一時的な不足に対応する施設基準の柔軟化ルールが新設されました。暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であれば、最長3か月間、届出区分の変更が不要となります。ただし、この猶予を受けるには、ハローワークやナースセンターの活用を含む平時からの採用活動が前提条件です。届出は不要でも報告義務はありますので、手続きの準備を怠らないよう注意が必要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】医師の働き方改革と診療科偏在対策|外科医処遇改善と休日等加算1の要件緩和
令和8年度診療報酬改定では、外科を中心とした診療科偏在の解消と医師の働き方改革の推進に向けて、診療報酬上の新たな評価の導入と既存の施設基準の見直しが行われます。外科医師の減少が全国的な課題となる中、処遇改善と勤務環境改善の両面から対策が講じられます。医師の働き方改革の推進と診療科偏在対策は、大きく2つの施策で構成されます。第1に、医師の働き方改革及び診療科偏在対策として、地域医療体制確保加算の2段階化、外科医療確保特別加算の新設、時間外・休日労働時間の上限基準の引下げの3つの柱が導入されます。第2に、処置及び手術の休日・時間外・深夜加算1について、チーム制の施設基準が緩和され、緊急呼出し当番の人数要件緩和、勤務間インターバルの選択肢追加、手当支給要件の整理が行われます。① 医師の働き方改革及び診療科偏在対策の推進令和8年度改定では、診療科偏在の解消と医師の働き方改革を図るため、3つの柱で対策が講じられます。第1の柱は、地域医療体制確保加算の2段階化です。 従来の加算(620点)を「加算1」とし、医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関に対して「加算2」(720点)が新設されます。加算2を算定するには、加算1の要件に加え、特定機能病院入院基本料(7対1・10対1に限る)または急性期総合体制加算の届出が必要です。さらに、消化器外科、心臓血管外科、小児外科、循環器内科のうち地域で医師確保が特に必要な「特定診療科」を3つ以内で選定し、当該診療科の医師に対する給与面での特別な配慮や、交代勤務制・チーム制の導入などの勤務環境改善に取り組むことが求められます。第2の柱は、外科医療確保特別加算の新設です。 地域の基幹的な医療機関が高度手術を実施する体制を整備し、外科医の勤務環境を改善した上で、長時間かつ高難度な手術を実施した場合に、手術の所定点数の15%を加算できます。施設基準として、対象手術の年間200例以上の実績、経験5年以上の常勤医師6名以上の配置、地域の他の医療機関との連携体制の構築が求められます。加えて、対象手術件数に応じた加算額の30%以上に相当する手当を当該診療科の医師に支給することが必要です。第3の柱は、特定地域医療提供医師等の時間外・休日労働時間の上限基準の引下げです。 令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下へと段階的に引き下げられます。この上限基準は、地域医療体制確保加算1の施設基準として位置づけられています。詳しくは、【令和8年度改定】外科医の処遇改善と診療科偏在対策の3つの柱を解説をご覧ください。② 処置及び手術の休日・時間外・深夜加算1の見直し処置及び手術に係る休日加算1、時間外加算1、深夜加算1について、チーム制の施設基準が3つの点で見直されます。令和7年度の実態調査で多くの医療機関が「算定継続が困難」と回答していた要件が緩和されます。第1に、緊急呼出し当番の人数要件が緩和されます。 現行では「医師数5名ごとに1名」の配置が必要でしたが、改定後は原則「2名以上」(医師数5名未満の場合は「1名以上」)に緩和されます。医師数に比例して当番人数が増える仕組みが見直され、配置の負担が軽減されます。第2に、勤務間インターバルが翌日休日の代替として選択可能になります。 現行では夜勤時間帯の緊急呼出し当番について翌日を休日とすることが求められていましたが、改定後は翌日休日に代えて、医療法に規定する休息時間と同様の勤務間インターバルを確保する方法を選択できるようになります。第3に、手当支給要件における緊急呼出し当番配置が整理されます。 緊急呼出し当番の配置対象が交代勤務制に限定されるとともに、対象時間帯が「休日等」から「休日又は時間外」に変更され、関連するただし書きも削除されます。なお、既届出の医療機関には令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。詳しくは、【令和8年度改定】処置・手術の休日等加算1のチーム制要件が緩和|3つの変更点を解説をご覧ください。まとめ令和8年度改定における医師の働き方改革と診療科偏在対策は、2つの施策で構成されます。医師の働き方改革及び診療科偏在対策では、地域医療体制確保加算の2段階化、外科医療確保特別加算の新設、時間外・休日労働時間の上限基準の引下げにより、外科医を中心とした処遇改善と勤務環境改善が推進されます。処置・手術の休日等加算1の見直しでは、チーム制の施設基準が緩和され、緊急呼出し当番の配置負担や翌日休日の運用負担が軽減されます。いずれの施策も、医師が働き続けられる環境の整備と、地域における医療提供体制の確保を目指すものです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】処置・手術の休日等加算1のチーム制要件が緩和|3つの変更点を解説
令和8年度診療報酬改定では、医師の働き方改革を推進する観点から、処置及び手術に係る休日加算1、時間外加算1、深夜加算1の施設基準が見直されます。令和7年度の実態調査で多くの医療機関が「算定継続が困難」と回答していたチーム制の要件が、今回の改定で緩和されます。今回の見直しは、大きく3つです。第1に、チーム制における緊急呼出し当番の人数要件が緩和されます。第2に、夜勤時間帯の緊急呼出し当番について、翌日休日に代えて「勤務間インターバルの確保」が選択肢として追加されます。第3に、手当支給要件(3)における緊急呼出し当番の配置対象が交代勤務制に限定されるとともに、対象時間帯やただし書きも整理されます。なお、既届出の医療機関には令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。変更点1:緊急呼出し当番の人数要件の緩和チーム制における緊急呼出し当番の配置人数が緩和されます。現行の要件では、「当該診療科に配置されている医師の数が5名又はその端数を増すごとに1名」の緊急呼出し当番を配置する必要がありました。たとえば、医師10名の診療科では2名の当番配置が必要でした。改定後は、「2名以上」の緊急呼出し当番を配置すればよいこととなります。ただし、当該診療科の医師数が5名未満の場合は「1名以上」で足ります。この変更により、医師数に比例して当番人数が増える仕組みが見直され、配置の負担が軽減されます。変更点2:勤務間インターバルの選択肢の追加夜勤時間帯の緊急呼出し当番に対する勤務体制として、勤務間インターバルの確保が新たに選択できるようになります。現行の要件では、夜勤時間帯に緊急呼出し当番を行った医師について、翌日を休日とすることが求められていました。当番中に診療を行わなかった場合は翌日を休日としなくてもよいとされていたものの、診療の有無は事前に予見できません。そのため、実態としては、緊急呼出し当番の翌日は常に休日として運用せざるを得ない状況でした。令和7年度の実態調査でも、「緊急呼出し当番翌日の休日対応」は算定継続が困難な要件の上位に挙げられていました。改定後は、翌日休日の要件(ウ)に加えて、勤務間インターバルの確保(エ)が新たな選択肢として設けられます。具体的には、夜勤時間帯に緊急呼出し当番を行う医師について、特定対象医師であるかどうかにかかわらず、医療法第123条第1項及び第2項に規定する休息時間と同様の休息時間を確保することが求められます。また、特定対象医師については、同条第3項に規定する休息時間の確保にも配慮することとされています。この変更により、医療機関は翌日休日(ウ)と勤務間インターバル(エ)のいずれかを選択できるようになります。変更点3:手当支給要件における緊急呼出し当番配置等の整理手当支給に関する要件(3)について、緊急呼出し当番の配置条件、対象時間帯、ただし書きの3点が整理されます。1点目は、緊急呼出し当番の配置対象の限定です。現行では、交代勤務制・チーム制のいずれを導入している場合でも、手当支給の要件として「休日等において、当該診療科に1名以上の緊急呼出し当番を担う医師を置いていること」が求められていました。改定後は、この配置要件が「(1)の交代勤務制を導入している場合」に限定されます。チーム制を導入している医療機関では、(2)の要件の中で緊急呼出し当番の配置がすでに求められているため、(3)での重複した配置要件が整理された形です。2点目は、対象時間帯の変更です。現行では緊急呼出し当番の配置が必要な時間帯は「休日等」、すなわち休日・時間外・深夜とされていました。改定後は「休日又は時間外」に変更され、深夜が対象から除かれます。交代勤務制を導入している医療機関では、深夜帯は交代勤務の中で対応する体制が前提となっているため、緊急呼出し当番の配置対象から外されたと考えられます。3点目は、ただし書きの削除です。現行では、緊急呼出し当番以外の医師が夜勤時間帯に手術を行った場合の取扱い(当直等を行っている者として数えない、特定の医師に手術が集中しないよう配慮する等)がただし書きとして詳細に規定されていました。改定後は、このただし書きが削除されます。チーム制における(3)の緊急呼出し当番配置要件が削除されたことに伴い、関連するただし書きも不要となったためと考えられます。経過措置既届出の医療機関には、経過措置が設けられます。令和8年3月31日時点で休日加算1、時間外加算1、深夜加算1の届出を行っている保険医療機関は、令和9年5月31日までの間、チーム制の新要件であるウ(翌日休日)又はエ(勤務間インターバル)を満たしているものとみなされます。まとめ令和8年度改定では、処置・手術の休日等加算1について、チーム制の施設基準が3つの点で見直されます。緊急呼出し当番の人数要件が緩和され、勤務間インターバルが翌日休日の代替として選択可能となり、手当支給要件の緊急呼出し当番配置が交代勤務制に限定されるとともに対象時間帯やただし書きも整理されます。既届出の医療機関には令和9年5月31日までの経過措置があるため、施設基準の見直しと届出の準備を計画的に進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】外科医の処遇改善と診療科偏在対策の3つの柱を解説
外科医師の減少が全国的な課題となっています。特に消化器外科や心臓血管外科などでは若手医師数の減少傾向が続いており、地域の医療提供体制に深刻な影響を及ぼしています。令和8年度診療報酬改定では、こうした診療科偏在の解消と医師の働き方改革の推進を図るため、診療報酬上の新たな評価が導入されます。今回の改定では、3つの柱で対策が講じられます。第1の柱は、地域医療体制確保加算の2段階化です。従来の加算(620点)を「加算1」とし、医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関に対して「加算2」(720点)が新設されます。第2の柱は、外科医療確保特別加算の新設です。高度な手術を実施する医療機関において、手術の所定点数の15%を加算する仕組みが創設されます。第3の柱は、特定地域医療提供医師等の時間外・休日労働時間の上限基準の引き下げです。令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下へと段階的に引き下げられます。地域医療体制確保加算の2段階化地域医療体制確保加算は、従来の1区分から2区分に再編されます。従来の要件を満たす医療機関は「加算1」(620点)を算定し、さらに医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関は「加算2」(720点)を算定できます。加算1の要件は、現行の地域医療体制確保加算と基本的に同じです。救急搬送、周産期医療または小児救急医療に係る実績を有し、病院勤務医の負担軽減・処遇改善に資する体制を整備していることが求められます。加算2の要件は、加算1の要件に加えて、入院料の届出要件と医師確保が必要な診療科に対する特別な配慮が求められます。入院料の届出要件として、特定機能病院入院基本料(7対1入院基本料及び10対1入院料に限る)または急性期総合体制加算を届け出ていることが必要です。この要件により、加算2を算定できるのは特定機能病院や高度急性期を担う医療機関に限定されます。加えて、以下の3つの要件を満たす必要があります。第1に、対象となる診療科の特定です。全国的に若手の医師数が減少傾向にある消化器外科、心臓血管外科、小児外科、循環器内科のうち、地域でも医師確保が特に必要な診療科を3つ以内で「特定診療科」として選定します。なお、消化器外科、心臓血管外科または小児外科を他の外科系診療科と区別することが困難な場合は、外科系診療科全体を2診療科として特定できます。第2に、特定診療科の医師確保に関する取組です。地域の他の医療機関との手術・高度医療の機能分化や集約に関する協議を行うこと、臨床研修終了後の研修を地域で連携して行うこと、そして特定診療科の医師に対する給与面での特別な配慮(毎月決まって支給される手当に限る)を行うことが求められます。第3に、勤務環境改善の取組です。特定診療科において、交代勤務制またはチーム制を導入した上で、次のいずれかの取組を実施する必要があります。ひとつは、医師事務作業補助体制加算を届け出た上で、当該加算で配置する医師事務作業補助者を全ての特定診療科の病棟または外来等に配置することです。もうひとつは、各特定診療科の術前術後管理等に携わる看護職員について、集中治療や術後疼痛管理等の適切な研修を修了した者を配置することです。外科医療確保特別加算の新設外科医療確保特別加算は、地域の基幹的な医療機関が高度手術を実施する体制を整備し、外科医の勤務環境を改善した上で、長時間かつ高難度な手術を実施した場合に算定できる新たな加算です。算定額は、当該手術の所定点数の15%に相当する点数です。この加算の対象となる手術は、消化器外科・心臓血管外科領域を中心とした長時間かつ高難度な手術です。対象術式は通知においてKコードで具体的に指定されており、多数の術式が対象となっています。施設基準は、以下の8項目で構成されています。第1に、対象診療科の届出です。外科医療確保特別加算を算定する診療科を届け出ていることが必要です。第2に、入院料の届出です。特定機能病院入院基本料または急性期総合体制加算を届け出ていることが求められます。第3に、手術実績です。対象となる長時間かつ高難度な手術を合わせて年間200例以上実施していることが求められます。第4に、診療科体制です。算定する全ての診療科において、当該診療科の経験を5年以上有する常勤医師を6名以上配置し、チーム制または交代勤務制を導入していることが必要です。加えて、当該診療科に配置されている常勤医師については、特定対象医師であるかどうかにかかわらず、特定対象医師について医療法で規定されているものと同様の休息時間を確保することが求められます。なお、医療法第123条第3項に規定する休息時間については、確保するよう「配慮」することとされており、努力義務として位置づけられています。第5に、地域連携体制です。地域の他の医療機関と対象手術の実施体制や術後フォローアップ体制について事前に協議し、その内容を公表するとともに患者に説明する必要があります。第6に、研修体制です。臨床研修終了後の医師を対象として、対象手術に係る診療科における研修体制が整備されていることが必要です。第7に、地域医療体制確保加算2の届出です。加算2における処遇配慮の対象に、外科医療確保特別加算を算定する診療科が含まれている必要があります。第8に、手当の支給です。対象手術件数に応じて、加算額の30%以上に相当する額を総額とする手当を当該診療科の医師に支給し、その8割以上を常勤医師に支給することが求められます。この支給内容は、院内の全ての医師に周知する必要があります。なお、この手当は地域医療体制確保加算2における処遇配慮に活用して差し支えないとされています。時間外・休日労働時間の上限基準の引き下げ特定地域医療提供医師および連携型特定地域医療提供医師の時間外・休日労働時間の上限基準は、段階的に引き下げられます。令和6年度の1,785時間以下、令和7年度の1,710時間以下に続き、令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下となります。この上限基準は、地域医療体制確保加算1の施設基準として位置づけられています。基準を超える特定対象医師がいる場合でも、その理由と改善計画を院内の見やすい場所やホームページ等で公開すれば、直ちに施設基準を満たさなくなるわけではありません。ただし、この例外的な取扱いが認められるのは、あくまで改善に向けた計画を公開している場合に限られます。なお、今回の改定では、従来の施設基準通知で「対象医師」としていた名称が「特定対象医師」に変更されています。まとめ令和8年度診療報酬改定における医師の働き方改革・診療科偏在対策は、3つの柱で構成されています。地域医療体制確保加算の2段階化により、特定機能病院や高度急性期を担う医療機関のうち、医師確保が困難な診療科への特別な配慮を行う医療機関が新たに評価されます。外科医療確保特別加算の新設により、高度手術を担う外科医の処遇が改善されます。時間外・休日労働時間の上限基準の引き下げにより、医師の働き方改革がさらに推進されます。これらの対策を通じて、外科を中心とした診療科偏在の解消と、地域における医療提供体制の確保が図られます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】看護・多職種協働加算を新設|急性期病棟の多職種連携が点数化
令和8年度診療報酬改定では、急性期病棟における多職種協働の取り組みを新たに評価する「看護・多職種協働加算」が新設されます。この加算は、生産年齢人口の減少により医療従事者の確保が難しくなる中でも、重症度の高い高齢者等に専門的な治療やケアを提供し、ADLの維持・向上を図ることを目的としています。看護・多職種協働加算のポイントは3つです。第一に、対象は急性期一般入院料4と急性期病院B一般入院料のうち、急性期一般入院料1と同等の重症度を満たす病棟です。第二に、看護配置基準を超えて多職種を配置し、専門性を発揮しながら協働する体制が要件となります。第三に、点数は加算1が277点(1日につき)、加算2が255点(1日につき)です。加算の対象と点数看護・多職種協働加算は、急性期一般入院料4を算定する病棟と急性期病院B一般入院料を算定する病棟が対象です。いずれも急性期一般入院料1と同等の重症度、医療・看護必要度を満たす病棟に限定されます。対象病棟のうち、急性期一般入院料4を算定する患者には「看護・多職種協働加算1」として277点(1日につき)が算定できます。急性期病院B一般入院料を算定する患者には「看護・多職種協働加算2」として255点(1日につき)が算定できます。配置要件:看護職員を含む25対1配置この加算の配置要件では、看護配置基準を超えて職員を追加配置することが求められます。具体的には、患者に指導および診療の補助を行う看護職員と他の医療職種を合わせて、常時、入院患者25人に対して1人以上の配置が必要です。追加で配置する職種は、看護職員、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、管理栄養士、臨床検査技師のいずれかです。看護職員をさらに手厚く配置する方法でも、他の医療職種を組み合わせる方法でも要件を満たせます。いずれの場合も、各職種が専門性に基づいて業務を行う体制を整備しなければなりません。施設基準の主な要件施設基準では、配置要件に加えて、患者の重症度や病院の機能に関する複数の要件が定められています。ここでは、主な要件を整理します。重症度、医療・看護必要度については、2つの基準から選択できます。必要度Ⅰを用いる場合は、特に高い基準を満たす患者割合の指数が28%以上、かつ一定程度高い基準を満たす患者割合の指数が35%以上です。必要度Ⅱを用いる場合は、特に高い基準を満たす患者割合の指数が27%以上、かつ一定程度高い基準を満たす患者割合の指数が34%以上です。ただし、必要度Ⅱを用いるには、診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備されていなければなりません。在院日数と退院先の要件も設けられています。平均在院日数は16日以内であることが求められます。自宅等に退院する患者の割合は、退院患者全体の80%以上でなければなりません。医師の配置基準として、常勤医師の員数が入院患者数の10%以上であることが必要です。このほか、急性期医療を担う病院であること、各医療職種が専門性に基づいて業務を行う体制が整備されていること、医療従事者の負担軽減と処遇改善に資する体制が整備されていることも求められます。背景と狙い:人口減少時代の病棟運営モデル看護・多職種協働加算が新設された背景には、生産年齢人口の減少による医療従事者確保の制約があります。従来の「看護師のみで病棟配置を厚くする」というモデルでは、人材確保が困難になりつつあるのが現状です。この加算は、看護職員と他の医療職種が協働するという新しい病棟運営モデルを提示しています。たとえば、理学療法士や作業療法士が病棟に配置されることで、高齢の入院患者に対してADLの維持・向上を目的とした早期介入が可能になります。管理栄養士が配置されれば、栄養管理の観点から患者の回復を支援できます。臨床検査技師が配置されれば、検査データに基づくタイムリーな状態把握に貢献できます。このように、各職種の専門性を活かした介入によって、患者のアウトカム向上と看護職員の負担軽減の両立を目指しています。まとめ令和8年度改定で新設される看護・多職種協働加算は、急性期一般入院料4および急性期病院B一般入院料の病棟のうち、急性期一般入院料1相当の重症度を満たす病棟が対象です。加算を算定するには、看護職員を含む25対1配置と、重症度基準・在院日数・退院先割合などの施設基準を満たす必要があります。この加算は、人口減少時代において多職種の専門性を活かした協働により、患者のADL維持・向上と医療従事者の負担軽減を両立させる新たな病棟運営モデルを示しています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】ICT・AI・IoT活用で変わる4つの業務効率化|看護配置から事務簡素化まで
令和8年度診療報酬改定では、医療従事者の人材確保と働き方改革を推進するため、ICT・AI・IoT等の利活用による業務効率化が大きく進みます。この改定は、看護現場の人手不足や医師の事務負担、煩雑な届出業務など、医療機関が長年抱えてきた課題に対応するものです。本記事では、個別改定項目「Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進」に含まれる4つの改定項目の全体像を解説します。今回の改定では、4つの分野で業務効率化が図られます。第1に、ICT機器の活用により看護配置基準が1割以内で柔軟化されます。第2に、生成AIの導入により医師事務作業補助者の配置人数が最大1.3人換算で算入可能となります。第3に、各種様式の統一や届出のオンライン化など事務の簡素化・効率化が進みます。第4に、様式9の勤務時間算入要件が追加され、小数点処理も統一されます。① ICT等の活用による看護業務効率化の推進ICT機器を組織的に活用した病棟では、看護職員の配置基準が1割以内で柔軟化されます。見守り・記録・情報共有の3領域すべてにICT機器を導入した病棟が対象であり、看護職員の配置数や看護師比率が基準の9割以上であれば、入院基本料等の所定点数を算定できます。3領域のICT機器とは、具体的には以下の3つです。「見守り」の領域では、病室のカメラやベッドのセンサー等を活用して遠隔で複数の患者の状態を把握できる機器が求められます。「記録」の領域では、音声入力による看護記録の作成や電子カルテからの自動サマリー生成など、記録作成を効率化する機器が求められます。「情報共有」の領域では、ハンズフリーで複数人と同時通話できる機器やリアルタイムに情報共有できる端末が求められます。ICT機器の導入に加えて、超過勤務が月平均10時間以下であることや、導入前後の業務量評価を年1回実施することなど、複数の施設基準を満たす必要があります。対象となる入院料は、急性期一般入院料1〜6をはじめ20種類に及びます。▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】ICT活用で看護配置基準を1割以内で柔軟化|3つの必須機器と施設基準を解説② 医師事務作業補助体制加算の見直し生成AIを含むICT機器を組織的に導入した医療機関では、医師事務作業補助者1人を最大1.3人として配置人数に算入できるようになります。あわせて、医師事務作業補助者の業務範囲も具体的に明確化されます。配置人数の割増算入は、活用するICT機器の種類と範囲に応じて2段階に分かれます。1.2人換算は、生成AIを活用した文書作成補助システムの導入を含む4つの要件をすべて満たした場合に認められます。1.3人換算は、生成AIシステムに加えて、医療文書用の音声入力システム(汎用音声入力機能を除く)・RPAによる定型作業の自動化・10種類以上の患者向け説明動画のうち1種類以上を広く活用している場合に認められます。ICT活用による柔軟化を届け出る場合は、直近3か月以上の実績要件を満たしたうえで、年1回の効果評価が義務づけられます。また、業務範囲の明確化として、文書作成補助の対象文書名や代行入力の対象項目が具体的に列挙されました。▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】生成AI活用で医師事務作業補助者1人が1.3人分に?配置基準の柔軟化を解説③ 医療機関等における事務等の簡素化・効率化医療DXへの対応と事務負担の軽減を目的として、5つの分野で簡素化が進みます。各種様式の共通項目の記載統一、入院診療計画書等の様式簡素化と署名・押印の廃止、施設基準届出の様式削減とオンライン化の推進、定例報告の対象限定と添付書類の省略、歯科診療報酬における事前承認対象の縮小です。各種様式の統一では、診療報酬改定DX対応方針の一環として作成された76様式のデータテーブルを活用し、共通項目の標準化が進められます。入院診療計画書については、入院前の外来での説明を入院後7日以内と同様に取り扱えるようになるほか、短期入院の場合に計画策定・文書交付を省略できるようになります。署名・押印も代替方法で担保できるものは廃止されます。施設基準届出のオンライン化は令和10年度の全届出オンライン化に向けて進められており、届出様式の削減と記載項目の最小化が図られます。定例報告も他に代替方法がないものや次期改定に必要なものに絞り込まれます。▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】医療機関の事務負担が変わる5つの簡素化ポイント④ 様式9の見直し入院基本料等の届出に使用する様式9について、勤務時間の算入要件が2つ追加され、小数点以下の処理方法も統一されます。いずれも、入院患者の看護に影響のない範囲で病棟勤務時間に算入できる内容を見直すものです。1つ目の追加は、院内の緊急対応に係る勤務時間の算入です。保険医療機関内で生じた不測の事象に対応するため、病棟の看護要員が自病棟の入院患者以外の患者に日常の診療の延長として短時間対応した場合、病棟勤務時間に算入できるようになります。2つ目の追加は、病棟外での付き添い看護に係る勤務時間の算入です。入院患者に付き添って病棟外で一時的に看護を行った場合も、勤務時間に算入できるようになります。小数点以下の処理方法については、従来は項目によって「切り上げ」「第2位以下切り捨て」「第3位以下切り捨て」と不統一でした。今回の改定では、可能な限り処理方法が統一されるとともに、注意事項の記載が整理されます。▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】様式9の見直し|勤務時間の算入要件が2つ追加、小数点処理も統一へまとめ令和8年度診療報酬改定における「業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進」では、4つの分野で改定が行われます。第1に、3領域のICT機器の導入により看護配置基準が1割以内で柔軟化されます。第2に、生成AIの活用により医師事務作業補助者の配置人数が最大1.3人換算となります。第3に、様式統一・署名廃止・オンライン届出など5つの分野で事務の簡素化が進みます。第4に、様式9の勤務時間算入要件の追加と小数点処理の統一が行われます。いずれもICT・AI・IoT等の活用を前提とした業務効率化であり、医療機関は自院の状況に応じて計画的な導入と施設基準の確認を進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】様式9の見直し|勤務時間の算入要件が2つ追加、小数点処理も統一へ
令和8年度診療報酬改定では、入院基本料等の施設基準に係る届出書添付書類「様式9」が見直されます。様式9は、看護要員の必要数・配置数を算出するために使用する書類であり、その作成が煩雑であるとの指摘がありました。今回の改定では、医療現場の実態を踏まえ、業務の簡素化の観点から見直しが行われます。見直しの内容は大きく3つあります。いずれも、入院患者の看護に影響のない範囲で病棟勤務時間に算入できる内容を見直すものです。第一に、院内で生じた緊急対応のために当該病棟の入院患者以外の患者に短時間対応した場合を、病棟勤務時間に算入できるようになります。第二に、入院患者に付き添って病棟外で一時的に看護を行った場合も、勤務時間に算入できるようになります。第三に、小数点以下の処理方法を含む注意事項の記載が整理されます。様式9とは何か様式9は、入院基本料等の施設基準に係る届出書の添付書類です。医療機関が入院基本料や特定入院料を届け出る際に、看護要員の配置数や勤務実績を報告するために使用します。様式9で報告する事項は多岐にわたります。具体的には、1日平均入院患者数、月平均1日当たり看護職員配置数、看護職員中の看護師の比率、平均在院日数、月平均夜勤時間数などを記載します。この様式9は、適時調査においても事前提出書類とされており、施設基準との整合性を確認するために用いられます。様式9の作成が煩雑になっている背景には、勤務時間として算入・除外するものが通知や疑義解釈の様々な箇所に規定されている事情があります。たとえば、病棟内勤務中に短時間のオンライン研修を受講した場合は勤務時間から除外する必要があるなど、判断が複雑になる場面が生じています。さらに、看護要員等の算出における小数点以下の処理方法が項目によって異なっているため、計算ミスのリスクも指摘されていました。見直し①:院内の緊急対応を病棟勤務時間に算入可能へ1つ目の見直しは、院内で発生した緊急対応に係る勤務時間の算入です。入院患者の看護に影響のない範囲で、保険医療機関内で生じた緊急対応等の不測の事象に対応するため、病棟内の看護要員が当該病棟に入院中の患者以外の患者に対して、日常の診療の延長として必要な対応を短時間行った場合は、病棟内として勤務時間数に算入してよいこととされます。この見直しは新設規定です。従来は、病棟の看護要員が自病棟の患者以外に対応した場合、その時間を病棟勤務時間に算入してよいかが明確ではありませんでした。今回の改定では、「日常の診療の延長として」「短時間」という要件のもとで算入を認めることにより、医療現場の実態に即した取扱いが可能となります。見直し②:病棟外での付き添い看護を勤務時間に算入可能へ2つ目の見直しは、入院患者への病棟外での付き添い看護に係る勤務時間の算入です。入院患者の看護に影響のない範囲で、病棟内の看護要員が当該病棟に入院中の患者に付き添い、病棟外において一時的に看護を行った場合は、勤務時間数に算入してよいこととされます。この見直しも新設規定です。入院患者が検査や処置のために病棟外へ移動する際に看護要員が付き添うことは、日常的に発生する業務です。従来、この付き添い時間の取扱いは明確に示されていませんでしたが、今回の改定で算入可能であることが明文化されます。見直し③:小数点以下の処理方法を含む注意事項の整理3つ目の見直しは、小数点以下の処理方法を含む注意事項の記載の整理です。従来の様式9では、項目によって小数点以下の処理方法が異なっていました。たとえば、1日平均入院患者数は「小数点以下切り上げ」、月平均1日当たり看護職員配置数は「小数点以下第2位以下切り捨て」、主として事務的業務を行う看護補助者配置数は「小数点第3位以下切り捨て」といった具合です。この処理方法の不統一は、様式9の作成を煩雑にする要因のひとつでした。今回の改定では、小数点以下の処理を可能な限り統一するとともに、注意事項の記載が整理されます。まとめ令和8年度診療報酬改定による様式9の見直しは、入院患者の看護に影響のない範囲で勤務時間に算入できる内容を見直すとともに、注意事項の記載を整理するものです。第一に、院内の緊急対応で当該病棟の入院患者以外の患者に短時間対応した場合の勤務時間の算入が認められます。第二に、入院患者に付き添って病棟外で一時的に看護を行った場合の勤務時間の算入が認められます。第三に、小数点以下の処理方法を含む注意事項の記載が整理されます。これらの見直しにより、医療現場の実態に即した勤務時間の取扱いが可能となるとともに、様式9の作成に係る事務負担の軽減が期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】医療機関の事務負担が変わる5つの簡素化ポイント
令和8年度診療報酬改定では、医療DXへの対応と業務の簡素化を図る観点から、診療に係る様式や届出・報告の仕組みが大きく見直されます。この見直しは、医療機関の現場で長年課題とされてきた事務負担の軽減を目的としています。本記事では、個別改定項目「Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進―③ 医療機関等における事務等の簡素化・効率化」の内容を解説します。今回の改定では、5つの分野で簡素化が進みます。第1に、各種様式の共通項目の記載が統一されます。第2に、入院診療計画書をはじめとする計画書の様式簡素化と署名・押印の廃止が行われます。第3に、施設基準の届出様式の削減とオンライン化が推進されます。第4に、地方厚生局等への定例報告が必要最小限に限定されます。第5に、歯科診療報酬における事前承認の対象が縮小されます。1. 各種様式の共通項目の記載統一医療DXへの対応を見据え、既存の様式も含めた各種様式の共通項目について、可能な範囲で記載の統一が図られます。現在、診療報酬算定に係る留意事項通知で示す各種様式には、生年月日や要介護度などの共通項目が含まれています。しかし、これらの共通項目は様式ごとに記載方法が異なっており、統一されていませんでした。今回の改定では、診療報酬改定DX対応方針の一環として作成された76様式のデータテーブルを活用し、共通項目の標準化が進められます。この標準化により、将来的な「標準様式のアプリ化とデータ連携」への対応が容易になります。2. 計画書の様式簡素化と署名・押印の廃止入院診療計画書のような業務負担の大きい計画書について、様式の簡素化や運用の見直しが行われます。あわせて、各種様式の署名または記名・押印のうち、代替方法で担保できるものは廃止されます。入院診療計画書については、2つの運用変更が行われます。ひとつは、入院前の外来で文書を提供し説明した場合でも、入院後7日以内に行ったものと同様の取扱いとなる点です。もうひとつは、入院期間が2日以内と見込まれる場合や、3日以上の入院予定が2日以内となった場合に、診療に支障がないと認められる患者に対しては、総合的な入院診療計画の策定と文書による説明・交付を省略できる点です。この場合は、診療録にその旨を記載します。署名・押印については、医師および患者等の署名が不要となります。署名がない場合は、説明日および説明者を診療録に記載する運用に変わります。署名がある場合は、従来どおり説明日・説明者の記載は不要です。また、入院診療計画書の様式から本人・家族の署名欄が削除されます。この見直しの背景には、令和7年度の入院・外来医療等における実態調査があります。同調査では、簡素化の必要性がある業務として「計画書作成」が施設・病棟のいずれでも最多でした。病棟では「患者や家族等による署名・記名押印」も45.1%と高い割合を示していました。規制改革推進に関する答申でも、医療機関等の負担軽減の観点から署名・押印を不要とすることの検討が求められていました。3. 施設基準届出の様式削減とオンライン化の推進施設基準等届出のオンライン化が引き続き進められます。あわせて、円滑なオンライン化のために、届出様式の削減や届出項目の最小化が行われます。施設基準等届出(令和6年度改定時:約1,100件)のオンライン化は、令和4年4月から段階的に実施されてきました。令和6年度までに116件、令和7年度には新たに210件が追加され、合計326件のオンライン化が予定されています。今後も令和10年度の全届出オンライン化に向けて改修が進められる計画です。今回の改定では、オンライン化を円滑に進めるため、届出様式そのものの削減と記載項目の最小化が図られます。これにより、紙での届出からオンライン届出への移行がスムーズになることが期待されます。4. 定例報告の限定と添付書類の省略施設基準等の適合性や診療報酬に関する実績を確認するために毎年求めている報告様式について、対象が限定されます。具体的には、他に代替方法がないものや次期報酬改定に必要なものに絞り込まれるとともに、添付書類の省略等の簡素化が図られます。現行制度では、施設基準の届出を行った保険医療機関は、毎年8月1日現在で適合性を自己点検し、その結果を地方厚生(支)局に報告する義務があります。この報告には、厚生労働省への提出様式(全32様式)や地方厚生局への提出様式(病院33様式、有床診療所15様式など)が含まれ、大量の書類作成が必要でした。しかし、適合性や実績の確認には、適時調査やDPCデータ、NDBデータなど他の把握方法も存在します。今回の改定では、こうした代替手段を活用し、報告の対象を真に必要なものに絞ることで、医療機関の事務負担が軽減されます。5. 歯科診療報酬における事前承認対象の縮小歯科診療報酬において保険適用の事前承認を求めている項目のうち、通知等で明確化されているものが事前承認の対象から除外されます。現行制度では、一定のブリッジや小児義歯を保険適用する場合、あらかじめ理由書や模型、エックス線フィルム等を地方厚生(支)局長に提出し、保険適用の判断を求める必要がありました。今回の改定では、この事前承認制度について2つの変更が行われます。ひとつは、クラウン・ブリッジ維持管理料に関する変更です。装着日から2年以内に外傷や腫瘍等によりやむを得ず抜歯しブリッジを製作する場合、従来は事前に理由書等を厚生局に提出する必要がありました。改定後は、診療報酬明細書の摘要欄に算定の理由を記載する運用に簡素化されます。また、やむを得ない抜歯の除外事由について、従来の「歯周病が原因である場合」に加え、「う蝕」および「根尖性歯周炎」が原因である場合も除外対象に追加されます。もうひとつは、小児義歯に関する変更です。先天性疾患以外の疾患で小児義歯を適用する場合の事前承認が不要となります。改定後は、診療録および診療報酬明細書に小児義歯が必要となった理由を記載する運用に変わります。あわせて、小児義歯の範囲から小児保隙装置(可撤式保隙装置に限る)が除外される旨が明確化されます。まとめ令和8年度診療報酬改定における事務等の簡素化・効率化は、5つの分野で進められます。各種様式の共通項目の記載統一、入院診療計画書等の様式簡素化と署名・押印の廃止、施設基準届出の様式削減とオンライン化の推進、定例報告の対象限定と添付書類の省略、歯科診療報酬における事前承認対象の縮小です。いずれも、医療DXへの対応と医療従事者の事務負担軽減という2つの目的を踏まえた見直しです。各医療機関においては、改定内容を確認し、運用の変更に備える必要があります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
【令和8年度改定】生成AI活用で医師事務作業補助者1人が1.3人分に?配置基準の柔軟化を解説
令和8年度診療報酬改定では、医師の働き方改革とICT活用の推進を背景に、医師事務作業補助体制加算の施設基準が見直されます。生成AIやRPAなどのICT機器を組織的に導入した医療機関では、医師事務作業補助者の人員配置基準が柔軟化されます。あわせて、医師事務作業補助者が実施できる業務範囲も明確化されます。今回の見直しのポイントは3つです。第1に、生成AIを含むICT機器の活用により、医師事務作業補助者1人を最大1.3人として配置人数に算入できるようになります。第2に、文書作成補助や代行入力など、医師事務作業補助者の業務範囲が具体的に明示されます。第3に、ICT活用による配置基準の柔軟化を届け出る場合は、導入前後の効果を年1回評価する義務が課されます。ICT活用による配置人数の算入方法今回の改定の最大の変更点は、ICT機器を活用する医療機関において、医師事務作業補助者の配置人数を割り増しで算入できる仕組みが新設されることです。この仕組みでは、活用するICT機器の種類と範囲に応じて、1人あたり1.2人または1.3人として算入できます。1.2人換算が認められるには、以下のアからエまでの4つの要件をすべて満たす必要があります。アの要件は、生成AIを活用した文書作成補助システム(①)を含むICT機器を組織的に導入し、大半の医師と医師事務作業補助者が日常的に活用することで、業務の効率化が顕著に図られていることです。この生成AIシステムは、退院時要約・診断書・紹介状等の原案作成を自動的に行い、業務を大幅に効率化するものでなければなりません。イの要件は、電子カルテ等と連動するICT機器について、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等に準拠していることです。ウの要件は、生成AI等を用いる製品・サービスについて、「AI事業者ガイドライン」が遵守されていることです。エの要件は、すべての医師事務作業補助者にICT機器の操作方法と生成AIの適切な利用に関する研修を実施し、常時ICT機器を用いて業務を遂行できる体制を整備していることです。1.3人換算は、上記の生成AIシステムに加えて、さらに別のICT機器を広く活用している場合に認められます。追加で活用するICT機器には、医療文書用の音声入力システム(汎用音声入力機能を除く)、RPAによる定型入力作業の自動化、10種類以上の患者向け説明動画の3種類があります。これら3種類のうち、少なくとも1種類以上を広く活用していれば、1.3人換算が可能です。届出と運用に関する要件ICT活用による配置基準の柔軟化を届け出るには、前述のアからエの要件に加え、実績要件と効果評価の義務を満たす必要があります。実績要件として、新たに届け出る場合は、直近3か月以上にわたり、ICT活用なしの配置基準で当該配置区分またはそれを上回る配置区分を算定し続けていることが求められます。つまり、まず従来の基準で実績を積んだうえで、ICT活用による柔軟化を届け出る流れになります。効果評価の義務として、年1回程度の定量的または定性的な評価の実施が求められます。具体的には、ICT機器の導入前後における医師事務作業補助者の業務内容・業務量・業務時間、および医師の事務作業時間・負担感等を評価します。この評価結果は、衛生委員会等で確認し、必要に応じて対策を講じなければなりません。業務範囲の明確化今回の改定では、医師事務作業補助者が実施できる業務の範囲がより具体的に明示されました。この明確化は、現場での業務運用を円滑にすることを目的としています。文書作成補助の範囲は、従来の「診断書等の文書作成補助」から具体的な文書名が列挙されました。改定後は、診断書・診療情報提供書・返信・診療サマリー・診療計画書等の文書作成補助と明記されています。代行入力の範囲も、従来の「診療記録への代行入力」から詳細に記載されました。改定後は、診療記録・検査オーダー・食事オーダー・クリニカルパス・地域連携パスへの代行入力と具体的に示されています。そのほかの業務でも記載が充実しています。患者・家族への説明文書の準備・作成が新たに明記されたほか、診療録・画像検査結果等の整理、院内がん登録等の統計・調査・入力作業といった業務も具体的に示されました。常勤要件の変更配置基準の柔軟化とあわせて、医師事務作業補助者の常勤要件にも小幅な変更があります。従来は常勤職員の定義が「週32時間以上」でしたが、改定後は「週31時間以上」に緩和されました。この変更に関連して、常勤換算の計算方法も改定案で明記されています。常勤換算の際は、「当該保険医療機関における常勤職員の所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)」の勤務をもって常勤1名として換算します。週31時間への緩和は常勤職員の定義に関するものであり、常勤換算の基準時間とは区別して理解する必要があります。まとめ令和8年度改定では、医師事務作業補助体制加算に3つの重要な変更が加わります。第1に、生成AIを含むICT機器の組織的活用により、医師事務作業補助者1人を最大1.3人として配置人数に算入できるようになります。第2に、文書作成補助や代行入力の業務範囲が具体的に明確化されます。第3に、ICT活用による柔軟化を届け出る場合は、年1回の効果評価が義務づけられます。生成AIの導入が必須要件となっている点は、今後の医療機関のICT投資計画に大きく影響するため、早めの検討をおすすめします。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe
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思ったら即アウトプットするプログラマー
この番組はエンジニアの「もっさん」が日々思ったことを1トピック1エピソードでコンパクトに話す番組です。 ※ 2024/6/27に「みるみる積もる!積読術」からタイトル変更しました ●【Twitter @mossan_hoshi】 ●【Youtube @mossanhoshi7158】 ●【オライリー本サブスクについて】 https://zenn.dev/mossan_hoshi/articles/20230128_oreilly_learning ●【積読本リスト】 https://1drv.ms/x/s!AqxcPJT01sLlgdsJJ2-wA9mRn1dimA?e=uvyGdD ●【Zenn @mossan_hoshi】 ●【Qiita @mossan_hoshi】