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2025-11-18 04:46

医療DXと病院DXの違いとは?成功の鍵となる3つのRを解説

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国はマイナンバーカードと健康保険証の一体化や全国医療情報プラットフォームの構築など、データヘルス改革として医療DXを推進しています。この医療DXは、患者にもメリットがありますが、それ以上に行政や財政の効率化を目的としています。一方で、病院が取り組むべきDXは、医療の質向上と組織の効率化という異なる目的を持ちます。全日本病院協会の会長である神野正博氏は、この違いと病院DXを成功させるための本質を解説しています。

病院DXの本質は、医療の質向上と病院組織の効率化にあります。国が推進する医療DXは、マイナンバーカードと健康保険証の一体化、診療報酬改定DXなど、行政・財政の効率化が中心です。病院DXを成功させるには、リデザイン(業務の仕組みをゼロから見直す)、リダクション(不要な業務の削減)、リスキリング(スキルの見直しとキャリアチェンジ)という三つのRが必要です。外部からDX人材を募集することはもちろん重要ですが、それだけでなく、既存のスタッフに学習の機会を提供し、キャリアチェンジを促すことが重要です。

医療DXと病院DXの目的の違い

国が推進する医療DXは、患者にもメリットがありますが、それ以上に行政や財政の効率化を目的としています。マイナンバーカードと健康保険証の一体化が進められています。全国医療情報プラットフォームの構築では、いくつかの文章や情報を、どこの病院・医療機関にかかっても見えるようにすることが目指されています。診療報酬改定DXでは、2年に1回の改定の度に発生する膨大な作業に対し、非常に負担がかかるという課題に対応するため、国がシステムを作っていく流れです。

これらの医療DXに対し、病院の現場では、それ以上に病院DXに注力する時代になりつつあります。病院DXの主戦場は、医療の質を良くすること、患者の安全のため、チームや地域の連携のため、業務効率・生産性アップのため、働き方改革のためにあります。医療の質向上と病院組織の効率化が本質です。

病院にとってのDXのゴールは、技術ではなく、信頼と安心の再構築です。医療DXには対応しつつも、病院は病院DXに注力することが求められています。

病院DXを成功させる三つのR

病院DXを成功させるには、リデザイン、リダクション、リスキリングという三つのRが重要です。これらは医療分野だけでなく、他の業界でも共通して重要な要素です。

第一のRであるリデザインは、仕事のやり方そのもの、仕組みそのものを変えることを意味します。DXは業務のやり方や仕組みをゼロから見直し、業務組織を改革することが必要です。単に既存の業務をデジタル化するだけでなく、業務そのものを変革することが求められます。

第二のRであるリダクションは、やめること、削減すること、減らすことを指します。現在の医療は、質の向上と高回転(短い日数で治さなければならない)が求められています。働き方改革も進み、質をよくしなければならないという課題もあります。これらすべてをやろうと思っても、もう回っていかない状況です。捨てる覚悟、業務削減、仕事の棚卸は必須です。

第三のRであるリスキリングは、スキルの見直しを意味します。業務を見直し、キャリアを変えることも必要になります。DXを進めるには、このようなスキルの見直しとキャリアチェンジの視点が不可欠です。

DX人材の育成とキャリアチェンジの可能性

DX人材はすべての業界で不足しています。外部に向かってDX人材を募集することは、もちろんとても大事です。しかし、それだけではなく、今いる人の中で、パソコンが得意な方に学習の機会を与えることによって、キャリアを変えていただくことも有効です。

医療の場合、看護師でパソコンが得意な人がいるならば、その看護の技術や医療の知識をもとにして、DX人材になっていただくことが考えられます。これがまさにキャリアチェンジです。このような人材育成の視点を持ちながらDXを進めていくことが重要です。

看護の技術や医療の知識を持つ人材がDX人材になることで、現場のニーズを理解したシステムやツールの導入が可能になります。外部からの採用と内部からの育成を組み合わせることで、病院DXを効果的に推進できます。

まとめ

病院DXの本質は、医療の質向上と組織の効率化にあります。国の医療DXは行政・財政の効率化が中心ですが、病院は医療DXに対応しつつも、それ以上に病院DXに注力する時代になりつつあります。リデザイン、リダクション、リスキリングという三つのRを実践し、外部からのDX人材募集だけでなく、今いるスタッフに学習の機会を提供してキャリアチェンジを促すことが重要です。DXのゴールは技術ではなく、信頼と安心の再構築です。



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サマリー

医療DXと病院DXの違いを理解することは、現場の混乱を避ける鍵です。成功のためには、リデザイン、リダクション、リスキリングの3つのRが重要であり、これらを通じて信頼と安心を再構築することが求められています。

医療DXと病院DXの違い
国は医療DXをどんどん推進していますけど、あなたが共有してくださった資料を読むとですね、多くの病院がその流れに乗ろうとして、
かえって現場を混乱させているという実態が見えてきます。 なぜそんなことが起きるのか。
実は、医療DXと病院DX、これ似てるようで全くの別物だと、この決定的な違いを理解することが今回の探求のミッションです。
まさにその通りで、混乱の根源はその目的の違いにあるんですよ。
目的ですか。
はい。国の進める医療DXっていうのは、マイナンバーカードの保険証利用とか、あとは全国の医療情報プラットフォームの構築とかが中心じゃないですか。
はいはい、よく聞きますね。
これはいわば国全体の行政とか財政を効率化するためのインフラ整備なんです。
もちろん患者さんにもメリットはあるんですけど、主役はあくまで国の仕組みなんですよね。
なるほど。国が作っているのはデータを流すための高速道路のようなもので、病院は自分たちでその道路をどう使いこなすか、つまり病院DXを考えなければいけないとそういうことですね。
一方で病院DXの目的っていうのはもう完全に現場にあるんです。医療の質を高めて患者さんの安全を守る、職員の働き方を改善する、主役は患者と医療従事者なんです。
この目的の違いを履き違えて、国が用意したツールをただ導入するだけで満足しちゃうと、結果的に現場が混乱するだけっていう事態に陥るわけです。
成功のための3つのR
では、その病院DXを成功させるにはどうすればいいのか。ここで資料が強調しているのが3つのRという考え方ですね。
その通りです。成功の鍵はリデザイン、リダクション、リスキリングの3つですね。まずリデザイン、再設計ですが、これは単に紙の紋身表をタブレット入力に変えるとかそういう話ではなくて、患者さんの負担がリダクション、つまり削減できるかもしれない。
なるほど。こうしてリデザインとリダクションはすごく密接につながってるんですね。
でも現場の医師とか看護師からすれば、ただでさえ忙しいのに今までのやり方を全部見直せって言われても、みたいな反発はありませんか。まずは手軽にできるデジタル化から始める方が現実的だっていう意見もありそうですけど。
いい指摘ですね。だからこそ2つ目のリダクションがものすごく重要になります。
はい。
これは言わば辞める勇気なんですよ。資料によると多くの現場では、昔からやっているからっていう理由だけの会議とか報告書が山積みになっているそうなんです。
あー、ありそうですね。
DXは何か新しいことを足す前に、まず何を引くかを見極めることから始めるべきだと。何かを辞めることで初めて新しいことに挑戦する時間が生まれるんです。
なるほど。捨てる覚悟ですか?そしてそうして生まれた時間で取り組むのが3つ目のリスキリングにつながるわけですね。
これが特に興味深いんですが、単なるスキルアップじゃなくてキャリアチェンジを促すとありますね。
ええ。そして資料が指摘する面白い点が、多くの病院が外部のITコンサルタントに頼って失敗する理由なんです。
と言いますと?
彼らは医療の現場をやっぱり知らない。だからこそ、内部の例えばパソコンが得意な看護師とか事務スタッフをリスキリングする方が結果的に近道になると。
これは知識の逆輸入とも言えるかもしれない。
医療知識を持った人がDX人材になる。確かにそれなら現場に本当に役立つシステムが作れそうですね。
まさに、外部の専門家が持つITシキルと内部の人間が持つ医療現場の知見、この2つが融合して初めて本物の病院DXが実現できるんです。
つまり病院DXの本質っていうのは、高価なシステムを導入することじゃなくて、この3つのRを通じて業務と人を見直して、最終的には失われつつある信頼と安心を再構築することにあると。
技術はゴールではなくて、あくまでそのための手段なんですね。
そういうことです。特にリスキリングで内部の人材を育てるっていう視点は単なるコスト削減じゃないんです。
組織の文化を変えて持続可能な変革を生むための最も重要な投資と言えるでしょうね。
最後に一つ、あなたに考えていただきたい問いがあります。資料ではDXのゴールを信頼と安心の再構築としていました。
では、もしDXが信頼を図る物差しだとしたら、今あなたの周りにあるテクノロジーは本当に人々の信頼を高めることに貢献しているでしょうか?
それとも気づかぬうちに信頼を損なってはいないでしょうか?
04:46

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