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2026-02-01 05:58

令和8年度薬価改定|市場拡大再算定の対象13成分31品目を徹底解説

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中央社会保険医療協議会(中医協)は、令和8年1月16日の総会(第642回)において、市場拡大再算定の対象品目を公表しました。市場拡大再算定とは、薬価収載後に市場規模が大幅に拡大した医薬品の薬価を引き下げる制度です。この記事では、令和8年度薬価改定における市場拡大再算定の対象品目と制度改革のポイントを解説します。

令和8年度の市場拡大再算定は、13成分31品目が対象となりました。内訳は内用薬が7成分22品目、注射薬が6成分9品目です。対象品目には、効能追加による市場拡大を理由とするものが多く、エンレストやリクシアナは持続可能性特例価格調整の対象となっています。また、改定時加算の対象として13成分24品目が選定されており、小児適応や希少疾病に係る加算が適用されます。

市場拡大再算定の対象品目

市場拡大再算定の対象となった13成分31品目のうち、効能追加や剤形追加を理由とするものが大部分を占めています。精神神経用剤、高脂血症用剤、腫瘍用薬など、幅広い薬効分類の医薬品が含まれています。

効能追加による市場規模拡大を理由とする主な品目には、レキサルティ(ブレクスピプラゾール)、オテズラ(アプレミラスト)、セムブリックス(アシミニブ塩酸塩)があります。レキサルティは精神神経用剤として、オテズラは代謝性医薬品として、それぞれ効能追加により市場が拡大しました。セムブリックスは成人と小児の同時開発に係る補正加算5%が適用されます。

注射薬では、スキリージ(リサンキズマブ)、サークリサ(イサツキシマブ)、ダラキューロ(ダラツムマブ配合剤)、パドセブ(エンホルツマブベドチン)が効能追加を理由に対象となりました。ダラキューロには真の臨床的有用性の検証に係る補正加算5%が適用されます。

原価計算方式で算定された品目として、ジャカビ(ルキソリチニブリン酸塩)、ロミプレート(ロミプロスチム)、イラリス(カナキヌマブ)が市場規模の拡大を理由に対象となりました。これらの品目は、当初の予想を大きく上回る市場拡大が認められたものです。

持続可能性特例価格調整の対象品目

持続可能性特例価格調整は、年間販売額が極めて大きい医薬品を対象とする制度です。エンレストとリクシアナの2成分がこの対象となりました。

エンレスト(サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物)は、年間販売額が1,000億円を超えたことで持続可能性特例価格調整の対象となりました。50mg、100mg、200mgの3規格が対象です。この医薬品は血圧降下剤および循環器官用薬として広く使用されています。

リクシアナ(エドキサバントシル酸塩水和物)は、年間販売額が1,500億円を超えたことで対象となりました。通常錠とOD錠を合わせた6規格が対象です。血液凝固阻止剤として、心房細動患者の脳卒中予防などに広く処方されています。

改定時加算の対象品目

改定時加算は、薬価収載後に小児適応の追加や希少疾病の効能追加などがあった品目に適用される制度です。令和8年度は13成分24品目が対象となりました。

小児適応の効能追加等に係る加算の対象には、ウプトラビ(セレキシパグ、加算率15%)、マグミット(酸化マグネシウム、加算率5%)、リアルダ(メサラジン、加算率10%)、プレバイミス(レテルモビル、錠剤で加算率15%、注射剤で加算率20%)があります。これらは小児への適応拡大により、臨床上の貢献が認められた品目です。

希少疾病の効能追加等に係る加算の対象には、ファビハルタ(イプタコパン塩酸塩水和物、C3腎症、加算率15%)、バビースモ(ファリシマブ、網膜色素線条、加算率15%)、ヒフデュラ(エフガルチギモドアルファ配合剤、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎、加算率10%)があります。これらは希少疾病への適応拡大が評価されました。

迅速導入による効能追加等に係る加算の対象には、アムヴトラ(ブトリシランナトリウム、心アミロイドーシス、加算率5%)、イミフィンジ(デュルバルマブ、限局型小細胞肺癌、加算率5%)があります。真の臨床的有用性の検証に係る加算として、リベルサス(セマグルチド、2型糖尿病、加算率5%)、イムデトラ(タルラタマブ、小細胞肺癌、加算率5%)が対象となりました。

国内の標準的治療法となった既収載品に係る加算として、ビロイ(ゾルベツキシマブ、CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌、加算率5%)が対象となりました。この加算は、市販後に診療ガイドラインにおいて標準療法となったと評価された品目に適用されるものです。

令和8年度制度改革の重要な変更点

令和8年度薬価制度改革では、市場拡大再算定の類似品に関する取り扱いが大きく変更されました。企業の予見可能性を確保しつつ、国民負担の軽減と創薬イノベーションを両立する観点から見直しが行われています。

従来、市場拡大再算定または持続可能性特例価格調整の対象品の類似品には、連動して再算定が適用されていました。この連動ルールが廃止され、類似品への自動適用はなくなりました。この変更により、後発品を開発した企業が予期せぬ薬価引き下げを受けるリスクが軽減されます。

一方で、薬理作用類似薬については新たな仕組みが導入されました。レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)により使用量を把握し、効能追加等の有無に関わらず、薬価改定以外の機会も含めて市場拡大再算定または持続可能性特例価格調整を実施します。対象となる薬理作用類似薬には、セムブリックスの類似薬(ボスチニブ水和物、ポナチニブ塩酸塩)、スキリージの類似薬(ミリキズマブ、グセルクマブ)、サークリサ・ダラキューロの類似薬(ダラツムマブ)があります。

まとめ

令和8年度の市場拡大再算定は、13成分31品目を対象として実施されます。効能追加による市場拡大を理由とするものが多く、エンレストとリクシアナは持続可能性特例価格調整の対象となりました。改定時加算では13成分24品目が選定され、小児適応や希少疾病に係る加算が適用されます。制度改革により類似品への連動適用は廃止されましたが、薬理作用類似薬についてはNDBを活用した新たな仕組みで再算定が実施されます。最終的な薬価は、市場拡大再算定による算定額と市場実勢価格に基づく薬価改定等による算定額のうち、低い額が適用されます。



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サマリー

令和8年度薬価改定において、市場拡大再算定が焦点となり、高価な新薬の価格見直しのメカニズムとそれに伴う仕組みの変更が議論されています。特に、NDBデータベースを用いた評価方法の導入により、薬価制度はデータ主義へと移行し、極めて重要な変化がもたらされています。

市場拡大再算定のメカニズム
こんにちは。さて今回は、先日発表された令和8年度薬価改定の資料を深く掘り下げていきたいと思います。特に市場拡大再算定というルールに焦点を当てていきますが、これ根底にあるのは高価な新薬の開発と医療費の健全化、このバランスをどう取るかという非常に大きな問いなんですよね。
この複雑なパズルを解くための、新しいルールの中身に早速迫っていきましょう。早速ですが、そもそも薬が売れすぎると値段が下がるというこの市場拡大再算定、これ少し直感に反しますよね。どういう理屈なんでしょうか。
はい、そうですよね。これはですね、製薬会社の予測を遥かに超えて薬が売れた場合に、その価格、つまり薬価を見直すという制度なんです。
もちろん企業の努力は葬られるべきなんですが、予測を大幅に超える売上というのは、ある意味で国民全体の保険料によって支えられているわけですから、その一部を還元して医療制度全体のバランスを取ろうという考え方ですね。
なるほど。個別の企業の成功というだけじゃなくて、もっと大きな社会全体の仕組みとして捉えるわけですね。資料を見ると、例えば新しい効能が認められて、対象患者が一気に触れた精神神経用剤のレキサルT、あとは注射薬のスキリージュといった薬がまさにそのケースに当たると。
その市場拡大再算定の中でも、特に売上が桁違いに大きい、いわば横綱級の薬には特別なルールが適用されると。それが持続可能性特例価格調整というこの理解であっていますか?
その通りです。まさに横綱級ですね。
ほう。
今回対象となったのは2つの成分です。一つは高圧剤などのエンレスト。
エンレスト。
はい。これが年間販売額1000億円超え。
1000億ですか。
ええ。もう一つは血液強固素脂剤のリクシアナ。こちらは年間1500億円を超えています。
1500億。すごいですね。
これだけ巨大になると、もはや通常のルールでは対応しきれない。だから特別な調整が必要になるということです。
値下げの話が続きましたけど、一方でその製薬会社の開発意欲を築いてはもともこもないじゃないですか。
おっしゃる通りです。
そのあたり何か手当てはあるんでしょうか。
そこが今回の改定のまあ巧みなところですね。改定時加算といういわば飴の部分が用意されています。
飴ですか。
ええ。例えば採算が取りにくい小児向けの適用を広げたり、あるいは患者さんが少ない希少疾患の薬を開発した場合、その貢献を評価して価格を上乗せする仕組みです。
資料によると15%も加算されるケースがあるとか、値下げの話ばかりかと思っていたらそんなに大幅な課題もあるんですね。
そうなんです。例えば小児適用で貢献したウプトラビデスとか、希少疾病で貢献したファビハルタ、これらはそれぞれ15%もの加算が認められています。
なるほど。
単なるコストカットではなくて、社会的に意義のあるイノベーションをしっかり後押しするぞというまあ明確なメッセージが込められていますね。
なるほど。でも一つ疑問なんですけど、ある薬の値段が下がったとき、それに似た他の薬ってどうなるんですか。
ああ、いいご質問ですね。
製薬会社からすれば、うちは予測通りなのに競合のせいで値下げされたらたまらないってこうなりそうですけど。
まさにそこが今回の改革の確信なんです。
確信。
これまではご指摘の通り類似品として巻き添えで価格が下がるルールがありました。
やっぱりあったんですね。
はい。しかし今回その自動的な連動ルールは廃止されたんです。
廃止ですか。
ええ。その代わりにもっと進んだ仕組みが導入されました。薬理作用類似薬という新しい枠組みです。
データ主義への移行
薬理作用類似薬、どう違うんでしょう。
鍵を握るのはNDBというデータベースです。
NDB。
はい。これは日本国民のほぼすべての保健診療データを網羅した世界でも類を見ない巨大のものなんですね。
これを使うことで受刑状の分類ではなくて、現場の医師がこの薬とあの薬を実質的に同じ目的で使っているというリアルな実態が初めてデータで裏付けられるようになったんです。
ああ、なるほど。
つまりこれまでは製薬会社が提出する予測というある種の生鮮説に基づいていた部分が、
実際の患者さんがどう薬を使ったかという客観的なデータで判断されるようになった。
薬価制度がデータ主義へと大きく舵を切ったということですか。
お見事です。まさにそういうことです。
いやー、これは大きな変化ですね。
ええ。単なるルール変更ではありません。
薬の価値をより客観的かつ実態に即して評価していくという大きな思想転換の現れなんです。
なるほど。飴と鞭をうまく使い分けていると、超大型薬の価格はしっかり抑えつつ、
小二薬や希少薬のような価値ある開発には褒美る。
そしてその判断基準をよりデータに基づいたものへと進化させているわけですね。
ええ。学一的な類似品という考え方から、NDBを活用したデータ主導の評価への移行。
これが今回の改定から読み取るべき最も重要なメッセージだと思いますね。
ふむ。
日本の薬価制度は、より高度で科学的なステージに入った証拠と言えるでしょう。
この制度って、薬の売上が予測を上回ったことを前提にしていますよね。
はい。
ここで一つリスナーの皆さんに考えてみてほしいのですが、
今後データ分析の制度がさらに向上すれば、新薬の市場規模を最初からもっと正確に予測できるようになるかもしれない。
そうなった時、そもそも新薬の最初の価格の決め方自体が変わっていく可能性はないでしょうか。
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