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2026-01-26 05:05

令和8年度診療報酬改定|改定率+3.09%の全貌と医療機関への影響を徹底解説

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令和8年1月14日、厚生労働大臣は中央社会保険医療協議会に対し、令和8年度診療報酬改定について諮問しました。物価高騰と賃金上昇が続く中、医療機関の経営安定と医療従事者の処遇改善が喫緊の課題となっています。本稿では、この諮問の内容を解説し、医療機関経営への影響を分析します。

今回の改定率は2年度平均で+3.09%となり、賃上げ対応と物価対応を重視した内容です。診療報酬本体は令和8年度+2.41%、令和9年度+3.77%と段階的に引き上げられます。薬価等は-0.87%の引下げとなり、効率化と適正化の両面から医療保険制度の持続可能性確保を図ります。施行は令和8年6月を予定しています。

改定率の全体像:2年度平均+3.09%の内訳

今回の診療報酬改定は、令和8年度と令和9年度の2年度にわたる段階的な引上げを特徴とします。診療報酬本体は2年度平均で+3.09%、薬価等は-0.87%となりました。この改定率は「経済財政運営と改革の基本方針2025」および「強い経済を実現する総合経済対策」に基づいています。

診療報酬本体の内訳は5つの要素で構成されています。賃上げ分が+1.70%で最大の配分となり、物価対応分が+0.76%、食費・光熱水費分が+0.09%、経営環境悪化への緊急対応分が+0.44%です。一方、後発医薬品への置換え進展などによる効率化で-0.15%の適正化を図ります。これらを除く改定分は+0.25%です。

各科改定率は医科+0.28%、歯科+0.31%、調剤+0.08%となっています。薬価は-0.86%、材料価格は-0.01%で、合計-0.87%の引下げです。薬価改定は令和8年4月施行、材料価格改定は令和8年6月施行となります。

賃上げ対応:3.2%ベースアップ実現への支援

賃上げ分+1.70%は、医療従事者の処遇改善を目的としています。この財源により、令和8年度・令和9年度それぞれで3.2%のベースアップ実現を支援します。看護補助者と事務職員については、他産業との人材獲得競争を踏まえ、5.7%のベースアップを目指す上乗せ措置を講じます。

賃上げ分のうち+0.28%は、賃上げ対応拡充時の特例的措置として位置づけられています。この措置は、令和6年度改定でベースアップ評価料の対象とされた職種に加え、入院基本料等で措置された職種の賃上げにも対応します。今後の関係調査で実績を検証し、所要の対応を図ることとされています。

賃上げの実効性確保のため、新たな仕組みが構築されます。令和6年度改定で入院基本料や初・再診料により賃上げ原資が配分された職種についても、実際の賃上げ実績を把握する体制が整備されます。対象職種は40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等従事者です。

物価対応:施設類型別の配分と特例措置

物価対応分+0.76%は、2つの要素で構成されています。第1の要素は、令和8年度以降の物価上昇への対応として+0.62%を診療報酬の特別な項目として設定し、施設類型ごとの費用関係データに基づき配分するものです。配分は病院+0.49%、医科診療所+0.10%、歯科診療所+0.02%、保険薬局+0.01%です。

第2の要素は、高度機能医療を担う病院への特例的対応として+0.14%を措置するものです。大学病院を含むこれらの病院は、医療技術の高度化の影響を先行的に受けやすい特性があります。また、汎用性が低く価格競争原理の働きにくい医療機器等の調達が必要なため、物価高の影響を受けやすいとされています。

食費・光熱水費分+0.09%は、入院患者の療養環境改善に充当されます。入院時の食費基準額は1食あたり40円引上げとなり、光熱水費基準額は1日あたり60円引上げとなります。患者負担については、低所得者や指定難病患者等に配慮した軽減措置が講じられます。

経営環境悪化への緊急対応

経営環境悪化への緊急対応分+0.44%は、令和6年度診療報酬改定以降の経営状況を踏まえた措置です。配分は令和7年度補正予算の効果を減じないよう、施設類型ごとにメリハリを維持します。病院+0.40%、医科診療所+0.02%、歯科診療所+0.01%、保険薬局+0.01%です。

この緊急対応は、医療機関等の賃上げ余力が乏しくなっている現状を反映しています。令和7年度補正予算の「医療・介護等支援パッケージ」による措置に引き続き、当初予算段階から必要な財源を織り込む運営への質的転換を図ります。今後の経済・物価動向によっては、令和9年度予算編成で加減算を含む調整が行われます。

基本方針:4つの視点と具体的方向性

令和8年度診療報酬改定の基本方針は、社会保障審議会医療保険部会・医療部会で令和7年12月9日に策定されました。改定の基本認識として、日本経済が新たなステージに移行しつつある状況、2040年頃を見据えた医療提供体制の構築、医療DX・イノベーションの推進、社会保障制度の持続可能性確保の4点が示されています。

改定の基本的視点は4つの柱で構成されています。第1の柱は「物価や賃金、人手不足等への対応」で、今回の重点課題に位置づけられています。第2の柱は「2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携と地域包括ケアシステムの推進」です。第3の柱は「安心・安全で質の高い医療の推進」で、医療DXやアウトカム評価を重視します。第4の柱は「効率化・適正化を通じた医療保険制度の持続可能性向上」です。

重点課題である第1の柱では、医療従事者の処遇改善、ICT・AI・IoT等の利活用推進、タスク・シェアリング/タスク・シフティングの推進、医師の働き方改革、診療報酬上の基準柔軟化が具体的方向性として示されています。

診療報酬制度関連事項:今後の検討課題

診療報酬制度関連では4つの重要事項が示されています。第1は令和9年度の調整と令和10年度以降の対応です。経済・物価動向が見通しから大きく変動した場合、令和9年度予算編成で加減算を含む調整が行われます。そのため、令和8年度の医療機関経営状況について調査が実施されます。

第2は賃上げの実効性確保です。幅広い医療関係職種で物価上昇を超える賃上げを実現するため、賃上げ実績の迅速かつ詳細な把握体制が構築されます。入院基本料等で措置される職種についても、ベースアップ評価料対象職種と同様の実効性確保の仕組みが適用されます。

第3は医師偏在対策です。改正医療法に基づき、外来医師過多区域で都道府県知事の要請に従わない無床診療所新規開業者には、診療報酬上の減算措置が講じられます。令和10年度改定では、医師多数区域での更なるディスインセンティブ措置や、重点医師偏在対策支援区域における医師手当事業の財源確保について結論を得ることとされています。

第4は経営情報の見える化です。医療法人の経営情報データベース(MCDB)等の活用により、エビデンスに基づく改定を推進します。診療所の「その他の医業費用」の内容把握や、職種別給与・人数の報告義務化について、令和8年中に必要な見直しの結論を得る予定です。

薬価制度関連事項:イノベーション推進と安定供給

薬価制度関連では、令和8年度薬価制度改革と令和9年度薬価改定の実施が示されています。イノベーション推進の観点から、市場拡大再算定における類似品の薬価引下げ(いわゆる共連れ)が廃止されます。この措置により、製薬企業の予見可能性が高まることが期待されています。

医薬品の安定供給確保のため、最低薬価について物価動向を踏まえた対応が行われます。令和9年度薬価改定の対象品目範囲や各種ルールは、創薬イノベーション推進、安定供給確保、国民負担軽減のバランスを踏まえて検討されます。

費用対効果評価制度の更なる活用も進められます。令和8年中に、追加的有用性がなく費用増加となる医薬品の価格調整範囲拡大が図られます。対象品目や価格調整範囲の拡大、診療ガイドラインへの反映について、令和9年度薬価改定で一定の結論が出される予定です。

まとめ:医療機関経営への影響と対応

令和8年度診療報酬改定は、物価高騰・賃金上昇への対応を重点課題として、2年度平均+3.09%の改定率が設定されました。賃上げ分+1.70%により3.2%のベースアップ実現が支援され、物価対応分+0.76%により施設類型別の経営支援が図られます。

医療機関は、賃上げ実績の報告体制整備、経営情報の見える化への対応、医師偏在対策への準備が求められます。令和8年6月の施行に向けて、今後の中央社会保険医療協議会での審議を注視し、具体的な点数設定や算定要件を把握することが重要です。



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サマリー

令和8年度の診療報酬改定では、プラス3.09%の増加が示されており、医療現場の人材不足や物価高への対策が求められています。特に看護職や事務職の賃上げが強調され、新たな経営責任が医療機関に課せられています。

診療報酬改定の概要
こんにちは。さて、今回のテーマは、令和8年度の診療報酬改定です。手元にある資料を見ると、プラス3.09%という数字が目に飛び込んできますけども、今日の深掘りでは、この一見シンプルな数字の裏にある、まあ、政府の壮大な綱渡り、これを解き明かしていきたいなと。
【佐藤】綱渡りですか。面白い表現ですね。
【岡田】ええ。医療現場を救いつつ、でも保険財政は破綻させない。この絶妙なバランスどう取るのか、一緒に見ていきましょう。
【佐藤】はい。これは非常に重要な視点だと思います。今回の改定は、単なる料金表の書き換えっていうレベルの話じゃないですからね。人材不足とか、物価高とか、そういう差し迫った課題にどう答えるか。そして、その2040年に向けて日本の医療をどうしていくか、という国の意思表示そのものなんです。
【佐藤】なるほど。意思表示。では早速その中身見ていきましょうか。まず驚いたのが、全体ではプラス3.09%なのに、内訳を見ると、本体部分はプラスで、薬荷はマイナスになってますよね。
【岡田】ええ。
【佐藤】これって、一方を助けるためにもう一方を削るみたいな構図なんですか。
【岡田】まさにその通りです。財源は無限じゃないですからね。医療保険制度を持続させることを考えれば、これはもう避けられないバランス調整なんです。
【佐藤】なるほど。
【岡田】で、面白いのが、そのプラスになった本体部分の内訳です。
【佐藤】ほう。
【岡田】5つの要素があるんですが、賃上げにプラス1.70%、物価高等への対応にプラス0.76%、財源のほとんどがこの2つに集中してるんですよ。
【佐藤】ああ、今何が問題かっていうのがはっきり示されてるわけですね。
【岡田】そういうことです。
【佐藤】その中でも一番大きいのが、賃上げのプラス1.70。でもこの数字で、本当に看護師さんたちの離職って防げるものなんでしょうかね。
【岡田】ああ、いい質問ですね。これだけでは十分とは言えないかもしれない。
【佐藤】ですよね。
【佐藤】ただ重要な一歩ではあります。具体的には、この財源で令和8年度と9年度に3.2%のベースアップを目指すと、
さらに注目すべきは看護補助者とか事務職員といった、その他産業との人材獲得競争が特に激しい触手。
こちらにはなんと5.7%のベースアップを目指すっていうかなり手厚い上乗せ措置が用意されました。
【岡田】えー、触手によって傾斜をつけているんですね。でもこういう制度ってなんだかんだで抜け道みたいなのがあって、
結局現場の給料に反映されないなんて話もよく聞きますけど。
【佐藤】そこも今回は踏み込んでます。
【岡田】おっ。
【佐藤】賃上げがちゃんと行われたか、医療機関に報告を義務付けて、その実績を把握するという新しい仕組みが導入されるんです。
【岡田】なるほど。
【佐藤】これって事実上、政府が医療もサービス業で人材獲得競争に負けちつあると認めたってことなんですよ。
極めて重要な方針転換です。
【岡田】うーん、なるほど。今までとは違うぞと。
【佐藤】ええ。事務とか補助職の待遇改善が今後の病院経営の生命性になるぞという強いメッセージですね。
【岡田】ただ、お給料が上がっても物価がそれ以上に上がっては意味がないですよね。その点、物価高いの対応ってどう載ってるんですか?
医療機関の新たな責任
【佐藤】ええ。ここにも細やかな工夫が見られます。
まず、病院とか診療所とか施設の種類ごとにコスト構造が違うので、配分に差をつけています。
【岡田】ほう。
【佐藤】そしてもう一つ、特例的な対応が大学病院などに対して行われています。
【岡田】大学病院だけ特別扱いなんですか?それってちょっと不公平に聞こえちゃいますけど、どういう理屈で?
【佐藤】一見そう見えますよね。理由は、大学病院が使う医療機器とか医薬品って特殊で価格競争が働きにくいものが多いんです。
【岡田】ああ、なるほど。仕入れ値が上がりやすいと。
【佐藤】その通りです。物価高の影響をより深刻に受ける。だからそこにプラスの0.14%を手厚く配分して、まあ医療の最後の砦としての機能を守ろうとしてるわけです。
他にも、入院時の食費が40円上がったりと、患者さんの療養環境に直接関わる変更も含まれています。
【岡田】さて、ここまで見てくると、今回の改定が単なる数字合わせじゃないってことが本当によくわかりますね。
【佐藤】ええ。
【岡田】賃上げによる人材確保と、物価高からの経営防衛、医療現場の悲鳴に応えようとする必死さが伝わってきます。
【佐藤】その通りです。ただし、この手厚い支援と引き換えに、医療機関には新たな責任も求められている。
【岡田】責任ですか?
【佐藤】ええ。そこで最後に、あなたに考えていただきたい問いを一つ。今回の改定では、診療所の経営情報をより見える化して、国への報告を求める動きが加速します。
【岡田】はい。
医療機関の経営がより透明になることで、私たちが医療を選ぶ際の基準や医療機関に期待することって、今後どのように変わっていくでしょうか?
05:05

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