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2026-02-07 05:45

令和8年度診療報酬改定|答申書附帯意見26項目の全体像と実務への影響

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中央社会保険医療協議会(中医協)は、第645回総会(令和8年1月28日)において、令和8年度診療報酬改定の答申書附帯意見(素案)を提示しました。附帯意見とは、改定の実施後に調査・検証すべき事項や、次期改定に向けて引き続き検討すべき課題をまとめたものです。今回の素案は全26項目で構成されており、今後の診療報酬制度の方向性を示す重要な文書です。

26項目の内容は、大きく7つの分野に整理できます。第一に、診療報酬体系の簡素化や物価・賃上げへの対応です。第二に、病棟業務の効率化やタスクシフト/シェアに関する検証です。第三に、急性期から慢性期までの入院医療体制の見直しです。第四に、外来医療の機能分化や医師偏在対策です。第五に、在宅医療・訪問看護・精神医療の質の向上です。第六に、医療DX・医療技術の評価です。第七に、歯科・調剤・医薬品にかかる制度の見直しです。本稿では、これら7分野の要点を順に解説します。

全般的事項・物価対応・賃上げ:制度の土台に関わる3つの課題(項目1〜3)

附帯意見の冒頭3項目は、診療報酬制度の土台に関わる課題を取り上げています。具体的には、診療報酬体系の簡素化、物価高騰への対応、医療従事者の賃上げの3点です。

診療報酬体系の簡素化(項目1)は、近年の制度の複雑化を受けた課題です。附帯意見では、患者をはじめとする関係者にとって分かりやすい体系への見直しを求めています。あわせて、施設基準届出のオンライン化や共通算定モジュールの活用など、請求手続きの負担軽減も検討事項に挙げています。

物価対応(項目2)は、令和8年度改定で本格的に導入された評価の検証に関する課題です。附帯意見では、医療機関等の経営状況と実際の経済・物価の動向を把握した上で、令和9年度における更なる対応の必要性を検討するよう求めています。この物価対応について、基本料・技術料を含めた今後の評価のあり方の検討も求められています。

賃上げ(項目3)は、幅広い医療関係職種における賃上げの実効性に関する課題です。附帯意見では、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工士等を含む幅広い職種で賃上げが適切に実施されているか、実態を迅速かつ詳細に把握するよう求めています。この実態把握の結果を踏まえ、令和9年度における更なる対応も検討事項とされています。

病棟業務の効率化・タスクシフト/シェア:働き方改革の検証(項目4)

病棟業務に関する附帯意見(項目4)は、今回の改定で導入された複数の施策の検証を求めています。検証対象は、看護職員と他の医療職種が協働して病棟業務を行う体制、ICT・AI・IoT等の活用による配置基準の柔軟化、専従業務の柔軟化の3点です。

これらの施策の検証にあたっては、複数の観点からの評価が求められています。具体的には、職員の業務負担、医療の質、医療安全への影響、生産性向上、医療従事者の確保の各観点です。さらに、病棟の種別ごとに今回改定の影響を幅広く調査・検証することが、附帯意見で明示されています。

入院医療:急性期から慢性期まで5つの検討課題(項目5〜9)

入院医療に関する附帯意見は5項目にわたり、急性期・高度急性期・救急・包括期・DPC/PDPSの各領域を対象としています。いずれも今回改定の影響検証と、次期改定に向けた評価のあり方の検討を求める内容です。

急性期入院医療(項目5)については、今回新設された急性期病院一般入院基本料A・Bや急性期総合体制加算の影響検証が求められています。この検証にあたっては、10対1急性期病棟のあり方も含めた検討が必要とされています。

高度急性期入院医療(項目6)については、特定集中治療室管理料等に関する検証が求められています。検証の具体的な対象は、重症度、医療・看護必要度の項目やSOFAスコア等の評価指標、測定方法です。

救急搬送(項目7)については、救急外来応需体制の評価、下り搬送の評価、在宅療養高齢者等の後方支援機能の評価が検証対象です。この検証では、高齢者救急の受入れや三次救急医療機関の評価のあり方を、介護保険施設等の協力医療機関が果たす役割の観点も含めて検討するよう求められています。

包括期入院医療(項目8)については、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟の3つの病棟類型が検証対象です。これらの病棟について、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理、円滑な入退院や早期の在宅復帰の観点から評価のあり方を検討するよう求められています。あわせて、療養病棟等の慢性期入院医療についても、在宅医療や介護保険施設等との役割分担の観点から検証が求められています。

DPC/PDPS及び短期滞在手術等基本料(項目9)については、今回改定の影響検証とともに、医療の質の向上と標準化に向けた診療実態を踏まえた更なる包括払いのあり方の検討が求められています。

外来医療・医師偏在対策:機能分化とかかりつけ医の推進(項目10〜13)

外来医療に関する附帯意見は4項目で構成され、医師偏在対策、外来機能分化、医学管理、かかりつけ医機能の各課題を扱っています。

医師偏在対策(項目10)については、人口の少ない地域の外来・在宅医療提供体制の確保に対する支援の評価や、外科医療確保特別加算の新設の影響検証が求められています。この検証では、人口構成の地域差や病院薬剤師を含む医療従事者の偏在への対応も検討事項に含まれています。

外来機能分化(項目11)については、初診料・外来診療料における逆紹介割合に基づく減算規定の見直しや、連携強化診療情報提供料の見直しの影響検証が求められています。

医学管理(項目12)については、生活習慣病管理料(Ⅰ)(Ⅱ)や特定疾患療養管理料等の影響検証が求められています。この検証では、診療ガイドラインに沿った質の高い計画的な医学管理の推進を評価の方向性として示しています。

かかりつけ医機能(項目13)については、今回改定の影響検証とともに、かかりつけ医機能報告制度の施行状況を踏まえた評価のあり方の検討が求められています。

在宅医療・訪問看護・精神医療:地域を支える医療の質の向上(項目14〜16)

在宅医療・訪問看護・精神医療に関する附帯意見は3項目で、地域で暮らす患者を支える医療の質の向上を目指す内容です。

在宅医療(項目14)については、往診、訪問診療、歯科訪問診療、訪問薬剤管理指導、訪問看護の各サービスについて、今回改定の影響検証と評価のあり方の検討が求められています。この検討では、地域における医療提供体制の実態を踏まえることが条件とされています。

訪問看護(項目15)については、2つの観点から検証が求められています。ひとつは、同一建物居住者への評価の見直しや、一連の訪問看護を1日あたりで包括的に評価する新たな仕組みの検証です。もうひとつは、利用者が増加傾向にある精神科訪問看護について、利用者の状態や提供内容の実態を踏まえた評価のあり方の検討です。

精神医療(項目16)については、今回新設された精神科地域密着多機能体制加算の効果・影響の検証が求められています。あわせて、総合病院精神科が地域で担う重度な精神身体合併症患者への診療に関する評価のあり方も検討事項です。

医療DX・医療技術:デジタル化とイノベーションの推進(項目17〜18)

医療DXと医療技術の評価に関する附帯意見は2項目で、デジタル化の進展と先進的な医療技術の適正な評価を求める内容です。

医療DX(項目17)については、電子処方箋、電子カルテ共有サービス等の活用状況の検証が求められています。あわせて、D to P with DやD to P with Nなどのオンライン診療、改正医療法に基づくオンライン診療受診施設の活用状況についても調査・検証の対象とされています。

医療技術(項目18)については、リアルワールドデータの解析結果やエビデンス等を踏まえた医療技術の再評価の継続が求められています。特定保険医療材料の不採算品再算定の検証とともに、革新的な医療機器や検査等のイノベーションを含む先進的な医療技術の評価のあり方も検討事項です。

歯科・調剤・医薬品関連:薬局のあり方から薬価制度まで(項目19〜25)

歯科・調剤・医薬品に関する附帯意見は7項目にわたり、各分野の制度的課題を幅広く取り上げています。

歯科診療報酬(項目19)については、かかりつけ歯科医による歯科疾患・口腔機能の管理等の評価の見直しや歯科治療のデジタル化の実施状況、医科歯科連携の評価の影響検証が求められています。これらの検証を踏まえ、口腔管理や治療のあり方に加え、多職種連携の評価のあり方についても引き続き検討するよう求められています。

調剤報酬(項目20・21)については、2つの課題が示されています。ひとつは、敷地内薬局や門前薬局、医療モール薬局等に関する改定影響の検証です。もうひとつは、薬局の都市部偏在を解消するための評価のあり方と、医療資源の少ない地域への配慮です。この検討では、地域支援体制加算・在宅薬学総合体制加算における実績要件や人員要件のあり方も含めて検討するよう求められています。

処方関連(項目22)については、長期処方やリフィル処方の積極的な活用策と、医薬分業の現状やポリファーマシー対策の観点を踏まえた処方の評価が検討事項です。

後発医薬品(項目23)については、バイオ後続品を含む後発医薬品の使用促進に関する改定影響の検証と、供給状況を踏まえた評価のあり方の検討が求められています。

医薬品の保険給付(項目24)については、長期収載品や食品類似薬に関する改定影響の検証が求められています。この検討では、供給状況や患者の負担増への配慮が条件とされています。

薬価制度等(項目25)については、イノベーションの推進、安定供給の確保、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減の3つの観点から、諸外国の動向も踏まえた制度のあり方の検討が求められています。

最後に、施策の検証(項目26)として、施策の効果や患者への影響等について、データやエビデンスに基づいて迅速・正確に把握・検証できるようにするための方策を引き続き検討するよう求められています。

まとめ:改定後の検証と次期改定への布石

令和8年度診療報酬改定の答申書附帯意見(素案)は、全26項目にわたり、今回改定の影響検証と次期改定に向けた検討課題を示しています。特に注目すべき点は、物価対応・賃上げに関する令和9年度の更なる対応の検討、急性期入院基本料の新体系の検証、医師偏在対策に関する影響の調査・検証、医療DXの活用状況の把握の4点です。医療機関の経営においては、これらの附帯意見が示す方向性を踏まえ、今後の制度変更に備えた準備を進めることが重要です。



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サマリー

令和8年度の診療報酬改定に関する答申書附帯意見に記載されている26項目は、医療の簡素化や効率化、人材への投資、デジタル化の推進、地域連携の強化を含んでいます。これによって、患者中心のシームレスな医療システムの構築が期待されています。

診療報酬改定の概要
さて、今回はですね、あなたから共有してもらった資料、令和8年度診療報酬改定、答申書附帯意見26項目をじっくり読み解いていこうと思います。
はい。 これ、中央社会保健医療協議会が出したもので、次の医療制度改定に向けた、いわば宿題リストみたいなものですよね。
まさにそうですね。単なるリストというよりは、次期改定への予告編といったほうがいいかもしれません。
あー、予告編、なるほど。
特に、物価高とか賃上げ、それから医療DXといった、もう本当に今の課題にどう向き合うか、その姿勢が結構はっきり示されているんですよね。
ぱっと見は専門用語だらけですけど、よく読むと、そのコストと人手不足っていう大きなプレッシャーの中で、どう医療の質を維持していくか、その格闘が見えてくる。
この26項目に隠された日本の医療の未来図を一緒に探っていきましょう。
はい、お願いします。
まず僕が読んでいて、おっと思ったのが、項目1から3の制度の土台固めの部分なんです。
あ、最初のところですね。
ええ。特に、診療報酬体系の簡素化の一環として挙げられている、施設基準届出のオンライン化、これずっと言われてきたことじゃないですか。
言われてきましたね。現場の事務作業が膨大だっていう話はもう続々に。
ようやくかっていう感じがします。
ただですね、これは初派の件でもあるんですよ。
どういうことでしょう。
多くの病院には朗報なんですけど、一方で地方で高齢の先生が一人でやっているような小さなクリニック。
ああ、なるほど。
そういうところにとっては、このオンライン化っていうのがまた新しい障壁になりかねない。
簡素化が結果的に格差を生まないかと。
そうなんです。丁寧な進め方が問われますね。
それともっと重要なのが賃上げの議論です。
はい。
40歳未満の勤務員とか事務職員まで対象を広げて、さらに検討するって踏み込んでる。
これは人材確保への強い危機感の現れですよね。
なるほど。簡素化一つとっても光と影があると。
で、その人材確保と直結するのが次の大きなテーマ、働き方ですね。
項目4。
看護職員と他の職種の連携、つまりタスクシフトをICTやAIも使って進めると。
そうですね。ここでやっぱり注目したいのは、ただ生産性を上げようだけじゃなくて、必ず医療の質、安全の確保っていう言葉がセットで出てくるんです。
ああ、確かに。
効率化はもちろん必要ですけど、それによって患者さんとの時間が減ったり、安全が脅かされたりしたら、もう本末転倒ですから。
ですよね。
だからこそ病棟の種類ごとに影響を調査するなんて、かなり慎重な姿勢を見せているわけです。
効率化と質の担保、この両立は本当に難しいテーマですね。そこで期待されるのがやっぱりテクノロジーの力と。
まさに医療DXですね。
項目17で大きく取り上げられてます。D2P with Dなんていう言葉も出てきてますけど、これ具体的にはどういうことなんでしょうか。
医療の未来と課題
いい質問ですね。D2P with Dはですね、ドクターとファーマシストwithドクター。
ドクターとファーマシストwithドクター。
ええ。つまり、かかりつけ医が専門医にオンラインで相談するときに、薬局の薬剤師さんもその情報共有の輪に入ってもらうみたいなイメージです。
なるほど、処方箋をただ送るんじゃなくて。
そうです。治療方針の決定段階から薬剤師が関わることで、より安全で効果的な薬物治療を目指そうと。
リアルタイムのチーム医療をデジタルで実現する試みですね。
それはすごい。点が線でつながる感じがします。
ええ。
他にも、項目5から9にかけて、9世紀から満世紀までの入院医療体制の見直しが掲げられてます。
これはもっと大きな話に聞こえますが。
おっしゃる通りです。
これはもう、すべての病院が何でもやる時代から、病院ごとに専門性を高めて、地域全体で連携する時代への転換を促すものなんです。
役割分担を明確に、ということですか。
そうです。例えば、患者さんが脳卒中で倒れたら、まず手術に特化した9世紀病院に入って、次にリハビリ専門の病院に移る。
うんうん。
で、退院後は地域のクリニックと在宅医療が連携して支えると。
そういう患者さん中心のシームレスな体制を本気で作りましょうという意図が読み取れます。
なるほど。では全体をまとめると、今回の26項目から見えてくるのは、簡素化と効率化。
ええ。
それから人材への投資、デジタル化の推進、そして地域連携の強化、この4つのキーワード、これらはバラバラじゃないんですね。
ええ、すべてつながっているんです。デジタル化で事故とか情報連携を効率化して、そこで生まれた時間や資源を医療従事者っていう人に投資する。
はい。
そして専門性を高めた各医療機関が地域で連携して質の高い医療を提供する。この文書が描いているのは、そういう一つの大きな戦略なんです。
なるほどな。
まさに日本の医療のターニングポイントになるかもしれないですよ。
非常にクリアーになりました。ありがとうございます。最後にあなたに一つ問いを投げかけてみたいと思います。
はい。
これだて医療のデジタル化と効率化が進んだその先で、私たちが失ってはいけないもの、つまり患者と医療者の間の人間的なコミュニケーションは、これからどのように形を変えていくべきなんでしょうか。
05:45

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