令和8年1月16日に開催された中央社会保険医療協議会総会(第642回)において、歯科用貴金属価格の令和8年3月随時改定が議題となりました。金素材価格の急騰を背景に、全9品目の告示価格が引き上げられます。本稿では、この随時改定の内容と歯科医療への影響について解説します。
今回の随時改定では、14カラット金合金インレー用が15,991円(前回比約20%増)、金銀パラジウム合金が4,779円(前回比約26%増)となります。金素材価格は令和7年後半から急騰しており、1g当たり20,000円を超える水準に達しています。この価格上昇は、歯科医院の材料費負担に直接影響を与えるため、経営面での対応が求められます。
随時改定の仕組み
歯科用貴金属価格の随時改定は、市場価格の変動を診療報酬に反映させる制度です。この制度は、変動幅にかかわらず、平均素材価格に応じて年4回(3月、6月、9月、12月)の見直しを行います。
平均素材価格の算出方法は、金、銀、パラジウムの各取引価格平均値に含有比率を乗じて計算します。算出期間は、前回改定以降から改定2カ月前までの期間の取引価格を用います。たとえば、令和8年3月改定では、令和7年10月から12月までの取引価格が基準となります。
告示価格の算定式は、以下のとおりです。まず、補正幅として「X(前回改定以降の平均素材価格)-Y(前回改定で用いた平均素材価格)」を算出します。次に、「前回の基準材料価格+補正幅×1.1」により試算価格を求め、これを告示価格とします。
令和8年3月改定の具体的内容
今回の随時改定では、すべての歯科用貴金属が値上げとなります。主要品目の改定内容は以下のとおりです。
14カラット金合金は、インレー用が15,991円(令和7年12月改定時13,287円)、鉤用が14,682円(同11,978円)となります。いずれも約20%の引き上げです。14カラット金合金鉤用線は14,777円、金ろうは14,766円となり、同様の上昇幅を示しています。
金銀パラジウム合金(金12%以上)は、4,779円(令和7年12月改定時3,802円)となります。上昇率は約26%に達し、金合金以上の伸びを示しています。金銀パラジウム合金ろう(金15%以上)も6,446円(同5,435円)へ約19%上昇します。
銀合金については、第1種が262円(同207円)、第2種が287円(同232円)となります。銀合金の上昇率は約24〜27%です。一方、銀ろうは293円(同261円)で、上昇率は約12%にとどまります。
素材価格の変動状況
金素材価格は、令和7年後半から急激な上昇を続けています。14カラット金合金の平均素材価格を見ると、X期間(令和7年10月〜12月)は12,028.8円、Y期間(令和7年7月〜9月)は9,570.8円となり、約26%上昇しました。
この上昇傾向は、国際的な金価格の高騰を反映しています。資料に示された変動推移グラフでは、金素材価格が令和4年(2022年)の約7,000円水準から、令和7年(2025年)後半には20,000円を超える水準まで上昇していることが確認できます。特に令和7年後半の上昇は顕著であり、わずか数カ月で5,000円以上の値上がりを記録しています。
金銀パラジウム合金(金12%以上)の平均素材価格も同様の傾向を示しています。X期間で4,053.7円、Y期間で3,165.5円となり、約28%の上昇となりました。
まとめ
令和8年3月の歯科用貴金属価格の随時改定では、金素材価格の急騰を受けて、全9品目が値上げとなります。14カラット金合金インレー用は15,991円、金銀パラジウム合金は4,779円となり、いずれも20%以上の上昇です。歯科医院においては、材料費の上昇を踏まえた経営対応が必要となります。今後も金素材価格の動向を注視し、次回以降の随時改定に備えることが重要です。
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サマリー
令和8年3月から、歯科用貴金属の価格が国際的な金価格の高騰により、20%以上の大幅な値上げが行われています。この変化は、歯科医療の治療方針にも影響を与える可能性があります。