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2026-01-28 04:50

条件付き承認の再生医療等製品、保険適用ルールが変わる|中医協が新方針を決定

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令和6年度に条件及び期限付き承認を受けた再生医療等製品2品目が、通常承認を得られずに薬価基準又は材料価格基準から削除されました。この事態を受け、中央社会保険医療協議会(中医協)は、条件及び期限付き承認を受けた再生医療等製品の保険適用上の償還価格算定方法を見直しました。本稿では、令和8年1月14日の中医協総会(第641回)で報告された新方針の内容を解説します。

今回の見直しでは、条件及び期限付き承認という制度の特性を踏まえた対応が明確化されました。薬価又は材料価格算定時については、原価計算方式の営業利益率の係数を0.5倍とし、有用性系加算は算定時に判断しないこととなりました。収載後の対応については、費用対効果評価を本承認後に判断することとなりました。改めて承認を受けた際の対応については、補正加算の適用や費用対効果評価の該当性を改めて検討することとなりました。

見直しの背景

条件及び期限付き承認とは、再生医療等製品の特性を踏まえ、有効性が「推定」され安全性が「確認」された段階で、条件や期限を付して承認する制度です。この制度により、患者は新たな治療へ早期にアクセスできます。

この制度の下で保険適用された製品に、想定外の事態が発生しました。令和6年度に、コラテジェンとハートシートの2品目が通常承認を得られず、薬価基準又は材料価格基準から削除されたのです。

この事態を受け、中医協の合同部会(費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会)が償還価格の算定方法を検討しました。検討の前提として、条件及び期限付き承認時における有効性の推定と安全性の確認が適切に実施されること、及び承認後の計画が合理的かつ実施可能であることが置かれています。

薬価又は材料価格算定時の対応

新方針では、薬価又は材料価格算定時の対応として5つの項目が定められました。計算方式、営業利益率の係数、有用性系加算、その他の補正加算、外国平均価格調整の5項目です。

計算方式については、通常承認を受けた製品と同様のルールが適用されます。薬価算定では類似薬効比較方式、材料価格算定では類似機能区分比較方式が原則となります。類似薬又は類似機能区分が存在しない場合は、原価計算方式により算定されます。

営業利益率の係数については、条件及び期限付き承認の特性を反映した対応がとられます。原価計算方式により算定される場合、営業利益率の係数は平均的な営業利益率に0.5を乗じた値を用います。この措置は、有効性が「確認」ではなく「推定」にとどまることを踏まえたものです。

有用性系加算(画期性加算、有用性加算、改良加算)については、算定時には該当性を判断しません。有効性が「確認」ではなく「推定」されたことをもって承認が付与されたことが、その理由です。これらの加算の適用は、改めて通常承認を受けた後に検討されます。

その他の補正加算については、算定時に該当性を判断します。市場規模が小さいが医療上の必要性が高い医薬品の評価や、革新的な新薬の日本への早期導入の評価によるイノベーション推進という趣旨を踏まえた対応です。有効性が「推定」であることを考慮しつつも、加算の趣旨に照らして判断されます。

外国平均価格調整については、要件に該当する場合は適用されます。この対応は、通常承認を受けた製品と同様です。

薬価又は材料価格収載後の対応

収載後の対応として、市場拡大再算定、費用対効果評価、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の3つが定められました。

市場拡大再算定については、通常承認を受けた製品と同様に取り扱われます。条件及び期限付き承認であることによる特別な扱いはありません。適用する場合は、薬価算定組織又は保険医療材料等専門組織での審議を経て、中医協総会で了承されます。

費用対効果評価については、改めて承認を受けた際にその該当性を判断することとなりました。条件及び期限付き承認の段階では、有効性が「推定」にとどまるため、分析に必要なデータが不十分であることが想定されるためです。本承認後に、必要なデータが揃った段階で評価の該当性が判断されます。

新薬創出・適応外薬解消等促進加算(革新的新薬薬価維持制度)については、要件に該当する場合は適用されます。この加算は、革新的な新薬の研究開発を促進し、日本への早期導入を図るための制度です。条件及び期限付き承認であっても、要件を満たせば適用対象となります。

改めて承認を受けた際の取り扱い

条件及び期限付き承認を受けた製品が、期限内に改めて承認申請を行い通常承認を取得した場合、保険上の取り扱いが再検討されます。この再検討は、薬価算定組織又は保険医療材料等専門組織での審議を経て、中医協総会で了承されます。

再検討の対象は3つあります。1つ目は、原価計算方式で算定された場合の営業利益率の係数です。2つ目は、補正加算の適用又は控除です。3つ目は、費用対効果評価の該当性です。これらについて、通常承認に係る審査の結果等を踏まえて検討されます。

補正加算率の計算方法については、新規収載品目に対する補正加算率の算式と同様のルールが適用されます。算定時に判断しなかった有用性系加算についても、この段階で適用の可否が検討されます。

まとめ

今回の見直しは、条件及び期限付き承認という制度の特性を保険適用上の取り扱いに反映させるものです。有効性が「推定」にとどまる段階では、営業利益率の係数を0.5倍とし、有用性系加算は判断を保留します。本承認後に改めて、これらの項目や費用対効果評価の該当性が検討されます。

中医協は、この取り扱いについて継続的な見直しを予定しています。条件及び期限付き承認を受けた製品の事例が集積するなど、状況の変化があった場合には、中医協総会に報告し、必要に応じて見直しが審議されます。再生医療等製品の保険適用は、国民皆保険の堅持とイノベーションの推進、患者への治療アクセス確保のバランスの中で、今後も検討が続けられます。



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サマリー

日本の再生医療に関する新しい保険適用ルールが中央社会保険医療協議会によって発表され、条件付き承認の制度が重要視されています。この影響で、製品の価格設定や評価基準が見直され、治療への早期アクセスと制度の持続可能性のバランスが模索されています。

保険適用の新ルール
今回のテーマは、日本の再生医療における保険適用の新しいルールですね。お分かりした資料は、中央社会保険医療協議会が打ち出した新方針に関する解説記事ということで、そもそもきっかけがあったんですよね。
2024年度に条件および期限付き承認を受けていた再生医療の製品が2つ。はい、2品目ですね。それが最終的に通常承認を得られずに、保険適用から外れてしまうという事態が起きたと。そうなんです。これが非常に大きな出来事でして。今回はこの出来事を受けて何がどう変わったのか、その確信を掘り下げていきたいなと。
患者さんの治療アクセスと制度の持続可能性のバランス、非常に重要な話ですよね。ここで大事なのが、今おっしゃった条件および期限付き承認という制度なんです。これは有効性が推定されて、安全性が確認された段階で、いち早く患者さんに治療を届けるための仕組みなんですね。ただあくまで有効性は推定なんです。
この不確実性を保険の価格にどう反映させるか、これが今回の見直しの最大のポイントになります。では具体的にその価格の付け方はどう変わったんでしょうか。ここが一番気になるところです。はい、最も大きな変更点は2つです。まず1つ目は価格を減価計算方式で算定する場合の営業自益率。企業の利益の部分ですね。これに0.5をかけることになりました。
えっと半分にするってことですか。まあそういうことになります。有効性がまだ推定の段階だということを考慮して、利益率を暫定的に低く抑えようという考え方ですね。なるほど。そして2つ目が有用性経過算の扱いです。有用性経過算、画期的な薬につくボーナスみたいなものですよね。おっしゃる通りです。価格の上乗せのことですね。
で、条件付き承認の段階ではこの加算を適用するかどうかのその判断自体をしないということになったんです。判断をしない。はい。なるほど。つまり本格的な承認を得るまでは価格はあくまで暫定的なものとして少し控えめに設定しましょうと。でもそれだとイノベーションを評価する仕組みが弱くなりませんか。
ええ、そこが絶妙なバランス感覚でして、例えば市場規模が小さいけれど医療上の必要性が高い薬を評価するようなその他の補正加算というのはあるんですね。はいはい。それについてはこれまで通り検討されるんです。ああ、なるほど。だからイノベーションの目を完全に積んでしまうわけじゃないですよという意思表示でもあるわけです。
では保険適用された後の扱いはどうでしょう。特に費用対効果の評価が気になります。はい、費用対効果評価も今回の見直しでは重要なポイントです。ええ。結論から言うとこれは通常承認を得た後で改めて評価の対象にするかどうかを判断するということになりました。ああ、これも後回しというか段階を踏むわけですね。
そうです。条件付きの段階だとどうしても有効性に関するデータが不十分で正確な評価が難しいという現実的な理由からです。そしてもし無事に期限内に通常承認、いわば本面を取得できた場合はどうなるんですか。はい、その時点でいわば本番の評価が始まります。ほう。
まず0.5倍に抑えられていた営業利益率の係数を見直します。元に戻す、あるいは新しく計算し直す。ええ。そして判断が保留されていた有用性計価算を適用するかどうか。これを改めて検討する。なるほど。つまり製品の価値が正式に確定した段階で価格もそれにふさわしいものに再設定されると、そういう2段階の仕組みになったわけです。
つまり今回の変更をまとめると、条件付き承認という不確実な段階では価格を慎重に設定して有効性が確定した通常承認の段階で改めてその価値を評価し直すという非常に合理的で段階的なアプローチになったということですね。おっしゃる通りです。
これは新しい治療への早期アクセスを確保しつつも、確認未の保険制度を持続可能なものにするための重要な一歩と言えると思います。ええ。今後、この新しいルールで運用される製品の事例が積み重なっていけば、また見直しが行われる可能性も十分にありますね。
最後に少し考えてみたい問いがあるんですが、この新しいルールは革新的な治療法の開発スピードにどう影響するでしょうか。製薬企業は以前よりも慎重になるのか、それともむしろ明確な道筋ができたことで開発を加速させるんでしょうか。
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