令和8年1月16日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会において、医療法等の一部を改正する法律の施行に伴う療養担当規則等の改正が答申されました。この改正は、医療法に新設される「オンライン診療受診施設」への対応と、保険医療機関の管理者に関する要件・責務の明確化を目的としています。施行日は令和8年4月1日です。
今回の改正では、主に3つの重要な変更が行われます。第一に、保険薬局とオンライン診療受診施設の一体的な構造・経営を原則禁止する規定が新設されます。第二に、保険医療機関の管理者となるための要件として、臨床研修修了後の保険医経験等が定められます。第三に、保険医療機関の管理者に対して、従業者の監督や地域連携など4つの責務が課されます。
オンライン診療受診施設に関する薬担規則等の改正
医療法改正により「オンライン診療受診施設」が新たに創設されることを受け、保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(薬担規則)が改正されます。この改正は、医薬分業の適切な運用を確保する観点から、保険薬局とオンライン診療受診施設の関係を明確化するものです。
保険薬局に対する禁止事項として、2つの規定が新設されます。1つ目は、保険薬局がオンライン診療受診施設と一体的な構造とすること、または一体的な経営を行うことの禁止です。2つ目は、オンライン診療受診施設に対し、患者を特定の保険薬局へ誘導する指示等の対償として、金品その他の財産上の利益を供与することの禁止です。
これらの禁止規定は、保険薬局内でオンライン診療受診施設を開設した場合に生じる課題への対応です。保険薬局内で患者がオンライン診療を受けると、発行された処方箋は概ね当該薬局で調剤されることになります。この状況は、保険薬局と保険医療機関の独立性を損ない、特定の保険薬局への患者誘導につながるおそれがあるためです。
ただし、医療資源が少ない地域への配慮として、へき地に所在する保険薬局には例外が設けられます。医療計画におけるへき地に所在する保険薬局については、オンライン診療受診施設との一体的な構造・経営の禁止規定は適用されません。この措置により、へき地における医療提供体制の確保と医薬分業の原則との両立が図られます。
保険医療機関の管理者の要件
保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)に、保険医療機関の管理者となるための要件が新たに規定されます。この改正は、適正な保険医療を効率的に提供するため、適切な管理能力を有する医師・歯科医師を各保険医療機関に確保することを目的としています。
管理者となるための基本要件は、臨床研修を修了した者であって、保険医療機関において保険医として3年以上診療に従事した経験を有することです。医師の場合は病院での経験に限られますが、歯科医師の場合は診療所での経験も認められます。
上記の基本要件を満たさない場合でも、以下の6つの代替要件のいずれかに該当すれば管理者となることができます。第一の代替要件は、健康保険法第63条第3項第2号又は第3号に掲げる病院又は診療所(保険者立の病院等)において3年以上診療に従事した経験です。第二の代替要件は、医療法第30条の23第2項第1号に規定する計画(キャリア形成プログラム等)の適用を受け、現に当該計画に基づき診療に従事している者又は適用後3年以内の者であることです。第三の代替要件は、日本専門医機構が認定する基本領域の専門医資格を持つ者その他これに準ずる者であることです。第四の代替要件は、矯正医官、医師又は歯科医師である自衛官その他の公務員として5年以上勤務した経験です。第五の代替要件は、基本要件(保険医療機関での保険医経験)、第一の代替要件(保険者立病院等での経験)、第四の代替要件(公務員としての勤務経験)に係る期間を合算して5年を超える者であることです。第六の代替要件は、緊急に保険医療機関の管理者の地位を承継する等のやむを得ない事由がある場合です。
保険医療機関の管理者の責務
療担規則に、保険医療機関の管理者が果たすべき責務が新たに規定されます。健康保険法第70条の2第2項に規定する責務に加え、療担規則において4つの具体的な責務が明記されます。
第一の責務は、保険医の診療方針等に関する監督です。管理者は、保険医療機関に勤務する保険医が療担規則第2章「保険医の診療方針等」を遵守するよう監督しなければなりません。
第二の責務は、手続の適正に関する監督です。管理者は、療養の給付に関する厚生労働大臣等に対する申請、届出等に係る手続及び療養の給付に関する費用の請求に係る手続が適正に行われるよう監督しなければなりません。
第三の責務は、診療録等の管理に関する監督です。管理者は、診療録の記載及び整備並びに療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録の保存が適正に行われるよう監督しなければなりません。
第四の責務は、連携の確保です。管理者は、保険医療機関に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者の連携を図るとともに、地域の病院若しくは診療所その他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携を図らなければなりません。
まとめ
今回の療養担当規則等の改正は、令和8年4月1日に施行されます。保険薬局においては、オンライン診療受診施設との一体的な構造・経営の禁止規定への対応が求められます。保険医療機関においては、管理者の要件を満たす者の確保と、4つの責務を果たすための体制整備が必要となります。医療機関及び薬局の関係者は、施行日までに必要な対応を進めることが重要です。
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令和8年の制度改正により、オンライン診療と薬局の一体化が制限され、医療の公正性が重視されています。また、管理者の要件が明確にされ、医療の質を向上させるための新しいルールが求められています。
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