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2026-02-05 04:42

令和8年度診療報酬改定|特定保険医療材料の機能区分見直しと価格改定の全容

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中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第645回)において、令和8年度診療報酬改定に向けた特定保険医療材料の機能区分見直し等が議論されました。本稿では、薬事承認事項や臨床使用実態を踏まえた既存機能区分の見直し案、不採算品再算定による45機能区分の価格改定案、外国平均価格に基づく再算定の対象5区分について解説します。

今回の見直しでは、24項目の機能区分で細分化・定義変更・名称変更等が行われます。不採算品再算定では、安定供給確保のため45機能区分で償還価格が引き上げられます。外国平均価格に基づく再算定では5区分が対象となり、段階的な価格引き下げが実施されます。市場拡大再算定については、対象となる機能区分が存在しないため実施されません。

既存機能区分の見直し:24項目の詳細

既存機能区分の見直しは、診療報酬改定に併せて必要に応じて実施されます。今回は薬事承認事項や臨床上の使用実態等を踏まえ、24項目について見直しが行われます。

見直しの内容は6種類に分類されます。細分化が8件(複合項目含む)、定義変更が9件(複合項目含む)、名称変更が3件、留意事項変更が4件(複合項目含む)、合理化が2件、その他が1件です。一部の項目は細分化と定義変更など複数の見直しが同時に行われています。以下では、臨床現場への影響が大きい主要な見直し項目を説明します。

血管造影用シースイントロデューサーセットの細分化

血管造影用シースイントロデューサーセット(001)では、蛇行血管用の機能区分が細分化されます。従来の8区分から10区分に増加し、新たに「心腔内リード等送達用」として標準型と特殊型の2区分が新設されます。

この見直しの背景には、植込式心臓ペースメーカ用リードや植込型除細動器用カテーテル電極の送達に特化した製品の存在があります。従来は「蛇行血管用」に含まれていた製品が、薬事上の使用目的に基づき独立した機能区分として位置づけられます。

人工股関節用材料の細分化

人工股関節用材料(057)では、骨盤側材料の臼蓋形成用カップ(間接固定型)が細分化されます。従来の単一区分から「標準型」と「デュアルモビリティ用」の2区分に分けられます。

デュアルモビリティ用は、大腿骨側材料の脱臼を防ぐために使用される製品です。臼蓋形成用カップとライナー、ライナーと大腿骨ステムヘッドの間で二つの関節摺動面を確保する構造を持ちます。この製品で間接固定を使用するものが新たに細分化されます。

人工膝関節用材料の定義変更

人工膝関節用材料(058)では、大腿骨側材料の特殊型について定義が変更されます。従来「摩耗粉を軽減するための加工」と記載されていた部分が、「金属イオン溶出又は摩耗粉の低減を目的として」という表現に変更されます。

この変更は、該当製品群の使用実態や薬事承認事項を踏まえたものです。全置換用材料(間接固定型)の特殊型と片側置換用材料(間接固定型)の特殊型の両方で同様の定義変更が行われます。

固定用内副子(プレート)の細分化

固定用内副子(プレート)(061)では、その他のプレートの標準型が細分化されます。従来の「下顎骨・骨盤再建用」が「下顎骨等再建用」「骨盤再建用」「肋骨再建用」の3区分に分けられます。また、「下顎骨用」は「下顎骨用(患者適合型)」に名称変更されます。

この変更は、薬事承認上、骨盤専用および肋骨専用のプレートが存在することを踏まえたものです。歯科診療報酬点数表に規定する特定保険医療材料についても同様の見直しが行われます。

補助循環用ポンプカテーテルの細分化

補助循環用ポンプカテーテル(193)は、「通常型」と「高流量型」の2区分に細分化されます。高流量型は最大補助流量が5.5L/min以上のもので、低心機能患者等に使用されます。

高流量型を算定する場合は、診療報酬明細書に使用する医療上の必要性および使用した日数等を含めた症状詳記の記載が必要となります。

消化管内視鏡用止血材の名称統合

ペプチド由来吸収性局所止血材(212)、鉱物由来吸収性局所止血材(232)、アミノ酸由来非吸収性局所止血材(233)の3区分は、「消化管内視鏡用止血材」という上位カテゴリーに統合されます。臨床での使用目的を踏まえた名称変更です。

不採算品再算定:45機能区分の価格改定

不採算品再算定は、供給が著しく困難で十分償還されていない特定保険医療材料を対象とする制度です。令和8年度改定では45機能区分で償還価格の引き上げが行われます。

対象区分の選定基準は3点あります。第一に代替するものがないこと、第二に保険医療上の必要性が特に高いこと、第三に継続的な安定供給に際して材料価格が著しく低いことです。算定方法は原価計算方式により行われます。

大幅な価格改定が行われる主要項目

血管造影用シースイントロデューサーセット・心腔内リード等送達用・特殊型は、現行の2,700円から22,600円に改定されます。これは機能区分の細分化と同時に実施される不採算品再算定です。

人工股関節用材料・骨盤側材料・臼蓋形成用カップ(間接固定型)・デュアルモビリティ用は、現行の77,000円から176,000円に改定されます。こちらも機能区分の細分化と併せて実施されます。

骨セメント・大腿骨頸部用は、1g当たり535円から1,860円に改定されます。これは機能区分の細分化により脊椎用から分離された新区分への価格設定です。

脳・脊髄刺激装置用リード・仙骨神経刺激装置用は、現行の155,000円から297,000円に改定されます。機能区分の細分化により脳・脊髄刺激装置用から分離されました。

補助循環用ポンプカテーテル・高流量型は、現行の2,570,000円から3,450,000円に改定されます。IMPELLA 5.5補助循環用ポンプカテーテルが該当製品です。

人工透析関連材料の価格改定

人工腎臓用特定保険医療材料のダイアライザーは、複数の型で価格改定が行われます。Ⅰa型は1,440円から1,610円に、Ⅰb型は1,500円から2,090円に、Ⅱb型は1,520円から1,820円に、特定積層型は5,590円から5,800円にそれぞれ改定されます。在宅血液透析用も同様の改定が行われます。

横隔神経電気刺激装置の価格改定

横隔神経電気刺激装置は、3つの構成品すべてで価格改定が行われます。電極植込キットは1,870,000円から2,810,000円に、体外式パルス発生器は953,000円から1,090,000円に、接続ケーブルは11,800円から19,100円に改定されます。

外国平均価格に基づく再算定:5区分が対象

外国平均価格に基づく再算定は、保険償還価格が外国平均価格の1.3倍以上である機能区分を対象とします。令和8年度改定では152区分を調査対象とし、5区分が再算定対象となります。

再算定後の額は価格改定前の材料価格の50%を下限とします。安定供給の観点から、15%以上基準材料価格が下落する機能区分については、段階的な引き下げが実施されます。

再算定対象の5区分

尿管ステントセット・一般型・長期留置型(035)は、引き下げ率が25%以上50%未満となります。段階的引き下げにより、令和9年6月に全体の引き下げが完了します。

人工肩関節用材料・肩甲骨側材料・ベースプレート・標準型(065)と人工心肺回路・心筋保護回路(127)は、引き下げ率が15%以上20%未満です。令和9年6月に引き下げが完了します。

人工心肺回路・個別機能品・熱交換器(127)は、引き下げ率が5%以上10%未満です。血管内手術用カテーテル・血栓除去用カテーテル・脳血栓除去用・直接吸引型(133)は、引き下げ率が5%未満となります。

段階的引き下げの仕組み

引き下げ率が15%以上25%以下の場合は、令和8年6月に全体の2割、令和9年3月にさらに4割、令和9年6月に残り4割が引き下げられます。

引き下げ率が25%を超える場合は、令和8年6月に5%、令和9年3月に15%、令和9年6月に25%、令和10年3月に最大35%、令和10年6月に最大50%と段階的に引き下げられます。

市場拡大再算定は実施なし

市場拡大再算定については、対象となる機能区分および技術料が存在しないため、令和8年度診療報酬改定では実施されません。

まとめ

令和8年度診療報酬改定における特定保険医療材料の見直しは、3つの柱で構成されます。既存機能区分の見直しでは24項目で細分化・定義変更等が行われ、臨床使用実態に即した区分設定が進みます。不採算品再算定では45機能区分の償還価格が引き上げられ、医療材料の安定供給確保が図られます。外国平均価格に基づく再算定では5区分が対象となり、段階的な価格引き下げにより安定供給への影響を最小化しながら内外価格差の是正が行われます。



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サマリー

2026年度に見直される医療材料の価格改定について分析し、医療技術の進化に伴う分類の改定や価格の上昇が患者に与える影響を探っています。価格調整が医療の持続可能性に寄与する未来への投資となることを強調しています。

医療材料の価格改定の背景
医療の値段ってどう決まるんでしょうね。 安すぎるとメーカーが作らなくなって患者さんが困る。でもまあ高すぎれば今度は保険制度が持たない。
今日はその綱渡りの最前線ともいえる2026年度に見直される医療材料の価格、この裏側を中医協という会議の資料から一緒に深く見ていきたいと思います。
ええ、これ単なる価格の調整、調じり合わせじゃないんですよね。 どの技術に価値を置いてどうすれば最先端の治療を安定して届けられるか。
まさに医療の未来を左右するかなり重要な調整なんですよ。 なるほど未来を左右する調整ですか。
ではその第一歩、まず分類の見直しからですね。 えっとこれは具体的にどういうふうに変わるんですか。
はい、医療技術ってもう日清月歩なので昔のままの○○用家庭テルみたいなちょっと大雑把な括りだともう実態に合わなくなってくるんです。
ああなるほど。 そこで今回24項目で分類がより細かく専門的になります。
ほう、例えばどんなものが。 そうですね例えば人工股関節の材料、これまでは一括義だったんですけど
脱臼しにくい高機能なデュアルモビリティ用っていう新しい区分ができるんです。 デュアルモビリティ用。
これによってより優れた製品がきちんと評価されるわけです。 現場のお医者さんからすればやっとこの性能が正当に評価されたかっていう感じでしょうね。
患者さんにとっても治療の選択肢が広がることにつながりますし。 なるほど。
それで資料を読んでて本当に驚いた数字があったんですけど、 一部の材料は価格がものすごく上がってますよね。
心臓ペースメーカーの部品で2700円だったものが22,600円に。 これ一桁違いますよ。
一体何があったんですか。 いや、いいところに気づきましたね。それこそが今回の改定のまあ勘とも言える部分で
不採算品採算亭という仕組みです。 要は安すぎてメーカーがもう作っても赤字だと。
そうなって供給を止めてしまうのを防ぐためのいわば駆け込み値上げなんですよ。 作っても赤字。それで供給が止まったら本当に困りますもんね。
その通りです。 先ほど出た脱臼しにくい人工股関節も7万円台から17万円台に。
あとは重い心不全の患者さんを救うポンプも257万円から345万円になります。 なので次にニュースで医療費の高騰がと聞いても、その一部はこうして国内で必要な治療が受けられなくならないように
国が意図的に価格を守っている結果でもあるということなんですね。 いやーなるほど。でもそんなに一気に値段を上げたら病院の経営とか最終的には僕たちの保険料にも影響するんじゃないですか?
鋭い指摘ですね。 もちろんその視点は重要で、だからこそバランスを取るための値下げもあるんです。
医療制度の持続可能性
これが3つ目の柱ですね。 あーなるほど。
そこでバランスを取るわけですか? 基準は外国平均価格です。海外に比べて日本の価格が1.3倍以上高いものが対象になります。
例えばニョーカンステントサットなんかがそうですね。 ただこれも急に下げるとメーカーが対応できなくて、結局は安定供給が滞る恐れがある。
なので数年かけて段階的に価格を下げていくっていう、まあソフトランディングな方法が取られます。 なるほど。
1、分類を現実に合わせて。 2、なくてはならないものはしっかりお金を払って守り。
3、海外と比べて高すぎるものは税制すると。 すごくこうメリハリが効いてますね。
まさに飴と鞭を使い分けて、医療制度を持続可能なものにしようという、そういう意図が見て取れます。
ということはこれはもう単なる価格調整という話じゃなくて、私たちが将来も安心して良い治療を受けられるようにするための未来への投資?
みたいな意味合いも含まれているわけですね。 そう捉えることができますね。
ただ、ここで一つあなたにも考えてみてほしい問いが浮かび上がります。 今回のように、まあ2年ごとに制度を見直す、このペースで日清月歩の医療技術の進化に本当に追いついていけるんでしょうか?
イノベーションの促進と制度の安定性、この両立をこれからどう取っていくのかが非常に大きな課題と言えるでしょうね。
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