【令和8年度改定】常勤要件が週32時間から31時間に緩和|3つの対象項目と実務上の注意点

Feb 25, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、常勤職員の常勤要件に係る所定労働時間数が見直されます。これまで「週32時間以上」とされていた常勤の所定労働時間要件が「週31時間以上」に引き下げられます。この見直しは、一般職の国家公務員の1日当たり勤務時間(7時間45分)を踏まえたものです。今回の見直しでは、主に3つのポイントがあります。第一に、対象となる施設基準は、急性期一般入院料1等の常勤医師、有床診療所の医師配置加算、医師事務作業補助体制加算の3項目です。第二に、常勤換算の計算に用いる分母(所定労働時間の下限)は、従来どおり週32時間のまま据え置かれます。第三に、育児・介護休業法に基づく短時間勤務者の常勤要件(週30時間以上)は変更ありません。見直しの背景|公務員の勤務時間と診療報酬の常勤要件にズレがあった今回の見直しの背景には、国家公務員の勤務時間と診療報酬上の常勤要件との間に生じていた不整合があります。診療報酬の施設基準では、常勤職員の要件として、従来から「週4日以上の常態勤務」かつ「所定労働時間が週32時間以上」であることが求められてきました。この週32時間という基準は、1日8時間×週4日=32時間を根拠としています。一方、一般職の国家公務員の勤務時間は、平成20年の人事院勧告を受けて、平成21年4月1日から1日当たり8時間から7時間45分へと改定されています。この改定により、週4日勤務の公務員の所定労働時間は、7時間45分×4日=31時間となりました。この結果、公務員として週4日・31時間勤務する常勤医師が、診療報酬上の常勤要件(週32時間以上)を満たせないという問題が生じていました。とりわけ過疎地等では、退職した常勤医師を再任用職員として確保せざるを得ない状況にあり、週31時間勤務の医師が常勤として算定できないことが、地域医療の確保に支障をきたしていました。こうした状況を踏まえ、令和7年の地方分権改革に関する提案でも、常勤要件の緩和が求められていました。改定の内容|所定労働時間の要件を週32時間から週31時間に引き下げ今回の改定では、常勤職員の常勤要件に係る所定労働時間数の基準が、週32時間から週31時間に引き下げられます。対象となる施設基準は、以下の3項目です。1つ目は、急性期一般入院料1等に係る常勤医師の要件です。 急性期一般入院料1及び7対1入院基本料(特定機能病院入院基本料及び障害者施設等入院基本料を除く)に係る常勤医師の定義が、「所定労働時間が週31時間以上」に変更されます。あわせて、非常勤医師の常勤換算に関する規定が追加され、常勤職員の所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)をもって常勤1名として換算する旨が明記されます。2つ目は、有床診療所の医師配置加算に係る常勤医師の要件です。 医師配置加算の施設基準における常勤医師の定義も、同様に「所定労働時間が週31時間以上」に変更されます。この項目でも、常勤換算に関する規定が新たに追加され、所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)をもって常勤1名として換算するルールが明確化されます。3つ目は、医師事務作業補助体制加算に係る常勤職員の要件です。 医師事務作業補助者の勤務時間に関する常勤職員の定義も、「所定労働時間が週31時間以上」に変更されます。この項目では、従来から常勤換算自体は認められていましたが、今回の改定で常勤換算の計算方法が新たに明記され、所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)をもって常勤1名として換算することとされます。実務上の注意点|常勤換算の分母は週32時間のまま変わらない今回の見直しでは、常勤換算の計算方法に関して注意すべき点があります。常勤換算数を算出する際の分母となる所定労働時間の下限は、従来どおり週32時間のまま据え置かれます。つまり、常勤の「定義」は週31時間以上に緩和される一方、非常勤職員を常勤換算する際の計算式では、所定労働時間が32時間未満の場合は32時間を用いて計算します。この点を混同しないよう注意が必要です。育児・介護休業法に基づく短時間勤務者の取扱いについても確認が必要です。正職員として勤務する者が、育児・介護休業法第23条第1項、同条第3項又は同法第24条の規定による措置を受けて所定労働時間が短縮された場合は、所定労働時間が週30時間以上であれば常勤として扱われます。この週30時間の基準は、今回の改定でも変更されていません。まとめ令和8年度診療報酬改定では、常勤職員の常勤要件に係る所定労働時間数が週32時間から週31時間に引き下げられます。対象は、急性期一般入院料1等の常勤医師、有床診療所の医師配置加算、医師事務作業補助体制加算の3項目です。常勤換算の分母は週32時間のまま据え置かれるため、常勤の「定義の緩和」と「換算方法」を区別して運用する必要があります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で大幅緩和

Feb 24, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医療現場の人手不足と業務効率化への対応として、感染対策向上加算等における専従要件が見直されます。今回の見直しは、専門人材が介護保険施設等への支援と院内業務をより柔軟に両立できるようにすることを目的としています。見直しの内容は、3つの柱で構成されています。第一の柱は、介護保険施設等又は指定障害者支援施設等(以下「介護保険施設等」)への助言に携われる時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されることです。第二の柱は、感染制御チーム等の専従者が所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになることです。第三の柱は、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者への外来栄養食事指導等を行えるようになることです。介護保険施設等への助言時間が月10時間から月16時間に拡大第一の柱は、専従者が介護保険施設等に赴いて助言できる時間の上限拡大です。対象となる加算は、感染対策向上加算、緩和ケア診療加算、小児緩和ケア診療加算、外来緩和ケア管理料、褥瘡ハイリスク患者ケア加算の5つです。これらの加算の施設基準では、各チームの専従者が介護保険施設等からの求めに応じて助言を行う場合、専従業務とみなすことができます。この助言に携われる時間の上限が、現行の月10時間以下から月16時間以下に引き上げられます。この拡大の背景には、介護保険施設等における専門的支援のニーズの高まりがあります。今回の時間拡大により、施設間連携がさらに促進されることが期待されます。感染制御チーム等の専従者に月16時間までの他業務従事を容認第二の柱は、専従者の業務時間が所定労働時間に満たない場合に、他業務への従事を認める仕組みの新設です。この仕組みの対象は、感染対策向上加算における感染制御チームの専従者、抗菌薬適正使用支援チームの専従者、医療安全対策加算1に規定する専従の医療安全管理者の3者です。具体的な運用方法は以下のとおりです。これらの専従者について、加算に係る業務への従事時間が所定労働時間に満たない場合には、月16時間までに限り、当該業務の実施時間以外に他の業務に従事することが認められます。なお、感染制御チームの専従者については「病院内の」他の業務と場所が限定されている一方、抗菌薬適正使用支援チームの専従者と医療安全管理者については場所の限定がない点に留意してください。感染制御チームの専従者については、この月16時間の枠と介護保険施設等への助言時間が調整される点に注意が必要です。介護保険施設等に赴いて助言に係る業務を行った時間がある場合、月16時間からその時間を差し引いた残りの時間が、院内の他業務に従事できる上限となります。この見直しの背景には、中医協での議論があります。従来、医療安全対策加算や感染対策向上加算の専従者については、加算に係る業務のない時間に実施可能な業務が明示されていませんでした。病床規模によって業務量に差があるにもかかわらず、空き時間の活用方法が不明確だったのです。今回の改定で、月16時間という具体的な基準が設けられたことで、現場の運用が明確になります。入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者の外来支援に従事可能に第三の柱は、入院栄養管理体制加算における専従管理栄養士の業務範囲の拡大です。特定機能病院入院基本料の入院栄養管理体制加算では、病棟に専従の常勤管理栄養士を1名以上配置することが求められています。今回の改定では、この専従の管理栄養士が、病棟での栄養管理業務に影響のない範囲において、当該病棟から退院した患者の外来栄養食事指導等の継続的な支援を行って差し支えないこととされます。この見直しは、入院から外来への栄養管理の切れ目ない提供を可能にするものです。従来の基準では、専従の管理栄養士は当該病棟の退院患者に対する支援であっても、病棟外での業務を行うことができませんでした。今回の改定により、入院中に把握した患者の栄養状態や食事の課題を、退院後の外来指導に直接つなげることが可能になります。まとめ令和8年度診療報酬改定における感染対策向上加算等の専従要件の見直しは、3つの柱で構成されています。第一に、介護保険施設等への助言時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されます。第二に、感染制御チーム等の専従者が所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになります。第三に、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者の外来支援を行えるようになります。いずれも医療現場の人手不足に対応し、専門人材をより柔軟に活用するための改定です。届出医療機関においては、施設基準の変更内容を確認し、運用体制の見直しを進めてください。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】看護職員が一時的に不足しても届出不要に?施設基準の柔軟化を解説

Feb 23, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、看護職員の一時的な不足に対応するため、施設基準の届出に関する新たな柔軟化ルールが設けられました。医療現場の約8割が看護職員の配置に困難を感じている状況を踏まえ、平時から採用活動を行っている医療機関が突発的な事情で看護職員を確保できない場合に、届出の猶予を認める仕組みです。この柔軟化ルールのポイントは3つあります。第一に、看護要員数について暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動があった場合、最長3か月間、届出区分の変更が不要になります。第二に、この猶予を受けるには、ハローワークやナースセンターなどの公的職業紹介を活用した採用活動を平時から行っていることが条件です。第三に、猶予の適用は年1回に限られ、地方厚生局への報告義務があります。改定の背景:深刻化する看護職員不足と従来の取扱い今回の改定は、医療現場における看護職員不足の深刻化を背景としています。令和7年度の実態調査によると、入院料の施設基準を満たす看護職員の配置について、「困難を感じる」と回答した医療機関は約8割に上りました。また、令和6年度の実態調査では、勤務シフトの組み方について、すべての勤務形態で「組みにくくなった」との回答が3割を超えています。従来、看護要員数の一時的な変動に対する届出猶予は、新型コロナウイルス感染症の特例措置として運用されていました。この特例では、コロナ患者の受入れによる入院患者の急増や、職員の感染による一時的な人手不足が生じた場合に、3か月を超えない期間に限り届出区分の変更を不要としていました。この特例の期限は令和8年5月31日までとされていましたが、今回の改定で、コロナに限らず突発的な事情全般に対応する恒久的な制度として新たに規定されました。柔軟化の具体的な内容:対象となる変動と猶予期間新たに設けられた柔軟化ルールは、看護要員に関する3つの指標を対象としています。対象となる指標は、1日当たり勤務する看護要員の数、看護要員の数と入院患者の比率、そして看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率です。これらの指標について、猶予が認められる条件は2つあります。ひとつは、突発的で想定が困難な事象によるやむを得ない事情が原因であることです。もうひとつは、暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であることです。この2つの条件を満たす場合、3か月を超えない期間に限り、届出区分の変更が不要となります。ただし、この猶予の適用は1年に1回に限られます。猶予を受けるための4つの要件届出猶予の適用を受けるには、以下の4つの要件すべてに該当する必要があります。要件1:公的職業紹介の活用。ハローワーク(公共職業安定所)または都道府県ナースセンター等の無料職業紹介事業を活用して、看護職員の確保に係る取組を行っていることが必要です。なお、やむを得ない事情が生じていない平時においても、看護職員の求人を行う際にこれらを活用することが望ましいとされています。要件2:適正認定事業者の利用。民間の有料職業紹介事業者を利用する場合は、医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者認定制度による適正認定事業者を含めることが求められます。要件3:自主的な採用活動の推進。公的職業紹介を活用している場合でも、医療機関自らが採用情報をウェブサイトで公表する等、看護職員確保に積極的に取り組んでいることが望ましいとされています。要件4:看護要員の労働時間管理。一時的に看護職員を確保できない場合には、一部の看護要員へ過度な業務負担とならないよう、適正な労働時間管理を行い、体制の整備を図るよう努めることが求められます。報告の手続き:届出が不要でも報告は必要届出区分の変更は猶予されますが、地方厚生局等への報告は必要です。報告は、やむを得ない事情が生じた日の属する月の翌月までに、速やかに行わなければなりません。報告にあたっては、所定の様式に、看護職員の確保に係る取組の内容と、一時的に看護職員を確保できないやむを得ない事情を記載します。この様式には、報告する時点で有効な求人票を添付することが必要です。まとめ令和8年度診療報酬改定では、看護職員の一時的な不足に対応する施設基準の柔軟化ルールが新設されました。暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であれば、最長3か月間、届出区分の変更が不要となります。ただし、この猶予を受けるには、ハローワークやナースセンターの活用を含む平時からの採用活動が前提条件です。届出は不要でも報告義務はありますので、手続きの準備を怠らないよう注意が必要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】医師の働き方改革と診療科偏在対策|外科医処遇改善と休日等加算1の要件緩和

Feb 22, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、外科を中心とした診療科偏在の解消と医師の働き方改革の推進に向けて、診療報酬上の新たな評価の導入と既存の施設基準の見直しが行われます。外科医師の減少が全国的な課題となる中、処遇改善と勤務環境改善の両面から対策が講じられます。医師の働き方改革の推進と診療科偏在対策は、大きく2つの施策で構成されます。第1に、医師の働き方改革及び診療科偏在対策として、地域医療体制確保加算の2段階化、外科医療確保特別加算の新設、時間外・休日労働時間の上限基準の引下げの3つの柱が導入されます。第2に、処置及び手術の休日・時間外・深夜加算1について、チーム制の施設基準が緩和され、緊急呼出し当番の人数要件緩和、勤務間インターバルの選択肢追加、手当支給要件の整理が行われます。① 医師の働き方改革及び診療科偏在対策の推進令和8年度改定では、診療科偏在の解消と医師の働き方改革を図るため、3つの柱で対策が講じられます。第1の柱は、地域医療体制確保加算の2段階化です。 従来の加算(620点)を「加算1」とし、医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関に対して「加算2」(720点)が新設されます。加算2を算定するには、加算1の要件に加え、特定機能病院入院基本料(7対1・10対1に限る)または急性期総合体制加算の届出が必要です。さらに、消化器外科、心臓血管外科、小児外科、循環器内科のうち地域で医師確保が特に必要な「特定診療科」を3つ以内で選定し、当該診療科の医師に対する給与面での特別な配慮や、交代勤務制・チーム制の導入などの勤務環境改善に取り組むことが求められます。第2の柱は、外科医療確保特別加算の新設です。 地域の基幹的な医療機関が高度手術を実施する体制を整備し、外科医の勤務環境を改善した上で、長時間かつ高難度な手術を実施した場合に、手術の所定点数の15%を加算できます。施設基準として、対象手術の年間200例以上の実績、経験5年以上の常勤医師6名以上の配置、地域の他の医療機関との連携体制の構築が求められます。加えて、対象手術件数に応じた加算額の30%以上に相当する手当を当該診療科の医師に支給することが必要です。第3の柱は、特定地域医療提供医師等の時間外・休日労働時間の上限基準の引下げです。 令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下へと段階的に引き下げられます。この上限基準は、地域医療体制確保加算1の施設基準として位置づけられています。詳しくは、【令和8年度改定】外科医の処遇改善と診療科偏在対策の3つの柱を解説をご覧ください。② 処置及び手術の休日・時間外・深夜加算1の見直し処置及び手術に係る休日加算1、時間外加算1、深夜加算1について、チーム制の施設基準が3つの点で見直されます。令和7年度の実態調査で多くの医療機関が「算定継続が困難」と回答していた要件が緩和されます。第1に、緊急呼出し当番の人数要件が緩和されます。 現行では「医師数5名ごとに1名」の配置が必要でしたが、改定後は原則「2名以上」(医師数5名未満の場合は「1名以上」)に緩和されます。医師数に比例して当番人数が増える仕組みが見直され、配置の負担が軽減されます。第2に、勤務間インターバルが翌日休日の代替として選択可能になります。 現行では夜勤時間帯の緊急呼出し当番について翌日を休日とすることが求められていましたが、改定後は翌日休日に代えて、医療法に規定する休息時間と同様の勤務間インターバルを確保する方法を選択できるようになります。第3に、手当支給要件における緊急呼出し当番配置が整理されます。 緊急呼出し当番の配置対象が交代勤務制に限定されるとともに、対象時間帯が「休日等」から「休日又は時間外」に変更され、関連するただし書きも削除されます。なお、既届出の医療機関には令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。詳しくは、【令和8年度改定】処置・手術の休日等加算1のチーム制要件が緩和|3つの変更点を解説をご覧ください。まとめ令和8年度改定における医師の働き方改革と診療科偏在対策は、2つの施策で構成されます。医師の働き方改革及び診療科偏在対策では、地域医療体制確保加算の2段階化、外科医療確保特別加算の新設、時間外・休日労働時間の上限基準の引下げにより、外科医を中心とした処遇改善と勤務環境改善が推進されます。処置・手術の休日等加算1の見直しでは、チーム制の施設基準が緩和され、緊急呼出し当番の配置負担や翌日休日の運用負担が軽減されます。いずれの施策も、医師が働き続けられる環境の整備と、地域における医療提供体制の確保を目指すものです。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】処置・手術の休日等加算1のチーム制要件が緩和|3つの変更点を解説

Feb 22, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医師の働き方改革を推進する観点から、処置及び手術に係る休日加算1、時間外加算1、深夜加算1の施設基準が見直されます。令和7年度の実態調査で多くの医療機関が「算定継続が困難」と回答していたチーム制の要件が、今回の改定で緩和されます。今回の見直しは、大きく3つです。第1に、チーム制における緊急呼出し当番の人数要件が緩和されます。第2に、夜勤時間帯の緊急呼出し当番について、翌日休日に代えて「勤務間インターバルの確保」が選択肢として追加されます。第3に、手当支給要件(3)における緊急呼出し当番の配置対象が交代勤務制に限定されるとともに、対象時間帯やただし書きも整理されます。なお、既届出の医療機関には令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。変更点1:緊急呼出し当番の人数要件の緩和チーム制における緊急呼出し当番の配置人数が緩和されます。現行の要件では、「当該診療科に配置されている医師の数が5名又はその端数を増すごとに1名」の緊急呼出し当番を配置する必要がありました。たとえば、医師10名の診療科では2名の当番配置が必要でした。改定後は、「2名以上」の緊急呼出し当番を配置すればよいこととなります。ただし、当該診療科の医師数が5名未満の場合は「1名以上」で足ります。この変更により、医師数に比例して当番人数が増える仕組みが見直され、配置の負担が軽減されます。変更点2:勤務間インターバルの選択肢の追加夜勤時間帯の緊急呼出し当番に対する勤務体制として、勤務間インターバルの確保が新たに選択できるようになります。現行の要件では、夜勤時間帯に緊急呼出し当番を行った医師について、翌日を休日とすることが求められていました。当番中に診療を行わなかった場合は翌日を休日としなくてもよいとされていたものの、診療の有無は事前に予見できません。そのため、実態としては、緊急呼出し当番の翌日は常に休日として運用せざるを得ない状況でした。令和7年度の実態調査でも、「緊急呼出し当番翌日の休日対応」は算定継続が困難な要件の上位に挙げられていました。改定後は、翌日休日の要件(ウ)に加えて、勤務間インターバルの確保(エ)が新たな選択肢として設けられます。具体的には、夜勤時間帯に緊急呼出し当番を行う医師について、特定対象医師であるかどうかにかかわらず、医療法第123条第1項及び第2項に規定する休息時間と同様の休息時間を確保することが求められます。また、特定対象医師については、同条第3項に規定する休息時間の確保にも配慮することとされています。この変更により、医療機関は翌日休日(ウ)と勤務間インターバル(エ)のいずれかを選択できるようになります。変更点3:手当支給要件における緊急呼出し当番配置等の整理手当支給に関する要件(3)について、緊急呼出し当番の配置条件、対象時間帯、ただし書きの3点が整理されます。1点目は、緊急呼出し当番の配置対象の限定です。現行では、交代勤務制・チーム制のいずれを導入している場合でも、手当支給の要件として「休日等において、当該診療科に1名以上の緊急呼出し当番を担う医師を置いていること」が求められていました。改定後は、この配置要件が「(1)の交代勤務制を導入している場合」に限定されます。チーム制を導入している医療機関では、(2)の要件の中で緊急呼出し当番の配置がすでに求められているため、(3)での重複した配置要件が整理された形です。2点目は、対象時間帯の変更です。現行では緊急呼出し当番の配置が必要な時間帯は「休日等」、すなわち休日・時間外・深夜とされていました。改定後は「休日又は時間外」に変更され、深夜が対象から除かれます。交代勤務制を導入している医療機関では、深夜帯は交代勤務の中で対応する体制が前提となっているため、緊急呼出し当番の配置対象から外されたと考えられます。3点目は、ただし書きの削除です。現行では、緊急呼出し当番以外の医師が夜勤時間帯に手術を行った場合の取扱い(当直等を行っている者として数えない、特定の医師に手術が集中しないよう配慮する等)がただし書きとして詳細に規定されていました。改定後は、このただし書きが削除されます。チーム制における(3)の緊急呼出し当番配置要件が削除されたことに伴い、関連するただし書きも不要となったためと考えられます。経過措置既届出の医療機関には、経過措置が設けられます。令和8年3月31日時点で休日加算1、時間外加算1、深夜加算1の届出を行っている保険医療機関は、令和9年5月31日までの間、チーム制の新要件であるウ(翌日休日)又はエ(勤務間インターバル)を満たしているものとみなされます。まとめ令和8年度改定では、処置・手術の休日等加算1について、チーム制の施設基準が3つの点で見直されます。緊急呼出し当番の人数要件が緩和され、勤務間インターバルが翌日休日の代替として選択可能となり、手当支給要件の緊急呼出し当番配置が交代勤務制に限定されるとともに対象時間帯やただし書きも整理されます。既届出の医療機関には令和9年5月31日までの経過措置があるため、施設基準の見直しと届出の準備を計画的に進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】外科医の処遇改善と診療科偏在対策の3つの柱を解説

Feb 21, 2026 岡大徳

外科医師の減少が全国的な課題となっています。特に消化器外科や心臓血管外科などでは若手医師数の減少傾向が続いており、地域の医療提供体制に深刻な影響を及ぼしています。令和8年度診療報酬改定では、こうした診療科偏在の解消と医師の働き方改革の推進を図るため、診療報酬上の新たな評価が導入されます。今回の改定では、3つの柱で対策が講じられます。第1の柱は、地域医療体制確保加算の2段階化です。従来の加算(620点)を「加算1」とし、医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関に対して「加算2」(720点)が新設されます。第2の柱は、外科医療確保特別加算の新設です。高度な手術を実施する医療機関において、手術の所定点数の15%を加算する仕組みが創設されます。第3の柱は、特定地域医療提供医師等の時間外・休日労働時間の上限基準の引き下げです。令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下へと段階的に引き下げられます。地域医療体制確保加算の2段階化地域医療体制確保加算は、従来の1区分から2区分に再編されます。従来の要件を満たす医療機関は「加算1」(620点)を算定し、さらに医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関は「加算2」(720点)を算定できます。加算1の要件は、現行の地域医療体制確保加算と基本的に同じです。救急搬送、周産期医療または小児救急医療に係る実績を有し、病院勤務医の負担軽減・処遇改善に資する体制を整備していることが求められます。加算2の要件は、加算1の要件に加えて、入院料の届出要件と医師確保が必要な診療科に対する特別な配慮が求められます。入院料の届出要件として、特定機能病院入院基本料(7対1入院基本料及び10対1入院料に限る)または急性期総合体制加算を届け出ていることが必要です。この要件により、加算2を算定できるのは特定機能病院や高度急性期を担う医療機関に限定されます。加えて、以下の3つの要件を満たす必要があります。第1に、対象となる診療科の特定です。全国的に若手の医師数が減少傾向にある消化器外科、心臓血管外科、小児外科、循環器内科のうち、地域でも医師確保が特に必要な診療科を3つ以内で「特定診療科」として選定します。なお、消化器外科、心臓血管外科または小児外科を他の外科系診療科と区別することが困難な場合は、外科系診療科全体を2診療科として特定できます。第2に、特定診療科の医師確保に関する取組です。地域の他の医療機関との手術・高度医療の機能分化や集約に関する協議を行うこと、臨床研修終了後の研修を地域で連携して行うこと、そして特定診療科の医師に対する給与面での特別な配慮(毎月決まって支給される手当に限る)を行うことが求められます。第3に、勤務環境改善の取組です。特定診療科において、交代勤務制またはチーム制を導入した上で、次のいずれかの取組を実施する必要があります。ひとつは、医師事務作業補助体制加算を届け出た上で、当該加算で配置する医師事務作業補助者を全ての特定診療科の病棟または外来等に配置することです。もうひとつは、各特定診療科の術前術後管理等に携わる看護職員について、集中治療や術後疼痛管理等の適切な研修を修了した者を配置することです。外科医療確保特別加算の新設外科医療確保特別加算は、地域の基幹的な医療機関が高度手術を実施する体制を整備し、外科医の勤務環境を改善した上で、長時間かつ高難度な手術を実施した場合に算定できる新たな加算です。算定額は、当該手術の所定点数の15%に相当する点数です。この加算の対象となる手術は、消化器外科・心臓血管外科領域を中心とした長時間かつ高難度な手術です。対象術式は通知においてKコードで具体的に指定されており、多数の術式が対象となっています。施設基準は、以下の8項目で構成されています。第1に、対象診療科の届出です。外科医療確保特別加算を算定する診療科を届け出ていることが必要です。第2に、入院料の届出です。特定機能病院入院基本料または急性期総合体制加算を届け出ていることが求められます。第3に、手術実績です。対象となる長時間かつ高難度な手術を合わせて年間200例以上実施していることが求められます。第4に、診療科体制です。算定する全ての診療科において、当該診療科の経験を5年以上有する常勤医師を6名以上配置し、チーム制または交代勤務制を導入していることが必要です。加えて、当該診療科に配置されている常勤医師については、特定対象医師であるかどうかにかかわらず、特定対象医師について医療法で規定されているものと同様の休息時間を確保することが求められます。なお、医療法第123条第3項に規定する休息時間については、確保するよう「配慮」することとされており、努力義務として位置づけられています。第5に、地域連携体制です。地域の他の医療機関と対象手術の実施体制や術後フォローアップ体制について事前に協議し、その内容を公表するとともに患者に説明する必要があります。第6に、研修体制です。臨床研修終了後の医師を対象として、対象手術に係る診療科における研修体制が整備されていることが必要です。第7に、地域医療体制確保加算2の届出です。加算2における処遇配慮の対象に、外科医療確保特別加算を算定する診療科が含まれている必要があります。第8に、手当の支給です。対象手術件数に応じて、加算額の30%以上に相当する額を総額とする手当を当該診療科の医師に支給し、その8割以上を常勤医師に支給することが求められます。この支給内容は、院内の全ての医師に周知する必要があります。なお、この手当は地域医療体制確保加算2における処遇配慮に活用して差し支えないとされています。時間外・休日労働時間の上限基準の引き下げ特定地域医療提供医師および連携型特定地域医療提供医師の時間外・休日労働時間の上限基準は、段階的に引き下げられます。令和6年度の1,785時間以下、令和7年度の1,710時間以下に続き、令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下となります。この上限基準は、地域医療体制確保加算1の施設基準として位置づけられています。基準を超える特定対象医師がいる場合でも、その理由と改善計画を院内の見やすい場所やホームページ等で公開すれば、直ちに施設基準を満たさなくなるわけではありません。ただし、この例外的な取扱いが認められるのは、あくまで改善に向けた計画を公開している場合に限られます。なお、今回の改定では、従来の施設基準通知で「対象医師」としていた名称が「特定対象医師」に変更されています。まとめ令和8年度診療報酬改定における医師の働き方改革・診療科偏在対策は、3つの柱で構成されています。地域医療体制確保加算の2段階化により、特定機能病院や高度急性期を担う医療機関のうち、医師確保が困難な診療科への特別な配慮を行う医療機関が新たに評価されます。外科医療確保特別加算の新設により、高度手術を担う外科医の処遇が改善されます。時間外・休日労働時間の上限基準の引き下げにより、医師の働き方改革がさらに推進されます。これらの対策を通じて、外科を中心とした診療科偏在の解消と、地域における医療提供体制の確保が図られます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】看護・多職種協働加算を新設|急性期病棟の多職種連携が点数化

Feb 21, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、急性期病棟における多職種協働の取り組みを新たに評価する「看護・多職種協働加算」が新設されます。この加算は、生産年齢人口の減少により医療従事者の確保が難しくなる中でも、重症度の高い高齢者等に専門的な治療やケアを提供し、ADLの維持・向上を図ることを目的としています。看護・多職種協働加算のポイントは3つです。第一に、対象は急性期一般入院料4と急性期病院B一般入院料のうち、急性期一般入院料1と同等の重症度を満たす病棟です。第二に、看護配置基準を超えて多職種を配置し、専門性を発揮しながら協働する体制が要件となります。第三に、点数は加算1が277点(1日につき)、加算2が255点(1日につき)です。加算の対象と点数看護・多職種協働加算は、急性期一般入院料4を算定する病棟と急性期病院B一般入院料を算定する病棟が対象です。いずれも急性期一般入院料1と同等の重症度、医療・看護必要度を満たす病棟に限定されます。対象病棟のうち、急性期一般入院料4を算定する患者には「看護・多職種協働加算1」として277点(1日につき)が算定できます。急性期病院B一般入院料を算定する患者には「看護・多職種協働加算2」として255点(1日につき)が算定できます。配置要件:看護職員を含む25対1配置この加算の配置要件では、看護配置基準を超えて職員を追加配置することが求められます。具体的には、患者に指導および診療の補助を行う看護職員と他の医療職種を合わせて、常時、入院患者25人に対して1人以上の配置が必要です。追加で配置する職種は、看護職員、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、管理栄養士、臨床検査技師のいずれかです。看護職員をさらに手厚く配置する方法でも、他の医療職種を組み合わせる方法でも要件を満たせます。いずれの場合も、各職種が専門性に基づいて業務を行う体制を整備しなければなりません。施設基準の主な要件施設基準では、配置要件に加えて、患者の重症度や病院の機能に関する複数の要件が定められています。ここでは、主な要件を整理します。重症度、医療・看護必要度については、2つの基準から選択できます。必要度Ⅰを用いる場合は、特に高い基準を満たす患者割合の指数が28%以上、かつ一定程度高い基準を満たす患者割合の指数が35%以上です。必要度Ⅱを用いる場合は、特に高い基準を満たす患者割合の指数が27%以上、かつ一定程度高い基準を満たす患者割合の指数が34%以上です。ただし、必要度Ⅱを用いるには、診療内容に関するデータを適切に提出できる体制が整備されていなければなりません。在院日数と退院先の要件も設けられています。平均在院日数は16日以内であることが求められます。自宅等に退院する患者の割合は、退院患者全体の80%以上でなければなりません。医師の配置基準として、常勤医師の員数が入院患者数の10%以上であることが必要です。このほか、急性期医療を担う病院であること、各医療職種が専門性に基づいて業務を行う体制が整備されていること、医療従事者の負担軽減と処遇改善に資する体制が整備されていることも求められます。背景と狙い:人口減少時代の病棟運営モデル看護・多職種協働加算が新設された背景には、生産年齢人口の減少による医療従事者確保の制約があります。従来の「看護師のみで病棟配置を厚くする」というモデルでは、人材確保が困難になりつつあるのが現状です。この加算は、看護職員と他の医療職種が協働するという新しい病棟運営モデルを提示しています。たとえば、理学療法士や作業療法士が病棟に配置されることで、高齢の入院患者に対してADLの維持・向上を目的とした早期介入が可能になります。管理栄養士が配置されれば、栄養管理の観点から患者の回復を支援できます。臨床検査技師が配置されれば、検査データに基づくタイムリーな状態把握に貢献できます。このように、各職種の専門性を活かした介入によって、患者のアウトカム向上と看護職員の負担軽減の両立を目指しています。まとめ令和8年度改定で新設される看護・多職種協働加算は、急性期一般入院料4および急性期病院B一般入院料の病棟のうち、急性期一般入院料1相当の重症度を満たす病棟が対象です。加算を算定するには、看護職員を含む25対1配置と、重症度基準・在院日数・退院先割合などの施設基準を満たす必要があります。この加算は、人口減少時代において多職種の専門性を活かした協働により、患者のADL維持・向上と医療従事者の負担軽減を両立させる新たな病棟運営モデルを示しています。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】ICT・AI・IoT活用で変わる4つの業務効率化|看護配置から事務簡素化まで

Feb 20, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医療従事者の人材確保と働き方改革を推進するため、ICT・AI・IoT等の利活用による業務効率化が大きく進みます。この改定は、看護現場の人手不足や医師の事務負担、煩雑な届出業務など、医療機関が長年抱えてきた課題に対応するものです。本記事では、個別改定項目「Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進」に含まれる4つの改定項目の全体像を解説します。今回の改定では、4つの分野で業務効率化が図られます。第1に、ICT機器の活用により看護配置基準が1割以内で柔軟化されます。第2に、生成AIの導入により医師事務作業補助者の配置人数が最大1.3人換算で算入可能となります。第3に、各種様式の統一や届出のオンライン化など事務の簡素化・効率化が進みます。第4に、様式9の勤務時間算入要件が追加され、小数点処理も統一されます。① ICT等の活用による看護業務効率化の推進ICT機器を組織的に活用した病棟では、看護職員の配置基準が1割以内で柔軟化されます。見守り・記録・情報共有の3領域すべてにICT機器を導入した病棟が対象であり、看護職員の配置数や看護師比率が基準の9割以上であれば、入院基本料等の所定点数を算定できます。3領域のICT機器とは、具体的には以下の3つです。「見守り」の領域では、病室のカメラやベッドのセンサー等を活用して遠隔で複数の患者の状態を把握できる機器が求められます。「記録」の領域では、音声入力による看護記録の作成や電子カルテからの自動サマリー生成など、記録作成を効率化する機器が求められます。「情報共有」の領域では、ハンズフリーで複数人と同時通話できる機器やリアルタイムに情報共有できる端末が求められます。ICT機器の導入に加えて、超過勤務が月平均10時間以下であることや、導入前後の業務量評価を年1回実施することなど、複数の施設基準を満たす必要があります。対象となる入院料は、急性期一般入院料1〜6をはじめ20種類に及びます。▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】ICT活用で看護配置基準を1割以内で柔軟化|3つの必須機器と施設基準を解説② 医師事務作業補助体制加算の見直し生成AIを含むICT機器を組織的に導入した医療機関では、医師事務作業補助者1人を最大1.3人として配置人数に算入できるようになります。あわせて、医師事務作業補助者の業務範囲も具体的に明確化されます。配置人数の割増算入は、活用するICT機器の種類と範囲に応じて2段階に分かれます。1.2人換算は、生成AIを活用した文書作成補助システムの導入を含む4つの要件をすべて満たした場合に認められます。1.3人換算は、生成AIシステムに加えて、医療文書用の音声入力システム(汎用音声入力機能を除く)・RPAによる定型作業の自動化・10種類以上の患者向け説明動画のうち1種類以上を広く活用している場合に認められます。ICT活用による柔軟化を届け出る場合は、直近3か月以上の実績要件を満たしたうえで、年1回の効果評価が義務づけられます。また、業務範囲の明確化として、文書作成補助の対象文書名や代行入力の対象項目が具体的に列挙されました。▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】生成AI活用で医師事務作業補助者1人が1.3人分に?配置基準の柔軟化を解説③ 医療機関等における事務等の簡素化・効率化医療DXへの対応と事務負担の軽減を目的として、5つの分野で簡素化が進みます。各種様式の共通項目の記載統一、入院診療計画書等の様式簡素化と署名・押印の廃止、施設基準届出の様式削減とオンライン化の推進、定例報告の対象限定と添付書類の省略、歯科診療報酬における事前承認対象の縮小です。各種様式の統一では、診療報酬改定DX対応方針の一環として作成された76様式のデータテーブルを活用し、共通項目の標準化が進められます。入院診療計画書については、入院前の外来での説明を入院後7日以内と同様に取り扱えるようになるほか、短期入院の場合に計画策定・文書交付を省略できるようになります。署名・押印も代替方法で担保できるものは廃止されます。施設基準届出のオンライン化は令和10年度の全届出オンライン化に向けて進められており、届出様式の削減と記載項目の最小化が図られます。定例報告も他に代替方法がないものや次期改定に必要なものに絞り込まれます。▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】医療機関の事務負担が変わる5つの簡素化ポイント④ 様式9の見直し入院基本料等の届出に使用する様式9について、勤務時間の算入要件が2つ追加され、小数点以下の処理方法も統一されます。いずれも、入院患者の看護に影響のない範囲で病棟勤務時間に算入できる内容を見直すものです。1つ目の追加は、院内の緊急対応に係る勤務時間の算入です。保険医療機関内で生じた不測の事象に対応するため、病棟の看護要員が自病棟の入院患者以外の患者に日常の診療の延長として短時間対応した場合、病棟勤務時間に算入できるようになります。2つ目の追加は、病棟外での付き添い看護に係る勤務時間の算入です。入院患者に付き添って病棟外で一時的に看護を行った場合も、勤務時間に算入できるようになります。小数点以下の処理方法については、従来は項目によって「切り上げ」「第2位以下切り捨て」「第3位以下切り捨て」と不統一でした。今回の改定では、可能な限り処理方法が統一されるとともに、注意事項の記載が整理されます。▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】様式9の見直し|勤務時間の算入要件が2つ追加、小数点処理も統一へまとめ令和8年度診療報酬改定における「業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進」では、4つの分野で改定が行われます。第1に、3領域のICT機器の導入により看護配置基準が1割以内で柔軟化されます。第2に、生成AIの活用により医師事務作業補助者の配置人数が最大1.3人換算となります。第3に、様式統一・署名廃止・オンライン届出など5つの分野で事務の簡素化が進みます。第4に、様式9の勤務時間算入要件の追加と小数点処理の統一が行われます。いずれもICT・AI・IoT等の活用を前提とした業務効率化であり、医療機関は自院の状況に応じて計画的な導入と施設基準の確認を進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】様式9の見直し|勤務時間の算入要件が2つ追加、小数点処理も統一へ

Feb 20, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、入院基本料等の施設基準に係る届出書添付書類「様式9」が見直されます。様式9は、看護要員の必要数・配置数を算出するために使用する書類であり、その作成が煩雑であるとの指摘がありました。今回の改定では、医療現場の実態を踏まえ、業務の簡素化の観点から見直しが行われます。見直しの内容は大きく3つあります。いずれも、入院患者の看護に影響のない範囲で病棟勤務時間に算入できる内容を見直すものです。第一に、院内で生じた緊急対応のために当該病棟の入院患者以外の患者に短時間対応した場合を、病棟勤務時間に算入できるようになります。第二に、入院患者に付き添って病棟外で一時的に看護を行った場合も、勤務時間に算入できるようになります。第三に、小数点以下の処理方法を含む注意事項の記載が整理されます。様式9とは何か様式9は、入院基本料等の施設基準に係る届出書の添付書類です。医療機関が入院基本料や特定入院料を届け出る際に、看護要員の配置数や勤務実績を報告するために使用します。様式9で報告する事項は多岐にわたります。具体的には、1日平均入院患者数、月平均1日当たり看護職員配置数、看護職員中の看護師の比率、平均在院日数、月平均夜勤時間数などを記載します。この様式9は、適時調査においても事前提出書類とされており、施設基準との整合性を確認するために用いられます。様式9の作成が煩雑になっている背景には、勤務時間として算入・除外するものが通知や疑義解釈の様々な箇所に規定されている事情があります。たとえば、病棟内勤務中に短時間のオンライン研修を受講した場合は勤務時間から除外する必要があるなど、判断が複雑になる場面が生じています。さらに、看護要員等の算出における小数点以下の処理方法が項目によって異なっているため、計算ミスのリスクも指摘されていました。見直し①:院内の緊急対応を病棟勤務時間に算入可能へ1つ目の見直しは、院内で発生した緊急対応に係る勤務時間の算入です。入院患者の看護に影響のない範囲で、保険医療機関内で生じた緊急対応等の不測の事象に対応するため、病棟内の看護要員が当該病棟に入院中の患者以外の患者に対して、日常の診療の延長として必要な対応を短時間行った場合は、病棟内として勤務時間数に算入してよいこととされます。この見直しは新設規定です。従来は、病棟の看護要員が自病棟の患者以外に対応した場合、その時間を病棟勤務時間に算入してよいかが明確ではありませんでした。今回の改定では、「日常の診療の延長として」「短時間」という要件のもとで算入を認めることにより、医療現場の実態に即した取扱いが可能となります。見直し②:病棟外での付き添い看護を勤務時間に算入可能へ2つ目の見直しは、入院患者への病棟外での付き添い看護に係る勤務時間の算入です。入院患者の看護に影響のない範囲で、病棟内の看護要員が当該病棟に入院中の患者に付き添い、病棟外において一時的に看護を行った場合は、勤務時間数に算入してよいこととされます。この見直しも新設規定です。入院患者が検査や処置のために病棟外へ移動する際に看護要員が付き添うことは、日常的に発生する業務です。従来、この付き添い時間の取扱いは明確に示されていませんでしたが、今回の改定で算入可能であることが明文化されます。見直し③:小数点以下の処理方法を含む注意事項の整理3つ目の見直しは、小数点以下の処理方法を含む注意事項の記載の整理です。従来の様式9では、項目によって小数点以下の処理方法が異なっていました。たとえば、1日平均入院患者数は「小数点以下切り上げ」、月平均1日当たり看護職員配置数は「小数点以下第2位以下切り捨て」、主として事務的業務を行う看護補助者配置数は「小数点第3位以下切り捨て」といった具合です。この処理方法の不統一は、様式9の作成を煩雑にする要因のひとつでした。今回の改定では、小数点以下の処理を可能な限り統一するとともに、注意事項の記載が整理されます。まとめ令和8年度診療報酬改定による様式9の見直しは、入院患者の看護に影響のない範囲で勤務時間に算入できる内容を見直すとともに、注意事項の記載を整理するものです。第一に、院内の緊急対応で当該病棟の入院患者以外の患者に短時間対応した場合の勤務時間の算入が認められます。第二に、入院患者に付き添って病棟外で一時的に看護を行った場合の勤務時間の算入が認められます。第三に、小数点以下の処理方法を含む注意事項の記載が整理されます。これらの見直しにより、医療現場の実態に即した勤務時間の取扱いが可能となるとともに、様式9の作成に係る事務負担の軽減が期待されます。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】医療機関の事務負担が変わる5つの簡素化ポイント

Feb 19, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医療DXへの対応と業務の簡素化を図る観点から、診療に係る様式や届出・報告の仕組みが大きく見直されます。この見直しは、医療機関の現場で長年課題とされてきた事務負担の軽減を目的としています。本記事では、個別改定項目「Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進―③ 医療機関等における事務等の簡素化・効率化」の内容を解説します。今回の改定では、5つの分野で簡素化が進みます。第1に、各種様式の共通項目の記載が統一されます。第2に、入院診療計画書をはじめとする計画書の様式簡素化と署名・押印の廃止が行われます。第3に、施設基準の届出様式の削減とオンライン化が推進されます。第4に、地方厚生局等への定例報告が必要最小限に限定されます。第5に、歯科診療報酬における事前承認の対象が縮小されます。1. 各種様式の共通項目の記載統一医療DXへの対応を見据え、既存の様式も含めた各種様式の共通項目について、可能な範囲で記載の統一が図られます。現在、診療報酬算定に係る留意事項通知で示す各種様式には、生年月日や要介護度などの共通項目が含まれています。しかし、これらの共通項目は様式ごとに記載方法が異なっており、統一されていませんでした。今回の改定では、診療報酬改定DX対応方針の一環として作成された76様式のデータテーブルを活用し、共通項目の標準化が進められます。この標準化により、将来的な「標準様式のアプリ化とデータ連携」への対応が容易になります。2. 計画書の様式簡素化と署名・押印の廃止入院診療計画書のような業務負担の大きい計画書について、様式の簡素化や運用の見直しが行われます。あわせて、各種様式の署名または記名・押印のうち、代替方法で担保できるものは廃止されます。入院診療計画書については、2つの運用変更が行われます。ひとつは、入院前の外来で文書を提供し説明した場合でも、入院後7日以内に行ったものと同様の取扱いとなる点です。もうひとつは、入院期間が2日以内と見込まれる場合や、3日以上の入院予定が2日以内となった場合に、診療に支障がないと認められる患者に対しては、総合的な入院診療計画の策定と文書による説明・交付を省略できる点です。この場合は、診療録にその旨を記載します。署名・押印については、医師および患者等の署名が不要となります。署名がない場合は、説明日および説明者を診療録に記載する運用に変わります。署名がある場合は、従来どおり説明日・説明者の記載は不要です。また、入院診療計画書の様式から本人・家族の署名欄が削除されます。この見直しの背景には、令和7年度の入院・外来医療等における実態調査があります。同調査では、簡素化の必要性がある業務として「計画書作成」が施設・病棟のいずれでも最多でした。病棟では「患者や家族等による署名・記名押印」も45.1%と高い割合を示していました。規制改革推進に関する答申でも、医療機関等の負担軽減の観点から署名・押印を不要とすることの検討が求められていました。3. 施設基準届出の様式削減とオンライン化の推進施設基準等届出のオンライン化が引き続き進められます。あわせて、円滑なオンライン化のために、届出様式の削減や届出項目の最小化が行われます。施設基準等届出(令和6年度改定時:約1,100件)のオンライン化は、令和4年4月から段階的に実施されてきました。令和6年度までに116件、令和7年度には新たに210件が追加され、合計326件のオンライン化が予定されています。今後も令和10年度の全届出オンライン化に向けて改修が進められる計画です。今回の改定では、オンライン化を円滑に進めるため、届出様式そのものの削減と記載項目の最小化が図られます。これにより、紙での届出からオンライン届出への移行がスムーズになることが期待されます。4. 定例報告の限定と添付書類の省略施設基準等の適合性や診療報酬に関する実績を確認するために毎年求めている報告様式について、対象が限定されます。具体的には、他に代替方法がないものや次期報酬改定に必要なものに絞り込まれるとともに、添付書類の省略等の簡素化が図られます。現行制度では、施設基準の届出を行った保険医療機関は、毎年8月1日現在で適合性を自己点検し、その結果を地方厚生(支)局に報告する義務があります。この報告には、厚生労働省への提出様式(全32様式)や地方厚生局への提出様式(病院33様式、有床診療所15様式など)が含まれ、大量の書類作成が必要でした。しかし、適合性や実績の確認には、適時調査やDPCデータ、NDBデータなど他の把握方法も存在します。今回の改定では、こうした代替手段を活用し、報告の対象を真に必要なものに絞ることで、医療機関の事務負担が軽減されます。5. 歯科診療報酬における事前承認対象の縮小歯科診療報酬において保険適用の事前承認を求めている項目のうち、通知等で明確化されているものが事前承認の対象から除外されます。現行制度では、一定のブリッジや小児義歯を保険適用する場合、あらかじめ理由書や模型、エックス線フィルム等を地方厚生(支)局長に提出し、保険適用の判断を求める必要がありました。今回の改定では、この事前承認制度について2つの変更が行われます。ひとつは、クラウン・ブリッジ維持管理料に関する変更です。装着日から2年以内に外傷や腫瘍等によりやむを得ず抜歯しブリッジを製作する場合、従来は事前に理由書等を厚生局に提出する必要がありました。改定後は、診療報酬明細書の摘要欄に算定の理由を記載する運用に簡素化されます。また、やむを得ない抜歯の除外事由について、従来の「歯周病が原因である場合」に加え、「う蝕」および「根尖性歯周炎」が原因である場合も除外対象に追加されます。もうひとつは、小児義歯に関する変更です。先天性疾患以外の疾患で小児義歯を適用する場合の事前承認が不要となります。改定後は、診療録および診療報酬明細書に小児義歯が必要となった理由を記載する運用に変わります。あわせて、小児義歯の範囲から小児保隙装置(可撤式保隙装置に限る)が除外される旨が明確化されます。まとめ令和8年度診療報酬改定における事務等の簡素化・効率化は、5つの分野で進められます。各種様式の共通項目の記載統一、入院診療計画書等の様式簡素化と署名・押印の廃止、施設基準届出の様式削減とオンライン化の推進、定例報告の対象限定と添付書類の省略、歯科診療報酬における事前承認対象の縮小です。いずれも、医療DXへの対応と医療従事者の事務負担軽減という2つの目的を踏まえた見直しです。各医療機関においては、改定内容を確認し、運用の変更に備える必要があります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe