【令和8年度改定】急性期入院医療の4つの見直し|入院基本料・必要度・加算・特定機能病院を総整理

Mar 7, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携を推進するため、急性期入院医療の評価体系が大きく見直されます。個別改定項目「Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた、医療提供体制の整備」の①~④は、いずれも病院の機能に着目した評価を強化する内容です。この記事では、これら4項目の全体像を解説します。見直しの柱は4つあります。第1に、救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの実績を施設基準に組み込んだ「急性期病院一般入院基本料」がA・Bの2区分で新設されます。第2に、重症度、医療・看護必要度にA/C項目の追加と「救急患者応需係数」の新設が行われ、評価方法が大きく変わります。第3に、総合入院体制加算と急性期充実体制加算が統合され、「急性期総合体制加算」として5区分に再編されます。第4に、特定機能病院入院基本料がA・B・Cの3区分に再編され、病院の役割に応じた点数差が設けられます。① 急性期病院一般入院基本料等の新設急性期病院一般入院基本料は、病院の急性期機能を救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの実績で評価する新たな入院基本料です。従来の急性期一般入院基本料が病棟単位の看護配置や重症度、医療・看護必要度で評価してきたのに対し、今回は病院全体の機能を施設基準に反映させる点が大きく異なります。急性期病院Aは1日につき1,930点で、高い急性期機能を持つ病院を評価します。体制要件として第二次救急医療体制等の設置と24時間の画像診断・検査体制が必要です。実績要件は、救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上であり、いずれも満たす必要があります。看護配置は7対1、平均在院日数は16日以内です。急性期病院Bは1日につき1,643点で、地域の急性期医療を担う病院を評価します。実績要件は4つの選択肢から1つを満たせばよい点が大きな特徴です。救急搬送年間1,500件以上、救急搬送年間500件以上かつ全身麻酔手術年間500件以上、人口20万人未満の医療圏で搬送件数最大かつ年間1,000件以上、離島医療圏で搬送件数最大のいずれかを選択できます。看護配置は10対1、平均在院日数は21日以内です。精神病棟向けにも同様の枠組みで入院基本料が新設されます。経過措置として、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟の既存届出に対する猶予措置が設けられているほか、令和9年3月31日までは介護保険施設からの搬送を含めた全搬送件数を実績に算入できます。詳細は、【令和8年度改定】急性期病院一般入院基本料が新設|A・Bの2区分と施設基準を解説をご覧ください。② 重症度、医療・看護必要度の見直し重症度、医療・看護必要度の見直しは、A/C項目の対象治療等の追加、救急患者応需係数の新設、B項目測定の柔軟化の3点が柱です。これらの見直しにより、従来の「基準該当割合」は「割合指数」に変更されます。経過措置は令和8年9月30日までです。第1の見直しは、A項目・C項目の対象治療等の追加です。A項目「専門的な治療・処置」のうち「抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)」にカルフィルゾミブ等の薬剤が追加されるほか、C項目では「救命等に係る内科的治療」「別に定める検査」「別に定める手術」の3区分で対象が拡充されます。内科系症例の適正評価を進めることが狙いです。第2の見直しは、救急患者応需係数の新設です。病床あたり年間救急搬送受入件数に0.005を乗じた数(上限10%)が基準該当割合に加算されます。割合指数は「従来の該当患者割合+救急患者応需係数」で算出されるため、救急搬送受入件数の多い病棟ほど割合指数が高くなります。シミュレーションでは、救急搬送数が多く手術なし症例の多い病棟で約9.2ポイントの上昇が見込まれています。第3の見直しは、B項目の測定日の柔軟化です。毎日測定しない場合のルールとして、入院初日から4日目までの各日、5日目以降は7日ごとに1回以上、退院日の測定が認められます。測定日以外は直近の測定結果で代替できるため、看護師の事務負担が軽減されます。詳細は、【令和8年度改定】重症度、医療・看護必要度の3つの見直しポイント|救急搬送加算・A/C項目追加・B項目測定をご覧ください。③ 急性期総合体制加算の新設急性期総合体制加算は、総合入院体制加算と急性期充実体制加算を統合して新設される5区分の加算です。旧2加算の施設基準が多くの点で重複しながら別々に運用されていた課題を解消し、「総合性」と「集積性」を一体的に評価します。新設される5区分には、入院日数に応じた3段階の逓減制が導入されます。加算1は14日間合計5,500点(7日以内530点、8~11日290点、12~14日210点)で、最も高い総合性と集積性が求められます。加算2は14日間合計4,660点、加算3は4,240点、加算4は3,390点と設定されています。旧制度では総合性の高い病院(旧総合入院体制加算1:14日間合計3,640点)が手術実績重視の加算(旧急性期充実体制加算1:4,240点)より低い評価となる逆転現象がありましたが、新制度ではこれが解消されます。加算5は、人口20万人未満の地域への配慮を目的とした新設区分です。14日間合計2,760点で、地域包括ケア病棟入院料や療養病棟入院基本料に関する届出制限が一部免除されます。人口の少ない地域で救急搬送を最も多く受け入れている病院が、拠点的な機能を適切に評価されるための受け皿となります。詳細は、【令和8年度改定】急性期総合体制加算を新設|5区分の点数・施設基準を解説をご覧ください。④ 特定機能病院入院基本料の見直し特定機能病院入院基本料は、全88病院に適用されていた一律の評価から、A・B・C(いずれも仮称)の3区分に再編されます。この見直しは、特定機能病院の承認基準が「基礎的基準」の有無に応じて3類型に変更されることに連動しています。特定機能病院A(仮称)は、基礎的基準を満たす大学病院本院が主な対象です。一般病棟7対1の点数は2,146点(現行1,822点、+324点)に設定されます。特定機能病院B(仮称)は、ナショナルセンター等が主な対象で、7対1の点数は2,136点(+314点)です。特定機能病院C(仮称)は、A・Bに該当しないその他の病院が対象で、7対1の点数は2,016点(+194点)です。A区分とC区分の差は7対1で130点になります。3区分の違いは個別の施設基準ではなく、承認要件の類型に基づくものです。A・B・Cの正式名称や具体的な省令の条文番号は、令和7年度を目途に公布される関係省令で確定する予定です。詳細は、【令和8年度改定】特定機能病院入院基本料がA・B・Cの3区分に再編|点数と施設基準を解説をご覧ください。まとめ令和8年度改定における急性期入院医療の見直しは、病院の機能に着目した評価の強化が共通する方向性です。急性期病院一般入院基本料の新設により、救急搬送件数や全身麻酔手術件数の実績が入院基本料の施設基準に組み込まれます。重症度、医療・看護必要度には救急患者応需係数が導入され、救急搬送受入件数の多い病棟の評価が改善されます。急性期総合体制加算では、総合性と集積性の一体評価と人口の少ない地域への配慮が実現されます。特定機能病院入院基本料は、承認基準の3類型化に連動して点数差が設けられます。各医療機関は、自院の救急搬送件数、手術件数、届出状況を改めて確認し、新制度のもとでどの区分・基準に該当するかを早期に検討することが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】特定集中治療室管理料が6区分→3区分へ|7つの変更点を解説

Mar 6, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、特定集中治療室管理料について大幅な見直しが行われます。この見直しは、特定集中治療室(ICU)を有する病院が担う医療機能の実績に応じた評価を行う観点から実施されるものです。現行の6区分体制では、広範囲熱傷の有無による区分分けが複雑な構造を生んでいました。今回の改定では、この構造を簡素化するとともに、病院の実績を反映した新たな要件が追加されます。今回の見直しは、大きく7つの項目で構成されています。第1に、救急搬送件数・全身麻酔手術件数の実績要件が新設されます。第2に、宿日直医師を含む治療室の範囲・施設基準が見直されます。第3に、広範囲熱傷の区分が統合され、6区分から3区分に簡素化されます。第4に、重症度、医療・看護必要度の評価項目が追加されます。第5に、SOFAスコアの患者割合要件が1割から2割に引き上げられます。第6に、特定機能病院でも重症患者対応体制強化加算が算定可能になります。第7に、遠隔集中治療の支援加算における地域要件が緩和されます。以下、それぞれの変更点を詳しく解説します。救急搬送件数・全身麻酔手術件数の実績要件の新設特定集中治療室管理料1の施設基準に、救急搬送件数および全身麻酔手術件数に関する実績要件が新たに追加されます。この要件は、ICUを有する病院が重症の救急搬送患者や全身麻酔手術後患者に密度の高い医学的管理を行うという本来の役割を反映したものです。具体的な要件は、以下のいずれかを満たすことです。1つ目は、救急搬送件数が年間1,000件以上であることです。2つ目は、全身麻酔による手術件数が年間1,000件以上であることです。3つ目は、小児関連の届出病床数が許可病床数の5割以上を占める病院であって、全身麻酔による手術件数が年間500件以上であることです。これらの件数要件には、地域への配慮もなされています。「基本診療料の施設基準等」別表に掲げる地域(医療資源の少ない地域)に所在する病院では、1つ目と2つ目の要件は年間800件以上に、3つ目の要件は年間400件以上に緩和されます。なお、この実績要件には経過措置が設けられています。令和8年3月31日時点で特定集中治療室管理料の届出を行っている治療室は、令和8年12月31日までの間、この要件を満たすものとみなされます。宿日直医師を含む治療室の範囲・施設基準の見直し医師配置に関する施設基準が見直されます。この見直しの背景には、令和6年度改定以降、宿日直医師を含む区分(旧管理料5・6)に届出を変更する医療機関が大幅に増加した実態があります。変更理由の約9割が「専任医師が宿日直勤務を行っており、交代勤務体制が組めないため」でした。改定後の管理料2では、宿日直を行う医師を含む専任の医師が、原則として治療室内(離れる場合は院内の速やかに診療を開始できる場所)に常時勤務していることが要件となります。現行の管理料3では「治療室内」への常時配置が厳格に求められていましたが、改定後の管理料2では「速やかに診療を開始できる場所」も含まれるため、医師の配置場所はやや緩和されています。一方、宿日直医師の参加を認めた点が、現行の管理料3との大きな違いです。また、管理料1では、専任の医師に関する規定が「当該治療室勤務の医師」から「当該治療室専任の医師」に変更されます。この変更により、管理料1の専任医師は宿日直を行わないことがより明確になります。改定後の管理料2の専任医師についても、治療室に勤務している時間帯は治療室以外での勤務を併せて行わないことが求められます。改定後の管理料3についても注意が必要です。改定後の管理料3は、管理料2の施設基準(医師配置を含む)を満たすことが要件とされています。現行の管理料5では「宿日直医師を含む専任の医師が常時、保険医療機関内に勤務」すれば足りましたが、改定後の管理料3では「原則として治療室内」への勤務が求められます。現行の管理料5から改定後の管理料3に移行する医療機関にとっては、医師の配置場所に関する要件が厳しくなる可能性があるため、早めの体制確認が重要です。6区分から3区分への簡素化と点数の変更現行の6区分から3区分への統合が行われます。この統合は、広範囲熱傷特定集中治療管理料の有無によって分かれていた区分を整理するものです。現行制度では、管理料1と管理料2(広範囲熱傷対応)、管理料3と管理料4(広範囲熱傷対応)、管理料5と管理料6(広範囲熱傷対応)の3ペア・6区分が存在していました。改定後は、広範囲熱傷の区分が独立した加算(広範囲熱傷管理加算:200点)として切り出され、管理料本体は3区分に整理されます。改定後の点数は以下のとおりです。管理料1は、7日以内が14,980点(現行14,406点)、8日以上が13,371点(現行12,828点)です。管理料2は、7日以内が10,390点、8日以上が8,773点です。管理料3は、7日以内が9,390点、8日以上が7,770点です。管理料1では、7日以内で574点、8日以上で543点の増点となります。広範囲熱傷管理加算は、広範囲熱傷特定集中治療管理が必要な患者に対し、入院日から起算して8日以降60日までの期間に限り、200点が所定点数に加算されます。この加算を算定するには、広範囲熱傷特定集中治療を行うにふさわしい治療室(1床当たり15平方メートル以上)と、広範囲熱傷特定集中治療を担当する常勤医師の配置が必要です。なお、管理料本体の算定上限日数にも変更があります。現行制度では、広範囲熱傷の区分(管理料2・4・6)に入室した患者であれば60日まで管理料を算定できました。改定後は、「広範囲熱傷管理加算を算定する患者に限り」60日まで算定可能とされています。広範囲熱傷管理加算の届出がない治療室では、広範囲熱傷患者であっても管理料の算定上限は原則14日となる点に注意が必要です。重症度、医療・看護必要度の評価項目の追加特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度に3つの項目が追加されます。この追加は、急性冠症候群の治療後や心停止蘇生後の患者に必要な処置を適切に評価する観点から行われるものです。追加される3項目は、「蘇生術の施行」「抗不整脈剤の使用」「一時的ペーシング」です。これらの項目は、ICUに入室する重症患者の状態をより正確に把握するために導入されます。特に、心停止蘇生後の患者や急性冠症候群の治療後の患者は、これらの処置を必要とする頻度が高いにもかかわらず、現行の評価項目では十分に反映されていませんでした。SOFAスコアの患者割合要件の引き上げ入室時のSOFAスコアが一定以上である患者割合の要件が、現行の1割以上から2割以上に引き上げられます。この引き上げは、ICUに入室する重症患者の臓器機能障害の程度に応じた適切な評価を行う観点から実施されるものです。SOFAスコア(Sequential Organ Failure Assessment)は、ICU患者の臓器機能障害の重症度を評価する指標です。令和6年度改定時の施設基準では、管理料1・2で入室日のSOFAスコア5以上の患者が1割以上、管理料3・4でSOFAスコア3以上の患者が1割以上であることが要件とされていました。今回の改定では、この患者割合が2割以上に引き上げられます。なお、SOFAスコアの閾値(5以上・3以上)が改定後も同一かどうかは、今後公表される告示・通知で確認する必要があります。この引き上げにより、ICUが真に重症な患者を受け入れる体制を整えているかがより厳格に問われることになります。この要件にも経過措置が設けられています。令和8年3月31日時点で特定集中治療室管理料の届出を行っている治療室は、令和8年12月31日までの間、この基準を満たすものとみなされます。特定機能病院における重症患者対応体制強化加算の算定拡大重症患者対応体制強化加算の施設基準が見直され、特定機能病院でも算定可能になります。この見直しは、集中治療領域における重症患者対応の強化と人材育成を推進する観点から行われるものです。現行制度では、重症患者対応体制強化加算の施設基準に「急性期充実体制加算」の届出が含まれていました。特定機能病院は急性期充実体制加算を届出できないため、この加算を算定できない状況にありました。実態調査でも、特定機能病院が重症患者対応体制強化加算を届出できない理由として、「急性期充実体制加算を届け出ていない」が82.9%を占めていました。改定後は、施設基準の要件が「感染対策向上加算1に係る届出を行っている保険医療機関であり、かつ、特定機能病院であること、または急性期総合体制加算に係る届出を行っていること」に変更されます。この変更により、特定機能病院は感染対策向上加算1の届出があれば、重症患者対応体制強化加算を算定できるようになります。遠隔集中治療における地域要件の緩和特定集中治療室遠隔支援加算の施設基準が見直され、地域によらず適切に遠隔集中治療を推進できるようになります。この見直しは、ICUを有する病院が担うべき医療機能に応じた遠隔支援を地域を問わず広げる観点から行われるものです。現行制度では、支援側医療機関の要件に「被支援側に医師少数区域または医療資源の少ない地域に所在する医療機関が含まれていること」という地域要件がありました。改定後は、この地域要件が削除されます。これにより、医師少数区域以外に所在する医療機関であっても、遠隔支援を受けられるようになります。被支援側医療機関の要件も変更されます。現行では管理料5または管理料6の届出が必要でしたが、改定後は管理料2または管理料3の届出が要件となります。支援側医療機関の要件は、現行の管理料1または管理料2から、改定後は管理料1の届出に変更されます。まとめ令和8年度の特定集中治療室管理料の見直しは、7つの変更項目で構成されています。最も大きな変更は、6区分から3区分への簡素化と、救急搬送件数・全身麻酔手術件数の実績要件の新設です。SOFAスコアの患者割合要件は1割から2割に引き上げられ、重症患者の適切な受入体制がより強く求められます。特定機能病院での重症患者対応体制強化加算の算定拡大や、遠隔支援の地域要件緩和も、ICUの機能強化を後押しする改定です。実績要件とSOFAスコア要件には令和8年12月31日までの経過措置が設けられているため、該当する医療機関は早めの対応準備を進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】特定機能病院入院基本料がA・B・Cの3区分に再編|点数と施設基準を解説

Mar 5, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、特定機能病院入院基本料の評価区分が見直されます。現行では特定機能病院88病院すべてに同一の入院基本料が適用されていますが、改定後は「特定機能病院A」「特定機能病院B」「特定機能病院C」(いずれも仮称)の3区分に再編されます。この見直しは、特定機能病院の承認基準の変更に連動したものです。今回の見直しのポイントは3つあります。第一に、特定機能病院が果たす役割や機能の違いに応じて、入院基本料が3区分に分かれます。第二に、3区分すべてで現行より点数が引き上げられますが、区分間で最大130点の差が設けられます。第三に、各区分の施設基準は、医療法施行規則の改正による新たな承認要件と連動します。なお、A・B・Cの名称は仮称であり、正式名称は令和7年度を目途に公布される関係省令で確定する予定です。見直しの背景:特定機能病院の承認要件が3類型に今回の入院基本料の見直しは、特定機能病院の承認要件の変更がきっかけです。現行制度では、特定機能病院88病院はすべて同じ承認要件で運用されています。しかし、実際には大学病院本院(79病院)、ナショナルセンター等(4病院)、その他の病院(5病院)の3類型が存在し、果たす役割や機能は病院ごとに異なっています。この役割の違いを評価するため、承認要件に新たな「基礎的基準」が設けられました。基礎的基準は、大学病院本院を念頭に、現在の承認要件に加えて「地域医療への人的協力」や「政策医療向上の取組」などの要件を求めるものです。ナショナルセンター等は、全国の医師等に対する高度な教育・研修を行っていることから、大学病院本院に準ずる役割を果たしていると評価されます。こうした承認要件の3類型化に対して、入院基本料の方は従来どおり一律の点数設定のままでした。果たす役割が異なるにもかかわらず同じ入院基本料を算定できる状態は、機能に応じた適切な評価とは言えません。そこで、令和8年度改定では入院基本料の区分も3つに分けることになりました。改定内容:入院基本料がA・B・Cの3区分に(いずれも仮称)改定後の特定機能病院入院基本料は、「特定機能病院A入院基本料」「特定機能病院B入院基本料」「特定機能病院C入院基本料」(いずれも仮称)の3区分になります。中医協の審議資料をもとに、各区分の想定される対象病院と一般病棟7対1入院基本料の点数を整理すると、以下のとおりです。特定機能病院A入院基本料(仮称) は、基礎的基準を満たす大学病院本院が主な対象になると見込まれています。一般病棟7対1の点数は2,146点(現行1,822点、+324点)、10対1は1,771点(現行1,458点、+313点)に設定されます。特定機能病院B入院基本料(仮称) は、基礎的基準に準ずるナショナルセンター等が主な対象になると見込まれています。一般病棟7対1の点数は2,136点(現行1,822点、+314点)、10対1は1,760点(現行1,458点、+302点)です。A区分との差は7対1で10点です。特定機能病院C入院基本料(仮称) は、A・Bに該当しないその他の特定機能病院が対象になると見込まれています。一般病棟7対1の点数は2,016点(現行1,822点、+194点)、10対1は1,642点(現行1,458点、+184点)です。A区分との差は7対1で130点になります。結核病棟と精神病棟についても同様に3区分化され、すべての区分で現行より点数が引き上げられます。結核病棟の7対1は、A区分2,125点、B区分2,115点、C区分1,995点です。精神病棟の7対1は、A区分1,851点、B区分1,841点、C区分1,721点です。施設基準:承認要件との連動各区分の施設基準は、医療法施行規則に基づく承認要件と連動します。個別改定項目の施設基準では、特定機能病院A入院基本料(仮称)の算定要件として「医療法施行規則第●条に規定する特定機能病院A(仮称)であること」と記載されています。具体的な省令の条文番号は、関係省令の公布後に確定します。特定機能病院B入院基本料(仮称)についても同様に、「医療法施行規則第●条に規定する特定機能病院B(仮称)であること」が通則として定められています。看護配置や平均在院日数などの個別の施設基準は、A区分の基準と同じ内容を満たすことが求められます。特定機能病院C入院基本料(仮称)は、「A及びBに定める特定機能病院以外の特定機能病院であること」が通則です。C区分もA区分と同一の個別施設基準を満たす必要があります。つまり、3区分の違いは個別の施設基準ではなく、承認要件の類型に基づくものです。まとめ令和8年度診療報酬改定では、特定機能病院入院基本料が一律の評価からA・B・C(いずれも仮称)の3区分に再編されます。大学病院本院を中心とするA区分が最も高い点数を、その他の病院であるC区分が最も低い点数を算定する仕組みが見込まれています。この見直しは、特定機能病院の承認基準の3類型化に連動し、病院が果たす役割や機能の違いを入院基本料に反映させるものです。各区分の正式名称や具体的な省令の条文番号は、令和7年度を目途に公布される関係省令で確定する予定のため、今後の通知等をあわせて確認する必要があります。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】急性期総合体制加算を新設|5区分の点数・施設基準を解説

Mar 4, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、地域の拠点的な医療機関を評価する仕組みが大きく変わります。これまで別々に運用されていた「総合入院体制加算」と「急性期充実体制加算」が統合され、新たに「急性期総合体制加算」が創設されます。この見直しの背景には、両加算の評価体系が複雑になっていたこと、そして人口の少ない地域で拠点病院が加算を算定しづらかったことがあります。今回の改定のポイントは3つです。第一に、旧2加算が「総合性」と「集積性」の両面で一体的に評価される5区分の体系に再編されます。第二に、入院日数に応じた3段階の逓減制が導入され、入院期間の短い段階ほど高い点数が設定されます。第三に、人口20万人未満の地域で救急搬送を最も多く受け入れている病院に対し、一部の施設基準が緩和されます。本稿では、これら3つのポイントについて順に解説します。改定の背景:なぜ2つの加算が統合されたのか急性期総合体制加算が新設された背景には、旧制度の3つの課題があります。総合入院体制加算と急性期充実体制加算は施設基準の多くが共通していたにもかかわらず、評価の仕組みが異なっていたため、拠点病院の評価が複雑になっていました。加えて、総合性の高い病院が点数面で不利になるケースも生じていました。さらに、人口の少ない地域では実績要件を満たせず、地域の拠点病院が加算を算定できないという問題もありました。1つ目の課題は、2加算の施設基準の重複です。総合入院体制加算1と急性期充実体制加算1は、救命救急センター等の救急体制整備や全身麻酔手術件数2,000件以上といった基準で共通していました。一方、総合的な診療体制(7診療科の標榜・入院体制など)は総合入院体制加算のみ、高度な手術実績(消化管内視鏡手術600件以上など)は急性期充実体制加算のみで求められていました。このように基準が重複しながらも評価軸が異なるため、両方の要件を満たす病院であっても、いずれか一方しか届け出ることができませんでした。2つ目の課題は、点数の逆転現象です。14日間で算定できる点数の総額を比較すると、総合入院体制加算1は3,640点であったのに対し、急性期充実体制加算1は4,240点でした。総合入院体制加算1は7診療科の入院体制や精神科の24時間対応など、より幅広い総合性が求められていたにもかかわらず、手術実績を重視する急性期充実体制加算よりも低い評価となっていました。3つ目の課題は、人口の少ない地域での算定困難です。人口規模の小さな二次医療圏では、地域の救急搬送の大部分をカバーしている病院であっても、症例数や医療従事者を集約してなお、実績要件を満たすことが難しい状況にありました。実際に、総合入院体制加算3の届出病院の約15%は人口の少ない地域に属しており、こうした地域では上位区分の加算を届け出ている病院はほとんどありませんでした。新設される5区分の点数体系急性期総合体制加算は、旧2加算の合計5区分(総合入院体制加算1~3、急性期充実体制加算1~2)を再編し、新たに5区分の体系となります。各区分には入院日数に応じた3段階の逓減制が導入され、7日以内の期間が最も高い点数に設定されています。なお、新制度は旧2加算の「総合性」と「集積性」を一体的に再編した新しい評価体系であり、旧制度の各区分とは求められる基準が異なります。加算1は、最も高い総合性と集積性を持つ病院を対象とする区分です。点数は7日以内530点、8~11日290点、12~14日210点で、14日間の合計は5,500点です。7診療科の入院体制や精神科の24時間対応体制といった総合性に加え、手術実績でも十分な水準が求められます。旧制度では総合性の高い病院(旧総合入院体制加算1:14日間合計3,640点)が手術実績重視の加算(旧急性期充実体制加算1:14日間合計4,240点)よりも低い評価となっていましたが、新制度ではこの逆転が解消されています。加算2は、加算1に次ぐ水準の総合性と集積性を持つ病院を対象とする区分です。点数は7日以内470点、8~11日230点、12~14日150点で、14日間の合計は4,660点です。加算1の基準のうち総合性に関する一部の要件が緩和されていますが、手術実績については一定程度高い水準が求められます。加算3は、地域で総合的かつ専門的な急性期医療を提供し、高度かつ専門的な医療の実績が高い水準にある病院を対象とする区分です。点数は7日以内440点、8~11日200点、12~14日120点で、14日間の合計は4,240点です。加算1のような7診療科の入院体制は必須ではありませんが、地域における総合的な急性期医療の提供体制と、高い手術実績が施設基準として求められます。加算4は、加算3と同等の体制を備えつつ実績水準がやや下回る病院を対象とする区分です。点数は7日以内360点、8~11日150点、12~14日90点で、14日間の合計は3,390点です。加算5は、新たに創設された区分であり、人口の少ない地域の拠点病院への配慮を目的としています。点数は7日以内300点、8~11日120点、12~14日60点で、14日間の合計は2,760点です。加算5の詳細は次のセクションで説明します。人口の少ない地域への配慮:加算5の特例加算5は、人口20万人未満の地域で救急搬送を最も多く受け入れている病院を対象とした新設区分です。この区分の最大の特徴は、上位区分で求められる一部の施設基準が緩和されている点にあります。具体的には、加算5を届け出る病院には、地域包括ケア病棟入院料や療養病棟入院基本料に関する届出制限が一部免除されます。人口20万人未満の地域で救急搬送を最も多く受け入れている保険医療機関については、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料、療養病棟入院基本料に係る届出制限が適用されません。この緩和は、地方の拠点病院が急性期病棟と回復期・慢性期病棟を併せ持つ実態に配慮したものです。この特例の背景には、人口の少ない地域の医療事情があります。人口規模の小さな二次医療圏では、救急搬送件数自体は大規模な医療圏と比較して多くないものの、地域の救急搬送の大部分を1つの病院がカバーしているケースが少なくありません。こうした病院では、へき地医療や救急搬送の受入れで地域を支えていても、従来の実績要件を満たすことが困難でした。加算5は、これらの病院が拠点的な機能を適切に評価されるための新たな受け皿となります。主な施設基準の変更点急性期総合体制加算の施設基準には、旧制度から引き継がれた要件に加え、いくつかの新たな要件が追加されています。ここでは、加算1を中心に主な変更点を整理します。第一に、「総合的かつ専門的な急性期医療及び高度かつ専門的な医療」の体制と実績が明確に求められるようになりました。旧制度では「急性期医療を行うにつき十分な体制」という表現でしたが、新制度では総合性と専門性の両面が施設基準に明記されています。第二に、入院患者の病状急変に対応する体制の確保が新たに加わりました。具体的には、「入院患者の病状の急変の兆候を捉えて対応する体制を確保していること」が施設基準に追加されています。これは院内迅速対応チーム(RRT)等の運用を想定した要件です。第三に、感染対策向上加算1の届出が要件として明記されました。旧制度の総合入院体制加算では明示されていなかった感染対策の要件が、新制度では加算1の施設基準に組み込まれています。第四に、重症度、医療・看護必要度の基準が「指数」による評価に変更されました。旧制度では「基準を満たす患者を○割以上入院させる」という割合での評価でしたが、新制度では「特に高い基準を満たす患者の割合に係る指数」と「一定程度高い基準を満たす患者の割合に係る指数」の2つの指数で評価されます。加算1では、必要度Ⅰの場合に特に高い基準の指数3割3分以上かつ一定程度高い基準の指数4割以上、必要度Ⅱの場合に特に高い基準の指数3割2分以上かつ一定程度高い基準の指数3割9分以上が求められます。第五に、一般病棟の病床数割合に関する基準が追加されました。一般病棟入院基本料等の病床数の合計が、許可病床数の総数から精神病棟入院基本料等の病床数を除いた9割以上であることが求められます。この基準により、急性期病棟を中心とした病院構成が施設基準上も明確に位置づけられました。経過措置今回の改定では、既存の届出医療機関に対して3つの経過措置が設けられています。いずれも令和8年3月31日時点で総合入院体制加算を届け出ている医療機関が対象です。1つ目の経過措置は、地域包括医療病棟に関する基準の免除です。総合入院体制加算の届出を行っている保険医療機関については、当分の間、急性期総合体制加算1~5の施設基準のうち、地域包括医療病棟に係る届出制限の基準を満たしているものとみなされます。2つ目の経過措置は、一般病棟の病床数割合に関する基準の免除です。総合入院体制加算1または2の届出を行っている保険医療機関については、当分の間、加算2および加算4の施設基準のうち、一般病棟の病床数が許可病床数の9割以上であることの基準を満たしているものとみなされます。3つ目の経過措置は、地域包括医療病棟入院料における急性期総合体制加算の届出制限の免除です。総合入院体制加算に係る届出を行っている保険医療機関については、当分の間、地域包括医療病棟入院料の施設基準のうち、急性期総合体制加算の届出を行っていないことの基準を満たしているものとみなされます。まとめ令和8年度改定では、総合入院体制加算と急性期充実体制加算が統合され、急性期総合体制加算として5区分の体系に再編されます。新制度では、診療科の総合性と手術実績の集積性が一体的に評価され、入院日数に応じた3段階の逓減制が導入されます。加えて、人口20万人未満の地域で救急搬送を最も多く受け入れている病院には施設基準の一部緩和が設けられ、地方の拠点病院が適切に評価される仕組みが整備されました。既存の届出医療機関に対しては3つの経過措置が用意されているため、自院の届出状況と照らし合わせて、新制度への移行計画を早期に検討することが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】重症度、医療・看護必要度の3つの見直しポイント|救急搬送加算・A/C項目追加・B項目測定

Mar 3, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、急性期入院医療における重症度、医療・看護必要度の評価方法が大きく見直されます。今回の見直しは、救急搬送症例や手術なし症例における評価の適正化を進める観点から行われるものです。この記事では、個別改定項目「Ⅱ-1-1 ② 重症度、医療・看護必要度の見直し」の内容を解説します。見直しのポイントは3つあります。第1に、A項目「抗悪性腫瘍剤の使用」やC項目「救命等に係る内科的治療」「別に定める検査」「別に定める手術」の対象治療等が追加されます。第2に、病床あたり救急搬送受入件数に応じた「救急患者応需係数」が基準該当割合に加算される仕組みが新設されます。第3に、B項目の測定日が柔軟化され、毎日測定しない場合の運用ルールが明確になります。これらの見直しに伴い、従来の「基準該当割合」は「割合指数」に変更され、各入院料の基準値も改められます。経過措置は令和8年9月30日までです。A項目・C項目の対象治療等の追加第1の見直しは、A項目・C項目の対象治療等の追加です。内科系症例の適正評価を進めるため、4つの分野で対象が拡充されます。A項目「専門的な治療・処置」のうち「抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)」では、カルフィルゾミブ、シクロホスファミド水和物、フィルグラスチム(遺伝子組換え)などの注射薬剤が対象に追加されます。これらの薬剤は、内保連(内科系学会社会保険連合)が提案した候補のうち、入院での使用割合が高く、モラルハザードが起きにくいものとして選定されました。C項目では、3つの区分で対象治療等が追加されます。「救命等に係る内科的治療」には、中心静脈注射用カテーテル挿入、脳脊髄腔注射(腰椎)、吸着式血液浄化法、持続緩徐式血液濾過などの処置が加わります。「別に定める検査」には、経食道心エコー法、経気管肺生検法、EBUS-TBNAなどが加わります。「別に定める手術」には、内シャント設置術、経皮的胆管ドレナージ術、内視鏡的胃・十二指腸ステント留置術などが加わります。これらのA項目・C項目の追加は、次に述べる救急患者応需係数と組み合わせることで、手術なし症例の多い病棟における必要度該当割合を大きく改善する効果があります。この効果については、救急患者応需係数のセクションであわせて解説します。救急患者応需係数の新設第2の見直しは、救急患者応需係数の新設です。基準該当割合に救急搬送受入件数に応じた加算を行う仕組みが導入されます。この仕組みにより、従来の「基準該当割合」は「基準患者割合に係る指数(割合指数)」に変更されます。割合指数は「従来の該当患者割合+救急患者応需係数」で算出されるため、救急搬送受入件数の多い病棟ほど割合指数が高くなります。救急患者応需係数の算出方法は、3つのステップで構成されます。まず、「救急搬送受入件数」とは、救急用の自動車または救急医療用ヘリコプターにより搬送された患者を受け入れた件数をいいます。次に、「病床当たり年間救急搬送受入件数」を算出します。この計算では、医療機関全体の直近1年間の救急搬送受入件数(全救急搬送受入件数)に、救急搬送により当該医療機関に入院した患者のうち対象病棟に入院した患者の割合を乗じ、届出病床数で除します。つまり、全救急搬送受入件数をそのまま使うのではなく、対象病棟への入院割合で按分する点に注意が必要です。最後に、この病床当たり年間救急搬送受入件数に0.005を乗じた数が救急患者応需係数となり、上限は1割(10%)です。具体的な計算例を示します。ある医療機関の全救急搬送受入件数が年間2,000件で、そのうち急性期一般入院料の届出病棟(100床)に入院した患者の割合が50%であった場合、病床当たり年間救急搬送受入件数は「2,000件×50%÷100床=10件/床/年」となります。この10件に係数0.005を乗じると5%が得られ、この5%が基準該当割合に加算されます。たとえば、元の該当患者割合が22%であった場合、割合指数は27%(=22%+5%)となります。A/C項目の追加と救急患者応需係数を組み合わせた場合の効果は、シミュレーション(DPCデータ2025年1~3月)で示されています。急性期一般入院料1の基準①該当割合は、平均28.3%から35.4%へ約7.1ポイント上昇します。とくに注目すべきは、救急搬送数が多く手術なし症例の多い病棟です。これらの病棟では約9.2ポイントの上昇となり、全体平均と同程度の水準に改善されます。従来の評価方法では、手術なし症例の多い病棟は手術あり症例の多い病棟と比べて該当患者割合が低くなる傾向がありましたが、今回の見直しにより、この格差が大きく是正されることになります。B項目の測定日の柔軟化第3の見直しは、B項目の測定日の柔軟化です。従来の毎日測定に加え、毎日測定しない場合のルールが新たに設けられます。毎日測定しない場合の測定日は、入院初日から入院4日目までの各日、入院5日目以降は直近の測定日から少なくとも7日ごとに1回以上、そして退院日の3つの時点です。ただし、患者の状態に明らかな変化が生じた場合には、7日を待たずに測定を実施することが望ましいとされています。測定日以外の日におけるB項目の評価は、直近の測定日における評価をもって代替できます。この取扱いにより、毎日のB項目測定に要する看護師の事務負担が軽減されます。基準値の変更A/C項目の追加と救急患者応需係数の導入に伴い、各入院料の基準値は変更されます。基準値の数字は引き上げられていますが、新たに導入される救急患者応需係数が割合指数に加算されるため、実質的な影響は病院ごとの救急搬送受入件数によって異なります。ここでは、主な入院料の新基準値を「割合指数」として整理します。急性期一般入院料1(必要度Ⅱ)は、基準①が27%、基準②が34%です(現行は基準①20%、基準②27%)。急性期一般入院料2(必要度Ⅱ)は27%です(現行21%)。急性期一般入院料3(必要度Ⅱ)は23%です(現行18%)。急性期一般入院料4(必要度Ⅱ)は19%です(現行15%)。急性期一般入院料5(必要度Ⅱ)は14%です(現行11%)。なお、必要度Ⅰを用いる場合は、必要度Ⅱよりも1ポイント高い基準が設定されます。たとえば、急性期一般入院料1(必要度Ⅰ)の基準①は28%、基準②は35%です。7対1入院基本料(特定機能病院・一般病棟)については、必要度Ⅱで基準①が割合指数20%から27%に、基準②が27%から34%に変更されます。7対1入院基本料(専門病院)も同様に、必要度Ⅱで基準①が20%から21%に、基準②が27%から28%に変更されます。急性期総合体制加算についても基準値が設定されています。急性期総合体制加算1(必要度Ⅱ)は基準①32%・基準②39%、加算2は基準①31%・基準②38%、加算3は基準①29%・基準②36%、加算4は基準①28%・基準②35%、加算5は基準①27%・基準②34%です。経過措置今回の見直しに伴い、経過措置が設けられます。令和8年3月31日時点で対象となる入院料を届け出ている病棟は、令和8年9月30日までの間、新基準を満たしているものとみなされます。経過措置の対象は、急性期一般入院料1~5、結核病棟7対1入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟7対1)、専門病院入院基本料(7対1)、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟入院料など、17区分にわたります。この経過措置の期間は6か月間であるため、各医療機関は令和8年4月の施行後、令和8年9月末までに新基準への対応を完了する必要があります。まとめ令和8年度改定における重症度、医療・看護必要度の見直しは、A/C項目の対象治療等の追加、救急患者応需係数の新設、B項目測定の柔軟化の3点が柱です。従来の「基準該当割合」は「割合指数」に変更され、救急搬送受入件数の多い病棟では割合指数が押し上げられます。各入院料の基準値は数字上は引き上げられますが、救急患者応需係数の加算により、とくに救急搬送数が多く手術なし症例の多い内科系病棟では、実質的な該当割合が大きく改善されます。経過措置は令和8年9月30日までです。各医療機関は、自院の救急搬送受入件数と対象病棟への入院割合を確認し、新たな割合指数がどの水準になるかを早期にシミュレーションすることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】急性期病院一般入院基本料が新設|A・Bの2区分と施設基準を解説

Mar 2, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、病院が地域で果たしている急性期機能に着目した新たな入院基本料が新設されます。従来の急性期一般入院基本料は、病棟単位の看護配置や重症度、医療・看護必要度で評価してきました。しかし、同じ入院料を算定する病院であっても、救急搬送の受入件数や手術件数には大きな差があり、病院としての機能の違いが十分に反映されていませんでした。この課題を解消するため、今回の改定では病院の急性期機能を施設基準に組み込んだ「急性期病院一般入院基本料」と「急性期病院精神病棟入院基本料」が新たに設けられます。新設される急性期病院一般入院基本料は、急性期病院Aと急性期病院Bの2区分で構成されます。急性期病院A一般入院料は1,930点(1日につき)で、救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上の実績が求められます。急性期病院B一般入院料は1,643点(1日につき)で、救急搬送年間1,500件以上などの複数の要件から選択できます。このほか、精神病棟向けの入院基本料も同時に新設され、人口の少ない地域や離島に対する特例措置も設けられています。急性期病院一般入院基本料の基本的な考え方急性期病院一般入院基本料は、地域ごとの急性期医療を確保する観点から、病院の機能に着目して新設されます。この入院基本料の背景には、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携の推進があります。従来の急性期一般入院基本料では、病棟単位の看護配置比率や重症度、医療・看護必要度が主な評価指標でした。この仕組みでは、7対1看護配置の急性期一般入院料1を算定する病院同士でも、救急搬送受入件数が数百件の病院と数千件の病院が同じ評価を受けていました。全身麻酔手術件数についても同様に、500件未満の病院から5,000件を超える病院まで幅広く存在していました。今回の改定では、こうした病院機能の違いを診療報酬に反映させるため、救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの実績を施設基準に組み込みます。この仕組みにより、地域の急性期医療を支える病院の体制整備を促し、必要な機能の確保につなげることが狙いです。急性期病院Aの施設基準と点数急性期病院A一般入院料は1日につき1,930点で、高い急性期機能を持つ病院を評価します。施設基準は、体制に関する要件と実績に関する要件の2つに大別されます。体制に関する要件として、まず救急医療の提供体制が求められます。具体的には、第二次救急医療体制、救命救急センター、高度救命救急センター、総合周産期母子医療センターのいずれかを設置しているか、これらと同様に24時間の救急患者を受け入れている必要があります。また、画像診断及び検査を24時間実施できる体制の確保も必要です。実績に関する要件として、救急搬送件数が年間2,000件以上、かつ全身麻酔手術件数が年間1,200件以上であることが求められます。この2つの条件はいずれも満たす必要があります。そのほかの主な施設基準として、看護配置7対1(入院患者7人に対し看護職員1人以上)、平均在院日数16日以内、自宅等への退院割合8割以上、常勤医師数が入院患者数の10%以上が必要です。さらに、地域包括医療病棟および地域包括ケア病棟の届出を行っていないことも条件となります。重症度、医療・看護必要度については、必要度Ⅱを用いた評価が原則です。特に高い基準を満たす患者割合の指数が27%以上、一定程度高い基準を満たす患者割合の指数が34%以上であることが求められます。許可病床数200床未満で正当な理由がある場合に限り、必要度Ⅰの使用が認められ、その場合は28%以上・35%以上の基準が適用されます。急性期病院Bの施設基準と点数急性期病院B一般入院料は1日につき1,643点で、地域の急性期医療を担う病院を評価します。急性期病院Aとの主な違いは、体制と実績の基準が緩和されている点です。体制に関する要件として、医療計画に記載された第二次救急医療機関であるか、救急病院等を定める省令に基づく救急病院であることが求められます。急性期病院Aと異なり、地域包括ケア病棟の届出は制限されていません。ただし、地域包括医療病棟の届出を行っていないことは必要です。実績に関する要件は、以下の4つの選択肢から1つを満たせばよい点が大きな特徴です。第1の選択肢は、救急搬送件数が年間1,500件以上です。第2の選択肢は、救急搬送件数が年間500件以上かつ全身麻酔手術件数が年間500件以上です。第3の選択肢は、人口20万人未満の二次医療圏に所在し、当該医療圏で救急搬送件数が最大かつ年間1,000件以上です。第4の選択肢は、離島のみで構成される二次医療圏に所在し、当該医療圏で救急搬送件数が最大であることです。第3・第4の選択肢は、人口の少ない地域や離島における急性期医療の確保を意図した特例措置です。対象となる地域は告示の別紙4(人口20万人未満の二次医療圏)と別紙5(離島のみの二次医療圏)に詳細が定められています。そのほかの施設基準として、看護配置10対1(入院患者10人に対し看護職員1人以上)、平均在院日数21日以内が求められます。急性期病院Aと同様に、重症度、医療・看護必要度Ⅱでの評価が原則です。急性期病院精神病棟入院基本料の概要急性期病院精神病棟入院基本料も、一般病棟と同様にA・Bの2区分で新設されます。精神病棟においても、病院の急性期機能を反映した評価が導入されます。急性期病院A精神病棟入院料は、看護配置に応じた3段階の点数設定です。10対1は1,519点、13対1は1,162点、15対1は966点となります。急性期病院B精神病棟入院料も同様に3段階で、10対1は1,502点、13対1は1,145点、15対1は949点です。精神病棟特有の基準として、10対1入院基本料では平均在院日数40日以内・GAF尺度30以下の新規入院患者が5割以上、13対1入院基本料では平均在院日数80日以内・GAF尺度30以下又は身体合併症を有する新規入院患者が4割以上であることが求められます。15対1入院基本料では、看護職員の4割以上が看護師であることが必要です。急性期医療に係る体制・実績の基準は、一般病棟と共通の枠組みです。急性期病院Aは救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上、急性期病院Bは一般病棟と同じ4つの選択肢から1つを満たす必要があります。救急搬送件数の算定ルール救急搬送件数の算定には、いくつかの重要なルールがあります。特に、介護保険施設からの搬送と夜間帯の受入に関する規定を正しく理解する必要があります。介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)に入所中の患者の救急搬送は、原則として搬送件数に算入できません。ただし、例外として3つの場合に算入が認められます。第1に、協力医療機関に連絡した結果、受入が困難であり救急要請した場合です。第2に、「傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準」に基づく救急搬送の受入れの場合です。第3に、急性期病院A又はBで受入後3日以内に当該協力医療機関に転院した場合です。夜間帯の受入に関する要件もあります。救急搬送件数のうち、22時から翌朝8時までの夜間時間帯に受け入れた件数が1割以上であることが必要です。なお、介護保険施設等からの救急搬送について、入院加療が必要な場合には、協力医療機関を確認し、当該協力医療機関に情報提供を行うことが望ましいとされています。経過措置経過措置は3つ設けられています。新たな施設基準への円滑な移行を図るため、既存の届出状況に応じた猶予期間が定められています。第1の経過措置として、令和8年3月31日時点で地域包括医療病棟の届出を行っている医療機関は、当分の間、急性期病院Aの体制要件のうち地域包括医療病棟に係る非届出基準、および急性期病院Bの地域包括医療病棟に係る非届出基準を満たしているものとみなされます。第2の経過措置として、令和8年3月31日時点で地域包括ケア病棟入院料の届出を行っている医療機関は、当分の間、急性期病院Aにおける地域包括ケア病棟の非届出要件を満たしているものとみなされます。第3の経過措置として、令和9年3月31日までの間は、介護保険施設からの搬送を含め、全ての救急搬送件数を実績に算入できます。令和9年4月1日以降は、原則どおり介護保険施設からの搬送が除外されるため、この1年間で搬送件数の精査と体制整備を進める必要があります。まとめ急性期病院一般入院基本料は、病院の急性期機能を救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの実績で評価する新たな入院基本料です。急性期病院Aは1,930点で救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上の高い実績が求められ、急性期病院Bは1,643点で複数の選択肢から実績要件を満たせばよい仕組みです。人口の少ない地域や離島に対しては、当該医療圏で救急搬送件数が最大であることをもって要件を満たす特例が設けられています。精神病棟についても同様の枠組みで新設され、経過措置により既存の届出との整合が図られています。各医療機関は、自院の救急搬送件数や手術件数を改めて確認し、どの区分に該当するかを早期に検討することが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】医療従事者の人材確保・働き方改革|5つの施策を総まとめ

Mar 1, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医療現場の深刻な人手不足と働き方改革への対応として、賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取り組みが大幅に強化されます。全産業で賃上げ率が高水準となる中、医療分野では事業収益の悪化を背景に賃上げ水準が乖離しており、人材確保が困難な状況にあります。本記事では、個別改定項目「Ⅰ-2 賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取組」に含まれる5つの施策の全体像を解説します。今回の改定では、5つの施策で人材確保と働き方改革が推進されます。第1に、ベースアップ評価料の大幅拡充と夜勤負担軽減の計画要件明確化により、医療従事者の処遇が改善されます。第2に、ICT・AI・IoT等の利活用により、看護配置から事務簡素化まで4分野の業務効率化が図られます。第3に、急性期病棟における多職種協働を評価する「看護・多職種協働加算」が新設されます。第4に、外科医の処遇改善や休日等加算1の要件緩和など、医師の働き方改革と診療科偏在対策が講じられます。第5に、看護配置の猶予や専従要件の緩和など、施設基準における人員配置の要件が幅広く柔軟化されます。Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善令和8年度改定における医療従事者の処遇改善は、賃上げに向けた評価の見直しと、夜勤を含む負担軽減計画の明確化の2本柱で構成されています。令和8年度および令和9年度にそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップ実現を目指し、賃上げの実効性を高める仕組みが導入されます。賃上げに向けた評価の見直しでは、ベースアップ評価料が3つの柱で拡充されます。対象職員が「当該保険医療機関に勤務する職員」全体に拡大され、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師等も新たに対象に加わります。点数は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の初診時が6点から17点に引き上げられるなど、大幅に増額されます。継続的な賃上げを実施していない医療機関に対しては、入院基本料等の減算規定も新設されます。夜勤負担の軽減については、急性期総合体制加算や看護職員夜間配置加算等の施設基準において、夜勤に関する事項を「負担の軽減及び処遇の改善に資する計画」に含めることが要件として明確化されます。詳しくは「【令和8年度改定】医療従事者の処遇改善|賃上げ評価の拡充と夜勤負担軽減の2本柱」をご覧ください。Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進ICT・AI・IoT等の利活用による業務効率化は、4つの分野で改定が行われます。看護現場の人手不足や医師の事務負担、煩雑な届出業務など、医療機関が長年抱えてきた課題に対応するものです。第1に、ICT機器の活用により看護配置基準が1割以内で柔軟化されます。見守り・記録・情報共有の3領域すべてにICT機器を導入した病棟が対象であり、看護職員の配置数が基準の9割以上であれば入院基本料等の所定点数を算定できます。第2に、生成AIの導入により医師事務作業補助者の配置人数が最大1.3人換算で算入可能となります。第3に、各種様式の統一や届出のオンライン化など5つの分野で事務の簡素化が進みます。第4に、様式9の勤務時間算入要件が2つ追加され、小数点処理も統一されます。詳しくは「【令和8年度改定】ICT・AI・IoT活用で変わる4つの業務効率化|看護配置から事務簡素化まで」をご覧ください。Ⅰ-2-3 タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進急性期病棟における多職種協働の取り組みを評価する「看護・多職種協働加算」が新設されます。生産年齢人口の減少により医療従事者の確保が難しくなる中、看護職員と他の医療職種が協働する新たな病棟運営モデルを提示するものです。対象は、急性期一般入院料4と急性期病院B一般入院料のうち、急性期一般入院料1と同等の重症度を満たす病棟です。点数は加算1が277点(1日につき)、加算2が255点(1日につき)です。配置要件として、看護職員と他の医療職種(PT・OT・ST・管理栄養士・臨床検査技師)を合わせて25対1以上の配置が求められます。看護職員をさらに手厚く配置する方法でも、他の医療職種を組み合わせる方法でも要件を満たせます。施設基準では、重症度・医療・看護必要度の基準、平均在院日数16日以内、自宅等退院割合80%以上などの要件が定められています。詳しくは「【令和8年度改定】看護・多職種協働加算を新設|急性期病棟の多職種連携が点数化」をご覧ください。Ⅰ-2-4 医師の働き方改革の推進/診療科偏在対策医師の働き方改革と診療科偏在対策は、外科医を中心とした処遇改善・勤務環境改善と、チーム制の施設基準緩和の2つの施策で構成されます。外科医師の減少が全国的な課題となる中、診療報酬上の新たな評価の導入と既存の施設基準の見直しが行われます。処遇改善・勤務環境改善の施策は3つの柱で構成されます。地域医療体制確保加算が2段階化(加算1:620点、加算2:720点)され、医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関が高く評価されます。外科医療確保特別加算が新設され、高度手術を実施する基幹的な医療機関が手術の所定点数の15%を加算できます。特定地域医療提供医師等の時間外・休日労働時間の上限基準が、令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下へと段階的に引き下げられます。チーム制の施設基準緩和では、処置・手術の休日等加算1について、緊急呼出し当番の人数要件の緩和、勤務間インターバルの選択肢追加、手当支給要件の整理が行われます。詳しくは「【令和8年度改定】医師の働き方改革と診療科偏在対策|外科医処遇改善と休日等加算1の要件緩和」をご覧ください。Ⅰ-2-5 診療報酬上求める基準の柔軟化施設基準における人員配置の要件が、5つの項目で幅広く柔軟化されます。質の高い医療提供体制の維持と人材確保の両立を図ることを目的とした改定です。第一に、看護職員の一時的な不足時に、最長3か月間、届出区分の変更が不要となる猶予ルールが新設されます。第二に、感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で見直されます。具体的には、専従者が介護保険施設等へ赴いて助言できる時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されること、感染制御チーム等の専従者と医療安全管理者が所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになること、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者への外来栄養食事指導等を行えるようになることの3点です。第三に、常勤職員の所定労働時間要件が週32時間から週31時間に引き下げられます。第四に、摂食嚥下機能回復体制加算の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されるなど、嚥下機能に関する要件が見直されます。第五に、療法士の専従要件が5つの観点から大幅に緩和され、業務範囲と兼任ルールが見直されます。詳しくは「【令和8年度改定】診療報酬上求める基準の柔軟化|5つの見直し項目を総まとめ」をご覧ください。まとめ令和8年度改定における「賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取組」は、5つの施策で構成されています。医療従事者の処遇改善では、ベースアップ評価料の拡充と夜勤負担軽減計画の明確化により、賃上げの実効性が強化されます。ICT・AI・IoT等の利活用では、看護配置基準の柔軟化から事務の簡素化まで4分野の業務効率化が推進されます。タスク・シェアリング/タスク・シフティングでは、看護・多職種協働加算の新設により急性期病棟の多職種連携が評価されます。医師の働き方改革では、外科医を中心とした処遇改善とチーム制の要件緩和が導入されます。基準の柔軟化では、看護配置の猶予から療法士の専従要件緩和まで5項目の見直しが行われます。これら5つの施策はいずれも、医療の質を担保しつつ、限られた人材をより柔軟に活用できる仕組みを整備するものです。各医療機関においては、自院に該当する項目を確認し、届出準備と運用体制の見直しを計画的に進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】診療報酬上求める基準の柔軟化|5つの見直し項目を総まとめ

Feb 28, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、医療現場の深刻な人手不足に対応するため、施設基準における人員配置の要件が幅広く柔軟化されます。この柔軟化は、質の高い医療提供体制の維持と人材確保の取組の両立を図ることを目的としています。今回の柔軟化は、5つの項目で構成されています。第一に、看護職員の一時的な不足時に届出猶予を認める仕組みが新設されます。第二に、感染対策向上加算等の専従者が他業務に従事できるようになります。第三に、常勤職員の所定労働時間要件が週32時間から週31時間に引き下げられます。第四に、摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が見直されます。第五に、療法士の専従要件が大幅に緩和され、業務範囲と兼任ルールが見直されます。① やむを得ない事情における施設基準等に関する取扱いの見直し看護職員の一時的な不足に対応するため、施設基準の届出に関する猶予ルールが新設されます。平時から公的職業紹介を活用した採用活動を行っている医療機関が、突発的な事情で看護職員を確保できない場合に、暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であれば、最長3か月間、届出区分の変更が不要となります。この猶予は年1回に限られ、地方厚生局への報告義務があります。コロナ特例として運用されていた仕組みが、突発的な事情全般に対応する恒久的な制度として新たに規定されました。→ 詳しくは「【令和8年度改定】看護職員が一時的に不足しても届出不要に?施設基準の柔軟化を解説」をご覧ください。② 感染対策向上加算等における専従要件の見直し感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で見直されます。第一の柱は、専従者が介護保険施設等へ赴いて助言できる時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されることです。第二の柱は、感染制御チーム・抗菌薬適正使用支援チームの専従者と医療安全管理者が、所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになることです。第三の柱は、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が、退院患者への外来栄養食事指導等を行えるようになることです。いずれも、専門人材が支援業務と院内業務をより柔軟に両立できるようにするための改定です。→ 詳しくは「【令和8年度改定】感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で大幅緩和」をご覧ください。③ 常勤職員の常勤要件に係る勤務時間数の見直し常勤職員の所定労働時間要件が、週32時間以上から週31時間以上に引き下げられます。この見直しは、一般職の国家公務員の1日当たり勤務時間(7時間45分)との整合性を図るものです。対象となる施設基準は、急性期一般入院料1等の常勤医師、有床診療所の医師配置加算、医師事務作業補助体制加算の3項目です。常勤換算の計算に用いる分母(所定労働時間の下限)は週32時間のまま据え置かれるため、常勤の「定義の緩和」と「換算方法」を区別して運用する必要があります。→ 詳しくは「【令和8年度改定】常勤要件が週32時間から31時間に緩和|3つの対象項目と実務上の注意点」をご覧ください。④ 質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組の推進摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が3つのポイントで見直されます。第1に、摂食嚥下機能回復体制加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されます。第2に、加算3の実績要件に、経腸栄養から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。第3に、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大され、入院前から中心静脈栄養で管理されていた患者や、経口摂取不可となり経腸栄養を選択した患者も算定対象となります。いずれも、中心静脈栄養の実施を前提とした要件が現場の取組を評価しにくくしていた課題に対応するものです。→ 詳しくは「【令和8年度改定】摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の3つの見直しポイント」をご覧ください。⑤ 疾患別リハビリテーション料や特定入院料において配置された療法士による専門性を生かした指導等の更なる推進療法士の専従要件が5つの観点から大幅に緩和されます。第一に、専従の従事者がリハビリテーション以外の業務に従事した時間を実施単位数に算入できるようになります。第二に、疾患別リハビリテーション料の専従療法士の業務範囲が明確化され、兼任ルールが大幅に見直されます。第三に、地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟の専従療法士に業務内容が追加されます。第四に、病棟外・屋外での指導等が明確に認められます。第五に、入院医療管理料における専従療法士の兼任が可能になります。特に、兼任ルールの緩和と回復期リハビリテーション病棟における「全ての患者」への対象拡大は、人員配置や病棟運営に直結する変更です。→ 詳しくは「【令和8年度改定】療法士の専従要件が大幅緩和|5つの変更点を解説」をご覧ください。まとめ令和8年度診療報酬改定における「診療報酬上求める基準の柔軟化」は、5つの項目で構成されています。看護職員の一時的不足時の届出猶予の新設、感染対策向上加算等の専従者の業務範囲の拡大、常勤要件の週31時間への引下げ、摂食嚥下機能回復体制加算等の要件緩和、そして療法士の専従要件の大幅な緩和です。これらの見直しに共通するのは、医療の質を担保しつつ、限られた人材をより柔軟に活用できる仕組みを整備するという方向性です。各医療機関においては、自院に該当する項目を確認し、施設基準の届出や運用体制の見直しを早めに進めることが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】療法士の専従要件が大幅緩和|5つの変更点を解説

Feb 27, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、リハビリテーション提供体制の柔軟化が進められます。疾患別リハビリテーション料や特定入院料において、専従の理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が従事できる業務の範囲が広がります。この改定は、療法士の専門性を病棟内に限らず発揮させることを目的としています。今回の改定では、主に5つの変更が行われます。第一に、疾患別リハビリテーションを担当する専従の従事者について、リハビリテーション以外の業務時間を実施単位数に算入できるようになります。第二に、疾患別リハビリテーション料の専従療法士が従事できる業務の範囲が明確化されるとともに、兼任ルールが大幅に見直されます。第三に、地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟の専従療法士にも業務内容が追加されます。第四に、病棟外・屋外での指導等が明確に認められます。第五に、入院医療管理料における専従療法士の兼任が可能になります。変更点1:専従の従事者について、リハビリ以外の業務時間を実施単位数に算入可能に疾患別リハビリテーションを担当する専従の従事者が、リハビリテーション以外の特定の業務に従事した時間を、実施単位数としてカウントできるようになります。この変更の対象は、すべての療法士ではなく、疾患別リハビリテーション料の施設基準で求められる「専従の従事者」に限られます。従来、専従の従事者1人あたりの実施単位数は1日18単位が標準とされていました。この18単位は、疾患別リハビリテーションと集団コミュニケーション療法の合計で計算していました。改定後は、この計算方法が変わります。専従の従事者が、施設基準通知(別添1の第38、第40等)で規定された業務のうち、疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法以外の特掲診療料に係る業務に従事した時間を合算します。この合算した時間が20分以上の場合、20分を1単位とみなして実施単位数に加えることができます。たとえば、専従の従事者が対象となる業務に60分従事した場合、3単位分を実施単位数に加算できます。この変更により、専従の従事者がリハビリテーション以外の専門業務に時間を割いても、1日18単位の基準を満たしやすくなります。変更点2:専従療法士の業務範囲の明確化と兼任ルールの大幅見直し疾患別リハビリテーション料の専従療法士について、従事できる業務の範囲が明確化されるとともに、兼任ルールが大幅に見直されます。この変更は、業務範囲の拡大と兼任制限の緩和という2つの側面を持っています。まず、業務範囲の明確化について説明します。従来は、リハビリテーション実施時間以外に専従の療法士が従事できる業務が必ずしも明確ではありませんでした。改定後は、従事できる業務が具体的に列挙されます。専従の療法士は、医科点数表の「第1部 医学管理」「第2部 在宅医療」「第7部 リハビリテーション」「第8部 精神科専門療法」の業務に従事できます。さらに、その他のリハビリテーション及び患者・家族等の指導に関する業務(専任として配置が求められるものを含む)、介護施設等への助言業務にも従事可能です。ただし、入院料等において配置が求められている従事者(専任の者を除く)として従事することはできません。次に、兼任ルールの見直しについて説明します。現行では、たとえば脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の専従PTは、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、地域包括医療病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料及び地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟の常勤PTとの兼任ができませんでした。改定後は、この制限が撤廃されます。具体的には、第7部リハビリテーション第1節(心大血管疾患リハビリテーション料を除く)において配置が求められている常勤PT(専従の者を含む)について、兼任が可能になります。OTやSTについても同様の取扱いです。この変更により、限られた療法士の人員をより柔軟に配置できるようになります。これらの変更は、心大血管疾患リハビリテーション料をはじめ、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料など、すべての疾患別リハビリテーション料に適用されます。変更点3:病棟専従療法士の業務内容の追加と対象患者の拡大地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟に配置された専従療法士について、従事できる業務が追加されます。あわせて、地域包括医療病棟と回復期リハビリテーション病棟では、専従療法士の業務の対象や位置づけに関する重要な変更も行われます。地域包括医療病棟では、2つの変更があります。1つ目は、専従療法士の業務が「ADLの維持、向上等を目的とした指導」から「ADLの維持、向上等を目的とした評価・指導」に変更されることです。「評価」が追加されたことで、指導だけでなく、患者の機能や状態を評価する業務が明確に位置づけられます。2つ目は、当該評価・指導において必要な場合に、「入院基本料等加算」「医学管理等」「生体検査料」「リハビリテーション料」のうち、療法士が行うこととして認められている業務に従事できるようになることです。なお、疾患別リハビリテーション料の上限は、引き続き1日6単位相当とされています。回復期リハビリテーション病棟でも、2つの変更があります。1つ目は、算定要件(5)の対象が変わることです。現行の「必要に応じて病棟等における早期歩行、ADLの自立等を目的とした理学療法又は作業療法」が、改定後は「当該病棟の全ての患者に対して、早期歩行、ADLの自立等を目的とした理学療法又は作業療法」に変更されます。「必要に応じて」から「全ての患者に対して」への変更は、病棟運営の方針に影響する重要な変更です。2つ目は、新設される(6)において、専従の療法士等が「入院基本料等加算」「医学管理等」「生体検査料」の業務に従事できることが明記されることです。地域包括ケア病棟では、新たに算定要件(4)が新設されます。専従療法士がADLの維持及び向上等を目的とした評価・指導を行うこと、その際に「入院基本料等加算」「医学管理等」「生体検査料」「リハビリテーション料」のうち療法士が行える業務に従事できることが規定されます。変更点4:病棟外・屋外での業務が明確に認められる病棟専従の療法士が、配置された病棟以外の場所でも業務を行えることが明確化されます。従来の規定では、病棟専従の療法士が屋外やリハビリテーション室などの病棟外で指導等を行ってよいかどうかが不明確でした。改定後は、地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟のいずれにおいても、「当該病棟の患者に対する評価・指導等は、必要に応じて、病棟外又は屋外等、配置された病棟以外の場所において実施することも可能である」と明記されます。退院に向けた屋外歩行訓練や自宅環境を想定した動作指導など、実践的なリハビリテーションの提供がしやすくなります。変更点5:入院医療管理料における専従療法士の兼任が可能に回復期リハビリテーション入院医療管理料または地域包括ケア入院医療管理料を算定する病室がある病棟では、専従療法士の兼任が可能になります。入院医療管理料は、病棟単位ではなく病室単位で算定するものです。そのため、同一病棟内に入院医療管理料を算定する病室と、別の入院料を算定する病室が混在するケースがあります。改定後は、この混在する病棟において、入院医療管理料に規定する専従療法士が、同じ病棟で届け出られている入院料の専従者を兼務できます。具体的には、回復期リハビリテーション入院医療管理料の専従PTは、同じ病棟の入院料に規定する専従者やリハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の専従者を兼務できます。地域包括ケア入院医療管理料についても同様の取扱いです。この変更により、限られた療法士を効率的に配置できるようになります。まとめ令和8年度の改定では、療法士の専従要件が5つの観点から柔軟化されます。専従の従事者によるリハビリテーション以外の業務時間の実施単位数への算入、疾患別リハビリテーション料の専従療法士の業務範囲の明確化と兼任ルールの大幅緩和、病棟専従療法士への業務内容の追加と対象患者の拡大、病棟外での業務の明確化、そして入院医療管理料における兼任の容認です。特に、兼任ルールの緩和と回復期リハビリテーション病棟における「全ての患者」への対象拡大は、人員配置や病棟運営に直結する変更です。各医療機関では、自院の療法士の配置体制や届出状況を確認し、改定後の運用を早めに検討することが重要です。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

【令和8年度改定】摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の3つの見直しポイント

Feb 26, 2026 岡大徳

令和8年度診療報酬改定では、質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組を推進するため、摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が見直されます。この見直しは、「中心静脈栄養の実施が前提となっている要件では、経腸栄養や経口摂取への移行に取り組む医療機関の努力が評価されにくい」という現場の課題を踏まえたものです。今回の見直しは、大きく3つのポイントに整理できます。第1に、摂食嚥下機能回復体制加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されます。第2に、加算3の実績要件に、経腸栄養から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。第3に、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大され、入院前から中心静脈栄養で管理されていた患者や、経口摂取不可となり経腸栄養を選択した患者も算定対象となります。見直しの背景:届出・算定が伸び悩む現状摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算は、いずれも届出・算定の伸び悩みが課題となっていました。回復期リハビリテーション病棟入院料1の届出病棟のうち、摂食嚥下機能回復体制加算1または2を届け出ている施設は約13%にとどまっています。現場からは「専従の言語聴覚士の確保が難しい」という声が上がっていました。療養病棟で算定される加算3についても、届出94施設のうち約6割が算定回数ゼロでした。この背景には、実績要件が「中心静脈栄養を実施していた患者」に限定されていたことがあります。中心静脈栄養を行わない方針の施設では、そもそも実績を積むことができませんでした。経腸栄養管理加算は、令和6年度改定で新設されましたが、届出910施設のうち約9割弱が算定回数ゼロという状況でした。「入棟前の1か月間に経腸栄養が実施されていた患者は算定できない」という除外規定や、「長期間、中心静脈栄養を実施している患者」という要件が、対象患者の範囲を狭めていました。見直し①:言語聴覚士の配置要件を「専従」から「専任」に緩和第1の見直しは、摂食嚥下機能回復体制加算1・2における言語聴覚士の配置要件の緩和です。従来、摂食嚥下支援チームの構成員である言語聴覚士は「専従の常勤」が求められていました。今回の改定では、この要件が「専任の常勤」に変更されます。専従と専任の違いは、他の業務との兼務の可否にあります。専従は当該業務に専ら従事することを意味し、原則として他の業務を兼務できません。一方、専任は当該業務に主として従事しつつ、他の業務を兼務することが認められます。この変更により、言語聴覚士が摂食嚥下支援チームの業務を行いながら、疾患別リハビリテーション等の他業務にも従事できるようになります。この緩和は、限られた言語聴覚士の人材を効率的に活用することを目的としています。回復期リハビリテーション病棟では、言語聴覚士が摂食嚥下支援と疾患別リハビリテーションの両方に関与するニーズが高く、専従要件がボトルネックとなっていました。この見直しにより、加算の届出施設数の増加が期待されます。見直し②:加算3の実績要件に経腸栄養からの回復患者を追加第2の見直しは、療養病棟で算定される摂食嚥下機能回復体制加算3の実績要件の拡大です。従来の実績要件は、「中心静脈栄養を実施していた患者のうち、嚥下機能が回復し中心静脈栄養を終了した者が前年に2名以上」に限定されていました。今回の改定では、この実績に加え、経腸栄養(鼻腔栄養や胃瘻)から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。具体的には、実績要件が次のアとイの合計で2名以上に変更されます。アは、従来どおり中心静脈栄養を終了した患者です。イは、鼻腔栄養を実施していた患者または胃瘻を造設していた患者のうち、嚥下機能評価と嚥下リハビリテーション等を経て、経口摂取のみの栄養方法に回復した患者です。この見直しの背景には、中心静脈栄養を実施しない施設では実績要件を満たせないという課題がありました。経腸栄養から経口摂取への移行も、質の高い摂食嚥下機能回復の成果です。この成果を実績に含めることで、より多くの療養病棟が加算3を届出・算定できるようになります。見直し③:経腸栄養管理加算の対象患者を拡大第3の見直しは、経腸栄養管理加算の対象患者の要件変更です。この変更には、対象患者の拡大と除外規定の撤廃という2つの内容が含まれます。対象患者の要件は、次のように見直されます。アの要件は、従来の「長期間、中心静脈栄養を実施している患者」から「入院前から又は入院後2週間以上、中心静脈栄養による栄養管理を実施しており、経腸栄養への移行を目的とするもの」に変更されます。この変更により、入院前から経腸栄養を行っておらず中心静脈栄養で管理されていた患者も算定対象に含まれます。イの要件は、従来の「経口摂取が不可能となった又は経口摂取のみでは必要な栄養補給ができなくなった患者」から「経口摂取が不可能となった又は経口摂取のみでは必要な栄養補給ができなくなり、入棟後に経腸栄養を開始したもの」に変更されます。このイの要件変更により、経口摂取が不可となった場合に、適切なプロセスを経て中心静脈栄養ではなく経腸栄養を選択した場合についても算定可能であることが明確化されます。もうひとつの重要な変更は、従来あった「入棟前の1か月間に経腸栄養が実施されていた患者については算定できない」という除外規定が撤廃される点です。従来はこの除外規定があったため、入棟前にすでに経腸栄養を実施していた患者は算定対象外でした。この撤廃により、対象患者の範囲がさらに広がります。まとめ令和8年度診療報酬改定における摂食嚥下機能回復に係る見直しは、3つのポイントに集約されます。加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されること、加算3の実績要件に経腸栄養からの経口摂取回復患者が追加されること、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大されることです。いずれも、中心静脈栄養の実施を前提とした要件が現場の取組を評価しにくくしていたという課題に対応するものです。該当する医療機関は、施設基準の変更内容を確認し、届出の準備を進めることをお勧めします。 Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe