令和8年度診療報酬改定では、医師の働き方改革を推進する観点から、処置及び手術に係る休日加算1、時間外加算1、深夜加算1の施設基準が見直されます。令和7年度の実態調査で多くの医療機関が「算定継続が困難」と回答していたチーム制の要件が、今回の改定で緩和されます。
今回の見直しは、大きく3つです。第1に、チーム制における緊急呼出し当番の人数要件が緩和されます。第2に、夜勤時間帯の緊急呼出し当番について、翌日休日に代えて「勤務間インターバルの確保」が選択肢として追加されます。第3に、手当支給要件(3)における緊急呼出し当番の配置対象が交代勤務制に限定されるとともに、対象時間帯やただし書きも整理されます。なお、既届出の医療機関には令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。
変更点1:緊急呼出し当番の人数要件の緩和
チーム制における緊急呼出し当番の配置人数が緩和されます。
現行の要件では、「当該診療科に配置されている医師の数が5名又はその端数を増すごとに1名」の緊急呼出し当番を配置する必要がありました。たとえば、医師10名の診療科では2名の当番配置が必要でした。
改定後は、「2名以上」の緊急呼出し当番を配置すればよいこととなります。ただし、当該診療科の医師数が5名未満の場合は「1名以上」で足ります。この変更により、医師数に比例して当番人数が増える仕組みが見直され、配置の負担が軽減されます。
変更点2:勤務間インターバルの選択肢の追加
夜勤時間帯の緊急呼出し当番に対する勤務体制として、勤務間インターバルの確保が新たに選択できるようになります。
現行の要件では、夜勤時間帯に緊急呼出し当番を行った医師について、翌日を休日とすることが求められていました。当番中に診療を行わなかった場合は翌日を休日としなくてもよいとされていたものの、診療の有無は事前に予見できません。そのため、実態としては、緊急呼出し当番の翌日は常に休日として運用せざるを得ない状況でした。令和7年度の実態調査でも、「緊急呼出し当番翌日の休日対応」は算定継続が困難な要件の上位に挙げられていました。
改定後は、翌日休日の要件(ウ)に加えて、勤務間インターバルの確保(エ)が新たな選択肢として設けられます。具体的には、夜勤時間帯に緊急呼出し当番を行う医師について、特定対象医師であるかどうかにかかわらず、医療法第123条第1項及び第2項に規定する休息時間と同様の休息時間を確保することが求められます。また、特定対象医師については、同条第3項に規定する休息時間の確保にも配慮することとされています。この変更により、医療機関は翌日休日(ウ)と勤務間インターバル(エ)のいずれかを選択できるようになります。
変更点3:手当支給要件における緊急呼出し当番配置等の整理
手当支給に関する要件(3)について、緊急呼出し当番の配置条件、対象時間帯、ただし書きの3点が整理されます。
1点目は、緊急呼出し当番の配置対象の限定です。現行では、交代勤務制・チーム制のいずれを導入している場合でも、手当支給の要件として「休日等において、当該診療科に1名以上の緊急呼出し当番を担う医師を置いていること」が求められていました。改定後は、この配置要件が「(1)の交代勤務制を導入している場合」に限定されます。チーム制を導入している医療機関では、(2)の要件の中で緊急呼出し当番の配置がすでに求められているため、(3)での重複した配置要件が整理された形です。
2点目は、対象時間帯の変更です。現行では緊急呼出し当番の配置が必要な時間帯は「休日等」、すなわち休日・時間外・深夜とされていました。改定後は「休日又は時間外」に変更され、深夜が対象から除かれます。交代勤務制を導入している医療機関では、深夜帯は交代勤務の中で対応する体制が前提となっているため、緊急呼出し当番の配置対象から外されたと考えられます。
3点目は、ただし書きの削除です。現行では、緊急呼出し当番以外の医師が夜勤時間帯に手術を行った場合の取扱い(当直等を行っている者として数えない、特定の医師に手術が集中しないよう配慮する等)がただし書きとして詳細に規定されていました。改定後は、このただし書きが削除されます。チーム制における(3)の緊急呼出し当番配置要件が削除されたことに伴い、関連するただし書きも不要となったためと考えられます。
経過措置
既届出の医療機関には、経過措置が設けられます。令和8年3月31日時点で休日加算1、時間外加算1、深夜加算1の届出を行っている保険医療機関は、令和9年5月31日までの間、チーム制の新要件であるウ(翌日休日)又はエ(勤務間インターバル)を満たしているものとみなされます。
まとめ
令和8年度改定では、処置・手術の休日等加算1について、チーム制の施設基準が3つの点で見直されます。緊急呼出し当番の人数要件が緩和され、勤務間インターバルが翌日休日の代替として選択可能となり、手当支給要件の緊急呼出し当番配置が交代勤務制に限定されるとともに対象時間帯やただし書きも整理されます。既届出の医療機関には令和9年5月31日までの経過措置があるため、施設基準の見直しと届出の準備を計画的に進めることが重要です。
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サマリー
令和8年度診療報酬改定では、医師の働き方改革の一環として、処置・手術の休日等加算1の施設基準が見直されます。特に、緊急呼出し当番の人数要件が緩和され、夜勤時間帯の当番後の勤務体制として「翌日休日」に加えて「勤務間インターバル」が選択可能となる点が大きな変更です。これにより、現場の医師の負担軽減と医療機関の柔軟な運用が期待されますが、インターバルによる疲労回復の質など、制度の先にある課題についても考察が促されています。
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