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2026-02-21 04:14

【令和8年度改定】外科医の処遇改善と診療科偏在対策の3つの柱を解説

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外科医師の減少が全国的な課題となっています。特に消化器外科や心臓血管外科などでは若手医師数の減少傾向が続いており、地域の医療提供体制に深刻な影響を及ぼしています。令和8年度診療報酬改定では、こうした診療科偏在の解消と医師の働き方改革の推進を図るため、診療報酬上の新たな評価が導入されます。

今回の改定では、3つの柱で対策が講じられます。第1の柱は、地域医療体制確保加算の2段階化です。従来の加算(620点)を「加算1」とし、医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関に対して「加算2」(720点)が新設されます。第2の柱は、外科医療確保特別加算の新設です。高度な手術を実施する医療機関において、手術の所定点数の15%を加算する仕組みが創設されます。第3の柱は、特定地域医療提供医師等の時間外・休日労働時間の上限基準の引き下げです。令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下へと段階的に引き下げられます。

地域医療体制確保加算の2段階化

地域医療体制確保加算は、従来の1区分から2区分に再編されます。従来の要件を満たす医療機関は「加算1」(620点)を算定し、さらに医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関は「加算2」(720点)を算定できます。

加算1の要件は、現行の地域医療体制確保加算と基本的に同じです。救急搬送、周産期医療または小児救急医療に係る実績を有し、病院勤務医の負担軽減・処遇改善に資する体制を整備していることが求められます。

加算2の要件は、加算1の要件に加えて、入院料の届出要件と医師確保が必要な診療科に対する特別な配慮が求められます。入院料の届出要件として、特定機能病院入院基本料(7対1入院基本料及び10対1入院料に限る)または急性期総合体制加算を届け出ていることが必要です。この要件により、加算2を算定できるのは特定機能病院や高度急性期を担う医療機関に限定されます。加えて、以下の3つの要件を満たす必要があります。

第1に、対象となる診療科の特定です。全国的に若手の医師数が減少傾向にある消化器外科、心臓血管外科、小児外科、循環器内科のうち、地域でも医師確保が特に必要な診療科を3つ以内で「特定診療科」として選定します。なお、消化器外科、心臓血管外科または小児外科を他の外科系診療科と区別することが困難な場合は、外科系診療科全体を2診療科として特定できます。

第2に、特定診療科の医師確保に関する取組です。地域の他の医療機関との手術・高度医療の機能分化や集約に関する協議を行うこと、臨床研修終了後の研修を地域で連携して行うこと、そして特定診療科の医師に対する給与面での特別な配慮(毎月決まって支給される手当に限る)を行うことが求められます。

第3に、勤務環境改善の取組です。特定診療科において、交代勤務制またはチーム制を導入した上で、次のいずれかの取組を実施する必要があります。ひとつは、医師事務作業補助体制加算を届け出た上で、当該加算で配置する医師事務作業補助者を全ての特定診療科の病棟または外来等に配置することです。もうひとつは、各特定診療科の術前術後管理等に携わる看護職員について、集中治療や術後疼痛管理等の適切な研修を修了した者を配置することです。

外科医療確保特別加算の新設

外科医療確保特別加算は、地域の基幹的な医療機関が高度手術を実施する体制を整備し、外科医の勤務環境を改善した上で、長時間かつ高難度な手術を実施した場合に算定できる新たな加算です。算定額は、当該手術の所定点数の15%に相当する点数です。

この加算の対象となる手術は、消化器外科・心臓血管外科領域を中心とした長時間かつ高難度な手術です。対象術式は通知においてKコードで具体的に指定されており、多数の術式が対象となっています。

施設基準は、以下の8項目で構成されています。

第1に、対象診療科の届出です。外科医療確保特別加算を算定する診療科を届け出ていることが必要です。

第2に、入院料の届出です。特定機能病院入院基本料または急性期総合体制加算を届け出ていることが求められます。

第3に、手術実績です。対象となる長時間かつ高難度な手術を合わせて年間200例以上実施していることが求められます。

第4に、診療科体制です。算定する全ての診療科において、当該診療科の経験を5年以上有する常勤医師を6名以上配置し、チーム制または交代勤務制を導入していることが必要です。加えて、当該診療科に配置されている常勤医師については、特定対象医師であるかどうかにかかわらず、特定対象医師について医療法で規定されているものと同様の休息時間を確保することが求められます。なお、医療法第123条第3項に規定する休息時間については、確保するよう「配慮」することとされており、努力義務として位置づけられています。

第5に、地域連携体制です。地域の他の医療機関と対象手術の実施体制や術後フォローアップ体制について事前に協議し、その内容を公表するとともに患者に説明する必要があります。

第6に、研修体制です。臨床研修終了後の医師を対象として、対象手術に係る診療科における研修体制が整備されていることが必要です。

第7に、地域医療体制確保加算2の届出です。加算2における処遇配慮の対象に、外科医療確保特別加算を算定する診療科が含まれている必要があります。

第8に、手当の支給です。対象手術件数に応じて、加算額の30%以上に相当する額を総額とする手当を当該診療科の医師に支給し、その8割以上を常勤医師に支給することが求められます。この支給内容は、院内の全ての医師に周知する必要があります。なお、この手当は地域医療体制確保加算2における処遇配慮に活用して差し支えないとされています。

時間外・休日労働時間の上限基準の引き下げ

特定地域医療提供医師および連携型特定地域医療提供医師の時間外・休日労働時間の上限基準は、段階的に引き下げられます。令和6年度の1,785時間以下、令和7年度の1,710時間以下に続き、令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下となります。

この上限基準は、地域医療体制確保加算1の施設基準として位置づけられています。基準を超える特定対象医師がいる場合でも、その理由と改善計画を院内の見やすい場所やホームページ等で公開すれば、直ちに施設基準を満たさなくなるわけではありません。ただし、この例外的な取扱いが認められるのは、あくまで改善に向けた計画を公開している場合に限られます。

なお、今回の改定では、従来の施設基準通知で「対象医師」としていた名称が「特定対象医師」に変更されています。

まとめ

令和8年度診療報酬改定における医師の働き方改革・診療科偏在対策は、3つの柱で構成されています。地域医療体制確保加算の2段階化により、特定機能病院や高度急性期を担う医療機関のうち、医師確保が困難な診療科への特別な配慮を行う医療機関が新たに評価されます。外科医療確保特別加算の新設により、高度手術を担う外科医の処遇が改善されます。時間外・休日労働時間の上限基準の引き下げにより、医師の働き方改革がさらに推進されます。これらの対策を通じて、外科を中心とした診療科偏在の解消と、地域における医療提供体制の確保が図られます。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定では、外科医の減少と診療科偏在という全国的な課題に対し、3つの柱で対策が講じられます。地域医療体制確保加算の二段階化でサポート体制を強化し、外科医療確保特別加算の新設で高難度手術を行う外科医の処遇を直接改善します。これにより、疲弊した医師ではなく、適切な休息と正当な報酬を得た最高のチームが医療を提供できる体制を目指し、地域医療の維持と高度医療へのアクセス確保を図ります。

導入と背景:外科医の現状と改定の重要性
あの、いつも知識よく旺盛なあなたに向けて、今回の徹底解説をお届けするんですけど。
えー、今回深掘りするのは、あの、まさに今月施行される新しいルールの話ですね。
そうなんです。令和8年度の診療報酬改定の資料ですね。
これ、もし明日あなたが手術台に上がることになった時、一体誰がどんな状態でメスを握るのかに関わる超重要テーマでして。
まあ、消化器外科とか心臓血管外科なんかで、若手医師がすごく減っている現状がありますからね。
はい。その偏在対策と外科医の処遇改善の3つの柱がメインなんですが、この一見難解なお役所文書を読み解くミッション。
なぜ我々の命に直結するのかってところですよね。早速紐解いていきましょうか。
第1の柱:地域医療体制確保加算の二段階化
そうしましょう。まず第1の柱ですが、地域医療体制確保加算の二段階化というものがあります。
ここで非常に興味深いのは…。
あ、そのサポート体制を強化するところですよね。
ええ、その通りです。特定機能病院などが、医師の代わりに事務作業をするスタッフや適切な研修を受けた看護師さんを配置すると、新設された加算にとして720点がつくんです。
なるほど。医療の点数って1.10円換算だから、1回7200円のリアルな財政支援が入るわけですよね。
ただ、予算をばらまくわけじゃないのが面白いというか…。
医師が手術そのものに専念できる環境づくりを評価しているわけです。ただ、周辺のサポートを固めるだけでは、外科医本人のモチベーションとしては少し弱くて…。
第2の柱:外科医療確保特別加算の新設
ですよね。ここからが本当に面白いところなんです。第2の柱の外科医療確保特別加算の新設ですね。
ええ。年間200例以上の長時間で高難度な手術をしていて、経験5年以上の常勤医が6名以上いる。この厳しい条件をクリアすると、手術点数に15%が上乗せされます。
15%!?しかも驚いたのが、その上乗せ分の30%以上は直接その先生たちの手当てとして支給しなさいって決められてるんですよね。
まさにそこです。さらにその手当ての8割以上は常勤医へ還元することが義務付けられました。病院全体の利益に吸収されず、ダイレクトな処遇改善のインセンティブになる仕組みなんです。
最前線で何時間も立ちっぱなしで頑張る外科医の給料に直結するわけですね。これは強力です。でもお金の次はやっぱり働きすぎの問題が出てきませんか?
第3の柱:医師の時間外労働上限引き下げ
はい。これを全体像と結びつけると、第三の柱である時間外労働の上限引き下げに行き着きます。
今年、令和8年度は上限が1635時間ですが、来年は1560時間へ段階的に下がれます。
ちょっと待ってください。1635時間ってザックに毎週30時間以上、通常のシフトに上乗せして働く計算ですよね。
睡眠不足でフラフラな人にミリ単位の手術は任せたくないですよ。自分が患者ならゾッとします。
おっしゃる通り。だからこその引き下げです。ただ、休館が絶えない現場で明日からいきなり残業ゼロにするというのは現実的ではないですよね。
確かに。急にメスを置くわけにはいかないですもんね。
そこで、基準を超えても改善計画を公開すれば、直ちには違反としないという現実的な移行措置も用意されているんです。
なるほど。まずは、うちはこれだけ過酷ですって透明化して公開して、計画的に減らしていくと。
労働時間を適正にしつつ、第1、第2の柱でサポートと給与を厚くする。この3つが連動してるんですね。
まとめと今後の展望:医療提供体制への影響
その通りです。疲労困敗の意思ではなく、適切な休息と正当な報酬を得た最高の手術チームに命を託せる体制を作る。それがこの報酬改定の裏側の仕組みなんです。
医療現場がまさに今、過渡期にあることがよくわかりました。では最後に一つ、これをお聞きのあなたに考えてみてほしいんです。
人材の集約が進む中での影響ですね。
そうです。医師の労働時間が厳しく制限されて、大病院での高度な手術体制作りがこれまで以上に評価されるようになります。
そうなった時、あなたの住む地域の身近な病院の役割や、あなた自身の高度な医療へのアクセスは今後どう変化していくのでしょうか。
ぜひご自身の視点でこの先の世界を想像してみてください。
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