アワノトモキの「読書の時間」

粟野友樹,星野良太,Work-Teller 14 Episodes
粟野友樹

「働く人と組織の関係性の編み直し」をテーマに
独自の視点で選んだ本を紹介する番組です。

扱う本は皆さんが知らないものが多くなるかもしれません。
20年以上「人と組織の関係性」を見つめてきたぼくの知見から
今の時代に必要だと思われる本だけを三部構成でご紹介していきます。


【profile】
リクルート/リクナビNEXT「転職成功ノウハウ」、リクルートエージェント「転職成功ガイド」識者
累計約600本以上の記事を監修
next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/profile-tomoki-awano/

筑波大学→大学院→人材系企業→フリーランスと
20年以上、人と組織の関係性について学習と実践を重ねる。

◎注目している分野
・無意識的に社会指標に適応しようとする個人の葛藤
・現代社会のしがらみから五感を解き放つ自然環境の可能性
・現場、当事者の主体性に焦点を当てたオルタナティブ教育
・ブリコラージュ/人が元来持つ適応能力・打開能力の活用
・ナラティブコミュニケーションによる脱既定路線
※上記分野のお話が多くなると思います。


★ご質問、扱う本のリクエストなどがありましたら、
こちらまでDMをお寄せください。
twitter.com/Tomoki_Awano

ep36-5 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-小さな表現者たち・誤配と連帯・おぼっちゃまくん-

ep36-5 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-小さな表現者たち・誤配と連帯・おぼっちゃまくん-

May 5, 2024 19:04 粟野友樹

読書の時間36冊目、慶應義塾大学准教授の岩尾俊兵さんの著書、「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 増強改訂版『日本”式”経営の逆襲』」を扱う5話目、こぼれ話の回。 ⁠www.amazon.co.jp/dp/4334100910⁠ 「日本企業が逆襲」するにあたって重要となる、コンセプト化・文脈依存度の話から、本・ZINEを作る個人が増えている今いま、文芸フリマの盛況ぶり(東京は2024年5月で38回目)、星野さんが感銘を受けた「陶器市@栃木県・益子」でのストーリーを感じる陶器との出会い、などなど・・・ より小さな範囲の自分・自分たちを「表現する」流れが来ているのではないか? 小さな、もしかしたら取るに足らないかもしれない表現と、それに偶然出会った受け手との間にこそ、何か大切なものがあるのかも知れません。 益子の陶器市での陶器との出会いを熱く語る星野さんの話を聴きながら、小さな表現者である作陶者やそれを代弁するお店の方、受け手の星野さんの間に小さいけれど、確かなつながり「連帯」が生じている。 ふとそこから連想するのは、読書の時間31冊目で扱った、東浩紀さん「「観光客の哲学 増強版」の、「誤配・観光・憐れみ」。「分断ではなく連帯」を社会に作っていく上で重要なキーワードでした。⁠www.amazon.co.jp/dp/4907188498⁠ ep31-1「観光客の哲学 増強版」(東浩紀さん)-訂正可能性・偶然性/無責任性/曖昧性・人間っぽさ-⁠https://spotifyanchor-web.app.link/e/fz7Z1B9t5Ib⁠ それはつまり、偉い誰かに「皆、連帯しましょう」と掛け声をかけられても、内心は白けてしまう。けれども、たまたま偶然の出会いによって生じてしまった愛着や思い出からは、簡単には消えない連帯が生まれるのではないだろうか、というような話でした。 そんな話もしながら、終盤はドラゴンボールの作者、鳥山明さんの訃報に触れた世界中からのリスペクト溢れる様々な反応からまざまざと感じる、漫画の持つ影響力の話へ。 作者の超個人的な想いやイメージからスタートした作品が、勝手に、そして何ら反発をされずに世界中へ広がっていく。(逆襲とか、売り込むとか、他国の文化に自国が乗っ取られるとか、そういった発想が生まれることもなく) 最後はこぼれ話らしく、コロコロコミックで1990年前後に連載されていた、昭和の名作漫画「おぼっちゃまくん(小林よしのりさん作)」へ着地。 経営・グローバル競争から、陶器、おぼっちゃまくんまで。 書籍の内容をそのまま扱うのではなく、ある程度は実直に読み解きながらも、同時に受け手の我々が誤読をしつつ、発想を展開していく。その中にこそ、その書籍との忘れがたいつながり・連帯が生じたり、聴いていただいている皆さんと「アワノトモキの読書の時間」との何らかのつながりになるのかもしれません。 ***********************************さて、次回37冊目は星野さん選書「ホシノリョウタの読書の時間」です。 どんな本になるのかも含め、楽しみにお待ちいただければと思っています。

ep36-4 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-幼馴染とアイドル・強い文脈と弱い文脈・開かれる儚さ-

ep36-4 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-幼馴染とアイドル・強い文脈と弱い文脈・開かれる儚さ-

Apr 23, 2024 14:52 粟野友樹

読書の時間36冊目、慶應義塾大学准教授の岩尾俊兵さんの著書、「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 増強改訂版『日本”式”経営の逆襲』」を扱う4話目。⁠www.amazon.co.jp/dp/4334100910⁠ キーワード3つ目は、「文脈依存度を下げるべきなのか」 『日本”式”経営の逆襲』を企図する著者としては、日本の優れた経営技術(ノウハウ)をグローバルに輸出していきたい。 それはつまり、日本企業の現場で日々行われるノウハウの抽象度を上げて=文脈依存度を下げ、コンセプト化し、「サムライ・スピリット」「wabi-sabi(侘び寂び)」のような日本風のプロダクト名をつけ、世界に広め、日本企業・日本式の実力を知らしめる、ということだと解釈しました。 「確かに!元々いい経営技術を持っている日本企業が同じものを逆輸入させられて、良さを失う状態は変えたいよね」とまさに正しい方向性だと思う一方で、私(粟野)としては、強いプロダクトをぶつけ合ってシェア競争・輸出と逆輸入をやり合う、永遠に続く戦いの円環の中に入っていくだけのような、そんな印象も受けたというのが正直な感想です。 同時に、星野さん曰くの「世に開かれる故の儚さ」という必然性にも思いが至ります。 文脈依存度を下げてコンセプト化した経営技術プロダクトを世界に出す、ということは、つまり同時に他国(他者)にそのコンセプトなりを書き換えられる・再解釈される可能性に開かれるということ。 「仲の良かった幼馴染が、人気アイドルになり、遠い存在になってしまった。もう俺の知ってる幼馴染じゃない・・・。嬉しいけれど、寂しい。」 その寂しさに似た儚さを感じて違和感を持った私がいたのかもしれませんが、最近流行りのアメリカの哲学者・リチャード・ローティ的にみると、「再解釈され続けることに開かれる」という態度が必要なのかもしれません。一度出したプロダクトがずっと勝ち続けるという不可能な期待はしない。幼馴染もステージや環境によって、変化していくことが自然である。 ※この文脈(コンテクスト)やコンセプトの話にご興味ある方は、ぜひTAKRAM・渡邉康太郎さんの「コンテクスト デザイン」の”強い文脈・弱い文脈”の話もご覧いただけると面白いかと思います。⁠https://aoyamabc.jp/products/context-design⁠ 読書の時間 ep01-1/「コンテクストデザイン」(Takram渡邉康太郎さん)⁠https://podcasts.apple.com/jp/podcast/ep01-1-%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3-takram%E6%B8%A1%E9%82%89%E5%BA%B7%E5%A4%AA%E9%83%8E%E3%81%95%E3%82%93/id1574537184?i=1000527397958⁠ さて、次回は36冊目の5話目、こぼれ話の回になります。ざっくばらんな展開になると思いますが、次回もお聴きいただければと思っています。

ep36-3 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-カイゼン・オープンイノベーション・ティール組織-

ep36-3 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-カイゼン・オープンイノベーション・ティール組織-

Apr 18, 2024 23:01 粟野友樹

引き続き、読書の時間36冊目は、慶應義塾大学准教授の岩尾俊兵さんの著書、「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 増強改訂版『日本”式”経営の逆襲』」を扱う3話目。⁠www.amazon.co.jp/dp/4334100910⁠ キーワード2つ目は、「逆輸入される日本の経営技術」まず著者は、曖昧模糊とした解釈をされがちな「経営」という言葉を、3つに分解した理解を提案します。 ・経営成績・・・株式時価総額、売上高、など・経営学・・・・世の主流とされるアメリカ式経営学、ドイツ経営学など・経営技術・・・企業経営の現場にある技術、ノウハウ、フレームワークなど もし「経営」を上記3つを分解せずに解釈している場合、 「日本企業の時価総額ランキングは、失われた30年で凋落した。だから日本企業はだめだ」「経営学の最先端はアメリカで、日本の経営学は遅れている。キャッチアップが必要だ」「◯◯というGAFAMの最新フレームワークを導入して、日本企業の経営をアップデートしなければならない」 といった表現をされながら、日本企業の劣位が解説される場面が多いように感じます。 しかし、著者曰く、「経営」を3つに分解して捉え直した時、こと経営技術に関しては日本企業にもともと素晴らしいものがある。なのに、同じもの(経営技術)をカタカナ語に変換されただけで欧米から逆輸入してしまうことで、本来持っていた日本企業の経営技術が消され、日本企業の弱体化を招いているのではないか、と指摘されます。 その具体例として、両利きの経営、オープンイノベーション、ティール組織、リーン・スタートアップ、アジャイル開発、スクラム開発、ボトルネック、コンカレント・エンジニアリングなどが本書では挙げられています。 この読書の時間では、そのうち3つ経営技術用語を取り上げました。 ▼両利きの経営(既存事業=知の深化+新規事業=知の探索、その両方やっていくことが大事ですよ) 素朴な疑問;トヨタ生産方式のカイゼンのように、デンソーが既存の生産ラインを動かしながらも、新しく製造指示書(カンバン)を効率的に処理する新しい方法として「QRコード(クイック・レスポンス)」を生み出したように、日本企業でも普通にやっていることなのでは?改めて、欧米から「両利きの経営が大事ですよ」と言われて、改めてやることなのだろうか。 ▼オープンイノベーション(企業の内と外の技術をうまく活用して新しいよきものを生み出していきましょうね) 素朴な疑問:日本企業の「ケイレツ」は、1企業で製品を完成するのではなく、複数の企業がそれぞれの知見を活かしており、オープンイノベーションのわかりやすい事例として、ずっと存在しつづけているのではないか。今更、カタカナ語で啓蒙される必要は無いのでは? ▼ティール組織(組織が1つの生命体のように自然に機能し、人がその人全体として受け入れられている) 素朴な疑問:(問題箇所はありつつも)日本企業の特徴とされた、終身雇用・年功序列・企業別労働組合だったり、メンバーシップ型雇用(職務、場所、時間が無限定だと、ジョブ型雇用の対で批判されましたが)だったり、日本企業はもともと、ティール組織の多くの要素を自然に持っていたのでは?(読書の時間4冊目「日本社会の仕組み/小熊英二」でも扱ったように)日本企業といっても、大企業以外は終身雇用ではなかったにせよ、その企業に入って、自分も家族などもまとめて面倒を見てもらえる(ホールネス)、だからこそ安心して仲間に貢献しようと仕事に取り組め、個人の損得勘定だけではない取り組みもできるのではないか。Ep04-1「日本社会のしくみ」 ⁠https://podcasters.spotify.com/pod/show/tomoki-readingtimes/episodes/Ep04-1-e18j4sv/a-a6m5e4v⁠⁠www.amazon.co.jp/dp/4065154294⁠私(粟野)は、まさにこういったカタカナ経営ワードになんとなく新しさを感じてしまい、「逆輸入」されていることに無自覚な人間でした。 著者も仰るように、「だから日本企業は過去のやり方にもどればいいんだ」とは違いますが、ワーディングがかっこいいしなんとなく新しくて良さそう経営成績が圧倒的に高い欧米企業がやっていることだからいいに決まっているなどのミーハーな感覚で、それを取り入れたり、周囲に喧伝したりすることは全くよろしく無いことだなと強く感じます。 収録では、時間制限も気にしながらやや駆け足で興奮気味にまくし立ててしまいましたが、普段何気なく使っている言葉を、違った側面から見てみる機会になればと思っております。 次回、36冊目の4話目は、キーワード3つ目「文脈依存度を下げるべきなのか」を扱っていきます。 それではまたお会いできることを楽しみにしています。

ep36-2 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-デフレとインフレ・時代のメカニズム・カネで人材を釣る-

ep36-2 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-デフレとインフレ・時代のメカニズム・カネで人材を釣る-

Apr 9, 2024 16:18 粟野友樹

読書の時間36冊目は、慶應義塾大学准教授の岩尾俊兵さんの著書、「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 増強改訂版『日本”式”経営の逆襲』」です。 なお、この36冊目の2話目から放送形態を変更し、1キーワード=1話、というスタイルになります。これまではキーワード3つを一気に1話分として放送していたので、45分以上の長時間放送回も多数・・・。 これからは、1話15分程度に短縮化されるので、よりご負担なく、より身近にお聴きいただけるのでは、と思っております。 さて、本題のキーワード1つ目は「カネ優位・ヒト軽視のデフレ時代」です。 戦後から続いた「インフレの時代=カネの価値が低く、ヒトに価値がある」状況から、平成のあたりを転換点に「デフレ=カネの価値が高く、人の価値が相対的に下がる」流れになり、そして現在に至る日本。 「昭和の時代は、今みたいに物質的に豊かではなく大変だったけど、みんな仕事を一生懸命やって会社に貢献し、会社も家族のような存在で従業員に報いてくれた。いい時代だった。 それに比べて、今の時代は賃金は上がらないし、会社は従業員の面倒を見てくれないし、非正規労働の問題もある。やれキャリアオーナーシップだ、リスキリングだ、雇用の流動性を上げるべきだ、人的資本経営だとか、生産性・投資対効果といったカネ勘定が物差しになり、ヒトを大事にしない世の中になった」 ちょっと極端な表現をしてみましたが、こういった、ある種の本音的な感想を持つ方も一定数いらっしゃるのではないでしょうか。 こう考えていくと、一般的に日本型雇用の特徴として一時期称賛された、終身雇用・年功序列・企業別労働組合、それらさえも、日本企業の経営者がヒトを大事にしようとして取り組んだからそうなったというよりも、「カネよりヒトの価値が高い」から、力学的にそうせざるを得なかっただけなのではないか。 1990年代に規制緩和で非正規雇用が拡大したことも、一言で言ってしまえば、「ヒトを大事にするより、カネを重視したほうが合理的だよね」と状況変化に対応しただけなのかもしれません。 多くの人には当たり前の知識なのかもしれませんが、我々的には未知の情報であり、時代の裏側にあるメカニズムの1つを教えていただいた、そんな学び多き内容でした。 次回、36冊目の3話目は、キーワードの2つ目「逆輸入される日本の経営技術」を扱います。「経営技術」という、聞き慣れない用語・概念も出てきますが、ぜひ楽しみにしていただければと思っています。

ep36-1 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-日本式・カネかヒトか・構造改革-

ep36-1 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-日本式・カネかヒトか・構造改革-

Apr 2, 2024 15:38 粟野友樹

読書の時間36冊目は、やや趣向を変えてビジネス・経営よりの本をチョイスしました。 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 増強改訂版『日本”式”経営の逆襲』」という、慶應義塾大学准教授の岩尾俊兵さんの著書です。⁠www.amazon.co.jp/dp/4334100910⁠ 1話目は、岩尾俊兵さんの30数年の数奇な人生に少し触れていきます。幼少期の名門経営者一族としての生活から、中卒自衛官・各種アルバイト生活を経て大検を取得。最終的には東京大学初の経営学博士号まで、といった波乱万丈な歩み。興味深い方です。 従来と異なる選書のきっかけは、岩尾俊兵さんのネットの記事を見かけたこと。「経営者が、ヒトを大事にするか、カネを重視するか。それは経済環境に多分に影響される」という話で、金融・経済に疎い粟野は、なるほど!と、また1つ新たな視点を得た感がありました。 さて、Podcast「アワノトモキの読書の時間」 Work Tellerの放送形態ですが、36冊目から少しだけ構造改革を行っていきます。これまではキーワード3つを1話にまとめて放送していましたが、時間が40~50分と長くなりがち。そこで、1キーワードで1話放送に分割し、1冊の本で全5話というスタイルにさせていただきます。(少しでもお聴きいただいている方の負担やハードルが下がればと思っています) この新しいスタイルで放送する、2話目~5話目で取り上げるキーワードは以下の3つになります。 1.カネ優位・ヒト軽視のデフレ時代2.逆輸入される日本の経営技術3.文脈依存度を下げるべきなのか それでは、読書の時間 36冊目の2話目でもお会いできることを楽しみにしています。

ep35-3 「共感という病」(永井陽右さん)-学びの時差・山伏修行と直感・more than language-

ep35-3 「共感という病」(永井陽右さん)-学びの時差・山伏修行と直感・more than language-

Mar 27, 2024 24:12 粟野友樹

読書の時間35冊目 「共感という病」(永井陽右さん)の3週目は、本から得た着想を元にフリートークを展開するこぼれ話の回。www.amazon.co.jp/dp/476127560X 永井陽右さんと内田樹さんの対談を勝手な推測にしながら、学びには、教える側と教わる側の間にある様々な格差があるのではないか。それは時差だったり、視座の違いだったり。 粟野個人的には、10代・20代のときによく理解できなかった先人のアドバイスの、言わんとすることが40代になってなんとなくわかる、ことがあります。 また、読書の時間34冊目「自由が上演される(渡辺健一朗さん)に続き、西洋風の研修などではない、日本独自の手法という話の流れから、粟野が2023年夏に参加した山伏修行に関する話題へ。 言語、時間、ネット、世俗とのつながり、スケジュールなどを絶った環境下で、論理や感情のみの生き方ではなく、感じること・直感を取り戻す場でもありました。more than language 最後は、星野さんから「社会貢献を当たり前に実行する企業」を紹介してもらいながら、「満員電車で目の前に小学生がいたら、どうする?席を譲る?」という問いをいただきました。不肖・粟野は(論理・感情で判断して)「席を譲らないかもしれない」と回答してしまいましたが、ここはもちろん、惻隠の情を発揮し、自然な直感の発露の結果として、気づいたら勝手に小学生に席を譲るなどの対応ができるようになりたいものです。 それでは、また読書の時間36冊目でお会いできることを楽しみにしております。

ep35-2 「共感という病」(永井陽右さん)-第三者・同情するなら金をくれ・宇宙兄弟-

ep35-2 「共感という病」(永井陽右さん)-第三者・同情するなら金をくれ・宇宙兄弟-

Mar 19, 2024 47:21 粟野友樹

読書の時間35冊目 「共感という病」(永井陽右さん)の2週目は、3つのキーワードについて対話を重ねていきます。⁠www.amazon.co.jp/dp/476127560X⁠ 1.共感が生む対立・争いテロや紛争の場面、ビジネス、日常生活など、多くのシーンで共感は利用されています。 BML運動然り、共感は大きな力を持つ一方で、同時に敵との埋めがたい壁を作り出す場合もあり、共感が大きな対立を生む弊害もあるのではないか。 永井陽右さん曰く、「共感しすぎない、無関係な第三者」がいることで、問題が解決することが多いという言葉。まさにそうだと思います。我々は過度な共感を求めすぎているのかもしれません。 2.共感(empathy)と同情(sympathy)「公園で転んで泣いている子どもがいたら、どう声をかけるか。」共感か、同情か。そんな話題からスタートしました。よく、コーチングやキャリアカウンセリングの研修場面では、共感は良いが、同情はだめ(同情は個人のマスターベーションだから)、とされます。 しかし、粟野個人としては、「その相手を大事に思う心があれば、リアクションは、同情でも共感でも、無言でもよい」のではないかと考えています。また、星野さん曰くの「表出した言動や形式に焦点をあててしまい、”あいだ”が抜けてしまうことに、我々は抵抗を感じるのでは」という話には、同意する方も多いのではないでしょうか。 3.知性と集団最後は、この本の巻末にある、内田樹さん(思想家)と永井陽右さんとの師匠と弟子のような対談から。 「個人が専門性を高めて強くなることは、知性ではない」「むしろ、その人がいることで、周囲の沢山の人が力を発揮できるようになることが知性である」 という内田樹さんの言葉があり、粟野個人としては自分の考える知性の定義を改めざるを得ない、気づき・学びとなりました。 ちょうどアニメの「宇宙兄弟」にハマっていたタイミングだったので、この意味での知性は、キレキレな人物ではないけれど、周りを活かしつつ、物事を成し遂げていく六太(お兄ちゃん側)のような存在を知性がある人というのかもしれません。 さて、3週目は、共感や感じること、学びなどについてざっくばらんに話を展開するこぼれ話の会です。 次回の読書の時間でもお会いできることを楽しみにし

ep35-1 「共感という病」(永井陽右さん)-共感の胡散臭さ・侵される感覚・ストーリー-

ep35-1 「共感という病」(永井陽右さん)-共感の胡散臭さ・侵される感覚・ストーリー-

Mar 6, 2024 20:09 粟野友樹

読書の時間の35冊目は、「共感という病 いきすぎた同調圧力とどう向き合うべきか?」永井陽右さん。www.amazon.co.jp/dp/476127560X永井陽右さんは、国際紛争などの解決を図るNPO法人アクセプトインターナショナルの代表理事。2021年にはニューズウィーク日本版「世界に貢献する日本人30人」に選出されるなど、注目されている方です。(なお、同法人の活動は非常に特殊で、例えばテロ組織・構成員の再社会化を支援するという、難度が高い活動をされていらっしゃいます。) 1週目は、「共感に対する胡散臭さ」という部分から我々が感じること・発想することを、筋書きなしに対話。 星野さん曰く 「日常生活で普通に感じている・知っている言葉や概念を、”お上”から押し付けられてしまうと、全く同じものなのに、違和感を持つ。ピュアな心を侵されるような感覚になるよね」 という部分は、まさに(自然な意味での)「共感」。 発信者側の意図・「泣かせよう」ストーリーが見える作品のようなものかもしれません。(「宇宙兄弟」や「実写版ドラゴンボール」への横みちに展開) さて、2週目に取り上げるキーワードは以下の3つです。 1.共感が生む対立・争い2.共感(empathy)と同情(sympathy)3.知性と集団 それでは、読書の時間 35冊目の2週目でもお会いできることを楽しみにしています。

ep34-3 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-分人・可視化・”日本風”-

ep34-3 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-分人・可視化・”日本風”-

Feb 28, 2024 25:23 粟野友樹

「自由が上演される」渡辺健一朗さんの3週目、こぼれ話の回。 その環境や場面、時期に応じた「分人」の話や、ある種の「思い込み」が歴史に残る偉業を成し遂げることにつながるのかも、などの話からスタート。(なお、歴史に残る偉業といっても、それは勝者側が描いた限定的な歴史でしかなく、敗者や異なる側面から眺めたときの、別の歴史もあるのだと思いつつ) そこから、可視化・数値化の(良くも悪くも持つ)威力や、ネガティブ・ケイパビリティ的に考え続ける大変さがある故に、楽チンに生きたい・わかりやすいものに乗っかりたい、となる気持ちも分かるよね、という話題に展開していきました。 さらに、2週目にも話になった、日本風のワークショップは開発できないものか?という論点。例えば、私(粟野)が2023年に体験した山伏修行的なものが、1つの方向性・ヒントかもしれません。 最後は、公開のタイミングとはずれますが、収録が2024年の年始だったこともあり、お互いの抱負(ご縁、敵を少なくする)で締めさせていただきました。 収録・公開のペースが、若干、不規則になってしまっておりますが、マイペースに・着実に継続していきますので、また35冊目の読書の時間をお聴きいただけることを楽しみにしております。

ep34-2 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-情熱・ワークショップ化する社会・”たかが野球”-

ep34-2 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-情熱・ワークショップ化する社会・”たかが野球”-

Feb 21, 2024 53:41 粟野友樹

読書の時間34冊目 「自由が上演される」渡辺健一朗さんの2週目は、キーワード3つを扱いながら、互いが興味ある教育・ワークショップなどについて議論を重ねていきます。 1.知性を放棄した、意志による教育ジャック・ランシエール(仏)の「無知な教師」をベースに、「知性ではなく、意志(情熱)による、教師と生徒の格差」が必要であるというお話。 「多くのことを知っている・頭脳明晰」などではなく、あくまで「何かを学び続けたい・新しい発見は面白い」といった情熱を持った教師が、生徒にその姿を見せる/魅せる、という意味と解釈しました。 2.ワークショップ化する社会教育界が受けたとされる2大インパクト(フーコー・インパクトとドゥルーズ・インパクト)を経て、「(見せかけの)自由を演出するため(自由促進型教育)」や「(教師と児童・生徒の)パワー・ハラスメントを回避する」といった目的のため、ワークショップやアクティブ・ラーニングが人気を博した、という側面への指摘がされます。 星野さんからの「ワークショップなどは、欧米起源のもの。例えば”三日三晩飲み明かす””闇鍋をつつく”といった、本音と建前を使い分ける日本人のあり方に適した手法が合っても良いのでは」というコメントにはハッとさせられました。 3.上演としての教育書籍名にもつながりますが、教育も、演劇も、スポーツも、演奏会も、「あくまでその場限りの”上演”」として、強い限定性を意識すべきではないか、というお話。 ビジネス中心に人生全てが、盛和塾(京セラ・稲盛氏の教え)万歳や、「ドラッカーがこう言ったから◯◯すべき」だと、お付き合いし続けづらい。 野球のダルビッシュ選手がWBCの際に言った、「たかが野球」。野球に真摯に向き合いつつ、けれども「ちょっと待ちなよ、他の選択肢や大事にしたいこともあるはずだよね」という意味合いだと思います。 社会の過渡期かもしれませんが、多くのことが「ハラスメント」とされるリスクを恐れ、「優しさという残酷」が静かに広く深く浸透している、2024年現在。 難度は高いですが、教師も、上司も、経営者も、親も、何らか場面のリーダーは、「情熱による格差(ハラスメント)」を恐れず、一方で、児童・生徒、部下、従業員、子ども、場の参加者たちは、ある意味で、舞台上の”演者”の姿・発言を、離れた客席で見る観客が持つ非対称性を維持し、「ここで演じられていることは、この場限りのもの。終わればまた別の世界線がある」と冷めた認識をすることがポイントなのだろうなと感じています。 日本社会の中での生きづらさを助長していると感じる、過度なハラスメントリスク、自由促進型教育(ダブル・バインド)、自粛警察的なあり方、そういったものに対して一石(以上)を投じてくれる、気づき多い書籍だと感じています。 それでは、34冊目の3週目でもお会いできればと思います。

ep34-1 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-演劇教育・自由促進型権力・Ping-Pong Project-

ep34-1 「自由が上演される」(渡辺健一郎さん)-演劇教育・自由促進型権力・Ping-Pong Project-

Feb 7, 2024 12:37 粟野友樹

読書の時間34冊目は、演劇・演劇教育を専門とされる渡辺健一郎さんが書かれた「自由が共演される」です。群像新人評論賞(2021年、第65回)を受賞の書籍。 「自由」や「教育」という抽象度・難度高いテーマを、哲学・理論と現場知見(演劇ワークショップなど)の両面から見つめ、凝縮した小気味よい論考が展開される、読み応えのある本だと感じました。 なお今回の収録は、公開収録という形で2名ものリスナーに囲まれた”緊張感溢れる”時間でした。ゆくゆくは、様々な人がPodcast収録や作成に関われるものにできたら、などとふと思った次第です。 さて、2週目に扱う3つのキーワードはこちらになります。1.知性を放棄した、意志による教育2.ワークショップ化する社会3.上演としての教育 教育や教師はどうあるべきなのか、自由や教育はどのように「上演」されるべきなのか。普段、何も考えずに用いている身近な言葉や行為である、教育や自由。それらの意味を問い直すきっかけとなる内容を展開していきます。それでは34冊目の2週目でお会いしましょう。

ep33-2 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-オーバードライブ・未目的・自分にする-

ep33-2 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-オーバードライブ・未目的・自分にする-

Jan 31, 2024 45:51 粟野友樹

「原っぱと遊園地」、建築家・青木淳さんの書籍から3つのキーワードで話を展開していく2話目。 1.解脱して初めて出会える原っぱ青木淳さんは書籍の中で、原っぱとは「宅地として完成する一歩手前で、その意図が見えなくなってしまった空間である。」と語られています。ドラえもんに出てくる、土管がある原っぱ。 「遊園地」的に予め決められた遊び方や楽しみ、目的が設定されているのではなく、ともかくそこへ行って、何をするか、どんな楽しみ方をするかを決められる特別な場所。 そんな原っぱになるためには、既存のルールが背後に消えてしまう=オーバードライブが必要だと仰ります。(学校が廃校となり、学校というルール・形が消えて、美術館として利用されるように) 対話の中では、「オーバードライブ」のキーワードを起点に、アニメ「スラムダンク」の安西先生が、ホワイトヘアード・デビル(白髪鬼)からホワイトヘアード・ブッダ(白髪仏)となったことは、ある種の「オーバードライブ」かも、などの話へ展開しました。 2.目的を手放すことで踏み入れる別の世界 -目的地を「未目的」な状態に差し戻す 「住宅・住まいはかつては目的空間の集合体ではなかった」という青木淳さんの指摘。設計者側が住宅の各部屋・機能の目的を「お節介に」設計するのではなく、住む人たちが使いながら、自分たちの住まいを創っていく。 そこから、フロー状態や、私(粟野)の10数年前の勘違いをしていた恥ずかしい思い出へ飛び火。 3.建築にする。自分にする。「マルタン・マルジェラとイッセイ・ミヤケの服作りの違い」から。・とにかく形式の外に出ようとするのか・形式の中にしかいれないと理解しつつ外を目指すか。 建築や服作りを、「自分」に置き換えて考えたり、仏師(ぶっし)の「その木の中にいる仏を掘り出すだけ」という言葉へ繋がったりしました。 次回、3回目のこぼれ話の放送は、「原っぱ」的な人と人の関係性や過ごし方などを筋書き無しで話し合っていく予定です。

ep33-3 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-役割・声・アフォーダンス・横みち-

ep33-3 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)-役割・声・アフォーダンス・横みち-

Jan 31, 2024 36:21 粟野友樹

「原っぱと遊園地」、建築家・青木淳さんの書籍を肴にした、こぼれ話の回。 主題は「”原っぱ”的な在り方」を、我々の日常生活における具体的な場面で考えるとどうなのだろうか、という内容。 星野さんと私(粟野)、互いの”原っぱ”的な家族・他者との関係性、生活スタイルから、(内輪の話で恐縮ですが)20~40代、北海道や関西からも参加いただいた神田・横みちオフィス「開設6ヶ月記念」忘年会の話など。 ”原っぱ”的な在り方の難しさと対応法を、飲み会・パーティ・BBQに参加した場面や、星野さんの3回の転校経験や転職をしたときの「所在のなさ」を手がかりに展開しました。 ビジネスの場では”原っぱ”と真逆の在り方(用意周到な準備やわかりやすさ等)を求められ、この(気ままにやっていそうな)「読書の時間」の収録であっても、何も下準備・補助線がなく、「はい、どうぞ。二人で何か面白く対話してください」では成立しない。 遊園地の遊具、教科書、ビジネスのルール・・・そういった規定のものを絶対視せず、一種の材料・土壌にして、別の見方をしていく・扱い方をしていく。そのあたりの「読み替え・ある意味の誤読・解釈の余地」、といったものが大事なのだろうなと思います。 さて建築家・青木淳さんの「原っぱと遊園地」という概念、いかがだったでしょうか。 引き続き取り扱う書籍に関するコメントやご要望なども絶賛、お待ちしております。それでは、次回34冊目の読書の時間でもお会いしましょう。

ep33-1 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)

ep33-1 「原っぱと遊園地 建築にとってその場の質とは何か」(青木淳さん)

Jan 25, 2024 19:32 粟野友樹

2024年1月1日に発生した能登半島地震。被害に遭われた方々、生命を落とされた方々に心からお悔やみ申し上げます。 私(粟野)の長男も石川県の高校に在籍している関係から、直接ではないものの被害状況や地震の影響を感じております。現時点(2024年1月時点)では、できることは寄付だけかもしれませんが、1日も早く以前の日常が戻ることを強く願っています。※収録:2023年12月末 ==================== 読書の時間33冊目は、「建築」というこれまでと趣が異なる領域の本を扱います。2004年に出版された「原っぱと遊園地」。ルイ・ヴィトン表参道店の設計などで著名な建築家、青木淳さんの著作です。 原っぱ、自由、解放・開放、目的化しない・・・ 青木淳さんと、お師匠さんである磯崎新さんとの「師匠と弟子」のエピソードも令和の時代だからこそ、昭和のスタイルに気づきがあるのでは。(⁠https://bunganet.tokyo/mitoaoki/⁠ 「青木淳氏が語った師・磯崎新の2つの顔、「水戸芸術館を創る」展で初めて明かしたあの頃など、ネット上で複数あるのでご興味あればご覧ください) さて、2週目に扱う3つのキーワードはこちらになります。1.解脱して初めて出会える原っぱ2.目的を手放すことで踏み入れる別の世界 -目的地を「未目的」な状態に差し戻す 3.建築にする。自分にする 2024年も地道に継続して放送をして参りますので、動画や読書に飽きた時にでも耳を傾けていただければと思っております。

楽しいラジオ「ドングリFM」

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ブロガーとして人気の2人が話すポッドキャスト番組です。最近話題のニュース、日常に役立つ面白ネタなどを話します。国内・海外のIT事情に興味ある人にオススメの内容になっています。 ・お便りは https://goo.gl/p38JVb まで ・詳しいリンクはこちら https://linktr.ee/dongurifm ・リスナーコミュニティ「裏ドングリ」は以下からどうぞ  https://community.camp-fire.jp/projects/view/206637  https://donguri.fm/membership/join BGMと最後の締めの曲はフリーBGM・音楽素材「 http://musmus.main.jp 」より。

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本をあまり読まない人も、本好きな人も、思わず本を読みたくなる、そんな時間をお送りします。出版社ミシマ社が運営する、本との出会いがちょっとだけ広がるラジオ