メディアもドカーンとやろうとしてるんじゃないかな。
はいはいはい。
その目的、フロー。
目目的はフローってこと?
ではないですけど、連想していったって感じですかね。
そういう状態かなとか。
ちょっとこれも僕の話。余計な話かもしれないですけど、
個人的に恥ずかしい経験があって、勘違いしてたみたいなのがあって。
十数年前に、白石幸次郎さんっていうプロのヨットノリの方がご存知かな。
多分あんまり知られない。
なんかいらっしゃるんですよ。50代ぐらいの、当時40代かな。
26歳の時に白石幸次郎さんという人が、ヨットノリなんですけど、
初めて世界一周、どこにも無気港ですよね。
どこの港にも寄らずに回り切った世界最年少かな、当時の。
最年少記録を作ったっていう人で、
いろんな企業からスポンサーを受けながらプロとしてずっとやってるんですよ。
ヨットノリ。ヨット思ってるだけですよ。ひたすら。
っていう人の講演が気に入ったんですよ。
もう2、3年前かな。
講演が終わった後に、いろんな面白い話聞かせてくれるんですよ。
とりあえず魅力的な人なんで、面白いなと思って。
でもその人は埼玉生まれなんですよ。海ないじゃないですか。
なんで海ない人が、なんでそんなヨットノリになったんだろうってシンプルに思って、
講演が終わった後、質問しに行ったんですよ。
なんで白石幸次郎さんは海のないところからヨットノリになったんですか。
どんな体験があったんですか。
こっちとしてはすごいインパクトのある出来事があったっていう期待のもとに聞きに行ったんですよ。
そしたら白石幸次郎さんが、うーん、ないねって言うんですよ。
なんか海見てると気持ちいいじゃんって。それだけって言うんですよ。
僕はすごい片透かしをくらった気になったんですけど、
今こういういろいろハラパティ弁士の本とか読んでると、
そんなもんなのかなって思うんですよね。それがいいって思うんですよね。
今回いいと思ったっていう。
なんか目的を持ってやったわけじゃないんですよね。
とにかく好きでやったから、一人でトイレとかご飯とか全部あれですよ、船のヨットの上で済ませるんですよ。
一人でやっちゃうんですよ。変態じゃないですか、はっきり言って。
なかなか自分でやれって言われたらできれないことが怖いしね。
これを有名になるためにやろうとかだったら、たぶん折れちゃうと思うんですよね、気持ちが。
僕はそんな恥ずかしい質問をしてしまったんですよね。
めちゃめちゃ気持ち分かります、それ。
なんかさ、俺も取材して文章書くじゃない?
だからストーリーに仕立てあげたくなっちゃう。
なるほど、ストーリー。
で、何かがあった。ある状況から何かがあって違う状況を作った。
っていうのが大体の話だと思うんだけど。
その何かって何なんですかね。やっぱりすごく気になっちゃうんだけど。
その建築の枠の中に一旦形にしていくことをしていくっていう感じなんだよね。
そうですね。
自分は建築家じゃなくて、なんとかアーティストだと思ってやるんじゃないってことですね。
建築は建築でやる。でも、その外もあることも意識しながら取り組むっていう感じなんでしょうね。
とても誠実な在り方にも見えるね。
期待されてる役割も果たさなきゃいけないしっていう感じが。
僕も三宅一生の服なんてお店しか入ったことないんですけど、
三宅一生の服は青木純さん的に言うと、当時ですよ。
1990年代とか2000年代とかはすごいヒロイックな、ヒーロー的な服だって言うんですよ。
服っていうファッションの世界を一回取り去ろうとしたっていう、青木純さんに言うんですよ。
本当かわかんないですよ。青木純さん的には。
マルタン・マルジェラは服っていうのはありながら、服の中でいろいろ試行錯誤してるから、
私はマルタン・マルジェラが好きだっていうふうに青木純さんは言うんですよね。
なるほどね。そういう考え方があって。
服を破ろうとしたのが三宅一生。服っていうかその範疇ですね。
建築っていう枠じゃないものを作ろうとするよりは建築の中でやれることをやるっていう感じなのかな。
それを我々人材にいると自分とかアイデンティティとかの話が出てくるじゃないですか。
ちょっと引き寄せて、やっぱりどうしてもありたい自分みたいなのを描くわけじゃないですか。
資格取ったり、どこか勉強行ったりとか、僕は本を読んで知識を身につけたりとかもするでしょうし、
外見を良くするとかもあるかもしれないし。
その憧れももちろんありだし、やるときもあっていいと思うんですけど、結局そればっかりやってても、
服の外とか建築の外に出よう出ようだけだとちょっときついんじゃないかなと思うんですよね。
自分はもうあるんで、いろんな条件、親とか住んでるところとか、経歴学歴とかいっぱいあるじゃないですか。制限する。
でもそれはそれで受け入れながらもやるっていうスタンスが、どうすればいいのかわかんないですけど、
44になってくるとそういうのが大事なのかなって思って、この青木さんの考え方に共感したんですよね。
なるほどね。
建築にする、自分にするっていう。
枠とか形式的なものは一旦取り去って、
人との関係とか自分の心の中とか、どこらへんから浮かび上がってきたものの中に形を与えていって、結果自分になるイメージをね。
なのかな。違うのかな。
もしかしたらそうかもしれない。僕が言ってることは別に正しいとか全然ないんですけど、