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2026-02-26 04:59

【令和8年度改定】摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の3つの見直しポイント

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令和8年度診療報酬改定では、質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組を推進するため、摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が見直されます。この見直しは、「中心静脈栄養の実施が前提となっている要件では、経腸栄養や経口摂取への移行に取り組む医療機関の努力が評価されにくい」という現場の課題を踏まえたものです。

今回の見直しは、大きく3つのポイントに整理できます。第1に、摂食嚥下機能回復体制加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されます。第2に、加算3の実績要件に、経腸栄養から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。第3に、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大され、入院前から中心静脈栄養で管理されていた患者や、経口摂取不可となり経腸栄養を選択した患者も算定対象となります。

見直しの背景:届出・算定が伸び悩む現状

摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算は、いずれも届出・算定の伸び悩みが課題となっていました。回復期リハビリテーション病棟入院料1の届出病棟のうち、摂食嚥下機能回復体制加算1または2を届け出ている施設は約13%にとどまっています。現場からは「専従の言語聴覚士の確保が難しい」という声が上がっていました。

療養病棟で算定される加算3についても、届出94施設のうち約6割が算定回数ゼロでした。この背景には、実績要件が「中心静脈栄養を実施していた患者」に限定されていたことがあります。中心静脈栄養を行わない方針の施設では、そもそも実績を積むことができませんでした。

経腸栄養管理加算は、令和6年度改定で新設されましたが、届出910施設のうち約9割弱が算定回数ゼロという状況でした。「入棟前の1か月間に経腸栄養が実施されていた患者は算定できない」という除外規定や、「長期間、中心静脈栄養を実施している患者」という要件が、対象患者の範囲を狭めていました。

見直し①:言語聴覚士の配置要件を「専従」から「専任」に緩和

第1の見直しは、摂食嚥下機能回復体制加算1・2における言語聴覚士の配置要件の緩和です。従来、摂食嚥下支援チームの構成員である言語聴覚士は「専従の常勤」が求められていました。今回の改定では、この要件が「専任の常勤」に変更されます。

専従と専任の違いは、他の業務との兼務の可否にあります。専従は当該業務に専ら従事することを意味し、原則として他の業務を兼務できません。一方、専任は当該業務に主として従事しつつ、他の業務を兼務することが認められます。この変更により、言語聴覚士が摂食嚥下支援チームの業務を行いながら、疾患別リハビリテーション等の他業務にも従事できるようになります。

この緩和は、限られた言語聴覚士の人材を効率的に活用することを目的としています。回復期リハビリテーション病棟では、言語聴覚士が摂食嚥下支援と疾患別リハビリテーションの両方に関与するニーズが高く、専従要件がボトルネックとなっていました。この見直しにより、加算の届出施設数の増加が期待されます。

見直し②:加算3の実績要件に経腸栄養からの回復患者を追加

第2の見直しは、療養病棟で算定される摂食嚥下機能回復体制加算3の実績要件の拡大です。従来の実績要件は、「中心静脈栄養を実施していた患者のうち、嚥下機能が回復し中心静脈栄養を終了した者が前年に2名以上」に限定されていました。今回の改定では、この実績に加え、経腸栄養(鼻腔栄養や胃瘻)から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。

具体的には、実績要件が次のアとイの合計で2名以上に変更されます。アは、従来どおり中心静脈栄養を終了した患者です。イは、鼻腔栄養を実施していた患者または胃瘻を造設していた患者のうち、嚥下機能評価と嚥下リハビリテーション等を経て、経口摂取のみの栄養方法に回復した患者です。

この見直しの背景には、中心静脈栄養を実施しない施設では実績要件を満たせないという課題がありました。経腸栄養から経口摂取への移行も、質の高い摂食嚥下機能回復の成果です。この成果を実績に含めることで、より多くの療養病棟が加算3を届出・算定できるようになります。

見直し③:経腸栄養管理加算の対象患者を拡大

第3の見直しは、経腸栄養管理加算の対象患者の要件変更です。この変更には、対象患者の拡大と除外規定の撤廃という2つの内容が含まれます。

対象患者の要件は、次のように見直されます。アの要件は、従来の「長期間、中心静脈栄養を実施している患者」から「入院前から又は入院後2週間以上、中心静脈栄養による栄養管理を実施しており、経腸栄養への移行を目的とするもの」に変更されます。この変更により、入院前から経腸栄養を行っておらず中心静脈栄養で管理されていた患者も算定対象に含まれます。イの要件は、従来の「経口摂取が不可能となった又は経口摂取のみでは必要な栄養補給ができなくなった患者」から「経口摂取が不可能となった又は経口摂取のみでは必要な栄養補給ができなくなり、入棟後に経腸栄養を開始したもの」に変更されます。このイの要件変更により、経口摂取が不可となった場合に、適切なプロセスを経て中心静脈栄養ではなく経腸栄養を選択した場合についても算定可能であることが明確化されます。

もうひとつの重要な変更は、従来あった「入棟前の1か月間に経腸栄養が実施されていた患者については算定できない」という除外規定が撤廃される点です。従来はこの除外規定があったため、入棟前にすでに経腸栄養を実施していた患者は算定対象外でした。この撤廃により、対象患者の範囲がさらに広がります。

まとめ

令和8年度診療報酬改定における摂食嚥下機能回復に係る見直しは、3つのポイントに集約されます。加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されること、加算3の実績要件に経腸栄養からの経口摂取回復患者が追加されること、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大されることです。いずれも、中心静脈栄養の実施を前提とした要件が現場の取組を評価しにくくしていたという課題に対応するものです。該当する医療機関は、施設基準の変更内容を確認し、届出の準備を進めることをお勧めします。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定では、摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が大幅に見直されます。これまで現場の努力が評価されにくかった「中心静脈栄養」を前提とした厳しい条件が緩和され、言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」になるほか、経腸栄養からの経口摂取回復も実績として評価されるようになります。これにより、医療現場の実態に即した患者さんの回復支援が、より適切に評価される制度へと進化することが期待されます。

制度の現状と見直しの背景
今回の徹底解説では、リスナーのあなたと一緒に、医療現場での患者さんの回復が、制度上どう評価されているのかを紐解いていきたいと思います。
はい。今回の情報源は、令和8年度改定の【摂食嚥下機能回復体制加算】と【経腸栄養管理加算】の3つの見直しポイントですね。
そうなんです。この領域って、現場の感覚とルールのズレがずっと指摘されてきましたよね。
はい。それが今回の見直しで、ようやく実態に合った形に大きく舵を切ったというわけです。
そのズレを象徴するちょっと驚きのデータがあるんですよね。令和6年に新設された【経腸栄養管理加算】なんですが。
ええ。
届出をした910施設のうち、なんと約9割で。
算定回数がゼロだったんですよね。
そうなんです。さらに加算3の施設でも約6割。これって、せっかく精度があるのに全く使われていない状態ですよね。
そうですね。これは当初の精度設計にちょっと無理があった結果なんですよ。
無理があった。
はい。これまでは算定の条件として、中心静脈栄養、つまり点滴での栄養補給ですね。これを行っていることっていうすごく厳しい前提があったんです。
なるほど。点滴栄養が必須だったと。
ええ。だから、現場で実際に患者さんの回復を支援していても、その条件に当てはまらなくて精度が使えないという状態でした。
見直し①:言語聴覚士の配置要件緩和
それは現場の努力が全く報われないですよね。そこで、今回の見直しポイントの一つ目ですが、人員配置のルールが緩和されました。
はい。言語聴覚師の要件が、千住から千人に変わったんです。
千人から千人へ。これ、私たちのような一般の人にもわかりやすく言うとどういうことでしょうか。
そうですね。例えば、レストランで特定のコース料理しか作っちゃいけない専属のシェフがいたとしますよね。
はいはい、専属ですね。
それが千人です。でも、千人になるとメインの業務はしつつ、別のメニュー開発も手伝えるようになるというイメージです。
なるほど。それなら限られた専門スタッフが、園芸の支援と他のリハビリを兼務できるわけですね。
その通りです。リハビリ部門でタタデサイ人が足りないので、これでようやく現場のボトルネックが解消されて、無理なく加算を取る体制が組めるようになります。
見直し②:加算3の実績要件拡大
そして2つ目のポイントですが、実績の評価方法も変わりましたよね。
ええ。これまでは中心縄脈栄養からの回復しか評価されなかったんですが、今回、加算算の実績要件に経調栄養からの回復が追加されたんです。
ということは、胃老とか鼻からの中部栄養から自分の口で食べるまでに回復した患者さんがいれば実績になるということですか。
そうです。合計2名以上いればカウントできるようになりました。
それは大きいですね。点滴栄養をやっていない施設でも患者さんが口から食べられるように頑張った結果がちゃんと評価されるようになったと。
はい。質の高い介入の努力がようやく報われる形になりました。そしてこれが3つ目のポイントにもつながってきます。
見直し③:経腸栄養管理加算の対象患者拡大
経調栄養管理加算の対象患者の拡大ですね。
以前は入棟前の1ヶ月間に経調栄養を実施していたら対象外というすごく厳しい除外ルールがあったんですよ。
1ヶ月前にやってたらダメってずいぶん極端なルールですよね。
そうなんです。だから例えば入院前から中心腸脈栄養だった人が移行してきたりとか、口から食べるのが難しくてすぐに経調栄養を選んだりといった、現場として最適な早期対応をしたケースが制度上弾かれてしまっていたんです。
患者さんのために早く対応したのに評価されないって矛盾してますよね。
ええ。それが今回撤廃されたことで早期の適切な栄養管理が正当に評価されるようになりました。
なるほど。これ全体を見ると単なるルールの変更じゃないですよね。
制度進化と未来の医療評価
偽状の空論みたいな条件から離れて患者さんが自分の口で食べるっていう現場のリアルな回復に寄り添う制度に進化している気がします。
本当にそうですね。これまでは現場がどの栄養法を選ぶかっていう医療的な判断が診療報酬のルールにかなり左右されていた面がありましたから。
制度が医療現場の性格を変えてしまうくらいの影響力を持っていたわけですよね。
ええ。そこは非常に重要なポイントです。
そう考えると少し先の未来についてリスナーのあなたにも一緒に考えてみてほしいんです。
もし今後AIやテクノロジーがさらに進化して
患者さんの健康状態とか生活の質、つまりQOLを24時間リアルタイムで客観的にモニタリングできるようになったとしたら
すごい時代になりますね。
その時、医療制度は栄養の取り方といったプロセスだけじゃなく、どんな新しい指標を使って患者さんの本当の回復やQOLを評価していくべきなんでしょうか。
それは本当にこれからの医療制度の根幹に関わる問いですね。
はい。次世代の医療がどうあるべきか、ぜひ皆さんも考えてみてください。
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