1. 岡大徳のポッドキャスト
  2. 【令和8年度改定】急性期病院..
2026-03-02 04:12

【令和8年度改定】急性期病院一般入院基本料が新設|A・Bの2区分と施設基準を解説

spotify apple_podcasts youtube

令和8年度診療報酬改定では、病院が地域で果たしている急性期機能に着目した新たな入院基本料が新設されます。従来の急性期一般入院基本料は、病棟単位の看護配置や重症度、医療・看護必要度で評価してきました。しかし、同じ入院料を算定する病院であっても、救急搬送の受入件数や手術件数には大きな差があり、病院としての機能の違いが十分に反映されていませんでした。この課題を解消するため、今回の改定では病院の急性期機能を施設基準に組み込んだ「急性期病院一般入院基本料」と「急性期病院精神病棟入院基本料」が新たに設けられます。

新設される急性期病院一般入院基本料は、急性期病院Aと急性期病院Bの2区分で構成されます。急性期病院A一般入院料は1,930点(1日につき)で、救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上の実績が求められます。急性期病院B一般入院料は1,643点(1日につき)で、救急搬送年間1,500件以上などの複数の要件から選択できます。このほか、精神病棟向けの入院基本料も同時に新設され、人口の少ない地域や離島に対する特例措置も設けられています。

急性期病院一般入院基本料の基本的な考え方

急性期病院一般入院基本料は、地域ごとの急性期医療を確保する観点から、病院の機能に着目して新設されます。この入院基本料の背景には、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携の推進があります。

従来の急性期一般入院基本料では、病棟単位の看護配置比率や重症度、医療・看護必要度が主な評価指標でした。この仕組みでは、7対1看護配置の急性期一般入院料1を算定する病院同士でも、救急搬送受入件数が数百件の病院と数千件の病院が同じ評価を受けていました。全身麻酔手術件数についても同様に、500件未満の病院から5,000件を超える病院まで幅広く存在していました。

今回の改定では、こうした病院機能の違いを診療報酬に反映させるため、救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの実績を施設基準に組み込みます。この仕組みにより、地域の急性期医療を支える病院の体制整備を促し、必要な機能の確保につなげることが狙いです。

急性期病院Aの施設基準と点数

急性期病院A一般入院料は1日につき1,930点で、高い急性期機能を持つ病院を評価します。施設基準は、体制に関する要件と実績に関する要件の2つに大別されます。

体制に関する要件として、まず救急医療の提供体制が求められます。具体的には、第二次救急医療体制、救命救急センター、高度救命救急センター、総合周産期母子医療センターのいずれかを設置しているか、これらと同様に24時間の救急患者を受け入れている必要があります。また、画像診断及び検査を24時間実施できる体制の確保も必要です。

実績に関する要件として、救急搬送件数が年間2,000件以上、かつ全身麻酔手術件数が年間1,200件以上であることが求められます。この2つの条件はいずれも満たす必要があります。

そのほかの主な施設基準として、看護配置7対1(入院患者7人に対し看護職員1人以上)、平均在院日数16日以内、自宅等への退院割合8割以上、常勤医師数が入院患者数の10%以上が必要です。さらに、地域包括医療病棟および地域包括ケア病棟の届出を行っていないことも条件となります。

重症度、医療・看護必要度については、必要度Ⅱを用いた評価が原則です。特に高い基準を満たす患者割合の指数が27%以上、一定程度高い基準を満たす患者割合の指数が34%以上であることが求められます。許可病床数200床未満で正当な理由がある場合に限り、必要度Ⅰの使用が認められ、その場合は28%以上・35%以上の基準が適用されます。

急性期病院Bの施設基準と点数

急性期病院B一般入院料は1日につき1,643点で、地域の急性期医療を担う病院を評価します。急性期病院Aとの主な違いは、体制と実績の基準が緩和されている点です。

体制に関する要件として、医療計画に記載された第二次救急医療機関であるか、救急病院等を定める省令に基づく救急病院であることが求められます。急性期病院Aと異なり、地域包括ケア病棟の届出は制限されていません。ただし、地域包括医療病棟の届出を行っていないことは必要です。

実績に関する要件は、以下の4つの選択肢から1つを満たせばよい点が大きな特徴です。第1の選択肢は、救急搬送件数が年間1,500件以上です。第2の選択肢は、救急搬送件数が年間500件以上かつ全身麻酔手術件数が年間500件以上です。第3の選択肢は、人口20万人未満の二次医療圏に所在し、当該医療圏で救急搬送件数が最大かつ年間1,000件以上です。第4の選択肢は、離島のみで構成される二次医療圏に所在し、当該医療圏で救急搬送件数が最大であることです。

第3・第4の選択肢は、人口の少ない地域や離島における急性期医療の確保を意図した特例措置です。対象となる地域は告示の別紙4(人口20万人未満の二次医療圏)と別紙5(離島のみの二次医療圏)に詳細が定められています。

そのほかの施設基準として、看護配置10対1(入院患者10人に対し看護職員1人以上)、平均在院日数21日以内が求められます。急性期病院Aと同様に、重症度、医療・看護必要度Ⅱでの評価が原則です。

急性期病院精神病棟入院基本料の概要

急性期病院精神病棟入院基本料も、一般病棟と同様にA・Bの2区分で新設されます。精神病棟においても、病院の急性期機能を反映した評価が導入されます。

急性期病院A精神病棟入院料は、看護配置に応じた3段階の点数設定です。10対1は1,519点、13対1は1,162点、15対1は966点となります。急性期病院B精神病棟入院料も同様に3段階で、10対1は1,502点、13対1は1,145点、15対1は949点です。

精神病棟特有の基準として、10対1入院基本料では平均在院日数40日以内・GAF尺度30以下の新規入院患者が5割以上、13対1入院基本料では平均在院日数80日以内・GAF尺度30以下又は身体合併症を有する新規入院患者が4割以上であることが求められます。15対1入院基本料では、看護職員の4割以上が看護師であることが必要です。

急性期医療に係る体制・実績の基準は、一般病棟と共通の枠組みです。急性期病院Aは救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上、急性期病院Bは一般病棟と同じ4つの選択肢から1つを満たす必要があります。

救急搬送件数の算定ルール

救急搬送件数の算定には、いくつかの重要なルールがあります。特に、介護保険施設からの搬送と夜間帯の受入に関する規定を正しく理解する必要があります。

介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)に入所中の患者の救急搬送は、原則として搬送件数に算入できません。ただし、例外として3つの場合に算入が認められます。第1に、協力医療機関に連絡した結果、受入が困難であり救急要請した場合です。第2に、「傷病者の搬送及び受入れの実施に関する基準」に基づく救急搬送の受入れの場合です。第3に、急性期病院A又はBで受入後3日以内に当該協力医療機関に転院した場合です。

夜間帯の受入に関する要件もあります。救急搬送件数のうち、22時から翌朝8時までの夜間時間帯に受け入れた件数が1割以上であることが必要です。

なお、介護保険施設等からの救急搬送について、入院加療が必要な場合には、協力医療機関を確認し、当該協力医療機関に情報提供を行うことが望ましいとされています。

経過措置

経過措置は3つ設けられています。新たな施設基準への円滑な移行を図るため、既存の届出状況に応じた猶予期間が定められています。

第1の経過措置として、令和8年3月31日時点で地域包括医療病棟の届出を行っている医療機関は、当分の間、急性期病院Aの体制要件のうち地域包括医療病棟に係る非届出基準、および急性期病院Bの地域包括医療病棟に係る非届出基準を満たしているものとみなされます。

第2の経過措置として、令和8年3月31日時点で地域包括ケア病棟入院料の届出を行っている医療機関は、当分の間、急性期病院Aにおける地域包括ケア病棟の非届出要件を満たしているものとみなされます。

第3の経過措置として、令和9年3月31日までの間は、介護保険施設からの搬送を含め、全ての救急搬送件数を実績に算入できます。令和9年4月1日以降は、原則どおり介護保険施設からの搬送が除外されるため、この1年間で搬送件数の精査と体制整備を進める必要があります。

まとめ

急性期病院一般入院基本料は、病院の急性期機能を救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの実績で評価する新たな入院基本料です。急性期病院Aは1,930点で救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上の高い実績が求められ、急性期病院Bは1,643点で複数の選択肢から実績要件を満たせばよい仕組みです。人口の少ない地域や離島に対しては、当該医療圏で救急搬送件数が最大であることをもって要件を満たす特例が設けられています。精神病棟についても同様の枠組みで新設され、経過措置により既存の届出との整合が図られています。各医療機関は、自院の救急搬送件数や手術件数を改めて確認し、どの区分に該当するかを早期に検討することが重要です。



Get full access to 岡大徳のメルマガ at www.daitoku0110.news/subscribe

サマリー

令和8年度診療報酬改定では、病院の急性期機能を実績で評価する「急性期病院一般入院基本料」が新設されます。これはAとBの2区分に分かれ、救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの厳格な基準が設けられ、地域医療の機能分化を促進します。この新ルールは、医療資源の最適配置と病院の役割分担を明確にし、将来の医療提供体制に大きな影響を与えるでしょう。

新設される急性期病院一般入院基本料の概要と目的
今回の徹底解剖では、【令和8年度の診療報酬改定】を取り上げたいと思います。
特に急性期病院一般入院基本料の新設についてですね。
ちょっとお堅い響きなんですが。
そうですね。漢字がずらーっと並んでますからね。
でもこれ要するに、病院の評価基準がガラッと変わるってことですよね。
例えるなら、今まではウェイターの人数だけで星がついていたレストランが、
これからは実際に提供した料理の数ですとか質で評価されるようになる。
そう。そういう医療業界の大きなルール変更ですよね。
まさにその通りです。
これは2040年頃を見据えた非常にダイナミックな動きなんですよ。
2040年というと高齢者人口のピークですね。
これから限られた医療資源を最適に配置するために、
地域の医療機関の役割分担を明確にするという重要なステップなんです。
急性期病院一般入院基本料のA・B区分と評価基準
なるほど。それで長年矛盾だと言われてきた7対1のルールにメスが入るわけですね。
患者さん7人に対して看護師1人っていう基準ですね。
これまでは手術が年間500件の病院も5000件の病院も、
この配置比率さえクリアしていれば全く同じ評価だったじゃないですか。
そうなんですよ。そこが今回実際の医療の実績の差が直結する仕組みに移行します。
具体的には新しくA区分とB区分に分かれます。
A区分はかなりハードルが高いんですよね。
A、高度は医療を担うA区分は年間の救急搬送が2000件以上。
2000件。
かつ全身麻酔の手術が1200件以上っていう厳格な数字です。
激高ですね。じゃあB区分の方は。
地域を支えるB区分の方は年間救急搬送1500件以上など、
いくつか選択肢があって柔軟に人員に合った要件を選べるようになっています。
病院の役割がはっきり分かれるわけですね。
地域特例と救急搬送件数の算定ルール
ただ人口の少ない地方の病院はどうなるのかなって気になったんですけど。
そこはしっかりセーフティーネットがあります。
人口20万人未満の地域や離島なら、その地域で一番救急車を受け入れていればクリアできる特例ですね。
それは少しほっとしました。
でも単に数を受け入れればいいってわけじゃないっていう裏ルールもありますよね。
はい。原則として介護施設からの搬送はカウントから除外されてしまいます。
さらに私が過酷だなと思ったのが夜間の対応です。
全体の1割以上は夜22時から翌朝8時までの夜間対処なければいけないっていう条件ですね。
夜勤スタッフの疲労を考えるとこの1割って現場にとってかなり重い数字ですよね。
重いです。ただそこをあえて組み込んだのは本当に24時間体制で重症患者を受け入れる覚悟があるのかっていう現場のリアルな機能性を問うているわけです。
精神病棟への適用と地域医療への影響
なるほど。ちなみにこのシビアな枠組み、一般病棟だけじゃなくて精神病棟にも入るんですよね。
そうなんです。精神病棟にも同様に機能評価が導入されます。
じゃあこれがリスナーのあなたにどう影響するのかっていう話なんですが。
もし将来急に救急車を呼ぶ事態になった時、運ばれる先の病院が高度急性期に特化しているのか、地域密着で柔軟に対応してくれるのかが以前よりずっと明確になります。
つまり、より適切なタイミングで適切な設備とスタッフが揃った病院で治療を受けられるってことですね。
ええ。病院の評価がスタッフの数から実績へと明確にシフトしたことは、医療の質と効率を引き上げる上で非常に大きいです。
今回の徹底解剖いかがでしたか。最後にあなたに一つ考えてみてほしいことがあります。
はい。
救急車の受入件数や手術の数が病院の収益に直結するこの新ルールの下で、あなたの住む町の病院同士は今後どのように連携し、あるいは生き残りをかけて競争していくと思いますか。
地域の未来に関わる重要な試探ですね。
ええ。ぜひ資料の先にある未来の地域医療について、あなた自身も思いを巡らせてみてください。
04:12

コメント

スクロール