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2026-02-28 05:40

【令和8年度改定】診療報酬上求める基準の柔軟化|5つの見直し項目を総まとめ

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令和8年度診療報酬改定では、医療現場の深刻な人手不足に対応するため、施設基準における人員配置の要件が幅広く柔軟化されます。この柔軟化は、質の高い医療提供体制の維持と人材確保の取組の両立を図ることを目的としています。

今回の柔軟化は、5つの項目で構成されています。第一に、看護職員の一時的な不足時に届出猶予を認める仕組みが新設されます。第二に、感染対策向上加算等の専従者が他業務に従事できるようになります。第三に、常勤職員の所定労働時間要件が週32時間から週31時間に引き下げられます。第四に、摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が見直されます。第五に、療法士の専従要件が大幅に緩和され、業務範囲と兼任ルールが見直されます。

① やむを得ない事情における施設基準等に関する取扱いの見直し

看護職員の一時的な不足に対応するため、施設基準の届出に関する猶予ルールが新設されます。平時から公的職業紹介を活用した採用活動を行っている医療機関が、突発的な事情で看護職員を確保できない場合に、暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であれば、最長3か月間、届出区分の変更が不要となります。この猶予は年1回に限られ、地方厚生局への報告義務があります。コロナ特例として運用されていた仕組みが、突発的な事情全般に対応する恒久的な制度として新たに規定されました。

→ 詳しくは「【令和8年度改定】看護職員が一時的に不足しても届出不要に?施設基準の柔軟化を解説」をご覧ください。

② 感染対策向上加算等における専従要件の見直し

感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で見直されます。第一の柱は、専従者が介護保険施設等へ赴いて助言できる時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されることです。第二の柱は、感染制御チーム・抗菌薬適正使用支援チームの専従者と医療安全管理者が、所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになることです。第三の柱は、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が、退院患者への外来栄養食事指導等を行えるようになることです。いずれも、専門人材が支援業務と院内業務をより柔軟に両立できるようにするための改定です。

→ 詳しくは「【令和8年度改定】感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で大幅緩和」をご覧ください。

③ 常勤職員の常勤要件に係る勤務時間数の見直し

常勤職員の所定労働時間要件が、週32時間以上から週31時間以上に引き下げられます。この見直しは、一般職の国家公務員の1日当たり勤務時間(7時間45分)との整合性を図るものです。対象となる施設基準は、急性期一般入院料1等の常勤医師、有床診療所の医師配置加算、医師事務作業補助体制加算の3項目です。常勤換算の計算に用いる分母(所定労働時間の下限)は週32時間のまま据え置かれるため、常勤の「定義の緩和」と「換算方法」を区別して運用する必要があります。

→ 詳しくは「【令和8年度改定】常勤要件が週32時間から31時間に緩和|3つの対象項目と実務上の注意点」をご覧ください。

④ 質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組の推進

摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が3つのポイントで見直されます。第1に、摂食嚥下機能回復体制加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されます。第2に、加算3の実績要件に、経腸栄養から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。第3に、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大され、入院前から中心静脈栄養で管理されていた患者や、経口摂取不可となり経腸栄養を選択した患者も算定対象となります。いずれも、中心静脈栄養の実施を前提とした要件が現場の取組を評価しにくくしていた課題に対応するものです。

→ 詳しくは「【令和8年度改定】摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の3つの見直しポイント」をご覧ください。

⑤ 疾患別リハビリテーション料や特定入院料において配置された療法士による専門性を生かした指導等の更なる推進

療法士の専従要件が5つの観点から大幅に緩和されます。第一に、専従の従事者がリハビリテーション以外の業務に従事した時間を実施単位数に算入できるようになります。第二に、疾患別リハビリテーション料の専従療法士の業務範囲が明確化され、兼任ルールが大幅に見直されます。第三に、地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟の専従療法士に業務内容が追加されます。第四に、病棟外・屋外での指導等が明確に認められます。第五に、入院医療管理料における専従療法士の兼任が可能になります。特に、兼任ルールの緩和と回復期リハビリテーション病棟における「全ての患者」への対象拡大は、人員配置や病棟運営に直結する変更です。

→ 詳しくは「【令和8年度改定】療法士の専従要件が大幅緩和|5つの変更点を解説」をご覧ください。

まとめ

令和8年度診療報酬改定における「診療報酬上求める基準の柔軟化」は、5つの項目で構成されています。看護職員の一時的不足時の届出猶予の新設、感染対策向上加算等の専従者の業務範囲の拡大、常勤要件の週31時間への引下げ、摂食嚥下機能回復体制加算等の要件緩和、そして療法士の専従要件の大幅な緩和です。これらの見直しに共通するのは、医療の質を担保しつつ、限られた人材をより柔軟に活用できる仕組みを整備するという方向性です。各医療機関においては、自院に該当する項目を確認し、施設基準の届出や運用体制の見直しを早めに進めることが重要です。



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サマリー

令和8年度診療報酬改定では、医療現場の人手不足に対応するため、施設基準の柔軟化が図られます。看護職員の一時的な不足に対する届出猶予、感染対策担当者や療法士などの専門職の業務範囲拡大、常勤要件の勤務時間短縮、摂食嚥下・栄養管理加算の要件緩和など、5つの見直し項目が導入されます。これらの変更は、医療の質を維持しつつ、限られた専門人材をより効率的かつ柔軟に活用するための、緻密な制度設計を反映しています。

導入:診療報酬改定と施設基準の柔軟化
今回の徹底解剖では、令和8年度の診療報酬改定における施設基準の柔軟化にフォーカスしていきます。
はい、よろしくお願いします。
深刻な医療の人手不足、いわゆる2025年問題以降のギリギリの状況については、これを聞いているあなたもすでにご存知かと思いますが。
ええ、そうですね。
今回の5つの見直し項目は、その医療崩壊を防ぐためのかなり精緻なシステムアップデートになっているんですよね。
はい。全体を俯瞰するとですね、単に基準を緩めたという妥協案では決してないんです。
と言いますと?
限られた専門家をどう配置すれば、医療の維持と人材確保を両立できるかという、非常に高度なパズルを時に言っていることがわかります。
看護職員の要件猶予と現場の安定化
なるほど。パズルですか。ではまず一つ目のピースですが、看護職員の要件猶予ですね。これは突発的な退職などで人員が欠けた場合の新ルールということですが。
ええ。従来はですね、たった数名の退職で基準を割り込んでしまって、病院が大きなペナルティを受けるリスクと常に隣り合わせだったんです。
それは現場としてはかなり怖いですよね。
そうなんです。でも今回、1割以内の変動なら、年1回最長3ヶ月の届けで猶予が認められるようになります。
おお、3ヶ月も?
はい。コロナ禍でも特例的な救済措置が、突発的な欠員全般に対応する高級的なセーフティーネットとして実装されたわけです。
それは現場の安定運用には不可欠ですね。そして、2つ目と5つ目の項目が、いわゆる専門職のサイロを壊す動きだと資料にありました。
専門職の「サイロ破壊」と知識のシェアリング
ええ、まさにそこがパラダイムシフトなんです。
例えば、感染対策の担当者が月に16時間まで地域の介護施設などに助言に行けるようになると。でもこれ、人員を空けてしまって、本来の業務にリスクは生じないんでしょうか?
そこが面白いところでして、これまではこの業務だけをやる人というガチガチの壁の中に専門人材を囲い込んでいました。
はい。
社会全体の医療資源が枯渇する中では、専門知識を地域の施設へシェアした方がですね、結果的に地域全体の感染症対応力が上がるんです。
ああ、なるほど。
そうなれば、人員に持ち込まれる重症患者のリスクも減るという合理的な考え方です。
まさに専門知識のシェアリングエコノミーですね。
はい。管理栄養士の退院後指導やリハビリを担当する療法士の兼任ルール緩和も知識のシェアリングという全く同じ文脈ですね。
囲い込むよりネットワーク全体で防御力を上げるわけですね。
次に3つ目ですが、上勤の定義が週32時間から31時間に引き下げられました。国家公務員の勤務時間に合わせた形ですが。
常勤要件の勤務時間見直しと緻密な制度設計
ここはですね、制度設計の非常に巧妙な部分なんです。個人の働き方として上勤と認めるハードルは31時間に下げたんですが、病院の体制を評価する際の上勤換算の分母はなんと32時間のまま据え置かれているんですよ。
なんだかすごく楽しそうに解説されますね。でもそれってつまりどういうことなんですか?
つまりですね、現場の医療従事者にとっては週31時間働けば上勤扱いになるというメリットがあります。
はい、働く側は助かりますね。
一方で病院の経営人が国が求める人員基準をクリアするためには、計算の分母が32時間のままなので、今までと同じ総労働時間を確保しなければならないんです。
えーっと、ということは。
働く側の柔軟性は担保しつつ、医療機関が提供するトータルのマンパワーの量は絶対に落とさせないという国側の緻密なブレーキがかかっているんです。
それはすごい。経営側からすればこのパズルを合わせるのはかなり頭の痛い課題にありますね。
えー、管理者泣かせな絶妙な調整と言えます。
摂食嚥下・栄養管理の要件緩和と成果評価
そして4つ目、接触縁がや栄養に関する要件の見直しです。
ここで言語聴覚師の要件が専従から専任へ緩和されたとあります。この2つの言葉、似ていますが、現場でのインパクトはどちらでしょうか?
これが全く違うんですよ。専従は勤務時間中その業務に100%専念しなければならないという厳しい縛りです。
はい。
一方、専任はその業務をメインで担当しつつも手が空いた時間や状況に応じて他の業務も兼務していいというルールなんです。
なるほど。それなら現場もかなり柔軟に動けますね。
ええ。加えて評価の軸自体も変わりました。これまではチューブで栄養を取るような特定の処置をしていること自体が評価されがちでした。
手段が目的化していたんですね。
そうです。しかし今回は患者さんが自分の口で食べられるように回復した成果そのものがしっかり評価されます。
それは素晴らしいですね。特定の処置という手段に縛られず、真の意味で患者を回復させた現場の努力が包われる設計になっていると。
はい。現場のモチベーションアップに直結する変化だと思います。
まとめ:医療業界の柔軟な人材活用への転換
これまで見てきた5つの項目、全体を通してどのようなメッセージが読み取れますか?
人命を預かる最も厳格な業界でさえ、ガチガチの管理型から実態に即した柔軟な人材活用へと舵を切らざるを得なくなったということです。
ルールは絶対的な目的ではなく、医療というインフラを維持するためのツールにすぎない、という現実を突きつけています。
業界全体が生き残るために、占住や上金の概念を根底から見直していると。これは非常に示唆に富んでいますね。
本当にそう思います。
今これをお聞きのあなたも、ご自身の業界にある古いルールや型書きの壁に直面しているかもしれません。
この究極な柔軟性をヒントに、あなたの職場の硬直化したシステムをどう発掘し、専門知識をシェアできるか、ぜひ一度ご自身の中で試行実験してみてください。
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