【再】#812. 「言語化」に対してちょっと一言 --- 言語学者の視点から
2026-10-10 19:28

【再】#812. 「言語化」に対してちょっと一言 --- 言語学者の視点から

#heldio #英語史 #英語教育 #英語学習 #hel活 #英語史をお茶の間に
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/650f4aef0bc9d6e1d67d6767

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

00:00
堀田隆一です。英語の語源が身につくラジオheldio。 英語史をお茶の間におもとに、英語の歴史の面白さを伝え、
裾野を広げるべく、毎朝6時に配信しています。 本日は8月21日月曜日です。新しい1週間の始まりです。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。 本日お届けする話題は、ボイシーの今日のトークテーマに乗る形でお届けします。
言語化に対してちょっと一言。 言語学者の視点からです。どうぞよろしくお願い致します。
今日の日替わりボイシーのトークテーマがですね、言語化しようというお題だったんですね。 このトークテーマ付でこのチャンネルにたどり着いたという方も少なくないかもしれませんので、
このチャンネルについて簡単に紹介させてください。 冒頭にコールした通りなんですけれども、英語の語源が身につくラジオというチャンネルとなっています。
英単語の語源を探るということが基本ではあるんですけれども、 実際には単語に限らず文法であるとか発音とか英語の歴史ですね。
そして英語が使われてきた歴史について毎日話題をお届けしています。 私は英語の歴史、英語史を専門としているものなんですが、
広くは言語一般の話題であるとか日本語との比較の話題など、 いろいろと周辺領域に飛んではいきますけれども、中心としているのは英語史ということなんですね。
今日のトークテーマが言語化しようということでしたので、これに対して私が今日の配信に与えたタイトルはですね、
言語化に対してちょっと一言、言語学者の視点から、
そして少し批判的な目線でこの言語化という表現について考えてみたいと思うんですね。 日本語の話いいですけれども、英語の話も少し出てきます。
そしてですね、後半では社会言語学という分野の立場から、今回のテーマである言語化について一言、二言述べたいと、そのように思っております。
今日のこのトークテーマ、言語化しようなんですが、私ちょっと驚いてしまいまして、
3日前です、金曜日ですね、8月18日にこの言語化について語っているんですね。
809回言語化という表現が流行っているようですが、ということでやはり斜めからですね、この言語化というキーワードを眺めつつですね、
03:08
少し厚めに熱が入った話でですね、長い配信会になったんですよ。
さらにその金曜日の夜にですね、私、英語知能はというプレミアムリスナー限定配信チャンネルも運営していまして、そちらでも続けてですね、
verbalization、言語化入門と題して話を続けたんですね。 その後ですかね、土曜日、土曜日に
今日、月曜日のVoiceneのトークテーマが言語化しようということだったので、しまった、今日話せばよかったというような感じだったので、
皆さんにおかれましては、このチャプターにリンクを貼っておきますので、809回こちらをですね、聞いていただければと思います。
ただ今日もですね、独立してお話はしたいと思います。 なるべく809回と重ならないような形でお話ししたいと思っています。
さて、まずですね、言語化、これ一種の流行語として最近非常によく聞くようになりました。 どれくらい流行語っぽいのかということをですね、
ざっとなんですけれども、指標としていくつか選んでですね、調べてみました。 まずですね、最近出ている本のタイトルによく言語化っていうのが含まれているんですね。
さっとアマゾンで調べてみましたところ、例えばですね、すごい言語化、伝わる言葉が一瞬で見つかる方法であるとか、
部下に困ったら何でも言ってねはNGです。 若手社員は肯定と言語化で自ら動き出す。 こんなのもありますね。
それから、自分言語化ノート、正解のない時代を生き抜く武器を掘り起こそうというのもあります。
言葉にできない気持ちの言語化ノート。
そして、Verbalizing Media Salon、英語のタイトルですが日本語の本なんだと思いますね。
それから、おしゃべりから始める私たちのジェンダー入門、暮らしとメディアのもやもや言語化通信。
まだまだ続きますが、もう2つぐらい。
あなたの言語化で部下が自ら動き出す。
そして、すごい言語化術、言葉は努力で上手くなる。
こんな感じですね。
いわゆるビジネス賞のうれすじキーワードと言って良さそうです。
もう少しですね客観的な証拠を挙げますと、読み出す歴史館、読売新聞のデータベースなんですけれども、
明治大正、昭和、平成、令和とデータベースで調べられるようになってるんですね。
06:01
そこで本当に単純検索でですね、細かい読み処理などはしていませんが、
コーパスに見立てて言語化で検索したところ、明治大正、昭和では合わせて3件のみ。
平成、令和になって810件です。
これはもう明らかですね。
さらに日本語の大規模コーパスです。
チューナゴンというコーパスで調べてみました。
こちらはですね、1990年代と2000年代というこの2つの10年刻みで、
本当直近のものを調べてみたんですが、
1990年代、1991年から2000年ですね。
ここまでで11例。
そして2001年から2008年のものが最後だったんですが、
この年代のものが47件ということで、やはりいきなり用例が増えているっていうことがわかるんですね。
ちなみに参考までに、英語のコーパス、アメリカ英語のこの直近200年くらいのテキストデータを集めたコーパス、
コーハというものがあるんですが、これで見る限りですね、
もちろん英語なので英単語としてverbalizeとかverbalizationで検索してみました。
そうしますと1940年くらいから増えてきて現代に至るんですね。
特に1940年と2000年代を比べてですね、ものすごく増えているわけではないという意味では、
日本語に見られるほどの流行語感というのはあんまり感じられないですね。
現代的な用語であるっていうことはおそらく英語でも間違いないんですけれども、
日本語でのこの10年20年っていうんでしょうかね、
の流行り方とは少し違う文法を示しているということです。
このあたりがまず客観的なデータということになりますね。
ではこれが日本語であるいは日本で流行っている理由は何なのかと考えますと、
いくつかあるんだろうとは思います。
例えばですね、国際化、社会の分断、世代差、男女差、
いろいろないわゆる区別であるとか断絶みたいなものがあって、
それまであうんで通じるんだと考えられてきたコミュニケーションですね。
特に日本ではその意識が強いです。
空気を読みなさいとかあうんの呼吸で理解できるというような、
言葉を使わないでお互いを理解するというような、
ある種考え方の伝統っていうのがあるわけですが、
いろいろな差が生じてきてやっぱり通じないよねという感覚になってきたのではないか。
09:02
言葉で明示的に表現し合わないとやっぱり通じないもんですよということが分かってきた。
そんなことかもしれません。
つまりですね、もっと話そうよとか言葉にしようよ、議論しようよというような、
もっと言うとみんな挨拶しようよとかそういうことにも近いのかもしれません。
これが私の考える1点目ですね。
2点目は先日の配信で言語化について語った時にリスナーさんからいただいたアイディアということなんですけれども、
言語以外でのコミュニケーションが増えてきた。
ビジュアルコミュニケーションみたいなものですね。
スマートフォン上で言葉にするんではなくスタンプで返信をしたりというような、
無言のコミュニケーション、話し言葉にせよ書き言葉にせよ、
言語化されないコミュニケーションがどんどん増えてきた。
それに対する一種の反動反発ということで言語をもっと使おうよというような流れなんではないかということなんですね。
これありそうな気がしますよね。
実際2人隣にいるのに喋らずに直接喋らずにそれぞれが持っているスマホで会話してるみたいなね。
こんなことも関係してくると思うんですね。
なのでちゃんと話そうよというような雰囲気が出てきている。
3つ目は先ほどの本のタイトルにもいくつかありましたが、
これは対人コミュニケーションというよりも自分の思考の整理ということですね。
モヤモヤ感を言葉にする言語化することでそのモヤモヤ感が解消するといった心理学的効果を狙っているというそういう言語化ですね。
さてこのように現代の日本社会では言語化というのがキーワードになるほど関心が持たれているということなんですが、
この現象について私が不信感と言いますか違和感みたいなものを感じているんですね。
おそらくそれは言語化という3文字に単純化してしまっているというところに何か引っかかりを感じているのではないかというふうに自己分析しているんですね。
言語化これとても大事なことではあるんですが、
公的な場面と私的な場面での言葉の使用ですね。
これ2つはっきり分けた方がいいと思うんですね。
公的には言語化しないと伝わらないので、
典型的には仕事ですよビジネスでは言葉にしないとダメなんですよね。
話し言葉で商談したり最終的には契約書という書き言葉で約束を交わしたりということですよね。
なので公的には言語化するっていうのは当たり前というかこれがないと話にならないわけですよ。
12:06
その点では当然ですね言語化しましょう言語化しようよっていうのはよくわかるんですが、
一方何でもかんでも言語化しろということではなく、
例えば指摘いいなことですね。
これ最も大切な私しか持っていない内容にあるものですね。
これ言語化してしまいたくないっていう気持ちもあったりします。
あるいはですね他人によって言語化されるなんていうのはまっぴらごめんですよね。
人の心の中にずかずかと入り込んでくるなと。
しかもそれをですね外に向かって言語化するなんて絶対やめてほしいわけですよ。
なので何でも言語化しろということではないわけなんですが、
言語化というキーワード流行語になると独り歩きしてしまうので、
何でもかんでも言語化することがいいことだみたいなメッセージになってしまわないか、
そのように受け取られてしまわないかという懸念があります。
そして次にですね言語学的な観点からお話したいと思うんですが、
社会言語学的に言葉にしちゃいけないことってあるんですよ。
例えば日本社会だけではないんですけれども本音と建前ありますよね。
本音は言っちゃいけないわけですよ基本的には。
それ言ってしまったら社会的に制裁されます。
ハブられますっていうことがあります。
その制裁の度合いが強いものはですねタブーと呼ばれる現象がありますね。
言葉には言ってはいけないものがあるんですよ。
性的な語であるとか死に関する語であるとかヘイトスピーチなんかもそうですよね。
差別の言葉もあります。
これ言語化してはいけないっていう社会の中の言語資料の取り決めなんですよ。
それからここでは詳しく語りませんが、
通常言葉というのは人と人のコミュニケーションを成り立たせるための道具というふうに考えられていますよね。
言葉はコミュニケーションの道具なんだという考え方です。
これもちろん正しいんですが、
物事の一面しか見てないんですね。
その裏には何があるかというと、
言葉はコミュニケーションを成り立たせないための道具として機能する場合もあるんですね。
例えば人間は暗号を生み出し続けていました。
現代でも暗号というのは非常に重要視されていますよね。
これはコミュニケーションを成り立たせないための方法なんですよ。
他にですね、例えばあなたと私ともう一人いると、
このもう一人は英語しか理解できないっていう時に、
私とあなたとこのもう一人が英語でしゃべる分には共通の言語ということでコミュニケーション取れますが、
15:00
私とあなただけに伝わるようなひそひそ話をしたい場合には、
この第三者がいるところで私とあなただけが日本語を使っているといった場合、
第三者は外されているっていう気になるでしょうね。
言葉を発するということは、つまり言語化はコミュニケーションを成り立たせる方向に働く場合もあれば、
むしろコミュニケーションを遮断する方向に働くこともある。
流行り言葉としての言語化というのは前者のみに注目していて、
後者の機能は視野に入っていないんではないかと思われるんですね。
言語化すべきこととすべきでないことがあるんですよ。
言語化すべき状況とすべきでない状況があるんですよ。
この2つをしっかり区別することがむしろ必要だと思うんですね。
言語化という流行言葉になってしまうと、
何でもかんでも言語化することが良いことだ、みたいな雰囲気になってしまう可能性がある。
この点が心配なんですね。
最後ですけれども、言語化というふうに3文字で名詞化することによって、
概念がカプセル化されるんですね。
しかも漢字3文字です。漢語を使ってるんですね。
いわば言葉にすることというような分かりやすい言い方があるんですが、
それを難しめに言語化と3文字の漢字で表現することによって、
キーワード化するわけですね。
見栄えも聞き応えも威信があるんですよ。
漢語みたいに固い偉い感じがするんで、
キーワード化しやすいし、流行り言葉にもなりやすいんですね、こういうのっていうのは。
なので本のタイトルなんかには使いやすい。
私は言語化という概念そのものは重要なことだと思ってるんです。
公的なシチュエーションでは、やはり言葉にしないとわからないよっていうことなので、
とてもこの概念自体は重視しています。
しかし流行となってしまうと、あるいは流行後となってしまうと、
それで消費されて終わりになってしまう。
そんな軽い概念のように見えてきてしまうんですね。
むしろ大事な概念だと私は思っているので、
軽く短期間だけ消費されて終わるような流行にはなってほしくないという思いもあったりします。
エンディングです。最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
久しぶりにボイシンの本日のトークテーマに乗る形で話題をお届けしましたが、
ちょうどこの数日間考えていたテーマだったということで、
18:05
言語化について少し深めに考えてみました。
皆さんもいろいろとお考えがあるのではないかと思います。
そして今日トークテーマとなっていますので、
多くのボイシーパーソナリティの皆さんがこの話題で語っていると思いますので、
私も楽しみにたくさん聞きたいと思っています。
皆さんもぜひいろいろと聞いていただき、
その上でコメントを寄せていただけると、
いい議論になっていくのではないかと思います。
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、
あなたからのご質問、ご意見、ご感想をお待ちしています。
ボイシーのコメント機能を通じてお寄せいただけますと幸いです。
SNSでのシェアもよろしくお願いいたします。
チャンネルをフォローしていただきますと、
更新通知が届くようになりますので、ぜひフォローをお願いします。
また面白かった、ためになったなどと感じましたら、
ぜひいいねボタンもよろしくおしていただければと思います。
最近の配信会だけでなく古い配信会につきましても、
いいねやコメントをいただけますと、
私の方に必ず通知が入りますので、
なるべく反応していきたいと思っております。
それでは今日も皆さんにとって良い1日になりますように、
ほったりうちがお届けしました。
また明日!
19:28

コメント

スクロール