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おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語史、英語語源ハンドブック、言語学ですっきり解決英語のなぜ? の著者の堀田隆一です。
去る6月10日、NHK出版新書、英語史で解く英文法の謎、なぜ三単元のSをつけるのか? が発売されました。
発売名増殺がかかりまして、今、第2釣りが全国、つつ裏裏の書店に並んでおります。大変ご好評いただいております。ありがとうございます。
英語の語源が身につくラジオヘルディオ。英語史をお茶の間におもっとに、英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく、毎朝6時に配信しています。
本日は2026年10月16日金曜日。皆さんいかがお過ごしでしょうか。数日前にバラのお話をしました。
バラの80通りの歴史的綴り字ということでお届けした次第なんですが、ある意味ではこのバラのシリーズ続編と言ってもいいと思いますね。
イギリス滞在中に訪れましたピータバラという街。
この街の名前表記をどうするか問題ということで、今日は興味深い話題を取り上げたいと思います。
長い綴り字のどこをどう省略するか。道路標識のピータバラです。どうぞよろしくお願いいたします。
8月にイギリスをドライブ旅行いたしまして、ロンドンからスコットランドを目指して北上するというドライブ旅行だったんですね。
その途中でイングランド中東部の街ピータバラに立ち寄りました。
この街は英語史的には非常に重要と言いますかね、街と言いますかピータバラクロニクルという英語史上非常に重要な貴重な文献テキストがありましてね。
これは小英語末期、最末期に書かれたアングロサクソンクロニクル、アングロサクソン年代記の一つの枝なんですけれどもね。
ピータバラの街、修道院などと結びつけられているのでこの名前がついているんですね。ピータバラクロニクルというんですね。
そこで私もですね、このテキストで諸々研究してきたという経緯もありますので、この街訪れてみたいということでドライブで立ち寄ったわけなんですが。
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さあそのハイウェイの道路標識ですね。この街が近づいてくると、こっちがピータバラですよ、あと何マイルですよ、みたいに標識の中にピータバラの表記がよく現れるようになってくるわけですね。
地名としては割と長めの綴り字ですよね。ピータは人の名前のピータですね。P-E-T-E-Rということで、これに例のバラがついてB-O-R-O-U-G-Hということで、なかなか長いわけですね。
運転しながら標識でのこの街の表記ですね、どうなっているのかというのを眺めているとですね、いくつかバリエーションがあるということに気づいたんですね。
これは私、ピータバラに向かうというだけでテンションが上がっているんですが、英語史上のですね、綴り字の意形、スペリングバリエーションというものが一つの研究テーマになっていますので、これも興奮するわけですね、運転しながら。
というのは、現代英語ではですね、基本的に綴り字のバリエーションっていうのはないんですよ。一つの単語につき一つの正しい書き方があるっていうのが、近代以降に発達してきた綴り字の標準化っていうことなんですね。
もちろん、稀に例外があって2つの書き方があるとか、そういうこともあるんですけれども、かつてはいろいろな書き方があった。バラについても約80種類見つけましたという話をしましたし、スルーに至っては516通り発見していますということも、このヘルディオでお届けしてきたわけですね。
ところがですね、現代はそこから標準化して一つの通り字になったとはいえですね、一つだけ、一つではないかもしれませんね、重要な例外と言いますかね、省略表記っていうのがあって、これいわゆる公的な場では省略表記のようなものは一般には許されないと言いますか、許容されないわけなんですが、
公的であるとはいえスペースの制約があるという、この2つの条件というかを備えたのが道路標識なんですよ。道路標識は標準的でなければいけない極めて公的な場面ですよね。
一方で、大きく表記しないと運転者から見えないということでですね、小さく表記する方はなかなかできないので、大きいままで省略通り字を使うというようなニーズが出てくるわけですね。
なので、道路標識における表記というのはですね、公的でありながらもやむを得ず、現実的実際的な理由でもろもろ省略しなければいけないというような状況に置かれるわけですね。
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そこで、このピーターバラー、比較的長い綴り字なので省略されることがあり得るということなんですが、皆さんどんな省略があったか、これクイズになりますね。どうでしょうか。
少なくとも私が運転していたときにはですね、3種類の表記がありました。
1つは正式な全てフルスペリングでということですね。スペースに余裕がある場合ですよね。ピーターバラーとフルスペリングで綴られるものがまず1つ目ありますね。
そして2つ目はですね、p apostrophe バラーということです。p大文字でアポストロフィーがあって、その後のバラーはちゃんと綴る。b-o-r-o-u-g-hということですね。
これでもちろんピーターバラーと読ませたいということですよね。
そしてもう1つがですね、面白いんですけれども、ピーターはちゃんと綴ってます。その後、バラーの部分がですね、フルで綴らずにb-o-r-o、つまりボロのように綴るというやり方ですね。
そしてb-o-r-o-oのoの後にはアポストロフィーということで、一応何か省略はされていますよっていうことは公式に伝えたいっていうことなんでしょうね。
というこの3種類が見られました。もちろん関心の的はですね、後の2つですね、つまり省略されているpapostrophe バラーというのと、もう1つはピーターの後にボロと表記するやり方ですね。
これ2種類の省略表記があるっていうところでもう興奮したんですが、運転していたのでなかなか写真撮れずにですね。
一つですね、後者の方ですね、ピーターはちゃんと書いてボロでアポストロフィーっていう、この例については何とか1枚撮れましたので、こちらをですね、載せて画像で貼り付けておきますけれども、
これを見つけただけでも大満足ですね。これピーターバラーの街に着く直前というか、まだ前なんですけどね。これでだいぶ満足した状況でした。
この2つの省略の仕方なんですが、省略のための戦略が全く違うということはすでにお気づきかと思うんですよね。
この戦略の違いを音韻論あるいはつづり次論という観点から専門的な用語を使ってですね、説明するとどうなるかっていうのをやってみたいと思います。
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p'bというのと、ピーターそしてボロと同じのように書く。最後にアポストロフィーですね。この2種類の違いですね。
まず前者、pバラの方ですね。これは複合語知名の前半要素であるピーターの部分をイニシャルだけ取るというやり方ですよね。
これいわば形態論的な方策といっていいと思います。文字数で数えますと、これ4文字減らすことができる。
ただアポストロフィーを付けますので0.5文字ぐらいにカウントすると、合わせると3.5文字分ほど浮かすことができるということなんですね。圧縮率はまあまあいいんですよ。
一方ですね、2つ目の省略の仕方、つまりピーターはちゃんと綴ってboroアポストロフィーというものですね。
こうすると後ろにあるはずのUGH、これを3文字分省略できたということになりますね。
いわばですね、これはOUGHがなくてもバラと読めるでしょという常識に訴えてですね、
この削ったUGHの部分が発音を表す機能としては価値が低いというふうに考えてですね、切り落としたものと考えられます。
これはまあいわばですね、音韻論的なと言いますかね、方略と言っていいと思いますね。
あえてこの2つを対立させるとですね、前者が形態論的省略、後者が音韻論的省略というふうに、これざっくりとした、あえて対比させるための用語ではありますけれども、そんなふうに表現できるかなと思うんですね。
圧縮率は後者は3文字減らしたんだけれども、アポストロフィーを1つ加えて、2.5文字分ですね。圧縮効率は前者のピーターをPで表してしまう方がもちろんですね、高かったということになりますね。省略効率って言うんですかね。
だから数字だけ見ますと、前者のPバラの方が勝っているということなんですが、ただこれには難点がありましてね、あらかじめこの地名を知っている人にはですね、私知っていたのでPだけ見てですね、ピーターと展開できるんですが、これ初見ではですね、何のことやらということでピーターには展開できないわけですよね。
もちろん道路標識ということで、ある程度地理とか町の名前、周辺のものがわかっている人が運転するんだという大きな建前はあると思うんですけれどもね、純粋にコミュニケーション上の役割、機能をどこまで果たしているかということになると、Pバラというのはですね、その点では難があると。
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一方後者のピーターそしてボロアポストロフィーの方はですね、圧縮効率はちょっとだけ低かったけれども、これでバラと読ませることは十分に可能なんですね。
なので、ピーターバラはちゃんとこのフルの語形と言いますか、地名は復元できるような省略の仕方であるということになって、これはですね、方略とその効果、そして元々のフルの形を復元可能かどうかという、いくつかの観点からですね、
それぞれどのくらいのスペースで文字を収めなければいけないかとの兼ね合いもあってですね、やはり省略の仕方にもいくつかの方略があり得るということなのかなと。
これだけ見ても、ちょっとしたつづり字の省略の話題がですね、急に面白くなるということがわかると思うんですよね。こんなことを考えながら、興奮しながらピーターバラの街に着いたということなんですよね。
もう街に着くまでにすでにお腹いっぱいという感じでした。街もですね、なかなか地方都市という感じでですね、素敵な街だったんですね。
最後にですね、一つ似たような話題でですね、一つ思い出したんですけれども、イギリスの地名にですね、マールバラっていうのがありますね。マールバラです。
これに正式なというか、フルのバラですね。これ対応する地名がアメリカ側にもありまして、そしてタバコの商標としてもおなじみのマルボロですよね。
あれはですね、スペリングはマールまでは一緒なんですが、なんとBOROなんですよ。アポストロフィア、今度はないんですけれども、これですね、今回のピーターバラをどう省略するかという議論とも関わって、
つづり地の池の話題としてもですね、これ楽しむことができる、味わうことができる、そんな単語あるいは地名、商標名になっているということですね。エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきましてありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。長いつづり地のどこをどう省略するかという省略のための戦略について考えてみました。道路標識におけるピーターバラですね。
道路標識の省略規法というのはこれも一つのテーマになるのではないかなということで、この観点から改めてですね、イギリスドライブの旅してみたくなりましたね。どんな目的でかということになりますけどね、面白いです。
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日本地図をなぜ三単元で埋めていき、英語史をお茶の間に広めていきたいというのが企画の趣旨です。また、読了された方はAmazonレビューなど各種のプラットフォームで本書のご感想もお寄せください。
それでは今日も皆さんにとって良い一日になりますように。英語史研究者のほったりうちがお届けしました。また明日!