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おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、英語のなぜに答える初めての英語史、英語語源ハンドブック、言語学ですっきり解決英語のなぜの著者の堀田隆一です。
英語の語源が身につくラジオheldio。英語史をお茶の間にを基に英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく、毎朝6時に配信しています。
本日は2026年2月23日月曜日。新しい1週間の始まりです。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
本日はタイトル見ていただければわかる通りちょっと長くて、しかも何を言ってるんだと思われるかもしれませんが、こんなお題です。
A矢印Bという言語変化の矢印の中を覗き込むと、そこは知味猛量のうごめく世界ですね。
どんな話になるか予想してからお聞きになるというのも面白いかもしれません。
それでは行ってみましょう。どうぞよろしくお願いいたします。
本日のお題A矢印Bという言語変化の矢印の中を覗き込むと、そこは知味猛量のうごめく世界というタイトルにしてみたんですけれども、
今日のお話は10日ほど前になります2月13日の問答で、ある質問を寄せていただきました。
それに対して私が答えた、そこが発端となって、その後数日、
X、旧ツイッターの方で投稿した内容等ですね、少し膨らんできたので、この辺りでヘルディオでもまとめてお話ししておきたいと思った次第なんですね。
大元となる問答の質問及び回答につきましては、このチャプターリンクを貼っておりますので、まだお読みでないという方はそちらをお読みいただければと思います。
どんな話題だったかと言いますと、質問の方をまず読み上げたいと思いますね。
こんな質問をいただきました。
研究者、英語語源辞典にて、ダスク、黄昏の甲を引くと、中英語ダスク、これが音韻転換した形で、元は小英語のドックスだったと。
さらに遡ると、ゲルマン祖母のドゥスカズに遡ると書いてありました。
これってつまり、二重に音韻転換が起こって、ひっくり返ったものがさらに元へ戻ったということなのでしょうか。
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1回の音韻転換はよく聞かれますが、2回連続というのはすごく珍しい例なのではないでしょうか。
ということで、びっくりマーク、クエスチョンマークということで、すごく珍しい驚きの例だという趣旨でですね、ご質問いただいたということなんですね。
こちらに私が回答を投稿いたしまして、最初にですね、述べておいたのが、ご指摘のダスクのほか、アスク、グラス、ホース、ラムも同様です。
音韻転換の言ってこいは決して珍しいことではありませんというところから始まったんですね。
この音韻転換というのは、このヘルディオでもいろいろな話題で取り上げてきたんですね。
音の位置がひっくり返るということですね。
今回のダスクでいうと、スクのSとKの部分に注目していただくと、ゲルマンソ語ではSKの順だった。
それが、古英語ではドックスというふうにKSの順にひっくり返っている。
ところが、中英語でまたひっくり返ってSK、これが現代のダスクになっているということで、2回音韻転換したので元に戻ったということなんですね。
これにつきまして、比較的長めに他の例も挙げながら、そしてこの問題の考え方について、その問答の方で回答をしたということになるんですね。
そして、問答の方に回答をした時には、私は常にXの方でも、こんな回答をしましたよというふうにリンクを貼って、そしてまとめといいますか、要約的な文章も載せることにしています。
そこで、どういうことをXで投げたかといいますと、このように2月13日の問答に回答を投げた直後ですね、このXの方でも、こんな趣旨で要約的な文章を挙げました。
語源辞典のA→B→Aという表記、一見音が言ってこいをしたように見えますが、実はその裏でAとBの激しい競合がずっと続いていたケースが多いです。
例えば、Ask or Xと発音、表記するのは、今に始まったことではなく、小英語記から連綿と続いている伝統的な揺れです。
辞典に掲載されている単線的なA→B→Aではなく、実際的には伏線的なA→B→A→B→A→Bとして捉えるべき歴史言語学の肝を解説しましたということですね。
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このXの方に投げましたら、この文章のそのものの回答よりも、もしかしたら読んでいただいたのかなというところで、一万数千件ですね。
しかもですね、いいねも100件を超えるということで注目いただいたんですね。
私もこれに驚き喜びまして、その数日後だったと思うんですけれども、さらにより一般的に言語変化を考えるときのある種の専門家としての見方、見方の癖というのがありまして、
それを改めてですね、Xの方にポストしたという次第なんですね。
そこではどういうことを書いたかと言いますと、これも読み上げたいと思います。
このように一般化して回答いたしましたということですね。
こちらの投稿、文章の文章への補足という趣旨でしたが、100いいねがついて元ネタよりも読まれている感じですね。
そこでさらに一般化して述べてみます。
一般に英語詞関連の辞典、ハンドブック、教科書などに見られるA矢印Bのパターンで記述解説される言語変化は、非常に多くの場合において実際には直線的ではありません。
単純化せざるを得ないので直線的に矢印一つで表しているだけなんですよね。
専門家は矢印部分の中身を常に顕微鏡で見ようとしているのでよく知っているのですが、その中身は大抵複数の曲線がくねくねと走っており、逆流したり融合したり分裂したり、
言うなれば地味猛漁のうごめく世界、中では大騒ぎになっているんです。
また親切な参考図書には、A矢印Bの言語変化について一つか二つの原因・理由の記述が与えられていることもあります。
これも本当はもっと多くの原因・理由あるいは背景や条件といって良いものが複合的に関わっているのですが、全部挙げているわけにはいかないので主要な一つか二つを挙げていると理解しておくのが良いと思います。
矢印は間違いなく偉大なシンプリファイアーではありますが、矢印の中身は地味猛漁が百鬼夜行と張梁罰行を繰り返すカオスな世界なんですとこのように書き留めました。
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この文章で私の言わんとしていることを読み取って理解していただけたかなと思うのですが、AからBに変化しましたというふうに教科書やあるいはグッとコンパクトに情報を押し込めたい辞典のようなものではこのような単純な表記がなされます。
これは慣用的になされています。A、右矢印、Bみたいな格好です。
これは外説書、入門書、ハンドブック、教科書、辞典などでは通常の表記方法だと思うのですが、言語変化ならずとも歴史を扱う話題の場合は、これがこうなったというふうにAからBになりましたという字形列を示すのに矢印で表記するということはかなり一般的かと思うのです。
ただ、これは言語だけではないと信じていますが、私は言語の専門家ということで話を言語に絞ってお話ししているのですが、この矢印の中にこそ極めて複雑な現象が起こっていて、それがまたカオスなんだけど面白い。
ここで私は歴史言語学とか英語史ということをやっているのですが、それを表に表現する場合に、学術論文であればその矢印の中身、カオスな世界を描き切ろうと頑張るわけですが、辞典であるとか教科書の類は、なるべく単純化するということも求められているのです。
単純化するということは、もちろん細かいことは抜いてエッセンスを取り出すということなので、そのこと自体は非常に大きな意義がある、教育的意義があると思っているわけですが、
皆さんこの矢印を見た場合に、この裏に、この矢印の奥にといいますか顕微鏡で見ると、どれだけ複雑なことが起こっているのかということは、ぜひ想像していただきたいのです。
具体的に想像は難しいかもしれませんが、極めて複雑、カオスな小さなミクロコスモスがこの矢印の中にはまっているのだという考え方です。
この見方を持っておくと、言語変化の場合のみならずだと思うのですが、とりあえず言語変化においては、それが大体の場合正解であるというふうに受け取ってもらってよいです。
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このことを一般化した形で、このXの方に文章を置き、そしてこのヘルディオでもお伝えしたという次第ですが、これがある意味、言語変化を捉える一つの重要なコツであり、重要な考え方です。
これを今日はお伝えしたいと思った次第です。
単純化されたA、矢印B、これを見たら、その矢印の奥にある、地味猛霊が百鬼や行と徴霊罰行を繰り返すカオスな世界、これがあるというふうに、チラッと頭の片隅にでも置いていただくと、そのままその表記を信じ込む、受け入れるということにはならないと思います。
受け止めるぐらいがいいですね。受け入れるのではなく、受け止めて、ただ、矢印の奥にはまた別の世界といいますか、逆流とか分裂とか融合を繰り返すとんでもない形の矢印が複数うごめいているという、これを思い出していただければと思うんですね。
この癖をつけておくと、さらっと表現されたものも、そのまま受け入れるのではなくて、受け止めどまりにして、他の可能性であるとか、もっと複雑なことが実際に起こっているんだというような、その想像の余地を残しておく、これが重要なのかなということになります。
受け入れるのではなく、受け止めるぐらいが、教科書や辞書の記述というのは、ちょうどいいということなんですね。
ということで、今日は長いタイトルでしたが、A矢印Bという言語変化の矢印の中を覗き込むと、そこは地味猛量のうごめく世界でした。
エンディングです。今日も最後まで放送を聞いていただきまして、ありがとうございました。
この考え方はですね、私が書いているブログであるとか、これまで書いてきた本であるとか、雑誌記事などでもですね、基本的にこの思想は貫かれているはずなんですね。
私、言語変化というものをこういうものとして見ていて、そもそも直線的には全く見ていない。直線的、単線的というんですかね。この見方では見ていないんです。
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ただ表記上を、このようにA矢印Bのように描き表すという関連があるわけですよね。
そしてその真ん中の複雑な部分を全て書き切ることはできないということで、その関連に従っているということなんですが、
実際に私の頭の中で考えられている言語変化、私の言語変化感はですね、この単線、直線の矢印ではなく、複線であり、しかも曲線であり、とんでもない形の矢印がうごめいていると、
これを今日は知味猛量と表現してみました。改めて皆さん、この言語変化の考え方について、皆さんも改めてですね、考えてみていただければと思います。
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