那覇の事件と被害者への二次加害
この時間は日替わりコメンテーターによる解説で、日々のニュースを掘り下げるブラッシュアップ。 月曜日は法学者の谷口真由美さんです。谷口さん、おはようございます。 おはようございます。
さて、今日はどんな話題でしょうか。 はい、あの今日はもう沖縄の話をさせてほしいんです。
はい、あの今沖縄で繰り返し聞こえてくる言葉は、もうその県民はいつまで我慢すればいいのかという言葉なんですけれども、
この言葉の重さを皆さんと一緒に考えたいなと思います。
10月3日の未明のことでしたが、那覇市のホテルで39歳の女性が亡くなっているのが見つかった事件がありました。
翌4日沖縄県警は普天間基地に所属するアメリカ海兵隊の20歳の上等兵を強盗殺人のお互いで逮捕して、
容疑者はこれを否認しているという状況です。
本当に亡くなった女性に心から哀悼の意を表したいと思いますし、
ご家族は私たち家族をそっとしといてくださいというコメントを出されています。
その思いをまず受け止めたいなというふうに思うんですけれども、
その上でどうしてもお伝えしたいことがあるのが一つ。
まず一つ目が、事件の後、SNSで亡くなった女性を責めるような書き込みが相次いでるんですけれども、
小蛇知事も人が殺されることに対して落ち度も何もあったものではないというふうに答えておられて、私は全く同じ考えです。
亡くなった人はもう反論できないですし、
憶測で語って加担することは拡散することは二次加害なので、
どうぞリスナーの皆さんもその拡散に加わらないでいただきたいなと思います。
またかの中身なんですけれども、
「またか」に込められた沖縄の悲しみと怒り
事件の翌日、那覇でも沖縄市でも抗議の集会が開かれていて、
人々が黙祷を捧げた上で聞こえたのがまたかという言葉でした。
地元の沖縄タイムスによると、本土復帰の後、
米軍関係者による殺人事件が少なくとも7件あったというふうに報じられています。
これまでの事件から何があったかというと、
例えば1985年の1月に金町というところですね。
門を駆けって書いてるんですね。
岸の部ですね。
金町で寝ていた住民が包丁で刺されてお金を奪われて亡くなった事件がありました。
容疑者は海兵隊員でしたけど、身柄は米軍が押さえて、
日本の警察はしばらく任意で話を聞こうとしかできなかった。
2016年4月、ウルマで20歳の女性が元海兵隊員の軍属に殺されて、
県民大会に6万5千人が集まったとか、とにかくいくらでも出てくるという状況ですね。
95年なんかは小学生の女の子が米兵3人に暴行されて、
8万5千人の県民集会になったというので、
いわゆる本土復帰後、米軍関係者の犯罪で逮捕された件数は6400件を超えていると。
なのでこのまたかという言葉には諦めの言葉ではなくて、
何十年も約束を裏切られ続けてきた沖縄の皆さんの悲しみと怒りの言葉というふうに私は捉えています。
日米地位協定と身柄引き渡しの問題
改めて日米地位協定って何かという話なんですけども、
ここで理解をしなきゃいけないなと思うんですね。
これは日米安全保障条約、いわゆる安保条約に基づいて、
日本にいる米軍や兵士の取扱いを決めた取決めですね。
1960年に結ばれてから一度も改定されておらず、
例えば事件が起こったときの扱いっていうのは、勤務中かどうかで分かれます。
勤務時間外の事件なら裁く権利は日本側にありますが、
例えば容疑者が先にアメリカ側が抑えた場合は、
日本が起訴するまでアメリカ側が身柄を持ち続けられるということです。
例えば先ほどの1985年の事件がまさにそれで、
今回の事件は勤務時間外で身柄は日本の警察にあるので、
日本の法律で裁けないという話ではないんですね。
ここ間違えると話がすり替わるんですけども、
問題はその仕組みがアメリカの判断に委ねられてるということですね。
1995年の事件の後、殺人とか強姦については、
起訴の前でも身柄の引渡しに、
アメリカ側が公意的な考慮を払うという合意ができました。
でもこれって協定を変えたんではなくて、運用を変えただけなんですね。
この30年で日本が引渡しを求めたのは6件だけで、
そのうち2002年の沖縄の事件では、
アメリカが理由を示さないまま断っているということがあります。
なので沖縄県の調査では、ドイツやイタリアでは、
自国の法律を原則として、その原則を米軍にも当てはめるということをしてるんですけども、
日本は原則として当てはめてないんですね。
なので沖縄県は毎年、地位協定そのものの見直しを国に求めてきたという背景があります。
だから同じ米軍基地があっても、
海外、ドイツとかイタリアとかとの扱いが違うということですね。
事件後の抗議と一時的な対応
今回それぞれがどう動いたかというと、行政関係でいうと沖縄県は、
知事が事件の後、米軍の後期粛清、
退院教育など全く機能していないと言わざるを得ないというコメントをして、
那覇市長と一緒に在沖縄米軍のトップと総領事を県庁に呼んで抗議をしました。
ただここで米軍関係者は謝罪はしてないんですね。
7日には東京に行って首相に直接抗議と要請をした。
県内の市町村で言うと那覇市議会は6日に黙祷を捧げてから、
抗議の決議を全会一で可決しているということで、
宜野湾、宮古島、本部も全会一致なんですね。
沖縄市とか金町とか宜野村も続いて、
9日までに少なくとも7つの市町村議会が抗議の決議とか意見書を可決しているということです。
中身は遺族への謝罪と補償、責任者の処分、地位協定の抜本的な見直し、
そして海兵隊の早期の県外、国外への移転を求めているということです。
今回ちょっと日本政府も早かったんですね。
4日のうちに外務次官、外務大臣、防衛大臣が次々に抗議をして、
アメリカ側は米軍48時間外出と飲酒を止めるということをして、
9日からは30日間、午前0時から午後5時までの外出を禁止したということもあります。
10日の夜は、昨日の夜は、ルビオ国務長官が茂木外務大臣に電話で深い哀悼の意を伝えて、
総裁への全面的な協力を約束したというので、
この字面だけ聞くとアメリカ側もすごくやってるんじゃないかみたいなふうに思うんですけれども、
沖縄だけに押し付けないために
それは良いことかもしれないんですが、抗議も外出禁止も哀悼もすべて事件が起きた後なんですね。
なのでこれまでも毎回同じことが繰り返されています。
ルビオ国務長官は善意でやってるかもしれませんけども、
大きな事件が出た時に出てきたとしても、いつも出てくるとは限らないですね。
だから沖縄の方たちが求めてきたのは、そんな謝意とか謝罪とか善意とかではなくて、
仕組みで出て行ってほしいということを言ってるわけですね。
沖縄の海兵隊って実は今年中東に派遣されてるんです。
7月に戻ってきてますけれども、いわゆる戦争に行った、
そういう暴力扱う訓練を受けた組織の皆さんが、戦地と行き来しながら生活のすぐ隣にいてるっていう構造が、
暴力と地続きになってないかっていうことを考えなきゃいけないんですね。
やっぱり本土にいている私たちもそこから目をそらすべきではないと思いますし、
九州も無関係ではないですね。九州にも米軍基地ありますので。
そういう意味で言うと、皆さんの生活とも隣り合わせにあるということがあると思います。
だから九州の皆さんも同じ地域協定のもとで、日本の私たちも暮らしているということで、
沖縄の問題ではなく日本の問題だっていうふうに考えなきゃいけないんですね。
こういう事件があると主語沖縄にして、沖縄の問題ですねっていうふうにしがちなんですけども、
これは日本の問題で、政府が国民を守るというなら沖縄の皆さんも国民だし、
そういう守られる中に沖縄の人も沖縄の女性もいているということを、
言葉ではなくてですね、地域協定の見直しという行動をしていかなきゃいけない。
その際に、私たちの問題である、日本の問題であるっていうことをきっちりと抑えた上で、
沖縄に過度に押し付けないっていうことを、
ちゃんと過度に押し付けてる構造をやめなきゃいけないっていうことを考えなきゃいけないなあということを改めて思いました。
規制の実効性と再発防止
本当に、今回も形は外出禁止だとかね、お酒も飲むなとかやってますけど、
実効性伴うのかどうかってところをしっかり示すようなものにしていかないと、
この2年間の間でも同じようなことをやって、その間にも被害件数が増えてるっていう現状がありますからね。
今日はアメリカ軍海兵隊による強盗殺人事件以降の動きについて解説していただきました。
谷口さんありがとうございました。
谷口舞美のブラッシュアップをお送りしました。