この番組では、Google for Education認定イノベーター、コーチ、トレーナーのKasaharaが、教育にまつわる様々な話を配信していきます。
今日は、総合型選抜の書類の話です。
志望理由書って、書けることを全部書こうとした瞬間に、何が言いたいかわからない書類になっちゃうんですよ。
800字とか、まあ多くても1500字、600字ぐらいの中で、手札を何を切って、何を面接まで取っておくのかというあたりの話を、書類作りに付き合っている先生と、今まさに書類を書いている受験生に向けて話をしていこうかと思っています。
総合型選抜の話は、今週で3回目になりますね。
第112回で、精度と数字の話をして、ニュースの全体像を紹介しています。
また、先週の第113回で、どういう生徒が向いているのか、みたいな話もお伝えしましたね。
で、向いている生徒は分かった。じゃあ、実際に何をするのかというのが、今日の話になってきます。
総合型選抜は大学によって差はあるにしても、やはり書類と面接の比重が重いニュースなんですよね。
大学によっては書類審査しかないところもあるので、どこまで何を書くかというのがかなり勝負を決めるわけです。
一応先にお断りしておくと、今日お話しするのは、高校の現場で書類作りに付き合ってきた自分の実感です。
大学ごとに見ていることは違いますし、面接の場で実際に何が起こっているのかというのも、自分が見聞きした範囲になります。
だから、こう書けば受かるという話ではないので、そういうつもりで聞いていただけたらと思います。
それでは、今週のデジタル時代の国語教育を語ろうを始めていきましょう。
本題に入る前に、先週話したことをざっと振り返っておきます。
先週の最終的な結論は、総合型選抜に向いているのは、自分の話したいことがもうあって、人に話し始めると止まらないような人だというものでした。
こちらが止めても止まらないくらいの生徒は、大学の側から見ても、たぶん一目でわかるんだろうなと思っています。
ただし、やりたいことが最初からあふれている生徒ばかりではなくて、実際には書類を作っていくうちに、自分が何に引っかかっていたのかということに気づいて書けるようになってくる生徒もいるんですよ、という話もしました。
逆に、しばらく書いてみて、自分を分析してみて、それでも自分の言葉がうまく出てこないのであれば、努力の方向性がはっきりしている一般選抜の方が向いているんじゃないかというのが、先週紹介した線引きでしたね。
あとは、人気大学については、一発逆転は早々起きないので、宝くじを狙いに行くならやめておきなさいと生徒に言っているという話も紹介しました。
また最後の方では、総合型選抜のすそのが広がっているということも紹介しましたね。
普通の高校生活をちゃんと振り返って自分の学び方を説明できる生徒が、総合型選抜でチャンスが広がっているのだというような話も紹介しました。
で、今日はその続きです。言いたいことがあふれるくらいある生徒が向いているとは言ったものの、あふれていることとそれがうまく言葉になること、書類が仕上がることはまた別問題なんですよね。
なので今日は、あふれているものをどう言葉にしていくのか、自分が書類作りに付き合うときに何をしているのかということを紹介してお話ししていこうと思っています。
まず一番最初に言っておきたいことが何かというと、これが最近勘違いされていることなんですが、派手な実績が総合型選抜や学校推薦型入試に必要なわけではないんですよ。
もちろん競争率の高いところになると話はちょっと変わってきます。
先週も話した通り、そういう大学では誰が見てもわかるようなエビデンスが求められてくるので、結果的に外部のコンテストですとか何かの活動履歴だとかを準備することが必要になってきます。
ただ一部の超勾配率の大学を除けば、まず必要になるのは自分の経験に意味をつけて、自分のやりたいことを語って、そのやりたいことが将来どういう展望につながるのか話す、そういうことなんですよね。
つまり現在と過去と未来の話をしっかり書き切るっていう、そういうことに尽きるかなと思っています。
だから総合型選抜だからといって、慌ててお金を払って実績になるような活動を買ってくる、まあそういうとちょっと言い方強くはなってしまってるんですけど、今はそういう実際にパッケージみたいなものもあったりするので、
そういうようなことでパッケージを買ってきて、わざわざプラスアルファで体験を積みに行くみたいな必要は基本的には自分はいらないだろうと思っています。
大学の面接の様子を見聞きしていても、3年生になってから月焼き場で体験したものについては結構厳しく追求されるイメージあるんですよ。
面接をする側も書類や活動履歴書を見て、どの時期に何をやっているのかというのを見ているので、
急にポーンと入ってきた活動に関しては結構やっぱり厳しい質問が飛んできがちだなという印象を、ここ数年の生徒からの報告だと個人的には思っています。
逆に面接で結構掘り下げられていることが何かというと、学校の普通の生活の中で取り組んでいること、要するに教育過程の中でやっている探究学習なんですよ。
探究の授業で何をしてきたのか、どういう積み上げがあるのか、どういう学習のプロセスをやってきたのかみたいなことをしつこく説明させられるケースが増えている印象があります。
明示的に学校の探究で何やったのっていうのをかなり強調する大学もあったりしたので、なかなか外部で買ってくるみたいなことはまあまあまあ結構警戒されてるなっていう印象です。
外部の実績で評価するみたいなやり方をしていた時代が、ある意味でハックされてしまったので、外部の実績ではなくて日常的な学校での学びの様子を深掘りして確かめるようになってきてるんだろうなと自分は見ています。
結局大学入った後の学び方につながってくるところだと思うので、大学入ってちゃんと脱落しないで学べるのかみたいなところが、まあ探究の取り組み方で少し測っていこうというそういう流れなんだろうなと思ってますね。
身も蓋もないことを言ってしまうと、総合型選抜を使って自分のやりたいことを伝えるべき人にちゃんと伝えてやりたいことが実現できる大学を探していくには、高校3年間かけて自分のやりたいことをじっくりと育てていくしかないんだろうなと思いますね。
3年生になって一発逆転では絶対にないわけですよ。
例えば良くないパターンみたいなのがどういうのがあるかというと、経営学部や経済学部に行きたいからといって、3年生になっていきなりビジネスプランコンテストに出てみたりだとか、ボランティア活動をやってみたり海外行ってみたりだとか、とりあえず書類に書いてみましたみたいなことなんですよ。
書類の上では形になっても、例えば面接で揺さぶりをかけられると、受け答えができなくなっちゃって、まあ積んじゃうみたいなことがよくあるわけです。
反対に、外部で派手なコンテストの実績がなかったとしても、高校3年間の探求を通して、例えば組織開発についてひたすら細かいところまで調べ上げて、実際それを活かして、高校ではこんなことをやって、さらに大学でその高校の経験をこういう研究で考えてみたいみたいなことを具体的に話せる生徒は、やっぱり聞いてる側としては魅力的に移るわけです。
活動の規模が小さくても、実績としては地味でも、かけてきた時間がエビデンスになって後押ししてくれるようなことは結構大きいんですよね。
だから自分の中で一貫性として話せることは何だろうと探っていくことが書類作りだとまず一番大切なんだろうと自分は思っています。
で、生徒が勘違いしやすいことがあって、それが何かというと学校の部活動や委員会活動のことなんですよ。
志望留書の半分くらいまで書いてくるみたいな生徒が結構な数いたりするんですね。
例えば自分が運動部で1年生の時からこういうトレーニングをして、2年生で大会に出てうまくいかなくて、3年生だとこういう結果が出ましたみたいなことの部活動の振り返り記録みたいなことで800図のうち600図ぐらい書いてきた生徒だとかいたんですけど、
結局部活動そのものが評価されるのではなくて、そこから学んだことをナラティブとして抽象化して、こういう教訓があるんだというふうにまとめきることが重要なので、
もうたくさん書いてきたものを本当に2行とか3行だとかに削るみたいな作業をやったことをおりましたね。
ちょっと残酷な言い方をすると、部活動や委員会活動は大学や学部の系統によってちょっと差はあるにしても評価のメインには来ないなぁと思ってます。
生徒が期待しているほどに部活動のことだとかは評価してもらえないものだと思っておいた方がいいですね。
理由は単純で、まず数の問題ですね。高校生であれば多くの生徒が部活動をやっているので差別化そもそもしづらいんですよ。
全国大会出るくらいの実績があればともかく、普通の部活動で3年間頑張りましたということだけだと、そもそも部活動は自分が好きでやっている活動なので、
好きでやっている活動で自分はすごいでしょうとアピールされても客観的に評価できる指標にはなりづらいんですよね。
そして話としてもうまくいかないことがある。何か一生懸命話し合いをしました。こういうトレーニング新しいことをやりました。そしたらうまくいきましたみたいな形で、
ある一定の形に集約されがちなので、やっぱり読んでいて差別化しづらかったりするんですよね。
まあ部活動のことを書いちゃダメだという話ではないです。部活動を踏まえて自分が大学でどういう学び方ができるのか、
自分の学びたい分野と部活動の経験がどうつながっているのか、本来論じなきゃいけないのは大学の学びの方なのに、
高校の部活ではこんなにすごく頑張ったんですみたいな思い出話で収集しちゃうケースが多くなっているのが問題なんですよね。
思い出話になった時点で、まあ死亡理由書じゃないですよね。問われていることに答えられていない書類になりがちになってしまうので、
だからまあ書き方は部活動だとかに関してはかなり注意が必要なところなんです。その意味だと部活動の扱い方は教員側もかなり注意が必要ですね。
教員って部活動大好きな先生多いですからね。部活動のことをたくさん書類に書かせたがる先生も一定数いるんですけど、
個人的にはもう必要十分なこと以外は部活動は黙っといたほうがいいかなって思います。要するにダラダラ書かないっていうことです。
一番問われているのは大学での学びだとか大学で何するのかというような未来の話で、
高校の部活動をアピールするように書いても、まああんまり優先度は高くないんじゃないかと思ってます。
要するに文字数に対して費用対効果が良くないなというのが個人的な意見です。ただ部活動の話を使うなということでもないんですよ。
むしろ自分が自信を持って話せる内容を書類に全部書き切ってしまうとそれが良くないんだよっていう話でもあります。
面接だとかの時に手札として取っておくのもまあ手なんですよと、使いどころをよく考えたほうがいいというそういう話になってきます。
で、この部活動の例からもわかる通り書類作りで一番陥りがちになるのが何かというと、
自分が書けること言えることを全部盛り込もうとしてマシマシな書類になってしまうことなんですよ。
その結果一つ一つの要素が薄まって何が言いたいことかわからない書類になっちゃって全然読んでも伝わらないものになっちゃうんですね。
もちろん書類審査だけの大学に関しては自分の持っている手札をある程度出し切らなければいけない面もあるのは事実です。
ただそれでも全部を羅列的に書いてしまうと何を言っているか伝わらないんですよね。
言いたいことを全部言おうとすると話が羅列になってしまって、羅列された話というのはそれを受ける受けてからすると何言ってるかわからないみたいなことになりがちです。
じゃあ何を意識すればいいのかというと、点と点で集めてきた自分の経験を物語として伝えるっていうことなんですよ。
相手に伝わる物語としてこれまでの経験をどう組み立て直すかということが勝負になるわけです。
その時の型として役に立つのが現在、過去、未来の順番で書くということですね。
これは結構聞きますね。生徒にこの順番で書くように自分は指導することが多いです。
まずは現在の自分の紹介から始めるわけなんです。
今何に興味があってどういうことを志望していて何に取り組みたいと考えているのかというまさに今の自分の興味関心ですね。
で次にじゃあその今の自分にたどり着くまでに高校3年間でどういう取り組みをしてきたのかを書いて過去の点をつなぎ合わせていくんです。
でそうして読んだ人がなるほどこういう経験で現在地のやりたいことにたどり着いたんだねと納得するような物語にしていくわけです。
その上で最後に大学での学びや学習計画をどう考えていくのかをちゃんとアピールするというのが基本的な書類の流れだなというふうに自分は思っています。
で時数の話もやっぱり踏まえておきたいんですね。
志望理由書ってだいたい800字ぐらい多くても1500、600字ぐらいなので書ける情報量って実は全然多くないんですよ。
例えばさっき話した現在過去未来の話であるならばそれぞれまあ200文字ぐらいから多くても500文字ぐらいずつしか書けないわけです。
でまあ過去のところを少し厚めに取ろうとしてもまあ文字数としては500字だとか多くても1000字いかないぐらいですよね。
その過去のところに自分の体験を3つも書いちゃったら1つあたりにかける文字数って100字とか300字とかそのぐらいしかなくなっちゃうわけですよ。
自分の経験をツイッター1回つぶやく分ぐらいで書いてしまうのはまあちょっと無茶ありますね。
なので書類のバランスを見るというのが本当に大事なんです。
何を一番伝えれば自分は後悔しないのかという優先度をつける作業がそのまま大学の学びを焦点化していくことにつながっているんですよね。
言いたいことがいっぱいあるのは受験生の気持ちとしてはよくわかるんですけど、
ただその中からあえてどれを選ぶのかという絞り込み自体が自分の探求の興味関心を磨き上げていくことにつながっていくので、
ここはやっぱり逃げらんないんだなと思いますね。
自分が指導している生徒だと部活動のことも書きたい、委員会のことも書きたい、海外に留学行ったことも書きたい、コンテスト出たことも書きたいみたいな形で4個とか5個だとか
られついていろんなもの書いちゃったんですよ。そうするともう本当に一つ一つについては1行とか2行とかしか書けなくなっちゃうんですよ。
そうなってくるとせっかく1個1個やってることがすごい素晴らしいことなのに内容としては伝わらない文章になってしまうのでもう1本にしなさい。
例えば留学が良ければ留学の話で一点突破しなさいみたいな指導をしたことはあるんですよね。
これがやっぱり自分だと選べないんですよね。どれが魅力的なのかってやっぱり判断つかないんですよ。
だから絞り込む作業については大人がちゃんと付き合ってあげた方が良いなと自分は思っています。
書く内容を絞り込んでおくことには実は面接対策としての意味もあるんですよ。
面接の対策だけをやろうとしてもやっぱりうまくいかなくて、書類を作る段階から面接を睨んで考えておかなければいけないんです。
書類を書く段階で自分の経験をとにかく広く深掘りしておいて手札をたくさん揃えるんですよね。
その上で書類には一部を匂わせるぐらいしか書かないでおくと面接のところでその話を突っ込んでもらえるチャンスってやってくるんですよ。
そうやって深掘りしたものをたくさん広げて持っておくと想定外の質問が来た時にも持っているカードの中から切れるようになるので落ち着いて面接が話せるようになるんですよね。
さっきの部活動の話も書類には必要十分なことだけ書いて、残りは具体的なエピソードだとかに関しては面接で話せる手札として有効活用すればいいんじゃないかと自分は思っているわけです。
最後に書類を書く時のコツ、秘訣みたいな話ですね。それを一つだけ話しておきます。
それが何かというと総合型選抜がいろいろなことを丁寧に評価してくれるニュースであることは基本的に間違いないです。
ただその前提として意外と一人一人にかけられる時間は短いということは頭の中に入れておいたほうがいいんですね。
多分自分たちが受験生が期待するほど時間をかけてじっくりと付き合ってくれるかというとそこまでではないだろうというつもりで準備したほうがいいんですよ。
他のニュース制度に比べると確かに自分のことをたくさんアピールできてそれを評価してもらえるように見えるんですけど、
人間一人をちゃんと100%理解して評価しようと思ったら全然時間がまるで足りない中で試験をやっているはずなんですよ。
準備もそのつもりで相手が時間がない中で見ているんだというつもりで組み立てたほうが絶対に良いと思います。
まあそれが何かというと端的に言うと書類を読む人に負担をかけない、書類に書いてない余白を読み手に埋めさせないというところまでが受験生がしっかりと責任を持って相手のリアクションを考えて書き切るっていうことが大切になってくる部分だと思ってます。
言ってしまえば死亡理由書というのは究極的には自己紹介なんですよ。
自己紹介を丁寧にやって相手に自分の反省みたいなものを理解してもらうっていうそういう作業なんですね。
でそのために何から話せばいいのか、何を一番自分という存在として伝えたいのかというのを考えていくものがまあ死亡理由書なんだろうなというふうに自分は思ってます。
自分の自己紹介をするときに相手に自分ってこういう人間ですみたいなことを想像させたりはしないじゃないですか。
ちゃんと1から10まで説明するじゃないですか。
だから死亡理由書に関しても余白を無駄に作らないようにして自分ってこういう人間なんです、こういう話ができますというのが伝わるような形で書いていくことが重要になりますね。
でそれでいて面接でやはりこの人に話を聞きたくなるなみたいなことを要素として散りばめておく必要があるのでそのバランスを考えることがまあ大人と2人3客でやらなければいけないことなんだろうと自分は思っています。
ここまでお聞きくださりありがとうございました。
ということで総合型選抜の書類の話をしてきました。
なかなか抽象的で難しい話をしてしまいましたね。
ただまあ一番わかりやすいコツとしてはできるだけ多くの自分のことをよく知らない人に見てもらうことが良いかなと思うんですね。
学校の担任の先生だとか授業を教えてもらっている先生に添削してもらうと自分のことを知りすぎてしまっているので余白だとか文章の流れの飛躍があってもなかなかそこを指摘されづらかったりするんですよね。
なので本当に自分で総合型選抜勝負したいなと思うのであれば自分のことをよく知らない信頼できる大人を見つけてくるということが実は結構近道になるんじゃないかなと思ってますね。
その意味だと担任の先生もどの先生と生徒を引き合わせるのかみたいなことなんかもプレッシャーかかる時期ではあるんですよね。
さて、9月の教育系ポッドキャストの日は自分がもうバタバタしていて全然手が回りませんでした。
10月の教育系ポッドキャストの日は何とかして実施したいなと思っているので、またご参加していただける方が増えたら嬉しいなと思っています。
続けなきゃなーとは思ってるんですけど、やっぱり仕事が始まってバタバタするので2ヶ月に1回くらいの開催の方が落ち着いて開催できるのかなーなんてことも思っています。
ここまでお聞きくださりありがとうございました。
感想はコメント欄やSNSでハッシュタグデジコクとつけてぜひお気軽にお願いします。
概要欄のメールアドレスやGoogleホームに直接コメントをいただけても嬉しいです。
この番組は毎週月曜日に1回配信されます。
またボイスイでは毎日配信もしているのでぜひそちらもお聞きください。
それでは次回の配信でお会いしましょう。
ではまた。