卒業生との再会
おはようございます。英語の歴史の研究者、ヘログ英語史ブログの管理者、そして英語の謎に答える初めての英語史の著者の堀田隆一です。
10月13日木曜日です。いかがお過ごしでしょうか。 英語の語源が身につくラジオheldio。
本日はですね、第500回ということに気づきまして、 普通の回でいつもと特に変わらないんですけれども、
本日の話題はですね、【再】alumnus, alumna, old boy, old girl, alma mater、
卒業生と飲みます、です。どうぞよろしくお願いいたします。 10月13日の木曜日ということなんですけれども、今日はですね、
今晩、卒業生と久しぶりに会って、大学の近くで飲むことになっていまして、1年半前に卒業した2020年度卒業生ですかね、私のゼミに所属していた数名の卒業生と大学の近くで待ち合わせをして飲みましょうということになっていまして、
会う機会がありませんでしたので、ほとんどそうですね、1年半ぶりということでですね、再会する、皆社会人になって、わりわりと活躍してるんだろうなぁと思いながら、今から楽しみにしているんですけれども、卒業生と会うということですね、この英単語、関係する英単語の語源、これを話題にしてしまおうということを考えているわけなんですけれども、
卒業生と言いますと、英語ではalumnus、これ男子卒業生の場合ですね、女子卒業生の場合はalumnaというふうになります。ALUMNまでは同じなんですが、USが付くとこれは男性ということになり、Aが付きますと女性ということでalumnus、alumnaという男女の卒業生を言い合わせます。
言い分けるということなんですけれども、これは元々がラテン語だからなんですね。ラテン語には男性形、女性形というのがありまして、男性形、男性名詞の場合はUSで終わるというのが一般的です。そして女性形であれば、女性名詞であれば、Aで終わるということでalumnus、alumnaという言い方をするわけですね。つまり元々が外来語、釈用語だということです。ラテン語から入ってきました。
このラテン語からの単語っていうのは、古英語、以前からですね、ある意味大陸時代から英語はたくさん受け取ってきたんですね。この辺りの話題はヘルディオの過去の回でもいろいろと取り上げてきたわけなんですけれども、古英語、中英語と取り入れてきて、ただですね、数的に量的にものすごい勢いで取り入れたのが初期近代英語なんです。
1500年から1700年くらいのことなんですけれども、実際にこのalumnus、alumnaという単語、これはですね、17世紀半ばに英語に仮入れられています。その辺りの時代に仮入られたものっていうのは、ラテン語そのまんまの形なんですね。
いわばUSで男性を表すとか英で女性を表すっていうこの部分は、ラテン語における屈折語尾と呼ばれる部分なんですけれども、多くの場合、こういう屈折語尾、外国語の屈折語尾っていうのは切り落とした形で取り込むっていうことが多いんですが、この時代からのラテン語の場合ですね、多くこのように切り落とさずにそのまんまの形でラテン語を取り入れる。
さらにですね、複数形、卒業生ですから当然複数形になり得るわけなんですけれども、これもですね、英語流のSをつければいいというような英語風の複数形の作り方ではなくて、本家本元のラテン語での複数形の作り方ですね。これで作られた複数形を英語でも使うっていうことになっています。
男性名詞のUSの部分ですね。これが複数形になるとIに分けますので、英語風にここは読むんですが、アラムナイとなります。つまり語形上、スペリング上は完全にラテン語での複数形の作り方っていうことになるわけです。
ラテン語でアルムニーというに読むんですが、発音に関してだけは英語化してですね、アルムニーと読まずにアラムナイというに英語化した形で取り込んではいますが、形そのものはラテン語の複数形に依存していると、それをそのまま借り入れているっていうことです。
同じように女性の方もですね、アラムナっていうのが単数形なんですが、ラテン語ではイ語尾をつけることによってアルムナイみたいにすることで複数形を作るんですね。これがそのまま英語に入っていきまして、ただ発音だけはここでも英語化しましてアラムニーとなります。
AEの部分をEと読ませるわけですね。なのでアラムナイ&アラムニーというと、これ男子も女子も含めた複数の卒業生という意味になるわけですね。さてこの単語なんですけれども卒業生という単語ですね。
さかのぼるとどういう意味に行き着くかと言いますと、引用祖語のALという語根にさかのぼります。これはですね、育てるとか養育するというような意味なんですね。
この育てるという動詞の語根なわけ ですけれどもこの動詞をいわば
過去分詞形受け身にした形なんですね つまり育てられた男育てられた
女というのがある意味ではalumnus alumna の原義ということになります
つまり学術的に学問的に育てられた 人これが卒業生ある学校の卒業生
だとそういう意味になるわけですね ここで面白いのは卒業生たちが
よく使う単語ですがボコって言い方 しますよね英語ではこのボコの
ことをalma materと言いますalma mater これ自体がやはりラテン語のフレーズ
をそのまんま英語に持ってきている ものなんですねこのalma materボコ
はこれは18世紀前半ということで 先ほどのalumnus alumnaとそう遠くない
ですね時間的にはalma materこれが 英語に入ってきました最初に使
われたのは実はオックスポード 大学の卒業生がボコのことalma
materと呼んだっていうところが スタートでそれが他の大学にも
あるいは大学でなくても別の学校 一般に広がってボコということ
になったんですがラテン語でalma というのはまさにalumnus alumnaの
語根である引用詞語のalあれに やはり遡って今度はどちらかという
と能動的なんですつまり育てる 養育するっていうことですねそして
materっていうのはmaterというラテン 語の母ですつまり育ての母って
いうことですまさに母校っていうこと ですね学術的に学問的に育てて
くれた母なる学校というくらい の意味ですもともとは持養の女神
栄養を与えてくれる女神の名前 としてalma materという名前と言います
か比喩的に付けられたんですが さらに比喩的にこれが学校にも
転用されたっていうことで一種 の擬人法なわけですけれども母
なる存在ぐらいの意味ですそして その母に育てられた息子娘っていう
のがそれぞれalumnus alumnaということ になりますこんなふうに語源が
つながっているっていうことなん ですねさてさらにカジュアルな
言い方では日本語でもob ogっていう 言い方ですねこれありますね卒業
生であとか経験者に対して言われる 表現ですがこれはもちろんold boy
old girlということなんですけれども 当然現役生に比べて年が上だということで
語源の探求
oldを使ってるんですがなんとこの oldこれ自体は英単語ですいわば
小英語からある本来のアングロサク ソン系の単語なんですがolの部分
がなんと引用語根alに遡るんです つまりoldもやっぱり育てられた
から年を取ったということですね 育って年を取ったという意味的
関係がありますのでalumnusとold boy っていうのはほぼ同義になわけ
ですけれども語源的にも関係があった 前者はラテン語周りで英語に入って
きた後者old boyのoldは直接英語に 入ってきたルーツは同じ引用語
のalという語根なのだということ になりますもう一つ言いますと
栄養持養という意味でelementっていう のがありますねelementという単語
ですがこれが持養栄養を表すということで もちろん関連語だということは
わかると思います頭にalでの語根 がちゃんと残っています
ということで今晩の私の予定は 英語で言いますと
This evening, I'll have a good time drinking with alumni and alumni from my seminar near
their alma mater. ということになりますそれを楽しみに今日も仕事一日
頑張りたいと思いますエンディング です今日も最後まで放送を聞いて
いただきましてありがとうございました 冒頭でも述べましたが気づかない
うちに今回第500回目の配信ということ になりまして1年半はいかないん
ですかね1年半弱ですけれども よく続いてきたなと思う一方で
あっという間だなというふうにも 思いました話題が続く限りは今後
も続けていきたいと思いますその ためには皆さんにいろいろコメント
いただいたり質問いただいたり それへの反応という形で新たな
話題を展開していくということ もこれまで多かったですのでこれから
も皆さんの反応どうぞよろしく お願いいたしますそれでは本日
も良い一日になりますようにほ ったりウイチがお届けしました
また明日
