単語の借用についての導入
堀田隆一です。英語の語源が身につくラジオheldio、英語史をお茶の間におもっとうに、英語の歴史の面白さを伝え、裾野を広げるべく日々配信しています。
本日は12月20日火曜日です。皆さんいかがお過ごしでしょうか。 本日お届けする話題は、
【本・再放送】そういえば単語はよく借りるけれど返すことはないですよね、です。 どうぞよろしくお願いいたします。本編に入る前に一言お知らせをさせてください。
京都大学の家入陽子先生と私堀田の教授。文献学と英語史研究が来月2023年1月中旬に開拓者より発売されます。
英語史研究のガイドブックという内容の本です。英語史を研究する方、研究を志す方に過去40年ほどの研究の動向と今後の展望を整理して示すという趣旨の本ですので、やや専門性が高い書籍ではありますが、ぜひ手に取っていただければと思います。
文献学と英語史研究、開拓者より1月中旬に一般発売となります。このチャプターに本書を紹介するヘログの記事へリンクを貼り付けておきます。ぜひご覧ください。
以上、お知らせでした。このチャンネルは英語の語源が身につくラジオということで、英単語の語源を探るということが一応メインということになっているんですね。
単語の借用の比喩性
実際、これまでの放送でもたくさんの単語を取り上げてきまして、英語の場合、これも過去の放送でいろいろな形で述べてますけれども、英語語彙の3分の2が釈用語なんですね。外から入ってきた単語で、本来の英単語ではないということなんです。
ですので、だいたい英語の語源を探ると言いますと、外から入ってきた単語の語源を探るということがですね、つまり3分の2回あるわけですよ、平均すると。
だいたいはフランス語とかラテン語から入ってくるものが圧倒的多数なわけなんですけれども、このようにある意味このチャンネルはですね、だいたい釈用語を扱っていると言っても過言ではない言い訳なんですね。
この界隈の話っていうのをいろいろとしていまして、実際昨日の放送ですね、567回では外来語化、釈用語化という外から入ってきた単語にどういう名付けをするか、外来語っていうのが日本語で一般的に通りがいいんで使ってしまうんですが、私はですね、より専門的な文脈では釈用語という表現をもっぱら使うように心がけています。
気が緩むとですね、日本語で通用している外来語、こちらの方が通用するので、つい言ってしまうことはあるんですけれども、なるべく意識して釈用語という表現を使っているっていうことです。
英語でもborrowed wordsとかloan wordsという言い方をして、borrowedとかloanっていうのはやっぱり借りるっていうことですよね。
それからフランス語でももあんぱんてという形で、まさにword borrowedのような言い方ですよね。借りられた単語ということで。単語はですね、外から借りるもんであるという発想がですね、非常に多くの言語のこの釈用語を意味する単語ですね。この表現に使われている。借りるということがとっても比喩としてわかりやすいんだと思うんですよね。
いわば概念メタファーとして、言葉、単語というのは物であるというような発想、認知の方法っていうのが背後にあるっていうことになります。物のように借りることができる。それが単語なんだという考え方ですね。
もちろんこのような比喩ってしばしば便利なわけで、実際にですね、単語を借りるとか釈用語という表現は全くですね、違和感なく日本語でも使っているわけです。英語のborrowed wordsとかloan wordsもそうですし、フランス語のもあんぱんてもそうなわけです。
ですがあくまで比喩ですから、比喩っていうのはそのものではないので限界があるんですね。例えば単語は借りると言うけれども、返すことはないわけですよ。普通は。つまり単語は物であるという概念メタファー、比喩はですね、いとも簡単にこの返すという反対語、これを考えるとですね、崩れてしまうっていうことがとてもよくわかるんです。
では、どこまでこの比喩ですね、概念メタファーとしての単語は物であるというふうに考えた場合、どこまでこの比喩が通用して、そしてどこからは通用しない、比喩の限界なのかということを考えることによって単語の釈用のある種特徴みたいなものが浮き彫りになるんではないかということでですね、
今回は単語を借りるという表現の比喩性について考えてみたいと思うんですね。どこまでうまくこの比喩は行っているのか、そしてどこからはダメなのかというこのあたりを考えてみたいと思います。
これ実は議論しだすとですね、いろいろ出てきてとても面白くて長いことになってしまいますので、ここではですね、4点だけ指摘したいと思います。
どちらかというと、この物と言葉の比喩がうまくいかないところですね。つまり借りるけれど返さないでしょというような、そのような点をですね、4つぐらい指摘したいと思います。
一つ目です。まずですね、物を借りるっていう時には大抵相手に許可を求めるんですよ。借りていいですかとか、貸してくださいっていうことですよね。
ところが語を借りる、単語を借りるっていう時には許可を求めないんですね。勝手に相手言語から持ってきてしまっていいんです。つまりですね、好きなものを好きなだけ、好きな時に借りることができる。
つまりこれはですね、場合によっては盗みに近いんではないかということなんです。
そうすると盗み、盗んだものって普通返さないですよね。
落語では泥棒話などでですね、盗んだものを返すなんていう笑い話があるわけですけれども、普通返さないわけです。
ですので単語っていうのは借りるんではなくて盗むんではないかという新説が出てくることになるわけですね。
次です。2点目。1点目とも関わるんですけれども、物の場合、貸しては貸したっていう認識があるんですね。
ところが単語の場合、貸しては貸したという認識がない。
先ほどのやはり盗まれたということと近くてですね、盗られたことを認識してないっていうことがありますね。
この1、2は関連することになりますけれどもね。
3つ目。これもやっぱり関連してくるんですけれども、結局ですね、物を貸したら貸しての手元からそれなくなりますよね、そのものは。
ところが単語を貸したとしても依然としてそれは貸しての手元にも残ってるんですね。
つまり単語の場合には移動ではなくてコピーが起こっている、複製が起こっているっていうことなんです。
だからこそ貸してはですね、貸したという認識がないわけです。
単語は特に何も変わりなくそこに存在してるからですね。
さらに許可を求める求めないっていう一番目のことにも関係してきますよね。
そうするとですね、単語のコピーが起こっているっていうことになって、先ほどの新しい説かもしれないということで唱えた単語というのは盗むものであるというのもですね。
単語の借用の利点と影響
必ずしも当たっていないっていうことがわかります。
盗まれたら普通貸しての元からそれなくなるんですよね。
ですがなくなってないんです。
なのでコピー、複製というのが割といい比喩なんではないかと。
4つ目です。これまでの3つから結局流れ出てくる結論なんですけれども、貸しては貸した後にも喪失感を覚えないっていうことですね。
そもそもあるわけですから、それ残ってるわけですから、何か失ったとかいう発想がないわけですね。
ですので借り手としてはですね、特に返す必要もないという理屈になるわけです。
貸してが特に困ってないわけですから、何を返す必要があろうかということですね。
しかもですね、もし借り手が律儀な人でですね、貸してに返したと言ってもですね、貸しては何も失ってないので返されたと言ってもまたコピー返されるようなもので、なんだかよくわからないっていうことになるわけですね。
ここまでのバカバカしい議論だったんですけれども、考えてみるとですね、言葉の釈要、単語の釈用っていうのは、
いわばですね、誰にも迷惑かけないんですよ。しかもノーコストで自分の言語に外の言語から新たな語彙項目、単語ですね、これを付加するということができるということで非常に安いんですね、コストが。
誰にも迷惑かけないし誰をも傷つけないということでものすごく安い。
しかも減るものがないっていうことです。純増です。新たに増やすことができる。しかもそこはほぼノーコストでできるっていうことで、魔法のようなことなんですね。
物質世界だとこんなことはできません。言葉だからできるっていうことで、あまりにこの過程が容易だからこそ日本語でも英語でもそうですけれども、釈用っていうのは怒るんですね。怒らざるを得ないっていうぐらい経済的にはコストがかからないっていうことなんです。
いかがでしょうか。言語というものにはあるいはこの言語を司る人の精神というものには無限の可能性が秘められているということにもなるわけですね。
このチャンネルでも非常に多く釈用語の話をしてきましたけれども、改めて釈用、Borrowingについてここまで深く語ってきた回はなかったと思うので、改めて皆さんにこの単語の釈用というのがどういう過程なのか考え直していただきたいと思います。
コメント返しいきたいと思います。
まず過去回なんですけれども、割と古めのですね240回なんですけれども、MorningとTomorrowの語源につきまして、後藤の海塩さんからコメントをいただいています。
時間を見つけて過去回も聞いていますが、今回のものもうんちくの方向、英語詞の面白さ意義を感じることができます。
ということでMorningとTomorrow、このMorっていう部分が語源が同じなんですということですね。
さらに放送会の中ではですね、EveningとかEveの話もしたと思うんですね。
そろそろクリスマスEveの時期ですが、このEveの語源もですね、合わせてそちらで扱っていますので、240回MorningとTomorrowの語源、まだお聞きでない方はですね、ぜひ聞いていただければと思います。
割とこのチャンネル、英語の語源が身につくラジオの本筋をいくような話題だったと思います。
ありがとうございました。
次にカミンさんからです。
533回季節語の歴史、これも少し前の回なんですけれども、つい先日関連する話題が出てまいりまして、カミンさんからのコメントを読み上げます。
すでにツイートにコメントいただきましたが、この放送を聞いた後、フランス語の季節名について調べて、歴史で謎解きフランス語文法にこの記事を書きました。
以前にもこのチャンネルでご案内しましたけれども、リスナーのカミンさんも加わっておられる賛成堂のウェブサイトで、歴史で謎解きフランス語文法というシリーズのタイトルでですね、
フランス語史の啓蒙的な文章ですね、記事を書いていられるんですが、39回まで来ていまして、その最新の第39回がフランス語の季節名の語源は何ということで、大変嬉しいことにですね、
このVoicyでの私の533回、季節語の歴史、英単語の季節語の歴史ということでお話ししたんですが、それをある意味フランス語の側から見てですね、補っていただく形で今回記事を書いていただいたということで、私も大変面白く読ませていただきました。
フランス語と英語の対象言語史ということがですね、展開しているっていうことなので、とても勉強になるだけではなくて、このチャンネルのリスナーの皆さんにはフランス語史にも関心を持っていただきたいと思いますし、またフランス語史のこちらの記事ですよね。
関心がある方に、こちらのチャンネルに英語の語源が身につくラジオに来ていただくっていうこともあるとですね、こんなに素晴らしいことはないというふうに思っています。
いろいろな形で連携できるとですね、みんなのためになると言いますか、そして私のためにもなるという、こんなにいいことはないということかと思います。
このチャプターに当該の記事へのリンクを貼っておきますので、ぜひですね、このチャンネルをお聞きの皆さん、そちらをお読みいただければと思います。
ありがとうございました。
566回コメント返しですね。先日、日曜日の回だったんですけれども、これにつきまして2つコメントいただいています。
まずはマイママさんからです。
初めてのコメントになります。
いつも楽しい放送ありがとうございます。
太田先生の放送を毎朝拝聴しており、我が家ではお茶のましつつあります。
また、東宝、中高生に英語を教える仕事に就かせていただいておりますので、大学の先生のお話をこのような形で手軽に拝聴できること、また一般の人々向けに疑問にまでお答えしてくださる太田先生の活動を大変ありがたく思います。
私も生徒たちに還元できるよう頑張ります。
いつも楽しい放送ありがとうございます。
ぐれぐれもお体には気をつけてお過ごしください。
英語教育者とのつながり
ということで、マイママさんからの初コメということですが、ありがとうございます。
本当に嬉しいです。
しかも英語関係者といいますか、英語教育に携わっている方ということで、ある意味も同業者同士なんですよね。
そして私が一番このチャンネルを聞いていただきたいのって、英語学習者もそうなんですが、英語の先生なんですね。
ですので、そのようなリスナーの方に、我が家でお茶の間かしつつあります、と言うともう涙がちょちょ切れそうになりますね。
数日前からこの英語書をお茶の間にというキーワード、キーフレーズをタイトルコールに含めるようになったという、そんな話をこの間もしたばかりなんですけれども。
皆さんにこのようなコメントをいただいていますので、これまで本当にこっぱずかしかったんですけれども、少しずつこのお茶の間に、英語書をお茶の間にというフレーズがですね、歯が浮かずに言えるようになる日も近いのではないかと皆さんに応援いただいています。
本当にありがとうございました。嬉しいです。
同じ回に対しまして、アンナさんからもコメントをいただいています。
コメントは時折ですが、放送は毎朝の通勤時に聞いています。
最近の放送では、フィルターの話題が特に面白かったです。
フランス文学の日本語訳で、ブドウ酒という言葉を見て気になっていたところでした。
1970年代の訳本ですが、今ならワインと略されるのでしょうか。
翻訳ソフト等による文法構成はいつか取り上げていただきたいです。
ワードのほか、Gメールでもエラー線が表示される印象で出ると悩みます。
英語詞をお茶の間には素敵なフレーズだと思います。
そして先生の声もラジオ向きで素敵です。
ということで、ありがとうございます。もう嬉しいですね。ありがとうございました。
応援のほど引き続きよろしくお願いいたします。
フィルターと翻訳ソフト
フィルターの話ですね。
これなかなか面白い比喩だなと思うんですけれども、
このフィルターという比喩がちょっと強すぎるかなと実は私は思っていて、
フィルターとは何ぞやということも少し突き詰めて考えてみたいなと、
あの放送会の後で私も考え直しつつあるんですけれども、ありがとうございます。
それから翻訳ソフト等による文法構成の問題ですね。
Microsoft Word の話をしましたが、それ以外の Gmail でもおそらく DeepL とか、
その他の翻訳構成絡みのソフトですよね。
ここに埋め込まれている言語上のアルゴリズムが何なのかっていうのはブラックボックスなんですね。
そしてこれを握ってるのは誰かと。
つまりですね、AI なるアカデミー、言語アカデミーみたいなものが、
いわばなし崩し的に存在し始めているというところがあってですね、
これはとても面白い現代的な話題だと私も思っています。
ただまだいろいろとですね、私が語れるほど勉強していないということですので、
おいおいですね、勉強してこの話題についても取り上げる機会を持ちたいなと、そんなふうに思っています。
ありがとうございました。
それから有嶋さんよりいただきました。
これもですね、古い回ではあるんですけれども、266 回。
リー、エルワイの語尾ですね。
エルワイの語源は体ということで。
ボイシーのおすすめと気づかずに昔の放送を聞きましたが楽しかったです。
メントはションやシブなどと異なり単語のアクセントの位置が定まらない語尾だと聞いていて、
なんでだろうと思っていたのですがヒントをいただけたと思いました。
また調べてみます。
過去回も聞き直すと楽しいです。
ありがとうございます。
ということで、この回は確かリーの福祉語尾リーの話だったんですけれども、
一般的に設備時ですね。
これの話にも意を読んだかなと思います。
比較的最近にこのチャンネルを聞き始めた方もですね、少なくないかと思うんですけれども、
最新回だけでなくバックナンバー全てオープンにしておりますので、
ぜひですね、タイトルを見て面白そうだなと思ったら聞いてみてください。
それからですね、今関連して思い出したんですけれども、
一昨日、日曜日にヘログ、ブログの方で紹介したんですけれども、
このヘルディオのですね、放送会の一部なんですけれども、
これがですね、YouTube化したんです。
これは私がYouTube化したというよりも、
Voiceの運営の方がVoiceの認知度を広げようということで、
YouTubeの視聴者ですかね、にもアピールしようということで、
いくつかピックアップした放送会をですね、動画に載せるといっても、
動画は静止画像で、結局音を聞くということになるので、
これを聞いている皆さんにはあまり関係ないのかなって気はしますけれどもね。
エンディングです。
今日も最後まで放送を聞いていただきまして、ありがとうございました。
単語の借用について
今日の話はですね、そういえば単語はよく借りるけれど返すことはないですよね、
というような一見するとたわいのない話題なんですけれども、
比喩というものですね。今回概念メタファーなんですが、
単語は物である。だから貸し借りできるんだという発想で考えてみたんですけれども、
この比喩がどこまで通じるのか、そしてどこからが通用しなくなるのかということを考えることによって、
単語の借用っていうのは一体どのような特徴を持つのかということが浮き彫りになってくる。
そういうことなんですね。実はこの議論はですね、私の大学の授業などでは定番で、
毎年1年に1回必ずゼミとかなんだかの授業でこの議論やってるんですよ。
このヘルディオではこの話したことがなかったかなと思いましたので、
今回ですね、私のひとりがたりという形にはなりますがお話ししました。
ぜひですね、この考え方と言いますか、単語は借りるものだというメタファーのうまくいく点、
この比喩がうまくいっている点とうまくいっていない点みたいなもの。
今日はですね、主要な4点に絞って、違う点ですね、比喩がうまくいかない点というのを指摘したわけなんですけれども、
他にもいろいろあると思うんですね。
ぜひリスナーの皆さんにですね、このお題で議論していただければと思います。
コメントお待ちしております。
さて、今回の放送会に全く限りませんけれども、
このチャンネル、英語の語源が身につくラジオヘルディオでは、
あなたからのご質問、ご意見、ご感想をお待ちしています。
Voicのコメント機能を通じてお寄せください。
チャンネルをフォローしていただきますと、更新通知が届くようになりますので、ぜひフォローをお願いいたします。
また、面白かった、ためになったなどと感じましたら、ぜひいいねもよろしくお願いいたします。
また、最新の配信会だけでなく、古い配信会につきましても、いいねやコメントをください。
必ず通知が入りますので、なるべく反応したいと思います。
さらに、Voicには差し入れの機能、いわば投げ銭の機能ですけれども、
そちらも用意されておりまして、いただく機会も少しずつ増えてまいりました。
ありがとうございます。静かに歓迎しております。
それでは、今日も皆さんにとって良い1日になりますように、ほったりうちがお届けしました。また明日。