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『汝、星のごとく』〜誰かのせいにして、人生のオールを預けないために
2026-10-07 20:15

『汝、星のごとく』〜誰かのせいにして、人生のオールを預けないために

▶︎︎凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』を満を持してのご紹介!

瀬戸内の小さな島で出会った暁海と櫂。親の事情や家庭環境という不条理に縛られながらも、「自分の足で立って生きていく」と誓い合ったふたりが、15年の歳月の中でそれぞれの選択と現実に直面していく姿を描きます。

自分の人生の手綱を自分で握ることの難しさ、そして「正しさ」が揺さぶられる——急所を突かれるような読後感。 2026年10月公開の実写映画(横浜流星さん・広瀬すずさんW主演)の映像美や印象的なキャスト陣の魅力とともにお届けします。

▶︎今夜の勝手に貸出カード

・凪良ゆうさん著『汝、星のごとく』(講談社文庫)  

▶︎配信内で触れた作品・書籍・記事

・凪良ゆうさん著『多類婚姻譚』(講談社)

・吉田修一さん著『タイム・アフター・タイム』(幻冬舎)

・映画『汝、星のごとく』公式サイト(横浜流星さん・広瀬すずさんW主演 / 東宝) 

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サマリー

凪良ゆう『汝、星のごとく』について、読者から寄せられた感想を紹介しながら語る。瀬戸内の島で出会った暁海と櫂は、親や閉塞的なコミュニティに縛られながら、自分の足で生きることを誓うが、卒業後の距離と生活の違いで価値観がずれていく。作品は単なる15年の恋愛小説ではなく、登場人物の選択や言葉を通して読者の倫理観や先入観を揺さぶる長編として紹介される。後半では映画版にも触れ、瀬戸内と東京の対比、櫂と漫画作画担当の直人のバディ関係、原作からの大胆な省略や設定変更を評価する。

『汝、星のごとく』への読者の感想
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは。第262話を迎えました。今夜のお便りをご紹介します。ペンネーム、マサミタマさんからいただきました。
はじめまして。バタヤンさん、こんばんは。
いつも真夜中の読書会を楽しみに拝聴しております。マサミタマと申します。
なぎらゆう先生の男児星のごとくを読み、すっかり沼状態、小説の世界観から抜け出せない状態です。
本屋大賞受賞後にテレビで小説紹介の際には、高校生が出会い成長し、15年にわたる恋愛小説と紹介されていましたが、そんな簡単なものじゃない。
人生の選択、キロに誰に遠慮がいるのか、自分が責任を負わねばならないのだ。
そのために経済的に自立していることの重要さ。
トウコさんの言葉が心理をついていてグサグサと私に刺さり、
じゃああきみや彼女の母親をこんなに傷つけていいのかと怒り、
やはりトウコさんが好きになれないんですよね。
言葉にならない感情がいっぱいです。
長々と尻別裂な感想ですみません。こんな私に次に読むおすすめの小説を教えてくださいといただいておりました。
いただいておりましたというのは、実はこちら、2023年にいただいていて、こんなに長く待たせてしまってすみません。
なんじ星のごとくを読み終わって、
沼状態になっている方に次に読む本を紹介するっていうのは、なかなかとても難しくて、
そう簡単に上書きをできるような小説ではないですもんね。
あえて紹介するならば、つい先日ご紹介した吉田周一さんのタイムアフタータイムは、
もしかするとなんじ星のごとく沼落ちの方が、次に読む小説としていいかもしれないなと思いました。
夏の雨に、大雨に流されて、沼から浄化されるかもしれないです。
逆にタイムアフタータイムを読んだ方で、まだなんじを読んでない方には、ぜひなんじも読んでほしいですね。
暁海と櫂の15年と人生の選択
さてさて、今日、増美玉さんのお便りをご紹介したのは、まさになんじ星のごとくの映画がついについに公開になるからなんですね。
増美玉さんが書いてくださったご感想がとてもまとを得ていまして、本当そうって感じなんですよ。
そのことをたくさんの方とちょうど共有できるんじゃないかなと思って、
本をすでに読んだ方も、まだ読んでないよっていう方にも、そして映画を先に見ようかなと思っている方にも、
今夜の勝手に貸し出しカードは、永良悠さんのなんじ星のごとくにしました。
まずは作品紹介からお話しします。
舞台は瀬戸内の小さな島で出会った高校生の2人ですね。井上あきみと青の貝という2人が主人公になってます。
そして、あきみの母親がですね、夫のあきみのお父さんの不倫に傷ついて、正式的に破滅をしていく。
そんな母親を支えることで縛られていくあきみと、一方で男性との恋愛に振り回されて翻弄されている母親とともに京都から島に転校してきた貝という、
2人はですね、そういった家庭環境の背景と、島の狭い世界、瀬戸内の狭いコミュニティの中での噂話とか、そういった閉塞感、生きづらさを抱えていて、2人は徐々に距離を詰めていって、
あきみと青の貝という2人が結婚して、2人の家庭環境の中で、親のようにはならないとか、自分の足で立って生きていくんだっていうようなことをね、2人で誓い合うんですね。
さて、卒業後貝は東京に上京して、漫画の原作者として成功を収めていく。一方であきみは、精神的に不安定な母親を置いてはいけないといって、地元に残る選択をするんですね。
こうした物理的な距離と、それから生活の違いから徐々にずれていく価値観が溝となっていきまして、すれ違っていきますね。さて、2人はどういう決断をするのか、どういう結末になるのかというお話です。
映画では、そんな貝尾横浜流星さんが、あきみ尾広瀬すずさんが、高校生17歳から大人になってからの32歳までの15年間を演じ切ります。
小説は、プロローグとエピローグを除けば、きっちり時系列に、かつ貝の視点、あきみの視点というふうに、交互に時系列に進んでいきますので、とても読みやすい構成の小説だと思います。
おっしゃってた通り、単なる15年の恋愛小説という趣ではなくてですね、構成要素も非常に多くて、希少転結でいうとこの転というんでしょうかね、場面が大きく変わるところも結構多くて、
なんていうか、瀬戸内の潮の流れのように穏やかなようでいて、いくつも何度も大きな波というか渦が訪れて、思わぬ方向に運ばれていってしまう主人公たちが、そんな物語なんですね。
そういう意味では、わかりやすい構成と飽きさせない感情のアップダウンが起伏がある、ストーリーの起伏がある、読みやすい部類の長編小説ではあるかなと思いました。
倫理観を揺さぶる凪良ゆうの小説
なんで、苦手って言ったのはすごく褒めてる。褒めてるってちょっと上からだな。すごく腕のいい神経質みたいな感じですかね。深いんですよね。深くて正確なんです。確信につくところが、そんなところまで追う。追うって俗ってなんのかもしれませんね。
覚悟がいります。手に取る時に。倫理観を問われるみたいな、揺さぶられるという意味では、ルローの月もそうだったし、最新刊であるたるい婚姻譚の方が、今言った私の感覚がわかりやすいかもしれないですけど、
自分自身の先入観とか偏見とか、気づいてなかった偏見とか先入観とか、家族とは夫婦とはこうあるべきみたいなのが、揺さぶられるって感じなんですね。
たるい婚姻譚の話、ちょっとだけ横道にそれると、こっちは短編小説になってまして、表題の通り婚姻に至るまでに関すると言った方がいいかもしれないですけど、その様々なお話が出てきます。
結婚にまつわるショートストーリーって、私が思うに多くの場合は、誰か登場人物に共感するってことを前提に書かれたストーリーなり、その登場人物のキャラクター造形が設定が多いと思うんですけれども、これはまあそこからして違っていて、
例えば年の近しい、あるいは環境の近しい女性の主人公が出てきたら、私と似てるかな、共感できそうだな、みたいなことを思いながら読んじゃうと思うんですけど、なんかそれここからちょっと思ってたのと違う設定だったり、
彼女が私が思うのとは違う選択をしたり、発言をしたりする、そこの部分がとてもこうザワザワするというんですかね、っていう感じがします。だからすごく面白いんです、気持ちを揺さぶられるから。
そんな風になんというか、例えばジェットコースターで言えば、あ、あとこう登っていて、こう行って、こう落ちるんだなっていうのが見えていれば、分かっていれば、その落下の高低差が大きくってもそんなに怖くないんですけど、
こう行くと思ってたとこが急にガンって違う方向に行ったりとか、落ちると思ってないとこでフワッてちょっと小さく落ちたりすると怖いじゃないですか、その胃がキュッてなる、そういう感じが薙刀さんの小説にはあるんですよね、私にとっては。
なんじ星のごとくの話に戻りますと、なんじ星のごとくも、そのあきみとかいにすごく共感するかっていうと、そういう感じでもなくて、それぞれの選択とか、それぞれが相手に放つ言葉とかに、え?ってなることがいっぱいあって、
だからこそ先が気になる、どういう選択をするのか、どういうことを言うのか気になるっていう感じですかね。
映画版の映像表現とバディの物語
はい、まあちょっといろいろしゃべっちゃうとあれなんで、せっかくなんで、ちょっと映画についても触れておきたいと思います。
映画のほうは、実は私は死者で、関係者として先に見させていただいたんですね。一言で言うと素晴らしいですよ、素晴らしかったです。
さっき苦手とかいろいろ言ってしまったけれども、とりあえず見てくださいって感じです。小説は読まずとも、ぜひ映画見てくださいっていう感じですね。
映像化されることによって、コントラストをですね、映像として、ビジュアルとして瀬戸内の静けさと、東京の凶乱というか、忙しなさみたいなのの対比が、ビジュアル的にもはっきりしましたし、
瀬戸内は静かと言ったけど、綺麗なだけじゃなくて、風景はとても綺麗なんですけどね、退屈という名の病理と言いますか、なんかそんな闇重たさもあって、東京は刺激も多くて情報量も多くて、
と同時に利害関係の多さみたいなものが、そのカイ君と漫画作り、作画のパートナーである尚人の心身を削っていくっていう様子が、戦略に描かれていますね。
映画化されるにあたって、全部が全部2時間ぐらいに収めるのが難しいだろうなって思ってたんですけれども、諸説のストーリーラインとかディテールから、結構削ってる、大胆に削ってるとこもありまして、その省略の仕方とちょっとだけ設定を変えているところとかも含めて、見事だなと私は思いました。
小説作品を読んだときは、私はそこまで印象強くなかった、漫画編集者の植木っていうね、映画では濱田岳さんが演じられているんですけれども、東京に出てきたカイを講師ともに支える大事な人になってまして、その植木の存在。
それからその漫画を2人で作っているんですね。原作を考えるカイと直人が作画を担当していて、その直人、松村北斗さんが演じてまして、そのくずみ直人、松村北斗さんが最近本当に出るやつ出るやつすごいですよね。
よくこの役も引き受けてくださったなと思ったんですけど、その北斗さんが演じるくずみ直人と横浜流星さんの青のカイのバディの物語、バディのストーリーラインも原作以上にメインストーリーになって、結構深く心に届くものがありました。
自分の人生を生きるための言葉
あんまり言いすぎるとちょっと先入観というか誘導してしまうかもしれないので、この辺りにしたいと思います。さて、原作の男児星野保徳から神フレーズをご紹介して終わります。
自分の人生を生きることを他の誰かに許されたいの?とありまして、これは林東子さんが君に言った言葉で、その東子さんっていうのは君のお父さんの不倫相手の女性なんですね。
お便りをくださったマサミさんが、その東子さんの言葉が真理をついていてグサグサと私に刺さるんだけど、でも好きになれないって書いてらっしゃったのが、ここのことを言ってるかちょっとわからないんですけど、他にもグサグサすることを言うので、そんな感じで、
お前が言うなやって感じなんですけど、でも本当真理をついているってことを結構ポツポツ言うんですよね。他のシーンでは、
あなたたち本当にいい子、でも褒めてないのよって言ったりする。
つまりはどういうことかっていうと、島の人たちとか、地元の人たちとか、お母さんとかから見て、良い子であるっていうことを優先して、それが自分の選択家のように思い込もうとするってことは、結果的に人のせいにしてるだけだっていうようなことなんだと思うんですね。
影響力を与える女性なんですね。褒めてないのよって言われたら、グサッときますよね。
という、さっき言った苦手ですっていうのはすごく褒めてますけど。
さてさて、そんなわけで小説からでも、もちろん映画から先でもいいですし、映画を見てから小説とのそのさっき言った際を探していただくのも良いかもしれません。
お便りを配らださったマサミ・タマさん、ありがとうございます。
とても遅くなってしまったんですけど、マサミ・タマさんも是非映画をご覧になってくださるといいなと思って、今日ご紹介しました。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
また、真夜中の読書会おしゃべりな図書室では、皆さんからのお便りをもとにおすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介しています。
お便り、リクエストはインスタグラムのバタヨムからお寄せください。
お届けしたのは、講談社のバタヤンこと川端理恵でした。
また水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。おやすみ。
20:15

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