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誰にも言えない「からだの叫び」を抱えて。40代から始まる新たな欲求のゆくえ
2026-10-14 26:21

誰にも言えない「からだの叫び」を抱えて。40代から始まる新たな欲求のゆくえ

▶︎「お騒がせしてすみませんが」から始まるその物語は、45歳の節目を迎えた主人公がドライブ旅行の途中で若く魅力的な男性と出会ったことで、湧き上がるような欲求と渇望に気づき、「脱線」していく冒険譚です。

今夜の勝手に貸出カードは、ミランダ・ジュライの新刊『はいつくばって』(岸本佐知子訳・新潮社)。ミドルエイジ女性に訪れる心身の変化、更年期の葛藤、思春期に戻ったかのような抑えきれない欲望と衝動を生々しくもユーモラスに描きます。

自分へのあきらめ悪く、ジタバタしてみることの自由さ、「自分だけの部屋」の意味、「運転派」か「駐車派」か? などなど、人生の折り返し地点でひらく新しい扉について思いを馳せます。

▶︎今夜の勝手に貸出カード

・ミランダ・ジュライさん著、岸本佐知子さん訳『はいつくばって』(新潮クレスト・ブックス) https://link.amazon/B02i7oJfW  

▶︎配信内で触れた米国での反響

・【The CUT】「A Motel Room of One’s Own Miranda July’s best book yet is a spectacularly horny story about pursuing sexual and creative freedom.」(CUT誌の原書『All Fours』は「性的および創造的な自由を追求することを描いた、極めて官能的な物語」との書評)

https://www.thecut.com/article/miranda-july-all-fours-novel-review.html

・【The Guardian】「'This book is my bible!' The women who read Miranda July's All Fours, then blew up their lives」(原書『All Fours』が女性たちの間で起こした反響についてのガーディアン誌記事)

https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2024/dec/24/this-book-is-my-bible-the-women-who-read-miranda-julys-all-fours-then-blew-up-their-lives

・【The New York Times】「The Women Rethinking Marriage and Family Life Because of Miranda July’s ‘All Fours’ 」(原書『All Fours』とウィスパーネットワークについてのニューヨーク・タイムズ誌記事)

 https://www.nytimes.com/2024/06/08/style/miranda-july-all-fours-group-texts.html 

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サマリー

58歳のリスナーから寄せられた、「頑張らない」と自分を諦めることの違いに戸惑う相談を受け、ミランダ・ジュライの小説『はいつくばって』を紹介する。45歳の女性アーティストが、広告料として得た2万ドルを使い、ニューヨークへの一人旅の途中でモーテル321号室を改装し、ガソリンスタンドで働く若いダンサー志望の男性と交流する物語だ。作品は更年期や身体の変化、妻や母としての役割から逃れたい欲求、若い男性に欲望を抱く主人公の滑稽で切実なジタバタを描く。語り手は、ホテルの改装を通して、主人公が自分で選んだ「自分だけの空間」を求めていたことに気づく点に魅力を感じている。人生を大きく変える啓蒙ではなく、家族や過去を完全には否定せず、小さな脱線や無駄遣いから新しい欲求に気づく作品として評価する。終盤では、安定を好む「駐車派」と刺激を求める「運転派」という比喩から、年齢や状況によって人生の楽しみ方が変わる可能性にも触れる。

「頑張らない」と自分を諦めることの戸惑い
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、第263夜を迎えました。今夜のお便りご紹介します。
ラジオネーム、まいごかもさんからいただきました。
最近、頑張らなくていいとか、手放してみるという言葉が目に耳に入ってきます。
なぜかといえば、58歳にして頑張ってもどうにもならないことがあると実感したりすることが多くなったから。
体力も思考や記憶力も処理能力も回復力もと挙げたらきりがありません。
頑張ることや諦めないことを前提に生きてきたと自覚しています。
そして幸運にもおおむねどうにかなってきたのだと思います。
ただラッキーだったのかもしれないけれど。
いっそ頑張らなくていいというのは何と楽じゃないかと思う一方で、
自分を諦めることでもあり、すんなりとはいかない。
頑張らないの加減がわからない。
決して大した人間でもないのに、こんな今の私に何かストンと心に落ちる本はないでしょうか。
おやすみなさい。おやすみといただきました。
まいごかもさん、お便りありがとうございます。
そうですね、頑張ること諦めないことを前提に生きてこられたということで、
たぶん積み重ねがあったからこそ、今のまいごかもさんの暮らしが形成されてきたのだと思いますから、
決してただラッキーだっただけではないと思いますけれどもね。
年を重ねて、体力とか処理能力の変化にも直面しますし、
頑張らなくていいという言葉が、どこか自分を諦めるような感じがしてしまうという戸惑いはよくわかりますね。
これまでずっと一生懸命走り続けて、辛くても歩みを止めずに走り続けてきたのに、
『はいつくばって』の主人公とモーテル321号室
急にここから歩いてくださいって言われても、どうやってスピードを落とせばいいのかとか、
あるいはここからどうぞカートに乗ってくださいとかって言われても、ちょっとなんかショックですよね。
今日はそんなまいごかもさんのお便りに、
今夜の勝手に貸し出しカードは、ミランダ・ジュライさん著、岸本幸子さん役の
ハイツクバッテという小説にしました。
どんなお話か、ちょっと簡単にご紹介しますね。
主人公の私は、アーティストとして創作活動によってそれなりに成功をしてまして、
ハンサムな旦那様と可愛い子供とLAにとても素敵なスッキリと洒落たお家に暮らしている、
45歳の女性なんですね。
彼女が過去に書いたコピー、フレーズがウイスキーブランドの広告のコピーに使われることになったとかで、
思いがけず2万ドルの広告料を受け取る、受け取れることになったんです。
日本円で言うと300万ちょっとだから結構な金額ですよね。
そんな彼女は、45歳の誕生日の記念に新たな自分に出会うためって感じに、お金も得ましたし、
ロスからロサンゼルスからLAからニューヨークまで一人でドライブ旅行に行くっていう計画をするんですよ。
しかし、出発してわずか30分くらいで、近所の安物ホテルに立ち寄りまして、そこにそのまま居座ってしまうという話なんですね。
しかも2万ドルをまるまる使って、321号室だったかな、借りたホテルの部屋を豪華に改装するっていうことを思いついて、
中年女性の欲望とウィスパーネットワーク
かつそのモーテルの近くのガソリンスタンドで働いている、ダンサーになりたい、ダンサーを目指している若い男の人と出会って、
ちょっと奇妙な交流を持ち始めまして、さてさてどうなるのというお話です。
こちら2026年8月に新庁舎さんから岸本さんの和訳バージョンが刊行されたばかりでして、先に刊行されていたアメリカでは全米図書賞のファイナリストにも選ばれているということで、
かなり話題になっている作品のようです。
アメリカでは全ての女性のグループチャットで話題になっているとか表されているみたいですね。
中年の女性、45歳の女性が主人公ということで、同世代あるいは中年以上の女性たちに熱狂的な支持を集めているそうで、
そういうのをウィスパーチャットとかウィスパーネットワークっていうみたいですね。私も初めて知りましたけれども、
ウィスパーネットワークっていうのは、女の人たちが公式な場ではちょっと口にしにくいような本音ですとか、
例えば速報年期の話とか、夫婦の問題、身体的なタブーの話とかを親しい友人同士、あるいはネット上のクローズドな場で、
密かに共有したり交換するっていう情報ネットワークのことを指すようです。もともとはハラスメントを行う危険な人物の情報とか、
そういう性被害の話なんかを共有するっていう、Me Tooの文脈で顕在化したっぽいんですけどね。この小説はいつ配っての書評ということで言うと、
母として妻としてみたいな役割からどう逃れるかっていうことだったり、公年期の葛藤、平景とか、身体の変化に対する葛藤とか、夫婦のセックスレスとか、
家庭からちょっと逃避したい、家族の役割から逃避したいっていうような要求なんかを含めて、ちょっと親しい女性同士のライングループみたいなものとか、ソーシャルネットワーク上でつぶやきあっている現象にさえなっているというふうに表されているみたいです。
日本で言うと、何ですかね、チェーンスーさんたちのオーバーザさんへの熱狂とかがちょっとそれに近いのかな。まさて、そんな前情報を先に私も得ていたので、そこから入っちゃったんで。
まあ、興味はもちろんあるし、自分自身もその同世代、年齢的にドンピシャなので気になってはいるけど、もしかしたらちょっと苦手な部類の小説かもしれないなって思って、前回も苦手とか言っちゃってあれなんですけど、これは正直ミランダ・ジュライを読む私、岸本幸子、界隈の私っていうふうにファッション読書というか、
ファッションとしてカッコつけ的に買っただけに終わる、いわゆるツンドクになったり、波待ち状態のまま波がやってこないタイプになる可能性もあるかなって正直思ってたんですけど、それがですね、読み始めたらすぐに覆されて、すごい面白いじゃんってなったんです。
「お騒がせしてすみませんが」から始まる物語
それはもう冒頭からだったんで、ちょっと書き出しを読みますね。
お騒がせしてすみませんが、とそのメモ書きは始まっていた。最高の書き出しだ、ぜひお騒がせして、お騒がせして、こんなメモ書きでお騒がせされるのを生まれてからずっと待っていた、という書き出しで始まります。
自分で最高の書き出しだって書き出しで始まる小説なかなかないなと思ったんですけど、最高の書き出しなのはこの小説じゃなくてそのメモの書き出しのことを言ってはいるんですけれども、そんなメモに対してぜひお騒がせして、お騒がせしてと、お騒がせされるのを生まれてからずっと待っていたという、
主人公らしき人はやばそうですよね、この主人公ね、やばいタイプだなと思って、これで一瞬で心をつかまれて、これは読まなくちゃと思いました。
お騒がせしてすみませんが、というメモには何が書かれていたかというと、どうもお隣さんが忠告としてメモを置いてくれたみたいで、通りの向こう側に停めた車からどうもあなたの家を盗撮あるいは覗き見している人がいるっぽいですよ、ということを言ってくれたメモだったんです。
とりあえず車のナンバーも押さえてありますので、余計な心配だったら、お知り合いとか勘違いだったらすいませんというふうな親切なメモだったんですね。さてその盗撮犯は誰なんだ、この件はどうなるんだということはちょっと置いておいてですね、この伏線は回収されるのかされないのかちょっと忘れるぐらいに置いておいてください。
話は進みまして、その45歳の記念にまとまって得たぶく銭ですよね、急に思いがけず得た大金を持って、車でニューヨークまで行こう、アメリカを横断してやるぜっていう決意を持った主人公なんですけれども、
さっきあらすじで紹介した通り、すごい近くで降りちゃって、安宿にステイしちゃうんですね。東京から行ったらなんだろうな、箱根とか畑見とかよりまだ全然手前ですよね、高速で30分ぐらいって言ったら川崎とかで降りて安宿ホテルに入っちゃったみたいな感じですかね。
そこでセクシーな若い男子に出会ってしまいまして、ガソリンスタンドで働いてる男子に会って、モーテルを改装しようって思うのが先だったのか、その男子に会うのが先だったのかちょっとわからなくなっちゃったんですけれども、若い男子には結婚していて、なんと奥さんがインテリアコーディネーターみたいな仕事をしている人で、
その人に家具とか理念とかカーテンとかタイルとかをフルコーディネートしてもらうことにするんですね。
その家具代とか利延代を低めて、まるっと2万ドルでお引き受けしますって言われて、ちょうどいいみたいな、もうそれで2万ドル使い切っちゃうんですよ。
ホテル改装に表れる自分だけの空間への欲求
この小説の主題は、ミドルエイジ女性のガケプチの絵が表紙に書かれているんですけど、そのガケプチってのは女性ホルモンの急激な急降下とか、
体力的な衰え、見た目の衰えとともにアイデンティティの喪失と言いますか、そういった切実な問題がいろいろあるわけなんですけれども、
そういったミドルエイジ女性の切実なものを生々しく描いた作品っていうのは多分これまでもあったし、他にもあるんじゃないかなと思うんですけど、
私がこの本が得意、特殊だなと思ったのは、この主人公の私がですね、言ってしまうとちょっとなんですけど、この若い男とやれんのかやれないのかっていうことで、
頭がいっぱいになっていると、その様だけが延々と描かれているに近いというところがユニークですね。
一周回って少年漫画を読んでいるような、なんかこう清々しいエロへの悪なき追求というか、
まあ滑稽さ、ジタバタ具合が描かれているんですね。
で、私はこの不倫関係がどうなるのかならないのか、若いダンサー男子どうなるんだ、夫との関係はどうなるんだっていうこのメインストーリーとは別に、
さっき言ったその借りてるだけのホテルの部屋を改装してしまうという傍聴、その行為にとても何とも言えない魅力を感じましたね。
もともとそのブックゼニーなわけですよ。
労働によって得た対価というよりは、思いがけず得た副収入みたいなもの、ラッキーで転がり込んできたお金で、
それをパッて使っちゃおうみたいな考えは、そこまでは同意できるというか、共感できる。
浅め茶の使い方、お金の使い方っていろいろあると思うんですけど、高いお店で高級なワインとかシャンパンとか、職人を家に呼ぶとか、
そういう飲み食いに使うとかもあるし、高級ブランド品とかジュエリーとか、なんかそういうものを買うとかいうのも割と思いつくんですけど、
思いつきもしなかった無駄遣い、銀行部無駄遣いが、自分の家でもないホテルの部屋を勝手にリノベーして家具を入れ替えるっていう最高に無駄なお金の使い方ですよね。
ただそこには結構大事な背景がありまして、
この自分のLAのお家は、もともと夫のものというか、夫のセンスで家具とかインテリアとかがとても洗練された、統一されたスタイリッシュなものになっているんですね。
私自身が自分で選んだのは10本のスプーンだけみたいな記述があるんですよ。
もちろんそのLAの素敵なお家は気に入ってはいる、別にそれが嫌だってことではないんですけれども、自分で選んでいないっていうのがあるのかな。
そのモーテル321号室にセレクトするカーテンだったり、リネンの柄だったりとかっていうのは、どちらかというとデコラティブな花柄とか、家具もアンティークとか、ちょっとディテールがあるようなもので、カラフルなタイルを敷いたりとか、
いろんなちょっと多分テイストをミックスしたコーディネートスタイルになってるっぽいんですよね。
だから主人公はアーティストとして創作活動を生業にされているので、彼女は彼女のこだわりとかセンスが多分すごくもともとある人だと思うんですけど、
そういうちょっとカラフルでテイストミックス、時代もミックスみたいなビジュアルが本当はお好みだったのかもしれないですね。
そこが彼女自身が自分では言語化できてなかった、顕在化してなかった欲求なんだと思いました。面白いなと思いました。
若い男とやりたいとか、女として見られたいっていう欲求は、割と顕在化した欲求なんですけれども、
安モーテルの部屋を2万ドルかけて改装するっていう行為が、やってみて気づいた、本当にやりたかったことなのかもしれないなっていう、
自分だけの独立した生意気を作りたいっていうね、作ってみて初めて実感する、これが私のやりたかったこと、やれてないって思ってたことなのかなと想像したりしました。
人生を変えない脱線の自由
ということで、これはある種の、この小説はある種のおばさんロードムービー、冒険小説と言えるんですけれども、
ロードムービーって言うほど移動してないじゃんっていうのが面白いところで、だって30分しか動いてないですからね、本当近所ですよ。
旦那にはニューヨークに向かっているっていう嘘をつき続けるので、シークレット大冒険の物語でもありますね。
はい、さてそろそろ紙フレーズを読みたいと思います。
とにかくやり過ごすこと、40代で人生のすべてを売っちゃって、ある日気づくと生理もなくパートナーもなく、残るのはただ後悔だけっていう女はいくらでもいるの、というセリフがあります。
これは女性同士で集まって、その改装したホテルは、一回もちろんホテルに返すというか手放すんですけど、その改装された状態でホテルは貸し出していて、結構人気の部屋になってるんですね。
そこをまた借りて女だらけのパーティーみたいにしたりして、先輩の意見とか聞いたりする流れだったかと思うんですが、
40代で人生のすべてを売っちゃってっていうのはどういうことかっていうと、いろんな焦燥感とか、自分は何も成し遂げてないとか、こんなつまらない生活、人生とかって急に方向転換したり、
家族を手放したり、離婚したり、今までの自分の人生を否定したりして、大胆な行動に出るっていうことを指しているのだと思うのですが、そういうことをした結果、残るのは後悔だけっていう人をたくさん見ているから、
今の焦燥感に突き動かされて、とっぴな行動しない方がいいよっていう先輩からのアドバイスの箇所です。
何歳からでも遅くはないとか、留学するとか、生活を変えるとか、人生後悔のないように一度きりの人生だからみたいな、葉っぱをかける方向の啓蒙本だったり、自己啓発の本や小説は世にあふれていると思うんですけれども、
この小説はどちらかというと、葉っぱをかけるというよりかは、ずっとじたばたしているという、ずっとじたばたしているだけで、最終的には大した行動を起こしていないんじゃないかと私は読んだんですけど、
起こしていないと言うとちょっと言い過ぎですけど、ホテルの部屋を改装したって、人生は変わらないし、残るものはなくて、ただお金を使ったというだけで、
でも今までの自分とか今までの生活と今の生活、今の家族とかを完全に否定しているわけでもないっていうところは、絶妙なバランスでいいなと思いました。
ただ、ビフォーアフターで言うと、もちろんすごく確実に変わっていると思いますし、そのくらいの脱線、冒険、無駄遣いがあっていいよねっていうことを思った、とても勇気づけられた楽しい小説でした。
もう一つ、私が興味深いなと思った、印象的だった話があったので最後にしますね。
運転派か駐車派か
割と冒頭の方で運転派か駐車派かっていう会話が出てくるんですね。
どういう例えかと言いますと、運転派、ドライバータイプなのか、パーカー、パーカーっていう、フードのパーカーじゃなくてパーキングのパーカー、
駐車派かっていう話なんですけど、パーカー、駐車派の人は言ってしまうと安定志向で狭い、例えば飛べづらいようなスペースとかにきっちり駐車できた、止められたっていうことを称賛してほしいタイプ。
一方でドライバータイプの運転する人タイプの人は、刺激追求型で、誰かに褒められるかどうかっていうことよりも、自分でハンドルを握って小さな楽しみを見つけられる、そこに喜びを見出せるタイプという定義を知っていて、夫が。
夫と妻と自分はどっちのタイプだみたいな議論をする会話のシーンが最初の方にチラッと出てくるんですよね。自分はどっちかなーって思ったりして、私は読みながら、この私は自分はドライバータイプだとか、奔放なタイプだと思っていても、実は駐車派だった。
きっちりやったことを褒めてほしいタイプだったということもあり得るし、逆に自分は自由を求めるドライバータイプだって思ってた人も、自分の人生の楽しみを自家発伝し続けるのは辛いなって、年を取って駐車派に変わることもあるかもしれなくて、この小説では夫と私の印象は、
途中で入れ替わっているんじゃないかなと思ったりしました。
ただですね、全体を通してこの主人公たちは、経済的にも人間関係的にもすごく恵まれていますし、いわゆる上流階級のファンタジーといえばファンタジーなんですけれども、
その偶和っぽさ、おばさんのラブコメ、少年漫画っぽさも含めて、とても楽しい小説だなと思いました。
なので、あんまり高年期を描いたなんとかとか、ミドルエイジクライシスとかっていう歌い文句に引っ張られすぎず、女性の何々とかフェミニズム的な文脈をあまり難しく考えずに、
小さくても愛おしい脱線を見つける
完全なエンターテインメントとして、あんまり小難しい積極さえ話ではないので、ぜひ男の人も、中年ではない若い人にも楽しんでいただきたいなと思った小説でした。
というのも、10月だから今年のベストブックを、毎年恒例の本年のベストブックをそろそろ選ばなくちゃと思っていて、この本は間違いなく今年のベストブック入りする一冊かなと思っています。
はい、迷子カモさんはこの主人公より少し年が上なので、もうジタバタゾーンは過去の笑い話かもしれないなと思いましたし、まだそんな青い、ケツの青いことを言ってるのか羨ましいわって思うかもしれない、感じられるかもしれないですね。
でもそれでもまだ予測不能な脱線はするかもしれないですし、脱線してみて気づく、ご自身の欲求みたいなものがあるかもですよね。運転派か駐車派かもチェンジするかもしれないし。
というわけで、頑張るか頑張らないかっていう二者卓一の他にも脱線っていう選択肢があって、はみだくじ理論で言うとこの横線かもしれないんですけれども、この本で言うと無駄なものにお金と時間を使うとか、新たな自由を得るとか、何かそういう小さくてもいいので、
愛おしい脱線のようなものを見つけるきっかけになればと思って、今日はミランダ・ジュライさんの「はいつ配って?」をご紹介しました。リクエストありがとうございました。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
それでは、あよなかの読書会おしゃべりの図書室では、リスナーの方からのお便りをもとに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介しています。リクエストや番組のご感想は、インスタグラムのバタヨムからお寄せください。お届けしたのは講談社のバタヤムのこと、川端理恵でした。また水曜日の夜にお会いしましょう。おやすみなさい。おやすみ。
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