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2022-12-14 13:57

頼りすぎてはいけない人。魂が優しすぎる人。【第115夜】

今夜の勝手に貸出カードは、山本文緒さんの『無人島のふたり: 120日以上生きなくちゃ日記』です。 トーク中にご紹介している追悼文 ●「『私の夢はかなわない。それがかなしい』30年来の作家仲間・山本文緒に綴った、角田光代の想い」 ●豊島ミホさんのポッドキャスト「聖なる欲望ラジオ」 #04 山本文緒『無人島のふたり』紹介にかこつけて、山本先生との思い出を語る回(※泣き出します)

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真夜中の読書会、おしゃべりな図書室へようこそ。
こんばんは、KODANSHAのバタやんKODOKUHA)です。
真夜中の読書会、おしゃべりな図書室では、
水曜日の夜にホッとできて、明日が楽しみになる。
をテーマに、おすすめの本や漫画、紙フレーズをご紹介します。
こんばんは。
今年も水曜日は、今日を入れて残すところ、あと3回となりました。
今、ベストブックを最終選考中なんですけど、
これはベストブックに選ぶのはちょっと違うかなと思うんですけど、
どうしても紹介しておきたい。
誰かにおすすめとして紹介するのも、ちょっとためらわれるんですが、
今年を代表する一冊として紹介したい本について、
今日は語りたいと思います。
今日の勝手に貸し出しカードは、山本文夫さんの
【無人島の二人。120日以上生きなくちゃ日記】です。
こちらは、2021年の10月に58歳の若さで水蔵眼で亡くなられた山本文夫さんの
糖尿期間中の日記をまとめた本なんですね。
2021年の4月に突然ステージ4の水蔵眼だと告げられて、
5月から書き始めたというふうに冒頭に書かれています。
なんというか悲しい結末がわかっている映画を見るみたいな、
そんな重たい気持ちで買ったのはいいけれど、
開くのが怖くてずっと放置してたんですよね。
人の糖尿期を買ったのも初めてで、
表紙がね、またなんかミモ座とか何点かな、
花札みたいな実のなっている木の間を小鳥が飛んでいるようなイラストで、
すごく可愛らしい表紙なんですよ。
その軽やかさ、明るさもまたちょっと怖くて開けないみたいな。
手に取っては棚に戻すってしていました。
でもある日、意を消して読み始めたらすごく面白くて、
面白くてって言うと語弊があるんですけど、
グングン読んでしまったんですよね。
ただただ暗くてしんどい話じゃないところが、
やっぱりさすがだなって思ったっていうか、
すごく温かい気持ちになる本です。
今日はその中からハッとさせられた文章と、
それからこの本にまつわる山本文夫さんと
信仰の深かった作家さんたちのお話をしたいと思っています。
最後まで泣かずにしゃべれるか今日は不安だな。
またお湯を沸かしてお茶とティッシュを近くに用意しておきたいと思います。
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この本が出て間もなく文学界のいろんな方が書評を書かれていたり、
ツイートとともにSNSにアップされたりシェアされてたのを
すごいチェックしてた時期がありまして、
なかなか読めずにいた時に、
自分は中身を読んでないのに、
他の人がどう読んだかを先に確認してから読もうみたいな、
安心安全か確認してから読もうみたいな気持ちでね、
いろんな人がどう読まれたのか見てたんですけど、
小説新聴に掲載された角田美中さんの追悼文が
ブック版っていうサイトに載ってたんですね。
私の夢は叶わない、それが悲しい。
30年来の作家仲間山本文夫に綴った角田美中の思いっていうタイトルで
サイトに今もアップされているので、もしよかったら読んでいただけたらと思うんですけど、
これがすごかった。ものすごい破壊力で通勤途中で読んだんですけど、
途中で有楽町線降りるぐらい泣いちゃったっていうか、
涙が止まらなくて。角田さんと山本文夫さんの出会いはこの中に書いてあるんですけど、
ある文学賞の受賞式で山本さんが前年の受賞者で先輩で、
デビュー作で翌年受賞した角田さんはデビュー作で21歳とかで若くて緊張してて
右も左もわからなかった時に山本さんが話しかけてくださったっていう経緯らしいんですけど、
その時について角田さんは書かれています。
けれど私は心のどこかでこの人に頼りすぎてはいけないと直感的に思っていて、
親しくしてもらっていても甘えすぎないようにいつも自戒していた。
うーん、なるほどと思ってすごいわかると思ったんですよね。
こういうことを書ける角田さんってやっぱすげーなって同時に思ったというか、
それからこの話はこう続きます。
初めて会った頃の私の直感は当たっていて、
文夫さんは優しすぎる。優しすぎるところを隠そうともしていたけれど、
でも誰もが文夫さんが優しすぎることを知っている。
頼りすぎないように甘えないように自分を諌めていたことで、
私と文夫さんの間にはいつも少しばかり距離があったけれど、
その距離は初めて会った作家への経緯でもあった。
ため口は聞けなかったし、自分から誘うことも一度もできなかった。
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まあ私これを読んで意味がわかんないぐらいいろんな感情が込み上げてきたんですけど、
まあちょっと今もわからないけど、
思い当たる人がいるんですよね、私にもこういう、
この人は魂が優しすぎるからあまり近づいちゃいけないって思ってる人がいて、
普段は大威嚇している自分の甘えみたいなのが欠壊しちゃうんじゃないかっていう怖さがあると言いますか、
あまり二人で飲みに行ったりはしないようにしようって思って距離をとっている人がちょっといて、
その方は別に亡くなってはいないので今もいるんですけど、
そういう関係を言葉にできる角田光雄さんがやっぱすごいなって思ったっていう箇所でした。
文夫さんが優しすぎることを誰もが知ってるっていう、
それを文夫さん自身は隠そうともしていたとかね、その辺の表現がまたすごいなぁと思ったのでした。
この小説心調の追悼文はですね、角田さんのほかに久保美澄さん、吉川鳥子さん、足沢陽さんが続くんですが、
いやーなんかやっぱり文筆家というか書くのをプロにしていらっしゃる方の追悼文ってさすがだなーって思って、
例えるなら、なんだろう、テイラースエフとの結婚式に行ったら、行かないけど、もし行ったら、
多分友人代表はみんなグラミン賞作家で、歌がうめーなーってなるみたいなそんな感じでしょうか、わかんないけど、
直木賞クラスってやっぱ文がうめーなーって思ってちょっと笑えてきちゃうぐらいでした。
まあぜひ、他の方も読まれてみてください。ちょっと話が逸れましたけど、この無人島の2人について、
利島美穂さんもご自身のポッドキャスト、聖なる欲望ラジオっていうポッドキャストをやられてるんですけど、そこで紹介されてました。
利島さんのポッドキャストも、高校時代の友達と電話で、長電話してるみたいなそんな気持ちになれるので、ぜひ聴いてみてください。声も話し方もかわいいんです。
利島さんもね、このご本人と交流があったお話をされてるんですけど、この本への抵抗を感じつつも、
悲しみを一人で受け止めない方がいいっていう話をされていて、ほんとそうだなって思いました。
山本さんと私は別に、個人的な関係は全然ないんですけど、近しい人が亡くなったり、すごく悲しい出来事があった時に、
悲しみを一人だけで受け止めない方がいいって、ほんとそうだなって思ったっていう。
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さらにこんなことをおっしゃっていて、本を読むっていうのは書いた人とつながれるっていうのもあるけど、
同じ本を読んだ人と感想を分け合えるってことだからとおっしゃっていたんですね。
同じ本を読んだ人とつながっている感っていうのはすごくわかりますね。
このポッドキャストもそういう意味かもしれないと思いました。
聴いてくださっている方とつながっている感はもちろんあるんですけど、
そのさらに先に、同じ本を読んだ人と感想をシェアしている。
直接シェアしているわけじゃないけど、分け合えている感じはすごくします。
この戸島さんはポッドキャストの中で、途中で泣き出しちゃって、お水とか取りに行ったりして、
そこもちょっと可愛いなって思えてきちゃうんですけど、
なんか愛おしくなって途中で笑えてきたりしましたが、
戸島さんは仕事関係の人に甘えちゃいけないって思っていたらしくて、
唯一この人に甘えてもいいって思ったのが山本不明さんだったっていうお話をされてます。
角田さんはさっきお伝えしたように、この人には甘えちゃいけないって思ったって言ってたじゃないですか。
この人には唯一甘えてもいいって思った戸島さんと、
この人には甘えちゃいけないって思った角田さんの思う人は同じ人だったっていうのはすごいですよね。
面白いなって思ったりして。
さてさて本の中身に今日全然触れられていませんけれども、
これはどこを読んでもネタバレっていうか、ネタバレというのかちょっとわからないですが、
あんまり解釈を先に話してはいけない気もするので、
紙フレーズを最後にご紹介して終わりたいと思います。
未来のための読書がなくなったら、もう何も読みたいものはないのかもと思ったけれど、
私の枕元には未読本が積んであるコーナーがあって、
毎晩その中からその日の気分に合わせて本を選んでいる。
未来はなくとも本も漫画も面白い、とても不思議だとあります。
山本先生実にいろんな新しい本を読んでらっしゃるんですよね。
この120日、130日ぐらいの中で、
ドラマとか映画も結構見ていて、大豆田とは子も見てるし、
あと富士風がかっこいいとか、
ジェラートピケのパジャマを半額で買ったとかいう話も出てきて、
そういうところを読んでると普通のエッセイを楽しく読んでる気持ちになっちゃうんですけど、
12:00
自分もこうありたいなと思いました。
糖病については本当にしんどそうで大変そうなので、
軽々しく言えたあれじゃないですけれども、
このドラマは面白いけど、ここはちょっとイマイチだなとか、
この人めっちゃ上手くてかっこいいなとか、
ジェラートピケのパジャマ安くなっているものを買いたいとか、
そういう感覚のまま最後を迎えたいみたいなことを考えたりしたら、
なんとなくこの本って前向きな気持ちになれる本なんですよね。
それはそういう風にわざとしたのか、
どう書いてもそういう風になってしまうお人柄だったのか、
すごいなーって思いました。
後輩からは甘えられたいし、
甘えすぎちゃいけんと敬意を持たれる人であるってこともすごいことですよね。
皆さんにもそういう人がいらっしゃるでしょうか。
角田さんの追悼文と、
としまさんのポッドキャストもリンクを貼っておきたいと思いますので、
よかったらぜひチェックしてください。
今日も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
さて、そろそろお時間になってしまいました。
今夜も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
真夜中の読書会おしゃべりな図書室は、
リスナーの方からのお便りをもとに、
おすすめの本や漫画をご紹介しています。
インスタグラムバタヨムからぜひメッセージを寄せください。
それではまた来週水曜日の夜にお会いしましょう。
おやすみなさい。
13:57

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