面白かった本について語るPodcast、ブックカタリスト。今回は、第150回特別回として、「そもそも本を読むことってどういうこと?」に関する話題でトークしました。
基本的にアフタートークはいつもこのノリでしゃべっておりますので、楽屋裏を覗く感じでお楽しみください。
本に期待し過ぎない
読書という行為は持ち上げられることが多いわけですが(「本を読むのはいいことだ」)、それを見かけるとアンビバレントな気持ちになります。たしかに本を読むことで何かしら良いことはあるのかもしれない。でも、そんなに持ち上げるものだろうかとも思ってしまうのです。
たしかに読んで面白い本はあります。しかしそれを至上価値にしてしまえば、「面白くない本は読まない」という行為が導かれるでしょう。同様に、役立つ本はたしかにありますが、それにこだわり過ぎると「役に立たない本は要らない」となってしまいます。
それって文化的な活動の逆を行くマインドセットです。いやいや、そうじゃないだろう、と。
倉下流読書理論では、「読書とは、本々(books)を読むこと」です。どうしたって、本の中には面白いものとそうでないものが出てきます。そういうデコボコした本たちを読んでいくのが読書という活動だと私は考えます。「読書が面白い」というのは、そのような総合的な意味においてです。
読書活動のすべてが「面白い」で満たされているのではなく、デコボコでジグザグの道のりを歩んでいく全体が面白い、あるいは愉しい。
この考え方は、再帰的に展開すれば、一冊の本にも適用できます。一冊の本の中にも面白い部分とそうでない部分があり、それらを統合して「その本が面白い」と言える。あるいはそういうデコボコでジグザグの道のりを進んでいく全体が面白いと言える。
もちろん、読書活動以外に適用することもできるでしょう。個々の出来事や瞬間だけで断じるのではなく、トータルの歩みとして判断すること。
これは視点を少し引くということですし、時間軸を長く取るということでもあります。それこそが瞬間化しつつある社会へのカウンターとなるのではないか、というとちょっと大げさですが、近年失われつつある視点であることは間違いないでしょう。
読んだ本が面白いことにこしたことはありませんし、私もできるだけ面白い本を読みたいとは思っています。でも、その判断を短期的に、あるいは先回りしてやろうとはしていません。すべては「振り返ってから」考えるものだと思っています。
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サマリー
第150回では、読書記録表を使い、複数の本を毎日1ページ以上読むことで読書量が大きく増えた体験を起点に、「読書は常に楽しくなくてよい」という考えを語ります。読書の目的を面白さや実用性だけに限定せず、文字を読む行為そのもの、生活の一部として捉えることで、難しい本や面白くない本にも手を伸ばせると説明します。複数冊を並行して読み、つまらない部分は読み飛ばす方法は、読書をタスク化することで自然に生まれた実践として紹介されます。『チャーハンという迷宮』の序盤は退屈だったものの、読み進めるうちに面白くなった例も挙げられました。さらに、読んだ内容を覚えていないことや本について語れないことも読書の失敗ではなく、読書ごとの凸凹や個性の一部だと話します。読書を筋トレや音楽練習になぞらえ、瞬間的な楽しさではなく長い時間軸で振り返ることの重要性を論じます。読書術が「全部理解する」「読み飛ばしてはいけない」といった規範を強めると、かえって読書文化を狭めるため、読む・飛ばす・やめる自由が必要だと結論づけます。未読の本を読むことは賭けだが、数年後に「つまらなかった」と語れればそれも成功であり、読書には無駄も含めた価値があると締めくくります。
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