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2026-10-22 06:28

令和8年度薬価調査の概要|令和9年度薬価改定に向けた3つのポイント

令和8年度薬価調査は、令和9年度の薬価改定を実施するための調査です。薬価調査とは、医薬品が実際にいくらで取引されているか(市場実勢価格)を把握する国の統計調査です。この調査結果をもとに、国が定める医薬品の公定価格(薬価)が改定されます。

中間年の薬価調査は、平成28年の「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」で決まりました。この基本方針は、2年に1回の薬価調査に加え、その間の年にも大手事業者等を対象に調査を行うと定めました。その目的は、市場実勢価格を適時に薬価へ反映し、国民負担を抑えることです。基本方針では、価格乖離(薬価と市場実勢価格の差)が大きい品目について薬価改定を行うとしています。

令和9年度の薬価改定は、すでに実施が決まっています。令和7年12月24日の「大臣折衝事項」は、令和9年度の薬価改定を着実に実施するとしました。この方針は、令和7年12月26日に中医協が了解した「令和8年度薬価制度改革の骨子」にも盛り込まれています。

調査は令和2・4・6年度と同じ方法で実施する

令和8年度薬価調査の方法は、過去3回の中間年の調査と同じです。中医協の論点として、令和2年度、令和4年度、令和6年度と同様の方法で実施することが示されました。調査の概要(案)は、次のとおりです。

* 対象品目:薬価収載されている全ての医薬品

* 調査期間:令和8年度中の1か月間の取引分

* 調査手法:厚生労働省が客体に直接、調査票を配布・回収

* 対象価格:調査実施時点で妥結している価格

販売サイド調査は、医薬品卸売販売業者の販売価格を調べます。対象は、保険医療機関と保険薬局に医薬品を販売する卸の営業所等です。調査事項は、品目ごとの販売価格と販売数量です。

購入サイド調査は、医療機関と保険薬局の購入価格を調べます。対象は、病院、診療所、保険薬局から抽出された施設です。調査事項は、品目ごとの購入価格、購入数量、購入先の卸の情報(業者名、本店・営業所名)です。

調査規模は本改定時より縮小する

令和8年度薬価調査の規模は、本改定に向けた調査より小さくなります。販売サイドは本改定時の約3分の2、購入サイドは本改定時の半分の規模です。抽出には、層化無作為抽出法(施設を属性ごとのグループに分けてから無作為に選ぶ方法)を用います。令和6年度(中間年)、令和7年度(本改定向け)と比べると、次のとおりです。

販売サイド:卸の営業所等

* 令和8年度(案):3分の2を抽出、約4,300客体

* 令和6年度(中間年):3分の2を抽出、4,356客体

* 令和7年度(本改定向け):全数、6,450客体

購入サイド:病院

* 令和8年度(案):40分の1を抽出、約200客体

* 令和6年度(中間年):40分の1を抽出、201客体

* 令和7年度(本改定向け):20分の1を抽出、399客体

購入サイド:診療所

* 令和8年度(案):400分の1を抽出、約300客体

* 令和6年度(中間年):400分の1を抽出、260客体

* 令和7年度(本改定向け):200分の1を抽出、525客体

購入サイド:保険薬局

* 令和8年度(案):120分の1を抽出、約500客体

* 令和6年度(中間年):120分の1を抽出、502客体

* 令和7年度(本改定向け):60分の1を抽出、1,068客体

販売サイド調査は、全ての卸から3分の2の抽出率で営業所等を選びます。本改定に向けた令和7年度調査では、営業所等の全数が対象でした。令和8年度の販売サイドは約4,300客体で、令和7年度の約3分の2の規模です。

購入サイド調査は、本改定に向けた調査の半分の抽出率で施設を選びます。病院は40分の1、診療所は400分の1、保険薬局は120分の1の抽出率です。令和7年度の抽出率は、病院20分の1、診療所200分の1、保険薬局60分の1でした。

令和6年度の回収率は、販売サイド86.8%、購入サイド68.7~75.3%でした。令和6年度の調査期間は、9月分の取引でした。令和8年度の調査期間は、資料では「令和8年度中の1か月間」とされ、対象月は示されていません。

薬価調査のオンライン化に向けたシステム開発が始まる

薬価調査は、オンラインで回答できる仕組みへ移行する準備が進んでいます。現在の調査は、エクセル様式の調査票を格納したCD-Rを全国の医薬品卸売販売業者等に送付し、入力後に返送してもらう形で行われています。この形式には、大きく2つの課題があります。

1つ目の課題は、作業負担とヒューマンエラーです。調査対象者と厚生労働省の双方で、入力・集計作業の負担が大きくなっています。手入力の工程は、入力ミスが生じる要因にもなっています。

2つ目の課題は、過去データの活用です。過去の調査結果は、データベース化されていません。そのため、医薬品の販売状況を経時的に分析するなどの高度な解析が困難です。

これらの課題を解決するため、厚生労働省は薬価調査システムを構築する予定です。システムには、オンライン回答機能、データチェック機能、調査結果分析機能などを持たせます。調査客体(都道府県、製薬会社、卸、医療機関、保険薬局)は、インターネット経由でクラウド上のシステムに回答する想定です。令和8年度は、システム構築に向けた要件定義と仕様書の作成などを行います。

なお、薬価調査には年1回の「本調査」と、年4回の「経時変動調査」があります。経時変動調査は、本調査以外の月に取引状況を経時的に確認するための調査です。

まとめ:令和8年度薬価調査の3つのポイント

令和8年度薬価調査は、令和9年度の薬価改定に向けて、過去の中間年と同じ方法で実施することが提案されました。

* 方法:令和2・4・6年度と同様に、全ての医薬品を対象として、令和8年度中の1か月間の取引を調べる

* 規模:販売サイド約4,300客体(本改定時の約3分の2)、購入サイド約1,000客体(本改定時の半分)

* システム化:CD-Rでのやりとりを改め、オンライン回答できるシステムの要件定義を令和8年度に行う

調査対象に選ばれた医療機関や保険薬局は、調査票への回答が求められます。今後のシステム化の進捗とあわせて、令和9年度薬価改定の動向に注目しましょう。

参考資料:中医協 総-7(薬-3)「令和8年度医薬品価格調査(薬価調査)について」(令和8年7月8日)



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サマリー

令和9年度の薬価改定に向け、令和8年度に行われる薬価調査の目的と方法を解説します。市場実勢価格と薬価の差を把握するため、全医薬品を対象に1か月間調査しますが、卸売業者や病院、診療所、薬局は本改定時より少ない規模で層化無作為抽出されます。現在はCD-Rで調査票を郵送・返送しており、手入力の負担やデータ統合の難しさが課題です。令和8年度にはオンライン回答、データチェック、過去の価格推移分析を可能にするシステムの要件定義が始まり、将来の価格交渉にも影響しうると語られます。

中間年の薬価調査と目的
よし、今回のテーマを紐解いていきましょう。 あなたが全国展開している巨大なチェーン店のオーナーだとちょっと想像してみてください。
各店舗の店長がですね、まあ本部には内緒で、 仕入れ先とそれぞれ全く違う割引交渉をしているとしたら。
ああ、それだと本当の取引価格を割り出すのはかなり頭が痛い問題ですよね。 そうなんですよ。全部のレシートを書き集めるのか、それとも一部の店舗のデータだけを信じて推測するのか。
実はこれ日本の医療費にも全く同じことが言えるんです。
なるほど。国が薬の市場実成価格をどうやって把握しているのかということですね。
その通りです。今回は中医協の報告資料をもとに深掘りしていきます。 今日のミッションはですね、国がどうやって私たちの医療費負担を抑えようとしているのか。
そしてその裏で稼働している驚くほどアナログなシステムの現状をあなたと一緒に探っていくことです。
いいですね。まず前提としてお話ししておくと、薬の肯定価格である薬価を大きく見直す本改定というのは原則2年に1回行われるんです。
はい。次回は令和9年度に控えているんですよね。
ええ。でも今回話し合うのは令和8年度の薬価調査についてなんです。
そこなんですよ。つまりどういうことですか。なぜ本改定のない令和8年度にわざわざ全国的な調査をするんでしょうか。
それはですね、平成28年の基本方針で改定がない中間年にも調査を行うルールができたからなんですよ。
中間年ですか。
はい。
市場での実際の取引価格と国が定めた薬価との間に大きなズレが生じている薬を早期に見つけ出して適時に価格を下げるためですね。
ああ、なるほど。年末の大掛かりな全社観査を待つんじゃなくて、期中の抜き打ちチェックみたいなものを挟んで、国民の医療費負担が過剰に膨らむのを防いでいるんですね。
ええ、まさにそういうことです。すべての医薬品を対象に1ヶ月間しっかり調査を行います。
調査規模と層化無作為抽出
でもチェックとはいえ、日本全国にある数え切れないほどの病院や薬局を対象に全部調べるとなると、とんでもない規模になりませんか。
ここで興味深いのは、国はデータ収集の労力と精度のバランスを取るために、本海底の都市と比べて調査規模をかなり絞り込んでいるという点なんです。
ほう、具体的にはどれくらい絞り込んでいるんですか。
薬を販売する卸売業者は約3分の2に、購入する側の病院は40分の1、薬局は120分の1に絞り込みます。
ええ、そんなに減らすんですか。
さらにですね、診療所に至っては、なんと400分の1の施設しか調査しないんです。
全体で約1000客帯程度になりますね。
ちょっと待ってください。診療所がたったの400分の1ですか。
単なるくじ引きで選んだら、たまたま都市部の大きな診療所ばかりに偏ってしまって、全国のリアルな実態が反映されない気がするんですが。
おっしゃる通りです。だからこそ純粋なランダムではなくて、創価無作為抽出法というアプローチを取るんですよ。
創価無作為ですか。なんか難しそうな言葉ですね。
簡単に言うとですね、事前に施設を規模や地域などの属性ごとにグループ分けして、それぞれのグループから偏りが出ないように均等にピックアップしているんです。
なるほど。じゃあただのくじ引きじゃなくて、日本の医療機関の正確なミニチュア版を作るような感覚ですね。
まさにその表現がぴったりです。これによって少ないサンプル数でもしっかりと統計的な信頼性を担保しているわけです。
CD-R運用の課題
なるほど。それなら納得です。でもどうしてそこまで調査対象を絞り込まないといけないんでしょうか。
これを全体像に結びつけるとですね、現場の医療機関の負担を減らすという目的ももちろんあるんですが、
実は国側も事務処理の限界を迎えているんですよ。
事務処理の限界ですか。
ええ。現在の薬化調査がどうやって行われているかご存知ですか。
実はエクセル形式の調査票が入ったCDRを全国の施設に郵送しているんです。
オンライン化と価格データ分析
ここからが本当に面白いところなんだけど、今の時代にCDRを物理的に郵送しているんですか。
はい。郵送して入力後に返送してもらっている状態です。
いやいや、AIやクラウドが当たり前のこの時代に電書バトでメールを送るようなものじゃないですか。
それはちょっと衝撃的ですね。
本当にそうですよね。
手入力によるヒューマンエラーの問題も当然あるんですけど、最大のボトルネックはデータの孤立なんです。
データの孤立というと、集めたデータがうまく活用できないってことですか。
ええ。
全国からバラバラのエクセルファイルが送られるため、それを一つの巨大なデータベースとして統合することが非常に難しいんです。
ということは、特定の薬の価格が過去5年間でどう下落していったのかみたいな、刑事的な分析も簡単にはできないわけですね。
おっしゃる通りです。データが集まってもそれがただのファイルの山になっていて、長期的なトレンドを追うような意味のある分析につなげられていなかったんです。
それはもったいないですね。単なる手間の削減っていうレベルの話じゃないですよね。
だからこそ、令和8年度の調査からついにオンライン回答システムの要件定義が始まるんです。
これが実現すれば、過去データとの比較や価格推移のトラッキングがシステム上で瞬時に行えるようになります。
なるほど。単にCD-ROMを郵送する手間が省けるという話ではなくて、データを本当の意味で武器として使えるようになるわけですね。
これが令和9年度の改定に向けた最大の不責になるんですね。
はい。令和8年度の調査は従来の手法を踏襲しつつも規模を縮小し、そして待望のオンライン化への第一歩として、令和9年度につながる極めて重要なステップと言えます。
いやー、薬の値段を決める裏側にこれほど泥臭いデータのやり取りと変革のドラマがあったとは驚きです。
さて、最後にあなたに考えてみてほしいことがあります。
もしこのシステムが完全にオンライン化されて数年分の価格データが国によって瞬時に分析できるようになったとき、製薬会社、卸売業者、そして価格を決める国の価格交渉のパワーバランスは根底からどう変わるでしょう
か。
次に薬局で処方箋を受け取るとき、ぜひその紙切れの裏側で密かに始まろうとしている巨大なデータ戦争について少し想像してみてください。
06:28

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