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【令和8年度改定】調剤基本料の見直し|47点への引き上げと新設減算15点
2026-08-23 05:33

【令和8年度改定】調剤基本料の見直し|47点への引き上げと新設減算15点

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「患者のための薬局ビジョン」の策定から10年が経過しました。この10年で処方箋集中率が85%を超える薬局の割合はむしろ増加し、医療モール内の薬局や調剤基本料2を算定する薬局の損益率は他の薬局より高い水準にあります。厚生労働省は、こうした立地に依存する構造からの脱却と薬剤師の職能発揮を、令和8年度診療報酬改定の課題と位置づけました。本稿では、個別改定項目「Ⅲ-8-① 調剤基本料の見直し」の内容を、実務で確認すべき順に整理します。

今回の見直しは、立地に依存しない薬局の評価を引き上げ、立地に依存する薬局の評価を引き下げる構造になっています。第一に、面分業を担う薬局が算定する調剤基本料1は45点から47点に、調剤基本料3のハは35点から37点に引き上げられます。第二に、調剤基本料2と調剤基本料3のイは、処方箋集中率と処方箋受付回数の基準が引き下げられ、該当する薬局の範囲が広がります。第三に、門前薬局等立地依存減算が新設され、対象となる薬局は所定点数から15点を減算されます。第四に、処方箋集中率と処方箋受付回数の計算ルールが見直され、医療モールの複数医療機関は1つの医療機関とみなされます。

1. 面分業を担う薬局は調剤基本料1が47点に上がる

調剤基本料の点数の引き上げは、面分業を推進する観点から2つの区分で行われます。引き上げの対象は、調剤基本料1と調剤基本料3のハです。いずれも現行から2点の引き上げとなります。

調剤基本料1は、45点から47点に引き上げられます。調剤基本料1は、調剤基本料2、調剤基本料3および特別調剤基本料のいずれの施設基準にも該当しない薬局が算定する区分です。特定の医療機関に依存せず、多くの医療機関の処方箋を応需する薬局が、今回の引き上げの中心的な対象になります。

調剤基本料3のハも、35点から37点に引き上げられます。調剤基本料3のハは、改定後の基準では、同一グループの処方箋受付回数の合計が1月に40万回を超えるグループに属し、かつ処方箋集中率が85%以下である薬局が算定する区分です。大手グループに属する薬局であっても、特定の医療機関に依存しない店舗は評価を引き上げる、という考え方が読み取れます。

■ 引き上げの内容

* 調剤基本料1

* 45点 → 47点(+2点)

* 調剤基本料3のハ

* 35点 → 37点(+2点)

2. 立地に依存する薬局は調剤基本料2・3の対象が広がる

調剤基本料2および調剤基本料3の施設基準は、特定の医療機関に依存する薬局をより広く捉える方向で見直されます。見直しの内容は4つです。調剤基本料2は、受付回数の基準が引き下げられ、都市部の薬局を対象とする基準が新設されます。調剤基本料3は、イの基準が統合される一方、ロとハからは店舗数の要件が削除されます。

調剤基本料2は、処方箋集中率85%超・処方箋受付回数1月1,800回超で該当するようになります。現行は、受付回数2,000回超なら集中率85%超、受付回数1,800回超なら集中率95%超が基準でした。改定後はこの2つの基準が1つに統合されます。その結果、受付回数が1,800回超2,000回以下で集中率が85%超95%以下の薬局が、新たに調剤基本料2の対象になります。

都市部に新規開設する薬局は、処方箋受付回数1月600回超・集中率85%超で調剤基本料2に該当します。この新しい基準は、別表第三の一に掲げる地域に所在し、かつ水平距離500メートル以内に他の保険薬局がある場合に限って適用されます。別表第三の一に掲げる地域とは、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京23区、横浜市、川崎市、相模原市、新潟市、静岡市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市および熊本市です。損益率が高い大都市の小規模門前薬局を適正化する狙いがあります。なお、施設基準の条文に「新規開設」という要件はありません。既存の薬局の多くは次に述べる経過措置によって当面の間対象から外れるため、実質的な対象が新規に開設する薬局になります。

調剤基本料3のイは、同一グループの受付回数3万5千回超40万回以下・集中率85%超に統合されます。現行は、3万5千回超4万回以下なら集中率95%超、4万回超40万回以下なら集中率85%超という2階建ての基準でした。改定後は、3万5千回超4万回以下のグループに属する薬局も、集中率85%超で調剤基本料3のイに該当します。あわせて、医療機関との関係を示す要件が「不動産の賃貸借取引」から「不動産取引等その他の特別な関係」に拡大されます。

調剤基本料3のロおよびハからは、同一グループの店舗数300以上という要件が削除されます。改定後の基準は、同一グループの受付回数の合計が1月40万回を超えることに一本化されます。300店舗以上のグループの損益率が令和6年度改定後に低い水準となった実態が、この削除の背景です。店舗数は多いが受付回数が40万回以下のグループに属する薬局は、これらの区分から外れることになります。

小規模な薬局には、集中率の判定を緩和する経過措置が設けられます。令和8年5月31日時点で処方箋受付回数が1月当たり1,800枚以下として届け出ており、その後も継続的に1,800枚以下である薬局が対象です。対象となる薬局は、当面の間、処方箋集中率を85%以下とみなして取り扱われます。集中率が85%以下とみなされる結果、これらの薬局は集中率を基準とする調剤基本料2の区分には該当しません。

3. 新規開設の薬局には門前薬局等立地依存減算15点が新設される

門前薬局等立地依存減算は、所定点数から15点を減算する新しい仕組みです。減算の対象となるのは、2つの類型に該当する薬局です。いずれの類型でも、特別調剤基本料Aを算定する薬局は対象から除かれます。ただし、既存の薬局は経過措置によって当面の間対象外となるため、実質的な対象は新規に開設する薬局に限られます。

第1の類型は、都市部の薬局が密集する地域に立地する薬局です。この類型は、次の3つの要件をすべて満たす場合に該当します。1つ目は、別表第三の一に掲げる地域に所在し、かつ水平距離500メートル以内に他の保険薬局があることです。2つ目は、処方箋集中率が85%を超えることです。3つ目は、①許可病床数200床以上の医療機関の敷地の境界線から水平距離100メートル以内の区域に所在し、当該区域内および当該医療機関の敷地内に他の保険薬局が2以上あること、②周囲50メートルの区域内に他の保険薬局が2以上あること、③周囲50メートルの区域内に所在する他の保険薬局が②に該当すること、のいずれかに当てはまることです。

第2の類型は、医療機関と同一の敷地内または建物内に立地する薬局です。この類型は、処方箋集中率が85%を超え、かつ医療機関と同一の敷地内または建物内に所在する場合に該当します。いわゆる敷地内薬局と医療モール内の薬局が想定されています。

既存の薬局には、減算を適用しない経過措置が設けられます。令和8年5月31日時点で現に保険薬局の指定を受けている薬局は、当面の間、この減算の施設基準に該当しないものとして取り扱われます。したがって、今回の減算は、令和8年6月1日以降の新規開設を抑制する仕組みとして機能します。

4. 処方箋集中率と処方箋受付回数の計算ルールが変わる

処方箋集中率と処方箋受付回数の計算方法も、あわせて見直されます。見直しの内容は3つです。医療モールの複数医療機関は1つの医療機関とみなされ、集中率の計算から除外する処方箋が追加され、在宅や施設の処方箋は受付回数に算入されます。

医療モールの複数医療機関は、1つの医療機関とみなして集中率を計算します。同一の建物内または同一の敷地内に複数の医療機関が所在する場合、それらの処方箋の受付回数をすべて合算し、特定の医療機関に係る受付回数として扱います。この取扱いは、調剤基本料2の上位3医療機関の合計集中率70%超という基準にも適用されます。医療機関が3つ以上ある医療モールの薬局が基準を下回っていた実態が、この見直しの背景です。

集中率の計算から除外する処方箋には、施設入居者の処方箋が追加されます。除外の対象は、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホームおよび認知症高齢者グループホームに入居する患者の処方箋です。ただし、単一建物診療患者または単一建物居住者が1人の場合の処方箋は除外されません。集中率の基準をわずかに下回らせるために遠方の高齢者施設の処方箋を意図的に受け入れる事例が、この見直しにつながりました。なお、情報通信機器を用いた服薬指導の処方箋、同一グループの薬局の勤務者およびその家族の処方箋は、現行と同様に除外されます。

処方箋受付回数から除外する処方箋は、時間外等処方箋のみになります。現行では、在宅患者訪問薬剤管理指導料等に係る処方箋と居宅療養管理指導費に係る処方箋も受付回数から除外されていました。改定後は、これらの規定が削除され、在宅や施設の患者の処方箋も受付回数に算入されます。その結果、在宅対応の多い薬局では受付回数が現行より増える点に注意が必要です。

5. まとめ:評価の軸は「立地」から「機能」へ

令和8年度改定の調剤基本料は、立地に依存しない薬局を評価する方向で見直されます。面分業を担う薬局の調剤基本料1は45点から47点に、調剤基本料3のハは35点から37点に引き上げられます。一方で、調剤基本料2と調剤基本料3のイは基準が緩和され、該当する薬局の範囲が広がります。新規に開設する薬局には、門前薬局等立地依存減算として15点の減算が新設されます。処方箋集中率と処方箋受付回数の計算ルールも見直され、医療モールの複数医療機関は1つの医療機関とみなされます。自局の集中率と受付回数を新しいルールで再計算し、令和8年6月からの算定区分を早めに確認しておきましょう。



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サマリー

令和8年度の調剤基本料改定により、薬局の評価基準が立地から機能へと大きく転換します。特定の医療機関に依存しない面分業薬局は調剤基本料が引き上げられ、実質的な収入アップが見込まれる一方、門前薬局や医療モール内の薬局には厳しい基準や新たな減算が設けられます。これにより、薬剤師が本来の専門スキルと機能で勝負する制度設計へと舵が切られ、薬局は患者に価値を感じてもらえるサービス提供が求められるようになります。

薬局評価基準の大転換
普段病院に行った後に寄る薬局ってあるじゃないですか。 あれってあのある意味で究極の不動産ゲームだなって思ったことありません?
ああ確かに。大きな病院の目の前っていう、いわゆる特等席さえ確保してしまえば。 そうそう。自動的に患者さんが次々とやってくるっていう。
でも今回私たちが深掘りする、えーと、令和8年度の調剤基本料見直しに関する資料を見るとですね。
その大前提が根底から崩れようとしてるんですよ。 なので今回のミッションは、あなたが利用する薬局の評価基準がリッチから機能へとどう大転換するのか、これを紐解いていきます。
はい。これまでの薬局って本当にどこに立てるかで勝敗が大きく左右されるビジネスモデルだったんですが、まあ国はそのルールそのものを書き換えに来てるんですよね。
つまり根本的なルーラ変更ですよね。
面分業薬局へのボーナス
ええそうです。ここで非常に興味深いのはですね、特定の病院に依存しない、あのわちの様々なクリニックから幅広く処方箋を受けている
独立系の薬局に対して国が明確なボーナスを出すようになったってことなんです。 独立系ってことは、いわゆる面分業の薬局ですね。ボーナスっていうのは具体的には?
はい。処方箋1枚あたりで算定できる基本料金が引き上げられて、まあ実質的な収入アップにつながる設計になっています。
なるほど。自立して地域の患者さんを幅広く支えている薬局が葬られるわけですね。
ええそういうことです。
立地依存型薬局への厳しいハードル
ただちょっと疑問なんですけど、そうやって独立系がプラスの評価を受ける一方で、私たちがよく使うあの病院の目の前にある便利な薬局ってどうなっちゃうんですか?
ああそこですよね。
もしかして何かペナルティーみたいなものがあるんでしょうか?
まさにそこが今回の改定のシビアな部分なんですよ。特定の病院に依存している薬局にはかなり厳しいハードルが設定されました。
厳しいハードルですか?
へえ。処方箋の受付回数とか特定の病院への集中率なんかの基準が厳格化されてですね、より低い基本料金に分類されやすくなったんです。
なるほど。
医療モール薬局への減算と計算ルールの変更
さらに大きいのが、都市部に新しく作られる門前薬局とか、あとはビルの中に複数のクリニックが集まる医療モールってありますよね?
はいはいよく駅前とかにありますよね。
ああいう医療モール内の薬局に対しては、新たに15点もの大きな減算ルール、つまり明確なペナルティーが設けられたんです。
えっと、医療モールの薬局にもペナルティーですか?でも医療モールって中にいくつも別のクリニックが入ってますよね?
はい入ってますね。
これまではうちは複数のクリニックから処方箋をもらってるから、特定の病院には依存してませんよって主張できたんじゃないですか?
鋭いですね。実はそれがこれまでの巧妙な抜け道だったんです。
ああやっぱり抜け道だったんだ。
はい。でも今回から医療モール内にある複数のクリニックはまとめて一つの大きな医療機関として計算されることになりました。
なるほど一括太にされちゃわねですね。完全に塞がれましたね。
集中率操作の抜け道封鎖
そうなんです。そしてですねもう一つの大きな抜け道も今回塞がれているんですよ。それが数字のからくりを使った手法です。
数字のからくり、えっと一体どうやってルールの網の目を忍び抜けていたんですか?
病院の前にある薬局が特定の病院からの処方箋ばかり受けているって見なされないためには、特定の病院への集中率、つまりパーセンテージを下げる必要があったんです。
はいはい。
そこで一部の薬局はわざと遠くにある高齢者施設の処方箋を大量に引き受けていたんですよ。
えっと、ああなるほど。全体の処方箋数、つまり分母を膨れ上がらせて。
そうそう。計算上の分母を大きくして、結果的に目の前の病院からの処方箋の割合を人理的に低く見せていたわけです。
うわあ、外部から大量の処方箋を持ち込んでデータを薄めてたわけですか。いや賢いというか、なんというか。
ええ。でも今回のルール改定で、そうした施設からの処方箋は集中率の計算から除外されることになりました。
ってことは、分母を操作して割合をごまかすような手法はもう通用しないってことですね。
その通りです。これを全体像に結びつけると、国からの非常に強い意思が透けて見えますよね。
国の意図と薬局の未来
と言いますと?
患者のための薬局ビジョンという方針が策定されて10年経つんですが、まあ立地に頼る構造がなかなか改善されなかったわけです。
ええ。
だからこそ今回は、立地という条件にアグラを書くのではなくて、薬剤の専門家としての薬剤師本来のスキルと機能で勝負しなさいっていう制度設計に完全に駄利を切ったんです。
いやあ、国の本気が伝わってきますね。ではこれが皆さんの生活にどう直結するのかって話ですが、
はい。
リスナーのあなたが普段処方箋を出しているあの薬局のサービスがこれからガラリと変わるかもしれないんですよね。
薬局が利益を出すためのルールが変われば、当然生き残るためのアプローチも変わりますから。
おっしゃる通りです。病院を出てすぐ目の前にあるからっていう、血糊だけで患者さんが来てくれる時代は終わります。
ですよね。
これからの薬局は、患者さん自身に価値を感じてもらえる機能を提供していかないと生き残れないんですよ。
不動産としての特特石っていう最強のカードが通用しなくなる未来。
だとしたら、未来の薬局はあなたにわざわざここがいいと選んでもらうために、一体どのような全く新しいサービスや独自の機能を生み出していくんでしょうか。
本当にそこがこれからの見どころですよね。
ねえ、次にあなたが薬局に行く時、その変化の兆しがすでに始まっているかもしれないんですよ。
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