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2026-01-07 04:53

令和8年度薬価制度改革の骨子を解説|革新的新薬薬価維持制度など5つの重要変更点

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中央社会保険医療協議会(中医協)総会(第639回)において、令和8年度薬価制度改革の骨子(案)が示されました。この骨子案は、「経済財政運営と改革の基本方針2025」で掲げられた「国民負担の軽減と創薬イノベーションの両立」を実現するための具体策を定めています。本稿では、医療機関や製薬企業に影響を与える主要な変更点を解説します。

令和8年度薬価制度改革の骨子案では、5つの重要な変更が示されています。第一に、新薬創出・適応外薬解消等促進加算が「革新的新薬薬価維持制度(PMP)」へ名称変更されます。第二に、長期収載品の薬価は後発品上市後5年でG1が適用され、段階的に引き下げられます。第三に、AG(オーソライズド・ジェネリック)およびバイオAGの薬価は先発品・バイオ先行品と同額に設定されます。第四に、年間販売額が3,000億円を超え急拡大した高額医薬品には、引き下げ幅上限が66.7%に引き上げられます。第五に、後発品の安定供給確保のため、価格帯集約ルールが見直されます。

革新的新薬薬価維持制度(PMP)への名称変更と制度見直し

新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度は、「革新的新薬薬価維持制度」へ名称変更されます。この変更は、特許期間中の革新的な新薬の薬価維持という制度趣旨を明確化するためです。英語名は「Patent-period price Maintenance Program for Innovative Drugs(PMP)」となります。

品目要件については、透明性向上の観点から見直しが行われます。具体的には、「新規作用機序医薬品又は新規作用機序医薬品に相当すると認められる効能若しくは効果が追加されたものであって、別表10の基準に該当する医薬品」などの要件が削除されます。この変更は、今後新たに薬価収載される品目に適用されます。一方、乖離率が平均乖離率を超える品目を対象外とする要件は維持されます。

累積額の控除と薬価の下支えに係るルールの適用順序も見直されます。従来どおり改定前薬価と市場実勢価格に基づく改定額との差額の累積額は控除されます。ただし、累積額控除により最低薬価未満となる事態を防ぐため、累積額控除を適用した後に薬価の下支えルールを適用する順序に変更されます。

長期収載品の薬価の更なる適正化

長期収載品の薬価については、後発品置換え期間が5年に設定されます。この変更は、長期収載品に依存するビジネスモデルからの脱却を促進する目的で実施されます。5年経過後は後発品置換率によらずG1が適用され、後発品の加重平均薬価を基準として段階的に引き下げられます。

従来のZ2およびG2は廃止されます。また、Cも廃止され、G1の補完的引下げは後発品置換率によらず一律2.0%となります。G1による引下げ後の額と2.0%の補完的引下げ後の額のうち、いずれか低い額が適用されます。後発品の加重平均薬価まで価格を引き下げた長期収載品については、G1の適用対象外となります。

バイオ先行品についても、バイオシミラーが収載されている場合はG1が適用されます。引下げの下限および円滑実施措置は原則廃止されますが、令和8年度は大きな制度変更であることから、経過措置として適用されます。

AG・バイオAGの新たな薬価ルール

バイオAGの新規収載時の薬価は、バイオ先行品と同額に設定されます。この変更は、バイオシミラーとの適切な競争環境を形成・維持する観点から導入されます。バイオAGとは、先行品と有効成分、原薬、添加物、製法等が同一のバイオ医薬品であって、後発品として薬事承認を受けたものを指します。

AG(オーソライズド・ジェネリック)についても同様の措置が講じられます。先発品と有効成分、原薬、添加物、製法等が同一の後発品(AG)の薬価は、先発品と同額となります。この変更も、後発品の適切な競争環境の形成・維持を目的としています。AGであるか否かの客観的判断が困難なため、薬価基準収載希望書にAGである旨の記載を製造販売業者に求める運用が導入されます。

薬価改定時には、AG・バイオAGと先発品・バイオ先行品の価格帯集約が行われます。先発品の薬価と同額で算定されたAG又はバイオAGについては、当該AGおよび先発品、当該バイオAGおよびバイオ先行品の薬価をそれぞれ加重平均し、価格帯を集約することになります。

高額な医薬品に対する対応強化

年間1,500億円の市場規模を超える高額な医薬品への対応が強化されます。市場拡大再算定の特例は「持続可能性特例価格調整」(英語名:Special Price Adjustment for Sustainable Health System and Sales Scale(SPA-SSS))に名称変更されます。この名称変更は、イノベーション評価と国民皆保険維持の両立という趣旨を明確化するためです。

持続可能性特例価格調整の引き下げ幅上限が引き上げられます。年間販売額が予測販売額から10倍以上かつ3,000億円超に急拡大した場合に限り、従来の上限50%から66.7%(2/3)に引き上げられます。この措置により、予想を大幅に超えて市場が拡大した高額医薬品に対して、より強い価格調整が可能となります。

市場拡大再算定の類似品への適用は廃止されます。企業の予見可能性を確保し、国民負担の軽減と創薬イノベーションを両立する観点から、この変更が行われます。一方、市場拡大再算定対象品目の薬理作用類似薬については、効能追加等の有無に関わらず、NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)により使用量を把握し、薬価改定以外の機会も含めて再算定が実施されます。

後発品の安定供給確保のための対応

後発品の価格帯集約ルールが見直されます。注射薬およびバイオシミラーについては、同一規格・剤形内の品目数が少ない状況を踏まえ、最高価格の30%を下回る薬価のものを除き、価格帯集約の対象外となります。G1品目に係る後発品の1価格帯集約は廃止されます。

薬価の下支え制度も充実されます。最低薬価については、外用塗布剤に規格単位に応じた最低薬価が設定されます。点眼・点鼻・点耳液には点眼剤の最低薬価が適用されます。最低薬価の水準自体も引き上げられますが、前回調査における最低薬価品目の平均乖離率を超えた乖離率であった品目は引き上げ対象外となります。

不採算品再算定の要件も緩和されます。従来の「全ての類似薬について該当する場合に限る」という要件が削除され、該当する類似薬のシェアが5割以上であれば対象となります。対象品目は、基礎的医薬品と同一の品目、重要供給確保医薬品、極めて長い使用経験があり供給不足の影響が大きい品目などに限定されます。

まとめ

令和8年度薬価制度改革の骨子案は、国民負担の軽減と創薬イノベーションの両立を目指した包括的な制度改正です。革新的新薬薬価維持制度(PMP)への名称変更により特許期間中の薬価維持の趣旨が明確化されます。長期収載品は後発品上市後5年でG1適用となり、段階的に引き下げられます。AG・バイオAGは先発品・バイオ先行品と同額で収載され、適切な競争環境が形成されます。高額医薬品への対応は強化され、急拡大した場合の引き下げ幅上限は66.7%となります。後発品の安定供給確保のため、価格帯集約の見直しと下支え制度の充実が図られます。医療機関および製薬企業は、これらの変更点を踏まえた対応が求められます。



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サマリー

令和8年度の薬価制度改革では、国民負担の軽減と創薬イノベーションの推進という二つの側面が強調されています。特に、革新的新薬の薬価維持制度の導入や、長期秀才品の価格引き下げが重要な変更点として挙げられます。

薬価制度改革の概要
さて、今回深掘りしていく資料は、中央社会保険医療協議会が示した、令和8年度薬価制度改革の骨。テーマは、国民負担の軽減と、もう一つが創薬イノベーションの推進。
この2つ、アクセルとブレーキを同時に踏むような話ですよね。 まさにそうなんです。このかなり難しい課題にどう挑もうとしているのか、その設計図を読み解いていきましょう。
まず注目したいのは、制度の名称変更に込められた意図かもしれません。 名称変更ですか?
例えば、新薬の価格を守る制度は、これからは革新的新薬薬価維持制度、通称PMPという名前に変わります。
これは、特許期間中の本当に革新的な薬の価値は、国としてしっかり維持しますよ、というメッセージをより明確にするための変更なんですね。
なるほど。イノベーションというアクセルをしっかり踏むろ、という意思表示なわけですね。 その通りです。
一方でブレーキの方、つまり長く使われている薬、いわゆる長期秀才品の価格は、これはかなり大きく変わりますよね。
ここが国民負担の軽減の革新部分です。
後発品、つまりジェネリック薬品が出てから5年が経過すると、価格が段階的にかなり大きく引き下げられることになりました。
そうなんです。これは単なる値下げというよりに、もっと強いメッセージが込められていて。
と言いますと?
これまで日本の大手製薬会社を支えてきた、いわゆる特許が切れてもブランド力で売り続ける、というビジネスモデルからの転換を、もう国が促しているわけです。
なるほど。
古い薬に依存するんじゃなくて、常に新しい薬を生み出しなさい、と、そういう強いメッセージと言えますね。
次にですね、ちょっと面白いなと思ったのが、AG、オーソライズとジェネリックの扱いです。
はいはい、AGですね。
これらは先発品とほとんど同じ薬なのに、価格も先発品と同額に設定されるようになると。
ええ。
これって、一見すると負担軽減に逆行しているようにも思えるんですが。
そこ、いいポイントですね。一見不思議に思えるかもしれません。でも、これは他の後発品との適切な競争環境を作るための措置なんですよ。
競争関係ですか?
はい。AGと先発品を一つの価格帯に、いわば押し込めることで、市場全体の価格引き下げを狙っているわけです。
価格変更の影響
なるほど。ちょっとだけ安い先発品という選択肢をなくして、先発品か、それとももっとずっと安い後発品か、という構造をはっきりさせるということですね。
まさに、そういう狙いがあります。
そして、非常に高額な薬への対応もかなり強化されますよね。
そうなんです。特にインパクトが大きいのが、市場が予測の10倍以上かつ、年間の販売額が3000億円を超えた場合、この場合、薬価の引き下げ幅の上限が最大で66.7%になるという点です。
66.7%ですか。すごい下げ幅ですね。
持続可能性特例価格調整、SPASSSという新しい名前がついていますが、これはもう国の医療保険財政の持続可能性を保つための、いわばセーフティーネットなんです。
セーフティーネット。でも、爆発的に売れた薬には、それ相応のある種のペナルティーを課すということにも聞こえますが。
そこがまさにこの改革の綱渡りな部分でして、これは成功への罰ではなくて、医療保険制度を破綻させないための上限設定と捉えるべきなんでしょうね。
なるほど。
大ヒットは歓迎するけど、制度そのものを壊すほどのヒットは許すようできないという国の意思表示なわけです。
最後に、高発品の安定供給を確保するための見直しも行われますね。
ええ、これも非常に重要です。価格を引き下げるだけじゃなくて、必要な薬が市場からなくならないように配慮する。
価格帯の集約ルールを変更したり、不採算になりがちな薬の価格を下支えしたりする制度が充実すると。
そうです。安くするだけでなく、市場から消えないようにする配慮もちゃんとセットになっている。これもこの制度の重要な側面ですね。
ということは、今回の改革をまとめると、古い薬の価格は下げて、新しい革新的な薬の価値は守る。
ええ。
このバランスが非常に重要なポイントになってくるわけですね。
まさに。これらの変更が、これから製薬企業の開発戦略とか市場へのアプローチにどう影響を与えるか、それが今後の大きな焦点になってきます。
そこであなたに一つ考えてみてほしい問いがあります。
はい。
この改革によって、日本の製薬業界は本当に革新的な新薬を生み出す方向に進むのでしょうか?
それとも、この価格引き下げという強い圧力の中で、開発に慎重になってしまうのでしょうか?
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