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2026-10-23 06:58

中医協総会第653回|9月収載の新機能医療機器4製品をやさしく解説

2026年(令和8年)7月22日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会第653回で、新たに保険適用される医療機器4製品の区分と償還価格の案が示されました。これら4製品は、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)、植込型除細動器、開胸手術、冠動脈の画像検査という幅広い場面で使われるため、医療機関は算定ルールを早めに把握する必要があります。本稿では、総会資料「総-1 医療機器の保険適用について」をもとに、4製品の償還価格、新しい機能区分、算定上の注意点を整理します。

4製品は、いずれも区分C1(新機能)として2026年9月1日に保険収載される予定です。既存の2製品は、チャレンジ申請によって有用性加算5%を得て、償還価格が引き上げられます。新規の2製品は、新しい機能区分のもとで、補正加算なしの価格で収載されます。費用対効果評価の対象は2製品(サピエン3 Ultra RESILIAと、Cobaltシリーズのうち2品目)で、企業希望価格を下回る価格がついた製品は3製品です。

4製品の概要:すべてC1(新機能)で9月1日収載

今回の4製品は、すべて区分C1(新機能)に分類され、2026年9月1日に収載される予定です。区分C1とは、新しい機能区分の設定や既存区分の見直しが必要で、技術料は既存のものを用いる医療機器を指します。4製品の全体像は次のとおりです。

① エドワーズ サピエン3 Ultra RESILIAシステム

* 企業名:エドワーズライフサイエンス合同会社

* 保険償還価格:4,730,000円(2028年5月31日までは4,940,000円)

* 算定方式:類似機能区分比較方式

* 補正加算:有用性加算5%

* 外国平均価格との比:0.90(期限付価格は0.94)

② Cobalt MRI ICDシリーズ、Cobalt MRI CRT-Dシリーズ(4品目)

* 企業名:日本メドトロニック株式会社

* 保険償還価格:2,720,000円~4,960,000円

* 算定方式:類似機能区分比較方式

* 補正加算:有用性加算5%

* 外国平均価格との比:0.46~0.74

③ オスピカ TMA

* 企業名:平和物産株式会社

* 保険償還価格:79,600円

* 算定方式:原価計算方式

* 補正加算:なし

* 外国平均価格との比:0.96

④ デュアルビュー

* 企業名:テルモ株式会社

* 保険償還価格:132,000円

* 算定方式:類似機能区分比較方式

* 補正加算:なし

* 外国平均価格との比:記載なし

償還価格の算定方式は、2つの方式に分かれます。類似機能区分比較方式は、機能が近い既存の機能区分の価格を基準に、加算を上乗せして価格を決める方式です。原価計算方式は、製造原価や販売費などを積み上げて価格を決める方式です。4製品のうち3製品が類似機能区分比較方式、オスピカ TMAだけが原価計算方式で算定されました。

外国平均価格との比は、日本の償還価格が海外価格に比べて高すぎないかを確認する指標です。外国平均価格は、米・英・独・仏・豪のうち価格が把握できた国の平均で、オスピカ TMAはドイツ1か国の価格のみです。比が1を下回ると、日本の価格が外国平均価格より安いことを意味します。今回、比が示された3製品は、いずれも1を下回りました。

既存2製品:チャレンジ申請で有用性加算5%

既存の2製品は、チャレンジ申請が認められ、有用性加算5%の上乗せで償還価格が引き上げられます。チャレンジ申請とは、保険収載後に集めた臨床データをもとに、企業が改めて有用性の評価を求める仕組みです。2製品はいずれも、2026年6月の保険医療材料等専門組織で臨床上の有用性が認められました。この再評価に合わせて、2製品とも機能区分が見直されます。

エドワーズ サピエン3 Ultra RESILIA:期限付きで2段階の価格

価格:サピエン3 Ultra RESILIAの償還価格は、2028年5月31日までは4,940,000円、それ以降は4,730,000円です。この製品は、大動脈弁狭窄症に対するTAVIで使うバルーン拡張型の人工生体弁(ウシ心のう膜弁)です。基準となる機能区分は「182 経カテーテル人工生体弁セット」のバルーン拡張型(期限付改良加算なし4,510,000円、期限付改良加算あり4,720,000円)で、これに有用性加算5%を加えて算定されました。2028年5月31日までの価格には、一定期間に限り改良を評価する「期限付改良加算」による評価が上乗せされています。

新区分:機能区分182のバルーン拡張型は、「標準型」と「特殊型」の2区分に再編されます。特殊型の要件は、心膜にキャッピング処理とグリセリン処理が施されていることです。

根拠:有用性加算の根拠は、臨床上重要な安全性指標で類似材料より高い安全性が示されたと評価されたことです。企業提出資料によると、TAVI弁のレジストリー(TVT-Registry)で患者背景をそろえた各群4,598例を後ろ向きに比較し、本製品群が前世代品群を上回りました。具体的には、退院時の平均圧較差が低く(9.3 vs 12.1 mmHg)、重度の人工弁患者不適合も少なく(6.6% vs 11.9%)、術後1年時点の全死亡率も低い(7.6% vs 9.6%)結果でした。外科的生体弁の比較でも、RESILIA弁は術後8年時点の重度の構造的弁劣化が少ない結果でした(0.7% vs 9.5%)。

算定上の注意:関連する技術料には、K555-2 経カテーテル弁置換術(経心尖大動脈弁置換術61,530点、経皮的大動脈弁置換術39,060点)が示されています。特殊型を期限付改良加算込みの価格で算定できるのは、留意事項により2028年5月31日までに限られます。

Cobalt MRI ICD/CRT-Dシリーズ:iATP機能で新区分

価格:Cobalt MRIシリーズ4品目の償還価格は、2,720,000円から4,960,000円です。このシリーズは、心室頻拍などを治療する植込型除細動器(ICD)と、両室ペーシング機能付き植込型除細動器(CRT-D)です。各品目の価格は、それぞれの既存区分の価格を基準に、有用性加算5%を加えて算定されました。

* Cobalt XT VR MRI:2,720,000円(基準:117 植込型除細動器(Ⅲ型)・標準型 2,580,000円)

* Cobalt XT DR MRI:2,800,000円(基準:117 植込型除細動器(Ⅴ型) 2,660,000円)

* Cobalt XT HF CRT-D MRI:4,550,000円(基準:144 単極又は双極用・抗頻拍ペーシング機能付き 4,350,000円)

* Cobalt XT HF Quad CRT-D MRI:4,960,000円(基準:144 4極用・抗頻拍ペーシング機能付き 4,750,000円)

※資料上の償還価格は、基準価格に5%を単純に掛けた額とは一致しません。実際の算定額は上記の償還価格をご確認ください。

新区分:機能区分117と144には、「内因性抗頻拍ペーシング機能付き」の区分が新設されます。内因性抗頻拍ペーシング(iATP)機能とは、心室頻拍を止められなかった直前の治療結果をもとに、次の治療のパラメータを自動で調整する機能です。この新設により、117は合計6区分、144は合計10区分になります。

根拠:有用性加算の根拠は、臨床上重要な有効性指標で類似材料より高い有効性が示されたと評価されたことです。企業提出資料によると、日本と韓国の38施設・800名を対象としたSPARKレジストリ試験では、植込み後1年間のiATPによる心室頻拍停止成功率が86.2%でした。9か国76施設・1,875名を対象とした研究では、iATPが従来の抗頻拍ペーシングに比べて停止成功率を有意に高めました(オッズ比1.87)。同じ研究で、抗頻拍ペーシング後にショックを伴う頻脈促進が起こる割合も下がりました(調整オッズ比0.43)。

算定上の注意:関連する技術料には、K599 植込型除細動器移植術(31,510点)、K599-3 両室ペーシング機能付き植込型除細動器移植術(35,200点)などが示されています。なお、企業は治療方法の改善も含めた有用性加算10%を希望しましたが、認められたのは5%でした。

新規2製品:新区分で加算なしの評価

新規の2製品は、新しい機能区分のもとで、補正加算なしの価格で収載されます。オスピカ TMAは、原価計算方式で価格が決まりました。デュアルビューは、既存の機能区分を細分化し、その価格をそのまま適用しました。2製品とも、ピーク時の予測販売金額が50億円未満のため、費用対効果評価の対象外です。

オスピカ TMA:術後心房細動の除細動ができる心臓ワイヤー

価格:オスピカ TMAの償還価格は、原価計算方式による79,600円です。この製品は、開胸手術の際に心臓へ留置するワイヤー型の電極で、術後に体外式ペースメーカにつないで一時的な心臓ペーシングに使います。両心房に留置して専用の除細動機能付き体外式ペースメーカにつなぐと、術後心房細動の電気的除細動もおこなえます。

新区分:本製品のために、「249 除細動機能付き体外式ペースメーカ用心臓植込ワイヤー」という区分が新設されます。この区分の要件は、心臓手術中または術後の不整脈治療のために心外膜などへ留置することと、術後心房細動を除細動できる電極をもつことです。

根拠:臨床上の有用性は、企業提出資料によると、旧モデルを用いた145例の前向き非ランダム化比較試験で示されています。術後心房細動の持続時間は、旧モデル群(72例)で12.4時間、従来治療群(73例)で60.9時間でした。有害事象は両群とも0例でした。

算定上の注意:算定できる対象は、留意事項で絞り込まれています。対象は、開胸を伴う心臓手術や胸部大動脈手術を受ける18歳以上の患者のうち、術後心房細動の発症リスクが高いと推定される患者です。さらに、関連学会の定める指針に従って使用することが条件です。算定は、1回の手術につき2個が上限です。

デュアルビュー:OCTとIVUSを1本で撮れるカテーテル

価格:デュアルビューの償還価格は、既存区分と同額の132,000円です。この製品は、光干渉断層法(OCT)と血管内超音波(IVUS)の画像を、1本のカテーテルで同時に同じ位置から取得できます。冠動脈インターベンション(PCI)の治療計画や治療後の確認に使われます。

新区分:機能区分「149 血管内光断層撮影用カテーテル」は、「標準型」と「血管内超音波プローブ一体型」の2区分に分けられます。本製品は、OCTとIVUSを同時に実施できる構造をもつため、一体型に当たります。

根拠:臨床上の有用性は、企業提出資料によると、非臨床試験と文献で示されています。生体ブタ冠動脈とヒト摘出冠動脈を用いた試験では、既存のOCT・IVUSと同等の画像識別性能が確認されました。OCTとIVUSを併用すると、プラークや石灰化の観察精度が上がることも、複数の文献で報告されています。

算定上の注意:関連する技術料には、D206 心臓カテーテル法による諸検査(右心カテーテル3,600点、左心カテーテル4,000点)と、血管内光断層撮影などを実施した場合の加算(400点)が示されています。留意事項の変更はありません。

費用対効果評価と企業希望価格との差

今回の4製品では、2製品が費用対効果評価の対象となり、3製品で企業希望価格を下回る償還価格がつきました。費用対効果評価とは、収載後に費用と効果のバランスを分析し、その結果に応じて価格を調整する仕組みです。対象は、ピーク時の予測販売金額によって区分されます。

費用対効果評価の対象は、サピエン3 Ultra RESILIAと、Cobaltシリーズのうち2品目です。サピエン3 Ultra RESILIAは、予測販売金額が806億円で、H1区分(100億円以上)に当たります。Cobalt XT DR MRIは81.8億円、Cobalt XT HF Quad CRT-D MRIは92.2億円で、いずれもH2区分(50億円以上100億円未満)に当たります。Cobaltシリーズの残る2品目は対象外です。

企業希望価格との差は、加算の種類や率、算定方式の判断に表れています。

① サピエン3 Ultra RESILIA

* 企業希望:4,730,000円/期限付4,950,000円(改良加算5%)

* 決定:4,730,000円/期限付4,940,000円(有用性加算5%)

② Cobalt MRIシリーズ

* 企業希望:2,860,000円~5,170,000円(有用性加算10%)

* 決定:2,720,000円~4,960,000円(有用性加算5%)

③ オスピカ TMA

* 企業希望:83,400円(類似機能区分比較方式)

* 決定:79,600円(原価計算方式)

④ デュアルビュー

* 企業希望:132,000円

* 決定:132,000円(希望どおり)

まとめ:9月1日からの算定に向けて確認したい3点

2026年7月22日の中医協総会では、区分C1(新機能)の医療機器4製品が、9月1日に保険収載される予定として示されました。既存のサピエン3 Ultra RESILIAとCobalt MRIシリーズは、チャレンジ申請で有用性加算5%を得て、償還価格が上がります。新規のオスピカ TMAとデュアルビューは、新しい機能区分のもとで、補正加算なしの価格で収載されます。サピエン3 Ultra RESILIAとCobaltシリーズの2品目は費用対効果評価の対象となり、今後の価格調整の可能性があります。

医療機関が特に確認したいのは、次の3点です。1点目は、サピエン3 Ultra RESILIAの高い価格が2028年5月31日までの期限付きであることです。2点目は、オスピカ TMAに年齢、手術の種類、学会指針、個数上限という算定条件があることです。3点目は、182・117・144・149の各区分で見直された機能区分と、新設された249の区分を、レセプトや院内マスタに正しく反映することです。

出典:中央社会保険医療協議会 総会(第653回)資料「総-1 医療機器の保険適用について」(令和8年7月22日)



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サマリー

2026年9月に保険適用される4つの医療機器を題材に、医療機器の価格が決まる仕組みを解説する。既存製品のサピエン3 Ultra RESILIAとCobalt MRIシリーズは、市販後データによるチャレンジ申請で有用性加算5%を得た。CobaltのiATP機能は心室頻拍の停止成功率86.2%、サピエン3は重度の弁劣化を従来の9.5%から0.7%に抑えたデータが紹介された。一方、デュアルビューはOCTとIVUSを1本に統合しながら既存製品と同額に、類似品のないオスピカTMAは原価計算方式で約7万9600円になった。価格には期限や再評価、使用対象の制限があり、医療技術の進歩と医療費の持続可能性の両立が課題だと語られる。

4製品とC1区分、チャレンジ申請
あのー、リスナーのあなたも、病院で最新の医療機器を見たときにですね、 これって一体誰がどうやって値段をつけているんだろうって疑問に思ったことありませんか?
あー、ありますよね。
なんか、メニューに値札がない高級レストランに入っちゃったような、あの、そわそわする感覚というか。
確かに。私たちの命を救ってくれるテクノロジーですけど、その価格がどう決まるのかって、完全にブラックボックスですよね。
そうなんですよ。なので、今回の深掘りではですね、まさにその裏側を読み解いていきます。
ターゲットは、2026年9月に新たに保険適用された4つの最先端デバイスの資料です。
えーと、いわゆる区分C1と呼ばれるカテゴリーですね。
区分C1ですか?
えー、これ既存の製品に全く新しい機能が追加されたり、そもそも世の中に類似品が存在しない新技術につけられる枠組みなんです。
なるほど。でも面白いのは、医療機器って一度デビューしたらそれで終わり、価格もそのままってわけじゃないんですよね。
そうなんです。そこが面白いところでして。
今回価格が上がった、サピエンスリーウルトラレジリアっていう人工生態弁と、コバルトMRIシリーズっていう植え込み型除細道器がありましたよね。
はい、その2つですね。
これっていわばデビューした後に、実は私こんなにすごいんですって実データを突きつけて、自己ベストを更新したアスリートが年報アップを勝ち取るような、そんな仕組みですよね。
まさにその通りです。専門用語でチャレンジ申請と呼ぶんですけど。
チャレンジ申請?
はい。
市販後にデータを集めてその有用性を証明できれば、価格にプラスの評価、つまり有用性加算がつく仕組みなんです。
実力主義なんですね。
Cobaltとサピエン3の臨床データと価格評価
例えばコバルトの場合だと、単に心臓に電気ショックを与えるだけじゃなくて、IATPという新しい機能が評価されました。
IATP、それはどういう機能なんですか?
過去の治療結果をデバイス自体が学習して、次の治療の強さとかタイミングを自動調整するんです。
デバイスが自分で学習して最適化するんですか?
そうなんです。
なんかスマート家電の命に関わるバージョンみたいですね。
本当にそんな感じです。その結果、危険な進出頻発を止める成功率がなんと86.2%にまで達したんですよ。
86.2%、それはすごい。データの蓄積がダイレクトに5%の価格上乗せにつながったわけですね。
はい。サビエンス3の方もデータでその実力を証明しまして。
大動脈弁教材書に使う人工生体弁ですね。
こちらは述語8年という長いスパンで見たときのデータなんですが。
8年ですか。
はい。重度な弁の劣化をですね、従来の9.5%からなんと0.7%にまで劇的に抑え込んだというデータを提示したんです。
ちょっと待ってください。9.5%が0.7%になったんですか?
そうなんです。ほぼ10分の1以下ですよね。
それは患者さんのその後の人生の長さに直結しますよね。
でもサビエンス3って約494万円もするじゃないですか。
はい。かなり高額な部類に入りますね。
国もデータが良いならいくらでも払いますよって青天井で認めてるわけじゃないですよね。
もちろんです。そこはすごくシビアでして。
だからこそこの494万円という価格は2028年5月31日までという厳しい期限付きなんですよ。
期限があるんですか。
それにサビエンス3はピーク時の予測販売金額が806億円という巨額に上るんですね。
806億。
はい。これだけ市場にインパクトを与える製品は費用対効果評価の対象になります。
つまり本当にその価格に見合う効果が出ているのか、後から厳しく再計算されるってことですか。
その通りです。場合によっては価格が引き下げられる可能性すらあります。
なるほど。すごければ手放しで褒められるわけじゃなくて常に監視されてるんですね。
経済的な持続可能性も重要ですから。
デュアルビューとオスピカTMAの価格算定
じゃあ既存のデバイスの進化じゃなくて全く新しい技術はどう根付けされるんですか。
今回デュアルビューとオスピカTMAという新製品もありましたよね。
はい。まずデュアルビューですが、これは血管の中を見るためのカテーテルでして。
カテーテル。はい。
これまで別々に使っていた光による高精細な画像を作るOCTと超音波による心部までの画像を作るiBUSのセンサーをですね。
なんと1本のワイヤーに統合しちゃったんです。
光と音のいいとこどりを1本で同時にやるってことですか。
そうなんです。画期的ですよね。
それなら手術の時間も短くなるし患者さんの負担もかなり減りますよね。
ただ価格は既存の製品と同額の13万2000円に設定されました。
そこは末置きなんですね。
はい。一方で全く新しいジャンルを開拓したのがオスピカTMAです。
それはどんなデバイスなんですか。
心臓の手術後に起きる心房細胞を止めるワイヤーなんですが、これ世の中に類似品がないんですよ。
類似品がないってことは基準にする価格がないわけですよね。どうやって計算するんですか。
そこで減価計算方式というものが使われます。
減価計算方式。
はい。製造にかかる材料費とか人件費、流通コストなんかをゼロから積み上げていくんです。
なるほど。それでいくらになったんですか。
約79600円という価格が弾き出されました。
画期的な新技術なのに意外とお手頃ですね。
そう感じるかもしれませんね。
使用制限と医療費の持続可能性
でもちょっと腑に落ちないのが、こんなに安くて便利ならもっとバンバン使えばいいのにって思うんですが、
対象が18歳以上だったり特定の手術に限るとか、1回の手術につき2個までってものすごくガチガチにルールで縛られてますよね。これはなぜですか。
まあ単価が安いからといって、現場のお医者さんが念のためと全員に使い始めたらどうなるか、想像してみてください。
ああ、チリもツモレバでものすごい額になっちゃう。
そうなんです。国の医療費はあっという間にパンクしてしまいますよね。
確かに。
だからこそ、関連学会の指針に沿って、術後にリスクが本当に高い患者さんだけにターゲットを厳密に絞り込んでいるんです。
つまり、医療の進化と医療費の抑制は常にギリギリの綱引きをしている状態なんですね。
まさにその通りです。
画期的なデバイスが生まれても、期限付きの価格だったり、ガチガチの算定ルールがあったり、売れすぎたら再評価されたり。
テクノロジーの進歩は素晴らしいことですが、それを社会全体でどう支え続けるかという非常に冷徹なシステムが裏で動いているということなんです。
なるほどな。リスナーのあなたもぜひ想像してみてください。
自分がもし手術台に上がるとき、当然最高で最新の技術を使いたいって願うはずですよね。
誰だってそう思います。
でもその一方で、誰もが最新技術を無制限に使えばシステム自体が崩壊してしまう。
この命を救うイノベーションと経済的な持続可能性というシビアな天秤、あなたならどうバランスをとるべきだと思いますか?
06:58

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