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#904 意味は+ーだけで記述できるか? from Radiotalk
2026-10-17 11:55

#904 意味は+ーだけで記述できるか? from Radiotalk

主要参考文献
Davenport, M., & Hannahs, S. J. (2020). Introducing phonetics and phonology (4th ed.). London: Routledge.

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サマリー

今回は、音素をプラスとマイナスの特徴で記述する「弁別的素性」について、調音位置、声音性、継続性を例に説明する。音素を個別に扱うのではなく、複数の素性の組み合わせとして体系的に整理できる点が示される。さらに同じ考え方を意味論に応用し、father、mother、son、daughterをmaleとparentのプラス・マイナスで表す例を扱う。親族名詞では有効でも、一般の単語全体に広げると素性が膨大になり、マイナスの特徴を大量に想定する必要があるという問題が述べられる。

音素を調音位置のプラス・マイナスで記述する
今回のエピソードは、前回のエピソードの続きとなっております。 テーマは同じく、「弁別的蘇生」です。
音素を特徴づける、まあ諸特徴というかね、特性のことを弁別的蘇生と言って、
前回お話ししたのは確か鼻音? 微音声についてで、
まみむめもーとかなにぬねのーのこのシーンですね。 むーとかぬーというシーンは、微音声がプラスです。
つまり、肺からの空気が鼻を抜けますか?という質問について、イエスとなるこの点において、むーとぬーは共通しているということでした。
ただ、むーとぬーは日本語において違う音素なので、 別の蘇生についてはプラスとマイナスが異なるんですよね。
それと、調音位置についてもお話ししました。 これは前回の復習ということになりますけど、
特にシーンについてですけど、シーンを発音するときに上語と下をよく使うわけですけど、
その上語を大きく前半分と後ろ半分に分け、さらにベロ、下も前半分と後ろ半分に分けて、
上語前プラスマイナス、ベロ前プラスマイナスで、
その調音位置についてね、 発音する位置についてシーンを記述できるということをお話ししました。
むーというシーンで言えば、これは両唇を使っていて、 上語の前半分は使っていますので、
上語前これプラスです。 ですがベロは関与してないので、
ベロ前についてはマイナスということで、 上語前プラス、ベロ前マイナスのシーンです。
それに対してぬというシーンは、 上語前プラス、ベロ前プラス、両方プラスプラスのシーンであるということです。
この上語前プラマイ、ベロ前プラマイなので、 2×2の4通りあるはずですね。
今見てないので言うと、 上語前マイナス、ベロ前プラス、
つまり上語前がマイナスなので逆ってことなので、 上語の後ろの方を使って、かつベロの前の方を使っているシーンということで、
これはCとかGとかアルファベット的に言うとSHの音、 専門的には高校外と言われる音が含まれます。
でもう1個見てないのは、 上語前マイナス、ベロ前マイナス、
だから両方マイナスマイナスですね。 つまり逆なので、上語の後ろの方かつ下の後ろの方を使っているシーンは、
クとかグとか、あるいはフとか、 これも専門的には南高外音とか、あるいは正門音と言われる音が含まれます。
こういうふうにですね、調音位置は、 両親音、両唇を使う音、歯茎を使う音、
高校外、南高外、正門と、様々あるわけですけど、 これらをシーンの特徴付けにいちいち使うというよりは、
上語前プラマイ、ベロ前プラマイの、この2つの掛け合わせで記述する、 それが弁別的素性を使った音韻の記述の仕方となっています。
前置き長くなりましたがBGMです。
始まりました4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。アランド論です。
声音性と継続性の弁別的素性
今お話しした調音位置の弁別的素性は、ややわかりづらかったと思うんですけど、 もっとわかりやすい弁別的素性というのもあって、
例えば優勢性という素性で、 平たく言えば声音と濁音なので、
クとグ、トゥとドゥ、スとズの対立というのは、 優勢性マイナスかプラスかということになっています。
優勢性マイナスというのは、要は無声音ということで声帯の震えを伴わない。
優勢性プラスであれば優勢音、声帯の震えを伴う音です。
あるいは継続性と言われる弁別的素性も提案されています。
Tのシーン、トゥとSのシーン、ス。この2つのシーンは調音位置が一緒です。
さらに言うと、さっき言った優勢性も両方マイナスです。
無声音なので、調音位置も一緒だし、優勢性という素性も一緒だし、
ではこのトゥとスを分けている素性は何かというと、それが継続性です。
トゥとスに限らずですけどね、破裂音とそれ以外を分ける、 そんな弁別的素性と言っていいと思います。
トゥというのは持続性がないんですよね。
トゥは破裂してしまうとそれでシーンはおしまいという感じですが、
Sの方はスーという風に持続して、継続して発音することができます。
なので継続性はSはプラス、Tはマイナスということになります。
スーみたいな摩擦音、フーとかシーとかフーとか、
こういったものは継続性プラスということになります。
こういった弁別的素性をいくつ想定すべきかっていうのは、おそらくまだ正解は出ていないんじゃないかと思います。
前回と今回で取り上げたものは、おそらくあんまり異論がないものじゃないかなと思いますね。
かなりメジャーなものを取り上げていますが、それでもほんの一部だし、
さらに言うとシーンしか扱ってないので、
母音についてもまた別に弁別的素性というのを考える必要があります。
ただこの弁別的素性という考え方は、かなり体系的というかシステマチックな考え方で、
一個一個の言語音、音想を独立したものとして扱うんではなくて、
いくつかの特徴、弁別的素性に従って振り分けるというか、プラスかマイナスかで分類していくことになるので、
そのプラスとマイナスの束が、一つの音想の特徴ということになります。
かなりすっきりした、整然とした音想の整理が弁別的素性によって可能になるんですね。
意味素性で親族名詞を表す
この弁別的素性と同じような考え方を意味論、意味の分野にも応用することがあります。
例えば父親、英語のfatherでもいいですけど、
この父という単語を意味素性という言い方がありますけど、
意味素性によって記述してみると、男性、maleという特徴について言うと、
これプラスですね、プラスmaleということになります。
さらにparentという意味素性についてもこれはプラスなので、プラスparent。
つまりfatherというのは、プラスmale、プラスparentという意味素性によって特徴づけられます。
ではmotherの方はどうなるかというと、マイナスmaleですね。
マイナスmale、プラスparent。
では息子さんはプラスmale、マイナスparent。
で、daughter、娘はマイナスmale、マイナスparentというふうに記述することが一応できるんですね。
今のはmale、parentを意味素性として置きましたけど、
逆にfemale、childを意味素性としておいて、プラマイを逆にして記述することも可能だと思います。
いずれにせよ、音韻論の弁別的素性と同じように、プラマイ、イエス・ノーで答えられるような、
そういった特徴でもって単語の意味を記述しようという試みもあります。
ありますが、おそらく想像できるのは、意味論で素性というのを考えたときに、いくつ考えればいいのかというのが問題になります。
今のは父・母・息子・娘という、かなり数少ない単語で検証してみましたけど、
そういう親族名詞、親族関係に関わる名詞について言えば、かなり閉じた体系ですからね。
意味素性によって記述しやすい側面はあります。
実際、人類学でも同様なやり方で親族関係を記述することはあると思うんですよね。
意味素性を一般語彙に広げる難しさ
音韻論の場合も、限られた音素を記述することになるので、
弁別的素性というのもそんなに山ほどにはならないはずです。
一方でそれを単語の記述に使うとなると、
世界中のあらゆるものを単語を表すので、
単語の数と同じぐらい素性というのを想定しなきゃいけないような気がしますよね。
そうなると、マイナスというのを山ほど考えなきゃいけないことになるので、
さっきのマザーだとマイナスメールプラスペアレントでしたけど、
他にも例えばマイナス家具とか、マイナス液体とか、マイナス金属とかね、
例えばそういうふうに考えなきゃいけないとしたら、
意味素性によって意味を記述することに果たしてどれだけ意味があるだろうという気もしないでもありません。
というわけで今回のエピソードはここまでということで、
前回のエピソードまだ聞いていない方はぜひ合わせて聞いてください。
番組フォローまだの方はよろしくお願いいたします。
お相手はシガ15でした。
またねー。
11:55

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