福岡県政のドンと高額海外視察
ネットを炎上しておりまして、日本で一番悪い男が倉内勲だと言われております。
自称、日本で一番悪い男、福岡県政のドンと呼ばれた倉内勲元県議会議長。
ドンの発言は独特だ。
私は海外旅行は続けます。この考えは一切変わることはございません。
中尾君、君は波のトカゲじゃないよ。ガラパフォースに生存しとめ、進化しない大トカゲだ。ネパールは天国だった。
その発言は、たびたび物議を醸してきた。
福岡県議会議長、そして福岡県議会議員も辞職をいたします。
自民党県議団の会長を12年務め、福岡での影響力は自民党の麻生太郎副総裁に並ぶとされた倉内氏。
自らの発言で批判を集め、議員辞職に追い込まれるまでの軌跡を追った。
揺らぐ福岡県政、ドンと呼ばれた男一高額といわれる福岡県議会の海外視察。
2023年度からの3年間だけで、ハワイやヨーロッパなど25回の視察を繰り返し、
投じられた公費はおよそ2億8千万円に上る。問題が発覚したのは2024年5月。
当初の予定になかったドバイを突如、視察先に追加したのが発端だった。
費用などについての取材に、議員たちは固く口を閉ざした。議会事務局の職員は、
なぜ金額を出せないのか、RKBの記者が尋ねた。
それに対する議会事務局職員の回答は、
基本的には情報については情報公開請求になると考えております。
そこで、RKB報道部はすぐに情報開示請求を行った。
その結果、五つ星ホテルに宿泊し、観光とも受け取れる場所を視察していたことが判明。
視察の報告書を作成せず、情報開示請求をしなければ費用の詳細を公表しない姿勢が問題視された。
この海外視察を中心となって進めてきたのが福岡県政のドミ、倉内氏だ。
地元地区越しにある県営公園では、自らの力をこう表現した。
倉内県議がバッジを付け取る間は予算が続くだろうと。
ですからあと1年ありますからどうぞお安心をいただきたいと思います。
平成14年に開園以来、諸々の施設が整備をされてまいりました。
議員である限り予算は付き続ける。そう語る力はどこから来ているのだろうか。
2001年に福岡県議会の議長に就任した倉内氏。
さらに自民党県議団の会長を10年以上続けた。
いつしか県知事を上回る権力者になり、福岡県政のドミ、倉内氏。
去年4月には異例の2度目の議長に就任。高額な海外視察が問題視されるようになったが、
今年6月の記者会見であの発言が飛び出した。
ワンヘルス事業と巨額予算
通常では考えられない言い間違い。倉内氏本人が海外視察を旅行程度に考えていた何よりの証拠である。
倉内氏という肩書も持つ倉内氏。海外視察と合わせて力を入れてきたのが、ライフワークと公言してきたワンヘルスだ。
ワンヘルスとは、人と動物の健康、そして環境を一体のものとして捉えるという理念で、
福岡県はこの5年間で関連予算におよそ58億円を投じてきた。
その象徴が、倉内市の地元、築後市の県営公園に設置された総額およそ3億5000万円のモニュメント。
モニュメントを見た市民の率直な感想だ。一方、倉内氏はこう強調する。
私は評価されると思います。将来。ある意味ではワンヘルスの発祥の地となるでしょう。そういったところにはやはりシンボルが必要なんです。
我々福岡県から発信したワンヘルスは既に国策となっております。
倉内氏のライフワーク、ワンヘルスを共に進めてきたのが福岡県の服部聖太郎知事だ。
倉内会長、ワンヘルスの提唱者でいらっしゃる、伝道師でいらっしゃる。この福岡にワンヘルス、福岡オフィスを作るんだ。
そして福岡から世界に向けて、アジアに向けてワンヘルスの取り組みを進めていくんだということで。
2期目の続投を決めた去年の県知事選挙でもワンヘルスを公約に掲げ、多額の公費を投じ事業を推進した。
しかし今年6月の議会では発言を一変させた。
ワンヘルスといえば何でも予算がつく、などという誤解まで生じさせることとなり、深く反省いたしております。
さらに先月には手のひらを返したようにワンヘルスの新規事業に着手しないと表明。
これまで密月と言われてきた知事と議長の関係に圧力が生じていた。
取材制限と議長ポストの金銭疑惑
ネットを炎上しておりまして、日本で一番悪い男が倉内さんだと言われております。
倉内氏は普段、記者会見でも個別の取材に対しても余裕の表情で応じているように見える。
しかし、RKBの取材カメラに向かって怒りをあらわにした場面がある。
今年4月、東京で開かれた式典の会場でのこと。
RKBのカメラに向かって発した邪魔すんなよという言葉。
さらに一緒にいた福岡県議会事務局の職員は取材を静止しながらこう発言した。
倉内氏が日本人として初めて世界獣医師会の会長に就任したことを伝える場面。
人生の絶頂ともいえるその舞台で、なぜ取材に後ろ向きな姿勢を示したのだろうか。
RKB報道部は海外視察について2年前から取材を続け、特に不透明で高額な金額について追求してきた。
取材を進めることによって、国際的な影響を受けた。
その影響によって、国際的な影響を受けた。
福岡県議会の関係者によると、倉内氏はこうした海外視察に関する取材と報道に不満を示していたという。
高額な海外視察への批判が高まる中、倉内氏が指示したのは情報の開示ではなく、その真逆にあたる取材制限のルール作りだった。
議会等の中での取材を許可制にするという取材制限。
海外視察について、議会側が詳細な情報をなかなか公開しなかったことから、議員への取材が活発化していったため検討されたという。
議会事務局の職員はその狙いについて説明した。
ルールの作成を指示したとされる倉内氏だが、批判の声が高まる中、ひけ死に走る。
しかし、県民の怒りは収まらず、記者会見で謝罪した。
さらに追い討ちをかけたのが、
県議会の制服議長ポストをめぐる金銭重々疑惑だ。
こう話すのは吉松本秋県議。
自民党県議団に所属していた2020年6月から1年間、県議会議長を務めた。
議長に就任するにあたり、自民党県議団の幹部から多額の現金を要求されたと主張する。
勝上げされたという2018年12月のやりとりを、こう振り返る。
当時の晴口自民党県議団会長より、議会運営に対して汗をかく気があるんだろうと、議会党内で声をかけられました。
はいと答えたところ、高い波との渾身ゴルフ台などとして負担してほしい。
私がいくらですかと尋ねたところ、550万円ということで要求されました。
さらに翌2019年10月。
1000万円を16日に持参するように指示され、16日に自民党県議団の会長室において松本会長、中尾幹事長に手渡しました。
この現金の受け渡しについて吉松県議は、前日にやりとりしたという音声データを公開した。
吉松県議によれば、この荷物とは現金を指し、ゴルフ台などの名目で支払った総額はおよそ2000万円に上るという。
この音声のやりとりの相手として名指しされたのが、当時自民党県議団の幹事長だった中尾正幸氏だ。
中尾氏は自ら記者会見を開き、こう反論した。
中尾氏は記者会見を開き、こう反論した。
しかし、専門機関による科学的な鑑定だと追及されると、開き直った。
この10日後、中尾氏は金銭受受疑惑を否定したまま議員辞職した。
専門機関による科学的な鑑定だと追及されると、中尾氏は金銭受受疑惑を否定した。
専門機関による科学的な鑑定だと追及されると、中尾氏は金銭受受疑惑を否定した。
福岡県議会の非常識と県民感覚
実は自民党福岡県議団の間では他にも独特の表現が使われてきた。
金銭受受疑惑を語る上で度々出てくる汗をかくという言葉。
元県議の証言を再現すると、
当時原口県政議員から汗をかいていないとみんな言っている。汗をかかないとと言われた。金銭を負担する意味だと理解していた。
名指しされた原口県政権威はこう釈明する。
一方、辞職した中尾氏は。
疑惑を告発した吉松県議によると、議長の椅子はこう呼ばれていたという。
自民党県議団では議長の椅子に座ることを金座布団に座るという言い方もした。
世間の非常識とも揶揄される福岡県議会の常識。
それを全国に知らしめる出来事が起きた。
7月28日、熊本県で最大震度7の地震が発生。
隣の県で大地震が起きたおよそ1時間半後。
ある県議は政治資金ビアパーティーを開いていた。
自民党県議団の松尾投掌会長だ。
私自身が決断をしました。やろうと。
正直やってよかったと思っています。
被災者の感情を逆撫でするようなこの発言に批判が広がり、松尾氏は会長を辞任した。
この私の発言が被災して苦しんでいる方、またそれを助けてくれる方、
多くの方々にどれだけ失礼な言葉に表現に移ったんだろう。
一方、当時世界獣医師会の仕事でネパールに滞在していた倉内氏は、1週間後に帰国。
ネパールで世界の獣医学生大会があって、そこで講演をした。
ネパール獣医師会とFOFと調印式を行ってきました。
そして最後にカメラの前でこう言い放った。
ネパールは天国だった。
福岡県議会の常識は世間の非常識。県民の感覚と大きくずれている。
辞職勧告決議案と倉内氏の失脚
8月17日、吉松県議が倉内氏に対する議長職の辞職勧告決議案を提出する。
もし県議会として倉内議長を続投を選ぶならば、県民、国民の感覚と大きくずれています。
国民は倉内議長の姿勢に1ミリも納得していません。
提案理由が読み上げられたその直後。
道義を説明していただいてよろしいでしょうか。
ただいま決議案について説明がなされましたが、これはたった今、調整されたものであり、我々国はその趣旨について十分な理解にはなっておりません。
全ての調査結果をもって、辞職相当の理由が明らかになれば、その時にこそ倉内議長に辞職を求めることが望ましいと考えております。
よって、本議案について採決の中止を求めます。
採決の中止を求める緊急動議。
声を上げたのは倉内氏を死と仰ぐ元秘書の林大輔県議だった。
この動議は自民党県議団に加え、民主系の議員ら合わせて49人が賛成し可決。
議長の身体を問う決議案は採決すら行われないまま、議会は閉会した。
しかし、この1週間後、事態は急転直下する。
倉内氏が東京で報道陣の前に姿を現した。
なお、福岡県議会に設置をいたしました第三者委員会につきましては、積極的に協力をし、解明を図りたいと思っております。
なお、後日福岡でゆっくり報告を行いたいと思っております。以上です。
わずか40秒の取材対応。
それだけ告げて立ち去ろうとする倉内氏に、記者たちの声が飛ぶ。
委員長、すみません。会見はしないんでしょうか。
会見お願いします。
一言でいいんで。
会見は行われますでしょうか。
なぜそのタイミングを許されているんですか。
金銭重々疑惑の告発からわずか1ヶ月半。
福岡県政のドンはあっけなく失墜した。
会見を開くよう記者クラブから要請を受けたが、第三者委員会の調査などに影響を与えかねないとして拒否。
金銭重々疑惑で名指しされた倉内氏ら、当時の幹部5人は、いずれも疑惑を否定している。
高額な海外視察やワンヘルス政策。
多くの問題は何一つ解決していない。
揺らぐ福岡県政。
県民の信頼を取り戻せる日はいつ訪れるのだろうか。
RKBラジオドキュメンタリー。
揺らぐ福岡県政。
ドンと呼ばれた男。
ラレーション、田中瑞希。
取材、野島優希。
編集、山本徹。
音響効果、寺岡晃人。
プロデューサー、脳みしんじ。
宮岡智春。
デスク、今林孝文。
ディレクター、坂井共介。
制作・著作、RKB毎日放送でお送りしました。