火星衛星探査計画
2026-10-22 14:44

火星衛星探査計画

科学環境分野を中心に、テレビ番組のコメンテーターとしてもおなじみの毎日新聞客員論説委員・元村有希子が毎週気になるニュースを分かりやすく解説します。

田畑竜介
Groooooow Up

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サマリー

JAXAのH3ロケットで打ち上げられた火星衛星探査計画MMXについて、火星の衛星フォボスから砂を採取して地球へ持ち帰る目的と工程を解説します。アメリカやフランス、ドイツなどが参加する国際共同計画で、2031年の帰還を目指し、NHK開発の8Kカメラによる映像も収集します。持ち帰った砂から生命の起源やフォボスの形成過程を調べられる可能性があり、将来の宇宙居住を考える手がかりにもなると語られます。競争よりも人類共通の謎に迫る、平和的な国際ミッションとしての意義にも触れています。

MMXの目的とフォボスからの砂の採取
この時間はZoom Up、毎週木曜日は科学です。 今週の20日、JAXAのH-3ロケットが打ち上げに成功しまして、その中に搭載されていたのが、火星の衛星を探査するMMXということですけども、
果たして今回のこのね、火星探査計画どういうものなのか、何が期待できるのか、そういった効果、成果についてZoom Upしていきましょう。
毎日新聞客員編集委員の元村有希子さんです。
元村さん、おはようございます。
おはようございます。
よろしくお願いします。
果てしない旅が始まったってことですか、これは。
そう、31年に帰ってくるまで。
また楽しみが増えますが。
ですね。
MMXって呼ばれてますよね。
MMXの最初のMは、火星ね、MARSのMですね。
その次のMは、ムーンです。
月?
そう。
でもその、地球の月じゃないよ。
火星にとっての月。
そう、だから火星の周りを回っている衛星っていうMですね。
なるほど、サテライトじゃないんだ。
で、Xは探査、Explorationっていう略なんですね。
最終的にはこの火星にとっての月、火星の衛星であるフォボスっていう天体から
少なくとも10グラムの砂を採取して持ち帰るというのが最終目的です。
なんか砂を持ち帰るって既視感ありますよね。
甲子園みたいな。
違う違う。
そっちじゃないね。
ハヤブサ?
ハヤブサがね、糸川でしたからね。
そうです。ハヤブサが糸川、ハヤブサ2はリュウグウでね、持って帰りましたから。
国際共同計画と火星到着までの工程
これ日本のお家芸ということなんです。
で、このMMXを飛ばす、送り出すっていうミッションそのものが、日本が主導する国際共同計画なんですね。
だから日本単独ではなくて、アメリカのNASAとかフランス、ドイツなどの宇宙機関が乗っかって一緒に共同でお金を出し合ってやっていくという話です。
じゃあなんで火星じゃなくて火星の月に行くのかってことなんですよね。
火星本体っていうのは、アメリカがずっと前に探査機を送り込んでいて、無人探査が実現しています。
あとは旧ソ連も火星の探査は実施しました。
ということで火星本体よりも、日本が持っている技術をうまく使おうというのが今回の戦略なんです。
実は日本って火星探査機を送り出したことはあるんです、過去に。
失敗しまして、行方不明になっちゃいまして。
まあそのトラウマってわけじゃないんですけどね。
もう火星本体よりも火星の衛星をということになりました。
飛び立って今飛行が順調だということなので、これからの予定をちょっと紹介しますと、
まず火星の近くまでたどり着くのに1年かかります。
火星って地球の隣の惑星なんですけど、やっぱり結構遠いんですよね。
1年後に火星の近くにたどり着きますと、
まず火星の周回軌道、つまりフボスとかと一緒の軌道に乗って火星をぐるぐる回りながらフボスに近づいていくんですね。
8K映像と生命の起源の手がかり
フボスに近づいたらカメラなどを使ってどこに着陸するのがいいかを丁寧に観察します。
フボスっていう衛星がどんな形かぐらいしかわかってないので、
実は表面にはクレーターが結構あってですね、簡単に降りるって言ってもまあ難しいんです。
決めたらそこに慎重に着陸を2回行います。
2回行って2種類の装置を使って10グラム以上の砂を採取します。
採取したら今度はですね、フボスともう1個実は衛星があるんですよ、火星には。
ダイモスっていう名前なんですけど、そのダイモスもついでにちょっと観察してですね、地球へ向かいます。
地球はまた1年間かけて戻ってくるんですね。
全ての工程が順調に進めば、これから5年後、2031年にオーストラリアの砂漠へ資料を収めたカプセルを投下します。
ハヤブサもハヤブサ2もオーストラリアの砂漠に落としたんで、これはちょっと似たような感じですが、
実績もあるってことですよね。
そうです。このカプセルの中にはですね、この資料、砂と同時にですね、映像も詰め込まれる予定なんです。
この映像はですね、8K超高精細な映像になります。
NHKがこのために特別に開発したカメラ、スーパーハイビジョンカメラっていうんですか。
これをですね、MMXは積んで向かっておりまして、これで様々なクリアな画像をたくさん撮るんです。
これはね、やっぱりね、1980年代、90年代に火星探査機を送り込んだアメリカや旧ソ連にはもう真似できないことですよね。
火星のリアルな表面の映像とか、色々とお宝がたくさん多分積み込まれるんです。
この時代になっても、この8Kの画像をですね、ビッグデータをスムーズに地球に送るっていうのが難しいんだそうで。
だからハードディスクみたいなのに入れて持って帰るってことですね。
これもまた開けてびっくりっていう楽しみがありますよね。
何が映ってるのかなって。
火星人が映ってたりして。
そうなんですよね。
今火星人というお話が出ましたけども、火星って近くにあって、古い昔からいろんなSFに登場する想像力をかきたてる惑星ですよね。
だからやっぱり火星で知りたいことの最大の謎が、生命がいたのか、いるのかみたいな話です。
例えばMMXが持って帰る資料、砂の中にはですね、そういう生命の起源を示すような証拠が含まれているかもしれません。
なので持って帰ることができたら、それを分析します。
そこで使われるのがですね、この度話題となった素愛反応です。
素愛健相さんの。
そうです。ノーベル科学賞に選ばれた素愛健相さんが見つけた素愛反応。
あのほら、アミノ酸がなんで左手型かみたいな話をしたじゃないですか。
そうでしたね。
つまりそれを見つけて、アミノ酸の型を例えば調べる。
そうすると火星にも地球と同じような型のアミノ酸があるぞみたいな。
アミノ酸があるってことは生命がいたんじゃないかみたいな。
そういう謎が謎を呼んでくるっていうことにもつながるわけですよね。
楽しみですよね。
そんなことも分かるんだ。
フォボスの成り立ちと宇宙居住の可能性
もともと砂を取るフボスっていう衛星は、どうやってできたかもよく分かってないんです。
例えば地球にとっての月っていうのは、
昔の地球に大きな何かがバーンってぶつかって、
その破片が月になったみたいな説が有力なんですけれども、
だったら火星のフボスも火星の一部なんじゃないかっていう説があったり、
全く違うものが近づいてきたんじゃないかっていう説があったりします。
これもどれくらい関心ある人がいるか分からないけど、まだ謎のままなので、
このMMXのミッションがいろんな答えの鍵を持って帰ってくれる可能性もあります。
なるほど。
そういう意味ですごく面白いミッションなんです。
さらにやっぱり日本のお家芸を有効に活用して、
日本が主導する国際ミッションってそんなにないんですよ。
どっちかというとやっぱり宇宙探査って各国が国益を背負って競争するっていうのが近年の傾向なんですね。
月も例えば誰が一番乗りするかとか、
月の裏側に誰が一番乗りしたかみたいな競争心むき出しのミッションが多いんですけども、
これはどっちかというと人類共通の謎に一緒に迫りましょうみたいなちょっと平和の色が結構強い。
もう一つは火星って現実的に人類が移り住んでもいいんじゃないかみたいな話が出てきてますよね。
確かにね。
イーロン・マスクさんのスペースX、火星に居住基地を作るみたいな話も出ているぐらいで、
ただやっぱり現状はすごい薄い大気、それから寒い、放射線バンバンに浴びるみたいな。
住めなさそうですけどね。
住めなさそうな、もうすごい住めなさそうな。
環境悪そうですけど。
そんな中で火星本体よりもそこから6000キロ離れているフォボスに住もうかみたいな話も。
フォボスを天然の国際宇宙ステーションみたいなのにしようかみたいな話もあってですね。
だから今回のMMXはフォボスが住むのに快適かどうかっていう、不動産物件で言えば内見みたいな。
そんなことも兼ねてるんじゃないかなと私はちょっと思ってますね。
今のでぐっと身近に感じましたね。
そうですね。フォボスでも一番乗りになるかもしれないですよね。
そうなんですよ。
そういうのもちょっとプライドをくすぐるようなところもあって。
5年間のミッションを見守る
まずはちょっと5年間の長いミッションなので、打ち上げが成功したっていうことを喜ぶのと、
あと早草並みに今どこで何をしてるかっていうのがたぶんしばしば情報発信されると思うので、
関心のある方はJAXAのホームページからSNSなどをフォローするのもいいと思います。
そうですね。
5年後ですか。ちゃんと覚えてなきゃいけませんよ。
もう本当にいつか過ぎかもしれませんから。
早草2の帰還の時も感動がありましたからね。
頑張ってほしいですね。
本村さんありがとうございました。
ありがとうございました。
この時間は毎日新聞客員編集委員の本村幸子さんでした。
14:44

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