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#42『卓球にとり憑いた男』才能0こそ、最高のエンターテイメントである
2026-10-20 24:02

#42『卓球にとり憑いた男』才能0こそ、最高のエンターテイメントである

【本日紹介の一冊】

『卓球にとり憑いた男。 岩城禎の人生 才能0なのに3万時間練習し続けたら起きた奇跡と18分』(KADOKAWA、伊藤条太・著)
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【エピソード概要】
3万時間練習して、13歳に18分で完敗。 それでも、卓球がやめられない。

今回ピックアップしたのは、『卓球にとり憑いた男』(伊藤条太・著)。主人公の岩城禎は、仕事をしながらひたすら卓球に打ち込み、35歳で初めて全日本選手権の舞台に立った男です。

大学選びの基準は、卓球部でレギュラーになれるかどうか。公務員を選んだのは、卓球し放題にできそうだから。子どもが生まれて真っ先に心配するのは、練習時間が減ること。模試で全国1位を取った頭脳は、卓球を続けるための屁理屈に全振り。どんな話も最後は卓球につながる独特の「岩城ロジック」に、家族も周囲も振り回されます。

そこまでやっても、勝てない。けれど、勝てないからこそ、また練習する。「狂気のフィードバックループ」の先でようやくつかんだ全日本への切符。待っていたのは、13歳の松島輝空選手との、わずか18分の試合でした。

笑って、あきれて、でもうらやましい。そんな岩城さんが、才能がなかったからこそ得られたものとは ?

才能0。それは、好きなことを諦める理由になるのか?

⁠⁠⁠

【チャプター】

() 3万時間の男、18分で完敗
() 弁護士の父の思い、全て裏目に出る
() 全国1位の知性を、屁理屈に全振り
() 被害者の会、結成か!?
() 不気味なミス待ちロボット
() 35歳 VS 13歳、運命の18分
() 才能があったら、とっくにやめていた
() 才能0こそ、最高のエンターテイメントだ


【出演】

プレゼンター:内藤 順

ナビゲーター:首藤 淳哉


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【収録場所】

⁠⁠⁠⁠⁠Hama House⁠⁠⁠⁠⁠ 

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サマリー

伊藤条太『卓球に取り憑いた男』を取り上げ、3万時間練習しても卓球の才能に恵まれなかった岩城忠の人生を紹介する。岩城は卓球部のレギュラーになれる大学を選び、公務員や株式投資家への転身も練習時間を増やすために決めた。家族や後輩を卓球中心の生活に巻き込み、妻の佐紀子とは子どもが増える中で生活との両立が難しくなり、離婚に至った。卓球では球威がなく相手のミスを待つスタイルだったが、2020年に奈良県代表として全日本選手権への出場を決める。35歳で迎えた本戦では、13歳の松島輝空選手に18分でストレート負けしたものの、確実に返球する強みは発揮した。岩城は、才能があれば途中で満足するか絶望して卓球をやめていたはずで、才能がなかったからこそ面白い人生になったと振り返る。離婚後に始めた卓球コーチでは、できない側の感覚を理解できることが強みとなり人気を得た。番組では、才能のなさをゲームオーバーではなく、工夫を始める「最高の初期設定」と捉える岩城の考えを語る。

3万時間練習して18分で敗れた男
首都さん、1万時間の法則って聞いたことありますか? あります、あります。どんな分野でも1万時間ぐらい練習を積めば一流になれるっていうね。
マルコム・グラッドウェルの本でやりました。 あとマシューね。そうですね。
じゃあ、その3倍、3万時間を卓球に積み込んだら、どこまで行けると思いますか? これはね、相当なトップクラスまで行くんじゃないですか。
実際にね、それをやった人がいるんですよ。 岩木忠さんっていうね、卓球選手なんですね。 えー、本当に3万時間練習してたんですか?
いるんです。で、その岩木さんが日本一を決める全日本選手権に初めて出られたのが、35歳の時だったんですね。
トップクラスどころか、3万時間かけてようやく初出場レベルってこと? そうなんですよ。
で、しかもね、初戦の相手は13歳で、後に日本代表になる松島空選手だったんです。 松島空!?
今、世界ランク1位ですよ! えー!?
そう。で、岩木さんね、試合前に審判に、僕汗かきなんで、試合の途中、着替えてもいいですかって許可をもらうんですよ。
でもね、着替える必要がなかったんですよ。試合が18分で終わっちゃったんですね。 うわー、あっという間に終末だ。
で、取った点数が、岩木さんが4点、7点、4点ということで、1ゲームも取れずにストレート負けだったと。
3万時間努力して、18分で終わり。
ところが、岩木さんはね、自分に卓球の才能がなかったのは、運が良かったって言うんですよ。
なんかもう、えらい負け惜しみみたいな感じですね。 僕も最初そう思ったんですね。
でも、一冊読めるとね、岩木さん本気でそう思ってるんだなーっていうことがね、よくわかるんですね。
改めまして、こんにちは。ビビルジェム始まりました。プレゼンターの内藤潤です。
ナビゲーターの首都純也です。この番組は話題の新刊のフィクションをじっくり深掘りしていくポッドキャスト番組です。
今日も日本橋浜町のブックカフェ浜ハウスさんからお届けします。
今日の一冊はですね、伊藤じょうたさんの卓球に取り付いた男、岩木忠の人生ということで、
副題がですね、才能ゼロなのに3万時間練習し続けたら起きた奇跡と18分という本。
主人公はさっきの岩木忠さんで、3万時間で18分の人です。
卓球に取り付かれた男なのかなと思ったら、そうじゃなくて取り付いた男なのか。
卓球に振り回されているんじゃなくて、岩木さんの方が才能のない卓球に一方的につきまとっている。
だから、著者のこの伊藤さんは岩木さんのことを卓球ストーカーって呼んでるんですね。
卓球ストーカー、そうか。卓球の方が逃げても逃げても追いかけてくみたいな。
実は今回、岩木さんご本人から練習の映像をご提供いただいたんですね。
映像でご覧の方、一緒に見てみましょう。
すごいですね。黙々と打ち付けてますね。
これを3万時間ってことですね。
なんか一生懸命練習してるだけなのに、なんかおかしいですよね。
人生の分岐点を卓球に結びつける岩城ロジック
岩木さんの人生には絶対に破られないルールっていうのがあるんですね。
人生の別れ道で必ず卓球を選ぶってこと。
卓球ストーカーだから必ず選んじゃう。
全国一位の頭脳で選んだ大学の決め手は、卓球部でレギュラーになれるかどうか。
安定の公務員を選んだ理由は、卓球し放題にできそうだから。
子供が生まれるとして真っ先に心配したのは、練習時間が減るっていうことだったんですね。
全部卓球ですけど、この人大丈夫ですか?
全部卓球なんですよ。
まず大学から浪人して、できるだけ偏差値の高い大学を狙うんですね。
偏差値の高い大学ほど卓球部が弱いと。
そこなんだ。
だから偏差値上げればレギュラーに近づくっていうロジックなんですね。
レギュラーのために受験勉強。
もうすでにわけわかんない。
そのために自宅から30分しか離れてないのに、年間140万円かけて予備校の寮に入って、1日16時間勉強。
ちょっと待ってください。予備校が家から近いんですね。
そう、家から近い。
最後は予備校のとあるもしで全国1位にまでなって、その結果神戸大に受かったんですね。
合格発表の日に、その足でも卓球部の練習場に行って汗を流し始めると。
普通は神戸大なんて超難関庫の一つだから入ったらもうわーってなっちゃうけど。
関係ないんだったんです。
次が就職。お父さんは弁護士なんですね。
お父さんは息子にも弁護士になってほしかったんです。
でも岩木さんは司法試験を目指す途中で諦めて公務員を選ぶと。
頭の中はもう公務員イコール卓球する時間ができるだったんですね。
卓球し放題だ、公務員になって。
ところが入った市役所が大変な劇場だったんですね。
それでも練習時間を確保するために朝6時に出勤して、夜8時に職場出て、そこから0時まで練習。
睡眠も毎日3、4時間。
なんか手が震えて腕とか顔が軽廉すぎるようになってきて、2年で退職されると。
卓球し放題でと思って入ったはずが、ほんま不天当になっちゃったんですね。
次の別れ道が子供の誕生ね。
これもちろんおめでたいし嬉しいことなんですけども、同時に頭を浮かんだのがさっきの練習時間が減るということで。
いい加減にしろよ、岩木いとこちゃん。
そこでもっと時間の自由が利く株の投資家になるんですよ。
すごいな。
投資が起動によると、練習が多い時に週18回。
相手を変えて1日に2回も3回も4つの府県を車で移動しながら打つということで、気づけば練習時間3万時間を超えていたということなんですね。
ワンオペっぽい奥さんのこと気になりつつなんですけど。
大学も仕事も子供が生まれた時の半玉で全部が練習時間をとにかく増やす方向に動いてるっていう。
練習のために人生すら変えて空いた時間をまた練習で埋めるっていう。
なんでしょうね。狂気のフィードバックループが形成されてますけど。
しかも模試で全国1位を取るような頭脳がありながら卓球の才能はゼロなんですね。
すごいね。頭はいいのに一番好きなのが下手くそっていう。
そのちぐはぐさが面白いですよ。
父の期待と卓球への投資
こんな息子さんをご両親はどう見てたんですかね。
お父さんは息子に弁護士になってほしかったってさっき言ったんですけども。
ところが息子さんのためにしてあげたことっていうのがことごとく裏目に出るんですね。
なぜか全て卓球の方に引き寄せられてるんですよ。
始まりは小学校4年生のクラブ決めで陸上クラブをいわきさんは希望してたらしいんですが。
店員8人のところに9人集まったと。
じゃんけんになって1回目に全員パワー出していわきさんだけがグーを出したと。
一人負けして卓球クラブ。その時はたぶんがっかりしたんですよね。
しょげて帰ってきた息子にお父さんがかけた言葉が卓球面白いよみたいな話で。
余計な一言言っちゃったな。
夜遅く仕事から帰ってくるとガレージに卓球台出して11時ぐらいから深夜1時ぐらいまで親子で対戦するんですって。
クリスマスにはサンタの格好で枕元に卓球の本を置いていく。
弁護士にしたいと思いつつも一番熱心なコーチになっちゃってるわけですね。
なんか引き寄せられるんでしょうね。
高校生の息子が中国に卓球修行に行かせてくれと。
才能ゼロのくせに中国?
言い出すんですけど、これも頭ごなしには否定しないですね。
東京の中国人コーチの教室で夏休み10日間ぐらい毎日8時間の個人レッスン。
お父さんの記憶では40万円ほど出費があったと。
弁護士だから裕福なんですね。
弁護士への投資の本来つもりだったんでしょうね。
でも全部それが卓球。
老人の時もお父さんは弁護士への道として
息子はレギュラーのために同じ偏差値の高い大学を目指したと。
だから思惑だけが表向き一致しちゃうんですよ。
同じ大学も別々の夢を持ってるっていう。
弁護士を諦めて公務員になるってお父さんに伝えた時に
お父さんはそれは相談かそれとも報告かって。
ちょっと嫌な予感があった。
いわきさんの答えは報告や。
しかもその主役所も両親に言わずに辞めていて
2年経って話があるって実家に行くと
お父さんはてっきり司法資金を受ける気になったのかと思って
浮き足立てたんですね。
遂に決心してくれたかと。
だけど実は俺主役所2年前に辞めてんねんみたいな。
超役小物。
お母さんは大学4年生の時の最後の試合を
これが最後だと思って応援に行ったそうなんですね。
後に振り返ってむしろそこが始まりでしたみたいに
振り返ってます。
いわきさんむしろ見に来てくれて振りちゃったり。
この人生を毎日回していくための
理屈がまたすごいんですね。
名付けて狂気のいわきロジック。
全国1位の知性を非理屈に全振りするって。
そっちに使っちゃうのか。非理屈の方に。
まず口癖から。練習1回の日は休み扱い。
よくクラシックとかやってる人は1日休むと3日休む感じがするけど
1回やっても休み。
練習の疲れは練習で取る。
12時間ぶりの卓球だからブランクやばい。
何しろ練習したいってことに全部理屈がひも付けられてるんですね。
さっきの40万円のレッスンも本人は後輩に
親の金は才能やっていちらかしたらしいですね。
ひでえやつだな。
生まれつきでも持ってるものを才能って呼ぶなら
裕福な家に生まれても才能っていうことでしょうけど
反論しにくいのが腹立たなくていいですね。
そのいわきロジックは大会の会場でも発動するんですね。
予選で落ちて出られない全日本の会場に応援図書をして
練習着で現れるんですよ。
関係ないのに。
選手のための練習用で汗だくで練習しちゃうと。
誰も取られないから隣には水谷選手とか
張本選手とかが練習してるんですよね。
本人曰くあの会場で一番本気で強くなろうとしてるのは
僕だったと思いますみたいな。
たぶん水谷張本もあの人誰ですかっていう。
意味浮かびますよね。
つまみ出せって感じ。
もし全国一に取れる頭脳が全部こういうね
理屈いいのに使われてると
ある種知性の偏見かつてか
リーサルウェポンとかしてるんですけど。
周囲を巻き込む卓球中心の生活
そんないわきさんの周りには
巻き込まれた人がたくさんいるんですよ。
後輩とか家族の証言を集めたら
もう被害者の会結成できそうなぐらいですね。
それもぜひ証言聞きたいですね。
たくさんいるでしょうね。
証言一人目。
大学の一つ下の後輩沖村さん。
好きな子をカラオケに誘い出したいんですけど
歌が苦手で。
いわきさんに相談したら
よし特訓や。金は俺が全部出す。
世のようなカラオケボックスに通って
朝の6時まで毎日歌い続けると。
最後は採点で80点台が出せるまでになったらしいですね。
頼もしい先輩じゃないですかね。
2人がカラオケに明け暮れてる間に
別のとこがその子をいとめちゃったっていう。
そういうことですよ。
特訓してる場合じゃなかった。
努力の方向間違ってますよ。
証言二人目。
いわきさんの彼女で
後に奥さんになる佐紀子さん。
2人の数少ないデートが
男女ペアで5キロ走って
最後に手を繋いでゴールするって
マラソン大会だったんですね。
かわいいデートじゃないですか。
いわきさんはデートとトレーニング兼ねられて
一石二鳥ぐらいの感じで
スタートと同時に
佐紀子さんを置き去りにして
爆走してったらしいですね。
ゴールの前で待って
2人でゴールしたっていう。
置き去りにした。
それでも佐紀子さんは
楽しかったって言ってたらしいですよ。
素敵な人ですね佐紀子さん。
できた人だ。
まだあるんですよ。
いわきさんが卓球ばかりで
ダラダラした時期に
佐紀子さんがね
なんとかアルバイトをさせようとして
2人で何か求人広告を見せたらしいんですね。
したらどういうわけか
最後に何か知らないけど
佐紀子さんが働くことになってるっていう。
何でそうなるんですか。
佐紀子さんはすでに看護師として働いてたんですよ。
非晩の日に
コンビニでアルバイトを始めるっていう。
休ませてあげなよ。
一方いわきさんは卓球三昧。
夜勤夜勤にアパート行くと
いわきさん昼近くまで寝てて
やっと起きたと思ったら
いこっかな練習いこっかなみたいな。
そこ迷うとこじゃないだろう。
さすがに佐紀子さんも半年かけて
タイミングがかかって最後通告するんですね。
試験に合格するか就職しなかったら別れる。
そしたらいわきさん逆上して
中身じゃなくてそういう表面的なこと
世間体でしかお前は物事を考えられへんのか。
いやちょっとクソじゃないですか。
言葉選ばれてっちゃうけど。
いわきさん。
それも全部佐紀子さんの想定内なんです。
そうか佐紀子さんの方が上ね。
何日か連絡が途絶えた後
いわきさんから反省のLINEが届いて。
遅いけどね。
そっから主役者に就職して
二人は結婚することになるんですね。
だから佐紀子さんがいわきさんの人生をね
支えてるわけですよね。
ただ結婚して8年ほどで
佐紀子さんからもう続けられないから
別れて過ぎられちゃうんですね。
佐紀子さんはいわきさんを嫌いになったわけじゃないんですね。
これはすごくわかるじゃないですか。
でも子供が二人になって
夫婦で協力する子育てっていうのが増えていくのに
いわきさんは朝から夜中まで卓球じゃないか
ということだったらしいんですね。
まあ証言聞いて笑えるけど
ちょっと笑えないですね。
そうですね。
才能ゼロのミス待ちロボット
で肝心の卓球はどうなんですか?
それだけやって
強さというかどういうぐらい?
そこなんですね。
そこが副大の才能ゼロなんですね。
いわきさんなんか知らないけど
ラケット早く振れないらしいんですね。
走るのは速いし反射神経もいいのに
卓球のラケットだけはなんか早く振れないと。
早い球も強い回転もないというところで
自分から何か点が取れないから
相手のミスを待つしかないんです。
すげえ。
それでどうやって勝つんですか?
ひたすら返す。
ヨーロッパ遠征では
外国の選手に
You are stone manって言われて
言われたこともあるらしいんですね。
体ガチガチで練習相手は
いわきさんの球を手で掴んで
Noって威力がなさすぎて
練習にならないらしいんですよ。
なんかひたすら返すので
カットマンっていますけどね。
回転かけて返すけど
ただ返すだけなんだ。
それは練習相手としても断られるよな。
ところが試合になると
全くミスしないんですって。
負けた相手が
ボール遅すぎるって
なんか切れちゃうらしくて
試合の後握手しようとしたら
手払われたりとか
嫌がらせで小指だけ突き出されたり
みたいなことがあったらしいですよ。
相手からしたら下手そうな相手に
なぜか負けるっていう
不気味な感じがするっていうか
不気味なミス待ちロボットみたいなね。
ここが僕がこの本で一番笑って
しかも一番考えさせられた部分なんですけど
コーチの人から見ると
いわきさん明らかに
バックハンドドライブの才能があるんですね。
練習でやらせると明らかに筋がいいと。
才能あるじゃないですか。
ところが本人は
これはもうたまたまとか
マグレって言って
これまで練習してこなかった技だから
試合では使おうとしないらしいんです。
本人の理屈としては
練習時間を費やしてないものは偽物と。
そうなんだ今ちょっと一瞬脳がバグりましたけど
せっかく才能があるって
分かったのに
その事実を受け取らないっていうか
楽に勝てる道があってもそっちには行かないっていう。
でも本人は
それで楽しいわけですね。
そうなんですね。
35歳でつかんだ全日本への切符
そんないわきさんに
2020年の奇跡が起きるんですね。
これ時期コロナじゃないですか。
他の選手が
思うように練習できない中
いわきさんだけは練習欠かさなかったわけですよ。
しかもその年は奈良県の
全日本の出場額が
たまたま2人から3人に増えてたと。
めぐり合わせですね。
準優決勝では6対10って
マッチポイントが握られたところから
大逆転すると。
出場が決まった瞬間
卓球でほとんど泣いたことのなかった
いわきさんが卓球館の外に出て
男泣き。
35歳で初めてつかんだ。
その時が35歳だった。
そして冒頭の今や世界ランク1位の
松島選手との試合ですね。
そうなんです。
全日本の本選って翌年の1月なんですね。
その直前にこの著者の伊藤さんが書いた記事が
ヤフーニュースとかでネットで話題になって
卓球のために公務員を辞めた
35歳みたいな形で
注目の的になったんですね。
いざ試合が始まると
松島選手の球って何もかもが違ったと。
最初の2球で
いわきさんこれ1000回やっても勝てないなって
思ったらしいですよ。
それで18分。
相手のサービスに対するレシーブミスは
2回しかなかった。
確実さだけを武器にしてきた
いわきさんの勲章ですよね。
強みは出せていったわけだ。
試合後の会見で松島選手について
聞かれてこう答えたんですね。
自分がドル区の人で
松島選手は天才という報道がありますけど
そんなことはなくて
松島選手はドル区でも自分より上だと思います。
ちょっと今
心が動くな。3万時間の人が
それを言ったわけですもんね。
メディアルームのホワイトボードには
取材対応予定の選手として
張本選手とか
石川霞とか伊藤美馬とか
そういう名前が書かれていて
その並びにいわき忠。
夜のニュースでは
勝った松島選手より長い時間が
いわきさんの報道に逆れることもあったと。
負けた方が長く
ずったんだ。
18分の敗戦が周囲に与えた衝撃
困ったのがご家族なんですよ。
市役所を辞めたってことを
おばあちゃんにはずっと内緒にしてたらしいんですよ。
ここでおばあちゃん出てくる。
テレビで連日
卓球のために市役所を辞めた男みたいに流れて
家族はもうアカンって覚悟したらしいですね。
ところが
おばあちゃんちょうど放送の時間に
親戚と電話で30分くらい喋ってて
見逃してたと。
おばあちゃんの中では
いわきさんの市役所の職員のまんま。
奇跡はそっちでも起きたんですね。
この18分が
思いがけないところにも
刺さってて
取材に週刊誌の編集者の人とか
来たりするんですが
その話を聞いていて
自分は今のままでいいのだろうかと
考え出すらしいんですね。
テレビ局のディレクターに至っては
取材の途中でいわきさんに
これから僕はどうしたらいいんでしょうか
みたいな質問をしたらしいです。
わかる気がするなぁ。
みんなどこかでいろいろ諦めて
目の前の仕事やらなきゃってなっちゃうんだけど
そうじゃない人を目にしちゃったから
取材する側が
相談しちゃうっていう
誰もが
うらやましがられるような仕事を
してる人たちが18分で
負けた人に相談するっていうね。
その後のいわきさんってどうなったんですか?
離婚された後
卓球のコーチを始めるんですね。
家庭を壊しちゃった
自責の年から
誰かのために尽くさないと耐えられなかったらしいと
振り返ってますね。
周りの人は生徒さんと
喧嘩するんじゃないかとか
いろいろ心配したんですけど
あっという間に人気コーチになったらしいんですね。
なんでそんなに人気になるんですか?
卓球のコーチって
名門校で鍛えられたエリートが多いじゃないですか。
エリートの人たちって
初心者の段階を一瞬で駆け抜けちゃうから
できない生徒が
なぜできないのかわからないんですよ。
だけどいわきさんはそのできないが
痛いほど身についてると。
つまり才能がなかったがゆえに
それがその教える力に
そう。
才能ゼロを最高の初期設定にする
冒頭の話に戻るんですね。
才能がなかったが運が良かったと。
その理由をいわきさんね
この本の最後の後書きに書いていて
もし僕に中途半端な卓球のセンスがあったとしたら
絶対にこんな面白い人生には
なっていませんでした。
センスがあったらどうなるんだろう。
そこそこの成績で満足するか
上には上がいるなって絶望するか
どちらにしても
どこかで卓球やめてたはずだと
続くんですね。
著者の取材にもこう話してるんですね。
もし他の人が僕の肉体を与えられたら
特に卓球やめてると思うんですと。
本来勝てるはずないのにその運命をねじ曲げて
勝つ喜びのためにやってるところが
ありますね。キラリン。
なるほどね。さっきのバックハンドの
話と繋がるところがあると思うんですけど
練習してない技で楽に勝っても
要は運命をねじ曲げることにならないでしょ。
だから18分の
全日本のことも後書きで
こう振り返っていて
全日本で中学生にボコボコに
されてニュースになるなんて
才能があるやつには逆立ちしてもできない経験です。
確かにね。
松島選手が逆にね
18分でボコボコなって
それはできない経験ですよね。
ただただですよ。でもそれって
結局うまくいったから
後付けにもね
聞こえる感じがして
だって家族離れていったし
結果も出てないわけですもんね。
家族に負担をかけたってことは
本人もはっきり書いてるし
いわきさん本人も自責の念の
語ってるんですね。その上で
この人生を本気で面白がってると。
そこが厄介でね。でも面白いんですよ。
切れ言で終わらせてないんですね。
そう。いわきさん
後書きでこう書いていて
世間の物差しで測れば
市役所を辞めて3万時間とかして
中学生に
ボコボコにされた自分は
典型的な負け組に見えるかもしれない。
でも自分の人生を楽しめた人が
勝ち組だ。なるほどね。
勝ち負けの物差しを自分で
作り直したんですね。
はい。今日はですね
卓球に取り付いた男を紹介しました。
首相さん才能がないからといって
辞めたもの誰にでも一つぐらいありますよね。
いや一つどころじゃないんじゃないですかね。
リスナーのみなさんも
押し入れの奥にギターが入ってるとかね。
例えばね。大抵の人は
一つはあるでしょうね。
僕ら普通ね。才能がないと分かった時点を
ゲームオーバーとね
捉えがちじゃないですか。
捉えちゃいます。いわきさんは
そこをスタート地点にしてるわけです。
後書きにね。才能がないことは
自分だけの新しい解放を
見つけ出して人生を楽しむための
むしろ最高の初期設定だって
書いてあるんですね。
最高の初期設定って言ったら
いい言葉っすね。
才能がないからどうやったら返せるか
どうやったら勝てるかを
全部自分で探し続けて
才能がないから工夫するっていう
泥臭いプロセスを楽しめたってことだと思うんですね。
答えが
用意されてないから
探すこと自体が遊びになるし
難しいゲームほど長く遊びますけど
人生自体が
難しいゲームですね。
本の終わりの方でいわきさんね
今日も自分が弱いことを確認するために
試合に出てきますなって
笑ってんすよ。
最初むかすぎたけどかっこよく見えてきた。
そうなんすよね。感情入りますよね。
押し入れのギターとか
ラケットとかも才能がないと思って
辞めたらそれはまだ
初期設定のままってことだと思うんですね。
だからそういう人に対して
いわきさんからのメッセージってのは
自分には才能がないと腐りそうになったら
3万時間練習して
中学生に18分で負けたら
僕のことを思い出して笑ってくださいって書いてるんですね。
笑った後に
確かにもう一回ギターケースを
開けてみたくなりますよね。
だから才能ゼロこそ
最高のエンターテインメントというわけなんですね。
伊藤じょうたさんの
卓球に取り付いた男
いわきただしの人生
一人の人生丸ごとでそれを見せてくれる一冊です。
これは絶対読みたいですね。
面白いですよ。
今日の収録は日本橋浜町にある
ぶっかべ浜アファストよりご送りいたしました。
以上ナビゲーターの伊藤純也でした。
プレゼンターの内藤純でした。それではまた次回。
24:02

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