歌会方式のアプリシエーション
孫泰蔵さんの『冒険の書』では、学びに評価はいらないというふうにおっしゃっています。
そして評価に代わるものとして、相手の良さを認めるアプリシエーションをすべきだというふうにおっしゃっています。
アプリシエーションこそが、学びを楽しく豊かなものにし、学ぶものを励ますというふうにもおっしゃっています。
アプリシエーションというのは、相手の良いところを認める、また相手に感謝する、そのような様々なニュアンスを含んだ言葉なんですけれども、
これ実際に学校などでやるときにどういうふうにすればいいかと考えていたんですけれども、
そこでいかさんという高校の先生をされている方のエピソードを聞きまして、
そこでは歌会をやったという話があったんですが、この歌会というのはアプリシエーションをする場としてとても良い見本になるのではないかというふうに思ったんですね。
自分が良いと思う歌を選び、そしてそれをお互いにコメントし合う。
どこが良かったかということを、その短歌を味わうわけですよね。
まさにアプリシエーションだと思うんですけれども、お互いにそれをし合うという、そういう場ですよね。
私、歌会に出たことがないので、どんな雰囲気なのか分かりませんけれども、
そんなに先生みたいな人が批評してどこが良くないとか、そういうことを言うよりはむしろ良いところを言い合うという、そういう和やかな雰囲気なんじゃないかなと思うんですけれども、
そういうのを学校でももっともっとやれたらというふうに思うんですね。
学生同士のコメント
私、教員をやってますが、どうしても学生の書いたものなどをコメントするときに、
良くないところが目について、いわゆるダメ出しをしてしまうことがあるんですけれども、
言ってからですね、良くなかったなというふうに反省することがしばしばなんですけれども、
これをですね、学生同士にアプリシエーションさせると、歌会のようにですね、
そういうふうにすることができたらば、いいんじゃないかなと。
私がコメントするよりもですね、学生同士でコメントした方がいいんじゃないかななんていうふうにも思いました。
具体的なやり方なんですけれども、グループを作ってですね、歌会のようにやるっていうのはもちろん一つのやり方なんですが、
大人数のクラスですとそれも結構大変なんですよね。
ですので、私は現在、学生が書いたものを共有させるのに、
LearnWiz Oneというオンラインのツールを使っているんですが、
それを利用して、このある種歌会のようなものができないかというふうに考えました。
そのやり方をちょっと述べてみたいと思います。
まず、LearnWiz Oneというのは、投稿する画面と、それから読み合ってコメントをする画面と2つあるんですね。
最初の投稿するのが「自分の投稿」という画面で、他の人の読むのが「他者の投稿」という画面があるんですが、
まず「自分の投稿」画面で、自分が先週課題として出されたものをですね、課題を提出するわけですけれども、
その課題をですね、パソコンですからコピー&ペーストで簡単に自分の投稿から投稿できますので、そこで投稿させます。
この場合は匿名で投稿ができます。
大体みんなが投稿できた頃を見計らって、今度は「他者の投稿」というページを表示させまして、
そこにはですね、大勢のクラスでもランダムに何人か分の投稿が表示されるようになりますので、
例えば3人分が表示されるように設定しておきますと、3人分が読めます。
そしてその中の一番いいと思ったものにいいねボタンがついてますので、いいねボタンを押して、またコメント欄にどこが良かったかということを書いてもらいます。
そして時間があればさらに次のページへ行ってまた3つ出てきますから、その中の一番いいものを選んでコメントをするということをしてもらいます。
時間が許す限りやってもらうんですけども、大体3つの中から1つ選べるぐらいの時間でいいかなと思うんですね。
これ大勢いますと、1人の投稿を何人かが見ることになります。
ですので、それが選ばれるかどうかは分かりませんけれども、多くの人に選ばれるものとそうでないものに分かれていくわけですよね。
そして最後、時間が来ましたらば「人気順」というページがあるんですが、そのページを表示させますと、一番いいねがたくさんついたものが上の方に来るようになっていまして、そこにはいいねをつけた人のコメントも表示されます。
どこが良かったかということがずらずらとコメント欄に並ぶんですね。
それを教員が読み上げて紹介する、そんな授業ができるんじゃないかなと思うんですね。
今までも、いいねボタンを押すように言って、多くのいいねがついたものを私がコメントするということはやったんですが、
学生のコメントは必ずしも求めてこなかったんですね。
これを必ずコメントするように、しかも良いところだけを指摘するようにというふうに言ってコメントを書いてもらうと歌会のような感じになるんじゃないかなというふうに思いました。
ちょっとこれ面白そうですので、後期の授業でやってみようかなというふうに思っています。